JP2022130406A - 羊膜由来接着細胞を利用する疼痛の治療 - Google Patents

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Abstract

【課題】疼痛を抑制するための改善された組成物及び方法を提供する。【解決手段】個体における疼痛を治療する方法であって、該個体に、治療上有効な量のOCT-4-、組織培養表面接着羊膜由来接着細胞(AMDAC)、又はAMDACにより馴化された培地を投与することを含み、該治療上有効な量が該疼痛の検出可能な改善を起こすのに充分な量である、前記方法とする。【選択図】図1

Description

本願は、2012年10月19日に出願された米国仮特許出願第61/716,091号及び2013年3月14
日に出願された米国仮特許出願第61/783,752号の優先権を主張するものであり、該出願の
それぞれの開示はその全体として引用により本明細書中に組み込まれている。
(1. 分野)
本明細書において「羊膜由来接着細胞(AMDAC)」と称される羊膜由来の単離された組織
培養表面接着細胞を利用して、疼痛を改善する方法及び疼痛を有する個体を治療する方法
が本明細書に提供される。
(2. 背景)
哺乳類の胎盤は豊富であり、通常医療廃棄物として廃棄されるので、それらは医療的に
有用な幹細胞の独特な源である。疼痛を抑制するための改善された組成物及び方法が医療
分野で必要とされている。したがって、疼痛の治療に有用なAMDAC及びAMDACを含む組成物
、並びにそれを利用して疼痛を治療する方法が本明細書に提供される。
(3. 概要)
一態様において、個体における疼痛、又は感覚異常(dysaesthesia)、異痛症、及び痛覚
過敏などの異常な感覚状態を治療する方法であって、治療上有効な量のAMDAC又はAMDACに
より馴化された培地を該個体に投与することを含み、該治療上有効な量が前記疼痛の検出
可能な改善を起こすのに充分な量である方法が本明細書に提供される。具体的な実施態様
において、前記方法は、前記AMDACの投与前に前記個体における疼痛の1つ以上の第一レベ
ルを決定すること、及び前記AMDACの投与後に前記個体における疼痛の1つ以上の第二レベ
ルを決定することをさらに含み、ここで、前記治療上有効な量のAMDACが、疼痛の前記1つ
以上の第一レベルに比べて、前記疼痛の前記1つ以上の第二レベルを低下させる。より具
体的な実施態様において、前記治療上有効な量のAMDACは、プラセボの投与による改善よ
りも大きいか、又は長期間継続する前記疼痛の検出可能な改善をもたらす。より具体的な
実施態様において、疼痛の前記1つ以上の第一レベル及び疼痛の前記1つ以上の第二レベル
は、疼痛評価スケールにより決定される。より具体的な実施態様において、前記疼痛評価
スケールは、数値疼痛強度スケール(Numeric Pain Intensity Scale);疼痛質的評価スケ
ール(Pain Quality Assessment Scale);簡単記述疼痛強度スケール(Simple Descriptive
Pain Intensity Scale);視覚的アナログスケール(Visual Analog Scale);Wong-Baker FAC
ES疼痛評価スケール(Wong-Baker FACES Pain Rating Scale);FLACCスケール;CRIESスケー
ル;又はCOMFORTスケールである。
別の具体的な実施態様において、前記方法は、前記AMDACの投与前の前記個体における
疼痛の1つ以上の生理学的徴候の第一レベルを決定すること、及び前記AMDACの投与後の前
記個体における疼痛の1つ以上の生理学的徴候の第二レベルを決定することをさらに含み
、ここで、前記治療上有効な量のAMDACが前記第一レベルに比べて前記第二レベルを低下
させる。より具体的な実施態様において、疼痛の前記生理学的徴候は個体の心拍数である
。より具体的な実施態様において、前記個体の前記心拍数は、前記投与前の前記個体の前
記心拍数に比べて前記投与後に低い。より具体的な別の実施態様において、疼痛の前記生
理学的徴候は前記個体の収縮期圧である。より具体的な実施態様において、前記個体の前
記収縮期圧は、前記投与前の前記個体の前記収縮期圧に比べて、前記投与後に低い。より
具体的な別の実施態様において、疼痛の前記生理学的徴候は前記個体の拡張期圧である。
より具体的な実施態様において、前記個体の前記拡張期圧は、前記投与前の前記個体の前
記拡張期圧に比べて前記投与後に低い。
疼痛を治療する方法の別な実施態様において、前記疼痛は神経因性疼痛である。具体的
な実施態様において、前記神経因性疼痛は糖尿病性神経障害により起こる。別の具体的な
実施態様において、前記神経因性疼痛は、前記個体の神経の損傷により起こる。別の具体
的な実施態様において、前記神経因性疼痛は薬物により起こる。特定の具体的な実施態様
において、前記薬物は、白金含有抗癌薬、例えば、オキサリプラチン、カルボプラチン、
若しくはシスプラチン、又はパクリタキセル若しくはビンクリスチンなどの別な化学療法
薬であるか、又はそれらを含む。別な実施態様において、神経因性疼痛は、ウイルスによ
り、例えば、水痘帯状疱疹、ヘルペス(例えば、単純ヘルペス)、又はヒト免疫不全ウイル
ス(HIV)などのウイルス性疾患により起こる。より具体的な実施態様において、前記神経
因性疼痛は、帯状疱疹後神経痛である。さらに別な実施態様において、疼痛は、放射線障
害、例えば、癌治療の一部である放射線障害により起こる。疼痛を治療する方法のさらに
別な実施態様において、前記疼痛は、神経炎から生じる疼痛である。疼痛を治療する方法
の別な実施態様において、前記疼痛は、神経周囲の疼痛である。疼痛を治療する方法のさ
らに別な実施態様において、前記疼痛は、坐骨神経の疼痛、例えば、坐骨神経痛である。
疼痛を治療する方法の別な実施態様において、前記疼痛は炎症性疼痛である。別な実施
態様において、前記疼痛は骨痛である。具体的な実施態様において、前記骨痛は、癌と関
連するか、又は癌により起こる。別な実施態様において、前記疼痛は癌により起こる。別
な実施態様において、前記疼痛は、外陰部痛により起こるか、又は外陰部痛と関連する。
別な実施態様において、前記疼痛は、間質性膀胱炎により起こるか、又は間質性膀胱炎と
関連する。別な実施態様において、前記疼痛は、ステロイド療法に反応しない。別な実施
態様において、前記疼痛は、非ステロイド性抗炎症療法に反応しない。別な実施態様にお
いて、前記疼痛は、オピオイド療法に反応しない。別な実施態様において、前記疼痛は、
アヘン剤療法に反応しない。
別な態様において、個体における疼痛の治療に使用するための治療上有効な量のAMDAC
又はAMDACにより馴化された培地であって、該治療上有効な量が、前記疼痛の検出可能な
改善を起こすのに充分な量である治療上有効な量のAMDAC又はAMDACにより馴化された培地
が本明細書に提供される。一実施態様において、前記使用前の前記個体における疼痛の前
記レベル及び前記使用後の該個体における疼痛の前記レベルは、疼痛評価スケール、例え
ば、数値疼痛強度スケール;疼痛質的評価スケール;簡単記述疼痛強度スケール;視覚的ア
ナログスケール;Wong-Baker FACES疼痛評価スケール;FLACCスケール;CRIESスケール;又は
COMFORTスケールにより決定される。別な実施態様において、前記使用前の前記個体にお
ける疼痛の前記レベル及び前記使用後の該個体における疼痛の前記レベルは、疼痛の1つ
以上の身体的徴候により決定される。具体的な実施態様において、疼痛の前記生理学的徴
候は、個体の心拍数であり、例えば、前記個体の前記心拍数は、前記使用前より前記使用
後に低い。別の具体的な実施態様において、疼痛の前記生理学的徴候は、前記個体の収縮
期圧であり、例えば、前記個体の前記収縮期圧は、前記使用前より前記使用後に低い。別
の具体的な実施態様において、疼痛の前記生理学的徴候は、前記個体の拡張期圧であり、
例えば、前記個体の前記拡張期圧は、前記使用前より前記使用後に低い。特定の実施態様
において、前記疼痛は神経因性疼痛である。より具体的な実施態様において、前記神経因
性疼痛は糖尿病性神経障害により起こる。より具体的な実施態様において、前記神経因性
疼痛は、前記個体の神経の損傷により起こる。より具体的な別の実施態様において、前記
神経因性疼痛は薬物により起こる。より具体的な実施態様において、前記薬物は白金含有
抗癌薬であり、例えば、白金含有抗癌薬は、オキサリプラチン、カルボプラチン、若しく
はシスプラチンであるか、又はオキサリプラチン、カルボプラチン、若しくはシスプラチ
ンを含む。別の具体的な実施態様において、前記薬物は、パクリタキセルであるか、パク
リタキセルを含む。他の具体的な実施態様において、前記疼痛は、炎症性疼痛、骨痛(例
えば、骨痛は、癌と関連しているか、又は癌により起こる)、癌により起こる疼痛、外陰
部痛により起こるか、若しくは外陰部痛と関連する疼痛、間質性膀胱炎により起こるか、
若しくは間質性膀胱炎と関連する疼痛、又は変形性関節症などの変性関節疾患により起こ
る疼痛である。特定の実施態様において、前記疼痛はステロイド療法に反応しない。特定
の他の実施態様において、前記疼痛は非ステロイド性抗炎症療法に反応しない。特定の他
の実施態様において、前記疼痛はオピオイド療法に反応しない。特定の他の実施態様にお
いて、前記疼痛は、非特異的又は混合型ミュー/デルタオピオイド療法(mixed mu/delta o
pioids therapy)に反応しない。
AMDACは、組織培養表面、例えば、組織培養プラスチックに接着し、OCT-4-である。特
定の実施態様において、前記OCT-4-AMDACは、さらに、RT-PCRにより決定可能なHLA-G-
ある。特定の他の具体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、フローサイトメト
リーにより決定可能なCD49f+である。特定の他の具体的な実施態様において、前記AMDAC
は、OCT-4-、HLA-G-、及びCD49f+である。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは
、さらに、フローサイトメトリーにより決定可能なCD90+、CD105+、又はCD117-である。
別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、フローサイトメトリーにより決
定可能なCD90+、CD105+、及びCD117-である。別の具体的な実施態様において、前記AMDAC
は、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-及びHLA-G-であり、且つフローサイトメトリーにより
決定可能なCD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-である。別の具体的な実施態様において
、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+(血管内皮細胞成長
因子受容体1)及びVEGFR2/KDR+(血管内皮細胞成長因子受容体2)である。別の具体的な実施
態様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+
、CD54+、CD98+、Tie-2+(アンジオポエチン受容体)、TEM-7+(腫瘍内皮マーカー7)、CD31-
、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-(アンジオテンシン-I-変換酵素、ACE)、CD146-(メラノ
ーマ細胞接着分子)、又はCXCR4-(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)受容体4)の1つ以上である。
より具体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なCD9
+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2+(アンジオポエチン受容体)、TEM-7+(腫瘍内皮マ
ーカー7)、CD31-、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-、CD146-、及びCXCR4-である。別の具
体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なVE-カドヘ
リン-である。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により
決定可能なCD105+及びCD200+について陽性である。別の具体的な実施態様において、前記
AMDACは、さらに、培地中で50ng/mLのVEGFに7日間曝露させた後、免疫局在化により決定
可能なCD34を発現しない。
特定の具体的な実施態様において、本明細書に提示される方法に利用可能なAMDACは、
組織培養プラスチックに接着し;前記細胞は、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且
つ、免疫局在化により決定可能なCD49f+、HLA-G-、CD90+、CD105+、及びCD117-であり;且
つ、前記AMDACは:(a)免疫局在化により決定可能なCD9、CD10、CD44、CD54、CD98、CD200
、Tie-2、TEM-7、VEGFR1/Flt-1、又はVEGFR2/KDR(CD309)の1つ以上を発現し;(b)免疫局在
化により決定可能なCD31、CD34、CD38、CD45、CD133、CD143、CD144、CD146、CD271、CXC
R4、HLA-G、若しくはVE-カドヘリンの発現を欠き、又はRT-PCRにより決定可能なSOX2の発
現を欠き;(c)ACTA2、ADAMTS1、AMOT、ANG、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL1、ANGPTL2、ANGPTL4
、BAI1、CD44、CD200、CEACAM1、CHGA、COL15A1、COL18A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、CS
F3、CTGF、CXCL12、CXCL2、DNMT3B、ECGF1、EDG1、EDIL3、ENPP2、EPHB2、FBLN5、F2、FG
F1、FGF2、FIGF、FLT4、FN1、FST、FOXC2、GRN、HGF、HEY1、HSPG2、IFNB1、IL8、IL12A
、ITGA4、ITGAV、ITGB3、MDK、MMP2、MYOZ2、NRP1、NRP2、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECA
M1、PF4、PGK1、PROX1、PTN、SEMA3F、SERPINB5、SERPINC1、SERPINF1、TIMP2、TIMP3、T
GFA、TGFB1、THBS1、THBS2、TIE1、TIE2/TEK、TNF、TNNI1、TNFSF15、VASH1、VEGF、VEGF
B、VEGFC、VEGFR1/FLT1、又はVEGFR2/KDRのmRNAを発現し;(d)タンパク質類CD49d、コネキ
シン-43、HLA-ABC、β2-ミクログロブリン、CD349、CD318、PDL1、CD106、ガレクチン-1
、ADAM17、アンジオテンシノゲン前駆体、フィラミンA、α-アクチニン1、メガリン、マ
クロファージアセチル化LDL受容体I及びII、アクチビンIIB型受容体前駆体、Wnt-9タンパ
ク質、グリア繊維酸性タンパク質、星状細胞、ミオシン結合タンパク質C、又はミオシン
重鎖、非筋細胞A型の1つ以上を発現し;(e)VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチ
ン、G-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、又はガレクチン-
1を、AMDACが培養されている培地に分泌し;(f)マイクロRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-1
8b、miR-19b、miR-92、又はmiR-296を、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも高レベルで
発現し;(g)マイクロRNA類miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-222、miR-15b、又はmiR-16を
、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも低レベルで発現し;(h)miRNA類miR-17-3p、miR-18
a、miR-18b、miR-19b、miR-92、miR-20a、miR-20b、miR-296、miR-221、miR-222、miR-15
b、又はmiR-16を発現し;且つ/或いは(i)21%のO2下でのCD202b、IL-8、又はVEGFの発現と
比べて、約5%未満のO2中で培養される場合増加したレベルのCD202b、IL-8、又はVEGFを発
現する。
疼痛を有する個体を治療する方法は、本明細書に記載されるAMDACのいずれかを含む細
胞集団を利用し得るが、前記集団中の少なくとも50%の細胞、前記集団中の少なくとも80%
の細胞、又は前記集団中の少なくとも90%の細胞が前記AMDACである。具体的な実施態様に
おいて、前記集団は、単離された第二の種類の細胞をさらに含み、前記集団は、羊膜でも
、羊膜の一部でも、羊膜のホモジェネートでもない。具体的な実施態様において、前記第
二の種類の細胞は、造血幹細胞又は始原細胞、例えば、CD34+細胞である。他のより具体
的な実施態様において、前記第二の種類の細胞は、胚性幹細胞、血液細胞、末梢血から単
離された幹細胞、胎盤血から単離された幹細胞、胎盤灌流液から単離された幹細胞、胎盤
組織から単離された幹細胞、臍帯血から単離された幹細胞、臍帯幹細胞、骨髄由来の間葉
系幹細胞、骨髄由来の間葉系間質細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、軟骨細胞、線維芽細胞
、筋細胞、内皮細胞、血管芽細胞、内皮始原細胞、周皮細胞、心筋細胞、筋細胞、心筋芽
細胞、筋芽細胞、又は胚性幹細胞に似るように操作された細胞である。特定のより具体的
な実施態様において、前記第二の種類の細胞は、前記集団の少なくとも10%の細胞、又は
少なくとも25%の細胞を構成する。
本明細書に提供される方法に有用な、単離された羊膜由来接着細胞及びAMDACを含む細
胞集団は、例えば、米国特許第7,468,276号又は米国特許出願公開第2007/0275362号に記
載される単離された胎盤幹細胞又は細胞集団ではない。本明細書に提供される単離された
羊膜由来接着細胞は、内皮始原細胞、羊膜上皮細胞、栄養芽細胞、細胞栄養芽層、胚性生
殖細胞、胚性幹細胞、胚の内部細胞塊から得た細胞、又は胚の生殖堤から得られた細胞で
もない。
本明細書では、用語「約」は、例えば、記述された数字又は値の10%以内を意味する。
本明細書では、「幹細胞」という用語は、大規模だが必ずしも無限にではなく増殖する
ことができ、且つ、発生学的な発達又は出生後の組織交換及び修復のいずれかの間で、複
数の組織の形成に寄与する、いずれか所定の細胞集団の機能特性を定義している。
本明細書では、「始原細胞」という用語は、大規模だが必ずしも無限にではなく増殖す
ることができ、且つ、発生学的な発達又は出生後の組織交換及び修復のいずれかの間で、
幹細胞と比べて限定された組の複数の組織の形成に寄与する、いずれか所定の細胞集団の
機能特性を定義している。
本明細書では、「由来した」という用語は、単離されているか、又は別の形で純化され
ていることを意味する。例えば、羊膜由来接着細胞は、羊膜から単離されている。「由来
した」という用語は、組織、例えば、羊膜から直接単離された細胞から培養された細胞、
及び初代単離株から培養又は拡大された細胞を包含する。
本明細書では、「免疫局在化」は、例えばフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別
、磁気細胞選別、インサイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学などにおいて、免
疫タンパク質、例えば、抗体又はその断片を用いる、化合物、例えば、細胞マーカーの検
出を意味する。
本明細書では、「単離された細胞」という用語は、該単離された細胞が由来する組織、
例えば羊膜又は胎盤の他の、例えば異なった細胞から実質的に分離されている細胞を意味
する。該単離された細胞が天然に関連している細胞の少なくとも約20%、30%、40%、50
%、60%、70%、80%、90%、95%、又は少なくとも99%が、例えば、該細胞の回収及び
/又は培養時に、該細胞から取り除かれる場合、該細胞は「単離され」ている。本明細書
では、「単離された細胞集団」という用語は、該細胞集団が由来する組織、例えば、羊膜
又は胎盤などの他の細胞から実質的に分離されている細胞の集団を意味する。
本明細書では、細胞は、例えば、免疫局在化、例えば、フローサイトメトリーにより;
又は、RT-PCRにより、特定のマーカーがバックグラウンドを上回り検出可能である場合、
特定のマーカーについて「陽性」である。例えば、CD105が、バックグラウンドよりも(例
えばアイソタイプ対照と比べて)検出可能に多い量で細胞上で検出可能である場合、該細
胞は、例えばCD105について陽性と説明される。例えば、抗体-媒介性検出の文脈において
、特定の細胞表面マーカーが存在することの指標としての「陽性」は、該マーカーが、そ
のマーカーに対して特異的な抗体、例えば蛍光標識抗体を用いて検出可能であることを意
味し;「陽性」はまた、細胞が、例えばフローサイトメーターにおいて、バックグラウン
ドを上回り、又はアイソタイプ対照を上回る量で検出可能であるシグナルを発生する量で
、そのマーカーを有することも意味する。例えば、細胞が、CD105に特異的な抗体により
検出可能に標識され、且つ該抗体からのシグナルが対照(例えば、バックグラウンド)より
も検出可能に高い場合に、該細胞は「CD105+」である。対照的に、同じ文脈で「陰性」と
は、細胞表面マーカーが、該マーカーに特異的な抗体を用い、バックグラウンドと比べ、
検出可能でないことを意味する。例えば、細胞がCD34に特異的な抗体で検出可能に標識さ
れない場合、該細胞は「CD34-」である。本明細書において特記されない限りは、分化抗
原分類(「CD」)マーカーは、抗体を用いて検出される。例えば、OCT-4のmRNAが、例えば3
0サイクルのRT-PCRを用い検出可能である場合に、OCT-4が存在すると決定することができ
、且つ細胞はOCT-4+である。
特定の実施態様において、前記AMDACは、局所投与されるように製剤される。特定の他
の実施態様において、前記AMDACは、全身に、例えば、静脈内に又は動脈内に投与される
ように製剤される。
(4. 図面の簡単な説明)
図1は、坐骨神経の神経周囲の炎症(神経炎)により誘発された疼痛に対する、AMDACのIV投与の効果を表す。 図2は、坐骨神経の神経周囲の炎症により誘発された疼痛に対する、筋肉に注射されたAMDACの筋肉内(IM)投与の効果を表す。
(5. 詳細な説明)
(5.1 疼痛の治療の方法)
疼痛は、一般的に、実際の又は潜在的な組織損傷に関連するか、又はそのような損傷に
関して記載される不快な感覚的及び感情的経験であると定義される。Merskey H、Bogduk
N編の文献(「慢性疼痛の分類(Classification of Chronic Pain)」, International Asso
ciation for the Study of Pain (IASP) Task Force on Taxonomy, IASP Press: Seattle
, 209-214, 1994)。
一態様において、疼痛を有する個体を治療する方法であって、該個体に治療上有効な量
のAMDAC又はAMDACにより馴化された培地を投与することを含み、該治療上有効な量が、前
記疼痛又は前記疼痛と関連する症状の検出可能な改善を起こすのに充分な量である方法が
本明細書に提供される。一実施態様において、前記方法は、前記AMDACの投与前に前記個
体における疼痛の第一レベルを決定すること、及び前記AMDACの投与後に前記個体におけ
る疼痛の第二レベルを決定することをさらに含み、ここで、前記治療上有効な量のAMDAC
が、疼痛の前記第一レベルと比べて前記疼痛の前記第二レベルを低下させる。
特定の実施態様において、治療上有効な量のAMDACは、投与されると、プラセボの投与
に比べて、より大きい、又はより長期間継続する個体における疼痛の改善をもたらす。
特定の実施態様において、疼痛は、侵害受容性疼痛である。侵害受容性疼痛は、典型的
には、炎症性化学伝達物質などの侵害刺激が、組織損傷、疾患、又は炎症に続いて放出さ
れ、損傷部位で正常に機能している感覚受容器(侵害受容器)により検出される場合に惹起
される。例えば、Koltzenburg M.の文献(Clin. J. of Pain 16:S131-S138 (2000))を参照
されたい。侵害受容性疼痛の原因の例には、化学熱傷及び熱傷、皮膚の切傷及び打撲傷、
変形性関節症、関節リウマチ、腱炎、及び筋筋膜痛があるが、これらに限定されない。特
定の実施態様において、侵害受容性疼痛は炎症により刺激される。
特定の他の実施態様において、疼痛は神経因性疼痛である。神経因性疼痛は、神経系の
損傷又は障害を反映しており、「神経系の初発病巣又は機能不全により開始されるか、又
は起こされる疼痛」と定義されてきた。Merskey H, Bogduk N編の文献(「慢性疼痛の分類
(Classification of Chronic Pain)」, International Association for the Study of P
ain(IASP) Task Force on Taxonomy, IASP Press: Seattle, 209-214, 1994)。具体的な
実施態様において、神経因性疼痛は、末梢ニューロンの変化した興奮性により特徴づけら
れる。他の具体的な実施態様において、神経因性疼痛には、糖尿病性神経障害と関連する
疼痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、及び脳卒中後疼痛があるが、これらに限定されな
い。特定の実施態様において、神経因性疼痛は、連続的で、時折起こり、例えば、焼ける
ような、刺すような、ちくちくする、ずきずきする、電撃様、突き刺すような、締め付け
られるような、深部の痛み、又は突発的であると記述される。特定の他の実施態様におい
て、神経因性疼痛を有する個体は、部分的若しくは完全な感覚消失、異常若しくは未知の
不快な感覚(感覚異常)、非侵害刺激から生じる疼痛、又は閾上刺激に応答した不釣り合い
な疼痛の知覚(痛覚過敏)をさらに経験する。
別の具体的な実施態様において、神経因性疼痛は複合性局所疼痛症候群(CRPS)である。
具体的な実施態様において、CRPSは、神経損傷が存在しない状態で手足を冒す(I型CRPS)
。より具体的な実施態様において、前記I型CRPSは反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)
を含む。より具体的な実施態様において、前記RSDは、I期RSD、又は「初期RSD」である。
初期RSDにおいて、疼痛は、損傷から期待されるよりも重症であり、それは燃えるような
、又はうずくような質を有する。それは、足に頼ること(dependency of the limb)、物理
的接触、又は感情面の動揺により増加し得る。患部は、典型的には浮腫状になり、高体温
又は低体温になることがあり、爪及び体毛の成長の増大を示すことがある。レントゲン写
真により初期の骨の変化が示されることがある。より具体的な別の実施態様において、前
記RSDは、II期RSD、又は「確立されたRSD」である。より具体的な実施態様において、前
記確立されたRSDは、疼痛の他に、浮腫状組織の硬化;網状皮斑若しくはチアノーゼを伴う
皮膚の多汗症;抜け毛;爪の隆起、亀裂、若しくは脆化;手の乾燥の発生;並びに/又は皮膚
及び皮下組織の顕著な萎縮を含む。疼痛は主な特徴のままである。より具体的な別の実施
態様において、前記RSDは、III期RSD、又は「後期RSD」である。より具体的な実施態様に
おいて、前記後期RSDは、近位に広がる疼痛;不可逆的な組織損傷;光沢のある薄い皮膚;及
びレントゲン写真で可視化される骨脱灰を含む。
別の具体的な実施態様において、神経因性疼痛は、薬物、例えば、化学療法薬又は抗癌
薬により起こる疼痛である。具体的な実施態様において、薬物は、白金含有薬物、タキサ
ン、エポチロン、植物アルカロイド、又はサリドマイドであるか、又はこれらを含む。よ
り具体的な実施態様において、薬物は、ボルテゾミブ、カルボプラチン(例えば、PARAPLA
TIN(登録商標))、シスプラチン(例えば、PLATINOL(登録商標))、シタラビン(例えば、CYT
OSAR(登録商標)、Ara-C)、ドセタキセル(例えば、TAXOTERE(登録商標))、エトポシド/VP-
16(VEPESID(登録商標))、ゲムシチビン(gemcitibine)(例えば、GEMZAR(登録商標))、HALA
VEN(登録商標)(エリブリンメシル酸塩)、ヘキサメチルメラミン(例えば、HEXALIN(登録商
標))、パクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標);ABRAXANE(登録商標))、オキサリプラチ
ン(例えば、ELOXATIN(登録商標))、スラミン、サリドマイド(例えば、THALOMID(登録商標
))、ビンブラスチン(例えば、VELBAN(登録商標);ALKABAN-AQ(登録商標))、ビンクリスチ
ン(例えば、ONCOVIN(登録商標)、VINCASAR PFS(登録商標)、Vincrex)、又はビノレルビン
(NAVELBINE(登録商標))であるか、又はこれらを含む。
特定の他の具体的な実施態様において、薬物は抗生物質である。特定の他の実施態様に
おいて、薬物はスタチンである。
特定の他の具体的な実施態様において、薬物は、アムロジピン(例えば、NORVASC(登録
商標)、Lotril、又はLotrel)、アトルバスタチン(例えば、LIPITOR(登録商標))、デュロ
キセチン(例えば、CYMBALTA(登録商標))、プレガバリン(LYRICA(登録商標))、アロプリノ
