JP2022129157A - 流体機械および垂直離着陸機 - Google Patents

流体機械および垂直離着陸機 Download PDF

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剛 北村
Takeshi Kitamura
浩範 本田
Hironori Honda
雄貴 森崎
Yuki Morisaki
界 刈込
Sakai Karikomi
誠一 茨木
Seiichi Ibaraki
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Abstract

Figure 2022129157000001
【課題】流体機械の外周部に収容された機器を効果的に冷却できる流体機械、および垂直離着陸機を提供する。
【解決手段】回転体と、回転体の外周を囲むように設けられた外周部と、回転体に取り付けられた回転子および外周部に取り付けられた固定子を含む電動モータと、を備える流体機械であって、外周部の内部には、回転子を少なくとも収容する収容部と、収容部よりも軸方向の他方側に設けられた収容部と連通する他方側キャビティであって、流体取込部を介して外周部の外部と連通するとともに、回転体の周方向に沿って延在する他方側キャビティと、収容部よりも軸方向の一方側に設けられた収容部と連通する一方側キャビティであって、流体排出部を介して外周部の外部と連通するとともに、回転体の周方向に沿って延在する一方側キャビティと、が形成されている。
【選択図】 図2

Description

本開示は、軸方向における一方側から他方側に流体を送るように構成された流体機械、および該流体機械を備える垂直離着陸機に関する。
垂直離着陸機を移動させるための推力を発生させるモーターファン(流体機械)として、外周部に駆動部を有する外周駆動モータが知られている(特許文献1参照)。この外周駆動モータは、回転体の外周部に配したコイルから発生する変動磁場により生じる駆動力(磁場(磁界)と電流の相互作用(ローレンツ力)による力)により回転体を回転させるようになっている。
国際公開第2020/122056号公報
外周駆動モータの高出力化を図るためには、外周駆動モータの電装部品の高出力化や高密度化が必要になるが、外周駆動モータの電装部品の高出力化や高密度化により電装部品の発熱密度(面積当たりの発熱量)が増大するため、電装部品の高効率な冷却が必要となる。電動コンプレッサなどの機器を用いて外周駆動モータの外部から空気を供給する場合には、上記機器を搭載した垂直離着陸機が重量過多になる虞がある。
特許文献1に記載のモータ一体型ファンは、モータの作動により発熱する発熱部を冷却するための冷却部を備える。この冷却部は、外周部の外部の空気を取り込む空気取込口と、上記空気を外周部の外部に排出する空気排出口と、空気取込口から上記発熱部を経て空気排出口に至る冷却流路と、を含む。上記冷却部は、空気取込口に対する空気排出口の負圧を利用して、空気取込口から空気を取り込み、発熱部を通過した空気を空気排出口から排出することで、発熱部の徐熱を行っている。
特許文献1に記載の冷却流路は、その流路面積が空気取込口や空気排出口と同程度であるため、冷却流路における空気の摩擦損失が大きなものになる虞がある。冷却流路における空気の摩擦損失が大きいと、冷却流路を通過する空気量が小さなものになるため、外周部内の発熱部の徐熱が不十分となる虞がある。
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、流体機械の外周部に収容された機器を効果的に冷却できる流体機械、および垂直離着陸機を提供することにある。
本開示の一実施形態にかかる流体機械は、
軸方向における一方側から他方側に流体を送るように構成された流体機械であって、
回転軸を中心に回転可能に構成された回転体と、
前記回転体の外周を囲むように設けられた外周部と、
前記回転体を回転させるように構成された電動モータであって、前記回転体に取り付けられた回転子および前記外周部に取り付けられた固定子を含む電動モータと、を備え、
前記外周部の内部には、
前記回転子を少なくとも収容する収容部と、
前記収容部よりも前記他方側に設けられた前記収容部と連通する他方側キャビティであって、少なくとも1つの流体取込部を介して前記外周部の外部と連通するとともに、前記回転体の周方向に沿って延在する他方側キャビティと、
前記収容部よりも前記一方側に設けられた前記収容部と連通する一方側キャビティであって、少なくとも1つの流体排出部を介して前記外周部の外部と連通するとともに、前記回転体の周方向に沿って延在する一方側キャビティと、が形成されている。
本開示の一実施形態にかかる垂直離着陸機は、
前記流体機械と、
前記流体機械が発生させる推力により移動する機体と、を備える。
本開示の少なくとも一実施形態によれば、流体機械の外周部に収容された機器を効果的に冷却できる流体機械、および垂直離着陸機が提供される。
本開示の一実施形態にかかる流体機械の概略斜視図である。 本開示の一実施形態にかかる流体機械の軸方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。 本開示の一実施形態にかかる垂直離着陸機の概略構成図である。 本開示の一実施形態にかかる流体機械の外周部の周囲の静圧分布を説明するための説明図である。 本開示の一実施形態における流体取込部を説明するための説明図である。 本開示の一実施形態における流体排出部を説明するための説明図である。 外周側流体取込部と内周側流体取込部との位置関係を説明するための説明図である。 本開示の一実施形態にかかる流体機械における外周部の軸方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。 本開示の一実施形態にかかる流体機械における外周部の軸方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
(流体機械)
図1は、本開示の一実施形態にかかる流体機械の概略斜視図である。図2は、本開示の一実施形態にかかる流体機械の軸方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。幾つかの実施形態にかかる流体機械1は、図1および図2に示されるように、流体機械1の軸方向Xにおける一方側から他方側に流体を送るように構成されている。軸方向Xは、流体機械1の軸線LAの延在方向である。図示される実施形態では、回転体2の回転軸RAは、軸方向Xに沿って延在している。なお、以下では、上記流体の一例として空気を例に挙げて説明するが、上記流体は、空気以外の流体(例えば、空気以外の気体や混合気、水などの液体)であってもよい。また、軸方向Xにおける上記一方側を前方側XFと定義し、軸方向Xにおける上記他方側を後方側XRと定義する。
図3は、本開示の一実施形態にかかる垂直離着陸機の概略構成図である。図3に示されるように、流体機械1は、機体11を備える垂直離着陸機10に搭載される。図示される実施形態では、垂直離着陸機10には、二つの流体機械1(1A、1B)が搭載されている。流体機械1(1A、1B)は、上記流体を前方側XFから後方側XRに送ることで、前方側XFに向かう推力FVを発生させる。垂直離着陸機10は、流体機械1が発生させた推力FVにより、機体11を飛行させるように構成されている。具体的には、垂直離着陸機10は、上記推力FVにより、機体11を浮上させること、機体11の姿勢を制御すること、又は機体11を停止飛行させることの少なくとも1つが実行可能に構成されている。
図示される実施形態では、垂直離着陸機10の機体11は、本体111と、本体111から放射状に延びる二つの連結アーム112、113と、を含む。本体111は、垂直離着陸機10が必要とする電力を供給するバッテリー114や制御部115などが内部に収容された筐体である。流体機械1(1A、1B)を含む垂直離着陸機10の各部は、バッテリー114から供給される電力により動作する。流体機械1(1A、1B)の夫々は、機体11の外周側に配置され、連結アーム112、113を介して、機体11に支持されている。連結アーム112、113の内部には、機体11に対して流体機械1(1A、1B)の姿勢を変更するための姿勢調整機構(例えば、サーボモータ)116、117が収容されている。上述した制御部115は、姿勢調整機構116、117に対して流体機械1(1A、1B)の姿勢を指示するように構成されている。垂直離着陸機10は、姿勢調整機構116、117が、制御部115の指示に応じて姿勢調整機構116、117の姿勢を変更することで、上述した推力FVの方向を調整可能である。なお、流体機械1が搭載される垂直離着陸機は、図示される垂直離着陸機10に限定されるものではない。
