JP2022124870A - コイル部品、電子機器、及びコイル部品の製造方法 - Google Patents

コイル部品、電子機器、及びコイル部品の製造方法 Download PDF

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Michikazu Ikenaga
正士 津久井
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Abstract

【課題】高周波数帯域のインピーダンスを高くして、高周波ノイズを抑制すること。【解決手段】コイル部品500は、軸部12と軸部12の軸方向の両端に設けられる鍔部14、16とを有するドラムコア10と、芯線38と芯線38を覆う絶縁被膜40とを有する導線36が軸部12に接して軸方向に隣り合うように軸部12に巻回される第1周回部32と、導線36が第1周回部32の外側で軸方向に隣り合うように軸部12の周囲に巻回される第2周回部34と、を有し、第2周回部34の芯線38と第1周回部32の芯線38との間の最短距離L2は第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1よりも大きく、第2周回部34の一端は第1周回部32の一端に連結されるコイル部30と、第1周回部32の他端と第2周回部34の他端にそれぞれ電気的に接続される一対の外部電極50a、50bとを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、コイル部品、電子機器、及びコイル部品の製造方法に関する。
軸部と軸部の両端に設けられた鍔部とを有するドラムコアの軸部に、絶縁被膜付きの導線を巻回したコイル部品が知られている(例えば、特許文献1)。また、絶縁被膜付きの導線を軸部の周りに2層以上に巻回したコイル部品も知られている(例えば、特許文献2)。
特開2007-180401号公報 特開2007-214453号公報
高周波ノイズを含む電流がコイル部品を流れる場合、高周波数帯域でのインピーダンスが低いコイル部品では高周波ノイズが減衰され難いため、コイル部品を通過して他の機器に影響を及ぼすことがある。例えば、DC-DCコンバータに用いられるコイル部品では、スイッチング素子による高速のスイッチ動作によって、高周波ノイズを含む電流がコイル部品を流れるようになる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高周波数帯域におけるインピーダンスを高くして、高周波ノイズを抑制することを目的とする。
本発明は、軸部と前記軸部の軸方向の両端に設けられる鍔部とを有するドラムコアと、芯線と前記芯線を覆う絶縁被膜とを有する導線が前記軸部に接して前記軸方向に隣り合うように前記軸部に巻回される第1周回部と、前記導線が前記第1周回部の外側で前記軸方向に隣り合うように前記軸部の周囲に巻回される第2周回部と、を有し、前記第2周回部の前記芯線と前記第1周回部の前記芯線との間の最短距離は前記第1周回部の隣り合う前記芯線同士の間の最短距離よりも大きく、前記第2周回部の一端は前記第1周回部の一端に連結されるコイル部と、前記第1周回部の他端と前記第2周回部の他端にそれぞれ電気的に接続される一対の外部電極と、を備えるコイル部品である。
上記構成において、前記第1周回部と前記第2周回部の間に設けられる第1樹脂部を備え、前記第2周回部は、前記第1樹脂部を前記第1周回部との間に挟んで前記第1周回部の外側に設けられている構成とすることができる。
上記構成において、前記第1樹脂部の比誘電率は、前記絶縁被膜の比誘電率よりも低い構成とすることができる。
上記構成において、前記第2周回部を覆う第2樹脂部を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記第2周回部の前記芯線と前記第1周回部の前記芯線との間の最短距離は、前記第1周回部の隣り合う前記芯線同士の間の最短距離の2倍以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記第2周回部の前記芯線と前記第1周回部の前記芯線との間の最短距離は、前記芯線の直径以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記第1周回部は、前記第2周回部よりも前記導線の周回数が多い構成とすることができる。
本発明は、上記に記載のコイル部品と、前記コイル部品が実装されている回路基板と、を備える電子機器である。
本発明は、軸部と前記軸部の両端に設けられる鍔部とを有するドラムコアを準備する工程と、前記ドラムコアに一対の外部電極の前駆体を形成する工程と、前記軸部に、芯線と前記芯線を覆う絶縁被膜とを有する導線を前記軸部に接するように巻回して第1周回部を形成する工程と、前記軸部の周囲に前記第1周回部を覆う樹脂部を形成する工程と、前記樹脂部を介して前記導線を前記軸部に巻回して、一端が前記第1周回部の一端に連結する第2周回部を形成する工程と、前記第1周回部の他端と前記第2周回部の他端を前記一対の外部電極の前駆体にそれぞれ電気的に接続することで一対の外部電極を形成する工程と、を備えるコイル部品の製造方法である。
上記構成において、前記導線を前記軸部に巻回した後に前記導線の巻き終わり側を前記一対の外部電極の前駆体を含む前記ドラムコアに仮止めすることで前記第1周回部を形成し、前記樹脂部を形成した後、前記導線の仮止めを外して前記導線を前記樹脂部上で前記軸部に巻回することで前記第2周回部を形成する構成とすることができる。
本発明によれば、高周波数帯域におけるインピーダンスが高くなり、高周波ノイズを抑制することができる。
図1は、本願発明の一実施形態に係るコイル部品の内部透視斜視図である。 図2は、図1のA-A間の断面図である。 図3(a)から図3(c)は、本実施形態に係るコイル部品の製造方法の一例を示す断面図(その1)である。 図4(a)から図4(c)は、本実施形態に係るコイル部品の製造方法の一例を示す断面図(その2)である。 図5は、比較形態1に係るコイル部品の断面図である。 図6は、比較形態2に係るコイル部品の断面図である。 図7は、比較形態1に係るコイル部品及び比較形態2に係るコイル部品のインピーダンスの周波数特性を模式的に示したグラフである。 図8は、本実施形態に係るコイル部品と比較形態2に係るコイル部品のインピーダンスの周波数特性を模式的に示したグラフである。 図9(a)から図9(c)は、本願発明の一実施形態の変形例に係るコイル部品の断面図である。 図10は、本願発明の一実施形態に係るコイル部品を備える電子機器の断面図である。 図11(a)から図11(c)は、実施例1から実施例3に係るコイル部品の断面図である。 図12(a)及び図12(b)は、比較例1及び比較例2に係るコイル部品の断面図である。 図13は、実施例1から実施例3及び比較例1、比較例2に係るコイル部品のインピーダンスの周波数特性のシミュレーション結果である。
