JP2022131518A - 食品用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品用容器で密閉性の確保と電子レンジで加熱した際の蒸通性の確保とを両立する。【解決手段】食品用容器10は、開口がシール部材40で閉塞される紙製の容器本体11に対して内側の収容空間と外部とを連通する隙間をなす連通部20,30と、加熱前に固形であって加熱されると溶融し、連通部20,30において前記内側と前記外部との連通を遮断した状態に予め設けられたホットメルト部22,32と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、収容空間に収容された食品を電子レンジにより加熱可能な食品用容器に関する。
電子レンジ調理用容器等において、使い捨ての食品用容器が広く使用されている。
近年では、脱プラスチックの観点から、これらの容器として紙製の容器を用いることが提案されている。
紙製の食品用容器として紙製のブランクシートを折って成形した容器が知られる。この容器では、ブランクシートの端面どうしが突き合わされたり、重ね合わされたりした個所に、微細な小穴や段差が生じることがある。特許文献1には、ブランクシートに小穴や段差を解消するための切片シートを付設することが開示されている。
特開2020-83326号公報
小穴や段差をなくした容器では、上蓋で閉塞された状態での密閉性が確保される一方で、電子レンジで加熱する際の蒸気を外へ排出する性能(蒸通性)が不十分となりやすい。そのため、加熱の際に上蓋をはがしたり、上蓋に通気孔をあけたりするなど手間がかかり、ユーザビリティが不十分になる傾向がある。
よって、紙製の食品用容器では密閉性と電子レンジで加熱した際の蒸通性とを両立するための構造に改善の余地があった。
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、紙製の食品用容器で密閉性の確保と電子レンジで加熱した際の蒸通性の確保とを両立することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
ここで開示する食品用容器は、開口がシール部材で閉塞される紙製の容器本体に対して内側の収容空間と外部とを連通する隙間をなす連通部と、加熱前に固形であって加熱されると溶融し、前記連通部において前記内側と前記外部との連通を遮断した状態に予め設けられたホットメルト部と、を備えたことを特徴とする。
本件によれば、紙製の食品用容器で密閉性の確保と電子レンジで加熱を施した際の蒸通性の確保とを両立することができる。
一実施形態の食品用容器の斜視図である。 図1の食品用容器から上蓋シールを取り外した斜視図である。 一実施形態の食品用容器の斜視図である。 図3の食品用容器から上蓋シールを取り外した斜視図である。 図1~図4の食品用容器に用いるブランクシートを示す展開図である。 図1の容器本体の角部を容器内側上方から視た拡大図である。 図3の容器本体の角部を容器内側上方から視た拡大図であって、ホットメルト部を取り除いた状態である。 図3の容器本体の角部を容器内側上方から視た拡大図である。 図3の容器本体の角部を容器外側下方から視た拡大図である。
以下、本件を実施するための形態を説明する。下記の項目「1」で本実施形態の食品用容器の構成について説明する。それから、項目「2」で項目「1」の構成による作用効果を説明する。
以下の実施形態では、食品用容器を水平面に載置した状態を基準にして上下方向を定める。また、食品用容器の収容空間に向かう方向を「内側」、その反対方向を「外側」と定める。
[1.構成]
<全体構造>
図1~図4は実施形態にかかる食品用容器10(以下単に「容器10」ともいう)の斜視図である。
図1,図3に示すように、容器10は、内側に収容空間を有する容器本体11と、容器本体11の開口を閉塞する上蓋シール40とを備えている。図2は図1の容器10から上蓋シール40を取り外した状態を示しており、図4は図3の容器10から上蓋シール40を取り外した状態を示している。
容器10は、食品が収容された状態でそのまま電子レンジで加熱できる電子レンジ調理用の包装体である。
図1~図4の容器本体11は、後述の図5に示す紙製ブランクシート(図5の符号11S)を折って四角トレー型に成形された箱体である。
