JP2022122104A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】ファインなフォトリソ特性を有し、誘電率特性と強靭性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、該組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、および、該硬化物を有する電子部品を提供する。【解決手段】(A)光硬化性樹脂、(B)光重合開始剤、および、(C)酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、前記(A)光硬化性樹脂の25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65であり、前記(C)酸化チタンが、25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65である有機アルコキシシランで被覆されていることを特徴とする硬化性樹脂組成物等である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品に関する。
基板材料の誘電率が大きくなるほど信号の電播波長は小さくなるため、アンテナやパワーアンプ用途の回路基板の小型化には比誘電率が高い基板材料が望まれる。また、周波数が高くなるほど信号の伝送損失が大きくなるため、伝送損失が少なくなる誘電正接の低い材料が重要とされる。つまり、高誘電率と低誘電正接の両立できる材料がアンテナやパワーアンプの小型化用途に求められる。
通常、電気絶縁耐性の観点から樹脂の極性基の数を減らす手法が取られるため、電気絶縁耐性と高誘電率の両立を樹脂のみで達成することは困難である。また、樹脂の誘電率は、双極子分極により支配されるため、低誘電正接の樹脂は一般に低誘電率である。
そこで、高誘電率と低誘電正接を両立するために、酸化チタン等の高誘電率の無機充填剤を高充填化することが有効である(例えば、特許文献1)。
特開2003-119379号公報
しかし、酸化チタンを高充填化すると、機械物性が劣り、脆弱な硬化塗膜となり、高信頼性用途には向かない。また、感光性材料では、酸化チタンの高い屈折率特性によりファインなパターニングが不可能であった。
そこで本発明の目的は、ファインなフォトリソ特性を有し、誘電率特性と強靭性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、該組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、および、該硬化物を有する電子部品を提供することにある。
本発明者は、上記目的の実現に向け、酸化チタンの表面処理に着目して鋭意検討を行なった。その結果、本発明者は、D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65の光硬化性樹脂に対し、D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65の有機アルコキシシランで被覆された酸化チタンを配合することによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)光硬化性樹脂、(B)光重合開始剤、および、(C)酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、前記(A)光硬化性樹脂の25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65であり、前記(C)酸化チタンが、25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65である有機アルコキシシランで被覆されていることを特徴とするものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記有機アルコキシシランがカルド構造を有することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記(C)酸化チタンが、少なくとも2種の前記有機アルコキシシランで被覆されている、または、前記有機アルコキシシランおよび前記有機アルコキシシラン以外の有機アルコキシシランで被覆されていることが好ましい。
本発明のドライフィルムは、前記硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物、または、前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とするものである。
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、ファインなフォトリソ特性を有し、誘電率特性と強靭性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、該組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、および、該硬化物を有する電子部品を提供することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)光硬化性樹脂、(B)光重合開始剤、および、(C)酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、前記(A)光硬化性樹脂の25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65であり、前記(C)酸化チタンが、25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65である有機アルコキシシランで被覆されていることを特徴とするものである。感光性(絶縁)材料は、一般的に屈折率1.4~1.8程度のアクリレートの感光性ポリマー、オリゴマーを使用し、高い熱安定性や機能特性を付与するため、無機フィラーの高充填化を図る手法をとることが知られている。しかし、酸化チタンの屈折率は、2.5~2.6であり、高充填化するほど、界面での散乱光が増え、小径開口性が得られにくくなる。本発明は、特に感光波長である365nmの屈折率を酸化チタンに被覆する表面処理によりコントロールする技術である。
