JP2022119391A - 回転テーブル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリースに代わる潤滑方式を提供する。【解決手段】回転テーブル装置は、テーブル本体と、鉛直方向の中心軸を軸として回転可能な回転テーブルと、テーブル本体に対して回転テーブルを、上下方向及び径方向に支持する軸受装置と、回転テーブルを回転させるモータと、軸受装置に潤滑油を供給する潤滑油供給装置を備え、軸受装置は、テーブル本体に取り付けられる第1軸受部材と、回転テーブルに取り付けられる第2軸受部材とを備え、第1軸受部材と第2軸受部材とは、第2軸受部材の外周に形成した環状の溝に第1軸受部材の内径側が嵌め合わされ、第2軸受部材に嵌め合わされた第1軸受部材の第2軸受部材と対向する上面、下面、側面には、それぞれ上部コロ列、下部コロ列、側部コロ列が配置され、潤滑油供給装置は、上部コロ列に予め定められた量の潤滑油を供給するノズルを有する。【選択図】図3
Description
本開示は、工作機械の回転テーブル装置に関する。
特許文献1の回転テーブル装置は、テーブル本体とスピンドルとの間に、軸受けを備えている。テーブルの振れ精度、同軸度、剛性を向上させるために、軸受けとして、3ローラーベアリングが用いられる場合がある。
3ローラーベアリングでは、一般に潤滑剤としてグリースが用いられている。潤滑剤としてグリースを用いる場合、グリースは潤滑部分に適量を充填する。一年に一度くらいの頻度で行われるグリースのメンテナンスにおいては、一旦、古いグリースを取り除く必要がある。しかし、工作機械のセンターテーブルの軸受け部分は、他の部材に取り囲まれていることが多く、古いグリースの取り出しや、新しいグリースの再充填を行なうことは、多大の手間を要する。そこで、メンテナンスの容易な潤滑方式が要望されている。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、回転テーブル装置が提供される。この回転テーブル装置は、テーブル本体と、鉛直方向の中心軸を軸として回転可能な回転テーブルと、前記テーブル本体に対して前記回転テーブルを、上下方向及び径方向に支持する軸受装置と、前記回転テーブルを回転させるモータと、前記軸受装置に潤滑油を供給する潤滑油供給装置を備え、前記軸受装置は、前記テーブル本体に取り付けられる第1軸受部材と、前記回転テーブルに取り付けられる第2軸受部材とを備え、前記第1軸受部材と前記第2軸受部材とは、前記第2軸受部材の外周に形成した環状の溝に前記第1軸受部材の内径側が嵌め合わされ、前記第2軸受部材に嵌め合わされた前記第1軸受部材の前記第2軸受部材と対向する上面、下面、側面には、それぞれ上部コロ列、下部コロ列、側部コロ列が配置され、前記潤滑油供給装置は、前記上部コロ列に予め定められた量の前記潤滑油を供給するノズルを有する。この形態の回転テーブル装置によれば、ノズルにより上部コロ列に供給された潤滑油は、上部コロ列、側部コロ列、下部コロ列の順に流れ、全てのコロ列に潤滑油を供給できる。また、回転する回転系部品と、回転しない固定系部品との間の隙間を無くす必要がないので、摺動抵抗が増大しない。
(2)上記形態の回転テーブル装置であって、前記軸受装置の下方に潤滑油回収溝と、前記潤滑油回収溝から回転テーブル装置の外部に前記潤滑油を排出するためのドレン穴と、前記潤滑油回収溝から回転テーブル装置の外部に前記潤滑油を排出するためのドレン穴と、を備えてもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、余剰の潤滑油を回収できる。
(3)上記形態の回転テーブル装置であって、前記下部コロ列から前記潤滑油が落下する落下経路と、前記潤滑油回収溝から前記モータに至る排気経路とを分離する水切り形状を有してもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、潤滑油回収溝からモータに至る排気経路に潤滑油が流れないので、潤滑油がモータに与える影響を抑制できる。