本実施形態の容器本体11は、少なくとも内側を向いた面が熱可塑性樹脂でラミネートされており、MAP包装(Modified Atmosphere Packaging,ガス置換包装)によって食品を包装するのに適した機能が付与されている。なお、MAP包装は、容器の収容空間に食品を収容した状態で収容空間を真空にした後、容器内に酸素や窒素、二酸化炭素などのガスを充填して密封する包装方法である。
上蓋シール40は、容器本体11の開口を閉塞するためのリッド部材である。本実施形態の上蓋シール40は、MAP包装により容器本体11の収容空間を密閉するシール部材である。本実施形態の上蓋シール40はフィルムシートで形成されている。上蓋シールの素材としては、フィルムシートのほか、紙素材を使用することもできる。
図1~図4に示す容器本体11には、容器本体11に対して内側の収容空間と外部とを連通する隙間をなす連通部20,30と、連通部20,30に対応して設けられたホットメルト部22,32と、が設けられている。
連通部20,30は、電子レンジにより加熱されている状態で収容空間内の蒸気を収容空間の外側へ排出するための蒸気通路をなす機能部位である。
ホットメルト部22,32は、連通部20,30の連通を開閉する開閉部である。ホットメルト部22,32は、加熱前に固形であって加熱されると溶融し、連通部20,30において内側と外部との連通を遮断した状態に予め設けられている。
連通部20の具体例としては、図1および図2に示すように、容器本体11のフランジ部7,9の上面側に生じた段差部(以下、「段差部20」ともいう)を例に挙げることができる。
連通部30の具体例としては、図3および図4に示すように、容器本体11の角部の上縁部(側面部3,5およびフランジ部7,9の交差する個所)に生じた小穴部(以下、「小穴部30」ともいう)を挙げることができる。
ホットメルト部22,32は、加熱前の状態では固形であって連通部20,30の隙間を塞ぎ、加熱状態では溶融して連通部20,30の隙間を介した蒸気の排出を可能とする機能部位である。具体的には、ホットメルト部22,32は、連通部20,30に配置(塗布)されたホットメルト接着剤により構成される。ホットメルト接着剤は加熱により溶融して溶着する接着剤である。
本実施形態の容器10では、連通部20,30のそれぞれに対してホットメルト部22,32が設けられたうえで、ホットメルト部22,32の上側に配置された上蓋シール40により容器本体11の開口が閉塞されている。
連通部20,30やホットメルト部22,32に関する詳細な構成は後述する。
図1~図4に示すように、容器本体11は、収容空間の底面をなす長方形状の底面部1と、底面部1の四辺から立設された側面部3,5を有している。容器本体11で開口の周囲には、側面部3,5の上縁から外側へ延出されたフランジ部7,9が設けられている。フランジ部7,9は、水平方向に沿って延在する幅広な面部を有しており、この面部が上蓋シール40を貼合するための貼合面をなす。
すなわち、上蓋シール40は、フランジ部7,9の上側を向いた面(貼合面)にヒートシールで溶着されている。
本明細書では、底面部1の一対の長辺に立設された側面部のそれぞれを「第一側面部3」と称し、底面部1の一対の短辺に立設された側面部のそれぞれを「第二側面部5」と称する。そして、一対の第一側面部3の上縁から延出されたフランジ部のそれぞれを「第一フランジ部7」と称し、一対の第二側面部5の上縁から延出されたフランジ部のそれぞれを「第二フランジ部9」と称する。
そのほか、第一フランジ部7の両端部に第一突出片17(図1~図4では一つの第一突出片17にのみ符号を付す)が設けられており、第二フランジ部9の両端部に第二突出片19(図1では一つの第二突出片19にのみ符号を付す)が設けられている。容器本体11の角部では、第一突出片17と第二突出片19とが重ね合わされている。
容器本体11の角部で、側面部5の外側の面には折り返し部13が折り重ねられている。折り返し部13は、容器本体11の角部で隣接する側面部3,5どうしを連結するコーナーフラップである。折り返し部13で隣接する側面部3,5どうしが連結されるので、容器本体11の角部の上下方向に沿う辺で隙間(切れ目)が生じないようになっている。
<ブランクシート>
図5は、容器本体11に用いるブランクシート11Sの展開図である。
ブランクシート11Sは、底面部1に対応する長方形の底面シート1Sが設けられている。底面シート1Sの四辺のうち対向する一対の長辺には折線L1,L2を介して一対の第一側面シート3Sが設けられており、四辺のうち対向する一対の短辺には折線L3,L4を介して一対の第二側面シート5Sが設けられている。
