JP2022120328A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Masanori Suemitsu
康 小野寺
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Abstract

【課題】本発明は、燃費の低減を目的とし、低温粘度を低減し、且つ、高温での比較的高い粘度を確保し、及び、低温下での粘度と高温下での粘度の差が小さい潤滑油組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)基油、及び(B)(共)重合体を含み、NOACK蒸発量15質量%以上25質量%未満を有する潤滑油組成物であって、前記(A)基油として(A3)エステルを潤滑油組成物の全質量に対して5~30質量%含み、前記(B)成分が重合性モノマー由来の繰り返し単位を有する主鎖とポリオレフィン構造を有する側鎖とを有する(共)重合体であり、該(B)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対し0.5~10質量%であり、及び、沸点が350℃~400℃の範囲にある留分を該潤滑油組成物の全質量に対し20~60質量%で含有することを特徴とする、前記潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の沸点範囲の留分を特定量含有する低粘度基油及び特定の共重合体を含有する潤滑油組成物に関する。
近年、CO排出量低減及び石油資源保護等の実現のために、自動車の省燃費化がより一層要求されている。省燃費化の一つとして、例えばエンジン油の低粘度化による粘性抵抗の低減が挙げられる。しかし、低粘度化すると液漏れや焼付きといった問題が生じてくる。また、寒冷地では低温始動性が求められる。この問題に対しては、米国SAEのエンジン油用粘度規格(SAE J300)に定められており、0W-20グレードにおいては、高温高せん断下での150℃HTHS粘度(ASTM D4683又はD5481)がMin.2.6に規定されている。また、同グレードは、寒冷地での始動性保証のために-40℃下の低温粘度が60,000mPa・s以下及び降伏応力無きこと(ASTMD4684)が規定されている。
省燃費化については、上記規格を満たした上で、80℃又は100℃の実効温度域でのHTHS粘度がより低いエンジン油が求められ、従来から各種の粘度指数向上剤が提案されている。潤滑油組成物の低粘度化による一層の省燃費化はエンジン油用のみならず、駆動油用潤滑油組成物においても求められている。一方、CO排出量低減及び石油資源保護等の実現のために、ハイブリッド車や電気自動車の普及が急速に進んでいる。中でもハイブリッド車の普及に伴い、エンジンの運転頻度が減り、低油温で運転する頻度が高くなってきている。そのため、低温側の粘度低減が燃費向上に重要となる一方で、頻度は少ないながら高速運転等での信頼性の観点から高温側の信頼性も必要となる。従って、高温側でも適切な高粘度の確保が必要となる(特許文献1~3)。
特開2013-147608号公報 再公表2015-129732号公報 特開2017-57378号公報
しかし、従来の潤滑油基油は低温下において粘度が上昇する。低温粘度を低減し、且つ、高温での比較的高い粘度を確保するには限界があった。本発明は、燃費の低減を目的とし、低温粘度を低減し、且つ、高温での比較的高い粘度を確保し、及び、低温下での粘度と高温下での粘度の差が小さい潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明は、極めて低い温度側(以下、極低温という)での粘度上昇を抑え、より広い温度範囲にて粘度差が小さい、即ち、低温(例えば40℃)及び極低温(例えば0℃)下においては粘度上昇が抑えられ、且つ、高温(例えば100℃以上)においては従来品と同等の比較的高い粘度を確保する潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討した結果、(A)基油として(A3)エステルを潤滑油組成物の全質量に対して5~30質量%含み、粘度指数向上剤として、重合性モノマー由来の繰り返し単位を有する主鎖と、ポリオレフィン構造を有する側鎖とを有する(共)重合体(B)を特定量配合すること、及び、沸点が350℃~400℃の範囲にある留分を潤滑油組成物の全質量に対して20~60質量%含有することにより、低温(例えば40℃)及び極低温(例えば0℃)下においては粘度上昇が抑えられ、且つ、高温(例えば100℃)においては従来品と同等の比較的高い粘度を確保でき、極低温における粘度と高温における粘度の差が比較的小さい潤滑油組成物を提供できることを見出した。本発明は特にNOACK蒸発量15質量%以上25質量%未満を有する潤滑油組成物に関する。
即ち本発明は、(A)基油、及び(B)(共)重合体を含み、NOACK蒸発量15質量%以上25質量%未満を有する潤滑油組成物であって、前記(A)基油として(A3)エステルを潤滑油組成物の全質量に対して5~30質量%含み、前記(B)成分が重合性モノマー由来の繰り返し単位を有する主鎖とポリオレフィン構造を有する側鎖とを有する(共)重合体であり、該(B)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対し0.5~10質量%であり、及び、沸点が350℃~400℃の範囲にある留分を該潤滑油組成物の全質量に対し20~60質量%で含有することを特徴とする、前記潤滑油組成物を提供する。
本発明の好ましい実施態様としては、潤滑油組成物が、以下に示す(1)~(13)の少なくとも1の特徴をさらに有する。
(1)前記(A3)エステルがNOACK蒸発量50%以下である。
(2) 沸点が400℃超~450℃の範囲にある留分を、潤滑油組成物の全質量に対し10~70質量%で含有する。
(3) 前記(A3)エステルがモノエステルあるいはジエステルである。
(4) 前記(A)基油に由来する沸点が600℃を超える範囲にある留分を含まない。
(5) 前記(A3)エステルがアジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステルから選ばれる少なくとも1である。
(6) 沸点が350℃未満の範囲にある留分の含有量が10重量%以下である。
(7) 前記(A)基油として、さらに(A1)沸点が350~400℃の範囲にある留分を50~99質量%含有する鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油、及び/又は(A2)沸点が400超~450℃以下の範囲にある留分を40~90質量%含有する鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油を含み、潤滑油組成物全質量に対して(A1)成分の含有量が10~50質量%であり、及び/又は(A2)成分の含有量が25~70質量%でありかつ(A3)成分の含有量が5~30質量%である。
(8) 前記(B)(共)重合体が、片末端に炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有し、且つ、他の末端に(メタ)アクリロキシ基を有する化合物に由来する単位を有する(共)重合体(B-1)であって、前記(B-1)(共)重合体は溶解パラメーター(SP値)9.1~9.5(cal/cm1/2を有する。
(9) 前記(B)(共)重合体が、
(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、
(ii)8~17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1~11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエート、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される低分子モノマー(以下、単に低分子モノマーと称する)に由来する繰り返し単位と、を含む櫛形ポリマー(B-2)であって、モル分岐度が0.1~10モル%の範囲内であり、前記繰り返し単位の質量に対して、前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、前記(ii)低分子モノマーに由来する繰り返し単位と、を合計少なくとも80質量%含み、前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位を8~30質量%含むことを特徴とする櫛形ポリマー(B-2)である。
(10)前記(A)基油の100℃における動粘度が2.0~5.0mm/sである。
(11)金属清浄剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、及び摩耗防止剤から選ばれる添加剤の少なくとも1をさらに含有する。
(12)内燃機関用である潤滑油組成物。
(13)ハイブリッド自動車用である。
本発明の潤滑油組成物は、広い温度範囲において、高温での比較的高い粘度を確保し、且つ、低温粘度を低減できる。より詳細には、低温(例えば40℃)及び極低温(例えば0℃)下においては粘度上昇が抑えられ、且つ、高温(例えば100℃)においては従来品と同等の比較的高い粘度を確保する、該低温粘度と高温粘度の差が比較的小さい潤滑油組成物を提供することができる。広い温度範囲において低い粘度差を有することにより、燃費性能を向上することができる。
本発明は(A)基油として(A3)エステルを含み、及び(B)重合性モノマー由来の繰り返し単位を有する主鎖とポリオレフィン構造を有する側鎖とを有する(共)重合体を含むことを特徴とする、NOACK蒸発量15質量%以上25質量%未満を有する潤滑油組成物である。NOACK蒸発量は、より好ましくは16~24質量%であり、更に好ましくは18~23質量%であり、特に好ましくは20~22質量%である。該潤滑油組成物において、沸点が350℃~400℃の範囲にある留分を潤滑油組成物の全質量に対し20~60質量%含有すること、及び、粘度指数向上剤として機能する上記(B)成分の含有量が潤滑油組成物の全重量に対し0.5~10質量%であることを特徴とする。これにより、低温での粘度上昇が抑えられ、且つ、高温においても従来品と同等の比較的高い粘度を確保することができる。好ましくは、本発明の潤滑油組成物は、40℃における動粘度10~40mm/sを有し、且つ、100℃における動粘度5~12mm/sを有する。なお、本発明においてNOACK蒸発量はASTMD 5800に準拠して250℃1時間で測定される値である。
上記(共)重合体は、主鎖の極性構造に対し、側鎖ポリオレフィン構造は非極性構造である。低温下においては(共)重合体の主鎖構造が纏まり基油中で分散して基油の粘度上昇を抑制できる。また、高温(例えば100℃)になると(共)重合体の主鎖構造がほどけて、従来の基油粘度を維持することができる。これにより、低温(例えば40℃)下における潤滑油組成物の粘度を低減しながら、高温(例えば100℃)での比較的高い粘度を確保することができ、且つ、低温における潤滑油組成物の粘度と高温における潤滑油組成物の粘度の差を小さくすることができる。
本発明の潤滑油組成物の蒸留性状について、以下に詳細に説明する。
(1)沸点が350℃~400℃の範囲にある留分の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対し20~60質量%、好ましくは25~55質量%、より好ましくは28~50質量%、更に好ましくは30~45質量%、特に好ましくは32~40質量%である。上記上限を超えるとオイル消費量が増加したり、清浄性が悪化してしまう可能性があり、上記下限未満だと燃費性能が悪化してしまう可能性があり好ましくない。
(2)沸点が400℃超~450℃の範囲にある留分の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~60質量%、更に好ましくは25~50質量%、特に好ましくは30~45質量%である。上記上限を超えると燃費性能が悪化してしまう可能性があり、上記下限未満だとオイル消費量が増加したり、清浄性が悪化してしまう可能性があり好ましくない。
(3)沸点が450℃を超える範囲にある留分の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して好ましくは2~25質量%、より好ましくは4~22質量%、更に好ましくは6~18質量%、特に好ましくは8~16質量%であるのがよい。
(4)(A)基油に由来する沸点が600℃を超える範囲にある留分は、含まれないことが好ましい。