(4)上記形態の回転テーブル装置であって、前記潤滑油供給装置は、潤滑油ポンプと、前記潤滑油ポンプの下流に設けられ、一定量の前記潤滑油を前記ノズルに供給する分配器と、エアーポンプと、前記エアーポンプの下流に設けられ、エアの供給をオン・オフする電磁弁と、前記分配器と前記ノズルとの間と、前記電磁弁との間をつなぐエア供給管と、前記潤滑油ポンプを予め定められた時間ごとに予め定められた第1時間だけ動作させ、前記潤滑油ポンプを動作させたあと、予め定められた第2時間経過後に前記電磁弁を一時的にオンさせて、前記エアの圧力を用いて、前記ノズルから前記一定量の前記潤滑油を前記上部コロ列に供給させる制御部と、を備えてもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、制御部は、潤滑油ポンプを予め定められた時間ごとに予め定められた第1時間だけ動作させ、その後、予め定められた第2時間経過後に電磁弁を一時的にオンさせて、エアの圧力を用いて、ノズルから適切な一定量の潤滑油を上部コロ列に供給させることができる。
(5)本開示は、回転テーブル装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、加工装置、マシニングセンタ等の形態で実現することができる。
(2)上記形態の回転テーブル装置であって、前記軸受装置の下方に潤滑油回収溝と、前記潤滑油回収溝から回転テーブル装置の外部に前記潤滑油を排出するためのドレン穴と、前記潤滑油回収溝から回転テーブル装置の外部に前記潤滑油を排出するためのドレン穴と、を備えてもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、余剰の潤滑油を回収できる。
(3)上記形態の回転テーブル装置であって、前記下部コロ列から前記潤滑油が落下する落下経路と、前記潤滑油回収溝から前記モータに至る排気経路とを分離する水切り形状を有してもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、潤滑油回収溝からモータに至る排気経路に潤滑油が流れないので、潤滑油がモータに与える影響を抑制できる。
(4)上記形態の回転テーブル装置であって、前記潤滑油供給装置は、潤滑油ポンプと、前記潤滑油ポンプの下流に設けられ、一定量の前記潤滑油を前記ノズルに供給する分配器と、エアーポンプと、前記エアーポンプの下流に設けられ、エアの供給をオン・オフする電磁弁と、前記分配器と前記ノズルとの間と、前記電磁弁との間をつなぐエア供給管と、前記潤滑油ポンプを予め定められた時間ごとに予め定められた第1時間だけ動作させ、前記潤滑油ポンプを動作させたあと、予め定められた第2時間経過後に前記電磁弁を一時的にオンさせて、前記エアの圧力を用いて、前記ノズルから前記一定量の前記潤滑油を前記上部コロ列に供給させる制御部と、を備えてもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、制御部は、潤滑油ポンプを予め定められた時間ごとに予め定められた第1時間だけ動作させ、その後、予め定められた第2時間経過後に電磁弁を一時的にオンさせて、エアの圧力を用いて、ノズルから適切な一定量の潤滑油を上部コロ列に供給させることができる。
(5)本開示は、回転テーブル装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、加工装置、マシニングセンタ等の形態で実現することができる。
・第1実施形態:
図1は、回転テーブル装置30を備える5軸マシニングセンタ10の説明図である。5軸マシニングセンタ10は、ベッド20と、回転テーブル装置30と、チャック装置を内蔵したターニングスピンドル70と、コラム80と、サドル90と、を備える。5軸マシニングセンタ10は、横型であり、鉛直方向をy軸方向とし、y軸方向と交わる水平方向をx軸方向、z軸方向と呼ぶ。
図1は、回転テーブル装置30を備える5軸マシニングセンタ10の説明図である。5軸マシニングセンタ10は、ベッド20と、回転テーブル装置30と、チャック装置を内蔵したターニングスピンドル70と、コラム80と、サドル90と、を備える。5軸マシニングセンタ10は、横型であり、鉛直方向をy軸方向とし、y軸方向と交わる水平方向をx軸方向、z軸方向と呼ぶ。
ベッド20は、z軸に沿って伸びる一対のレール21と、レール21の-z方向にワーク台25と、を備える。ワーク台25には、x軸に沿って伸びる一対のレール26が配置されている。レール26の上には、回転テーブル装置30が配置されている。回転テーブル装置30は、図示しないサーボモータにより、レール26上をx軸に沿って移動可能である。
