JP2022137317A - 大腸がんを治療及び/又は予防する医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物または方法、あるいは、がんを治療及び/又は予防する物質又は因子を選別するスクリーニング方法を提供すること。【解決手段】NFKBIZインヒビターを含む、慢性炎症に伴うがんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。NFKBIZインヒビターとして、例えば、NFKBIZの発現及び/又は機能を抑制する物質が挙げられる。慢性炎症に伴うがんとして好ましくは、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである。【選択図】なし
Description
本開示は、NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物に関する。また、がんを治療及び/又は予防する物質又は因子を選別するスクリーニング方法を提供することにある。
慢性炎症とは、組織異常が解消されているのにもかかわらず炎症物質、細胞などの活動が収束しない状態をいい、多様な疾患に罹患しやすくなるとともに、発がんの重大な危険因子となっている(非特許文献1)。慢性炎症では免疫応答が過剰に生じ、組織障害と組織修復が繰り返し行われる特徴を有する。組織修復を構成する細胞の中には、発がんに関連する遺伝子変異が生じている細胞の存在が報告されており、加齢とともに組織障害と組織修復が繰り返されることで、発がんのリスクがより一層高まることが知られている(非特許文献2)。
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管に炎症をおこす慢性炎症であり、近年当該炎症性腸疾患に罹患する患者が、急激に増加する傾向にある。炎症性腸疾患の患者は腸粘膜の長期間にわたる慢性炎症のため、炎症性腸疾患を原因とする大腸がんの発生リスクが非常に高くなることが知られている。
潰瘍性大腸炎(UC)は、主要な炎症性腸疾患であり、慢性化した炎症が広範囲な腸管で生じることにより腸管粘膜が損傷し、難治性の潰瘍が生じる病態を特徴とする。潰瘍性大腸炎に伴う発がん(潰瘍性大腸炎における腸炎関連性発がん;colitis associated carcinoma(CAC))の発症機序については不明な点も多いが、(1)腸管細菌叢の不全状態に起因した免疫細胞の異常やサイトカインの過剰産生により炎症が遷延し、(2)慢性的な炎症に起因する粘膜損傷と修復が繰り返され、(3)腸管上皮細胞が再構成されることでもたらされると考えられている(非特許文献3)。
Sergei I. Grivennikov1 et al. Cell 140: 883-899. (2010).
Siddhartha Jaiswal et al. The NewEngland journal of medicine 371: 2488-2498. (2014).
Ryan Ungaro et al. Lancet 389: 1756-1770. (2017).
本開示は、NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物に関する。また、がんを治療及び/又は予防する物質を選別するスクリーニング方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーが、がんに対して格別な増殖抑制効果を示すことを見出した。
より具体的には、本発明者らは、潰瘍性大腸炎患者の大腸粘膜細胞が特異的な遺伝子変異を起こしていることを同定し、当該遺伝子変異が、「炎症性腸疾患の特徴的な病態に係る組織障害と組織再生の繰り返し」、及び「炎症性発がんの発生及び増殖」に深く関与していることを見出した。これら遺伝子変異の中でも、NFKBIZの機能欠損変異は、マウス腸炎モデルにおいて組織の炎症性サイトカインの産生を抑制し、組織破壊と再生を伴う腸炎を緩和すること、及び炎症粘膜における発がん及びがん細胞の増殖を抑制することを見出した。さらに、本発明者らは、NFKBIZの発現を抑制する化合物は、大腸がん細胞の増殖抑制効果を有することを見出し、NFKBIZが、大腸がんの治療及び/又は予防の画期的な創薬ターゲットであることを見出した。
すなわち、本開示は、以下を含む。
[項1] NFKBIZインヒビターを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
[項2] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項1に記載の医薬組成物。
[項3] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項2に記載の医薬組成物。
[項4] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項3に記載の医薬組成物。
[項5] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項6] 前記がんが、大腸がんである、項5に記載の医薬組成物。
[項7] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項6に記載の医薬組成物。
[項8] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項9] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項10] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項11] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項12] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項13] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項14] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項15] 前記インヒビターが、核酸である、項14に記載の医薬組成物。
[項16] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項14に記載の医薬組成物。
[項17] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項14に記載の医薬組成物。
[項18] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項17に記載の医薬組成物。
[項19] レグネース1エンハンサーを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
[項20] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項19に記載の医薬組成物。
[項21] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項20に記載の医薬組成物。
[項22] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項21に記載の医薬組成物。
[項23] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項19~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項24] 前記がんが、大腸がんである、項23に記載の医薬組成物。
[項25] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項24に記載の医薬組成物。
[項26] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項19~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項27] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項19~26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項28] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項19~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項29] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素であるものである、項28に記載の医薬組成物。
[項30] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項29に記載の医薬組成物。
[項31] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項19~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項32] 前記エンハンサーが、核酸である、項31に記載の医薬組成物。
[項33] 前記エンハンサーが、抗体である、項26に記載の医薬組成物。
[項34] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項26に記載の医薬組成物。
[項35] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項34に記載の医薬組成物。
[項36] E3リガーゼインヒビターを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
[項37] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項36に記載の医薬組成物。
[項38] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項37に記載の医薬組成物。
[項39] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項38に記載の医薬組成物。
[項40] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項36~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項41] 前記がんが、大腸がんである、項40に記載の医薬組成物。
[項42] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項41に記載の医薬組成物。
[項43] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項36~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項44] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項36~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項45] 前記インヒビターが、核酸である、項44に記載の医薬組成物。
[項46] 前記インヒビターが、抗E3リガーゼ抗体である、項44に記載の医薬組成物。
[項47] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項44に記載の医薬組成物。
[項48] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項47に記載の医薬組成物。
[項A1] がんの治療及び/又は予防における使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A2] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項A1に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A3] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項A2に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A4] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項A3に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A5] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A1~4のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A6] 前記がんが、大腸がんである、項A5に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A7] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A6に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A8] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項A1~7のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A9] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項A1~8のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A10] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項A1~9のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A11] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項A1~10のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A12] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項A1~11のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A13] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項A1~12のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A14] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項A1~13のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A15] 前記インヒビターが、核酸である、項A14に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A16] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項A14に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A17] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項A14に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A18] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項A17に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A19] がんの治療及び/又は予防における使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A20] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項A19に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A21] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項A20に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A22] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項A21に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A23] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A19~22のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A24] 前記がんが、大腸がんである、項A23に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A25] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A24に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A26] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項A19~25のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A27] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項A19~26のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A28] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項A19~27のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A29] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素であるものである、項A28に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A30] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項A29に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A31] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項A19~30のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A32] 前記エンハンサーが、核酸である、項A31に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A33] 前記エンハンサーが、抗体である、項A26に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A34] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項A26に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A35] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項A34に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A36]
がんの治療及び/又は予防における使用のためのE3リガーゼインヒビター。
がんの治療及び/又は予防における使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A37]
前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項A36に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項A36に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A38]
前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項A37に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項A37に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A39]
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項A38に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項A38に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A40]
前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A36~39のいずれか一項に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A36~39のいずれか一項に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A41] 前記がんが、大腸がんである、項A40に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A42]
前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A41に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A41に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A43] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項A36~42のいずれか一項に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A44] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項A36~43のいずれか一項に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A45] 前記インヒビターが、核酸である、項A44に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A46] 前記インヒビターが、抗E3リガーゼ抗体である、項A44に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A47] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項A44に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項A48] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項A47に記載の使用のためのE3リガーゼインヒビター。
[項B1] 被験者におけるがんを治療及び/又は予防する方法であって、有効量のNFKBIZインヒビターを該被験者に投与する工程を含む、方法。
[項B2] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項B1に記載の方法。
[項B3] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項B2に記載の方法。
[項B4] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項B3に記載の方法。
[項B5] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項B6] 前記がんが、大腸がんである、項B5に記載の方法。
[項B7] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B6に記載の方法。
[項B8] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項B1~7のいずれか一項に記載の方法。
[項B9] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZの発現が減少する、及び/又はNFKBIZの機能が抑制される、項B1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項B10] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZの核内移行が阻害される、項B1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項B11] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZとp50との結合が阻害される、項B1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項B12] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することが阻害される、項B1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項B13] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項B1~12のいずれか一項に記載の方法。
[項B14] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項B1~13のいずれか一項に記載の方法。
[項B15] 前記インヒビターが、核酸である、項B14に記載の方法。
[項B16] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項B14に記載の方法。
[項B17] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項B14に記載の方法。
[項B18] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項B17に記載の方法。
[項B19] 被験者におけるがんを治療及び/又は予防する方法であって、有効量のレグネース1エンハンサーを該被験者に投与する工程を含む、方法。
[項B20] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項B19に記載の方法。
[項B21] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項B20に記載の方法。
[項B22] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項B21に記載の方法。
[項B23] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B19~22のいずれか一項に記載の方法。
[項B24] 前記がんが、大腸がんである、項B23に記載の方法。