第一側面シート3Sで底面シート1Sとは反対側の辺には折線L5を介して第一フランジシート7Sが設けられている。第二側面シート5Sで底面シート1Sとは反対側の辺には折線L7を介して第二フランジシート9Sが設けられている。
第一側面シート3S,第二側面シート5Sのそれぞれは第一側面部3,第二側面部5に対応している。第一フランジシート7S,第二フランジシート9Sのそれぞれは第一フランジ部7,第二フランジ部9に対応している。
第一フランジシート7Sは、折線L5を介して第一側面シート3Sに接続された第一領域70Sと、折線L6を介して第一領域70Sに接続された第二領域71Sとに分けられている。第一領域70Sの両端部には第一突出片シート17Sが連設されている。
第二フランジシート9Sは、折線L7を介して第二側面シート5Sに接続された第一領域90Sと、折線L8を介して第一領域90Sに接続された第二領域91Sとに分けられている。第二領域71Sの両端部には第二突出片シート19Sが連設されている。
さらに、第一側面シート3Sには、折線L9を介して折り返しシート13Sが接続されており、第二側面シート5Sには、折線L10を介して折り返しシート12Sが接続されている。折り返しシート12S,13Sのそれぞれは三角形状のシートであり、折線L11を介して互いに接続されている。
折り返しシート12S,13Sは折り返し部13に対応している。
図5に示すブランクシート11Sは、下記のように組み立てられて図1~図4に示す容器本体11に成形される。
底面シート1Sに対して一対の第一側面シート3Sと一対の第二側面シート5S(四つの側面シート)を折り立てる。それから、第一側面シート3Sと第二側面シート5Sとの隣接する辺どうしを突き合わせるとともに、折線L11を介して折り返しシート12Sと折り返しシート13Sとを折り重ねる。そして、折り重ねた折り返しシート12S,13Sを、折り返しシート13Sが外側に配置されるように第二側面シート5Sの外側を向いた面へ重ね合わせる。
第一フランジシート7Sでは、折線L5を介して第一側面シート3Sに対して第一領域70Sを折り倒し、折線L6を介して第一領域70Sの下面側に第二領域71Sを折り重ねる。第二フランジシート9Sでは、折線L7を介して第二側面シート5Sに対して第一領域90Sを折り倒し、折線L8を介して第一領域90Sの下面側に第二領域91Sを折り重ねる。
そのため、フランジ部7,9は、第一領域70S,90Sと第二領域71S,91Sとが重ね合わされた二重折り部位(シートが二重折りされた部位)をなす。フランジ部7,9がシートを二重折りして形成されているため、フランジ部7,9の強度を確保することができる。
第一領域70S(第一フランジシート7S)に設けられた第一突出片シート17Sと、第二領域91S(第二フランジシート9S)に設けられた第二突出片シート19Sとが重ね合わされて、フランジ部7,9が交差された角部をなす。この角部では第一突出片シート17Sが第二突出片シート19Sの上面側に配置される。
そのほか、第一領域70S,90Sと第二領域71S,91Sとは互いに接着される。また、第一突出片シート17Sと第二突出片シート19Sとは互いに接着される。折り返しシート12S,13Sが互いに接着されるとともに、折り返しシート12Sが第二側面シート5Sの外側の面に接着される。なお、接着には、ヒートシールや、超音波溶着,ホットメルト剤による接着,テープ材による接着等、公知の手法を適宜使用することができる。成形速度の向上を考慮すると、ヒートシールによる接着が好ましい。
<詳細構造>
次に連通部20,30やホットメルト部22,32に関する詳細な構成を説明する。
本実施形態で容器本体11はブランクシート11Sを折り込んで成形されているため、ブランクシート11Sの端面どうしが突き合わされたり重ね合わされたりした個所に隙間が生じ得る。
連通部としての段差部20や小穴部30は、容器本体11をなすブランクシート11Sの端面どうしが突き合わされた個所に生じた収容空間と外部とを連通しうる構造である。
段差部20は、図6に示すように、容器本体11の角部(フランジ部7,9の交差する個所)で突き合わされた第一突出片17をなすシートの端面と、第二フランジ部9(第一領域90)をなすシートの端面との間に生じた溝状の隙間である。段差部20は、フランジ部7,9の他の面部よりも下方へ凹んでいる。
ホットメルト部22は、図6に示すように段差部20の上側の面にホットメルト接着剤を塗工(配置)して形成された接着剤粒である。ホットメルト部22をなすホットメルト接着剤は、段差部20の溝幅よりも幅広の点状に吐出(配置)されており、溝状の段差部20で蒸気通路をなす隙間を塞いでいる。
