JP2022110414A - インクジェットインク - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、高精細であり、かつ耐光性に優れるインクジェット画像が得られるインクジェットインクを提供することである。【解決手段】本発明のインクジェットインクは、活性線硬化性化合物、金属酸化物、ワックス及び紫外線吸収剤を含むであって、前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して40質量%以上であることを特徴とする。本発明のインクジェットインクにおいて、前記紫外線吸収剤の含有量は、前記ワックスの含有量に対して60質量%超であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインクに関する。より詳しくは、本発明は、高精細であり、かつ耐光性に優れるインクジェット画像が得られるインクジェットインクに関する。
インクジェット画像形成方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェット画像形成方法の一つとして、活性線硬化型のインクジェットインク(以下、単に「インク」ともいう。)の液滴を記録媒体に着弾させた後、活性線を上記液滴に照射して上記液滴を硬化させてなる硬化膜を集合させて、画像を形成する活性線硬化型インクジェット画像形成方法がある。活性線硬化型インクジェット画像形成方法は、インク吸収性のない記録媒体においても、高い耐擦過性と密着性を有する画像を形成できることから、近年注目されつつある。
一方、インクジェット画像形成方法においては、形成されたインクジェット画像の耐光性を向上させる、具体的には、インクジェット画像の濃度や色彩が紫外線によって経時的に劣化することを抑制するために、インクに紫外線吸収剤を含有させる技術が知られている。
また、インクジェットインクにおいて、インクにゲル化剤を含有させて、温度変化により可逆的にインクをゾルゲル相転移させる技術が知られている。ゲル化剤を含有するインクを用いた画像形成方法では、加温してゾル化させたインクの液滴をインクジェットヘッドのノズルから出射する。記録媒体に着弾したインクの液滴は、温度が低下してゲル化剤が結晶化することにより、ゲル状態へと相転移する。このように、画像形成時にインクがゾルゲル相転移することで、インクに優れたピニング性を付与できる。これにより、着弾後、近隣のインク液滴との合一が抑制され、高精細な画像が得られる。
ここで、紫外線吸収剤とワックスのようなゲル化剤を同時にインクに含有させることによりインクのゲル化が阻害されピニング性が低下することが知られている。そこで、例えば、特許文献1には、ゲル化剤、特定分子量の紫外線吸収剤及び光重合性化合物を所定の含有割合で含有する活性線硬化型のインクジェットインクが記載されている。特許文献1では、上記構成によりインクのピニング性を維持しながら、得られる画像の耐光性を高めることができるとしている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、必ずしも高いレベルでインクのピニング性と画像の耐光性の両立が達成できているとは言い難かった。
そこで、インクのピニング性を発現させることで高精細な画像を形成することと、得られる画像に良好な耐光性を付与することの両立がより高いレベルで実現可能なインクジェットインクが求められていた。
国際公開第2017/163776号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高精細であり、かつ耐光性に優れるインクジェット画像が得られるインクジェットインクを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、鋭意検討した結果、ワックス及び紫外線吸収剤を含有する活性線硬化型のインクジェットインクに、金属酸化物を添加することで、ワックスに対する紫外線吸収剤の量を上記特定量以上としてもピンニング性が低下しないことを見出した。それにより、高精細であり、かつ耐光性に優れる画像の形成が可能なインクが得られること見出し本発明に至った。すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.活性線硬化性化合物、金属酸化物、ワックス及び紫外線吸収剤を含むインクジェットインクであって、
前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して40質量%以上であることを特徴とするインクジェットインク。
2.前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して60質量%超であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
3.前記金属酸化物の含有量が、前記紫外線吸収剤の含有量に対して300~1000質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインク。
4.前記金属酸化物が酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
5.前記ワックスが、一般式(G1)で表される化合物又は一般式(G2)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
一般式(G1): R1-CO-R2
一般式(G2): R3-COO-R4
(一般式(G1)において、R1及びR2は、独立して炭素数9以上25以下の、分岐鎖を有してもよい直鎖状の炭化水素基を示し、一般式(G2)において、R3及びR4は、独立して炭素数9以上25以下の、分岐鎖を有してもよい直鎖状の炭化水素基を示す。)
6.前記紫外線吸収剤がヒドロキシフェニルトリアジン化合物を含むことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
7.前記金属酸化物は金属酸化物粒子であり、前記金属酸化物粒子がポリオール、シロキサン化合物及びシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種で表面修飾されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
8.前記金属酸化物は金属酸化物粒子であり、前記金属酸化物粒子の平均一次粒径が100~300μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
本発明の上記手段により、高精細であり、かつ耐光性に優れるインクジェット画像が得られるインクジェットインクを提供することができる。本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、以下のように推察している。
上記のとおり紫外線吸収剤とワックスを含有するインクにおいては、インクのゲル化が阻害されピニング性が低下する。このゲル化の阻害は、ワックスが結晶化する際に、紫外線吸収剤がワックスの結晶の成長面に作用して結晶化を阻害することに起因して起こると想定された。これにより、インクにおいて紫外線吸収剤の添加量が増えると、ゲル化が阻害されゲル化時の粘度が低下する。ゲル化阻害により、インクを重ね合わせて印刷する際の光沢変動や、ベタ画像の白抜けが生じ、高精細な画像が得られなくなる。また、ゲル化阻害を抑制するために紫外線吸収剤の添加量を制限すると、画像が黄変する等、十分な耐光性が得られなかった。
本発明のインクにおいては、インク中に存在する金属酸化物が、ワックスの結晶の成長面に紫外線吸収剤が作用するのを抑制し、これによりインクのゲル化阻害が抑制されたものと考えられる。これにより、本発明のインクにおいては、インクに所期の耐光性が得られる程度の量の紫外線吸収剤を含有させることが可能となり、得られる画像の耐光性を高めることが可能となる。また、インクのゲル化阻害が抑制されることにより、高精細な画像の形成が可能となる。
本発明のインクジェットインクは、活性線硬化性化合物、金属酸化物、ワックス及び紫外線吸収剤を含むインクジェットインクであって、前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して40質量%以上であることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明のインクの実施態様としては、得られるインクジェット画像の耐光性をより高める観点から、前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して60質量%超であることが好ましい。
本発明のインクの実施態様としては、本発明の効果をより発現させる観点から、前記金属酸化物の含有量が、前記紫外線吸収剤の含有量に対して300~1000質量%の範囲内であるが好ましい。
本発明のインクの実施態様としては、本発明の効果をより発現させる観点から、前記金属酸化物が酸化チタンを含むことが好ましい。
本発明のインクの実施態様としては、本発明の効果をより発現させる観点から、前記ワックスが、上記一般式(G1)で表される化合物又は上記一般式(G2)で表される化合物を含むことが好ましい。
本発明のインクの実施態様としては、本発明の効果をより発現させる観点から、前記紫外線吸収剤がヒドロキシフェニルトリアジン化合物を含むことが好ましい。
本発明のインクの実施態様としては、本発明の効果をより発現させる観点から、前記金属酸化物は金属酸化物粒子であり、前記金属酸化物粒子がポリオール、シロキサン化合物及びシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種で表面修飾されていることが好ましい。
本発明のインクの実施態様としては、本発明の効果をより発現させる観点から、前記金属酸化物は金属酸化物粒子であり、前記金属酸化物粒子の平均一次粒径が100~300μmの範囲内であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[インクジェットインク]
本発明のインクは、活性線硬化性化合物、金属酸化物、ワックス及び紫外線吸収剤を含み、前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して40質量%以上であることを特徴とする。
<活性線硬化性化合物>
活性線硬化性化合物は、活性線の照射により重合するものであれば特に制限されない。活性線硬化性化合物の例には、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物が含まれる。これらのうち、活性線硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
