JP2022120516A - 音声発生装置および音声発生方法 - Google Patents

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Yoshinobu Okada
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Abstract

【課題】簡易的な構成で音声を伝達すること。【解決手段】音声発生装置は、人の間を遮蔽する遮蔽物100と、遮蔽物100の少なくとも一部に張力を作用させる枠部材2と、を備え、枠部材2は、遮蔽物100のうち、振動部101に、遮蔽物101における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能であり、遮蔽物100の他の部分に比べて固有振動の周波数が高くなるような張力を付与する。【選択図】図2

Description

本発明は、音声発生装置および音声発生方法に関する。
外部と室内とを仕切り、間仕切りや窓を構成する板体の両面双方向に音声を発生させて、板体の両面双方向へ明瞭な音声を伝達できる音声発生装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、例えば、窓ガラスのような板材を使用する。
特開2005-252896号公報
対面する人の間に、例えば透明フィルムなどの簡易的な遮蔽物を設置して、飛沫の飛散を抑制する対策が取られることがある。このような遮蔽物を挟んで会話をする場合、音声を明瞭に伝達することが難しい。簡易的な構成で音声を伝達可能にすることが望まれる。
本発明は、上記課題を鑑み、簡易的な構成で音声を伝達できる音声発生装置および音声発生方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る音声発生装置は、人の間を遮蔽する遮蔽物と、前記遮蔽物の少なくとも一部に張力を作用させる枠部材と、を備え、前記枠部材は、前記遮蔽物のうち、振動部に、前記遮蔽物における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能であり、前記遮蔽物の他の部分に比べて固有振動の周波数が高くなるような張力を付与する。
本発明に係る音声発生方法は、人の間を遮蔽する遮蔽物と、前記遮蔽物の少なくとも一部に張力を作用させる枠部材と、を備えた音声発生装置の音声発生方法であって、前記枠部材によって、前記遮蔽物のうち、振動部に、前記遮蔽物における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能であり、前記遮蔽物の他の部分に比べて固有振動の周波数が高くなるような張力を付与する。
本発明によれば、簡易的な構成で音声を伝達することができる。
図1は、第一実施形態に係る音声発生装置の使用例を示す模式図である。 図2は、第一実施形態に係る音声発生装置の一例の斜視図である。 図3は、枠部材の一例を示す概略図である。 図4は、枠部材を示す斜視図である。 図5は、枠部材の他の例を示す概略図である。 図6は、枠部材の他の例を示す概略図である。 図7は、図6に示す枠部材の使用例を説明する概略図である。 図8は、固有振動を説明する概略図である。 図9は、第一実施形態に係る音声発生装置の増幅回路を含む回路図である。 図10は、増幅回路を説明する概略図である。 図11は、固有振動の一例を説明する概略図である。 図12は、固有振動の他の例を説明する概略図である。 図13は、第二実施形態に係る音声発生装置の一例の斜視図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る音声発生装置および音声発生方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
[第一実施形態]
<音声発生装置>
図1は、第一実施形態に係る音声発生装置の使用例を示す模式図である。図2は、第一実施形態に係る音声発生装置の一例の斜視図である。音声発生装置1は、対面して会話する人M1と人M2との間を遮蔽する遮蔽物100に配置される。音声発生装置1は、例えば、店舗のレジ、施設の受付および窓口などに配置される。
遮蔽物100は、対面する人Mの間を遮蔽する。遮蔽物100は、対面する人Mの間に配置され、会話時などの飛沫の飛散を抑制する。遮蔽物100は、可撓性を有するフィルム状に形成されている。遮蔽物100は、例えば、透明フィルムである。遮蔽物100は、例えば、透明のポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)で形成されている。遮蔽物100は、例えば、図1に示すように天井から吊り下げられたり、台上に立設された支持柱によって支持されたりする。遮蔽物100は、撓んだ状態で配置されていてもよい。遮蔽物100は、飛沫の飛散を抑制するために、開口及び切込みが形成されていないことが好ましい。
