JP2022115630A - 衛生マスク用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】折り畳み状態における衛生マスクが意図せず開くことを防止でき、該衛生マスクの装着時まで衛生的な状態が保持され得る衛生マスク用シートを提供する。【解決手段】肌当接面を有する衛生マスク用シートであって、肌当接面を内側として対向させ、対向する内側面同士を接触した状態に仮固定する仮止め部を有する衛生マスク用シート。【選択図】図1

Description

本発明は、衛生マスク用シートに関する。
使用者の口や鼻を覆うマスクとして、例えば不織布等のシート状物により形成されるマスク本体を有するマスクが知られている。マスクの効果としては、ホコリ、塵、ウイルス、ウイルスを含む飛沫、花粉等の外部からの侵入防止が挙げられる。
近年、感染症の増大に伴い、マスクの使用機会が増加するとともに、マスクそのものが衛生的であることが望まれている。
マスクを衛生的にするために、一般的にはマスク全体をフィルムシール等で包装し、外部との接触を避ける方法等が取られている。
マスクには、種々の種類がある。例えば、マスク本体と耳掛け部とを有し、マスク本体の中央を折り畳む左右対称形状とされ、この折り畳み状態で収納可能とされるとともに、使用時には耳掛け部側から開き、着用するものがある。
特許文献1に示す簡易マスクは、ほぼ長方形に裁断した不織布の両端に耳掛部を設けた簡易マスクにおいて、マスクを二つ折りにした際の折返し縁付近をマスク上縁、下縁又は上下にわたって接合してマスクを着用した際に口前方へ空間部を形成した簡易マスクである。特許文献1の図2に示すようにマスクは未使用時に二つ折りにて閉じられている。
特開平8-173562号公報
前述のように衛生マスクが折り畳み状態におかれることは、マスクの衛生面で最も重視される口や鼻と直接に接触する面が表出しないようにできる利点がある。しかし、特許文献1記載の衛生マスクは、閉じた状態を維持する機能が無い。
そのため、前記衛生マスクは、使用のために手に取った際に自然に意図せずに、畳まれた状態から内面が開いてしまうことがある。この場合、衛生マスクの畳まれた内側面が襟袖や指などに接触してしまいやすい。
衛生マスク本体の内側面は、衛生さを保つためにも、使用する直前まで閉じた状態を維持することが好ましく、そのために衛生マスクには内側面が意図せず開かないことが望まれる。
本発明は、上記状況に鑑み、折り畳み状態における衛生マスクが意図せず開くことを防止でき、該衛生マスクの装着時まで衛生的な状態が保持され得る衛生マスク用シートに関する。
本発明は、肌当接面を有する衛生マスク用シートであって、前記肌当接面を内側として対向させ、対向する内側面同士を接触した状態に仮固定する仮止め部を有する衛生マスク用シートを提供する。
本発明の衛生マスク用シートは、折り畳み状態における衛生マスクが意図せず開くことを防止でき、衛生マスクの装着時まで衛生的な状態を保持することができる。
本発明に係る衛生マスク用シートの重ね構造の好ましい実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る衛生マスク用シートの重ね構造における衛生マスク予定領域の一例を示す平面図である。 本発明に係る衛生マスク用シートを用いた衛生マスクの製造方法の好ましい実施形態の一例を示す説明図であり、(A)は接合部を形成する工程を示す説明図であり、(B)は衛生マスクの外形を切り抜く工程を示す説明図であり、(C)得られた衛生マスクを示す説明図である。 本発明に係る衛生マスク用シートの重ね構造におけるマスク本体予定領域の一例を示す平面図である。 図4に示すマスク本体予定領域を切り出して得られるマスク本体を2つ折りに折り畳んだ状態を示す平面図である。 図1に示す衛生マスク用シートが、重ね構造を解いた状態において、伸縮性シートと非伸縮性シートとを積層したシートである場合の例を示す断面図である。 図6に示す衛生マスク用シートに含まれる伸縮性シートの好ましい実施形態の一例を模式的に示す一部切欠部分斜視図である。 (A)は図6に示す衛生マスク用シートにおいて、非伸縮性シートが凹凸シートである例を示す部分斜視図であり、(B)は(A)図に示す衛生マスク用シートが反り返る状態を模式的示す説明図である。 (A)~(C)は、図6に示す衛生マスク用シートの製造方法の好ましい実施形態の一例を示す説明図である。 図8(A)に示す衛生マスク用シートによる重ね構造の好ましい実施形態の一例を示す部分拡大断面図である。 (A)及び(B)は、衛生マスク用シートの平面投影視での単位面積当たりの凹凸シートの表面積の比率を測定する方法を示す説明図である。 本発明に係る衛生マスクの好ましい実施形態の一例を示す平面図である。 本発明に係る衛生マスクの別の好ましい実施形態を示す平面図である。 本発明に係る衛生マスクの更に別の好ましい実施形態を示す平面図である。 本発明に係る衛生マスクの更に別の好ましい実施形態を示す平面図である。 本発明に係る衛生マスクの更に別の好ましい実施形態を示す平面図である。 本発明の衛生マスク用シートを備えたフィルタシートの、衛生マスクへの装着する状態を示す斜視図である。 図16に示す衛生マスクにおいて、実施例及び比較例の試験試料を採取した箇所を示す平面図である。
以下、本発明の衛生マスク用シート、及び該衛生マスク用シートを備える衛生マスクの好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本明細書において「衛生マスク」とは、呼吸のために人の顔面に着用されて、空気を人の呼吸器官に吸い込む前に濾過し、人が吐く息中の飛沫を外部に排出する前に濾過する物品のことである。そのため、本発明に係る衛生マスク用シートは、好適には、少なくとも人の口及び鼻を覆うに足る寸法及び形状を有する。
図1に示すように、本実施形態の衛生マスク用シート10(以下、単にシート10ともいう)は、肌当接面10Sを内側として対向させ、対向した内側面同士を接触した状態に仮固定する仮止め部1を備えている。肌当接面10Sとは、衛生マスク用シート10から形成される衛生マスクにおいて、使用者の口や鼻等の肌面に当接する面を意味する。
より具体的には、本実施形態の衛生マスク用シート10は次のような構造を有する。
すなわち、シート10は2つのシート部2及び3の輪郭が揃うように合わせられた重ね構造50を有する。重ね構造50において、シート部2及び3は、それぞれの肌当接面2S及び3Sを内側にして対向させ、肌当接面2S及び3S同士を接触した状態にしている。
対向されたシート部2、3は、左右対称の形状を有し、後述の製造工程によって得られる衛生マスクにおいて使用者の顔の左側及び右側のそれぞれに当てられる部分を含む。対向されたシート部2及び3を、以下、左側シート部2及び右側シート部3と称して説明する。
前述のシート10の肌当接面10Sは、左側シート部2及び右側シート部3の肌当接面2S及び3Sの両方を含めた総称であり、重ね構造50における内側面となる。シート部材2及び3の肌当接面2S及び3Sそれぞれの反対側の面2T及び3Tが、シート10の外表面10Tであり、重ね構造50における外表面をなしている。
左側シート部2及び右側シート部3それぞれの肌当接面2S及び3Sを内側にして対向させる形態として、1枚のシートを折り畳んで対向させた形態であってもよく、2枚のシートを重ねて対向させた形態であってもよい。図1の例においては、1枚のシートを折り畳んで対向させた形態を示している。また、図1の例においては、左側シート部2を下側に、右側シート部3を上側に向けた配置状態として示しているが、上下を逆にした配置にしてもよい。
仮止め部1は、例えば図1に示すように、重ね構造50にされたシート10における両外表面10T、10Tの一部分に対して、厚み方向全体に亘って接合してなる部分である。