なお、上記活性線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線及びエックス線等が含まれる。これらのうち、紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
ラジカル重合性化合物は、具体的には、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物)である。本発明のインクにおいて、ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸とその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が含まれる。
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリル酸のエステル化合物、すなわち(メタ)アクリレート及びその誘導体が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ基((メタ)アクリロイロキシ基)」は、アクリロイルオキシ基(アクリロイロキシ基)又はメタクリロイルオキシ基(メタクリロイロキシ基)を意味する。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有する単官能(メタ)アクリレートであってもよく、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリロイルオキシ基以外の官能基を有していてもよい。官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキレンオキシ基、芳香族基、複素環基等が挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸及びt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。
多官能の(メタ)アクリレートのうち2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオキシアルキレン基の炭素原子側の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基及び酸素原子側の末端に(メタ)アクリロイル基を有するジ(メタ)アクリレートが含まれる。ポリオキシアルキレン基は、オキシアルキレン基を繰り返し単位として有する2価の基である。繰り返し単位であるオキシアルキレン基としては炭素数1~4のオキシアルキレン基が挙げられる。オキシアルキレン基のアルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。例えば、プロピレン基は-(CH-、-CH(CH)-CH-、及び-CH(CHCH)-のいずれであってもよい。オキシアルキレン基の繰り返し数(以下、「n」で示す。)としては2~20が挙げられ、3~14が好ましく、3~10がより好ましい。
ポリオキシアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートとして、具体的には、オキシアルキレン基がオキシエチレン基である化合物として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキレン基がプロピレン基である化合物として、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の炭素数4のオキシアルキレン基を繰り返し単位とする化合物が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリレートとしては、また、ジオールに(メタ)アクリル酸がエステル結合した1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、「PO」で示すこともある。)又はエチレンオキサイド(以下、「EO」で示すこともある。)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのPO又はEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、変性物(以下、「変性(メタ)アクリレート」ともいう。)であってもよい。変性(メタ)アクリレートの例には、エチレンオキサイド(EO)変性又はプロピレンオキサイド(PO)変性の(メタ)アクリレートが含まれる。EO変性又はPO変性の(メタ)アクリレートには、例えば、EO又はPO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が含まれる。EO変性又はPO変性の(メタ)アクリレートにおけるEO数又はPO数は、上記ポリオキシアルキレン基におけるオキシアルキレン基の繰り返し数nに相当し、1~5程度が好ましく、2~4がより好ましい。
変性(メタ)アクリレートの例には、また、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクタム変性(メタ)アクリレート等が含まれる。
変性(メタ)アクリレートは、感光性がより高い。また、変性(メタ)アクリレートは、高温下でも他の成分とより相溶しやすい。さらには、変性(メタ)アクリレートは、硬化収縮が少ないため、活性線照射時の印刷物のカールをより生じさせにくい。
(メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーである(メタ)アクリレートの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、及び直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、イミド基を有する(メタ)アクリレート化合物であってもよい。イミド基を有する(メタ)アクリレートを用いると、硬化物の耐高温高湿性が向上することが期待できる。イミド基を有する(メタ)アクリレートとしては、特開平10-36462号及び同11-21470号に記載されているイミドアクリレート又はイミドメタクリレートが挙げられる。
カチオン重合性化合物の例には、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物及びオキセタン化合物等が含まれる。本発明のインクにおいて、カチオン重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物の例には、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3′,4′-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3′,4′-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-メチル-4-(2-メチルオキシラニル)-7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサノン-メタ-ジオキサン及びビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル等が含まれる。
脂肪族エポキシ化合物の例には、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(EO及びPO等)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が含まれる。
芳香族エポキシ化合物の例には、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、及びノボラック型エポキシ樹脂等が含まれる。
上記ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、及びオクタデシルビニルエーテル等を含むモノビニルエーテル化合物、並びにエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、及びトリメチロールプロパントリビニルエーテル等を含むジ又はトリビニルエーテル化合物等が含まれる。
上記オキセタン化合物の例には、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ベンジルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシブチル-3-メチルオキセタン、1,4ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン及びジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル等が含まれる。
活性線硬化性化合物の含有量は、インクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
<金属酸化物>
本発明のインクにおいて金属酸化物は、インクが記録媒体に着弾してゲル化する際に、ワックスの結晶面に紫外線吸収剤が付着してインクのゲル化を阻害することを抑制する作用を有する。金属酸化物は当該作用を有するものであれば、種類は特に制限されない。
金属酸化物における金属としては、チタン、スズ、インジウム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、銅、鉄、ニッケル、コバルト、セリウム、ケイ素、バリウム、マグネシウム、イットリウム、カルシウム等が挙げられ、金属酸化物としては、これらの1種又は2種以上を含有する金属酸化物が挙げられる。金属酸化物として、具体的には、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、上記作用の観点から酸化チタンが好ましい。これらの金属酸化物は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明のインクに用いられる酸化チタンの結晶形態は、ルチル型、アナターゼ型及びブルーカイト型のいずれでもよい。より小粒径化しやすくする観点からは、比重が小さいアナターゼ型が好ましい。酸化チタンを白色顔料としても機能させる場合には、形成される画像の隠蔽性をより高める観点から、可視光領域における屈折率が大きいルチル型が好ましい。