ホットメルト部22は、上蓋シール40で蓋をした際の密閉性を確保するため、上蓋シール40が設けられた状態で、上方から視て少なくとも一部に上蓋シール40が重複して配置されることが好ましい。ホットメルト部22の全体に上蓋シール40が重複するのがより好ましい。言い換えれば、上蓋シール40は、容器本体11の開口を閉塞した状態で、少なくとも一部がホットメルト部22の上部に重複して配置されることが好ましく、上蓋シール40がホットメルト部22の全体に重複して配置されることがより好ましい。
小穴部30は、図7に示すように、第一側面部3をなすシートの端面と、第二側面部5をなすシートの端面と、第一フランジ部7(第一領域70)の第一突出片17をなすシートの端面と、第二フランジ部9(第二領域91)の第二突出片19をなすシートの端面とにより囲まれた個所に生じたピンホール状の隙間である。
小穴部30に設けられたホットメルト部32は、図8に示すように小穴部30の上面側(容器10で内側を向いた面)に、収容空間の内側からホットメルト接着剤を塗工(配置)して形成された接着剤粒である。
ホットメルト部32をなすホットメルト接着剤は、小穴部30の径よりも幅広の点状に吐出(配置)されており、小穴部30で蒸気通路をなす隙間を塞いでいる。
ホットメルト部32は、上蓋シール40で蓋をした際の密閉性を確保するため、上蓋シール40が設けられた状態で、上方から視て上蓋シール40の外縁部よりも内側に配置されることが好ましい。言い換えれば、上蓋シール40は、容器本体11の開口を閉塞した状態で、外縁部がホットメルト部32の上部よりも外側に配置されることが好ましい。
図9は、小穴部30の下面側で収容空間の外側にホットメルト部34を設ける構成を例示している。
ホットメルト部34は、図9に示すように小穴部30の下面側(容器10で外側を向いた面)にホットメルト接着剤を塗工(配置)して形成された接着剤粒である。ホットメルト部34をなすホットメルト接着剤は、小穴部30の径よりも幅広の点状に配置(吐出)されており、小穴部30で蒸気通路をなす隙間を塞いでいる。
ホットメルト部22,32,34で配置されるホットメルト接着剤の使用量は、段差部20や小穴部30の閉塞性と、上蓋シール40で蓋をした際の密閉性とから適宜に設定される。
ホットメルト接着剤の使用量が少なすぎると段差部20や小穴部30の閉塞が不十分になるおそれがある。
ホットメルト接着剤の使用量が多すぎると、フランジ部7,9から出っ張ったホットメルト接着剤によって上蓋シール40で蓋をした際の密閉性が不十分になってしまう場合がある。上蓋シール40で蓋をした際の密閉性を確保する観点から、段差部20や小穴部30を閉塞可能な必要最低限の使用量であることが望ましい。
図6,図8のホットメルト部22,32を設ける手順は、一例として下記の工程1~3を備える。
工程1:容器本体11を成形した後、底面部1を下に向けた姿勢で容器本体11を載
置して、四つの角部に設けられた段差部20,小穴部30のそれぞれに、ホ
ットメルト剤を吐出する配置工程。配置工程には、周知のホットメルト吐出
機器を備えた容器製造ラインを適用することができる。
工程2:配置工程の後、容器本体11の内面検査を実施する検査工程。
工程3:検査工程の後、容器本体11の収容空間に食品を充填し、MAP包装により
上蓋シール40で収容空間を密閉する包装工程。
図9のホットメルト部34を設ける手順は、一例として下記の工程4~6を備える。この工程4~6は、配置工程で「底面部1を上に向けた反転姿勢で容器本体11を載置」し、検査工程で「底面部1を下に向けた姿勢に容器本体11を戻す」ことを除き、上記の工程1~3と共通である。
工程4:容器本体11を成形した後、底面部1を上に向けた反転姿勢で容器本体11
を載置して容器本体11を四つの角部に設けられた小穴部30のそれぞれに
、ホットメルト接着剤を吐出する配置工程。
工程5:配置工程の後、底面部1を下に向けた姿勢に容器本体11を戻して容器本体
11の内面検査を実施する検査工程。
工程6:検査工程の後、容器本体11の収容空間に食品を充填し、MAP包装により
上蓋シール40で収容空間を密閉する包装工程。
<材料>
次に、容器10の各部に適用される材料について述べる。
容器本体11(ブランクシート11S)に用いる紙素材は、紙は、一般的に用いられている紙であれば特に限定されず、植物由来のパルプを主成分とする紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。