仮止め部1は、重ね構造50において対向する左側シート部2と右側シート部3とを、例えば両外表面10T、10Tからプレスロール等にて所定圧力を掛けて互いの繊維を絡ませる、あるいは、融着などの手段にて接着状態とすることで形成される。融着には種々の手段を用いて行うことができ、エンボスロールを用いた摩擦熱による融着であってもよく、本実施形態の衛生マスク用シート10から衛生マスクの外形を切り抜く際の押切面(衛生マスクの外縁)における融着であってもよい。また押切時の剪断変形によるアンカー効果であってもよく、これらが組み合わさって押切面での接着がなされてもよい。
仮止め部1における「仮止め」とは、上記の内側面同士の接触状態を衛生マスクの未使用の時から使用前までの間において保持することを意味する。そのため、仮止め部1は、衛生マスク用シート10から得られる衛生マスクを手に持っただけでは内面同士の接触状態が解かれない程度の接着強度であって、衛生マスクの通常の装着操作の中で前記接触状態を難なく解くことができる程度の接着強度を有する部分をいう。
仮止め部1の接着強度は下記に示す引張荷重の最大荷重によって示される。引張荷重の最大荷重とは、2つの部材が互いに接着手段(固着手段)にて互いに固定されている状態の強度の指標である。
仮止め部は、上記に定義する部分として、引張荷重の最大荷重が0.5(N/30mm)以上10(N/30mm)以下である部分である。
前記仮止め部の引張荷重の最大荷重は、未使用時の意図せぬ操作により開くことを防ぎやすくする観点から、1(N/30mm)以上が好ましく、1.5(N/30mm)以上がより好ましい。
また、前記仮止め部の引張荷重の最大荷重は、マスク掴んで開きやすくする観点から、5(N/30mm)以下が好ましく、3(N/30mm)以下がより好ましい。
(仮止め部の引張荷重の最大荷重の測定方法)
引張荷重の最大荷重は引張試験機を用いて測定することができる。
引張荷重の最大荷重は、引張試験において試験片が破断した時の荷重又は不織布の接合部が剥離した際の荷重である。
上記の引張試験機は、株式会社島津製作所製、引張試験機AUTOGRAPH AG-X plus ロードセル100N(商品名)を用いることができる。
仮止め部又は接合部をシート幅30mmとし、シートの長手方向に上下10mmずつ試験機に挟み、引っ張り速度100mm/minにて引張試験を行う。引張試験に伴い得られた荷重の情報から引っ張り強度の最大荷重を求めることができる。
図2に示す実施形態の衛生マスク用シート10の重ね構造50は、一方の外表面10Tからの平面視において長手方向Xとこれに直交する短手方向Yとを有する。長手方向Xは、衛生マスクの製造工程における機械流れ方向に相当し、短手方向Yは機械流れ方向に直交する幅方向に相当する。また、長手方向Xは、衛生マスクが複数並んで形成される方向となる。
重ね構造50には、一方の外表面10Tからの平面視において、衛生マスクとなる領域4が含まれている(以下、この領域を衛生マスク予定領域4という)。衛生マスク予定領域4は、左側シート部2及び右側シート部3(図1参照)を併せて切り抜き、衛生マスクとする部分である。
図2に示す例において、衛生マスク予定領域4は、人の顔を覆うマスク本体とマスク本体の装着状態を固定する耳掛け部とを一体に切り抜く予定領域として示されている。具体的には、衛生マスク予定領域4は、マスク本体予定領域41と耳掛け部予定領域42とを有する。
衛生マスク予定領域4は外縁4Eと外縁4Eよりも内側の領域4Kとを有する。外縁4Eには、マスク本体予定領域41の外縁41Eと耳掛け部予定領域42の外縁42Eとが含まれる。内側の領域4Kには、マスク本体予定領域41の内側の領域41Kと耳掛け部予定領域42の内側の領域42Kとが含まれる。
なお、本明細書において衛生マスク用シートとは、図2に示すように衛生マスク予定領域を含む長尺のシートのみならず、衛生マスクのマスク本体やマスク本体と耳掛け部とを含むマスクとして成形された物品を含む概念である。マスク本体やマスクとして成形された物品の場合、「衛生マスクとなる領域の外縁」が意味するものは、その物品自体の外縁を指す。
本実施形態の衛生マスク用シート10は、重ね構造50における衛生マスク予定領域4に、前述の仮止め部1を備えている。
より具体的には、仮止め部1は、衛生マスク予定領域4の外縁4E又は外縁4Eより内方の領域4Kに配される。すなわち、仮止め部1は、マスク本体予定領域41の外縁41E、耳掛け部予定領域42の外縁42E、マスク本体予定領域41の内側の領域41K、耳掛け部予定領域42の内側の領域42Kの少なくともいずれかに配される。
図2に示す例においては、マスク本体予定領域41の外縁41Eに掛からない、これよりも内側の領域41Kに配されている。
仮止め部1の位置、大きさ、形状及び数は、図2示すものに限定されることなく本発明の効果を阻害しない範囲で種々取り得る。例えば、耳掛け部予定領域42に仮止め部1が配されていてもよい。なお、仮止め部1に関する具体例については、後述の衛生マスクの説明の中で詳述する。
このような衛生マスク用シート10の重ね構造50を用いて、例えば図3(A)~(C)に示すような工程で衛生マスク5を製造することができる。これにより製造される衛生マスク5は、マスク本体51と耳掛け部52との間に継ぎ目がない一体型のもので、左右対称に折り畳み可能にされたものである。なお図3(A)~(C)においては、シート10の重ね構造50が認識できるよう左側シート部2と右側シート部3とを若干離間させて示しているが、実際は離間することなく積層される。また同製造方法において、左側シート部2と右側シート部3とは、別々のシートとする場合に限らず、1枚のシートを折り畳んで対向させた場合であってもよい。
まず図3(A)に示すように、重ね構造50に対して衛生マスクの接合部5Mを形成する。接合部5Mは、仮止め部1を含む衛生マスク予定領域4において、製造される衛生マスクのマスク本体の左右中心に位置し、該衛生マスクが着用者の鼻、口及び顎を結ぶ領域に当接する部分に相当する。図3(A)に示す工程においては、接合部5Mは、シート10の重ね構造50の短手方向Yに向かう方向に向けて弧状に形成されることが好ましい。
次に図3(B)に示すように、接合部5Mよりも長手方向Xの後方に向かって、マスク本体51及び耳掛け部52の外形を切り抜く。その際、耳掛け部52では更に、耳を通すための開孔部53を開ける。これにより図3(C)に示す、仮止め部1を含む衛生マスク5が製造される。
図3(C)に示す衛生マスク5は、接合部5Mの位置で2つ折りに折り畳まれた状態にされている。折り畳まれた状態において、仮止め部1が、衛生マスク5の内側面(肌当接面)同士を接触した状態に仮固定している。
本実施形態の衛生マスク用シート10は、図2に示す、マスク本体予定領域41と耳掛け部予定領域42を一体にした衛生マスク予定領域4を有する形態に限らない。
例えば、図4に示すように、マスク本体予定領域41のみを有する形態であってもよい。この場合、仮止め部1は、マスク本体予定領域41の外縁41E、マスク本体予定領域41の内側の領域41Kの少なくともいずれか1つに配される。
図4に示す形態では、前述の製造工程を経て、2つ折りに折り畳まれたマスク本体51のみが形成される(図5参照)。マスク本体51は、別部材の耳掛け部を結合する前の衛生マスクの素材であり、本実施形態の衛生マスク用シート10の1例に含まれる。マスク本体51において、内側の領域51Kの仮止め部1の他、外縁51Eに上記製造工程に伴う融着が生じている場合は、この外縁51Eにも別の仮止め部が配される。