回転テーブル装置30は、回転テーブル31を有し、回転テーブル31は、B軸の周りに回転可能である。回転テーブル31の上には、チャック装置を内蔵したターニングスピンドル70が配置されている。ターニングスピンドル70は、ターニング主軸とも呼ぶ。ターニングスピンドル70は、ワーク100を把持するとともに、図示しないモータによりワーク100をA軸の周りに回転させることができる。このワーク100の把持に用いられる力は、回転テーブル装置30を介して供給される油圧により与えられる。この供給ルートについては、後述する。
レール21の上には、コラム80が配置されており、コラム80は、図示しないサーボモータにより、レール21上をz軸に沿って移動可能である。コラム80には、y軸に沿って伸びる一対のレール81が配置されている。レール81の上には、サドル90が配置されている。サドル90は、サーボモータ82により、レール81上をy軸に沿って移動可能である。サドル90には、スピンドル91が設けられ、スピンドル91には、ワークを加工するための工具が取り付けられる。スピンドル91は、主軸とも呼ぶ。図示しないモータがスピンドル91を回転させることで、工具が回転し、工具がワーク100を加工する。工具としてスカイビング工具を用い、工具の回転とワーク100の回転を連動させ、ワーク100に対して工具を軸方向に移動させれば、ワーク100の歯面のスカイビング加工を行うことが出来る。後述する回転テーブル装置30を用いれば、歯面の加工精度が向上する。
図2は、回転テーブル装置30の構成を示す説明図である。回転テーブル装置30は、回転する回転系部品と、回転しない固定系部品と、を備える。回転テーブル装置30は、回転系部品として、回転テーブル31(図1参照。図2では図示せず。)と、センタースリーブ40と、第1ロータ51と、第2ロータ52と、ビルトインモータのロータ磁石54と、転がり軸受の第2軸受部材55と、センタースリーブ40及び第2連結部57を連結する第1連結部56と、第2連結部57と、水切部材58と、エンコーダの内側のロータ部63aと、を備える。また、回転テーブル装置30は、固定系部品として、テーブル本体60と、センターシャフト61と、センターシャフト61及びケーシング63bを連結するエンコーダ載置部62と、エンコーダの外径側のケーシング63bと、ハウジング64と、ハウジング支持部65と、ビルトインモータのステータコイル66と、転がり軸受の第1軸受部材67と、溝形成部材59と、を備える。
テーブル本体60は、回転テーブル装置30の底面を構成する円板部60bと、円板部60bの外周から立ち上がる円筒形の円筒部60aと、を備える。ここで、円板部60b側を「下」、円筒部60aが立ち上がる方向を「上」と呼ぶ。円板部60bの中心には、開口60cが形成されている。この開口60cには、エンコーダの外径側のケーシング63bからの出力を外部の制御装置(図示せず)に送るためのケーブルやその他の信号線(図示せず)が通っている。テーブル本体60の中心であるB軸OBは、開口60cの中心を通っている。以下、B軸OBを「中心軸OB」とも呼ぶ。中心軸OBは、回転テーブル31の回転軸である。円板部60bには、中心軸OBを中心軸とした円筒形を有するセンターシャフト61が立設されている。センターシャフト61の下端には、フランジ形状をした固定部61aが形成され、固定部61aは、図示しないネジによりテーブル本体60の円板部60bに固定されている。図2では、各部材を固定するネジについては、図示しない。センターシャフト61の円板部60bと反対側(図2では上側)には、エンコーダ載置部62がネジによりセンターシャフト61に固定されている。エンコーダ載置部62は、円筒形をしており、センターシャフト61と反対側にフランジ62aを有する。フランジ62aのセンターシャフト61と反対側は、中央部62bが凹んでおり、この凹んだ中央部62bには、エンコーダの外径側のケーシング63bがネジにより固定されている。エンコーダの外径側のケーシング63bは、円筒形を有しており、回転テーブル31と共に回転するロータ部63aとともに、回転テーブル31の回転角を検出する回転エンコーダ63を構成する。本実施形態では、ロータリーエンコーダとしては、磁気式、あるいは光学式のロータリーエンコーダが採用可能である。