(5)沸点が350℃未満の範囲にある留分の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して好ましくは0~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%、更に好ましくは0.2~4質量%、特に好ましくは0.5~2質量%であるのが好ましい。
(6)沸点が370℃~390℃の範囲にある留分の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して好ましくは10~50質量%、より好ましくは12~40質量%、更に好ましくは15~35質量%、更により好ましくは16~30質量%、特に好ましくは18~28質量%、最も好ましくは20~25質量%である。
(A)基油
本発明の潤滑油組成物を構成する基油は、従来公知の基油より適宜選択することができ、上述した本発明の要件を満たすよう組み合わせて混合すればよい。上記沸点範囲の留分を有する基油は、適切な粘度を有する鉱油、合成油を単独で、または2種以上を併用して調製することができる。ただし、後述する(A3)エステル油を必須に含むことを特徴とする。
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、および水素化精製等の処理の1つ以上に付して精製したもの、或いは、ワックス異性化鉱油、GTL(Gas to Liquid)基油、ATL(Asphalt to Liquid)基油、植物油系基油またはこれらの混合基油を挙げることができる。
合成油としては、例えば、ポリブテン又はその水素化物;1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー等のポリ-α-オレフィン又はその水素化物;ラウリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル等のモノエステル;ジトリデシルグルタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート等のジエステル;ネオペンチルグリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ネオペンチルグリコールジ-n-オクタノエート、ネオペンチルグリコールジ-n-デカノエート、トリメチロールプロパントリ-n-オクタノエート、トリメチロールプロパントリ-n-デカノエート、ペンタエリスリトールテトラ-n-ペンタノエート、ペンタエリスリトールテトラ-n-ヘキサノエート、ペンタエリスリトールテトラ-2-エチルヘキサノエート等のポリオールエステル;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、芳香族エステル等の芳香族系合成油又はこれらの混合物等が例示できる。
好ましくは、基油の100℃における動粘度が2.0~5.0mm/sであるのがよく、より好ましくは2.5~4.5mm/sであり、さらに好ましくは2.8~4.0mm/sであり、さらに好ましくは3.0~3.7mm/sであり、さらに好ましくは3.2~3.5mm/sである。当該低粘度を有する基油として、上述した鉱油、GTL、合成油をそれぞれ単独で、又は適宜組み合わせて調製することができる。基油(A)の粘度指数は100以上であるのが好ましく、より好ましくは110以上であり、更に好ましくは120以上であるのがよい。
基油(A3)
本発明の潤滑油組成物は上記基油として(A3)エステルを含有することが必須である。本発明の潤滑油組成物における基油(A3)の含有量は潤滑油組成物全質量に対して5~30質量%、好ましくは6~25質量%、より好ましくは7~20質量%、更に好ましく8~16質量%、特に好ましくは9~12質量%である。基油(A3)は、NOACK蒸発量50以下を有することが好ましく、より好ましくは45以下であり、下限は10以上が好ましく、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、特に好ましくは30以上である。
基油(A3)は、沸点が350~450℃の範囲にある留分を75質量%以上含有することが好ましい。該基油(A3)において、沸点が350~450℃の範囲にある留分の含有量は、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であるのがよい。該基油(A3)において沸点350~450℃の範囲にある留分量の上限は、特に制限されるものでなく100質量%以下であればよい。あるいは、99質量%以下、98質量%以下、又は97質量%以下であってもよい。また、該(A3)基油は、沸点が350~400℃の範囲にある留分を50~100質量%含有する基油、及び、沸点が400℃~450℃の範囲にある留分を50~100質量%含有する基油の、一種単独又は二種以上の併用であってもよい。
上記基油(A3)において、沸点が450℃を超える範囲にある留分の含有量は、好ましくは0~5質量%であり、より好ましくは0~3質量%、更に好ましくは0~1質量%であり、特に好ましくは0質量%であるのがよい。更に、沸点が600℃を超える範囲にある留分は0質量%であるのが好ましい。また、沸点が350℃未満の範囲にある留分は、0~20質量%であることが好ましく、より好ましくは1~15質量%、更に好ましくは2~10質量%、特に好ましくは3~5質量%であるのがよい。
基油(A3)エステルは少なくとも1のモノエステル及び又はジエステルであることが好ましい。モノエステルとしては例えば炭素数12~30のモノエステルが好ましく、例えば、2-エチルヘキシルラウレート、2-エチルヘキシルパルミテート、n-ブチルステアレートなどが挙げられる。ジエステルとしては例えば炭素数16~40のジエステルが好ましく、例えばアジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステルなどが挙げられ、例えば、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸ジイソノイル(DINA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOZ)などが挙げられる。好ましくは、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOA)及びセバシン酸ジオクチル(DOS)である。
基油(A3)エステルは、添加剤の溶剤(希釈油)として用いられても良い。添加剤としては粘度指数向上剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、清浄剤、酸化防止剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤が挙げられ、特に粘度指数向上剤、摩擦調整剤の希釈剤として用いられることがある。添加剤の希釈油として配合される場合、潤滑油組成物中に含まれる基油(A3)としての合計量が上記範囲を満たせばよい。
好ましくは、基油(A)として、さらに(A1)沸点が350~400℃の範囲にある留分を50~99質量%含有する、鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油、及び/又は、(A2)沸点が400超~450℃以下の範囲にある留分を40~90質量%含有する、鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油を併用するのがよい。基油(A1)の含有量が、潤滑油組成物全体量に対して10~50質量%であり、及び/又は、基油(A2)の含有量が、潤滑油組成物全体量に対して25~70質量%であり、かつ(A3)成分の含有量が5~30質量%であることが好ましい。基油(A3)に(A1)成分と(A2)成分とを上記範囲となる量で含有することにより、上述した範囲の蒸留性状を有する潤滑油組成物を与えることができる。特に好ましくは、基油(A)は、上記(A1)成分、(A2)成分、及び(A3)成分の組合せである。
基油(A1)
本発明の潤滑油組成物は、基油(A)として、沸点が350~400℃の範囲にある留分を50~99質量%含有する鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油(A1)を含有することが好ましい。該基油(A1)において、沸点が350~400℃の範囲にある留分の含有量は、好ましくは55~98質量%、更に好ましくは60~97質量%、より好ましくは70~96質量%、特に好ましくは75~95質量%、最も好ましくは80~93質量%であるのがよい。本発明の潤滑油組成物における基油(A1)の含有量は、潤滑油組成物全体量に対して10~50質量%であるのがよく、好ましくは15~45質量%であり、より好ましくは20~40質量%であり、更に好ましくは22~35質量%であるのがよい。
さらに、基油(A1)は、沸点が370~390℃の範囲にある留分を10~80質量%含有することが好ましく、より好ましくは20~70質量%、更に好ましくは30~60質量%であるのがよい。また、沸点が400℃超~450℃の範囲にある留分の含有量は、1~50質量%が好ましく、より好ましくは2~40質量%、更に好ましくは3~30質量%、特に好ましくは5~20質量%であるのがよい。沸点が450℃を超える範囲にある留分の含有量は、好ましくは0~5質量%であり、より好ましくは0~3質量%、更に好ましくは0~1質量%であり、特に好ましくは0質量%であるのがよい。更に、沸点が600℃を超える範囲にある留分は0質量%であるのが好ましい。また、沸点が350℃未満の範囲にある留分は、0~20質量%であることが好ましく、より好ましくは1~15質量%、更に好ましくは2~10質量%、特に好ましくは3~5質量%である。
また、基油(A1)は100℃における動粘度(KV100)2.0~4.5mm/sを有することが好ましい。より好ましくは2.2~4.0mm/sであり、更に好ましくは2.4~3.7mm/sであり、更に好ましくは2.5~3.5mm/sであり、特に好ましくは2.6~3.3mm/sであり、最も好ましくは2.7~3.1mm/sであるのがよい。さらに、基油(A1)の粘度指数は100以上であるのが好ましく、より好ましくは105以上であり、更に好ましくは110以上であるのがよい。
基油(A2)
本発明の潤滑油組成物は、さらに、基油(A)として、400超~450℃以下の範囲にある留分を40~90質量%含有する鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油(A2)を含有することが好ましい。該(A2)基油において、沸点が400℃超~450℃の範囲にある留分の含有量は、より好ましくは45~80質量%であり、更に好ましくは50~75質量%であり、特に好ましくは55~70質量%であり、最も好ましくは60~65質量%である。
本発明の潤滑油組成物における基油(A2)の含有量は、潤滑油組成物全体量に対して25~70質量%であることが好ましく、より好ましくは30~65質量%であり、更に好ましくは35~60質量%であり、特に好ましくは40~55質量%である。
また基油(A2)において、沸点が450℃を超える範囲にある留分の含有量は好ましくは1~40質量%であり、より好ましくは2~38質量%、更に好ましくは5~35質量%であり、特に好ましくは10~30質量%である。更に、沸点が600℃を超える範囲にある留分は0質量%が好ましく、より好ましくは沸点が500℃を超える留分が0質量%である。沸点が400℃未満の範囲にある留分は0~30質量%であることが好ましく、より好ましくは1~25質量%、更に好ましくは2~20質量%、特に好ましくは5~15質量%である。また、基油(A2)は100℃における動粘度(KV100)3.1~5.0mm/sを有することが好ましい。より好ましくは3.3~4.8mm/sであり、更に好ましくは3.5~4.7mm/sであり、更に好ましくは3.7~4.6mm/sであり、特に好ましくは3.9~4.5mm/sであり、最も好ましくは4.1~4.3mm/sである。基油(A2)の粘度指数は100以上であるのが好ましく、好ましくは110以上であり、更に好ましくは120以上である。
尚、上記基油及び組成物の蒸留性状は、GCD(蒸留ガスクロマトグラフィー)により測定することができる。GCD測定は、全面積法に替えて外部標準法を使用した以外はJISK2254「石油製品-蒸留試験方法」に準拠して行った。
一般に基油粘度を下げると潤滑油組成物のNOACK蒸発量が上昇する傾向にある。エンジン油にはNOACK蒸発量最大15質量%という規格があり、従来はこの規格を満たすために基油粘度を下げるには限界があった。本発明ではNOACK蒸発量15質量%以上の範囲、特にはNOACK蒸発量15質量%以上25質量%未満を有する潤滑油組成物を目指したものである。NOACK蒸発量はより好ましくは16~24質量%、更に好ましくは18~23質量%、特に好ましくは20~22質量%である。前述のように、特定の沸点範囲の留分を特定量有する低粘度の基油を組み合わせることにより、後述する(B)(共)重合体の添加量の調整がしやすくなり、より広い範囲で粘度差の小さい潤滑油組成物となる最適な配合バランスを見出すことができる。