流体機械1は、電動モータ4が一体的に設けられた軸流ファン(軸流推進器)からなる。具体的には、流体機械1は、図1および図2に示されるように、回転軸RAを中心に回転可能に構成された回転体2と、回転体2の外周を囲むように設けられた外周部3と、回転体2を回転させるように構成された電動モータ4と、を備える。流体機械1は、図2に示されるような、回転体2を支持する支持軸部12と、転がり軸受13と、支持軸部12と外周部3とを繋ぐ少なくとも1つの整流板14と、をさらに備えていてもよい。
(回転体)
回転体2は、図2に示されるように、回転体2の回転軸RAの延在方向に沿って延びるハブ21と、ハブ21の外周を囲むように設けられた連結リング22と、ハブ21と連結リング22とを繋ぐ少なくとも1つのブレード23と、を含む。連結リング22は、回転軸RAを中心とする円環形状を有する。連結リング22は、回転体2の径方向においてハブ21との間に隙間が形成されている。図示される実施形態では、回転体2は、回転体2の周方向に沿って互いに離間して配置された複数のブレード23を含む。ブレード23の夫々は、ハブ21と連結リング22の間において回転体2の径方向に沿って延在し、その一端がハブ21の外面に接続され、その他端が連結リング22の内周面221に接続されている。回転体2は、ハブ21、複数のブレード23、および連結リング22が、例えば溶接などにより接合されて一体となっており、回転軸RAを中心に一体的に回転するようになっている。或る実施形態では、ブレード23の夫々は、その前縁側から後縁側までに亘り流線形状になっている。
(支持軸部)
支持軸部12は、図2に示されるように、転がり軸受13を介して回転体2を回転可能に支持している。支持軸部12は、ハブ21よりも後方側XRに設けられる。支持軸部12は、その前方側XFに転がり軸受13を回転不能に嵌合する軸側嵌合部121を有する。ハブ21は、その後方側XRに転がり軸受13に回転自在に嵌合されるハブ側嵌合部24を有する。回転体2は、ハブ側嵌合部24が転がり軸受13を介して軸側嵌合部121に連結されている。回転体2は、転がり軸受13により回転軸RAを中心とする回転が許容されている。或る実施形態では、転がり軸受13は、ボールベアリングからなる。支持軸部12は、回転体2の径方向において外周部3との間に隙間が形成されている。
(整流板)
図示される実施形態では、流体機械1は、回転体2の周方向に沿って互いに離間して配置された複数の整流板14を備える。整流板14の夫々は、支持軸部12と外周部3の間において回転体2の径方向に沿って延在し、その一端が支持軸部12の軸側嵌合部121よりも後方側XRの外面122に接続され、その他端が外周部3の内周面33に接続されている。整流板14の夫々は、ブレード23よりも後方側XRに設けられる。ブレード23を通過した空気は、整流板14により整流される。或る実施形態では、整流板14の夫々は、その前縁側から後縁側までに亘り流線形状になっている。また、或る実施形態では、整流板14の夫々は、平板形状になっている。
(外周部)
外周部3は、図2に示されるように、回転軸RAを中心とする環形状を有する。外周部3は、回転体2および支持軸部12の外周を囲むように、軸方向Xに沿って延在している。外周部3の前縁端34は、回転体2よりも前方側XFに位置している。外周部3の後縁端35は、支持軸部12よりも後方側XRに位置している。外周部3の外面31は、軸方向Xに沿って断面において、外周部3の前縁端34や後縁端35よりも回転体2の径方向における外側に位置する外周面32と、軸方向Xに沿って断面において、外周部3の前縁端34や後縁端35よりも回転体2の径方向における内側に位置する内周面33と、を含む。
(電動モータ)
電動モータ4は、図2に示されるように、回転体2に取り付けられた回転子41と、外周部3に取り付けられた固定子42と、を含む。外周部3の内部には、固定子42を収容する収容部36が形成されている。収容部36は、外周部3の内周面33から径方向における外側に凹む凹形状を有する。収容部36は、軸方向における一方側から視たときに環状に形成された環状溝部からなる。回転体2の連結リング22は、その内周面221が外周部3の内周面33の一部を構成するように、収容部36に収容されている。回転子41は、連結リング22の収容部36に面する外周面222に固定されている。固定子42は、連結リング22よりも径方向に外側において、収容部36に収容されている。図示される実施形態では、固定子42は、外周部3に支持されている。図示例では、固定子42は、ステータカバー43に支持され、このステータカバー43は、収容部36に固定された空気軸受37に支持されている。なお、図示される実施形態では、回転子41と固定子42とが径方向において対向するように配置されているが、回転子41と固定子42とが軸方向において対向するように配置してもよい。
回転子41は、回転子側磁石を有し、固定子42は、固定子側磁石を有する。図示される実施形態では、回転子41は、回転子側磁石として永久磁石41Aを有し、固定子42は、固定子側磁石としてコイル42A(電磁石)を有する。コイル42Aは、上述したバッテリー114(図3参照)又は不図示の駆動回路にリード線を介して接続され、リード線を介して変化する電力が供給されるようになっている。永久磁石41Aは、回転体2の周方向において環状に配置されている。この永久磁石41Aは、回転体2の周方向において、所定間隔ごとに正極と負極とが交互になるように構成されている。コイル42Aは、永久磁石41Aの各極に対向するように、回転体2の周方向に並べて設けられる。なお、他の幾つかの実施形態では、電動モータ4は、回転子41が回転子側磁石としてコイル(電磁石)を有し、且つ固定子42が固定子側磁石として永久磁石を有する構成になっていてもよい。
流体機械1は、電動モータ4を駆動させることで、回転体2を回転させるように構成されている。コイル42Aは、コイル42Aに供給された電力により変動磁場を発生させる。永久磁石41Aが取り付けられた回転体2は、コイル42Aから発生する変動磁場により生じる駆動力(磁場(磁界)と電流の相互作用(ローレンツ力)による力)により、回転軸RAを中心に回転する。すなわち、電動モータ4は、回転体2の外周側に配置された外周部3から回転体2に向けて動力を与えることにより、回転体2を回転させる外周駆動式のモータとなっている。なお、外周部3、支持軸部12および複数の整流板14の夫々は、回転体2の回転に対して不動になっている。
流体機械1の外周部3は、回転体2の回転によって推力FVを生じさせる。具体的には、流体機械1は、外周部3の前縁端34により形成される吸込口15と、外周部の後縁端35により形成される吹出口16と、吸込口15と吹出口16とを連通させる内側空間17であって、外周部3の内周面33により形成される内側空間17と、を有する。回転体2の複数のブレード23は、内側空間17に配置されている。吸込口15は、複数のブレード23よりも前方側XFに位置している。吹出口16は、複数のブレード23よりも後方側XRに位置している。
回転体2を回転させることで、内側空間17に前方側XFから後方側XRに向かう空気の流れ(主流)が形成される。流体機械1は、外周部3の前縁端34により形成された吸込口15から回転体2に取り込んだ空気を、外周部3の後縁端35により形成された吹出口16から吹く出すことで、外周部3に前方側XFに向かう推力FVを発生させるようになっている。なお、上記推力FVにより流体機械1を搭載した垂直離着陸機10を飛行させることで、外周部3の外周面32に面する外側空間18に前方側XFから後方側XRに向かう空気の流れが形成される。
(外周部の冷却構造)
図2に示されるように、上述した収容部36には、電動モータ4を駆動させるための電装部品44が収容されている。図示される実施形態では、収容部36は、電装部品44を収容するための電装部品収容部36Aを含む。電装部品収容部36Aは、収容部36内を回転体2の径方向における外側と内側とに区分するステータカバー43により、ステータカバー43よりも上記径方向における外側に形成されている。電動モータ4を駆動させると、コイル42A(電磁石)や電装部品44が発熱する。流体機械1は、収容部36に冷却用の空気を流通させることで、該空気により発熱するコイル42Aや電装部品44を冷却するようになっている。
