JP2022139324A - 非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下において長期間保存されても着色しにくく、かつ常温の環境下において充電及び放電によるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇を抑制することができる非水電解液を提供する。【解決手段】非水電解液は、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方と、鎖状エーテル化合物とを含有する。鎖状エーテル化合物の含有量は、非水電解液の全量に対して、0質量ppm超1000質量ppm以下である。【選択図】なし

Description

本開示は、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法に関する。
従来より、電池の性能を向上させる観点から、非水電解液に用いられる非水溶媒及び電解質について種々の検討がなされている。
非水溶媒にジフルオロリン酸リチウムを添加すると、高温保存特性、及び高温サイクル特性等を向上させることができることが知られている。
特許文献1は、従来の溶解度を大きく上回る量のジフルオロリン酸リチウムを均一に完全溶解させた非水電解液を開示している。特許文献1に開示の非水電解液は、非水溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウムが溶解されている。非水溶媒は、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含有する。非水電解液は、ジフルオロリン酸リチウムの溶解助剤であるメトキシ基を有する炭素数2以上の鎖状エーテル化合物を含む。非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの量(質量%)に対する、非水溶媒の総体積に対する溶解助剤の割合(体積%)の比(体積%/質量%)は、0.1以上5以下である。25℃においてジフルオロリン酸リチウムは、1.2質量%以上溶解している。
特開2016-207331号公報
しかしながら、特許文献1に開示のような非水電解液を用いたリチウム二次電池では、常温(例えば、25℃)の環境下で、充電及び放電が繰り返されると、直流抵抗が上昇しやすいおそれがあった。
更に、特許文献1に開示のような非水電解液は、高温環境(例えば、60℃)下において長期間(例えば、1週間)保存されると、不純物の生成により、着色するおそれがあった。このような不純物は、リチウム二次電池の電池性能を低下させるおそれがあった。
特許文献1に開示の非水電解液では、上記比(体積%/質量%)が0.1以上5以下であり、25℃においてジフルオロリン酸リチウムが1.2質量%以上溶解している場合、鎖状エーテル化合物の含有量は、非水電解液の総量に対して、1044質量ppm以上と算出される。
本開示の一態様の目的は、高温環境下において長期間保存されても着色しにくく、かつ常温の環境下において充電及び放電によるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇を抑制することができる非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方と、
鎖状エーテル化合物と
を含有する非水電解液であって、
前記鎖状エーテル化合物の含有量は、前記非水電解液の全量に対して、0質量ppm超1000質量ppm以下である、非水電解液。
<2> 前記ジフルオロリン酸リチウムを含む、前記<1>に記載の非水電解液。
<3> 前記ジフルオロリン酸リチウムの含有量は、前記非水電解液の全量に対して、0.001質量%~5質量%である、前記<2>に記載の非水電解液。
<4> 前記鎖状エーテル化合物は、1,2-ジメトキシエタンを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の非水電解液。
<5> 正極と、
リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
前記<1>~<4>のいずれか1つに記載の非水電解液と
を備える、リチウム二次電池前駆体。
<6> 前記<5>に記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られた、リチウム二次電池。
<7> 前記<5>に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と
を含む、リチウム二次電池の製造方法。
本開示の一態様によれば、高温環境下において長期間保存されても着色しにくく、かつ常温の環境下において充電及び放電によるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇を抑制することができる非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法が提供される。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図である。 図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の、厚さ方向の概略断面図である。 本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例である、コイン型電池の一例を示す概略断面図である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔非水電解液〕
本開示の非水電解液は、
モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方と、