NOACK蒸発量15質量%以上25質量%未満を有する潤滑油組成物とするためには、上述した(A3)エステルを必須とし、上述した鉱油及びGTL基油のうち少なくとも1を必須とするのがよい。特に好ましくは、上記(A3)エステルと、上記(A1)成分である基油及び上記(A2)成分である基油との組合せであるのがよい。また、鉱油を含む場合にはGTLは0質量%でもよく、GTLを含む場合には鉱油は0質量%でもよいが、特には鉱油とGTL基油を組合せるのが好ましい。例えば、基油(A1)としてKV100=2.0~4.5mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して10~50質量%、及び基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sの鉱油及び又はGTLを潤滑油組成物全体量に対して25~70質量%、及び基油(A3)としてエステルを潤滑油組成物全体量に対して5~30質量%の組合せが好ましい。
より好ましくは、基油(A1)としてKV100=2.0~4.5mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して15~45質量%、及び基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sの鉱油及び又はGTLを潤滑油組成物全体量に対して30~65質量%、及び基油(A3)としてエステルを潤滑油組成物全体量に対して7~25質量%の組合せであり、更に好ましくは基油(A1)としてKV100=2.0~4.5mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して20~40質量%、及び基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sの鉱油及び又はGTLを潤滑油組成物全体量に対して35~60質量%、及び基油(A3)としてエステルを潤滑油組成物全体量に対して9~20質量%の組合せであり、特に好ましくは基油(A1)としてKV100=2.0~4.5mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して22~35質量%、及び基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sの鉱油及び又はGTLを潤滑油組成物全体量に対して40~55質量%、及び基油(A3)としてエステルを潤滑油組成物全体量に対して11~15質量%の組合せであるのがよい。
更に別の好ましい態様としては、基油(A1)としてKV100=2.0~3.0mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して10~50質量%、基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sの鉱油を潤滑油組成物全体量に対して1~40質量%、更に基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して10~60質量%、及び基油(A3)としてエステルを潤滑油組成物全体量に対して5~30質量%の組合せであるのがよい。より好ましくは基油(A1)としてKV100=2.0~3.0mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して15~45質量%、基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sの鉱油を潤滑油組成物全体量に対して5~30質量%、更に基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して20~55質量%、及び基油(A3)としてエステルを潤滑油組成物全体量に対して7~25質量%の組合せであるのがよい。特に好ましくは基油(A1)としてKV100=2.0~3.0mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して20~40質量%、基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sの鉱油を潤滑油組成物全体量に対して10~20質量%、更に基油(A2)としてKV100=3.1~4.5mm/sのGTLを潤滑油組成物全体量に対して30~50質量%、及び基油(A3)としてエステルを潤滑油組成物全体量に対して9~20質量%の組合せであるがよい。
また、本発明の潤滑油組成物は、上述した蒸留性状及びNOACK蒸発量の要件を満たす範囲において、基油(A1)、基油(A2)及び基油(A3)以外の基油を適宜併用することができる。例えば、KV100=2.0~4.5mm/sのPAOを、潤滑油組成物全体量に対して、0~50質量%、好ましくは1~30質量%、更に好ましくは2~15量%でさらに含むことができる。このような基油をさらに含む潤滑油組成物のNOACK蒸発量は、好ましくは16~24質量%、より好ましくは17~23質量%、更に好ましくは18~23質量%、最も好ましくは19~22質量%であるのがよい。
潤滑油基油の粘度指数(VI)は特に制限されないが、好ましくは100以上であり、より好ましくは120以上、最も好ましくは125以上である。このような粘度指数を有する基油を用いることにより、低温での粘度を低減しつつ、高温での粘度をより確保することができるため好ましい。
(B)重合性モノマー由来の繰り返し単位を有する主鎖と、ポリオレフィン構造を有する側鎖とを有する(共)重合体
本発明の潤滑油組成物は、粘度指数向上剤として機能する所定の(共)重合体を、潤滑油組成物全体の質量に対して0.5~10質量%、好ましくは1.0~8質量%、より好ましくは1.5~6.0質量%、更に好ましくは2.0~5.0質量%、特に好ましくは2.3~4.3質量%、最も好ましくは2.6~3.6質量%で含有することを特徴とする。上記(A)潤滑油基油を主成分として含む組成物に、該(共)重合体を上記範囲となる量で配合することにより、極低温~高温という広い温度範囲において、粘度差の小さい潤滑油組成物を提供することができる。
粘度指数向上剤として機能する所定の(共)重合体の第一の態様は、
(B1)片末端に炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有し、且つ、他の末端に(メタ)アクリロキシ基を有する化合物に由来する単位を有する(共)重合体であって、溶解パラメーター(SP値)9.1~9.5(cal/cm1/2を有することを特徴とする(共)重合体である。
粘度指数向上剤として機能する所定の(共)重合体の第二の態様は、
(B2)下記(i)及び(ii)を含む櫛形ポリマーであって、
(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位、
(ii)炭素数8~17の(アルキル)スチレンモノマー、炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に炭素数1~11のアルキル基を有するビニルエステル、炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される低分子モノマー(以下、単に低分子モノマーと称する)に由来する繰り返し単位、
モル分岐度が0.1~10モル%の範囲内であり、繰り返し単位の総質量に対して、前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、前記(ii)低分子モノマーに由来する繰り返し単位とを合計少なくとも80質量%含み、前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位を8~30質量%含むことを特徴とする、前記櫛形ポリマーである。
以下、各共重合体について詳細に説明する。
(B1)片末端に炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有し、且つ、他の末端に(メタ)アクリロキシ基を有する化合物に由来する単位を有する(共)重合体
該(共)重合体は、炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有することを特徴とする。炭素数50~1,000のポリオレフィン構造は長鎖の非極性構造である。該構造を有することにより、該(共)重合体は、低温(例えば40℃)下においては(共)重合体の主鎖構造が纏まり基油中で分散して基油の粘度上昇を抑制できる。また、高温(例えば100℃)になると(共)重合体の主鎖構造がほどけて、従来の基油粘度を維持することができる。これにより、低温(例えば40℃)下における基油の粘度を低減しながら、高温(例えば100℃)での比較的高い粘度を確保することができ、且つ、低温における基油粘度と高温における基油粘度の差を小さくすることができる。
上記において、「(メタ)アクリル」は、メタクリル又はアクリルを意味する。片末端に炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有し、他の末端に(メタ)アクリロキシ基を有する化合物とは、例えば、ポリオレフィン構造と(メタ)アクリロキシ構造が、アミド結合やエーテル結合を有する骨格により連結していればよい。例えば、炭化水素重合体(ポリオレフィン)に水酸基を導入した水酸基含有炭化水素(共)重合体(例えば、水素化ポリブタジエン及びポリブテンに水酸基を導入した水酸基含有重合体等)と、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られる単量体、及び炭化水素重合体(ポリオレフィン)にアミノ基を導入したアミノ基含有(共)重合体と、(メタ)アクリル酸とのアミド化反応により得られる単量体等が挙げられる。これら炭化水素重合体(ポリオレフィン)の水酸基及びアミノ基の数は、HTHS粘度及び粘度指数の観点から1つであることが好ましい。
上記の通り、ポリオレフィン構造は、炭素数50~1,000を有する。好ましくは炭素数100~900、より好ましくは炭素数200~800、更に好ましくは炭素数300~700を有するのがよい。炭素数50~1,000のポリオレフィン構造とは、例えば、以下の(1)~(3)から選ばれる単量体を重合した構造である。ポリオレフィンは、ブロック重合体を有していてもよい。ポリオレフィン構造が、二重結合を有する場合には、水素添加により、二重結合の一部又は全部を水素化したものであってもよい。
(1)脂肪族不飽和炭化水素[炭素数2~36のオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソブテン、1-ブテン、2-ブテン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及びトリコセン等)、炭素数2~36のジエン(例えば1,2-ブタジエン、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン及び1,7-オクタジエン等)等]
(2)脂環式不飽和炭化水素[例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等]
(3)芳香族基含有不飽和炭化水素(例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等)等が挙げられる。
これらのうち、HTHS粘度及び粘度指数の観点から、好ましくは脂肪族不飽和炭化水素であり、より好ましくは炭素数2~36のオレフィン及び炭素数2~36のジエンであり、更に好ましくは炭素数2~16のオレフィン及び炭素数2~10のジエンであり、特に好ましくはイソブテン、1-ブテン、2-ブテン又は1,3-ブタジエンを重合して成る構造が好ましい。
片末端に炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有し、他の末端に(メタ)アクリロキシ基を有する化合物は、剪断安定性及びHTHS粘度の観点から好ましくは、数平均分子量(以下Mnと略記する)1,000~20,000を有し、更に好ましくは1,500~15,000を有し、特に好ましくは2,000~10,000を有し、最も好ましくは2,500~8,000を有する。
なお、本発明において、共重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定することができる。また、上記片末端のポリオレフィン構造の炭素数は、該数平均分子量をCHの分子量14で割り算して得られる値とした。
