JP2022119250A - 水素精製システム - Google Patents

水素精製システム Download PDF

Info

Publication number
JP2022119250A
JP2022119250A JP2021016225A JP2021016225A JP2022119250A JP 2022119250 A JP2022119250 A JP 2022119250A JP 2021016225 A JP2021016225 A JP 2021016225A JP 2021016225 A JP2021016225 A JP 2021016225A JP 2022119250 A JP2022119250 A JP 2022119250A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode
hydrogen
anode
liquid water
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021016225A
Other languages
English (en)
Inventor
功一 古賀
Koichi Koga
健 苅野
Takeshi Karino
美穂 玄番
Miho Gemba
雅夫 山本
Masao Yamamoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2021016225A priority Critical patent/JP2022119250A/ja
Publication of JP2022119250A publication Critical patent/JP2022119250A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】本開示は、電気化学デバイス内部の加湿を阻害していたカソードガス拡散層へ液水を浸透させ、電気化学デバイスの水素純化効率の低下を抑制する水素精製システムを提供する。【解決手段】本開示の水素精製システム180は、水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されており、カソード排出弁123が開放した状態でカソード液水供給手段117による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、カソード液水供給手段117を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、液水の温度が所定温度条件を満たすまで液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行する。【選択図】図1

Description

本開示は、電気化学デバイスを用いて、水素含有ガスから水素を精製する水素精製システムに関する。
非特許文献1は、水素含有ガスから水素純度の高い高圧の水素を精製する水素精製システムを開示する。
この水素精製システムは、電解質膜がアノードとカソードとの間に挟まれた電解質膜-電極接合体を、一対のセパレータにおけるガス流路が形成された面で挟持した電気化学デバイスと、アノードとカソードとの間に所定方向の電流を流す電源と、を備える。アノードとカソードは、それぞれ、電解質膜に配置された触媒層と、セパレータにおけるガス流路が形成された面と当接するガス拡散層とを有している。
そして、電気化学デバイスのカソード流路に液水を貯蔵することで電気化学デバイス内部を加湿させて、アノードに水素含有ガスを供給しながらアノードとカソードとの間に直流電流を流し、カソードで水素純度の高い高圧の水素を精製している。
International Journal of Hydrogen Energy 41 (2016) 13879-13887
本開示は、カソードガス拡散層へ液水を浸透させて、電気化学デバイス内部を加湿し、水素を精製する際の電気化学デバイスの内部乾燥に起因した水素純化効率の低下を抑制できる水素精製システムを提供する。
本開示における水素精製システムは、電気化学デバイスと、水素含有ガス供給手段と、カソード液水供給手段と、カソード排出経路と、カソード排出弁と、電源と、制御器と、を備えている。
電気化学デバイスは、アノードとカソードとで電解質膜を挟んだ電解質膜-電極接合体と、アノードと接する面にアノード流路が形成されたアノードセパレータと、カソードと接する面にカソード流路が形成されたカソードセパレータと、を備えている。
アノードは、電解質膜の一方の主面と接するアノード触媒層と、アノードセパレータと接するアノードガス拡散層とを有している。
カソードは、電解質膜の他方の主面と接するカソード触媒層と、カソードセパレータと接するアノードガス拡散層とを有している。
電気化学デバイスは、アノードに水素含有ガスが供給されアノードとカソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、アノードに供給される水素含有ガスよりも水素の純度が高い精製水素が、カソードから排出されるように構成されている。
水素含有ガス供給手段は、アノード流路の入口に水素含有ガスを供給するように構成されている。
カソード液水供給手段は、カソード流路の入口に常温よりも温度が高い液水を供給するように構成されている。
カソード排出経路は、カソード流路から電気化学デバイスの外部に流体を排出できるようにカソード流路の出口に接続されている。カソード排出弁は、カソード排出経路を開閉できるように構成されている。
電源は、電気化学デバイスのアノードとカソードとの間に所定方向の電流を流すことができるように構成されている。
制御器は、電気化学デバイスにおいて水素を精製する水素精製モードで運転する時に、カソード液水供給手段が停止しカソード排出弁が開放した状態で、水素含有ガス供給手段によってアノードに水素含有ガスを供給し、電源によってアノードとカソードとの間に電流を流すように構成されている。
制御器は、水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されている。
制御器は、加湿モードで運転する場合は、カソード排出弁が開放した状態でカソード液水供給手段による液水の供給を開始して、カソード流路を液水で満たした後に、カソード液水供給手段を停止させるとともにカソード排出弁を閉じて、液水の温度が所定温度条件を満たすまで液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
本開示における水素精製システムは、加湿モードにおいて、カソード流路を液水で満たした後に、液水を冷却させてカソードを負圧雰囲気にするので、カソードガス拡散層へ液水を浸透させて、電気化学デバイス内部を加湿することができる。
そのため、水素精製モードにおける電気化学デバイスの内部乾燥に起因した水素純化効率の低下を抑制できる。
実施の形態1における水素精製システムの構成を示す概略図 実施の形態1における水素精製システムの動作を示すフローチャート 実施の形態2における水素精製システムの構成を示す概略図 実施の形態2における水素精製システムの動作を示すフローチャート 実施の形態3における水素精製システムの構成を示す概略図 実施の形態3における水素精製システムの動作を示すフローチャート 実施の形態4における水素精製システムの構成を示す概略図 実施の形態4における水素精製システムの動作を示すフローチャート
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、アノードとカソードとで電解質膜を挟んだ電気化学デバイスにおいて、アノードに水素含有ガスを供給して、アノードとカソードと
の間に所定方向の電流を流すことにより、水素含有ガスから水素を精製・昇圧する技術があった。
電気化学デバイスを用いて水素を精製・昇圧させる際に、電解質膜およびカソードを構成する高分子電解質の含水率が少ない(高分子電解質が乾燥している)状態では高分子電解質、水素イオン伝導性が低下することで、水素純化効率が低下する課題があった。
そのため、水素純化効率の低下を抑制する観点から、水素を精製・昇圧する前にカソード流路に液水を貯蔵し、電気化学デバイス内部を加湿させる方法が検討されていた。
ここで、水素純化効率とは、電気化学デバイスに投入する電気エネルギーに対する精製する水素のエネルギーの割合である。
アノードとカソードは、それぞれ、電解質膜に配置された触媒層と、セパレータにおけるガス流路が形成された面と当接するガス拡散層とを有している。
しかしながら、電気化学デバイス内部のガスや水分の供給・排出バランスを良好に保つ目的から、アノードガス拡散層と、カソードガス拡散層とには、撥水性で多孔質な導電層が用いられることが一般的であった。
そうした状況において、発明者らは、カソードガス流路から電気化学デバイス内部へ液水を供給しようとすると、カソードガス拡散層が液水の供給を阻害するため、電気化学デバイス内部を十分に加湿できない課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、カソードを負圧雰囲気にし、カソードガス拡散層へ液水を浸透させて、電気化学デバイス内部を加湿し、水素を精製・昇圧する際の電気化学デバイスの内部乾燥に起因した水素純化効率の低下を抑制できる水素精製システムを提供する。
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。
例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当事者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1および図2を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1に示すように、本実施の形態の水素精製システム180は、電気化学デバイス100と、水素含有ガス供給手段115と、カソード液水供給手段117と、アノード供給経路118と、カソード供給経路119と、アノード排出経路120と、カソード排出経路121と、カソード排出弁123と、カソード気液分離手段124と、カソード水素排出経路125と、カソード液水排出経路126と、温度計127と、電源150と、温度調節器151と、制御器170と、を備えている。
電気化学デバイス100は、アノードとカソードとで水素イオン伝導性の高分子からなる電解質膜101を挟んだ電解質膜-電極接合体104と、アノードと接する面に溝状のアノード流路109が形成されたアノードセパレータ107と、カソードと接する面に溝状のカソード流路110が形成されたカソードセパレータ108と、を備えている。
アノードは、電解質膜101の一方の主面と接するアノード触媒層102と、アノードセパレータ107と接するアノードガス拡散層105とを有している。
カソードは、電解質膜101の他方の主面と接するカソード触媒層103と、カソードセパレータ108と接するカソードガス拡散層106とを有している。
電解質膜-電極接合体104は、電解質膜101の両主面が鉛直方向と略平行となる向きで、アノードセパレータ107とカソードセパレータ108との間に挟まれて、使用される。
このとき、アノードセパレータ107がアノード(アノードガス拡散層105)に接触し、カソードセパレータ108がカソード(カソードガス拡散層106)に接触する。
電解質膜-電極接合体104は、水素イオン透過性の電解質膜101と、電解質膜101を挟んで電解質膜101の一方の主面に配置されるアノード触媒層102と、他方の主面に配置されるカソード触媒層103と、で構成される。
本実施の形態では、電解質膜101として、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子電解質膜を用いる。
アノード触媒層102およびカソード触媒層103は、触媒としての白金を担持した多孔性のカーボン粒子と、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子材料と、分散媒との混合物を、カーボン製フェルト上に塗布して乾燥させて分散媒を除去したものである。
