JP2022135799A - レジスト組成物用樹脂溶液、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法、レジスト組成物、レジスト組成物の製造方法、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及びレジスト組成物用樹脂溶液の保管方法 - Google Patents

レジスト組成物用樹脂溶液、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法、レジスト組成物、レジスト組成物の製造方法、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及びレジスト組成物用樹脂溶液の保管方法 Download PDF

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Shuhei Yamaguchi
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Eiji Fukuzaki
太朗 三好
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Abstract

【課題】酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂を含有するレジスト組成物用樹脂溶液であって、保存安定性に優れ、かつ上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度に優れる、レジスト組成物用樹脂溶液等を提供すること。【解決手段】酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂と、分子量が250以下の塩基性化合物と、溶剤とを含有する樹脂溶液であって、上記塩基性化合物の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmであり、上記樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下である、レジスト組成物用樹脂溶液、上記レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法、上記レジスト組成物、上記レジスト組成物の製造方法、上記レジスト組成物を用いたパターン形成方法及び電子デバイスの製造方法、並びに上記レジスト組成物用樹脂溶液の保管方法。【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物用樹脂溶液、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法、レジスト組成物、レジスト組成物の製造方法、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及びレジスト組成物用樹脂溶液の保管方法に関する。
従来、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)などの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、レジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域又はクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られ、現在では193nm波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。また、更に解像力を高める技術として、従来から投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、所謂、液浸法の開発が進んでいる。
また、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線(EB)、X線及び極紫外線(EUV)等を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。これに伴い、各種の活性光線又は放射線に有効に感応するレジスト組成物が開発されている。
レジスト組成物に用いられる樹脂として様々な樹脂が知られているが、例えば特許文献1には、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(「酸発生繰り返し単位」とも呼ぶ。)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(「酸分解性繰り返し単位」とも呼ぶ。)を有する樹脂が記載されている。
酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂は、酸発生繰り返し単位から発生する微量の酸でも酸分解性繰り返し単位が分解するため、取り扱いが難しい。特許文献2には、酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂を合成する方法であって、特定の塩基性化合物を添加した溶液中で重合反応を行う方法が記載されている。特許文献2には、上記方法により、酸発生繰り返し単位から発生する酸を、上記塩基性化合物が中和することで、酸分解性繰り返し単位の分解を抑制することができると記載されている。
特開2010-237661号公報 特開2016-141795号公報
特許文献2には、レジストの低感度化を抑制するために、上記樹脂を合成した後、洗浄や晶析によって上記塩基性化合物を取り除くことが記載されている。
しかしながら、本発明者らの検討により、酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂の溶液(樹脂溶液)から塩基性化合物を取り除くと、樹脂溶液の保存安定性が低下することが分かった。したがって、例えば、樹脂を合成した後、樹脂溶液の状態で保存し、一定の時間が経過した後に上記樹脂溶液を用いてレジスト組成物を製造する場合には、十分な性能が発揮されないという問題が発生する。
一方で、上記樹脂溶液に塩基性化合物を含有させた状態で保存した場合、保存後の樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度が低下してしまうことが分かった。これは、レジスト組成物には、通常、求められる性能に応じて、各種の酸拡散制御剤が使用されるが、上記樹脂溶液に酸拡散制御剤を添加すると、元々添加されていた塩基性化合物の影響によって、意図した性能が得られないためであると考えられる。
このように、酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂を含有するレジスト組成物用樹脂溶液の保存安定性と、上記樹脂溶液を用いて得られるレジスト組成物の感度とは、トレードオフの関係にあることが分かった。
本発明の課題は、酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂を含有するレジスト組成物用樹脂溶液であって、保存安定性に優れ、かつ上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度に優れる、レジスト組成物用樹脂溶液、上記レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法、上記レジスト組成物、上記レジスト組成物の製造方法、上記レジスト組成物を用いたパターン形成方法及び電子デバイスの製造方法、並びに上記レジスト組成物用樹脂溶液の保管方法を提供することにある。
本発明では、塩基性化合物をごく少量使用し、かつ塩基性化合物の分子量を十分に小さいものとすることで、レジスト組成物用樹脂溶液の保存安定性と、これを用いて製造したレジスト組成物の感度とを両立させることができた。分子量が小さい塩基性化合物を少量用いることで、レジスト組成物用樹脂溶液中の酸発生繰り返し単位から発生する酸を中和できる。更に、上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物は、レジスト膜を形成する際のベーク処理で上記塩基性化合物が揮発するため、感度などのレジスト組成物の性能に影響を与えないと考えられる。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1]
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、溶剤とを含有する樹脂溶液であって、
上記塩基性化合物の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmであり、
上記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
上記樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下である、レジスト組成物用樹脂溶液。
[2]
上記塩基性化合物の共役酸のpKaが4.8以上である、[1]に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
[3]
上記塩基性化合物の分子量が17以上250以下である、[1]又は[2]に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
[4]
上記塩基性化合物が、下記一般式(Am-1)で表される化合物、含窒素複素環構造を有する化合物、及びアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1つである、[1]~[3]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
Figure 2022135799000001
一般式(Am-1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、1価の脂肪族炭化水素基、アリール基又はアラルキル基を表す。R~Rのうち、少なくとも2つが互いに連結して環を形成しても良い。
[5]
上記塩基性化合物が、上記一般式(Am-1)で表される化合物、及び上記含窒素複素環構造を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1つである、[4]に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
[6]
上記樹脂(A)が、更に、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
[7]
上記繰り返し単位(P2)が、下記一般式(B-1)で表される繰り返し単位である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
Figure 2022135799000002
一般式(B-1)中、R11は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。Arはアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。mは1~4の整数を表す。Yは酸の作用により分解し脱離する基を表す。
[8]
上記繰り返し単位(P1)が、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
Figure 2022135799000003
一般式(A-1)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。Xは単結合又は2価の連結基を表す。Rc1~Rc3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Rc1~Rc3のうち2つが結合して環構造を形成してもよい。
[9]
上記繰り返し単位(P1)が、下記一般式(A-2)で表される繰り返し単位である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
Figure 2022135799000004
一般式(A-2)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。nは0又は1を表す。Ara1及びAra2はそれぞれ独立にアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Lはアルキレン基、カルボニル基、酸素原子、又はこれらが複数結合した2価の連結基を表す。pは0~2の整数を表す。ただし、n+pは1以上である。Rc1~Rc3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Rc1~Rc3のうち2つが結合して環構造を形成してもよい。
[10]
上記塩基性化合物の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して10ppm~500ppmである、[1]~[9]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
[11]
上記化合物(X)の重合性基が、エチレン性不飽和二重結合を有する基である、[1]~[10]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
[12]
[1]~[11]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液の製造方法であって、
上記樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)に対して貧溶媒を加えて上記樹脂(A)を沈殿させる方法、又は、上記樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)を貧溶媒に対して加えて上記樹脂(A)を沈殿させる方法で精製を行った後に、再度、上記樹脂(A)を溶媒に溶解させて溶液(b)を調製し、上記溶液(b)に対して上記塩基性化合物を添加する工程を含む、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法。
[13]
[1]~[11]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液の製造方法であって、
上記樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)と、上記溶液(a)と分離する貧溶媒とを混合した後2層に分離させ、上記溶液(a)中の不純物を上記貧溶媒に抽出して精製を行った後に、上記塩基性化合物を添加する工程を含む、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法。
[14]
[1]~[11]のいずれか1つに記載のレジスト組成物用樹脂溶液を用いてレジスト組成物を製造する、レジスト組成物の製造方法。
[15]
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、酸拡散制御剤と、溶剤とを含有するレジスト組成物であって、
上記塩基性化合物の含有量が、上記レジスト組成物全体の質量に対して1ppm~300ppmであり、
上記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
上記酸拡散制御剤の分子量が251以上である、レジスト組成物。
[16]
上記塩基性化合物の共役酸のpKaが4.8以上である、[15]に記載のレジスト組成物。
[17]
上記塩基性化合物の分子量が17以上250以下である、[15]又は[16]に記載のレジスト組成物。
[18]
[15]~[17]のいずれか1つに記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
上記レジスト膜を露光する露光工程と、
露光された上記レジスト膜を、現像液を用いて現像する現像工程と、を含むパターン形成方法。
[19]
上記露光工程において、露光光源として電子線を用いる、[18]に記載のパターン形成方法。
[20]
[18]又は[19]に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
[21]
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、溶剤とを含有する樹脂溶液の保管方法であって、
上記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
上記樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下であり、
上記塩基性化合物の含有量を、上記樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmとする、レジスト組成物用樹脂溶液の保管方法。
本発明により、酸発生繰り返し単位、及び酸分解性繰り返し単位を有する樹脂を含有するレジスト組成物用樹脂溶液であって、保存安定性に優れ、かつ上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度に優れる、レジスト組成物用樹脂溶液、上記レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法、上記レジスト組成物、上記レジスト組成物の製造方法、上記レジスト組成物を用いたパターン形成方法及び電子デバイスの製造方法、並びに上記レジスト組成物用樹脂溶液の保管方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)、X線、軟X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種を表す。また(メタ)アクリル酸はアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種を表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー株式会社製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶剤:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー株式会社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書中における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書において、表記される2価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、Yは、-CO-O-であってもよく、-O-CO-であってもよい。また、上記化合物は「X-CO-O-Z」であってもよく、「X-O-CO-Z」であってもよい。
本明細書において、酸解離定数(pKa)とは、水溶液中でのpKaを表し、具体的には、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求められる値である。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)。