センターシャフト61の外側には、わずかな隙間を空けて回転系部材であるセンタースリーブ40が配置されている。センタースリーブ40は、中心軸OBを同心とした円筒形を有している。センタースリーブ40のテーブル本体60と反対側には、フランジ40aが形成されている。フランジ40aの外周には、中心軸OBを同心とした円筒形の第1ロータ51が配置されている。第1ロータ51の外周側には、中心軸OBを同心とした円筒形の第2ロータ52が配置されている。第2ロータ52のテーブル本体60側には、ロータ磁石54が配置されている。ロータ磁石54は、固定系部品のステータコイル66とともに、ダイレクトドライブモータ(以下「モータ」と呼ぶ)を構成している。第2ロータ52の外周には、転がり軸受の第2軸受部材55が配置されている。転がり軸受の第2軸受部材55は、固定系部品の転がり軸受の第1軸受部材67とともに、上下方向に支持し、径方向に支持する3ウェイ型の軸受を構成している。軸受けの構造については、後述する。フランジ40aのテーブル本体60と反対側には、テーブル支持部56がネジにより、固定されている。テーブル支持部56は、中心軸OBを同心とした円筒形部56aと、円筒形部56aの回転テーブル31側(図2の上側)の中央部に、穴56cが空けられた穴あき円板部56bを有している。穴56cには、第2連結部57が嵌め込まれ固定されている。
第2ロータ52と第2軸受部材55の下方には、水切部材58と溝形成部材59が配置されている。溝形成部材59は、水切部材58の外周側に配置されている。テーブル本体60の円筒形の円筒部60aとともに、第2軸受部材55から落下してきた潤滑油を貯留する潤滑油回収溝59aを形成している。水切部材58は回転する回転系部品であり、溝形成部材59は回転しない固定系部品であるため、水切部材58と溝形成部材59との間には、排気経路581が形成されている。排気経路581は、潤滑油回収溝59aのエアを排気するため、及び、回転系部材である水切部材58と固定系部材である溝形成部材59との間に隙間を空けるために用いられる。水切部材58は、潤滑油回収溝59aに向けて突き出た水切形状58aを有する。水切形状58aは、第2軸受部材55から落下する潤滑油が排気経路581の方に行かないように仕切っている。
センタースリーブ40は、断面円形の外周面を有し、外周面の外側には、わずかな隙間を空けてハウジング64が配置され、ネジにより、テーブル本体60に固定されている。すなわち、センタースリーブ40とハウジング64とは、離間して配置されている。ハウジング64は、中心軸OBを同心とした円筒形を有している。ハウジング64の外周側には、ハウジング支持部65が配置され、ネジにより、テーブル本体60に固定されている。ハウジング支持部65は、外周側からハウジング64を支持している。
テーブル本体60の円筒形の円筒部60aの内側には、ステータコイル66が配置されている。このステータコイル66は、上述したように、ロータ磁石54とともに、ビルトインモータであるダイレクトドライブモータを構成している。
ハウジング64は、中心軸OBに沿った予め定められた範囲に亘って、断面円形の内周面を有し、内周面には、環状の溝形状を有する凹部64aが複数個形成されている。ハウジング64の内周面とセンタースリーブ40の外周面の間には、凹部64aの中心軸OBに沿った方向の上下に、Oリング68が配置されている。Oリング68は、ハウジング64の内周面とセンタースリーブ40の外周面の間に挟持されており、凹部64aに供給される流体の漏れを抑制する。Oリング68は、センタースリーブ40が回転すると、摺動抵抗を生じさせるため、数が少ない方が好ましい。ここで、隣接する2つの凹部64aの間のOリング68は共用できるため、凹部64aの数をn個とすると、Oリング68は、n+1個あればよい。ハウジング64の中には、複数の凹部64aとそれぞれ連通する複数のハウジング内流体流路64bが形成されている。流体流路64bは、凹部64aに連通する径方向のバス穴と、軸方向に伸びる通路から構成されている。
テーブル本体60の円筒形の円筒部60a及び円板部60bには、複数の筐体内流体流路60dが形成されており、ハウジング64の複数のハウジング内流体流路64bとそれぞれ接続されている。円筒部60a及び円板部60bには、複数の筐体内流体流路60dにそれぞれ接続される流体供給管69が接続されている。
センタースリーブ40の内部には、複数の凹部64aとそれぞれ接続される複数のスリーブ内流体流路40cが形成されている。流体流路40は、凹部64aに連通する径方向のパス穴と、軸方向に伸びる通路から構成されている。このスリーブ内流体流路40cは、第1ロータ51の内部に形成された複数のロータ内流体流路51aを介して回転テーブル31の図示しない流体流路に接続されている。回転テーブル31の流体流路は、図示しないチューブを介して、チャック装置を内蔵したターニングスピンドル70に接続されている。ハウジング64とセンタースリーブ40とは、流体を分配する、いわゆるディストリビュータを構成している。凹部64aの数がこのディストリビュータの分配数となっている。