遮蔽物100を約2[m]幅で設置した場合における、人の音声の伝達について説明する。遮蔽物100を挟んで人Mが会話する場合、遮蔽物100によって音声が遮蔽される。空気中の音速度を約340[m/sec]とした場合、約300[Hz]までの周波数の音声は、遮蔽物100を回析して反対側へ伝達されるといわれる。約300[Hz]以上の周波数の音声は、遮蔽物100を回析せず主に反射される。このように、遮蔽物100は、声の高音域を遮蔽するので、高音域の伝達特性の悪化の原因となる。高音域の伝達特性の悪化は、声の明瞭度を悪くする。より詳しくは、母音が伝達されやすく、子音が伝達されにくくなる。これらにより、遮蔽物100を挟んだ会話では、明瞭度が悪くなり、意思疎通が阻害されるおそれがある。
遮蔽物100は、例えば、一辺の長さが約2[m]程度の矩形状である。遮蔽物100は、例えば、厚さが0.2[mm]以上0.3[mm]以下である。遮蔽物100は、例えば、密度が1.35[g/cm]以上1.45[g/cm]以下である。遮蔽物100は、例えば、厚さが0.25[mm]の場合に、引張強度が約8.6[N/mm]以上である。
音声発生装置1は、遮蔽物100を挟んで会話する人Mの音声を伝達する。図1に示す例では、遮蔽物100は、人M1と人M2との間に配置されている。音声発生装置1は、人M1の音声を人M2に伝達し、人M2の音声を人M1に伝達する。図2に示すように、音声発生装置1は、枠部材2と、ボイスコイル(音響変換器)3と、磁石4と、支持部5と、増幅回路10とを有する。
枠部材2は、遮蔽物100の少なくとも一部に張力を与える部材である。枠部材2は、遮蔽物100の少なくとも一部に張力を与えた状態で保持する。枠部材2は、遮蔽物100の張力を保持可能な程度の剛性を有する材料で構成されている。枠部材2は、例えば、枠状に形成されている。遮蔽物100において、遮蔽物100の少なくとも一部は、他の部分に比べて張力が高くなっている。枠部材2は、遮蔽物100のうち、振動部101に、遮蔽物100における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能であり、遮蔽物100の他の部分に比べて固有振動の周波数が高くなるような張力を付与する。枠部材2は、振動部101に、音声のうちの子音と共振するように特定の周波数以上で共振する張力を付与する。枠部材2は、遮蔽物100の少なくとも一部を囲い込み音声共振点が高い部分を作る。枠部材2は、遮蔽物100の少なくとも一部に固有振動の周波数が高いダイヤフラム構造を形成する。
枠部材2は、遮蔽物100の面上に固定されている。より詳しくは、枠部材2は、遮蔽物100の面と向かい合う面に、例えば、接着剤または磁石が配置されている。枠部材2は、例えば、接着剤によって、遮蔽物100の一方の面上に固定されている。枠部材2は、例えば、磁石によって、遮蔽物100を両側から挟んで固定されている。
図3は、枠部材の一例を示す概略図である。図4は、枠部材を示す斜視図である。本実施形態では、枠部材2は、図3に示すように、円形の枠状に形成されている。本実施形態では、枠部材2は、遮蔽物100を両側から挟んで固定されている。本実施形態では、遮蔽物100のうち、枠部材2によって囲まれた円形状の部分が振動部101である。
図5は、枠部材の他の例を示す概略図である。枠部材2Aは、矩形の枠状に形成されてもよい。遮蔽物100のうち、枠部材2Aによって囲まれた矩形状の部分が、振動部101である。
図6は、枠部材の他の例を示す概略図である。図7は、図6に示す枠部材の使用例を説明する概略図である。図6、図7に示す枠部材2Bは、遮蔽物100に直線状に張力を付与する。一対の枠部材2Bが、遮蔽物100を挟んで配置されている。枠部材2Bは、基部21Bと、基部22Bと、基部21Bと基部22Bとを接続するアーム部23Bとを有する。図8に示すように、基部21Bと基部22Bとは、遮蔽物100上に固定される。アーム部23Bは、遮蔽物100に接触していない。このようなアーム部23Bにより、基部21Bと基部22Bとの間の幅を広げようとする力が作用する。このように、遮蔽物100に張力が与えられて、振動部101が設けられる。基部21Bと基部22Bとは、基部21Bと基部22Bとの間に位置する遮蔽物100に張力を付与した状態で遮蔽物100の面上に固定される。遮蔽物100のうち、基部21Bと基部22Bとの間の部分が、振動部101である。
<振動部>
遮蔽物100のうち、枠部材2によって囲まれた部分、言い換えると、ダイヤフラム構造を形成する部分が、振動部101である。振動部101は、遮蔽物100のうち、枠部材2によって張力が作用している部分である。振動部101は、スピーカにおける、いわゆる振動板(コーン紙)として機能する。
