JP2022139535A - 空中表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定的な発光パターンを空中表示するのに適し、発光パターンごとに明るさや色を変えることのできる空中表示装置を提供すること。【解決手段】実施形態の空中表示装置は、再帰反射シートと、複数の面状発光体と、ハーフミラーとを備える。前記再帰反射シートは、空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する。前記複数の面状発光体は、前記再帰反射シートの前記貫通孔による発光パターンごとに、前記再帰反射シートの裏面側に配置される。前記ハーフミラーは、前記再帰反射シートの出射面側に配置される。【選択図】図2

Description

本発明は、空中表示装置に関する。
従来から、再帰反射シートやハーフミラーが用いられ、空中に画像を結像させる空中表示装置が提案されている(例えば、特許文献1、2等を参照)。
特開2018-81138号公報 特開2017-107165号公報
しかしながら、従来の技術では、画像出力装置やディスプレイを光源として使用しており、固定的な発光パターンを空中表示するのには適していなかった。また、固定的な発光パターンを空中表示する場合、単一の固定的な光源が用いられることが多く、発光パターンごとに明るさや色を変えることは困難となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、固定的な発光パターンを空中表示するのに適し、発光パターンごとに明るさや色を変えることのできる空中表示装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る空中表示装置は、再帰反射シートと、複数の面状発光体と、ハーフミラーとを備える。前記再帰反射シートは、空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する。前記複数の面状発光体は、前記再帰反射シートの前記貫通孔による発光パターンごとに、前記再帰反射シートの裏面側に配置される。前記ハーフミラーは、前記再帰反射シートの出射面側に配置される。
本発明の一態様に係る空中表示装置は、固定的な発光パターンを空中表示するのに適し、発光パターンごとに明るさや色を変えることができる。
図1は、一実施形態にかかる空中表示装置の例を示す表示面側から見た図である。 図2は、図1におけるX-X断面図である。 図3は、空中表示装置の主要部の分解斜視図である。 図4は、トイレ個室内における操作パネルの配置例を示す図である。 図5Aは、空中表示装置の垂直方向および水平方向の配光の例を示す図である。 図5Bは、導光板等から構成される面状発光体の垂直方向および水平方向の配光の例を示す図である。 図6は、面状発光体を構成する光源と導光板の構成例を示す図である。 図7は、面状発光体を構成する光源と導光板の他の構成例を示す図である。 図8は、図7のType-1とType-2とによる、導光板の終端の厚さに対する出射光束の変化の例を示す図である。 図9は、面状発光体を構成する導光板単体での導光方向の配光角度に対する輝度の例を示す図である。 図10は、面状発光体を構成する光源と導光板とプリズムシートの構成例を示す図である。 図11は、図10のType-3のプリズムシートによる光の屈折と全反射の例を示す図である。 図12は、導光板の出射面側に設けられるVプリズム光学素子の最適化されたより具体的な例を示す図である。 図13は、導光板の反出射面側に設けられるドット光学素子とプリズムシートの反出射面側に設けられるプリズム光学素子の最適化されたより具体的な例を示す図である。 図14は、最適化された導光板等から構成される面状発光体の配光の例を示す図である。 図15は、最適化された導光板等から構成される面状発光体の導光方向の配光角度に対する輝度の例を示す図である。 図16は、比較例となる空中表示装置の例を示す表示面側から見た図である。 図17は、図16におけるX-X断面図である。
以下、実施形態に係る空中表示装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