鎖状エーテル化合物と
を含有する非水電解液であって、
鎖状エーテル化合物の含有量は、非水電解液の全量に対して、0質量ppm超1000質量ppm以下である。
以下、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムをまとめて「フルオロリン酸リチウム化合物」という場合がある。
本開示の非水電解液は、上記の構成からなるので、高温環境下において長期間保存されても着色しにくく、かつ常温の環境下において充電及び放電によるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇を抑制することができる。
非水電解液の着色状態は、後述するAPHA色によって定量的に評価され得る。APHA色の測定方法は、JISK0071-1:2017に準拠した方法であってもよい。APHA色の測定方法は、目視による測定であってもよいし、測色計を用いた測定であってもよい。APHA色の測定方法は、着色の差異が確認しやすいという観点から、測色計を用いた測定であることが好ましい。
常温の環境下において充電及び放電によるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇の定量的な評価方法は、後述する実施例に記載の評価方法と同様である。
以下、本開示の非水電解液に含有され得る各成分について説明する。
<鎖状エーテル化合物>
本開示の非水電解液は、鎖状エーテル化合物を含む。
鎖状エーテル化合物は、メトキシ基を有する炭素数2以上の鎖状エーテル化合物が好ましく、炭素原子を4個以上、水素原子を10個以上、酸素原子を2個以上含有する鎖状エーテル化合物であることがより好ましい。
鎖状エーテル化合物の具体例としては、1,2-ジメトキシエタン、アルキレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。アルキレングリコールジメチルエーテルとしては、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これら鎖状エーテル化合物は、1種類で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
なかでも、鎖状エーテル化合物は、1,2-メトキシエタンを含むことが好ましい。これにより、非水電解液の粘度を下げ、電解質の移動度を高めることができる。その結果、リチウム二次電池の直流抵抗を下げることができる。
鎖状エーテル化合物の含有量は、非水電解液の総量に対して、0質量ppm超1000質量ppm以下である。
鎖状エーテル化合物の含有量が上記範囲内であれば、常温の環境下において充電及び放電によるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇を抑制することができる。
更に、鎖状エーテル化合物の含有量が上記範囲内であれば、高温環境(例えば、60℃)下において、非水電解液が長期間(例えば、1週間)保存(以下、「高温長期保存」という。)されることによる、非水電解液の着色をより抑制することができる。換言すると、非水電解液の分解反応の進行を抑制することができる。リチウム二次電池の充放電サイクルにおいて、非水電解液の分解反応によって生成した成分は、本来の電池反応ではない副反応を進行させる要因になると考えられる。電池反応は、正極と負極にリチウムイオンが出入り(インターカレート)する反応を示す。副反応は、負極による電解液の還元分解反応、正極による電解液の酸化分解反応、正極活物質中の金属元素の溶出等を含む。その結果、リチウム二次電池が高温長期保存されても、リチウム二次電池の電池性能は、低下しにくい。
鎖状エーテル化合物の含有量の上限は、非水電解液の総量に対して、好ましくは500質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm以下である。
鎖状エーテル化合物の含有量の下限は、非水電解液の総量に対して、好ましくは0質量ppm超、より好ましくは40質量ppm以上である。
特に、鎖状エーテル化合物の含有量は、0質量ppm超300質量ppm以下であることが好ましく、40質量ppm以上300質量ppm以下であることがより好ましい。これにより、非水電解液が高温長期保存されることによる、非水電解液の着色をより抑制することができる。その結果、リチウム二次電池が高温長期保存されても、リチウム二次電池の電池性能は、より低下しにくい。
ジフルオロリン酸リチウムの製品(以下、単に「製品」という。)は、1,2-ジメトキシエタンを含有する場合がある。ジフルオロリン酸リチウムの原料として製品を用いる場合、製品に含まれる1,2-ジメトキシエタンの含有量に応じて、鎖状エーテル化合物の含有量を所望の範囲内に調整することができる。
例えば、製品に含まれる1,2-ジメトキシエタンの含有量が少ない場合、非水電解液に鎖状エーテル化合物を添加することで、鎖状エーテル化合物の含有量を所望の範囲内に調整することができる。
また、製品に含まれる1,2-ジメトキシエタンの含有量が多い場合、製品を公知の方法により精製した精製品をジフルオロリン酸リチウムの原料として用いることで、鎖状エーテル化合物の含有量を所望の範囲内に調整することができる。
<フルオロリン酸リチウム化合物>
本開示の非水電解液は、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも一方を含む。
本開示の非水電解液は、ジフルオロリン酸リチウムを含むことが好ましい。非水電解液がジフルオロリン酸リチウムを含むことで、リチウム二次電池の初期及び保存後の直流抵抗を改善することができる。リチウム二次電池の初期の直流抵抗とは、例えば、リチウム二次電池前駆体に後述する実施例のエージング処理が施されて得られるリチウム二次電池の直流抵抗を示す。リチウム二次電池の保存後の直流抵抗とは、例えば、リチウム二次電池前駆体に後述する実施例のエージング処理、及び初期充放電処理が施されて得られるリチウム二次電池の直流抵抗を示す。