振動部101は、遮蔽物100における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能である。振動部101は、遮蔽物100の他の部分に比べて固有振動の周波数が高い。振動部101は、固有振動の周波数が例えば300[Hz]以上である。振動部101は、周波数300[Hz]以上の音声と共振する。振動部101は、人Mの発話した音声のうち、子音と共振し、主として子音を伝達可能である。振動部101は、遮蔽物100の他の部分に比べて、音声共振点が高い。振動部101は、電磁的もしくは電荷的変化を検出してマイクとして機能する。振動部101は、電磁的もしくは電荷的変化を与えてスピーカとしても機能する。
<固有振動>
図8は、固有振動を説明する概略図である。図8に示す例では、枠部材2は、遮蔽物100を挟んで配置されている。より詳しくは、枠部材2は、遮蔽物100の一方の面100a上と、面100aと反対側の面100b上とにそれぞれ設けられ、遮蔽物100を挟んで配置されている。面100a上に配置される枠部材2と、面100b上に配置される枠部材2とが圧着などによる加圧によって引かれ合い遮蔽物100に固定される。また面100a上に配置される枠部材2と、面100b上に配置される枠部材2とが磁力によって引かれ合い遮蔽物100に固定されてもよい。
図8に示すように、枠部材2によって遮蔽物100を挟むとき、遮蔽物100が枠部材2の外側に引っ張られるように 固定することで、振動部101を生成する。枠部材2によって囲まれた振動部101には、矢印で示すように張力が作用している。振動部101は、枠部材2で周囲を囲まれているので、両端が閉じた固有振動が発生する。図8においては、一例として、固有振動の振動モードが4である場合を示している。
ここで、振動部101の張力が増すことにより固有振動の周波数が増加することについて説明する。円形の振動膜における固有振動に関して、ベッセル関数を用いた解析が知られている。説明を簡単にするために、張力と固有振動との関係を1つの線、すなわち弦に置き換えて説明する。
弦の横波が伝わる速度v[m/sec]は、張力をT[N/m]、弦の線密度をρ[kg/m]とすると、数式1で示される。
Figure 2022120516000002
弦における波動方程式は、数式2で示される。
Figure 2022120516000003
数式2を解くと、固有振動の周波数f[Hz]は、その波長をλ[m]とすると、数式3で算出される。λは閉じられた弦の長さlの2倍であるので、v=2lfである。なお、nは、固有振動の振動モードである。
Figure 2022120516000004
数式3は、弦に作用する張力Tが2倍になると、固有振動の周波数fがルート2倍になることを示す。
弦に作用する張力Tが同じでも、振動モードnに応じて、複数の固有振動の周波数fをもつ。言い換えると、固有振動は、複数の振動(周波数f)をもち、それを振動モードnとする。
次に、円形の振動部101の固有振動について説明する。円形の振動部101の振動モードは、弦のように基底振動のn=2、3、4、5…と単純ではない。円形の振動部101は、円形の中に複数の節をもって振動する。振動部101が複数の振動モードを持つ円形である場合、同心円の振動モードの複数共振点と、円周方向の振動モードの複数共振点とを有する。これにより、円形の振動部101では、無限に近い周波数fに対して収音および発音が可能である。
図3に示すように、枠部材2が円形である場合、言い換えると、図4に示すように、振動部101が円形である場合について具体的に検討する。振動部101が円形である場合の固有振動の周波数fは、以下の数式4で算出される。なお、u01は、振動基本モードn=1の定数である。
Figure 2022120516000005
また、振動部101の半径rを5[cm]、張力Tを98.0[N/m]、面密度ρを1.40[g/cm]×0.25[mm]=0.35[kg/m]とすると、数式4からモードn01周波数f=128.176[Hz]と算出される。同様に張力T=537[N/m]とすると、数式4からモードn01周波数f=300.04[Hz]と算出される。
遮蔽物100に作用させる張力について説明する。張力T[N/m]と、遮蔽物100の引張強度σ[N/mm]と、厚さd[mm]との関係は、以下の数式5で示される。
Figure 2022120516000006
遮蔽物100は、例えば、厚さdが0.25[mm]の場合に、引張強度が約8.6[N/mm]であるとして、数式5から張力T[N/m]=8.6×1000×0.25=2150[N/m]と算出される。これより、張力が2150[N/m]以上になると、遮蔽物100は破損する。張力が2150[N/m]より小さい場合、遮蔽物100は破損しない。遮蔽物100の振動部101に作用させる張力は、2150[N/m]より小さくする。