外周部3の内部には、上述した収容部36の他に、収容部36よりも軸方向における上記一方側(前方側XF)に設けられた収容部36に連通する一方側キャビティ5と、収容部36よりも軸方向における上記他方側(後方側XR)に設けられた収容部36に連通する他方側キャビティ6と、が形成されている。一方側キャビティ5は、少なくとも1つの流体取込部7を介して外周部3の外部と連通している。他方側キャビティ6は、少なくとも1つの流体排出部8を介して外周部3の外部と連通している。
図示される実施形態では、一方側キャビティ5は、後方側XRから前方側XFに向かって先細り形状になっている。一方側キャビティ5を形成する壁面50は、軸方向Xに対して交差(図示例では、直交)する方向に沿って延在する後方側壁面50Aと、後方側壁面50Aの外周端から前方側XFに向かって延在する外周側壁面50Bと、後方側壁面50Aの内周端から前方側XFに向かって延在する内周側壁面50Cと、を含む。外周側壁面50Bと内周側壁面50Cは、前方端を共有している。
図示される実施形態では、他方側キャビティ6は、前方側XFから後方側XRに向かって先細り形状になっている。他方側キャビティ6を形成する壁面60は、軸方向Xに対して交差(図示例では、直交)する方向に沿って延在する前方側壁面60Aと、前方側壁面60Aの外周端から後方側XRに向かって延在する外周側壁面60Bと、前方側壁面60Aの内周端から後方側XRに向かって延在する内周側壁面60Cと、を含む。外周側壁面60Bと内周側壁面60Cは、後方端を共有している。
図4は、本開示の一実施形態にかかる流体機械の外周部の周囲の静圧分布を説明するための説明図である。回転体2を回転させることで、内側空間17の回転体2よりも前方側XFには、図4に示されるような、内側空間17における他の部分や外側空間18よりも静圧が低い低静圧領域17Aが形成される。低静圧領域17Aは、外周部3の内周面33に面して形成される。上述した流体排出部8は、外周部3の低静圧領域17Aに面する内周面33(33A)に出口開口81が形成されている。上述した流体取込部7は、内側空間17における低静圧領域17Aよりも静圧が高い領域17Bに面する内周面33や、外側空間18に面する外周面32に入口開口71が形成されている。
回転体2を回転させることで、流体排出部8の出口開口81周りの空気は、流体取込部7の入口開口71周りの空気に対して負圧になる。つまり、流体排出部8の出口開口81周りの空気の圧力は、流体取込部7の入口開口71周りの空気の圧力よりも低圧になる。或る実施形態では、回転体2を回転させると、流体取込部7の入口開口71周りの空気の圧力が大気圧になるのに対して、流体排出部8の出口開口81周りの空気の圧力は、大気圧よりも低圧になる。
流体機械1は、電動モータ4により回転体2を回転させることで生じる、流体取込部7の入口開口71周りの空気と流体排出部8の出口開口81周りの空気との間の圧力差を利用して、流体取込部7の入口開口71から空気を外周部3の内部に取り込み、他方側キャビティ6や収容部36を経て一方側キャビティ5に導かれた空気を流体排出部8の出口開口81から外周部3の外部に排出する。この流体機械1は、収容部36に収容された機器である固定子42や電装部品44に発生する熱を、収容部36を通過する空気に放出させることで、収容部36に収容された機器の徐熱を行うことができる。
図2に示される実施形態では、一方側キャビティ5および他方側キャビティ6の夫々は、電装部品収容部36Aに連通している。この場合には、電装部品収容部36Aを通過する空気に電装部品44に発生する熱を効果的に放出させることができるため、電装部品44の徐熱を効果的に行うことができる。
図示される実施形態では、外周部3の内部には、一方側キャビティ5と電装部品収容部36A(収容部36)とを連通する少なくとも1つの一方側連通孔38と、他方側キャビティ6と電装部品収容部36A(収容部36)とを連通する少なくとも1つの他方側連通孔39と、が形成されている。図2に示される実施形態では、外周部3の内部には、回転体2の周方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた複数の一方側連通孔38と、回転体2の周方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた複数の他方側連通孔39とが形成されている。他方側キャビティ6内の空気は、他方側連通孔39を通じて電装部品収容部36A(収容部36)に導かれる。電装部品収容部36A(収容部36)内の空気は、一方側連通孔38を通じて一方側キャビティ5に導かれる。
図示される実施形態では、一方側連通孔38および他方側連通孔39の夫々は、軸方向Xに沿って延在している。一方側連通孔38は、一方側キャビティ5の後方側壁面50Aに一端が接続されている。他方側連通孔39は、他方側キャビティ6の前方側壁面60Aに一端が接続されている。
幾つかの実施形態にかかる流体機械1は、図2に示されるように、上述した回転体2と、上述した外周部3と、回転子41および固定子42を含む上述した電動モータ4と、を少なくとも備える。外周部3の内部には、上述した収容部36と、上述した一方側キャビティ5と、上述した他方側キャビティ6と、が形成されている。
一方側キャビティ5および他方側キャビティ6の夫々は、回転体2の周方向に沿って延在している。一方側キャビティ5および他方側キャビティ6の夫々は、回転体2の周方向において半周以上に亘り延在することが好ましい。一方側キャビティ5および他方側キャビティ6の夫々は、回転体2の周方向において全周に亘り延在する(すなわち、環状に形成される)ことがさらに好ましい。
この場合には、収容部36を通過する空気の通路上に設けられた一方側キャビティ5や他方側キャビティ6は、回転体2の周方向に沿って延在しているため、流体取込部7や流体排出部8に比べて流路面積が大きなものとなり、これらのキャビティ5、6の壁面50、60で発生する流体の摩擦損失が小さなものになっている。外周部3の内部に一方側キャビティ5や他方側キャビティ6を設けることで、外周部3の内部における空気の摩擦損失を低減できるため、流体取込部7の入口開口71と流体排出部8の出口開口81との間の圧力差により外周部3の内部を通過する空気量を増量できる。外周部3の内部を通過する空気量を増量することで、流体機械1の収容部36に収容された機器(固定子42や電装部品44)を効果的に冷却できる。また、外周部3の内部に一方側キャビティ5や他方側キャビティ6を形成することで、外周部3の重量化を抑制できる。
(外周側流体取込部)
図5は、本開示の一実施形態における流体取込部を説明するための説明図である。図5では、外周部の後縁側の軸方向に沿った断面を概略的に示している。
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述した少なくとも1つの流体取込部7は、外周部3の外周面32に入口開口71である第1開口71Aが形成された外周側流体取込部7Aを含む。外周側流体取込部7Aは、回転体2の径方向の外側から内側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されている。外周側流体取込部7Aは、第1開口71Aから後方側XRに向かうに連れて流体機械1の軸線LAからの距離が小さくなるように延在し、そのキャビティ側開口72Aが他方側キャビティ6に接続されている。図示される実施形態では、上述した少なくとも1つの流体取込部7は、回転体2の周方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた複数の外周側流体取込部7Aを含む。
外周側流体取込部7Aの第1開口71Aは、収容部36よりも後方側XRに設けられる。外周部3の外周面32は、後縁端35から前方側XFに向かうにつれて流体機械1の軸線LAからの距離が大きくなる外周側傾斜面32Aを含む。図示される実施形態では、第1開口71Aは、外周側傾斜面32Aに形成されている。
上記の構成によれば、外周部3の内部に他方側キャビティ6を形成することで、外周部3の外部と他方側キャビティ6とを繋ぐ流体取込部7(外周側流体取込部7Aを含む)の形状の自由度が高くなる。外周側流体取込部7Aは、回転体2の径方向の外側から内側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されることで、外周部3の外周面32に沿って流れる空気を外周側流体取込部7Aに滑らかに取り込むことができるとともに、外周側流体取込部7Aに取り込んだ空気を他方側キャビティ6に滑らかに導くことができる。これにより、外周側流体取込部7Aにおける空気の摩擦損失を低減できる。外周側流体取込部7Aにおける空気の摩擦損失を低減することで、外周側流体取込部7Aおよび他方側キャビティ6を通じて収容部36に導かれる空気量を増量できるため、収容部36に収容された機器を効果的に冷却できる。