このように衛生マスク用シート10は、仮止め部1によって肌当接面である内側面同士を外部に表出させない形態を保持する。この衛生マスク用シート10から得られた衛生マスク5は、折り畳み状態が意図せず開くことを防止でき、衛生マスクの使用時まで衛生的な状態に保つことを可能にする。またこのことから、他部材や他の構成、例えばフィルムを用いて肌対向面を被覆することなどを必要としない。そして、この仮止め部1が仮固定であることから、衛生マスクの使用時の操作性を阻害しない。
仮止め部1は、衛生マスクの装着時の操作性を保持する観点から、衛生マスク用シート10における衛生マスク予定領域4の外縁4Eよりも内方の領域4Kに配されることが好ましい。仮止め部1が衛生マスク予定領域4の外縁4Eよりも内方の領域4Kに配されることで、仮止め部1を解いて開く際の手掛けを外縁4Eにて形成できる。すなわち、左側シート部及び右側シート部の内側面同士の密着状態に対して引き剥がす起点を設け、開けやすさをより高めることができる。
特に、衛生マスク予定領域4の外縁4Eよりも内方の領域4Kは、外縁4Eから0.5mm以上内側に入った領域が好ましく、1mm以上内側に入った領域がより好ましい。
また、衛生マスク予定領域4の外縁4Eよりも内方の領域4Kは、外縁4Eから30mm以内の範囲で内側に入った領域が好ましく、25mm以内の範囲で内側に入った領域がより好ましい。
これにより、肌当接面である内側面に肌が触れる面積を限りなく小さくして、衛生マスクの外縁に僅かに爪の先端が入り得る程度の隙間を確保することができる。その結果、衛生マスクの肌当接面の衛生的な状態を保ちながら、前述の僅かな隙間を起点にして衛生マスクの肌当接面である内側面をより円滑に開けやすくすることがきる。
仮止め部1は、対向面の全面に設けられるのではなく、点状あるいは線状など対向面に対して小面積で構成されることが好ましい。仮止め部1は、単数でもよく複数で構成されてもよい。
仮止め部1の面積は、本実施形態の衛生マスク用シート10における重ね構造50に対する平面視において、衛生マスク予定領域4に対して、2.5%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。これにより、衛生マスクにおける衛生的な状態をより効果的に保持することができる。
また、仮止め部1の面積は、平面視において、衛生マスク予定領域4に対して、45%以下が好ましく、35%以下がより好ましい。これにより、衛生マスクの使用時の操作性を阻害せずに、衛生マスクの肌当接面である内側面をより円滑に開けやすくすることがきる。なお、前記記載の仮止め部1の面積とは点状や線状等の仮止め部によって囲まれる衛生マスク予定領域の面積を指す。上記の仮止め部1によって囲まれる領域内には更に仮止め部1が配されていてもよい。
また、図5に示すマスク本体51において、内側の領域51Kに配される仮止め部1は、外縁51Eから上記の範囲で内側に入った領域にあることが好ましく、上記の面積割合を有することが好ましい。
本実施形態の衛生マスク用シート10は、衛生マスクを形成するために必要な接合部を有することが好ましい。例えば、本実施形態の衛生マスク用シート10は複数枚が接合部を介して接合されて構成されていることが好ましい。複数枚としては、例えば前述の左側シート部2及び右側シート部3が挙げられ、これらが前述の接合部5Mを介して接合される(図3(A)参照)。
また、前記「複数枚が接合部を介して接合された構成」は、前述のマスク本体51と耳掛け部52となる原料を別々のシートで構成し、これらの複数枚を、接合部を介して接合している場合も含まれる(図示せず)。この場合の接合部は、マスク本体と耳掛け部との接続部分に配される(図示せず)。
上記の複数枚は、別々のシートからなる場合だけでなく、1枚のシートを折り畳んだものからなる場合も含む意味である。
上記の接合部は、衛生マスクとしての形状を保持するために必要とするものであり、衛生マスクの使用時においても剥離し得ない接合強度を有する。このような接合部は、熱融着や高周波溶着あるいは縫合など種々の手段によって形成することができる。
本実施形態の衛生マスク用シート10が上記のような接合部を有する場合、該接合部の引張荷重の最大荷重は、前述の仮止め部の引張荷重の最大荷重よりも大きくされていることが好ましい。これにより、得られた衛生マスク5において、マスク本体51及び耳掛け部52の折り畳みを左右に開く際に、衛生マスク5の形状を崩すことなく仮止め部1を難なく引き剥し、装着状態へとスムースに移行できる。
この引張荷重の最大荷重は前述の方法により測定することがでる。
前記接合部の引張荷重の最大荷重(G1)の仮止め部1の引張荷重の最大荷重(G2)に対する比(G1/G2)は、接合部と仮止め部の区別が容易となる観点から、1.25以上が好ましく、5以上がより好ましい。
また、前記接合部の引張荷重の最大荷重(G1)の仮止め部1の引張荷重の最大荷重(G2)に対する比(G1/G2)は、接合部の強度を十分に保ちつつ、仮止め部も強度も得る観点から、80以下が好ましく、50以下がより好ましい。
次に、本実施形態の好ましいシート構成について説明する。
なお、本実施形態の衛生マスク用シート10を用いた衛生マスクの好ましい形態については、衛生マスク用シート10の好ましいシート構成について説明した後に、詳述する。
本発明の衛生マスク用シートは、衛生マスクの肌触りと、衛生マスク本来の空気中の微粒子等に対する捕集性とを確保する観点も加味して、繊維のネットワーク構造を備えた繊維シート若しくはポリウレタン材料を用いた多孔シート、又はこれらの組み合わせを有することが好ましい。本発明の衛生マスク用シートは単層からなってもよく、複数層からなってもよい。
前記繊維シートにおける繊維のネットワーク構造は、繊維同士の絡合若しくは接合又はこれらの組み合わせにより形成され、これによりシートとしての形状が維持される。このような繊維シートは、粒子の通過経路を複雑化して前述の濾過のための空気の微粒子等に対する捕集率を向上させることができる。本発明の衛生マスク用シートにおける空気の濾過作用は、シートを構成する繊維によって画成される空間を空気が通過するときに、空気中の異物の通過を阻止することによって発現する。該繊維シートとして典型的にはシート状の不織布が挙げられる。
繊維シートとしては、衛生マスクにおいて通常用い得る種々のものを採用でき、例えば不織布が挙げられる。
不織布として、本発明の衛生マスク用シートの前述の特性を損なわない限り、種々のものを用いることができる。例えば、メルトブローン不織布、エレクトロスピニング不織布、スパンボンド法により得られた不織布(スパンボンド不織布)、エアスルー法に製造された不織布(エアスルー不織布)、スパンレース法により製造された不織布(スパンレース不織布)、若しくはニードルパンチ法により製造された不織布(ニードルパンチ不織布)、又はこれらの不織布のうちの2種以上の不織布の積層体、若しくはこれらの不織布とそれ以外の不織布やその他の材料との積層体などが挙げられる。その中でもスパンボンド不織布やニードルパンチ不織布等が好ましい。これらスパンボンド不織布やニードルパンチ不織布は、他の種類の不織布よりも強度が高く、本発明の衛生マスク用シートの強度を高める保護材として特に好ましい。また、前記不織布は、後述のように弾性体を含むものであってもよい。
これらの不織布を構成する樹脂は、繊維形成能を有するものである限りその種類に特に制限はない。例えばポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂を用いることができる。また、仮止め部を形成する観点、衛生マスクの接合部5Mを形成する観点から、熱可塑性繊維を含むことが好ましい。