ール(例えば、LOPURIM(登録商標)、ZYLOPRIM(登録商標))、アミノジピンバーグレート(am
inodipinberglate)、アミオダロン(例えば、CORDERONE(登録商標)、PACERONE(登録商標))
、アミオジピン(amiodipine)、アミトリプチリン(例えば、ELAVIL(商標)、ENDEP(商標
)、VANATRIP(商標))、メトロニダゾール(例えば、FLAGYL(登録商標)、METROGEL(商標
))、ニトロフラントイン(例えば、FURADANTIN(登録商標)、MACROBID(登録商標)、MACROD
ANTIN(登録商標)、NITRO MACRO)、ペルヘキシリン、VYTORIN(登録商標)、シプロフロキサ
シン(例えば、CIPRO(登録商標)、PROQUIN(登録商標))、ジスルフィラム(例えば、ANTABUS
E)、ゾルピデム(例えば、AMBIEN(登録商標))、ブスピロン(例えば、BUSPAR)、クロナゼパ
ム(例えば、KLONOPIM、CEBERKLON、VALPAX)、アラプラゾラム(alaprazolam)(例えば、XAN
AX(登録商標))、フェニトイン(DILANTIN(登録商標))、シタロプラム(例えば、CELEXA)、
デュロキセチン(例えば、CYMBALTA(登録商標))、ベンラキサフィン(venlaxafine)(例えば
、EFFEXOR、EFFEXOR XR(登録商標))、ノルトリプチリン(例えば、AVENTYL HCL、PAMELOR)
、セルトラリン(例えば、ZOLOFT(登録商標))、パロキセチン(例えば、PAXIL、PAXIL CR(
登録商標))、アテノロール(例えば、TENORMIN、SENORMIN)、ペリンドプリル(例えば、ACE
ON)、アルテース(例えば、ラミプリル(登録商標))、ロサルタン(例えば、COZAAR(登録商
標)、HYZAAR(登録商標))、ヒドララジン(例えば、APRESOLINE(登録商標))、ヒドロクロロ
チアジド(例えば、HYDRODIURIL(商標)、EZIDE(商標)、HYDRO-PAR(商標)、MICROZIDE(
商標))、リジノプリル(例えば、PRINOVIL(登録商標)、ZESTRIL(登録商標))、テルミ
サルタン(例えば、MICARDIS(商標))、ペルヘキシリン、プラゾシン(例えば、MINIPRESS
(登録商標))、リジノプリル(例えば、PRINIVIL(登録商標)、ZESTRIL(登録商標))、
ロバスタチン(例えば、ALTOCOR(登録商標)、MEVACOR(登録商標))、CADUET(登録商標
)、ロスバタチン(rosuvatatin)(例えば、CRESTOR(登録商標))、フルバスタチン(例え
ば、LESCOL(登録商標)、LESCOL(登録商標)XL)、シンバスタチン(例えば、ZOCOR(登
録商標))、セリバスタチン(例えば、LIPOBAY(商標))、ゲムフィブロジル(例えば、LOPI
D(登録商標))、プラバスタチン(例えば、PRAVACHOL(登録商標)、PRAVIGARD PAC(商
標))、d4T(スタブジン、例えば、ZERIT(登録商標))、ddC(ザルシチビン(zalcitibine);
例えば、HIVID(登録商標))、ddI(ジダノシン、例えば、VIDEX(登録商標)EC)、イソニ
アジド(例えば、TUBIZID(登録商標))、ジアミノジフェニルスルホン(DDS、ダプソン)で
あるか、これらを含む。
別の具体的な実施態様において、前記CRPSは、神経損傷のある状態で手足を冒す(II型C
RPS)。より具体的な実施態様において、前記CRPS IIはカウザルギーを含む。別の具体的
な実施態様において、前記CRPSは、交感神経依存性疼痛症候群を含む。特定の実施態様に
おいて、CRPSの症状には、疼痛、自律神経機能不全、浮腫、運動障害、ジストロフィー、
萎縮、灼熱痛、異痛症(軽い接触による疼痛)があるが、これらに限定されない。特定の実
施態様において、CRPS関連疼痛は、腫脹及び関節圧痛、発汗増大、温度過敏、及び/又は
皮膚の色の変化を伴う。
特定の他の具体的な実施態様において、神経因性疼痛は、食事性欠乏症により起こるか
、又は食事性欠乏症に関連する神経因性疼痛である。より具体的な実施態様において、食
事性欠乏症は、ビタミンB12(コバラミン、シアノコバラミン)欠乏症である。より具体的
な別の実施態様において、食事性欠乏症は、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール
リン酸)欠乏症である。より具体的な別の実施態様において、食事性欠乏症は、ビタミンB
1(チアミン)欠乏症である。別の具体的な実施態様において、栄養欠乏症により起こる神
経因性疼痛を有する個体は、肥満外科手術を受けている。別の具体的な実施態様において
、神経因性疼痛は、アルコール依存症又は疼痛を有する個体によるアルコールの消費によ
り起こるか、又はそれらに関連している。
特定の実施態様において、疼痛は、外陰部痛により起こるか、又は外陰部痛と関連して
いる。外陰部痛は、外陰部の疼痛、例えば、外陰部又は膣内の感染症又は皮膚病により説
明できない疼痛である。一実施態様において、外陰部痛の疼痛は、外陰部領域に、例えば
、外陰部前庭炎又は外陰部痛などの前庭の領域に局在している。別な実施態様において、
外陰部痛の疼痛は、陰核に及ぶことがあり、例えば、陰核痛である。外陰部痛の原因の例
には、性交疼痛症、外陰部に分布する神経の損傷又は刺激、炎症に対する遺伝的素因、ア
レルギー、自己免疫疾患(例えば、紅斑性狼蒼又はシェーグレン症候群)、感染(例えば、
酵母菌感染、HPV又は細菌性膣症)、及び神経障害があるが、これらに限定されない。外陰
部痛の例示的な症状には、非限定的に、外陰部、大陰唇、小陰唇、若しくは前庭、又はそ
の周辺の拡散痛又は灼熱感がある。
特定の実施態様において、疼痛は、間質性膀胱炎により起こるか、又は間質性膀胱炎と
関連している。間質性膀胱炎は、膀胱疼痛症候群としても知られており、例えば、膀胱に
関連する疼痛若しくは圧迫、排尿に関連する疼痛、排尿時刺激、尿意頻数、尿意切迫、又
は骨盤内の疼痛若しくは圧迫によりしばしば特徴づけられる慢性病態である。間質性膀胱
炎の病理及び病因は明確には理解されていない。しかし、いくつかの可能性のある原因、
例えば、血管閉塞、自己免疫、炎症、漏出性の膀胱内膜、肥満細胞、ストレス、並びに遺
伝的、神経性、及び内分泌の原因が提案されてきた。一実施態様において、間質性膀胱炎
の診断は、例えば、骨盤痛(骨盤痛(Pelvic Pain)尿意切迫(Urgency)/頻尿(Frequency)(PU
F)患者調査又はカリウム感受性試験としても知られるKCl試験により実施できる。
特定の他の実施態様において、疼痛は内臓痛である。
特定の他の実施態様において、疼痛は、手術の間に起こった組織に対する外傷から生じ
るものなどの術後疼痛である。
特定の他の実施態様において、疼痛は、混合性疼痛、例えば、侵害受容性要素と神経障
害性要素を有する慢性疼痛である。具体的な実施態様において、前記混合性疼痛は、癌疼
痛又は腰痛である。
特定の他の実施態様において、疼痛は、片頭痛又は、頭痛、例えば、血管性頭痛、群発
頭痛、若しくは中毒性頭痛(toxic headache)による疼痛である。
他の実施態様において、疼痛は、ウイルス感染、例えば、ヘルペスウイルス、水痘ウイ
ルス(例えば、水痘帯状疱疹)、又はヒト免疫不全ウイルスによる感染により起こる。具体
的な実施態様において、疼痛は、帯状疱疹後神経痛であるか、又はそれに関連する。
具体的な実施態様において、疼痛と関連した前記症状には、自律神経機能不全、動作開
始不可能、衰弱、振戦、筋痙攣、ジストニア、ジストロフィー、萎縮、浮腫、硬直、関節
圧痛、発汗増大、温度過敏、軽い接触(異痛症)、皮膚の色変化、高体温又は低体温、爪及
び体毛の成長増大、早期骨変性、網状皮斑又はチアノーゼを伴う多汗症、抜け毛、爪の隆
起、亀裂、又は脆化、手の乾燥、びまん性骨粗鬆症、不可逆的な組織損傷、つやのある薄
い皮膚、関節拘縮、及び顕著な骨脱灰の1つ以上があるが、これらに限定されない。
(5.1.1 疼痛評価スケール)
一実施態様において、疼痛を有する個体に投与されるAMDACの治療上有効な量は、個体
における疼痛の検出可能な軽減をもたらす量である。軽減は、個体にとって検出可能であ
るか、観察者にとって検出可能であるか、又はその両方であり得る。本明細書に提供され
る治療の方法の特定の実施態様において、個体における疼痛のレベルは、1つ以上の個体
疼痛スケールに従って、例えば、医師により指導される通り、又は治療前精密検査として
、該個体により評価される。特定の他の実施態様において、個体における疼痛のレベルは
、1つ以上の観察者疼痛スケールを利用して、観察者により評価される。疼痛のレベルが
、AMDACの投与の前後で、該方法に従って評価される場合、好ましくは、各評価に同じス
ケールが利用される。個体における疼痛は、AMDACの投与前に、1回又は2回以上、例えば
、2、3、4、又は5回評価でき、AMDACの投与後に、1回又は2回以上、例えば、2、3、4、又
は5回評価できる。
一実施態様において、個体における疼痛は、0-10数値疼痛強度スケールにより評価され
る。このスケールにおいて、0は疼痛なしに相当し、10は最悪の疼痛に相当する。特定の
実施態様、例えば、疼痛質的評価スケールにおいて、疼痛は、2以上の数値的記述子、例
えば、疼痛がどの程度「熱く」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「強く」感
じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「鋭く」感じられるかについて0~10、疼痛が
どの程度「鈍く」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「冷たく」感じられるか
について0~10、疼痛がどの程度「鋭敏に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度
「圧痛的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「むずむず」感じられるかに
ついて0~10、疼痛がどの程度「電撃的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度
「麻痺的」に感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「チクチク」感じられるかに
ついて0~10、疼痛がどの程度「電気的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度
「痙攣的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「ズキズキ」するかについて0
~10、疼痛がどの程度「放散的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「うず
く」ように感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「重く」感じられるかについて0
~10、及び/又は疼痛がどの程度「不快に」感じられるかについて0~10に分類される。
別な実施態様において、個体における疼痛は、簡単記述疼痛強度スケールにより評価さ
れる。このスケールにおいて、疼痛は、例えば、「疼痛なし」、「軽度の疼痛」、「中程
度の疼痛」、「重症の疼痛」、「非常に重症の疼痛」、又は「起こり得る最悪の疼痛」と
記載される。
別な実施態様において、個体における疼痛は、視覚的アナログスケールにより評価され
る。視覚的アナログスケールにおいて、個体には、垂直線からなるグラフが提示されるが
、その線の一端には「疼痛なし」と表示され、もう一端には「起こり得る最悪の疼痛」と
表示されている。個体は、該個体により認知される疼痛のレベルを示す、両端の間の点で
、線に印をつけるように求められる。
別な実施態様において、個体における疼痛は、Wong-Baker FACES疼痛評価スケールによ
り評価される。FACES疼痛評価スケールにおいて、疼痛のレベルは、一連の漫画の顔、典
型的には、幸せそうに見える顔から段階的に不幸せに見える顔まで6つの顔により示され
る。具体的な実施態様において、顔には、「痛くない」、「少し痛い」「もう少し痛い」
、「さらに痛い」、「かなり痛い」、及び「これ以上なく痛む」などの句が付けられてい
る。別の具体的な実施態様において、顔には、「疼痛なし」「軽度の気に障る疼痛」、「
しつこい、不快な、厄介な疼痛」、「悲惨な、苦しい疼痛」、「強い、猛烈な、不愉快な
疼痛」、及び「起こり得る最悪の、耐えられない、苦しくてたまらない疼痛」などの句が
、単独又は数値による0から10のスケールを伴って付けられている。
特定の実施態様において、個体における疼痛は、FLACC(顔、脚、活動性、啼泣、及び精
神的安定)スケールにより評価される。具体的な実施態様において、5つの特徴のそれぞれ
が、例えば、2が疼痛を示し、0が疼痛なしを示す0~2で評価される。スコアは、別々にも
、総合的にも利用できる。
特定の他の実施態様において、個体における疼痛は、CRIES(啼泣、SaO2(ヘモグロビン
飽和)のためのO2の必要性、バイタルサインの上昇(血圧及び心拍数)、表情、及び不眠)
スケールにより評価される。具体的な実施態様において、5つの特徴のそれぞれは、例え
ば、2が疼痛を示し、0が疼痛なしを示す0~2で評価される。スコアは、別々にも、総合的
にも利用できる。
特定の実施態様において、個体における疼痛はCOMFORTスケールにより評価されるが、
該スケールは、9つの異なる特徴(意識状態、平静度、呼吸困難、啼泣、体動、筋緊張、顔
面表情の緊張、血圧、及び心拍数)を、それぞれ、1が全く又はほとんどない疼痛及び5が
最大の疼痛を示す1~5のスケールで評価するものである。スコアは、個別にも、総合的に
も利用できる。
(5.1.2 疼痛の生理学的徴候)
本明細書では、「疼痛の治療」などは、疼痛を完全になくすこと;疼痛に苦しんでいる
個体による疼痛の著しい軽減;客観的基準(例えば、心拍数、血圧、筋緊張など)による、
疼痛若しくは疼痛の徴候の検出可能な軽減;又はいずれか2つ又は3つ全ての組み合わせを
含み得る。特定の他の実施態様において、個体における疼痛は、AMDACの投与の前又は後
のいずれかで、又は両方で、生理学的基準、例えば、ストレスの生理学的基準により評価
できる。そのような生理学的基準は、心拍数又は血圧などの客観的に測定可能な基準、例
えば、個体における非疼痛状態に比べて、又は期待される標準(例えば、120収縮期圧及び
80拡張期圧;1分あたり心拍数60)に比べて増大した心拍数又は血圧を含み得る。そのよう
な生理学的基準は、顔の表情、筋緊張状態(筋緊張)、発汗、震えなどの主観的に測定可能
な基準も含み得るか、又は代わりに含み得る。
そのため、特定の実施態様において、疼痛を有する個体に投与される治療上有効な量の
AMDACは、個体における心拍数の検出可能な減少、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%
、35%、40%、45%、又は50%減少;1分あたり120拍(bpm)以上から、110bpm未満への心拍数の
減少;110bpm以上から100bpm未満への減少;100bpm以上から90bpm未満への減少;90bpm以上
から80bpm未満への減少;120bpm以上から100bpm未満への減少;超から90bpm未満への減少;1
00bpm超から80bpm未満への減少;130bpm超から100bpm未満への減少;120bpm超から90bpm未
満への減少;110bpmから80bpm未満への減少;又は120bpm以上から80bpm未満への減少をもた
らす。
特定の他の実施態様において、治療上有効な量のAMDACは、疼痛を有する個体に投与さ
れると、個体における血圧の検出可能な低下、例えば、個体の収縮期圧、拡張期圧、又は
両方の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の低下;200以上から190未
満への個体の収縮期圧の低下;190以上から180未満への収縮期圧の低下;180以上から170未
満への収縮期圧の低下;170以上から160未満への収縮期圧の低下;160以上から150未満への
収縮期圧の低下;150以上から140未満への収縮期圧の低下;140以上から130未満への収縮期
圧の低下;200以上から180未満への収縮期圧の低下;190以上から170未満への収縮期圧の低
下;180以上から160未満への収縮期圧の低下;170以上から150未満への収縮期圧の低下;160
以上から140未満への収縮期圧の低下;150以上から130未満への収縮期圧の低下;200以上か
ら170未満への収縮期圧の低下;190以上から160未満への収縮期圧の低下;180以上から150
未満への収縮期圧の低下;170以上から140未満への収縮期圧の低下;160以上から130未満へ
の収縮期圧の低下;200以上から160未満への収縮期圧の低下;190以上から150未満への収縮
期圧の低下;180以上から140未満への収縮期圧の低下;200以上から130未満への収縮期圧の
低下;200以上から150未満への収縮期圧の低下;190以上から140未満への収縮期圧の低下;1
80以上から130未満への収縮期圧の低下;200以上から140未満への収縮期圧の低下;190以上
から130未満への収縮期圧の低下;200以上から130未満への収縮期圧の低下;140以上から13
0未満への個体の拡張期圧の低下;130以上から120未満への拡張期圧の低下;120以上から11
0未満への拡張期圧の低下;110以上から100未満への拡張期圧の低下;100以上から90未満へ
の拡張期圧の低下;140以上から120未満への拡張期圧の低下;110以上から90未満への拡張
期圧の低下;140以上から110未満への拡張期圧の低下;130以上から100未満への拡張期圧の
低下;120以上から90未満への拡張期圧の低下;140以上から100未満への拡張期圧の低下;13
0以上から90未満への拡張期圧の低下;又は140以上から90未満への拡張期圧の低下をもた
らす。
(5.2 第二の治療組成物及び第二の療法)
個体における疼痛の治療の上記方法のいずれにおいても、該方法は、第二の治療組成物
又は第二の療法、例えば、抗疼痛性医薬品又は療法の投与を含み得る。好ましい実施態様
において、該第二の活性薬剤は、疼痛を緩和し、炎症性反応を抑制し、鎮静効果若しくは
抗神経痛効果を与え、又は患者の安心を確実にすることが可能である。
特定の実施態様において、第二の治療組成物は、限定はされないが、オピオイド鎮痛剤
、非麻薬性鎮痛剤、抗炎症剤、cox-2阻害剤、α-アドレナリン受容体アゴニスト又はアン
タゴニスト、ケタミン、麻酔剤、NMDAアンタゴニスト、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗うつ
剤、抗痙攣剤、血圧降下剤、抗不安剤、カルシウムチャネル遮断剤、筋弛緩剤、コルチコ
ステロイド、高気圧酸素、JNK阻害剤、疼痛を和らげることが知られている他の治療剤、
並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、クラスレート、プ
ロドラッグ、及び薬理活性のある代謝物を含む。
特定の実施態様において、第二の治療組成物はオピオイドである。オピオイドは、例え
ば、激しい疼痛を治療するために利用できる。オピオイド鎮痛剤の例には、オキシコドン
(例えば、OXYCONTIN(登録商標))、硫酸モルヒネ(例えば、MS CONTIN(登録商標)、DUR
AMORPH(登録商標)、及び/又はASTRAMORPH(登録商標))、メペリジン(例えば、DEMEROL
(登録商標))、及びフェンタニル経皮パッチ(例えば、DURAGESIC(登録商標))、並びに
他の公知の従来の医薬品があるが、これらに限定されない。オキシコドン(例えば、OXYCO
NTIN(登録商標))は、長時間作用型のオピオイドであり、初期及び後期のCRPSに利用で
きる。
非麻薬性鎮痛剤及び抗炎症剤は、例えば、妊娠中又は授乳中の疼痛の治療に利用できる
。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、例えば、早期の疼痛症候群に使用できる。抗炎症
剤の例には、サリチル酸酢酸エステル(例えば、アスピリン)、イブプロフェン(例えば、M
OTRIN(登録商標)、ADVIL(登録商標)など)、ケトプロフェン(例えば、ORUVAIL(登録
商標))、ロフェコキシブ(例えば、VIOXX(登録商標))、ナプロキセンナトリウム(例え
ば、ANAPROX(登録商標)、NAPRELAN(登録商標)、NAPROSYN(登録商標)など)、ケトロ
ラク(例えば、ACULAR(登録商標))、又は他の公知の従来の医薬品があるが、これらに限
定されない。具体的なcox-2阻害剤はセレコキシブ(例えば、CELEBREX)である。
抗うつ剤である第二の治療化合物の例には、ノルトリプチリン(PAMELOR(登録商標))
、アミトリプチリン(ELAVIL(登録商標))、イミプラミン(TOFRANIL(登録商標))、ドキ
セピン(SINEQUAN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、フルオキセ
チン(PROZAC(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE
(登録商標))、ベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))、トラゾドン(DESYREL(登録商
標))、ブプロピオン(WELLBUTRIN(登録商標))、及び他の公知の従来の医薬品があるが
、これらに限定されない。例えば、「医師用卓上参考書(Physicians' Desk Reference)」
、329, 1417, 1831, 及び3270(第57版、2003)を参照されたい。
抗痙攣剤である第二の治療化合物の例には、カルバマゼピン、オキスカルバゼピン、ガ
バペンチン(NEURONTIN(登録商標))、フェニロイン(phenyloin)、バルプロ酸ナトリウム
、クロナゼパム、トピラマート、ラモトリギン、ゾニサミド、及びチアガビンがあるが、
これらに限定されない。例えば、「医師用卓上参考書(Physicians' Desk Reference)」、
2563 (第57版、 2003)を参照されたい。
他の第二の治療化合物には、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタ
ゾン、又はヒドロコルチゾン)、経口的に活性なクラスIb抗不整脈剤(例えば、メキシレチ
ン)、カルシウムチャネル遮断剤(例えば、ニフェジピン)、β遮断剤(例えば、プロプラノ
ロール)、α-遮断剤(例えば、フェノキシベンザミン)があるが、これらに限定されず、α
2-アドレナリンアゴニスト(例えば、クロニジン)は、免疫調節性化合物と組み合わせても
利用できる。例えば、「医師用卓上参考書(Physicians' Desk Reference)」、1979, 2006
及び2190(第57版、2003)を参照されたい。
別の具体的な実施態様において、前記第二の療法は免疫調節性化合物を含むが、ここで
、該免疫調節性化合物は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-
ピペリジン-2,6-ジオン;3-(4'アミノイソリンドリン(aminoisolindoline)-1'-オン)-1-ピ
ペリジン-2,6-ジオン;4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3
-ジオン;又はα-(3-アミノフタルイミド)グルタルイミドである。より具体的な実施態様
において、前記免疫調節性化合物は、以下の構造を有する化合物、又はその医薬として許
容し得る塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラ
セミ体、若しくは立体異性体の混合物である
Figure 2022130406000002
(式中、XとYの一方はC=Oであり、XとYの他方はC=O又はCH2であり、R2は水素又は低級ア
ルキルである)。より具体的な別の実施態様において、前記免疫調節性化合物は、下記の
構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、クラスレー
ト、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、若しくは立体異性体の混合物である
Figure 2022130406000003
(式中、XとYの一方はC=Oであり、XとYの他方はCH2又はC=Oであり;
R1は、H、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アル
キニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)
アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1-C8)アルキル-N(R6)2
、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3’
、C(S)NR3R3’、又は(C1-C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、H、F、ベンジル、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、又は(C2-C8)アルキニル
であり;
R3及びR3’は、独立に、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル
、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアル
キル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C0-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アル
キル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(CO)R5、又はC(O)OR5であり;
R4は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルキル-OR5
、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、又は(C0-C4)ア
ルキル-(C2-C5)ヘテロアリールであり;
R5は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール
、又は(C2-C5)ヘテロアリールであり;
R6の各存在は、独立に、H、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、
ベンジル、アリール、(C2-C5)ヘテロアリール、又は(C0-C8)アルキル-C(O)O-R5であるか
、或いはR6基は共にヘテロシクロアルキル基を形成でき;
nは0又は1であり;且つ
*はキラル炭素中心を表す)。より具体的な別の実施態様において、前記免疫調節性化合
物は、下記の構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物
、クラスレート、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、若しくは立体異性体の
混合物である
Figure 2022130406000004
(式中、
XとYの一方はC=Oであり、他方はCH2又はC=Oであり;
RはH又はCH2OCOR’であり;
(i)R1、R2、R3、又はR4のそれぞれは、互いに独立に、ハロ、1~4つの炭素原子のアルキ
ル、又は1~4つの炭素原子のアルコキシであるか、或いは(ii)R1、R2、R3、又はR4の1つ
がニトロ又は-NHR5であり、R1、R2、R3、又はR4の残りが水素であり;
R5は、水素又は1~8つの炭素のアルキルであり
R6は、水素、1~8つの炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロ、又はフルオロであり;
R'は、R7-CHR10-N(R8R9)であり;
R7は、m-フェニレン若しくはp-フェニレン又はnが0~4の値を有する-(CnH2n)-であり;
R8とR9のそれぞれは、互いに独立に、水素又は1~8つの炭素原子のアルキルであるか、或
いは、R8及びR9は共に、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、又はX1が-O
-、-S-、又は-NH-である-CH2CH2X1CH2CH2-であり;
R10は、水素、8つまでの炭素原子のアルキル、又はフェニルであり;且つ
*は、キラル炭素中心を表す)。具体的な実施態様において、第二の治療化合物は、レナ
リドミド又はポマリドミドである。
上記治療剤のどのような組み合わせも投与できる。そのような治療剤は、AMDACとの任
意の組み合わせで、同時に、別な治療のクールで投与できる。
上述の第二の治療化合物のいくつか(例えば、フルオキセチン)は、有益な効果を持って
いるが、少数のレシピエントにおいて、それ自体副作用として、神経因性疼痛を起こし得
ることに留意されたい。一般的に、そのような化合物は安全に投与できると考えられてい
るが、当業者(例えば、医師)は、さらなる神経因性疼痛のリスクに対してそのような第二
の治療化合物を投与する相対的利益を決定できるだろう。
AMDACは、疼痛に苦しんでいる個体に、医薬組成物の形態で、例えば、静脈内、筋肉内
、又は腹腔内注射に好適な医薬組成物の形態で投与できる。AMDACは、個体に、単回用量
で、又は反復用量で投与できる。AMDACが反復用量で投与される場合、投与は、疼痛を和
らげるように設計された治療レジメンの一部であってもよいし、疼痛の基礎病因を治療す
るように設計された長期間治療レジメンの一部であってもよい。AMDACが、第二治療剤と
共に、又は第二の種類の幹細胞と共に投与される実施態様において、AMDACと第二の治療
剤及び/又は第二の種類の幹細胞は、同時にでも異なる時にでも投与でき、例えば、投与
は、互いの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、若しくは50分以内、又は互い
の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、若しくは22時間以内、又は互