図3は、図2の領域IIIを拡大して示す説明図である。図4は、領域IIIの図3と異なる断面で切ったときの断面図である。図5は、図3の線V-Vで切った断面を示す説明図である。図3から図5の説明では、軸受けの構造及び潤滑油の流れに関する構造について説明し、その他の構造については、説明を省略する。
第1軸受部材67は、中心軸OBを含む断面で切ったときの断面形状が略長方形の穴あき円板形状を有しており、第2軸受部材55は、第1軸受部材67の、上側、下側、中心軸OB側を囲っている。第2軸受部材55は、第1軸受部材67を挟むため、第1部材55aと第2部材55bの2つの部材で形成されている。第1部材55aと第2部材55bは、第1軸受部材67を挟んだ後、図示しないネジにより固定される。すなわち、第2軸受部材55の外周に環状の溝を有し、環状の溝に第1軸受部材67の内径側が嵌め込まれている。第2軸受部材55の環状の溝は、下面、側面、上面で構成され、それぞれが上部内輪転動面、側部内輪転動面、下部内輪転動面となる。第1軸受部材67の環状の溝に対応する位置に、3つの面を有し、それぞれが上部外輪側転動面、側部外輪転動面、下部外輪転動面となる。上部内輪転動面及び上部外輪転動面の間には、これらを転動するリテーナ681に保持された上部コロ列671が配置され、上部内輪転動面と上部外輪転動面と上部コロ列671とで上部軸受を構成する。下部内輪転動面及び下部外輪転動面の間には、これらを転動するリテーナ682に保持された下部コロ列672が配置され、下部内輪転動面と下部外輪転動面と下部コロ列672とで下部軸受を構成する。側部内輪転動面及び側部外輪転動面の間には、これらを転動する第1軸受部材67の第2軸受部材55と対向する側面には、側部コロ列673が配置され、側部内輪転動面と側部外輪転動面と側部コロ列673とで側部軸受を構成する。上部軸受及び下部軸受で第2軸受部材55を第1軸受部材67に対して上下方向に支持し、側部軸受で第2軸受部材55を第1軸受部材67に対して径方向に支持する。上部コロ列671、下部コロ列672及び側部コロ列673を構成するコロは、いずれも、円筒形を有している。円筒形のコロを用いることにより、コロと転動面との接触面積が大きくなり、第2軸受部材55の第1軸受部材67に対する上下方向及び径方向の支持荷重が大きくなる。リテーナ681の外縁側には、上部軸受の上部コロ列671に向けて潤滑油を吹き出すノズル174が配置されている。環状の溝に上から順に上部軸受、側部軸受、下部軸受が配置されているので、上部軸受に供給された潤滑油は、側部軸受、下部軸受の順に流れる。本実施形態では、ノズル174の数は、3個であり、図5に示すように、円周に沿ってほぼ等間隔に配置されている。なお、ノズル174の数は、3個に限定されず、2個以上あればよい。なお、回転テーブル31が360度以上回転する場合には、ノズル174の数は、1つでもよい。また、作業開始時に、回転テーブル31を必要な角度、回転させ、ノズル174から潤滑油を供給してもよい。
下部コロ列672の下方の第2軸受部材55と、円筒部60aとの間には、潤滑油を落下させる落下経路機能するとともに、回転系部材である第2軸受部材55と、固定系部材である円筒部60aとの間を空ける隙間551が開いている。隙間551の下方には、溝形成部材59が配置されている。溝形成部材59は、上述したように、テーブル本体60の円筒形の円筒部60aとともに、第2軸受部材55から落下してきた潤滑油を貯留する潤滑油回収溝59aを形成している。潤滑油回収溝59aの底には、潤滑油回収溝59aに溜まった潤滑油を排出するためのドレン穴59bが開けられている。本実施形態では、ドレン穴59bの数は2個であり、図5に示すように、潤滑油回収溝59aの円周に沿ってほぼ等間隔に配置されている。なお、ドレン穴59bの数は1個以上あればよい。ドレン穴59bは、円筒部60aに形成されたドレン流路60eを介して、テーブル本体60の外部に排出される。潤滑油は、グリースに比べて粘性が低いので、回転テーブル31の位相決め精度が向上する。また、重力により、第2軸受部材55の外周の環状の溝、隙間551、潤滑油回収溝59a、ドレン穴59b、ドレン流路60eの順にスムーズに流れる。