即ち、本発明においては、(A)前記屈折率を有する光硬化性樹脂と、前記屈折率を有する特定の有機アルコキシシランで被覆された酸化チタン表面との屈折率差が比較的近いので、活性エネルギー線の散乱(レイリー散乱およびミー散乱)を抑制することができる。これにより、理論的には活性エネルギー線の透過率が最大となり、本発明においては良好な深部硬化性を得ることができる。よって、酸化チタンを高充填した場合においても解像性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明において、(A)光硬化性樹脂の屈折率と(C)酸化チタンを被覆する有機アルコキシシランの屈折率との差は0.15以下であることが好ましく、0.13以下であることがより好ましく、0.10以下であることがさらにより好ましく、0.08以下であることが特に好ましい。ここで、(A)光硬化性樹脂と(C)酸化チタンを被覆する有機アルコキシシランがそれぞれ複数存在する場合、いずれかの(A)光硬化性樹脂の屈折率と(C)酸化チタンを被覆する有機アルコキシシランの屈折率との差が0.15以下であればよい。但し、(A)光硬化性樹脂が複数の場合は、質量%換算で(A)光硬化性樹脂中に最も多く含まれる(A)光硬化性樹脂の屈折率と、(C)酸化チタンを被覆する有機アルコキシシランの屈折率との差が0.15以下であることが好ましい。
また、本発明において、前記有機アルコキシシランは、フルオレン骨格などのカルド構造を有することが好ましい。カルド構造を有する有機アルコキシシランにて被覆した酸化チタンを配合することにより、解像性に優れ、誘電特性に優れた硬化物が得られる。
本発明においては、(A)光硬化性樹脂としての後述するフェノール樹脂を出発原料とする光硬化性樹脂やマレイミド構造を有する光硬化性共重合樹脂と、(C)特定の有機アルコキシシランで被覆された酸化チタンを併用することにより、解像性に優れ、誘電特性と強靭性に優れた硬化物が得られる樹脂組成物を提供することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は紫外線(400nm前後)で露光を行うが、屈折率のコントロールは、広く一般的に示されるD線での屈折率を用いる。本発明の硬化性樹脂組成物は、D線での屈折率が1.50~1.65の(A)光硬化性樹脂と、D線での屈折率が1.50~1.65である有機アルコキシシランで被覆されている(C)酸化チタンとを併用することにより、優れた解像性を得ることができたことから、D線での屈折率で調整した組合せで、本発明の目的を十分に達成することができることが分かる。
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
[(A)光硬化性樹脂]
(A)光硬化性樹脂は、D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65である光硬化性樹脂であり、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく用いられる。エチレン性不飽和基を有する化合物としては、公知慣用の化合物を用いればよく、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂等のポリマーや、感光性モノマーである光重合性オリゴマー、光重合性ビニルモノマー等を用いることができ、ラジカル重合性のモノマーやカチオン重合性のモノマーでもよい。エチレン性不飽和基としては、ビニル基や(メタ)アクリロイル基が挙げられる。本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、メタクリロイル基およびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
本発明の組成物がアルカリ現像型の場合には、(A)光硬化性樹脂はアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。(A)光硬化性樹脂がアルカリ可溶性樹脂であると、特に解像性に優れた硬化物を得ることができる。アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性基を有する樹脂であればよく、アルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうちのいずれか1種である。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられ、中でも現像性に優れるためカルボキシル基含有樹脂が好ましい。カルボキシル基含有樹脂の中でもフェノール樹脂を出発原料とする光硬化性樹脂、マレイミド構造を有する光硬化性共重合樹脂、エポキシアクリレート構造を有する光硬化性樹脂が好ましい。(A)光硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)光硬化性樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられるが、それらに限らない。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる、共重合構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2)芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物と、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン構造を有するカルボキシ
ル基含有感光性樹脂。
(3-1)ジイソシアネートと、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3-2)(3-1)のカルボキシル基含有感光性樹脂に、さらに分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3-3)ジイソシアネートと、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物と、分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3-4)ジイソシアネートと、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物と、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、不飽和モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(9)N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等のマレイミドまたはマレイミド誘導体と、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する不飽和基含有化合物と、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香環を有する不飽和基含有化合物とを単量体とするカルボキシル基含有共重合樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる、共重合構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)前記(2)~(8)のカルボキシル基含有感光性樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(A)光硬化性樹脂がアルカリ可溶性樹脂の場合は、その酸価は、40~200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45~120mgKOH/gの範囲である。