JP2022124997A - スパッタリングターゲット、および、Ag膜 - Google Patents

スパッタリングターゲット、および、Ag膜 Download PDF

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Abstract

【課題】チャンバー内に水蒸気や酸素が残存している状態で成膜した場合であっても、熱処理等によって高温状態に保持されても突起の発生を抑制でき、高い反射率を維持することが可能なAg膜を成膜可能なスパッタリングターゲット、および、Ag膜を提供する。【解決手段】AgまたはAg合金からなるスパッタリングターゲット材11と、はんだ層13と、バッキング材12とが積層された構造のスパッタリングターゲット10であって、スパッタリングターゲット材11の積層方向の複数の箇所において、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴とする。スパッタリングターゲット材11の積層方向の複数の箇所において、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、Ag膜を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲット、および、Ag膜に関するものである。
一般に、Ag膜又はAg合金膜は、光学特性および電気特性に優れていることから、ディスプレイやLED等の反射電極膜、タッチパネル等の配線膜等の各種部品の反射膜および導電膜として使用されている。
例えば、特許文献1,2には、有機EL素子の反射電極の構成材料として、AgまたはAg合金を用いることが開示されている。
上述のAgまたはAg合金からなるAg膜は、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法によって成膜されている。
ここで、上述のスパッタリングターゲットは、成膜するAg膜に対応した組成のスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材を保持するバッキング材とが、はんだ層を介して接合された構造とされている。すなわち、スパッタリングターゲットは、スパッタリングターゲット材とはんだ層とバッキング材とが積層した構造とされている。
また、上述のスパッタリングターゲットとしては、例えば、ターゲットスパッタ面が円形または矩形状をなす平板型スパッタリングターゲット、および、ターゲットスパッタ面が円筒面である円筒型スパッタリングターゲットが用いられている。
平板型スパッタリングターゲットにおいては、平板状のスパッタリングターゲット材と平板状のバッキング材(バッキングプレート)が積層された構造とされる。
円筒型スパッタリングターゲットにおいては、円筒状のスパッタリングターゲット材の内周側に円筒状のバッキング材(バッキングチューブ)が挿入され、径方向に積層された構造とされる。
上述のバッキング材は、スパッタリングターゲット材の保持、スパッタリングターゲット材への電力供給、および、スパッタリングターゲット材の冷却のために配設されたものであり、上述のスパッタリングターゲットにおいては、スパッタリングターゲット材とバッキング材とが良好に接合されている必要がある。
ここで、バッキング材とスパッタリングターゲット材との間に配設されたはんだ層を構成するはんだ材としては、In、Snを含むはんだ材が広く使用されている。
特開2010-080341号公報 特開2016-089215号公報
ところで、上述のスパッタリングターゲットを用いてAg膜を成膜する際に、スパッタを実施するチャンバー内を真空雰囲気や不活性ガス雰囲気として、スパッタを行う。しかしながら、スパッタを実施する際に、チャンバー内に水蒸気や酸素が残存している場合には、成膜したAg膜が熱処理等によって高温状態に保持された際に、Agの拡散が促進されて突起が発生し、Ag膜の反射率が大きく低下することがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、チャンバー内に水蒸気や酸素が残存している状態で成膜した場合であっても、熱処理等によって高温状態に保持されても突起の発生を抑制でき、高い反射率を維持することが可能なAg膜を成膜可能なスパッタリングターゲット、および、Ag膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、AgまたはAg合金からなるスパッタリングターゲット材にIn,Snが多く含有されていた際に、チャンバー内に水蒸気や酸素が残存している状態で成膜されたAg膜において、熱処理時に突起が発生しやすいとの知見を得た。
また、はんだ材に含まれるInやSnがスパッタリングターゲット材に拡散することで、スパッタリングターゲット材の積層方向においてIn,Snの濃度分布が生じるとの知見を得た。さらに、作業環境中のInやSnがスパッタリングターゲット材に混入することがあることがわかった。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明のスパッタリングターゲットは、AgまたはAg合金からなるスパッタリングターゲット材と、はんだ層と、バッキング材と、が積層された構造のスパッタリングターゲットであって、前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所において、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴としている。
本発明のスパッタリングターゲットによれば、前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所において、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満とされているので、成膜されたAg膜においてもInおよびSnの含有量が低く抑えられており、成膜されたAg膜を熱処理しても突起の発生が抑制され、反射率を高く維持することができる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所において、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満であることが好ましい。