本発明のインクにおいて、金属酸化物の含有量は、紫外線吸収剤の全質量に対して300~1000質量%の範囲内であることが好ましく、600~1000質量%の範囲内であることがより好ましい。金属酸化物の含有量が紫外線吸収剤の全質量に対して300質量%以上であると、紫外線吸収剤に起因するインクのゲル化阻害を十分に抑制することが可能である。金属酸化物の含有量が紫外線吸収剤の全質量に対して1000質量%以下であると、金属酸化物を添加することによる弊害、例えば、透明性の低下を抑制できる点で好ましい。
また、インクの全質量に対する金属酸化物の含有量は、2質量%以上25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。本発明のインクにおいて、金属酸化物は、色材として機能させてもよい。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素等であれば、上記インクのゲル化阻害を抑制するために機能させる以外に、白色顔料として機能させてもよい。
なお、インクの色を白色とする場合には、白色顔料として、上記白色の金属酸化物以外の有機又は無機顔料を併用してもよい。本発明の効果をより顕著に発現させる観点からは、インクの色を白色とする場合には、白色顔料として、金属酸化物からなる白色顔料のみを用いることが好ましい。また、インクの色は白色に限定されず、金属酸化物からなる顔料と後述する色材(金属酸化物を除く)とを組み合わせて用いることも可能である。
金属酸化物は、典型的には金属酸化物粒子の形態で用いられる。金属酸化物粒子の形状としては、特に制限されず、球状、紡錘状、板状、鱗片状、針状、繊維状等が挙げられる。
本発明に係る金属酸化物粒子の平均一次粒径は、100~300μmの範囲内であることが好ましく、150~220μmの範囲内であることがより好ましい。平均一次粒径が100nm以上であることで、白色性が得られやすく、300nm以下であることでゲル化阻害を抑制しやすい。ここで、金属酸化物粒子の平均一次粒径は、レーザ回折・散乱法で測定される質量基準のメジアン径(D50)として求めることができる。
金属酸化物粒子は、インクのゲル化阻害を抑制する機能を高める観点から、表面修飾されていることが好ましい。表面修飾は、例えば、表面を疎水化するための表面修飾である。表面が疎水化された金属酸化物粒子(以下、「疎水化金属酸化物粒子」ともいう。)は、ワックスに対して親和性を有し、ゲル化に際してワックスの結晶面を紫外線吸収剤の付着からより十分に保護できるようになる。
疎水化金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子に表面修飾剤を作用させて得られる。表面修飾剤としては、疎水化の観点から有機系の表面修飾剤とすることができ、ポリオール、シロキサン化合物及びシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。ワックスに対する親和性の観点から表面修飾剤として、少なくともシロキサン化合物を用いることが好ましい。
上記ポリオールの例には、炭素数4以上10以下のポリオールが含まれる。上記炭素数4以上10以下のポリオールの例には、エチレングリコール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、及びトリメチロールプロパン等が含まれる。
上記シロキサン化合物の例には、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、及びメチルフェニルポリシロキサン等を含む各種のシリコーンオイルが含まれる。
上記シランカップリング剤の例には、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、及びn-オクタデシルジメチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等を含む各種アルキルシラン、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、及びヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等を含む各種フルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、並びにγ-アミノプロピルトリメトキシシラン等が含まれる。
なお、上記表面修飾剤は、チタン系、アルミ系、及びアルミナ-ジルコニア系等を含む各種金属系カップリング剤、イソステアリン酸及びステアリン酸等を含む脂肪酸並びにそれらの金属塩、並びに公知の界面活性剤等であってもよい。
金属酸化物粒子の表面修飾は、公知の方法で行うことができる。例えば、金属酸化物粒子、表面修飾剤及び溶剤を撹拌ミルで混合し、その後、溶剤を除去すればよい。上記混合前に、金属酸化物粒子、表面修飾剤及び溶剤を予備混合してスラリー化してもよい。
疎水化金属酸化物粒子における、表面修飾量は、例えば、疎水化金属酸化物粒子中の炭素原子の含有量で評価することができる。疎水化金属酸化物粒子における炭素原子の含有量は、その全質量に対して0.31質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
上記炭素原子の含有量が0.31質量%以上であると、金属酸化物粒子の疎水化が十分になされ、ワックスとの親和性が高まることでインクのゲル化阻害を抑制する機能が高まる点で好ましい。上記炭素原子の含有量が2.0質量%以下であると、分散時に安定性が高まる点で好ましい。なお、疎水化金属酸化物粒子における炭素原子の含有量は、燃焼法で測定された値とすることができる。
<ワックス>
ワックスは、例えば、ゲル化剤として機能する。ワックスは、典型的には、記録媒体に着弾したインクの液滴をゲル化して仮固定(ピニング)することができる化合物である。記録媒体に着弾したインクがゲル化してピニングされると、インクの濡れ広がりが抑えられて隣り合うドットが同一しにくくなるため、より高精細な画像を形成することができる。また、インクがゲル状態になると、インク液滴中への環境中の酸素の入り込みが抑えられて酸素による硬化阻害が生じにくくなるため、高精細な画像をより高速で形成することができる。ワックスは、インクジェットインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
ワックスの含有量は、インクの全質量に対して0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。ワックスの含有量を0.5質量%以上とすることで、インクのピニング性を十分に高め、より高精細な画像を形成することができる。ワックスの含有量を10.0質量%以下とすることで、形成した画像の表面にワックスが析出しにくくなり、画像の光沢を他のインクによる画像の光沢により近づけることができ、かつ、インクジェットヘッドからのインク射出性をより高めることができる。上記観点からは、インク中のワックスの含有量は、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、以下の観点から、ワックスは、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化又は液体化したインクを冷却していったときに、インクがゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化又は液体化したインクを、レオメータ(例えば、Physica社製、MCR300)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
ワックスがインク中で結晶化すると、板状に結晶化したワックスによって形成された三次元空間に活性線硬化性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という。)。カードハウス構造が形成されると、液体の活性線硬化性化合物が前記空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
カードハウス構造を形成させやすくする観点からは、インク中で溶解している活性線硬化性化合物とワックスとが相溶していることが好ましい。これに対して、インク中で溶解している活性線硬化性化合物とワックスとが相分離していると、カードハウス構造を形成しにくい場合がある。
結晶化によるカードハウス構造の形成に好適なワックスの例には、ケトンワックス、エステルワックス、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、硬化ヒマシ油、変性ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、ヒドロキシステアリン酸、N-置換脂肪酸アミド及び特殊脂肪酸アミドを含む脂肪酸アミド、高級アミン、ショ糖脂肪酸のエステル、合成ワックス、ジベンジリデンソルビトール、ダイマー酸並びにダイマージオールが含まれる。
上記ケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン及びパルミチルステアリルケトンが含まれる。
上記エステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸オレイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
上記エステルワックスの市販品の例には、EMALEXシリーズ、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)、リケマールシリーズ及びポエムシリーズ、理研ビタミン社製(「リケマール」及び「ポエム」はいずれも同社の登録商標)が含まれる。
上記石油系ワックスの例には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラクタムを含む石油系ワックスが含まれる。
上記植物系ワックスの例には、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ及びホホバエステルが含まれる。
上記動物系ワックスの例には、ミツロウ、ラノリン及び鯨ロウが含まれる。
上記鉱物系ワックスの例には、モンタンワックス及び水素化ワックスが含まれる。
上記変性ワックスの例には、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、12-ヒドロキシステアリン酸誘導体及びポリエチレンワックス誘導体が含まれる。