フルオロリン酸リチウム化合物の含有量の上限は、非水電解液の総量に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
フルオロリン酸リチウム化合物の含有量の上限が上記範囲内であれば、フルオロリン酸リチウムの非水溶媒への溶解性を確保することができる。
フルオロリン酸リチウム化合物の含有量の下限は、非水電解液の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。
フルオロリン酸リチウム化合物の含有量の下限が上記範囲内であれば、リチウム二次電池の直流抵抗をさらに下げることができる。
<添加剤>
本開示の非水電解液は、添加剤を含んでもよい。これにより、リチウム二次電池の充放電サイクルにおいて、副反応の進行を抑制することができる。その結果、リチウム二次電池の電池性能は向上する。
非水電解液は、添加剤を一種単独で含んでもいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。
添加剤としては、特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
添加剤としては、例えば、特開2019-153443号公報の段落0042~0055に記載の添加剤を用いることができる。
本開示の非水電解液が添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.001質量%~10質量%、より好ましくは0.005質量%~5質量%が、更に好ましくは0.01質量%~2質量%、特に好ましくは0.1質量%~2質量%、一層好ましくは0.1~1質量%である。
次に、非水電解液の他の成分について説明する。非水電解液は、一般的に、電解質と非水溶媒とを含有する。
<電解質>
本開示の非水電解液における電解質は、リチウム塩を含むことが好ましく、LiPFを含むことがより好ましい。
電解質がLiPFを含む場合、電解質中に占めるLiPFの比率は、好ましくは10質量%~100質量%、より好ましくは50質量%~100質量%、さらに好ましくは70質量%~100質量%である。
本開示の非水電解液における電解質の濃度は、0.1mol/L~3mol/Lが好ましく、0.5mol/L~2mol/Lがより好ましい。
また、本開示の非水電解液におけるLiPFの濃度は、0.1mol/L~3mol/Lが好ましく、0.5mol/L~2mol/Lがより好ましい。
電解質がLiPFを含む場合、電解質は、LiPF以外の化合物を含んでいてもよい。
LiPF以外の化合物としては;
(CNPF、(CNBF、(CNClO、(CNAsF、(CSiF、(CNOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、(CNPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5、k=1~8の整数)などのテトラアルキルアンモニウム塩;
LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5、k=1~8の整数)、LiC(SO)(SO)(SO)、LiN(SOOR10)(SOOR11)、LiN(SO12)(SO13)(ここでR~R13は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子又は炭素数1~8のパーフルオロアルキル基である)等のリチウム塩(即ち、LiPF以外のリチウム塩);
等が挙げられる。
<非水溶媒>
本開示の非水電解液における非水溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができる。
非水溶媒としては、例えば、特開2017-45723号公報の段落0069~0087に記載の非水溶媒を用いることができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物を含むことが好ましい。
この場合、非水溶媒に含まれる環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
環状カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート等が挙げられる。
これらのうち、誘電率が高い、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好適である。黒鉛を含む負極活物質を使用した電池の場合は、非水溶媒は、エチレンカーボネートを含むことがより好ましい。
鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、等が挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネート化合物と鎖状カーボネート化合物の混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート化合物:鎖状カーボネート化合物が、例えば5:95~80:20、好ましくは10:90~70:30、更に好ましくは15:85~55:45である。このような比率にすることによって、非水電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる非水電解液の伝導度を高めることができる。また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温または低温での電気伝導性に優れた非水電解液とすることができるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物以外のその他の化合物を含んでいてもよい。