いの1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10日、若しくはそれ以上の日数以内に実施で
きる。
(5.3 羊膜由来接着細胞の特性)
AMDACは、本明細書に提供される疼痛を治療する方法に有用であり、羊膜から以下に記
載される2工程の単離手順により得られ;細胞培養表面、例えば、組織培養プラスチックに
接着し;RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり;且つ以下に列記される特性の一部又は全
てを表す。AMDACは、その開示が引用により全体として本明細書に組み込まれる米国特許
出願公開第2010/0124569号に記載されている。
AMDACは、自身を、他の羊膜由来細胞又は胎盤由来細胞から区別する細胞マーカーを示
す。例えば、一実施態様において、AMDACは、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、免
疫局在化により決定可能なCD49f+である。別の具体的な実施態様において、前記OCT-4-AM
DACは、RT-PCRにより決定可能なHLA-G-である。別の具体的な実施態様において、OCT-4-A
MDACは、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+(血管内皮細胞成長因子受容体1)及び
/又はVEGFR2/KDR+(血管内皮細胞成長因子受容体2)である。具体的な実施態様において、O
CT-4-AMDAC、又はOCT-4-AMDACの集団は、例えば20サイクルで、OCT-4のPCR-増幅mRNAを、
同等数のRNA増幅サイクルで同等数の細胞を有するNTERA-2細胞の集団よりも、少なくとも
2ログ少なく発現する。別の具体的な実施態様において、前記OCT-4-AMDACは、免疫局在化
により決定可能なCD90+、CD105+、又はCD117-である。より具体的な実施態様において、
前記OCT-4-AMDACは、免疫局在化により決定可能なCD90+、CD105+、及びCD117-である。別
の具体的な実施態様において、AMDACは、OCT-4-又はHLA-G-であり、さらに、免疫局在化
により決定可能なCD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-である。より具体的な実施態様に
おいて、AMDACは、免疫局在化により決定可能なOCT-4-、HLA-G-、CD49f+、CD90+、CD105+
、及びCD117-である。別の具体的な実施態様において、OCT-4-AMDACは、例えば、30サイ
クルでRT-PCRにより決定可能なSOX2を発現しない。したがって、具体的な実施態様におい
て、AMDACは、免疫局在化により決定可能なOCT-4-、CD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-
であり、例えば30サイクルでRT-PCRにより決定可能なSOX2-である。
別な実施態様において、前記OCT-4-AMDACは、免疫局在化により決定可能なCD29+、CD73
+、ABC-p+、及びCD38-の1つ以上である。より具体的な実施態様において、前記OCT-4-AMD
ACは、免疫局在化により決定可能なCD29+、CD73+、ABC-p+、及びCD38-である。
別の具体的な実施態様において、例えば、OCT-4-AMDACは、さらに、免疫局在化により
決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、TEM-7+(腫瘍内皮マーカー7)、CD31-、CD
34-、CD45-、CD133-、CD143-(アンジオテンシン-I-変換酵素、ACE)、CD146-(メラノーマ
細胞接着分子)、若しくはCXCR4-(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)受容体4)の1つ以上であるか
、又はRT-PCRにより決定可能なHLA-G-であり得る。より具体的な実施態様において、前記
細胞は、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2+、TEM-
7+、CD31-、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-、CD146-、及びCXCR4-であり、且つRT-PCRに
より決定可能なHLA-G-である。特定の実施態様において、AMDACは、CD31-、CD34-、CD45-
、及び/又はCD133-の1つ以上である。具体的な実施態様において、AMDACは、RT-PCRによ
り決定可能なOCT-4-であり;免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+及び/又はVEGFR2/
KDR+であり;且つ、CD31-、CD34-、CD45-、及び/又はCD133-の1つ以上又は全てである。
別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なV
E-カドヘリン-である。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在
化により決定可能なCD105+及びCD200+について陽性である。別の具体的な実施態様におい
て、前記AMDACは、1~100ng/mLのVEGFに4~21日間曝露させた後、免疫局在化により検出
されるCD34を発現しない。より具体的な実施態様において、前記AMDACは、25~75ng/mLの
VEGFに4~21日間、又は50ng/mLのVEGFに4~21日間曝露させた後、免疫局在化により検出
されるCD34を発現しない。さらにより具体的な実施態様において、前記AMDACは、例えば
培養液中で、1、2.5、5、10、25、50、75、又は100ng/mLのVEGFに4~21日曝露させた後、
免疫局在化により検出されるCD34を発現しない。さらにより具体的な実施態様において、
前記AMDACは、例えば培養液中で、1~100ng/mLのVEGFに7~14、例えば、7日間曝露させた
後、免疫局在化により検出されるCD34を発現しない。
具体的な実施態様において、AMDACは、RT-PCRにより決定されるOCT-4-であり、且つ免
疫局在化により決定可能なVE-カドヘリン-、VEGFR2/KDR+、CD9+、CD54+、CD105+、及び/
又はCD200+の1つ以上である。具体的な実施態様において、AMDACは、RT-PCRにより決定可
能なOCT-4-であり、且つ免疫局在化により決定可能なVE-カドヘリン-、VEGFR2/KDR+、CD9
+、CD54+、CD105+、及びCD200+である。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、
例えば、1~100ng/mLのVEGFに4~21日間曝露させた後、免疫局在化により検出されるCD34
を発現しない。
別な実施態様において、AMDACは、免疫局在化により決定可能なOCT-4-、CD49f+、HLA-G
-、CD90+、CD105+、及びCD117-である。より具体的な実施態様において、前記AMDACは、
免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2+、TEM-7+、CD31
-、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-、CD146-、又はCXCR4-の1つ以上である。より具体的な
実施態様において、前記AMDACは、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD5
4+、CD98+、Tie-2+、TEM-7+、CD31-、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-、CD146-、及びCXCR
4-である。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により決
定可能なVEGFR1/Flt-1+及び/又はVEGFR2/KDR+であり;且つ、免疫局在化により決定可能な
CD31-、CD34-、CD45-、CD133-、及び/又はTie-2-の1つ以上である。別の具体的な実施態
様において、前記AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+、VEGFR2
/KDR+、CD31-、CD34-、CD45-、CD133-、及びTie-2-である。
別な実施態様において、OCT-4-AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なCD9+、C
D10+、CD44+、CD49f+、CD54+、CD90+、CD98+、CD105+、CD200+、Tie-2+、TEM-7+、VEGFR1
/Flt-1+、及び/又はVEGFR2/KDR+(CD309+)の1つ以上又は全てであり;或いは、さらに、免
疫局在化により決定可能なCD31-、CD34-、CD38-、CD45-、CD117-、CD133-、CD143-、CD14
4-、CD146-、CD271-、CXCR4-、HLA-G-、及び/若しくはVE-カドヘリン-の1つ以上若しくは
全てであるか、又はRT-PCRにより決定可能なSOX2-である。
特定の実施態様において、AMDACはCD49f+である。具体的な実施態様において、前記CD4
9f+AMDACは、さらに、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD90+
CD98+、CD105+、CD200+、Tie-2+、TEM-7+、VEGFR1/Flt-1+、及び/又はVEGFR2/KDR+(CD309
+)の1つ以上又は全てであり;或いは、さらに、免疫局在化により決定可能なCD31-、CD34-
、CD38-、CD45-、CD117-、CD133-、CD143-、CD144-、CD146-、CD271-、CXCR4-、HLA-G-
OCT-4-、及び/若しくはVE-カドヘリン-の1つ以上若しくは全てであり、又はRT-PCRにより
決定可能なSOX2-である。
特定の他の実施態様において、AMDACは、HLA-G-、CD90+、及びCD117-である。具体的な
実施態様において、前記HLA-G-、CD90+、及びCD117-細胞は、さらに、免疫局在化により
決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD49f+、CD54+、CD98+、CD105+、CD200+、Tie-2+、TEM-
7+、VEGFR1/Flt-1+、及び/又はVEGFR2/KDR+(CD309+)の1つ以上又は全てであり;或いは、
さらに、免疫局在化により決定可能なCD31-、CD34-、CD38-、CD45-、CD133-、CD143-、CD
144-、CD146-、CD271-、CXCR4-、OCT-4-、及び/若しくはVE-カドヘリン-の1つ以上若しく
は全てであるか、又はRT-PCRにより決定可能なSOX2-である。
他の実施態様において、AMDACは、前記細胞が標準的な培養条件下で培養された後、例
えば30サイクルのRT-PCRにより決定可能な、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、インターフェ
ロンγ(IFNG)、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド10(CXCL10)、アンジオポエチン4(ANG
PT4)、アンジオポエチン-様3(ANGPTL3)、フィブリノーゲンα鎖(FGA)、レプチン(LEP)、
プロラクチン(PRL)、プロキネチシン1(PROK1)、テノモジュリン(TNMD)、FMS-様チロシン
キナーゼ3(FLT3)、細胞外リンクドメイン含有1(XLKD1)、カドヘリン5、2型(CDH5)、白血
球細胞由来ケモタキシン1(LECT1)、プラスミノゲン(PLG)、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT
)、(性決定領域Y)-ボックス2(SOX2)、NANOG、マトリクスメタロプロテアーゼ13(MMP-13)
、遠位欠失ホメオボックス5(DLX5)、及び/又は骨γ-カルボキシグルタミン酸(gla)タンパ
ク質(BGLAP)のmRNAを構成的に発現しない。他の実施態様において、AMDACは、前記細胞が
標準的な培養条件下で培養された後、例えば30サイクルのRT-PCRにより決定可能な、(ARN
T2)、神経増殖因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDN
F)、ニューロトロフィン3(NT-3)、NT-5、低酸素-誘導因子1α(HIF1A)、低酸素-誘導タン
パク質2(HIG2)、ヘムオキシゲナーゼ(脱環化)1(HMOX1)、細胞外スーパーオキシドディス
ムターゼ[Cu-Zn](SOD3)、カタラーゼ(CAT)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGFB1)、
トランスフォーミング増殖因子β1受容体(TGFB1R)、及び肝細胞増殖因子受容体(HGFR/c-m
et)のmRNAを発現する。
別な態様において、本明細書に記載されるAMDACを含む細胞の単離された集団であって
、羊膜(amnion)でも羊膜(amniotic membrane)でもない単離された細胞の集団が本明細書
に提供される。細胞の集団は、均質な集団、例えば、その少なくとも約90%、95%、98%、
又は99%が、AMDAC、例えば、本明細書に記載されるマーカーの任意の組み合わせにより記
載されるAMDACである細胞の集団であり得る。特定の他の実施態様において、細胞の集団
は、不均一であり、例えば、該集団中のせいぜい約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%
、又は80%の細胞がAMDACである細胞の集団であり得る。しかし、単離された細胞の集団は
、組織、すなわち羊膜でもその一部でもない。
一実施態様において、単離されたAMDACが、AMDACを含む細胞の単離された集団、例えば
、AMDACに関して実質的に均質な細胞の集団中で、提供、例えば投与されるが、ここで、
前記AMDACは、組織培養表面、例えば組織培養プラスチックに接着し、前記AMDACはRT-PCR
により決定可能なOCT-4-である。具体的な実施態様において、AMDACは、例えば免疫局在
化又はRT-PCRにより決定可能なCD49f+又はHLA-G+である。別の具体的な実施態様において
、前記AMDACの集団は、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+及び/又はVEGFR2/KDR+
である。より具体的な実施態様において、AMDACは、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-、及
び/又はHLA-G-であり、且つ、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+、及び/又はVEG
FR2/KDR+である。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、免疫局在化により決定
可能なCD90+、CD105+、又はCD117-である。より具体的な実施態様において、前記AMDACは
、免疫局在化により決定可能なCD90+、CD105+、及びCD117-である。より具体的な実施態
様において、AMDACは、免疫局在化により決定可能なOCT-4-、CD49f+、CD90+、CD105+、及
びCD117-である。別の具体的な実施態様において、AMDACは、例えば30サイクルのRT-PCR
により決定可能なSOX2を発現しない。さらにより具体的な実施態様において、該集団はAM
DACを含み、前記AMDACは、免疫局在化により決定可能なOCT-4-、HLA-G-、CD49f+、CD90+
、CD105+、及びCD117-であり、且つ、例えば30サイクルのRT-PCRにより決定可能なSOX2-
である。
別の具体的な実施態様において、前記細胞集団中の前記AMDACは、免疫局在化により決
定可能なCD90+、CD105+、又はCD117-である。より具体的な実施態様において、AMDACは、
免疫局在化により決定可能なCD90+、CD105+、及びCD117-である。より具体的な実施態様
において、AMDACは、例えばRT-PCRにより決定可能なOCT-4-又はHLA-G-であり、且つ、さ
らに免疫局在化により決定可能なCD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-である。より具体
的な実施態様において、前記細胞集団中のAMDACは、OCT-4-、HLA-G-、CD49f+、CD90+、CD
105+、及びCD117-である。別の具体的な実施態様において、AMDACは、例えば30サイクル
のRT-PCRにより決定可能なSOX2を発現しない。したがって、より具体的な実施態様におい
て、AMDACは、免疫局在化により決定可能なOCT-4-、CD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-
であり、且つ、例えば30サイクルのRT-PCRにより決定可能なSOX2-である。さらにより具
体的な実施態様において、AMDACは、OCT-4-又はHLA-G-であり、且つ、さらに、免疫局在
化により決定可能なCD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-である。より具体的な実施態様
において、AMDACは、免疫局在化により決定可能なOCT-4-、HLA-G-、CD49f+、CD90+、CD10
5+、及びCD117-である。
別な実施態様において、前記細胞集団中のAMDACは組織培養プラスチックに接着し、RT-
PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且つ、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+
び/又はVEGFR2/KDR+であり、且つ、さらに、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、C
D44+、CD54+、CD98+、Tie-2+、TEM-7+、CD31-、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-、CD146-
、若しくはCXCR4-の1つ以上であり、又はRT-PCRにより決定可能なHLA-G-である。別な実
施態様において、単離された細胞の集団はAMDACを含み、前記AMDACは組織培養プラスチッ
クに接着し、前記AMDACはRT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且つ、免疫局在化によ
り決定可能なVEGFR1/Flt-1+及び/又はVEGFR2/KDR+であり、前記AMDACは、1~100ng/mLのV
EGFに4~21日間曝露させた後、免疫局在化により検出されるCD34を発現せず、前記単離さ
れた細胞の集団は、羊膜でもその一部でもない。上記実施態様のいずれの具体的な実施態
様においても、前記集団中の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%
の細胞は前記AMDACである。
別な実施態様において、AMDACを含む細胞の上記集団のいずれも、例えばI型及びIV型コ
ラーゲンなどの細胞外マトリクスタンパク質、又は、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)、上
皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、若しくは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF
)などの血管新生因子の存在下で、例えば胎盤コラーゲン、又は例えばMATRIGEL(商標)な
どの基材中又は上において、少なくとも4日間及び最大14日間培養した場合、新芽又は管
様構造を形成する。
AMDACは、血管新生-関連遺伝子又は心筋発生-関連遺伝子の特徴的な発現を示す。特定
の実施態様において、AMDACは、下記のものの1つ以上又は全てのRNAを発現する:ACTA2(
アクチン、α2、平滑筋、大動脈)、ADAMTS1(トロンボスポンジン1型モチーフを持つADAM
型メタロペプチダーゼ、1)、AMOT(アンジオモチン)、ANG(アンジオゲニン)、ANGPT1(アン
ジオポエチン1)、ANGPT2、ANGPTL1(アンジオポエチン-様1)、ANGPTL2、ANGPTL4、BAI1(脳
-特異的血管新生阻害剤1)、CD44、CD200、CEACAM1(癌胎児性抗原-関連細胞接着分子1)、C
HGA(クロモグラニンA)、COL15A1(コラーゲン、XV型、α1)、COL18A1(コラーゲン、XVIII
型、α1)、COL4A1(コラーゲン、IV型、α1)、COL4A2(コラーゲン、IV型、α2)、COL4A3(
コラーゲン、IV型、α3)、CSF3(コロニー刺激因子3(顆粒球)、CTGF(結合組織成長因子)、
CXCL12(ケモカイン(CXCモチーフ)リガンド12(間質細胞-由来因子1))、CXCL2、DNMT3B(DNA
(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ3β)、ECGF1(チミジンホスホリラーゼ)、EDG1(
内皮細胞分化遺伝子1)、EDIL3(EGF-様反復配列及びジスコイジンI-様ドメイン3)、ENPP2(
エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ2)、EPHB2(EPH受容体B2)
、FBLN5(FIBULIN5)、F2(凝固因子II(トロンビン))、FGF1(酸性線維芽細胞成長因子)、FGF
2(塩基性線維芽細胞成長因子)、FIGF(c-fosに誘導される成長因子(血管内皮細胞成長因子
D))、FLT4(fms-関連チロシンキナーゼ4)、FN1(フィブロネクチン1)、FST(フォリスタチン
)、FOXC2(フォークヘッドボックスC2(MFH-1、間葉系フォークヘッド1))、GRN(グラニュリ
ン)、HGF(肝細胞成長因子)、HEY1(YRPWモチーフ1に関連したヘアリー/エンハンサー-オブ
-スプリット)、HSPG2(ヘパラン硫酸プロテオグリカン2)、IFNB1(インターフェロン、β1
、線維芽細胞)、IL8(インターロイキン8)、IL12A、ITGA4(インテグリン、α4;CD49d)、IT
GAV(インテグリン、αV)、ITGB3(インテグリン、β3)、MDK(ミドカイン)、MMP2(マトリク
スメタロプロテアーゼ2)、MYOZ2(ミオゼニン2)、NRP1(ニューロピリン1)、NRP2、PDGFB(
血小板由来成長因子β)、PDGFRA(血小板由来成長因子受容体α)、PDGFRB、PECAM1(血小板
/内皮細胞接着分子)、PF4(血小板因子4)、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ1)、PROX1(
プロスペロホームボックス1)、PTN(プレイオトロフィン)、SEMA3F(セモフォリン3F)、SER
PINB5(セルピンペプチダーゼ阻害因子、クレイドB(オボアルブミン)、メンバー5)、SERPI
NC1、SERPINF1、TIMP2(組織メタロプロテアーゼ阻害物質2)、TIMP3、TGFA(トランスフォ
ーミング成長因子、α)、TGFB1、THBS1(トロンボスポンジン1)、THBS2、TIE1(免疫グロブ
リン-様及びEGF-様ドメインを持つチロシンキナーゼ1)、TIE2/TEK、TNF(腫瘍壊死因子)、
TNNI1(トロポニンI、1型)、TNFSF15(腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリー、メン
バー15)、VASH1(バソヒビン1)、VEGF(血管内皮細胞成長因子)、VEGFB、VEGFC、VEGFR1/FL
T1(血管内皮細胞成長因子受容体1)、及び/又はVEGFR2/KDR。
ヒト細胞が使用される場合、全体を通した遺伝子の名称はヒト配列をいい、当業者に周
知であるように、代表的配列は文献又はGenBankに見出すことができる。これらの配列に
対するプローブは、公共で入手可能な配列、又は、例えば特異的TAQMAN(登録商標)プロー
ブ若しくはTAQMAN(登録商標)Angiogenesis Array(Applied Biosystems社、パーツ番号437
8710)など、商業的供給業者を通じて入手可能な配列により決定することができる。
AMDACは、血管新生-関連タンパク質の特徴的な発現(例えば産生)を示す。特定の実施
態様において、AMDACは、CD49d、コネキシン-43、HLA-ABC、β2-ミクログロブリン、CD34
9、CD318、PDL1、CD106、ガレクチン-1、ADAM17前駆体(Aジスインテグリン及びメタロプ
ロテアーゼドメイン17)(TNF-α変換酵素)(TNF-αコンベルターゼ)、アンギオテンシノー
ゲン前駆体、フィラミンA(α-フィラミン)(フィラミン1)(内皮アクチン-結合タンパク質)
(ABP-280)(非筋型フィラミン)、α-アクチニン1(α-アクチニン細胞骨格アイソフォーム)
(非筋型α-アクチニン1)(F-アクチン架橋型タンパク質)、低密度リポタンパク受容体-関
連タンパク質2前駆体(メガリン)(糖タンパク質330)(gp330)、マクロファージ捕捉受容体I
型及びII型(マクロファージアセチル化LDL受容体I型及びII型)、IIB型アクチビン受容体
前駆体(ACTR-IIB)、Wnt-9タンパク質、グリア細胞線維性酸性タンパク質、星状膠細胞(GF
AP)、ミオシン-結合タンパク質C、心筋型(心筋MyBP-C)(C-タンパク質、心筋アイソフォー
ム)、及び/又はミオシン重鎖、非筋細胞A型(細胞性ミオシン重鎖、A型)(非筋型ミオシン
重鎖-A)(NMMHC-A)を発現する。
AMDACは、例えば、内皮細胞、内皮始原細胞などの集団において、血管新生を促進する
タンパク質をさらに分泌する。特定の実施態様において、例えば前記単離された細胞集団
中の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%又は98%の細胞がAMDACである、A
MDAC又はAMDACを含む細胞の集団は、VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチン、G
-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、ガレクチン-1の1つ以
上又は全てを、例えば、AMDACが成長している培養培地へ分泌する。
別な実施態様において、上記AMDACのいずれも、前記AMDACに接触している内皮細胞の集
団中に、新芽又は管様構造の形成を起こすことができる。具体的な実施態様において、AM
DACはヒトの内皮細胞と共培養され、例えば、コラーゲンI型及びIV型などの細胞外マトリ
クスタンパク質、及び/又は血管内皮細胞成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由
来成長因子(PDGF)、若しくは塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)などの血管新生因子の存在
下で、例えば、胎盤コラーゲン又はMATRIGEL(商標)などの基材の中又はその上で、少な
くとも4日間及び/又は最長14日間培養される場合、新芽若しくは管様構造を形成すること
ができ、又は内皮細胞の新芽を支持することができる。
別な実施態様において、上記AMDAC又はAMDACを含む細胞の集団のいずれも、血管内皮細
胞成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞
成長因子(bFGF)、又はインターロイキン-8(IL-8)などの血管新生因子を分泌し、それによ
り、例えば、コラーゲンI型及びIV型などの細胞外マトリクスタンパク質の存在下で、例
えば、胎盤コラーゲン又はMATRIGEL(商標)などの基材の中又はその上で培養される場合
、ヒトの内皮細胞を、新芽又は管様構造を形成するように誘導することができる。
別な実施態様において、細胞集団、例えばAMDACの集団、又は前記単離された細胞集団
中の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%若しくは98%の細胞が、血管新生
マイクロRNA類(miRNA類)を骨髄由来間葉系幹細胞よりも高いレベルで発現するAMDACであ
る細胞集団が本明細書に提供され、ここで前記miRNA類は、miR-17-3p、miR-18a、miR-18b
、miR-19b、miR-92、及び/又はmiR-296の1つ以上又は全てを含む。別な実施態様において
、細胞集団、例えばAMDACの集団、又は前記単離された細胞集団中の少なくとも約50%、6
0%、70%、80%、90%、95%若しくは98%の細胞が、血管新生マイクロRNA類(miRNA類)
の1つ以上又は全てを骨髄由来間葉系幹細胞よりも低いレベルで発現するAMDACである細胞
集団が本明細書に提供され、ここで前記miRNA類は、miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-22
2、miR-15b、及び/又はmiR-16の1つ以上又は全てを含む。特定の実施態様において、AMDA
C、又はAMDACの集団は、血管新生miRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-9
2、miR-20a、miR-20b、(血管新生miRNAクラスター17-92のメンバー)、miR-296、miR-221
、miR-222、miR-15b、及び/又はmiR-16の1つ以上又は全てを発現する。
特定の実施態様において、疼痛を有する個体の治療に有用なAMDACは組織培養プラスチ
ックに接着し、ここで前記AMDACはRT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且つ免疫局在