幾つかの実施形態では、上述した外周側流体取込部7Aは、図5に示されるような軸方向に沿った断面視において、第1開口71Aの中心軸線CA1と、第1開口位置P1における外周面32の接線T1と、がなす角度をθ1としたときに、0°<θ1<90°の条件を満たすように構成されている。ここで、上記角度θ1は、第1開口位置P1から前方側XFに向かって延びる接線T1と中心軸線CA1とがなす角度である。第1開口位置P1は、中心軸線CA1が通過する第1開口71Aの中心に位置している。
上記の構成によれば、上記0°<θ1<90°の条件を満たす外周側流体取込部7Aは、外周部3の外周面32に沿って流れる空気の流れに沿うような形状であるため、外周面32に沿って流れる空気を外周側流体取込部7Aに滑らかに取り込むことができるとともに、外周側流体取込部7Aに取り込んだ空気を他方側キャビティ6に滑らかに導くことができる。これにより、外周側流体取込部7Aにおける空気の摩擦損失を効果的に低減できる。なお、外周側流体取込部7Aにおける空気の摩擦損失のさらなる低減のために、外周側流体取込部7Aは、0°<θ1≦60°の条件を満たすように構成されていることが好ましく、0°<θ1≦30°の条件を満たすように構成されていることがさらに好ましい。
(内周側流体取込部)
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述した少なくとも1つの流体取込部7は、外周部3の内周面33に入口開口71である第2開口71Bが形成された内周側流体取込部7Bを含む。内周側流体取込部7Bは、回転体2の径方向の内側から外側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されている。内周側流体取込部7Bは、第2開口71Bから後方側XRに向かうに連れて流体機械1の軸線LAからの距離が大きくなるように延在し、そのキャビティ側開口72Bが他方側キャビティ6に接続されている。図示される実施形態では、上述した少なくとも1つの流体取込部7は、回転体2の周方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた複数の内周側流体取込部7Bを含む。
内周側流体取込部7Bの第2開口71Bは、収容部36よりも後方側XRに設けられる。外周部3の内周面33は、後縁端35から前方側XFに向かうにつれて流体機械1の軸線LAからの距離が小さくなる内周側傾斜面33Bを含む。図示される実施形態では、第2開口71Bは、上述した領域17Bに面した内周側傾斜面33Bに形成されている。
上記の構成によれば、外周部3の内部に他方側キャビティ6を形成することで、外周部3の外部と他方側キャビティ6とを繋ぐ流体取込部7(内周側流体取込部7Bを含む)の形状の自由度が高くなる。内周側流体取込部7Bは、回転体2の径方向の内側から外側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されることで、外周部3の内周面33に沿って流れる空気を内周側流体取込部7Bに滑らかに取り込むことができるとともに、内周側流体取込部7Bに取り込んだ空気を他方側キャビティ6に滑らかに導くことができる。これにより、内周側流体取込部7Bにおける空気の摩擦損失を低減できる。内周側流体取込部7Bにおける空気の摩擦損失を低減することで、内周側流体取込部7Bおよび他方側キャビティ6を通じて収容部36に導かれる空気量を増量できるため、収容部36に収容された機器を効果的に冷却できる。
幾つかの実施形態では、上述した内周側流体取込部7Bは、図5に示されるような軸方向に沿った断面視において、第2開口71Bの中心軸線CA2と、第2開口位置P2における内周面33の接線T2と、がなす角度をθ2としたときに、0°<θ2<90°の条件を満たすように構成されている。ここで、上記角度θ2は、第2開口位置P2から前方側XFに向かって延びる接線T2と中心軸線CA2とがなす角度である。第2開口位置P2は、中心軸線CA2が通過する第2開口71Bの中心に位置している。
上記の構成によれば、上記0°<θ2<90°の条件を満たす内周側流体取込部7Bは、外周部3の内周面33に沿って流れる流体の流れに沿うような形状であるため、内周面33に沿って流れる空気を内周側流体取込部7Bに滑らかに取り込むことができるとともに、内周側流体取込部7Bに取り込んだ空気を他方側キャビティ6に滑らかに導くことができる。これにより、内周側流体取込部7Bにおける空気流れの圧力損失を効果的に低減できる。
なお、内周側流体取込部7Bからキャビティ6に取り込まれた空気がキャビティ6の後縁側の壁面60に干渉し、空気流れの圧力損失の増大を招く虞がある。この空気流れの圧力損失の増大を好適に抑制するためは、内周側流体取込部7Bを、40°≦θ2≦60°の条件を満たすように構成することが好ましい。
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも1つの流体取込部7は、図5に示されるように、外周部3の外面31に形成された流体取込部7の入口開口71の等価直径をD1、流体取込部7の長さをL1としたときに、L1/D1≧2の条件を満たすように構成されている。なお、流体取込部7の入口開口71からキャビティ側開口72までの最短距離を上記長さL1としてもよい。
図5に示される実施形態では、上述した外周側流体取込部7Aは、外周部3の外周面32に形成された第1開口71Aの等価直径をD3(D1)、外周側流体取込部7Aの長さをL3(L1)としたときに、L3/D3≧2の条件を満たす。外周側流体取込部7Aは、第1開口71Aと、キャビティ側開口72Aと、第1開口71Aとキャビティ側開口72Aとの間を直線状に繋ぐ外周側取込孔73Aと、を含む。ここでは、外周側流体取込部7Aの長さL3は、外周側取込孔73Aの長さ、すなわち、第1開口71Aからキャビティ側開口72Aまでの最短距離である。第1開口71Aから外周側取込孔73Aに取り込まれた空気は、キャビティ側開口72Aを介して外周側取込孔73Aから他方側キャビティ6に流入する。仮に外周側流体取込部7Aの長さL3が短いと、外周側取込孔73Aにおける第1開口71A側に形成される空気の剥離の影響で、外周側取込孔73Aを介した空気の流通が阻害される虞がある。
図5に示される実施形態では、上述した内周側流体取込部7Bは、外周部3の内周面33に形成された第2開口71Bの等価直径をD4(D1)、内周側流体取込部7Bの長さをL4(L1)としたときに、L4/D4≧2の条件を満たす。内周側流体取込部7Bは、第2開口71Bと、キャビティ側開口72Bと、第2開口71Bとキャビティ側開口72Bとの間を直線状に繋ぐ内周側取込孔73Bと、を含む。ここでは、内周側流体取込部7Bの長さL4は、内周側取込孔73Bの長さ、すなわち、第2開口71Bからキャビティ側開口72Bまでの最短距離である。第2開口71Bから内周側取込孔73Bに取り込まれた空気は、キャビティ側開口72Bを介して内周側取込孔73Bから他方側キャビティ6に流入する。仮に内周側流体取込部7Bの長さL4が短いと、内周側取込孔73Bにおける第2開口71B側に形成される空気流れの剥離の影響で、内周側取込孔73Bを介した空気の流通が阻害される虞がある。
上記の構成によれば、流体取込部7の長さL1(L3、L4)を、上記条件を満たす長さにすることで、流体取込部7において空気を整流できるため、流体取込部7を通じて他方側キャビティ6に導かれる空気量の低減を防止できる。また、他方側キャビティ6に導かれる空気を整流することで、他方側キャビティ6における空気の流れの乱れを抑制できるため、他方側キャビティ6における空気流れの圧力損失を低減できる。
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、外周部3は、他方側キャビティ6の外周側の壁面60(60B)から第1開口71Aの中心軸線CA1に沿って突出する外周側突出部74Aを有する。外周側突出部74Aの内部には、外周側取込孔73Aの一部が形成され、外周側突出部74Aの端面にはキャビティ側開口72Aが形成されている。この場合には、外周部3の肉厚の増大化を抑制しつつ、外周側流体取込部7A(外周側取込孔73A)の長さを大きなものにすることができる。なお、他の幾つかの実施形態では、図2に示されるように、外周部3は、外周側突出部74Aを有さずに、他方側キャビティ6の外周側の壁面60(60B)にキャビティ側開口72Aが形成されていてもよい。