Nb,Siについても、In,Snよりは効果は小さいが、チャンバー内に水蒸気や酸素が残存している状態で成膜したAg膜において突起が発生しやすくなるおそれがある。このため、In,Sn,Nb,Siの合計含有量を100massppm未満に制限することにより、成膜されたAg膜においてもIn,Sn,Nb,Siの含有量が低く抑えられ、成膜されたAg膜を熱処理しても突起の発生がさらに抑制され、反射率を高く維持することができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記スパッタリングターゲット材は、Geを0.3原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含有することが好ましい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材は、Geを0.3原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含有しているので、成膜されたAg膜がAg-Ge系合金で構成されることになり、成膜されたAg膜の耐熱性および耐硫化性を向上させることができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記スパッタリングターゲット材は、Gaを0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内で含有することが好ましい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材は、Gaを0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内で含有しているので、成膜されたAg膜がAg-Ga系合金で構成されることになり、成膜されたAg膜の耐熱性および耐硫化性を向上させることができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記スパッタリングターゲット材は、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をX原子%、Gaの含有量をY原子%としたときに、0.6X+Yが0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲であることが好ましい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材は、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をX原子%、Gaの含有量をY原子%としたときに、0.6X+Yが0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲とされているので、成膜されたAg膜がAg-Ga-Ge系合金で構成されることになり、成膜されたAg膜の耐熱性および耐硫化性を向上させることができる。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所で測定したIn,Snのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下であることが好ましい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所で測定したIn,Snのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下とされており、これらIn,Snの含有量のばらつきが少なく、スパッタが進行しても、安定してIn,Snの含有量が低く抑えられたAg膜を成膜することができる。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所で測定したNb,Siのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下であることが好ましい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所で測定したNb,Siのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下とされており、これらNb,Siの含有量のばらつきが少なく、スパッタが進行しても、安定してNb,Siの含有量が低く抑えられたAg膜を成膜することができる。
本発明のAg膜は、Geを0.1原子%以上5.0原子%以下の範囲内で含有し、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴としている。
この構成のAg膜においては、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満に制限されているので、このAg膜が、水蒸気が残留した状態で成膜された場合であっても、熱処理した際の突起の発生が抑制されることになり、反射率を高く維持することができる。
また、Geを0.1原子%以上5.0原子%以下の範囲内で含有しているので、耐熱性および耐硫化性に優れている。
本発明のAg膜は、Gaを0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲内で含有し、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴としている。
この構成のAg膜においては、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満に制限されているので、このAg膜が、水蒸気が残留した状態で成膜された場合であっても、熱処理した際の突起の発生が抑制されることになり、反射率を高く維持することができる。
また、Gaを0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲内で含有しているので、耐熱性および耐硫化性に優れている。
本発明のAg膜は、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をx原子%、Gaの含有量をy原子%としたときに、0.8x+yが0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲で含有し、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴としている。
この構成のAg膜においては、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満に制限されているので、このAg膜が、水蒸気が残留した状態で成膜された場合であっても、熱処理した際の突起の発生が抑制されることになり、反射率を高く維持することができる。
また、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をx原子%、Gaの含有量をy原子%としたときに、0.8x+yが0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲とされているので、耐熱性および耐硫化性に優れている。
ここで、本発明のAg膜においては、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満であることが好ましい。
この場合、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満に制限されているので、このAg膜を熱処理しても突起の発生がさらに抑制され、反射率を高く維持することができる。
本発明によれば、チャンバー内に水蒸気や酸素が残存している状態で成膜した場合であっても、熱処理等によって高温状態に保持されても突起の発生を抑制でき、高い反射率を維持することが可能なAg膜を成膜可能なスパッタリングターゲット、および、Ag膜を提供することが可能となる。
本発明の実施形態であるスパッタリングターゲットの概略説明図である。 本発明の実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態であるスパッタリングターゲットの概略説明図である。
以下に、本発明の一実施形態であるスパッタリングターゲット、および、Ag膜について説明する。
本実施形態であるスパッタリングターゲットは、Ag膜を成膜する際に用いられるものである。なお、本実施形態においては、本実施形態のスパッタリングターゲットを用いて成膜されたAg膜は、例えば、有機EL素子の反射電極膜として使用するものとされている。
本実施形態であるスパッタリングターゲット10は、図1に示すように、スパッタ面を有して平板状をなすスパッタリングターゲット材11と、バッキングプレート12と、これらスパッタリングターゲット材11とバッキングプレート12の間に配設されたはんだ層13と、が積層された構造とされている。なお、本実施形態においては、はんだ層13とスパッタリングターゲット材11との間に拡散防止膜14が配設されている。
バッキングプレート12は、スパッタリングターゲット材11を保持して機械的強度を確保するために設けられたものであり、さらにはスパッタリングターゲット材11への電力供給、および、スパッタリングターゲット材11の冷却といった作用を有するものである。このため、バッキングプレート12としては、機械的強度、電気伝導性および熱伝導性に優れていることが求められており、例えばSUS304等のステンレス鋼、銅又は銅合金、チタン等で構成されている。
はんだ層13は、スパッタリングターゲット材11とバッキングプレート12とをはんだ材を用いて接合した際に形成されるものである。ここで、はんだ層13を構成するはんだ材としては、例えば、Inを含有するもの、Snを含有するもの、InとSnの両方を含有するものが挙げられる。
拡散防止膜14は、はんだ層13からスパッタリングターゲット材11へのIn、Snの拡散を抑制するものである。この拡散防止膜14としては、例えば、Cu膜、Ni膜等を適用することができる。
スパッタリングターゲット材11は、AgまたはAg合金からなり、スパッタリングターゲット材11の積層方向(スパッタ面に交差する厚さ方向)の複数の箇所(例、3箇所以上など)において、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満とされている。
また、本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所において、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満であることが好ましい。
さらに、本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所で測定したIn,Sn,Nb,Siのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下であることが好ましい。
また、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所は、特に限定されないが、ターゲットスパッタ面からボンディング面までの間で等間隔に2箇所又は3箇所以上の箇所であることが好ましい。
なお、本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)において、ターゲットスパッタ面からボンディング面までの間で等間隔に3箇所以上の箇所で組成分析を行い、In,Sn,Nb,Siの合計含有量、および、In,Sn,Nb,Siのそれぞれの標準偏差を算出することが好ましい。
そして、本実施形態であるスパッタリングターゲット材11においては、Geを0.3原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含有することが好ましい。
本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11は、Geを0.3原子%以上10.0原子%以下の範囲内とされ、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成とされており、不可避不純物であるIn,Snの合計含有量が100massppm未満、さらには不可避不純物であるIn,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満とされている。
あるいは、本実施形態であるスパッタリングターゲット材11においては、Gaを0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内で含有することが好ましい。
本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11は、Gaを0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内とされ、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成とされており、不可避不純物であるIn,Snの合計含有量が100massppm未満、さらには不可避不純物であるIn,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満とされている。