(A)光硬化性樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であるとアルカリ現像が容易となり、一方、200mgKOH/g以下である正常な硬化物パターンの描画が容易となるので好ましい。
光重合性オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α-メチルスチレン等のスチレン誘導体、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル等のアリル化合物、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート等のイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
(A)光硬化性樹脂のD線(25℃)における屈折率は、1.52以上であることが好ましく、1.54以上であることがより好ましい。
(A)光硬化性樹脂の配合量は、例えば、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対し、10~50質量%である。なお、本発明の硬化性樹脂組成物においては、D線(25℃)における屈折率が1.50未満の光硬化性化合物を含んでいてもよい。例えば、屈折率が1.50未満の光硬化性化合物の配合量としては、屈折率が1.50未満の光硬化性化合物と屈折率が1.50~1.65の光硬化性樹脂との合計量に対し、50質量%未満であればよい。屈折率が1.50未満の光硬化性化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
[(B)光重合開始剤]
(B)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
(B)光重合開始剤としては、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。光重合開始剤は、感光特性の面から、アシルフォスフィンオキサイド類やアミノアセトフェノン類を用いることが好ましく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)光重合開始剤の配合量は、例えば、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対し、0.1~30質量%である。
[(C)酸化チタン]
本発明において、(C)酸化チタンは、D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65である有機アルコキシシランで被覆されている。酸化チタンとしては、特に限定されず、無機フィラーや白色顔料として用いることができる公知慣用の酸化チタン粒子を用いればよい。酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型、ラムスデライト型のいずれの構造の酸化チタンであってもよい。即ち、被覆される酸化チタン粒子は、反射率、着色性、隠蔽性、成形性および安定性等の観点から適宜選択すればよく、ルチル型でもアナターゼ型でもよい。このうちラムスデライト型酸化チタンは、ラムスデライト型Li0.5TiOに化学酸化によるリチウム脱離処理を施すことで得られる。
D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65の有機アルコキシシランは特に限定されず、公知慣用の有機アルコキシシランを用いればよい。例えば(以下、屈折率はD線(25℃、ナトリウムD線ともいう)の測定における屈折率)、信越化学工業社製KBM-202SS(ジメトキシジフェニルシラン:屈折率1.54)、X-12-1156(メトキシ基およびメルカプト基含有オルガノシラン:屈折率1.52)、X-12-1154(メトキシ基およびメルカプト基含有オルガノシラン::屈折率:1.51)、KR-511(メトキシ基およびビニル基含有シロキサン:屈折率1.51)、X-12-1159L(メトキシ基およびイソシアネート基含有オルガノシラン:屈折率1.50)、KBM-573(アミノ基含有N-フェニルー3-アミノプロピルトリメトキシシラン:屈折率1.50)、KBM-1403(スチリルトリメトキシシラン:屈折率1.50)、大阪ガスケミカル社製SC-001(フルオレン含有シラン:屈折率1.56)、SC-003(フルオレン含有シラン:屈折率1.53)等が挙げられる。なかでも、耐熱性の観点から、芳香環を有するアルコキシシランが好ましく、特にカルド構造を有する有機アルコキシシランが好ましい。さらに、SC-001、SC-003等のフルオレン骨格を有する有機アルコキシシランは、カルド構造によるスタッキング相互作用により嵩高くなり、その結合による強靭性が得られるため、より好ましい。前記有機アルコキシシランのアルコキシ基は、例えば、炭素数1~5のアルコキシ基である。前記有機アルコキシシランは、(A)光硬化性樹脂の屈折率に合わせて、1種または2種以上を組み合わせてもよい。
前記カルド構造のフルオレン骨格を有する有機アルコキシシランとしては、下記式(1-1)および式(1-2)で表される有機アルコキシシランが挙げられる。
Figure 2022122104000001
Figure 2022122104000002
(式中、nおよびmはそれぞれ独立に1~6の整数を示す。)
前記式(1-1)で表される有機アルコキシシランの市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル社製オグソールSC-001等が挙げられる。また、前記式(1-2)で表される有機アルコキシシランの市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル社製オグソールSC-003等が挙げられる。