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、外周部3は、他方側キャビティ6の内周側の壁面60(60C)から第2開口71Bの中心軸線CA2に沿って突出する内周側突出部74Bを有する。内周側突出部74Bの内部には、内周側取込孔73Bの一部が形成され、内周側突出部74Bの端面にはキャビティ側開口72Bが形成されている。この場合には、外周部3の肉厚の増大化を抑制しつつ、内周側流体取込部7B(内周側取込孔73B)の長さを大きなものにすることができる。なお、他の幾つかの実施形態では、図2に示されるように、外周部3は、内周側突出部74Bを有さずに、他方側キャビティ6の内周側の壁面60(60C)にキャビティ側開口72Bが形成されていてもよい。
(流体排出部)
図6は、本開示の一実施形態における流体排出部を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、図6に示されるように、上述した少なくとも1つの流体排出部8は、外周部3の内周面33に出口開口である第3開口81が形成されるとともに、回転体2の径方向の外側から内側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されている。流体排出部8は、第3開口81から後方側XRに向かうにつれて流体機械1の軸線LAからの距離が大きくなるように延在し、そのキャビティ側開口82が一方側キャビティ5に接続されている。上述した少なくとも1つの流体排出部8は、回転体2の周方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた複数の流体排出部8を含む。
流体排出部8の第3開口81は、収容部36よりも前方側XFに形成される。第3開口81は、外周部3の上述した低静圧領域17Aに面する内周面33Aに形成される。図示される実施形態では、外周部3の内周面33Aは、外周部3の前縁端34から後方側XRに向かうにつれて流体機械1の軸線LAからの距離が小さくなっている。
上記の構成によれば、外周部3の内部に一方側キャビティ5を形成することで、外周部3の外部と一方側キャビティ5とを繋ぐ流体排出部8の形状の自由度が高くなる。流体排出部8は、回転体2の径方向の外側から内側に向かって他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されることで、外周部3よりも径方向の内側において軸方向の一方側(前方側XF)から他方側(後方側XR)に流れる主流と、流体排出部8を通じて外周部3の外部に排出された空気と、の混合を抑制でき、ひいては、流体機械1の上記混合による空力損失を低減できる。
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも1つの流体排出部8は、図6に示されるような軸方向に沿った断面視において、第3開口81の中心軸線CA3と、第3開口位置P3における内周面33の接線T3と、がなす角度をθ3としたときに、0°<θ3≦60°の条件を満たすように構成されている。ここで、上記角度θ3は、第3開口位置P3から前方側XFに向かって延びる接線T3と中心軸線CA3とがなす角度である。第3開口位置P3は、中心軸線CA3が通過する第3開口81の中心に位置している。
上記の構成によれば、上記0°<θ3≦60°の条件を満たす流体排出部8は、上述した主流と、流体排出部8を通じて外周部3の外部に排出された空気と、の混合を効果的に抑制でき、ひいては、流体機械1の上記混合による空力損失を効果的に低減できる。なお、流体機械1の上記混合による空力損失のさらなる低減のために、流体排出部8は、0°<θ3≦30°の条件を満たすように構成されていることが好ましい。
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも1つの流体排出部8は、図6に示されるように、外周部3の外面31(内周面33)に形成された流体排出部8の出口開口81の等価直径をD2、流体排出部8の長さをL2としたときに、L2/D2≧4の条件を満たすように構成されている。
図6に示される実施形態では、上述した流体排出部8は、第3開口81(出口開口)と、キャビティ側開口82と、第3開口81とキャビティ側開口82との間を直線状に繋ぐ排出孔83と、を含む。ここで、流体排出部8の長さL2は、排出孔83の長さ、すなわち、第3開口81からキャビティ側開口82までの最短距離である。キャビティ側開口82を通じて一方側キャビティ5から排出孔83に流入した空気は、第3開口81を通じて低静圧領域17Aに排出される。仮に流体排出部8の長さL2が短いと、排出孔83におけるキャビティ側開口82側に形成される空気の流れの剥離の影響で、排出孔83を介して空気の流通が阻害される虞がある。
上記の構成によれば、流体排出部8の長さL2を、上記条件を満たす長さにすることで、流体排出部8において空気を整流できるため、流体排出部8を通じて外周部3の外部(低静圧領域17A)に排出される空気量の低減を防止できる。また、流体排出部8を通じて外周部3の外部に排出される空気を整流することで、外周部3よりも径方向の内側において軸方向の一方側(前方側XF)から他方側(後方側XR)に流れる主流と、流体排出部8を通じて外周部3の外部に排出された空気と、の混合を抑制でき、ひいては、流体機械1の上記混合による空力損失を低減できる。
幾つかの実施形態では、図6に示されるように、外周部3は、一方側キャビティ5の内周側の壁面50(50C)から第3開口81の中心軸線CA3に沿って突出する一方側突出部84を有する。一方側突出部84の内部には、排出孔83の一部が形成され、一方側突出部84の端面にはキャビティ側開口82が形成されている。この場合には、外周部3の肉厚の増大化を抑制しつつ、流体排出部8(排出孔83)の長さを大きなものにすることができる。なお、他の幾つかの実施形態では、図2に示されるように、外周部3は、一方側突出部84を有さずに、一方側キャビティ5の内周側の壁面50(50C)にキャビティ側開口82が形成されていてもよい。
(外周側流体取込部および内周側流体取込部)
幾つかの実施形態では、図2および図5に示されるように、上述した少なくとも1つの流体取込部7は、上述した外周側流体取込部7Aと、上述した内周側流体取込部7Bと、を含む。上記の構成によれば、外周側流体取込部7Aおよび内周側流体取込部7Bの夫々を通じて外周部3の外部から他方側キャビティ6に空気を導くことができる。この場合には、外周側流体取込部7A又は内周側流体取込部7Bの一方のみにより空気を取り込む場合に比べて、他方側キャビティ6に導かれる空気量を増量できる。これにより、他方側キャビティ6を通じて収容部36に導かれる空気量を増量できるため、収容部36に収容された機器を効果的に冷却できる。
図7は、外周側流体取込部と内周側流体取込部との位置関係を説明するための説明図である。図7では、外周部3を径方向における外側から視た状態を概略的に示している。
幾つかの実施形態では、図7に示されるように、上述した外周側流体取込部7Aの第1開口71Aは、上述した内周側流体取込部7Bの第2開口71Bよりも前方側XFに位置するように構成されている。第1開口71Aを第2開口71Bよりも前方側XFに設けることで、外周側の吸い込み流れ(外周側流体取込部7Aを通じて他方側キャビティ6に導かれた空気の流れ)と、内周側の吸い込み流れ(内周側流体取込部7Bを通じて他方側キャビティ6に導かれた空気の流れ)とが干渉することを抑制できる。これにより、外周側の吸い込み流れと内周側の吸い込み流れとの干渉によって、外周側流体取込部7Aや内周側流体取込部7Bから他方側キャビティ6に空気を吸い込み難くなることを防止でき、他方側キャビティ6に導かれる空気量の低減を防止できる。
幾つかの実施形態では、図7に示されるように、上述した少なくとも1つの流体取込部7は、回転体2の周方向(図7中上下方向)に沿って互いに間隔をあけて設けられた複数の外周側流体取込部7Aと、回転体2の周方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた複数の内周側流体取込部7Bと、を含む。複数の外周側流体取込部7Aの夫々の第1開口71Aは、複数の内周側流体取込部7Bの夫々の第2開口71Bに対して回転体2の周方向にずれて配置されている。第1開口71Aの周方向位置を第2開口71Bの周方向位置に対してずらすことで、上述した外周側の吸い込み流れと、上述した内周側の吸い込み流れとが干渉することを抑制できる。これにより、外周側の吸い込み流れと内周側の吸い込み流れとの干渉によって、外周側流体取込部7Aや内周側流体取込部7Bから他方側キャビティ6に空気を吸い込み難くなることを防止でき、他方側キャビティ6に導かれる空気量の低減を防止できる。