また、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所は、特に限定されないが、ターゲットスパッタ面からボンディング面までの間で等間隔に2箇所又は3箇所以上の箇所であることが好ましい。
あるいは、本実施形態であるスパッタリングターゲット材11においては、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をX原子%、Gaの含有量をY原子%としたときに、0.6X+Yが0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲であることが好ましい。また、 上記スパッタリングターゲット材11において、0.6X+Yが1.5原子%以上3.5原子%以下の範囲であることがさらに好ましい。
本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11は、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をX原子%、Gaの含有量をY原子%としたときに、0.6X+Yが0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内とされ、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成とされており、不可避不純物であるIn,Snの合計含有量が100massppm未満、さらには不可避不純物であるIn,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満とされている。
以下に、本実施形態であるスパッタリングターゲット10において、スパッタリングターゲット材11の組成を上述のように規定した理由について説明する。
(In,Snの含有量)
スパッタリングターゲット材11にIn,Snが多く含有されていると、水蒸気や酸素が残存した雰囲気でスパッタ成膜した場合には、成膜されたAg膜に対して熱処理を行った際に、そのAg膜において突起が発生して反射率が大きく低下することになる。
このため、Ag膜へのIn,Snの混入を抑制して熱処理後の反射率の低下を抑制するためには、スパッタリングターゲット材11におけるIn,Snの含有量を低減する必要がある。なお、熱処理後の反射率が0.5%以上低下すると、ディスプレイなどのデバイスの輝度に影響を与えるおそれがあるが、本実施形態のスパッタリングターゲット10を用いて成膜したAg膜では、高い反射率を維持することができる。
ここで、スパッタリングターゲット材11とバッキングプレート12とを接合する際に用いられるはんだ材にはIn,Snが含まれていることが多く、はんだ接合時に、はんだ材に含まれるIn,Snがスパッタリングターゲット材11へと拡散し、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)においてIn,Snの濃度分布が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所において、InおよびSnの合計含有量を100massppm未満に規定している。また、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所のうち少なくとも1箇所において、InおよびSnの合計含有量は、0massppmより大きく、1massppm以上100massppm未満であってもよい。
なお、InおよびSnの合計含有量は、50massppm未満であることが好ましく、10massppm未満であることがさらに好ましい。
また、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所は、該積層方向において1mmから10mm範囲の間隔を有する2箇所以上であることが好ましい。該複数の箇所は、該積層方向において1mmから5mm範囲の間隔を有する2箇所以上であることがさらに好ましい。
(Nb,Siの含有量)
スパッタリングターゲット材11にNb,Siが多く含有されている場合にも、水蒸気や酸素が残存した雰囲気でスパッタ成膜すると、成膜されたAg膜に対して熱処理を行った際に、突起が発生しやすい傾向にある。
このため、Ag膜へのNb,Siの混入を抑制して熱処理後の反射率の低下をさらに抑制するためには、スパッタリングターゲット材11におけるNb,Siの含有量を低減することが好ましい。
そこで、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所において、In,Sn,Nb,Siの合計含有量を100massppm未満とすることが好ましい。また、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所のうち少なくとも1箇所において、In,Sn,Nb,Siの合計含有量は、0massppmより大きく、1massppm以上100massppm未満であってもよい。
なお、In,Sn,Nb,Siの合計含有量は、80massppm未満であることがさらに好ましく、30massppm未満であることがより好ましい。
また、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所は、該積層方向において1mmから10mm範囲の間隔を有する2箇所以上であることが好ましい。該複数の箇所は、該積層方向において1mmから5mm範囲の間隔を有する2箇所以上であることがさらに好ましい。
(In,Snの標準偏差)
上述のように、はんだ材に含まれるIn,Snがスパッタリングターゲット材11へと拡散し、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)においてIn,Snの濃度分布が生じるおそれがある。また、In,Snを含むヒュームがスパッタリングターゲット材11の表面に付着し、表面側のIn,Snの含有量が高くなるおそれもある。スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)でIn,Snの含有量にばらつきがあると、スパッタの初期、中期、終期で、Ag膜に含まれるIn,Sn量にばらつきが生じ、熱処理後に反射率が大きく低下するAg膜が生じるおそれがある。