前記有機アルコキシシランは、硬化性反応基を有していてもよい。硬化性反応基は、硬化性樹脂組成物に配合する成分(例えば、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂)と硬化反応する基であれば、特に限定されず、光硬化性反応基でも熱硬化性反応基でもよい。
被覆方法は特に限定されず、例えば、前記有機アルコキシシランをシランカップリング剤として酸化チタンを処理する方法等の公知慣用の方法で行えばよい。
D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65の有機アルコキシシランによる被覆は、酸化チタン100質量部に対して、例えば、1~50質量部である。
(C)酸化チタンは、少なくとも2種の前記有機アルコキシシランで被覆されている、または、前記有機アルコキシシランおよび前記有機アルコキシシラン以外の有機アルコキシシランで被覆されていることが好ましい。このように被覆された酸化チタンを配合することにより、解像性に優れ、誘電特性に優れた硬化物を得ることができる。そのような被覆処理は、前記有機アルコキシシランによる被覆処理の前でも後でも同時でもよい。
D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65の有機アルコキシシランは、硬化性反応基を有していてもいなくてもよい。D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65の有機アルコキシシランが硬化性反応基を有していない場合は、硬化性反応基を有する有機アルコキシシランと併用することが好ましい。このように併用することにより、硬化物の強靭性が向上する。
前記有機アルコキシシラン以外の有機シランとしては、KBM-502(屈折率:1.43)、KBM-503(屈折率:1.43)、KBE-502(屈折率:1.43)、KBE-503(屈折率:1.43)、KBM-5803(屈折率:1.44)、KR-503(屈折率:1.45)などのメタクリルシラン、KBM-5103(屈折率:1.43)、X-12-1048(屈折率:1.45)、X-12-1050(屈折率:1.48)、KR-513(屈折率:1.45)、KBM-1003(屈折率:1.39)等屈折率が1.50未満のシラン等が挙げられる。前記有機アルコキシシラン以外の有機シランは、(A)成分との反応基を有するシランであることが好ましい。なかでも、引張強度などの物性の観点からメタクリルシランであることが好ましい。また、KBM-403(屈折率:1.43)などのエポキシシランなども屈折率コントロールのために混合添加してもよい。
前記有機アルコキシシラン以外の有機シランでさらに被覆する場合、前記有機アルコキシシラン以外の有機シランによる被覆は、酸化チタン100質量部に対して、1~50質量部である。
なお、(C)酸化チタンは、さらに無機物により被覆されていてもよい。無機物としては特に限定されず、例えば、ケイ素の水和酸化物、アルミニウムの水和酸化物、ジルコニウムの水和酸化物、亜鉛の水和酸化物、チタンの水和酸化物等が挙げられる。
無機物でさらに被覆する場合、無機物による被覆は、酸化チタン100質量部に対して、例えば、1~40質量部である。
(C)酸化チタンの平均粒子径は、例えば、0.01~10μmである。ここで、本明細書において、(C)酸化チタンの平均粒子径は、一次粒子の粒径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒径も含めた平均粒子径(D50)であり、レーザー回折法により測定されたD50の値である。レーザー回折法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル社製のMicrotrac MT3300EXIIが挙げられる。
(C)酸化チタンは、平均粒子径を調整してもよく、例えば、ビーズミルやジェットミルで予備分散することが好ましい。また、酸化チタンは、スラリー状態で配合されることが好ましく、スラリー状態で配合することによって、高分散化が容易であり、凝集を防止し、取り扱いが容易になる。
(C)酸化チタンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(C)酸化チタンの配合量は、例えば、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対し、10質量%以上、さらには、20質量%以上、またさらには30質量%以上であってもよい。(C)酸化チタンの配合量が多いほど、誘電特性に優れるが、解像性の観点からは、酸化チタンの配合量の上限としては例えば、80質量%以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(C)酸化チタン以外の公知慣用の無機フィラーを含有してもよい。そのような無機フィラーとしては、例えば、D線(25℃)における屈折率が1.50~1.65である有機アルコキシシランで被覆された酸化チタン以外の酸化チタン、シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等の無機フィラーが挙げられる。
(熱硬化性樹脂)
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有することができる。熱硬化性樹脂によって、硬化物の耐熱性が向上し、また、下地との密着性が向上する。熱硬化性樹脂としては、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。これらの中でもエポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、従来公知のものをいずれも使用できる。分子中に複数のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物等が挙げられる。なお、水素添加されたエポキシ化合物であってもよい。
多官能エポキシ化合物としては、エポキシ化植物油;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂;チオエーテル型エポキシ樹脂;ブロム化エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;ジグリシジルフタレート樹脂;テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;ナフタレン基含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体;CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、メチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等が挙げられる。