特に、本発明の衛生マスク用シートは、平均繊維径が3000nm以下の細密繊維層Aを含むことが好ましい。これにより本発明の衛生マスク用シートは、前述の捕集性が極めて高くなるだけでなく、柔軟性が増して、衛生マスクにおける肌へのフィット性を向上させることができる。また、このような柔軟性により衛生マスク用シート10の折り畳みが開きやすくなるため、前述の仮止め部1による仮固定が有効に作用して、折り畳みによる肌当接面の衛生的な状態を保持することができるという本発明の効果がより顕著に得られる。一方で、仮止め部1の仮固定状態を解いたときには、上記の柔軟性による折り畳みの開きやすさにより、衛生マスク用シート10を用いた衛生マスク5の装着操作が円滑に行われやすくなる。これにより、衛生マスク5は装着時に肌当接面と指等との意図しない接触機会を低減することができ、衛生状態を保持したまま口等に当てて安全に装着することができる。また、仮止め部が外縁より内側にある場合に、仮止め部の外側部分が捲れていると、更に開きやすさと衛生保持の両立ができ、好ましい。
この観点から、細密繊維層Aの平均繊維径は2000nm以下がより好ましく、1000nm以下がより好ましい。
また、細密繊維層Aの平均繊維径は、細密繊維層Aの強度を向上し、フィルタ層の傷みを防ぎ、フィルタ性能を維持する観点から、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、200nm以上が更に好ましい。
更に、細密繊維層Aは、密度が0.05g/cm以上であることが好ましく、0.1g/cm以上であることがより好ましく、0.15g/cm以上であることが更に好ましい。
また、細密繊維層Aの密度は、密度低減により細密繊維層を超えて仮止めシールを施す観点から、0.6g/cm以下であることが好ましく、0.55g/cm以下であることがより好ましく、0.5g/cm以下であることが更に好ましい。
(細密繊維層Aの平均繊維径)
細密繊維層Aの平均繊維径は、繊維長さ方向に直交する繊維断面における最大差し渡し長さを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができる。具体的な手順は以下のとおりである。
衛生マスク用シートを丁寧に剥がして何層の構成になっているかを確認した上で、繊維径が最も細い層(濾過材として機能する層)を測定対象の繊維層とする。SEM観察による二次元画像から、繊維の塊、繊維どうしの交差部分、ポリマー液滴といった欠陥を除いた繊維を任意に500本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引いたときの長さを繊維径として直接読み取る。測定した繊維径の頻度分布(ヒストグラム)から累積頻度が全体の50%となるメジアン繊維径を求め、これを、測定対象の繊維層を構成する繊維の平均繊維径とする。
(細密繊維層Aの密度の測定方法)
細密繊維層Aの密度は、以下の方法で測定することができる。具体的には、衛生マスク用シートを外力のかからない自然状態に静置し、フェザー安全剃刀株式会社製の片刃(品番FAS-10)を使用して衛生マスク用シートを切断し、衛生マスク用シートの断面を形成する。
続いて、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡(型番JCM-5100)、並びにマイクロスコープ等を使用して、切り出した断面を拡大観察する。拡大観察した断面を画像データや印刷物とし、無荷重での細密繊維層Aの厚みを測定する。衛生マスク用シートの表面に不可避的に存在している毛羽立った繊維は、測定対象から除外する。衛生マスク用シートの厚みは、上述の方法によって拡大観察した画像における厚みの平均値とする。なお、細密繊維層Aが後述する図3~8等に示すように凹凸構造を有する場合、上記の「細密繊維層Aの厚み」は、凹凸の起伏高さ(細密繊維層Aの両間の厚み方向の見かけ厚み)ではなく、凹凸の起伏に沿う繊維層自体の厚みを意味する。
その後、自然状態に静置した不織構造体を所定の面積(例えば2cm×2cm)となるように切断して、細密繊維層A以外の繊維層を除去し、細密繊維層Aの質量と表面積を計測し、質量を面積で除することで坪量を算出する。その後、坪量を厚みで除して、密度を算出する。なお、細密繊維層Aが凹凸構造を有する場合、上記の切断する「所定の面積」は、凹凸の起伏に沿った面積(又は凹凸をフラットに伸ばした状態での面積)を意味する。また、細密繊維層Aの「表面積」は、後述の(S0に対するS1の比の測定方法)に記載の方法で測定される凹凸の表面積S1を意味する。
また、本実施形態の衛生マスク用シート10の坪量は、重ね構造50を解いた状態として、すなわち前述の左側シート部2及び右側シート部3それぞれについて、左右のシートの重量により、意図せず自然にマスク用シートが開くことを防止する観点から、55g/m以下が好ましく、50g/m以下がより好ましく、45g/m以下が更に好ましい。
本実施形態の衛生マスク用シート10の坪量は、前述の左側シート部2及び右側シート部3それぞれについて、仮止め部の強度を確保する観点から、5g/m以上が好ましく、10g/m以上がより好ましく、15g/m以上が更に好ましい。
(坪量の測定方法)
測定対象の衛生マスク用シートを20mm四方となるように裁断し、その質量(g)を測定し、該質量を裁断したシートの面積(400mm=0.0004m)で除することにより算出する。
本実施形態の衛生マスク用シート10は、重ね構造50を解いた状態として、すなわち前述の左側シート部2及び右側シート部3それぞれについて、図6に示すような伸縮性シート96と、肌当接面をなす非伸縮性シート8とが積層されたシートであることが好ましい。このようなシートを左側シート部2及び右側シート部3として前述の重ね構造50を形成することが好ましい。
ここで言う「伸縮性」は、100の長さのシートを、力を一方向に加えて150の長さまで伸長させた後に、力を除することで100以上110以下の長さまで収縮する性質を言う。「非伸縮性」は、150の長さまで伸長させることができないか、伸長できても力を除したときに100以上110以下の長さまで収縮しない性質を言い、「非伸縮性」ともいう。伸縮性シート96と非伸縮性シート8の「伸縮性」の測定においては、衛生マスク用シートを、外力のかからない自然状態に静置し、フェザー安全剃刀株式会社製の片刃(品番FAS-10)を使用して20mm×50mmに切断する。その後、伸縮性シート96と非伸縮性シート8の界面における接合部を、剃刀、カッター、ハサミ等を用いて切断して伸縮性シート96と非伸縮性シート8を分離し、各々の切断片の長手方向に伸長させ「伸縮性」を評価することができる。
衛生マスク用シート10が伸縮性シート96と非伸縮性シート8とを積層したものであることで、伸縮性シート96側の面に相対的に高い収縮力が加わる。この収縮に伴い、衛生マスク用シート10の重ね構造50は、肌当接面である非伸縮性シート8の側が外表面10T側へと開いて表出しやすい性質を備える。この性質に対し、仮止め部の意義が大きくなる。
すなわち、衛生マスク用シート10が上記の2シートの積層からなる場合、仮止め部1によって内側面、すなわち肌当接面を意図しない表出を確実に抑制することができる。一方で仮止め部1の接合を解く際には、上記の性質により重ね構造50が迅速に開きやすい。この作用は、衛生マスク5の装着操作を円滑に行うことを可能にし、肌当接面側と襟袖や指との接触機会を更に低減することができる。このように衛生マスク用シート10は相反する性質を同時に備えて、衛生マスクの衛生状態の保持性を更に高めることができる。また上記の伸縮性により、衛生マスクにおける肌へのフィット性が向上する。
本発明の衛生マスク用シートにおいて、仮止めによる封止の効果を実感させ易くする観点から、少なくとも長手方向Xに上記の伸縮性があることが好ましい。また、長手方向X及び短手方向Yに上記の伸縮性があることがより好ましく、これらを含む多方向に上記の伸縮性があることが更に好ましい。