このため、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所で測定したIn,Snのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下であることが好ましい。
なお、In,Snのそれぞれの含有量の標準偏差は、5massppm未満であることが好ましく、3massppm未満であることがさらに好ましい。
(Nb,Siの標準偏差)
Nb,Siははんだ材には含まれていないことが多いが、Nb,Siを含むヒュームがスパッタリングターゲット材11の表面に付着し、表面側のNb,Siの含有量が高くなるおそれがある。スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)でNb,Siの含有量にばらつきがあると、スパッタの初期、中期、終期で、Ag膜に含まれるNb,Siの含有量にばらつきが生じ、熱処理後に反射率が大きく低下するAg膜が生じるおそれがある。
このため、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所で測定したNb,Siのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下であることが好ましい。
なお、Nb,Siのそれぞれの含有量の標準偏差は、5massppm未満であることが好ましく、3massppm未満であることがさらに好ましい。
(Ge)
Geは、成膜されたAg膜の耐硫化性および耐熱性を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Geの含有量を0.3原子%以上とすることにより、上述の作用効果を十分に得ることが可能となる。一方、Geの含有量を10.0原子%以下とすることにより、成膜されたAg膜の反射率の低下、および、電気抵抗の上昇を抑制することができる。
このような理由から、本実施形態においては、Geの含有量を0.3原子%以上10.0原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、Geの添加による上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Geの含有量の下限を2.0原子%以上にすることが好ましく、3.0原子%以上にすることがさらに好ましい。一方、成膜されたAg膜の反射率の低下、および、電気抵抗の上昇を確実に抑制するためには、Geの含有量の上限を5.0原子%以下とすることが好ましく、4.0原子%以下とすることがさらに好ましい。
(Ga)
Gaは、成膜されたAg膜の耐硫化性および耐熱性を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Gaの含有量を0.3原子%以上とすることにより、上述の作用効果を十分に得ることが可能となる。一方、Gaの含有量を6.0原子%以下とすることにより、成膜されたAg膜の反射率の低下、および、電気抵抗の上昇を抑制することができる。
このような理由から、本実施形態においては、Gaの含有量を0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、Gaの添加による上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Gaの含有量の下限を0.5原子%以上にすることが好ましく、1.0原子%以上にすることがさらに好ましい。一方、成膜されたAg膜の反射率の低下、および、電気抵抗の上昇を確実に抑制するためには、Gaの含有量の上限を3.0原子%以下とすることが好ましく、2.0原子%以下とすることがさらに好ましい。
次に、本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法の一例について、図2のフロー図を参照して説明する。
純度99.9質量%以上のAg原料に対して電解精錬を実施して電析Agを作製し、得られた電析Agを再度電解のアノードとして鋳込み再電解を実施した。これを繰り返すことでAg内のIn,Sn,Nb,Siの含有量を低減した。また、電解精錬を実施する毎にIn,SnはICP発光分光分析法によって、Nb,SiはGD-MS分析によって成分分析を実施し、In,Sn,Nb,Siの含有量を確認した。これにより、高純度Ag原料を得た。
次に、所望の質量比となるように、上述の高純度Ag原料と、必要に応じて純度が99.99質量%以上のGe原料を秤量し、高周波真空溶解炉の容器内に装入する。
次いで、高周波真空溶解炉の真空チャンバー内を真空排気した後、アルゴンガスで置換し、その後、高純度Ag原料を溶解させる。なお、必要に応じてアルゴンガス雰囲気中においてAg溶湯にGeを添加する。そして、上述のAg溶湯を黒鉛製鋳型に注いで鋳造することで、インゴットを作製する。
鋳造処理の方法としては、例えば、一方向凝固法を用いて実施することができる。一方向凝固法は、例えば、鋳型の底部を水冷させた状態で、抵抗加熱により予め側面部を加熱した鋳型に、溶湯を鋳込み、その後、鋳型下部の抵抗加熱部の設定温度を徐々に低下させることで実施できる。
なお、鋳造処理の方法としては、上記説明した一方向凝固法に替えて、完全連続鋳造法や半連続鋳造法等の方法を用いて行ってもよい。
(熱間圧延工程S02)
次いで、インゴットを熱間圧延して熱間圧延材を得る。ここで、熱間圧延温度は550℃以上750℃以下の範囲内、圧下率は60%以上95%以下の範囲内とすることが好ましい。
(熱処理工程S03)
次いで、上述の熱間圧延材に対して熱処理を実施する。ここで、熱処理時の保持温度を500℃以上700℃以下の範囲内とすることが好ましい。また、保持温度における保持時間は、1時間以上2時間以下の範囲内とすることが好ましい。
(機械加工工程S04)
上述のようにして得られた熱処理材に対して機械加工を行うことにより、所定の形状および寸法に仕上げる。本実施形態では、円板形状とした。
以上のような工程により、本実施形態におけるスパッタリングターゲット材11が製造される。
(拡散防止膜形成工程S05)
次に、得られたスパッタリングターゲット材11のボンディング面に拡散防止膜14を形成する。なお、拡散防止膜14の厚さは、2μm以上10μm以下の範囲内とすることが好ましい。
本実施形態では、蒸着法によって、拡散防止膜14として約8μmの厚さのCu膜を成膜する。