上記高級脂肪酸の例には、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、及びエルカ酸が含まれる。
上記高級アルコールの例には、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールが含まれる。
上記ヒドロキシステアリン酸の例には、12-ヒドロキシステアリン酸が含まれる。
上記脂肪酸アミドの例には、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド及び12-ヒドロキシステアリン酸アミドが含まれる。
上記脂肪酸アミドの市販品の例には、ニッカアマイドシリーズ、日本化成社製(「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、ITOWAXシリーズ、伊藤製油社製、及びFATTYAMIDシリーズ、花王社製が含まれる。
上記N-置換脂肪酸アミドの例には、N-ステアリルステアリン酸アミド及びN-オレイルパルミチン酸アミドが含まれる。
上記特殊脂肪酸アミドの例には、N,N’-エチレンビスステアリルアミド、N,N’-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド及びN,N’-キシリレンビスステアリルアミドが含まれる。
上記高級アミンの例には、ドデシルアミン、テトラデシルアミン及びオクタデシルアミンが含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの例には、ショ糖ステアリン酸及びショ糖パルミチン酸が含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの市販品の例には、リョートーシュガーエステルシリーズ、三菱化学フーズ社製(「リョートー」は同社の登録商標)が含まれる。
上記合成ワックスの例には、ポリエチレンワックス及びα-オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスが含まれる。
上記合成ワックスの市販品の例には、UNILINシリーズ、Baker-Petrolite社製(「UNILIN」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの例には、1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトールが含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの市販品の例には、ゲルオールD、新日本理化株式会社製(「ゲルオール」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ダイマージオールの市販品の例には、PRIPORシリーズ、CRODA社製(「PRIPOR」は同社の登録商標)が含まれる。
これらのワックスのうち、よりピニング性を高める観点からは、ケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコール及び脂肪酸アミドが好ましく、上記観点からは、下記一般式(G1)で表される化合物(以下、ケトンワックス(G1)ともいう。)及び下記一般式(G2)で表される化合物(以下、エステルワックス(G2)ともいう。)がさらに好ましい。
ケトンワックス(G1)及びエステルワックス(G2)は、インク中に、それぞれ1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。また、ケトンワックス(G1)及びエステルワックス(G2)は、インク中に、いずれか一方のみが含まれていてもよいし、双方が含まれていてもよい。ケトンワックス(G1)及びエステルワックス(G2の双方が含まれることが、カードハウス構造の強度が上がる点で好ましい。
一般式(G1):R1-CO-R2
一般式(G1)において、R1及びR2は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基である。
一般式(G2):R3-COO-R4
一般式(G2)において、R3及びR4は、いずれも炭素数が9以上25以下である直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基である。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックス又は上記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が9以上であるため、ワックスの結晶性がより高まり、かつ、上記カードハウス構造においてより十分な空間が生じる。そのため、活性線硬化性化合物が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなる。また、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が25以下であるため、インクのゾル化温度が過度に高まらないため、インクを出射するときにインクを過度に加熱する必要がない。上記観点からは、R1及びR2は炭素原子数11以上23未満の直鎖状の炭化水素基であることが特に好ましい。
また、インクのゲル化温度を高くして、着弾後により急速にインクをゲル化させる観点からは、R1もしくはR2のいずれか、又はR3もしくはR4のいずれかが飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることが好ましい。上記観点からは、R1及びR2の双方、又はR3及びR4の双方が飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることがより好ましい。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン(炭素数:23-23)、ジベヘニルケトン(炭素数:21-21)、ジステアリルケトン(炭素数:17-17)、ジエイコシルケトン(炭素数:19-19)、ジパルミチルケトン(炭素数:15-15)、ジミリスチルケトン(炭素数:13-13)、ジラウリルケトン(炭素数:11-11)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11-13)、ラウリルパルミチルケトン(炭素数:11-15)、ミリスチルパルミチルケトン(炭素数:13-15)、ミリスチルステアリルケトン(炭素数:13-17)、ミリスチルベヘニルケトン(炭素数:13-21)、パルミチルステアリルケトン(炭素数:15-17)、パルミチルベヘニルケトン(炭素数:15-21)及びステアリルベヘニルケトン(炭素数:17-21)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
一般式(G1)で表されるケトンワックスの市販品の例には、18-Pentatriacontanon(ジステアリルケトン)、Alfa Aeser社製、Hentriacontan-16-on(ジパルミチルケトン)、Alfa Aeser社製及びカオーワックスT1(ジステアリルケトン)、花王社製が含まれる。
一般式(G2)で表されるエステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21-22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19-20)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17-18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17-16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17-12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15-16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15-18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13-14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13-16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13-20)、カプリン酸セチル(炭素数:9-16)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17-18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21-18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17-18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18-22)及びリノール酸アラキジル(炭素数:17-20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
一般式(G2)で表されるエステルワックスの市販品の例には、ユニスターM-2222SL、ニッサンエレクトールWEP-3(ベヘニン酸ベヘニル)及びスパームアセチ(ミリスチン酸セチル)、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標)、エキセパールSS(ステアリン酸ステアリル)及びエキセパールMY-M(ミリスチン酸ミリスチル)、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標)、EMALEX CC-18(ステアリン酸ステアリル)及びEMALEX CC-10(カプリン酸セチル)、日本エマルジョン社製並びにアムレプスPC(パルミチン酸セチル)、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。これらの市販品は、2種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、紫外線領域、例えば、波長が280nm以上400nm以下の領域、に極大吸収波長を有する有機化合物とすることができる。紫外線吸収剤は、インク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