具体的には、クラフト紙,上質紙,(白)板紙,紙器用原紙,ミルクカートン原紙,カップ原紙,ライナ紙,塗工紙,片艶紙,グラシン紙、グラファン紙等が挙げられる。これらのなかでも、クラフト紙,上質紙、(白)板紙,紙器用原紙,カップ原紙,片艶紙が好ましい。剛性の面から、(白)板紙の中では高級板紙,特殊板紙,カップ原紙,クラフト紙がより好ましい。クラフト紙としては、晒クラフト紙、未晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が挙げられる。印刷適性や衛生面から、晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が好ましい。
また、表裏ライナと中芯との三層で構成されたダンボールを使用しても良い。特に容器本体11の強度と成形加工性とを両立させる観点から、ダンボールの厚みの小さいマイクロフルートが好ましい。
紙素材の坪量は、強度と成形加工性の観点から、好ましくは200~800[g/m2]であり、より好ましくは200~700[g/m2]であり、さらに好ましくは200~500[g/m2]であり、よりさらに好ましくは300~500[g/m2]である。
紙素材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.4~1.2[g/cm3]であり、より好ましくは0.5~1.0[g/cm3]であり、さらに好ましくは0.6~0.9[g/cm3]であり、よりさらに好ましくは0.7~0.9[g/cm3]である。
紙素材の厚さは、強度と成形加工性の観点から、好ましくは200~1000[μm]であり、より好ましくは250~1000[μm]であり、さらに好ましくは300~700[μm]であり、よりさらに好ましくは300~500[μm]である。
紙素材には、種々の添加剤が含有されてよい。内添サイズ剤としては、ロジンン系,アルキルケテンダイマー系,アルケニル無水コハク酸系,スチレン-アクリル系,高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。その他の内添剤としては、填料,紙力増強剤,歩留り向上剤,pH調整剤,濾水性向上剤,耐水化剤,柔軟剤,帯電防止剤,消泡剤,スライムコントロール剤,染料・顔料等が挙げられる。
填料としては、二酸化チタン,カオリン,タルク,炭酸カルシウム等が挙げられる。
紙素材の表裏面には、耐水性付与等を目的としたラミネートを施すことが好ましい。
具体的には、ポリエチレン,ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂,ナイロン6等の脂肪族ポリアミド系樹脂,ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂が挙げられる。
紙素材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。
抄紙機としては、長網抄紙機,ギャップフォーマー型抄紙機,円網式抄紙機,短網式抄紙機等が挙げられる。
抄紙機によって形成された紙層は、例えば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、前記のようにして得られた紙に、カレンダーによる表面処理を施して厚さやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
なお、容器10の容器本体11に用いる材料は、上記紙素材に限らず、種々の紙製資材を用いることができる。
ホットメルト部22,32に用いるホットメルト接着剤は、一般的に用いられているホットメルト接着剤であれば特に限定されない。具体的には、EVA系,オレフィン系,ゴム系,ポリアミド系,ポリエステル系等の様々な公知系統のホットメルト接着剤を挙げることができる。
上記のようにホットメルト接着剤の使用量が必要最低限であること(ホットメルト接着剤の吐出で1ショットあたりの使用量が少ない)ことに鑑みて、加熱された際に低粘度となるホットメルト接着剤が好ましい。
ホットメルト接着剤には、公知に使用されるワックス、粘着付与材および酸化防止剤を含んでもよく、ワックス単独で用いても良い。ワックスには、フィッシャートロプシュワックス、およびポリエチレンワックスなどの剛性ワックス(炭化水素ワックス)や、パラフィンワックス、およびマイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックスが挙げられる。