<ボイスコイル及び磁石>
図2に示すように、ボイスコイル3及び磁石4は、遮蔽物100の振動部101に接している。ボイスコイル3及び磁石4は、マイク及びスピーカとして機能する。ボイスコイル3及び磁石4は、振動部101が振動することによって電気信号を発生させることで、マイクとして機能する。ボイスコイル3及び磁石4は、電気信号によって振動部101を振動させて音声を再生することで、スピーカとして機能する。本実施形態では、振動部101は音声のうち子音と共振して振動するので、ボイスコイル3及び磁石4は、子音に対してマイク及びスピーカとして機能する。
ボイスコイル3は、図示しないリードを介して、増幅回路10に接続されている。ボイスコイル3で発生した電気信号は、リードを介して増幅回路10へ出力される。増幅回路10から入力された電気信号は、リードを介してボイスコイル3に入力される。
支持部5は、磁石4を枠部材2に固定する部材である。本実施形態では、支持部5の両端部は、枠部材2の周方向の離れた位置に固定されている。支持部5は、遮蔽物100に対して凸状に形成されている。本実施形態では、支持部5は、遮蔽物100の面100aに対して凸状に湾曲している。
<増幅回路>
図9は、第一実施形態に係る音声発生装置の増幅回路を含む回路図である。増幅回路10は、ボイスコイル3で発生した電気信号を増幅しボイスコイル3を駆動する正帰還増幅回路の構成である。増幅回路10は、図示しないリードを介してボイスコイル3と電気的に接続されている。増幅回路10は、ボイスコイル3から入力された電気信号を増幅して、ボイスコイル3へ出力する。増幅回路10は、ボイスコイル3で発生した電気信号が、リードを介して入力される。増幅回路10は、増幅した電気信号を、リードを介してボイスコイル3に出力する。増幅回路10は、バンドパスフィルタ11と、電圧増幅器12と、電力増幅器13と、検出器14とを有する。増幅回路10は、図示しない電源部から供給される電力によって駆動される。
バンドパスフィルタ11は、所定の周波数のみを通過させるフィルタ回路である。本実施形態では、人の音声に相当する周波数、例えば100[Hz]以上10[kHz]以下程度の範囲の周波数のみを通過させる。
電圧増幅器12は、電気信号の電圧振幅を増幅する増幅器である。電圧増幅器12には、バンドパスフィルタ11から電気信号が入力される。電圧増幅器12には、検出器14からアンプゲインを制御する制御信号が入力される。電圧増幅器12は、電力増幅器13へ電気信号を出力する。
電力増幅器13は、子音によって発生した電気信号の電流振幅を増幅する増幅器である。電力増幅器13は、母音によって発生した電気信号の電流振幅を増幅しないようにしてもよい。電力増幅器13には、電圧増幅器12から電気信号が入力される。電力増幅器13には、検出器14からインピーダンスを制御する制御信号が入力される。電力増幅器13は、検出器14及びボイスコイル3へ電気信号を出力する。
検出器14は、電圧増幅器12及び電力増幅器13からのアンプ出力である電気信号の振幅値の異常を検出してアンプ増幅値の加減を制御する。検出器14は、ハウリングを検出する検出器である。検出器14は、ハウリングが抑制されるように、電圧増幅器12及び電力増幅器13を制御する。検出器14は、電力増幅器13から電気信号が入力される。検出器14は、入力された電気信号に基づいて、電圧増幅器12に対してアンプゲインを制御する制御信号を出力する。検出器14は、入力された電気信号に基づいて、電力増幅器13に対してインピーダンスを制御する制御信号を出力する。
検出器14は、音声とは異なる、ノイズとなる単一周波数の電気信号の振幅値を検出してもよい。検出器14は、電圧増幅器12及び電力増幅器13の周波数特性のディップ周波数、増幅値などの加減を制御してもよい。検出器14は、時間による増幅値などの加減を制御してもよい。
<音声発生装置の増幅回路の動作および作用>
次に、このように構成された音声発生装置1の増幅回路10の動作および作用について説明する。図10は、増幅回路を説明する概略図である。
図1に示すように、遮蔽物100を挟んで向かい合う人M1と人M2とが会話する場合について説明する。人M1が発話した音声によって、遮蔽物100の振動部101が振動する。振動部101は、周波数300[Hz]以上の音声と共振し、300[Hz]より低い音声とは共振しにくい。具体的には、振動部101は、音声のうち母音と共振せず、または共振しにくく、子音と共振する。音声のうち母音は、遮蔽物100を回析して伝達される。音声のうち子音は、遮蔽物100の振動部101を振動させる。