また、pKaは、分子軌道計算法によっても求められる。この具体的な方法としては、熱力学サイクルに基づいて、水溶液中におけるH解離自由エネルギーを計算することで算出する手法が挙げられる。H解離自由エネルギーの計算方法については、例えばDFT(密度汎関数法)により計算することができるが、他にも様々な手法が文献等で報告されており、これに制限されるものではない。なお、DFTを実施できるソフトウェアは複数存在するが、例えば、Gaussian16が挙げられる。
本明細書中において、pKaとは、上述した通り、ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を計算により求められる値を指すが、この手法によりpKaが算出できない場合には、DFT(密度汎関数法)に基づいてGaussian16により得られる値を採用するものとする。
また、本明細書中において、pKaは、上述した通り「水溶液中でのpKa」を指すが、水溶液中でのpKaが算出できない場合には、「ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中でのpKa」を採用するものとする。
<レジスト組成物用樹脂溶液>
本発明のレジスト組成物用樹脂溶液(単に「樹脂溶液」ともいう)は、
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、溶剤とを含有する樹脂溶液であって、
上記塩基性化合物の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmであり、
上記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
上記樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下である、レジスト組成物用樹脂溶液である。
以下、本発明の樹脂溶液に含まれる成分について説明する。
[樹脂(A)]
樹脂(A)は、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂である。
(繰り返し単位(P1))
繰り返し単位(P1)は、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位であれば、特に限定されず、いずれの構造であってもよい。
繰り返し単位(P1)としては、例えば、下記一般式(III)~(IV)のいずれかで表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2022135799000005
ここで、R04、R05及びR07は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、カルボキシル基、-CO-OR25又は-CO-N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
及びXは、各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
26及びR27は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表す。
一般式(III)~(IV)における、R04、R05及びR07のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3~8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
アリール基としては、置換基を有していても良い炭素数6~14個の単環、多環の芳香族基が好ましく、具体的にはフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またアリール基同士が結合して、複環を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R04~R05、R07におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
及びXが2価の連結基を表す場合の2価の連結基としては、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、-O-、-SO-、-CO-、-N(R33)-又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が好ましい。
33は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
33のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
及びXのアリーレン基は、置換基を有していても良い炭素数6~14個のものが好ましく、具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
及びXのヘテロアリーレン基は、環員としてヘテロ原子を含む2価の芳香族基(2価の芳香族ヘテロ環基)であり、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが挙げられる。ヘテロアリーレン基の炭素数は4~20が好ましく、5~12がより好ましい。ヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等から2つの水素原子を除してなる基が挙げられる。
及びXのアルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1~8個のものが挙げられる。
及びXのシクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していても良いシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5~8個のものが挙げられる。
一般式(III)~(IV)における各基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、R04、R05及びR07で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基、並びに、フェニル基及びナフチル基などの芳香環基が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表し、具体的には光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物が有する構造部位が挙げられる。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造部位としては、例えば、下記光酸発生剤が有しているイオン性構造部位を挙げることができる。
S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et.al.,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩。
D.C.Necker et.al.,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et.al.,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩。
J.V.Crivello et.al.,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2-150,848号、特開平2-296,514号等に記載のヨードニウム塩。
J.V.Crivello et.al.,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et.al..J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et.al.,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et.al.,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et.al.,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et.al.,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同3,902,114号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩。
J.V.Crivello et.al.,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et.al.,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩。
C.S.Wen et.al.,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩。
Aは、イオン性の構造部位であることが好ましく、スルホニウム塩又はヨードニウム塩を含んだ構造部位であることがより好ましい。
また、Aとしては、活性光線又は放射線の照射により分解して、樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造部位であることがより好ましい。この場合、繰り返し単位(P1)から発生する酸が樹脂に担持されているため、本発明の樹脂溶液を用いて調製されたレジスト組成物において、酸の拡散性が抑制され、解像度及びラフネス特性を向上させることができる。Aは、下記一般式(ZIa)又は(ZIIa)で表される基であることが特に好ましい。
下記一般式(ZIa)及び(ZIIa)において、*はX又はXとの結合位置を表す。
Figure 2022135799000006
上記一般式(ZIa)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30、好ましくは1~20である。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましい。非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これにより樹脂の経時安定性が向上し、樹脂溶液の経時安定性も向上する。
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する(ZI-1a)、(ZI-2a)、(ZI-3a)又は(ZI-4a)で表される基(それぞれ、(ZI-1a)基、(ZI-2a)基、(ZI-3a)基、及び(ZI-4a)基とも呼ぶ。)における対応する基を挙げることができる。
更に好ましい(ZIa)で表される基として、以下に説明する(ZI-1a)基、(ZI-2a)基、(ZI-3a)基、及び(ZI-4a)基を挙げることができる。
(ZI-1a)基は、上記一般式(ZIa)におけるR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウムをカチオンとする基である。
201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
例えば、トリアリールスルホニウム、ジアリールアルキルスルホニウム、アリールジアルキルスルホニウム、ジアリールシクロアルキルスルホニウム、アリールジシクロアルキルスルホニウムに相当する基を挙げることができる。
アリールスルホニウムにおけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の構造を挙げることができる。アリールスルホニウムが2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウムが必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201~R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~14)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1~12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数1~12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201~R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201~R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp-位に置換していることが好ましい。
次に、(ZI-2a)基について説明する。
(ZI-2a)基は、一般式(ZIa)におけるR201~R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す基である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香環も包含するものである。
201~R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20である。
201~R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2-オキソアルキル基である。
201~R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1~10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3~10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2-オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2-オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
2-オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2-オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1~5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
(ZI-3a)基及び(ZI-4a)基とは、それぞれ、下記一般式(ZI-3a)又は(ZI-4a)により表される基である。(ZI-3a)基及び(ZI-4a)基は、ArFの露光波長(193nm)に対する透明性が高い。
Figure 2022135799000007
一般式(ZI-3a)中、Mは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基を表し、環構造を有するとき、環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、または炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
1c及びR2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
及びRが結合して環を形成してもよい。
M、R1c及びR2cの少なくとも2つが結合して環を形成してもよく、上記環構造に炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
は、非求核性アニオンを表す。Zは、先に一般式(ZIa)について説明したものと同義である。
*はX又はXとの結合位置を表す。
一般式(ZIa-4)中、
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
14は複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15は、互いに結合して、環を形成していてもよい。
kは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
は、非求核性アニオンを表す。Zは、先に一般式(ZIa)について説明したものと同義である。
*はX又はXとの結合位置を表す。
まず、一般式(ZI-3a)により表される基について説明する。
Mは、上述したように、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基を表し、環構造を有するとき、環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル原子、アミド結合または炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
Mとしてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1~20であることが好ましく、炭素数が1~12であることがより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基を挙げることができる。
Mとしてのシクロアルキル基は、炭素数が3~12個のであることが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などを挙げることができる。
Mとしてのアリール基は、炭素数が5~15であることが好ましい。このようなアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
Mとしての各基は、置換基として、シクロアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子、フェニルチオ基等を有していてもよい。Mとしてのシクロアルキル基及びアリール基は、置換基として、アルキル基を有していてもよい。これら置換基の炭素数は、15以下であることが好ましい。
Mがフェニル基である場合、置換基として、少なくとも1つのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、又はフェニルチオ基を有することが好ましい。また、この場合、置換基の炭素数の和が2~15であることが更に好ましい。このような構成を採用すると、酸発生剤の溶剤への溶解性が向上し、保存時におけるパーティクルの発生を更に抑制することが可能となる。
1c及びR2cの各々は、上述したように、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
このアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1~12であることが好ましく、炭素数が1~5であることがより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、及び直鎖又は分岐鎖プロピル基が挙げられる。
シクロアルキル基は、例えば、炭素数3~12のシクロアルキル基であり、好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などを挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