<ポリオレフィン系単量体のMn、及び共重合体のMwの測定条件>
装置 :「HLC-802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量 :200μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
(a)ポリオレフィン構造及び(メタ)アクリロキシ基を有する化合物として好ましくは、下記一般式(1)で示される化合物(以下、単量体(a)という)である。
Figure 2022120328000001
(式(1)において、Rは水素原子又はメチル基であり、-X-は、-O-、-O(AO)m-又は-NH-であり、Aは、互いに独立に、炭素数2~4のアルキレン基であり、mは0~10の整数であり、Aが2以上の互いに異なるアルキレン基である場合に(AO)で示される単位はランダムに結合していてもブロック結合を形成していてもよく、Rはイソブチレン及び/又は1,2-ブチレンを構成単位として含むポリオレフィンの残基であり、及び、pは0又は1の数である)。
一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましいのは、メチル基である。
一般式(1)における-X-は、-O-、-O(AO)-又はNH-である。
Aは炭素数2~4のアルキレン基である。炭素数2~4のアルキレン基としては、エチレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン基が挙げられる。mは0~10の整数であり、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましくは0~4の整数、更に好ましくは0~2の整数である。mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、Aが2以上の互いに異なるアルキレン基である場合に(AO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。-X-のうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましいのは、-O-及び-O(AO)-であり、更に好ましくは-O-及び-O(CHCHO)-である。
一般式(1)において、pは0又は1の数である。
一般式(1)におけるRは、イソブチレン及び/又は1,2-ブチレンを構成単位として含むポリオレフィンの残基である。イソブチレン及び/又は1,2-ブチレンを構成単位として含むポリオレフィンとしては、イソブテン、1-ブテン及び2-ブテンを構成単量体とする重合体、並びに1,3-ブタジエンを重合した1,2-付加物の末端二重結合を水素化した重合体等が挙げられる。ポリオレフィンは、ブロック重合体でもランダム重合体であってもよい。イソブチレン及び/又は1,2-ブチレンを構成単位として含むポリオレフィンは、イソブチレン及び/又は1,2-ブチレン以外の構成単位を更に含んでもよい。構成単量体としては、イソブテン、1-ブテン及び2-ブテンを除く、上記の(1)脂肪族不飽和炭化水素、(2)脂環式不飽和炭化水素及び(3)芳香族基含有不飽和炭化水素等が挙げられる。ポリオレフィンが、二重結合を有する場合には、水素添加により、二重結合の一部又は全部を水素化したものであってもよい。
ポリオレフィンの合計構成単位数に基づき、HTHS粘度と粘度指数と剪断安定性の観点から好ましくはイソブチレン及び/又は1,2-ブチレンとの合計が30モル%以上であり、更に好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上、最も好ましくは60モル%以上である。
ポリオレフィンの合計構成単位数に基づき、イソブチレンと1,2-ブチレンとの合計は、炭化水素重合体を13C-核磁気共鳴スペクトルにより分析し、下記数式(1)を用いて計算し決定することができる。13C-核磁気共鳴スペクトルにおいて、イソブチレンのメチル基に由来するピークが30-32ppmの積分値(積分値A)、1,2-ブチレンの分岐メチレン基(-CH-CH(CHCH)-)に由来するピークが26-27ppmの積分値(積分値B)に現れる。上記ピークの積分値と、炭化水素重合体の全炭素のピークに関する積分値(積分値C)から求めることができる。
Figure 2022120328000002
一般式(1)で示される単量体(a)は、ポリオレフィンに水酸基を導入した水酸基含有(共)重合体又はポリオレフィンにアミノ基を導入したアミノ基含有(共)重合体と、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応又はアミド化反応により得ることができる。
水酸基含有(共)重合体及びアミノ基含有(共)重合体(Y)の具体例としては、以下の水酸基含有共重合体(Y1)~(Y4)及びアミノ基含有(共)重合体(Y5)が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物(Y1);上記(1)脂肪族不飽和炭化水素、(2)脂環式不飽和炭化水素及び(3)芳香族基含有不飽和炭化水素(例えば炭素数2~36のオレフィン等)等をイオン重合触媒(ナトリウム触媒等)存在下に重合して得られたポリオレフィンに、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等)を付加して得られたもの等。
ヒドロホウ素化物(Y2);炭化水素重合体のヒドロホウ素化反応物(例えばUS4,316,973号に記載のもの)等。
無水マレイン酸-エン-アミノアルコール付加物(Y3);二重結合を有する炭化水素重合体と無水マレイン酸とのエン反応で得られた反応物を、アミノアルコールでイミド化して得られたもの等。
ヒドロホルミル-水素化物(Y4);二重結合を有する炭化水素重合体をヒドロホルミル化し、次いで水素化反応して得られたもの(例えば特開昭63-175096号に記載のもの)等。
無水マレイン酸-エン-エチレンジアミン付加物(Y5);二重結合を有する炭化水素重合体と無水マレイン酸とのエン反応で得られた反応物を、エチレンジアミンでイミド化して得られたもの等。
(Y)のうちHTHS粘度及び粘度指数の観点から好ましいのは、(Y1)、(Y2)及び(Y3)であり、更に好ましいのは、(Y1)である。
水酸基含有(共)重合体及びアミノ基含有(共)重合体(Y)の数平均分子量は、剪断安定性及びHTHS粘度の観点から好ましくは1,000~20,000であり、更に好ましくは1,500~15,000、特に好ましくは2,000~10,000、最も好ましいのは2,500~8,000である。
本発明の(B1)成分は、好ましくは、上述した単量体(a)に由来する単位と、(b)アルキル(ポリ)オキシアルキレン構造及び(メタ)アクリロキシ基を有する化合物に由来する単位とを有する共重合体であるのが好ましい。アルキル(ポリ)オキシアルキレン構造及び(メタ)アクリロキシ基を有する化合物(以下、単量体(b)という)は、好ましくは、下記一般式(2)で表される。
Figure 2022120328000003
(式(2)において、Rは、水素原子又はメチル基であり、-X-は-O-又は-NH-であり、Rは、互いに独立に、炭素数2~4のアルキレン基であり、Rは、炭素数1~8のアルキル基であり、qは1~20の整数であり、Rが2以上の互いに異なるアルキレン基である場合に(RO)で示される単位はランダムに結合していてもブロック構造を有してもよい)。
一般式(2)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、粘度指数の観点から好ましいのは、メチル基である。
一般式(2)における-X-は、-O-又は-NH-である。これらのうち、粘度指数の観点から好ましいのは-O-である。
一般式(2)におけるRは、炭素数2~4のアルキレン基である。炭素数2~4のアルキレン基としては、エチレン基、イソプロピレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、イソブチレン基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン基が挙げられる。
一般式(2)におけるqは1~20の整数であり、粘度指数及び低温粘度の観点から、好ましくは1~5の整数であり、更に好ましくは1~2の整数である。
qが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(RO)q部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
一般式(2)におけるRは、炭素数1~8のアルキル基である。粘度指数の観点から好ましいのは炭素数1~6のアルキル基であり、さらに好ましいのは炭素数1~5のアルキル基であり、最も好ましいのは炭素数4のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-ペンチル基及びn-オクチル基が挙げられる。
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシヘプチル(メタ)アクリレート、メトキシヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシペンチル(メタ)アクリレート、メトキシオクチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、エチキシヘプチル(メタ)アクリレート、エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシペンチル(メタ)アクリレート、エトキシオクチル(メタ)アクリレート、プロキシメチル(メタ)アクリレート、プロキシエチル(メタ)アクリレート、プロキシプロピル(メタ)アクリレート、プロキシブチル(メタ)アクリレート、プロキシヘプチル(メタ)アクリレート、プロキシヘキシル(メタ)アクリレート、プロキシペンチル(メタ)アクリレート、プロキシオクチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシヘプチル(メタ)アクリレート、ブトキシヘキシル(メタ)アクリレート、ブトキシペンチル(メタ)アクリレート、ブトキシオクチル(メタ)アクリレート、及び炭素数1~8のアルコールにエチレンオキサイド~ブチレンオキサイドを2~20モル付加したものと(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。
単量体(b)のうち、粘度指数の観点から好ましいのは、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートである。
本発明における共重合体(B1)は、前記単量体(a)に由来する単位と、前記単量体(b)に由来する単位に加えて、さらに、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c)、炭素数12~36の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)、及び下記一般式(3)で示される炭素数12~36の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(e)から選ばれる1以上に由来する単位を有することが、実効温度でのHTHS粘度の観点から好ましい。
炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル及び(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。中でも、HTHS粘度と粘度指数の観点から好ましいのは、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸ブチルであり、更に好ましいのは(メタ)アクリル酸ブチルである。
炭素数12~36の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)としては、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-トリデシル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸n-イコシル、(メタ)アクリル酸n-テトラコシル、(メタ)アクリル酸n-トリアコンチル及び(メタ)アクリル酸n-ヘキサトリアコンチル等が挙げられる。
中でも、HTHS粘度と粘度指数の観点から好ましいのは、炭素数12~32の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、更に好ましいのは炭素数12~28の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、特に好ましいのは炭素数12~22の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