伸縮性シート96としては、例えば伸縮性繊維からなる不織布、伸縮性繊維と非伸縮性繊維とからなる不織布、非伸縮性の不織布と弾性体(例えば弾性フィラメント)との複合不織布などが挙げられる。
非伸縮性シート8としては、例えば、非伸縮性繊維からなる不織布が挙げられる。
伸縮性シート96としては、好ましくは弾性フィラメントを含む不織布であり、とりわけ好ましくは非伸縮性の不織布と弾性体(例えば弾性フィラメント)との複合不織布である。伸縮性繊維と非伸縮性繊維が混綿された不織布でもよい。いずれの場合も、後述する延伸処理を施すことが好ましい。
特に伸縮性シート96は、図7に示すような一対の非伸縮性の不織布94、94が弾性フィラメント95の融着により接合された複合不織布からなることが好ましい。
弾性フィラメント95は、実質的に非伸長状態で、非弾性繊維を含む不織布94、94に接合されていることが好ましい。また、複数の弾性フィラメント95が一対の不織布94、94に接合されていることが好ましい。
複数の弾性フィラメント95は、互いに交差せずに長手方向Xに延びるように配列していることが好ましく、こうすることにより伸縮性シート96は長手方向Xに伸縮可能になる。また、これにより伸縮性シート96を備えた衛生マスク用シート10は、弾性フィラメント95が延出する方向に伸長させたときに、該方向に直交する幅が縮む幅縮みが生じにくい利点がある。
各弾性フィラメント95は、互いに交差しない限り、直線状に延びていてもよく、あるいは蛇行しながら延びていてもよい。また、複数の弾性フィラメント95は、長手方向Xと直交する短手方向Yに間隔をあけて配置されていることが好ましい。
このような伸縮性シート96は、典型的には、特開2008-179128号公報の段落[0055]~[0085]に記載の方法により製造することができる。具体的には、非伸縮性の一対の不織布94、94に、溶融状態にある弾性フィラメント95を非伸長状態で接合して非伸長状態の複合材を作製する。該複合材を、互いに噛み合い可能な状態で対向配置された一対の歯溝ロール間に通過させることによって伸縮性を発現させる延伸処理を行って、伸縮性シート96が得られる。
また、本実施形態の衛生マスク用シート10は、肌当接面10Sに、自然状態において厚み方向外方に突出する複数の凸部61と、複数の凸部61に挟まれた凹部62とを有することが好ましい。この凹凸構造により、肌当接面10Sに伸長し得る余地ができ、衛生マスクにおける肌へのフィット性を向上させることができる。伸長力により、衛生マスク用シート10の折り畳み状態が開きやすくなるものの、前述の仮止め部1により仮固定状態を保持して、肌当接面側の衛生的な状態を保持することができる。一方で仮固定状態を解いたときに、上記の伸長し得る余地によって折り畳み状態から開きやすく、前述のとおり衛生マスクの装着操作性が高くなる。これにより、衛生マスクは、衛生状態を保ったまま口等に当てて安全に装着することができる。
凸部61及び凹部62の平面配置のパターンは、前述のフィット性及び装着操作性を阻害しない範囲で種々設定できる。例えば、凸部61及び凹部62が共に連続的に一方向に延出し、凸部61及び凹部62が共に該一方向と交差する他の方向に交互に配された畝溝構造の凹凸パターンが挙げられる。
また、凸部1が肌当接面10Sにおいて平面方向に散点状に配置したパターンが挙げられる。この散点状の配置パターンにおいても、凸部61は、前記一方向において規則的に離間配置、すなわち凸部61と凹部62とが前記一方向において交互に規則的に配置された列を形成していることが好ましい。これにより、凸部61は間欠的に前記一方向に延出した状態で配置されることとなる。
上記の一方向と交差する他の方向とは、任意に決めることができ、互いに直交する方向であることが好ましい。また、一方向と交差する他の方向とは、シート10の短手方向Xと長手方向Yであることが好ましい。更に、前記一方向が、衛生マスクにおける着用者の鼻、口及び顎を繋ぐ正中線に沿う方向に向けられ、交差する他の方向が衛生マスクにおける着用者の口から耳へと向かう方向に向けられることが好ましい。
前記他の方向がシート10の長手方向Yで、衛生マスク5における着用者の口から耳へと向かう方向に向けられる場合、凸部61及び凹部62が交互配置される方向も同方向に向けられる。
更に上記の凸部61及び凹部62が配された肌当接面10Sの反対側にも、凸部63及び凹部64が配されることが、より柔軟性を高める観点から好ましい。外表面10T側における凸部63及び凹部64は、種々の配置パターンをとることができる。例えば、反対側の凸部63が肌当接面10Sの凹部62に対応した表裏の関係にされ、反対側の凹部64が肌当接面10Sの凸部61に対応した表裏の関係にされる配置パターンが挙げられる。これにより凸部61及び凸部63が中空となり、より柔軟に変形しやすくなり、前述のフィット性及び装着操作性がより高まり好ましい。
特に、本実施形態の衛生マスク用シート10は、図8(A)に示すように、前述の非伸縮性シート8が凹凸シートであることが好ましい。該凹凸シートは、肌当接面10Sに凸部61及び凹部62が短手方向Yに連続的に延出し、長手方向Xに交互に配置された凹凸構造を有することが好ましい。該凹凸シートは、外表面10T側にも同様に凸部63及び凹部64が短手方向Yに連続的に延出し、長手方向Xに交互に配置されていることが好ましい。このような畝溝状の凹凸シートが肌当接面10S側にあることが好ましい。これにより、衛生マスク用シート10は長手方向Xに伸縮し得る余地が更に高まり、衛生マスクにおける伸縮性を高め、衛生マスクにおける肌へのフィット性が向上する。
更に、本実施形態の衛生マスク用シート10は、重ね構造50を解いた状態として、すなわち前述の左側シート部2及び右側シート部3それぞれについて、図8(A)に示すように、前述の非伸縮性シート8を前述の凹凸シートとし、伸縮性シート96との積層体とすることが好ましい。凹凸の非伸縮性シート8を前述の肌当接面10Sに配し、伸縮性シート96を外表面10Tに配することが好ましい。
このような構造において、本実施形態の衛生マスク用シート10は、図8(B)に示すように、外表面10T側の伸縮性シート96が収縮する。これに伴って、肌当接面10Sの非伸縮性シート8の凹凸構造が平らになろうと伸長して外表面10Tの側に反り返るような動きをとる。
その結果、図8(A)の構造を備えた本実施形態の衛生マスク用シート10は、図1に示す重ね構造50において、肌当接面である非伸縮性シート8の側が外表面10T側へと開いて表出しやすい性質がより強められる。そのため、この実施形態のシートに対して仮止め部を採用することで、本発明の衛生マスクの折り畳み状態が意図せず開くことを防止でき、衛生マスクの装着時まで衛生的な状態を保持するとの効果が一層顕著に得られる。
本実施形態の衛生マスク用シート10が図8(A)に示すような構造を有する場合、この種の物品において通常用いられる種々の方法により製造することができる。
特に、次のような製造方法により得ることが好ましい。
すなわち、図9(A)~(C)に示すように、伸縮性シート96をその伸縮方向に沿って伸長させた状態で、凹凸賦形されていない非伸縮性シート8の原反シート800を積層する。この状態で同時に、原反シート800の凹部62の底部となる部分802とその位置の伸縮性シート96とをポイント接合する。その後、伸縮性シート96の伸長を解いて収縮させる。これに伴い原反シート800が凹凸状に変形して、凹部62で伸縮性シート96に部分接合された凹凸の非伸縮性シート8が形成される。この製造方法は、原反シート800の構成材料として細密繊維層Aを用いていても、その破損を防ぎながらの凹凸賦形を可能にする。