化により決定可能なCD49f+、HLA-G-、CD90+、CD105+、及びCD117-であり、且つ、前記AMD
ACは:(a)免疫局在化により決定可能な、CD9、CD10、CD44、CD54、CD98、CD200、Tie-2、T
EM-7、VEGFR1/Flt-1、又はVEGFR2/KDR(CD309)の1つ以上を発現し;(b)免疫局在化により決
定可能な、CD31、CD34、CD38、CD45、CD133、CD143、CD144、CD146、CD271、CXCR4、HLA-
G、若しくはVE-カドヘリンの発現を欠き、又はRT-PCRにより決定可能なSOX2の発現を欠き
;(c)ACTA2、ADAMTS1、AMOT、ANG、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL1、ANGPTL2、ANGPTL4、BAI1、
CD44、CD200、CEACAM1、CHGA、COL15A1、COL18A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、CSF3、CTGF
、CXCL12、CXCL2、DNMT3B、ECGF1、EDG1、EDIL3、ENPP2、EPHB2、FBLN5、F2、FGF1、FGF2
、FIGF、FLT4、FN1、FST、FOXC2、GRN、HGF、HEY1、HSPG2、IFNB1、IL8、IL12A、ITGA4、
ITGAV、ITGB3、MDK、MMP2、MYOZ2、NRP1、NRP2、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAM1、PF4、
PGK1、PROX1、PTN、SEMA3F、SERPINB5、SERPINC1、SERPINF1、TIMP2、TIMP3、TGFA、TGFB
1、THBS1、THBS2、TIE1、TIE2/TEK、TNF、TNNI1、TNFSF15、VASH1、VEGF、VEGFB、VEGFC
、VEGFR1/FLT1、又はVEGFR2/KDRのmRNAを発現し;(d)タンパク質類CD49d、コネキシン-43
、HLA-ABC、β2-マイクログロブリン、CD349、CD318、PDL1、CD106、ガレクチン-1、ADAM
17、アンジオテンシノゲン前駆体、フィラミンA、α-アクチニン1、メガリン、マクロフ
ァージアセチル化LDL受容体I及びII、アクチビン受容体IIB型前駆体、Wnt-9タンパク質、
グリア繊維酸性タンパク質、星状細胞、ミオシン結合タンパク質C、又はミオシン重鎖、
非筋細胞A型の1つ以上を発現し;(e)VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチン、G-
CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、又はガレクチン-1を、
細胞が増殖する培地中に分泌し;(f)マイクロRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19
b、miR-92、又はmiR-296を、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも高いレベルで発現し;(
g)マイクロRNA類miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-222、miR-15b、又はmiR-16を、同等数
の骨髄由来間葉系幹細胞よりも低いレベルで発現し;(h)miRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR
-18b、miR-19b、miR-92、miR-20a、miR-20b、miR-296、miR-221、miR-222、miR-15b、又
はmiR-16を発現し;且つ/或いは(i)21%O2下でのCD202b、IL-8、又はVEGFの発現に比べて、
約5%未満のO2中で培養される場合増加したレベルのCD202b、IL-8、又はVEGFを発現する。
具体的な実施態様において、AMDACは、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且つ、
免疫局在化により決定可能なCD49f+、HLA-G-、CD90+、CD105+、及びCD117-であり、且つ
、(a)免疫局在化により決定可能なCD9、CD10、CD44、CD54、CD90、CD98、CD200、Tie-2、
TEM-7、VEGFR1/Flt-1、及び/又はVEGFR2/KDR(CD309)を発現し;(b)免疫局在化により決定
可能な、CD31、CD34、CD38、CD45、CD133、CD143、CD144、CD146、CD271、CXCR4、HLA-G
、及び/若しくはVE-カドヘリンの発現を欠き、又は、RT-PCRにより決定可能なSOX2の発現
を欠き;(c)ACTA2、ADAMTS1、AMOT、ANG、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL1、ANGPTL2、ANGPTL4、
BAI1、CD44、CD200、CEACAM1、CHGA、COL15A1、COL18A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、CSF3
、CTGF、CXCL12、CXCL2、DNMT3B、ECGF1、EDG1、EDIL3、ENPP2、EPHB2、FBLN5、F2、FGF1
、FGF2、FIGF、FLT4、FN1、FST、FOXC2、GRN、HGF、HEY1、HSPG2、IFNB1、IL8、IL12A、I
TGA4、ITGAV、ITGB3、MDK、MMP2、MYOZ2、NRP1、NRP2、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAM1
、PF4、PGK1、PROX1、PTN、SEMA3F、SERPINB5、SERPINC1、SERPINF1、TIMP2、TIMP3、TGF
A、TGFB1、THBS1、THBS2、TIE1、TIE2/TEK、TNF、TNNI1、TNFSF15、VASH1、VEGF、VEGFB
、VEGFC、VEGFR1/FLT1、及び/又はVEGFR2/KDRのmRNAを発現し;(d)CD49d、コネキシン-43
、HLA-ABC、β2-マイクログロブリン、CD349、CD318、PDL1、CD106、ガレクチン-1、ADAM
17、アンジオテンシノゲン前駆体、フィラミンA、α-アクチニン1、メガリン、マクロフ
ァージアセチル化LDL受容体I及びII、アクチビン受容体IIB型前駆体、Wnt-9タンパク質、
グリア繊維酸性タンパク質、星状細胞、ミオシン結合タンパク質C、及び/又はミオシン重
鎖、非筋細胞A型の1つ以上を発現し;(e)VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチン
、G-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、及び/又はガレクチ
ン-1を、例えば、該細胞が増殖する培地中に分泌し;(f)マイクロRNA類miR-17-3p、miR-18
a、miR-18b、miR-19b、miR-92、及び/又はmiR-296を、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よ
りも高いレベルで発現し;(g)マイクロRNA類miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-222、miR-1
5b、及び/又はmiR-16を、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも低いレベルで発現し;(h)m
iRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、miR-20a、miR-20b、miR-296、m
iR-221、miR-222、miR-15b、及び/又はmiR-16を発現し;且つ/或いは(i)21%O2下でのCD202
b、IL-8、及び/又はVEGFの発現に比べて、約5%未満のO2中で培養される場合増加したレベ
ルのCD202b、IL-8及び/又はVEGFを発現する。上述の特性の1つ以上を有するAMDACを含む
細胞集団、例えば、AMDACの集団がさらに本明細書に提供される。
別な実施態様において、上記AMDAC又はAMDACを含む細胞集団のいずれも血管新生因子を
分泌する。具体的な実施態様において、AMDAC又はAMDACを含む細胞集団は、血管内皮細胞
成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成
長因子(bFGF)、及び/又はインターロイキン-8(IL-8)を分泌する。他の具体的な実施態様
において、AMDAC又はAMDACを含む細胞集団は、1種以上の血管新生因子を分泌し、それに
より、インビトロ創傷治癒アッセイにおいてヒトの内皮細胞が移動するように誘導する。
他の具体的な実施態様において、AMDAC又はAMDACを含む細胞集団は、ヒト内皮細胞、内皮
始原細胞、筋細胞、又は筋芽細胞の成熟、分化、又は増殖を誘導する。
別な実施態様において、上記AMDAC又はAMDACを含む細胞の集団のいずれも、例えば胎盤
コラーゲン若しくはMATRIGEL(商標)などの基材上で、細胞外マトリクスタンパク質、例え
ばI型若しくはIV型コラーゲン、及び/又は1つ以上の血管新生因子、例えばVEGF、EGF、PD
GF、若しくはbFGFの存在下で培養した場合、アセチル化された低密度リポタンパク(LDL)
を取り込む。
別な実施態様において、疼痛の治療に有用なAMDACを含む細胞の集団であって、前記AMD
ACが組織培養プラスチックに接着し、前記細胞がRT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、
且つ、免疫局在化により決定可能なVEGFR2/KDR+、CD9+、CD54+、CD105+、CD200+、又はVE
-カドヘリン-である細胞の集団が本明細書に提供される。具体的な実施態様において、前
記細胞集団中の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、
又は99%の細胞が、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且つ、免疫局在化により決定
可能なVEGFR2/KDR+、CD9+、CD54+、CD105+、CD200+、又はVE-カドヘリン-であるAMDACで
ある。別の具体的な実施態様において、前記細胞集団中の少なくとも10%、20%、30%、40%
、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%の細胞が、RT-PCRにより決定可能なOCT-
4-であり、且つ、免疫局在化により決定可能なVEGFR2/KDR+、CD9+、CD54+、CD105+、CD20
0+、及びVE-カドヘリン-であるAMDACである。別の具体的な実施態様において、RT-PCRに
より決定可能なOCT-4-であり、且つ、免疫局在化により決定可能なVEGFR2/KDR+、CD9+、C
D54+、CD105+、CD200+、又はVE-カドヘリン-である前記AMDACは、1~100ng/mLのVEGFに4
~21日間曝露させた後、免疫局在化により検出されるCD34を発現しない。別の具体的な実
施態様において、前記細胞はVE-カドヘリン-でもある。
AMDACを含む、本明細書に提供される細胞集団は、新芽又は導管若しくは脈管に似た管
様構造を形成することができる。一実施態様において、AMDACを含む細胞集団は、血管新
生部分、例えば、VEGF、EGF、PDGF、又はbFGFの存在下で培養される場合、新芽又は管様
構造を形成する。より具体的な実施態様において、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり
、且つ免疫局在化により決定可能なVEGFR2/KDR+、CD9+、CD54+、CD105+、CD200+、又はVE
-カドヘリン-である前記AMDACは、前記細胞集団が血管内皮細胞成長因子(VEGF)の存在下
で培養される場合、新芽又は管様構造を形成する。
本明細書に記載されるAMDACは、初代培養下、又は幹細胞の培養に適した培地での増殖
時に、上記特徴、例えば細胞表面マーカー及び/若しくは遺伝子発現プロファイルの組合
せ、並びに/又は血管新生能及び機能を示す。そのような培地は、例えば、1~100%DMEM
-LG(Gibco社)、1~100%MCDB-201(Sigma社)、1~10%ウシ胎仔血清(FCS)(Hyclone Labora
tories社)、0.1~5×インスリン-トランスフェリン-セレン(ITS、Sigma社)、0.1~5×リ
ノレン酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA、Sigma社)、10-5~10-15Mデキサメタゾン(Sigma社
)、10-2~10-10Mアスコルビン酸2-ホスフェート(Sigma社)、1~50ng/mL上皮細胞増殖因子
(EGF)(R&D Systems社)、1~50ng/mL血小板由来増殖因子(PDGF-BB)(R&D Systems社)、及び
100Uペニシリン/1000Uストレプトマイシンを含有する培地を含む。具体的な実施態様にお
いて、該培地は、60%DMEM-LG(Gibco社)、40%MCDB-201(Sigma社)、2%ウシ胎仔血清(FCS
)(Hyclone Laboratories社)、1×インスリン-トランスフェリン-セレン(ITS)、1×リノレ
ン酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA)、10-9Mデキサメタゾン(Sigma社)、10-4Mアスコルビン
酸2-ホスフェート(Sigma社)、上皮細胞増殖因子(EGF)10ng/ml(R&D Systems社)、血小板由
来増殖因子(PDGF-BB)10ng/ml(R&D Systems社)、及び100Uペニシリン/1000Uストレプトマ
イシンを含有する。他の好適な培地は、以下に説明する。
疼痛を有する個体を治療するのに好適な、単離されたAMDACの集団は、例えば容器内に
、約、少なくとも約、又はわずか約1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107
1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、又はそれより多いAMDAC
を含み得る。種々の実施態様において、本明細書に提供される単離された細胞集団中の少
なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の細胞はAMDACで
ある。すなわち、単離されたAMDACの集団は、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%
、60%、70%、80%、90%もの非幹細胞を含み得る。
AMDACは、基材上で培養することができる。様々な実施態様において、該基材は、羊膜
由来接着細胞の培養及び/又は選択を達成することができる任意の表面でよい。典型的に
は、該基材は、プラスチック、例えば、組織培養皿又はマルチウェルプレートプラスチッ
クである。組織培養プラスチックは、例えば、CELLSTART(商標)、MESENCULT(商標)ACF-基
材、オルニチン、若しくはポリリジンなどの、生体分子若しくは合成模倣物質、又は例え
ば、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの、細胞外マトリク
スタンパク質により処理、コーティング、又はインプリンティングすることができる。
AMDACは、1つ以上の胎盤から単離することができる。単離されたAMDACを培養及び拡大
して、AMDACの集団を作製することができる。羊膜由来接着細胞を含む胎盤細胞の集団も
培養及び拡大して、羊膜由来接着細胞の集団を作製することができる。
特定の実施態様において、上記マーカー及び/又は遺伝子発現特徴のいずれかを示すAMD
ACは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、1
9若しくは20回、又はそれよりも多く継代したものである。特定の他の実施態様において
、上記マーカー及び/又は遺伝子発現特徴のいずれかを示すAMDACは、培養において、少な
くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21
、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41
、42、43、44、45、46、47、48、49回又は少なくとも50回、又はそれよりも多く倍加され
る。
疼痛を経験している個体への投与を準備するにあたり、AMDACは複数継代の間培養する
ことができる。任意の哺乳動物細胞に関して、本明細書に記載されるAMDACの成長は、成
長のために選択された特定の培地に部分的に依存する。最適条件下で、AMDACは、典型的
にはおよそ24時間で数が二倍になる。培養の間、本明細書に記載されるAMDACは、培養中
の基材、例えば組織培養容器(例えば、組織培養皿プラスチック、フィブロネクチンコー
トされたプラスチックなど)の表面に接着して、単層を形成する。典型的には、該細胞は
、羊膜の消化後2~7日以内に培養中に定着する。それらは、典型的には、1日あたりおよ
そ0.4~1.2の集団倍加で増殖し、少なくとも30~50の集団倍加を経験できる。該細胞は、
サブコンフルエンス及び拡大の間に、間葉系/線維芽細胞様の表現型を、コンフルエンス
で立方体様/玉石様外観を示し、培養中の増殖は非常に接触阻害的である。AMDACの集団は
、培養中の拡大の間に胚様体を形成し得る。
(5.4 AMDACを得る方法)
疼痛を経験している個体を治療するのに有用な羊膜由来接着細胞及びAMDACを含む細胞
集団は、他の細胞又は細胞集団から、例えば、羊膜組織の特定の消化方法により単離し、
任意に、それに続けて、得られた細胞又は細胞集団を、AMDACに特徴的なマーカー、又は
マーカー組合せの存在又は非存在に関して評価するか、或いは羊膜細胞を入手し、上述の
AMDACに特徴的なマーカーを基に選択することにより、作製することができる。
AMDAC及びAMDACを含む単離された細胞集団は、例えば、羊膜組織の消化の具体的な方法
とそれに続く接着細胞の選択により作製することができる。AMDACは、好ましくは、2段階
の消化方法、例えば、以下の4.3.3節に詳述される方法を利用して単離される。一実施態
様において、例えば、単離されたAMDAC又はAMDACを含む単離された細胞集団は、(1)羊膜
組織を、第一の酵素で消化し、細胞を、羊膜の間葉系層の細胞からの羊膜上皮層から解離
する工程;(2)引き続き、羊膜の間葉系層を、第二の酵素で消化し、単細胞懸濁液を形成
する工程;(3)前記単細胞懸濁液中の細胞を、組織培養表面、例えば組織培養プラスチッ
ク上で培養する工程;並びに、(4)培地の交換後、該表面に接着する細胞を選択し、これ
により羊膜由来接着細胞を含む単離された細胞集団、例えばAMDACの集団を作製する工程
により作製することができる。具体的な実施態様において、前記第一の酵素はトリプシン
である。より具体的な実施態様において、前記トリプシンは、消化されるべき羊膜組織1g
につき溶液5~20mL、例えば10ミリリットル中0.25%トリプシン(w/v)の濃度で使用される
。別のより具体的な実施態様において、トリプシンによる前記消化は、37℃で約15分間進
行され、且つ最大3回繰り返される。別の具体的な実施態様において、前記第二の酵素は
コラゲナーゼである。より具体的な実施態様において、前記コラゲナーゼは、消化される
べき羊膜組織1gにつき溶液5mL中50~500U/Lの濃度で使用される。別のより具体的な実施
態様において、コラゲナーゼによる前記消化は、37℃で約45~60分間進行される。別の具
体的な実施態様において、コラゲナーゼによる消化後形成された単細胞懸濁液は、工程(2
)と工程(3)の間で、例えば、75μM~150μMフィルターを通して濾過される。別の具体的
な実施態様において、前記第一の酵素はトリプシンであり、且つ前記第二の酵素はコラゲ
ナーゼである。生じる細胞集団は、AMDACを含む羊膜細胞集団、例えばAMDACの集団である
羊膜由来接着細胞を含む単離された細胞集団は、別の実施態様において、羊膜由来接着
細胞(AMDAC)の1つ以上の特徴を示す、羊膜からの細胞、例えば、本明細書別所記載のとお
り羊膜組織を消化することにより得られた細胞を選択すること、並びに、任意にそのよう
な細胞を他の羊膜細胞から分離して、AMDACの集団を作製することにより得ることができ
る。一実施態様において、例えば、細胞集団は、(a)RT-PCRにより決定可能なOCT-4につい
て陰性、及び(b)フローサイトメトリー又はフローサイトメトリー又は免疫局在化により
決定可能な、VEGFR2/KDR、CD9、CD54、CD105、CD200の1つ以上について陽性である羊膜細
胞を選択する工程;並びに、任意に、そのような細胞を他の羊膜細胞から分離して、AMDA
Cの集団を作製する工程を含む方法により、作製される。具体的な実施態様において、前
記羊膜細胞は、さらにVE-カドヘリン-である。具体的な実施態様において、細胞集団は、
(a)RT-PCRにより決定可能なOCT-4について陰性、及び、フローサイトメトリー又は免疫局
在化により決定可能なVE-カドヘリンについて陰性であり、並びに(b)フローサイトメトリ
ー又は免疫局在化により決定可能な、VEGFR2/KDR、CD9、CD54、CD105、CD200の各々につ
いて陽性である胎盤細胞を選択する工程;並びに、任意に、そのような細胞を他の羊膜細
胞から分離して、AMDACの集団を作製する工程により、作製される。特定の実施態様にお
いて、フローサイトメトリー又は免疫局在化による前記選択は、RT-PCRによる前記選択の
前に実行される。別の具体的な実施態様において、前記選択は、1~100ng/mLのVEGFの存
在下で、4~21日間の培養後に、細胞マーカーCD34を発現していない細胞を選択する工程
を含む。
他の実施態様において、例えば、細胞集団は、組織培養プラスチックに接着し、RT-PCR
により決定可能なOCT-4-であり、且つフローサイトメトリー又は免疫局在化により決定可
能なVEGFR1/Flt-1+及びVEGFR2/KDR+である羊膜細胞を選択する工程、並びに前記細胞を他
の細胞から単離し、細胞集団、例えばAMDACの集団を形成する工程を含む方法により、作
製される。具体的な実施態様において、細胞集団は、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であ
り、且つフローサイトメトリー又は免疫局在化により決定可能な、VEGFR1/Flt-1+、VEGFR
2/KDR+、及びHLA-G-である羊膜細胞を選択する工程、並びに前記細胞を他の細胞から単離
して、細胞集団、例えば、AMDACの集団を形成する工程を含む方法により、作製される。
別の具体的な実施態様において、前記細胞集団は、さらに、フローサイトメトリー又は免
疫局在化により決定される、CD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2+、TEM-7+、CD31
-、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-、CD146-、及び/又はCXCR4-(ケモカイン(C-X-Cモチー
フ)受容体4)の1つ以上、又は全てである羊膜細胞を選択する工程、並びに、該細胞を他の
細胞から単離して、AMDACの集団を形成する工程により、作製される。別の具体的な実施
態様において、前記細胞集団、例えばAMDACの集団は、さらに、フローサイトメトリー又
は免疫局在化により決定可能なVE-カドヘリン-である羊膜細胞を選択する工程、並びに、
該細胞をVE-カドヘリン+である細胞から単離する工程により、作製される。別の具体的な
実施態様において、前記細胞集団は、さらに、免疫局在化により決定可能な、CD105+及び
CD200+である羊膜細胞を選択する工程、並びに、該細胞をCD105-又はCD200-である細胞か
ら単離する工程により、作製される。別の具体的な実施態様において、前記細胞は、1~1
00ng/mLのVEGFに、4~21日間曝露させた後に、免疫局在化により検出されるCD34を発現し
ない。
細胞の選択において、AMDACに特異的な特徴について、細胞の集団全体を試験する必要
はない。代わりに、細胞集団の1つ以上の細胞アリコート(例えば約0.5%~2%)を、その
ような特徴について試験すればよく、それらの結果を、その集団の残りの細胞に帰するこ
とができる。
選択された細胞は、細胞試料(例えば約104~約105個細胞)を、基材、例えばMATRIGEL(
商標)上で、4~14日間、例えば7日間、VEGF(例えば約50ng/mL)の存在下で培養し、且つ新
芽及び/又は細胞ネットワークの外観について細胞を目視により検証することにより、本
明細書に提供される羊膜由来接着細胞であることを確認することができる。
AMDACを、細胞選択の技術分野で公知の任意の方法を利用して、上記マーカーにより選
択することができる。例えば、AMDACを、例えば免疫局在化、例えばフローサイトメトリ
ー又はFACSにおいて、1つ以上の細胞表面マーカーに対する1つ又は複数の抗体を用いて選
択することができる。抗体を磁気ビーズと組み合わせて、選択を達成することができる。
特定のマーカーに特異的である抗体は当該技術分野で公知であり、且つ、例えばCD9に対
する抗体(Abcam社);CD54に対する抗体(Abcam社);CD105に対する抗体(Abcam社;BioDesi
gn International社、サコ、MEなど);CD200に対する抗体(Abcam社)、サイトケラチンに
対する抗体(SigmaAldrich社)などが市販されている。他のマーカーに対する抗体も市販さ
れており、例えば、CD34、CD38、及びCD45に対する抗体が、例えば、StemCell Technolog
ies社又はBioDesign International社から入手可能である。RT-PCRに適したOCT-4配列に
対するプライマーは、例えば、Millipore社若しくはInvitrogen社から、商業的に入手す
るか、又はGenBank寄託番号DQ486513のヒト配列から容易に誘導することができる。
AMDACを得るために、胎盤及び羊膜組織を入手し、そのような組織を処理する詳細な方
法は、以下に提示される。
(5.4.1 細胞回収組成物)
AMDACは、生理的に許容し得る溶液、例えば細胞回収組成物を使用し、哺乳動物胎盤、
例えばヒト胎盤由来の羊膜から得ることができる。好ましくは、該細胞回収組成物は、ア
ポトーシスを防止又は抑制し、細胞死、溶解、分解などを防止又は抑制する。細胞回収組
成物は、その開示がそれらの全体として引用により本明細書中に組み込まれている、関連
の米国特許出願公開第2007/0190042号、表題「胎盤幹細胞回収及び組織保存のための改善
された培地(Improved Medium for Collecting Placental Stem Cells and Preserving Or
gans)」に説明されている。細胞回収組成物は、緩衝成分、例えば4-(2-ヒドロキシエチル
)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)を添加又は無添加の、例えば、食塩水(例えばリ
ン酸-緩衝食塩水、クレブス溶液、改変クレブス溶液、イーグル溶液、0.9%NaClなど)、
培養培地(例えば、DMEM、H.DMEMなど)などの、AMDACの回収及び/又は培養に適した任意の
生理的に許容し得る溶液を含有することができる。
細胞回収組成物は、回収の時点から培養の時点まで、細胞、例えばAMDACを保存する、
すなわち、該細胞の死を防止するか、又は該細胞の死を遅延させるか、死滅する細胞集団
内の細胞の数を減少させるなどの傾向がある1種以上の成分を含むことができる。そのよ
うな成分は、例えば、アポトーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤若しくはJNK阻害剤
);血管拡張剤(例えば、硫酸マグネシウム、抗高血圧薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド
(ANP)、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ニトロプルシドナ
トリウム、ヒドララジン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシン若しくは硫
酸マグネシウム、ホスホジエステラーゼ阻害剤など);壊死阻害剤(例えば、2-(1H-インド
ール-3-イル)-3-ペンチルアミノ-マレイミド、ピロリジンジチオカルバメート、若しくは
クロナゼパム);TNF-α阻害剤;及び/又は、酸素運搬ペルフルオロカーボン(例えば、ペ
ルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロデシルブロミドなど)であることができる。
細胞回収組成物は、殺菌有効量又は静菌有効量の抗生物質を含むことができる。特定の
非限定的な実施態様において、抗生物質は、マクロライド(例えば、トブラマイシン)、セ
ファロスポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、
セファクロール、セフィキシム、若しくはセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エ
リスロマイシン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV)、又はキノロン(例えば、オフロキサ
シン、シプロフロキサシン、若しくはノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプ
トマイシンなどである。特定の実施態様において、抗生物質は、グラム(+)細菌及び/又は
グラム(-)細菌、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphyloco
ccus aureus)などに対して活性がある。
細胞回収組成物は、以下の化合物のうちの1つ以上を含むこともできる:アデノシン(約