水切部材58は、溝形成部材59の内側に、溝形成部材59とわずかな排気経路581を空けて配置されている。水切部材58は、潤滑油回収溝59aに向けて下方に突き出る水切形状58aを有する。水切形状58aは、排気経路581の潤滑油回収溝59a側の高さよりも低い位置まで下方に伸びており、下部コロ列672から隙間551を通って潤滑油回収溝59aに落下する潤滑油が排気経路581に行かないように仕切っている。
図6は、潤滑油供給装置200を示す説明図である。潤滑油供給装置200は、潤滑油供給部210と、潤滑油供給管164と、エア供給装置165と、エア配管166と、電磁弁167と、逆止弁168と、エア供給管169と、分配器170と、潤滑油供給管171と、逆止弁172と、ノズル配管173と、ノズル174と、を備える。制御部160は、回転テーブル装置30の動作を制御する。制御部160には、回転テーブル装置30の各装置を指示に従って動作させるためのシーケンス回路161が接続されている。
潤滑油供給部210は、潤滑油供給管164を経て分配器170に潤滑油を送る。潤滑油供給部210は、オイルタンク211と、油量計212と、フィルター213と、潤滑油ポンプ214と、モータ215と、リリーフ弁216と、潤滑油供給管217と、弁218と、チェック弁219と、油圧センサ220と、エアフィルタ221と、を備える。オイルタンク211は、潤滑油を貯留する。油量計212は、オイルタンク211内の潤滑油量を測定する。潤滑油ポンプ214は、モータ215により駆動され、オイルタンク211の中の潤滑油を吸い上げて、潤滑油供給管217を介して弁218に送る。フィルター213は、吸い上げられた潤滑油を濾過する。リリーフ弁216は、潤滑油供給管217に接続されており、潤滑油供給管217内の潤滑油の圧力が高くなりすぎたときに開き、潤滑油をオイルタンク211に放出し、圧力を低下させる安全弁である。弁218は、潤滑油ポンプ214により潤滑油が送られてくると、潤滑油供給管217の圧力に応じて開く弁である。チェック弁219は、モータ215が動作していないとき、潤滑油供給管164の管内の油圧を一定に保つための逆止弁である。油圧センサ220は、分配器170に繋がる潤滑油供給管164の圧力を測定する。エアフィルタ221は、潤滑油供給部210の内部に塵埃が入らないようにする。
分配器170は、送られた潤滑油を定量し、一定量の潤滑油を3つの潤滑油供給管171に分配する。各潤滑油供給管171の下流には、それぞれ逆止弁172が設けられ、逆止弁172の下流には、それぞれ、各ノズル174に繋がるノズル配管173が設けられている。潤滑油供給管171に予め定められた量の潤滑油が分配されると、逆止弁172の下流の各ノズル配管173は、分配された潤滑油に対応する量の潤滑油で満たされる。
エア供給装置165は、エアーポンプ241、エアフィルタ242と、オイルミストフィルタ243と、圧力計244、245と、を備える。エア供給装置165は、エアーポンプ241から供給されたドライエア(以下「エア」と呼び。)をエアフィルタ242に通すことで、エアに含まれる塵埃を除去し、オイルミストフィルタ243に通すことで、エアに含まれるオイルミストを除去し、エア配管166に供給する。圧力計244、245は、それぞれ、エアフィルタ242、オイルミストフィルタ243を通った後のエアの圧力を測定する。エア配管166には、電磁弁167と、逆止弁168とが設けられている。電磁弁167は、シーケンス回路161から指令により、開閉する。逆止弁168の下流には、エア供給管169が配置されている。エア供給管169は、3つのノズル配管173に繋がっている。逆止弁168は、エア供給管169からの潤滑油を含んだエアの逆流を抑制する。
次に、潤滑油の流れについて説明する。制御部160からの指令を受けて、シーケンス回路161は、モータ215を一時的に駆動する。モータ215により駆動される潤滑油ポンプ214は、オイルタンク211から潤滑油を汲み上げて、潤滑油供給管217に送る。潤滑油供給管217の圧力が高くなると、弁218が開き、潤滑油は、潤滑油供給管164を経て分配器170に送られる。潤滑油は、分配器170により一定量が定量され、3つの潤滑油供給管171に分配される。3つの潤滑油供給管171に分配された潤滑油は、逆止弁172を通り、ノズル配管173を満たす。