本実施形態の衛生マスク用シート10が図8(A)に示すような構造を有し、前述の肌当接面10Sを内方にして2層に折り畳まれた又は2枚が重ねられた重ね構造50(図2参照)においては、図10に示すように配置されることが好ましい。
すなわち、衛生マスク用シート10の肌当接面10Sを内方に向けた状態で、内方において向かい合う非伸縮性シート8、8の凸部61、61同士が対向配置されていることが好ましい。これにより、凸部同士が重ね構造50にクッション性を与える。これにより端部が掴みやすくなり、仮止め部1による仮固定状態を解いた際に衛生マスク5が開きやすく、装着操作性が向上する。
なお、図10において、凹凸の非伸縮性シート8は2層有するものとして示したが、これに限定されず、1層であってもよく、3層以上有するものであってもよい。
凹凸の非伸縮性シート8が何層有するものであっても、少なくとも1層は前述の細密繊維層Aを含むことが好ましい。これにより、層構成によりフィット性や装着操作性に変化を与えつつも、微粒子等の捕集性を維持することができる。
また、図10に示すように凹凸の非伸縮性シート8は2層有する場合、細密繊維層Aとこの細密繊維層Aを保護する保護層81とからなることが好ましい。これにより、保護層81が最外層となり、衛生マスクにおける肌当接層として、細密繊維層Aへの外力の直接的な印加が防護され、破損等で性能が低下することを抑制できる。保護層81としては、肌触りがよく耐久性に優れる素材のものを特に制限なく採用できる。例えば、スパンボンド不織布やニードルパンチ不織布等が好ましく用いられる。
衛生マスク用シート10において、肌当接面10Sにおける凸部61の高さは自然状態において次のようにすることが好ましい。ここで言う「凸部61の高さ」とは、衛生マスク用シート10の外表面10Tを下にして水平面に静置してその側面を見たときに、図11(A)に示すように、凸部61の頂部と、該凸部61に隣接する凹部62の底部における肌当接面10S側の表面との間の厚み方向における高低差Eを意味する。このときの厚み方向は、衛生マスク用シート10を静置した前記水平面に対する鉛直方向を意味する。
肌当接面10Sにおける凸部61の高さは自然状態において、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上が更に好ましい。このような高低差は、通常のエンボスによるものよりも遥かに大きなものとなる。これにより、凸部61における衛生マスク用シート10のクッション性が高まり、柔らかい肌触りを更に向上させることができる。
また、肌当接面10Sにおける凸部61の高さは自然状態において、4mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3mm以下が更に好ましい。これにより、凸部61の形状安定性が高まる。その結果、衛生マスク用シート10の繰り返しの使用や長時間の使用においても、前述の粒子等に対する高い捕集性と柔らかい肌触りとの両立をより長く持続させることができる。
(凸部61の頂部と、該凸部61に隣接する凹部62の底部における肌当接面10S側の表面との間の厚み方向における高低差Eの測定方法)
前述の高低差Eは次の方法で測定することができる。
まず、図11(A)に示すとおり、衛生マスク用シート10の表裏面間の厚みとしてT1を測定する。これは、衛生マスク用シート10の外表面10Tを水平面に静置した際の水平面の位置から凸部61の頂部までの鉛直方向の高さを言う。したがって、T1は、凹凸の非伸縮性シート8及び伸縮性シート96全体の鉛直方向の厚みである。
次に凹部62の底部における肌当接面10S側の表面の高さとしてT2を測定する。これは、前述の水平面の位置から凹部62の底部における肌当接面10S側の表面までの鉛直方向の高さを言う。
上記の測定を基に、高低差EはT1-T2で算出できる。
具体的な測定方法としては、衛生マスク用シート10の厚み方向断面をマイクロスコープで拡大撮像し、画像処理から高低差E、換言すれば中空空間の高さEを直接測定すればよい。又は、レーザー変位計を衛生マスク用シート10の肌当接面10S側から走査させてT1,T2を測定し、高低差Eを算出してもよい。なお、凹凸の非伸縮性シート8が細密繊維層Aのみからなる場合、細密繊維層Aと保護シート81とからなる場合(図10参照)のいずれでも、高低差Eの定義は変わらないので、同様の方法で測定すればよい。
衛生マスク用シート10の表裏面間の厚み(T1)は、表裏に備わる仮止めシール同士が接触を防ぎ易くなる観点から、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上が更に好ましい。
また、衛生マスク用シート10の表裏面間の厚み(T1)は、仮止めによりマスクを閉じる状態を維持し易くする観点から、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、4mm以下が更に好ましい。
更に衛生マスク用シート10の自然状態において、凹凸の非伸縮性シート8が配された肌当接面10S側の平面視において、隣接する凸部61の中心間距離、つまり凸部61のピッチは、6mm以下にすることが好ましく、5mm以下することがより好ましく、4mm以下にすることが更に好ましい。これにより、衛生マスク用シート10は、凹凸により構成される表面積を効率的に大きくして、仮止め部の効果を高めることができる。
また、衛生マスク用シート10の自然状態での平面視において、隣接する凸部61の中心間距離を1mm以上に設定することが好ましく、1.5mm以上に設定することが更に好ましく、2mm以上に設定することが一層好ましい。これにより、凸部61の形状安定性が高まる。その結果、衛生マスク用シート10の繰り返しの使用や長時間の使用においても、前述の粒子等に対する高い捕集性と柔らかい肌触りとの両立をより長く持続させることができる。
また、衛生マスク用シート10の自然状態において、凹凸の非伸縮性シート8が配された肌当接面10S側からの平面視した際の面積に関し、次のようにすることが好ましい。
まず、衛生マスク用シート10の肌当接面10S側を平面投影視したときの単位面積をS0とし、当該単位面積S0における凹凸の表面積をS1とする。このとき、凹凸の非伸縮性シート8の肌当接面10Sが凹凸構造を有することに起因して、S1の値はS0の値よりも大きくすることが好ましい。つまり、衛生マスク用シート10の肌当接面10S側が凹凸構造を有することで、衛生マスク用シート10の肌当接面10S側が凹凸構造を有さない場合に比べて空気が通過する有効面積が増加する。有効面積が増加することでシート10の通気抵抗の上昇を効果的に抑制できる。加えて、前述の粒子等に対する濾過実行面積が増加し、前述の捕集率を高めやすくする。
この観点から、衛生マスク用シート10の自然状態において、平面投影視での単位面積S0当たりの凹凸の表面積S1の比率(S1/S0)を1超とすることが好ましく、1.3以上とすることが更に好ましく、1.5以上とすることが一層好ましい。
また、凸部61の形態安定性の観点から、衛生マスク用シート10の自然状態において、平面投影視での単位面積S0当たりの凹凸の表面積S1の比率を3以下とすることが好ましく、2.8以下とすることが更に好ましく、2.5以下とすることが一層好ましい。
(S0に対するS1の比の測定方法)
衛生マスク用シート10を構成する凹凸構造を有する非伸縮性シート8を自然状態にして、任意の面積S0’(例えば、10cm×10cm=100cm)に切り出す。切り出した凹凸シート8を皺なく平坦な状態にしたときの面積S1’を測定し、以下の式からS0に対するS1の比率を算出する。
S1/S0=S1’/S0’