この場合、非水溶媒に含まれるその他の化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
その他の化合物としては、環状カルボン酸エステル化合物(例えばγブチロラクトン)、環状スルホン化合物、環状エーテル化合物、鎖状カルボン酸エステル化合物、鎖状エーテル化合物、鎖状リン酸エステル化合物、アミド化合物、鎖状カーバメート化合物、環状アミド化合物、環状ウレア化合物、ホウ素化合物、ポリエチレングリコール誘導体、等が挙げられる。
これらの化合物については、特開2017-45723号公報の段落0069~0087の記載を適宜参照できる。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、100質量%であってもよい。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合の上限は、他の成分(電解質、添加剤等)の含有量にもよるが、上限は、例えば99質量%であり、好ましくは97質量%であり、更に好ましくは90質量%である。
本開示の非水電解液は、電池用の非水電解液として用いられ得るが、電池用の非水電解液の中でも、特に、リチウム二次電池用の非水電解液として好適に用いられ得る。
〔リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池〕
本開示のリチウム二次電池前駆体は、
正極と、
リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
前述した本開示の非水電解液と、
を含む。
本開示のリチウム二次電池は、本開示のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られたリチウム二次電池である。
本開示において、リチウム二次電池前駆体とは、製造後、充電及び放電がなされる前のリチウム二次電池を意味する。
言い換えれば、本開示において、リチウム二次電池とは、リチウム二次電池前駆体に対し、充電及び放電が施された電池を意味する。
本開示のリチウム二次電池前駆体は、前述した本開示の非水電解液を含む。
このため、本開示のリチウム二次電池前駆体及び本開示の非水電解液によれば、前述した本開示の非水電解液による効果と同様の効果が奏される。
以下、本開示のリチウム二次電池前駆体に含まれ得る各構成要素について説明する。
本開示のリチウム二次電池に含まれ得る各構成要素は、基本的に、本開示のリチウム二次電池前駆体に含まれ得る各構成要素と同様である。
本開示のリチウム二次電池において、正極(特に正極活物質)及び/又は負極(特に負極活物質)の表面には、好ましくは、SEI(Solid Electrolyte. Interface)膜が形成されている。SEI膜は、リチウム二次電池前駆体に充電及び放電を施すことによって形成され得る被膜である。SEI膜は、非水電解液中の成分及び又は上記成分に由来する生成物(例えば分解物)を含む。
<負極>
負極は、負極活物質及び負極集電体を含んでもよい。
負極における負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。
リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物としては、チタン酸リチウム、酸化シリコン(好ましくはSiOx(Xは、0.5以上1.6未満を表す)、より好ましくはSiO)などを挙げることができる。
これらの中でも、負極に対する被膜の形成性をより向上させ、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗をより低減させる観点から、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状のいずれの形態であってもよい。
上記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
上記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
上記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
負極における負極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
負極集電体の具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工しやすさの点から特に銅が好ましい。
負極は、負極集電体と、負極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた負極活物質層と、を含んでもよい。
負極活物質層は、負極活物質を少なくとも1種含む。負極活物質層における負極活物質は、上述した炭素材料を含むことが好ましい。
負極活物質層中における上記炭素材料の含有量は、負極に対する被膜の形成性をより向上させ、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗をより低減させる観点から、負極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
負極活物質層は、更に、バインダーを少なくとも1種含んでいてもよい。
バインダーとしては、スチレンブタジエン(SBR)ゴム(例えば、SBRラテックス)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びジアセチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。バインダーは、SBRラテックス及びカルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