(軸流ファン)
図8は、本開示の一実施形態にかかる流体機械における外周部の軸方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
幾つかの実施形態では、上述した外周部3は、図8に示されるような、軸方向Xにおける上記他方側(後方側XR)から上記一方側(前方側XF)に空気を送るように構成された少なくとも1つの軸流ファン91を備える。少なくとも1つの軸流ファン91は、上述した一方側キャビティ5又は他方側キャビティ6の少なくとも一方に配置されている。つまり、外周部3の内部に一方側キャビティ5や他方側キャビティ6を形成することで、収容部36を通過する空気の流路上に軸流ファン91を設置することが可能になる。
軸流ファン91は、軸方向Xに沿って延在する回転軸部92と、回転軸部92に取り付けられた少なくとも1つの動翼93と、回転軸部92および動翼93を回転可能に収容する筐体94と、を含む。軸流ファン91は、上述したバッテリー114(図3参照)又は不図示の電力源から供給される電流(図示例では、直流電流)により、回転軸部92および動翼93を回転させるように構成されている。軸流ファン91の動翼93を回転させることで、空気が後方側XRから前方側XFに向かって送られる。
図示される実施形態では、外周部3は、他方側キャビティ6の外周側の壁面60(60B)から回転体2の径方向における内側に向かって突出する外周側支持部95Aと、他方側キャビティ6の内周側の壁面60(60C)から回転体2の径方向における外側に向かって突出する内周側支持部95Bと、を有する。軸流ファン91は、外周側支持部95Aおよび内周側支持部95Bに筐体94が固定されている。
上記の構成によれば、軸流ファン91により外周部3内を流れる空気を軸方向における上記他方側(後方側XR)から上記一方側(前方側XF)に送ることで、流体取込部7と流体排出部8との間の圧力差(静圧差)のみを利用する場合に比べて、流体取込部7から取り込まれて流体排出部8から排出される空気量を増量できる。これにより、収容部36に導かれる空気量を増量できるため、収容部36に収容された機器を効果的に冷却できる。なお、軸流ファン91は、軽量であるため、外周部3の重量化を抑制できる。
軸流ファン91により空気を効果的に送るためには、軸流ファン91の下流側(前方側XF)に空気が流れる大きな空間があることが好ましい。すなわち、軸流ファン91が一方側キャビティ5や他方側キャビティ6における後方側XRに配置されることが好ましい。
(防塵フィルタ)
図9は、本開示の一実施形態にかかる流体機械における外周部の軸方向に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
幾つかの実施形態では、上述した外周部3は、図9に示されるように、他方側キャビティ6に設置された防塵フィルタ96を備える。防塵フィルタ96は、軸方向Xに対して交差(図示例では、直交)する方向に沿って延在している。防塵フィルタ96は、防塵フィルタ96を通過する空気から粉塵等の異物を除去するように構成されている。
図示される実施形態では、防塵フィルタ96は、最も前方側XFに位置する流体取込部7のキャビティ側開口72よりも前方側XFに配置されている。この場合には、他方側キャビティ6において防塵フィルタ96を通過した空気が収容部36に導かれる。また、図示される実施形態では、外周部3は、他方側キャビティ6の外周側の壁面60(60B)から回転体2の径方向における内側に向かって突出する外周側支持部97Aと、他方側キャビティ6の内周側の壁面60(60C)から回転体2の径方向における外側に向かって突出する内周側支持部97Bと、を有する。防塵フィルタ96は、外周側支持部97Aに外縁が固定され、内周側支持部97Bに内縁が固定されている。
上記の構成によれば、外周部3の他方側キャビティ6に防塵フィルタ96を設置することで、他方側キャビティ6を通じて収容部36に導かれる空気から粉塵等の異物を除去することができる。これにより、収容部36への異物の侵入を効果的に防止できるため、収容部36に収容された機器の信頼性を高めることができる。
(垂直離着陸機)
幾つかの実施形態にかかる垂直離着陸機10は、図3に示されるように、上述した流体機械1と、流体機械1が発生させる推力FVにより移動する上述した機体11と、を備える。なお、垂直離着陸機は、その推力器として1つの流体機械1を備えていてもよいし、その推力器として複数の流体機械1を備えていてもよい。流体機械1および機体11を備える垂直離着陸機10は、流体機械1の収容部36に収容された機器(固定子42や電装部品44)を効果的に冷却できるため、電動モータ4の高出力化が可能となり、ひいては流体機械1を備える垂直離着陸機10の高出力化が可能となる。
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかる流体機械(1)は、
軸方向における一方側(前方側XF)から他方側(後方側XR)に流体を送るように構成された流体機械(1)であって、
回転軸(RA)を中心に回転可能に構成された回転体(2)と、
前記回転体(2)の外周を囲むように設けられた外周部(3)と、
前記回転体(2)を回転させるように構成された電動モータ(4)であって、前記回転体(2)に取り付けられた回転子(41)および前記外周部(3)に取り付けられた固定子(42)を含む電動モータ(4)と、を備え、
前記外周部(3)の内部には、
前記回転子(41)を少なくとも収容する収容部(36)と、
前記収容部(36)よりも前記他方側に設けられた前記収容部と連通する他方側キャビティ(6)であって、少なくとも1つの流体取込部(7)を介して前記外周部(3)の外部と連通するとともに、前記回転体(2)の周方向に沿って延在する他方側キャビティ(6)と、
前記収容部(36)よりも前記一方側に設けられた前記収容部と連通する一方側キャビティ(5)であって、少なくとも1つの流体排出部(8)を介して前記外周部(3)の外部と連通するとともに、前記回転体(2)の周方向に沿って延在する一方側キャビティ(5)と、が形成されている。
上記1)の構成によれば、流体機械(1)は、電動モータ(4)により回転体(2)を回転させることで生じる流体取込部(7)と流体排出部(8)との間の圧力差を利用して、流体取込部(7)から流体を外周部(3)の内部に取り込み、他方側キャビティ(6)や収容部(36)を経て一方側キャビティ(5)に導かれた流体を流体排出部(8)から外周部(3)の外部に排出する。この流体機械(1)は、収容部(36)に収容された機器である固定子(42)や電装部品(44)に発生する熱を、収容部(36)を通過する流体に放出させることで、収容部(36)に収容された機器の徐熱を行うことができる。
収容部(36)を通過する流体の通路上に設けられた一方側キャビティ(5)や他方側キャビティ(6)は、回転体(2)の周方向に沿って延在しているため、流体取込部(7)や流体排出部(8)に比べて流路面積が大きなものとなり、これらのキャビティ(5、6)の壁面(50、60)で発生する流体の摩擦損失が小さなものになっている。外周部(3)の内部に一方側キャビティ(5)や他方側キャビティ(6)を設けることで、外周部(3)の内部における流体の摩擦損失を低減できるため、流体取込部(7)の入口開口(71)と流体排出部(8)の出口開口(81)との間の圧力差により外周部(3)の内部を通過する流体の流量を増量できる。外周部(3)の内部を通過する流体の流量を増量することで、流体機械(1)の収容部(36)に収容された機器(固定子42や電装部品44)を効果的に冷却できる。
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の流体機械(1)であって、
前記少なくとも1つの流体取込部(7)は、前記外周部(3)の外周面(32)に第1開口(71A)が形成された外周側流体取込部(7A)を含み、
前記外周側流体取込部(7A)は、前記回転体(2)の径方向の外側から内側に向かって前記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成された。
上記2)の構成によれば、外周側流体取込部(7A)は、回転体(2)の径方向の外側から内側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されることで、外周部(3)の外周面(32)に沿って流れる流体を外周側流体取込部(7A)に滑らかに取り込むことができるとともに、外周側流体取込部(7A)に取り込んだ流体を他方側キャビティ(6)に滑らかに導くことができる。これにより、外周側流体取込部(7A)における流体の摩擦損失を低減できる。外周側流体取込部(7A)における流体の摩擦損失を低減することで、外周側流体取込部(7A)および他方側キャビティ(6)を通じて収容部(36)に導かれる流体の流量を増量できるため、収容部(36)に収容された機器を効果的に冷却できる。