イソシアネート化合物として、ポリイソシアネート化合物を配合することができる。ポリイソシアネート化合物としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンイソシアネートダイマー等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに先に挙げたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いることができる。イソシアネートブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤;ラクタム系ブロック剤;活性メチレン系ブロック剤;アルコール系ブロック剤;オキシム系ブロック剤;メルカプタン系ブロック剤;酸アミド系ブロック剤;イミド系ブロック剤;アミン系ブロック剤;イミダゾール系ブロック剤;イミン系ブロック剤等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の配合量は、例えば、組成物の固形分全量中、1~50質量%である。
(硬化促進剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-ジメチルアミノピリジン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤の配合量は、例えば、組成物の固形分全量中、0.01~30質量%である。
(着色剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤が含まれていてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄、黒、白等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤の配合量は、例えば、組成物の固形分全量中、0.01~10質量%である。
(有機溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の任意成分)
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、有機フィラー、エラストマー、熱可塑性樹脂、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体等が挙げられる。特に、酸化チタンを高充填した場合、剛性が高くなりすぎることから、強靭性の観点からエラストマーなどの改質剤を用いることが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)光硬化性樹脂ではないアルカリ可溶性樹脂や溶剤可溶性樹脂を含んでもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は特に限定されず、例えば、光硬化性熱硬化性樹脂組成物であっても、熱硬化性ではない光硬化性樹脂組成物であってもよい。また、アルカリ現像型であっても、溶剤現像型であってもよい。即ち、本発明の組成物がアルカリ可溶性樹脂を含むアルカリ現像型の場合には、活性エネルギー線照射およびアルカリ現像液によりネガ型のパターン硬化膜を得ることができ、アルカリ可溶性樹脂を含まない場合には、活性エネルギー線照射および有機溶剤からなる現像液によりネガ型のパターン硬化膜を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物が含有する任意成分は、硬化性や用途に合わせて、公知慣用の成分を選択すればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いてもよい。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15~130μmの範囲である。
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、樹脂層の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。アルカリ現像型の光硬化性熱硬化性樹脂組成物の場合を例にすると、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基板上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基板と接触するように基板上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基板上に樹脂層を形成する。
上記基板としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。回路には、前処理が施されていてもよく、例えば、四国化成社製のGliCAP、メック社製のNew Organic AP(Adhesion promoter)、アトテックジャパン社製のNova Bond等で前処理を施し、ソルダーレジスト等の硬化被膜との密着性等を向上させたり、防錆剤で前処理を施してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
プリント配線板上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後加熱硬化(例えば、100~220℃)、もしくは加熱硬化後活性エネルギー線を照射、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化)させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化膜を形成する。