図1は、一実施形態にかかる空中表示装置1の例を示す表示面側から見た図である。図2は、図1におけるX-X断面図である。図3は、空中表示装置1の主要部の分解斜視図である。なお、図1~図3における空中表示装置1は、個室トイレ内の壁面等に設置される操作パネルに採用されることが想定されており、表示面が水平方向を向いている。
図1~図3において、空中表示装置1は、略矩形状の開口2aが形成されたフレーム2の内側の底面2bの一部に反射シート8が固定されている。また、基板31、光源32、導光板4、プリズムシート15およびルーバーシート10から構成される面状発光体が発光パターンごとに設けられており、それぞれの基板31が反射シート8と並んでフレーム2の底面2bに固定されており、それぞれの導光板4は反射シート8の反射面に対向するように配置されている。また、複数の面状発光体に共通の光源制御基板16が設けられ、基板31の一端が光源制御基板16に接続されている。光源制御基板16は、後述するセンサ電極14Aの非出射面側に固定されている。
それぞれの導光板4の裏側の主面の入光側面4a側の端部は基板31に固定され、入光側面4aは基板31上に配置された光源32の発光部に対向するようになっている。導光板4の入光側面4a側の所定の範囲は混色のための混色エリアとなっており、それよりも終端側の主面が出射面となっており、この出射面にプリズムシート15およびルーバーシート10が重ねて配置されている。なお、ルーバーシート10は省略される場合もある。
更に、ルーバーシート10の出射面側(ルーバーシート10が省略される場合にはプリズムシート15の出射面側)には、空中表示する図形を表した複数の貫通孔5aを有する再帰反射シート5が、反射面を出射面側(導光板4とは反対側)に向けて配置されている。
反射シート8は、導光板4から背面側へ漏れる光を導光板4に戻すことで、光効率を高め、輝度を高めるためのものである。基板31は、フレキシブル基板等により構成され、光源32への給電のための配線を含む。光源32は、例えば、赤・緑・青の発光素子を内部に有するサイドビュー型(パッケージの側面から発光するタイプ)のRGB-LEDであり、図示の例では1つの導光板4に対して3個が設けられている。RGB-LEDとすることで、発光色の制御が容易になる。また、RGB-LEDは小型であるため面状発光体の薄型化が図れる。RGB-LEDをサイドビュー型とすることで、基板を出射面に平行に配置することができ、更なる薄型化が図れる。なお、薄型化の利点は薄れるが、基板31の配置を変更し、光源32としてトップビュー型(パッケージの天面から発光するタイプ)のRGB-LEDとすることもできる。光源制御基板16には、光源32の発光量や発光色を制御するための制御回路部品が搭載されている。
導光板4は、ポリカーボネートやアクリル等の透明材料により形成され、入光側面4aから入射された光を終端側まで導き、裏面(非表示面)側に設けられたドット光学素子により光の拡散を行って輝度均一性を維持するとともに、出射面側に設けられたVプリズム光学素子(レンチキュラーレンズも可)により光源32の配列ピッチ方向の配光を制御するようにしている。また、導光方向の配光を制御するために、プリズムシート15が設けられている。
プリズムシート15は、透明シートの表面に一方向(図におけるX軸方向)に延びるプリズムが形成されたシートである。これらは、後述する比較例(図16、図17)における線状光源を用いないことで、線状光源が担っていた配光の制御を導光板4とプリズムシート15とによって実現したものである。ルーバーシート10は、所定の方向の光(図2では左下向きの光)を通し、その他の方向の光を抑制するように機能するシートである。導光板4のドット光学素子、Vプリズム光学素子およびプリズムシート15の働きの詳細については後述する。