アノード触媒層102およびカソード触媒層103の主面の大きさは、電解質膜101の主面よりも小さく、電解質膜101の主面の外周部分が露出するように配置される。
アノードガス拡散層105およびカソードガス拡散層106は、炭素繊維からなる多孔質なフェルトに撥水材を含侵させて撥水処理したものを用いる。
アノードガス拡散層105の主面の大きさは、アノード触媒層102の主面と略同じ大きさである。
カソードガス拡散層106の主面の大きさは、カソード触媒層103の主面と略同じ大きさである。
アノードセパレータ107には、アノードセパレータ107における外側の面から内側の面にわたって貫通するように、アノード入口111とアノード出口112が、それぞれ設けられる。
アノード入口111は、水素含有ガスをアノード流路109(アノード)に供給するための孔である。アノード出口112は、アノード流路109に供給された水素含有ガスのうちで、カソードに透過しなかったガスを、アノード流路109から排出するための孔で
ある。
アノード触媒層102の両主面は、重力方向に対して略平行であり、アノード流路109とアノード入口111とが接続する部分は、アノード触媒層102の主面における上端部近傍であり、アノード流路109とアノード出口112とが接続する部分は、アノード触媒層102の主面における下端部近傍である。
なお、アノード流路109は、アノード入口111からアノード流路109に流入した水素含有ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずにアノード出口112に向かって流れるように形成されている。
カソードセパレータ108には、カソードセパレータ108における外側の面から内側の面にわたって貫通するように、カソード入口113とカソード出口114が、それぞれ設けられる。
カソード入口113は、電解質膜-電極接合体104を加湿する(湿らす)時に、液水をカソード流路110(カソード)に供給するための孔である。
カソード出口114は、電気化学デバイス100において水素を精製する時に、カソードからカソード流路110に流出した水素を、カソード流路110から排出するための孔であるとともに、電解質膜-電極接合体104を加湿する(湿らす)ために、カソード流路110を満たした液水を、カソード流路110から排出するための孔である。
カソード触媒層103の両主面は、重力方向に対して略平行であり、カソード流路110とカソード入口113とが接続する部分は、カソード触媒層103の主面における上端部近傍であり、カソード流路110とカソード出口114とが接続する部分は、カソード触媒層103の主面における下端部近傍である。
なお、カソード流路110は、カソード入口113からカソード流路110に供給した液水が、蛇行しながら重力に逆らわずにカソード出口114に向かって流れるように、また、カソード流路110から液水を排水する時に、液水がカソード流路110に残らないように形成されている。
アノードセパレータ107およびカソードセパレータ108は、ガス透過性のない導電性部材である圧縮カーボンによって構成されている。
アノードセパレータ107およびカソードセパレータ108の主面の大きさは、電解質膜101の主面と略同じ大きさである。
電気化学デバイス100は、アノード触媒層102に水素含有ガスが供給されている時に、アノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流が流れると、アノード触媒層102において、水素含有ガスに含まれる水素が、水素イオンと電子とに解離し、水素イオンが電解質膜101を透過してアノード触媒層102からカソード触媒層103に移動し、電子が電源150を経由してアノード触媒層102からカソード触媒層103に移動し、カソード触媒層103において、水素イオンと電子とが結合して水素になることによって、アノード触媒層102に供給される水素含有ガスよりも水素の純度が高い精製水素が、カソード触媒層103から排出されるように構成されている。
水素含有ガス供給手段115は、アノード供給経路118を介して、アノードセパレータ107のアノード入口111に水素含有ガスを供給するように構成されている。
本実施の形態では、水素含有ガス供給手段115として、都市ガスなどの炭化水素系の燃料から改質反応を利用して水素含有ガスを生成する燃料改質器を用いる。
アノード供給経路118は、水素含有ガス供給手段115の水素含有ガスの出口とアノードセパレータ107のアノード入口111とが連通するように、経路の入口が水素含有ガス供給手段115の水素含有ガスの出口に接続され、経路の出口がアノードセパレータ107のアノード入口111に接続されている。
カソード液水供給手段117は、カソード供給経路119を介して、カソードセパレータ108のカソード入口113に常温よりも温度が高い液水を供給するように構成されている。
カソード液水供給手段117は、貯水タンクと、ポンプと、電磁弁と、を備え、液水は貯水タンクにおいて所定の温度(60℃)に制御(維持)され、カソード入口113に供給される。
また、カソード液水供給手段117のポンプは、ポンプ動作をしていない時に、カソード供給経路119を逆流して水素が漏れ出ないように、電磁弁を閉じるように構成されている。
カソード供給経路119は、カソード液水供給手段117の液水の出口とカソードセパレータ108のカソード入口113とが連通するように、経路の入口がカソード液水供給手段117の液水の出口に接続され、経路の出口がカソードセパレータ108のカソード入口113に接続されている。
アノード排出経路120は、経路の入口がアノードセパレータ107のアノード出口112に接続され、アノード流路109に供給された水素含有ガスのうちで、カソードに透過しなかったガスを、電気化学デバイス100の外部に排出するための経路である。
カソード排出経路121は、カソード流路110の流体(水素または液水)をカソード気液分離手段124に排出する経路である。カソード排出経路121は、カソードセパレータ108のカソード出口114とカソード気液分離手段124の入口とが連通するように、経路の入口がカソードセパレータ108のカソード出口114に接続され、経路の出口がカソード気液分離手段124の入口に接続されている。
カソード排出弁123は、カソード排出経路121の途中に設けられ、カソード排出経路121を開閉できるように構成されている。
カソード気液分離手段124は、カソード排出経路121の出口に接続され、カソード排出経路121からカソード気液分離手段124に排出された流体(水素または液水)を気体と液体とに分離して、水素をカソード水素排出経路125に排出し、液水をカソード液水排出経路126に排出する。
カソード気液分離手段124は、1つの入口と2つの出口を有している。カソード気液分離手段124の入口は、カソード排出経路121によりカソード出口114と接続されている。カソード気液分離手段124の一方の出口は、カソード水素排出経路125と接続され、カソード気液分離手段124の他方の出口は、カソード液水排出経路126と接続されている。
カソード液水排出経路126は、液水がカソード気液分離手段124に逆流しないように下り勾配に構成されている。
電源150は、指示された電流値の電流を流す定電流型の直流電源である。電源150のプラス側の出力端子はアノード触媒層102に電気的に接続され、電源150のマイナス側の出力端子はカソード触媒層103に電気的に接続されている。
温度調節器151は、電気化学デバイス100において水素を精製する時に、電気化学デバイス100の温度を、常温よりも高い水素の精製に適した設定温度に調節できるように構成されている。
温度調節器151は、温度調節器151の内部を通流する所定の温度に制御された液水と電気化学デバイス100との熱交換によって電気化学デバイス100の温度を調整するように構成されている。
温度調節器151は、電気化学デバイス100と液水とを熱交換させる熱交換器と、所定の温度に制御した液水を貯蔵する貯水タンクと、貯水タンクの液水を熱交換器に送るポンプとが、液水が通流する配管によって環状に接続されたものである。温度調節器151が電気化学デバイス100の温度を調節しない時は、ポンプは停止している。
温度計127は、カソード流路110に満たされた液水の温度を計測するものであり、カソードセパレータ108のカソード出口114からカソード流路110に挿入されている。
制御器170は、水素含有ガス供給手段115と、カソード液水供給手段117と、カソード排出弁123と、カソード気液分離手段124と、電源150と、温度調節器151と、温度計127と、に接続されている。
制御器170は、水素含有ガス供給手段115と、カソード液水供給手段117と、カソード排出弁123と、カソード気液分離手段124と、電源150と、温度調節器151と、温度計127と、を制御することができる。
制御器170は、電気化学デバイス100において水素を精製する、水素精製モードで運転する時に、カソード液水供給手段117が停止しカソード排出弁123が開放した状態で、水素含有ガス供給手段115によってアノード触媒層102に水素含有ガスを供給し、電源150によってアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に電流を流すように構成されている。
このとき、カソード気液分離手段124は、カソード触媒層103から排出される液水をカソード液水排出経路126へ排出し、精製された水素をカソード水素排出経路125へ排出することができる状態になっている。
制御器170は、水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されている。
制御器170は、加湿モードで運転する場合は、水素含有ガス供給手段115および電源150が停止しカソード排出弁123が開放した状態で、カソード液水供給手段117による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、カソード液水供給手段117を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、温度計127で計測した液水の温度が所定温度条件を満たすまで液水を自然冷却させ、液水の温度が所定温
度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
[1-2.動作]
以上のように構成された本実施の形態の水素精製システム180について、図1および図2に基づいて、その動作と作用を以下に説明する。
水素精製システム180の運転モードは、加湿モードと、水素精製モードとの2つからなる。まず、加湿モードについて説明する。
まず、制御器170は、水素精製システム180が停止している(温度調節器151が温度調節動作を停止しており、水素含有ガス供給手段115およびカソード液水供給手段117が供給動作を停止しており、電源150が電流を流していない)時に、加湿を開始する指示が入ると、制御器170は、カソード排出弁123の状態を確認して、弁が開いていれば開放状態を維持し、弁が閉じていれば、カソード排出弁123を開放する(S101)。
次に、制御器170は、カソード液水供給手段117を動作させて、カソード液水供給手段117により、カソード入口113(カソード流路110)に常温よりも高い所定温度の液水を所定流量で所定時間、供給する(S102)。
本実施の形態では、所定温度を60℃に、所定時間を10分に、所定流量を2L/minに、それぞれ設定した。設定時間は、水素精製システム180が停止している時にカソード流路110に残留していた気体をカソード出口114から排出して、カソード流路110に液水が満たされるために必要な時間を予め実験により確認して設定した。
次に、制御器170は、カソード液水供給手段117を停止させると共に、カソード排出弁123を閉じる(S103)。カソード排出弁123が閉じるまでにカソード排出弁123を通過した液水は、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に流出する。
次に、制御器170は、自然冷却により、カソード流路110に満たした液水を10分間、冷却する(S104)。このとき、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却される。
カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内の気体は、自然冷却による温度変化(温度低下)によって体積収縮して、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
次に、制御器170は、温度計127により、カソード流路110に満たされた液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になったか確認する(S105)。S105の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃未満であれば、S104に戻る。
S105の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、液水がカソードガス拡散層106へ浸透するために必要な負圧雰囲気が、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に生じている。
これにより、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。そして、水素精製システム180が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
S105の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、加湿モードから水素精製モードに移行する。
次に、水素精製モードについて説明する。
まず、制御器170は、カソード排出弁123を開放する(S106)。
次に、制御器170は、温度調節器151を動作させて、電気化学デバイス100の温度が所定温度になる(所定温度を維持する)ようにする(S107)。なお、本実施の形態では、所定温度を60℃に設定している。
次に、制御器170は、水素含有ガス供給手段115を動作させて、水素含有ガス供給手段115からアノード供給経路118を経由してアノード入口111(アノード流路109、アノードガス拡散層105、アノード触媒層102)に、水素含有ガスを所定流量で供給する(S108)。本実施の形態では、所定流量を5L/minに設定している。
次に、制御器170は、電源150を動作させて、電源150により、アノード触媒層102から電解質膜101を介してカソード触媒層103へ所定電流値の電流を流す(S109)。
所定電流値は、カソード触媒層103から設定流量の水素(設定された単位時間当たりの水素精製量)を得るのに必要な電流値である。本実施の形態では、所定電流値を40Aに設定している。
これにより、アノード触媒層102では、(化1)に示す、水素含有ガスに含まれる水素が水素イオン(H)と電子(e)とに解離する酸化反応が起こる。そして、水素イオン(H)が電解質膜101を透過してカソード触媒層103に移動し、電子(e)が電源150を経由してカソード触媒層103に移動する。そして、カソード触媒層103では、(化2)に示す、水素イオン(H)と電子(e)が結びついて水素になる還元反応が起こる。
Figure 2022119250000002
Figure 2022119250000003
(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノード触媒層102に供給された水素純度の低い水素含有ガスから、カソード触媒層103において水素純度の高い水素が精製(生成)される。
カソード流路110に満たされていた液水は、S106でカソード排出弁123が開放されたことと、重力と、カソード触媒層103から排出された水素による圧力で、カソード流路110から、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に排出される。
また、電気化学デバイス100(電解質膜-電極接合体104)によって精製され、カ
ソード触媒層103から排出された水素は、カソードガス拡散層106、カソード流路110、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード水素排出経路125に排出される(S110)。
電解質膜101を透過してアノードからカソードに移動しなかった残余のガスは、アノード出口112からアノード排出経路120に排出され、十分安全な水素濃度まで希釈されて大気へ放出される。
次に、制御器170は、水素の精製を終了する指示が入ったか確認する(S111)。
S111の確認の結果、終了の指示が入っていれば、制御器170は、電源150と、水素含有ガス供給手段115と、温度調節器151と、を停止させ(S112)、カソード排出弁123を閉じて、水素精製システム180の動作を終了する。
S111の確認の結果、終了の指示が入っていなければ、制御器170は、水素の精製を10分間継続してから(S113)、S111に戻る。
[1-3.効果等]
以上のように本実施の形態の水素精製システム180は、電気化学デバイス100と、水素含有ガス供給手段115と、カソード液水供給手段117と、カソード排出経路121と、カソード排出弁123と、電源150と、制御器170と、を備えている。
電気化学デバイス100は、アノードとカソードとで電解質膜101を挟んだ電解質膜-電極接合体104と、アノードと接する面にアノード流路109が形成されたアノードセパレータ107と、カソードと接する面にカソード流路110が形成されたカソードセパレータ108と、を備えている。
アノードは、電解質膜101の一方の主面と接するアノード触媒層102と、アノードセパレータ107と接するアノードガス拡散層105とを有している。
カソードは、電解質膜101の他方の主面と接するカソード触媒層103と、カソードセパレータ108と接するカソードガス拡散層106とを有している。
電気化学デバイス100は、アノード触媒層102に水素含有ガスが供給されアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流が流れることにより、アノード触媒層102に供給される水素含有ガスよりも水素の純度が高い精製水素が、カソード触媒層103から排出されるように構成されている。
水素含有ガス供給手段115は、アノード流路109のアノード入口111に水素含有ガスを供給するように構成されている。
カソード液水供給手段117は、カソード流路110のカソード入口113に常温よりも温度が高い液水を供給するように構成されている。
カソード排出経路121は、カソード流路110から電気化学デバイス100の外部に流体を排出できるようにカソード流路110のカソード出口114に接続されている。カソード排出弁123は、カソード排出経路121を開閉できるように構成されている。
電源150は、電気化学デバイス100のアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流を流すことができるように構成されている。
制御器170は、電気化学デバイス100において水素を精製する、水素精製モードで運転する時に、カソード液水供給手段117が停止しカソード排出弁123が開放した状態で、水素含有ガス供給手段115によってアノード触媒層102に水素含有ガスを供給し、電源150によってアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に電流を流すように構成されている。
制御器170は、水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されている。
制御器170は、加湿モードで運転する場合は、カソード排出弁123が開放した状態でカソード液水供給手段117による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、カソード液水供給手段117を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、液水の温度が所定温度条件を満たすまで液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
本実施の形態の水素精製システム180は、加湿モードにおいて、カソード流路110を液水で満たした後に、液水を冷却させるので、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却されて、その気体の体積収縮によってカソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
その結果、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。そして、水素精製システム180が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
そのため、水素精製モードにおける電気化学デバイス100の内部乾燥に起因した水素純化効率の低下を抑制できる。
本実施の形態のように、水素精製システム180は、加湿モードにおいて、液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になるまで冷却しても良い。
これにより、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106をより大きな負圧雰囲気し、カソードガス拡散層106へ液水の浸透速度を速め、短時間で電気化学デバイス100の内部を加湿することができる。
(実施の形態2)
以下、図3および図4を用いて、実施の形態2を説明する。
[2-1.構成]
図3に示すように、本実施の形態の水素精製システム280は、図1に示す実施の形態1の水素精製システム180の構成に、アノード液水供給手段116とアノード排出弁122とを加えたものに相当する。
そのため、本実施の形態の水素精製システム280において、実施の形態1の水素精製システム180と同一構成については、同一符号を付して、重複する説明は省略する。
アノード液水供給手段116は、アノード供給経路118を介して、アノードセパレータ107のアノード入口111に液水を供給するように構成されている。
アノード液水供給手段116は、貯水タンクと、ポンプと、電磁弁と、を備え、液水は貯水タンクにおいて所定の温度(30℃)に制御(維持)され、アノード入口111に供給される。
また、アノード液水供給手段116のポンプは、ポンプ動作をしていない時に、アノード供給経路118を逆流して水素含有ガスが漏れ出ないように、電磁弁を閉じるように構成されている。
アノード供給経路118は、2つの入口と1つの出口を有し、水素含有ガス供給手段115の水素含有ガスの出口とアノードセパレータ107のアノード入口111とが連通するとともに、アノード液水供給手段116の液水の出口とアノードセパレータ107のアノード入口111とが連通するように、経路の1つ目の入口が水素含有ガス供給手段115の水素含有ガスの出口に接続され、経路の2つ目の入口がアノード液水供給手段116の液水の出口に接続され、経路の出口がアノードセパレータ107のアノード入口111に接続されている。
アノード排出弁122は、アノード排出経路120の途中に設けられ、アノード排出経路120を開閉できるように構成されている。
制御器170は、加湿モードにおいて、カソード流路110が液水で満たされたことによってカソード液水供給手段117を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じた後に、アノード排出弁122が開放した状態でアノード液水供給手段116による液水の供給を開始して、アノード流路109を液水で満たした後に、アノード液水供給手段116を停止させるとともにアノード排出弁122を閉じて、カソード流路110の液水の温度が所定温度条件を満たすまでカソード流路110の液水を冷却させ、カソード流路110の液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
[2-2.動作]
以上のように構成された本実施の形態の水素精製システム280について、図3および図4に基づいて、その動作と作用を以下に説明する。