1c及びR2cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数5~15であり、例えば、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。
上述したように、M、R1c及びR2cのうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、好ましくは3~12員環、より好ましくは3~10員環、更に好ましくは3~6員環が挙げられる。この環は、炭素-炭素二重結合を備えていてもよい。
1cとR2cとが結合して環を形成する場合に、R1cとR2cとが結合して形成する基としては、炭素数2~10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R1cとR2cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
及びRの各々は、上述したように、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、シクロアルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
アルキル基としては、例えば、先にR1c及びR2cのアルキル基として説明したのと同様のものが挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3~12のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロデシル基が挙げられる。
2-オキソアルキル基としては、例えば、上記アルキル基の2位に>C=Oを備えた基が挙げられる。
アルコキシカルボニルメチル基のアルコキシ基部分は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシ基部分は、炭素数が1~10であることが好ましく、炭素数が1~5であることがより好ましい。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、及び直鎖又は分岐ペントキシ基が挙げられる。
シクロアルコキシカルボニルアルキル基のシクロアルコキシ基部分は、炭素数が3~8であることが好ましい。このようなシクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。また、アルコキシカルボニルアルキル基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1~12のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1~5の直鎖アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基を挙げることができる。
上述したように、RとRとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。R及びRが互いに結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
アリル基としては、特に制限は無いが、無置換の単環若しくは多環のシクロアルキル基で置換されたアリル基であることが好ましい。
ビニル基としては、特に制限は無いが、無置換の単環若しくは多環のシクロアルキル基で置換されたビニル基であることが好ましい。
及びRの各々は、炭素数4以上のアルキル基であることが好ましく、炭素数6以上のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8以上のアルキル基であることが更に好ましい。
一般式(ZI-3a)中のZとしては、先に一般式(ZIa)において説明したのと同様のアニオンが挙げられる。
以下に、一般式(ZI-3a)中のカチオンの具体例を挙げる。
Meはメチル基を表す。
Figure 2022135799000008
Figure 2022135799000009
次に、一般式(ZI-4a)により表される基について説明する。
一般式(ZI-4a)中、
kは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI-4a)において、R13、R14及びR15のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状である。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、又はt-ブチル基等がより好ましい。
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましく、一般式(ZIa)におけるZと同様のものを挙げることができる。
Aとしては、下記一般式(ZCI)又は(ZCII)で表される基も好ましい例として挙げられる。
下記一般式(ZCI)及び(ZCII)において、*はX又はXとの結合位置を表す。
Figure 2022135799000010
上記一般式(ZCI)において、
301、R302は、各々独立に、有機基を表す。
301、R302としての有機基の炭素数は、一般的に1~30、好ましくは1~20である。
また、R301~R302が結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
301、R302の有機基として具体的には、例えば上記一般式(ZIa)におけるR201~R203の例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
Mはプロトンが付与して酸を形成する原子団を表す。
303は有機基を表す。R303としての有機基の炭素数は、一般的に1~30、好ましくは1~20である。R303の有機基として具体的には、例えば上記一般式(ZIIa)におけるR204、R205の具体例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
また、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造部位としては、例えば、下記光酸発生剤が有しているスルホン酸前駆体となる構造部位を挙げることができる。
例えば、
M.TUNOOKA et.al.,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner et.al.,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs et.al.,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachiet.al.,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号の各明細書、特開昭64-18143号、特開平2-245756号、特開平4-365048号等の各公報に記載のイミノスルフォネ-ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物。
特開昭61-166544号公報等に記載のジスルホン化合物。
さらに、V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad et.al.,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton et.al.,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物。
繰り返し単位(P1)は、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2022135799000011
一般式(A-1)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。Xは単結合又は2価の連結基を表す。Rc1~Rc3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Rc1~Rc3のうち2つが結合して環構造を形成してもよい。
一般式(A-1)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。
21のアルキル基、アリール基、ハロゲン原子は、それぞれ前述の一般式(III)における、R04について記載したものと同様である。
21は水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数8以下のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが更に好ましい。
一般式(A-1)中のXは、前述の一般式(III)におけるXと同様である。
一般式(A-1)中、Rc1~Rc3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
c1~Rc3のアルキル基、アリール基は、それぞれ前述の一般式(ZIa)における、R201~R203について記載したものと同様である。Rc1~Rc3のヘテロアリール基は、環員としてヘテロ原子を含む芳香族基(芳香族ヘテロ環基)であり、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが挙げられる。ヘテロアリール基の炭素数は4~20が好ましく、5~12がより好ましい。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等から1つの水素原子を除してなる基が挙げられる。
c1~Rc3のアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基は置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、アルキル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基、並びに、フェニル基及びナフチル基などの芳香環基が挙げられる。
c1~Rc3はアルキル基又はアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましい。
アルキル基としては、炭素数1~10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)が好ましい。また、2-オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基も好ましい例として挙げることができる。2-オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アリール基としては、炭素数6~14のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)が好ましい。
繰り返し単位(P1)は、下記一般式(A-2)で表される繰り返し単位であることが更に好ましい。
Figure 2022135799000012
一般式(A-2)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。nは0又は1を表す。Ara1及びAra2はそれぞれ独立にアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Lはアルキレン基、カルボニル基、酸素原子、又はこれらが複数結合した2価の連結基を表す。pは0~2の整数を表す。ただし、n+pは1以上である。Rc1~Rc3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Rc1~Rc3のうち2つが結合して環構造を形成してもよい。
一般式(A-2)中、R21、Rc1~Rc3は、それぞれ前述の一般式(A-1)におけるR21、Rc1~Rc3と同じ意味を表し、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(A-2)中、Ara1及びAra2はそれぞれ独立にアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表し、アリーレン基を表すことが好ましい。アリーレン基としては、炭素数6~14のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基)が好ましい。ヘテロアリーレン基は、環員としてヘテロ原子を含む2価の芳香族基(2価の芳香族ヘテロ環基)であり、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが挙げられる。ヘテロアリーレン基の炭素数は4~20が好ましく、5~12がより好ましい。ヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等から2つの水素原子を除してなる基が挙げられる。
Ara1及びAra2のアリーレン基及びヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、アルキル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基が挙げられる。
一般式(A-2)中、Lはアルキレン基、カルボニル基、酸素原子、又はこれらが複数結合した2価の連結基を表す。アルキレン基としては、炭素数1~10の直鎖又は分岐アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基)が好ましい。上記アルキレン基は置換基を有していてもよい。
は、アルキレン基、カルボニル基及び酸素原子からなる群より選ばれる2つ以上が結合した2価の連結基であってもよく、このような例としては、アルキレンオキシ基、エステル結合などが挙げられる。
一般式(A-2)中、nは0又は1を表し、1を表すことが好ましい。
一般式(A-2)中、pは0~2の整数を表し、0又は1を表すことが好ましい。
n+pは1以上であり、1又は2であることが好ましい。
以下に、繰り返し単位(P1)の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。Phはフェニル基を表す。
Figure 2022135799000013
Figure 2022135799000014
Figure 2022135799000015
Figure 2022135799000016
Figure 2022135799000017
Figure 2022135799000018
Figure 2022135799000019
Figure 2022135799000020
Figure 2022135799000021
樹脂(A)を含む樹脂溶液をArF露光用レジスト組成物に用いる場合、繰り返し単位(P1)の少なくとも一部は、ナフタレン環以外の芳香環を含んでいないことが好ましい。樹脂(A)を含む樹脂溶液をEB又はEUV露光用レジスト組成物に用いる場合、2次電子発生効率の観点から、繰り返し単位(P1)の少なくとも一部が芳香環を含んでいることが好ましい。
樹脂(A)が有する繰り返し単位(P1)の種類は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
繰り返し単位(P1)の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、0.5~80モル%の範囲が好ましく、より好ましくは1~60モル%の範囲であり、さらに好ましくは3~40モル%の範囲である。
樹脂(A)を含む樹脂溶液をArF露光用レジスト組成物に用いる場合、ナフタレン環以外の芳香環を含む繰り返し単位(P1)の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、0~80モル%の範囲が好ましく、より好ましくは0~60モル%の範囲であり、さらに好ましくは0~40モル%の範囲である。
樹脂(A)を含む樹脂溶液をEB又はEUV露光用レジスト組成物に用いる場合、芳香環基を含む繰り返し単位(P1)の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、0.5~80モル%の範囲が好ましく、より好ましくは1~60モル%の範囲であり、さらに好ましくは1~40モル%の範囲である。
(繰り返し単位(P2))
繰り返し単位(P2)は、酸の作用により分解して極性が増大する基(「酸分解性基」ともいう)を有する繰り返し単位であれば、特に限定されず、いずれの構造であってもよい。
繰り返し単位(P2)を、「酸分解性基を有する繰り返し単位」ともいう。
樹脂(A)は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂であることが好ましい。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大する樹脂する樹脂でも良いし、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少する樹脂でも良い。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂が樹脂(A)である場合、本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
樹脂(A)を含む樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物は、本発明におけるパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合でも、ネガ型パターンが好適に形成される。
樹脂(A)としては、公知の樹脂を適宜使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0055]~[0191]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0035]~[0085]、米国特許出願公開2016/0147150A1号明細書の段落[0045]~[0090]に開示された公知の樹脂を樹脂(A)として好適に使用できる。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(典型的には、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、並びに、アルコール性水酸基等が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基など)は除く。アルコール性水酸基としては、pKa(酸解離定数)が12以上20以下の水酸基であることが好ましい。
中でも、極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又は、スルホン酸基が好ましい。
酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)としては、例えば、式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられる。
式(Y1):-C(Rx)(Rx)(Rx
式(Y2):-C(=O)OC(Rx)(Rx)(Rx
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