再帰反射シート5の出射面側の貫通孔5aが設けられていない部分は、入射された光を同じ経路で出射(入射角と出射角が同じ)する性質を有している。再帰反射シート5は、例えば、透明の微小なガラスビーズ球などが表面に隙間なく配置されたものである。また、再帰反射シート5としては、ガラスビーズ球の他に、コーナーキューブと呼ばれる、光を反射する性質を持った3枚の面が互いに直角に組み合わされた、立方体の頂点の内面を利用したものも使用することができる。この場合、コストは若干高くなるが、光利用効率が高く、空中表示(空中像)のボケが少なくなるという利点がある。
一方、フレーム2の表示面側には、開口2aを覆うようにハーフミラー6が配置され、ハーフミラー6にはトップカバー7が外側に重ねられている。なお、ハーフミラー6の外側(視認側)にハードコート処理を施すことにより、トップカバー7を省略することもできるが、ハーフミラー6はフィルム状であるため、支持用の透明樹脂板が必要となる。なお、ハードコート処理は、傷防止や汚れ防止、抗菌などを目的として施されるものであり、トップカバー7が外側に配置される場合でも、トップカバー7にハードコート処理を施すのが好ましい。
ハーフミラー6は、入射された光の半分程度を反射し、残りの半分程度を透過させる性質を有した光学部材である。トップカバー7は、透明材料により形成され、ハーフミラー6を保護するためのものである。なお、トップカバー7の透過度を下げることにより、外部から空中表示装置1の内部が見えづらくなり、空中表示だけを見やすくすることができる。また、再帰反射シート5とハーフミラー6とは、互いに少し傾けて配置されるものであってもよい。
また、ハーフミラー6の裏側には、発光パターンごとに、上下(Y軸方向)に一対のセンサ電極14A、14Bが設けられている。センサ電極14A、14B間に電圧を印加することで、センサ電極14A、14B間に電気力線が生じ、ユーザが指Fで空中表示Iを触れる過程で、接地レベルにある指Fにより電気力線に変化を生じさせ、その変化から空中表示Iへのタッチを検出することができる。ユーザの指Fは空中表示Iに触れるだけで、実在のボタン等に触れるわけではないので、衛生面において望ましいものとすることができる。なお、IR(赤外線)センサ等により指Fの空中表示Iへの接触が検出され、対応する機能のオン・オフ等が制御されるようにしてもよい。
図2において、光源32から導光板4、プリズムシート15およびルーバーシート10を介して出た光は再帰反射シート5の貫通孔5aを通って経路L1で出る。なお、導光板4のドット光学素子、Vプリズム光学素子およびプリズムシート15の調整により、表示面側のアイポイントEPが存在しない方向(図2における左下側)に光を出射し、アイポイントEPが存在する所定方向に出射する光(経路L0で出る光)を抑制するようにしている。アイポイントEPは、ユーザが目視することが想定される位置である。
再帰反射シート5の貫通孔5aから経路L1で出た光は、半分程度がハーフミラー6で反射され、経路L2により再帰反射シート5に当たる。再帰反射シート5に当たった光は、入射角と同じ出射角で経路L3によりハーフミラー6に戻り、半分程度が透過する。再帰反射シート5のある貫通孔5aから出た光は、経路L1の角度が変わっても幾何学的な関係から空中表示装置1外の同じ位置を通過するため、ハーフミラー6およびトップカバー7の外側に空中像による空中表示Iが行われ、ユーザのアイポイントEPから視認することができ、ユーザに指Fにより触れる動作を行わせることができる。
図4は、トイレ個室内における操作パネル100の配置例を示す図である。操作パネル100の前面には空中表示装置1が配置されている。図4においては、便座Tに腰かけた利用者Mが容易に手の届く壁W上の位置に操作パネル100が設けられている。操作パネル100の床面からの高さは例えば1m、水平位置は利用者Mの膝の位置と同等である。このような操作パネル100の配置に対し、日本人の平均座高を考慮すると、空中表示Iの垂直方向の視野範囲は、例えば、水平方向を基準として、上方向に10deg~35degとなる。空中表示Iの水平方向の視野範囲は、例えば±40degとなる。
図5Aは、空中表示装置1の垂直方向および水平方向の配光の例を示す図であり、縦軸は垂直方向の配光角度(正面を0°)、横軸は水平方向の配光角度(正面を0°)である。図4の説明において配光について言及したが、中心輝度に対する各点の輝度の割合を考慮して、より厳密に配光を定めている。図5Aにおいて、中心輝度は垂直方向が23°、水平方向が0°の点における輝度であり、その中心輝度に対する輝度の割合が50%以上となるべき点を黒丸で示し、割合が30%以上となるべき点を黒四角で示している。