水素精製システム280の運転モードは、加湿モードと、水素精製モードとの2つからなる。まず、加湿モードについて説明する。
まず、制御器170は、水素精製システム280が停止している(温度調節器151が温度調節動作を停止しており、水素含有ガス供給手段115、アノード液水供給手段116およびカソード液水供給手段117が供給動作を停止しており、電源150が電流を流していない)時に、加湿を開始する指示が入ると、制御器170は、カソード排出弁123の状態を確認して、弁が開いていれば開放状態を維持し、弁が閉じていれば、カソード排出弁123を開放する(S201)。
次に、制御器170は、カソード液水供給手段117を動作させて、カソード液水供給手段117により、カソード入口113(カソード流路110)に常温よりも高い所定温度の液水を所定流量で所定時間、供給する(S202)。
本実施の形態では、所定温度を60℃に、所定時間を10分に、所定流量を2L/minに、それぞれ設定した。設定時間は、水素精製システム280が停止している時にカソード流路110に残留していた気体をカソード出口114から排出して、カソード流路110に液水が満たされるために必要な時間を予め実験により確認して設定した。
次に、制御器170は、カソード液水供給手段117を停止させると共に、カソード排出弁123を閉じる(S203)。カソード排出弁123が閉じるまでにカソード排出弁123を通過した液水は、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に流出する。
次に、制御器170は、アノード排出弁122の状態を確認して、弁が開いていれば開放状態を維持し、弁が閉じていれば、アノード排出弁122を開放する(S204)。
次に、制御器170は、アノード液水供給手段116を動作させて、アノード液水供給手段116により、アノード入口111(アノード流路109)に所定温度の液水を所定流量で所定時間、供給する(S205)。
本実施の形態では、所定温度を30℃に、所定時間を10分に、所定流量を2L/minに、それぞれ設定した。設定時間は、水素精製システム280が停止している時にアノード流路109に残留していた気体をアノード出口112から排出して、アノード流路109に液水が満たされるために必要な時間を予め実験により確認して設定した。
次に、制御器170は、アノード液水供給手段116を停止させると共に、アノード排出弁122を閉じる(S206)。アノード排出弁122が閉じるまでにアノード排出弁122を通過した液水は、アノード排出経路120から流出する。
次に、制御器170は、電解質膜-電極接合体104を介したアノード流路109内の液水との熱交換と自然冷却とにより、カソード流路110に満たした液水を10分間、冷却する(S207)。このとき、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却される。
カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内の気体は、電解質膜-電極接合体104を介したアノード流路109内の液水との熱交換と自然冷却とによる温度変化(温度低下)によって体積収縮して、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
次に、制御器170は、温度計127により、カソード流路110に満たされた液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になったか確認する(S208)。S208の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃未満であれば、S207に戻る。
S208の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、液水がカソードガス拡散層106へ浸透するために必要な負圧雰囲気が、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に生じている。
これにより、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。また、アノード流路109に満たされた液水も、アノードガス拡散層105側から電解質膜-電極接合体104を湿らす。そして、水素精製システム280が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
S208の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、加湿モードから水素精製モードに移行する。
次に、水素精製モードについて説明する。
まず、制御器170は、カソード排出弁123とアノード排出弁122とを開放する(S209)。
次に、制御器170は、温度調節器151を動作させて、電気化学デバイス100の温度が所定温度になる(所定温度を維持する)ようにする(S210)。なお、本実施の形態では、所定温度を60℃に設定している。
次に、制御器170は、水素含有ガス供給手段115を動作させて、水素含有ガス供給手段115からアノード供給経路118を経由してアノード入口111(アノード流路109、アノードガス拡散層105、アノード触媒層102)に、水素含有ガスを所定流量で供給する(S211)。本実施の形態では、所定流量を5L/minに設定している。
アノード流路109に満たされていた液水は、S209でアノード排出弁122が開放されたことと、重力と、水素含有ガス供給手段115からアノード流路109に供給された水素含有ガスによる圧力で、アノード流路109から、アノード出口112を通って、アノード排出経路120から排出される。
次に、制御器170は、電源150を動作させて、電源150により、アノード触媒層102から電解質膜101を介してカソード触媒層103へ所定電流値の電流を流す(S212)。
所定電流値は、カソード触媒層103から設定流量の水素(設定された単位時間当たりの水素精製量)を得るのに必要な電流値である。本実施の形態では、所定電流値を40Aに設定している。
これにより、アノード触媒層102では、(化1)に示す、水素含有ガスに含まれる水素が水素イオン(H)と電子(e)とに解離する酸化反応が起こる。そして、水素イオン(H)が電解質膜101を透過してカソード触媒層103に移動し、電子(e)が電源150を経由してカソード触媒層103に移動する。そして、カソード触媒層103では、(化2)に示す、水素イオン(H)と電子(e)が結びついて水素になる還元反応が起こる。
(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノード触媒層102に供給された水素純度の低い水素含有ガスから、カソード触媒層103において水素純度の高い水素が精製(生成)される。
カソード流路110に満たされていた液水は、S209でカソード排出弁123が開放されたことと、重力と、カソード触媒層103から排出された水素による圧力で、カソード流路110から、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に排出される。
また、電気化学デバイス100(電解質膜-電極接合体104)によって精製され、カソード触媒層103から排出された水素は、カソードガス拡散層106、カソード流路110、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード水素排出経路125に排出される(S213)。
電解質膜101を透過してアノードからカソードに移動しなかった残余のガスは、アノード出口112からアノード排出経路120に排出され、十分安全な水素濃度まで希釈されて大気へ放出される。
次に、制御器170は、水素の精製を終了する指示が入ったか確認する(S214)。
S214の確認の結果、終了の指示が入っていれば、制御器170は、電源150と、水素含有ガス供給手段115と、温度調節器151と、を停止させ(S215)、カソード排出弁123を閉じて、水素精製システム280の動作を終了する。
S214の確認の結果、終了の指示が入っていなければ、制御器170は、水素の精製を10分間継続してから(S216)、S214に戻る。
[2-3.効果等]
以上のように本実施の形態の水素精製システム280は、電気化学デバイス100と、水素含有ガス供給手段115と、カソード液水供給手段117と、カソード排出経路121と、カソード排出弁123と、電源150と、制御器170と、を備えている。
電気化学デバイス100は、アノードとカソードとで電解質膜101を挟んだ電解質膜-電極接合体104と、アノードと接する面にアノード流路109が形成されたアノードセパレータ107と、カソードと接する面にカソード流路110が形成されたカソードセパレータ108と、を備えている。
アノードは、電解質膜101の一方の主面と接するアノード触媒層102と、アノードセパレータ107と接するアノードガス拡散層105とを有している。
カソードは、電解質膜101の他方の主面と接するカソード触媒層103と、カソードセパレータ108と接するカソードガス拡散層106とを有している。
電気化学デバイス100は、アノード触媒層102に水素含有ガスが供給されアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流が流れることにより、アノード触媒層102に供給される水素含有ガスよりも水素の純度が高い精製水素が、カソード触媒層103から排出されるように構成されている。
水素含有ガス供給手段115は、アノード流路109のアノード入口111に水素含有ガスを供給するように構成されている。
カソード液水供給手段117は、カソード流路110のカソード入口113に常温よりも温度が高い液水を供給するように構成されている。
カソード排出経路121は、カソード流路110から電気化学デバイス100の外部に流体を排出できるようにカソード流路110のカソード出口114に接続されている。カソード排出弁123は、カソード排出経路121を開閉できるように構成されている。
電源150は、電気化学デバイス100のアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流を流すことができるように構成されている。
制御器170は、電気化学デバイス100において水素を精製する、水素精製モードで運転する時に、カソード液水供給手段117が停止しカソード排出弁123が開放した状態で、水素含有ガス供給手段115によってアノード触媒層102に水素含有ガスを供給し、電源150によってアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に電流を流すように構成されている。
制御器170は、水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されている。
制御器170は、加湿モードで運転する場合は、カソード排出弁123が開放した状態でカソード液水供給手段117による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、カソード液水供給手段117を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、液水の温度が所定温度条件を満たすまで液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
本実施の形態の水素精製システム280は、加湿モードにおいて、カソード流路110を液水で満たした後に、液水を冷却させるので、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却されて、その気体の体積収縮によってカソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
その結果、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。そして、水素精製システム280が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