以下、図面を適宜参照しながら、本願発明の実施形態について説明する。但し、本願発明は図示された態様に限定される訳ではない。また、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
[実施形態]
図1は、本願発明の一実施形態に係るコイル部品500の内部透視斜視図であり、図2は、図1のA-A間の断面図である。図1においては、図の明瞭化のために、導線36を簡略化して図示しているとともに第1周回部32にハッチングを付している。図2においては、図の明瞭化のために、第1周回部32及び第2周回部34の周回数を省略して図示している。図1及び図2には、様々な回路で受動素子として用いられる巻線インダクタが示されている。巻線インダクタは、本願発明に適用可能なコイル部品の一例である。本願発明は、DC-DCコンバータに用いられるパワーインダクタ及びそれ以外の様々なコイル部品に適用することができる。
本実施形態におけるコイル部品500は、図1及び図2に示すように、ドラムコア10と、コイル部30と、外部電極50a及び50bと、樹脂部60と、を備える。コイル部品500の「長さ」方向、「幅」方向、「高さ」方向をそれぞれ、「L軸」方向、「W軸」方向、「T軸」方向とする。L軸、W軸、T軸は、互いに直交している。コイル部30のコイル軸はL軸方向に沿って延びている。コイル部品500の大きさは、特に制限を受けないが、例えば幅寸法(W軸方向の寸法)及び高さ寸法(T軸方向の寸法)が1.0mm~4.5mm、長さ寸法(L軸方向の寸法)が1.6mm~8.0mmである。
ドラムコア10は、軸方向がL軸方向である軸部12と、軸部12の軸方向の一端に設けられた鍔部14と、他端に設けられた鍔部16と、を有する。軸部12は、軸方向に垂直な断面(TW断面)が例えば矩形である。鍔部14及び16は、軸部12の軸方向に厚みを有する角板である。なお、軸部12は、TW断面が円形、楕円形、矩形、六角形又は八角形などの多角形、又はこれらの組み合わせであってもよい。鍔部14及び16は、軸部12の軸方向に厚みを有する角板、円板、又はこれらの組み合わせであってもよい。
ドラムコア10は、フェライト材料又は金属磁性材料などの磁性材料を含んで形成されている。ドラムコア10は、磁性材料同士が無機材料を介して結合することで形成されていてもよいし、磁性材料が熱硬化性又は熱可塑性の樹脂で固められることで形成されていてもよい。フェライト材料の例として、例えばNi-Zn系フェライト又はMn-Zn系フェライトなど挙げられる。金属磁性材料の例として、例えばFe-Si-Cr系、Fe-Si-Al系、又はFe-Si-Cr-Al系などの軟磁性合金、Fe又はNiなどの磁性金属、アモルファス磁性金属、若しくはナノ結晶磁性金属などが挙げられる。ドラムコア10の比透磁率は30~800であり、比抵抗は1×10Ω・cm以上である。
コイル部30は、絶縁被膜付きの導線36が軸部12に接しながら軸部12の周囲に巻回された第1周回部32と、導線36が第1周回部32の外側で軸部12の周囲に巻回された第2周回部34と、を有する。導線36は第1周回部32から第2周回部34に連続して軸部12の周りを巻回している。したがって、第1周回部32の一端と第2周回部34の一端とは物理的に連結しており、電気的に直列に接続されている。第1周回部32の周回数と第2周回部34の周回数は、同じ場合でもよいし、異なる場合でもよい。本実施形態においては、第1周回部32の周回数は、第2周回部34の周回数よりも多くなっている。
第1周回部32において、導線36は軸部12の軸方向に隣り合って接しながら軸部12の周囲に巻回されている。同様に、第2周回部34において、導線36は軸部12の軸方向に隣り合って接しながら軸部12の周囲に巻回されている。第2周回部34は、ドラムコア10の外形よりも内側に位置している。なお、コイル部30は、軸部12の周囲に2層で巻回されている場合に限られず、3層以上で巻回されていてもよい。3層以上で巻回されている場合、最も外側の周回部がドラムコア10の外形よりも内側に位置する。
導線36は、金属からなる芯線38と、芯線38の周面を覆う絶縁被膜40と、を有する。芯線38は、例えば銅、銀、パラジウム、又は銀パラジウム合金で形成されている。絶縁被膜40は、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、又はポリウレタンなどの樹脂材料で形成されている。芯線38の断面形状は、例えば円形であるが、矩形などのその他の場合でもよい。
外部電極50aは鍔部14に直接接して又は接着剤を介して設けられ、外部電極50bは鍔部16に直接接して又は接着剤を介して設けられている。導線36が第1周回部32から鍔部14に向かって引き出されることで引出部42が形成され、第1周回部32の他端は引出部42を介して外部電極50aに電気的に接続されている。同様に、導線36が第2周回部34から鍔部16に向かって引き出されることで引出部44が形成され、第2周回部34の他端は引出部44を介して外部電極50bに電気的に接続されている。外部電極50a及び50bは、例えばニッケルと錫のめっきが施された銅、銀、パラジウム、又はパラジウム合金などの金属材料で形成されている。
樹脂部60は、鍔部14と鍔部16の間に設けられている。本実施形態では、樹脂部60は、第1周回部32及び第2周回部34を覆っている。樹脂部60は、第1周回部32を覆い且つ前記第2周回部34は覆わない樹脂部60aと、樹脂部60aの外側に位置して第2周回部34を覆う樹脂部60bと、を含む。樹脂部60aは、第1周回部32と第2周回部34の間に挟まれた樹脂部60a1と、第1周回部32と第2周回部34の間に挟まれていない樹脂部60a2と、を含む。樹脂部60の比抵抗は1×10Ω・cm以上である。
樹脂部60a1、樹脂部60a2、及び/又は樹脂部60bは、磁性材料を含む絶縁樹脂、例えばフェライト磁性粒子を含むエポキシ樹脂で形成されている。磁性材料は、金属磁性粒子であってもよい。なお、樹脂部60a1、樹脂部60a2、及び/又は樹脂部60bは、無機材料(シリカ粒子など)などの非磁性材料を含んでいてもよい。また、樹脂部60a1、樹脂部60a2、及び/又は樹脂部60bは、磁性材料を含まない絶縁樹脂で形成されていてもよいし、磁性材料は含まずに非磁性材料を含む絶縁樹脂で形成されていてもよい。