1mM~約50mM);D-グルコース(約20mM~約100mM);マグネシウムイオン(約1mM~約50mM);
一実施態様において、内皮の完全性及び細胞の生存能力を維持するのに十分な量で存在す
る、分子量20,000ダルトン超の高分子(例えば、合成若しくは天然のコロイド、約25g/l~
約100g/l、若しくは約40g/l~約60g/lで存在するデキストランなどの多糖若しくはポリエ
チレングリコール);酸化防止剤(例えば、約25μM~約100μMで存在するブチル化ヒドロ
キシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、ビタミンC、若しくはビ
タミンE);還元剤(例えば、約0.1mM~約5mMで存在するN-アセチルシステイン);細胞内へ
のカルシウムの侵入を防止する薬剤(例えば、約2μM~約25μMで存在するベラパミル);
ニトログリセリン(例えば、約0.05g/L~約0.2g/L);一実施態様において、残留血液の凝
固の防止を助けるのに十分な量で存在する抗凝血剤(例えば、約1000ユニット/l~約100,0
00ユニット/lの濃度で存在するヘパリン若しくはヒルジン);又はアミロライド含有化合
物(例えば、約1.0μM~約5μMで存在するアミロライド、エチルイソプロピルアミロライ
ド、ヘキサメチレンアミロライド、ジメチルアミロライド、若しくはイソブチルアミロラ
イド)。
本明細書記載のAMDACはまた、例えば、以下に記載のように消化時及び消化後に、単純
な生理的に許容し得る緩衝液、例えばリン酸-緩衝食塩水、0.9%NaCl溶液、細胞培養培地
などに、回収することもできる。
(5.4.2 胎盤の回収及び取り扱い)
一般に、ヒトの胎盤を、出産後その娩出後すぐに、又は例えば帝王切開後すぐに、回収
する。好ましい実施態様において、インフォームドコンセント後、及び患者の全病歴を取
得して、該胎盤と関連付けた後、胎盤を患者から回収する。好ましくは、この病歴は分娩
後も続く。そのような病歴を用いて、胎盤又はそれから採取される細胞の後続的使用を調
整することができる。例えば、AMDACは、その病歴を考慮して、該胎盤と関連する幼児若
しくは近親者のための、又はその幼児の親、兄弟姉妹、若しくは他の血縁者のための個人
医療に用いることができる。他の実施態様において、AMDACは、任意に病歴に基づいて自
己レシピエントのために使用できる。
羊膜からのAMDACの回収前に、好ましくは、臍帯血及び胎盤血を、羊膜を含む胎盤から
除去する。特定の実施態様において、分娩後、胎盤内の臍帯血を回収する。胎盤は、従来
の臍帯血の回収プロセスに供することができる。典型的には、針又はカニューレを用い、
重力の助けを借りて、胎盤を放血させる(例えば、Andersonの米国特許第5,372,581号;He
sselらの米国特許第5,415,665号を参照されたい)。針又はカニューレを、通常、臍帯静脈
内に留置し、胎盤を穏やかにマッサージして、胎盤からの臍帯血の排出を助けることがで
きる。そのような臍帯血の回収は、商業的に、例えば、LifeBank USA社(シダーノールズ
、NJ)、ViaCord、Cord Blood Registry and Cryocellにより行なわれてもよい。好ましく
は、臍帯血を回収する間の組織破壊を最小限に抑えるために、胎盤を、それ以上操作する
ことなく、重力排出させる。
典型的には、例えば、灌流又は組織解離による臍帯血の回収及び細胞の回収のために、
胎盤を、分娩室又は出産室から別の場所、例えば、実験室まで輸送する。例えば、胎盤を
、近位臍帯をクランプしたまま、滅菌されたジップロック式プラスチックバッグの中に入
れ、その後、このプラスチックバッグを断熱容器内に入れることによって、胎盤を(胎盤
の温度を20~28℃に維持する)滅菌された断熱輸送装置に入れて輸送することが好ましい
。別の実施態様において、米国特許第7,147,626号に実質的に記載されているように、胎
盤を臍帯血回収キットに入れて輸送する。好ましくは、胎盤を、分娩から4~24時間後に
、実験室に移送する。特定の実施態様において、臍帯血の回収前に、胎盤への挿入部から
好ましくは4~5cm(センチメートル)以内のところで、近位臍帯をクランプする。他の実施
態様において、臍帯血の回収後、しかし、それ以上の胎盤の処理前に、近位臍帯をクラン
プする。
胎盤は、細胞回収前に、滅菌条件下、且つ4~25℃(摂氏)の温度、例えば室温で保存す
ることができる。胎盤を灌流して残留臍帯血を除去する前に、胎盤は、例えば0~24時間
の期間、最長48時間、又は48時間よりも長い時間、保存してもよい。一実施態様において
、胎盤は、盤出後約0時間~約2時間に回収される。胎盤は、例えば4~25℃(摂氏)の温度
で、抗凝血剤溶液に入れて保存することができる。好適な抗凝血剤溶液は当該技術分野で
周知である。例えば、クエン酸ナトリウム、ヘパリン又はワルファリンナトリウムの溶液
を用いることができる。好ましい実施態様において、抗凝血剤溶液は、ヘパリン溶液(例
えば、1:1000溶液中で1%w/w)を含む。放血された胎盤は、細胞を回収する前に、36時間
を超えない時間、保存することが好ましい。
(5.4.3 羊膜組織の物理的破壊及び酵素消化)
一実施態様において、羊膜を、例えば指を使用するなどし、例えば鈍的切開により、胎
盤の残りから分離する。羊膜を、例えば部分又は組織切片に解体し、その後酵素的に消化
し、且つ接着細胞を回収できる。AMDACは、全羊膜から、又は羊膜の小切片から、例えば
面積約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、3
00、400、500、600、700、800、900又は約1000平方ミリメートルである羊膜の切片から、
得ることができる。
AMDACは、一般に、盤出後最初の約3日間以内の任意の時点で、胎盤の羊膜又はそれらの
一部から回収することができるが、好ましくは盤出後約0時間~48時間、又は盤出後約8時
間~約18時間である。
一実施態様において、AMDACは、1種以上の組織消化酵素、好ましくは先に概説されたト
リプシンとコラゲナーゼの連続的組み合わせを使用して酵素消化により羊膜組織から抽出
される。羊膜又はその一部は、例えば、上述の細胞回収組成物に溶解又は混合されている
1種以上の酵素により消化できる。一実施様態において、例えば、羊膜組織は、トリプシ
ンにより3回、次いでコラゲナーゼにより1回消化される。
組織消化酵素の典型的な濃度には、例えば、50~200U/mLのコラゲナーゼI及びコラゲナ
ーゼIV、1~10U/mLのディスパーゼ、及び10~100U/mLのエラスターゼがある。羊膜由来接
着細胞を単離するために、プロテアーゼを組み合わせて、すなわち、同じ消化反応に2種
以上のプロテアーゼが使用でき、又は連続的に使用できる。例えば、一実施態様において
、羊膜組織又はその一部は、まず適切な量の約0.25%の濃度のトリプシンにより例えば、1
5分間37℃で、それに続いて約1~約2mg/mlのコラゲナーゼIにより例えば、45分間消化さ
れる。
一実施態様において、羊膜由来接着細胞は、下記のように得られる。羊膜は、サイズが
およそ0.1インチ×0.1インチ(0.25cm×0.25cm)~約5インチ×5インチ(12.7cm×12.7cm
)、例えば2インチ×2インチ(5.08cm×5.08cm)の切片に切断される。上皮単層は、下記
の三重トリプシン処理により、羊膜の胎児側から取り除かれる。羊膜の膜の切片を、温め
た(例えば約20℃~約37℃)トリプシン-EDTA溶液(0.25%)の入った容器に配置する。トリ
プシンの体積は、約5mL/g羊膜~約50mL/g羊膜の範囲であることができる。容器は、温度
を一定に保ちながら、約5分間~約30分間、例えば15分間攪拌する。その後、羊膜切片を
手作業で除去するか、又は濾過によるなど、任意の適切な方法によりトリプシン溶液から
、羊膜の切片を分離する。トリプシン処理工程は、少なくとももう1回繰り返すことがで
きる。
最終トリプシン処理の完了時に、羊膜の切片を、リン酸塩-緩衝食塩水(PBS)/10%FBS、
PBS/5%FBS、又はPBS/3%FBSなどの温めたトリプシン中和溶液に満たされた容器に戻す。
該容器を、約5秒~約30分間、例えば、5分間攪拌する。次いで、羊膜の切片を上述の通り
トリプシン中和溶液から分離し、羊膜の切片を、温めたPBS(pH7.2)で満たされた容器に配
置する。該容器を、約5秒~約30分間攪拌し、次いで羊膜の切片を、上述のとおりPBSから
分離する。
次いで、羊膜の切片を、温めた(例えば約20℃~約37℃)消化溶液を満たした容器に配置
する。消化溶液の体積は、約5mL/g羊膜~約50mL/g羊膜の範囲であることができる。消化
溶液は、DMEMなどの好適な培養培地中に、消化酵素を含む。典型的な消化溶液は、I型コ
ラゲナーゼ(約50U/mL~約500U/mL);コラゲナーゼI型(約50U/mL~約500U/mL)+ディスパー
ゼ(約5U/mL~約100U/mL);及びコラゲナーゼI型(約50U/mL~約500U/mL)、ディスパーゼ(約
2U/mL~約50U/mL)及びヒアルロニダーゼ(約3U/mL~約10U/mL)を含む。羊膜消化が実質的
に完了するまで(およそ10分間~約90分間)、容器を37℃で攪拌する。その後、温かいPBS/
5%FBSを、約1mL/g羊膜組織~約50mL/g羊膜組織の比で容器に加える。該容器を約2分間~
約5分間攪拌する。次に細胞懸濁液を、40μm~100μmフィルターを用いて濾過し、あらゆ
る未消化の組織を除去する。細胞を、温PBS(約1mL~約500mL)中に懸濁させ、次に200×g
~約400×gで約5分間~約30分間、例えば300×gで約15分間、20℃で遠心分離する。遠心
分離後、上清を除去し、細胞を、好適な培養培地中に再懸濁させる。この細胞懸濁液を濾
過し(40μm~70μmフィルター)、あらゆる残存している未消化の組織を除去すると、単一
細胞懸濁液が生じる。
この実施態様において、懸濁液中の細胞を、本明細書の別の場所に記載されるように収
集及び培養し、単離された羊膜由来接着細胞、及びそのような細胞の集団を作製する。残
存する未消化の羊膜は、この実施態様において、廃棄できる。羊膜組織から放出された細
胞は、例えば、遠心分離により、例えば、回収でき、標準的な細胞培地中で培養できる。
本明細書の消化プロトコルのいずれにおいても、消化により得られた細胞懸濁液は、例
えば、約50μm~約150μm、例えば約75μm~約125μmの有孔フィルターに通して濾過する
ことができる。より具体的な実施態様において、細胞懸濁液は、2個以上のフィルター、
例えば125μmフィルターと75μmフィルターに通して濾過することができる。
本明細書に記載される方法のいずれと組合せても、AMDACは、上記5.5節に記載のように
、AMDACに特徴的な1つ以上のマーカーを発現する細胞を選択することにより、消化時に放
出された細胞から単離することができる。
AMDACは、例えば、トリプシンによる消化に続いてコラゲナーゼによる消化を含む具体
的な2工程単離方法を利用して単離できる。このように、他の態様において、羊膜又はそ
の一部を、上皮細胞が前記羊膜から放出されるように、トリプシンにより消化すること;
羊膜又はその一部を、前記上皮細胞から除去すること;羊膜又はその一部を、羊膜由来接
着細胞が前記羊膜又はその一部から放出されるように、コラゲナーゼによりさらに消化す
ること;及び前記羊膜由来接着細胞を前記羊膜から分離することを含む、AMDACを単離する
方法が本明細書に提供される。具体的な実施態様において、羊膜又はその一部の消化は、
少なくとも1回繰り返される。他の具体的な実施態様において、コラゲナーゼによる羊膜
又はその一部の消化は、少なくとも1回繰り返される。他の具体的な実施態様において、
トリプシンは約0.1%~1.0%(最終濃度)である。より具体的な実施態様において、トリプシ
ンは約0.25%(最終濃度)である。他の具体的な実施態様において、コラゲナーゼは約50U/m
L~約1000U/mL(最終濃度)である。より具体的な実施態様において、コラゲナーゼは約125
U/mL(最終濃度)である。別の具体的な実施態様において、該単離方法は、細胞培養物中で
前記AMDACを培養すること及び前記AMDACを、前記培養物中の非接着細胞から分離して、AM
DACの富化集団を作製することをさらに含む。より具体的な実施態様において、前記AMDAC
の富化集団中の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、
又は99%の細胞は前記AMDACである。
上記方法のより具体的な実施態様において、羊膜由来接着細胞は、RT-PCRにより決定可
能なOCT-4に陰性であり、免疫局在化により決定可能なHLA-G+、CD90+、CD105+、及びCD11
7-の1つ以上であり、且つ/又は上記4.3.2節に列記された他の特徴のいずれかを有する。
(5.4.4 羊膜由来接着細胞の単離、選別、及び特徴付け)
細胞ペレットを、上記の新鮮な細胞回収組成物、又は細胞維持に適した培地、例えばダ
ルベッコ改変イーグル培地(DMEM);イスコフの改変ダルベッコ培地(IMDM)、例えば2U/mL
ヘパリン及び2mMのEDTAを含有するIMDM無血清培地(GibcoBRL社、NY);緩衝液(例えばPBS
、HBSS)のFBS(例えば2%v/v)との混合液などの中に再懸濁できる。
フィブロネクチンなどの、追加の細胞外マトリクスコーティングを含む又は含まない、
例えば組織培養プラスチックなどの、表面上で培養されたAMDACを、継代するか、又は差
分接着(differential adherence)により単離することができる。例えば、上記に記載のよ
うに実施された羊膜組織のコラゲナーゼ消化から得られた細胞懸濁液を、例えば3~7日間
、組織培養プラスチック上の培養培地中で培養することができる。培養中に、懸濁液中の
複数の細胞が培養表面に接着し、培養を続けた後、AMDACが生じる。非接着細胞はAMDACを
生み出さず、培地の交換の間に除去される。
羊膜から回収された細胞の数と種類を、免疫局在化、例えばフローサイトメトリー、細
胞選別、免疫細胞化学(例えば、組織特異的抗体若しくは細胞マーカー特異的抗体による
染色)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS)などの標準的な細胞検出
技術を用いて形態及び細胞表面マーカーの変化を測定することにより、光学顕微鏡若しく
は共焦点顕微鏡法を用いて細胞の形態を調べることにより、並びに/又はPCR及び遺伝子
発現プロファイリングなどの当該技術分野で周知の技術を用いて遺伝子発現の変化を測定
することにより、モニタリングすることができる。これらの技術を、1種以上の特定のマ
ーカーについて陽性である細胞を同定するためにも用いることができる。例えば、CD34に
対する1種以上の抗体を用いて、上記の技術を用い、細胞が検出可能な量のCD34を含むか
どうかを決定することができ;もしそうであるならば、細胞はCD34+である。
羊膜由来細胞、例えば、フィコール分離、差分接着、又は両方の組合せによって単離さ
れた細胞を、蛍光活性化細胞選別機(FACS)を用いて、選別、例えばさらに単離することが
できる。蛍光活性化細胞選別(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいて、細胞を含む粒子を分
離する周知の方法である(例えば、Kamarchの文献(1987, Methods Enzymol, 151:150-165)
参照)。個々の粒子中の蛍光部分のレーザーによる励起によって、わずかな電荷が生じ、
混合物からの陽性粒子及び陰性粒子の電磁分離が可能になる。一実施態様において、細胞
表面マーカー特異的抗体又はリガンドを個別の蛍光標識で標識する。細胞をセルソーター
に通して処理し、使用された抗体に結合するそれらの能力に基づく細胞の分離を可能にす
る。FACSで選別された粒子を96ウェル又は384ウェルプレートの個々のウェルに直接に堆
積させて、分離及びクローニングをしやすくすることができる。
1つの選別スキームでは、胎盤由来の細胞、例えばAMDACを、マーカーCD49f、VEGFR2/KD
R、及び/又はFlt-1/VEGFR1の発現に基づいて選別することができる。好ましくは、該細胞
は、例えば細胞試料中のRT-PCRによるOCT-4の発現の決定により、OCT-4-であると同定さ
れ、ここで該試料中の細胞が30サイクル後にOCT-4のmRNAの検出可能な生成を示すことが
できない場合に、該細胞はOCT-4-である。例えば、VEGFR2/KDR+及びVEGFR1/Flt-1+である
羊膜由来の細胞は、VEGFR2/KDR-、及びVEGFR1/Flt-1+、CD9+、CD54+、CD105+、CD200+
及び/又はVE-カドヘリン-の1つ以上である細胞から選別することができる。具体的な実施
態様において、CD49f+、VEGFR2/KDR+、CD9+、CD54+、CD105+、CD200+、及び/又はVE-カド
ヘリン-の1つ以上である羊膜由来の組織培養プラスチック-接着細胞、又はVEGFR2/KDR+
CD9+、CD54+、CD105+、CD200+、及びVE-カドヘリン-である細胞は、そのようなマーカー
の1つ以上を発現しない細胞から選別され、且つ選択される。別の具体的な実施態様にお
いて、さらにCD31+、CD34+、CD45+、CD133-、及び/又はTie-2+の1つ以上、又は全てであ
る、CD49f+、VEGFR2/KDR+、VEGFR1/Flt-1+細胞は、そのような特徴の1つ以上、又はいず
れも示さない細胞から選別される。別の具体的な実施態様において、さらに、CD9+、CD10
+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2+、TEM-7+、CD31-、CD34-、CD45-、CD133-、CD143-、CD1
46-、及び/又はCXCR4-の1つ以上、又は全てである、VEGFR2/KDR+、VEGFR1/Flt-1+細胞は
、そのような特徴の1つ以上、又はいずれも示さない細胞から選別される。
AMDACの選択は、例えば、遠心分離又はフローサイトメトリーを使用する分離により、
消化から生じた細胞懸濁液に対して、又は消化残渣から回収された単離された細胞に対し
て実行することができる。発現されたマーカーによる選択は、単独で、或いは例えば培養
液中のそれらの接着特性を基に細胞を選択する手順と結びつけて、遂行することができる
。例えば、接着選択は、マーカー発現を基に選別する前又は後に遂行することができる。
羊膜細胞、例えばAMDACの抗体に媒介される検出及び選別に関して、特定のマーカーに
特異的な任意の抗体を、細胞の検出及び選別(例えば蛍光活性化細胞選別)に適した発蛍光
団又は他の標識と組合せて使用することができる。特異的マーカーに対する抗体/発蛍光
団組合せは、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)に結合したCD105に対するモノク
ローナル抗体(R&D Systems社、ミネアポリス、MNから入手可能);フィコエリトリン(PE)
に結合したCD200に対するモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen社);VEGFR2/K
DR-ビオチン(CD309、Abcam社)などを含むが、これらに限定されない。本明細書に開示さ
れたマーカーのいずれに対する抗体も、抗体の検出を容易にする抗体の任意の標準標識に
より標識することができ、これは例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ストレプトアビ
ジン/ビオチン、アビジン/ビオチン、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセイ
ンイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン
、ダンシルクロリド又はフィコエリトリン(PE)、ルミノール、ルシフェラーゼ、ルシフェ
リン、及びエクオリンを含み、好適な放射性物質の例は、125I、131I、35S、又は3Hを含
む。
AMDACは、単一のマーカーに対する抗体により標識し、且つ、該単一マーカーを基に検
出及び/又は選別することができるか、或いは複数の異なるマーカーに対する複数の抗体
で同時に標識し、且つ該複数のマーカーを基に選別することができる。
別な実施態様において、磁気ビーズを用いて細胞を分離する、例えば、本明細書記載の
羊膜由来接着細胞を他の羊膜細胞から分離することができる。磁気ビーズ(直径0.5~100
μm)に結合するそれらの能力に基づいて粒子を分離する方法である、磁気活性化細胞選別
(MACS)技術を用いて、該細胞を選別してもよい。特定の細胞表面分子又はハプテンを特異
的に認識する抗体の共有結合的付加を含む、種々の有用な修飾を磁気ミクロスフェアに対
して行なうことができる。その後、該ビーズを細胞と混合し、結合させておく。その後、
細胞を磁場に通して、特異的細胞表面マーカーを有する細胞を分離する。一実施態様にお
いて、その後、これらの細胞を単離し、さらなる細胞表面マーカーに対する抗体と結合し
た磁気ビーズと再び混合することができる。該細胞を再び磁場に通して、両方の抗体に結
合した細胞を単離する。その後、そのような細胞を希釈して、別々の皿、例えば、クロー
ン単離用のマイクロタイターディッシュに入れることができる。
AMDACを、(生存を評価するための)トリパンブルー排出アッセイ、フルオレセインジア
セテート取込みアッセイ、ヨウ化プロピジウム取込みアッセイ;及び、(増殖を評価する
ための)チミジン取込みアッセイ、又はMTT細胞増殖アッセイなどの、当該技術分野で公知
の標準的技術を用いて、生存能力、増殖能力、及び寿命について評価することができる。
寿命は、延長された培養下での集団倍加の最大数を決定することなどの、当該技術分野で
周知の方法によって測定してもよい。
AMDACはまた、当該技術分野において公知の技術、例えば、所望の細胞の選択的成長(陽
性選択)、望ましくない細胞の選択的破壊(陰性選択);例えば大豆凝集素による、混合集
団における示差的細胞凝集能を基にした分離;凍結-解凍手法;濾過;通常の及びゾーン
遠心分離;遠心溶出(対向流遠心分離);単位重力分離;向流分配;電気泳動などを用い、
他の胎盤細胞から分離することもできる。
(5.5 AMDACの培養)
(5.5.1 培地)
単離されたAMDAC又はそのような細胞の集団を使用して、細胞培養物をイニシエートす
るか、又はそれを播種することができる。一般に、細胞を、コーティングされていないか
、或いはラミニン、コラーゲン(例えば、非変性若しくは変性)、ゼラチン、フィブロネク
チン、オルニチン、ビトロネクチン、及び細胞外膜タンパク質(例えば、MATRIGEL(商標
)(BD Discovery Labware社、ベッドフォード、MA))などの細胞外マトリクス若しくは生
体分子でコーティングされているかのいずれかの滅菌組織培養容器に移す。
AMDACは、例えば、幹細胞の培養に適している培地において樹立することができる。樹
立培地は、例えば、EGM-2培地(Lonza社)、DMEM+10%FBS、又は60%DMEM-LG(Gibco社)、4
0%MCDB-201(Sigma社)、2%ウシ胎仔血清(FCS)(Hyclone Laboratories社)、1×インスリ
ン-トランスフェリン-セレン(ITS)、1×レノレン酸(lenolenic acid)-ウシ-血清-アルブ
ミン(LA-BSA)、10-9Mデキサメタゾン(Sigma社)、10-4Mアスコルビン酸2-ホスフェート(Si
gma社)、上皮細胞増殖因子(EGF)10ng/ml(R&D Systems社)、血小板由来増殖因子(PDGF-BB)
10ng/ml(R&D Systems社)、及び100Uペニシリン/1000Uストレプトマイシンを含む培地(本
明細書において「標準培地」と称す)を含み得る。
AMDACは、細胞、例えば接着性胎盤幹細胞の培養に許容し得るものとして当該技術分野
で認識されている任意の培地中及び任意の条件下で培養することができる。該培養培地は
血清を含むことが好ましい。様々な実施態様において、AMDACの培養又は継代培養のため
の培地としては、STEMPRO(登録商標)(Invitrogen社)、MSCM-sf(ScienCell社、カールスバ
ッド、CA)、MESENCULT(登録商標)-ACF培地(StemCell Technologies社、バンクーバー、カ
ナダ)、標準培地、EGF非含有標準培地、PDGF非含有標準培地、DMEM+10%FBS、EGM-2(Lon
za社)、EGM-2MV(Lonza社)、2%、10%及び20%ES培地、ES-SSR培地、又はα-MEM-20%FBS
を含む。羊膜由来接着細胞の培養に許容し得る培地は、例えば、DMEM、IMDM、DMEM(高グ
ルコース又は低グルコース)、イーグルの基本培地、ハムのF10培地(F10)、ハムのF-12培
地(F12)、イスコフの改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM、Lonza社)、ADV
ANCESTEM(商標)培地(Hyclone社)、KNOCKOUT(商標)DMEM(Invitrogen社)、ライボヴィッツ
のL-15培地、MCDB、DMEM/F12、RPMI 1640、改良DMEM(Gibco社)、DMEM/MCDB201(Sigma社
)、及びCELL-GRO FREEなどが挙げられる。様々な実施態様において、例えば、ITS(インス
リン-トランスフェリン-セレン)、LA+BSA(リノール酸-ウシ血清アルブミン)、デキスト
ロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、IGF-1、及びペニシリン/ストレプトマイシンを
含むDMEM-LG(ダルベッコの改変必須培地、低グルコース)/MCDB 201(ニワトリ線維芽細胞
基本培地);約2~約20%、例えば約10%ウシ胎仔血清(FBS;例えば、限定ウシ胎仔血清、
Hyclone社、ローガン、UT)を含むDMEM-HG(高グルコース);約2~約20%、例えば約15%FB
Sを含むDMEM-HG;約2~約20%、例えば約10%FBS、約2~約20%、例えば約10%ウマ血清
、及びヒドロコルチゾンを含むIMDM(イスコフの改変ダルベッコ培地);約2~約20%、例
えば約10%FBS、EGF、及びヘパリンを含むM199;約2~約20%、例えば約10%FBS、GLUTAM
AX(商標)、及びゲンタマイシンを含むα-MEM(最小必須培地);10%FBS、GLUTAMAX(商標)
、及びゲンタマイシンを含むDMEM;約2~約20%、例えば約15%(v/v)ウシ胎仔血清(例え
ば、限定ウシ胎仔血清、Hyclone社、ローガン、UT)、抗生物質/抗真菌剤(例えばペニシ
リン約100ユニット/mL、ストレプトマイシン100μg/mL、及び/又はアンホテリシンBの0.2
5μg/mL(Invitrogen社、カールスバッド、CA))、及び0.001%(v/v)β-メルカプトエタノ
ール(Sigma社、セントルイス、MO)を含有するDMEM-LG; 2~20%FBS、非必須アミノ酸(In
vitrogen社)、β-メルカプトエタノールを補充した、KNOCKOUT(商標)-DMEM基本培地;KNO
CKOUT(商標)Serum Replacementを補充した、KNOCKOUT(商標)基本培地;2~20%FBSを含有
するα-MEM;EGF、VEGF、bFGF、R3-IGF-1、ヒドロコルチゾン、ヘパリン、アスコルビン
酸、FBS、ゲンタマイシンを補充したEBM2(商標)基本培地などが挙げられる。
培養培地には、例えば、血清(例えば、FCS又はFBS、例えば約2~20%(v/v);ウマ科(ウ
マ)血清(ES);ヒト血清(HS));β-メルカプトエタノール(BME)、好ましくは、約0.001%(
v/v);1種以上の増殖因子、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、塩
基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、白血病抑制因子(LIF)
、血管内皮増殖因子(VEGF)、及びエリスロポエチン(EPO);L-バリンを含むアミノ酸;並
びに例えば、単独又は組合せた、ペニシリンG、硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシ
ンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、微生物汚染を防除するための1種以上の
抗生物質及び/又は抗真菌剤を含む1種以上の成分を補充することができる。
AMDACは、例えば、組織培養皿又はマルチウェルプレートにおいて、標準の組織培養条
件で培養することができる。細胞はまた、ハンギングドロップ法を用いて、培養すること
ができる。この方法において、細胞は、培地約5mL中に、約1×104個細胞/mLで懸濁され、
且つ該培地の1滴以上が、組織培養容器、例えば100mLのペトリ皿の蓋の内側に垂らされる
。この液滴は、例えば、単独の液滴、又は例えばマルチチャネルピペッターからの複数の
液滴であり得る。蓋を慎重に裏返し、且つ例えば、皿の大気中の含水量を維持するのに十
分な量の滅菌PBSなどの、ある量の液体を含む皿の底面上に置いて、細胞を培養する。AMD
ACは、T-フラスコ、Corning社HYPERFLASK(登録商標)、Cell Factories(Nunc)、1-、2-、4
-、10-又は40-トレー細胞スタックなどの、標準又はハイボリューム又はハイスループッ
ト培養システムにおいても培養することができる。
一実施態様において、AMDACは、該細胞の未分化表現型を維持するように作用する化合
物の存在下で培養される。具体的な実施態様において、該化合物は、置換3、4-ジヒドロ
ピリジモル[4,5-d]ピリミジンである。より具体的な実施態様において、該化合物は下記
化学構造を有する化合物である。
Figure 2022130406000005
該化合物は、羊膜由来接着細胞、又はそのような細胞の集団と、例えば、約1μM~約10
μMの濃度で接触させることができる。
(5.5.2 羊膜由来接着細胞の拡大及び増殖)
いったんAMDAC又はそのような細胞の集団(例えば、該細胞又は細胞集団が通常インビボ
で関連している羊膜細胞の少なくとも50%から分離されている、AMDAC又はAMDACの集団)
が単離されると、該細胞は、インビトロで増殖させ、拡大することができる。例えば、接
着細胞又は羊膜由来接着細胞の集団を、組織培養容器、例えば、皿、フラスコ、マルチウ