[項B25] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B24に記載の方法。
[項B26] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項B19~25のいずれか一項に記載の方法。
[項B27] 前記有効量のレグネース1エンハンサーの前記被験者への投与により、レグネース1の活性が増強される、項B19~26のいずれか一項に記載の方法。
[項B28] 前記有効量のレグネース1エンハンサーの前記被験者への投与により、レグネース1分解酵素が阻害される、項B19~27のいずれか一項に記載の方法。
[項B29] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項B28に記載の方法。
[項B30] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項B29に記載の方法。
[項B31] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項B19~30のいずれか一項に記載の方法。
[項B32] 前記エンハンサーが、核酸である、項B31に記載の方法。
[項B33] 前記エンハンサーが、抗体である、項B26に記載の方法。
[項B34] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項B26に記載の方法。
[項B35] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項B34に記載の方法。
[項B36] 被験者におけるがんを治療及び/又は予防する方法であって、有効量のE3リガーゼインヒビターを該被験者に投与する工程を含む、方法。
[項B37] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項B36に記載の方法。
[項B38] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項B37に記載の方法。
[項B39] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項B38に記載の方法。
[項B40] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B36~39のいずれか一項に記載の方法。
[項B41] 前記がんが、大腸がんである、項B40に記載の方法。
[項B42] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B41に記載の方法。
[項B43] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項B36~42のいずれか一項に記載の方法。
[項B44] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項B36~43のいずれか一項に記載の方法。
[項B45] 前記インヒビターが、核酸である、項B44に記載の方法。
[項B46] 前記インヒビターが、抗E3リガーゼ抗体である、項B44に記載の方法。
[項B47] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項B44に記載の方法。
[項B48] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項B47に記載の方法。
[項C1] がんを治療及び/又は予防するための医薬の製造における、NFKBIZインヒビターの使用。
[項C2] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項C1に記載の使用。
[項C3] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項C2に記載の使用。
[項C4] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項C3に記載の使用。
[項C5] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C1~4のいずれか一項に記載の使用。
[項C6] 前記がんが、大腸がんである、項C5に記載の使用。
[項C7] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C6に記載の使用。
[項C8] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項C1~7のいずれか一項に記載の使用。
[項C9] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項C1~8のいずれか一項に記載の使用。
[項C10] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項C1~9のいずれか一項に記載の使用。
[項C11] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項C1~10のいずれか一項に記載の使用。
[項C12] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項C1~11のいずれか一項に記載の使用。
[項C13] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項C1~12のいずれか一項に記載の使用。
[項C14] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項C1~13のいずれか一項に記載の使用。
[項C15] 前記インヒビターが、核酸である、項C14に記載の使用。
[項C16] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項C14に記載の使用。
[項C17] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項C14に記載の使用。
[項C18] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項C17に記載の使用。
[項C19] がんを治療及び/又は予防するための医薬の製造における、レグネース1エンハンサーの使用。
[項C20] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項C19に記載の使用。
[項C21] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項C20に記載の使用。
[項C22] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項C21に記載の使用。
[項C23] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C19~22のいずれか一項に記載の使用。
[項C24] 前記がんが、大腸がんである、項C23に記載の使用。
[項C25] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C24に記載の使用。
[項C26] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項C19~25のいずれか一項に記載の使用。
[項C27] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項C19~26のいずれか一項に記載の使用。
[項C28] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項C19~27のいずれか一項に記載の使用。
[項C29] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項C28に記載の使用。
[項C30] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項C29に記載の使用。
[項C31] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項C19~30のいずれか一項に記載の使用。
[項C32] 前記エンハンサーが、核酸である、項C31に記載の使用。
[項C33] 前記エンハンサーが、抗体である、項C26に記載の使用。
[項C34] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項C26に記載の使用。
[項C35] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項C34に記載の使用。
[項C36]
がんを治療及び/又は予防するための医薬の製造における、E3リガーゼインヒビターの使用。
がんを治療及び/又は予防するための医薬の製造における、E3リガーゼインヒビターの使用。
[項C37]
前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項C36に記載の使用。
前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項C36に記載の使用。
[項C38]
前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項C37に記載の使用。
前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項C37に記載の使用。
[項C39]
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項C38に記載の使用。
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項C38に記載の使用。
[項C40]
前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C36~39のいずれか一項に記載の使用。
前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C36~39のいずれか一項に記載の使用。
[項C41] 前記がんが、大腸がんである、項C40に記載の使用。
[項C42] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C41に記載の使用。
[項C43] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項C36~42のいずれか一項に記載の使用。
[項C44] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項C36~43のいずれか一項に記載の使用。
[項C45] 前記インヒビターが、核酸である、項C44に記載の使用。
[項C46] 前記インヒビターが、抗E3リガーゼ抗体である、項C44に記載の使用。
[項C47] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項C44に記載の使用。
[項C48] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項C47に記載の使用。
[項49] NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者に投与されることを特徴とする、NFKBIZインヒビターを有効成分として含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
[項50] 前記NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項49に記載の組成物。
(1)該被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項49に記載の組成物。
[項51] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項49又は50に記載の組成物。
[項52] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項51に記載の組成物。
[項53] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項52に記載の組成物。
[項54] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項49~53のいずれか一項に記載の組成物。
[項55] 前記がんが、大腸がんである、項54に記載の組成物。
[項56] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項55に記載の組成物。
[項57] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項49~56のいずれか一項に記載の組成物。
[項58] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項49~57のいずれか一項に記載の組成物。
[項59] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項49~58のいずれか一項に記載の組成物。
[項60] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項49~59のいずれか一項に記載の組成物。
[項61] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項49~60のいずれか一項に記載の組成物。
[項62] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項49~61のいずれか一項に記載の組成物。
[項63] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項39~62のいずれか一項に記載の組成物。
[項64] 前記インヒビターが、核酸である、項63に記載の組成物。
[項65] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項63に記載の組成物。
[項66] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項63に記載の組成物。
[項67] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項66に記載の組成物。
[項A49] がんの治療及び/又は予防における使用のためのNFKBIZインヒビターであって、該NFKBIZインヒビターは、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者に投与されることを特徴とする、NFKBIZインヒビター。
[項A50] 前記NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項A49に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
(1)該被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項A49に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A51] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項A49又は50に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A52] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項A51に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A53] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項A52に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A54] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A49~53のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A55] 前記がんが、大腸がんである、項A54に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A56] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A55に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A57] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項A49~56のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A58] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項A49~57のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A59] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項A49~58のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A60] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項A49~59のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A61] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項A49~60のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A62] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項A49~61のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A63] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項A49~62のいずれか一項に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A64] 前記インヒビターが、核酸である、項A63に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A65] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項A63に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A66] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項A63に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項A67] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項A66に記載の使用のためのNFKBIZインヒビター。
[項B49] 被験者においてがんを治療及び/又は予防する方法であって、該被験者に有効量のNFKBIZインヒビターを投与する工程を含み、該被験者はNFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者である、方法。
[項B50] (1)前記被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
をさらに含む、項B49に記載の方法。
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
をさらに含む、項B49に記載の方法。
[項B51] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項B49又は50に記載の方法。
[項B52] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項B51に記載の方法。
[項B53] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項B52に記載の方法。
[項B54] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B49~53のいずれか一項に記載の方法。
[項B55] 前記がんが、大腸がんである、項B54に記載の方法。
[項B56] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B55に記載の方法。
[項B57] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項B49~56のいずれか一項に記載の方法。
[項B58] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZの発現が減少し、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する、項B49~57のいずれか一項に記載の方法。
[項B59] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZの核内移行が阻害される、項B49~58のいずれか一項に記載の方法。
[項B60] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZとp50との結合が阻害される、項B49~59のいずれか一項に記載の方法。
[項B61] 前記有効量のNFKBIZインヒビターの前記被験者への投与により、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することが阻害される、項B49~60のいずれか一項に記載の方法。
[項B62] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項B49~61のいずれか一項に記載の方法。
[項B63] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項B49~62のいずれか一項に記載の方法。
[項B64] 前記インヒビターが、核酸である、項B63に記載の方法。
[項B65] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項B63に記載の方法。
[項B66] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項B63に記載の方法。
[項B67] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項B66に記載の方法。
[項C49] がんの治療及び/又は予防のための医薬の製造における、NFKBIZインヒビターの使用であって、該医薬は、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者に投与されることを特徴とする、使用。
[項C50] 前記NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項C49に記載の使用。
(1)該被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項C49に記載の使用。
[項C51] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項C49又は50に記載の使用。
[項C52] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項C51に記載の使用。
[項C53] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項C52に記載の使用。
[項C54] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C49~53のいずれか一項に記載の使用。
[項C55] 前記がんが、大腸がんである、項C54に記載の使用。
[項C56] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C55に記載の使用。
[項C57] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項C49~56のいずれか一項に記載の使用。
[項C58] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項C49~57のいずれか一項に記載の使用。
[項C59] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項C49~58のいずれか一項に記載の使用。
[項C60] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項C49~59のいずれか一項に記載の使用。
[項C61] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項C49~60のいずれか一項に記載の使用。
[項C62] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項C49~61のいずれか一項に記載の使用。
[項C63] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項C49~62のいずれか一項に記載の使用。
[項C64] 前記インヒビターが、核酸である、項C63に記載の使用。
[項C65] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項C63に記載の使用。
[項C66] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項C63に記載の使用。
[項C67] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項C66に記載の使用。
[項68] 被験者のがん細胞におけるNFKBIZの遺伝子発現及び/又はNFKBIZの活性を測定することを含む、NFKBIZインヒビターの該被験者への有効性を予測する方法。
[項69] 前記がん細胞におけるNFKBIZの遺伝子発現及び/又はNFKBIZの活性の測定が、
(1)前記被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定される、項68に記載の方法。
(1)前記被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定される、項68に記載の方法。
[項70] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項68または69に記載の方法。
[項71] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項68~70のいずれか一項に記載の方法。
[項72] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項71に記載の方法。
[項73] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項68~72のいずれか一項に記載の方法。
[項74] 前記がんが、大腸がんである、項73に記載の方法。