本実施形態では、樹脂部60a1と樹脂部60a2と樹脂部60bは同じ材質の樹脂を用いて形成されている。また、本実施形態では、樹脂部60の比誘電率は、導線36の絶縁被膜40の比誘電率よりも低く、例えば1より大きく10より小さい。
第1周回部32と第2周回部34の間に樹脂部60a1が設けられているため、第2周回部34は樹脂部60a1の厚さ分だけ第1周回部32から離れている。第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離をL1、第1周回部32の芯線38と第2周回部34の芯線38との間の最短距離をL2とすると、最短距離L2は最短距離L1よりも大きい。本実施形態においては、最短距離L2は、最短距離L1の2倍以上であり、芯線38の直径D以上である。
芯線38の直径Dは例えば0.02mm~1.2mmであり、絶縁被膜40の厚さTは例えば0.003mm~0.025mmである。最短距離L1は、絶縁被膜40の厚さTの2倍であり、例えば0.006mm~0.05mmである。最短距離L2は、最短距離L1よりも大きく、例えば0.015mm~1.8mmである。
なお、第2周回部34の外側に第3周回部がある場合、第2周回部34の芯線38と第3周回部の芯線38との間の最短距離は、第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1よりも大きい。例えば最短距離L1の2倍以上となっていてもよいし、芯線38の直径D以上となっていてもよい。第4周回部以降がある場合も同様である。
[製造方法]
図3(a)から図4(c)は、本実施形態に係るコイル部品500の製造方法の一例を示す断面図である。図3(a)に示すように、軸部12と軸部12の両端に設けられた鍔部14及び16とを有するドラムコア10を準備する。ドラムコア10は、例えば磁性材料同士を無機物で結合させることで形成される。この場合、磁性材料をプレス成形した成形体に対して例えば600℃~1100℃の熱処理を行う。なお、ドラムコア10は、無機物の結合による成型によって形成される場合に限られない。ドラムコア10は、例えば磁性材料と樹脂を混合した磁性体ペーストを金型のキャビティ内に充填してプレス成形することによって軸部12と鍔部14及び16とを有する成形体を形成し、この成形体に対して熱処理(例えば200℃程度)を行うことで形成されてもよい。
図3(b)に示すように、鍔部14及び16に外部電極の前駆体である金属膜52a及び52bを形成する。金属膜52a及び52bは、例えばスパッタリング法又は導電性ペーストの塗布によって下地層を形成した後にめっき法を用いて下地層上にめっき層を形成することによって形成することができる。なお、金属板を鍔部14及び16に接着あるいは嵌めこみすることで、この金属板を外部電極の前駆体としての金属膜52a及び52bとすることもできる。金属板は必要があるならば曲げ加工されていてもよく、表面にめっき層を有していてもよい。外部電極の前駆体である金属膜52a及び52bを形成する位置は任意に設定してもよく、図3(b)では鍔部14及び16の側面(LW面)に各1か所であるが、鍔部14及び16の他の面に設けられていたり、複数の面にまたがって設けられていたりしてもよい。
図3(c)に示すように、金属膜52a又はドラムコア10に巻き始め側を仮止めした導線36を軸部12に接するように軸部12の周りに矢印Aの方向に巻回して第1周回部32を形成する。このとき、導線36が軸部12の軸方向で隣り合って密着するように導線36を軸部12の周りに巻回する。第1周回部32を形成した巻き終わり側の導線36は切断せずに金属膜52b又はドラムコア10に仮止めする。
図4(a)に示すように、軸部12と第1周回部32の周囲に第1樹脂材料を塗布して硬化させることで、第1周回部32を覆う樹脂部60aを形成する。第1周回部32は、樹脂部60aにより完全に覆われ、樹脂部60aの表面には露出していない。なお、後述の図4(b)で説明する第2周回部34の形成が可能であれば、軸部12の周囲に塗布した第1樹脂材料を硬化させなくてもよい。また、樹脂部60aは、シート状の樹脂を軸部12の周囲に巻き付けることで形成してもよい。
図4(b)に示すように、導線36の仮止めを外して、樹脂部60aを介して導線36を軸部12の周りに矢印Bの方向に巻回して、第1周回部32に樹脂部60aを挟んで対向する第2周回部34を形成する。これにより、第1周回部32と第2周回部34が物理的に連続し、電気的に直列となったコイル部30が形成される。樹脂部60aは、第1周回部32と第2周回部34に挟まれた部分が樹脂部60a1となり、挟まれていない部分が樹脂部60a2となる。第2周回部34を形成するとき、導線36が軸部12の軸方向で隣り合って密着するように導線36を軸部12の周りに巻回する。樹脂部60a1上に第2周回部34が形成されることで、第2周回部34は樹脂部60a1の厚さ分だけ第1周回部32から離れて形成される。第2周回部34を形成した巻き終わり側の導線36を金属膜52b又はドラムコア10に仮止めする。
図4(c)に示すように、樹脂部60a上に第2樹脂材料を塗布して硬化させることで、第2周回部34を覆う樹脂部60bを形成する。樹脂部60aと樹脂部60bにより第1周回部32及び第2周回部34を覆う樹脂部60が形成される。本実施形態においては、樹脂部60aと樹脂部60bは同じ材料により形成されることから、第2樹脂材料は第1樹脂材料と同じ樹脂材料である。その後、第1周回部32を形成し始めた巻き初め側の導線36を金属膜52aに例えばはんだを用いて接合し、第2周回部34を形成し終えた巻き終わり側の導線36を金属膜52bに例えばはんだを用いて接合することで、第1周回部32及び第2周回部34に電気的に接続される外部電極50a及び50bを形成する。なお、はんだを用いた接合の代わりに、レーザなどによる熱溶着によって接合してもよいし、熱圧着などの圧着によって接合してもよい。これにより、コイル部品500が得られる。なお、図4(a)の工程のときに第1樹脂材料を硬化させていない場合は、第2樹脂材料の硬化と同時に第1樹脂材料も硬化させる。なお、樹脂部60bは、シート状の樹脂を軸部12の周囲に巻き付けることで形成してもよい。
[比較の形態]