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の流体機械(1)であって、
前記外周側流体取込部(7A)は、前記軸方向に沿った断面視において、前記第1開口(71A)の中心軸線(CA1)と、前記第1開口位置(P1)における前記外周面(32)の接線(T1)と、がなす角度をθ1としたときに、0°<θ1<90°の条件を満たすように構成された。
上記3)の構成によれば、上記0°<θ1<90°の条件を満たす外周側流体取込部(7A)は、外周部(3)の外周面(32)に沿って流れる流体の流れに沿うような形状であるため、外周面(32)に沿って流れる流体を外周側流体取込部(7A)に滑らかに取り込むことができるとともに、外周側流体取込部(7A)に取り込んだ流体を他方側キャビティ(6)に滑らかに導くことができる。これにより、外周側流体取込部(7A)における流体の摩擦損失を効果的に低減できる。
4)幾つかの実施形態では、上記1)から上記3)までの何れかに記載の流体機械(1)であって、
前記少なくとも1つの流体取込部(7)は、前記外周部(3)の内周面(33)に第2開口(71B)が形成された内周側流体取込部(7B)を含み、
前記内周側流体取込部(7B)は、前記回転体(2)の径方向の内側から外側に向かって前記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成された。
上記4)の構成によれば、内周側流体取込部(7B)は、回転体(2)の径方向の内側から外側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されることで、外周部(3)の内周面(33)に沿って流れる流体を内周側流体取込部(7B)に滑らかに取り込むことができるとともに、内周側流体取込部(7B)に取り込んだ流体を他方側キャビティ(6)に滑らかに導くことができる。これにより、内周側流体取込部(7B)における流体の摩擦損失を低減できる。内周側流体取込部(7B)における流体の摩擦損失を低減することで、内周側流体取込部(7B)および他方側キャビティ(6)を通じて収容部(36)に導かれる流体の流量を増量できるため、収容部(36)に収容された機器を効果的に冷却できる。
5)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の流体機械(1)であって、
前記内周側流体取込部(7B)は、前記軸方向に沿った断面視において、前記第2開口(71B)の中心軸線(CA2)と、前記第2開口位置(P2)における前記内周面(33)の接線(T2)と、がなす角度をθ2としたときに、0°<θ2<90°の条件を満たすように構成された。
上記5)の構成によれば、上記0°<θ2<90°の条件を満たす内周側流体取込部(7B)は、外周部(3)の内周面(33)に沿って流れる流体の流れに沿うような形状であるため、内周面(33)に沿って流れる流体を内周側流体取込部(7B)に滑らかに取り込むことができるとともに、内周側流体取込部(7B)に取り込んだ流体を他方側キャビティ(6)に滑らかに導くことができる。これにより、内周側流体取込部(7B)における空気流れの圧力損失を効果的に低減できる。
6)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載の流体機械(1)であって、
前記少なくとも1つの流体排出部(8)は、前記外周部(3)の内周面(33)に第3開口(81)が形成されるとともに、前記回転体(2)の径方向の外側から内側に向かって前記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成された。
上記6)の構成によれば、流体排出部(8)は、回転体(2)の径方向の外側から内側に向かって上記他方側(後方側XR)に傾斜するように構成されることで、外周部(3)よりも径方向の内側において軸方向の上記一方側(前方側XF)から上記他方側(後方側XR)に流れる主流と、流体排出部(8)を通じて外周部(3)の外部に排出された流体と、の混合を抑制でき、ひいては、流体機械(1)の上記混合による空力損失を低減できる。
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載の流体機械(1)であって、
前記少なくとも1つの流体排出部(8)は、前記軸方向に沿った断面視において、前記第3開口(81)の中心軸線(CA3)と、前記第3開口位置(P3)における前記内周面(33)の接線(T3)と、がなす角度をθ3としたときに、0°<θ3≦60°の条件を満たすように構成された。
上記7)の構成によれば、上記0°<θ3≦60°の条件を満たす流体排出部(8)は、前記主流と、流体排出部(8)を通じて外周部(3)の外部に排出された流体と、の混合を効果的に抑制でき、ひいては、流体機械(1)の上記混合による空力損失を効果的に低減できる。
8)幾つかの実施形態では、上記1)から上記7)までの何れかに記載の流体機械(1)であって、
前記少なくとも1つの流体取込部(7)は、
前記外周部(3)の外周面(32)に第1開口(71A)が形成された外周側流体取込部(7A)と、
前記外周部(3)の内周面(33)に第2開口(71B)が形成された内周側流体取込部(7B)と、を含む。
上記8)の構成によれば、外周側流体取込部(7A)および内周側流体取込部(7B)の夫々を通じて外周部(3)の外部から他方側キャビティ(6)に流体を導くことができる。この場合には、外周側流体取込部(7A)又は内周側流体取込部(7B)の一方のみにより流体を取り込む場合に比べて、他方側キャビティ(6)に導かれる流体の流量を増量できる。これにより、他方側キャビティ(6)を通じて収容部(36)に導かれる流体の流量を増量できるため、収容部(36)に収容された機器を効果的に冷却できる。
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載の流体機械(1)であって、
前記外周側流体取込部(7A)の前記第1開口(71A)は、前記内周側流体取込部(7B)の前記第2開口(71B)よりも前記一方側(前方側XF)に位置するように構成された。
上記9)の構成によれば、外周側流体取込部(7A)の第1開口(71A)を内周側流体取込部(7B)の第2開口(71A)よりも前記一方側(前方側XF)に設けることで、外周側の吸い込み流れ(外周側流体取込部7Aを通じて他方側キャビティ6に導かれた流体の流れ)と、内周側の吸い込み流れ(内周側流体取込部7Bを通じて他方側キャビティ6に導かれた流体の流れ)とが干渉することを抑制できる。これにより、外周側の吸い込み流れと内周側の吸い込み流れとの干渉によって、外周側流体取込部(7A)や内周側流体取込部(7B)から他方側キャビティ(6)に流体を吸い込み難くなることを防止でき、他方側キャビティ(6)に導かれる流体の流量の低減を防止できる。
10)幾つかの実施形態では、上記1)から上記9)までの何れかに記載の流体機械(1)であって、
前記少なくとも1つの流体取込部(7)は、前記外周部(3)の外面(31)に形成された前記流体取込部(7)の開口(71)の等価直径をD1、前記流体取込部(7)の長さをL1としたときに、L1/D1≧2の条件を満たすように構成された。
上記10)の構成によれば、流体取込部(7)の長さL1を、上記条件を満たす長さにすることで、流体取込部(7)において流体を整流できるため、流体取込部(7)を通じて他方側キャビティ(6)に導かれる流体の流量の低減を防止できる。また、他方側キャビティ(6)に導かれる流体を整流することで、他方側キャビティ(6)における流体の流れの乱れを抑制できるため、他方側キャビティ(6)における流れの圧力損失を低減できる。
11)幾つかの実施形態では、上記1)から上記10)までの何れかに記載の流体機械(1)であって、
前記少なくとも1つの流体排出部(8)は、前記外周部(3)の外面(31)に形成された前記流体排出部(8)の開口(81)の等価直径をD2、前記流体排出部(8)の長さをL2としたときに、L2/D2≧4の条件を満たすように構成された。