[項75] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項74に記載の方法。
[項76] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項68~75のいずれか一項に記載の方法。
[項77] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項68~76のいずれか一項に記載の方法。
[項78] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項68~77のいずれか一項に記載の方法。
[項79] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項68~78のいずれか一項に記載の方法。
[項80] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項68~79のいずれか一項に記載の方法。
[項81] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項68~79のいずれか一項に記載の方法。
[項82] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項68~81のいずれか一項に記載の方法。
[項83] 前記インヒビターが、核酸である、項82に記載の方法。
[項84] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項82に記載の方法。
[項85] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項82に記載の方法。
[項86] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項85に記載の方法。
[項87] NFKBIZインヒビターをスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞にインヒビター候補を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該インヒビター候補を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該インヒビター候補を、NFKBIZインヒビターであると判定する工程、
を含む、方法。
(1)がん細胞にインヒビター候補を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該インヒビター候補を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該インヒビター候補を、NFKBIZインヒビターであると判定する工程、
を含む、方法。
[項88] がんの治療及び/又は予防剤をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に治療及び/又は予防剤候補を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該治療及び/又は予防剤候補を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該治療及び/又は予防剤候補を、がんの治療及び/又は予防剤であると判定する工程、
を含む、方法。
(1)がん細胞に治療及び/又は予防剤候補を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該治療及び/又は予防剤候補を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該治療及び/又は予防剤候補を、がんの治療及び/又は予防剤であると判定する工程、
を含む、方法。
[項89] NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該被験物質を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該被験物質を、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質であると判定する工程、
を含む、方法。
(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該被験物質を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該被験物質を、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質であると判定する工程、
を含む、方法。
[項90] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項87~89のいずれか一項に記載の方法。
[項91] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項87~90のいずれか一項に記載の方法。
[項92] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項91に記載の方法。
[項93] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項87~91のいずれか一項に記載の方法。
[項94] 前記がんが、大腸がんである、項93に記載の方法。
[項95] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項94に記載の方法。
[項96] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項87~95のいずれか一項に記載の方法。
[項97] 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、項87~96のいずれか一項に記載の方法。
[項98] 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、項87~97のいずれか一項に記載の方法。
[項99] 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、項87~98のいずれか一項に記載の方法。
[項100] 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、項87~99のいずれか一項に記載の方法。
[項101] 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項87~100のいずれか一項に記載の方法。
[項102] 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項87~101のいずれか一項に記載の方法。
[項103] 前記インヒビターが、核酸である、項102に記載の方法。
[項104] 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、項102に記載の方法。
[項105] 前記インヒビターが、低分子化合物である、項102に記載の方法。
[項106] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項105に記載の方法。
[項107] レグネース1の発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者に投与されることを特徴とする、レグネース1エンハンサーを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
[項108] 前記レグネース1発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項107に記載の組成物。
(1)該被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項107に記載の組成物。
[項109] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項107又は108に記載の組成物。
[項110] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項109に記載の組成物。
[項111] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項110に記載の組成物。
[項112] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項107~111のいずれか一項に記載の組成物。
[項113] 前記がんが、大腸がんである、項112に記載の組成物。
[項114] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項113に記載の組成物。
[項115] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項107~114のいずれか一項に記載の組成物。
[項116] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項107~115のいずれか一項に記載の組成物。
[項117] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項107~116のいずれか一項に記載の組成物。
[項118] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項117に記載の組成物。
[項119] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項107~118のいずれか一項に記載の組成物。
[項120] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項107~119のいずれか一項に記載の組成物。
[項121] 前記エンハンサーが、核酸である、項120に記載の組成物。
[項122] 前記エンハンサーが、抗体である、項120に記載の組成物。
[項123] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項120に記載の組成物。
[項124] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項123に記載の組成物。
[項A107] がんの治療及び/又は予防における使用のためのレグネース1エンハンサーであって、該レグネース1エンハンサーは、レグネース1の発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者に投与されることを特徴とする、レグネース1エンハンサー。
[項A108] 前記レグネース1発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項A107に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
(1)該被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項A107に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A109] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項A107又は108に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A110] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項A109に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A111] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項A110に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A112] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A107~111のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A113] 前記がんが、大腸がんである、項A112に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A114] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項A113に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A115] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項A107~114のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A116] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項A107~115のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A117] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項A107~116のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A118] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項A117に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A119] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項A107~118のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A120] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項A107~119のいずれか一項に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A121] 前記エンハンサーが、核酸である、項A120に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A122] 前記エンハンサーが、抗体である、項A120に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A123] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項A120に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項A124] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項A123に記載の使用のためのレグネース1エンハンサー。
[項B107] 被験者においてがんを治療及び/又は予防する方法であって、該被験者に有効量のレグネース1エンハンサーを投与する工程を含み、該被験者はレグネース1の発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している、方法。
[項B108]
(1)前記被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
をさらに含む、項B107に記載の方法。
(1)前記被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
をさらに含む、項B107に記載の方法。
[項B109] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項B107又は108に記載の方法。
[項B110] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項B109に記載の方法。
[項B111] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項B110に記載の方法。
[項B112] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B107~111のいずれか一項に記載の方法。
[項B113] 前記がんが、大腸がんである、項B112に記載の方法。
[項B114] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項B113に記載の方法。
[項B115] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項B107~114のいずれか一項に記載の方法。
[項B116] 前記有効量のレグネース1エンハンサーの前記被験者への投与により、、レグネース1の活性が増強される、項B107~115のいずれか一項に記載の方法。
[項B117] 前記有効量のレグネース1エンハンサーの前記被験者への投与により、レグネース1分解酵素が阻害される、項B107~116のいずれか一項に記載の方法。
[項B118] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項B117に記載の方法。
[項B119] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項B107~118のいずれか一項に記載の方法。
[項B120] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項B107~119のいずれか一項に記載の方法。
[項B121] 前記エンハンサーが、核酸である、項B120に記載の方法。
[項B122] 前記エンハンサーが、抗体である、項B120に記載の方法。
[項B123] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項B120に記載の方法。
[項B124] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項B123に記載の方法。
[項C107] がんの治療及び/又は予防のための医薬の製造における、レグネース1エンハンサーの使用であって、該医薬はレグネース1の発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者に投与されることを特徴とする、使用。
[項C108] 前記レグネース1発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項C107に記載の使用。
(1)該被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、項C107に記載の使用。
[項C109] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項C107又は108に記載の使用。
[項C110] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項C109に記載の使用。
[項C111] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項C110に記載の使用。
[項C112] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C107~111のいずれか一項に記載の使用。
[項C113] 前記がんが、大腸がんである、項C112に記載の使用。
[項C114] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項C113に記載の使用。
[項C115] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項C107~114のいずれか一項に記載の使用。
[項C116] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項C107~115のいずれか一項に記載の使用。
[項C117] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項C107~116のいずれか一項に記載の使用。
[項C118] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項C117に記載の使用。
[項C119] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項C107~118のいずれか一項に記載の使用。
[項C120] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項C107~119のいずれか一項に記載の使用。
[項C121] 前記エンハンサーが、核酸である、項C120に記載の使用。
[項C122] 前記エンハンサーが、抗体である、項C120に記載の使用。
[項C123] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項C120に記載の使用。
[項C124] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項C123に記載の使用。
[項125] 被験者のがん細胞におけるレグネース1の発現及び/又は活性を測定することを含む、レグネース1エンハンサーの該被験者への有効性を予測する方法。
[項126] 前記がん細胞におけるレグネース1の発現及び/又は活性の測定が、
(1)前記被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定される、項125に記載の方法。
(1)前記被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定される、項125に記載の方法。
[項127] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項125又は126に記載の方法。
[項128] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項127に記載の方法。
[項129] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項128に記載の方法。
[項130] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項125~129のいずれか一項に記載の方法。
[項131] 前記がんが、大腸がんである、項130に記載の方法。
[項132] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項131に記載の方法。
[項133] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項125~132のいずれか一項に記載の方法。
[項134] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項125~133のいずれか一項に記載の方法。
[項135] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項125~134のいずれか一項に記載の方法。
[項136] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項135に記載の方法。
[項137] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項125~136のいずれか一項に記載の方法。
[項138] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項125~137のいずれか一項に記載の方法。
[項139] 前記エンハンサーが、核酸である、項138に記載の方法。
[項140] 前記エンハンサーが、抗体である、項138に記載の方法。
[項141] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項138に記載の方法。
[項142] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項141に記載の方法。
[項143] レグネース1エンハンサーをスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞にエンハンサー候補を作用させずに、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該エンハンサー候補を作用させた後に、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該エンハンサー候補を、レグネース1エンハンサーであると判定する工程、
を含む、方法。
(1)がん細胞にエンハンサー候補を作用させずに、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該エンハンサー候補を作用させた後に、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該エンハンサー候補を、レグネース1エンハンサーであると判定する工程、
を含む、方法。
[項144] がんの治療及び/又は予防剤をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に治療及び/又は予防剤候補を作用させずに、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該治療及び/又は予防剤候補を作用させた後に、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該治療及び/又は予防剤候補を、がんの治療及び/又は予防剤であると判定する工程、
を含む、方法。
(1)がん細胞に治療及び/又は予防剤候補を作用させずに、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該治療及び/又は予防剤候補を作用させた後に、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該治療及び/又は予防剤候補を、がんの治療及び/又は予防剤であると判定する工程、
を含む、方法。
[項145] レグネース1の活性を増強する物質をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、レグネース1の活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該被験物質を作用させた後に、レグネース1の活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該被験物質を、レグネース1の活性を増強する物質であると判定する工程、
を含む、方法。
(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、レグネース1の活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該被験物質を作用させた後に、レグネース1の活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該被験物質を、レグネース1の活性を増強する物質であると判定する工程、
を含む、方法。
[項146] 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、項143~145のいずれか一項に記載の方法。