負極活物質層中におけるバインダーの含有量は、負極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%~20質量%であり、より好ましくは1質量%~10質量%であり、更に好ましくは1質量%~5質量%である。
負極全体に対するSiの含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
負極全体に対するSiの含有量が5質量%以下である場合には、負極に対する被膜の形成性がより向上し、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗がより低減される。
<正極>
正極は、正極活物質及び正極集電体を含んでもよい。
正極における正極活物質としては、MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1-X)〔0<X<1〕、α-NaFeO型結晶構造を有するLi1+αMe1-α(Meは、Mn、Ni及びCoを含む遷移金属元素、1.0≦(1+α)/(1-α)≦1.6)、LiNiCoMn〔x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0<z<1〕(例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Co0.2Mn0.3等)、LiFePO、LiMnPOなどのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。負極がリチウム金属又はリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。また、正極として、リチウムと遷移金属との複合酸化物と、炭素材料と、の混合物を用いることもできる。
正極活物質は、1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。正極活物質は導電性が不充分である場合には、導電性助剤とともに使用して正極を構成することができる。導電性助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
正極における正極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
正極集電体の具体例としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタルなどの金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパーなどの炭素材料;等が挙げられる。
正極は、正極集電体と、正極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた正極活物質層と、を含んでもよい。
正極活物質層は、正極活物質を少なくとも1種含む。正極活物質層における正極活物質は、リチウムと遷移金属とからなる複合酸化物を含むことが好ましい。
正極活物質層中における上記複合酸化物の含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
正極活物質層は、更に、上記導電助剤を少なくとも1種含んでいてもよい。
正極活物質層は、更に、バインダーを少なくとも1種含んでいてもよい。
バインダーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ゴム粒子等が挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。ゴム粒子としては、スチレン-ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。これらの中でも、正極活物質層の耐酸化性を向上させる観点から、フッ素樹脂が好ましい。
正極活物質層中におけるバインダーの含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%~20質量%であり、より好ましくは1質量%~10質量%である。
<セパレータ>
本開示のリチウム二次電池前駆体は、負極と正極との間にセパレータを含むことが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本開示の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
<リチウム二次電池前駆体の構成>
本開示のリチウム二次電池前駆体は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。しかし、リチウム二次電池前駆体の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
なお、本開示のリチウム二次電池に基本構造についても、本開示のリチウム二次電池前駆体の基本構造を参照できる。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の例として、ラミネート型電池が挙げられる。
図1は、本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の厚さ方向の概略断面図である。
図1に示すラミネート型電池は、内部に非水電解液(図1中では不図示)及び積層型電極体(図1中では不図示)が収納され、且つ、周縁部が封止されることにより内部が密閉されたラミネート外装体1を備える。ラミネート外装体1としては、例えばアルミニウム製のラミネート外装体が用いられる。
ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、図2に示されるように、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介して交互に積層されてなる積層体と、この積層体の周囲を囲むセパレータ8と、を備える。正極板5、負極板6、セパレータ7、及びセパレータ8には、本開示の非水電解液が含浸されている。
上記積層型電極体における複数の正極板5は、いずれも正極タブを介して正極端子2と電気的に接続されており(不図示)、この正極端子2の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において正極端子2が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
同様に、上記積層型電極体における複数の負極板6は、いずれも負極タブを介して負極端子3と電気的に接続されており(不図示)、この負極端子3の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において負極端子3が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
なお、上記一例に係るラミネート型電池では、正極板5の数が5枚、負極板6の数が6枚となっており、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介し、両側の最外層がいずれも負極板6となる配置で積層されている。しかし、ラミネート型電池における、正極板の数、負極板の数、及び配置については、この一例には限定されず、種々の変更がなされてもよいことは言うまでもない。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例として、コイン型電池も挙げられる。
図3は、本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図3に示すコイン型電池では、円盤状負極12、非水電解液を注入したセパレータ15、円盤状正極11、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板17、18が、この順序に積層された状態で、正極缶13(以下、「電池缶」ともいう)と封口板14(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶13と封口板14とはガスケット16を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ15に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いる。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、種々公知の用途に用いることができる。例えば、ノート型パソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器を問わず広く利用可能なものである。
〔リチウム二次電池の製造方法〕
本開示のリチウム二次電池の製造方法は、
前述した本開示のリチウム二次電池前駆体を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう)と、
上記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と、
を含む。
準備工程は、予め製造された本開示のリチウム二次電池前駆体を充電及び放電を施す工程に供するために単に準備するだけの工程であってもよいし、本開示のリチウム二次電池前駆体を製造する工程であってもよい。
リチウム二次電池前駆体については前述のとおりである。
充電及び放電を施す工程において、リチウム二次電池前駆体に対する充電及び放電は、公知の方法に従って行うことができる。
本工程では、リチウム二次電池前駆体に対し、充電及び放電のサイクルを、複数回繰り返してもよい。
前述のとおり、この充電及び放電により、リチウム二次電池前駆体における正極(特に正極活物質)及び/又は負極(特に負極活物質)の表面に、好ましくはSEI膜が形成される。
以下、本開示に係る実施形態を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本開示は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
リチウム二次電池前駆体を以下のようにして作製した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、メチルエチルカーボネート(EMC)とをそれぞれ30:35:35(体積比)の割合で混合した。これにより、非水溶媒としての混合溶媒を得た。
得られた混合溶媒に、電解質としてのLiPFを、最終的に得られる非水電解液中におけるLiPFの濃度が1.2mol/Lとなるように溶解させて、第1溶液を得た。
得られた第1溶液に、添加剤としてジフルオロリン酸リチウムを、最終的に得られる非水電解液中におけるジフルオロリン酸リチウムの濃度が1.0質量%となるように添加し、第2溶液を得た。
得られた第2溶液に、鎖状エーテル溶媒として1,2-ジメトキシエタンを、最終的に得られる非水電解液中における1,2-ジメトキシエタンの濃度が30質量ppmとなるように添加し、非水電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてLi(Ni0.5Co0.2Mn0.3) 94質量%、導電助剤としてカーボンブラック 3質量%、及び結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF) 3質量%添加した混合物を得た。得られた混合物を、N-メチルピロリドン溶媒中に分散させ、正極合剤スラリーを得た。