炭素数12~36の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(e)とは、一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2022120328000004
(式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、-X-は-O-又は-NH-であり、Rは互いに独立に、炭素数2~4のアルキレン基であり、R及びRは互いに独立に、炭素数4~24の直鎖アルキル基であり、rは0~20の整数であり、Rが2以上の互いに異なるアルキレン基である場合に(RO)で示される単位はランダムに結合していてもブロック構造を有してもよい)。
一般式(3)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、粘度指数の観点から好ましいのは、メチル基である。
一般式(3)における-X-は、-O-又は-NH-である。これらのうち、粘度指数の観点から好ましいのは-O-である。
一般式(3)におけるRは、炭素数2~4のアルキレン基である。炭素数2~4のアルキレン基としては、エチレン基、イソプロピレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、イソブチレン基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン基が挙げられる。
一般式(3)におけるrは0~20の整数であり、粘度指数の観点から、好ましくは0~5の整数であり、更に好ましくは0~2の整数である。
rが2以上の場合は、Rは同一でも異なっていてもよく、Rが2以上の互いに異なるアルキレン基である場合に(RO)r部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
一般式(3)におけるR、Rは、それぞれ独立に、炭素数4~24の直鎖アルキル基である。粘度指数の観点から好ましくは、炭素数6~24の直鎖アルキル基であり、更に好ましいのは炭素数6~20の直鎖アルキル基であり、特に好ましいのは炭素数8~16の直鎖アルキル基である。例えば、n-ブチル基、n-ヘプチル基、n-ヘキシル基、n-ペンチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基及びn-テトラコシル基等が挙げられる。
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-オクチルデシル、エチレングリコールモノ-2-オクチルペンタデシルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル、(メタ)アクリル酸2-オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸2-n-デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸2-n-ドデシルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2-テトラデシルオクタデシル、(メタ)アクリル酸2-ドデシルペンタデシル、(メタ)アクリル酸2-テトラデシルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2-ヘキサデシルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2-ヘプタデシルイコシル、(メタ)アクリル酸2-ヘキサデシルドコシル、(メタ)アクリル酸2-エイコシルドコシル、(メタ)アクリル酸2-テトラコシルヘキサコシル及びN-2-オクチルデシル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記の中でも、粘度指数の観点から好ましいのは、炭素数12~36の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、更に好ましいのは炭素数14~32の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、特に好ましいのは炭素数16~28の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
なお、上述した単量体(b)~(e)は、炭化水素基含有化合物の末端ヒドロキシ基又はアミノ基を、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる。これらは、末端に炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有するものではなく、上記(a)成分とは異なる。また、炭素数1~8のアルコールに、エチレンオキサイドやブチレンオキサイドを2~20モル付加したものや、炭素数10~50の分岐アルキル基を有するアルコールにエチレンオキサイドやブチレンオキサイドを1~20モル付加したものも、炭化水素重合体ではないため、ポリオレフィン系単量体に該当しない。
共重合体(B1)を構成する単量体(a)由来の繰り返し単位の割合は、実効温度域でのHTHS粘度の観点から、共重合体(B)の重量に基づいて、好ましくは1~50重量%であり、更に好ましくは3~40重量%、特に好ましくは5~30重量%、最も好ましいのは8~20重量%である。
共重合体(B1)を構成する単量体(b)由来の繰り返し単位の割合は、実効温度域でのHTHS粘度の観点から、共重合体(B)の重量に基づいて、好ましくは1~80重量%であり、更に好ましくは5~75重量%、特に好ましくは10~70重量%、最も好ましいのは15~65重量%である。
共重合体(B1)を構成する単量体(a)と単量体(b)との合計の割合は、実効温度域でのHTHS粘度の観点から、共重合体(B)の重量に基づいて、好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは15~90重量%、特に好ましくは20~80重量%、最も好ましいのは25~75重量%である。
共重合体(B1)を構成する単量体(c)由来の繰り返し単位の割合は、実効温度域でのHTHS粘度観点から、共重合体(B)の重量に基づいて、好ましくは0~50重量%であり、更に好ましくは5~40重量%、特に好ましくは10~40重量%である。
共重合体(B1)を構成する単量体(d)由来の繰り返し単位の割合は、実効温度域でのHTHS粘度の観点から、共重合体(B)の重量に基づいて、好ましくは0~40重量%であり、更に好ましくは1~35重量%、特に好ましくは2~30重量%、最も好ましくは5~20重量%ある。
共重合体(B1)を構成する単量体(e)由来の繰り返し単位の割合は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、共重合体(B)の重量に基づいて、好ましくは0~40重量%であり、更に好ましくは1~30重量%、特に好ましくは1~20重量%である。
本発明において、共重合体(B1)の溶解パラメータ(以下SP値と略記する)は、粘度指数及び基油への溶解性の観点から、好ましくは9.1~9.5(cal/cm1/2であり、更に好ましくは9.1~9.4(cal/cm1/2、特に好ましくは9.1~9.3(cal/cm1/2である。
共重合体(B1)のSP値が、上記下限未満だと求められる温度-粘度特性が得られず、上記上限を超えると基油への溶解性が悪化するという問題がある。
なお、共重合体(B1)のSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14、No.2 P.147~154)に記載の方法で算出される値である。
共重合体(B1)のSP値は、共重合体(B)を構成する単量体それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体のSP値を、構成単量体単位のモル分率に基づいて平均した値である。
共重合体(B1)のSP値は、使用する単量体のSP値、モル分率を適宜調整することにより調整することができる。
共重合体(B1)のMwは、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、好ましくは100,000~1,000,000であり、更に好ましくは200,000~900,000であり、特に好ましくは300,000~800,000であり、最も好ましくは400,000~700,000である。
共重合体(B1)の結晶化温度は、潤滑油組成物の低温粘度の観点から好ましくは-30℃以下であり、更に好ましくは-40℃以下、特に好ましくは-50℃以下、最も好ましくは-60℃以下である。
共重合体(B1)は、公知の製造方法によって得ることができる。例えば、上記した各単量体化合物を溶剤中にて、重合触媒存在下に溶液重合することにより得られる。例えば、特許文献2(再公表2015-129732号公報)記載の方法により製造することができる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9~10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン及び鉱物油等が挙げられる。
重合触媒としては、アゾ系触媒(2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)、過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)及びレドックス系触媒(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)が挙げられる。更に必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2~20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、工業化の観点から好ましくは25~140℃であり、更に好ましくは50~120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により共重合体(B-1)を得ることができる。共重合体の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
(B2)(共)重合体の第二の態様は、
(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、
(ii)炭素数8~17の(アルキル)スチレンモノマー、炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に炭素数1~11のアルキル基を有するビニルエステル、炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される低分子モノマー(以下、単に低分子モノマーと称する)に由来する繰り返し単位を含む櫛形ポリマーであって、
モル分岐度が0.1~10モル%の範囲内であり、
繰り返し単位の総質量に対して、前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、前記(ii)低分子モノマーに由来する繰り返し単位と、を合計少なくとも80質量%含み、前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位を8~30質量%含む、前記櫛形ポリマーである。
尚、本発明において使用する「櫛形ポリマー」とは、比較的長い側鎖がポリマー主鎖に結合していることを意味する。側鎖はアルケン又はアルカジエン等のオレフィンの繰り返し単位を有し、主鎖は低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有する。
上記櫛形ポリマーは、0.1~10モル%、好ましくは0.2~5モル%、さらに好ましくは0.3~1.1モル%、より好ましくは0.4~1.0モル%、特に好ましくは0.4~0.6モル%の範囲内のモル分岐度を有する。当該櫛形ポリマーの詳細な製造方法及び分岐度の計算方法は特許第5502730号に記載の通りである。例えば、下記に述べるマクロモノマー及び低分子モノマーとのフリーラジカル重合により製造される。