図5は、比較形態1に係るコイル部品1000の断面図であり、図6は、比較形態2に係るコイル部品1100の断面図である。比較形態1に係るコイル部品1000は、図5に示すように、ドラムコア110の軸部112の周囲に絶縁被膜付きの導線136が軸部112に接しながら巻回されて第1周回部132が形成されているが、第2周回部は形成されていない。すなわち、コイル部130は第1周回部132のみで構成されている。導線136は、芯線138と絶縁被膜140を有する。第1周回部132の一端は鍔部114に設けられた外部電極150aに電気的に接続され、他端は鍔部116に設けられた外部電極150bに電気的に接続されている。鍔部114と鍔部116の間に、第1周回部132を覆う樹脂部160が設けられている。
比較形態2に係るコイル部品1100は、図6に示すように、導線136が軸部112の周囲を2層に巻回されている。このため、コイル部130は、軸部112に接して軸部112の周囲に巻回された第1周回部132と、第1周回部132の外側で軸部112の周囲に巻回された第2周回部134と、で構成されている。比較形態2では、導線136を軸部112の周囲に巻回して第1周回部132と第2周回部134を形成した後に樹脂部160を形成しているため、第2周回部134の導線136は第1周回部132の導線136に接している。その他の構成は比較形態1に係るコイル部品1000と同じであるため説明を省略する。
図7は、比較形態1に係るコイル部品1000及び比較形態2に係るコイル部品1100のインピーダンスの周波数特性を模式的に示したグラフである。図7は、横軸と縦軸が共に対数スケールとなっている両対数グラフである。図7の横軸は周波数であり、縦軸はインピーダンスである。比較形態1のインピーダンス特性を一点鎖線で示し、比較形態2のインピーダンス特性を点線で示している。
インダクタは、理想的には周波数が高くなるに従いインピーダンスが直線的に高くなるが、実際は導線間の寄生容量などが存在するため、並列共振回路が形成され、共振周波数のときに最もインピーダンスが高くなる。このため、比較形態1では、図7に示すように、共振周波数frまでインピーダンスは上昇し、共振周波数frのときにインピーダンスが最も高くなり、その後、インピーダンスは低下している。高周波ノイズを含む電流がコイル部品を流れる場合、高周波ノイズを効果的に減衰させるには、広い高周波数帯域にわたって所定値以上のインピーダンスをとる場合が好ましいが、インダクタンスが小さいと高周波数帯域における低周波数側で所定値以上のインピーダンスが得られない場合がある。例えば、比較形態1では、周波数f1近傍でのインピーダンスが所定値よりも小さくなってしまう場合がある。
コイル部品の大型化を抑制しつつ、インダクタンスを大きくするには、比較形態2のように、コイル部130を第1周回部132と第2周回部134の2層構造にして、巻き数を増やすことが考えられる。しかしながら、この場合、第1周回部132において隣接する導線136間及び第2周回部134において隣接する導線136間に形成される寄生容量に加えて、第1周回部132の導線136と第2周回部134の導線136との間にも寄生容量が形成される。また、第1周回部132から第2周回部134への導線136の巻き返しによって寄生インダクタンスが形成される。このため、比較形態2では、2つの並列共振回路が直列に接続された態様となり、図7に示すように、2つの共振点が形成される。低周波数側の共振周波数fr1における共振は、主に第1周回部132の導線136と第2周回部134の導線136との間の寄生容量により形成され、高周波側の共振周波数fr2における共振は、主に第1周回部132及び第2周回部134各々において隣接する導線136の間の寄生容量により形成される。2つの共振点が形成される場合、共振周波数fr1とfr2の間でのインピーダンスが、高周波ノイズを効果的に減衰させることが可能な所定値よりも小さくなる場合がある。
図8は、本実施形態に係るコイル部品500と比較形態2に係るコイル部品1100のインピーダンスの周波数特性を模式的に示したグラフである。図8は、図7と同様に、両対数グラフであり、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスである。本実施形態のインピーダンス特性を実線で示し、比較形態2のインピーダンス特性を点線で示している。
比較形態2では、第1周回部132の導線136と第2周回部134の導線136とが互いに接している。これに対し、本実施形態では、第2周回部34の導線36は第1周回部32の導線36から離れて設けられている。よって、本実施形態では、比較形態2に比べて、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量が小さくなる。このため、図8に示すように、本実施形態では、比較形態2に比べて、低周波側の共振周波数fr1´は大きく高周波数側にシフトし、低周波数側の共振周波数fr1´に対する高周波数側の共振周波数fr2´の比が小さくなる。すなわち、本実施形態におけるfr2´/fr1´の値は、比較形態2におけるfr2/fr1に比べて小さくなる。このように、本実施形態では、共振周波数fr1´とfr2´の間隔が狭くなることで、共振周波数fr1´とfr2´の間のインピーダンスの落ち込みが小さく抑えられ、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスが高くなり、高周波ノイズを効果的に減衰させることができる。
本実施形態によれば、図1及び図2に示すように、コイル部30は、芯線38と絶縁被膜40を有する導線36が軸部12に接して軸部12の軸方向に隣り合うように軸部12に巻回された第1周回部32と、導線36が第1周回部32の外側で軸部12の軸方向に隣り合うように軸部12の周囲に巻回された第2周回部34と、を有し、第2周回部34の一端は第1周回部32の一端に連結されている。第2周回部34の芯線38と第1周回部32の芯線38との間の最短距離L2は、第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1よりも大きくなっている。これにより、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量が小さくなり、図8に示したように、低周波数側の共振周波数fr1´に対する高周波数側の共振周波数fr2´の比(fr2´/fr1´)が小さくなる。このため、共振周波数fr1´とfr2´の間隔が狭くなり、共振周波数fr1´とfr2´の間でのインピーダンスの落ち込みが小さく抑えられる。よって、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスを高くすることができ、高周波ノイズを抑制することができる。例えば、コイル部品500が300kHz~6MHzのスイッチ動作を行うDC-DCコンバータに用いられる場合に、スイッチ動作よりも高周波数の帯域である10MHz~500MHzにおいて1kΩ以上のインピーダンスを得ることができ、スイッチ動作に伴う高周波ノイズを抑制することができる。