ェルプレートなどの中で、40~70%コンフルエンスになるまで、すなわち、該細胞及びそ
の子孫が、組織培養容器の培養表面積の40~70%を占めるまで該細胞が増殖するのに十分
な時間、培養することができる。
AMDACは、細胞成長を可能にする密度で培養容器中に播種することができる。例えば、
該細胞を、低密度(例えば約400~約6,000個細胞/cm2)から高密度(例えば約20,000個細胞/
cm2以上)で播種してもよい。好ましい実施態様において、該細胞を、大気中、約0%~約5
体積%のCO2の存在下で培養する。いくつかの好ましい実施態様において、該細胞を、大
気中約0.1%~約25%のO2、好ましくは、大気中約5%~約20%のO2で培養する。該細胞を
、約25℃~約40℃、好ましくは37℃で培養することが好ましい。
該細胞をインキュベーター内で培養することが好ましい。培養時に、培養培地は、静止
状態とするか、又は例えば、バイオリアクターを用いて培養時に撹拌することができる。
羊膜由来接着細胞を(例えば、グルタチオン、アスコルビン酸、カタラーゼ、トコフェロ
ール、N-アセチルシステインなどの添加により)低酸化ストレス下で成長させることが好
ましい。
AMDACはコンフルエンスまで成長することができるが、細胞がコンフルエンスまで成長
しないことが好ましい。例えば、いったん40%~70%のコンフルエンスが得られたならば
、細胞を継代してもよい。例えば、該細胞を、当該技術分野で周知の技術を用いて酵素的
に処理し、例えばトリプシン処理し、それらを組織培養表面から分離することができる。
該細胞をピペッティングで取り除き、該細胞を計数した後、約20,000~100,000個の細胞
、好ましくは約50,000個の細胞、又は約400~約6,000個細胞/cm2の細胞を、新鮮な培養培
地を含む新しい培養容器に継代することができる。典型的には、新しい培地は、該細胞が
取り除かれた培地と同じ種類である。AMDACは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20回、又はそれよりも多く継代するこ
とができる。AMDACは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15
、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35
、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49若しくは少なくとも50回、
又はそれよりも多く、培養物において倍加することができる。
(5.6 AMDACの保存)
羊膜由来接着細胞は保存でき、すなわち、例えば、回収の間又は本明細書に記載される
組成物の製造の前に、例えば、本明細書に記載される方法を利用して、長期貯蔵を可能と
する条件下に、又は例えば、アポトーシス又は壊死などによる細胞死を阻害する条件下に
おくことができる。
AMDACは、その開示が引用により本明細書にそのまま組み込まれる米国特許出願公開第2
007/0190042号に記載されるとおり、例えば、アポトーシス阻害剤、壊死阻害剤、及び/又
は酸素運搬ペルフルオロカーボンを含む組成物を使用して保存できる。一実施態様におい
て、そのような細胞、又はそのような細胞の集団を保存する方法は、前記細胞又は細胞の
集団を、アポトーシスの阻害剤及び酸素運搬ペルフルオロカーボンを含む細胞回収組成剤
に接触させることを含むが、前記アポトーシスの阻害剤は、アポトーシスの阻害剤に接触
していない細胞の集団に比べて、細胞集団中のアポトーシスを低減又は予防するのに十分
な量及び時間存在する。具体的な実施態様において、前記アポトーシスの阻害剤はカスパ
ーゼ阻害剤である。他の具体的な実施態様において、前記アポトーシスの阻害剤はJNK阻
害剤である。より具体的な実施態様において、前記JNK阻害剤は、羊膜由来接着細胞の分
化又は増殖を変更しない。他の実施態様において、前記細胞回収組成物は、前記アポトー
シスの阻害剤及び前記酸素運搬ペルフルオロカーボンを別々の相に含む。他の実施態様に
おいて、前記細胞回収組成物は、前記アポトーシスの阻害剤及び前記酸素運搬ペルフルオ
ロカーボンをエマルション中に含む。他の実施態様において、細胞回収組成物は、乳化剤
、例えば、レシチンをさらに含む。他の実施態様において、前記アポトーシス阻害剤及び
前記ペルフルオロカーボンは、細胞との接触時に約0℃~約25℃である。他のより具体的
な実施態様において、前記アポトーシス阻害剤及び前記ペルフルオロカーボンは、細胞と
の接触時に、約2℃~10℃又は約2℃~約5℃である。他のより具体的な実施態様において
、前記接触は、前記細胞の集団の輸送の間に実施される。他のより具体的な実施態様にお
いて、前記接触は、前記細胞の集団の凍結及び解凍の間に実施される。
AMDACの集団は、例えば、前記細胞の集団をアポトーシスの阻害剤及び臓器保存化合物
に接触させることを含む方法であって、前記アポトーシスの阻害剤が、アポトーシス阻害
剤と接触していない細胞集団に比べて、細胞集団におけるアポトーシスを低減又は予防す
るのに十分な量及び時間で存在する方法により保存できる。具体的な実施態様において、
臓器保存化合物は、UW溶液(米国特許第4,798,824号に記載されている; ViaSpanとしても
知られている; Southardらの文献(Transplantation 49(2):251-257 (1990))も参照された
い)又はSternらの文献(米国特許第5,552,267号)に記載される溶液である。他の実施態様
において、前記臓器保存化合物は、ヒドロキシエチルスターチ、ラクトビオン酸、ラフィ
ノース、又はこれらの組み合わせである。他の実施態様において、細胞回収組成物は、酸
素運搬ペルフルオロカーボンを、2相中又はエマルションとしてのいずれかでさらに含む
該方法の他の実施態様において、羊膜由来接着細胞は、潅流の間に、アポトーシス阻害
剤、及び酸素運搬ペルフルオロカーボン、臓器保存化合物、又はこれらの組み合わせを含
む細胞回収組成物と接触させられる。他の実施態様において、羊膜由来接着細胞は、その
ような細胞回収組成物と、組織破壊のプロセス、例えば、羊膜組織の酵素消化中に接触さ
せられる。他の実施態様において、羊膜由来接着細胞は、前記細胞回収化合物と、組織破
壊、例えば、羊膜組織の酵素消化による回収の後で接触させられる。
典型的には、AMDACの回収、富化、及び単離の間に、低酸素症による細胞ストレス及び
機械的ストレスを最低限にするか又は全く無くすことが好ましい。したがって、該方法の
別な実施態様において、AMDAC又はAMDACを含む細胞集団は、回収、富化、又は単離の間、
前記保存の間の6時間未満低酸素状態に曝されるが、低酸素状態は、例えば、正常の大気
酸素濃度未満;正常の血中酸素濃度未満などの酸素濃度である。より具体的な実施態様に
おいて、前記細胞又は前記細胞の集団は、前記低酸素状態に、前記保存の間2時間未満曝
される。他のより具体的な実施態様において、前記細胞又は前記細胞の集団は、前記低酸
素状態に、1時間未満、又は30分未満曝され、或いは、回収、富化、又は単離の間に低酸
素状態に曝されない。他の具体的な実施態様において、前記細胞の集団は、回収、富化、
又は単離の間にせん断応力に曝されない。
AMDACは、例えば、小型容器、例えばアンプル中の凍結保存培地中で、一般に、又は本
明細書に開示される具体的な方法により凍結保存できる。好適な凍結保存培地には、例え
ば、増殖培地を含む培地、又は細胞凍結培地、例えば、市販の細胞凍結培地、例えば、Si
gma Aldrichカタログ番号C2695、C2639(Cell Freezing Medium-Serum-free 1×、DMSO不
含)又はC6039(Cell Freezing Medium-Glycerol 1×最小必須培地、グリセロール、子ウシ
血清、及びウシ血清含有)により特定される細胞凍結培地、Lonza PROFREEZE(商標)2×M
edium、メチルセルロース、デキストラン、ヒト血清アルブミン、ウシ胎児(fetal bovine
)血清、ウシ胎児(fetal calf)血清、又はプラズマライトがあるがこれらに限定されない
。凍結保存培地は、好ましくは、DMSO(ジメチルスルホキシド)又はグリセロールを、例え
ば、約1%~約20%、例えば、約5%~10%(v/v)の濃度で含み、任意にウシ胎児血清又はヒト
血清を含む。凍結保存培地は、追加の作用物質、例えば、メチルセルロース及び/又はグ
リセロールを含んでよい。単離された羊膜由来接着細胞は、凍結乾燥の間、好ましくは約
1℃/分で冷却される。好ましい凍結保存温度は、約-80℃~約-180℃、好ましくは約-125
℃~約-140℃である。凍結保存された細胞は、使用のために解凍する前に、液体窒素の気
相に移すことができる。いくつかの実施態様において、例えば、アンプルがいったん約-8
0℃に到達すると、それらは液体窒素貯蔵領域に移される。凍結保存は、速度制御凍結器
を利用しても実施できる。凍結保存された細胞は、好ましくは約25℃~約40℃の温度で、
好ましくは約37℃の温度に解凍される。
(5.7 羊膜由来接着細胞を含む組成物)
疼痛を経験している個体を治療する方法は、AMDAC、例えば、液体、固体(例えば、マト
リクス)、又は両者の組み合わせ(例えば、ハイドロゲル)を含む組成物の使用を包含する
。特定の実施態様において、AMDACは、医薬組成物内に含まれており、又は医薬組成物の
成分である。
該細胞は、個体に容易に投与することができる形態、例えば医療用途に好適な容器中に
含まれる、例えば静脈内投与に好適なAMDAC溶液の形態で調製することができる。そのよ
うな容器は、例えば、注射器、滅菌プラスチックバッグ、フラスコ、瓶、又はAMDACを容
易に分注することができる他の容器であることができる。例えば、該容器は、血液バッグ
又はレシピエントへの液体の静脈内投与に好適な他のプラスチック製の医療用に許容し得
るバッグであることができる。容器は、特定の実施態様において、該細胞を凍結保存する
ことができるものである。本明細書で提供される該組成物、例えば医薬組成物中の細胞は
、単一のドナー、又は複数のドナーに由来する羊膜由来接着細胞を含むことができる。該
細胞は、意図されるレシピエントと完全にHLAが一致するものであり得るか、又は一部若
しくは完全にHLAが一致しないものであり得るが、例えば、完全に自己のもの、部分的に
同種異型、又は完全に同種異型であり得る。
したがって、一実施態様において、本明細書に提供される組成物中のAMDACは、容器中
にAMDACを含む組成物の形態で、それを必要とする個体に投与される。別の具体的な実施
態様において、容器は、バッグ、フラスコ、又は瓶である。より具体的な実施態様におい
て、前記バッグは、滅菌プラスチックバッグである。より具体的な実施態様において、前
記バッグは、例えば静脈内注入、ボーラス注射などによる前記AMDACの静脈内投与に好適
であるか、これを可能にするか、又はこれを容易にする。該バッグは、投与の前又は投与
の間に、該細胞と1種以上の他の溶液、例えば、薬物との混合を可能にするために相互連
結されている複数の管腔又は区画を含むことができる。別の具体的な実施態様において、
凍結保存前に、AMDACを含む溶液は、該細胞の凍結保存を容易にする1種以上の化合物を含
む。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、生理的に許容し得る水溶液に含まれ
ている。より具体的な実施態様において、前記生理的に許容し得る水溶液は、0.9%NaCl
溶液である。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、前記細胞のレシピエントとH
LAが一致する細胞であるか、又はそれを含む。別の具体的な実施態様において、前記AMDA
Cは、前記細胞のレシピエントと少なくとも一部HLAが一致しない細胞であるか、又はそれ
を含む。別の具体的な実施態様において、前記AMDACは、複数のドナーに由来する。様々
な具体的な実施態様において、前記容器は、約、少なくとも、又は多くとも1×106個の前
記細胞、5×106個の前記細胞、1×107個の前記幹細胞、5×107個の前記細胞、1×108個の
前記細胞、5×108個の前記細胞、1×109個の前記細胞、5×109個の前記細胞、又は1×101
0個の前記細胞を含む。前述の凍結保存された集団のいずれかの他の具体的な実施態様に
おいて、前記細胞は、約、少なくとも、若しくはわずか5回、わずか10回、わずか15回、
又はわずか20回継代される。前述の凍結保存された細胞のいずれかの別の具体的な実施態
様において、前記細胞は、前記容器内で拡大される。具体的な実施態様において、AMDAC
の単一の単位投与量は、様々な実施態様において、約、少なくとも、又はわずか1×105
5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010
、5×1010、1×1011個又はそれよりも多いAMDACを含むことができる。
特定の実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、50%以上の生存細胞を
含むAMDACの集団を含む(すなわち、該集団内の細胞の少なくとも50%は機能的であるか、
又は生存している)。好ましくは、該集団内の細胞の少なくとも60%が生存している。よ
り好ましくは、該医薬組成物中の該集団内の細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、
又は99%が生存している。
(5.7.1 AMDACを含む医薬組成物)
単離されたAMDACの集団又は単離されたAMDACを含む細胞の集団は、例えば、本明細書に
提供される治療の方法において、インビボで使用するための医薬組成物に製剤できる。そ
のような医薬組成物は、AMDAC又は単離されたAMDACを含む細胞の集団を、医薬として許容
し得る担体、例えば、食塩水又は他の許容されるインビボ投与用の生理学的に許容し得る
溶液中に含む。本明細書に記載される単離されたAMDACを含む医薬組成物は、本明細書別
所記載の単離されたAMDAC集団又は単離されたAMDACのいずれも、又はどのような組み合わ
せも含み得る。医薬組成物は、胎児の、母の、又は胎児と母の両方の単離された細胞を含
み得る。本明細書に提供される医薬組成物は、単一の個体、すなわち単一の羊膜、又は複
数の個体から得られた単離されたAMDACをさらに含み得る。本明細書別所記載のAMDACのい
ずれも、以下に記載する通り、医薬組成物に製剤できる。
本明細書に提供される医薬組成物は、任意の数の単離されたAMDACを含み得る。例えば
、単離されたAMDACの単一の投薬単位は、様々な実施態様において、約、少なくとも、又
はわずか1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109
5×109、1×1010、5×1010、1×1011、又はそれ以上の単離された細胞を含み得る。
本明細書に提供される医薬組成物は、50%以上の生存可能な細胞を含む細胞の集団を含
む(すなわち、該集団中の少なくとも50%の細胞は機能できるか、又は生きている)。好ま
しくは、該集団中の少なくとも60%の細胞が生存可能である。より好ましくは、医薬組成
物中の該集団の少なくとも70%、80%、90%、95%、又は99%の細胞が生存可能である。
本明細書に提供される医薬組成物は、例えば、移植を促進する1種以上の化合物(例えば
、抗T細胞受容体抗体、免疫抑制剤など);アルブミン、デキストラン40、ゼラチン、ヒド
ロキシエチルスターチ、プラズマライトなどの安定剤を含み得る。
注射液として製剤される場合、一実施態様において、該医薬組成物は、約1%~1.5%のHS
A及び約2.5%のデキストランを含む。好ましい実施態様において、医薬組成物は、ミリリ
ットルあたり約5×106細胞~ミリリットルあたり約2×107細胞を、任意に、免疫抑制剤、
例えばシクロスポリンAを例えば10mg/kgで含む5%のHSA及び10%のデキストランを含む溶液
中に含む。
他の実施態様において、医薬組成物、例えば溶液は、複数の細胞、例えば、単離された
AMDACを含み、ここで、前記医薬組成物はミリリットルあたり約1.0±0.3×106細胞~ミリ
リットルあたり約5.0±1.5×106細胞を含む。他の実施態様において、医薬組成物は、ミ
リリットルあたり約1.5×106細胞~ミリリットルあたり約3.75×106細胞を含む。他の実
施態様において、医薬組成物は、約1×106細胞/mL~約50×106細胞/mL、約1×106細胞/mL
~約40×106細胞/mL、約1×106細胞/mL~約30×106細胞/mL、約1×106細胞/mL~約20×10
6細胞/mL、約1×106細胞/mL~約15×106細胞/mL、又は約1×106細胞/mL~約10×106細胞/
mLを含む。特定の実施態様において、医薬組成物は、目に見える細胞の塊を全く(すなわ
ち大規模な細胞の塊を全く)含まないか、又はそのような目に見える塊を実質的に全く含
まない。本明細書では、「大規模な細胞の塊」は、拡大なしに目に見える、例えば裸眼に
見える細胞の凝集を意味し、一般的に約150ミクロンより大きい細胞の凝集を指す。いく
つかの実施態様において、医薬組成物は、約2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%
、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、又は10%のデキストラン、例えば
、デキストラン-40を含む。具体的な実施態様において、前記組成物は、約7.5%~約9%の
デキストラン-40を含む。具体的な実施態様において、前記組成物は、約5.5%デキストラ
ン-40を含む。特定の実施態様において、医薬組成物は、約1%~約15%のヒト血清アルブミ
ン(HSA)を含む。具体的な実施態様において、医薬組成物は、約1%、2%、3%、4%、5%、65
、75、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%のHSAを含む。具体的な実施態様にお
いて、前記細胞は、凍結保存されて、解凍された。別の具体的な実施態様において、前記
細胞は、70μM~100μMのフィルターに通して濾過された。別の具体的な実施態様におい
て、前記組成物は、目に見える細胞の塊を全く含まない。別の具体的な実施態様において
、前記組成物は、106細胞あたり約200より少ない細胞の塊を含み、ここで、前記細胞の塊
は、顕微鏡、例えば光学顕微鏡下でのみ目に見える。別の具体的な実施態様において、前
記組成物は106細胞あたり約150より少ない細胞の塊を含み、ここで、前記細胞の塊は、顕
微鏡、例えば光学顕微鏡下でのみ目に見える。別の具体的な実施態様において、前記組成
物は、106細胞あたり約100より少ない細胞の塊を含み、ここで、前記細胞の塊は、顕微鏡
、例えば光学顕微鏡下でのみ目に見える。
具体的な実施態様において、医薬組成物は、ミリリットルあたり約1.0±0.3×106細胞
、約5.5%のデキストラン-40(w/v)、約10%のHSA(w/v)、及び約5%のDMSO(v/v)を含む。
他の実施態様において、医薬組成物は、複数の細胞、例えば、複数の単離されたAMDAC
を、10%デキストラン-40を含む溶液中に含むが、ここで、該医薬組成物は、ミリリットル
あたり約1.0±0.3×106細胞~ミリリットルあたり約5.0±1.5×106細胞を含み、前記組成
物は、肉眼で見える細胞の塊を全く含まない(すなわち、大規模な細胞の塊を全く含まな
い)。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、ミリリットルあたり約1.5×106細胞
~ミリリットルあたり約3.75×106細胞を含む。具体的な実施態様において、前記細胞は
、凍結保存されて、解凍された。別の具体的な実施態様において、前記細胞は、70μM~1
00μMのフィルターに通して濾過された。別の具体的な実施態様において、前記組成物は
、106細胞あたり約200より少ない大規模な細胞の塊(すなわち、拡大によってのみ目に見
える細胞の塊)を含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物は、106細胞あたり約
150より少ない大規模な細胞の塊を含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物は
、106細胞あたり約100より少ない大規模な細胞の塊を含む。別の具体的な実施態様におい
て、医薬組成物は、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、若し
くは2%未満のDMSO、又は1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、若しく
は0.1%未満のDMSOを含む。
本明細書に開示される方法の1つにより製造された、細胞を含む組成物がさらに本明細
書に提供される。例えば、一実施態様において、医薬組成物は細胞を含み、ここで該医薬
組成物は、AMDACを含む溶液を濾過して、濾過された細胞含有溶液を形成すること;例えば
凍結保存の前に、該濾過された細胞含有溶液を、第一の溶液により、ミリリットルあたり
約1~50×106、1~40×106、1~30×106、1~20×106、1~15×106、又は1~10×106細胞
に希釈すること;及び得られた濾過された細胞含有溶液を、デキストランを含むがヒト血
清アルブミン(HSA)を含まない第二の溶液により希釈して、前記組成物を製造することを
含む方法により製造される。特定の実施態様において、前記希釈は、ミリリットルあたり
わずか約15×106細胞にするものである。特定の実施態様において、前記希釈は、ミリリ
ットルあたりわずか約10±3×106細胞にするものである。特定の実施態様において、前記
希釈は、ミリリットルあたりわずか約7.5×106細胞にするものである。他の特定の実施態
様において、濾過された細胞含有溶液が、希釈の前にミリリットルあたり約15×106未満
の細胞を含む場合、濾過は任意である。他の特定の実施態様において、濾過された細胞含
有溶液が、希釈の前にミリリットルあたり約10±3×106未満の細胞を含む場合、濾過は任
意である。他の特定の実施態様において、濾過された細胞含有溶液が、希釈の前にミリリ
ットルあたり約7.5×106未満の細胞を含む場合、濾過は任意である。
具体的な実施態様において、細胞は、第一希釈溶液による前記希釈と、前記第二希釈溶
液による前記希釈の間に凍結保存される。別の具体的な実施態様において、第一希釈溶液
はデキストラン及びHSAを含む。第一希釈溶液又は第二希釈溶液中のデキストランは、任
意の分子量のデキストラン、例えば、約10kDa~約150kDaの分子量を有するデキストラン
でよい。いくつかの実施態様において、前記第一希釈溶液又は前記第二溶液中の前記デキ
ストランは、約2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、
8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、又は10%のデキストランである。別の具体的な実施態様におい
て、前記第一希釈溶液又は前記第二希釈溶液中のデキストランはデキストラン-40である
。別の具体的な実施態様において、前記第一希釈溶液及び前記第二希釈溶液中のデキスト
ランはデキストラン-40である。別の具体的な実施態様において、前記第一希釈溶液中の
前記デキストラン-40は5.0%のデキストラン-40である。別の具体的な実施態様において、
前記第一希釈溶液中の前記デキストラン-40は5.5%のデキストラン-40である。別の具体的
な実施態様において、前記第二希釈溶液中の前記デキストラン-40は10%のデキストラン-4
0である。別の具体的な実施態様において、HSAを含む前記溶液中の前記HSAは1~15%のHSA
である。別の具体的な実施態様において、HSAを含む前記溶液中の前記HSAは、約1%、2%、
3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%のHSAである。別の具
体的な実施態様において、HSAを含む前記溶液中の前記HSAは10%のHSAである。別の具体的
な実施態様において、前記第一希釈溶液はHSAを含む。より具体的な実施態様において、
前記第一希釈溶液中の前記HSAは10%のHSAである。別の具体的な実施態様において、前記
第一希釈溶液は凍結保護剤を含む。より具体的な実施態様において、前記凍結保護剤はDM
SOである。別の具体的な実施態様において、前記第二希釈溶液中の前記デキストラン-40
は約10%のデキストラン-40である。別の具体的な実施態様において、細胞を含む前記組成
物は、約7.5%~約9%のデキストランを含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物
は、ミリリットルあたり約1.0±0.3×106細胞~ミリリットルあたり約5.0±1.5×106細胞
を含む。別の具体的な実施態様において、医薬組成物は、ミリリットルあたり約1.5×106
細胞~ミリリットルあたり約3.75×106細胞を含む。
別な実施態様において、医薬組成物は、(a)AMDACを含む細胞含有溶液を、凍結保存の前
に濾過して、濾過された細胞含有溶液を製造すること;(b)該濾過された細胞含有溶液中で
該細胞を、ミリリットルあたり約1~50×106、1~40×106、1~30×106、1~20×106、1
~15×106、又は1~10×106細胞で凍結保存すること;(c)該細胞を解凍すること;及び(d)
該濾過された細胞含有溶液を約1:1~約1:11(v/v)でデキストラン-40溶液により希釈する
ことを含む方法により製造される。特定の実施態様において、工程(a)前に、細胞数がミ
リリットルあたり約10±3×106未満の細胞である場合、濾過は任意である。より具体的な
実施態様において、工程(b)における細胞は、ミリリットルあたり約10±3×106細胞で凍
結保存される。より具体的な実施態様において、工程(b)における細胞は、約5%~約10%の
デキストラン-40及びHSAを含む溶液中で凍結保存される。特定の実施態様において、工程
(b)における前記希釈は、ミリリットルあたりわずか約15×106細胞にするものである。
別な実施態様において、医薬組成物は、(a)10%のHSAを含む5.5%デキストラン-40溶液に
AMDACを懸濁させて、細胞含有溶液を形成すること;(b)該細胞含有溶液を、70μMフィルタ
ーに通して濾過すること;(c)5.5%デキストラン-40、10%のHSA、及び5%のDMSOを含む溶液
により、該細胞含有溶液を、ミリリットルあたり約1~50×106、1~40×106、1~30×106
、1~20×106、1~15×106、又は1~10×106細胞に希釈すること;(d)該細胞を凍結保存す
ること;(e)該細胞を解凍すること;及び(f)該細胞溶液を1:1~1:11(v/v)で10%デキストラ
ン-40により希釈することを含む方法により製造される。特定の実施態様において、工程(
c)における前記希釈は、ミリリットルあたりわずか約15×106細胞にするものである。特
定の実施態様において、工程(c)における前記希釈は、わずか約10±3×106細胞/mLにする
ものである。特定の実施態様において、工程(c)における前記希釈は、わずか約7.5×106
細胞/mLにするものである。
別な実施態様において、細胞を含む組成物は、(a)複数のAMDACを遠心分離して、細胞を
回収すること;(b)5.5%デキストラン-40に該細胞を再懸濁させること;(c)該細胞を遠心分
離して、該細胞を回収すること;(d)10%のHSAを含む5.5%デキストラン-40溶液に該細胞を
再懸濁させること;(e)該細胞を、70μMフィルターに通して濾過すること;(f)5.5%デキス
トラン-40、10%のHSA、及び5%のDMSOに、該細胞をミリリットルあたり約1~50×106、1~
40×106、1~30×106、1~20×106、1~15×106、又は1~10×106細胞に希釈すること;(g
)該細胞を凍結保存すること;(h)該細胞を解凍すること;及び(i)該細胞を1:1~1:11(v/v)
で10%デキストラン-40により希釈することを含む方法により製造される。特定の実施態様
において、工程(f)における前記希釈は、ミリリットルあたりわずか約15×106細胞にする
ものである。特定の実施態様において、工程(f)における前記希釈は、わずか約10±3×10
6細胞/mLにするものである。特定の実施態様において、工程(f)における前記希釈は、わ
ずか約7.5×106細胞/mLにするものである。他の特定の実施態様において、細胞数がミリ
リットルあたり約10±3×106細胞未満である場合、濾過は任意である。
本明細書に記載される組成物、例えば、AMDACを含む医薬組成物は、本明細書に記載さ
れる単離されたAMDACのいずれも含み得る。
細胞製品の投与に好適な他の注射製剤を使用できる。
特定の実施態様において、AMDACは、凍結保存の前又は後に、例えば、アルギネートに
封入できる。特定の他の実施態様において、AMDACは、例えば、局所注射又は局所投与用
途のために多血小板血漿と組み合わせることができる。具体的な実施態様において、多血
小板血漿は自己由来の多血小板血漿、例えば、AMDACが投与される疼痛を有する個体にと
って自己由来である。他の具体的な実施態様において、多血小板血漿は、AMDACが投与さ
れる疼痛を有する個体にとって同種異系である。別の具体的な実施態様において、前記多
血小板血漿は胎盤灌流液に由来する。他の具体的な実施態様において、組成物中のAMDAC
と多血小板血漿の体積と体積の比率、又はAMDACの数と血小板の数との比率は、約10:1~1
:10;約100:1~1:100;又は約1:1である。
一実施態様において、医薬組成物は、実質的に又は完全に母以外から由来である、すな
わち、胎児の遺伝子型を有する単離されたAMDACを含み;例えば、少なくとも約90%、95%、
98%、99%、又は約100%が母以外の由来である。
具体的な実施態様において、医薬組成物は、胎盤から得られたのでない幹細胞をさらに
含む。本明細書に提供される組成物、例えば医薬組成物中の単離されたAMDACは、単一の
ドナー、又は複数のドナーから誘導されたAMDACを含み得る。単離されたAMDACは、意図さ
れるレシピエントに完全にHLAが一致していることも、部分的又は完全にHLAが一致してい
ないこともある。
(5.7.2 AMDACを含むマトリクス)