ただし、凹凸構造を有する非伸縮性シート8が後述するように他のシートと接合されている場合、その接合状態によっては、層間剥離する際に凹凸の非伸縮性シート8が塑性変形を生じてしまう場合がある。そのような場合は、例えば図11(A)に示すような凹凸の非伸縮性シート8と伸縮性シート96とが離間している凸部61において、伸縮性シート96をカッター等で切断し(上向き矢印の位置)、伸縮性シート96を個々の独立した小片に分割すればよい。こうすることで、凹凸の非伸縮性シート8を平坦な状態に広げることが可能となるので(図11(B))、前記S1’が測定可能となる。なお、凹凸の非伸縮性シート8が、前述するように細密繊維層Aと保護シート81との積層体である場合は、これらを一体のもとして、上記と同様の方法で測定すればよい。
次に、本実施形態の衛生マスク用シート10を用いた衛生マスクの好ましい実施形態について説明する。
まず、マスク本体51が、上述のような構成の衛生マスク用シート10を用いて構成された衛生マスクが挙げられる。この場合、耳掛け部52は下記に示す形態のように衛生マスク用シート10を用いてなるものであってもよく、別部材によって形成されてもよい。
図3(C)に示す衛生マスク5は、マスク本体51と耳掛け部52と有し、これらが継ぎ目等の接合箇所がなく一体に形成された外形状を有する。この衛生マスク5は、前述の通り、接合部5Mの位置で2つ折りに折り畳まれた状態にされている。この形態において、仮止め部1は正方形の形状を有し、マスク本体51の外縁51Eよりも内側の領域51Kに配されている。この仮止め部1が、衛生マスク5の折り畳まれた状態において、内側面(肌当接面)同士を接触した状態に仮固定している。
また、別の例として図12に示す衛生マスク5Aが挙げられる。
図12に示す衛生マスク5Aは、図3(C)のものと同様に、マスク本体51と耳掛け部52とを継ぎ目なく一体に有し、接合部5Mの位置で2つ折りに折り畳まれた状態にされている。この形態において、仮止め部1は、マスク本体51の内側の領域51Kであって、耳掛け部52との境界領域に縦方向に延在するように直線帯状に形成されている。この直線帯状の仮止め部1によって、仮固定面積を抑えながらで、マスク本体51の2つ折りの閉じた状態をより効果的に維持することができる。これにより、衛生マスク5を手に持ったときに、マスク本体が意図せず自然に開くことがより効果的に抑制される。また、衛生マスク5Aの装着のために耳掛け部52を把持して肌当接面を表出させる操作の中で、マスク本体の折り畳みが先に開くことが防止され、衛生マスク5Aの衛生状態をより効果的に保持することができる。
なお、図12においては、衛生マスク5Aを構成する衛生マスク用シート10が図8(A)に示すような積層シートを用いた場合の層間を固定する点状の層間接合部58を示している(以下、図13~16においても同様)。ただし、衛生マスク5A及び下記例の衛生マスク5B~5Eは点状の層間接合部58を有するものに限定されず、有さないものであってもよい。層間接合部58は、前述のとおり、仮止め部1よりも引張荷重の最大荷重が大きいことが好ましい。
別の例として、図13に示す衛生マスク5Bが挙げられる。
図13に示す衛生マスク5Bは、衛生マスク用シート10からなるマスク本体51(図5参照)と、別部材からなる耳掛け部52とを有する。この形態において、マスク本体51の外縁51Eよりも内側の領域5Kに仮止め部1が配されている。
耳掛け部52を形成する素材としては、種々のものを用いることができる。例えばゴム紐や伸縮性不織布、織布、プラスチックフィルムや色の異なる素材、伸縮率の異なる素材などが挙げられる。この場合、マスク本体51と耳掛け部52とは接合部54を介して接合されている。接合部54の引張荷重の最大荷重は、仮止め部1の引張荷重の最大荷重よりも大きくされることが好ましい。また、耳掛け部52を別体構成としてクリップ等の部材を用い、マスク本体51の端部などに着脱自在に取り付け、衛生マスクとして構成するようにしてもよい。
更に別の例として、図14に示す衛生マスク5Cが挙げられる。
図14に示す衛生マスク5Cは、マスク本体51と耳掛け部52とが上述のような衛生マスク用シート10を用いて構成されている。すなわち、衛生マスク5Cは、マスク本体51と耳掛け部52とを継ぎ目なく一体に有し、接合部5Mの位置で2つ折りに折り畳まれた状態にされている。
この形態において、仮止め部1が、耳掛け部52の外縁52Eより内側の領域52Kに配されている。この形態において、衛生マスク5Cは2つ折りに折り畳まれた状態で、一端側の接合部5Mと他端側の仮止め部1で両端が閉じられた状態にされる。これにより、耳掛け部52側が揺れ動きふらつくような不安定な状態になることを防ぐことができる。このことから思わぬ外力等にて耳掛け部52から折り畳み状態が解かれて、マスク本体51の内側に向けられた肌当接面が意図せず表出することがより効果的に抑制できる。
また、この構成によれば、耳掛け部52に仮止め部1を配置することで、引き剥がす際にマスク本体51の肌当接面に触れる必要が無く、耳掛け部52を摘んだ状態でそのまま耳へ掛けることができる。すなわち、マスク本体51の肌当接面を腕や服などに触れさせることなく、肌当接面の衛生的な状態を更に良く保った状態での装着が可能となる。
このとき、仮止め部1が耳掛け部52の外縁52Eより内側の領域52Kにあることで、外縁52Eが摘まみやすくされており、上記の引き剥がしを円滑に行うことができる。このような観点から、仮止め部1は耳掛け部52内の開孔部53の外縁53Eよりも内側の領域52Kにあることが好ましい。
図14に示す衛生マスク5Cの例では、仮止め部1の構成を、上述したような一本の直線帯状でなく、複数の線あるいは点、グリッドやパターンなどにて構成されている。これらパターンなどが所定の面積内で配列されるよう設けられている。この仮止め部1では、上記のような帯状となって所定の面積で構成される例に比べ、分断された複数で構成されることから、仮止め部1として形成する際の圧着や融着のための合計面積を小さくでき、肌当接面の変成、例えば柔軟性の低下や繊維の変形などを抑制できる。
また、衛生マスク5Cが有する間欠的な仮止め部1では、引き剥がす際の操作感が不連続となり、短い引き剥がしを複数回繰り返す、例えばミシン目を切り離すような軽快な剥離操作となって、操作上の負担を軽減できる。
図14に示す衛生マスク5Cの別の例として図15に示す衛生マスク5Dが挙げられる。衛生マスク5Dでは、図15に示すように仮止め部1を複数の点にて構成している(図15においては一点鎖線で示す囲み枠P内の仮止め部1の配置パターンを左側に拡大して示している)。このような構成であっても複数の点で仮止め部1が構成されることから、仮止め部1として形成する際の圧着や融着のための合計面積を小さくでき、肌当接面の変成、例えば柔軟性の低下や繊維の変形などを抑制できる。
また、衛生マスク5Cの別の例が有する間欠的な仮止め部1では、引き剥がす際の操作感が不連続となり、短い引き剥がしを複数回繰り返す。例えばミシン目を切り離すような軽快な剥離操作となって、操作上の負担を軽減できる。
この複数の仮止め部1の点の位置は図14に示すように装着時に耳の裏接触部分にあってもよく、図16に示す衛生マスク5Eの仮止め部1の位置に示すように耳掛け部52全域に亘ってあってもよい。
仮止め部1の点と点の間隔は、前記軽快な剥離操作を得られやすくする観点から3mm以上が好ましく、また仮止め部分1の強度を得易くする観点から14mm以下が好ましい。また点の形状は限定されず丸状であっても、四角形状であってもよい。点の大きさは仮止めとしての強度を出す観点から直径0.2mm以上が好ましく、過度な融着を防ぐ観点から直径1mm以下が好ましい。
図15及び図16に示す点状の仮止め部1は、耳掛け部52の外縁52Eや開孔部53の外縁53Eに掛かるように配されていてもよく、掛からずに内側の領域52Kのみに配されていてもよい。いずれの場合も、耳掛け部52の平面に間欠配置されているため外縁52Eを摘まみやすくされており、引き剥がしを円滑に行うことができる。