潤滑油がノズル配管173に移動したタイミングで、制御部160はシーケンス回路161に、電磁弁167を一時的に開弁させる指令を発する。シーケンス回路161は、電磁弁167を一時的に開弁する。エアーポンプ241からのエアの供給により、エア配管166の圧力は、上昇し、エアは、エア配管166、エア供給管169を経て3つのノズル配管173に供給され、ノズル配管173の中の圧力が高くなる。そして、ノズル配管173の潤滑油をノズル174に向けて押し出す。この結果、潤滑油は、ノズル174から噴射される。なお、ノズル配管173の中の圧力が高くなっても、ノズル配管173と潤滑油供給管171との間には、逆止弁があるため、潤滑油は、潤滑油供給管171側に逆流しない。
図7は、潤滑油ポンプ214とエアーポンプ241の動作タイミングを示す説明図である。潤滑油ポンプ214は、時間tcごとに動作し、潤滑油をノズル配管173に移動させる。時間tcは、例えば10分から20分程度である。エアーポンプ241は、潤滑油ポンプ214が動作した後、時間td経過してから動作する。時間tdは、潤滑油はノズル配管173に送られるまでの時間であり、潤滑油供給管164の長さにも依存するが、5~10秒くらいである。
以上、本実施形態によれば、軸受装置は、軸を含む断面で切ったときの断面形状が略長方形の穴あき円板形状である第1軸受部材67と、第1軸受部材67の上側、下側、中心軸OB側の三方を囲う第2軸受部材55と、第1軸受部材67の上側、下側、中心軸側OBと、第2軸受部材55との間に、それぞれ設けられた上部コロ列671、下部コロ列672、側部コロ列673と、を有し、潤滑油供給装置200は、上部コロ列671に潤滑油を供給するノズル174を有する。その結果、ノズル174により上部コロ列671に供給された潤滑油は、上部コロ列671、側部コロ列673、下部コロ列672の順に流れ、全てのコロ列に潤滑油を供給できる。また、回転する回転系部品と、回転しない固定系部品との間の隙間を無くす必要がないので、摺動抵抗を増大しないようにできる。
本実施形態によれば、軸受装置の下方に潤滑油回収溝59aと、潤滑油回収溝59aから回転テーブル装置30の外部に潤滑油を排出するためのドレン穴59bと、を備える。その結果、潤滑油を回収できる。なお、ドレン穴59bは、無くても良い。
本実施形態によれば、下部コロ列672から潤滑油が落下する落下経路である隙間551と、潤滑油回収溝59aからモータ54、66に至る排気経路581とを分離する水切形状58aを有するので、隙間551を落下する潤滑油が排気経路581を経てモータ54、66に移動されにくくできる。
本実施形態によれば、潤滑油供給装置200は、潤滑油ポンプ214と、潤滑油ポンプの下流に設けられ、一定量の潤滑油をノズルに174供給する分配器170と、エアーポンプ241と、エアーポンプ241の下流に設けられ、エアの供給をオン・オフする電磁弁167と、分配器170とノズル174との間と、電磁弁167との間をつなぐエア供給管169と、潤滑油ポンプ214を予め定められた時間ごとに予め定められた第1時間だけ動作させ、潤滑油ポンプ214を動作させたあと予め定められた第2時間経過後に電磁弁167を一時的にオンさせて、エアの圧力を用いて、ノズルから一定量の潤滑油を上部コロ列671に供給させる制御部160と、を備える。その結果、ノズル174から適切な一定量の潤滑油を上部コロ列671に供給させることができる。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…5軸マシニングセンタ、20…ベッド、21…レール、25…ワーク台、26…レール、30…回転テーブル装置、31…回転テーブル、40…センタースリーブ、40a…フランジ、40c…スリーブ内流体流路、51…第1ロータ、51a…ロータ内流体流路、52…第2ロータ、54…ロータ磁石、55…第2軸受部材、55a…第1部材、55b…第2部材、56…第1連結部、56a…円筒形部、56b…円板部、56c…穴、57…第2連結部、58…水切部材、58a…水切形状、59…溝形成部材、59a…潤滑油回収溝、59b…ドレン穴、60…テーブル本体、60a…円筒部、60b…円板部、60c…開口、60d…筐体内流体流路、60e…ドレン流路、61…センターシャフト、61a…固定部、62…エンコーダ載置部、62a…フランジ、62b…中央部、63…エンコーダ、63a…ロータ部、63b…ケーシング、64…ハウジング、64a…凹部、64b…ハウジング内流体流路、65…ハウジング支持部、66…ステータコイル、67…第1軸受部材、68…Oリング、69…流体供給管、70…チャック装置を内蔵したターニングスピンドル、80…