本明細書に示される、疼痛を経験している個体を治療する方法の特定の実施態様におい
て、AMDACは、マトリクス、ヒドロゲル、スキャフォールドなどを含む組成物中で投与さ
れる。そのような組成物は、液体懸濁液中のそのような細胞の代りに、又はそれに加えて
使用できる。
該マトリクスは、例えば、恒久的又は分解性の脱細胞性組織、例えば脱細胞化された羊
膜、又は合成マトリクスであることができる。該マトリクスは、三次元スキャフォールド
であることができる。より具体的な実施態様において、前記マトリクスは、コラーゲン、
ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、ペクチン、オルニチン、又はビトロネクチンを
含む。別のより具体的な実施態様において、マトリクスは、羊膜又は羊膜由来の生体材料
である。別のより具体的な実施態様において、前記マトリクスは、細胞外膜タンパク質を
含む。別のより具体的な実施態様において、前記マトリクスは、合成化合物を含む。別の
より具体的な実施態様において、前記マトリクスは、生体活性化合物を含む。別のより具
体的な実施態様において、前記生体活性化合物は、増殖因子、サイトカイン、抗体、又は
5,000ダルトン未満の有機分子である。
本明細書記載のAMDACを、天然マトリクス、例えば、羊膜材料などの胎盤生体材料に播
種することができる。そのような羊膜材料は、例えば、哺乳動物の胎盤から直接解剖され
た羊膜;固定又は熱処理された羊膜、実質的に乾燥している(すなわち、<20%H2Oの)羊
膜、絨毛膜、実質的に乾燥している絨毛膜、実質的に乾燥している羊膜と絨毛膜などであ
ることができる。本明細書に提供される羊膜由来接着細胞を播種することができる好まし
い胎盤生体材料は、その開示がその全体として引用により本明細書中に組み込まれている
、Haririの米国特許出願公開第2004/0048796号に記載されている。
別の具体的な実施態様において、該マトリクスは、細胞外マトリクスを含む組成物であ
る。より具体的な実施態様において、前記組成物はMATRIGEL(商標)(BD Biosciences社)
である。
本明細書記載の単離された羊膜由来接着細胞を、例えば注射に好適なヒドロゲル溶液中
に懸濁させることができる。ヒドロゲルは、例えば、共有結合、イオン結合、又は水素結
合により架橋し、水分子を捕捉してゲルを形成する三次元開放格子構造を作り出す有機ポ
リマー(天然物又は合成物)である。そのような組成物のための好適なヒドロゲルは、RAD1
6などの自己集合ペプチドを含む。一実施態様において、該細胞を含むヒドロゲル溶液を
、例えば、鋳型中で硬化させて、その中に分散した細胞を有する埋め込み用のマトリクス
を形成することができる。そのようなマトリクス中の羊膜由来接着細胞を培養し、該細胞
を埋め込み前に有糸分裂で拡大させることもできる。ヒドロゲル形成材料としては、イオ
ンによって架橋する、アルギネート及びその塩などの多糖類、ペプチド、ポリホスファジ
ン、並びにポリアクリレート、又はそれぞれ温度又はpHによって架橋する、ポリエチレン
オキシド-ポリプロピレングリコールブロックコポリマーなどのブロックポリマーが挙げ
られる。一部の実施態様において、ヒドロゲル又はマトリクスは生分解性である。
特定の実施態様において、AMDACを、凍結保存の前又は後に、例えば、アルギネートに
封入できる。特定の他の実施態様において、AMDACは、例えば、局所注射又は局所投与用
途のために多血小板血漿と組み合わせることができる。具体的な実施態様において、多血
小板血漿は自己由来の多血小板血漿、例えば、AMDACが投与される疼痛を有する個体にと
って自己由来である。他の具体的な実施態様において、多血小板血漿は、AMDACが投与さ
れる疼痛を有する個体にとって同種異系である。別の具体的な実施態様において、前記多
血小板血漿は胎盤灌流液に由来する。他の具体的な実施態様において、組成物中のAMDAC
と多血小板血漿の体積と体積の比率、又はAMDACの数と血小板の数との比率は、約10:1~1
:10;約100:1~1:100;又は約1:1である。
特定の実施態様において、本明細書に提供される細胞を含有する組成物は、インサイチ
ュで重合可能なゲルを含む(例えば、米国特許出願公開第2002/0022676号;Ansethらの文
献(J. Control Release, 78(1-3): 199-209(2002));Wangらの文献(Biomaterials, 24(22
): 3969-80(2003))を参照されたい)。いくつかの実施態様において、該ポリマーは、荷電
側基、又はその一価イオン塩を有する水、緩衝塩溶液、又は水性アルコール溶液などの水
溶液に少なくとも一部溶ける。カチオンと反応させることができる酸性側基を有するポリ
マーの例は、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸
とメタクリル酸のコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、及びスルホン化ポリスチレンなどのス
ルホン化ポリマーである。アクリル酸又はメタクリル酸とビニルエーテルモノマー又はビ
ニルエーテルポリマーの反応によって形成される酸性側基を有するコポリマーを用いるこ
ともできる。酸性基の例は、カルボン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化(好ましくは、フ
ッ素化)アルコール基、フェノール性OH基、及び酸性OH基である。
具体的な実施態様において、マトリクスは、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマー若しく
はブレンド、又はヒアルロン酸などの生体吸収性材料から製造されたマルチフィラメント
糸で構成され得るフェルトである。この糸は、クリッピング、カッティング、カーディン
グ及びニードリングからなる、標準の織物処理技術を用いフェルトにされる。別の好まし
い実施態様において、本発明の細胞は、複合構造である得る発泡体スキャフォールド上に
播種される。加えて、3次元フレームワークを、修復、交換又は増強すべき体内の特定の
構造物などの、有用な形状に成形することができる。使用することができるスキャフォー
ルドの他の例としては、不織マット、多孔性発泡体、又は自己集合ペプチドが挙げられる
。不織マットは、グリコール酸と乳酸の吸収性合成コポリマー(例えば、PGA/PLA)(VICRY
L、Ethicon社、ソマービル、NJ)から構成される繊維を用いて形成することができる。フ
リーズドライ、又は凍結乾燥などのプロセスによって形成される、例えば、ポリ(ε-カプ
ロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーから構成される発泡体(例えば、
米国特許第6,355,699号参照)をスキャフォールドとして用いることもできる。
本明細書記載のAMDACを、3次元フレームワーク又はスキャフォールドに播種し、インビ
ボにおいて埋め込むことができる。そのようなフレームワークを、例えば組織形成、例え
ば脈管形成などを刺激する、増殖因子、細胞、薬物又は他の成分の任意の1種以上と組合
せて埋め込むことができる。
本明細書に提供されるAMDACは、別の実施態様において、複合構造物であり得る発泡体
スキャフォールドに播種することができる。そのような発泡体スキャフォールドを、有用
な形状、例えば、修復、交換又は増強すべき体内の特定の構造物の一部の形状に成形する
ことができる。いくつかの実施態様において、フレームワークを、細胞接着を強化するた
めに、例えば、0.1M酢酸で処理し、それに続いて、細胞の接種前に、ポリリジン、PBS、
及び/又はコラーゲン中でインキュベートする。例えば、マトリクスのプラズマ-コーティ
ングによるか、又は1種以上のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維、細網繊維)、
糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、
コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸など)、細胞マトリクス、並びに
/又は限定するものではないが、ゼラチン、アルギネート、寒天、アガロース、及び植物
ゴムなどのような他の材料の添加によって、マトリクスの外部表面を修飾し、細胞の接着
又は成長、及び組織の分化を改善することができる。
(5.7.3 羊膜由来接着細胞により馴化された培地)
AMDACにより馴化された培地、すなわち、それ自体疼痛を有する個体を治療するのに利
用できる、AMDACにより分泌又は排出された1種以上の生体分子を含有する培地が、さらに
本明細書において提供される。様々な実施態様において、馴化培地は、その中で該細胞が
少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日間若しくはそれ以上成長
している培地、又は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、1
6、17、18、19、若しくは20の集団倍加又はそれ以上で成長している培地を含む。他の実
施態様において、馴化培地は、その中で羊膜由来接着細胞が少なくとも30%、40%、50%
、60%、70%、80%、90%コンフルエンス、又は最大100%コンフルエンスまで成長して
いる培地を含む。別の実施態様において、馴化培地は、その中でAMDACとAMDACでない細胞
が一緒に培養されている培地を含む。
馴化培地は、本明細書に提供された接着細胞を含むことができる。したがって、AMDAC
を含む細胞培養物が、本明細書において提供される。具体的な実施態様において、馴化培
地は、複数の羊膜由来接着細胞、例えば羊膜由来接着細胞の集団を含む。
(6. 実施例)
(6.1 実施例1.AMDACを使用する疼痛の治療)
この実施例は、ラット神経炎モデルを利用して、疼痛に対するAMDACの効果を表す。こ
のモデルでは、神経周囲の炎症を坐骨神経周囲に誘起させる。疼痛は、2~3日以内に神経
標的器官(後足)に発生し、およそ8日以内に消散する(Eliavらの文献(Pain(1999)83:169-1
82);及びNomaらの文献(Neuroscience Letters (2011) 493:86-91))。
この試験は、全身に(静脈内(I.V.))、又は筋肉(筋肉内(I.M.))に与えられたAMDACの、
このモデルにおける神経因性疼痛に対する効果を評価した。
(6.1.1 方法)
動物:該試験は、試験開始時に3月齢で、およそ250~300gの雄の雄のスプラーグドーリ
ー(Sprague Dawley)ラットに対して実施した。群の最低体重と最高体重は、群の平均体重
の±20%の範囲内であった。
麻酔:外科処置のために、ラットに、ケタミン(50mg/kg)及びキシラジン(7.5mg/kg)溶液
を腹腔内投して麻酔をかけた。麻酔を確認してから、手術の領域を剪毛し、その後、ベタ
ジン及びアルコールワイプで消毒した。ラットの眼に目薬をさした(lubricated)。
神経周囲の炎症の外科処置:原記載(Eliavらの文献1999、上記)に基づいて手術を実施し
た。簡単に述べると、総坐骨神経(common sciatic nerve)を、中太腿レベルで大腿二頭筋
を介する鈍性剥離により露出させ、隣接する組織から優しく分離した。神経を、殺菌され
た止血作用のある酸化セルロース(Surgicel(商標);「コットン」タイプ;Ethicon、J&J社
、米国ニュージャージー州)のバンド(幅およそ3mm、長さ25mm)で包んだ。湾曲した鉗子
を(神経を引っ張らないように特別な注意を払いながら)神経の下に通過させて、バンドの
1端を握り、神経の下に引き込むことによって、Surgicelを適用した。次いで、握ってい
たバンドの端を神経に静かに重ね、もう一方の端を反対方向に重ねた。このSurgicelを神
経の周囲にゆるく巻くと、神経を全く締め付けなかった。それは、スポンジとして作用す
るように意図された。次いで、カラギーナン(200cc)をSurgicelバンドに注入した。カラ
ギーナンは、局所的炎症反応を誘発し、免疫学的試験の抗原-アジュバントエマルション
に使用される主な免疫学的アジュバントの1つであった。
行動試験:較正されたVon Freyファイバーに対する引っ込み反応を評価することによっ
て、接触性アロディニアを測定した。この研究には、加力に応じた3種のファイバー、低(
8g)、中程度(16g)、及び強力ファイバー(26g)を用いた。各ファイバーを足に5回適用し、
反応のパーセンテージスコアを計算した(Flatters, S.J. 及びBennett, G. J.の文献(Pai
n (2004) 109: 150-161))。ベースラインレベルで最も信頼性があり繰り返しに適したス
コアは、26gに対する反応であった。したがって、統計分析を26gのデータに対して行った
データ分析:StatViewソフトウェアバージョン5.0(SAS Institute社、サンフランシスコ
、米国カリフォルニア州)を利用して、データを表にし、分析した。全ての分析において
有意性のα(両側)を0.05に設定した。全ての時点でのデータを持つラットについてのみ、
行動統計を計算した。疼痛行動データを、反復測定分散分析(ANOVA)と、それに続く事後
検定により分析した。
(6.1.2 結果)
(IV投与されたADMAC細胞の効果)
これらの実験の目的は、本明細書に記載されるラット神経炎モデルにより誘発された疼
痛に対する、IV投与されたAMDACの効果を評価することであった。簡単に述べると、種々
の投与量の細胞又はビヒクルを、神経周囲の炎症の誘発後第3日に尾静脈に与えた。疼痛
レベルを、ベースライン、処置後第3日(細胞投与の前)、並びに処置後の第4、6、及び8日
に評価した。試験した投与量の全てにおけるAMDACは、ビヒクル及び第3日に評価した疼痛
レベルに比べて、第4、6、及び8日に疼痛を有意に軽減させた。
詳細には、凍結媒体中で凍結された細胞を解凍し、以下に明示する濃度にプラズマライ
トAで希釈した。ビヒクルは、凍結媒体とプラズマライトAの混合物であった。量は、細胞
希釈体積に基づいて決定した。左の坐骨神経を神経周囲の炎症に曝露させた後の第3日に
、ラットを、無作為に、以下の処置群(細胞を、尾静脈に、4×106AMDAC細胞、4×105AMD
AC細胞、4×104AMDAC細胞で、又は類似体積のビヒクルを投与する)の1つに割り当てた。
疼痛レベルを、第0日(ベースライン)、3、4、6、及び8日に評価した。
疼痛は、ベースラインに比べて処置の後第3日に発生した。ビヒクルは疼痛レベルに全
く影響がなかったが、AMDAC細胞は、第3日の疼痛レベル及びビヒクル処置群に比べて、第
4、6、及び8日に疼痛を有意に軽減させた(図1)。より高投与量のAMDAC(例えば、4×106
胞)は、最低の投与量(0.4×106細胞)よりも高い活性を示した。最低の投与量のAMDAC(4×
104)には、限定され継続期間が短い効果しかなかった。反対側の足には、有意な作用は全
く示されなかった。
このように、AMDACは、IV投与されると、神経周囲の炎症により誘発された神経因性疼
痛を軽減させた。効果は投与量依存性であり、IV投与の後24時間以内に始まり、投与後少
なくとも5日継続した。AMDACによるこの結果は、炎症の治療に使用される薬物(例えば、
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)又はコルチコステロイド)とは対照的であり、これらの
薬物は、神経炎と関連した疼痛(例えば、坐骨神経痛)の治療における使用が効果的でない
ことが多い。Pintoらの文献(BMJ (2012) 344:e497))参照。
(IM投与されたADMAC細胞の効果)
この実験の目的は、本明細書に記載されるラット神経炎モデルにより誘発された疼痛に
対する、IM投与されたAMDACの効果を評価することであった。細胞を、冒された側、反対
側、又は前足の筋肉に注射した。AMDACは、冒された側及び反対側の後足の筋肉に注射さ
れると、疼痛を有意に軽減させた。前腕注射は、短期間継続する限定した効果を引き起こ
した。
詳細には、神経周囲の炎症に左坐骨神経を曝露させた後の第3日に、ラットを、無作為
に、以下の処置(冒された坐骨神経の同側の筋肉に1×105AMDACを注射、冒された坐骨神経
の反対側の筋肉に1×105AMDACを注射、冒された神経と同側の前足の筋肉に1×105AMDACを
注射、冒された坐骨神経と同側の筋肉に1×104AMDACを注射、又は冒された坐骨神経と同
側の筋肉に類似体積のビヒクルを注射)の1つに割り当てた。疼痛レベルを、第0日(ベー
スライン)、3、4、6、及び8日に評価した。
疼痛は、ベースラインに比べて処置後第3日に発生した。ビヒクルは疼痛レベルに全く
影響がなかったが、1×105ADMAC細胞の後足(同側及び反対側の)への投与は、ビヒクル処
置群に比べて、第4、6、及び8日に疼痛を有意に軽減させた(図2)。1×105AMDAC細胞の前
足(冒された坐骨神経の反対側)への投与又は1×104AMDAC細胞の冒された坐骨神経と同側
の筋肉への投与は、限定された、短時間継続する抗侵害受容性作用を有した。反対側の足
には、有意な作用は全く示されなかった。
このように、AMDACは、IM投与されると、ラットの神経周囲の炎症により誘発された神
経因性疼痛を軽減させた。作用は、細胞が後足に投与されると有意であったが、前足に投
与されると有意でなかった。反対側の投与は、同側の投与と同様に効果的であった。AMDA
Cによるこの結果もまた、炎症の治療に使用される薬物(例えば、非ステロイド性抗炎症薬
(NSAIDS)又はコルチコステロイド)とは対照的であり、これらの薬物は、神経炎と関連し
た疼痛(例えば、坐骨神経痛)の治療における使用が効果的でないことが多い。Pintoらの
文献(BMJ (2012) 344:e497))参照。
(6.2 実施例2:AMDACを使用する神経因性疼痛の治療)
(6.2.1 静脈内投与)
(症例1)
個体は、パクリタキセルの投与に関連して手足に神経因性疼痛を訴える。担当の腫瘍専
門医は、パクリタキセル療法の維持が強く適用されることを示唆する。疼痛の評価は、示
される疼痛の種類のそれぞれに対して疼痛の質が0~10のスケールで示される疼痛質的評
価スケールを利用して実施する。総合スコアも記録する。疼痛評価の後、該個体に、通常
の食塩水中の1×109OCT-4-羊膜由来接着細胞(AMDAC)を静脈内注入により投与する。該個
体を、その後7日間、有害事象がないかモニターし、投与後第7日に疼痛を再評価する。そ
れぞれ個別の疼痛の質のスコア及び全体の総合疼痛スコアを、投与前のスコアと比べる。
疼痛の質のスコアの大多数、又は総合スコアが投与後に低下していない場合、個体に、任
意に、通常の食塩水中の1×109AMDACの静脈内注入による第二の投与を与える。次いで、
該個体を、パクリタキセル療法の期間にわたって、任意にその後6か月間モニターする。A
MDACの投与を、疼痛質的評価スケールによりパクリタキセル関連疼痛が増加していること
が確認された任意の時点で繰り返す。
(症例2)
78歳の糖尿病の個体が、明らかに坐骨神経が関与しており、歩行を困難にしている、主
に足に経験される糖尿病性神経障害を訴える。個体の疼痛を、個体が座っているとき、及
び個体が歩いているときの両方で、数値疼痛評価スケールを利用して評価する。疼痛評価
の後、個体に、通常の食塩水中の1×109OCT-4-羊膜由来接着細胞(AMDAC)を静脈内注入に
より投与する。個体を、その後7日間、有害事象がないかモニターし、投与後第7日に、や
はり個体が座っているときと個体が歩いているときで疼痛を再評価する。座っているとき
、歩いているとき、又はその両方で個体が疼痛の軽減を示す場合、投与が成功であると考
える。任意に、個体が、座っているときと歩いているときの両方でなくいずれかで改善を
示す場合、個体に、最初と等しい第二の投与量のAMDACを投与してよい。次いで、個体は
、その後6か月間1~2週間ごとにモニターし、数値疼痛評価スケールによる疼痛が悪化し
ていると確認される場合いつでも、引き続いての投与(複数可)が起こる。
(症例3)
62歳の個体は、帯状疱疹後神経痛を訴える。個体の医療記録により、発疹及びヘルペス
性の膿疱を個体の右の背面に伴う帯状疱疹の以前の症例を確認する。しかし、帯状疱疹に
関連する疼痛は、発疹及び膿疱の治癒の後1か月後に消散していなかった。個体の疼痛を
、数値疼痛評価スケールを利用して評価する。疼痛の評価の後、個体に、通常の食塩水中
の1×109OCT-4-AMDACを、静脈内注入により投与する。個体を、その後7日間、有害事象が
ないかモニターし、投与後第7日に疼痛を再評価する。
(6.2.2 局所投与)
62歳の個体が帯状疱疹後神経痛を訴える。個体の医療記録により、発疹及びヘルペス性
の膿疱を伴う帯状疱疹の以前の症例を確認する。しかし、帯状疱疹に関連する疼痛は、発
疹及び膿疱の治癒後1か月後に消散していなかった。個体の疼痛を、数値疼痛評価スケー
ルを利用して評価する。疼痛の評価の後に、個体に、多血小板血漿の溶液中の3×107OCT-
4-AMDACを、10回の連続した注射で、帯状疱疹に冒された個体の領域と情報をやり取りす
る(servicing)神経幹に隣接して投与する。個体を、その後7日間、有害事象がないかモニ
ターし、投与後第7日に疼痛を再評価する。
(6.3 実施例3:AMDACを使用する外陰部痛の治療)
41歳の女性個体は外陰部痛を訴える。治療の前に、正確な疼痛部位を、綿棒及び指で行
う優しい触診により決定する。個体の疼痛を、数値疼痛評価スケールを利用して評価する
。疼痛の評価後に、個体に、多血小板血漿の溶液中の1×109OCT-4-AMDACを、疼痛部位へ
の膣内投与により与える。個体を、その後7日間、有害事象がないかモニターし、投与後
第7日に疼痛を再評価する。
(6.4 実施例4:AMDACを使用する間質性膀胱炎の治療)
29歳の女性個体が、間質性膀胱炎と診断される。個体の疼痛を、数値疼痛評価スケール
を利用して評価する。疼痛の評価の後に、個体に、多血小板血漿中の1×109OCT-4-AMDAC
を、膀胱内経路で、膀胱頸部の片側、及び個体が診察の間に圧痛があると特定した他の骨
盤部位で与える。個体を、その後7日間、有害事象がないかモニターし、投与後第7日に疼
痛を再評価する。個体を、投与後第7日に、尿検査及び間質性膀胱炎のバイオマーカーに
よっても評価する。
(等価物)
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施態様により範囲が限定されないものとする。
実際に、記載されたものに加えて、本発明の様々な変更が、前述の説明から当業者には明
らかになるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるもの
とする。
様々な刊行物、特許、及び特許出願が本明細書で引用されており、それらの開示は、そ
れらの全体が引用により本明細書中に組み込まれる。

Claims (101)

  1. 個体における疼痛を治療する方法であって、該個体に、治療上有効な量のOCT-4-、組織
    培養表面接着羊膜由来接着細胞(AMDAC)、又はAMDACにより馴化された培地を投与すること
    を含み、該治療上有効な量が該疼痛の検出可能な改善を起こすのに充分な量である、前記
    方法。
  2. 前記方法が、前記AMDACの投与前に前記個体における疼痛の1つ以上の第一レベルを決定
    すること、及び該AMDACの投与後に該個体における疼痛の1つ以上の第二のレベルを決定す
    ることをさらに含み、前記治療上有効な量のAMDACが、疼痛の該1つ以上の第一のレベルに
    比べて、該疼痛の該1つ以上の第二のレベルを低下させる、請求項1記載の方法。
  3. 疼痛の前記1つ以上の第一レベル及び疼痛の前記1つ以上の第二レベルが、疼痛評価スケ
    ールにより決定される、請求項2記載の方法。
  4. 前記疼痛評価スケールが、数値疼痛強度スケール;疼痛質的評価スケール;簡単記述疼痛
    強度スケール;視覚的アナログスケール;Wong-Baker FACES疼痛評価スケール;FLACCスケー
    ル;CRIESスケール;COMFORTスケール;又は、患者を冷たさ、熱さ、若しくは機械的刺激に
    曝すことにより誘起された誘発型疼痛指標である、請求項3記載の方法。
  5. 前記方法が、前記AMDACの投与前の前記個体における疼痛の1つ以上の生理学的徴候の第
    一レベルを決定すること、及び該AMDACの投与後の該個体における疼痛の1つ以上の生理学
    的徴候の第二レベルを決定することをさらに含み、前記治療上有効な量のAMDACが該第一
    レベルに比べて該第二レベルを低下させる、請求項1記載の方法。
  6. 疼痛の前記生理学的徴候が、前記個体の心拍数である、請求項5記載の方法。
  7. 前記個体の前記心拍数が、前記投与前の該個体の該心拍数に比べて、該投与後に低い、
    請求項6記載の方法。
  8. 疼痛の前記生理学的徴候が、前記個体の収縮期圧である、請求項5記載の方法。
  9. 前記個体の前記収縮期圧が、前記投与前の該個体の該収縮期圧に比べて、該投与後に低
    い、請求項8記載の方法。
  10. 疼痛の前記生理学的徴候が、前記個体の拡張期圧である、請求項5記載の方法。
  11. 前記個体の前記拡張期圧が、前記投与前の該個体の該拡張期圧に比べて、該投与後に低
    い、請求項10記載の方法。
  12. 前記AMDACが、RT-PCRにより決定可能なHLA-G-である、請求項1記載の方法。
  13. 前記AMDACが、さらに、フローサイトメトリーにより決定可能なCD49f+である、請求項
    1記載の方法。
  14. 前記AMDACが、OCT-4-、HLA-G-、及びCD49f+である、請求項13記載の方法。
  15. 前記AMDACが、フローサイトメトリーにより決定可能なCD90+、CD105+、又はCD117-であ
    る、請求項1記載の方法。
  16. 前記AMDACが、フローサイトメトリーにより決定可能なCD90+、CD105+、及びCD117-であ
    る、請求項15記載の方法。
  17. 前記AMDACが、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-及びHLA-G-であり、且つ、フローサイト
    メトリーにより決定可能なCD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-である、請求項16記載
    の方法。
  18. 前記AMDACが、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+(血管内皮細胞成長因子受容
    体1)及びVEGFR2/KDR+(血管内皮細胞成長因子受容体2)である、請求項1記載の方法。
  19. 前記AMDACが、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2
    +(アンジオポエチン受容体)、TEM-7+(腫瘍内皮マーカー7)、CD31-、CD34-、CD45-、CD133
    -、CD143-(アンジオテンシン-I-変換酵素、ACE)、CD146-(メラノーマ細胞接着分子)、又
    はCXCR4-(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)受容体4)の1つ以上である、請求項1記載の方法。
  20. 前記AMDACが、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2
    +(アンジオポエチン受容体)、TEM-7+(腫瘍内皮マーカー7)、CD31-、CD34-、CD45-、CD133
    -、CD143-、CD146-、及びCXCR4-である、請求項1記載の方法。
  21. 前記AMDACが免疫局在化により決定可能なVE-カドヘリン-である、請求項1記載の方法
  22. 前記AMDACが、さらに、免疫局在化により決定可能なCD105+及びCD200+について陽性で
    ある、請求項1記載の方法。
  23. 前記AMDACが、50ng/mLのVEGFに7日間曝露させた後、免疫局在化により決定可能なCD34
    を発現しない、請求項1記載の方法。
  24. 前記AMDACが単離された細胞集団内に含まれ、該集団中の少なくとも50%の細胞が該AMDA
    Cである、請求項1記載の方法。
  25. 前記集団中の少なくとも80%の細胞が前記AMDACである、請求項24記載の方法。
  26. 前記集団中の少なくとも90%の細胞が前記AMDACである、請求項24記載の方法。
  27. 前記集団が、単離された第二の種類の細胞をさらに含み、該集団が、羊膜でも、羊膜の
    一部でも、羊膜のホモジェネートでもない、請求項24記載の方法。
  28. 前記第二の種類の細胞が、胚性幹細胞、血液細胞、末梢血から単離された幹細胞、胎盤
    血から単離された幹細胞、胎盤灌流液から単離された幹細胞、胎盤組織から単離された幹
    細胞、臍帯血から単離された幹細胞、臍帯幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、骨髄由来間葉
    系間質細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、筋細胞、内皮細胞、血管
    芽細胞、内皮始原細胞、周皮細胞、心筋細胞、筋細胞、心筋芽細胞、筋芽細胞、又は胚性
    幹細胞に似るように操作された細胞である、請求項27記載の方法。
  29. 前記第二の種類の細胞が、前記集団中の少なくとも10%の細胞を構成する、請求項27
    記載の方法。
  30. 前記第二の種類の細胞が、前記集団中の少なくとも25%の細胞を構成する、請求項27
    記載の方法。
  31. 前記第二の種類の細胞が、造血幹細胞又は始原細胞である、請求項27記載の方法。
  32. 前記造血幹細胞又は始原細胞がCD34+細胞である、請求項31記載の方法。
  33. 前記AMDACが組織培養プラスチックに接着し;RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且
    つ、免疫局在化により決定可能なCD49f+、HLA-G-、CD90+、CD105+、及びCD117-であり;且
    つ、該AMDACが:
    (a)免疫局在化により決定可能なCD9、CD10、CD44、CD54、CD98、CD200、Tie-2、TEM-7、V