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で活性エネルギー線を照射する装置であればよく、さらに、基板と非接触なマスクレス露光として投影レンズを使用した投影露光機や直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10~1000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、電子部品に硬化膜を形成するために、特にはプリント配線板上に硬化膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久被膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジスト、層間絶縁層、カバーレイ、封止材を形成するために使用される。また、高度な信頼性が求められるプリント配線板、例えばパッケージ基板、特にFC-BGA用の永久被膜(特にソルダーレジスト)の形成に好適である。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、回路表面の粗度が小さい配線パターンを備えるプリント配線板、例えば高周波用のプリント配線板にも好適に用いることができる。例えば、表面粗度Raが0.05μm以下、特に0.03μm以下であっても好適に用いることができる。また、低極性の基板、例えば、活性エステルを含む基板上に硬化膜を形成する場合にも好適に用いることができる。更に、粗化レスなウェハやガラス基板上に硬化膜を形成するためにも好適に使用される。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、伝送損失の少ない基板、例えば、周波数10GHzにおける誘電正接が0.01以下の基板に硬化膜を形成するためにも好適に使用される。このような低誘電正接の基板は、例えば、味の素社の層間絶縁材フィルム(ABF)を用いて製造することができる。電子部品としては、プリント配線板以外の用途、例えば、インダクタなどの受動部品でもよい。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[光硬化性樹脂の合成]
(光硬化性樹脂A-1)
ビスフェノールA 456部、水228部、ホルマリン649部を仕込み、水酸化ナトリウム水溶液228部を添加した後10時間反応させリン酸水溶液でpH4まで中和し、水層を分離した。その後、メチルイソブチルケトンを添加し均一に溶解した後、得られたポリメチロール化合物をメタノール550部に溶解し、ポリメチロール化合物を得た。得られたポリメチロール化合物のメタノール溶液500部、2,6-キシレノール440部を仕込み、その後シュウ酸8部を加え、ノボラック樹脂A 550部を得た。更に、オートクレーブに、このノボラック樹脂Aを130部、50%水酸化ナトリウム水溶液2.6部、トルエン/メチルイソブチルケトン(質量比=2/1)100部を仕込み、加熱昇温し、エチレンオキシド45部を徐々に導入し反応させた。この反応溶液に3.3部の36%塩酸水溶液を添加混合し、水酸化ナトリウムで中和した生成物から水酸基価が175g/eq.であるノボラック樹脂Aのエチレンオキシド付加物を得た。
このように得られたノボラック樹脂Aのエチレンオキシド付加物175部、アクリル酸50部、p-トルエンスルホン酸3.0部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トルエン130部を攪拌して、115℃に昇温し、4時間反応させ得られた反応溶液を5%NaCl水溶液を用いて水洗し、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを加えて、固形分68%のアクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたアクリレート樹脂溶液312部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トリフェニルホスフィン0.3部を仕込み、この混合物を110℃に加熱し、テトラヒドロ無水フタル酸45部を加え、4時間反応させ、冷却後、固形分70%、固形分酸価65mgKOH/gの感光性のカルボキシル基含有樹脂A-1の溶液を得た。なお、表1に記載の数値は溶剤を含まない固形分の質量部である。
(光硬化性樹脂A-2)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、カルビトールアセテート81.5部を仕込み、窒素置換した後、80℃に昇温した。他方、滴下槽1にN-フェニルマレイミドを30部、カルビトールアセテートを120部混合したもの、滴下槽2にスチレンを29部、メタアクリル酸2-ヒドロキシエチルを20部混合したもの、滴下槽3にアクリル酸を21部、カルビトールアセテートを10.6部混合したもの、滴下槽4に重合開始剤としてルペロックス11(商品名;アルケマ吉富社製、t-ブチルパーオキシピバレートを70%含有する炭化水素溶液)を10部、カルビトールアセテートを21.2部混合したものをそれぞれ仕込んだ。反応温度を80℃に保ちながら、滴下槽1、2,4から3時間、滴下槽3から2.5時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に80℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を95℃に昇温し、1.5時間反応を継続してラジカル重合性二重結合導入反応前の重合体溶液を得た。
次いで、この重合体溶液にグリシジルメタクリレートを9.9部、カルビトールアセテートを7.4部、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.7部、重合禁止剤としてアンテージW-400(川口化学工業社製)を0.2部加え、窒素と酸素との混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら115℃で反応させ、固形分32%、固形分酸価120mgKOH/gの感光性のカルボキシル基含有共重合樹脂A-2の溶液を得た。なお、表1に記載の数値は溶剤を含まない固形分の質量部である。
(光硬化性樹脂A-3)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート700gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLONN-695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均反応性基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、更にトリフェニルホスフィン1.6gを追加し、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)562g、テトラヒドロ無水フタル酸684g(4.5モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート142.0g(1.0モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行い、冷却後、固形分65%、固形分酸価87mgKOH/gの感光性のカルボキシル基含有樹脂A-3の溶液を得た。なお、表1に記載の数値は溶剤を含まない固形分の質量部である。