[項147] 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、項146に記載の方法。
[項148] 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、項147に記載の方法。
[項149] 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項143~148のいずれか一項に記載の方法。
[項150] 前記がんが、大腸がんである、項149に記載の方法。
[項151] 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、項150に記載の方法。
[項152] 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、項143~151のいずれか一項に記載の方法。
[項153] 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、項143~152のいずれか一項に記載の方法。
[項154] 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、項143~153のいずれか一項に記載の方法。
[項155] 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、項154に記載の方法。
[項156] 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、項143~155のいずれか一項に記載の方法。
[項157] 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、項143~156のいずれか一項に記載の方法。
[項158] 前記エンハンサーが、核酸である、項157に記載の方法。
[項159] 前記エンハンサーが、抗体である、項157に記載の方法。
[項160] 前記エンハンサーが、低分子化合物である、項157に記載の方法。
[項161] 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、項160に記載の方法。
[項162] 炎症性サイトカインの産生を抑制するための、NFKBIZインヒビターを含む組成物。
[項163] 炎症性サイトカインの産生を抑制するための、レグネース1エンハンサーを含む組成物。
[項164] 組織破壊と再生を伴う腸炎を緩和するための、NFKBIZインヒビターを含む組成物。
[項165] 組織破壊と再生を伴う腸炎を緩和するための、レグネース1エンハンサーを含む組成物。
本開示において、上記の一つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本開示のNFKBIZインヒビター(例えば、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質)は、がんの治療及び/又は予防に有効であり、特に大腸がんの治療及び/又は予防に有効である。
本開示のレグネース1エンハンサー(例えば、レグネース1の活性を増強する物質)は、がんの治療及び/又は予防に有効であり、特に大腸がんの治療及び/又は予防に有効である。
本開示に基づき、被験者由来のがん細胞のNFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定することにより、NFKBIZインヒビター(例えば、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質)が有効な患者を予測することができる。
本開示に基づき、被験者由来のがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定することにより、レグネース1エンハンサー(例えば、レグネース1の活性を増強する物質)が有効な患者を予測することができる。
また、本開示に基づき、がんの治療及び/又は予防に有効な、NFKBIZインヒビター(例えば、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質)を選別することができる。
また、本開示に基づき、がんの治療及び/又は予防に有効な、レグネース1エンハンサー(例えば、レグネース1の活性を増強する物質)を選別することができる。
以下、本開示につき、さらに詳しく説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(NFKBIZインヒビター/レグネース1エンハンサー)
「NFKBIZインヒビター」とは、NFKBIZを何らかの形で阻害する任意の物質、因子、手段などを含む。NFKBIZインヒビターには、代表的に、NFKBIZの発現量を減少させる物質、NFKBIZの機能を抑制する物質等が含まれ、このほか、NFKBIZが結果として機能しないあるいは発現しなくなるような処置を講ずることができる手段(例えば、ゲノム編集を実現する手段などを含む)などであってもよい。
NFKBIZ(NF-kappa-B inhibitor zeta)は、ヒトではNFKBIZ遺伝子によってコードされているタンパク質である。NFKBIZ遺伝子は、ankyrin-repeat family(アンキリンリピートファミリー)に属し、リポ多糖によって誘導されることが知られている。NFKBIZは、アンキリンリピートドメインを介したNF-Bタンパク質との相互作用により、LPSに対する炎症反応において役割を果たすことが知られている(Gudrun Totzke et al. J Biol Chem. 281: 12645-12654 (2006))。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書の実施例において、NFKBIZの機能が抑制された場合に、がんの発生が抑制され、また、発生したがんの増殖が抑制されることが示されており、がんの治療及び/又は予防において、NFKBIZインヒビターが用いられ得ることが理解される。本開示の1つの実施形態は、NFKBIZインヒビターを含む組成物を提供し得る。本開示において、NFKBIZインヒビターが、炎症性疾患から発生したがんに対して有効であることが見出されており(実施例)、NFKBIZインヒビターは炎症が伴わないがんに対しても高い蓋然性をもって有効であるといえる。
NFKBIZインヒビターとして、NFKBIZの発現量を減少させる物質、NFKBIZの機能を抑制する物質が挙げられるが、NFKBIZの阻害を実現する複数の物質の組み合わせなどもNFKBIZインヒビターに含まれる。NFKBIZインヒビターの例として、例えば、NFKBIZを阻害するように遺伝子改変を行う手段や、NFKBIZを阻害する活性を有する細胞なども挙げられ得る。
「NFKBIZの発現量を減少させる」とは、NFKBIZに係るタンパク質の発現量を減少させることを意味する。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」として好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」としてより好ましくは、「核酸」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」として好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」としてより好ましくは、「核酸」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの発現量を減少させる物質」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの機能を抑制する」とは、NFKBIZの機能を阻害又は消失させることを意味する。NFKBIZの機能の阻害又は消失の態様として、例えば、「NFKBIZの核内移行を阻害すること」、「NFKBIZとp50との結合を阻害すること」、及び「NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害すること」が挙げられる。
「NFKBIZの核内移行を阻害すること」は、例えば、インヒビター候補を作用させた細胞において、例えば細胞質および核分画の細胞溶解液を使用したWestern Blot法を用いて確認することができる。
「NFKBIZとp50との結合を阻害すること」は、例えば、インヒビター候補を作用させた細胞において、抗NFKBIZ抗体又は抗p50抗体による免疫沈降法にて確認することができる。
「NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害すること」は、例えば、インヒビター候補を作用させた細胞において、抗NFKBIZ抗体およびその特定のDNA配列を増幅しうるプライマーを使用したCHIP-PCR法にて確認することができる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」として好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」としてより好ましくは、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの核内移行を阻害すること」は、例えば、インヒビター候補を作用させた細胞において、例えば細胞質および核分画の細胞溶解液を使用したWestern Blot法を用いて確認することができる。
「NFKBIZとp50との結合を阻害すること」は、例えば、インヒビター候補を作用させた細胞において、抗NFKBIZ抗体又は抗p50抗体による免疫沈降法にて確認することができる。
「NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害すること」は、例えば、インヒビター候補を作用させた細胞において、抗NFKBIZ抗体およびその特定のDNA配列を増幅しうるプライマーを使用したCHIP-PCR法にて確認することができる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」として好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」としてより好ましくは、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「NFKBIZの機能を抑制する物質」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。
本明細書において、「NFKBIZの発現量を減少させる」ことと、「NFKBIZの機能を抑制する」こととを纏めて、「NFKBIZの発現及び/又は機能を抑制する」と称することがある。
「レグネース1エンハンサー」とは、レグネース1の作用を何らかの形で促進する任意の物質、因子、手段などを含む。レグネース1エンハンサーには、代表的に、レグネース1の発現を亢進させる物質、レグネース1の活性を増強する物質等が含まれ、このほか、結果としてレグネース1の機能または発現を増大させるような処置を講ずることができる手段(例えば、ゲノム編集を実現する手段などを含む)などであってもよい。本開示において、レグネース1エンハンサーが、炎症性疾患から発生したがんに対して有効であることが見出されており(実施例)、レグネース1エンハンサーは炎症が伴わないがんに対しても高い蓋然性をもって有効であるといえる。
レグネース1(以下、Regnase-1、レグネース-1、ZC3H12A、又はZc3h12aとも記載する。)は、RNAse活性を有するCCCHジンクフィンガータンパク質ファミリーの一種であり、標的mRNAの分解を介して転写後の調節活性を媒介するRNA結合タンパク質である。レグネース1は、炎症性遺伝子の安定性を直接制御することにより、免疫疾患に関連するRNaseであることが報告されている(Kazufumi Matsushita et al. Nature 458: 1185-1190. (2009))。また、レグネース1の機能不全が異常な造血の急速な発症をもたらすことが報告されている(Hiroyasu Kidoya et al. Nature Communications 10: 1-16. (2019))。
レグネース1は、NFKBIZ mRNAの3’UTRに結合し、その分解を促進することが報告されている(Gesine Behrens et al. Nucl Acids Res, 46: 4256 (2018))。さらにレグネース1は、リン酸化部位であるS438及びS442がIKK(酵素IκBキナーゼ)複合体によりリン酸化されることで、SCFβ-TrCP1を介したユビキチン化により分解されうることが報告されている(Hidenori Iwasaki et al. Nature Immunology, 12: 1167-1175. (2011))。
レグネース1エンハンサーとして、レグネース1の発現を増加させる物質、レグネース1の機能を促進する物質が挙げられるが、レグネース1の作用の増大を実現する複数の物質の組み合わせなどもレグネース1エンハンサーに含まれる。レグネース1エンハンサーの例として、例えば、レグネース1の発現を増大させるように遺伝子改変を行う手段や、レグネース1の活性を増強する活性を有する細胞なども挙げられ得る。
「レグネース1の活性を増強する」とは、レグネース1のRNase活性を増強することを意味する。「レグネース1の活性を増強する物質」としては、「レグネース1の発現量を増加させる物質」及び「レグネース1分解酵素を阻害する物質」が挙げられ、好ましくは、「レグネース1分解酵素を阻害する物質」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」としては好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」としてより好ましくは、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」としては好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」としてより好ましくは、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1の活性を増強する物質」、「レグネース1の発現量を増加させる物質」、又は「レグネース1分解酵素を阻害する物質」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。
「レグネース1分解酵素」とは、レグネース1を分解する酵素を意味し、レグネース1をリン酸化する「レグネース1リン酸化酵素」、及びレグネース1をユビキチン化する「レグネース1ユビキチン化酵素」が挙げられる。
NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーは、E3リガーゼ阻害活性を有し得る。理論に拘束されることを望まないが、本明細書の実施例において、E3リガーゼ阻害活性を有する物質によるがんの発生および成長の抑制が実証されており、本開示において、E3リガーゼ阻害活性を有するNFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーががんの治療及び/または予防のために使用され得ることが理解される。「E3リガーゼ阻害」とは、ユビキチンが結合したE2ユビキチン結合酵素を呼び寄せ、タンパク質の基質を認識し、E2から基質へのユビキチンの転移を助ける、もしくは直接的に触媒するE3ユビキチンリガーゼの機能を阻害することを意味する。
本開示において、NFKBIZインヒビターであり、かつレグネース1エンハンサーであるもの(本明細書において、「NFKBIZインヒビター/レグネース1エンハンサー」と称する)を用いてもよい。NFKBIZインヒビター/レグネース1エンハンサーの一例としては、本明細書の実施例において記載されているGS143が挙げられる。
「E3リガーゼインヒビター(E3リガーゼ阻害剤)」とは、E3リガーゼの作用を何らかの形で阻害する任意の物質、因子、手段などを含む。E3リガーゼインヒビターには、代表的に、E3リガーゼの発現を低下させる物質、E3リガーゼの活性を低下させる物質等が含まれ、このほか、結果としてE3リガーゼの機能または発現を低下させるような処置を講ずることができる手段(例えば、ゲノム編集を実現する手段などを含む)などであってもよい。E3リガーゼは、E3ユビキチンリガーゼとも称される。
「E3リガーゼインヒビター」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「E3リガーゼインヒビター」としては好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「E3リガーゼインヒビター」としてより好ましくは、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「E3リガーゼインヒビター」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。ここにおいて、E3リガーゼを阻害する低分子化合物を「E3リガーゼ阻害化合物」と称す。
E3リガーゼインヒビターの一例としては、本明細書の実施例において記載されているGS143が挙げられる。理論に拘束されることを望まないが、本明細書の実施例において、E3リガーゼインヒビターによるがんの発生および成長の抑制が実証されており、本開示において、E3リガーゼインヒビターががんの治療及び/または予防のために使用され得ることが理解される。
「E3リガーゼインヒビター」としては、例えば「核酸」、「抗体」、「低分子化合物」及び「高分子化合物」が挙げられる。
「E3リガーゼインヒビター」としては好ましくは、「核酸」、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「E3リガーゼインヒビター」としてより好ましくは、「抗体」、及び「低分子化合物」が挙げられる。
「E3リガーゼインヒビター」として更に好ましくは、「低分子化合物」が挙げられる。ここにおいて、E3リガーゼを阻害する低分子化合物を「E3リガーゼ阻害化合物」と称す。
E3リガーゼインヒビターの一例としては、本明細書の実施例において記載されているGS143が挙げられる。理論に拘束されることを望まないが、本明細書の実施例において、E3リガーゼインヒビターによるがんの発生および成長の抑制が実証されており、本開示において、E3リガーゼインヒビターががんの治療及び/または予防のために使用され得ることが理解される。
「核酸」とは、塩基と糖、リン酸からなるヌクレオチドがホスホジエステル結合で連なった分子を意味し、リボ核酸(RNA)とデオキシリボ核酸(DNA)を含み、人工的に修飾又は置換された核酸、及び生体内で核酸へと変換される核酸前駆体を含む。
人工的に修飾又は置換された核酸としては、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6およびO-6置換プリン(2-アミノプロピルアデニンを含めた)、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンなどを含むものが挙げられる。また、人工的に修飾又は置換された核酸としては、核酸の2’位と4’位との間が連結され(架橋)され、環構造が2つ(二環式)となっている修飾された核酸(架橋核酸(BNA))なども使用し得る。その他、ペプチド核酸、ロックト核酸、モルホリノ核酸、チオ核酸などの修飾核酸が使用され得る。
「核酸」として、例えば、「アンチセンス核酸」、「リボザイム核酸」及び「RNAi活性を有する核酸」が挙げられる。
「核酸」として、好ましくは「アンチセンス核酸」、及び「リボザイム核酸」が挙げられる。
あるいは、「核酸」として、好ましくは「アンチセンス核酸」及び「RNAi活性を生じさせる核酸」が挙げられる。RNAi活性を生じさせる核酸としては、siRNA、shRNA、miRNA、短鎖もしくは長鎖の1もしくは2本鎖RNA、またはそれらの修飾物等の1つ以上の組合せを挙げることができる。
人工的に修飾又は置換された核酸としては、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6およびO-6置換プリン(2-アミノプロピルアデニンを含めた)、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンなどを含むものが挙げられる。また、人工的に修飾又は置換された核酸としては、核酸の2’位と4’位との間が連結され(架橋)され、環構造が2つ(二環式)となっている修飾された核酸(架橋核酸(BNA))なども使用し得る。その他、ペプチド核酸、ロックト核酸、モルホリノ核酸、チオ核酸などの修飾核酸が使用され得る。
「核酸」として、例えば、「アンチセンス核酸」、「リボザイム核酸」及び「RNAi活性を有する核酸」が挙げられる。
「核酸」として、好ましくは「アンチセンス核酸」、及び「リボザイム核酸」が挙げられる。
あるいは、「核酸」として、好ましくは「アンチセンス核酸」及び「RNAi活性を生じさせる核酸」が挙げられる。RNAi活性を生じさせる核酸としては、siRNA、shRNA、miRNA、短鎖もしくは長鎖の1もしくは2本鎖RNA、またはそれらの修飾物等の1つ以上の組合せを挙げることができる。
「抗NFKBIZ抗体」とは、NFKBIZを特異的に認識する抗体を意味し、NFKBIZに対し結合活性を有する抗体を意味する。
「NFKBIZを特異的に認識する抗体」は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。「NFKBIZを特異的に認識する抗体」として好ましくは、ポリクローナル抗体が挙げられる。「NFKBIZを特異的に認識する抗体」としてより好ましくは、哺乳動物由来のモノクローナル抗体が挙げられる。
哺乳動物由来のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体は、動物の血中に産生されるもの、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるもの、ファージディスプレイにより1兆個の分子からなる莫大なクローンライブラリーから最適抗体がスクリーニングされ、その遺伝子からCHO細胞により大量生産されるもの、及びヒトの抗体を生産するトランスジェニックマウスから直接得られるヒト抗体などが挙げられる。
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は当業者に公知の方法によって作製することができる。
「NFKBIZを特異的に認識する抗体」は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。「NFKBIZを特異的に認識する抗体」として好ましくは、ポリクローナル抗体が挙げられる。「NFKBIZを特異的に認識する抗体」としてより好ましくは、哺乳動物由来のモノクローナル抗体が挙げられる。
哺乳動物由来のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体は、動物の血中に産生されるもの、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるもの、ファージディスプレイにより1兆個の分子からなる莫大なクローンライブラリーから最適抗体がスクリーニングされ、その遺伝子からCHO細胞により大量生産されるもの、及びヒトの抗体を生産するトランスジェニックマウスから直接得られるヒト抗体などが挙げられる。
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は当業者に公知の方法によって作製することができる。
「低分子化合物」とは、分子量が1万未満の「有機低分子化合物」又は「無機低分子化合物」を意味する。「低分子化合物」として好ましくは「有機低分子化合物」が挙げられる。
「低分子化合物」の分子量として好ましくは、5000以下であり、より好ましくは3000以下であり、更に好ましくは2000以下であり、最も好ましくは1000以下が挙げられる。
「低分子化合物」の分子量として好ましくは、5000以下であり、より好ましくは3000以下であり、更に好ましくは2000以下であり、最も好ましくは1000以下が挙げられる。
NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーの好ましい態様として、低分子化合物である「E3リガーゼ阻害化合物」が挙げられる。
「E3リガーゼ阻害化合物」として、例えば、国際公開2006/129583に記載された化合物等が挙げられる。
「E3リガーゼ阻害化合物」として具体的には、
4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)、
(5-[[3-ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-3,10-ジメチルピリミジノ[4,5-b]キノリン-2,4(3H,10H)-ジオン ジヒドロクロライド(HLI373、502137-98-6)、及び
[(1R,2R,4R,6R,8S,9E,11R)-8-ヒドロキシ-4,9-ジメチル-14-メチリデン-13-オキソ-5,12-ジオキサトリサイクロ[9.3.0.04,6]テトラデシ-9-エン-2-イル]2-メチルプロプ-2-エノエート(エリオフロリン、27542-17-2)が挙げられる。
「E3リガーゼ阻害化合物」として、最も好ましくは、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)が挙げられる。本開示において、GS143が、炎症性疾患から発生したがんに対して有効であることが見出されており(実施例)、GS143は炎症が伴わないがんに対しても高い蓋然性をもって有効であるといえる。
「E3リガーゼ阻害化合物」として具体的には、
4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)、
(5-[[3-ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-3,10-ジメチルピリミジノ[4,5-b]キノリン-2,4(3H,10H)-ジオン ジヒドロクロライド(HLI373、502137-98-6)、及び
[(1R,2R,4R,6R,8S,9E,11R)-8-ヒドロキシ-4,9-ジメチル-14-メチリデン-13-オキソ-5,12-ジオキサトリサイクロ[9.3.0.04,6]テトラデシ-9-エン-2-イル]2-メチルプロプ-2-エノエート(エリオフロリン、27542-17-2)が挙げられる。
「E3リガーゼ阻害化合物」として、最も好ましくは、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)が挙げられる。本開示において、GS143が、炎症性疾患から発生したがんに対して有効であることが見出されており(実施例)、GS143は炎症が伴わないがんに対しても高い蓋然性をもって有効であるといえる。
「高分子化合物」とは、分子量が1万以上の化合物を意味する。
「高分子化合物」として、例えば、「天然高分子」、「合成高分子」、及び「半合成高分子」が挙げられる。「高分子化合物」の別の分類として、「有機高分子」及び「無機高分子」が挙げられ、好ましくは「有機高分子」が挙げられる。
「天然高分子」として、ポリアミン、一部の脂質、セルロース、アミロース、デンプン、キチン、天然ゴム、ポリペプチド、タンパク質、DNA、RNA、一部の脂質、リグニン、及びアスファルテン等が挙げられる。
「合成高分子」として、ポリマーが挙げられる。
「半合成高分子」として、人工セルロース等が挙げられる。
「高分子化合物」として、例えば、「天然高分子」、「合成高分子」、及び「半合成高分子」が挙げられる。「高分子化合物」の別の分類として、「有機高分子」及び「無機高分子」が挙げられ、好ましくは「有機高分子」が挙げられる。
「天然高分子」として、ポリアミン、一部の脂質、セルロース、アミロース、デンプン、キチン、天然ゴム、ポリペプチド、タンパク質、DNA、RNA、一部の脂質、リグニン、及びアスファルテン等が挙げられる。
「合成高分子」として、ポリマーが挙げられる。