図5Bは、導光板4等から構成される面状発光体の垂直方向および水平方向の配光の例を示す図であり、図5Aと水平方向については同じで、垂直方向について角度の正負が逆になっている。これは、前述したとおり、ハーフミラー6による反射と再帰反射シート5による再帰反射とにより、面状発光体からの出射方向は空中表示が行われる方向とは対称的な関係になるからである。
図6は、面状発光体を構成する光源32と導光板4の構成例を示す図である。図6において、左側は表示面の正面となる方向から見た図であり、右側は側面方向から見た図である。導光板4の入光側(入光側面4aが設けられた側)は、RGB-LEDによる光源32の混色のために、例えば、全長37mmに対して、10mmの混色エリアが設けられている。この混色エリアには、出射のためのドット光学素子4dは設けられておらず、混色エリアの下の有効エリアにドット光学素子4dが設けられている。これは、RGB-LEDのパッケージ内には赤・緑・青の発光素子が若干の間隔をおいて配置されているため、入光側面4aに入光した直後に主面に出射させると、色別れが生じてしまうためである。
なお、導光板4の入光側面4aに、光を拡散させるレンチキュラーレンズやプリズム等の光学素子が設けられることで、混色を短距離で済ませ、混色エリアの導光方向の長さを短くすることができる。また、導光板4の出射面側には、光源32のピッチ方向の配光を制御するVプリズム光学素子(レンチキュラーレンズも可)が設けられるが、これについては後述する。
図7は、面状発光体を構成する光源32と導光板4の他の構成例を示す図である。図7において、右側の側面方向から見た図において、導光板4の厚さを変えた、楔形状の断面を有する2つのタイプを示している。Type-1は、光源32のサイズに合わせるための厚さ(1mm)の入光側面4aから混色エリアにおいて厚さを減少させ、有効エリアにおいて厚さを一定にしたものである。Type-2は、光源32のサイズに合わせるための厚さ(1mm)の入光側面4aから終端側まで厚さを減少させたものである。なお、Type-2において、ドット光学素子4dが設けられる裏面側が傾斜面となっている。
図8は、図7のType-1とType-2とによる、導光板4の終端の厚さに対する出射光束の変化の例を示す図である。図8において、導光板4の終端の厚さが薄い領域では、Type-2の方が出射光束が大きく、好ましい。これは、Type-1では、入光側面4aから厚さが減少して一定になるまでの部分で光の反射の角度が変わってしまい、配光制御できない光が発生してしまうことによる。
図9は、面状発光体を構成する導光板4単体での導光方向の配光角度に対する輝度の例を示す図であり、図7におけるType-2の導光板4によるものである。図9において、4つの曲線は、導光板4の裏面に設けられるドット光学素子4dの接触角(ドットを形成する球面の端部の接線と、ドットが設けられる平面とのなす角度)に対応している。実線は接触角が10°、破線は接触角が20°、一点二短鎖線は接触角が30°、二点鎖線は接触角が40°の場合である。図9の中央付近に示された矩形状の破線のエリアは、面状発光体に要求される垂直方向の配光の範囲(図5B)に対応するものであり、ドット光学素子4dだけでは十分に垂直方向の配光が制御できていないことがわかる。そのため、プリズムシート15が設けられることになる。
図10は、面状発光体を構成する光源32と導光板4とプリズムシート15の構成例を示す図である。図10において、左側の表示面の正面となる方向から見た図では、光源32の配列ピッチ方向の配光を制御するVプリズム光学素子4eが設けられている。Vプリズム光学素子4eは、部分的な拡大図に示されるように、三角形状の凹凸面を有している。なお、前述のように、Vプリズム光学素子4eは円弧形状の断面を有するレンチキュラーレンズに代替が可能である。