正極集電体として厚さ20μmのアルミニウム箔を準備した。
得られた正極合剤スラリーをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥後、プレス機で圧延し、シート状の正極を得た。得られた正極は、正極集電体と、正極活物質層とからなる。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト(96質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(1質量%)、増粘剤として純水中で分散したカルボキシメチルセルロースナトリウムを固形分で1質量%、及び結着材として純水中で分散したスチレンーブタジエンゴムの(SBR)を固形分で2質量%を混合し、負極合剤スラリーを得た。
負極集電体として厚さ10μmの銅箔を準備した。
得られた負極合剤スラリーを銅箔上に塗布し、乾燥後、プレス機で圧延し、シート状の負極を得た。得られた負極は、負極集電体と、負極活物質層とからなる。
<セパレータの準備>
セパレータとして、多孔性ポリエチレンフィルムを準備した。
<コイン型電池の作製>
負極を直径14mmで、正極を直径13mmで、セパレータを直径17mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いた。これにより、コイン状の負極、コイン状の正極、及びコイン状のセパレータをそれぞれ得た。
得られたコイン状の負極、コイン状のセパレータ、及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(サイズ:2032サイズ)内に積層した。次いで、この電池缶内に非水電解液20μLを注入し、セパレータと正極と負極とを非水電解液に含漬させた。
次に、正極上にアルミニウム製の板(厚さ:1.2mm、直径:16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより、電池を密封した。
以上により、図3に示す構成を有するコイン型のリチウム二次電池前駆体を得た。コイン型のリチウム二次電池前駆体のサイズは、直径20mm、高さ3.2mmであった。
〔実施例2~5、比較例1〕
上述した非水電解液の作製において、添加剤としての1,2-ジメトキシエタンの非水電解液中の含有量を表1に示す量となるように添加した他は、実施例1と同様にして、非水電解液及びリチウム二次電池前駆体を得た。
〔高温保管試験〕
上述した<非水電解液の調製>で得られた非水電解液を用いて、高温保管試験を行った。高温保管試験に用いた非水電解液は、上述した<コイン型電池の作製>において、電池缶内に注液された非水電解液とは異なる。
非水電解液を密閉容器に入れ、60℃の恒温槽中で1週間放置して、非水電解液に高温保管後電解液を得た。得られた高温保管後電解液のAPHA色を石油製品色試験器「OME 2000」(日本電色工業株式会社製)で測定し、高温保管後電解液の着色状態を評価した。
なお、APHA色とは、色調の強さを示す指標であるハーゼン単位色数(Hazen unit)を示す。ハーゼン単位色数は、JISK0071-1:2017に定義された、「1L中にヘキサクロロ白金イオンの形態の白金1mg及び塩化コバルト(II)六水和物2mgを含む溶液の色を1とする尺度」を示す。APHA色は、高温保管後電解液の着色状態を定量的に示す。高温保管後電解液のAPHA色の数値が大きいほど、高温保管後電解液の着色が大きいことを示す。
高温保管後APHAは、下記式(X1)に示すように、比較例1の高温保管後電解液のAPHA色に対する、高温保管後電解質のAPHA色の相対値を、「高温保管後APHA[%]」とした。
高温保管後APHA[相対値;%]=(高温保管後電解液のAPHA色/比較例1の高温保管後電解液のAPHA色)×100…(X1)
電解液保管試験の測定結果を表1に示す。
〔電池評価試験〕
上述したリチウム二次電池前駆体を用いて、電池評価試験を行った。
リチウム二次電池前駆体に、下記のエージング処理を施し、第1電池を得た。得られた第1電池に、下記の初期充放電処理を施し、第2電池を得た。得られた第2電池に、下記の直流抵抗評価用処理を施し、第3電池を得た。
得られた第3電池を用いて、下記の測定方法により、電池抵抗(%)を測定した。測定結果を表1に示す。
<エージング処理>
リチウム二次電池前駆体に、下記のエージング処理を施し、第1電池を得た。
電池前駆体を、25~70℃の温度範囲下、終止電圧1.5V~3.5Vの範囲、で充電した後、5~50時間の範囲で休止させた。次に、25~70℃の温度範囲下、終止電圧3.5V~4.2Vの範囲で電池前駆体を充電し、5~50時間の範囲で保持した。次に、25~70℃の温度範囲下で電池前駆体を4.2Vまで充電し、その後2.5Vまで放電させた。
<初期充放電処理>
第1電池に、下記の初期充放電処理を施し、第2電池を得た。
第1電池を、25℃の温度環境にて12時間保持した。次いで、第1電池を充電レート0.2Cにて4.2V(SOC(State Of Charge):100%)まで定電流定電圧充電(0.2C-CCCV)し、次いで30分間休止させ、次いで放電レート0.2Cにて2.5Vまで定電流放電(0.2C-CC)させた。これを3サイクル行って電池を安定させた。その後、充電レート0.2Cにて4.2Vまで定電流定電圧充電(0.5C-CCCV)し、次いで30分間休止させ、次いで放電レート1Cにて2.5Vまで定電流放電(1C-CC)させた。これにより、第2電池を得た。
<直流抵抗評価用処理>
第2電池に、下記の直流抵抗評価用処理を施し、第3電池を得た。