そのため、水素精製モードにおける電気化学デバイス100の内部乾燥に起因した水素純化効率の低下を抑制できる。
本実施の形態のように、水素精製システム280は、加湿モードにおいて、液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になるまで冷却しても良い。
これにより、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106をより大きな負圧雰囲気し、カソードガス拡散層106へ液水の浸透速度を速め、短時間で電気化学デバイス100の内部を加湿することができる。
本実施の形態のように、水素精製システム280は、アノード流路109のアノード入口111に液水を供給するアノード液水供給手段116と、アノード流路109から電気化学デバイス100の外部に流体を排出できるようにアノード流路109のアノード出口に112接続されたアノード排出経路120と、アノード排出経路120を開閉するアノード排出弁122と、をさらに備え、アノード液水供給手段116によってアノード流路109に供給される液水の温度は、カソード液水供給手段117によってカソード流路110に供給される液水の温度よりも所定温度以上低くなっていても良い。
この場合、制御器170は、加湿モードにおいて、カソード流路110が液水で満たされたことによってカソード液水供給手段117を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じた後に、アノード排出弁122が開放した状態でアノード液水供給手段116による液水の供給を開始して、アノード流路109を液水で満たした後に、アノード液水供給手段116を停止させるとともにアノード排出弁122を閉じて、カソード流路110の液水の温度が所定温度条件を満たすまでカソード流路110の液水を冷却させ、カソード流路110の液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されていても良い。
これにより、電解質膜-電極接合体104を介したアノード流路109内の液水との熱交換を利用して、カソード流路110に充填した液水の冷却速度を速めることで、カソードガス拡散層106への液水の浸透速度を速めるので、短時間で電気化学デバイス100の内部を加湿することができる。
また、加湿モードにおいて、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らすのに加えて、アノード流路109に満たされた液水が、アノードガス拡散層105側から電解質膜-電極接合体104を湿らすので、水素精製システム280が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部を、短時間で、適度に湿った雰囲気にすることができる。
(実施の形態3)
以下、図5および図6を用いて、実施の形態3を説明する。
[3-1.構成]
図5に示すように、本実施の形態の水素精製システム380は、図1に示す実施の形態1の水素精製システム180の構成に、加湿モードにおいてカソードセパレータ108を介してカソード流路110に満たした液水を冷却させるカソード冷却手段152を加え、カソード液水供給手段117を省いて、温度調節器151は、温度調節器151の内部の液水を、カソード供給経路119を介してカソード流路110のカソード入口113に供給することによってカソード液水供給手段としても機能するように構成したものに相当する。
そのため、本実施の形態の水素精製システム380において、実施の形態1の水素精製システム180と同一構成については、同一符号を付して、重複する説明は省略する。
温度調節器151は、電気化学デバイス100において水素を精製する時に、電気化学デバイス100の温度を、常温よりも高い水素の精製に適した設定温度に調節できるように構成されている。
温度調節器151は、温度調節器151の内部を通流する所定の温度に制御された液水と電気化学デバイス100との熱交換によって電気化学デバイス100の温度を調整するように構成されている。
温度調節器151は、電気化学デバイス100と液水とを熱交換させる熱交換器と、所定の温度に制御した液水を貯蔵する貯水タンクと、貯水タンクの液水を熱交換器に送るポンプとが、液水が通流する配管によって環状に接続されたものである。
カソード供給経路119は、温度調節器151の内部の液水をカソード流路110のカソード入口113に供給することができるように、温度調節器151とカソードセパレータ108のカソード入口113とを接続している。
温度調節器151は、貯水タンクの液水をポンプによってカソード供給経路119を経てカソード入口113に供給する時に、カソード供給経路119を開放し、貯水タンクの液水をポンプによってカソード供給経路119を経て液水をカソード入口113に供給しない(電気化学デバイス100において水素を精製する)時に、カソード触媒層103から排出された水素がカソード供給経路119を逆流して漏れ出ないように、カソード供給経路119を閉鎖するように構成された電磁弁を備えている。
カソード冷却手段152は、カソードセパレータ108と液水とを熱交換させる熱交換器と、所定の温度に制御した液水を貯蔵する貯水タンクと、貯水タンクの液水を熱交換器に送るポンプとが、液水が通流する配管によって環状に接続されたものである。
カソード冷却手段152の液水の温度は、温度調節器151の液水の温度よりも所定温度以上低く、カソード冷却手段152によってカソードセパレータ108を冷却しない時は、カソード冷却手段152のポンプによる液水の循環を停止している。
制御器170は、加湿モードで運転する場合は、水素含有ガス供給手段115および電源150が停止しカソード排出弁123が開放した状態で、温度調節器151による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、温度調節器151を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、温度計127で計測した液水の温度が所定温度条件を満たすまで、カソード冷却手段152を用いて、液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
[3-2.動作]
以上のように構成された本実施の形態の水素精製システム380について、図5および図6に基づいて、その動作と作用を以下に説明する。
水素精製システム380の運転モードは、加湿モードと、水素精製モードとの2つからなる。まず、加湿モードについて説明する。
まず、制御器170は、水素精製システム380が停止している(カソード冷却手段152と温度調節器151が停止しており、水素含有ガス供給手段115が供給動作を停止しており、電源150が電流を流していない)時に、加湿を開始する指示が入ると、制御器170は、カソード排出弁123の状態を確認して、弁が開いていれば開放状態を維持し、弁が閉じていれば、カソード排出弁123を開放する(S301)。
次に、制御器170は、温度調節器151を動作させて、温度調節器151により、カソード入口113(カソード流路110)に常温よりも高い所定温度の液水を所定流量で所定時間、供給する(S302)。
本実施の形態では、所定温度を60℃に、所定時間を10分に、所定流量を2L/minに、それぞれ設定した。設定時間は、水素精製システム380が停止している時にカソード流路110に残留していた気体をカソード出口114から排出して、カソード流路110に液水が満たされるために必要な時間を予め実験により確認して設定した。
次に、制御器170は、温度調節器151を停止させると共に、カソード排出弁123を閉じる(S303)。カソード排出弁123が閉じるまでにカソード排出弁123を通過した液水は、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に、流出する。
次に、制御器170は、カソード冷却手段152を動作させて、カソード冷却手段152により、カソード流路110に満たした液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になるようにカソードセパレータ108を介してカソード流路110の液水を冷却する(S304)。このカソード冷却手段152による強制冷却は、自然冷却よりもカソード流路110の冷却速度を速める。
このとき、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却される。
カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内の気体は、カソード冷却手段152の強制冷却による温度変化(温度低下)によって体積収縮して、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
次に、制御器170は、温度計127により、カソード流路110に満たされた液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になったか確認する(S305)。S305の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃未満であれば、S304に戻る。
S305の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、液水がカソードガス拡散層106へ浸透するために必要な負圧雰囲気が、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に生じている。
これにより、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。そして、水素精製システム380が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
S305の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、カソード冷却手段152によるカソード流路110の液水の冷却を停止して(S306)、加湿モードから水素精製モードに移行する。
次に、水素精製モードについて説明する。
まず、制御器170は、カソード排出弁123を開放する(S307)。
次に、制御器170は、温度調節器151を動作させて、電気化学デバイス100の温度が所定温度になる(所定温度を維持する)ようにする(S308)。なお、本実施の形態では、所定温度を60℃に設定している。
次に、制御器170は、水素含有ガス供給手段115を動作させて、水素含有ガス供給手段115からアノード供給経路118を経由してアノード入口111(アノード流路109、アノードガス拡散層105、アノード触媒層102)に、水素含有ガスを所定流量で供給する(S309)。本実施の形態では、所定流量を5L/minに設定している。
次に、制御器170は、電源150を動作させて、電源150により、アノード触媒層102から電解質膜101を介してカソード触媒層103へ所定電流値の電流を流す(S310)。
所定電流値は、カソード触媒層103から設定流量の水素(設定された単位時間当たりの水素精製量)を得るのに必要な電流値である。本実施の形態では、所定電流値を40Aに設定している。
これにより、アノード触媒層102では、(化1)に示す、水素含有ガスに含まれる水素が水素イオン(H)と電子(e)とに解離する酸化反応が起こる。そして、水素イオン(H)が電解質膜101を透過してカソード触媒層103に移動し、電子(e)が電源150を経由してカソード触媒層103に移動する。そして、カソード触媒層103では、(化2)に示す、水素イオン(H)と電子(e)が結びついて水素になる還元反応が起こる。
(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノード触媒層102に供給された水素純度の低い水素含有ガスから、カソード触媒層103において水素純度の高い水素が精製(生成)される。
カソード流路110に満たされていた液水は、S307でカソード排出弁123が開放されたことと、重力と、カソード触媒層103から排出された水素による圧力で、カソード流路110から、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に排出される。