また、図10において、右側の側面方向から見た図において、プリズムシート15として、プリズム光学素子15aの設けられた面を導光板4側にしたType-3と、プリズム光学素子15aの設けられた面を出射面側にしたType-4とが示されている。図11は、図10のType-3のプリズムシート15による光の屈折と全反射の例を示す図である。図11において、入射した光L11は屈折して光L12となり、更に屈折して光L13として出射する。また、光L21は内部に入射した後に全反射により光L22となり、更に屈折して光L23として出射する。図10のType-3とType-4とを比べると、Type-4ではType-3よりも配光が広くなり、アイポイント方向へ出射する光が多くなって、好ましくない。よって、Type-3がより好ましい。
図12は、導光板4の出射面側に設けられるVプリズム光学素子4eの最適化されたより具体的な例を示す図である。図12において、Vプリズム光学素子4eの断面形状の三角形の底辺の長さは100μm、両端の底角は10°、頂角は160°としている。
図13は、導光板4の反出射面側に設けられるドット光学素子4dとプリズムシート15の反出射面側に設けられるプリズム光学素子15aの最適化されたより具体的な例を示す図である。図13において、導光板4のドット光学素子4dの接触角は29.6°、底部の直径は40μm、高さは5.2μmとなっている。また、プリズムシート15のプリズム光学素子15aの上側の底角は74.4°、頂角は75°、ピッチは50μmとなっている。
図14は、最適化された導光板4等から構成される面状発光体の配光の例を示す図であり、縦軸は垂直方向の配光角度(正面を0°)、横軸は水平方向の配光角度(正面を0°)である。図中の破線で囲まれた矩形の領域は、図5Bにおける割合が30%になる領域に対応している。各配光角度における輝度([cd/m])と、中心輝度に対する輝度の割合([%])は、次の表1のようになる。なお、ルーバーシート10は設けられていないものとしている。表1から明らかなように、図5Bの配光の要件は満たされている。
Figure 2022139535000002
図15は、最適化された導光板4等から構成される面状発光体の導光方向の配光角度に対する輝度の例を示す図である。なお、ルーバーシート10は設けられていないものとしている。図15において、実線の曲線は最適化された前述のType-3の場合を示しており、破線の曲線は比較のためにプリズム面を出射側にしたType-4の場合を示している。図中の-30°付近の破線で囲まれた矩形の領域は、図5Bの割合が30%になる領域(ターゲットエリア)に対応している。また、0°以上の破線で囲まれた矩形の領域は、アイポイント方向に直接に出射される光であり、できるだけ小さく抑えたい光である。
図15から明らかなように、ターゲットエリアではType-4の方が輝度が高くなるが、アイポイント方向に直接に出射される光も大きくなり、好ましくない。この点、実線で示されたType-3の場合、アイポイント方向に直接に出射される光は、充分に抑制されたものとなっている。なお、Type-3の場合でもアイポイント方向に直接に出射される光は若干残るため、その部分の除去が要求される場合、ルーバーシート10が用いられる。ルーバーシート10は、ターゲットエリアの方向の光を通過させ、それ以外の方向の光を抑制する。
図16は、比較例となる空中表示装置1’の例を示す表示面側から見た図である。図17は、図16におけるX-X断面図である。図16および図17において、空中表示装置1’は、略矩形状の開口2a’が形成されたフレーム2’内に、面状発光体を構成する線状光源3’と導光板4’とが配置されている。線状光源3’は、導光板4’の入光側面4a’の長手方向(X軸方向)に沿って線状に発光する光源であり、LED等の光源の他に、ポリカーボネートやアクリル等の透明材料による成形品のライトバーとプリズムバーとを含んでいる。導光板4’は、同様に、ポリカーボネートやアクリル等の透明材料により形成され、入光側面4a’から入射された光を終端側まで導き、裏面(非表示面)側に設けられた、光学素子により形成される発光部4b’により光を反射する。なお、発光部4b’の光学素子の調整により、表示面側のアイポイントEP’が存在しない方向(図17における左下側)に光を出射し、アイポイントEP’が存在する所定方向に出射する光を抑制するようにしている。