(はんだ接合工程S06)
まず、スパッタリングターゲット材11のボンディング面以外の表面をアルミホイル等によって覆う。
次に、スパッタリングターゲット材11のボンディング面、および、バッキングプレート12のボンディング面に、下地用はんだを下塗りすることで下地層を形成する。具体的には、スパッタリングターゲット材11およびバッキングプレート12を加熱しておき、ヒータを搭載した超音波コテ等で超音波振動を加えながら、溶融した下地用はんだを塗布することにより、下地層を形成する。
そして、バッキングプレート12のボンディング面にはんだ材を塗布し、はんだ材を溶融させた後、スパッタリングターゲット材11を積層し、冷却する。これにより、スパッタリングターゲット材11とバッキングプレート12とが、はんだ層13を介して接合される。そして、接合後にボンディング面からはみ出したはんだ材を除去する。
ここで、はんだ接合工程S06において、スパッタリングターゲット材11のボンディング面以外の表面をアルミホイル等によって覆うことにより、ヒュームがスパッタリングターゲット材11の表面に付着することが抑制される。
また、拡散防止膜14により、はんだ材に含まれるIn,Snがスパッタリングターゲット材11へと拡散することが抑制される。
以上の工程により、本実施形態であるスパッタリングターゲット10が製造されることになる。
本実施形態であるAg膜は、上述のスパッタリングターゲット10を用いてスパッタ成膜することによって成膜されたものである。
本実施形態であるAg膜は、Geを0.1原子%以上5.0原子%以下の範囲内で含有し、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満とされている。ここで、スパッタリングターゲットに含有されているGeとGaはスパッタ成膜される際に、膜に付着しづらい場合があり、Ag膜中のGeおよびGaの含有量はスパッタリングターゲット中のGeおよびGaの含有量よりも減少する傾向にある。
なお、本実施形態であるAg膜においては、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満であることが好ましい。
本実施形態であるAg膜においては、Geを0.3原子%以上10原子%以下の範囲内とされ、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成とされており、不可避不純物であるIn,Snの合計含有量が100massppm未満、さらには不可避不純物であるIn,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満とされている。
本実施形態であるAg膜は、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をx原子%、Gaの含有量をy原子%としたときに、0.8x+yが0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲で含有し、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴としている。また、 上記Ag膜において、0.8x+yが1.0原子%以上3.0原子%以下の範囲であることがさらに好ましい。
本実施形態であるAg膜においては、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をx原子%、Gaの含有量をy原子%としたときに、0.8x+yが0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲内とされ、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成とされており、不可避不純物であるIn,Snの合計含有量が100massppm未満、さらには不可避不純物であるIn,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満とされている。
上述の構成とされた本実施形態であるスパッタリングターゲット10によれば、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所において、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満とされているので、成膜されたAg膜においてもInおよびSnの含有量が低く抑えられており、成膜されたAg膜に対して熱処理を実施しても突起の発生が抑制され、反射率を高く維持することができる。
なお、Ag膜に対して実施される熱処理としては、例えば、反射電極を形成後に作製する絶縁膜の硬化工程が想定される。
また、本実施形態において、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所において、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満である場合には、成膜されたAg膜においてもIn,Sn,Nb,Siの含有量が低く抑えられており、成膜されたAg膜を熱処理しても突起の発生がさらに抑制され、反射率を高く維持することができる。
さらに、本実施形態において、スパッタリングターゲット材11がGeを0.3原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含有する場合には、成膜されたAg膜がAg-Ge系合金で構成されることになり、成膜されたAg膜の耐熱性および耐硫化性を向上させることができる。
あるいは、本実施形態において、スパッタリングターゲット材11がGaを0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内で含有する場合には、成膜されたAg膜がAg-Ga系合金で構成されることになり、成膜されたAg膜の耐熱性および耐硫化性を向上させることができる。
また、本実施形態において、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所で測定したIn,Snのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下である場合には、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)においてIn,Snの含有量のばらつきが少なく、スパッタが進行しても、安定してIn,Snの含有量が低く抑えられたAg膜を成膜することができる。