「半合成高分子」として、人工セルロース等が挙げられる。
本開示における「物質」は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、水和物及び/又は溶媒和物もまた本開示化合物に包含される。
本開示における物質は、適宜、その製薬学的に許容される塩で用いられ得る。
「製薬学的に許容される塩」は、製薬学的に無毒な酸(無機酸及び有機酸を含む)から調整される塩を意味する。製薬学的に許容される塩としては、例えば、限定されないが、酢酸塩、アルギン酸塩、アントラニル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、エテンスルホン塩酸、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グルコレン酸塩、ガラクツロン酸塩、グリシド酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファニル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、及びp-トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。製薬学的に許容される塩として好ましくは、臭化水素酸塩、及び塩酸塩が挙げられる。製薬学的に許容される塩として最も好ましくは、塩酸塩が挙げられる。
(疾患)
本開示は、上述のインヒビター及び/又はエンハンサーによるがんの治療を提供し得る。がんとして、とりわけ、慢性炎症に伴うがんが対象とされ得る。理論に拘束されることを望まないが、本明細書の実施例において、慢性炎症におけるがんのドライバー遺伝子が同定されており、上記インヒビター及び/又はエンハンサーが、かかるがんの抑制に有効であることが理解される。本開示は、下記に例示されるような特徴を有する疾患を対象とし得る。
本開示は、上述のインヒビター及び/又はエンハンサーによるがんの治療を提供し得る。がんとして、とりわけ、慢性炎症に伴うがんが対象とされ得る。理論に拘束されることを望まないが、本明細書の実施例において、慢性炎症におけるがんのドライバー遺伝子が同定されており、上記インヒビター及び/又はエンハンサーが、かかるがんの抑制に有効であることが理解される。本開示は、下記に例示されるような特徴を有する疾患を対象とし得る。
慢性炎症とは、組織異常が解消されているのにもかかわらず炎症物質、細胞などの活動が収束しない状態を意味する。慢性炎症性疾患として例えば、「炎症性腸疾患(IBD;inflammatory bowel disease)」が挙げられる。
「炎症性腸疾患」とは、消化管に炎症をおこす慢性炎症に係る疾患の総称で、免疫機構が異常をきたし、自己免疫細胞が腸の細胞を攻撃することで腸に炎症を起こす疾患を意味する。「炎症性腸疾患」の症状としては、「下痢」、「血便」、及び「腹痛」が挙げられる。
「炎症性腸疾患」としては、「潰瘍性大腸炎(UC;Ulcerative colitis)」及び「クローン病(CD:Crohn’s disease)」が挙げられる。「炎症性腸疾患」として好ましくは、「潰瘍性大腸炎」が挙げられる。
「炎症性腸疾患」としては、「潰瘍性大腸炎(UC;Ulcerative colitis)」及び「クローン病(CD:Crohn’s disease)」が挙げられる。「炎症性腸疾患」として好ましくは、「潰瘍性大腸炎」が挙げられる。
「潰瘍性大腸炎」とは、主に大腸粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明の非特異性炎症性疾患を意味する。
「潰瘍性大腸炎」としては、「潰瘍性(慢性)全大腸炎」、「潰瘍性(慢性)全大腸炎」、「潰瘍性(慢性)直腸S状結腸炎」、「炎症性ポリープ」、「左側大腸炎」、「その他の潰瘍性大腸炎」及び「原因不明の潰瘍性大腸炎」が挙げられる。
「潰瘍性大腸炎」の症状としては、「粘血便」、「下痢」、「発熱」・「体重減少」、「腹痛」及び「貧血」が挙げられる。
「潰瘍性大腸炎」の合併症としては、「結節性紅斑」、「多発性関節炎」、「強直性脊椎炎」、「壊疽性膿皮症」、「肛門周囲炎・肛門膿瘍」、「肛門潰瘍・痔」、「中毒性巨大結腸症」、「穿孔」、「偽ポリポーシス(ポリープ)」、「歯肉炎」、「口内炎」、「凍瘡(足、指、耳)」、「浮腫(むくみ)」、「口渇」、及び「がん」が挙げられる。「潰瘍性大腸炎に伴う発がん」として、例えば、「潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がん(CAC;colitis associated carcinoma)」が挙げられる。
「潰瘍性大腸炎」としては、「潰瘍性(慢性)全大腸炎」、「潰瘍性(慢性)全大腸炎」、「潰瘍性(慢性)直腸S状結腸炎」、「炎症性ポリープ」、「左側大腸炎」、「その他の潰瘍性大腸炎」及び「原因不明の潰瘍性大腸炎」が挙げられる。
「潰瘍性大腸炎」の症状としては、「粘血便」、「下痢」、「発熱」・「体重減少」、「腹痛」及び「貧血」が挙げられる。
「潰瘍性大腸炎」の合併症としては、「結節性紅斑」、「多発性関節炎」、「強直性脊椎炎」、「壊疽性膿皮症」、「肛門周囲炎・肛門膿瘍」、「肛門潰瘍・痔」、「中毒性巨大結腸症」、「穿孔」、「偽ポリポーシス(ポリープ)」、「歯肉炎」、「口内炎」、「凍瘡(足、指、耳)」、「浮腫(むくみ)」、「口渇」、及び「がん」が挙げられる。「潰瘍性大腸炎に伴う発がん」として、例えば、「潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がん(CAC;colitis associated carcinoma)」が挙げられる。
「クローン病」とは、主として口腔から肛門までの全消化管に、非連続性の慢性肉芽腫性炎症を生じる原因不明の炎症性疾患を意味する。
「クローン病」としては、「小腸のクローン病」、「大腸のクローン病」、「その他のクローン病」及び「詳細不明のクローン病」が挙げられる。
「クローン病」の症状としては、「腹痛」、「下痢」、「発熱」、「体重減少」、「肛門病変(痔瘻・裂肛・肛門潰瘍等)」及び「嘔吐」が挙げられる。
「クローン病」の合併症としては、「関節症状(関節痛、関節炎)」、「皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)」、「Sweet病」、「眼症状(虹彩炎)」、「原発性硬化性胆管炎」及び「悪性腫瘍(大腸がん、回腸がん)」が挙げられる。
「クローン病」としては、「小腸のクローン病」、「大腸のクローン病」、「その他のクローン病」及び「詳細不明のクローン病」が挙げられる。
「クローン病」の症状としては、「腹痛」、「下痢」、「発熱」、「体重減少」、「肛門病変(痔瘻・裂肛・肛門潰瘍等)」及び「嘔吐」が挙げられる。
「クローン病」の合併症としては、「関節症状(関節痛、関節炎)」、「皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)」、「Sweet病」、「眼症状(虹彩炎)」、「原発性硬化性胆管炎」及び「悪性腫瘍(大腸がん、回腸がん)」が挙げられる。
本開示における「がん」は悪性腫瘍を意味する。
「がん」としては、例えば、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫が挙げられる。がんとして、上述のものを含めた群から選択される少なくとも一つを含むがんを本開示で対象とし得る。
「がん」として、好ましくは、「大腸がん」があげられる。
「大腸がん」としては、「盲腸がん」、「結腸がん」、「直腸がん」、及び「肛門がん」が挙げられる。「大腸がん」として好ましくは、「結腸がん」、「直腸がん」、及び「肛門がん」が挙げられる。「大腸がん」としてより好ましくは、「結腸がん」及び「直腸がん」が挙げられる。「大腸がん」としてさらに好ましくは、「結腸がん」が挙げられる。大腸がんとして、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、又は及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む大腸がんを本開示で対象とし得る。
「がん」として好ましくは、「慢性炎症に伴うがん」が挙げられる。「慢性炎症に伴うがん」とは、慢性炎症を発症後、その炎症に伴って発症するがんをいい、慢性炎症性疾患に合併したがんとして診断される。「慢性炎症に伴うがん」として、例えば、炎症性腸疾患に合併した大腸がん、逆流性食道炎に合併した食道がん、アルコール性肝炎に合併した肝がん、非アルコール性脂肪肝炎に合併した肝がん、慢性胃炎に合併した胃がん、慢性膵炎に合併した膵がん、及び原発性硬化性胆管炎に合併した胆管がんが挙げられる。
「慢性炎症に伴うがん」として、好ましくは、炎症性腸疾患に合併した大腸がんが挙げられる。
「慢性炎症に伴うがん」として、より好ましくは、潰瘍性大腸炎に合併した大腸がんが挙げられる。
「慢性炎症に伴うがん」として、さらに好ましくは、「潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がん(CAC)」及び「潰瘍性大腸炎における大腸がん」が挙げられる。
「慢性炎症に伴うがん」として、より好ましくは、潰瘍性大腸炎に合併した大腸がんが挙げられる。
「慢性炎症に伴うがん」として、さらに好ましくは、「潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がん(CAC)」及び「潰瘍性大腸炎における大腸がん」が挙げられる。
「腸炎関連性がん」又は「炎症性がん」とは、「炎症性腸疾患に合併した大腸がん」を意味する。
NFKBIZの機能欠損変異は、マウス腸炎モデルにおいて組織の炎症性サイトカインの産生を抑制し、組織破壊と再生を伴う腸炎を緩和する。本開示において、1つの実施形態では、炎症性サイトカインの産生を抑制するための、NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーを含む組成物、またはその使用が提供され得る。別の実施形態では、組織破壊と再生を伴う腸炎を緩和するための、NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーを含む組成物、またはその使用が提供され得る。
(予防/治療)
本開示における、「予防」とは、対象となる疾患を発症していると診断をされていない人に対して本開示の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患の発症を防止することを目的とするものである。
本開示における、「予防」とは、対象となる疾患を発症していると診断をされていない人に対して本開示の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患の発症を防止することを目的とするものである。
本開示における、「治療」とは、医師により疾患を発症していると診断をされた人(患者)に対して本開示の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患や症状を軽減すること、癌腫を増大させないこと又は疾患発症前の状態に戻すことを目的とするものである。また、投与の目的が疾患や症状の悪化防止又は癌腫の増大防止であっても、投与されるのが患者であれば、治療行為である。
本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーを投与する場合、その使用量は、症状、年齢、投与方法等によって異なるが、例えば、静脈内注射の場合には、成人に対して、1日当たり、下限として、0.01mg(好ましくは0.1mg)、上限として、1000mg(好ましくは100mg)を、1回または数回に分けて、症状に応じて投与することにより効果が期待される。その投与スケジュールとしては、例えば単回投与、1日1回3日間連日投与、又は1日2回1週間連続投与、等を挙げることができる。さらに上記記載の各投与方法を、約1日間~約60日間の間隔をあけて繰り返すこともできる。
本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーは、経口投与又は非経口投与により、直接又は適当な剤形を用いて製剤にし、投与することができる。剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、ハップ剤等が挙げられるがこれに限らない。製剤は、薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。
添加剤としては、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。添加剤の具体例としては、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーは、非経口投与又は経口投与により投与しうるが、好ましくは経口的方法により投与される。
本開示において、被験者のがん細胞におけるNFKBIZの遺伝子発現及び/又はNFKBIZの活性を測定することで、NFKBIZインヒビターの当該被験者への有効性を予測し得る。加えて、本開示において、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者をがんを治療及び/又は予防するための医薬組成物又は方法の対象とすることができる。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書の実施例において、NFKBIZの機能が抑制された場合に、がんの発生が抑制され、また、発生したがんの増殖が抑制されることが示されており、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者を対象としてNFKBIZインヒビターを用い得ることが理解される。NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していることは、(1)被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定すること、(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較すること、及び(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定することを含む工程で決定され得る。インヒビター、被験者、細胞種、および測定などに関する特徴として、本明細書の他の箇所に記載される特徴を必要に応じて採用し得る。
本開示において、被験者のがん細胞におけるレグネース1の発現及び/又は活性を測定することで、レグネース1エンハンサーの当該被験者への有効性を予測し得る。加えて、本開示において、レグネース1の発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者をがんを治療及び/又は予防するための医薬組成物又は方法の対象とすることができる。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書の実施例において、レグネース1エンハンサーが、炎症性疾患から発生したがんに対して有効であることが見出されており(実施例)、レグネース1の発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者を対象としてレグネース1エンハンサーを用い得ることが理解される。レグネース1発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下していることは、(1)被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定すること、(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中のレグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較すること、及び(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定することを含む工程で決定され得る。エンハンサー、被験者、細胞種、および測定などに関する特徴として、本明細書の他の箇所に記載される特徴を必要に応じて採用し得る。
(1)本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーの有効量を投与することと、(2)(i)他の抗がん剤の有効量を投与すること、(ii)ホルモン療法剤の有効量を投与すること、(iii)他の炎症性腸疾患治療剤の有効量を投与すること、及び(iv)非薬剤療法からなる群からなる群から選ばれる1~4種とを組み合わせることにより、より効果的にがんを予防/治療することができる。非薬剤療法としては、例えば、手術、放射線療法、遺伝子治療、温熱療法、凍結療法、レーザー灼熱療法、血球成分除去療法(白血球除去療法、顆粒球除去療法)などが挙げられ、これらを2種以上組み合わせることもできる。
本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーは、その効果の増強を目的として、他の薬物と併用して用いることができる。具体的には、本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーは、ホルモン療法剤、化学療法剤、免疫療法剤または細胞増殖因子ならびにその受容体作用を阻害する薬剤等の薬物と併用して用いることができる。以下、本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーと併用し得る薬物を併用薬物と略記する。
本開示のインヒビター及び/又はエンハンサーは単剤として使用しても優れた抗がん作用を示すが、さらに前記併用薬物の一つまたは幾つかと併用(多剤併用)することによって、その効果をより一層増強または患者のQOLを改善させることができる。
「ホルモン療法剤」としては、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、ジエノゲスト、アソプリスニル、アリルエストレノール、ゲストリノン、ノメゲストール、タデナン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキシフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例えば、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン等)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH-RH誘導体(LH-RHアゴニスト(例えば、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど)、LH-RHアンタゴニスト)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害剤(例えば、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタンなど)、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、アンドロゲン受容体拮抗剤(例えば、アパルタミド、エンザルタミド)、アンドロゲン合成阻害剤(例えば、アビラテロンなど)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、レチノイド、及びレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例えば、リアロゾールなど)などが挙げられる。
「化学療法剤」としては、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、分子標的治療剤、免疫調節剤、その他の化学療法剤などが用いられる。代表的な例を次に記載する。
「アルキル化剤」としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード-N-オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾジン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、チオテパ、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシン及びそれらのDDS製剤などが挙げられる。
「代謝拮抗剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6-メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、ペメトレキセド、エオシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5-FU系薬剤(例えば、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフール、カペシタビンなど)、アミノプテリン、ネルザラビン、ロイコポリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルパミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン、ベンダムスチン、及びそれらのDDS製剤などが挙げられる。
「抗がん性抗生物質」としては、例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン、及びそれらのDDS製剤などが挙げられる。
「植物由来抗がん剤」としては、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセル、DJ-927、ビノレルビン、イリノテカン、トポテカン、及びそれらのDDS製剤などが挙げられる。
「分子標的治療剤」としては、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、スニチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、ルキソリチニブ、クリゾチニブ、ベムラフェニブ、バンデタニブ、ポナチニブ、カボザンチニブ、トファシチニブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、アキシチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、ニンテダニブ、イデラリシブ、セリチニブ、レンバチニブ、パルボシクリブ、アレクチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、リボシクリブ、アベマシクリブ、ブリガチニブ、ネラチニブ、コパンリシブ、コビメチニブ、イブルチニブ、アカラブルチニブ、エンコラフェニブ、ビニメチニブ、バリシチニブ、フォスタマチニブ、ロルラチニブ、エルダフィチニブ、エントレクチニブ、ダコミチニブ、シロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベネトクラックス、アザシチジン、デシタビン、ボリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、及びイキサゾミブなどが挙げられる。
「免疫調節剤」としては、例えば、レナリドミド及びポマリドミドなどが挙げられる。
「その他の化学療法剤」としては、例えば、ソブゾキサンなどが挙げられる。
「免疫療法剤(BRM)」としては、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾール、抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、Toll-like Receptors作動薬(例えば、TLR7作動薬、TLR8作動薬、TLR9作動薬など)が挙げられる。
細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤における細胞増殖因子としては、細胞増殖を促進する物質であれば、どのようなものでもよく、通常、分子量が20,000以下のペプチドで、受容体との結合により低濃度で作用が発揮される因子があげられる。具体的には、EGF(epidermal growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質(例えば、TGFalphaなど)、インスリンまたはそれと実質的に同一の活性を有する物質(例えば、インスリン、IGF(insulin-like growth factor)-1、IGF-2など)、FGF(fibroblast growth factor)またはそれと実質的に同一のアッセイを有する物質(例えば、酸性FGF、塩基性FGF、KGK(keratinocyte growth factor)、FGF-10など)、及び、その他の細胞増殖因子(例えば、CSF(colony stimukating factor)、EPO(erythropoietin)、IL-2(interleukin-2)、NGF(nerve growth factor)、PDGF(platelet-derived growth factor)、TGF-beta(transforming growth factor beta)、HGF(hepatocyte growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)、へレグリン、アンジオポエチンなど)が挙げられる。
本開示の物質は、その効果の増強、及び/又は合併症を治療することを目的として、「他の炎症性腸疾患治療剤」と併用して用いることができる。以下、本開示の物質と併用し得る「他の炎症性腸疾患治療剤」と略記する。
「他の炎症性腸疾患治療剤」としては、サリチル酸、サラゾスルファピリジン、メサラジン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、ブデソニド、メチルプレドニゾロン、ハイドロコルチゾン、インフリキシマブ、アダリムマブ、ウステキヌマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ、タクロリムス、アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、トファシチニブ、及びベドリズマブが挙げられる。
本開示の物質、及び併用薬剤の投与期間は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本開示の物質と併用薬剤の合剤としてもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本開示の物質と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本開示の化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用いればよい。また、その副作用抑制の目的として、制吐剤、睡眠導入剤、抗痙攣薬などの薬剤(併用薬剤)と組み合わせて用いることができる。
理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書の実施例において、NFKBIZの機能が抑制された場合に、がんの発生が抑制され、また、発生したがんの増殖が抑制されることが示されており、任意のNFKBIZインヒビターが本開示において用いられ得ることが理解される。NFKBIZは、アンキリンリピートドメインを介したNFκ-Bタンパク質との相互作用により炎症反応において機能することから、NFKBIZインヒビターを用いて、NFKBIZの発現量を減少させること、NFKBIZの安定性を低下させること、NFKBIZの核内移行を阻害すること、NFKBIZとp50との結合を阻害すること、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が特定のDNA配列と相互作用することなどによって、いずれの場合にも、がんの発生が抑制され得、または、発生したがんの増殖が抑制され得ることが理解される。