粘着付与材は、石油樹脂,テルペン樹脂,ロジン系樹脂,スチレン系樹脂,及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
酸化防止剤は、ヒンダートフェノール系酸化防止剤や、ホスファイト系酸化防止剤などを挙げることができる。
上蓋シール40をなすフィルムシートは、MAP包装に適用されるため、バリア性を含む樹脂積層体であることが好ましい。より好ましくは、中間層にバリア層を含み、容器本体11のフランジ部7,9に接する層は、フランジ部7,9にヒートシールされる必要があるため、熱可塑性樹脂からなる層を含む樹脂積層体である。
すなわち、樹脂積層体は、中間層にバリア層を含み、容器本体11のフランジ部7,9に接する層に熱可塑性樹脂からなる層を含むフィルム材料であることがより好ましい。
バリア層は、樹脂に限られず金属箔等でもよい。紙基材層の印刷面を視認できるようにして、意匠性を高める観点からは、バリア層が、樹脂により構成されることが好ましく、透明の樹脂により構成されることがより好ましい。
バリア層を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール,エチレンビニルアルコール共重合体およびポリ塩化ビニリデン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール,エチレンビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つがより好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミドが好ましく、ポリアミドMXD6がより好ましい。
樹脂積層体の容器本体11のフランジ部7,9に接する層を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6等の脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂が挙げられる。
容器10の収容空間に食品を充填した状態で電子レンジにより加熱されることを考慮すると、例えばポリプロピレン(PP)樹脂、具体的には、ホモポリプロピレン,ランダムポリプピレン共重合体,ブロックポリプロピレン共重合体であり、特に、ランダムポリプロピレン共重合体を用いるのが好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン69,ナイロン610,ナイロン612,ナイロン11,ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6‐66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6‐10,ナイロン6‐12,ナイロン6‐69,ナイロン6‐610,ナイロン66‐69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6‐66,ナイロン6‐10またはナイロン6‐12が好ましい。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上混合して用いられてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート),ポリ(ブチレンテレフタレート),ポリ(エチレンテレフタレート/イソ二レート),ポリ(エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられる。更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール,ブチレングリコール,シクロヘキサンジメタノール,ネオペンチルグリコール,ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類,ベンゾフェノンジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェニルメタンジカルボン酸,プロピレンビス(フェニルカルボン酸),ジフェニルオキサイドジカルボン酸,シュウ酸,マレイン酸,マロン酸,コハク酸、グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼライン酸,サバチン酸,ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有させたものが使用できる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレンエチレン共重合体,エチレン酢酸ビニル共重合体,アイオノマー樹脂,エチレン(メタ)アクリル酸共重合体,エチレン(メタ)アクリル酸‐不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられる。好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いられてもよく、二種以上混合して用いられてもよい。