上記11)の構成によれば、流体排出部(8)の長さL2を、上記条件を満たす長さにすることで、流体排出部(8)において流体を整流できるため、流体排出部(8)を通じて外周部(3)の外部に排出される流体の流量の低減を防止できる。また、流体排出部(8)を通じて外周部(3)の外部に排出される流体を整流することで、前記主流と、流体排出部(8)を通じて外周部(3)の外部に排出された流体と、の混合を抑制でき、ひいては、流体機械(1)の上記混合による空力損失を低減できる。
12)幾つかの実施形態では、上記1)から上記11)までの何れかに記載の流体機械(1)であって、
前記外周部(3)は、前記一方側キャビティ(5)又は前記他方側キャビティ(6)の少なくとも一方に配置された少なくとも1つの軸流ファン(91)であって、前記軸方向における前記他方側(後方側XR)から前記一方側(前方側XF)に前記流体を送るように構成された少なくとも1つの軸流ファン(91)を備える。
上記12)の構成によれば、軸流ファン(91)により外周部(3)内を流れる流体を軸方向における前記他方側(後方側XR)から前記一方側(前方側XF)に送ることで、流体取込部(7)と流体排出部(8)との間の圧力差(静圧差)のみを利用する場合に比べて、流体取込部(7)から取り込まれて流体排出部(8)から排出される流体の流量を増加できる。これにより、収容部(36)に導かれる流体の流量を増量できるため、収容部(36)に収容された機器を効果的に冷却できる。
13)幾つかの実施形態では、上記1)から上記12)までの何れかに記載の流体機械(1)であって、
前記外周部(3)は、前記他方側キャビティ(6)に設置された防塵フィルタ(96)を備える。
上記13)の構成によれば、外周部(3)の他方側キャビティ(6)に防塵フィルタ(96)を設置することで、他方側キャビティ(6)を通じて収容部(36)に導かれる流体から粉塵等の異物を除去することができる。これにより、収容部(36)への異物の侵入を効果的に防止できるため、収容部(36)に収容された機器の信頼性を高めることができる。
14)本開示の少なくとも一実施形態にかかる垂直離着陸機(10)は、
上記1)から上記13)までの何れかに記載の流体機械(1)と、
前記流体機械(1)が発生させる推力により移動する機体(11)と、を備える。
上記14)の構成によれば、上記流体機械(1)および上記機体(11)を備える垂直離着陸機(10)は、流体機械(1)の収容部(36)に収容された機器を効果的に冷却できるため、電動モータ(4)の高出力化が可能となり、ひいては流体機械(1)を備える垂直離着陸機(10)の高出力化が可能となる。
1 流体機械
2 回転体
3 外周部
4 電動モータ
5 一方側キャビティ
6 他方側キャビティ
7 流体取込部
7A 外周側流体取込部
7B 内周側流体取込部
8 流体排出部
10 垂直離着陸機
11 機体
12 支持軸部
13 転がり軸受
14 整流板
15 吸込口
16 吹出口
17 内側空間
17A 低静圧領域
18 外側空間
21 ハブ
22 連結リング
23 ブレード
24 ハブ側嵌合部
31 外面
32 外周面
33 内周面
34 前縁端
35 後縁端
36 収容部
36A 電装部品収容部
37 空気軸受
38 一方側連通孔
39 他方側連通孔
41 回転子
41A 永久磁石
42 固定子
42A コイル
43 ステータカバー
44 電装部品
50,60 壁面
50A 後方側壁面
50B,60B 外周側壁面
50C,60C 内周側壁面
60A 前方側壁面
71 入口開口
71A 第1開口
71B 第2開口
72,72A,72B,82 キャビティ側開口
73A 外周側取込孔
73B 内周側取込孔
74A 外周側突出部
74B 内周側突出部
81 出口開口(第3開口)
83 排出孔
84 一方側突出部
91 軸流ファン
96 防塵フィルタ
CA1,CA2,CA3 中心軸線
FV 推力
LA 軸線
P1 第1開口位置
P2 第2開口位置
P3 第3開口位置
RA 回転軸
T1,T2,T3 接線
X 軸方向
XF 前方側
XR 後方側

Claims (14)

  1. 軸方向における一方側から他方側に流体を送るように構成された流体機械であって、
    回転軸を中心に回転可能に構成された回転体と、
    前記回転体の外周を囲むように設けられた外周部と、
    前記回転体を回転させるように構成された電動モータであって、前記回転体に取り付けられた回転子および前記外周部に取り付けられた固定子を含む電動モータと、を備え、
    前記外周部の内部には、
    前記回転子を少なくとも収容する収容部と、
    前記収容部よりも前記他方側に設けられた前記収容部と連通する他方側キャビティであって、少なくとも1つの流体取込部を介して前記外周部の外部と連通するとともに、前記回転体の周方向に沿って延在する他方側キャビティと、
    前記収容部よりも前記一方側に設けられた前記収容部と連通する一方側キャビティであって、少なくとも1つの流体排出部を介して前記外周部の外部と連通するとともに、前記回転体の周方向に沿って延在する一方側キャビティと、が形成されている、
    流体機械。
  2. 前記少なくとも1つの流体取込部は、前記外周部の外周面に第1開口が形成された外周側流体取込部を含み、
    前記外周側流体取込部は、前記回転体の径方向の外側から内側に向かって前記他方側に傾斜するように構成された、
    請求項1に記載の流体機械。
  3. 前記外周側流体取込部は、前記軸方向に沿った断面視において、前記第1開口の中心軸線と、前記第1開口位置における前記外周面の接線と、がなす角度をθ1としたときに、0°<θ1<90°の条件を満たすように構成された、
    請求項2に記載の流体機械。
  4. 前記少なくとも1つの流体取込部は、前記外周部の内周面に第2開口が形成された内周側流体取込部を含み、
    前記内周側流体取込部は、前記回転体の径方向の内側から外側に向かって前記他方側に傾斜するように構成された、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の流体機械。
  5. 前記内周側流体取込部は、前記軸方向に沿った断面視において、前記第2開口の中心軸線と、前記第2開口位置における前記内周面の接線と、がなす角度をθ2としたときに、0°<θ2<90°の条件を満たすように構成された、
    請求項4に記載の流体機械。
  6. 前記少なくとも1つの流体排出部は、前記外周部の内周面に第3開口が形成されるとともに、前記回転体の径方向の外側から内側に向かって前記他方側に傾斜するように構成された、
    請求項1乃至5の何れか1項に記載の流体機械。
  7. 前記少なくとも1つの流体排出部は、前記軸方向に沿った断面視において、前記第3開口の中心軸線と、前記第3開口位置における前記内周面の接線と、がなす角度をθ3としたときに、0°<θ3≦60°の条件を満たすように構成された、
    請求項6に記載の流体機械。
  8. 前記少なくとも1つの流体取込部は、
    前記外周部の外周面に第1開口が形成された外周側流体取込部と、
    前記外周部の内周面に第2開口が形成された内周側流体取込部と、を含む、
    請求項1乃至7の何れか1項に記載の流体機械。
  9. 前記外周側流体取込部の前記第1開口は、前記内周側流体取込部の前記第2開口よりも前記一方側に位置するように構成された、
    請求項8に記載の流体機械。
  10. 前記少なくとも1つの流体取込部は、前記外周部の外面に形成された前記流体取込部の開口の等価直径をD1、前記流体取込部の長さをL1としたときに、L1/D1≧2の条件を満たすように構成された、
    請求項1乃至9の何れか1項に記載の流体機械。
  11. 前記少なくとも1つの流体排出部は、前記外周部の外面に形成された前記流体排出部の開口の等価直径をD2、前記流体排出部の長さをL2としたときに、L2/D2≧4の条件を満たすように構成された、
    請求項1乃至10の何れか1項に記載の流体機械。
  12. 前記外周部は、前記一方側キャビティ又は前記他方側キャビティの少なくとも一方に配置された少なくとも1つの軸流ファンであって、前記軸方向における前記他方側から前記一方側に前記流体を送るように構成された少なくとも1つの軸流ファンを備える、
    請求項1乃至11の何れか1項に記載の流体機械。
  13. 前記外周部は、前記他方側キャビティに設置された防塵フィルタを備える、
    請求項1乃至12の何れか1項に記載の流体機械。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載の流体機械と、
    前記流体機械が発生させる推力により移動する機体と、を備える、
    垂直離着陸機。
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