さらに、理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書の実施例において、レグネース1の発現量を増加させた場合に、NFKBIZの発現が低下することが示されており、上述のとおり、レグネース1の活性を増強することによってがんの発生が抑制され得、または、発生したがんの増殖が抑制され得ることが理解される。レグネース1の活性の増強として、レグネース1の発現量を増加させること、またはレグネース1の分解を減少させる(レグネース1を安定化するか、またはレグネース1を分解する物質(分解酵素など)を阻害する等)ことなどによって、いずれの場合にも、がんの発生が抑制され得、または、発生したがんの増殖が抑制され得ることが理解される。
(スクリーニング)
本開示の一実施形態は、がんを治療及び/又は予防する物質を選別するスクリーニングする方法を提供し得る。これは、少なくとも部分的には、本発明者らによりNFKBIZインヒビターが、がんに対して格別な増殖抑制効果を示すことを見出したことに基づいている。
本開示の一実施形態は、がんを治療及び/又は予防する物質を選別するスクリーニングする方法を提供し得る。これは、少なくとも部分的には、本発明者らによりNFKBIZインヒビターが、がんに対して格別な増殖抑制効果を示すことを見出したことに基づいている。
がんの治療及び/又は予防剤をスクリーニングする方法は、(1)がん細胞に治療及び/又は予防剤候補を作用させずに、遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、(2)当該がん細胞に当該治療及び/又は予防剤候補を作用させた後に、遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい又は大きい場合に、当該治療及び/又は予防剤を、がんの治療及び/又は予防剤であると判定する工程を含み得る。遺伝子としては、NFKBIZ、またはレグネース1などの本明細書に記載される遺伝子を対象とし得る。インヒビター、エンハンサー、被験者、細胞種、および測定などに関する特徴として、本明細書の他の箇所に記載される特徴を必要に応じて採用し得る。
一実施形態では、方法は、NFKBIZインヒビターをスクリーニングする方法として特徴付けられ、(1)がん細胞にインヒビター候補を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、(2)当該がん細胞に当該インヒビター候補を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、当該インヒビター候補を、NFKBIZインヒビターであると判定する工程を含み得る。一実施形態では、方法は、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質をスクリーニングする方法として特徴付けられ、(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、(2)当該がん細胞に当該被験物質を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、当該被験物質を、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質であると判定する工程を含み得る。
一実施形態では、方法は、レグネース1エンハンサーをスクリーニングする方法として特徴付けられ、(1)がん細胞にエンハンサー候補を作用させずに、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、(2)当該がん細胞に当該エンハンサー候補を作用させた後に、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、当該エンハンサー候補を、レグネース1エンハンサーであると判定する工程を含み得る。一実施形態では、方法は、レグネース1の活性を増強する物質をスクリーニングする方法として特徴付けられ、(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、レグネース1の活性を測定する工程、(2)当該がん細胞に当該被験物質を作用させた後に、レグネース1の活性を測定する工程、(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、当該被験物質を、レグネース1の活性を増強する物質であると判定する工程を含み得る。
以下に実施例を挙げて本開示を詳細に説明するが、本開示は何らこれらに限定されるものではない。
実施例1
潰瘍性大腸炎(UC)で認められるドライバー変異の検出
潰瘍性大腸炎(UC)で認められるドライバー変異の検出
(1)検体の採取
潰瘍性大腸炎でない被験者(非UC被験者)からの検体は、内視鏡的を用いて外科的に大腸粘膜から採取した。検体はメチレンブルー染色後に実体顕微鏡下で評価し、異常陰窩巣などの形成異常の陰窩の病変を含む検体を除外した。
潰瘍性大腸炎である被験者(UC被験者)から得た全ての検体は、半分を全エキソームシークエンス(Whole Exome Sequencing(WES))解析のためのサンプリングに用い、残りの半分を病理的な評価のために用いた。一部の検体に関しては、全体をWES解析のためのサンプリングのために用い、病理評価は別の近接する粘膜の検体を用いて行った。病理評価はRiddellの分類(Riddell,R.H.et al.Human Pathology 14:931(1983))に基づき2人の病理医によって行い、検体を「正常(non-dysplasia)」、「低度異形成」、「高度異形成」及び「がん」である4つのグループに分類した。内視鏡生検で入手した検体は、単一の陰窩サンプルならびにバルクの陰窩サンプルを得るために、およそ4mm2の大きさに切断した。手術検体からは、直径2.5mm(4.9mm2)のパンチ生検(BP-25F、カイインダストリーズ)を用いてサンプルを採取した。これらのサンプルは、氷冷した20mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含有するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中で20分間インキュベートすることにより上皮を粘膜下層から分離させたのち、上皮をピンセットで機械的に単離し、そこから単一陰窩もしくはバルクの陰窩を採取した。位置を記録した陰窩の集団を得るために、最初に上皮表面にアクリル接着剤を塗布することで粘膜における陰窩の構造を固定した。20mM EDTAで処理したのち、接着剤の下にある陰窩の集団をひとまとめに粘膜下層からはがし取るか、粘膜下層から押し出した。最後に、それぞれの陰窩を、場所の記録と計数をおこないながら単離した。がん組織の解析に関しては、がん細胞をホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体から実体顕微鏡下で単離し、そこからDNAを抽出した。
潰瘍性大腸炎でない被験者(非UC被験者)からの検体は、内視鏡的を用いて外科的に大腸粘膜から採取した。検体はメチレンブルー染色後に実体顕微鏡下で評価し、異常陰窩巣などの形成異常の陰窩の病変を含む検体を除外した。
潰瘍性大腸炎である被験者(UC被験者)から得た全ての検体は、半分を全エキソームシークエンス(Whole Exome Sequencing(WES))解析のためのサンプリングに用い、残りの半分を病理的な評価のために用いた。一部の検体に関しては、全体をWES解析のためのサンプリングのために用い、病理評価は別の近接する粘膜の検体を用いて行った。病理評価はRiddellの分類(Riddell,R.H.et al.Human Pathology 14:931(1983))に基づき2人の病理医によって行い、検体を「正常(non-dysplasia)」、「低度異形成」、「高度異形成」及び「がん」である4つのグループに分類した。内視鏡生検で入手した検体は、単一の陰窩サンプルならびにバルクの陰窩サンプルを得るために、およそ4mm2の大きさに切断した。手術検体からは、直径2.5mm(4.9mm2)のパンチ生検(BP-25F、カイインダストリーズ)を用いてサンプルを採取した。これらのサンプルは、氷冷した20mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含有するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中で20分間インキュベートすることにより上皮を粘膜下層から分離させたのち、上皮をピンセットで機械的に単離し、そこから単一陰窩もしくはバルクの陰窩を採取した。位置を記録した陰窩の集団を得るために、最初に上皮表面にアクリル接着剤を塗布することで粘膜における陰窩の構造を固定した。20mM EDTAで処理したのち、接着剤の下にある陰窩の集団をひとまとめに粘膜下層からはがし取るか、粘膜下層から押し出した。最後に、それぞれの陰窩を、場所の記録と計数をおこないながら単離した。がん組織の解析に関しては、がん細胞をホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体から実体顕微鏡下で単離し、そこからDNAを抽出した。
(2)全エキソームシークエンス(Whole Exome Sequencing, WES)
上記(1)で単離した単一陰窩から抽出したゲノムDNAを2つの溶液に分け、それぞれ独立してREPLI-g Single Cell Kit(Qiagen)を用いて、全ゲノム増幅(WGA)を行った。増幅したDNAは、WES、又はその後の検証に用いた。その他の検体は、ゲノムDNAとRNAをAll Prep DNA/RNA Micro Kit(Qiagen)を用いて同時に抽出した。末梢血あるいはFFPEがん検体から顕微解剖により単離した正常固有筋層からは、Gentra Puregene Kit(Qiagen)を用いてDNAを抽出し、生殖系列コントロールとして用いた。
WESライブラリはSureSelect Human All Exon V5 (Agilent Technologies)もしくはxGen Exome Research Panel(IDT)を用いて調製し、濃縮したエキソン断片はHiSeq 2500あるいはNovaSeq 6000(Illumina)上で100-150bpペアエンドモードで、既報と同様にシークエンスした(Yoshida,K.et al.Nature 478:64(2011))。目標シークエンス深度は100xであり、実際の深度は133xであった。101人の個人からの生殖系列コントロールの平均深度は140xであった。変異検出はGenomon2パイプラインバージョン2.6(https://genomon.readthedocs.io/ja/latest/)を用いて、既報と同様に行った(Yokoyama,A.et al.Nature 565:312 (2019))。
要約すると、シークエンスリードはヒトゲノム参照配列(hg19)に対してBurrows-Wheeler Alignerバージョン0.7.8を用いてデフォルトのパラメータ設定でアライメントした。PCRデュプリケートはbiobambamバージョン0.0.191(https://github.com/gt1/biobambam)を用いて除外した。体細胞変異は、多型およびシークエンスエラーを除外することにより検出した。このために、Genomon2を用いて、まずクオリティの低い、信頼できないリードならびにバリアントを、(i)マッピングクオリティ<20、(ii)塩基クオリティ<15のしきい値を用いて除外した。十分な数のリード(総リード数≧8、バリアントリード≧3)及びバリアントアレル頻度(VAF)≧0.05(新鮮あるいはFFPE検体)、≧0.25(単一陰窩WGA検体)、<0.02(生殖系列対照検体)でサポートされ、ストランド比≠0もしくは1であるバリアントに限定したあと、それらのバリアントがエラーと想定されるVAFより有意に高いVAFで観察されているかを調べた(新鮮検体、FFPE検体、WGA検体についてそれぞれP ≦ 10-4、10-3.5、10-4)。ここで、その有意性は、EBCallアルゴリズム(Shiraishi,Y.et al.Nucleic acids research 41:e89(2013))によって、末梢血検体(n=20)のWESデータを用いて決定された経験的なVAF分布に基づいて評価した。生殖系列バリアントに関しては、VAFを、同一症例の対照検体におけるVAFとフィッシャー検定により比較することで除外した(新鮮検体、FFPE検体、WGA検体についてそれぞれP ≦ 10-1、10-1、10-2)。この処理により残存している他のシークエンスエラーも除外した。
上記(1)で単離した単一陰窩から抽出したゲノムDNAを2つの溶液に分け、それぞれ独立してREPLI-g Single Cell Kit(Qiagen)を用いて、全ゲノム増幅(WGA)を行った。増幅したDNAは、WES、又はその後の検証に用いた。その他の検体は、ゲノムDNAとRNAをAll Prep DNA/RNA Micro Kit(Qiagen)を用いて同時に抽出した。末梢血あるいはFFPEがん検体から顕微解剖により単離した正常固有筋層からは、Gentra Puregene Kit(Qiagen)を用いてDNAを抽出し、生殖系列コントロールとして用いた。
WESライブラリはSureSelect Human All Exon V5 (Agilent Technologies)もしくはxGen Exome Research Panel(IDT)を用いて調製し、濃縮したエキソン断片はHiSeq 2500あるいはNovaSeq 6000(Illumina)上で100-150bpペアエンドモードで、既報と同様にシークエンスした(Yoshida,K.et al.Nature 478:64(2011))。目標シークエンス深度は100xであり、実際の深度は133xであった。101人の個人からの生殖系列コントロールの平均深度は140xであった。変異検出はGenomon2パイプラインバージョン2.6(https://genomon.readthedocs.io/ja/latest/)を用いて、既報と同様に行った(Yokoyama,A.et al.Nature 565:312 (2019))。
要約すると、シークエンスリードはヒトゲノム参照配列(hg19)に対してBurrows-Wheeler Alignerバージョン0.7.8を用いてデフォルトのパラメータ設定でアライメントした。PCRデュプリケートはbiobambamバージョン0.0.191(https://github.com/gt1/biobambam)を用いて除外した。体細胞変異は、多型およびシークエンスエラーを除外することにより検出した。このために、Genomon2を用いて、まずクオリティの低い、信頼できないリードならびにバリアントを、(i)マッピングクオリティ<20、(ii)塩基クオリティ<15のしきい値を用いて除外した。十分な数のリード(総リード数≧8、バリアントリード≧3)及びバリアントアレル頻度(VAF)≧0.05(新鮮あるいはFFPE検体)、≧0.25(単一陰窩WGA検体)、<0.02(生殖系列対照検体)でサポートされ、ストランド比≠0もしくは1であるバリアントに限定したあと、それらのバリアントがエラーと想定されるVAFより有意に高いVAFで観察されているかを調べた(新鮮検体、FFPE検体、WGA検体についてそれぞれP ≦ 10-4、10-3.5、10-4)。ここで、その有意性は、EBCallアルゴリズム(Shiraishi,Y.et al.Nucleic acids research 41:e89(2013))によって、末梢血検体(n=20)のWESデータを用いて決定された経験的なVAF分布に基づいて評価した。生殖系列バリアントに関しては、VAFを、同一症例の対照検体におけるVAFとフィッシャー検定により比較することで除外した(新鮮検体、FFPE検体、WGA検体についてそれぞれP ≦ 10-1、10-1、10-2)。この処理により残存している他のシークエンスエラーも除外した。
(3)有意な変異を伴う(ドライバー)遺伝子の解析
有意な変異を伴う遺伝子(ドライバー遺伝子)を、dN/dS法を用いて調べた。dN/dSは、全ての反復性に変異を認める遺伝子に関して、dNdScvソフトウェア(https://github.com/im3sanger/dndscv)を用いて計算した。外科的に切除した大腸検体に関しては、サンプルを1cm格子に沿って取得したため、同じクローン由来の変異が複数のサンプルで検出されうる。そのような同じクローンに属する変異の複数回の観察は、解析前に補正する必要があった。そのために、まずサンプルを、「VAF≧0.25」である4個以上の変異を共有するサンプルから成るサンプルセットにクラスター化し、それ以外のサンプルは独立したサンプルとして扱った。その後、症例において検出されたそれぞれの変異について、サンプルセットに含まれるのか、独立サンプルに含まれるのかを、最も高いVAFを有するサンプルによって決定した。潰瘍性大腸炎患者(UC患者)の正常粘膜(152のサンプルを含む36サンプルセットと243の独立サンプル)ならびに非高変異(nonhypermutated)腸炎関連性大腸がん(colitis-associated cancer(CAC)、本研究と外部データを合わせて89サンプル)から得られた変異に対して、dNdScvを独立に適用し、有意な変異を認め(q<0.05)、かつ、4%以上の正常粘膜あるいはCACサンプルで変異が認められる14と9の遺伝子を、それぞれUCとCACのドライバーとみなした。潰瘍性大腸炎に係る正常粘膜(UC正常粘膜)においては、IL-17シグナル経路に属し、タンパク質短縮型の変異を有する遺伝子もドライバーとみなした。合計で20遺伝子をUC正常粘膜におけるドライバーとみなした。
有意な変異を伴う遺伝子(ドライバー遺伝子)を、dN/dS法を用いて調べた。dN/dSは、全ての反復性に変異を認める遺伝子に関して、dNdScvソフトウェア(https://github.com/im3sanger/dndscv)を用いて計算した。外科的に切除した大腸検体に関しては、サンプルを1cm格子に沿って取得したため、同じクローン由来の変異が複数のサンプルで検出されうる。そのような同じクローンに属する変異の複数回の観察は、解析前に補正する必要があった。そのために、まずサンプルを、「VAF≧0.25」である4個以上の変異を共有するサンプルから成るサンプルセットにクラスター化し、それ以外のサンプルは独立したサンプルとして扱った。その後、症例において検出されたそれぞれの変異について、サンプルセットに含まれるのか、独立サンプルに含まれるのかを、最も高いVAFを有するサンプルによって決定した。潰瘍性大腸炎患者(UC患者)の正常粘膜(152のサンプルを含む36サンプルセットと243の独立サンプル)ならびに非高変異(nonhypermutated)腸炎関連性大腸がん(colitis-associated cancer(CAC)、本研究と外部データを合わせて89サンプル)から得られた変異に対して、dNdScvを独立に適用し、有意な変異を認め(q<0.05)、かつ、4%以上の正常粘膜あるいはCACサンプルで変異が認められる14と9の遺伝子を、それぞれUCとCACのドライバーとみなした。潰瘍性大腸炎に係る正常粘膜(UC正常粘膜)においては、IL-17シグナル経路に属し、タンパク質短縮型の変異を有する遺伝子もドライバーとみなした。合計で20遺伝子をUC正常粘膜におけるドライバーとみなした。
(4)細胞株を用いた実験
HeLa細胞株は10% FBS(ウシ胎児血清)及び100μM 2-メルカプトエタノール(21418-42、ナカライテスク)を添加したDMEM培地(08459-64、ナカライテスク)を用いて維持した。HT29ならびにHCT116細胞株は10% FBSを添加したDMEM培地を用いて維持した。レグネース1をコードするヒトZC3H12A遺伝子の全長野生型あるいはC末端短縮型変異(W453*)を有するcDNAを、pcDNA3.1(+)(V79020、ThermoFisher)に、N末端Mycタグ配列とともに挿入した。S438L変異Regnase-1はQuikChange Lightning Site-Directed Mutagenesis Kit (210519, Agilent)を用いて作成した。プラスミドDNAは、HeLa細胞にリポフェクタミン2000(Lipofectamine 2000;11668500、Thermo Fisher)を用いてメーカーのプロトコールに従って導入した。HeLa細胞は組換えヒトIL-17A(570502、Biolegend)を用いて刺激した。細胞は溶解バッファー(20mM Tris-HCl(pH=7.4)、150mM NaCl、0.5% NP-40、cOmplete Mini(EDTA-free、11836170001、Roche)、200 units/ml RNaseOUT(10777019、ThermoFisher))を用いて溶解した。溶解サンプルは7.5% PAGEゲル(E-T7.5L、ATTO)で分離し、Immun-Blot PVDF membranes (1620177、Bio-Rad)に転写した。
免疫ブロット解析には以下の抗体を用いた:
monoclonal anti-c-Myc(M4439, Sigma-Aldrich)、
monoclonal anti-beta-Actin(sc-47778, Santa Cruz)、
anti-mouse IgG HRP(NA9310-1ML,GE Healthcare)。
バンド強度はAmersham Imager 600 Analysis Software(GE Healthcare)を用いて分析した。
HeLa細胞株は10% FBS(ウシ胎児血清)及び100μM 2-メルカプトエタノール(21418-42、ナカライテスク)を添加したDMEM培地(08459-64、ナカライテスク)を用いて維持した。HT29ならびにHCT116細胞株は10% FBSを添加したDMEM培地を用いて維持した。レグネース1をコードするヒトZC3H12A遺伝子の全長野生型あるいはC末端短縮型変異(W453*)を有するcDNAを、pcDNA3.1(+)(V79020、ThermoFisher)に、N末端Mycタグ配列とともに挿入した。S438L変異Regnase-1はQuikChange Lightning Site-Directed Mutagenesis Kit (210519, Agilent)を用いて作成した。プラスミドDNAは、HeLa細胞にリポフェクタミン2000(Lipofectamine 2000;11668500、Thermo Fisher)を用いてメーカーのプロトコールに従って導入した。HeLa細胞は組換えヒトIL-17A(570502、Biolegend)を用いて刺激した。細胞は溶解バッファー(20mM Tris-HCl(pH=7.4)、150mM NaCl、0.5% NP-40、cOmplete Mini(EDTA-free、11836170001、Roche)、200 units/ml RNaseOUT(10777019、ThermoFisher))を用いて溶解した。溶解サンプルは7.5% PAGEゲル(E-T7.5L、ATTO)で分離し、Immun-Blot PVDF membranes (1620177、Bio-Rad)に転写した。
免疫ブロット解析には以下の抗体を用いた:
monoclonal anti-c-Myc(M4439, Sigma-Aldrich)、
monoclonal anti-beta-Actin(sc-47778, Santa Cruz)、
anti-mouse IgG HRP(NA9310-1ML,GE Healthcare)。
バンド強度はAmersham Imager 600 Analysis Software(GE Healthcare)を用いて分析した。
(5)結果
採取した大腸粘膜から上皮を分離後、個々の陰窩について、直接全ゲノム増幅(WGA)を行ったDNA試料を用いて全エキソームシーケンス(WES)を実施し、体細胞変異を検出した。潰瘍性大腸炎でない被験者(非UC被験者)の健常な小腸および大腸粘膜に関してWES解析を行い、年齢(0歳~86歳)と良好に相関した1588個の体細胞変異を同定した(図1)。炎症が大腸上皮に与える影響を調べるため、潰瘍性大腸炎患者(UC患者)から採取した正常粘膜から小腸および大腸の陰窩を単離して解析したところ、UC患者の正常粘膜においては1陰窩あたりの体細胞変異数は非UC被験者の正常粘膜と比べ3倍以上に増加し、有意に多かった(図1)。
UC患者の正常粘膜で検出された遺伝子変異を解析したところ、NFKBIZ、PIGR、ZC3H12A、TRAF3IP2、HNRNPF、ARID1A、ARID1B、KRAS、TP53、RNF43、ETV6、FBXW7、BCOR及びBCORL1の14遺伝子に対する変異が有意に正の選択を受けており、ドライバー変異と考えられた(「dN/dS>1.0」かつ「q<0.05」)。これらのうち、ほとんどの遺伝子に対する変異は、蛋白質の短縮を起こすことから、機能喪失型変異と考えられた。例外は、ZC3H12A、HNRNPFならびにKRAS遺伝子であり、これらの遺伝子はミスセンス変異が一部のアミノ酸に集中するホットスポットを形成していたことから、機能獲得型変異と考えられた(図2)。
これらのドライバー変異の共存排他関係を評価したところ、NFKBIZ、PIGR、ZC3H12A及びTRAF3IP2遺伝子は相互に排他的であった(図3)。TRAF3IP2はIL-17シグナル経路のアダプター蛋白質として機能することが知られていたため、IL-17シグナル経路に着目して解析したところ、IL17RA、IL17RC、TRAF5、RELA、MAPK14及びBTRC遺伝子においても蛋白質短縮型変異が見つかり、先の解析で見つかっていたドライバー変異と合わせるとNFKBIZ、PIGR、ZC3H12A、TRAF3IP2、IL17RA、IL17RC、TRAF5、RELA及びMAPK14の9遺伝子がIL-17シグナル経路に属していた(図4)。
以上の解析結果から、UC粘膜では、IL-17シグナル経路に属する遺伝子への頻繁な変異が認められ、いずれの変異もIL-17シグナル経路の活性化を抑制する方向の変異であることが判明した。
解析で同定されたZC3H12A(レグネース1)のホットスポット変異がレグネース1タンパク質に与える影響を実験的に検討した。ZC3H12Aのミスセンス変異のホットスポットはIKK複合体によって認識されリン酸化されるDSGxxS配列部に集中しており、中でもリン酸化される438番のセリン残基のミスセンス変異が最も多く観察された(図2)。DSGxxS配列部は炎症性の刺激によりリン酸化されたのち、ユビキチン化酵素であるβ-TrCPによって認識され、続いてポリユビキチン化を経てレグネース1の分解が促進されると報告されている(非特許文献8)。従って、UC粘膜におけるレグネース1の変異は、レグネース1の安定性を増すことでレグネース1蛋白質の発現量を上げると考えられる。レグネース1はIL-17シグナル経路を含む炎症性のシグナルを負に制御するため、レグネース1の変異も他の変異と同様にIL-17シグナル経路の活性化を抑制することが示唆された。
採取した大腸粘膜から上皮を分離後、個々の陰窩について、直接全ゲノム増幅(WGA)を行ったDNA試料を用いて全エキソームシーケンス(WES)を実施し、体細胞変異を検出した。潰瘍性大腸炎でない被験者(非UC被験者)の健常な小腸および大腸粘膜に関してWES解析を行い、年齢(0歳~86歳)と良好に相関した1588個の体細胞変異を同定した(図1)。炎症が大腸上皮に与える影響を調べるため、潰瘍性大腸炎患者(UC患者)から採取した正常粘膜から小腸および大腸の陰窩を単離して解析したところ、UC患者の正常粘膜においては1陰窩あたりの体細胞変異数は非UC被験者の正常粘膜と比べ3倍以上に増加し、有意に多かった(図1)。
UC患者の正常粘膜で検出された遺伝子変異を解析したところ、NFKBIZ、PIGR、ZC3H12A、TRAF3IP2、HNRNPF、ARID1A、ARID1B、KRAS、TP53、RNF43、ETV6、FBXW7、BCOR及びBCORL1の14遺伝子に対する変異が有意に正の選択を受けており、ドライバー変異と考えられた(「dN/dS>1.0」かつ「q<0.05」)。これらのうち、ほとんどの遺伝子に対する変異は、蛋白質の短縮を起こすことから、機能喪失型変異と考えられた。例外は、ZC3H12A、HNRNPFならびにKRAS遺伝子であり、これらの遺伝子はミスセンス変異が一部のアミノ酸に集中するホットスポットを形成していたことから、機能獲得型変異と考えられた(図2)。