本フィルム材料は、上記の構成の他、種々を組み合わせた多層構成としてもよい。
また、フィルム層は、環境負荷低減の観点から、ポリ乳酸(PLA),ポリグリコール酸(PGA),ポリブチレンサクシネート(PBS)等の生分解性樹脂を用いることも好ましい。
本フィルム材料は、それぞれドライラミネート法により積層してもよく、同時に溶融押出しする共押出し法により形成したフィルムが好ましい。
そのほか、ホットメルト接着剤の塗工方法としては、公知の方法を広く採用することができる。例えば、ホットメルト接着剤を溶融タンク内で130~190℃で加熱溶融させた後、溶融タンクからホースを介してホットメルト吐出機器のノズルへ送り、ノズルから連続的又は間欠的にホットメルト接着剤を吐出させて、被接着物の接着面に塗工する方法を挙げることができる。
[2.作用効果]
本実施形態は、上述のように構成されるため、下記のような作用および効果を得ることができる。
上述した食品用容器10では、加熱前に固形であって加熱されると溶融するホットメルト部22、32が、連通部20,30において内側と外部との連通を遮断した状態に予め設けられている。そのため、加熱前(言い換えれば、ホットメルト接着剤が溶融したことのない状態)では、収容空間に収容された食品が密閉される。一方、電子レンジを用いて加熱した加熱状態では、ホットメルト部22、32が加熱により溶融することで、遮断されていた連通部20,30が連通して、電子レンジで加熱した際の蒸気が外部へ排出される。
よって、食品用容器では密閉性の確保と加熱した際の蒸通性の確保とを両立することができる。電子レンジでの加熱の際に上蓋シール40をはがしたり、上蓋シール40に孔を開けたりする作業が不要でありユーザビリティが向上する。
容器本体11が紙製のブランクシート11Sを折って成形されており、ブランクシート11Sの端面どうしが突き合わされた個所に生じた隙間が、収容空間の内側と外側とを連通する連通部20,30(蒸気通路)として利用される。そのため、密閉性の確保と加熱した際の蒸通性の確保とを両立することができるうえに、構造が簡素である。例えば隙間や段差をなくす切片シートをブランクシートに付設する従来の技術では、構造が複雑になるうえに、加熱した際の蒸通性を確保するために、上蓋シールをはがしたり、通気孔を設けたりする作業が必要となる。
連通部は、具体的には、ブランクシート11Sの端面どうしが突き合わされて生じた溝状の段差部20である。この場合、ホットメルト部22が溝状の段差部20の上面側に設けられているため、ホットメルト部22は溝状の段差部20に充填されやすい。そのため、段差部20の連通の密閉性が向上される。
連通部は、また、具体的には、ブランクシート11Sの端面どうしで囲まれた個所に生じた小穴部30である。
ホットメルト部32が小穴部30の上面側で容器本体11の内側に設けられている場合、ホットメルト部32が小穴部30をふさぎやすい。そのため、段差部20の連通の密閉性が向上される。
ホットメルト部34が小穴部30の下面側で容器本体11の外側に設けられている場合、加熱により溶融した際のホットメルト部34が小穴部30から離れやすいため、蒸通性が向上される。
そのほか、紙製のブランクシート11Sは、少なくとも内側を向いた面がポリオレフィン系組成またはポリエステル系組成の熱可塑性樹脂によってラミネートされていることが好ましい。その場合、耐水性など食品を包装するのに適した機能が容器本体11に付与される。
さらに、ホットメルト部22,32に用いるホットメルト接着剤が、EVA系、パラフィンワックスおよび炭化水素ワックスの少なくとも何れか一つが含有されたものであることが好ましい。これにより、食品包装用途に好適である。
[3.そのほか]
上述の各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
