JP2022137725A - 溶接方法および溶接装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記従来技術は溶融池が広がりやすくするものであるが、加工物の接合面上を電気アークに先行して単一のレーザビームが走査されるので、やはりレーザビームによる入熱の範囲が前記幅方向に広がり難い。レーザ走査することで安定したビードは得ることができる。しかし、要求するビード幅と溶け込み深さを両立するのは難しいという課題がある。
そこで本発明は、溶接方法および溶接装置において、幅の広い安定した溶接ビードを形成することを目的とする。
この構成によれば、溶融池の幅方向両端部への入熱量を多くすることができ、より安定した溶接ビードを形成することができる。
この構成によれば、溶接ビード幅を広くすることができるとともに、少ないワイヤ使用量で要求されるビード幅を得ることができる。
この構成によれば、ミラーの設定により、複数のレーザ照射のうち、アーク陰極点となる幅方向中央部に走査されないレーザ照射(第二経路)も可能なので、アーク陰極点への入熱量が多くなり過ぎず、裏抜けを抑止することができる。
この構成によれば、レーザ光が幅方向に走査される場合は、溶融池の幅方向一側の端部と、溶融池の幅方向他側の端部との間の距離のように長い距離を照射するため、レーザの照射経路を長くすることで、適切に入熱させることができる。
この構成によれば、裏抜けの可能性が高い薄板材の溶接であっても、精度良く溶接をすることができる。
この構成によれば、熱伝導性が低く、溶接ワイヤ消費が多いチタンに対して、先行するレーザ照射による予熱によって、ビード幅を広くするとともに、凸ビードになり難くして溶接ワイヤ使用量を削減することができる。
この構成によれば、溶接進行方向に先行するレーザ照射によって、アーク溶接が行われる溶接経路の幅方向中央から両側方にオフセットした位置、例えばアーク溶接によって形成される溶融池における溶接進行方向の幅方向の両端部に、レーザ光を直接照射した予熱部を生じさせる。これにより、熱伝導率が小さい金属材料を溶接する場合にも、溶融池が幅方向に広がりやすくなり、溶接ビードを安定させることができる。
この構成によれば、ガルバノミラーの作動により、レーザ照射方向を容易に可変させることができる。
この構成によれば、ガルバノミラーの設定により、複数のレーザ照射経路のうち、アーク陰極点となる幅方向中央部にレーザ光が走査されないレーザ照射も可能となり、溶接部に入熱量が多くなり過ぎることを抑止し、裏抜けを抑止することができる。
この構成によれば、ラビリンス構造によってシールドガスが大気と混ざることを抑止し、良質なシールドガスを溶接部に提供することができる。
<溶接装置>
図1に示すように、溶接装置1は、基台2と、基台2に設置されたアーム型ロボット3と、アーム型ロボット3のアーム4に固定されたレーザ照射部6およびアーク溶接部7と、基台2上に設けられた作業盤8と、を備えている。
また、溶接装置1は、アーム型ロボット3、レーザ照射部6、アーク溶接部7の作動などを制御する制御装置(不図示)を備えている。溶接装置1は、上記したレーザ照射とアーク溶接とを併用して作業盤8上に固定された金属部材11,12同士を溶接接合する。
アーク溶接部7は、シールドガスとして不活性ガス(例えばアルゴンガス)を用いたMIG溶接を行う部分である。アーク溶接部7は、溶接トーチ15を備え、溶接トーチ15の先端部からは電極である溶接ワイヤ16が突出している。また、溶接トーチ15の先端部には、シールドガスを吐出するノズル17が設けられている。アークの周辺や溶接される金属部材11,12に出来る溶融池の周辺は、ノズル17から供給されるシールドガスによって大気からシールドされる。
レーザ発振器と第1ガルバノユニット23との間には、レーザ発振器から発したレーザ光を2つに分岐させる分岐ミラー(不図示)が設けられ、2つに分岐されたレーザ光41,42(図3参照)の一方のレーザ光41が第1ガルバノユニット23に届く。2つに分岐されたレーザ光41,42の他方のレーザ光42は、別のガルバノスキャナユニット21に送られる。
ガルバノスキャナユニット21は、第1ガルバノモータ26および第2ガルバノモータ31の作動を制御する制御部34を備えている。制御部34の指令によって、第1ガルバノモータ26の回転軸26aおよび第2ガルバノモータ31の回転軸31aの回動角度および回動方向が制御され、レーザ光41の金属部材11側への照射位置が設定される。