これらのドライバー変異の共存排他関係を評価したところ、NFKBIZ、PIGR、ZC3H12A及びTRAF3IP2遺伝子は相互に排他的であった(図3)。TRAF3IP2はIL-17シグナル経路のアダプター蛋白質として機能することが知られていたため、IL-17シグナル経路に着目して解析したところ、IL17RA、IL17RC、TRAF5、RELA、MAPK14及びBTRC遺伝子においても蛋白質短縮型変異が見つかり、先の解析で見つかっていたドライバー変異と合わせるとNFKBIZ、PIGR、ZC3H12A、TRAF3IP2、IL17RA、IL17RC、TRAF5、RELA及びMAPK14の9遺伝子がIL-17シグナル経路に属していた(図4)。
以上の解析結果から、UC粘膜では、IL-17シグナル経路に属する遺伝子への頻繁な変異が認められ、いずれの変異もIL-17シグナル経路の活性化を抑制する方向の変異であることが判明した。
解析で同定されたZC3H12A(レグネース1)のホットスポット変異がレグネース1タンパク質に与える影響を実験的に検討した。ZC3H12Aのミスセンス変異のホットスポットはIKK複合体によって認識されリン酸化されるDSGxxS配列部に集中しており、中でもリン酸化される438番のセリン残基のミスセンス変異が最も多く観察された(図2)。DSGxxS配列部は炎症性の刺激によりリン酸化されたのち、ユビキチン化酵素であるβ-TrCPによって認識され、続いてポリユビキチン化を経てレグネース1の分解が促進されると報告されている(非特許文献8)。従って、UC粘膜におけるレグネース1の変異は、レグネース1の安定性を増すことでレグネース1蛋白質の発現量を上げると考えられる。レグネース1はIL-17シグナル経路を含む炎症性のシグナルを負に制御するため、レグネース1の変異も他の変異と同様にIL-17シグナル経路の活性化を抑制することが示唆された。
実施例2
UCとがんのドライバー変異の比較
UCとがんのドライバー変異の比較
(1)外部データセット
孤発性大腸がん(sporadic colorectal cancer(sCRC))患者由来の腫瘍、及び生殖系列検体のペアのWESデータ(bamファイル)は、The Cancer Genome Atlas(TCGA) Data Portal(https://portal.gdc.cancer.gov/)からダウンロードした。bamファイルはbiobambamを用いてfastq形式に変換し、同じパイプラインを用いて本研究で取得した新鮮検体に適用した方法で変異検出をおこなった。正確性のために、腫瘍からWGAを用いて得られた配列データは除外した。高変異性(hyper-mutated)腫瘍(≧12変異/106塩基)も解析から除外した。
(2)結果
UCに関しては、罹患7年を超える頃から発がん率が上昇し、腸炎関連性大腸がん(Colitis-associated cancer(CAC))に移行することが知られている。UC患者で認められた正常粘膜の遺伝子変異をCACで認められる遺伝子変異と比較するため、CACのWES解析を行った。CACで高度に変異する遺伝子として、TP53、KRAS、RNF43、APC、SMAD4が検出されたが、IL-17シグナル経路の遺伝子変異はPIGRを除いてほとんど観察されなかった(図5)。驚くべきことに、UC正常粘膜で最も頻繁に観察されるNFKBIZ変異はCACでは96例中1例も観察されなかった(図5、図2)。TCGAに格納されている高変異性(hyper-mutated)タイプを除く孤発性大腸がん(sporadic CRC(sCRC))の356例とも比較したところ、NFKBIZの変異は2例のみで、加えてこれらは全てミスセンス変異であり蛋白短縮型(機能欠損型)変異ではなかった。また、ZC3H12Aに対する変異も、CACおよびsCRCにおいてほとんど認められなかった(図5、図2)。
この結果は、UC正常粘膜からCACへの進化の過程で、NFKBIZの機能欠損変異は強い陰性選択を受けている可能性を示唆するものと考えられた。すなわち、NFKBIZの機能の欠損を起こした大腸上皮細胞は、がん化することができない、もしくは、がん化しても増殖ができない、あるいはその両方を伴うと考えられた。このことは、NFKBIZを抑制することで、がんの発生の抑制の効果、ならびに、発生したがんの増殖を抑制する効果があることを示唆した。
孤発性大腸がん(sporadic colorectal cancer(sCRC))患者由来の腫瘍、及び生殖系列検体のペアのWESデータ(bamファイル)は、The Cancer Genome Atlas(TCGA) Data Portal(https://portal.gdc.cancer.gov/)からダウンロードした。bamファイルはbiobambamを用いてfastq形式に変換し、同じパイプラインを用いて本研究で取得した新鮮検体に適用した方法で変異検出をおこなった。正確性のために、腫瘍からWGAを用いて得られた配列データは除外した。高変異性(hyper-mutated)腫瘍(≧12変異/106塩基)も解析から除外した。
(2)結果
UCに関しては、罹患7年を超える頃から発がん率が上昇し、腸炎関連性大腸がん(Colitis-associated cancer(CAC))に移行することが知られている。UC患者で認められた正常粘膜の遺伝子変異をCACで認められる遺伝子変異と比較するため、CACのWES解析を行った。CACで高度に変異する遺伝子として、TP53、KRAS、RNF43、APC、SMAD4が検出されたが、IL-17シグナル経路の遺伝子変異はPIGRを除いてほとんど観察されなかった(図5)。驚くべきことに、UC正常粘膜で最も頻繁に観察されるNFKBIZ変異はCACでは96例中1例も観察されなかった(図5、図2)。TCGAに格納されている高変異性(hyper-mutated)タイプを除く孤発性大腸がん(sporadic CRC(sCRC))の356例とも比較したところ、NFKBIZの変異は2例のみで、加えてこれらは全てミスセンス変異であり蛋白短縮型(機能欠損型)変異ではなかった。また、ZC3H12Aに対する変異も、CACおよびsCRCにおいてほとんど認められなかった(図5、図2)。
この結果は、UC正常粘膜からCACへの進化の過程で、NFKBIZの機能欠損変異は強い陰性選択を受けている可能性を示唆するものと考えられた。すなわち、NFKBIZの機能の欠損を起こした大腸上皮細胞は、がん化することができない、もしくは、がん化しても増殖ができない、あるいはその両方を伴うと考えられた。このことは、NFKBIZを抑制することで、がんの発生の抑制の効果、ならびに、発生したがんの増殖を抑制する効果があることを示唆した。
実施例3
NFKBIZのがんにおける役割の検証
NFKBIZのがんにおける役割の検証
(1)NFKBIZノックダウンの大腸がん細胞株に対する影響の解析
HT29およびHCT116細胞株に対して、NFKBIZを標的としたshRNA(「shNFKBIZ 1」及び「shNFKBIZ 2」)あるいは非標的配列(SHC002、Sigma)を含むpLKO.1-EGFPレンチウイルスを感染させた。遺伝子ノックダウン効果の測定のためのRNAは感染3日後に抽出した。ノックダウン効果はリアルタイムPCR法により評価した。感染2日後に、3000個の細胞を96ウェルプレートのそれぞれのウェルに播種し、細胞増殖を24時間間隔でCell Counting Kit-8(CK04、同仁化学研究所)を用いてメーカーのプロトコールに従って測定した。shRNA配列を表1に、PCRプライマー配列を表2に示す。
HT29およびHCT116細胞株に対して、NFKBIZを標的としたshRNA(「shNFKBIZ 1」及び「shNFKBIZ 2」)あるいは非標的配列(SHC002、Sigma)を含むpLKO.1-EGFPレンチウイルスを感染させた。遺伝子ノックダウン効果の測定のためのRNAは感染3日後に抽出した。ノックダウン効果はリアルタイムPCR法により評価した。感染2日後に、3000個の細胞を96ウェルプレートのそれぞれのウェルに播種し、細胞増殖を24時間間隔でCell Counting Kit-8(CK04、同仁化学研究所)を用いてメーカーのプロトコールに従って測定した。shRNA配列を表1に、PCRプライマー配列を表2に示す。
(2)NFKBIZノックアウトの腸炎関連性大腸がんモデルに対する影響の解析
以下の遺伝子改変したC57BL/6マウスを用いた。VilCre mice(004586)およびR26-LacZマウス(003309)はThe Jackson Laboratoryから入手した。Nfkbiz floxマウス(Okuma, A. et al.Immunity 38:450(2013)、RBRC06410)は理研バイオリソース研究センターから入手した。VilCreERマウス(el Marjou, F. et al. 39:186(2004))はSylvie Robineから譲渡された。Nfkbizfl/flVilCre(コンディショナルノックアウト、cKO)およびNfkbizfl/fl(対照)の同腹仔は、8週齢において12mg/g体重のアゾキシメタン(AOM)(A5486、SIGMA)を腹腔に注射し、その後、3サイクルの2%デキストラン硫酸ナトリウムを投与した(1サイクルは5日間のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)と、それに続く16日間の水の投与)。3サイクルのDSSの完了後、マウスは屠殺し、大腸を長軸方向に切開したのち、大腸における腫瘍の大きさと数を測定した。生じた腫瘍はHE染色ならびにβ-カテニンあるいはKi-67の免疫組織化学によって病理学的に評価した。各マウスに関して、体重、大腸の長さ、および腸炎の組織学的スコアを記録した。腸炎の組織学的スコアに関しては、HE染色スライドのランダムに選択した5つの高倍率視野において、既報に従い上皮の損傷と炎症細胞の浸潤を0から12まででスコア化し(Goto, N. et al. Cancer Res 77:3442 (2017))、その平均を解析に用いた。
以下の遺伝子改変したC57BL/6マウスを用いた。VilCre mice(004586)およびR26-LacZマウス(003309)はThe Jackson Laboratoryから入手した。Nfkbiz floxマウス(Okuma, A. et al.Immunity 38:450(2013)、RBRC06410)は理研バイオリソース研究センターから入手した。VilCreERマウス(el Marjou, F. et al. 39:186(2004))はSylvie Robineから譲渡された。Nfkbizfl/flVilCre(コンディショナルノックアウト、cKO)およびNfkbizfl/fl(対照)の同腹仔は、8週齢において12mg/g体重のアゾキシメタン(AOM)(A5486、SIGMA)を腹腔に注射し、その後、3サイクルの2%デキストラン硫酸ナトリウムを投与した(1サイクルは5日間のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)と、それに続く16日間の水の投与)。3サイクルのDSSの完了後、マウスは屠殺し、大腸を長軸方向に切開したのち、大腸における腫瘍の大きさと数を測定した。生じた腫瘍はHE染色ならびにβ-カテニンあるいはKi-67の免疫組織化学によって病理学的に評価した。各マウスに関して、体重、大腸の長さ、および腸炎の組織学的スコアを記録した。腸炎の組織学的スコアに関しては、HE染色スライドのランダムに選択した5つの高倍率視野において、既報に従い上皮の損傷と炎症細胞の浸潤を0から12まででスコア化し(Goto, N. et al. Cancer Res 77:3442 (2017))、その平均を解析に用いた。
(3)結果
NFKBIZが発生したがんの増殖に与える影響を検証するために、ヒト大腸がん細胞株であるHT29とHCT116に、NFKBIZを標的としたshRNAを発現するレンチウイルスを感染させ、NFKBIZ遺伝子のノックダウンを試みた。その結果、対照となる非標的配列shRNAと比較して、NFKBIZのノックダウンによって強く細胞株の増殖が抑制された(図6)。この結果によって、NFKBIZを抑制することで大腸がん細胞の増殖を抑制できることが実証された。
さらに、NFKBIZが腫瘍の発生に与える影響を検証するために、Nfkbizfl/fl;VilCreマウス(コンディショナルKOマウス(cKOマウス))と、対照となるNfkbizfl/flマウスを用いて、慢性DSS腸炎負荷条件下でのAOM投与によって誘発される炎症性腫瘍モデル(図7)における腫瘍発生を調べた。その結果、対照マウスと比べて、NFKBIZ cKOマウスでは有意に腫瘍発生が抑制される結果となった(図8、図9)。この結果によって、NFKBIZの機能を抑制することで大腸がんの腫瘍の発生を抑制できることが実証された。
NFKBIZが発生したがんの増殖に与える影響を検証するために、ヒト大腸がん細胞株であるHT29とHCT116に、NFKBIZを標的としたshRNAを発現するレンチウイルスを感染させ、NFKBIZ遺伝子のノックダウンを試みた。その結果、対照となる非標的配列shRNAと比較して、NFKBIZのノックダウンによって強く細胞株の増殖が抑制された(図6)。この結果によって、NFKBIZを抑制することで大腸がん細胞の増殖を抑制できることが実証された。
さらに、NFKBIZが腫瘍の発生に与える影響を検証するために、Nfkbizfl/fl;VilCreマウス(コンディショナルKOマウス(cKOマウス))と、対照となるNfkbizfl/flマウスを用いて、慢性DSS腸炎負荷条件下でのAOM投与によって誘発される炎症性腫瘍モデル(図7)における腫瘍発生を調べた。その結果、対照マウスと比べて、NFKBIZ cKOマウスでは有意に腫瘍発生が抑制される結果となった(図8、図9)。この結果によって、NFKBIZの機能を抑制することで大腸がんの腫瘍の発生を抑制できることが実証された。
実施例4
E3リガーゼ阻害剤GS143によるNFKBIZ遺伝子発現抑制試験
E3リガーゼ阻害剤GS143によるNFKBIZ遺伝子発現抑制試験
(1)細胞培養および試薬添加
1x106 個のHT29細胞株を、1.8mL/ウェルの培地を分注した6ウェルプレートに播種した。37℃で5%CO2存在の条件下にて24時間培養したのち、各々のプレートについて、GS143のDMSO溶液を終濃度が1μM、5μM、10μM、又は20μMとなるように添加した(終容積2.0mL)。コントロールとしてGS143を含まないDMSO溶液を同様に培地で希釈し添加した。さらに24時間後培養した。
1x106 個のHT29細胞株を、1.8mL/ウェルの培地を分注した6ウェルプレートに播種した。37℃で5%CO2存在の条件下にて24時間培養したのち、各々のプレートについて、GS143のDMSO溶液を終濃度が1μM、5μM、10μM、又は20μMとなるように添加した(終容積2.0mL)。コントロールとしてGS143を含まないDMSO溶液を同様に培地で希釈し添加した。さらに24時間後培養した。
(2)細胞培養および試薬添加
上述の細胞から核酸抽出装置であるMaxwell(プロメガ社製)および Maxwell(R) 16 LEV simplyRNA Purification Kits(プロメガ社製)を用い、添付のプロトコルに従ってRNAを調製した。即ち、GS143添加後、24時間培養した細胞をPBS(GIBCO社製)で1回洗浄後、トリプシンーEDTAを0.5mL添加し、37℃で5%CO2存在の条件下にて3分程度培養することで細胞を剥離した。キット添付の1-Thioglycerol/Homogenization Solutionを200μLに細胞を懸濁後、さらにキット添付のlysis bufferを200μLを添加し、15秒間ボルテックスすることで細胞ライセートを調製した。キット添付のカートリッジに400μLの細胞ライセートを添加し、該カートリッジをMaxwellにセット後、RNAを自動調製した。RNAはNanoDrop(Thermo scientific社製)で濃度を測定した。500ngのRNAを鋳型としてiScriptTM Reverse Transcription Supermix for RT-qPCR(バイオラッド社製)を用い、cDNAを合成した。合成したcDNA、ヒトNFKBIZもしくはヒトACTB遺伝子特異的なプライマー(Origene社製)、及びiTaq Universal SYBR(R) Green Supermix(バイオラッド社製)を用いてプロトコルに従いリアルタイムPCR反応溶液を調製し、CFX384(バイオラッド社製)で反応させ、該反応物を検出、定量した。各サンプルにおけるヒトNFKBIZの発現量をヒトACTBの発現量で補正した値を、それぞれのサンプルにおけるNFKBIZ発現レベルとし、さらに各サンプルにおけるNFKBIZ発現量をDMSO添加コントロールサンプルにおけるNFKBIZ発現量により補正した値を相対mRNA発現量(NFKBIZ/ACTB)として算出した(図10)。
上述の細胞から核酸抽出装置であるMaxwell(プロメガ社製)および Maxwell(R) 16 LEV simplyRNA Purification Kits(プロメガ社製)を用い、添付のプロトコルに従ってRNAを調製した。即ち、GS143添加後、24時間培養した細胞をPBS(GIBCO社製)で1回洗浄後、トリプシンーEDTAを0.5mL添加し、37℃で5%CO2存在の条件下にて3分程度培養することで細胞を剥離した。キット添付の1-Thioglycerol/Homogenization Solutionを200μLに細胞を懸濁後、さらにキット添付のlysis bufferを200μLを添加し、15秒間ボルテックスすることで細胞ライセートを調製した。キット添付のカートリッジに400μLの細胞ライセートを添加し、該カートリッジをMaxwellにセット後、RNAを自動調製した。RNAはNanoDrop(Thermo scientific社製)で濃度を測定した。500ngのRNAを鋳型としてiScriptTM Reverse Transcription Supermix for RT-qPCR(バイオラッド社製)を用い、cDNAを合成した。合成したcDNA、ヒトNFKBIZもしくはヒトACTB遺伝子特異的なプライマー(Origene社製)、及びiTaq Universal SYBR(R) Green Supermix(バイオラッド社製)を用いてプロトコルに従いリアルタイムPCR反応溶液を調製し、CFX384(バイオラッド社製)で反応させ、該反応物を検出、定量した。各サンプルにおけるヒトNFKBIZの発現量をヒトACTBの発現量で補正した値を、それぞれのサンプルにおけるNFKBIZ発現レベルとし、さらに各サンプルにおけるNFKBIZ発現量をDMSO添加コントロールサンプルにおけるNFKBIZ発現量により補正した値を相対mRNA発現量(NFKBIZ/ACTB)として算出した(図10)。
(3)結果
図10に示される通り、GS143(10μM以上の濃度)は、HT29細胞(ヒト結腸腺癌細胞)のNFKBIZの発現を有意に抑制した。
図10に示される通り、GS143(10μM以上の濃度)は、HT29細胞(ヒト結腸腺癌細胞)のNFKBIZの発現を有意に抑制した。
実施例5
E3リガーゼ阻害剤GS143によるレグネース1発現の安定化確認試験
E3リガーゼ阻害剤GS143によるレグネース1発現の安定化確認試験
(1)ウエスタンブロットによる発現確認
実施例4と同様にGS143を添加し、24時間培養した細胞を、セルスクレーパーで回収し、PBSで1回洗浄した。既報のプロトコルに従い、ウエスタンブロットによってレグネース1の発現を検出した。即ち、上述の細胞ペレットを50μLの1% SDSを含むLysis buffer(ナカライテスク製)で懸濁し、十分にボルテックスをしたのち、氷上で15分間インキュベートした。その後、10000g、15分、4℃にて遠心処理をし、上清を細胞ライセートとして回収した。タンパク質濃度をBCA Protein Assay(Thermofisher製)で測定し、1レーン当たり、20μgとなるようにSDS-PAGEに供した。SDS-PAGEのゲルはAny kDミニプロティアンTGXプレキャストゲル(バイオラッド、4569033)を用いた。レグネース1の発現は抗レグネース1抗体(GeneTex社製、GTX110807)にて、ローディングコントロールのβ-チューブリンの発現は抗β-チューブリン抗体(Cell Signaling Technology社製、2128S)にて検出した(図11)。
実施例4と同様にGS143を添加し、24時間培養した細胞を、セルスクレーパーで回収し、PBSで1回洗浄した。既報のプロトコルに従い、ウエスタンブロットによってレグネース1の発現を検出した。即ち、上述の細胞ペレットを50μLの1% SDSを含むLysis buffer(ナカライテスク製)で懸濁し、十分にボルテックスをしたのち、氷上で15分間インキュベートした。その後、10000g、15分、4℃にて遠心処理をし、上清を細胞ライセートとして回収した。タンパク質濃度をBCA Protein Assay(Thermofisher製)で測定し、1レーン当たり、20μgとなるようにSDS-PAGEに供した。SDS-PAGEのゲルはAny kDミニプロティアンTGXプレキャストゲル(バイオラッド、4569033)を用いた。レグネース1の発現は抗レグネース1抗体(GeneTex社製、GTX110807)にて、ローディングコントロールのβ-チューブリンの発現は抗β-チューブリン抗体(Cell Signaling Technology社製、2128S)にて検出した(図11)。
(2)結果
図11で示される通り、実施例5にてNFKBIZの発現低下が認められた10μM以上のGS143濃度にてレグネース1の発現量の増加が認められ、実施例5におけるNFKBIZ発現の抑制が、E3リガーゼ阻害に起因したレグネース1発現の安定化に起因していることが示唆された。
図11で示される通り、実施例5にてNFKBIZの発現低下が認められた10μM以上のGS143濃度にてレグネース1の発現量の増加が認められ、実施例5におけるNFKBIZ発現の抑制が、E3リガーゼ阻害に起因したレグネース1発現の安定化に起因していることが示唆された。
実施例6
E3リガーゼ阻害剤GS143による細胞増殖抑制試験
E3リガーゼ阻害剤GS143による細胞増殖抑制試験
(1)細胞増殖抑制試験
500個のHT29細胞株を90μL/ウェルの培地を分注した96ウェルプレートに播種した。37℃で5%CO2存在の条件下にて24時間培養したのち、各々のプレートに終濃度が1.25μM、2.5μM、5μM、10μM、20μMとなるようにGS143を添加し(終容積100μL)、さらに3日間培養した。その後、10μLのalamarBlue(R)Cell Viability Reagent(Thermofisher製)を添加し、1~2時間、37℃で5%CO2存在の条件下にて培養し、各サンプルの蛍光強度(励起波長/蛍光波長:540-570/580-610 nm)を蛍光プレートリーダーで測定した。DMSOコントロールサンプルにおける蛍光強度にて補正した値を細胞生存率(%)として算出した(図12)。
500個のHT29細胞株を90μL/ウェルの培地を分注した96ウェルプレートに播種した。37℃で5%CO2存在の条件下にて24時間培養したのち、各々のプレートに終濃度が1.25μM、2.5μM、5μM、10μM、20μMとなるようにGS143を添加し(終容積100μL)、さらに3日間培養した。その後、10μLのalamarBlue(R)Cell Viability Reagent(Thermofisher製)を添加し、1~2時間、37℃で5%CO2存在の条件下にて培養し、各サンプルの蛍光強度(励起波長/蛍光波長:540-570/580-610 nm)を蛍光プレートリーダーで測定した。DMSOコントロールサンプルにおける蛍光強度にて補正した値を細胞生存率(%)として算出した(図12)。
(2)結果
図12で示される通り、GS143は特に10μM以上の濃度において、強力な細胞増殖抑制効果を示した。当該10μM以上の濃度は、実施例8及び実施例9にてレグネース1の発現安定化及び、それに伴うNFKBIZ発現抑制が認められた濃度であることから、E3リガーゼ阻害剤は、レグネース1の発現を安定化し、NFKBIZの発現を低下させることで、大腸がん細胞株の細胞増殖を阻害することを見出した。
図12で示される通り、GS143は特に10μM以上の濃度において、強力な細胞増殖抑制効果を示した。当該10μM以上の濃度は、実施例8及び実施例9にてレグネース1の発現安定化及び、それに伴うNFKBIZ発現抑制が認められた濃度であることから、E3リガーゼ阻害剤は、レグネース1の発現を安定化し、NFKBIZの発現を低下させることで、大腸がん細胞株の細胞増殖を阻害することを見出した。
実施例7:治療例
(1)患者の選別
被験者のがんが、慢性炎症に伴うがんであることを、大腸内視鏡検査、注腸造影検査やCT検査、MRI検査などによって診断する。炎症状態は、被験者の血液の炎症パラメータの変化やがん組織の炎症病変の広がりや程度によって測定する。
(2)製剤
被験者を治療するための、NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーを含む製剤を提供する。薬剤はGS143(実施例7)のように調製する。
(3)治療
被験者のがんの種類、病態の進行度、GS143の適合性、治療履歴、健康状態などを勘案し、薬剤治療が適切と判断された場合に、GS143を投与する。
(4)結果
被験者の腫瘍の縮小や消失、炎症状態の軽快などがGS143投与により達成されることで治療効果が評価される。
(1)患者の選別
被験者のがんが、慢性炎症に伴うがんであることを、大腸内視鏡検査、注腸造影検査やCT検査、MRI検査などによって診断する。炎症状態は、被験者の血液の炎症パラメータの変化やがん組織の炎症病変の広がりや程度によって測定する。
(2)製剤
被験者を治療するための、NFKBIZインヒビター及び/又はレグネース1エンハンサーを含む製剤を提供する。薬剤はGS143(実施例7)のように調製する。
(3)治療
被験者のがんの種類、病態の進行度、GS143の適合性、治療履歴、健康状態などを勘案し、薬剤治療が適切と判断された場合に、GS143を投与する。
(4)結果
被験者の腫瘍の縮小や消失、炎症状態の軽快などがGS143投与により達成されることで治療効果が評価される。
実施例9:NFKBIZの腸炎における役割の検討
(1)方法
以下の遺伝子改変したC57BL/6マウスを用いた。VilCre mice(004586)およびR26-LacZマウス(003309)はThe Jackson Laboratoryから入手した。Nfkbiz floxマウス(Okuma, A. et al.Immunity 38:450(2013)、RBRC06410)は理研バイオリソース研究センターから入手した。VilCreERマウス(el Marjou, F. et al. 39:186(2004))はSylvie Robineから譲渡された。Nfkbizfl/flVilCre(コンディショナルノックアウト、cKO、n = 3)およびNfkbizfl/fl(対照、n = 3)の同腹仔に対して、5日間の1.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の投与を行った2日後に、腸粘膜からRNAを抽出し、リアルタイムPCR法によって炎症性サイトカインなどの遺伝子の発現量を測定した。
(2)結果
NfkbizコンディショナルノックアウトマウスにおけるDSS投与後の腸粘膜における種々の炎症性サイトカインの遺伝子発現量は、コントロールマウスと比較して有意に低下した(図13)。このことは、NFKBIZの機能の抑制が腸炎を緩和することを示唆した。
(1)方法
以下の遺伝子改変したC57BL/6マウスを用いた。VilCre mice(004586)およびR26-LacZマウス(003309)はThe Jackson Laboratoryから入手した。Nfkbiz floxマウス(Okuma, A. et al.Immunity 38:450(2013)、RBRC06410)は理研バイオリソース研究センターから入手した。VilCreERマウス(el Marjou, F. et al. 39:186(2004))はSylvie Robineから譲渡された。Nfkbizfl/flVilCre(コンディショナルノックアウト、cKO、n = 3)およびNfkbizfl/fl(対照、n = 3)の同腹仔に対して、5日間の1.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の投与を行った2日後に、腸粘膜からRNAを抽出し、リアルタイムPCR法によって炎症性サイトカインなどの遺伝子の発現量を測定した。