また、導光板4’の発光部4b’は、後述する再帰反射シート5’における、空中表示する図形を表すのに用いられる可能性のある複数の貫通孔5a’の位置を余裕をもってカバー(貫通孔5a’の周囲の所定範囲もカバー)する略矩形状の領域(表示面側から見た形状)を発光するか、または、再帰反射シート5’の1または複数の貫通孔5a’に対応する位置を余裕をもってカバー(貫通孔5a’の周囲の所定範囲もカバー)する領域を発光するものとする。また、フレーム2’の非表示面側には、開口2a’を覆うように、反射シート8’が配置されており、導光板4’から背面側へ漏れる光を導光板4’に戻すことで、光効率を高め、輝度を高めている。
また、導光板4’の出射面側には、発光部4b’に対応する位置に空中表示する図形を表した複数の貫通孔5a’を有する再帰反射シート5’が、反射面を出射面側(導光板4’とは反対側)に向けて配置されている。また、フレーム2’の表示面側には、開口2a’を覆うようにハーフミラー6’が配置され、ハーフミラー6’にはトップカバー7’が外側に重ねられている。
図17において、面状発光体を構成する導光板4’の発光部4b’から出た光は再帰反射シート5’の貫通孔5a’を通って経路L1’で出る。この光は、半分程度がハーフミラー6’で反射され、経路L2’により再帰反射シート5’に当たる。再帰反射シート5’に当たった光は、入射角と同じ出射角で経路L3’によりハーフミラー6’に戻り、半分程度が透過する。発光部4b’のある点から出た光は、経路L1’の角度が変わっても幾何学的な関係から空中表示装置1’外の同じ位置を通過するため、ハーフミラー6’およびトップカバー7’の外側に空中像による空中表示I’が行われ、ユーザのアイポイントEP’から視認することができ、ユーザに指F’により触れる動作を行わせることができる。
図16および図17の比較例の空中表示装置1’では、再帰反射シート5’の貫通孔5a’による全ての発光パターンについて1つの導光板4’の発光部4b’により光を供給するものであるため、発光パターンごとに明るさや色を変えることは困難であった。この点、図1~図15の実施形態の空中表示装置1によれば、発光パターンごとに面状発光体が設けられるため、発光パターンごとに明るさや色を変えることが容易になる。
また、図16および図17の比較例の空中表示装置1’では、面状発光体が線状光源3’と導光板4’とから構成され、線状光源3’は、ライトバーとプリズムバーとを含んでいるため、成形品の種類が多く、金型の種類が多くなるため、コストダウンが困難となる。この点、図1~図15の実施形態の空中表示装置1によれば、成形品は導光板4だけとなるため、導光板4が複数であっても1つの金型から製造が可能であり、金型の種類の減少によりコストダウンを図ることができる。また、実施形態の空中表示装置1によれば、光源32にRGB-LEDを用いているため、空中表示の色の制御が容易となるとともに薄型化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
以上のように、実施形態に係る空中表示装置は、空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する再帰反射シートと、再帰反射シートの貫通孔による発光パターンごとに、再帰反射シートの裏面側に配置される複数の面状発光体と、再帰反射シートの出射面側に配置されたハーフミラーとを備える。これにより、固定的な発光パターンを空中表示するのに適し、発光パターンごとに明るさや色を変えることができる。
また、面状発光体は、複数の点状の光源と、入光側面が前記複数の点状の光源に対向し、一方の主面にドット光学素子が設けられた導光板と、導光板の出射面側に配置され、導光方向の配光を制御するプリズムシートとを備える。これにより、成形品が1種類の金型で製造できる導光板だけで済むため、コストダウンを図ることができる。また、線状光源を用いなくても、輝度の均一性が図れ、所望の配光に制御することができる。