式(Y1)及び式(Y2)中、Rx~Rxは、各々独立に、アルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。なお、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖若しくは分岐)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
なかでも、Rx~Rxは、各々独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表すことが好ましく、Rx~Rxは、各々独立に、直鎖状のアルキル基を表すことがより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、単環又は多環を形成してもよい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)又は式(Y2)で表される基は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
式(Y3)中、R36~R38は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R37とR38とは、互いに結合して環を形成してもよい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等が挙げられる。R36は水素原子であることも好ましい。
式(Y3)としては、下記式(Y3-1)で表される基が好ましい。
Figure 2022135799000022
ここで、L及びLは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とアリール基とを組み合わせた基)を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
アルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
なお、L及びLのうち一方は水素原子であり、他方はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アルキレン基とアリール基とを組み合わせた基であることが好ましい。
Q、M、及び、Lの少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
パターンの微細化の点では、Lが2級又は3級アルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。2級アルキル基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基又はノルボルニル基が挙げられ、3級アルキル基としては、tert-ブチル基又はアダマンタン基を挙げることができる。これらの態様では、Tg(ガラス転移温度)や活性化エネルギーが高くなるため、膜強度の担保に加え、かぶりの抑制ができる。
式(Y4)中、Arは、芳香環基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。RnとArとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。Arはより好ましくはアリール基である。
樹脂(A)は、アセタール構造を有することが好ましい。
酸分解性基は、アセタール構造を有することが好ましい。アセタール構造は、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基などの極性基が、上記式(Y3)で表される基で保護された構造である。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(A)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2022135799000023
は、2価の連結基を表し、R~Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表し、Rは酸の作用によって分解し脱離する基を表す。
は、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO-、炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等)、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられる。中でも、Lとしては、-CO-、アリーレン基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
~Rは、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。1価の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲン原子が挙げられる。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
シクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。このシクロアルキル基の炭素数は、好ましくは3~8である。
アリール基は、炭素数6~14個の単環又は多環のアリール基が好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
は、酸の作用によって分解し脱離する基(脱離基)を表す。
中でも、脱離基としては、上記式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられ、上記式(Y3)で表される基が好ましい。
上記各基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、及び、アルコキシカルボニル基(炭素数2~6)等が挙げられる。置換基中の炭素数は、8以下が好ましい。
繰り返し単位(P2)が、下記一般式(B-1)で表される繰り返し単位であることが特に好ましい。
Figure 2022135799000024
一般式(B-1)中、R11は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。Arはアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。mは1~4の整数を表す。Yは酸の作用によって分解し脱離する基を表す。
一般式(B-1)中、R11のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
11のアリール基としては、炭素数6~14個の単環又は多環のアリール基が好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
11のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
一般式(B-1)中、Arが表すアリーレン基としては、炭素数6~14のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基)が好ましい。
Arが表すヘテロアリーレン基は、環員としてヘテロ原子を含む2価の芳香族基(2価の芳香族ヘテロ環基)であり、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが挙げられる。ヘテロアリーレン基の炭素数は4~20が好ましく、5~12がより好ましい。ヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等から2つの水素原子を除してなる基が挙げられる。
Arはアリーレン基を表すことが好ましい。
一般式(B-1)中、Yは酸の作用によって分解し脱離する基(脱離基)を表す。Yとしては、上記式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられ、上記式(Y3)で表される基が好ましい。
一般式(B-1)中、mは1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
上記式(Y3)で表される基を有する一般式(B-1)で表される繰り返し単位の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2022135799000025
Figure 2022135799000026
Figure 2022135799000027
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、一般式(AI)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 2022135799000028
一般式(AI)において、
Xaは、水素原子、又は、アルキル基を表す。
Tは、単結合、又は、2価の連結基を表す。
Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状、又は、分岐鎖状)、又は、シクロアルキル基(単環、又は、多環)を表す。ただし、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖状、又は、分岐鎖状)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Xaにより表される、アルキル基としては、例えば、メチル基又は-CH-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、水酸基又は1価の有機基を表し、例えば、炭素数5以下のアルキル基、及び、炭素数5以下のアシル基が挙げられ、炭素数3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xaとしては、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基が好ましい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、芳香環基、-COO-Rt-基、及び、-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Tが-COO-Rt-基を表す場合、Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH-基、-(CH-基、又は、-(CH-基がより好ましい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基が好ましく、その他にも、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、及び、アルコキシカルボニル基(炭素数2~6)等が挙げられる。置換基中の炭素数は、8以下が好ましい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位としては、好ましくは、酸分解性(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位(Xaが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Tが単結合を表す繰り返し単位)である。
酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2022135799000029
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)に含まれる酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量(酸分解性基を有する繰り返し単位が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、10~90モル%が好ましく、20~80モル%がより好ましく、30~70モル%が更に好ましい。
(ラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、更にラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位を有していてもよい。ラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位については、国際公開第2020/004392号の[0060]~[0070]の記載を参照することができる。
(酸基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
酸基としては、酸解離定数(pKa)が13以下の酸基が好ましい。
酸基としては、フェノール性水酸基が特に好ましい。
樹脂(A)は、前述の繰り返し単位(P1)及び繰り返し単位(P2)に加えて、更に、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
酸基を有する繰り返し単位としては、式(B)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2022135799000030
は、水素原子、又は、1価の有機基を表す。
1価の有機基としては、-L-Rで表される基が好ましい。Lは、単結合、又は、エステル基を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。
及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、アルキル基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子が挙げられる。
は、単結合、又は、エステル基を表す。
は、(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基、又は、(n+m+1)価の脂環式炭化水素環基を表す。芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環基、及び、ナフタレン環基が挙げられる。脂環式炭化水素環基としては、単環であっても、多環であってもよく、例えば、シクロアルキル環基が挙げられる。
は、水酸基、又は、フッ素化アルコール基(好ましくは、ヘキサフルオロイソプロパノール基)を表す。なお、Rが水酸基の場合、Lは(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
は、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子が挙げられる。
mは、1以上の整数を表す。mは、1~3の整数が好ましく、1~2の整数が好ましい。
nは、0又は1以上の整数を表す。nは、1~4の整数が好ましい。
なお、(n+m+1)は、1~5の整数が好ましい。
酸基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(I)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 2022135799000031
一般式(I)中、
41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数3以下のアルキル基が更に好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよい。なかでも、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の炭素数3~8個で単環型のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42、R43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、ニトロ基が挙げられる。置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、及び、アントラセニレン基等の炭素数6~18のアリーレン基、又は、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、及び、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環基が好ましい。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n-1)個の任意の水素原子を除してなる基が挙げられる。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキレン基、及び、(n+1)価の芳香環基が有し得る置換基としては、例えば、一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、及び、ブトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基;等が挙げられる。
により表わされる-CONR64-(R64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、炭素数8以下のアルキル基が好ましい。
としては、単結合、-COO-、又は、-CONH-が好ましく、単結合、又は、-COO-がより好ましい。
におけるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及び、オクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい。
Arとしては、炭素数6~18の芳香環基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、ビフェニレン環基がより好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えていることが好ましい。即ち、Arは、ベンゼン環基であることが好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2022135799000032
一般式(1)中、
Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、複数個ある場合には同じであっても異なっていてもよい。複数のRを有する場合には、互いに共同して環を形成していてもよい。Rとしては水素原子が好ましい。
aは1~3の整数を表す。
bは0~(3-a)の整数を表す。
以下、一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。式中、aは1~3の整数を表す。
Figure 2022135799000033
Figure 2022135799000034
Figure 2022135799000035
なお、上記繰り返し単位のなかでも、以下に具体的に記載する繰り返し単位が好ましい。式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは2又は3を表す。
Figure 2022135799000036
酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、10~80モル%が好ましく、15~75モル%がより好ましく、20~70モル%が更に好ましい。
樹脂(A)は、上記した繰り返し構造単位以外にも、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性、感度等を調節する目的などによって、様々な繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)は、常法(例えばラジカル重合)に従って合成できる。一般的な合成方法としては、例えば、(1)モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、(2)モノマー種と開始剤を含有する溶液を1~10時間かけて滴下することにより加熱溶剤へ加える滴下重合法等が挙げられる。
樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000~200,000が好ましく、2,000~30,000がより好ましく、3,000~25,000が更に好ましい。分散度(Mw/Mn)は、通常1.0~3.0であり、1.0~2.6が好ましく、1.0~2.0がより好ましく、1.1~2.0が更に好ましい。
樹脂(A)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂溶液中、樹脂(A)の含有量は、全固形分に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更により好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、例えば99質量%以下とすることができる。
全固形分とは、溶剤を除く他の成分を意図する。
[塩基性化合物]
本発明の樹脂溶液に含有される塩基性化合物(以下、「塩基性化合物(B)」ともいう)について説明する。
塩基性化合物(B)の分子量は250以下である。塩基性化合物(B)の分子量は17以上250以下であることが好ましく、50以上200以下であることがより好ましい。
塩基性化合物(B)は分子量が250以下であるため揮発しやすい。したがって、本発明の樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物を塗設したレジスト膜に対してベーク処理を行う際に、塩基性化合物(B)は揮発し、レジスト膜中から消失するため、感度などの性能に影響を与えないと考えられる。
塩基性化合物(B)の共役酸のpKaは、4.5以上であることが好ましく、4.8以上であることがより好ましく、5.0以上15.0以下であることが更に好ましく、5.2以上14.0以下であることが特に好ましい。
塩基性化合物(B)は、下記一般式(Am-1)で表される化合物、含窒素複素環構造を有する化合物、及びアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 2022135799000037
一般式(Am-1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、1価の脂肪族炭化水素基、アリール基又はアラルキル基を表す。R~Rのうち、少なくとも2つが互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(Am-1)中、R~Rが1価の脂肪族炭化水素基を表す場合の1価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。1価の脂肪族炭化水素基の炭素数は1~5であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。1価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
1価の脂肪族炭化水素基は、酸素原子を含んでいてもよい。例えばアルキル基はアルキル鎖中に酸素原子を含む、オキシアルキレン鎖やアルコキシ基を有していてもよい。
~Rがアラルキル基を表す場合のアラルキル基としては、前述したアルキル基に前述したアリール基が置換した基であることが好ましい。
塩基性化合物(B)は、含窒素複素環構造を有する化合物であってもよい。
含窒素複素環構造は、芳香族性を有していてもいなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよく、更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、ピロール構造を有する化合物(ピロール、N-フェニルピロール、インドールなど)、ピラゾール構造を有する化合物(ピラゾール、N-エチルピラゾール、インダゾールなど)、イミダゾール構造を有する化合物(イミダゾール、1-メチルイミダゾール、N-アセチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、2-フェニルベンゾイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物(1-アセチルピペリジン、N-(2-シアノエチル)ピペリジン、1-シアノメチルピペリジン、1-エチルピペリジン、N-ヒドロキシエチルピペリジンなど)、モルホリン構造を有する化合物(モルホリン、N-メチルモルホリン4-ヒドロキシエチルモルホリンなど)、ピリジン構造を有する化合物(ピリジン、2,6-ルチジン、2-アセチルピリジン、3-アセチルピリジン、4-アセチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-シアノピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、キノリンなど)、アンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン、ヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ「2.2.2」オクタンなどが挙げられる。
塩基性化合物(B)は、アンモニウム塩であってもよい。アンモニウム塩としては、好ましくはヒドロキシド又はカルボキシレートである。より具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表されるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
塩基性化合物(B)は、一般式(Am-1)で表される化合物、及び含窒素複素環構造を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1つであることが特に好ましい。
樹脂溶液における塩基性化合物(B)の含有量は、樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmであり、8ppm~700ppmであることが好ましく、10ppm~500ppmであることがより好ましく、10ppm~300ppmであることが更に好ましく、10ppm~100ppmであることが特に好ましい。ppmは、parts per millionの略である。
樹脂溶液における塩基性化合物(B)の含有量は、例えば、所定量の塩基性化合物(B)を、樹脂溶液に使用する溶剤に添加し、塩基性化合物(B)の希釈液を得て、この希釈液を用いることなどにより調整することができる。樹脂溶液における塩基性化合物(B)の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)装置(アジレントテクノロジー社製ガスクロマトグラフ Agilent7890B)によるGC測定(検出器:水素炎イオン化検出器、カラム:アジレントテクノロジー社製DB-WAXETR、初期温度:40℃、終末温度:240℃、昇温速度:10℃/分、キャリアーガス:ヘリウム、流速:1.3mL/分、内部標準物質:トルエン)により測定することで決定できる。
[溶剤]
本発明の樹脂溶液に含有される溶剤について説明する。
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
溶剤に関しては、国際公開第2019/058890号の段落[0187]~[0197]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
有機溶剤として、構造中に水酸基を有する溶剤と、水酸基を有さない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を有する溶剤、及び水酸基を有さない溶剤としては、前述した化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、又は、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルがより好ましい。また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は2-ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
本発明の樹脂溶液中の溶剤の含有量は特に限定されないが、樹脂溶液の固形分濃度が5質量%以上50質量%以下となるように溶剤を含むことが好ましく、固形分濃度が10質量%以上40質量%以下となるように溶剤を含むことがより好ましい。
樹脂溶液の固形分濃度とは、樹脂溶液の総質量に対する、溶剤を除くすべての成分の質量の総和の質量百分率である。
[重合性基を有する化合物(X)の含有量]
本発明の樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量は、樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下である。すなわち、本発明の樹脂溶液中には、重合性基を有する化合物(X)は存在しないか、存在するとしても、その含有量は1000ppm以下である。
本発明の樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが更に好ましく、100ppm以下であることが特に好ましく、100ppm未満であることが最も好ましい。
重合性基を有する化合物(X)は、例えば、樹脂(A)を合成する際に使用したモノマーに由来するものである。重合性基を有する化合物(X)の重合性基は、典型的には、エチレン性不飽和二重結合を有する基である。
樹脂(A)を合成する際に使用したモノマー(重合性化合物)は重合反応後に一部残存しているが、一般的にはポリマーの精製工程で除去される。樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量は高速液体クロマトグラフィー(アジレントテクノロジー社製、1220 Infinity II LCシステム)を用いてHPLC測定(展開溶媒:アセトニトリル/バッファー液(80/20体積比)、バッファー液:トリフルオロ酢酸/イオン交換水(0.1質量%)、カラム:Superiorex-ODS、オーブン温度:30℃、測定波長:210nm、流速:1mL/分、測定時間:30分、HPLCの展開溶媒の混合比:用いたモノマーの種類に応じ、アセトニトリル/バッファー液=90/10~30/70体積比の間で適宜変更)を行い定量した。
<レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法>
本発明のレジスト組成物用樹脂溶液の製造方法は特に限定されないが、樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)に対して貧溶媒を加えて樹脂(A)を沈殿させる方法、又は、樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)を貧溶媒に対して加えて樹脂(A)を沈殿させる方法で精製を行った後に、再度、樹脂(A)を溶媒に溶解させて溶液(b)を調製し、溶液(b)に対して塩基性化合物(B)を添加する工程を含む、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法であることが好ましい。
上記溶液(a)は、樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液である。
良溶媒とは、25℃における樹脂(A)の溶解度が[5g/100g-溶媒]以上の溶媒である。良溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、等が挙げられ、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
溶液(a)中の樹脂(A)の含有量は特に限定されないが、溶液(a)の全質量に対して、5質量%以上40質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
貧溶媒とは、25℃における樹脂(A)の溶解度が[5g/100g-溶媒]未満の溶媒である。貧溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、キシレン、水等が挙げられ、ヘプタン、ヘキサン、ジイソプロピルエーテル、水が好ましい。
溶液(a)に対して貧溶媒を加えて樹脂(A)を沈殿させる方法、及び溶液(a)を貧溶媒に対して加えて樹脂(A)を沈殿させる方法のいずれにおいても、使用する溶液(a)と貧溶媒との質量比は特に限定されないが、溶液(a)/貧溶媒の質量比が、1/50~5/1であることが好ましく、1/20~2/1であることがより好ましい。
沈殿した樹脂(A)は、ろ過等によって回収することができる。
上記した方法により、樹脂(A)を精製することができ、重合性基を有する化合物(X)の含有量を低減させることができる。
回収された樹脂(A)を、再度溶媒に溶解させて溶液(b)を調製することができる。
溶液(b)を調製する際に用いる溶媒としては、前述の良溶媒が挙げられる。
溶液(b)中の樹脂(A)の含有量は特に限定されないが、溶液(b)の全質量に対して、5質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上40質量%以下とすることがより好ましい。
調製した溶液(b)に対して、前述した塩基性化合物(B)を添加することで、本発明の樹脂溶液を調製することができる。
本発明のレジスト組成物用樹脂溶液の製造方法は、樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)と、溶液(a)と分離する貧溶媒とを混合した後2層に分離させ、溶液(a)中の不純物を貧溶媒に抽出して精製を行った後に、塩基性化合物を添加する工程を含むことも好ましい。
溶液(a)中の不純物を貧溶媒に抽出することで、重合性基を有する化合物(X)の含有量を低減させることができる。
<レジスト組成物の製造方法>
本発明のレジスト組成物用樹脂溶液を用いて、レジスト組成物を調製することができる。
本発明は、前述のレジスト組成物用樹脂溶液を用いてレジスト組成物を製造する、レジスト組成物の製造方法にも関する。
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物は、
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、酸拡散制御剤と、溶剤とを含有するレジスト組成物であって、
上記塩基性化合物の含有量が、上記レジスト組成物全体の質量に対して1ppm~300ppmであり、
上記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
上記酸拡散制御剤の分子量が251以上である、レジスト組成物である。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型のレジスト組成物であっても、ネガ型のレジスト組成物であってもよい。また、アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶剤現像用のレジスト組成物であってもよい。本発明のレジスト組成物は、ポジ型のレジスト組成物であり、アルカリ現像用のレジスト組成物であることが好ましい。
また、本発明のレジスト組成物は、化学増幅型のレジスト組成物であることが好ましく、化学増幅型のポジ型レジスト組成物であることがより好ましい。
本発明のレジスト組成物における樹脂(A)は、前述した樹脂溶液における樹脂(A)と同様である。
樹脂(A)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のレジスト組成物中、樹脂(A)の含有量は、全固形分中に対して、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更により好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下が更に好ましい。
全固形分とは、溶剤を除く他の成分を意図する。
本発明のレジスト組成物における溶剤は、前述した樹脂溶液における溶剤と同様である。
本発明のレジスト組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、通常1.0~10質量%であり、好ましくは、2.0~6.0質量%である。
レジスト組成物の固形分濃度とは、レジスト組成物の総質量に対する、溶剤を除くすべての成分の質量の総和の質量百分率である。
本発明のレジスト組成物に含有される塩基性化合物は、分子量が250以下である。以下、本発明のレジスト組成物に含有される塩基性化合物も「塩基性化合物(B)」ともいう。
本発明のレジスト組成物における塩基性化合物(B)は、前述した樹脂溶液における塩基性化合物(B)と同様である。
レジスト組成物における塩基性化合物(B)の含有量は、レジスト組成物全体の質量に対して1ppm~300ppmであり、1ppm~150ppmであることが好ましく、5ppm~100ppmであることがより好ましい。
レジスト組成物における塩基性化合物(B)の含有量は、例えば、所定量の塩基性化合物(B)を、樹脂溶液に使用する溶剤に添加し、塩基性化合物(B)の希釈液を得て、この希釈液を用いることなどにより調整することができる。レジスト組成物における塩基性化合物(B)の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)装置(アジレントテクノロジー社製ガスクロマトグラフ Agilent7890B)によるGC測定(検出器:水素炎イオン化検出器、カラム:アジレントテクノロジー社製DB-WAXETR、初期温度:40℃、終末温度:240℃、昇温速度:10℃/分、キャリアーガス:ヘリウム、流速:1.3mL/分、内部標準物質:トルエン)により測定することで決定できる。
[酸拡散制御剤]
本発明のレジスト組成物に含有される酸拡散制御剤(以下、「酸拡散制御剤(Q)」ともいう)について説明する。
酸拡散制御剤(Q)の分子量は251以上である。酸拡散制御剤(Q)の分子量は251以上1500以下であることが好ましく、300以上1000以下であることがより好ましい。
酸拡散制御剤(Q)は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用することができる。