共振周波数fr1´とfr2´の間のインピーダンスの落ち込みを小さく抑えるために、低周波数側の共振周波数fr1´に対する高周波数側の共振周波数fr2´の比(fr2´/fr1´)は、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。また、例えば10MHz~500MHzの高周波数帯域におけるインピーダンスを高くする点から、高周波数側の共振周波数fr2´を400MHz以下にしつつ、低周波数側の共振周波数fr1´を50MHz以上、若しくは75MHz以上とすることが好ましい。
また、本実施形態で、第1周回部32と第2周回部34の間に樹脂部60a1を備え、第2周回部34は樹脂部60a1を第1周回部32との間に挟んで第1周回部32の外側に設けられている。これにより、第2周回部34が第1周回部32から離れ、第2周回部34の芯線38と第1周回部32の芯線38との間の最短距離L2が第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1よりも大きい構造を容易に得ることができる。
また、本実施形態では、第1周回部32と第2周回部34の間の樹脂部60a1の比誘電率は、絶縁被膜40の比誘電率よりも小さい。樹脂部60a1の比誘電率が絶縁被膜40の比誘電率よりも小さいことにより、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくできるため、低周波数側の共振周波数fr1´に対する高周波数側の共振周波数fr2´の比が小さくなる。よって、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスを高くでき、高周波ノイズを効果的に抑制できる。第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくする点から、樹脂部60a1の比誘電率は、絶縁被膜40の比誘電率の0.95倍未満が好ましく、0.9倍未満がより好ましく、0.8倍未満が更に好ましい。なお、上記実施形態において、樹脂部60a1の比誘電率は絶縁被膜40の比誘電率以下であってもよい。
また、本実施形態では、樹脂部60bは第2周回部34を覆って設けられている。これにより、第2周回部34を保護することができる。また、樹脂部60bが磁性材料を含む場合では、インダクタンスを高めることができる。なお、本実施形態では、第1周回部32と第2周回部34の間に設けられる樹脂部60aと、第2周回部34を覆う樹脂部60bと、が同じ材料で形成されている場合を例に示したが、異なる材料で形成されている場合でもよい。この点の詳細については後述する。
また、本実施形態では、第2周回部34の芯線38と第1周回部32の芯線38との間の最短距離L2は、第1周回部32の隣り合う芯線38の間の最短距離L1の2倍以上である。これにより、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を効果的に小さくでき、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスを効果的に高くすることができる。例えば、10MHz~500MHzの高周波数帯域において1kΩ以上のインピーダンスを得ることができる。第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくする点から、第2周回部34の芯線38と第1周回部32の芯線38との間の最短距離L2は、第1周回部32の隣り合う芯線38の間の最短距離L1の2.5倍以上が好ましく、3.0倍以上がより好ましく、3.5倍以上が更に好ましい。
また、本実施形態では、第2周回部34の芯線38と第1周回部32の芯線38との間の最短距離L2は、芯線38の直径D以上である。これにより、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を効果的に小さくでき、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスを効果的に高くすることができる。例えば、10MHz~500MHzの高周波数帯域において1kΩ以上のインピーダンスを得ることができる。第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくする点から、第2周回部34の芯線38と第1周回部32の芯線38との間の最短距離L2は、芯線38の直径Dの1.5倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましく、2.5倍以上が更に好ましい。
また、本実施形態では、第1周回部32は、第2周回部34よりも導線36の周回数が多い。これにより、インダクタンスを所望の大きさにでき、所望の高周波数帯域にわたってインピーダンスを高くすることができる。
本実施形態によれば、図3(a)に示すように、軸部12と鍔部14、16とを有するドラムコア10を準備する。図3(b)に示すように、ドラムコア10に一対の外部電極の前駆体である金属膜52a及び52bを形成する。図3(c)に示すように、軸部12に導線36を軸部12に接するように巻回して第1周回部32を形成する。図4(a)に示すように、軸部12の周囲に第1周回部32を覆う樹脂部60aを形成する。図4(b)に示すように、樹脂部60aを介して導線36を軸部12に巻回して、一端が第1周回部32の一端に連結する第2周回部34を形成する。図4(c)に示すように、第1周回部32の他端と第2周回部34の他端を金属膜52a及び52bにそれぞれ電気的に接続することで一対の外部電極50a及び50bを形成する。これにより、第2周回部34は樹脂部60aを挟んで第1周回部32の外側に設けられるため、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量が小さくなり、低周波数側の共振周波数fr1´に対する高周波数側の共振周波数fr2´の比が小さくなる。よって、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスを高くでき、高周波ノイズを効果的に抑制できる。