さらに、本実施形態において、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)の複数の箇所で測定したNb,Siのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下である場合には、スパッタリングターゲット材11の積層方向(厚さ方向)においてNb,Siの含有量のばらつきが少なく、スパッタが進行しても、安定してNb,Siの含有量が低く抑えられたAg膜を成膜することができる。
本実施形態であるAg膜によれば、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満に制限されているので、このAg膜を熱処理しても突起の発生が抑制され、反射率を高く維持することができる。
また、本実施形態であるAg膜においては、Geを0.1原子%以上5.0原子%以下の範囲内、あるいは、Gaを0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲内で含有しているので、耐熱性および耐硫化性に優れている。
また、本実施形態において、Ag膜のIn,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満である場合には、このAg膜を熱処理しても突起の発生がさらに抑制され、反射率を高く維持することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態においては、拡散防止膜14を備えたものとして説明したが、これに限定されることはなく、はんだ材の組成を調整するなどして、スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所においてInおよびSnの合計含有量が100massppm未満とされていれば、拡散防止膜14を有していなくてもよい。
本実施形態では、円板形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングプレート12とが積層された構造のスパッタリングターゲット10として説明したが、スパッタリングターゲットの構造はこれに限定されるものではない。
ターゲットスパッタ面が矩形状をなす矩形形状のスパッタリングターゲットとしてもよいし、ターゲットスパッタ面が円筒面である円筒型スパッタリングターゲットが挙げられる。
図3に示すように、円筒型スパッタリングターゲット10においては、円筒状のスパッタリングターゲット材11の内周側に、円筒状のバッキング材(バッキングチューブ12)が挿入され、はんだ層13によって接合された構造となる。なお、この円筒型スパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面を有する円筒の径方向がスパッタリングターゲット材11およびバッキングチューブ12の積層方向となる。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
純度99.9質量%以上のAg原料を準備し、発明の実施の形態の欄に記載されたように、電解精錬を繰り返し実施して、In,Sn,Nb,Siの含有量を低減した高純度Ag原料を得た。
この高純度Ag原料を真空雰囲気下で溶解し、Arガスに置換した後、必要に応じて純度99.99質量%以上のGe原料、および、純度99.9質量%以上のGa原料を添加し、所定の組成のAg溶湯を溶製した。なお、不純物の影響を確認するために、意図的に、純度99.9質量%以上のIn,純度99.9質量%以上のSn,純度99.9質量%以上のNb,純度99.9質量%以上のSiを添加した。
そして、このAg溶湯を、鋳造してAgインゴットを製造した。
得られたAgインゴットに対して、熱間圧延(温度700℃、総圧下率70%)を行った。その後、保持温度600℃、保持時間1時間の条件で熱処理を実施した。
熱処理後に、機械加工を実施し、直径152.4mm、厚さ6mmの円板形状のスパッタリングターゲット材を製造した。
次に、本発明例1-16および比較例2-6においては、得られたスパッタリングターゲット材のボンディング面に、蒸着法によって、表1に示す拡散防止膜を形成した。拡散防止膜の厚さは8μmとした。
次に、本発明例1-16および比較例1,3-6においては、スパッタリングターゲット材のボンディング面以外の表面をアルミホイル等によって覆った。
次に、200℃に加熱したホットプレートの上に、それぞれのボンディング面が上方を向くようにして、スパッタリングターゲット材およびバッキングプレートを載置した。
次に、スパッタリングターゲット材およびバッキングプレートのボンディング面に、Inを含むはんだ材を載せて溶融し、超音波はんだこてを用いて下塗りを行った。
次に、バッキングプレートのボンディング面にはんだ材を追加し、はんだ材を溶融した後、スパッタリングターゲット材を積層した。
そして、ホットプレートの電源を切り、冷却することにより、スパッタリングターゲット材とバッキングプレートとをはんだ層を介して接合した。なお、接合後にボンディング面からはみ出したはんだを除去した。
次に、得られたスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件でスパッタ成膜を行い、ガラス基板にAg膜を成膜した。なお、スパッタ成膜時にチャンバー内に水蒸気が残存している状態を模擬するためArガスに水蒸気を添加した条件と、水蒸気を添加せずにArガスのみとした2条件でそれぞれ成膜を実施した。なお、残存水蒸気は到達真空度にも依存するため、到達真空度はいずれの条件においても5.0×10-5Paとした。
電力密度:2.0(W/cm
成膜ガス圧:0.3(Pa)
ターゲット-基板間距離:70(mm)
膜構造:ガラス基板/ITO(10nm)/Ag合金(100nm)/ITO(10nm)
水蒸気添加量:HO/(Ar+HO)=0% or 1%
以上のようにして得られたスパッタリングターゲット、および、Ag膜について、以下のようにして各種評価を実施した。
(スパッタリングターゲット組成)
ターゲットスパッタ面から積層方向(厚さ方向)に1mmt,3mmt,5mmtの位置でサンプリングを行い、ICP発光分析によってGe含有量およびGa含有量を測定し、3箇所の平均値を表1に記載した。