レーザ光41,42および溶接トーチ15は、一体に移動している。レーザ光41,42は、溶接トーチ15よりも溶接進行方向に先行して移動している。
この結果、アーク溶接終了後には、出来たビード48の幅W1が広くなり、更に、ビード48の溶け込み深さD1を浅くしつつ金属材料46の表面46bからの突出高さP1を低くすることができる。これにより、アーク溶接時の溶接ワイヤ16の使用量を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
また、溶融池46a,46dの幅が広くなれば、ビード48,49の溶け込み深さD1,D2を浅くすることができるとともに、表面46bからの突出高さP1,P2も低くすることができる。このようなレーザ照射による予熱は、金属薄板あるいは金属薄板構造物の溶接に好適な方法である。
また、アーク溶接のアーク陰極点(幅方向の中央部)51(丸印で示す部分である。)は、金属部材12の端面12aに一致する、又はほぼ一致するように端面12aに沿って移動する。
照射位置41a,42aは、溶接進行方向でアーク溶接のアーク陰極点51よりも先行して移動する。
このように、レーザ照射による予熱は、アーク溶接の溶接部の全体に入熱するように行われる。
図8Aに示すように、金属部材11に金属部材12を重ねた溶接部において、レーザ照射は、溶融池46aの溶接進行方向に直交する幅方向一側の端部46a2から(又は端部46a2近傍から)、幅方向の中央部である端面12aを通過し、溶融池46aの前記幅方向他側の端部46a3まで(又は端部46a3近傍まで)、レーザ光42が走査される。このレーザ光42の走査経路を第一経路57とする。図中の第一経路57は、溶接進行方向上流側から順に符号57a,57b、・・・(以下アルファベット順)で示す。前記「端部46a2近傍」とは、例えば溶接幅が5mmの場合は、端部46a2から溶接幅方向の両側に0.5mm程度幅を含む範囲である。なお、溶接幅が広い場合は端部46a2近傍の幅は広がるが、同程度の比率で広がるわけではない。前記「端部46a3近傍」とは、例えば溶接幅が5mmの場合は、端部46a3から溶接幅方向の両側に0.5mm程度の幅を含む範囲である。なお、溶接幅が広い場合は端部46a3近傍の幅は広がるが、同程度の比率で広がるわけではない。
第一経路57は、第二経路58よりもレーザ照射距離が長く、長い距離のレーザ照射によって溶接部周辺に適切な入熱が可能である。幅方向に長い第一経路57のレーザ照射によって、幅方向他側の予熱部42bは幅方向に長い形状(例えば楕円状)となる。予熱部41b,42bは、溶接部の中央から幅方向一側にオフセットした位置で、互いに間隔を空けず接している。
なお、図9および図10では、ガス供給具71の内部形状の理解を容易にするため、ガス供給具71の一部を切断して示している。
ガス供給具71は、ドーナツ板状の天板71aと、天板71aの下面71bに同心円状に形成された複数の円筒部71c,71d,71e,71fと、2つの円筒部71d,71fの各下端を接続するテーパ状壁部71gと、を一体に備えている。
円筒部71d,71e,71fは、この順に天板71aから下方への突出量が小さくなる。円筒部71c,71dは、天板71aからの下方への突出量がほぼ同一である。
空間76は、円筒部71dの天板71a側の付根部に形成された複数の通孔71kを介して円筒部71c,71d間の円筒状の空間77に連通している。空間77は、下部に下方に開口する下部開口(ガス放出口)78を備え、下部開口78は、給油口67のタンク本体66への溶接予定部に臨むように形成されている。
複数の貫通孔71hの少なくとも一つにシールドガス供給源(不図示)が接続され、ガス供給路82にシールドガスが流されて、下部開口78から溶接予定部にシールドガスを供給することができる。
6 レーザ照射部
7 アーク溶接部
11,12 金属部材
27,32 ガルバノミラー
41b,42b 予熱部
46a,46a1 溶融池
46a2 端部(幅方向一側の端部)
46a3 端部(幅方向他側の端部)
51 アーク陰極点(幅方向の中央部)
57 第一経路
58 第二経路
71 ガス供給具
71h 貫通孔(ガス供給口)
78 下部開口(ガス放出口)
82 ガス供給路
Claims (11)