本発明のインクにおいて、紫外線吸収剤の含有量は、ワックスの全質量に対して40質量%以上である。紫外線吸収剤の含有量がワックスの全質量に対して40質量%以上であると、形成された画像の耐光性を十分に高めることができる。さらに、形成された画像の耐光性をより高めるために、紫外線吸収剤の含有量は、ワックスの全質量に対して60質量%超であることが好ましい。
本発明のインクにおいては、紫外線吸収剤と金属酸化物の親和性が高いために、記録媒体に着弾したインクの液滴中で結晶化しつつあるワックスの結晶面に紫外線吸収剤が付着しようとするのを金属酸化物が阻止するため、インクに含有させるワックスに対する紫外線吸収の量を多くすることができる。これにより、インクのピニング性を発現させることで高精細な画像を形成することと、得られる画像に良好な耐光性を付与することの両立が高いレベルで実現可能となる。
本発明のインクにおいて、紫外線吸収剤の含有量の上限は、例えば、ワックスの全質量に対して250質量%とすることができる。紫外線吸収剤の含有量の上限は、ワックスの全質量に対して200質量%%とすることがより好ましく、ワックスの全質量に対して100質量%%とすることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量がワックスの全質量に対して250質量%以下であると、ワックスの結晶化阻害を抑制するために必要とされる金属酸化物の総量を抑制でき、金属酸化物を添加することによる弊害、例えば、透明性の低下を抑制できる点で好ましい。
また、インクの全質量に対する紫外線吸収剤の含有量は、0.05質量%以上6.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。
上記紫外線吸収剤の例には、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、サリチル酸エステル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、シアノアクリレート化合物等の紫外線吸収剤が含まれる。
ベンゾフェノン化合物はベンゾフェノン骨格を有する化合物である。ベンゾフェノン化合物である紫外線吸収剤の例には、2,4-ジヒドロキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン、2,2′,4,4′-テトラヒドロキシ-ベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジメトキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシロキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシ-ベンゾフェノン、及び1,4-ビス(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-ブタン等が含まれる。
ベンゾフェノン化合物である紫外線吸収剤の市販品の例には、住友化学株式会社製、Sumisorb 130(「Sumisorb」は同社の登録商標)、株式会社ADEKA製、アデカスタブ 1413(「アデカスタブ」は同社の登録商標)、並びにシプロ化成株式会社製、SEESORB 100、SEESORB 101、SEESORB 106、SEESORB 107、SEESORB 101S、SEESORB 102、SEESORB 103、SEESORB 105、SEESORB 151(「SEESORB」は同社の登録商標)等が含まれる。
ベンゾトリアゾール化合物はベンゾトリアゾール骨格を有する化合物である。ベンゾトリアゾール化合物である紫外線吸収剤の例には、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′-t-ブチル-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジーt-ペンチル-2-ヒドロキシフェニル-2-ベンゾトリアゾール、2-(2-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタリミジルメチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチロキシフェニル)-2-ベンゾトリアゾール、及び2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)-2-ベンゾトリアゾール等が含まれる。
ベンゾトリアゾール化合物である紫外線吸収剤の市販品の例には、住友化学株式会社製、Sumisorb 200、Sumisorb 250、Sumisorb 300、Sumisorb 340、及びSumisorb 350、BASF社製、TINUVIN PS、TINUVIN 99-2、TINUVIN 234、TINUVIN 320、TINUVIN 326、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 384、TINUVIN 384-2、TINUVIN 571、TINUVIN 900、TINUVIN 928、及びTINUVIN 1130(「TINUVIN」は同社の登録商標)、株式会社ADEKA製、アデカスタブ LA-32、アデカスタブ LA-29、アデカスタブ LA-31、アデカスタブ LA-31RG、アデカスタブ LA-31G、アデカスタブ LA-36、アデカスタブ LA-36RG、並びにシプロ化成株式会社製、SEESORB 701、SEESORB 703、SEESORB 704、SEESORB 706、SEESORB 707、及びSEESORB 709等が含まれる。
サリチル酸エステル化合物である紫外線吸収剤の例には、サリチル酸フェニル、サリチル酸-4-t-ブチルフェニル、2-4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等が含まれる。
サリチル酸エステル化合物である紫外線吸収剤の市販品の例には、住友化学株式会社製、Sumisorb 400、及びシプロ化成株式会社製、SEESORB 201、SEESORB 202、SEESORB 712等が含まれる。
ヒドロキシフェニルトリアジン化合物はヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物である。ヒドロキシフェニルトリアジン化合物である紫外線吸収剤の例には、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、及び2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等が含まれる。
ヒドロキシフェニルトリアジン化合物である紫外線吸収剤の市販品の例には、BASF社製、TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 477、TINUVIN 479、TINUVIN 777、及びTINUVIN 1577ED、並びに株式会社ADEKA製、アデカスタブ LA-F70等が含まれる。
シアノアクリレート化合物である紫外線吸収剤の例には、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル等が含まれる。
シアノアクリレート化合物である紫外線吸収剤の市販品の例には、シプロ化成株式会社製、SEESORB 501、SEESORB 502等が含まれる。
これらのうち、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物は、紫外線領域(280~400nm)のうち、特にエネルギーが強い短波長側(280~320nm)の紫外線をより多く吸収するため、形成された画像の耐光性をより高くすることができる。また、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物はベンゾトリアゾール化合物等に比べ、インクの硬化に用いるLED(light emitting diode)波長領域(例えば、385~410nm)の吸収が少ないため、硬化阻害を起こしにくい。
ヒドロキシフェニルトリアジン化合物の中でも、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(TINUVIN 479)は、特に吸光係数が大きく、少量でもより高い耐光性が得られるため好ましい。
紫外線吸収剤の分子量は、300以上1000以下であることが好ましい。分子量が300以上である紫外線吸収剤は、出射時にインクを加熱しても揮発しにくく、形成された画像の耐光性を十分に高めることができると考えられる。分子量が1000以下である紫外線吸収剤は、インクの出射性を顕著に低減させず、かつ、容易に入手可能である。インクのピニング性やゲル化温度の保存安定性を維持しつつ、耐光性を十分に付与できる観点からは、紫外線吸収剤の分子量は500以上800以下であることが好ましい。紫外線吸収剤の分子量は、構造から容易に推定することができる。
なお、吸収波長の異なる紫外線吸収剤を併用すると、それぞれの添加量を抑えながら、より高い耐光性が得られるため好ましい。
<その他成分>
本発明のインクは、上記必須成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、上記必須成分以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、活性線重合開始剤、色材、分散剤、分散媒体、光増感剤、重合禁止剤、界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は、それぞれ、インク中に1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
(活性線重合開始剤)
本発明のインクは、活性線重合開始剤を含有してもよい。活性線重合開始剤は、活性線の照射により上記活性線硬化性化合物の重合及び架橋を開始させる化合物である。なお、電子線の照射により画像を形成するとき等、活性線重合開始剤なしでも上記活性線硬化性化合物の重合及び架橋が開始できるときは、インクは、活性線重合開始剤を含有しなくてもよい。
活性線重合開始剤は、インクがラジカル重合性化合物を有するときはラジカル開始剤とすることができ、インクがカチオン重合性化合物を有するときはカチオン開始剤(光酸発生剤)とすることができる。
ラジカル重合開始剤には、分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤と分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤とが含まれる。
分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等を含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテル等を含むベンゾイン類、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等を含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、並びに、ベンジル及びメチルフェニルグリオキシエステル等が含まれる。
分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び3,3′-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等を含むベンゾフェノン系の開始剤、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等を含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン、4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノン等を含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、並びにカンファーキノン等が含まれる。
カチオン系の重合開始剤の例には、光酸発生剤が含まれる。光酸発生剤の例には、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、及びホスホニウム等を含む芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩等、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、並びに鉄アレン錯体等が含まれる。
活性線重合開始剤の含有量は、活性線の照射によってインクが十分に硬化し、かつインクの吐出性を顕著に低下させない範囲において、任意に設定することができる。例えば、インクは、その全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下の活性線重合開始剤を含有することが好ましく、0.1質量%以上8質量%以下の活性線重合開始剤を含有することがより好ましい。
(色材)
インクが含有してもよい色材には、染料及び顔料が含まれる。本発明における色材は、金属酸化物以外の化合物からなる。上記のとおり金属酸化物が色材として機能する場合、当該色材は金属酸化物として分類され、その含有量が規定される。耐光性の良好な画像を得る観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色彩などに応じて、例えば、黄(イエロー)顔料、赤又はマゼンタ顔料、青又はシアン顔料及び黒顔料から選択することができる。
色材のうち有機化合物からなる色材は、紫外線吸収剤と同様にワックスの結晶面に付着しインクのゲル化を阻害することがある。これを避けるために、色材としては無機化合物からなるものが好ましい。
上記のとおりインクを白色インクとする場合、金属酸化物が白色顔料としての機能を果たす。本発明の効果のより高い発現の観点から、白色インクの場合、色材(金属酸化物を除く)、特に有機化合物からなる色材を含有しないことが好ましい。
色材の含有量は、インクの色設計により適宜調整され、例えば、活性線硬化性化合物の全質量に対して0.1~20質量%の範囲内とすることができ、より好ましくは、0.4~10質量%の範囲とすることができる。
(分散剤)
分散剤は主として、金属酸化物及び任意に金属酸化物以外に顔料を含む場合の顔料を分散させるために用いられる。分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテートが含まれる。
分散剤としては市販品を用いることができる。分散剤の市販品の例には、EFKA7701(BASF社製)、JET-9151(BYK社製)、Solsperse22000等のSolsperseシリーズ、(日本ルーブリゾール社製)及び味の素ファインテクノ社のアジスパーPBシリーズ等が含まれる。
分散剤の含有量は、例えば、金属酸化物及び顔料の全質量に対して20質量%以上70質量%以下とすることができる。
(分散媒体)
本発明のインクは、必要に応じて金属酸化物及び顔料を分散させるための分散媒体をさらに含んでもよい。分散媒体として溶剤をインクに含有させてもよいが、形成された画像における溶剤の残留を抑制するためには、活性線硬化性化合物、特に、特に粘度の低いモノマーを分散媒体として用いることが好ましい。なお、分散媒体として、活性線硬化性化合物を用いる場合には、分散媒体の量は、活性線硬化性化合物の含有量に加算される。
(重合禁止剤)
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、ヒンダードアミン及びシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
重合禁止剤の市販品の例には、Irgastab UV10(BASF社製ヒンダードアミン系化合物)、Genorad 18(Rahn A.G.社製)等が含まれる。
重合禁止剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。重合禁止剤の量は、インクの全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
(界面活性剤)
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類などのノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類などのカチオン性界面活性剤、並びにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、信越化学工業株式会社製、KF-351A、KF-352A、KF-642及びX-22-4272、ビッグケミー社製、BYK 307、BYK 345、BYK 347及びBYK 348(「BYK」は同社の登録商標)、並びにモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4452などが含まれる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部又は全部をフッ素で置換したものを意味する。フッ素系の界面活性剤の例には、Megafac F、DIC社製(「Megafac」は同社の登録商標)、Surflon、AGCセイケミカル社製(「Surflon」は同社の登録商標)、Fluorad FC、3M社製(「Fluorad」は同社の登録商標)、Monflor、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製、Zonyls、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製、Licowet VPF、ルベベルケ・ヘキスト社製、及びFTERGENT、ネオス社製(「FTERGENT」は同社の登録商標)が含まれる。
界面活性剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。界面活性剤の量は、インクの全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
<インクの物性>
インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、インクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点からは、インクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
インクのゲル化温度は、30℃以上70℃以下であることが好ましい。インクのゲル化温度が30℃以上であると、記録媒体に着弾後、インクが速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。インクのゲル化温度が70℃以下であると、インク温度が通常80℃程度であるインクジェットヘッドからのインクの射出時にインクがゲル化しにくいため、より安定してインクを射出することができる。
インクの80℃における粘度、25℃における粘度及びゲル化温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。本発明においては、これらの粘度及びゲル化温度は、以下の方法によって得られた値である。
インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica社製、MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、AntonPaar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。80℃における粘度及び25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求める。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求める。
インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、金属酸化物粒子及び任意に含まれる金属酸化物粒子以外の顔料粒子の平均粒子径は、0.08μm以上0.5μm以下であることが好ましく、最大粒子径は0.3μm以上10μm以下であることが好ましい。本発明における金属酸化物粒子及び任意に含まれる金属酸化物粒子以外の顔料粒子の平均粒子径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値である。なお、金属酸化物粒子を含むインクは濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インクを200倍で希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
<インクの調製>
本発明のインクは、例えば、必須成分である活性線硬化性化合物、金属酸化物、ワックス及び紫外線吸収剤と、任意の各成分とを、紫外線吸収剤の含有量がワックスの含有量に対して40質量%以上となるように混合することにより得ることができる。混合は例えば加熱下に行われる。得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。