また、ターゲットスパッタ面から積層方向(厚さ方向)に1mmt,3mmt,5mmtの位置でサンプリングを行い、ICP発光分析によってIn,SnをGD-MS分析によってNb,Siの含有量を測定するとともに、In,Sn,Nb,Siのそれぞれの標準偏差を算出した。測定結果を表1に示す。なお、表1では、1massppm未満を0massppmとして表記した。
(Ag膜組成)
2.0kWhスパッタ後にアルミナ基板/Ag合金(厚さ500nm)の構造で膜サンプルを作製した。
この膜サンプルに対して、ICP発光分析によってGe含有量およびGa含有量を測定した。また、膜中の不純物量として、In,SnをICP発光分析、Nb,SiをGD-MS分析によって測定した。
(反射率)
累計電力0.1kWh、2.0kWh、4.0kWhスパッタ後に、上述のスパッタ条件にて成膜サンプルを作製した。作製したAg膜を、大気雰囲気下250℃1hの熱処理を行い、450nmにおける反射率を分光光度計により測定した。表2には、スパッタ成膜時にArガスに水蒸気を添加した条件と、水蒸気を添加せずにArガスのみとした2条件で成膜したものについてそれぞれ記載するとともに、これらの反射率の差を記載した。
(耐硫化性試験)
耐硫化性試験では、スパッタ条件は上記の通りであるが、膜構造のみガラス基板/Ag合金(100nm)として、膜サンプルを作製した。
この膜を、25℃、75%、3ppmのHSガス雰囲気下に1h暴露し、暴露後の450nmにおける反射率を分光光度計により測定した。評価結果を表2に示す。
Figure 2022124997000002
Figure 2022124997000003
比較例1においては、5mmt位置においてInとSnとの合計含有量が100ppmを超えていた。4.0kWh後にArガスのみで成膜したAg膜と水蒸気を添加して成膜したAg膜とで反射率の差が大きくなった。
比較例2においては、1mmt位置においてInとSnとの合計含有量が100ppmを超えていた。0.1kWh後にArガスのみで成膜したAg膜と水蒸気を添加して成膜したAg膜とで反射率の差が大きくなった。
比較例3-6においては、1mmt位置、3mmt位置、5mmt位置のぞれぞれでInとSnとの合計含有量が100ppmを超えていた。0.1kWh後、2.0kWh後、4.0kWh後にArガスのみで成膜したAg膜と水蒸気を添加して成膜したAg膜とで反射率の差が大きくなった。
これに対して、1mmt位置、3mmt位置、5mmt位置のいずれでもInとSnとの合計含有量が100ppm未満とされた本発明例1-16においては、0.1kWh後、2.0kWh後、4.0kWh後にArガスのみで成膜したAg膜と水蒸気を添加して成膜したAg膜とで反射率の差が小さく、水蒸気が残存した状態でスパッタ成膜した場合であっても、熱処理後の反射率の低下を抑制できることが確認された。
また、Geを含有する本発明例1―6,8-12、Gaを含有する本発明例13-15、GeおよびGaを含有する本発明例16においては、Ge、Geを含有しない本発明例7に比べて、耐硫化試験後の反射率が高く、耐硫化性に優れたAg膜を成膜可能であることが確認された。
以上のことから、本発明例によれば、チャンバー内に水蒸気や酸素が残存している状態で成膜した場合であっても、熱処理等によって高温状態に保持されても突起の発生を抑制でき、高い反射率を維持することが可能なAg膜を成膜可能なスパッタリングターゲット、および、Ag膜を提供可能であることが確認された。
10 スパッタリングターゲット
11 スパッタリングターゲット材
12 バッキングプレート(バッキング材)
13 はんだ層

Claims (11)

  1. AgまたはAg合金からなるスパッタリングターゲット材と、はんだ層と、バッキング材と、が積層された構造のスパッタリングターゲットであって、
    前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所において、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所において、In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記スパッタリングターゲット材は、Geを0.3原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記スパッタリングターゲット材は、Gaを0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲内で含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記スパッタリングターゲット材は、GeおよびGaを含有し、Geの含有量をX原子%、Gaの含有量をY原子%としたときに、0.6X+Yが0.3原子%以上6.0原子%以下の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  6. 前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所で測定したIn,Snのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  7. 前記スパッタリングターゲット材の積層方向の複数の箇所で測定したNb,Siのそれぞれの含有量の標準偏差が10massppm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  8. Geを0.1原子%以上5.0原子%以下の範囲内で含有し、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴とするAg膜。
  9. Gaを0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲内で含有し、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴とするAg膜。
  10. GeおよびGaを含有し、Geの含有量をx原子%、Gaの含有量をy原子%としたときに、0.8x+yが0.1原子%以上4.0原子%以下の範囲であることを特徴とする、InおよびSnの合計含有量が100massppm未満であることを特徴とするAg膜。
  11. In,Sn,Nb,Siの合計含有量が100massppm未満であることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のAg膜。
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