[無機フィラーの調製]
C-1:
酸化チタン(堺化学社製R-7E、平均粒径:230nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gと、メトキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-202SS:D線(25℃)における屈折率1.54)3gとを均一分散させて、酸化チタン溶剤分散品C-1を得た。
C-2:
酸化チタン(堺化学社製R-7E、平均粒径:230nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gと、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(大阪ガスケミカル社製SC-001:D線(25℃)における屈折率1.56)3gとを均一分散させて、酸化チタン溶剤分散品C-2を得た。
C-3:
酸化チタン(堺化学社製R-7E、平均粒径:230nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gと、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(大阪ガスケミカル社製SC-003:D線(25℃)における屈折率1.53)3gとを均一分散させて、酸化チタン溶剤分散品C-3を得た。
C-4:
酸化チタン(堺化学社製R-7E、平均粒径:230nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gと、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(大阪ガスケミカル社製SC-001:D線(25℃)における屈折率1.56)3gを均一分散させた後、更にメトキシ基とメタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-503:D線(25℃)における屈折率1.43)1.5gとを均一分散させて、酸化チタン溶剤分散品C-4を得た。
C-5:
酸化チタン(堺化学社製R-7E、平均粒径:230nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gと、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(大阪ガスケミカル社製SC-001:D線(25℃)における屈折率1.56)3gを均一分散させた後、更にメトキシ基とアミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-573:D線(25℃)における屈折率1.43)1.5gとを均一分散させて、酸化チタン溶剤分散品C-5を得た。
R-1:
酸化チタン(堺化学社製R-7E、平均粒径:230nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gに、メトキシ基とアミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-573:D線(25℃)における屈折率1.43)1.5gとを均一分散させて、酸化チタン溶剤分散品R-1を得た。
R-2:
酸化チタン(堺化学社製R-7E、平均粒径:230nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gを均一分散させて、酸化チタン溶剤分散品R-2を得た。
R-3:
硫酸バリウム(堺化学社製BARIACE B-32、平均粒径:300nm)60gと、溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)40gを均一分散させて、硫酸バリウム溶剤分散品R-3を得た。
これらは、実施例および比較例の数値の固形分となるよう配合した。
<屈折率測定方法>
樹脂および有機アルコキシシランの屈折率は、ERMA社製屈折率計ER-7MWを用いて、589.3nm(D線)、25℃の条件で測定した。その結果をもとに屈折率のコントロールを実施した。
[実施例1~7、比較例1~3]
上記の樹脂溶液(ワニス)と、表1中に示す種々の成分を、表1中に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
<ドライフィルムの作製>
上記のようにして得られた硬化性樹脂組成物にメチルエチルケトン300gを加えて希釈し、攪拌機で15分間撹拌して塗工液を得た。塗工液を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(キャリアフィルム:ユニチカ社製エンブレットPTH-25)上に塗布し、通常、80℃の温度で15分間乾燥し、厚さ20μmの樹脂層を形成した。次いで、樹脂層上に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(カバーフィルム:フタムラ社製OPP-FOA)を貼り合わせて、ドライフィルムを作製した。また、同様の方法で樹脂層の厚さが40μmのドライフィルムも作製した。
<解像性の評価>
上記で作製した各実施例および比較例の樹脂層厚さ20μmのドライフィルムを酸処理した銅張積層板の銅上に、真空ラミネーター(CVP-600:ニッコーマテリアル社製)を用いて100℃の第一チャンバーにて真空圧3hPa、バキューム時間30秒の条件下でラミネートした後、プレス圧0.5MPa、プレス時間30秒の条件でプレスを行い評価基板を得た。その後、DI露光機にてステップタブレット(41段)で10段が得られる露光量でφ30~100μmのSROパターンを露光後、PETフィルムを剥がし、現像(1質量%NaCO、30℃、0.2MPa)を60秒で行い、樹脂層のパターンを形成し得られた開口パターンサイズを光学顕微鏡にて測長した。得られた数値が小さいほど小径開口が可能であり良好となる。
<誘電率、誘電正接の評価>
上記で作製した各実施例および比較例の樹脂層厚さ40μmのドライフィルムを電解銅箔GTS-MP-18μm(古河サーキットフォイル社製)の光沢面上にラミネートを行い、次いで平坦化し樹脂層を完全硬化させた。その後、銅箔から硬化物を剥離し、厚さ40μmの硬化物を得た。
その硬化物を長さ80mm、幅2mmに切り出し、ネットワークアナライザー(キーサイト社製8510C)、KEAD社製複素比誘電率計算ソフトCAMA-Sを用いて、摂動法空洞共振器により、測定温度22℃、10GHzの誘電率と誘電正接を測定した。