また、本実施形態では、図3(c)で説明したように、導線36を軸部12に巻回した後に導線36の巻き終わり側を金属膜52a及び52bを含むドラムコア10に仮止めすることで第1周回部32を形成する。図4(b)で説明したように、樹脂部60aを形成した後、導線36の仮止めを外して導線36を樹脂部60a上で軸部12に巻回することで第2周回部34を形成する。これにより、第2周回部34が樹脂部60aを挟んで第1周回部32の外側に設けられた構造を容易に得ることができる。
なお、上記実施形態において、外部電極50aは鍔部14に設けられ、外部電極50bは鍔部16に設けられる場合を例に示したが、外部電極50a及び50bの両方が鍔部14及び16のどちらか一方に設けられている場合でもよい。
[実施形態の変形例]
図9(a)は、本願発明の一実施形態の変形例1に係るコイル部品600の断面図である。変形例1に係るコイル部品600では、図9(a)に示すように、樹脂部60aを形成する樹脂材料と樹脂部60bを形成する樹脂材料とが異なっている。すなわち、樹脂部60a1及び樹脂部60a2と樹脂部60bとは異なる材料により構成されている。材料が異なるとは、磁性材料及び樹脂の少なくとも一方が異なる場合である。その他の構成は、上記実施形態に係るコイル部品500と同じであるため説明を省略する。変形例1は、樹脂部60aと樹脂部60bが異なる樹脂材料を用いて形成される以外は、上記実施形態と同様に作製することができる。
変形例1のように、第1周回部32と第2周回部34の間に設けられる樹脂部60aと、第2周回部34を覆う樹脂部60bとは、異なる材料により形成されて、比誘電率が異なる場合でもよい。これにより、樹脂部60aは第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくするのに適した材料により形成し、樹脂部60bは第2周回部34の保護及び/又はインダクタンスの向上に適した材料により形成することが可能となる。第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくする点から、樹脂部60aの比誘電率は樹脂部60bの比誘電率より小さい場合が好ましく、0.9倍未満がより好ましく、0.7倍未満が更に好ましい。また、コイル部品500のインダクタンスを向上させる点から、樹脂部60bの比透磁率は樹脂部60aの比透磁率よりも高い場合が好ましく、1.1倍以上がより好ましく、1.2倍以上が更に好ましい。
図9(b)は、本願発明の一実施形態の変形例2に係るコイル部品700の断面図である。変形例2に係るコイル部品700は、図9(b)に示すように、樹脂部60aは、樹脂部60a1と樹脂部60a2に加えて、樹脂部60a1及び樹脂部60a2と軸部12との間の樹脂部60a3を有する。樹脂部60a1と樹脂部60a2は同じ樹脂材料により形成され、樹脂部60a3と樹脂部60bは同じ樹脂材料により形成されている。樹脂部60a1及び樹脂部60a2と、樹脂部60a3及び樹脂部60bと、は異なる樹脂材料により形成されている。その他の構成は、上記実施形態に係るコイル部品500と同じであるため説明を省略する。変形例2は、第1周回部32を形成した後、第2周回部34を形成する前に、樹脂部60a3と樹脂部60a1及び60a2とを順に形成する以外は、上記実施形態と同様に作製することができる。
変形例2のように、第1周回部32は、第2周回部34を覆う樹脂部60bと同じ材料で構成された樹脂部60a3で覆われる場合でもよい。この場合でも、第1周回部32と第2周回部34の間に樹脂部60a1と樹脂部60a3が設けられているため、第2周回部34を第1周回部32から離して、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくできる。また、変形例1と同様に、樹脂部60a1及び樹脂部60a2は第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくするのに適した材料により形成し、樹脂部60a3及び樹脂部60bは第1周回部32及び第2周回部34の保護及び/又はインダクタンスの向上に適した材料により形成することが可能となる。
なお、変形例2において、樹脂部60a3と樹脂部60bは、同じ樹脂材料により形成される場合に限られず、異なる樹脂材料により形成される場合でもよい。すなわち、鍔部14と鍔部16の間に、3つ又はそれ以上の異なる材料からなる樹脂部が形成されていてもよい。
図9(c)は、本願発明の一実施形態の変形例3に係るコイル部品800の断面図である。変形例3に係るコイル部品800は、図9(c)に示すように、第2周回部34は樹脂部で覆われていない。すなわち、樹脂部60は樹脂部60aのみで構成されている。その他の構成は、上記実施形態に係るコイル部品500と同じであるため説明を省略する。変形例3では、上記実施形態に係るコイル部品500の製造工程の図4(a)のときに第1樹脂材料を硬化させていない場合は、第1周回部32及び第2周回部34に電気的に接続される外部電極50a及び50bを形成する前に第1樹脂材料を硬化させることを行う。
変形例3のように、第2周回部34を覆う樹脂部が設けられていない場合でもよい。この場合でも、第1周回部32と第2周回部34の間に樹脂部60a1が設けられていることで、第2周回部34を第1周回部32から離して、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくできる。また、第2周回部34を覆う樹脂部が設けられていないので、鍔部14及び16の寸法を小さくすることができ、小型のコイル部品とすることができる。
上記実施形態及びその変形例では、樹脂部60aを構成する樹脂部60a1と樹脂部60a2が同じ材質の樹脂材料により形成される場合を例に示したが、異なる材質の樹脂材料により形成される場合でもよい。この場合、第1周回部32の導線36と第2周回部34の導線36との間の寄生容量を小さくする点から、樹脂部60a1の比誘電率は、樹脂部60a2の比誘電率よりも低い場合が好ましい。