また図15及び図16において、仮止め部1は、衛生マスク用シート10を構成する積層シートにおける層間接合部58を避けて形成することが好ましい。これにより、衛生マスクの形状を崩すことなく仮止め部1を難なく引き剥がして、装着状態へスムースに移行できる。
このように構成された衛生マスクは、使用する際に仮止め部を引き剥がすことでマスク本体51を拡げ、その際に初めて肌当接面が表出することとなり、衛生面に優れるものとなる。
上記のいずれの形態においても、仮止め部1の引張荷重の最大荷重を接合部5Mの引張荷重の最大荷重よりも小さくすることで、得られた衛生マスク5において、折り畳みを左右に開く際に、衛生マスク5の形状を崩すことなく仮止め部1を難なく引き剥し、装着状態へとスムースに移行できる。
また、前述の衛生マスク用シート10を含む衛生マスクとしては、上記の実施形態のものに限定されることなく、本発明の効果を阻害しない限り種々の形態をとり得る。
例えば、本発明の衛生マスクのシート構成が、前述の伸縮性シート96と、肌当接面をなす非伸縮性シート8との積層シートからなる場合、外表面をなす伸縮性シート96の収縮力で、折り畳みが開きやすい性質を備える。これに対し、仮止め部1によって衛生マスク5の閉じた状態を維持することができる。一方、仮止め部1の仮固定状態を解き、衛生マスク5の折り畳みを左右に開く際、上記の開きやすい性質が好適に発現して、衛生マスク5の装着操作をよりスムースに行うことができる。加えて、上記の開きやすい性質によって、衛生マスク5の耳掛け部52の外縁52Eを掴みやすく、この点からも衛生マスク5の装着操作をよりスムースに行うことができる。このスムースな装着操作により、マスク本体の肌当接面に誤って指等が触れる危険性を低減することができる。
特に、前述の衛生マスク5Cのように耳掛け部52に仮止め部1があると、伸縮性シート96の収縮性で肌当接面が外表面側に捲れようとするのを効果的に防止することができる。また、耳掛け部52が縮んで紐状に掴みにくくなることを回避でき、引き剥がしの操作性が特に優れたものとなる。
また、上記の伸縮性により、衛生マスクにおける肌へのフィット性が向上する。
本発明の衛生マスクにおいて、仮止め部1の位置、大きさ、形状及び数は、上記の形態のものに限定されることなく、本発明の効果を阻害しない限り、種々取り得る。
また、本発明の衛生マスクにおいて、マスク本体51の内側の領域51K、耳掛け部52の内側領域52Kに配される仮止め部1は、外縁51E、52Eから前述の範囲で内側に入った領域にあることが好ましく、前述の面積割合を有することが好ましい。
本発明の衛生マスク用シートは、衛生マスク5そのものとして用いる以外に、衛生マスク5に着脱可能なフィルタシート55として用いることができる。例えば、図17に示すように、衛生マスク本体5とその内側に配されるフィルタシート55とを備えた衛生マスク5におけるフィルタシート55として、本発明の衛生マスク用シート10を用いることができる。
本発明の衛生マスク用シートを用いた衛生マスク5及びフィルタシート55に関し前述の実施形態に限定されるものでなく、その機能を阻害しない範囲で種々の形態をとり得る。
また、本発明の衛生マスク用シートが適用される衛生マスク5及びフィルタシート55は、立体的な形状ではなく、平面視矩形であってもよい。更に、衛生マスク5及びフィルタシート55が横方向に延びる数個の襞を有していてもよい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」は、特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例)
図16に示す衛生マスク5Eの仮止め部1の配された耳掛け部53において、図18に示すように、左側シート部2及び右側シート部3を両方含めて、横長さ(X1)15mm、縦幅(Y1)30mmの大きさで切り抜いた。切り抜いたものを実施例の試験試料SP1とした。
(比較例)
図16に示す衛生マスク5Eのマスク本体51の仮止め部1を含まず接合部(鼻シール)5Mを含む領域において、図18に示すように、左側シート部2及び右側シート部3を両方含めて、横長さ(X2)15mm、縦幅(Y2)30mmの大きさで切り抜いた。切り抜いたものを比較例の試験試料SP2とした。比較例の試験試料SP2において、接合部5Mの幅(横長さ(X1)方向の幅)は5mmであった。
(試験)
(仮止め部の引張荷重の最大荷重の測定方法)に基づいて、各試験試料の引張荷重の最大荷重を測定した。
Figure 2022115630000002
表1に示すように、実施例の仮止め部1の引張荷重の最大荷重は、3.6N/30mmであり、仮止め部1が左側シート部2及び右側シート部3を仮固定の状態にしていた。また、実施例の仮止め部1の引張荷重の最大荷重は、比較例の接合部5Mの引張荷重の最大荷重よりも小さくされていた。
このため、衛生マスク5Eは、装着直前まで左側シート部2及び右側シート部3の肌当接面同士の折り畳み状態が維持されて意図せず開くことが防止され、装着時まで衛生的な状態を保持するものとなっていた。また、衛生マスク5Eは、接合部5Mの接合状態が保持され、仮止め部1を引き剥がしても、マスク全体の形状を崩すことなく装着状態へスムースに移行することができた。このため未使用時から装着時まで衛生的な状態を保持するものとなっていた。
1 仮止め部
2 左側シート部
3 右側シート部
2S、3S、10S 肌当接面
10T 外表面
10 衛生マスク用シート
4 衛生マスク予定領域
41 マスク本体予定領域
42 耳掛け部予定領域
4E、41E、42E 外縁
4K、41K、42K 内側の領域
50 重ね構造
5、5A、5B、5C 衛生マスク
51 マスク本体
52 耳掛け部
53 開孔部
51E、52E 外縁
51K、52K 内側の領域
5M、54 接合部
55 フィルタシート
58 層間接合部
61、63 凸部
62、64 凹部
A 細密繊維層
81 保護シート
8 非伸縮性シート
96 伸縮性シート

Claims (8)

  1. 肌当接面を有する衛生マスク用シートであって、
    前記肌当接面を内側として対向させ、対向する内側面同士を接触した状態に仮固定する仮止め部を有する衛生マスク用シート。
  2. 前記仮止め部は、平面視において、衛生マスクとなる領域の外縁より内方の領域に配されている、請求項1記載の衛生マスク用シート。
  3. 前記マスク用シートは、複数枚が接合部を介して接合されて構成され、該接合部の引張荷重の最大荷重が前記仮止め部の引張荷重の最大荷重よりも大きい、請求項2記載の衛生マスク用シート。
  4. 前記マスク用シートは、伸縮性シートと、前記肌当接面をなす非伸縮性シートとが積層されてなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の衛生マスク用シート。
  5. マスク本体が、請求項1~4のいずれか1項に記載の衛生マスク用シートを備える衛生マスク。
  6. マスク本体と耳掛け部とが、請求項1~4のいずれか1項に記載の衛生マスク用シートより構成され、前記仮止め部が前記耳掛け部に配されている衛生マスク。
  7. マスク本体と、該マスク本体に着脱自在なフィルタシートとを備え、
    前記フィルタシートが、請求項1~4のいずれか1項に記載の衛生マスク用シートを備える衛生マスク。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載の衛生マスク用シートを、マスク本体に着脱自在なフィルタシートとして用いる衛生マスク用シートの使用方法。

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