酸拡散制御剤(Q)としては、例えば、分子量が251以上の塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する分子量が251以上の塩基性化合物(DB)、酸発生剤から発生する酸に対して相対的に弱酸となる分子量が251以上のオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する分子量が251以上の化合物(DD)、又はカチオン部に窒素原子を有する分子量が251以上のオニウム塩化合物(DE)等を使用することができる。
本発明のレジスト組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]~[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]~[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]~[0423]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]~[0328]に開示された公知の化合物のうち、分子量が251以上の化合物を酸拡散制御剤として好適に使用できる。
分子量が251以上の塩基性化合物(DA)としては、下記一般式(A)~(E)で示される構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2022135799000038
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(炭素数6~20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、各々独立に、炭素数1~20のアルキル基を表す。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
分子量が251以上の塩基性化合物(DA)としては、チアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、オキサゾール構造、ベンゾオキサゾール構造、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造若しくはピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体等が好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する分子量が251以上の塩基性化合物(DB)(以下、「化合物(DB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又は、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
Figure 2022135799000039
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1~3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及びピラジン構造等が挙げられる。
化合物(DB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(DB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
活性光線又は放射線の照射により化合物(DB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<-1を満たすことが好ましく、-13<pKa<-1を満たすことがより好ましく、-13<pKa<-3を満たすことが更に好ましい。
本発明のレジスト組成物では、酸発生剤から発生する酸に対して相対的に弱酸となる分子量が251以上のオニウム塩(DC)(以下、「化合物(DC)」ともいう。)を酸拡散制御剤(Q)として使用することもできる。上記酸発生剤から発生する酸としては、前述の樹脂(A)の繰り返し単位(P1)から発生する酸又は後述する光酸発生剤が挙げられる。酸発生剤としても機能する樹脂(A)又は後述する光酸発生剤と、化合物(DC)とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により樹脂(A)の繰り返し単位(P1)又は光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
化合物(DC)としては、下記一般式(d1-1)~(d1-3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022135799000040
式中、R51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z2cは置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基(但し、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Yは直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、Mは各々独立に、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである。
として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、前述の一般式(ZIa)におけるスルホニウムカチオン及び前述の一般式(ZIIa)におけるヨードニウムカチオンが挙げられる。
化合物(DC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(DCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C-1)~(C-3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2022135799000041
一般式(C-1)~(C-3)中、
、R、及びRは、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
-Xは、-COO、-SO 、-SO 、及び-N-Rから選択されるアニオン部位を表す。Rは、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(-C(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)-)、及びスルフィニル基(-S(=O)-)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
、R、R、R、及びLは、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C-3)において、R~Rのうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
~Rにおける炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及びアリールアミノカルボニル基等が挙げられる。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
2価の連結基としてのLは、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。Lは、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する分子量が251以上の化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、251~1000が好ましく、251~700がより好ましく、251~500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d-1)で表される。
Figure 2022135799000042
一般式(d-1)において、
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rbは相互に結合して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はシクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造が挙げられるが、これに限定されない。
化合物(DD)は、下記一般式(6)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2022135799000043
一般式(6)において、
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
カチオン部に窒素原子を有する分子量が251以上のオニウム塩化合物(DE)(以下、「化合物(DE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及びハロゲン原子等)が直結していないことが好ましい。
化合物(DE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
酸拡散制御剤(Q)の好ましい例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022135799000044
Figure 2022135799000045
Figure 2022135799000046
Figure 2022135799000047
本発明のレジスト組成物において、酸拡散制御剤(Q)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸拡散制御剤(Q)の本発明のレジスト組成物中の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.001~20質量%であることが好ましく、0.01~10質量%であることがより好ましい。
本発明のレジスト組成物は、上記した以外の成分に加えて、更に、その他の成分を含有してもよい。
[活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物]
本発明のレジスト組成物は、前述の樹脂(A)とは異なる成分として、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(「光酸発生剤」ともいう)を含有してもよい。
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo-ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物を、単独又はそれらの混合物として適宜選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0125]~[0319]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0086]~[0094]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0323]~[0402]、及び特許第5548473号公報の段落[0328]~[0350]に開示された公知の化合物を好適に使用できる。
[界面活性剤]
本発明のレジスト組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(DIC(株)製);サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製);GF-300若しくはGF-150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS-393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX-204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002-90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.00001~2質量%、より好ましくは0.0001~2質量%、更に好ましくは0.0005~1質量%である。
[その他の添加剤]
本発明のレジスト組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、酸化防止剤などを適宜含有することができる。
特にカルボン酸は、性能向上のために好適に用いられることもできる。カルボン酸としては、安息香酸、ナフトエ酸などの、芳香族カルボン酸が好ましい。
本発明のレジスト組成物がカルボン酸を含む場合、カルボン酸の含有量は、組成物の全固形分に対して0.01~10質量%が好ましく、より好ましくは0.01~5質量%、更に好ましくは0.01~3質量%である。
本発明のレジスト組成物は、解像力向上の観点から、膜厚10~250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚20~200nmで使用されることが好ましく、更に好ましくは30~100nmで使用されることが好ましい。組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
[用途]
本発明のレジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物である。更に詳しくは、本発明のレジスト組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
また、本発明は、フォトマスク製造用である感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。
[レジスト膜]
本発明のレジスト組成物により、感活性光線性又は感放射線性膜(好ましくはレジスト膜)を形成することができる。このような膜は、例えば、本発明のレジスト組成物が基板等の支持体上に塗布されることにより形成される。この膜の厚みは、0.02~0.1μmが好ましい。基板上に塗布する方法としては、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により基板上に塗布されるが、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000~3000rpm(rotations per minute)が好ましい。塗布膜は60~150℃で1~20分間、好ましくは80~120℃で1~10分間プリベークして薄膜を形成する。
被加工基板及びその最表層を構成する材料は、例えば、半導体用ウェハの場合、シリコンウェハを用いることができ、最表層となる材料の例としては、Si、SiO、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)、SOG(Spin on Glass)、有機反射防止膜等が挙げられる。
レジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV-40シリーズ、シプレー社製のAR-2、AR-3、AR-5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
[パターン形成方法]
本発明は、本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、レジスト膜を露光する露光工程と、露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する現像工程と、を含むパターン形成方法にも関する。
本発明において、上記露光は、電子線、ArFエキシマレーザー又は極紫外線を用いて行われることが好ましく、電子線又は極紫外線を用いて行われることがより好ましく、電子線を用いて行われることが更に好ましい。すなわち、露光工程において、露光光源として電子線を用いることが好ましい。
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上への露光(パターン形成工程)は、まず、レジスト膜にパターン状に、ArFエキシマレーザー、電子線又は極紫外線(EUV)照射を行うことが好ましい。露光量は、ArFエキシマレーザーの場合、1~100mJ/cm程度、好ましくは20~60mJ/cm程度、電子線の場合、0.1~20μC/cm程度、好ましくは3~10μC/cm程度、極紫外線の場合、0.1~20mJ/cm程度、好ましくは3~15mJ/cm程度となるように露光する。
次いで、ホットプレート上で、好ましくは60~150℃で5秒~20分間、より好ましくは80~120℃で15秒~10分間、さらに好ましくは80~120℃で1~10分間、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク)を行い、次いで、現像、リンス、乾燥することによりパターンを形成する。ここで、露光後加熱は、樹脂(A)における酸分解性基を有する繰り返し単位の酸分解性によって、適宜調整される。酸分解性が低い場合、露光後加熱の温度は110℃以上、加熱時間は45秒以上であることも好ましい。
現像液は適宜選択されるが、アルカリ現像液(代表的にはアルカリ水溶液)又は有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液ともいう)を用いることが好ましい。現像液がアルカリ水溶液である場合には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等の、0.1~5質量%、好ましくは2~3質量%アルカリ水溶液で、0.1~3分間、好ましくは0.5~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像する。アルカリ現像液には、アルコール類及び/又は界面活性剤を、適当量添加してもよい。こうして、ネガ型パターンの形成おいては、未露光部分の膜は溶解し、露光された部分は現像液に溶解し難いことにより、またポジ型パターンの形成おいては、露光された部分の膜は溶解し、未露光部の膜は現像液に溶解し難いことにより、基板上に目的のパターンが形成される。
本発明のパターン形成方法が、アルカリ現像液を用いて現像する工程を有する場合、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシテチル)アンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0~15.0である。
特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%の水溶液が望ましい。
アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
本発明のパターン形成方法が、有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程を有する場合、上記工程における上記現像液(以下、有機系現像液とも言う)としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