(誘電率)
◎:誘電率値 10以上
△:誘電率値 5以上、10未満
×:誘電率値 5未満
(誘電正接)
◎:誘電正接値 0.02以下
〇:誘電正接値 0.02超、0.025以下
△:誘電正接値 0.025超、0.030以下
×:誘電正接値 0.03超
<強靭性の評価>
上記で作製した各実施例および比較例の樹脂層厚さ40μmのドライフィルムをロープロファイルの銅箔上に、真空ラミネーター(CVP-600:ニッコーマテリアル社製)を用いて80℃の第一チャンバーにて真空圧3hPa、バキューム時間30秒の条件下でラミネートした後、プレス圧0.5MPa、プレス時間30秒の条件でプレスを行い評価基板を得た。その後、コンタクト露光機で80mm×10mmの短冊状のパターンが得られるよう露光を行った。露光後、PETフィルムを剥がし、現像(1質量%NaCO、30℃、0.2MPa)を60秒で行い、続いて、高圧水銀灯を備えたUVコンベア炉にて1J/cmの露光量で樹脂層に照射した後、160℃で60分加熱して樹脂層を完全硬化した評価基板を作製した。
上記により得られた評価基板の硬化被膜を銅箔より剥離し、評価を実施した。測定は、引張試験機(島津製作所社製 機種名:AGS-G 100N)を用いて行い、最大点応力または破断点伸び率について評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎…最大点応力80MPa以上、または破断点伸び率6%以上
○…最大点応力70MPa以上80MPa未満、または破断点伸び率4%以上6%未満
△…最大点応力50MPa以上70MPa未満、破断点伸び率2%以上4%未満
×…最大点応力50MPa未満、または破断点伸び率2%未満
Figure 2022122104000003
A-1:上記で合成した光硬化性樹脂A-1(D線(25℃)における屈折率1.56)の溶液
A-2:上記で合成した光硬化性樹脂A-2(D線(25℃)における屈折率1.55)の溶液
A-3:上記で合成した光硬化性樹脂A-3(D線(25℃)における屈折率1.56)の溶液
C-1:上記で調整した、メトキシ基を有するシランカップリング剤(KBM-202SS:D線(25℃)における屈折率1.54)で被覆された酸化チタンの溶剤分散品C-1
C-2:上記で調整した、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(SC-001:D線(25℃)における屈折率1.56)で被覆された酸化チタンの溶剤分散品C-2
C-3:上記で調整した、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(SC-003:D線(25℃)における屈折率1.53)で被覆された酸化チタンの溶剤分散品C-3
C-4:上記で調整した、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(SC-001:D線(25℃)における屈折率1.56)と、メトキシ基とメタクリル基を有するシランカップリング剤(KBM-503:D線(25℃)における屈折率1.43)で被覆された酸化チタンの溶剤分散品C-4
C-5:上記で調整した、メトキシ基と、カルド構造をもつフルオレン骨格を有するシランカップリング剤(SC-001:D線(25℃)における屈折率1.56)と、メトキシ基とアミノ基を有するシランカップリング剤(KBM-573:D線(25℃)における屈折率1.50)で被覆された酸化チタンの溶剤分散品C-5
R-1:上記で調整した、メトキシ基とアミノ基を有するシランカップリング剤(KBM-573:D線(25℃)における屈折率1.43)で被覆された酸化チタンの溶剤分散品R-1
R-2:上記で調整した、酸化チタン(D線(25℃)における屈折率2.5~2.6)の溶剤分散品R-2
R-3:上記で調整した、バリウム(D線(25℃)における屈折率1.65)の溶剤分散品R-3
*1:IGM Resins社製Omnirad TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド)
*2:日本化薬社製DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、D線(25℃)における屈折率1.48)
*3:三菱ケミカル社製jER828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
*4:日本化薬社製NC-6000(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパンのグリシジルエーテル化合物)
*5:日本化薬社製NC-3000H(ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂)
上記表中に示す結果から、本発明の実施例1~7の硬化性樹脂組成物は、ファインなフォトリソ特性を有し、誘電率特性と強靭性に優れた硬化物が得られることがわかる。

Claims (6)

  1. (A)光硬化性樹脂、(B)光重合開始剤、および、(C)酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、
    前記(A)光硬化性樹脂の25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65であり、
    前記(C)酸化チタンが、25℃で測定したD線における屈折率が1.50~1.65である有機アルコキシシランで被覆されていることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記有機アルコキシシランがカルド構造を有することを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(C)酸化チタンが、少なくとも2種の前記有機アルコキシシランで被覆されている、または、前記有機アルコキシシランおよび前記有機アルコキシシラン以外の有機アルコキシシランで被覆されていることを特徴とする請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  5. 請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項4記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  6. 請求項5記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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