なお、金属酸化物及び任意に金属酸化物以外に顔料を含む場合の顔料は、予め分散剤を用いてこれらを分散媒体中に分散した分散液として調製しておき、これに残りの成分を添加して加熱しながら混合してもよい。
分散液の調製は、金属酸化物粒子及び任意に含まれる金属酸化物粒子以外の顔料粒子の平均粒子径が上記範囲となるように、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、及びペイントシェーカーから選ばれる装置を用いて行うことができる。
<画像形成方法>
本発明のインクを用いた画像形成は、公知のインクジェット方式による画像形成方法と同様に行うことができる。具体的には、インクをインクジェットヘッドのノズルから射出して記録媒体に着弾させる第1の工程、及び記録媒体に着弾した液滴に活性線を照射する第2の工程、を含む画像形成方法が適用できる。
(第1の工程)
第1の工程では、インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体の、形成すべき画像に応じた位置に着弾させる。
インクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式及びコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型などの電気-機械変換方式、並びにサーマルインクジェット型及びバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型などの電気-熱変換方式などのいずれでもよい。
インクの液滴は、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクの温度は、35℃以上100℃以下であるが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、35℃以上80℃以下であることがより好ましい。特には、インクの粘度が7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下となるようなインク温度において出射を行うことが好ましい。
インクは、吐出用記録ヘッドからのインクの射出性を高めるために、吐出用記録ヘッドに充填されたときのインクの温度が、当該インクの(ゲル化温度+10)℃~(ゲル化温度+30)℃に設定されることが好ましい。吐出用記録ヘッド内のインクの温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、吐出用記録ヘッド内もしくはノズル表面でインクがゲル化して、インクの射出性が低下しやすい。一方、吐出用記録ヘッド内のインクの温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
インクを所定の温度に加熱する方法は特に制限されない。例えば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプ及びヘッド直前の前室インクタンクなどのインク供給系、フィルター付き配管並びにピエゾヘッドなどの少なくともいずれかを、パネルヒーター、リボンヒーター及び保温水などによって所定の温度に加熱することができる。
吐出される際のインクの液滴量は、記録速度及び画質の面から、2pL以上20pL以下であることが好ましい。
(第2の工程)
第2の工程では、第1の工程で着弾させたインクに活性線を照射して、これらのインクが硬化してなる画像を形成する。活性線は、インク着弾後0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることが好ましく、高精細な画像を形成するためには、0.001秒以上0.5秒以下の間に照射されることがより好ましい。
インクに照射する活性線は、例えば、電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線などから選択することができるが、これらのうち紫外線を照射することが好ましい。紫外線は、例えば、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製 によって照射することができる。LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によってインクが溶けることによる、インクの硬化不良の発生を抑制することができる。
LED光源は、370nm以上410nm以下の波長を有する紫外線の画像表面におけるピーク照度が0.5W/cm以上10W/cm以下となるように設置され、1W/cm以上5W/cm以下となるように設置することがより好ましい。輻射熱がインクに照射されることを抑制する観点からは、画像に照射される活性線量は1000mJ/cm未満であることが好ましい。
また、活性線を照射するときに、インク周辺の酸素濃度を下げることで、活性線重合開始剤の量がより少ないインクも十分に硬化させることができる。そのため、活性線重合開始剤の残渣などがブリードアウトすることにより、画像の品質の低下を抑制することができる。酸素濃度を下げる手段としては、例えば窒素ガスによる気体置換等が挙げられる。上記観点からは、活性線を照射するときのインク周辺の酸素濃度は、0.1体積%以上10.0体積%以下であることが好ましく、酸素濃度は0.5体積%以上8.0体積%以下であることがより好ましく、0.5体積%以上6.0体積%以下であることがさらに好ましい。なお、インク周辺の酸素濃度を下げることで、より少ない活性線量でもインクを十分に硬化させることができる。
また、活性線の照射を2段階に分け、まずインクが着弾した後0.001秒以上2.0秒以下の間に前述の方法で活性線を照射してインクを仮硬化させ、全印字終了後にさらに活性線を照射してインクを本硬化させてもよい。活性線の照射を2段階に分けることで、インク硬化の際に起こる記録材料の収縮がより生じにくくなる。
本発明の画像形成方法では、記録媒体上に着弾したインクに活性線を照射して硬化した後の総インク膜厚を、2μm以上20μm以下であるようにすると、記録媒体のカール及び皺の発生並びに記録媒体の質感変化などをより効率的に防ぐことができる。なお、「総インク膜厚」とは、記録媒体上に塗布又は印字されたすべてのインクの膜厚の合計値、又はインクの着弾量が多い吐見込まれる複数の地点で測定した前記膜厚の平均値を意味する。
<記録媒体>
本発明のインクに係る画像形成方法に用いる記録媒体は、本発明のインクで画像が形成される記録媒体であればよい。例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート及びポリブタジエンテレフタレートなどのプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材)、金属類及びガラスなどの非吸収性の無機記録媒体、並びに吸収性の紙類(例えば、印刷用コート紙及び印刷用コート紙B)とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
<インクの成分>
以下に示す成分(商品名:化合物名(製造元))を用いてインクを調製した。
[活性線硬化性化合物]
M222:ジプロピレングリコールジアクリレート(Miwon社製)
SR610:ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(SARTOMER社製)
M360:3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Miwon社製)
SR494:4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SARTOMER社製)
[紫外線吸収剤]
TINUVIN 479:ヒドロキシフェニルトリアジン化合物(BASF社製)
TINUVIN 460:ヒドロキシフェニルトリアジン化合物(BASF社製)
TINUVIN 571:ベンゾトリアゾール化合物(BASF社製)
Sumisorb 130:ベンゾフェノン化合物(住友化学社製)
[ワックス]
ニッサンエレクトールWEP-3:ベヘニン酸ベヘニル(日油株式会社製);一般式(G2)のエステルワックス、表中「WEP-3」で示す。
カオーワックスT1:ジステアリルケトン(花王株式会社製);一般式(G1)のケトンワックス、表中「T1」で示す。
[活性線重合開始剤]
IRGACURE(登録商標) 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF社製)
2-ITX:2-イソプロピルチオキサントン(ランブソン社製)
[重合禁止剤]
IRGASTAB(登録商標) UV10:[1,10-ジオキソデカン-1,10-ジイルビス(オキシ)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4,1-ピペリジンジイル)ビスオキシ]ラジカル(BASF社製);表中「UV10」で示す。
[界面活性剤]
BYK307:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミージャパン社製)
<金属酸化物分散液・顔料分散液の調製>
(金属酸化物分散液の調製)
〔酸化チタンの表面修飾および炭素原子量の測定〕
3.0質量部の表面修飾剤としてのメチルトリメトキシシランと、97.0質量部の表面修飾されていない酸化チタン(堺化学工業株式会社製、R25、平均一次粒径;200nm)と、を溶剤中に投入して調製したスラリーを、撹拌器で混合し、さらに横型連続式サンドグラインダーミル(アイメックス社製、ウルトラビスコミル)により5分間の分散処理を行った。上記分散処理後の混合物をニーダーに投入し、減圧加熱して溶媒を除去した。その後、得られた粉末を120~150℃でキュアリングして、粉末状の表面修飾された酸化チタンである表面修飾酸化チタン1を得た。なお、表面修飾酸化チタン1の平均一次粒径は、用いた酸化チタン(R25)の平均一次粒径と同等である。
得られた表面修飾酸化チタン1に含まれる炭素原子量を、Elmentar社製、varioELcubeを用いて、燃焼法-熱伝導度(TCD)検出法により、以下の条件で測定した。結果は、表面修飾酸化チタン1に含まれる炭素原子量は、0.31質量%であった。
測定項目: CHNS同時測定
燃焼管温度: 1150℃
還元管温度: 850℃
キャリアガス: ヘリウム
キャリアガス流量: 230ml/min.
酸素流量(燃焼時): 40ml/min.