また、電気化学デバイス100(電解質膜-電極接合体104)によって精製され、カソード触媒層103から排出された水素は、カソードガス拡散層106、カソード流路110、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード水素排出経路125に排出される(S311)。
電解質膜101を透過してアノードからカソードに移動しなかった残余のガスは、アノード出口112からアノード排出経路120に排出され、十分安全な水素濃度まで希釈されて大気へ放出される。
次に、制御器170は、水素の精製を終了する指示が入ったか確認する(S312)。
S312の確認の結果、終了の指示が入っていれば、制御器170は、電源150と、水素含有ガス供給手段115と、温度調節器151と、を停止させ(S313)、カソード排出弁123を閉じて、水素精製システム380の動作を終了する。
S312の確認の結果、終了の指示が入っていなければ、制御器170は、水素の精製を10分間継続してから(S314)、S312に戻る。
[3-3.効果等]
以上のように本実施の形態の水素精製システム380は、電気化学デバイス100と、水素含有ガス供給手段115と、カソード液水供給手段としての機能を有する温度調節器151と、カソード排出経路121と、カソード排出弁123と、電源150と、制御器170と、を備えている。
電気化学デバイス100は、アノードとカソードとで電解質膜101を挟んだ電解質膜-電極接合体104と、アノードと接する面にアノード流路109が形成されたアノードセパレータ107と、カソードと接する面にカソード流路110が形成されたカソードセパレータ108と、を備えている。
アノードは、電解質膜101の一方の主面と接するアノード触媒層102と、アノードセパレータ107と接するアノードガス拡散層105とを有している。
カソードは、電解質膜101の他方の主面と接するカソード触媒層103と、カソードセパレータ108と接するカソードガス拡散層106とを有している。
電気化学デバイス100は、アノード触媒層102に水素含有ガスが供給されアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流が流れることにより、アノード触媒層102に供給される水素含有ガスよりも水素の純度が高い精製水素が、カソード触媒層103から排出されるように構成されている。
水素含有ガス供給手段115は、アノード流路109のアノード入口111に水素含有ガスを供給するように構成されている。
温度調節器151は、加湿モードで運転する時は、カソード流路110のカソード入口113に常温よりも温度が高い液水を供給し、水素精製モードで運転する時は、電気化学
デバイス100を適温に維持するように構成されている。
カソード排出経路121は、カソード流路110から電気化学デバイス100の外部に流体を排出できるようにカソード流路110のカソード出口114に接続されている。カソード排出弁123は、カソード排出経路121を開閉できるように構成されている。
電源150は、電気化学デバイス100のアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流を流すことができるように構成されている。
制御器170は、電気化学デバイス100において水素を精製する、水素精製モードで運転する時に、温度調節器151が電気化学デバイス100を適温に維持しカソード排出弁123が開放した状態で、水素含有ガス供給手段115によってアノード触媒層102に水素含有ガスを供給し、電源150によってアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に電流を流すように構成されている。
制御器170は、水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されている。
制御器170は、加湿モードで運転する場合は、カソード排出弁123が開放した状態で温度調節器151による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、温度調節器151を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、液水の温度が所定温度条件を満たすまで液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
本実施の形態の水素精製システム380は、加湿モードにおいて、カソード流路110を液水で満たした後に、液水を冷却させるので、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却されて、その気体の体積収縮によってカソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
その結果、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。そして、水素精製システム380が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
そのため、水素精製モードにおける電気化学デバイス100の内部乾燥に起因した水素純化効率の低下を抑制できる。
本実施の形態のように、水素精製システム380は、加湿モードにおいて、液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になるまで冷却しても良い。
これにより、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106をより大きな負圧雰囲気し、カソードガス拡散層106へ液水の浸透速度を速め、短時間で電気化学デバイス100の内部を加湿することができる。
本実施の形態のように、水素精製システム380は、水素精製モードにおいて、電気化学デバイス100の温度を、常温よりも高い水素の精製に適した設定温度に調節できるように構成された温度調節器151を備え、温度調節器151は、温度調節器151の内部の液水と電気化学デバイス100との熱交換によって電気化学デバイス100の温度を調整するように構成されるとともに、温度調節器151の内部の液水を、カソード供給経路119を介してカソード流路110のカソード入口113に供給することによってカソー
ド液水供給手段としても機能するように構成されても良い。
この場合、制御器170は、加湿モードにおいて、温度調節器151を、カソード液水供給手段として機能させるのである。
このように、温度調節器151をカソード液水供給手段として用いるので、構成を簡素化でき、カソード入口113に供給する液水を加熱するために必要なエネルギーを削減でき、水素精製システム380の消費電力を抑えることができる。
本実施の形態のように、水素精製システム380は、カソードセパレータ108を介して、カソード流路110に満たした液水を冷却させるカソード冷却手段152を備え、制御器170は、加湿モードにおいて、カソード冷却手段152を用いて、カソード流路110に満たした液水を冷却させても良い。
このように、加湿モードにおいて、カソード冷却手段152を用いて、カソード流路110に満たした液水を冷却させると、自然冷却で、カソード流路110に満たした液水を冷却させる場合よりもカソード流路110の冷却速度を速めることができるので、早く加湿モードから水素精製モードに移行することができる。
(実施の形態4)
以下、図7および図8を用いて、実施の形態4を説明する。
[4-1.構成]
図7に示すように、本実施の形態の水素精製システム480は、図1に示す実施の形態1の水素精製システム180の構成に、加湿モードにおいてカソードセパレータ108を介してカソード流路110に満たした液水を冷却させるカソード冷却手段152を加え、水素含有ガス供給手段115として、炭化水素系の燃料を水素含有ガスに改質させる改質器を用い、カソード液水供給手段として、カソード流路110のカソード入口113に供給する液水を改質器との熱交換によって加熱するように構成された改質器用熱交換手段153を用いたものに相当する。
そのため、本実施の形態の水素精製システム480において、実施の形態1の水素精製システム180や実施の形態3の水素精製システム380と同一構成については、同一符号を付して、重複する説明は省略する。
カソード冷却手段152は、カソードセパレータ108と液水とを熱交換させる熱交換器と、所定の温度に制御した液水を貯蔵する貯水タンクと、貯水タンクの液水を熱交換器に送るポンプとが、液水が通流する配管によって環状に接続されたものである。
カソード冷却手段152の液水の温度は、温度調節器151の液水の温度よりも所定温度以上低く、カソード冷却手段152によってカソードセパレータ108を冷却しない時は、カソード冷却手段152のポンプによる液水の循環を停止している。
改質器用熱交換手段153は、改質器(水素含有ガス供給手段115)と液水とを熱交換させる熱交換器と、改質器(水素含有ガス供給手段115)とを熱交換した液水を貯蔵する貯水タンクと、貯水タンクの液水をカソード供給経路119を経てカソード入口113に送るとともに熱交換器と貯水タンクとの間で液水を循環させるポンプと、電磁弁と、が、液水が通流する配管によって接続されたものである。
カソード供給経路119は、改質器用熱交換手段153の液水をカソード流路110の
カソード入口113に供給することができるように、改質器用熱交換手段153とカソードセパレータ108のカソード入口113とを接続している。
改質器用熱交換手段153は、水素含有ガス供給手段115における改質反応で生じた熱を熱交換器で回収して、貯水タンクの液水を温度制御する。
熱交換器で温度制御された液水は、ポンプによって、カソード供給経路119を経由して、カソード入口113に供給させる。
改質器用熱交換手段153の電磁弁は、改質器(水素含有ガス供給手段115)と熱交換した液水をポンプによってカソード供給経路119を経てカソード入口113に供給する時に、カソード供給経路119を開放し、改質器(水素含有ガス供給手段115)と熱交換した液水をポンプによってカソード供給経路119を経てカソード入口113に供給しない(電気化学デバイス100において水素を精製する)時に、カソード触媒層103から排出された水素がカソード供給経路119を逆流して漏れ出ないように、カソード供給経路119を閉鎖するように構成されている。
制御器170は、加湿モードで運転する場合は、水素含有ガス供給手段115および電源150が停止しカソード排出弁123が開放した状態で、改質器用熱交換手段153による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、改質器用熱交換手段153からの液水の供給を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、温度計127で計測した液水の温度が所定温度条件を満たすまで、カソード冷却手段152を用いて、液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
[4-2.動作]
以上のように構成された本実施の形態の水素精製システム480について、図7および図8に基づいて、その動作と作用を以下に説明する。
水素精製システム480の運転モードは、加湿モードと、水素精製モードとの2つからなる。まず、加湿モードについて説明する。
まず、制御器170は、水素精製システム480が停止している(カソード冷却手段152と温度調節器151が停止しており、水素含有ガス供給手段115(改質器)が供給動作を停止しており、電源150が電流を流していない)時に、加湿を開始する指示が入ると、制御器170は、カソード排出弁123の状態を確認して、弁が開いていれば開放状態を維持し、弁が閉じていれば、カソード排出弁123を開放する(S401)。
次に、制御器170は、改質器用熱交換手段153を動作させて、改質器用熱交換手段153により、カソード入口113(カソード流路110)に常温よりも高い所定温度の液水を所定流量で所定時間、供給する(S402)。