遮蔽物100の振動部101が振動すると、ボイスコイル3及び磁石4によって、電気信号が発生される。
ボイスコイル3及び磁石4によって発生された電気信号は、リードを介して増幅回路10へ入力される。増幅回路10へ入力された電気信号は、バンドパスフィルタ11、電圧増幅器12、および電力増幅器13を介して、検出器14に入力される。
検出器14は、発話者の音声が所定値以上の振動であることを検出した場合、電圧増幅器12に対して、アンプゲインを上げるように制御信号を出力する。言い換えると、検出器14は、所定値以上の振動の電気信号を検出した場合、電圧増幅器12に対して、アンプゲインを上げるように制御信号を出力する。振動の閾値である所定値は、例えば、振動部101が共振した際に発生する電気信号、言い換えると、子音によって発生する電気信号と同程度の値である。振動の閾値である所定値は、例えば、振動部101が共振していない際に発生する電気信号、言い換えると、母音による電気信号より大きい値である。このように、電圧増幅器12においてアンプゲインが制御されて、人M1の音声が増幅される。
検出器14は、増幅された電気信号の飽和状態を検出すると、電圧増幅器12に対してアンプゲインを下げて、電力増幅器13に対してインピーダンスを上げるように制御信号を出力してもよい。インピーダンスを上げた状態は、所定時間以上継続させる。所定時間とは、振動が収束することが予測される時間である。所定時間の経過後は、検出器14によって音声が検出されるまで、アンプゲインを下げ、インピーダンスを上げた状態を維持する。これらにより、音声発生装置1におけるハウリングの発生が抑制される。
増幅回路10は、増幅回路10によって増幅した子音が、回析して伝達された母音とともに聴取された際に、違和感なく聞こえるように、アンプゲイン及びインピーダンスを制御することが好ましい。
増幅回路10において増幅された電気信号は、図示しないリードを介して、ボイスコイル3へ入力される。ボイスコイル3及び磁石4は、入力された電気信号によって、振動部101を振動させる。振動部101が振動することによって、人M1の音声が増幅されて、人M2に伝達される。
例えば、人M1が発話した場合、子音によって、遮蔽物100の振動部101が振動する。そして、磁石4が振動する。磁石4の振動によってボイスコイル3に発生した電気信号が増幅回路10で増幅される。増幅された電気信号は、ボイスコイル3に入力されて、磁石4を大きく振動(正帰還)させる。これにより、遮蔽物100の振動部101が大きく振動して、人M2側に増幅された人M1の音声の子音が伝達される。人M1の音声の母音は、遮蔽物100を回析して人M2側に伝達される。人M2は、回析して伝達された母音と、増幅回路10によって増幅された子音とを聴取する。
例えば、人M2が発話した場合、同様に、子音によって、遮蔽物100の振動部101が振動する。そして、磁石4が振動する。磁石4の振動によって発生したボイスコイル3に電気信号が増幅回路10で増幅される。増幅された電気信号は、ボイスコイル3に入力されて、磁石4を大きく振動(正帰還)させる。これにより、遮蔽物100の振動部101が大きく振動して、人M1側に増幅された人M2の音声の子音が伝達される。人M1は、回析して伝達された母音と、増幅回路10によって増幅された子音とを聴取する。
例えば、遮蔽物100によって隔てられた人M1と人M2とが同時に発話した場合、双方の空気が密から粗の側へ、言い換えると空気圧が高い方から低い方へ遮蔽物100の振動部101が移動(振動)する。このため、通常時、言い換えると、遮蔽物100が無い状態と同じように会話ができる。振動部101が双方向の振動を収集することにより、人M1と人M2との発話の音声がどちらも収集される。このようにして、1つの装置で双方向の会話の伝達が可能である。
図11は、固有振動の一例を説明する概略図である。図12は、固有振動の他の例を説明する概略図である。なお、各固有振動は、振幅を1としている。図11は、固有振動の振動モード(0,1)、振動数300[Hz]を示す。図12は、固有振動の振動モード(0,1)、振動数1[kHz]を示す。図11と図12とを比較すると、振動数1[kHz]とした場合、振動数300[Hz]とした場合に比べて、サンプリングされる数がまばらであることがわかる。実施においては、子音の音域内のサンプリングされる数が多くなるように、固有振動の振動モード(0,1)の周波数、すなわち透明フィルムに作用する張力を調整するのが好ましい。
<効果>