直流抵抗評価用処理は、25℃の温度環境で行った。第2電池を放電レート0.2Cにて2.5VまでCC放電させ、充電レート0.2Cにて3.7VまでCCCV充電した。「CCCV充電」とは、定電流定電圧(Constant Current Constant Voltage)で充電することを意味する。
次いで、第2電池に対し、放電レート0.2CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC10s充電を施した。「CC10s放電」とは、定電流(Constant Current)にて10秒間放電することを意味する。「CC10s充電」とは、定電流(Constant Current)にて10秒間充電することを意味する。
次いで、第2電池に対し、放電レート0.5CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC25s充電を施した。次いで、第2電池に対し、放電レート1CにてCC10s放電を施し、充電レート0.2CにてCC50s充電を施した。次いで、第2電池に対し、放電レート2CにてCC10s放電を行い、充電レート0.2CにてCC100s充電を施した。これにより、第3電池を得た。
下記式(X1)に示すように、比較例1の第3電池の直流抵抗に対する、第3電池の直流抵抗の相対値を、「電池抵抗[%]」とした。
電池抵抗[相対値;%]=(第3電池の直流抵抗[Ω]/比較例1の第3電池の直流抵抗[Ω])×100…(X1)
直流抵抗は、下記方法により測定した。放電レート0.2C~2C各々における「CC10s放電」による各電圧低下量(=放電開始前の電圧-放電開始後10秒目の電圧)と、各電流値(即ち、放電レート0.2C~2Cに相当する各電流値)と、に基づき、第3電池の直流抵抗(Ω)を求めた。
Figure 2022139324000001
表1中、「LiMFP」はモノフルオロリン酸リチウムを示し、「LiDFP」はジフルオロリン酸リチウムを示し、「DME」は1,2-ジメトキシエタンを示す。
実施例1~実施例5の非水電解液は、ジフルオロリン酸リチウムと、鎖状エーテル化合物として1,2-ジメトキシエタンとを含有する。1,2-ジメトキシエタンの含有量は、非水電解液の全量に対して、0質量ppm超1000質量ppm以下であった。そのため、実施例1~実施例5の電池抵抗は、72%以下であった。これにより、実施例1~実施例5の非水電解液は、常温の環境下において充電及び放電によるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇を抑制することができることがわかった。
更に、実施例1~実施例5の非水電解液は、高温保管後APHAが95%以下であった。これにより、実施例1~実施例5の非水電解液は、高温環境下において長期間保存されても着色しにくいことがわかった。換言すると、実施例1~実施例5の非水電解液の分解反応の進行は、比較例1の非水電解液よりも抑制されていることがわかった。これにより、実施例1~実施例5のリチウム二次電池は高温長期保存されても、リチウム二次電池の電池性能の低下を比較例1のリチウム二次電池よりも抑制することができることがわかった。
実施例1、実施例2及び実施例3の非水電解液では、1,2-ジメトキシエタンの含有量が0質量ppm超300質量ppm以下の範囲内であった。そのため、実施例1、実施例2及び実施例3の非水電解液の分解反応の進行は、実施例4、及び実施例5の非水電解液よりも抑制されていることがわかった。
特に、実施例2及び実施例3の非水電解液では、1,2-ジメトキシエタンの含有量が40質量ppm以上300質量ppm以下の範囲内であった。そのため、実施例2及び実施例3の非水電解液の分解反応の進行は、実施例1、実施例4、及び実施例5の非水電解液よりも抑制されていることがわかった。
1 ラミネート外装体
2 正極端子
3 負極端子
4 絶縁シール
5 正極板
6 負極板
7、8 セパレータ
11 正極
12 負極
13 正極缶
14 封口板
15 セパレータ
16 ガスケット
17、18 スペーサー板

Claims (7)

  1. モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方と、
    鎖状エーテル化合物と
    を含有する非水電解液であって、
    前記鎖状エーテル化合物の含有量は、前記非水電解液の全量に対して、0質量ppm超1000質量ppm以下である、非水電解液。
  2. 前記ジフルオロリン酸リチウムを含む、請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記ジフルオロリン酸リチウムの含有量は、前記非水電解液の全量に対して、0.001質量%~5質量%である、請求項2に記載の非水電解液。
  4. 前記鎖状エーテル化合物は、1,2-ジメトキシエタンを含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の非水電解液。
  5. 正極と、
    リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
    請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の非水電解液と
    を備える、リチウム二次電池前駆体。
  6. 請求項5に記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られた、リチウム二次電池。
  7. 請求項5に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
    前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と
    を含む、リチウム二次電池の製造方法。
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