本実施の形態では、所定温度を60℃に、所定時間を10分に、所定流量を2L/minに、それぞれ設定した。設定時間は、水素精製システム480が停止している時にカソード流路110に残留していた気体をカソード出口114から排出して、カソード流路110に液水が満たされるために必要な時間を予め実験により確認して設定した。
次に、制御器170は、改質器用熱交換手段153を停止させると共に、カソード排出弁123を閉じる(S403)。カソード排出弁123が閉じるまでにカソード排出弁123を通過した液水は、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に
流出する。
次に、制御器170は、カソード冷却手段152を動作させて、カソード冷却手段152により、カソード流路110に満たした液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になるようにカソードセパレータ108を介してカソード流路110の液水を冷却する(S404)。このカソード冷却手段152による強制冷却は、自然冷却よりもカソード流路110の冷却速度を速める。
このとき、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却される。
カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内の気体は、カソード冷却手段152の強制冷却による温度変化(温度低下)によって体積収縮して、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
次に、制御器170は、温度計127により、カソード流路110に満たされた液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になったか確認する(S405)。S405の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃未満であれば、S404に戻る。
S405の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、液水がカソードガス拡散層106へ浸透するために必要な負圧雰囲気が、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に生じている。
これにより、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。そして、水素精製システム480が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
S405の確認の結果、温度変化(温度低下)が20℃以上になっていれば、カソード冷却手段152によるカソード流路110の液水の冷却を停止して(S406)、加湿モードから水素精製モードに移行する。
次に、水素精製モードについて説明する。
まず、制御器170は、カソード排出弁123を開放する(S407)。
次に、制御器170は、温度調節器151を動作させて、電気化学デバイス100の温度が所定温度になる(所定温度を維持する)ようにする(S408)。なお、本実施の形態では、所定温度を60℃に設定している。
次に、制御器170は、水素含有ガス供給手段115(改質器)を動作させて、水素含有ガス供給手段115(改質器)からアノード供給経路118を経由してアノード入口111(アノード流路109、アノードガス拡散層105、アノード触媒層102)に、水素含有ガスを所定流量で供給する(S409)。本実施の形態では、所定流量を5L/minに設定している。
次に、制御器170は、電源150を動作させて、電源150により、アノード触媒層102から電解質膜101を介してカソード触媒層103へ所定電流値の電流を流す(S410)。
所定電流値は、カソード触媒層103から設定流量の水素(設定された単位時間当たりの水素精製量)を得るのに必要な電流値である。本実施の形態では、所定電流値を40Aに設定している。
これにより、アノード触媒層102では、(化1)に示す、水素含有ガスに含まれる水素が水素イオン(H)と電子(e)とに解離する酸化反応が起こる。そして、水素イオン(H)が電解質膜101を透過してカソード触媒層103に移動し、電子(e)が電源150を経由してカソード触媒層103に移動する。そして、カソード触媒層103では、(化2)に示す、水素イオン(H)と電子(e)が結びついて水素になる還元反応が起こる。
(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノード触媒層102に供給された水素純度の低い水素含有ガスから、カソード触媒層103において水素純度の高い水素が精製(生成)される。
カソード流路110に満たされていた液水は、S407でカソード排出弁123が開放されたことと、重力と、カソード触媒層103から排出された水素による圧力で、カソード流路110から、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード液水排出経路126に排出される。
また、電気化学デバイス100(電解質膜-電極接合体104)によって精製され、カソード触媒層103から排出された水素は、カソードガス拡散層106、カソード流路110、カソード出口114、カソード排出経路121を経由した後に、カソード気液分離手段124からカソード水素排出経路125に排出される(S411)。
電解質膜101を透過してアノードからカソードに移動しなかった残余のガスは、アノード出口112からアノード排出経路120に排出され、十分安全な水素濃度まで希釈されて大気へ放出される。
次に、制御器170は、水素の精製を終了する指示が入ったか確認する(S412)。
S412の確認の結果、終了の指示が入っていれば、制御器170は、電源150と、水素含有ガス供給手段115と、温度調節器151と、を停止させ(S413)、カソード排出弁123を閉じて、水素精製システム480の動作を終了する。
S412の確認の結果、終了の指示が入っていなければ、制御器170は、水素の精製を10分間継続してから(S414)、S412に戻る。
[4-3.効果等]
以上のように本実施の形態の水素精製システム480は、電気化学デバイス100と、水素含有ガス供給手段115と、カソード液水供給手段の機能を有する改質器用熱交換手段153と、カソード排出経路121と、カソード排出弁123と、電源150と、制御器170と、を備えている。
電気化学デバイス100は、アノードとカソードとで電解質膜101を挟んだ電解質膜-電極接合体104と、アノードと接する面にアノード流路109が形成されたアノードセパレータ107と、カソードと接する面にカソード流路110が形成されたカソードセパレータ108と、を備えている。
アノードは、電解質膜101の一方の主面と接するアノード触媒層102と、アノード
セパレータ107と接するアノードガス拡散層105とを有している。
カソードは、電解質膜101の他方の主面と接するカソード触媒層103と、カソードセパレータ108と接するカソードガス拡散層106とを有している。
電気化学デバイス100は、アノード触媒層102に水素含有ガスが供給されアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流が流れることにより、アノード触媒層102に供給される水素含有ガスよりも水素の純度が高い精製水素が、カソード触媒層103から排出されるように構成されている。
水素含有ガス供給手段115は、アノード流路109のアノード入口111に水素含有ガスを供給するように構成されている。
カソード排出経路121は、カソード流路110から電気化学デバイス100の外部に流体を排出できるようにカソード流路110のカソード出口114に接続されている。カソード排出弁123は、カソード排出経路121を開閉できるように構成されている。
電源150は、電気化学デバイス100のアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に所定方向の電流を流すことができるように構成されている。
制御器170は、電気化学デバイス100において水素を精製する、水素精製モードで運転する時に、改質器用熱交換手段153が停止しており、カソード排出弁123が開放した状態で、水素含有ガス供給手段115によってアノード触媒層102に水素含有ガスを供給し、電源150によってアノード触媒層102とカソード触媒層103との間に電流を流すように構成されている。
制御器170は、水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されている。
制御器170は、加湿モードで運転する場合は、カソード排出弁123が開放した状態で改質器用熱交換手段153による液水の供給を開始して、カソード流路110を液水で満たした後に、改質器用熱交換手段153を停止させるとともにカソード排出弁123を閉じて、液水の温度が所定温度条件を満たすまで液水を冷却させ、液水の温度が所定温度条件を満たした後に、水素精製モードに移行するように構成されている。
本実施の形態の水素精製システム480は、加湿モードにおいて、カソード流路110を液水で満たした後に、液水を冷却させるので、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に残留していた気体も同時に冷却されて、その気体の体積収縮によってカソード触媒層103およびカソードガス拡散層106内に負圧雰囲気が生じる。
その結果、カソード流路110に満たされた液水が、カソードガス拡散層106へ浸透し、カソード触媒層103、電解質膜101、アノード触媒層102を順に湿らす。そして、水素精製システム480が停止していたことで乾燥していた電気化学デバイス100の内部が適度に湿った雰囲気になる。
そのため、水素精製モードにおける電気化学デバイス100の内部乾燥に起因した水素純化効率の低下を抑制できる。
本実施の形態のように、水素精製システム480は、加湿モードにおいて、液水の温度変化(温度低下)が20℃以上になるまで冷却しても良い。
これにより、カソード触媒層103およびカソードガス拡散層106をより大きな負圧雰囲気し、カソードガス拡散層106へ液水の浸透速度を速め、短時間で電気化学デバイス100の内部を加湿することができる。
本実施の形態のように、水素精製システム480は、カソードセパレータ108を介して、カソード流路110に満たした液水を冷却させるカソード冷却手段152を備え、制御器170は、加湿モードにおいて、カソード冷却手段152を用いて、カソード流路110に満たした液水を冷却させても良い。
このように、加湿モードにおいて、カソード冷却手段152を用いて、カソード流路110に満たした液水を冷却させると、自然冷却で、カソード流路110に満たした液水を冷却させる場合よりもカソード流路110の冷却速度を速めることができるので、早く加湿モードから水素精製モードに移行することができる。
本実施の形態のように、水素精製システム480は、水素含有ガス供給手段115として、炭化水素系の燃料を水素含有ガスに改質させる改質器を用い、カソード液水供給手段として、カソード流路110のカソード入口113に供給する液水を改質器との熱交換によって加熱するように構成された改質器用熱交換手段153を用い、制御器170は、改質器用熱交換手段153により加熱された液水をカソード入口113に供給しても良い。
これにより、改質器用熱交換手段153をカソード液水供給手段として用いるので、カソード入口113に供給する液水を加熱制御するために必要なエネルギーを削減でき、水素精製システム480の消費電力を抑えることができる。
(その他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から4を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1から4で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
本実施の形態1~6では、水素精製モードにおいて、水素精製の指示が入った場合は、水素精製システム180、280、380、480の動作を終了するようにしたが、加湿モードに戻ってもよい。