上述したように、本実施形態は、枠部材2によって、遮蔽物100の少なくとも一部に張力を作用させる。本実施形態では、振動部101は、遮蔽物100における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能な固有振動の周波数を有する。本実施形態では、振動部101は、スピーカにおける、いわゆる振動板(コーン紙)として機能する。本実施形態によれば、遮蔽物100における回析が生じにくい周波数の音声を伝達できる。本実施形態によれば、高音域を増幅して伝達することができる。本実施形態では、回析して伝達された母音と、増幅回路10によって増幅された子音とを聴取することができる。このように、本実施形態によれば、高音域の伝達低下を抑制して、音声を明瞭に伝達できる。本実施形態によれば、意思疎通を円滑に行うことができる。
本実施形態は、振動部101が、ボイスコイル3及び磁石4に接している。本実施形態は、マイク及びスピーカを物理的に別に設けることなく、1つの装置で遮蔽物100の両側にいる人Mの会話を相互に伝達することができる。
本実施形態では、人M1と人M2とが同時に発話した場合、振動部101によって、人M1と人M2との発話の音声をどちらも収集することができる。本実施形態は、遮蔽物100の両側にいる人Mの会話を相互に伝達することができる。
本実施形態は、遮蔽物100を例えば透明フィルムで構成することにより、頻繁に清掃または交換することが可能である。
[第二実施形態]
図13を用いて、第二実施形態について説明する。図13は、第二実施形態に係る音声発生装置の一例の斜視図である。音声発生装置1は、枠部材2と、圧電素子(音響変換器)6と、増幅回路10とを有する。本実施形態では、第一実施形態におけるボイスコイル3及び磁石4に変えて、圧電素子6が配置されている。本実施形態では、圧電素子6が、音響変換素子である。
圧電素子6は、遮蔽物100の振動部101に接している。圧電素子6は、マイク及びスピーカとして機能する。圧電素子6は、振動部101が振動することによって電気信号を発生させることで、マイクとして機能する。圧電素子6は、電気信号によって振動部101を振動させて音声を再生することで、スピーカとして機能する。
圧電素子6は、図示しないリードを介して、増幅回路10に接続されている。圧電素子6で発生した電気信号は、リードを介して増幅回路10へ出力される。増幅回路10から入力された電気信号は、リードを介して圧電素子6に入力される。
上述したように、本実施形態は、圧電素子6を使用して、遮蔽物100の両側にいる人Mの会話を相互に伝達することができる。
さて、これまで本発明に係る音声発生装置および音声発生方法について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上記では、遮蔽物が、例えば透明フィルムのような可撓性を有するシート状の部材である場合について説明したが、これに限定されない。遮蔽物が、薄い板状の部材であっても適用可能である。
1 音声発生装置
2 枠部材
3 ボイスコイル(音響変換器)
4 磁石
5 支持部
10 増幅回路
11 バンドパスフィルタ
12 電圧増幅器
13 電力増幅器
14 検出器
100 遮蔽物
101 振動部

Claims (5)

  1. 人の間を遮蔽する遮蔽物と、
    前記遮蔽物の少なくとも一部に張力を作用させる枠部材と、
    を備え、
    前記枠部材は、前記遮蔽物のうち、振動部に、前記遮蔽物における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能であり、前記遮蔽物の他の部分に比べて固有振動の周波数が高くなるような張力を付与する、
    音声発生装置。
  2. 前記振動部に接した音響変換器と、
    前記音響変換器と電気的に接続された増幅回路と、
    を備え、
    前記音響変換器は、マイク及びスピーカとして機能し、
    前記増幅回路は、前記音響変換器から入力された電気信号を増幅し、増幅した電気信号を前記音響変換器へ出力する、
    請求項1に記載の音声発生装置。
  3. 前記遮蔽物は、可撓性を有するフィルムである、
    請求項1または2に記載の音声発生装置。
  4. 前記枠部材は、前記振動部に、音声のうちの子音と共振するように特定の周波数以上で共振する張力を付与する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の音声発生装置。
  5. 人の間を遮蔽する遮蔽物と、
    前記遮蔽物の少なくとも一部に張力を作用させる枠部材と、
    を備えた音声発生装置の音声発生方法であって、
    前記枠部材によって、前記遮蔽物のうち、振動部に、前記遮蔽物における回析が生じにくい周波数の音声を伝達可能であり、前記遮蔽物の他の部分に比べて固有振動の周波数が高くなるような張力を付与する、
    音声発生方法。
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