〔分散液の調製〕
下記分散剤と、分散媒体をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解し、分散剤溶液を得た。
分散剤:JET-9151(BYK社製) 20質量部
分散媒体:M222(ジプロピレングリコールジアクリレート) 40質量部
得られた分散剤溶液を室温まで冷却した後、これに表面修飾酸化チタン1を40質量部加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓した。これをペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して、表面修飾酸化チタン分散液1を得た。表面修飾酸化チタン分散液1における表面修飾酸化チタン1の含有量は40質量%であった。
(イエロー顔料分散液の調製)
下記分散剤の2種類と、分散媒体をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解し、分散剤溶液を得た。
分散剤:EFKA7701(BASF社製) 5.6質量部
分散剤:Solsperse22000(日本ルーブリゾール社製) 0.4質量部
分散媒体:M222(ジプロピレングリコールジアクリレート) 74.0質量部
得られた分散剤溶液を室温まで冷却した後、これにイエロー顔料として、有機顔料であるPY185(BASF社製、パリオトールイエローD1155;イソインドリン顔料)を20質量部加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓した。これをペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して、イエロー顔料分散液を得た。イエロー顔料分散液におけるイエロー顔料の含有量は20質量%であった。
[インク1~14の調製]
表Iに記載された成分比にしたがって、上記金属酸化物分散液・顔料分散液と上記に示す各材料とを混合して、80℃に加熱して撹拌した。その後、上記混合液を加熱しながら、ADVANTEC社製テフロン(「テフロン」はザケマーズ カンパニーの登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過して、いずれも活性線硬化型のインクジェットインクであるインク1~インク14を得た。インク1~インク12は本発明の実施例であり、インク13及びインク14は比較例のインクである。
なお、表Iのインク組成で示す数値は質量%である。組成の欄における空欄は、その化合物を含有しないことを示す。「紫外線吸収剤/ワックス」は、ワックスの含有量に対する紫外線吸収剤の含有量の質量%を示す。「金属酸化物/紫外線吸収剤」は、紫外線吸収剤の含有量に対する金属酸化物の含有量の質量%を示す。
[評価]
得られたインク1~インク14を用いて画像形成を行い、得られた画像の耐光性(色変動)及び品質(光沢変動、文字品質)を以下のとおり評価した。結果を表Iの下欄に示す。
(画像形成装置)
インク1~インク14を、それぞれ、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェットヘッドを有するシングルパスのインクジェット画像形成装置に装填した。インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェットヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、およびインクジェットヘッドからなり、インクジェットヘッドの温度は80℃に設定した。
インクジェットヘッドは、解像度が600dpiであるコニカミノルタ社製インクジェット(ピエゾ式)を、2ヘッドを1セット(1200dpi)としたヘッドモジュールを有していた。
<色変動;耐光性評価>
インク1~インク14のそれぞれをインクジェットヘッドのノズルから射出して、透明PETフィルム(AGT-ES100、100μm、ダイニック社製)上に着弾させた後、以下の硬化条件で硬化させて、10g/mでベタ画像を作製した。
硬化条件は、基材温度40℃で、着弾後1秒以内に、LEDランプ(波長;395nm、基材上での照度;3W/cm、京セラ社製)を光量が500mJ/cmとなるようにインクに照射する条件であった。
得られたベタ画像に対して、アトラス社製キセノンウェザーメーター(Ci4000)を用いてキセノン光(60W/m)を100時間照射する耐光試験を行った。反射濃度計(コニカミノルタ社製 FD-7)を用いて耐光試験の前後で画像を測色し、耐光試験前後の色差ΔE00を算出して下記の基準で評価した。
(基準)
◎;ΔE00が1未満である。
○;ΔE00が1以上3未満である。
△;ΔE00が3以上5未満である。
×;ΔE00が5以上である。
<光沢変動;画質評価>
インク1~インク14のそれぞれをインクジェットヘッドのノズルから射出して、アルミ蒸着PET紙(SPECIALITIESー352、五條製紙社製)上及び透明PETフィルム(AGT-ES100、100μm、ダイニック社製)上に着弾させた後、上記同様の硬化条件で硬化させて、10g/mでベタ画像を作製した。
得られたベタ画像上に2cm×2cmの面積でドット率を50%、70%、100%(最大インク付量10g/m)と変化させたマゼンタの濃度階調パッチを上記ベタ画像の形成方法と同様の方法で作製した。作製した画像を目視で確認し、下記の基準で評価した。なお、ドット率とは出力データのピクセル濃度のことを指す。
なお、マゼンタの濃度階調パッチには、以下のとおり調製されたマゼンタ顔料を含有するインクを用いた。
〔マゼンタインク〕
(マゼンタ顔料分散液の調製)
下記分散剤と、分散媒体をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解し、分散剤溶液を得た。
分散剤:JET-9151(BYK社製) 15質量部
分散媒体:M222(ジプロピレングリコールジアクリレート) 55質量部
得られた分散剤溶液を室温まで冷却した後、これにマゼンタ顔料(Pigment Violet 19(DIC製、Super Red BRZ)、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓した。これをペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して、マゼンタ顔料分散液を得た。マゼンタ顔料分散液におけるマゼンタ顔料の含有量は30質量%であった。
(マゼンタインクの調製)
インク13において、イエロー顔料分散液の代わりにマゼンタ顔料分散液を用いた以外は同様の材料を用いて、各材料を混合して、80℃に加熱して撹拌した。その後、上記混合液を加熱しながら、ADVANTEC社製テフロン(「テフロン」はザケマーズ カンパニーの登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過してマゼンタインクを得た。
(基準)
◎;全ての基材において、全てのドット率の光沢が均一であり、粒状性が低い。
○;透明PETフィルムにおいて、光沢がやや不均一であるが、粒状性は低い。
△;全ての基材において、光沢が不均一であるが、粒状性は低い。
×;全ての基材において、光沢が不均一であり、ざらつきが目立つ。
(文字品質)
インク1~インク14のそれぞれを用いて、上記画像形成装置により、アルミ蒸着PET紙(SPECIALITIESー352、五條製紙社製)上及び透明PETフィルム(AGT-ES100、100μm、ダイニック社製)上に、MS明朝体の3ポイント及び5ポイントで「籍」という文字を印刷した。インクジェットヘッドのノズルから射出し、基材上に着弾後のインクの硬化条件は上記と同様とした。得られた文字を目視で観察し、下記の基準で評価を行った。
(基準)
◎;どちらの基材でも3ポイント文字が細部の潰れなく再現できている。
○;透明PETフィルムで3ポイント文字の細部がわずかにつぶれているが、アルミ蒸着PET紙では細部の潰れなく再現できている。
△;どちらの基材でも3ポイント文字では細部が潰れているが、5ポイント文字では潰れなく再現できている。
×;どちらの基材でも5ポイント文字でも細部が潰れている。
Figure 2022110414000001
表Iに示すように、本発明のインクによれば、高精細であり、かつ耐光性に優れるインクジェット画像が得られる。

Claims (8)

  1. 活性線硬化性化合物、金属酸化物、ワックス及び紫外線吸収剤を含むインクジェットインクであって、
    前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して40質量%以上であることを特徴とするインクジェットインク。
  2. 前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ワックスの含有量に対して60質量%超であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記金属酸化物の含有量が、前記紫外線吸収剤の含有量に対して300~1000質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記金属酸化物が酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  5. 前記ワックスが、一般式(G1)で表される化合物又は一般式(G2)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
    一般式(G1): R1-CO-R2
    一般式(G2): R3-COO-R4
    (一般式(G1)において、R1及びR2は、独立して炭素数9以上25以下の、分岐鎖を有してもよい直鎖状の炭化水素基を示し、一般式(G2)において、R3及びR4は、独立して炭素数9以上25以下の、分岐鎖を有してもよい直鎖状の炭化水素基を示す。)
  6. 前記紫外線吸収剤がヒドロキシフェニルトリアジン化合物を含むことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  7. 前記金属酸化物は金属酸化物粒子であり、前記金属酸化物粒子がポリオール、シロキサン化合物及びシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種で表面修飾されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  8. 前記金属酸化物は金属酸化物粒子であり、前記金属酸化物粒子の平均一次粒径が100~300μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のインクジェットインク。
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