    EGFR1/Flt-1、又はVEGFR2/KDR(CD309)の1つ以上を発現し;
    (b)免疫局在化により決定可能なCD31、CD34、CD38、CD45、CD133、CD143、CD144、CD146
    、CD271、CXCR4、HLA-G、若しくはVE-カドヘリンの発現を欠き、又はRT-PCRにより決定可
    能なSOX2の発現を欠き;
    (c)ACTA2、ADAMTS1、AMOT、ANG、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL1、ANGPTL2、ANGPTL4、BAI1、C
    D44、CD200、CEACAM1、CHGA、COL15A1、COL18A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、CSF3、CTGF
    、CXCL12、CXCL2、DNMT3B、ECGF1、EDG1、EDIL3、ENPP2、EPHB2、FBLN5、F2、FGF1、FGF2
    、FIGF、FLT4、FN1、FST、FOXC2、GRN、HGF、HEY1、HSPG2、IFNB1、IL8、IL12A、ITGA4、
    ITGAV、ITGB3、MDK、MMP2、MYOZ2、NRP1、NRP2、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAM1、PF4、
    PGK1、PROX1、PTN、SEMA3F、SERPINB5、SERPINC1、SERPINF1、TIMP2、TIMP3、TGFA、TGFB
    1、THBS1、THBS2、TIE1、TIE2/TEK、TNF、TNNI1、TNFSF15、VASH1、VEGF、VEGFB、VEGFC
    、VEGFR1/FLT1、又はVEGFR2/KDRのmRNAを発現し;
    (d)タンパク質類CD49d、コネキシン-43、HLA-ABC、β2-ミクログロブリン、CD349、CD318
    、PDL1、CD106、ガレクチン-1、ADAM17、アンジオテンシノゲン前駆体、フィラミンA、α
    -アクチニン1、メガリン、マクロファージアセチル化LDL受容体I及びII、アクチビンIIB
    型受容体前駆体、Wnt-9タンパク質、グリア繊維酸性タンパク質、星状細胞、ミオシン結
    合タンパク質C、又はミオシン重鎖、非筋細胞A型の1つ以上を発現し;
    (e)VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチン、G-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、
    MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、又はガレクチン-1を、AMDACが培養されている培地に分
    泌し;
    (f)マイクロRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、又はmiR-296を、同
    等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも高いレベルで発現し;
    (g)マイクロRNA類miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-222、miR-15b、又はmiR-16を、同等
    数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも低いレベルで発現し;
    (h)miRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、miR-20a、miR-20b、miR-29
    6、miR-221、miR-222、miR-15b、又はmiR-16を発現し;或いは
    (i)21%O2下でのCD202b、IL-8、又はVEGFの発現に比べて、約5%未満のO2中で培養される場
    合増加したレベルのCD202b、IL-8、又はVEGFを発現する、請求項1記載の方法。
  34. 前記AMDACが、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且つ、免疫局在化により決定可
    能なCD49f+、HLA-G-、CD90+、CD105+、及びCD117-であり、且つ、該AMDACが:
    (a)免疫局在化により決定可能なCD9、CD10、CD44、CD54、CD98、CD200、Tie-2、TEM-7、V
    EGFR1/Flt-1、及び/又はVEGFR2/KDR(CD309)を発現し;
    (b)免疫局在化により決定可能なCD31、CD34、CD38、CD45、CD133、CD143、CD144、CD146
    、CD271、CXCR4、HLA-G、及び/若しくはVE-カドヘリンの発現を欠き、且つ/又はRT-PCRに
    より決定可能なSOX2の発現を欠き;
    (c)ACTA2、ADAMTS1、AMOT、ANG、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL1、ANGPTL2、ANGPTL4、BAI1、C
    D44、CD200、CEACAM1、CHGA、COL15A1、COL18A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、CSF3、CTGF
    、CXCL12、CXCL2、DNMT3B、ECGF1、EDG1、EDIL3、ENPP2、EPHB2、FBLN5、F2、FGF1、FGF2
    、FIGF、FLT4、FN1、FST、FOXC2、GRN、HGF、HEY1、HSPG2、IFNB1、IL8、IL12A、ITGA4、
    ITGAV、ITGB3、MDK、MMP2、MYOZ2、NRP1、NRP2、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAM1、PF4、
    PGK1、PROX1、PTN、SEMA3F、SERPINB5、SERPINC1、SERPINF1、TIMP2、TIMP3、TGFA、TGFB
    1、THBS1、THBS2、TIE1、TIE2/TEK、TNF、TNNI1、TNFSF15、VASH1、VEGF、VEGFB、VEGFC
    、VEGFR1/FLT1、及び/又はVEGFR2/KDRのmRNAを発現し;
    (d)CD49d、コネキシン-43、HLA-ABC、β2-ミクログロブリン、CD349、CD318、PDL1、CD10
    6、ガレクチン-1、ADAM17、アンジオテンシノゲン前駆体、フィラミンA、α-アクチニン1
    、メガリン、マクロファージアセチル化LDL受容体I及びII、アクチビンIIB型受容体前駆
    体、Wnt-9タンパク質、グリア繊維酸性タンパク質、星状細胞、ミオシン結合タンパク質C
    、及び/又はミオシン重鎖、非筋細胞A型の1つ以上を発現し;
    (e)VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチン、G-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、
    MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、及びガレクチン-1の1つ以上を、AMDACが培養されている
    培地に分泌し;
    (f)マイクロRNAs類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、及び/又はmiR-296
    を、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも高いレベルで発現し;
    (g)マイクロRNA類miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-222、miR-15b、及び/又はmiR-16を、
    同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも低いレベルで発現し;
    (h)miRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、miR-20a、miR-20b、miR-29
    6、miR-221、miR-222、miR-15b、及び/又はmiR-16を発現し;且つ
    (i)21%O2下でのCD202b、IL-8、及び/又はVEGFの発現に比べて、約5%未満のO2中で培養さ
    れる場合増加したレベルのCD202b、IL-8、及び/又はVEGFを発現する、請求項62記載の
    方法。
  35. 前記疼痛が神経因性疼痛である、請求項1記載の方法。
  36. 前記神経因性疼痛が糖尿病性神経障害により起こる、請求項35記載の方法。
  37. 前記神経因性疼痛が前記個体における神経の損傷により起こる、請求項35記載の方法
  38. 前記神経因性疼痛が薬物により起こる、請求項35記載の方法。
  39. 前記薬物が、白金含有抗癌剤であるか、又は白金含有抗癌剤を含む、請求項38記載の
    方法。
  40. 前記白金含有抗癌剤が、オキサリプラチン、カルボプラチン、若しくはシスプラチンで
    あるか、又はオキサリプラチン、カルボプラチン、若しくはシスプラチンを含む、請求項
    39記載の方法。
  41. 前記薬物がパクリタキセルであるか、又はパクリタキセルを含む、請求項38記載の方
    法。
  42. 前記疼痛が炎症性疼痛である、請求項1記載の方法。
  43. 前記疼痛が骨痛である、請求項1記載の方法。
  44. 前記骨痛が、癌と関連するか、又は癌により起こる、請求項43記載の方法。
  45. 前記疼痛が癌により起こる、請求項1記載の方法。
  46. 前記疼痛がステロイド療法に反応しない、請求項1記載の方法。
  47. 前記疼痛が非ステロイド性抗炎症療法に反応しない、請求項1記載の方法。
  48. 前記疼痛がオピオイド療法に反応しない、請求項1記載の方法。
  49. 前記疼痛がアヘン剤療法に反応しない、請求項1記載の方法。
  50. 前記AMDACが、局所投与されるように製剤されている、請求項1記載の方法。
  51. 前記AMDACが、全身に、静脈内に、又は動脈内に投与されるように製剤されている、請
    求項1記載の方法。
  52. 個体における疼痛の治療に使用するための、治療上有効な量の、OCT-4-、組織培養表面
    接着羊膜由来接着細胞(AMDAC)、又はAMDACにより馴化された培地であって、該治療上有効
    な量が該疼痛の検出可能な改善を起こすのに充分な量である、前記OCT-4-AMDAC又はAMDAC
    により馴化された培地。
  53. 前記AMDACの投与前の前記個体における疼痛の第一レベル及び該AMDACの投与後の該個体
    における疼痛の第二レベルが、疼痛評価スケールを利用して決定される、請求項52記載
    のAMDAC又は馴化された培地。
  54. 前記疼痛評価スケールが、数値疼痛強度スケール;疼痛質的評価スケール;簡単記述疼痛
    強度スケール;視覚的アナログスケール;Wong-Baker FACES疼痛評価スケール;FLACCスケー
    ル;CRIESスケール;COMFORTスケール;又は患者を冷たさ、熱さ、若しくは機械的刺激に曝
    すことにより誘起された誘発型疼痛指標である、請求項53記載のAMDAC又は馴化された
    培地。
  55. 前記方法が、前記AMDACの投与前の前記個体における疼痛の1つ以上の生理学的徴候の第
    一レベルを決定すること、及び該AMDACの投与後の該個体における疼痛の1つ以上の生理学
    的徴候の第二レベルを決定することをさらに含み、前記治療上有効な量のAMDACが該第一
    レベルに比べて該第二レベルを低下させる、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地
  56. 疼痛の前記生理学的徴候が前記個体の心拍数である、請求項55記載のAMDAC又は馴化
    された培地。
  57. 前記個体の前記心拍数が、前記投与前の該個体の該心拍数に比べて、該投与後に低い、
    請求項56記載のAMDAC又は馴化された培地。
  58. 疼痛の前記生理学的徴候が前記個体の収縮期圧である、請求項55記載のAMDAC又は馴
    化された培地。
  59. 前記個体の前記収縮期圧が、前記投与前の該個体の該収縮期圧に比べて、該投与後に低
    い、請求項58記載のAMDAC又は馴化された培地。
  60. 疼痛の前記生理学的徴候が前記個体の拡張期圧である、請求項55記載のAMDAC又は馴
    化された培地。
  61. 前記個体の前記拡張期圧が、前記投与前の該個体の該拡張期圧に比べて、該投与後に低
    い、請求項60記載のAMDAC又は馴化された培地。
  62. 前記AMDACが、RT-PCRにより決定可能なHLA-G-である、請求項61記載のAMDAC又は馴化
    された培地。
  63. 前記AMDACが、さらに、フローサイトメトリーにより決定可能なCD49f+である、請求項
    61記載のAMDAC又は馴化された培地。
  64. 前記AMDACが、OCT-4-、HLA-G-、及びCD49f+である、請求項63記載のAMDAC又は馴化さ
    れた培地。
  65. 前記AMDACが、フローサイトメトリーにより決定可能なCD90+、CD105+、又はCD117-であ
    る、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  66. 前記AMDACが、フローサイトメトリーにより決定可能なCD90+、CD105+、及びCD117-であ
    る、請求項65記載のAMDAC又は馴化された培地。
  67. 前記AMDACが、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-及びHLA-G-であり、且つ、フローサイト
    メトリーにより決定可能なCD49f+、CD90+、CD105+、及びCD117-である、請求項66記載
    のAMDAC又は馴化された培地。
  68. 前記AMDACが、免疫局在化により決定可能なVEGFR1/Flt-1+(血管内皮細胞成長因子受容
    体1)及びVEGFR2/KDR+(血管内皮細胞成長因子受容体2)である、請求項52記載のAMDAC又
    は馴化された培地。
  69. 前記AMDACが、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2
    +(アンジオポエチン受容体)、TEM-7+(腫瘍内皮マーカー7)、CD31-、CD34-、CD45-、CD133
    -、CD143-(アンジオテンシン-I-変換酵素、ACE)、CD146-(メラノーマ細胞接着分子)、又
    はCXCR4-(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)受容体4)の1つ以上である、請求項52記載のAMDAC
    又は馴化された培地。
  70. 前記AMDACが、免疫局在化により決定可能なCD9+、CD10+、CD44+、CD54+、CD98+、Tie-2
    +(アンジオポエチン受容体)、TEM-7+(腫瘍内皮マーカー7)、CD31-、CD34-、CD45-、CD133
    -、CD143-、CD146-、及びCXCR4-である、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  71. 前記AMDACが、免疫局在化により決定可能なVE-カドヘリン-である、請求項52記載のA
    MDAC又は馴化された培地。
  72. 前記AMDACが、さらに、免疫局在化により決定可能なCD105+及びCD200+について陽性で
    ある、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  73. 前記AMDACが、50ng/mLのVEGFに7日間曝露させた後、免疫局在化により決定可能なCD34
    を発現しない、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  74. 前記AMDACが、単離された細胞集団内に含まれ、該集団中の少なくとも50%の細胞が該AM
    DACである、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  75. 前記集団中の少なくとも80%の細胞が前記AMDACである、請求項74記載のAMDAC又は馴
    化された培地。
  76. 前記集団中の少なくとも90%の細胞が前記AMDACである、請求項74記載のAMDAC又は馴
    化された培地。
  77. 前記集団が単離された第二の種類の細胞をさらに含み、該集団が、羊膜でも、羊膜の一
    部でも、羊膜のホモジェネートでもない、請求項74記載のAMDAC又は馴化された培地。
  78. 前記第二の種類の細胞が、胚性幹細胞、血液細胞、末梢血から単離された幹細胞、胎盤
    血から単離された幹細胞、胎盤灌流液から単離された幹細胞、胎盤組織から単離された幹
    細胞、臍帯血から単離された幹細胞、臍帯幹細胞、骨髄由来の間葉系幹細胞、骨髄由来の
    間葉系間質細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、筋細胞、内皮細胞、
    血管芽細胞、内皮始原細胞、周皮細胞、心筋細胞、筋細胞、心筋芽細胞、筋芽細胞、又は
    胚性幹細胞に似るように操作された細胞である、請求項77記載のAMDAC又は馴化された
    培地。
  79. 前記第二の種類の細胞が、前記集団中の少なくとも10%の細胞を構成する、請求項77
    記載のAMDAC又は馴化された培地。
  80. 前記第二の種類の細胞が、前記集団中の少なくとも25%の細胞を構成する、請求項77
    記載のAMDAC又は馴化された培地。
  81. 前記第二の種類の細胞が造血幹細胞又は始原細胞である、請求項77記載のAMDAC又は
    馴化された培地。
  82. 前記造血幹細胞又は始原細胞がCD34+細胞である、請求項81記載のAMDAC又は馴化され
    た培地。
  83. 前記AMDACが組織培養プラスチックに接着し;RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且
    つ、免疫局在化により決定可能なCD49f+、HLA-G-、CD90+、CD105+、及びCD117-であり;且
    つ、該AMDACが:
    (a)免疫局在化により決定可能なCD9、CD10、CD44、CD54、CD98、CD200、Tie-2、TEM-7、V
    EGFR1/Flt-1、又はVEGFR2/KDR(CD309)の1つ以上を発現し;
    (b)免疫局在化により決定可能なCD31、CD34、CD38、CD45、CD133、CD143、CD144、CD146
    、CD271、CXCR4、HLA-G、若しくはVE-カドヘリンの発現を欠き、又はRT-PCRにより決定可
    能なSOX2の発現を欠き;
    (c)ACTA2、ADAMTS1、AMOT、ANG、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL1、ANGPTL2、ANGPTL4、BAI1、C
    D44、CD200、CEACAM1、CHGA、COL15A1、COL18A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、CSF3、CTGF
    、CXCL12、CXCL2、DNMT3B、ECGF1、EDG1、EDIL3、ENPP2、EPHB2、FBLN5、F2、FGF1、FGF2
    、FIGF、FLT4、FN1、FST、FOXC2、GRN、HGF、HEY1、HSPG2、IFNB1、IL8、IL12A、ITGA4、
    ITGAV、ITGB3、MDK、MMP2、MYOZ2、NRP1、NRP2、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAM1、PF4、
    PGK1、PROX1、PTN、SEMA3F、SERPINB5、SERPINC1、SERPINF1、TIMP2、TIMP3、TGFA、TGFB
    1、THBS1、THBS2、TIE1、TIE2/TEK、TNF、TNNI1、TNFSF15、VASH1、VEGF、VEGFB、VEGFC
    、VEGFR1/FLT1、又はVEGFR2/KDRのmRNAを発現し;
    (d)タンパク質類CD49d、コネキシン-43、HLA-ABC、β2-ミクログロブリン、CD349、CD318
    、PDL1、CD106、ガレクチン-1、ADAM17、アンジオテンシノゲン前駆体、フィラミンA、α
    -アクチニン1、メガリン、マクロファージアセチル化LDL受容体I及びII、アクチビンIIB
    型受容体前駆体、Wnt-9タンパク質、グリア繊維酸性タンパク質、星状細胞、ミオシン結
    合タンパク質C、又はミオシン重鎖、非筋細胞A型の1つ以上を発現し;
    (e)VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチン、G-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、
    MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、又はガレクチン-1を、AMDACが培養されている培地に分
    泌し;
    (f)マイクロRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、又はmiR-296を、同
    等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも高いレベルで発現し;
    (g)マイクロRNA類miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-222、miR-15b、又はmiR-16を、同等
    数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも低いレベルで発現し;
    (h)miRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、miR-20a、miR-20b、miR-29
    6、miR-221、miR-222、miR-15b、又はmiR-16を発現し;或いは
    (i)21%O2下でのCD202b、IL-8、又はVEGFの発現に比べて、約5%未満のO2中で培養される場
    合増加したレベルのCD202b、IL-8、又はVEGFを発現する、請求項52記載のAMDAC又は馴
    化された培地。
  84. 前記AMDACが、RT-PCRにより決定可能なOCT-4-であり、且つ、免疫局在化により決定可
    能なCD49f+、HLA-G-、CD90+、CD105+、及びCD117-であり、且つ、該AMDACが:
    (a)免疫局在化により決定可能なCD9、CD10、CD44、CD54、CD98、CD200、Tie-2、TEM-7、V
    EGFR1/Flt-1、及び/又はVEGFR2/KDR(CD309)を発現し;
    (b)免疫局在化により決定可能なCD31、CD34、CD38、CD45、CD133、CD143、CD144、CD146
    、CD271、CXCR4、HLA-G、及び/若しくはVE-カドヘリンの発現を欠き、且つ/又はRT-PCRに
    より決定可能なSOX2の発現を欠き;
    (c)ACTA2、ADAMTS1、AMOT、ANG、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL1、ANGPTL2、ANGPTL4、BAI1、C
    D44、CD200、CEACAM1、CHGA、COL15A1、COL18A1、COL4A1、COL4A2、COL4A3、CSF3、CTGF
    、CXCL12、CXCL2、DNMT3B、ECGF1、EDG1、EDIL3、ENPP2、EPHB2、FBLN5、F2、FGF1、FGF2
    、FIGF、FLT4、FN1、FST、FOXC2、GRN、HGF、HEY1、HSPG2、IFNB1、IL8、IL12A、ITGA4、
    ITGAV、ITGB3、MDK、MMP2、MYOZ2、NRP1、NRP2、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAM1、PF4、
    PGK1、PROX1、PTN、SEMA3F、SERPINB5、SERPINC1、SERPINF1、TIMP2、TIMP3、TGFA、TGFB
    1、THBS1、THBS2、TIE1、TIE2/TEK、TNF、TNNI1、TNFSF15、VASH1、VEGF、VEGFB、VEGFC
    、VEGFR1/FLT1、及び/又はVEGFR2/KDRのmRNAを発現し;
    (d)CD49d、コネキシン-43、HLA-ABC、β2-ミクログロブリン、CD349、CD318、PDL1、CD10
    6、ガレクチン-1、ADAM17、アンジオテンシノゲン前駆体、フィラミンA、α-アクチニン1
    、メガリン、マクロファージアセチル化LDL受容体I及びII、アクチビンIIB型受容体前駆
    体、Wnt-9タンパク質、グリア繊維酸性タンパク質、星状細胞、ミオシン結合タンパク質C
    、及び/又はミオシン重鎖、非筋細胞A型の1つ以上を発現し;
    (e)VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリスタチン、G-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、
    MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、及びガレクチン-1の1つ以上を、AMDACが培養されている
    培地に分泌し;
    (f)マイクロRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、及び/又はmiR-296を
    、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも高いレベルで発現し;
    (g)マイクロRNA類miR-20a、miR-20b、miR-221、miR-222、miR-15b、及び/又はmiR-16を、
    同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも低いレベルで発現し;
    (h)miRNA類miR-17-3p、miR-18a、miR-18b、miR-19b、miR-92、miR-20a、miR-20b、miR-29
    6、miR-221、miR-222、miR-15b、及び/又はmiR-16を発現し;且つ
    (i)21%O2下でのCD202b、IL-8、及び/又はVEGFの発現に比べて、約5%未満のO2中で培養さ
    れる場合増加したレベルのCD202b、IL-8、及び/又はVEGFを発現する、請求項83記載のA
    MDAC又は馴化された培地。
  85. 前記疼痛が神経因性疼痛である、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  86. 前記神経因性疼痛が糖尿病性神経障害により起こる、請求項85記載のAMDAC又は馴化
    された培地。
  87. 前記神経因性疼痛が、前記個体の神経の損傷により起こる、請求項85記載のAMDAC又
    は馴化された培地。
  88. 前記神経因性疼痛が薬物により起こる、請求項85記載のAMDAC又は馴化された培地。
  89. 前記薬物が、白金含有抗癌剤であるか、又は白金含有抗癌剤を含む、請求項88記載の
    AMDAC又は馴化された培地。
  90. 前記白金含有抗癌剤が、オキサリプラチン、カルボプラチン、若しくはシスプラチンで
    あるか、又はオキサリプラチン、カルボプラチン、若しくはシスプラチンを含む、請求項
    89記載のAMDAC又は馴化された培地。
  91. 前記薬物がパクリタキセルであるか、又はパクリタキセルを含む、請求項88記載のAM
    DAC又は馴化された培地。
  92. 前記疼痛が炎症性疼痛である、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  93. 前記疼痛が骨痛である、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  94. 前記骨痛が、癌と関連するか、又は癌により起こる、請求項93記載のAMDAC又は馴化
    された培地。
  95. 前記疼痛が癌により起こる、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  96. 前記疼痛がステロイド療法に反応しない、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地
  97. 前記疼痛が非ステロイド性抗炎症療法に反応しない、請求項52記載のAMDAC又は馴化
    された培地。
  98. 前記疼痛がオピオイド療法に反応しない、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地
  99. 前記疼痛がアヘン剤療法に反応しない、請求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
  100. 前記AMDACが、局所投与されるように製剤されている、請求項52記載のAMDAC又は馴化
    された培地。
  101. 前記AMDACが、全身に、静脈内に、又は動脈内に投与されるように製剤されている、請
    求項52記載のAMDAC又は馴化された培地。
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