ポリオレフィンベースのマクロモノマーは、当該技術分野において公知であり、ポリオレフィンに由来する少なくとも一つの基を有せばよい。例えば、炭素数2~10のアルケン、炭素数4~10のアルカジエン等を重合することによって得ることができる。該アルケン及び/又はアルカジエンに由来する基を、ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位の質量に対して、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも80質量%、最も好ましくは少なくとも90質量%含む。ポリオレフィン基は特に水素化された形で存在し得る。また、上記アルカン及び/又はアルカジエンに由来する基に加えて共重合可能なモノマーに基づく基を更に有することができる。該ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位の数平均分子量は、好ましくは500~50,000g/モルの範囲、より好ましくは700~10,000g/モルの範囲、特に1,500~4,900g/モルの範囲である。また、官能化されたポリオレフィンをマクロモノマーに変換することができる。例えば、ポリオレフィンに基づくマクロアルコール及び/又はマクロアミンであってもよく、これらは市販品であっても良い。
炭素数8~17の(アルキル)スチレンモノマーとしては、スチレン、αーメチルスチレン、α-エチルスチレン、ビニルトルエン、及びp-メチルスチレン等、並びに、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン、及びテトラブロモスチレン等のハロゲン化スチレンが挙げられる。
炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基を有し、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、及び3-ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アシル基中に炭素数1~11のアルキル基を有するビニルエステルは、好ましくはアシル基中に炭素数2~9のアルキル基、より好ましくは炭素数2~5のアルキル基を有する。例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルが含まれる。炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテルとしては、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基を有する、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルなどが挙げられる。
炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレートとは、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基を有し、例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸モノブチル等が挙げられる。炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエートとは、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基を有し、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸メチルエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル等が挙げられる。
上記櫛形ポリマーは、更に、炭素数11~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、複素環(メタ)アクリレート等に由来する繰り返し単位を有してもよい。
上記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、(ii)低分子モノマーに由来する繰り返し単位との比率は、繰り返し単位の質量に基づく。櫛形ポリマーの総質量に対して少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%の、低分子モノマー由来繰り返し単位及びマクロモノマー由来繰り返し単位を有する。また、該櫛形ポリマーは、マクロモノマー由来繰り返し単位を、繰り返し単位の総質量に対して好ましくは8~30質量%、より好ましくは10~26質量%有する。該櫛形ポリマーは質量平均分子量50,000~1,000,000g/モル、より好ましくは100,000~500,000g/モルであるのがよい。数平均分子量は好ましくは20,000~800,000g/モル、より好ましくは40,000~200,000g/モルであるのがよい。
該櫛形ポリマー(B2)は好ましくは、スチレンに由来する繰り返し単位と、n-ブチル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位とを有する。これらの質量比は、好ましくは、スチレン由来単位の質量:n-ブチル(メタ)アクリレート由来単位の質量が1:1~1:9、より好ましくは1:2~1:8の範囲内である。または、メチルメタクリレートに由来する繰り返し単位と、n-ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するのが好ましい。この場合の質量比は、メチルメタクリレート由来単位:n-ブチルメタクリレート由来単位が、1:1~0:100、より好ましくは3:7~0:100であるのがよい。
更に好ましくは、前記(B2)共重合体が、下記式(4)で表されるポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、下記式(5)で表されるアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位とを有する櫛形ポリマーである。
Figure 2022120328000005
(上記式中、R’は、水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1~10の一価炭化水素基であり、Qは炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいブタジエンの1,4付加により形成されたセグメントであり、Q’は炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいブタジエンのビニル付加により形成されたセグメントであり、n、mは、n+mの値が10~3000を満たす整数である)
Figure 2022120328000006
(上記式中、R’は、水素原子又はメチル基であり、Rは炭素原子数1~30個を有するアルキル基である)。
当該共重合体の詳細な製造方法は特許第3474918号に記載の通りである。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基油(A)と共重合体(B)の他に、(B)以外のアルキル(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を含有してもよい。該共重合体とは(B)以外のアルキル(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体であれば特に限定しないが、炭素数1~18の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体等が挙げられる。例えば、メタクリル酸n-オクタデシル/メタクリル酸n-ドデシル(モル比10~30/90~70)共重合体、メタクリル酸n-テトラデシル/メタクリル酸n-ドデシル(モル比10~30/90~70)共重合体、メタクリル酸n-ヘキサデシル/メタクリル酸n-ドデシル/メタクリル酸メチル(モル比20~40/55~75/0~10)共重合体及びアクリル酸n-ドデシル/メタクリル酸n-ドデシル(モル比10~40/90~60)共重合体等が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の量は、低温粘度の観点から好ましくは、(B)成分100重量部に対して0.01~30重量部であり、更に好ましくは0.01~20重量部、特に好ましくは0.01~10重量部、最も好ましくは0.01~5重量部である。
本発明の潤滑油組成物は、極めて低い温度側(以下、極低温という)での粘度上昇を抑え、より広い温度範囲にて粘度差が小さい、即ち、極低温下においては粘度上昇が抑えられ、且つ、高温においては従来品と同等の比較的高い粘度を確保することができる。
すなわち、本発明の潤滑油組成物の40℃における動粘度(mm/s)は10~40mm/sであり、好ましくは15~35mm/sであり、より好ましくは20~30mm/sであり、更に好ましくは22~27mm/sである。
本発明の潤滑油組成物の100℃における動粘度(mm/s)は5.0~12.0mm/sであり、好ましくは6.0~11.5mm/sであり、より好ましくは7.0~11.0mm/sであり、更に好ましくは8.0~10.5mm/sであり、特に好ましくは8.5~10.0mm/sであり、最も好ましくは9.0~9.8mm/sである。
特には、本発明の潤滑油組成物の0℃における動粘度(mm/s)は60~180mm/sであり、好ましくは80~170mm/sであり、より好ましくは100~175mm/sであり、更に好ましくは120~170m/sであり、特に好ましくは140~168mm/sであり、最も好ましくは150~165mm/sである。
更には、本発明の潤滑油組成物は100℃超えの高温温度範囲においても、上記100℃における動粘度と同等の粘度を有することが期待できる。
本発明の潤滑油組成物の40℃における動粘度(mm/s)と100℃における動粘度(mm/s)の比[(40℃における動粘度(mm/s))/(100℃における動粘度(mm/s))]は3.4以下であることが好ましい。より好ましくは3.3以下、更に好ましくは3.2以下、特に好ましくは3.1以下、最も好ましくは3.0以下である。この比が上記上限を超えると求められる粘度-温度特性が得られず好ましくない。
さらに好ましい態様としては、本発明の潤滑油組成物の0℃における動粘度(mm/s)と100℃における動粘度(mm/s)の比[(0℃における動粘度(mm/s))/(100℃における動粘度(mm/s))]は25以下であることが好ましい。より好ましくは23以下、更に好ましくは21以下、特に好ましくは20以下、更に特に好ましくは19以下、最も好ましくは18以下である。
本発明の潤滑油組成物の粘度指数は200以上が好ましい。より好ましくは230以上、さらに好ましくは250以上、さらに好ましくは270以上、さらに好ましくは300以上、特に好ましくは320以上、最も好ましくは350以上である。本発明において該粘度指数はASTMD 2270に準拠する方法にて計算される。
本発明の潤滑油組成物のせん断速度が(×106/s)における100℃での高温高せん断粘度(HTHS100)は3.5mPa・s以上5.0mPa・s未満が好ましい。より好ましくは3.7以上4.8mPa・s未満、さらに好ましくは3.9mPa・s以上4.6mPa・s未満、特に好ましくは4.0以上4.5mPa・s未満である。せん断速度が(×106/s)における150℃での高温高せん断粘度(HTHS150)は2.1mPa・s以上3.2mPa・s未満が好ましい。より好ましくは2.3以上3.0mPa・s未満、さらに好ましくは2.4mPa・s以上2.9mPa・s未満、特に好ましくは2.5以上2.8mPa・s未満である。また、本発明の潤滑油組成物の100℃での高温高せん断粘度(×106/s)と150℃での高温高せん断粘度(×106/s)との比[(100℃での高温高せん断粘度(×106/s))/(150℃での高温高せん断粘度(×106/s))](HTHS100/HTHS150)は1.0~2.5、より好ましくは1.2~2.3、さらに好ましくは1.4~2.1、最も好ましくは1.5~1.8である。
本発明の潤滑油組成物のせん断速度が(×107/s)における100℃での高温高せん断粘度(HTHS100)は3.5mPa・s以上4.5mPa・s未満が好ましい。より好ましくは3.7mPa・s以上4.4mPa・s未満、さらに好ましくは3.8mPa・s以上4.3mPa・s未満、特に好ましくは3.9mPa・s以上4.2mPa・s未満である。せん断速度が(×107/s)における150℃での高温高せん断粘度(HTHS150)は1.5mPa・s以上2.5未満が好ましい。より好ましくは1.6以上2.4mPa・s未満、より好ましくは1.7以上2.3mPa・s未満、更に好ましくは1.8以上2.2mPa・s未満である。また、本発明の潤滑油組成物の100℃での高温高せん断粘度(×107/s)と100℃での高温高せん断粘度(×106/s)との比[(100℃での高温高せん断粘度(×107/s))/(100℃での高温高せん断粘度(×106/s))]は0.85以上0.99未満が好ましい。より好ましくは0.88以上0.98未満、更に好ましくは0.90以上0.97未満、特に好ましくは0.92以上0.96未満である。