例えば、図6,図8および図9に例示したホットメルト部22,32,34は任意に組み合わされてよい。具体的には、食品用容器10は、図6,図8および図9に示されたホットメルト部22,32および34の何れか一つのみを備えた構成でもよいし、図6,図8および図9に示されたホットメルト部22,32および34の何れか二つを備えた構成でもよいし、図6,図8および図9に示されたホットメルト部22,32および34の全てを備えた構成でもよい。
容器本体11は、ブランクシート11Sを折って成形されるものに限らず、パルプモールドにより立体成型されたものであってもよい。
連通部は、折り返し方式の箱体で突き合わされたシートの端面どうしの間に生じた隙間を利用したものに限らず、容器本体11の壁面部やフランジ部に穿設された小穴や、凹設された溝であってもよい。
そのほか、食品用容器10の形状は四角トレー型に限らず、任意の角柱トレー型や,円筒型であってもよい。
また、本件は食品用容器10に限らず、開口がシール部材で閉塞される紙製の容器本体に対して内側の収容空間と外部とを連通する隙間をなす連通部と、加熱前に固形であって加熱されると溶融し、前記連通部において前記内側と前記外部との連通を遮断した状態に予め設けられたホットメルト部と、を備えたことを特徴とする、食品用容器の蒸通構造として構成および実施することができる。
1 :底面部
3 :第一側面部(側面部)
5 :第二側面部(側面部)
7 :第一フランジ部(フランジ部)
9 :第二フランジ部(フランジ部)
10 :食品用容器
11 :容器本体
13 :折り返し部
17 :第一突出片
19 :第二突出片
20 :段差部(連通部)
22 :ホットメルト部
30 :小穴部(連通部)
32 :ホットメルト部
40 :上蓋シール(シール部材)
70 :第一領域
90 :第一領域
11S :ブランクシート
1S :底面シート
3S :第一側面シート
5S :第二側面シート
7S :第一フランジシート
9S :第二フランジシート
12S :折り返しシート
13S :折り返しシート
17S :第一突出片シート
19S :第二突出片シート
70S :第一領域
71S :第二領域
90S :第一領域
91S :第二領域
L1~L11 :折線

Claims (7)

  1. 開口がシール部材で閉塞される紙製の容器本体に対して内側の収容空間と外部とを連通する隙間をなす連通部と、
    加熱前に固形であって加熱されると溶融し、前記連通部において前記内側と前記外部との連通を遮断した状態に予め設けられたホットメルト部と、を備えた
    ことを特徴とする食品用容器。
  2. 前記容器本体は、紙製のシートを折って成形されたものであり、
    前記連通部は、前記シートの端面どうしが突き合わされた個所に生じたものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の食品用容器。
  3. 前記連通部は、前記シートの端面どうしの間に生じた溝状の段差部であり、
    前記ホットメルト部は前記段差部の上面側に設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の食品用容器。
  4. 前記連通部は突き合わされた前記シートの端面どうしで囲まれた個所に生じた小穴部であり、
    前記ホットメルト部は前記小穴部の上面側で前記容器本体の内側に設けられている
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の食品用容器。
  5. 前記連通部は突き合わされた前記シートの端面どうしで囲まれた個所に生じた小穴部であり、
    前記ホットメルト部は前記小穴部の下面側で前記容器本体の外側に設けられている
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の食品用容器。
  6. 前記紙製のシートは、少なくとも前記内側を向いた面がポリオレフィン系組成またはポリエステル系組成の熱可塑性樹脂によってラミネートされている
    ことを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の食品用容器。
  7. 前記ホットメルト部に用いるホットメルト接着剤は、EVA系、パラフィンワックスおよび炭化水素ワックスの少なくとも何れか一つが含有されたものである
    ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の食品用容器。
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