(2)結果
NfkbizコンディショナルノックアウトマウスにおけるDSS投与後の腸粘膜における種々の炎症性サイトカインの遺伝子発現量は、コントロールマウスと比較して有意に低下した(図13)。このことは、NFKBIZの機能の抑制が腸炎を緩和することを示唆した。
本発明に係るNFKBIZインヒビターは、慢性炎症に伴うがんに対して、極めて有用である。また本発明のスクリーニング方法は、がんの治療または予防薬の候補物質となる、NFKBIZインヒビターを探索するために有用である。
配列番号1:shNFKBIZ 1 標的配列
配列番号2:shNFKBIZ 1配列
配列番号3:shNFKBIZ 2 標的配列
配列番号4:shNFKBIZ 2配列
配列番号5:NFKBIZ フォワードプライマー
配列番号6:NFKBIZ リバースプライマー
配列番号7:18S rRNA フォワードプライマー
配列番号8:18S rRNA リバースプライマー
配列番号2:shNFKBIZ 1配列
配列番号3:shNFKBIZ 2 標的配列
配列番号4:shNFKBIZ 2配列
配列番号5:NFKBIZ フォワードプライマー
配列番号6:NFKBIZ リバースプライマー
配列番号7:18S rRNA フォワードプライマー
配列番号8:18S rRNA リバースプライマー
Claims (161)
- NFKBIZインヒビターを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
- 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項3に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項5に記載の医薬組成物。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項6に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、核酸である、請求項14に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、請求項14に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、低分子化合物である、請求項14に記載の医薬組成物。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項17に記載の医薬組成物。
- レグネース1エンハンサーを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
- 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項19に記載の医薬組成物。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項20に記載の医薬組成物。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項21に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項23に記載の医薬組成物。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項24に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項19~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、請求項19~26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、請求項19~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、請求項28に記載の医薬組成物。
- 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項29に記載の医薬組成物。
- 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項19~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記エンハンサーが、核酸である、請求項31に記載の医薬組成物。
- 前記エンハンサーが、抗体である、請求項26に記載の医薬組成物。
- 前記エンハンサーが、低分子化合物である、請求項26に記載の医薬組成物。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項34に記載の医薬組成物。
- E3リガーゼインヒビターを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
- 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項36に記載の医薬組成物。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項37に記載の医薬組成物。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項38に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項36~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項40に記載の医薬組成物。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項41に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項36~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項36~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、核酸である、請求項44に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、抗E3リガーゼ抗体である、請求項44に記載の医薬組成物。
- 前記インヒビターが、低分子化合物である、請求項44に記載の医薬組成物。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項47に記載の医薬組成物。
- NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者に投与されることを特徴とする、NFKBIZインヒビターを有効成分として含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
- 前記NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又は活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、請求項49に記載の組成物。 - 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項49又は50に記載の組成物。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項51に記載の組成物。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求52に記載の組成物。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項49~53のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項54に記載の組成物。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項55に記載の組成物。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項36~43のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、請求項49~57のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、請求項49~58のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、請求項49~59のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、請求項49~60のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項49~61のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項49~62のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、核酸である、請求項63に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、請求項63に記載の組成物。
- 前記インヒビターが、低分子化合物である、請求項63に記載の組成物。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項66に記載の組成物。
- 被験者のがん細胞におけるNFKBIZの遺伝子発現及び/又はNFKBIZの活性を測定することを含む、NFKBIZインヒビターの該被験者への有効性を予測する方法。
- 前記がん細胞におけるNFKBIZの遺伝子発現及び/又はNFKBIZの活性の測定が、
(1)前記被験者より取得したがん細胞のNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性を、健常者より採取した細胞中の前記NFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したNFKBIZ遺伝子の発現及び/又はNFKBIZの活性が、該対照値よりも大きい場合に、NFKBIZの発現が亢進している、及び/又はNFKBIZの活性が上昇していると判定する工程
を含む工程で決定される、請求項68に記載の方法。 - 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項68または69に記載の方法。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項68~70のいずれか一項に記載の方法。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項71に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項73に記載の方法。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項74に記載の方法。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項68~75のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、請求項68~76のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、請求項68~78のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、請求項68~79のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項68~80のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項68~81のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、核酸である、請求項82に記載の方法。
- 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、請求項82に記載の方法。
- 前記インヒビターが、低分子化合物である、請求項82に記載の方法。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項85に記載の方法。
- NFKBIZインヒビターをスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞にインヒビター候補を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該インヒビター候補を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該インヒビター候補を、NFKBIZインヒビターであると判定する工程、
を含む、方法。 - がんの治療及び/又は予防剤をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に治療及び/又は予防剤候補を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該治療及び/又は予防剤候補を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、及び
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該治療及び/又は予防剤候補を、がんの治療及び/又は予防剤であると判定する工程、
を含む、方法。 - NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該被験物質を作用させた後に、NFKBIZの遺伝子発現及び/又は活性を測定する工程、
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも小さい場合に、該被験物質を、NFKBIZの発現量を減少させる物質、及び/又はNFKBIZの機能を抑制する物質であると判定する工程、
を含む、方法。 - 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項87~89のいずれか一項に記載の方法。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項90に記載の方法。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項91に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項87~92のいずれか一項に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項93に記載の方法。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項94に記載の方法。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項87~95のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの発現を減少させる、及び/又はNFKBIZの機能を抑制するものである、請求項87~96のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZの核内移行を阻害するものである、請求項87~97のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZとp50との結合を阻害するものである、請求項87~98のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、NFKBIZを含む複合体よりなる転写因子が、特定のDNA配列と相互作用することを阻害するものである、請求項87~99のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項87~100のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項87~101のいずれか一項に記載の方法。
- 前記インヒビターが、核酸である、請求項102に記載の方法。
- 前記インヒビターが、抗NFKBIZ抗体である、請求項102に記載の方法。
- 前記インヒビターが、低分子化合物である、請求項102に記載の方法。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項105に記載の方法。
- レグネース1の発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者に投与されることを特徴とする、レグネース1エンハンサーを含む、がんを治療及び/又は予防するための医薬組成物。
- 前記レグネース1発現が低下している、及び/又はレグネース1の活性が低下している被験者が、
(1)該被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定されることを特徴とする、請求項107に記載の組成物。 - 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項107又は108に記載の組成物。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項109に記載の組成物。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項110に記載の組成物。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項107~111のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項112に記載の組成物。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項113に記載の組成物。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項107~114のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、請求項107~115のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、請求項107~116のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、請求項117に記載の組成物。
- 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項107~118のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項107~119のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記エンハンサーが、核酸である、請求項120に記載の組成物。
- 前記エンハンサーが、抗体である、請求項120に記載の組成物。
- 前記エンハンサーが、低分子化合物である、請求項120に記載の組成物。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項123に記載の組成物。
- 被験者のがん細胞におけるレグネース1の発現及び/又は活性を測定することを含む、レグネース1エンハンサーの該被験者への有効性を予測する方法。
- 前記がん細胞におけるレグネース1の発現及び/又は活性の測定が、
(1)前記被験者より取得したがん細胞のレグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性を、健常者より採取した細胞中の前記レグネース1の発現及び/又は活性(以下、対照値という)と比較する工程、及び
(3)(2)の結果に基づき、(1)で定量したレグネース1の発現及び/又は活性が、対照値よりも小さい場合に、レグネース1の発現及び/又は活性が低下していると判定する工程
を含む工程で決定される、請求項125に記載の方法。 - 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項125又は126に記載の方法。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項127に記載の方法。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項128に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項125~129のいずれか一項に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項130に記載の方法。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項131に記載の方法。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項125~132のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、請求項125~133のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、請求項125~134のいずれか一項に記載の方法。
- 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、請求項135に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項125~136のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項125~137のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、核酸である、請求項138に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、抗体である、請求項138に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、低分子化合物である、請求項138に記載の方法。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項141に記載の方法。
- レグネース1エンハンサーをスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞にエンハンサー候補を作用させずに、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該エンハンサー候補を作用させた後に、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該エンハンサー候補を、レグネース1エンハンサーであると判定する工程、
を含む、方法。 - がんの治療及び/又は予防剤をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に治療及び/又は予防剤を作用させずに、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該治療及び/又は予防剤候補を作用させた後に、レグネース1の発現及び/又は活性を測定する工程、
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該治療及び/又は予防剤候補を、がんの治療及び/又は予防剤であると判定する工程、
を含む、方法。 - レグネース1の活性を増強する物質をスクリーニングする方法であって、
(1)がん細胞に被験物質を作用させずに、レグネース1の活性を測定する工程、
(2)該がん細胞に該被験物質を作用させた後に、レグネース1の活性を測定する工程、
(3)(2)の結果が、(1)の結果よりも大きい場合に、該被験物質を、レグネース1の活性を増強する物質であると判定する工程、
を含む、方法。 - 前記がんが、慢性炎症に伴うがんである、請求項143~145のいずれか一項に記載の方法。
- 前記慢性炎症に伴うがんが、炎症性腸疾患に合併したがんである、請求項146に記載の方法。
- 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項147に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胸腺腫・胸腺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、肝細胞がん、膵がん、消化管間質腫瘍、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、腎細胞がん、睾丸腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、及び軟部肉腫からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項143~148のいずれか一項に記載の方法。
- 前記がんが、大腸がんである、請求項149に記載の方法。
- 前記大腸がんが、盲腸がん、結腸がん、直腸がん、及び肛門がんからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項150に記載の方法。
- 前記がんが、潰瘍性大腸炎における腸炎関連性がんである、請求項143~151のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、レグネース1の活性を増強するものである、請求項143~152のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、レグネース1分解酵素を阻害するものである、請求項143~153のいずれか一項に記載の方法。
- 前記レグネース1分解酵素が、レグネース1リン酸化酵素、又はレグネース1ユビキチン化酵素である、請求項154に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、E3リガーゼ阻害活性を有する、請求項143~155のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、核酸、抗体、低分子化合物、又は高分子化合物である、請求項143~156のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、核酸である、請求項157に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、抗体である、請求項157に記載の方法。
- 前記エンハンサーが、低分子化合物である、請求項157に記載の方法。
- 前記低分子化合物が、4-(3-ベンジル-4-(5-(2-フルオローフェニル)-フラン-2-イルメチレン)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-安息香酸(GS143)である、請求項160に記載の方法。
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- 2019-08-05 JP JP2019143895A patent/JP2022137317A/ja active Pending
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Publication number | Publication date |
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