また、本発明の潤滑油組成物の150℃での高温高せん断粘度(×10/s)と150℃での高温高せん断粘度(×106/s)の比〔(150℃での高温高せん断粘度(×10/s))/(150℃での高温高せん断粘度(×106/s))〕は0.60以上0.85未満が好ましい。より好ましくは0.65以上0.82未満、より好ましくは0.68以上0.80未満、更に好ましくは0.70以上0.78未満、特に好ましくは0.72以上0.76未満である。
尚、本発明において温度100℃及び150℃、せん断速度(×10/s)におけるせん断粘度は、例えばPCS Instruments社製USV(The Ultra Shear Viscometer)を利用して測定することができる。温度100℃及び150℃、せん断速度(×106/s)におけるせん断粘度は、例えばTannas社製2100Eで測定することができ、温度100℃の場合はASTM D6616、温度150℃の場合はASTM D4683に準拠して得られるせん断速度(×10/s)でのせん断粘度である。
本発明の潤滑油組成物の-35℃でのCCS粘度は4.0Pa・s以下が好ましい。より好ましくは3.9Pa・s以下、さらに好ましくは3.6Pa・s以下、一層好ましくは3.4Pa・s以下、特に好ましくは3.2Pa・s以下である。本発明において-35℃でのCCS粘度はASTMD5293に準拠して測定される。
本発明の潤滑油組成物は、上記の通り、(A)特定の基油と(B)特定の粘度指数向上剤を必須成分として含有する。さらにこれらに加えて任意成分として(C)摩擦調整剤、(D)摩耗防止剤、(E)金属清浄剤、及び(F)酸化防止剤から選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
(C)摩擦調整剤
摩擦調整剤は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)およびモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物、モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物又はその他の有機化合物との錯体、ならびに硫化モリブデンおよび硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。上記モリブデン化合物としては、例えば、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸および(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩およびアンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデンおよびポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩又はアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等が挙げられる。上記硫黄含有有機化合物としては、例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイドおよび硫化エステル等が挙げられる。特に、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)およびモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の有機モリブデン化合物が好ましい。
摩擦調整剤として、硫黄を含まない有機モリブデン化合物も使用できる。このような化合物としては、例えば、モリブデン-アミン錯体、モリブデン-コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、およびアルコールのモリブデン塩等が挙げられる。さらに米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物、上記以外の摩擦調整剤としては例えばエステル、アミン、アミド、硫化エステルなどが挙げられる。
摩擦調整剤の含有量は、潤滑油組成物の低粘度、低蒸発性、及び摩擦低減効果を損ねない範囲であればよい。摩擦調整剤は、潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデンの質量ppmとしての濃度[Mo]が200~1400質量ppm、好ましくは300~1200質量ppm、更に好ましくは400~1000質量ppm、最も好ましくは500~900質量ppmの範囲となるような量で添加される。摩擦調整剤の量が上記上限を超えると、清浄性が悪化する場合があり、上記下限未満であると、摩擦を十分に低減することができなかったり、清浄性が悪化したりする場合がある。
(D)摩耗防止剤
摩耗防止剤は、従来公知のものを使用することができる。中でも、リンを有する摩耗防止剤が好ましく、特にはジチオリン酸亜鉛(ZnDTP(ZDDPともいう))が好ましい。また、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)を組合せて使用してもよい。
本潤滑油組成物において該ジアルキルジチオリン酸亜鉛の量は、好ましくは、潤滑油組成物全体の質量に対するZnDTP由来のリンの量が300~1500質量ppmとなる量、好ましくは350~1200質量ppmとなる量、より好ましくは400~1000質量ppmとなる量、特に好ましくは500~900質量ppmとなる量であればよい。該ジアルキルジチオリン酸亜鉛を上記範囲となる量で含有することにより、触媒被毒を起こすことなく、摺動面間における摩擦低減効果の向上及び優れた耐摩耗性を両立することができる。尚、本発明の潤滑油組成物において、第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛(Pri-ZnDTP)及び第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛(Sec-ZnDTP)のうち1種を単独で使用してもよいし、これらの2種以上を混合して使用してもよい。混合して使用する場合の混合比率は特に制限されない。MoDTPと組合せることにより、Pri-ZnDTP及びSec-ZnDTPのいずれを使用しても、同等に、優れた摩擦低減効果及び耐摩耗性を両立することができる。なお、限定的ではないが、Sec-ZnDTPを必須とする態様が特に好ましく、潤滑油組成物全体の質量に対するSec-ZnDTP由来のリンの量が200~1500質量ppmとなる量が好ましく、好ましくは300~1200質量ppm、より好ましくは400~1000質量ppm、特に好ましくは500~900質量ppmとなる量がよい。
また、ジアルキルジチオリン酸亜鉛と併用して、ホスフェート、ホスファイト系のリン化合物、並びにそれらの金属塩及びアミン塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することもできる。但し、これらの化合物の量は、潤滑油組成物全体中のリンの合計質量が上記した範囲を満たす量に限られる。例えば、該潤滑油組成物の全量に対して0.1質量%未満が好ましく、より好ましくは0.05質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満であり、全く含まないのが最も好ましい。該リン化合物としては、例えば、炭素数1~30の炭化水素基を1つ有する亜リン酸モノエステル及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸;炭素数1~30の炭化水素基を2つ有する亜リン酸ジエステル、モノチオ亜リン酸ジエステル、及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸モノエステル;炭素数1~30の炭化水素基を3つ有する亜リン酸トリエステル、及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸ジエステル;及びこれらの混合物等が挙げられる。
(E)金属清浄剤
金属清浄剤としてはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を有する清浄剤が挙げられる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有するスルフォネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有するサリシレート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有するフェネートが挙げられるが、これに限定されない。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、及びカルシウムが挙げられるが、これに限定されない。
より詳細には、カルシウムスルフォネート、マグネシウムスルフォネート、カルシウムサリシレート、マグネシウムサリシレート、カルシウムフェネート、及びマグネシウムフェネートが好ましく用いられる。金属清浄剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。金属清浄剤中に含まれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の量は、限定的ではないが、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1.0~15質量%がさらに好ましい。
金属清浄剤は、限定的ではないが、全塩基価20~600mgKOH/gを有するのが好ましく、50~500mgKOH/gがより好ましく、100~450mgKOH/gがさらに好ましく、特に好ましくは150~400mgKOH/gである。これにより、潤滑油に必要な酸中和性、高温清浄性、防錆性を確保することができる。
金属清浄剤は、潤滑油組成物中に任意の割合で含有されればよい。例えば、0.01~5質量%であり、より好ましくは0.1~4質量%であり、さらに好ましくは0.2~3質量%である。
(F)酸化防止剤
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。酸化防止剤は、通常、潤滑油組成物中に0.1~5質量%で配合される。
また上記以外の添加剤として、ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等の酸化防止剤、長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等の油性向上剤、シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等の消泡剤、4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等の抗乳化剤、窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート等)等の腐食防止剤が挙げられる。これらのうち少なくとも1種を含有する各種潤滑油用パッケージ添加剤を添加することもできる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
下記実施例及び比較例にて使用した基油(A1)、基油(A2)及び基油(A3)は以下の通りである。
基油1:GroupIII:GTL基油1(100℃の動粘度:4.1mm/s、VI=131)
基油2:GroupIII:GTL基油2(100℃の動粘度:2.7mm/s、VI=113)
基油3:GroupIII:鉱油1(100℃の動粘度:4.2mm/s、VI=125)
基油4:GroupIII:鉱油2(100℃の動粘度:3.0mm/s、VI=107)
基油5:GroupIII:鉱油3(100℃の動粘度:4.1mm/s、VI=134)
基油6:エステル系基油1:アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOA:100℃の動粘度:2.4mm/s、VI=122、NOACK43%)
基油7:エステル系基油2:セバシン酸ジオクチル(DOS:100℃の動粘度:3.2mm/s、VI=152、NOACK18%)
上記各基油1~7の蒸留性状について下記表1に示す。
Figure 2022120328000007
共重合体(B1)
実施例及び比較例にて使用した各共重合体における単量体(a)~(e-2)由来の単位の比率を下記表に示す。