コラム、81…レール、90…サドル、91…スピンドル、100…ワーク、160…制御部、161…シーケンス回路、164…潤滑油供給管、165…エア供給装置、166…エア配管、167…電磁弁、168…逆止弁、169…エア供給管、170…分配器、171…潤滑油供給管、172…逆止弁、173…ノズル配管、174…ノズル、200…潤滑油供給装置、210…潤滑油供給部、211…オイルタンク、212…油量計、213…フィルター、214…潤滑油ポンプ、215…モータ、216…リリーフ弁、217…潤滑油供給管、218…弁、219…チェック弁、220…油圧センサ、221…エアフィルタ、241…エアーポンプ、242…エアフィルタ、243…オイルミストフィルタ、244…圧力計、551…隙間、581…排気経路、671…上部コロ列、672…下部コロ列、673…側部コロ列、681…リテーナ、682…リテーナ
Claims (4)
- 回転テーブル装置であって、
テーブル本体と、
鉛直方向の中心軸を軸として回転可能な回転テーブルと、
前記テーブル本体に対して前記回転テーブルを、上下方向及び径方向に支持する軸受装置と、
前記回転テーブルを回転させるモータと、
前記軸受装置に潤滑油を供給する潤滑油供給装置を備え、
前記軸受装置は、
前記テーブル本体に取り付けられる第1軸受部材と、前記回転テーブルに取り付けられる第2軸受部材とを備え、前記第1軸受部材と前記第2軸受部材とは、前記第2軸受部材の外周に形成した環状の溝に前記第1軸受部材の内径側が嵌め合わされ、
前記第2軸受部材に嵌め合わされた前記第1軸受部材の前記第2軸受部材と対向する上面、下面、側面には、それぞれ上部コロ列、下部コロ列、側部コロ列が配置され、
前記潤滑油供給装置は、前記上部コロ列に予め定められた量の前記潤滑油を供給するノズルを有する、回転テーブル装置。 - 請求項1に記載の回転テーブル装置であって、
前記軸受装置の下方に潤滑油回収溝と、前記潤滑油回収溝から回転テーブル装置の外部に前記潤滑油を排出するためのドレン穴と、を備える、回転テーブル装置。 - 請求項2に記載の回転テーブル装置であって、
前記下部コロ列から前記潤滑油が落下する落下経路と、前記潤滑油回収溝から前記モータに至る排気経路とを分離する水切り形状を有する、回転テーブル装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転テーブル装置であって、
前記潤滑油供給装置は、
潤滑油ポンプと、
前記潤滑油ポンプの下流に設けられ、一定量の前記潤滑油を前記ノズルに供給する分配器と、
エアーポンプと、
前記エアーポンプの下流に設けられ、エアの供給をオン・オフする電磁弁と、
前記分配器と前記ノズルとの間と、前記電磁弁との間をつなぐエア供給管と、
前記潤滑油ポンプを予め定められた時間ごとに予め定められた第1時間だけ動作させ、前記潤滑油ポンプを動作させたあと、予め定められた第2時間経過後に前記電磁弁を一時的にオンさせて、前記エアの圧力を用いて、前記ノズルから前記一定量の前記潤滑油を前記上部コロ列に供給させる制御部と、
を備える、回転テーブル装置。
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JP2021016465A JP2022119391A (ja) | 2021-02-04 | 2021-02-04 | 回転テーブル装置 |
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Family Applications (1)
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JP2021016465A Pending JP2022119391A (ja) | 2021-02-04 | 2021-02-04 | 回転テーブル装置 |
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JP (1) | JP2022119391A (ja) |
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2021
- 2021-02-04 JP JP2021016465A patent/JP2022119391A/ja active Pending
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