また、導光板は、他方の主面に複数の点状の光源のピッチ方向の配光を制御するVプリズムまたはレンチキュラーレンズからなる光学素子が設けられる。これにより、光源に依存せずにピッチ方向の配光を制御することができる。
また、複数の点状の光源は、それぞれ、赤・緑・青の発光素子を内部に有するRGB-LEDである。これにより、空中表示の色の制御が容易となるとともに薄型化を図ることができる。
また、導光板は、入光側に、混色のための、ドット光学素子が設けられない混色エリアを有する。これにより、充分な混色が行われ、色別れを防止することができる。
また、導光板の入光側面には、光を拡散させる他の光学素子が設けられる。これにより、混色のための混色エリアの導光方向の長さを短くすることができる。
また、導光板は、入光側の厚さよりも終端側の厚さが薄い楔形状の断面を有する。これにより、光源のサイズに応じた入光側の厚さを確保しつつ無駄な厚さを削減することができ、出射効率を向上させることができる。
また、プリズムシートのプリズム面は、導光板側の面または出射面側の面に設けられる。これにより、プリズム面が導光板側の面に設けられる場合は、出射面側にプリズム面が設けられる場合に比べて配光を狭くすることができ、アイポイント方向への出射光を減らすことができる。また、プリズム面が出射面側の面に設けられる場合は、若干の性能低下はあるが、充分に実用に耐えるものとすることができる。
また、面状発光体は、出射面側に配置されたルーバーシートを備える。これにより、アイポイント方向への出射光をよりいっそう減らすことができる。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1 空中表示装置,2 フレーム,2a 開口,2b 底面,31 基板,32 光源,4 導光板,4a 入光側面,4d ドット光学素子,4e Vプリズム光学素子,5 再帰反射シート,5a 貫通孔,6 ハーフミラー,7 トップカバー,8 反射シート,10 ルーバーシート,14A、14B センサ電極,15 プリズムシート,15a プリズム光学素子,16 光源制御基板,EP アイポイント,I 空中表示,F 指

Claims (9)

  1. 空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する再帰反射シートと、
    前記再帰反射シートの前記貫通孔による発光パターンごとに、前記再帰反射シートの裏面側に配置される複数の面状発光体と、
    前記再帰反射シートの出射面側に配置されたハーフミラーと、
    を備える空中表示装置。
  2. 前記面状発光体は、
    複数の点状の光源と、
    入光側面が前記複数の点状の光源に対向し、一方の主面にドット光学素子が設けられた導光板と、
    前記導光板の出射面側に配置され、導光方向の配光を制御するプリズムシートと、
    を備える請求項1に記載の空中表示装置。
  3. 前記導光板は、他方の主面に前記複数の点状の光源のピッチ方向の配光を制御するVプリズムまたはレンチキュラーレンズからなる光学素子が設けられる、
    請求項2に記載の空中表示装置。
  4. 前記複数の点状の光源は、それぞれ、赤・緑・青の発光素子を内部に有するRGB-LEDである、
    請求項2または3に記載の空中表示装置。
  5. 前記導光板は、入光側に、混色のための、前記ドット光学素子が設けられない混色エリアを有する、
    請求項4に記載の空中表示装置。
  6. 前記導光板の入光側面には、光を拡散させる他の光学素子が設けられる、
    請求項5に記載の空中表示装置。
  7. 前記導光板は、入光側の厚さよりも終端側の厚さが薄い楔形状の断面を有する、
    請求項2~6のいずれか一つに記載の空中表示装置。
  8. 前記プリズムシートのプリズム面は、前記導光板側の面または出射面側の面に設けられる、
    請求項2~7のいずれか一つに記載の空中表示装置。
  9. 前記面状発光体は、出射面側に配置されたルーバーシートを備える、
    請求項1~8のいずれか一つに記載の空中表示装置。
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