Figure 2022120328000008
上記表2に記載の単量体(a)~(e-2)は、以下に記載した通りである。
(a):下記(Y1)のメタクリル酸エステル化物[Mn:5,000]
(Y1):水素化ポリブタジエンの片末端水酸基含有重合体(商品名;KrasolHLBH-5000M、Cray Valley製、1,2-ブチレン比率;65モル%、水酸基価;10.4mgKOH/g)[(Y1)の合計構成単位数に基づく、イソブチレン及び1,2-ブチレンの合計は65モル%、(Y1)の結晶化温度-60℃以下]
(b):ブトキシエチルメタクリレート
(c-1):メタクリル酸メチル
(c-2):メタクリル酸ブチル
(d-1):メタクリル酸n-ドデシル
(d-2):メタクリル酸n-テトラデシル
(e-1):メタクリル酸2-n-デシルテトラデシル
(e-2):メタクリル酸2-n-ドデシルヘキサデシル
[調製例1]
共重合体(B1A)の調製
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、上記基油5を400重量部、単量体(a)~(e-2)を上記表2に記載の共重合体(B1A)の組成にて合計100重量部となる量、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5重量部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.2重量部を投入し、窒素置換(気相酸素濃度100ppm)を行った後、密閉下、撹拌しながら76℃に昇温し、同温度で4時間重合反応を行った。120~130℃に昇温後、同温度で減圧下(0.027~0.040MPa)未反応の単量体を2時間かけて除去し、共重合体(B1A)及び基油5を含有する添加剤組成物を得た。得られた共重合体(B1A)のSP値は上述した方法で計算した。Mwは上記の方法で測定した。
尚、実施例14及び実施例17で用いた共重合体(B1A)は溶剤として上記基油5に替えて基油1を用いた以外は上記と同じ方法で調製し、共重合体(B1A)及び基油1を含有する添加剤組成物とした。
[調製例2]
共重合体(B1B、B1C)の調製
上記表2に記載の各構成となるように各単量体(a)~(e-2)を配合した他は上記調製例1の手順を繰り返して重合反応を行い、共重合体(B1B)又は共重合体(B1C)、及び基油5を含有する添加剤組成物を調製した。重合時間は適宜調整された。
潤滑油組成物の調製
上記調製例1又は2で得た各添加剤組成物、その他の添加剤、及び基油1~基油7を下記表3、表4及び表7に記載の配合量にて混合して潤滑油組成物を得た。なお、表3、表4及び表7の共重合体(B1A)~(B1C)の含有量とは、潤滑油組成物全体の量を100重量%とした該潤滑油組成物に含まれる共重合体のみの量(重量%)である。上記添加剤組成物中に溶剤として含まれていた基油5の量は、潤滑油組成物中に含まれる基油5の量(潤滑油組成物全体を100重量%とした重量%)として記載した。同様に、実施例14及び実施例17においては、添加剤組成物中に溶剤として含まれていた基油1の量は、潤滑油組成物中に含まれる基油1の量(潤滑油組成物全体を100重量%とした重量%)として記載した。
共重合体(B2)
共重合体(B2A)は以下の構成を有する。
(B2A):hPBDMM4800 注1) 28.0質量%、n-ブチルメタクリレート 58.0質量%、及びスチレン14質量%の混合物を重合させて成る櫛形ポリマー(Mw=191000g/mol、モル分岐度=1.0%、多分散性指数(PDI)=3.5)
注1)上記hPBDMM4800とは、CrayValley(フランス国パリ)が提供する、水素化ポリブタジエンであり、Mn=4800g/モル、T=-25℃、及びマクロモノマー官能度(fMM)の範囲90~95%のマクロモノマーである。
[調製例3]
共重合体(B2A)の調製
4口フラスコと精密ガラスサーベル撹拌機を備える装置に、前記B2Aの組成を示す低分子モノマーの混合物とマクロモノマーとの混合物600gと、400gの基油5とを装入した。窒素下で115℃まで加熱したあと、2,2-ビス-tert-ブチルペルオキシブタン1.2gを添加し、温度を維持した。開始剤の最初の添加の3時間後および6時間後に、新たに2,2-ビス-tert-ブチルペルオキシブタン1.2gをそれぞれ供給し、混合物を115℃で一晩攪拌した。翌日、500gの基油5で混合物を固形分60%から40%に希釈し、鉱物油中の櫛形ポリマーの40%溶液1500gを得た。
潤滑油組成物の調製
上記共重合体B2A、その他添加剤及び基油1~基油7を下記表4記載の配合量(潤滑油組成物全体の量を100重量%とした重量%)にて混合して潤滑油組成物を得た。
その他共重合体
・共重合体B3:エチレン-プロピレンコポリマー:せん断安定度指数(SSI)値50
その他添加剤:金属系清浄剤、酸化防止剤、無灰分散剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤からなるパッケージ
各潤滑油組成物について、動粘度、粘度指数、せん断速度(×106/s)及び(×107/s)の高温高せん断粘度、CCS粘度、NOACK蒸発量、を下記の方法にて測定した。実施例の潤滑油組成物の組成、蒸留性状、及び評価結果を下記表3~6に示す。また比較例の潤滑油組成物の組成、蒸留性状、及び評価結果を下記表7~8に示す。
動粘度は、ASTMD 445に準拠する方法にて、0℃、40℃及び100℃にて測定した。
粘度指数はASTMD 2270に準拠する方法にて計算した。
100℃の高温せん断粘度(×10/s)と150℃での高温せん断粘度(×10/s)はPCS Instruments社製USV(The Ultra Shear Viscometer)試験機を用いて測定した。
100℃の高温せん断粘度(×10/s)と150℃での高温せん断粘度(×10/s)はTannas社製2100Eで測定した。また、100℃の高温せん断粘度はASTM D6616に準拠し、150℃の高温せん断粘度はASTM D4683に準拠して測定した。
-35℃でのCCS粘度(CCS粘度)は、ASTM D5293に準拠して測定した。
NOACK蒸発量はASTM D 5800に準拠して250℃1時間で測定された。
Figure 2022120328000009
Figure 2022120328000010
Figure 2022120328000011
Figure 2022120328000012
Figure 2022120328000013
Figure 2022120328000014
上記表に記載の実施例と比較例の対比からわかるとおり、本発明の潤滑油組成物は、高温(100℃)での粘度を維持しつつ、低温(40℃)及び極低温(0℃)での粘度が低減されている。それにより、(40℃における動粘度)/(100℃における動粘度)の値が3.4以下となる。特には、(0℃における動粘度)/(100℃における動粘度)の値が25以下となる。

Claims (14)

  1. (A)基油、及び(B)(共)重合体を含み、NOACK蒸発量15質量%以上25質量%未満を有する潤滑油組成物であって、前記(A)基油として(A3)エステルを潤滑油組成物の全質量に対して5~30質量%含み、前記(B)成分が重合性モノマー由来の繰り返し単位を有する主鎖とポリオレフィン構造を有する側鎖とを有する(共)重合体であり、該(B)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対し0.5~10質量%であり、及び、沸点が350℃~400℃の範囲にある留分を該潤滑油組成物の全質量に対し20~60質量%で含有することを特徴とする、前記潤滑油組成物。
  2. 前記(A3)成分がNOACK蒸発量50以下のエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 沸点が400℃超~450℃の範囲にある前記(A)基油に由来する留分を、潤滑油組成物の全質量に対し10~70質量%で含有する、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記(A3)成分がモノエステルあるいはジエステルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  5. 沸点が600℃を超える範囲にある前記(A)基油に由来する留分を含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  6. 前記(A3)成分がアジピン酸エステル、セバシン酸エステル、及びアゼライン酸エステルから選ばれる少なくとも1であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  7. 沸点が350℃未満の範囲にある留分の含有量が10質量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  8. 前記(A)基油として、さらに(A1)沸点が350~400℃の範囲にある留分を50~99質量%含有する、鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油、及び/又は、(A2)沸点が400超~450℃以下の範囲にある留分を40~90質量%含有する、鉱油及びGTLから選ばれる少なくとも1種の基油を含み、潤滑油組成物全質量に対し、(A1)成分の含有量が10~50質量%であり及び/又は(A2)成分の含有量が25~70質量%であり、かつ(A3)成分の含有量が5~30質量%である、請求項1~7のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  9. 前記(B)(共)重合体が、片末端に炭素数50~1,000のポリオレフィン構造を有し、且つ、他の末端に(メタ)アクリロキシ基を有する化合物に由来する単位を有する(共)重合体(B1)であって、前記(B1)(共)重合体は溶解パラメーター(SP値)9.1~9.5(cal/cm1/2を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  10. 前記(B)(共)重合体が、
    (i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、
    (ii)8~17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1~11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1~10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエート、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される低分子モノマー(以下、単に低分子モノマーと称する)に由来する繰り返し単位と、を含む櫛形ポリマー(B2)であって、
    モル分岐度が0.1~10モル%の範囲内であり、
    前記繰り返し単位の質量に対して、前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、前記(ii)低分子モノマーに由来する繰り返し単位と、を合計少なくとも80質量%含み、
    前記(i)ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位を8~30質量%含むことを特徴とする櫛形ポリマー(B2)であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  11. 前記(A)基油の100℃における動粘度が2.0~5.0mm/sであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  12. 金属清浄剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、及び摩耗防止剤から選ばれる添加剤の少なくとも1をさらに含有する請求項1~11のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  13. 内燃機関用である、請求項12記載の潤滑油組成物。
  14. ハイブリッド自動車用である、請求項13記載の潤滑油組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023238603A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 三洋化成工業株式会社 粘度指数向上剤組成物及び潤滑油組成物

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