図10は、本願発明の一実施形態に係るコイル部品500を備える電子機器900の断面図である。電子機器900は、図10に示すように、コイル部品500が回路基板90に実装されている。コイル部品500は、外部電極50a及び50bがはんだ92によって回路基板90のランド電極94に接合されることで、回路基板90に実装されている。これにより、コイル部品500を流れる電流に含まれる高周波ノイズが抑制されるため、回路基板90に実装された他の機器への高周波ノイズの影響を抑えることができる。電子機器900としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、及びゲームコンソールなどが挙げられる。なお、回路基板90に実装されるコイル部品は、実施形態の変形例1~3に係るコイル部品600~800の場合でもよい。
以下、本願発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本願発明はこれらの実施例に記載された態様に限定される訳ではない。以下の実施例及び比較例のコイル部品では、長さ寸法(L軸方向の寸法)を3.20mm、幅寸法(W軸方向の寸法)を1.94mm、高さ寸法(T軸方向の寸法)を2.14mmとした。より詳細には、ドラムコア10の軸部12を、TW断面形状が1.09mm×1.09mmの正方形で、長さ寸法(L軸方向の寸法)が2.00mmの角柱とした。軸部12からコイル部品の外形までの距離を0.425mmとした。鍔部14及び16を、厚みが0.60mmの角板とし、平面視において1辺が1.94mmの正方形とした。外部電極50a及び50bは、W軸方向の寸法を1.94mm、L軸方向の寸法を0.60mm、T軸方向の寸法(厚み)を0.20mmとした。
[実施例]
図11(a)から図11(c)は、実施例1から実施例3に係るコイル部品の断面図である。なお、図の明瞭化のために、導線36の周回数は省略して図示している。実施例1のコイル部品は、図11(a)に示すように、芯線38の周面が絶縁被膜40で覆われた導線36をドラムコア10の軸部12に接しながら軸部12の周囲に巻回して第1周回部32を形成するとともに、導線36を第1周回部32の外側で軸部12の周囲に巻回して第2周回部34を形成して、第1周回部32と第2周回部34とからなるコイル部30を形成した。第1周回部32の周回数は23ターンとし、第2周回部34の周回数は12ターンとした。ドラムコア10は、鉄(Fe)を主成分としてニッケル(Ni)と亜鉛(Zn)と銅(Cu)を含む軟磁性合金により形成した。芯線38は、断面形状が円形の銅線で、直径Dを0.08mmとした。絶縁被膜40は、ポリイミド樹脂(比誘電率:3.5)からなり、厚さを0.005mmとした。第1周回部32及び第2周回部34において、軸部12の軸方向(L軸方向)で隣り合う導線36は接しており、隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1は絶縁被膜40の厚さの2倍である0.01mmとなっている。
鍔部14と鍔部16の間であって軸部12の周囲に、第1周回部32と第2周回部34を覆う樹脂部61を形成した。樹脂部61は第1周回部32と第2周回部34との間にも形成されている。第1周回部32と第2周回部34との間の樹脂部61の厚さを調整して、第1周回部32における芯線38と第2周回部34における芯線38との間の最短距離L2を0.16mmとした。樹脂部61は、フェライト磁性粒子と硬化剤としてのシリコン(Si)と炭素(C)を含むエポキシ樹脂で形成し、比誘電率を3.3とした。第1周回部32の端部を外部電極50aに電気的に接続し、第2周回部34の端部を外部電極50bに電気的に接続した。外部電極50aと外部電極50bは銀で形成した。
実施例2のコイル部品は、図11(b)に示すように、第2周回部34は樹脂部で覆われないようにした。第2周回部34における導線36の外周は鍔部14及び16の面と一致するようにした。このため、第1周回部32における芯線38と第2周回部34における芯線38との間の最短距離L2は0.24mmとなっている。また、第1周回部32の周回数は23ターンとし、第2周回部34の周回数は18ターンとした。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例3のコイル部品は、図11(c)に示すように、第1周回部32及び第2周回部34は樹脂部61で覆われているが、第1周回部32と第2周回部34の間に樹脂部61とは異なる材料からなる樹脂部62が設けられている構造とした。樹脂部62は、テフロン(登録商標)で形成し、比誘電率を2.0とし、厚さを0.2mmとした。第1周回部32における芯線38と第2周回部34における芯線38との間の最短距離L2は0.21mmとした。また、第1周回部32の周回数は23ターンとし、第2周回部34の周回数は18ターンとした。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
[比較例]
図12(a)及び図12(b)は、比較例1及び比較例2に係るコイル部品の断面図である。なお、図の明瞭化のために、導線36の周回数は省略して図示している。比較例1のコイル部品は、図12(a)に示すように、第1周回部32のみを形成し、第2周回部は形成しないこととし、コイル部30は第1周回部32のみで構成されるとした。第1周回部32の周回数は18ターンとした。また、芯線38の直径Dを0.105mmとした。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
比較例2のコイル部品は、図12(b)に示すように、第2周回部34の導線36が第1周回部32の導線36に接するように第2周回部34を形成した。したがって、第1周回部32における芯線38と第2周回部34における芯線38との間の最短距離L2は絶縁被膜40の厚さの2倍である0.01mmとなっている。第1周回部32の周回数は23ターンとし、第2周回部34の周回数は12ターンとした。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例1から実施例3及び比較例1、比較例2のコイル部品のインピーダンスの周波数特性をシミュレーションにより求めた。図13は、実施例1から実施例3及び比較例1、比較例2に係るコイル部品のインピーダンスの周波数特性のシミュレーション結果である。図13は、横軸と縦軸が共に対数スケールとなっている両対数グラフである。図13の横軸は周波数であり、縦軸はインピーダンスである。実施例1のインピーダンス特性を太実線で示し、実施例2のインピーダンス特性を細実線で示し、実施例3のインピーダンス特性を破線で示し、比較例1のインピーダンス特性を一点鎖線で示し、比較例2のインピーダンス特性を点線で示している。