これにより、水素精製モード終了後に、加湿モードを直ぐに動作させることができ、水素精製システム480の稼働率を上げることができる。
本実施の形態1~4および6では、温度調節器151にヒーターを用いてもよい。
これにより、水素精製システム480をコンパクト化できる。
本実施の形態3~4では、カソード冷却手段152の冷媒に液水を用いたが、それ以外の熱媒体を用いてもよい。また、ペルチェ素子等のその他の冷却手段を用いてもよい。
これにより、水素精製システム480をコンパクト化できる。
本開示は、電気化学式水素精製システムに適用可能である。具体的には、電気化学デバイスを用いて水素を純化する水素精製システムなどに適用可能である。
100 電気化学デバイス
101 電解質膜
102 アノード触媒層
103 カソード触媒層
104 電解質膜-電極接合体
105 アノードガス拡散層
106 カソードガス拡散層
107 アノードセパレータ
108 カソードセパレータ
109 アノード流路
110 カソード流路
111 アノード入口
112 アノード出口
113 カソード入口
114 カソード出口
115 水素含有ガス供給手段
116 アノード液水供給手段
117 カソード液水供給手段
118 アノード供給経路
119 カソード供給経路
120 アノード排出経路
121 カソード排出経路
122 アノード排出弁
123 カソード排出弁
124 カソード気液分離手段
125 カソード水素排出経路
126 カソード液水排出経路
127 温度計
150 電源
151 温度調節器
152 カソード冷却手段
153 改質器用熱交換手段
170 制御器
180,280,380,480 水素精製システム

Claims (6)

  1. アノードとカソードとで電解質膜を挟んだ電解質膜-電極接合体と、前記アノードと接する面にアノード流路が形成されたアノードセパレータと、前記カソードと接する面にカソード流路が形成されたカソードセパレータと、を備え、前記アノードに水素含有ガスが供給され前記アノードと前記カソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、前記アノードに供給される水素含有ガスよりも水素の純度が高い精製水素が、前記カソードから排出されるように構成された電気化学デバイスと、
    前記アノード流路の入口に前記水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給手段と、
    前記カソード流路の入口に常温よりも温度が高い液水を供給するカソード液水供給手段と、
    前記カソード流路から前記電気化学デバイスの外部に流体を排出できるように前記カソード流路の出口に接続されたカソード排出経路と、
    前記カソード排出経路を開閉するカソード排出弁と、
    前記電気化学デバイスの前記アノードと前記カソードとの間に前記電流を流すための電源と、
    前記電気化学デバイスにおいて水素を精製する、水素精製モードで運転する時に、前記カソード液水供給手段が停止し前記カソード排出弁が開放した状態で、前記水素含有ガス供給手段によって前記アノードに水素含有ガスを供給し、前記電源によって前記アノードと前記カソードとの間に前記電流を流す制御器と、
    を備えた水素精製システムであって、
    前記アノードは、前記電解質膜の一方の主面と接するアノード触媒層と、前記アノードセパレータと接するアノードガス拡散層とを有し、
    前記カソードは、前記電解質膜の他方の主面と接するカソード触媒層と、前記カソードセパレータと接するアノードガス拡散層とを有し、
    前記制御器は、前記水素精製モードで運転する前に、加湿モードで運転を行うように構成されており、
    前記制御器は、前記加湿モードで運転する場合は、前記カソード排出弁が開放した状態で前記カソード液水供給手段による前記液水の供給を開始して、前記カソード流路を前記液水で満たした後に、前記カソード液水供給手段を停止させるとともに前記カソード排出弁を閉じて、前記液水の温度が所定温度条件を満たすまで前記液水を冷却させ、前記液水の温度が所定温度条件を満たした後に、前記水素精製モードに移行するように構成されている、
    水素精製システム。
  2. 前記制御器は、前記加湿モードにおいて、前記液水の温度が20℃以上低下するまで前記液水を冷却させる、
    請求項1に記載の水素精製システム。
  3. 前記アノード流路の入口に液水を供給するアノード液水供給手段と、
    前記アノード流路から前記電気化学デバイスの外部に流体を排出できるように前記アノード流路の出口に接続されたアノード排出経路と、
    前記アノード排出経路を開閉するアノード排出弁と、
    をさらに備え、
    前記アノード液水供給手段によって前記アノード流路に供給される液水の温度が、前記カソード液水供給手段によって前記カソード流路に供給される液水の温度よりも所定温度以上低くなっており、
    前記制御器は、前記加湿モードにおいて、前記カソード流路が前記液水で満たされたことによって前記カソード液水供給手段を停止させるとともに前記カソード排出弁を閉じた後に、前記アノード排出弁が開放した状態で前記アノード液水供給手段による前記液水の
    供給を開始して、前記アノード流路を前記液水で満たした後に、前記アノード液水供給手段を停止させるとともに前記アノード排出弁を閉じて、前記カソード流路の前記液水の温度が所定温度条件を満たすまで前記カソード流路の前記液水を冷却させ、前記カソード流路の前記液水の温度が所定温度条件を満たした後に、前記水素精製モードに移行するように構成されている、
    請求項1または2に記載の水素精製システム。
  4. 前記カソードセパレータを介して、前記カソード流路に満たした液水を冷却させるカソード冷却手段を、さらに備え、
    前記制御器は、前記加湿モードにおいて、前記カソード冷却手段を用いて、前記カソード流路に満たした液水を冷却させる、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の水素精製システム。
  5. 前記水素精製モードにおいて、前記電気化学デバイスの温度を、常温よりも高い水素の精製に適した設定温度に調節できるように構成された温度調節器を、さらに備え、
    前記温度調節器は、前記温度調節器の内部の液水と前記電気化学デバイスとの熱交換によって前記電気化学デバイスの温度を調整するように構成されるとともに、前記温度調節器の内部の液水を、カソード供給経路を介して前記カソード流路の入口に供給することによって前記カソード液水供給手段としても機能するように構成されており、
    前記制御器は、前記加湿モードにおいて、前記温度調節器を、前記カソード液水供給手段として機能させる、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の水素精製システム。
  6. 前記水素含有ガス供給手段は、炭化水素系の燃料を水素含有ガスに改質させる改質器であり、
    前記カソード液水供給手段は、前記カソード流路の入口に供給する液水を前記改質器との熱交換によって加熱するように構成された改質器用熱交換手段である、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の水素精製システム。
JP2021016225A 2021-02-04 2021-02-04 水素精製システム Pending JP2022119250A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021016225A JP2022119250A (ja) 2021-02-04 2021-02-04 水素精製システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021016225A JP2022119250A (ja) 2021-02-04 2021-02-04 水素精製システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022119250A true JP2022119250A (ja) 2022-08-17

Family

ID=82848449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021016225A Pending JP2022119250A (ja) 2021-02-04 2021-02-04 水素精製システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022119250A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8034500B2 (en) Systems and methods for starting and operating fuel cell systems in subfreezing temperatures
US8003270B2 (en) Fuel cell stacks and systems with fluid-responsive temperature regulation
US7045233B2 (en) Method and apparatus for electrochemical compression and expansion of hydrogen in a fuel cell system
US7141323B2 (en) Method and apparatus for electrochemical compression and expansion of hydrogen in a fuel cell system
JP2012253034A (ja) 固体高分子型燃料電池システム
US7745032B2 (en) Fuel cell with humidifier
CN113039153B (zh) 氢系统
JP4072707B2 (ja) 固体高分子電解質型燃料電池発電装置とその運転方法
US7132182B2 (en) Method and apparatus for electrochemical compression and expansion of hydrogen in a fuel cell system
JPH08185877A (ja) 燃料電池システム
US20070154752A1 (en) Starting up and shutting down a fuel cell stack
JP5383737B2 (ja) 燃料電池システム及びその発電停止方法
JP2004504701A (ja) 燃料電池電力設備用の周囲下圧力冷媒ループ
JP2022083098A (ja) 水素・酸素製造システムの制御方法および水素・酸素製造システム
JP2008059922A (ja) 燃料電池システム
JP6639972B2 (ja) 燃料電池システムの氷点下始動方法
JPH07272738A (ja) 燃料電池システム
JP2000208156A (ja) 固体高分子型燃料電池システム
US9472821B2 (en) Operation method of polymer electrolyte fuel cell system and polymer electrolyte fuel cell system
EP2216845B1 (en) Fuel cell system
WO2011002799A2 (en) Reducing loss of liquid electrolyte from a high temperature polymer-electrolyte membrane fuel cell
JP2022119250A (ja) 水素精製システム
JP6771141B1 (ja) 水素システムおよび水素システムの運転方法
JP2004529458A (ja) 燃料電池の水分平衡を改良する方法
WO2004062016A1 (ja) 水素ガス湿度制御装置、燃料電池、水素ガス湿度制御方法および燃料電池の湿度制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20221021