- レーザ照射とアーク溶接とを併用して金属部材(11,12)同士を溶接接合する溶接方法であって、
前記アーク溶接よりも溶接進行方向に先行した位置で、かつ前記アーク溶接が行われる溶接経路の幅方向中央から両側方にオフセットした位置に、前記レーザ照射を受けて予熱された予熱部(41b,42b)を生じさせることを特徴とする溶接方法。 - 前記レーザ照射は、前記アーク溶接により形成される溶融池(46a,46a1)の前記幅方向両端部(46a2,46a3)に対して行われることを特徴とする請求項1に記載の溶接方法。
- 前記レーザ照射は、前記アーク溶接の溶接部の全体に入熱するように行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接方法。
- 前記レーザ照射は、ミラー(27,32)により照射方向を可変とするものであり、
前記レーザ照射は、前記アーク溶接により形成される溶融池(46a,46a1)の前記幅方向一側の端部(46a2)又は端部(46a2)近傍から、前記幅方向の中央部(51)を通過し、前記溶融池(46a,46a1)の前記幅方向他側の端部(46a3)又は端部(46a3)近傍までレーザ光が走査される第一経路(57)と、前記溶融池(46a,46a1)の前記幅方向一側の端部(46a2)又は端部(46a2)近傍に沿ってレーザ光が走査される第二経路(58)と、が設定され、前記第一経路(57)の走査と前記第二経路(58)の走査とを交互に繰り返しながら、前記アーク溶接が進行することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の溶接方法。 - 前記第一経路(57)は、前記アーク溶接の進行方向に直交するように、前記幅方向に向けてレーザ光を走査し、
前記第二経路(58)は、前記アーク溶接の進行方向に沿うようにレーザ光を走査し、
前記第一経路(57)は、前記第二経路(58)よりも照射経路長さが長いことを特徴とする請求項4に記載の溶接方法。 - 当該溶接方法は、金属薄板あるいは金属薄板構造物の突合せ溶接、重ね隅肉溶接、または突き合わせ溶接に適用されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の溶接方法。
- 前記金属部材(11,12)の材質はチタンであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の溶接方法。
- レーザ照射とアーク溶接とを併用して金属部材(11,12)同士を溶接接合する溶接装置であって、
前記レーザ照射を行うレーザ照射部(6)と、前記アーク溶接を行うアーク溶接部(7)と、を備え、
前記レーザ照射部(6)は、前記アーク溶接部(7)による前記アーク溶接よりも溶接進行方向に先行した位置で、かつ前記アーク溶接が行われる溶接経路の幅方向中央から両側方にオフセットした位置に、前記レーザ照射を受けて予熱された予熱部(41b,42b)を生じさせること特徴とする溶接装置。 - 前記レーザ照射部(6)は、レーザ光の照射位置をレーザ光照射面方向に可変させるガルバノミラー(27,32)を備えていることを特徴とする請求項8に記載の溶接装置。
- 前記レーザ照射は、前記アーク溶接により形成される溶融池(46a,46a1)の前記幅方向一側の端部(46a2)又は端部(46a2)近傍から、前記幅方向の中央部(51)を通過し、前記溶融池(46a,46a1)の前記幅方向他側の端部(46a3)又は端部(46a3)近傍までレーザ光が走査される第一経路(57)と、前記溶融池(46a,46a1)の前記幅方向一側の端部(46a2)又は端部(46a2)近傍に沿ってレーザ光が走査される第二経路(58)と、が設定され、
前記レーザ照射部(6)は、レーザ光が前記第一経路(57)を走査するときと、レーザ光が前記第二経路(58)を走査するときとで、前記ガルバノミラー(27,32)によってレーザ光の照射方向を制御することを特徴とする請求項9に記載の溶接装置。 - 前記アーク溶接のシールドガスの供給にガス供給具(71)が用いられ、
前記ガス供給具(71)は、ガス供給口(71h)からガス放出口(78)までのガス供給路(82)をラビリンス構造とすることを特徴とする請求項8から10の何れか1項に記載の溶接装置。
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