本発明において、エステル系溶剤とは分子内にエステル基を有する溶剤のことであり、ケトン系溶剤とは分子内にケトン基を有する溶剤のことであり、アルコール系溶剤とは分子内にアルコール性水酸基を有する溶剤のことであり、アミド系溶剤とは分子内にアミド基を有する溶剤のことであり、エーテル系溶剤とは分子内にエーテル結合を有する溶剤のことである。これらの中には、1分子内に上記官能基を複数種有する溶剤も存在するが、その場合は、その溶剤の有する官能基を含むいずれの溶剤種にも当てはまるものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤いずれにも当てはまるものとする。また、炭化水素系溶剤とは置換基を有さない炭化水素溶剤のことである。
特に、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する現像液であることが好ましい。
現像液は、レジスト膜の膨潤を抑制できるという点から、炭素原子数が7以上(7~14が好ましく、7~12がより好ましく、7~10がさらに好ましい)、かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤を用いることが好ましい。
上記エステル系溶剤のヘテロ原子は、炭素原子および水素原子以外の原子であって、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子数は、2以下が好ましい。
炭素原子数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤の好ましい例としては、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、イソブタン酸イソブチルなどが挙げられ、酢酸イソアミル、又はイソブタン酸イソブチルを用いることが特に好ましい。
現像液は、上述した炭素原子数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤に代えて、上記エステル系溶剤および上記炭化水素系溶剤の混合溶剤、又は、上記ケトン系溶剤および上記炭化水素溶剤の混合溶剤を用いてもよい。この場合においても、レジスト膜の膨潤の抑制に効果的である。
エステル系溶剤と炭化水素系溶剤とを組み合わせて用いる場合には、エステル系溶剤として酢酸イソアミルを用いることが好ましい。また、炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調製するという観点から、飽和炭化水素溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカンなど)を用いることが好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができ、ジイソブチルケトン、2,5-ジメチル-4-ヘキサノンを用いることが特に好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソアミル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、酪酸ブチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、4-メチル-2-ペンタノール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
なお、炭化水素系溶剤である脂肪族炭化水素系溶剤においては、同じ炭素数で異なる構造の化合物の混合物であってもよい。例えば、脂肪族炭化水素系溶媒としてデカンを使用した場合、同じ炭素数で異なる構造の化合物である2-メチルノナン、2,2-ジメチルオクタン、4-エチルオクタン、イソオクタンなどが脂肪族炭化水素系溶媒に含まれていてもよい。
また、上記同じ炭素数で異なる構造の化合物は、1種のみが含まれていてもよいし、上記のように複数種含まれていてもよい。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
有機系現像液における有機溶剤(複数混合の場合は合計)の濃度は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは50~100質量%、さらに好ましくは85~100質量%、さらにより好ましくは90~100質量%、特に好ましくは95~100質量%である。最も好ましくは、実質的に有機溶剤のみからなる場合である。なお、実質的に有機溶剤のみからなる場合とは、微量の界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、消泡剤などを含有する場合を含むものとする。
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
有機系現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。有機系現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する。
5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソアミル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
有機系現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。本発明で用いられる現像液が含みうる塩基性化合物の具体例及び好ましい例としては、前述した感活性光線又は感放射線性組成物が含みうる塩基性化合物におけるものと同様である。
有機系現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62-36663号公報、特開昭61-226746号公報、特開昭61-226745号公報、特開昭62-170950号公報、特開昭63-34540号公報、特開平7-230165号公報、特開平8-62834号公報、特開平9-54432号公報、特開平9-5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、好ましくは0.0001~2質量%、さらに好ましくは0.0001~1質量%、特に好ましくは0.0001~0.1質量%である。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下、更に好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜・パターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後には、リンス液を用いて洗浄する工程を含んでいてもよいが、スループット(生産性)、リンス液使用量等の観点から、リンス液を用いて洗浄する工程を含まなくてもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。上記リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができ、特に、酢酸ブチル及びメチルイソブチルカルビノールを好適に挙げることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、より好ましくは、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、更に好ましくは、アルコール系溶剤又は炭化水素系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行うことが好ましい。
リンス液に含まれる有機溶剤としては、有機溶剤の中でも炭化水素系溶剤を用いることも好ましく、脂肪族炭化水素系溶剤を用いることがより好ましい。リンス液に用いられる脂肪族炭化水素系溶剤としては、その効果がより向上するという観点から、炭素数5以上の脂肪族炭化水素系溶剤(例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ヘキサデカン等)が好ましく、炭素原子数が8以上の脂肪族炭化水素系溶剤が好ましく、炭素原子数が10以上の脂肪族炭化水素系溶剤がより好ましい。
なお、上記脂肪族炭化水素系溶剤の炭素原子数の上限値は特に限定されないが、例えば、16以下が挙げられ、14以下が好ましく、12以下がより好ましい。
上記脂肪側炭化水素系溶剤の中でも、特に好ましくは、デカン、ウンデカン、ドデカンであり、最も好ましくはウンデカンである。
このようにリンス液に含まれる有機溶剤として炭化水素系溶剤(特に脂肪族炭化水素系溶剤)を用いることで、現像後にわずかにレジスト膜に染み込んでいた現像液が洗い流されて、膨潤がより抑制され、パターン倒れが抑制されるという効果が一層発揮される。
上記各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃に於いて0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下が更に好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下が最も好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウェハを上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm~4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(PostBake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40~160℃、好ましくは70~95℃で、通常10秒~3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
リンス液を用いて洗浄する工程を有さない場合、例えば、特開2015-216403の段落〔0014〕~〔0086〕に記載の現像処理方法を採用できる。
また、本発明のパターン形成方法は、有機系現像液を用いた現像工程と、アルカリ現像液を用いた現像工程とを有していてもよい。有機系現像液を用いた現像によって露光強度の弱い部分が除去され、アルカリ現像液を用いた現像を行うことによって露光強度の強い部分も除去される。このように現像を複数回行う多重現像プロセスにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、通常より微細なパターンを形成できる(特開2008-292975号公報の段落[0077]と同様のメカニズム)。
本発明における樹脂溶液、レジスト組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、トップコート形成用組成物など)は、金属、ハロゲンを含む金属塩、酸、アルカリ、硫黄原子又はリン原子を含む成分等の不純物を含まないことが好ましい。ここで、金属原子を含む不純物としては、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mn、Mg、Al、Cr、Ni、Zn、Ag、Sn、Pb、Li、またはこれらの塩などを挙げることができる。
これら材料に含まれる不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、1ppb(parts per billion)以下がより好ましく、100ppt(parts per trillion)以下が更に好ましく、10ppt以下が特に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が最も好ましい。
各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、これらの材質とイオン交換メディアを組み合わせた複合材料であってもよい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
また、本発明の有機系処理液に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
本発明の有機系処理液は、静電気の帯電、引き続き生じる静電気放電に伴う薬液配管や各種パーツ(フィルター、O-リング、チューブなど)の故障を防止する為、導電性の化合物を添加しても良い。導電性の化合物としては特に制限されないが、例えば、メタノールが挙げられる。添加良は特に制限されないが、好ましい現像特性を維持する観点で、10質量%以下が好ましく、更に好ましくは、5質量%以下である。薬液配管の部材に関しては、SUS(ステンレス鋼)、或いは帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又はフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂など)で被膜された各種配管を用いることができる。フィルターやO-リングに関しても同様に、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又はフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂など)を用いることができる。
なお、一般的に、現像液およびリンス液は、使用後に配管を通して廃液タンクに収容される。その際、リンス液として炭化水素系溶媒を使用すると、現像液中に溶解したレジストが析出し、ウェハ背面や、配管側面などに付着することを防ぐために、再度、レジストが溶解する溶媒を配管に通す方法がある。配管に通す方法としては、リンス液での洗浄後に基板の背面や側面などをレジストが溶解する溶媒で洗浄して流す方法や、レジストに接触させずにレジストが溶解する溶剤を配管を通るように流す方法が挙げられる。
配管に通す溶剤としては、レジストを溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば上述した有機溶媒が挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2-ヘプタノン、乳酸エチル、1-プロパノール、アセトン、等を用いることができる。中でも好ましくは、PGMEA、PGME、シクロヘキサノンを用いることができる。
[電子デバイスの製造方法]
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
[レジスト組成物用樹脂溶液の保管方法]
また、本発明は、前述の樹脂(A)と、前述の塩基性化合物(B)と、溶剤とを含有する樹脂溶液の保管方法であって、上記樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量が、上記樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下であり、上記塩基性化合物(B)の含有量を、上記樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmとする、レジスト組成物用樹脂溶液の保管方法にも関する。
上記保管方法によれば、樹脂溶液の保存安定性を向上させることができ、かつ樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度を向上させることができる。
上記保管方法において、樹脂溶液は-20~25℃で保管されることが好ましく、0~10℃で保管されることがより好ましい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例及び比較例のレジスト組成物用樹脂溶液又はレジスト組成物に用いた各種成分について以下に示す。
〔樹脂〕
<樹脂(P-1)の合成>
以下のスキームに従って、樹脂(P-1)を合成した。
Figure 2022135799000048
まず、57.67gの化合物(MP-1m)と、72.09gの化合物(M-1m)と、55.70gの化合物(MA-3m)と、23.26gの重合開始剤V-601(和光純薬工業(株)製)とを、250.18gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解させた。反応容器中に63.00gのPGMEを入れ、窒素ガス雰囲気下、85℃の系中に3時間かけて滴下した。反応溶液を3時間に亘って加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。
上記反応溶液を、208gの酢酸エチルを加えることにより希釈した。希釈した溶液を2160gのヘキサン/酢酸エチル=8/2(質量比)中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。200gのヘキサン/酢酸エチル=8/2(質量比)を用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。その後、洗浄後の固体を減圧乾燥に供して、197.6gの樹脂(P-1)を得た。
樹脂P-2~P-11は、上記と同様の方法で合成したものを用いた。表1に各繰り返し単位の種類及び含有量(含有比率(モル%))、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn)を示す。
樹脂P-1~P-11の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、各繰り返し単位の比率は、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
Figure 2022135799000049
表1に示される繰り返し単位の構造式を以下に示す。
Figure 2022135799000050
Figure 2022135799000051
Figure 2022135799000052
〔塩基性化合物〕
使用した塩基性化合物(Q-1~Q-9、QR-1、QR-2)の構造、分子量(MW)、及び共役酸のpKaを以下に示す。
Figure 2022135799000053
〔溶剤〕
使用した溶剤を下記表2に示す。
Figure 2022135799000054
〔酸拡散制御剤〕
使用した酸拡散制御剤(D-1~D-3)の構造、及びpKaを以下に示す。なお、下記pKaは、D-1及びD-2については、発生酸のpKaであり、D-3について共役酸のpKaである。
Figure 2022135799000055
〔光酸発生剤〕
使用した光酸発生剤(AG-1)の構造を以下に示す。
Figure 2022135799000056
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、下記W-1~W-4を用いた。
W-1:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素及びシリコン系)
W-2:ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
W-3:トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製;フッ素系)
W-4:PF6320(OMNOVA社製;フッ素系)
[レジスト組成物用樹脂溶液PS-1の調製]