図13に示すように、コイル部30が第1周回部32と第2周回部34で構成されている実施例1から実施例3及び比較例2は、2つの共振点が形成されていることが確認できる。この場合に、第1周回部32の芯線38と第2周回部34の芯線38との間の最短距離L2が第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1よりも大きい実施例1から実施例3は、最短距離L2が最短距離L1と等しい比較例2に比べて、低周波数側の共振周波数に対する高周波数側の共振周波数の比が小さくなり、2つの共振周波数の間のインピーダンスの落ち込みが小さくなっていることが確認できる。したがって、実施例1から実施例3では、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスが高くなっている。このシミュレーション結果から、第1周回部32の芯線38と第2周回部34の芯線38との間の最短距離L2を第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1よりも大きくすることで、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスを高くすることができ、高周波ノイズを抑制できる効果が得られることが確認できる。例えば、コイル部品が300kHz~6MHzのスイッチ動作を行うDC-DCコンバータに用いられる場合に、スイッチ動作よりも高周波数の帯域である10MHz~500MHzにおいて1kΩ以上のインピーダンスを得ることができ、スイッチ動作に伴う高周波ノイズを抑制することができる。
また、第1周回部32の芯線38と第2周回部34の芯線38との間の最短距離L2が第1周回部32の隣り合う芯線38同士の間の最短距離L1よりも大きければ、図11(b)の実施例2のように、第2周回部34が樹脂部で覆われていない場合や、図11(c)の実施例3のように、第1周回部32及び第2周回部34を覆う樹脂部61とは異なる樹脂部62が第1周回部32と第2周回部34の間に設けられている場合でも、広い高周波数帯域にわたってインピーダンスを高くできることが確認できる。
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 ドラムコア
12 軸部
14、16 鍔部
30 コイル部
32 第1周回部
34 第2周回部
36 導線
38 芯線
40 絶縁被膜
42、44 引出部
50a、50b 外部電極
52a、52b 金属膜
60、60a、60b、60a1、60a2、60a3 樹脂部
61、62 樹脂部
90 回路基板
92 はんだ
94 ランド電極
110 ドラムコア
112 軸部
114、116 鍔部
130 コイル部
132 第1周回部
134 第2周回部
136 導線
138 芯線
140 絶縁被膜
150a、150b 外部電極
160 樹脂部
500、600、700、800、1000、1100 コイル部品
900 電子機器

Claims (10)

  1. 軸部と前記軸部の軸方向の両端に設けられる鍔部とを有するドラムコアと、
    芯線と前記芯線を覆う絶縁被膜とを有する導線が前記軸部に接して前記軸方向に隣り合うように前記軸部に巻回される第1周回部と、前記導線が前記第1周回部の外側で前記軸方向に隣り合うように前記軸部の周囲に巻回される第2周回部と、を有し、前記第2周回部の前記芯線と前記第1周回部の前記芯線との間の最短距離は前記第1周回部の隣り合う前記芯線同士の間の最短距離よりも大きく、前記第2周回部の一端は前記第1周回部の一端に連結されるコイル部と、
    前記第1周回部の他端と前記第2周回部の他端にそれぞれ電気的に接続される一対の外部電極と、を備えるコイル部品。
  2. 前記第1周回部と前記第2周回部の間に設けられる第1樹脂部を備え、
    前記第2周回部は、前記第1樹脂部を前記第1周回部との間に挟んで前記第1周回部の外側に設けられている、請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記第1樹脂部の比誘電率は、前記絶縁被膜の比誘電率よりも低い、請求項2に記載のコイル部品。
  4. 前記第2周回部を覆う第2樹脂部を備える、請求項2または3に記載のコイル部品。
  5. 前記第2周回部の前記芯線と前記第1周回部の前記芯線との間の最短距離は、前記第1周回部の隣り合う前記芯線同士の間の最短距離の2倍以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
  6. 前記第2周回部の前記芯線と前記第1周回部の前記芯線との間の最短距離は、前記芯線の直径以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
  7. 前記第1周回部は、前記第2周回部よりも前記導線の周回数が多い、請求項1から6のいずれか一項に記載のコイル部品。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品と、
    前記コイル部品が実装されている回路基板と、を備える電子機器。
  9. 軸部と前記軸部の両端に設けられる鍔部とを有するドラムコアを準備する工程と、
    前記ドラムコアに一対の外部電極の前駆体を形成する工程と、
    前記軸部に、芯線と前記芯線を覆う絶縁被膜とを有する導線を前記軸部に接するように巻回して第1周回部を形成する工程と、
    前記軸部の周囲に前記第1周回部を覆う樹脂部を形成する工程と、
    前記樹脂部を介して前記導線を前記軸部に巻回して、一端が前記第1周回部の一端に連結する第2周回部を形成する工程と、
    前記第1周回部の他端と前記第2周回部の他端を前記一対の外部電極の前駆体にそれぞれ電気的に接続することで一対の外部電極を形成する工程と、を備えるコイル部品の製造方法。
  10. 前記導線を前記軸部に巻回した後に前記導線の巻き終わり側を前記一対の外部電極の前駆体を含む前記ドラムコアに仮止めすることで前記第1周回部を形成し、
    前記樹脂部を形成した後、前記導線の仮止めを外して前記導線を前記樹脂部上で前記軸部に巻回することで前記第2周回部を形成する、請求項9に記載のコイル部品の製造方法。
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