前述の方法で合成した樹脂(P-1)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(S-2)で希釈し、そこに塩基性化合物であるトリエチルアミン(Q-1)を添加して、レジスト組成物用樹脂溶液PS-1を調製した。レジスト組成物用樹脂溶液全体の質量に対する塩基性化合物の含有量、及びレジスト組成物用樹脂溶液の固形分濃度は下記表3に示す値となるように調整した。
また、レジスト組成物用樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(エチレン性不飽和二重結合を有する基を有する化合物)の含有量を、前述した高速液体クロマトグラフィーにより測定した。レジスト組成物用樹脂溶液全体の質量に対する重合性基を有する化合物(エチレン性不飽和二重結合を有する基を有する化合物)の含有量を下記表3に示した。
[レジスト組成物用樹脂溶液PS-12~PS-19、PS-R1~PS-R7の調製]
レジスト組成物用樹脂溶液PS-12~PS-19、PS-R1~PS-R7も、使用する樹脂、塩基性化合物、溶剤の種類及び含有量を下記表3に示したものに変更した以外は、上記レジスト組成物用樹脂溶液PS-1と同様に調製した。
[レジスト組成物用樹脂溶液PS-4の調製]
前述の方法で合成した樹脂(P-2)を10倍質量の酢酸エチル/メタノール(質量比9/1)に溶解させ、そこに5倍質量の水を加え、分液洗浄を行った。有機層を濃縮した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(S-2)を加えて希釈し、そこに塩基性化合物であるトリエチルアミン(Q-1)を添加して、レジスト組成物用樹脂溶液PS-4を調製した。レジスト組成物用樹脂溶液全体の質量に対する塩基性化合物の含有量、及びレジスト組成物用樹脂溶液の固形分濃度は下記表3に示す値となるように調整した。
また、レジスト組成物用樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(エチレン性不飽和二重結合を有する基を有する化合物)の含有量を上記と同様に測定した。レジスト組成物用樹脂溶液全体の質量に対する重合性基を有する化合物(エチレン性不飽和二重結合を有する基を有する化合物)の含有量を下記表3に示した。
[レジスト組成物用樹脂溶液PS-2、3、5~11、20~22の調製]
レジスト組成物用樹脂溶液PS-2、3、5~11、20~22も、使用する樹脂、塩基性化合物、溶剤の種類及び含有量を下記表3に示したものに変更した以外は、上記レジスト組成物用樹脂溶液PS-4と同様にして調製した。
[レジスト組成物用樹脂溶液PS-R8の調製]
レジスト組成物用樹脂溶液PS-R8は、レジスト組成物用樹脂溶液PS-4と同様に調製した樹脂溶液に対して、重合性基を有する化合物としてM-1mを添加して調製した。レジスト組成物用樹脂溶液全体の質量に対する重合性基を有する化合物(エチレン性不飽和二重結合を有する基を有する化合物)の含有量を下記表3に示した。
Figure 2022135799000057
上記表3中、塩基性化合物の含有量、及び重合性基を有する化合物の含有量は、レジスト組成物用樹脂溶液全体に対する質量基準の割合である。また、「<100」は、「100ppm未満」であることを表す。
〔レジスト組成物の調製〕
下記表4及び表5に示す成分を下記表4及び表5に示す溶剤に溶解させて溶液を調製し、これを0.02μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、レジスト組成物R-1~R-31、及びCR-1~CR-9を調製した。
下記表4及び表5における各成分の含有量は、各レジスト組成物全体の質量に対する質量割合である。
Figure 2022135799000058
Figure 2022135799000059
レジスト組成物CR-6は、レジスト組成物用樹脂溶液PS-4を10倍質量の酢酸エチル/ヘキサン(質量比2/5)溶液に添加して粉を沈殿させ、その得られた粉を、塩基性化合物を添加しないこと以外は、再度レジスト組成物用樹脂溶液PS-1の調製方法と同様の方法で調液して塩基性化合物の含有量を低減させたレジスト組成物用樹脂溶液PS-4*を用いて調製した。
<実施例1~31、比較例1~9>
[レジスト組成物の塗設]
レジスト組成物を、予めヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した6インチSiウェハ上に東京エレクトロン社製スピンコーターMark8を用いて塗布し、130℃、300秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚100nmのレジスト膜を得た。
なお、上記Siウェハをクロム基板に変更しても、同様の結果が得られるものである。
[EB露光及び現像]
上記で得られたレジスト膜が塗布されたウェハを、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50keV)を用いて、パターン照射を行った。この際、1:1のラインアンドスペースが形成されるように描画を行った。電子線描画後、ホットプレート上で、100℃で60秒間加熱した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液をパドルして30秒間現像し、純水でリンスをした後、4000rpmの回転数で30秒間ウェハを回転させた後、95℃で60秒間加熱を行うことにより、線幅40nmの1:1ラインアンドスペースパターンのレジストパターンを得た。
[評価]
(保存安定性)
同じレジスト組成物用樹脂溶液を2つずつ準備し、以下の評価を行った。
一方のレジスト組成物用樹脂溶液は、調製後、時間を置かずに(調製した後、1日以内に)、前述のレジスト組成物の調製に供し、続いて、レジスト組成物の塗設、EB露光及び現像を行った。現像の際、未露光部現像速度(すなわち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像した際の未露光部の溶解速度)を測定した(このときの現像速度をVとする)。未露光部の現像速度は未露光部の現像前膜厚と現像後膜厚の膜厚差を現像時間(30秒)で割って算出した。
他方のレジスト組成物用樹脂溶液は、調製後、強制試験として40℃で1カ月間保存した(以下、この条件で保存したレジスト組成物用樹脂溶液を、「経時をかけた樹脂溶液」ともいう)。経時をかけた樹脂溶液についても、前述のレジスト組成物の調製に供し、続いて、レジスト組成物の塗設とEB露光及び現像を行い、上記と同様の方法で未露光部の現像速度を測定した(このときの現像速度をVとする)。
をVで割った値であるV/Vをそれぞれの実施例及び比較例について求め、保存安定性の指標とした。
/Vが1.05未満の場合はAA、
/Vが1.05以上1.5未満の場合はA、
/Vが1.5以上2未満の場合はB、
/Vが2以上5未満の場合はC、
/Vが5以上の場合はDとして評価した。
実用上、B以上が好ましく、A以上がより好ましく、AAがさらに好ましい。
なお、表6において、比較例6の保存安定性の評価結果は、レジスト組成物用樹脂溶液PS-4についての結果を示した。後述するように、比較例6の感度の評価は、レジスト組成物用樹脂溶液PS-4に対して前述の方法で塩基性化合物の含有量を低減させたレジスト組成物用樹脂溶液PS-4*を用いた場合についての結果を示した。
(感度)
上記で調製した各レジスト組成物用樹脂溶液について、塩基性化合物を添加しないこと以外は同様にして、感度対比用のレジスト組成物用樹脂溶液を調製した。
レジスト組成物用樹脂溶液、及び感度対比用のレジスト組成物用樹脂溶液を前述のレジスト組成物の調製に供し、続いて、レジスト組成物の塗設、EB露光及び現像を行った。
線幅40nmの1:1ラインアンドスペースパターンを解像する時の照射エネルギーを感度とする。
塩基性化合物を添加していない感度対比用のレジスト組成物用樹脂溶液を用いた場合の感度をEとし、上記で調製した各レジスト組成物用樹脂溶液を用いた場合の感度をEとした。
をEで割った値であるE/Eをそれぞれの実施例及び比較例について求め、感度の指標とした。
/Eが1.05未満の場合はAA、
/Eが1.05以上1.1未満の場合はA、
/Eが1.1以上1.2未満の場合はB、
/Eが1.2以上の場合はCとして評価した。
実用上、B以上が好ましく、A以上がより好ましく、AAがさらに好ましい。
なお、レジスト組成物用樹脂溶液PS-R1は塩基性化合物を含有していないため、E/Eは1とした。
また、比較例6では、レジスト組成物用樹脂溶液PS-4について、塩基性化合物を添加しないこと以外は同様にして調製した感度対比用のレジスト組成物用樹脂溶液を用いた場合の感度をEとし、レジスト組成物用樹脂溶液PS-4に対して前述の方法で塩基性化合物の含有量を低減させたレジスト組成物用樹脂溶液PS-4*を用いた場合の感度をEとした。
評価結果を表6に記載した。
Figure 2022135799000060
樹脂溶液PS-1の塩基性化合物の種類と含有量を、「Q-1 100pm」から、「Q-1 80ppm、及びQ-2 20ppm」に変更した他は同様にして樹脂溶液PS-1Aを調製した。実施例1において、レジスト組成物R-1に用いる樹脂溶液として樹脂溶液PS-1Aを用いた以外は実施例1と同様にパターンを形成し、評価を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
表6の評価結果から、実施例1~31で用いたレジスト組成物用樹脂溶液は保存安定性に優れ、かつ上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物は感度に優れることが分かった。
比較例1及び2で用いたレジスト組成物用樹脂溶液は、分子量250以下の塩基性化合物を含まない例及び含有量が少なすぎる例であり、保存安定性が実施例に対して劣っていた。
比較例3~5で用いたレジスト組成物用樹脂溶液は、分子量250以下の塩基性化合物の含有量が多すぎる例であり、上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度は実施例に対して劣っていた。
比較例6では、実施例でも用いたレジスト組成物用樹脂溶液に対して、塩基性化合物の含有量の低減を行った上でレジスト組成物を調製したため、詳細なメカニズムは不明であるが低減処理によって感度変動が生じた。
比較例7及び8で用いたレジスト組成物用樹脂溶液は、塩基性化合物の分子量が250を超えていたため、上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度は実施例に対して劣っていた。
比較例9で用いたレジスト組成物用樹脂溶液は、レジスト組成物用樹脂溶液全体の質量に対する重合性基を有する化合物(エチレン性不飽和二重結合を有する基を有する化合物)の含有量が多すぎるため、保存安定性、及び上記レジスト組成物用樹脂溶液を用いて製造したレジスト組成物の感度が実施例に対して劣っていた。

Claims (21)

  1. 活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、溶剤とを含有する樹脂溶液であって、
    前記塩基性化合物の含有量が、前記樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmであり、
    前記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
    前記樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量が、前記樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下である、レジスト組成物用樹脂溶液。
  2. 前記塩基性化合物の共役酸のpKaが4.8以上である、請求項1に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
  3. 前記塩基性化合物の分子量が17以上250以下である、請求項1又は2に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
  4. 前記塩基性化合物が、下記一般式(Am-1)で表される化合物、含窒素複素環構造を有する化合物、及びアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
    Figure 2022135799000061

    一般式(Am-1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、1価の脂肪族炭化水素基、アリール基又はアラルキル基を表す。R~Rのうち、少なくとも2つが互いに連結して環を形成しても良い。
  5. 前記塩基性化合物が、前記一般式(Am-1)で表される化合物、及び前記含窒素複素環構造を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
  6. 前記樹脂(A)が、更に、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
  7. 前記繰り返し単位(P2)が、下記一般式(B-1)で表される繰り返し単位である、請求項1~6のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
    Figure 2022135799000062

    一般式(B-1)中、R11は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。Arはアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。mは1~4の整数を表す。Yは酸の作用により分解し脱離する基を表す。
  8. 前記繰り返し単位(P1)が、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位である、請求項1~7のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
    Figure 2022135799000063

    一般式(A-1)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。Xは単結合又は2価の連結基を表す。Rc1~Rc3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Rc1~Rc3のうち2つが結合して環構造を形成してもよい。
  9. 前記繰り返し単位(P1)が、下記一般式(A-2)で表される繰り返し単位である、請求項1~8のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
    Figure 2022135799000064

    一般式(A-2)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表す。nは0又は1を表す。Ara1及びAra2はそれぞれ独立にアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Lはアルキレン基、カルボニル基、酸素原子、又はこれらが複数結合した2価の連結基を表す。pは0~2の整数を表す。ただし、n+pは1以上である。Rc1~Rc3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Rc1~Rc3のうち2つが結合して環構造を形成してもよい。
  10. 前記塩基性化合物の含有量が、前記樹脂溶液全体の質量に対して10ppm~500ppmである、請求項1~9のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
  11. 前記化合物(X)の重合性基が、エチレン性不飽和二重結合を有する基である、請求項1~10のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液の製造方法であって、
    前記樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)に対して貧溶媒を加えて前記樹脂(A)を沈殿させる方法、又は、前記樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)を貧溶媒に対して加えて前記樹脂(A)を沈殿させる方法で精製を行った後に、再度、前記樹脂(A)を溶媒に溶解させて溶液(b)を調製し、前記溶液(b)に対して前記塩基性化合物を添加する工程を含む、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法。
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液の製造方法であって、
    前記樹脂(A)を良溶媒に溶解させた溶液(a)と、前記溶液(a)と分離する貧溶媒とを混合した後2層に分離させ、前記溶液(a)中の不純物を前記貧溶媒に抽出して精製を行った後に、前記塩基性化合物を添加する工程を含む、レジスト組成物用樹脂溶液の製造方法。
  14. 請求項1~11のいずれか1項に記載のレジスト組成物用樹脂溶液を用いてレジスト組成物を製造する、レジスト組成物の製造方法。
  15. 活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、酸拡散制御剤と、溶剤とを含有するレジスト組成物であって、
    前記塩基性化合物の含有量が、前記レジスト組成物全体の質量に対して1ppm~300ppmであり、
    前記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
    前記酸拡散制御剤の分子量が251以上である、レジスト組成物。
  16. 前記塩基性化合物の共役酸のpKaが4.8以上である、請求項15に記載のレジスト組成物。
  17. 前記塩基性化合物の分子量が17以上250以下である、請求項15又は16に記載のレジスト組成物。
  18. 請求項15~17のいずれか1項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜を露光する露光工程と、
    露光された前記レジスト膜を、現像液を用いて現像する現像工程と、を含むパターン形成方法。
  19. 前記露光工程において、露光光源として電子線を用いる、請求項18に記載のパターン形成方法。
  20. 請求項18又は19に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
  21. 活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(P1)、及び酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位(P2)を有する樹脂(A)と、塩基性化合物と、溶剤とを含有する樹脂溶液の保管方法であって、
    前記塩基性化合物の分子量が250以下であり、
    前記樹脂溶液中に存在する重合性基を有する化合物(X)の含有量が、前記樹脂溶液全体の質量に対して1000ppm以下であり、
    前記塩基性化合物の含有量を、前記樹脂溶液全体の質量に対して1ppm~1000ppmとする、レジスト組成物用樹脂溶液の保管方法。

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