JP2022109847A - 抗ウイルス透明積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】防曇性乃至撥水性を有しながら、抗ウイルス性能を安定して長期間維持することが期待できる抗ウイルス透明積層体を提供すること。【解決手段】抗ウイルス透明積層体は、有機ガラス基材11に、銀イオン担持ゼオライトを17~40%含有する抗ウイルス層17が設けられている。抗ウイルス層17は、光触媒性能ではなく抗ウイルス性能を有する銀イオンを担持するゼオライトが含有されているため、抗ウイルス性能を発揮させるために紫外線を必要とせず、屋内や夜間の条件であっても抗ウイルス性能を十分に発揮することができる。さらに、抗ウイルス層17の上に超親水性の防曇膜19、乃至撥水防汚膜19Aを設けることにより抗ウイルス性能だけではなく、視認性向上や汚れの拭き取り易さ等、様々な需要に対応できる。

Description

本発明は、抗菌性に加えて抗ウイルス性を有する透明積層体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、防曇性又は撥水防汚性を有しながら、抗菌性とともに抗ウイルス性の安定した長期間維持が期待できる抗ウイルス透明積層体に係る発明である。
ここでは、抗ウイルス透明積層体として、眼鏡レンズを例に採り説明する。本発明に係る透明積層体には、眼鏡レンズに限らず、サングラスや透明パネル部品(携帯電話やスマートフォンのディスプレイさらには時計文字盤カバー)等が含まれる。
なお、含有率を示す「%」は、「質量%」を意味する。また、親水性乃至撥水性の指標である「接触角」は、「25℃純水」に対するものである。
また、nm及びμm単位の膜厚は、直接的に計測することができず、膜形成前後の反射率の変化率から推定した光学推定値である。
眼鏡レンズには、レンズ表面に防曇処理や撥水防汚処理を施して付加価値をつけて上市することが多い。そして、昨今の健康志向の高まりから、レンズ表面に抗菌性を付与したものが上市されるようになってきている。
ここで、レンズ表面に防曇性とともに抗菌性を有する透明積層体に係る公知文献として、特許文献1等がある。
特許文献1に記載の抗菌透明積層体は、前提構成「透明基材と、該基材の表面に形成された、1以上の低屈折率誘電体層を含む誘電体多層膜と、を備えており、前記誘電体多層膜における最も前記基材から遠い層である最外層として、金属イオン担持ゼオライトを含む誘電体層(抗菌層)が配置されている」において、「防曇塗膜中のアルコキシシリル基誘導OHと抗菌層中におけるSiO誘導OHとが脱水縮合してシロキサン結合が形成されている。このため、防曇塗膜は、抗菌蒸着層の抗菌作用を阻害しない薄膜であっても耐久性を有する。
他方、レンズ表面に、撥水防汚性とともに抗菌性を有する透明積層体に係る公知文献として、特許文献2等がある。
本文献に係る抗菌透明積層体(光学製品)は、特許文献1と同様の前提構成において、請求項4・5に記載されている如く「アルコキシシリル基等の反応性シリル基を有する含フッ素有機ケイ素化合物からなる撥水(防汚)膜」を備えた抗菌透明積層体である、(同文献、段落0013参照)。このため、抗菌層と撥水膜とが特許文献1と同様のメカニズムでシロキサン結合されている。
したがって、同文献記載の「撥水防汚膜」も、特許文献1における「防曇膜」同様、抗菌層の抗菌作用を阻害しない薄膜であっても耐久性を有する。
これらの特許文献1・2には、抗菌を目的とするものの抗ウイルスを目的とすることは記載乃至示唆されていない。すなわち、「細菌」は自己増殖可能な生物であるのに対し、「ウイルス」は自己増殖できない非生物であり、DNA等の囲繞する外郭構造も異質的である。このため、抗菌性を有することが抗ウイルス性を有することにはならないとするのが当業者常識である。
そして、昨今、眼鏡レンズ等には、昨今のコロナウイルスを含むウイルス性感染症の拡大に伴い抗ウイルス性能を備えた眼鏡レンズ等の出現が希求されるようになってきている。
しかし、上記のような抗ウイルス性を備えた眼鏡レンズ等の光学無機蒸着膜を備えた透明樹脂積層体に係る公知文献は、本願発明者らは寡聞にして知らない。
なお、抗ウイルス積層体に係る公知文献として特許文献3や特許文献4がある。
特許文献3には、抗ウイルス性製品として、SiOをマトリックスとし銀イオンをアルカリ金属イオンとともに含有する被膜を備えた被膜付き(無機)ガラスが提案されている(請求項1等)。しかし、当該製品は建築や自動車用のガラス窓を予定しており(段落0001)、本発明の眼鏡レンズのような光学無機蒸着膜を備えた透明積層体を予定しないとともに、銀イオンを含有するSiOのマトリックスもシロキサン結合(-Si-O-Si-)により高分子量化されたポリシロキサンであり(段落0058~0059)、本発明に係る酸化ケイ素粉末の焼結体とは異質的である。
また、特許文献4には、無機抗ウイルス粒子を含む抗ウイルス層における、無機抗ウイルス粒子の径を抗ウイルス層の膜厚近傍として無機抗ウイルス粒子を表面露出させて保持する抗ウイルス性のメラミン化粧板が提案されている。しかし、当該製品は、当然、光学無機蒸着膜を備えた透明積層体ではなく、本発明に係る抗ウイルス透明積層体とは構成的にも異質である。
特開2020-142494号公報 特開2018-159860号公報 特開2016-33109号公報 特開2019-25918号公報
本願発明は、上記にかんがみて、防曇性乃至撥水防汚性を有しながら、抗ウイルス性能を安定して長期間維持することが期待できる抗ウイルス透明積層体を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、本願出願人が先にした出願(特許文献1)に着眼して、鋭意開発に努力をした結果、金属担持ゼオライトを従来の抗菌透明積層体に比して相対的に増量させた場合、抗ウイルス性能を発揮すること、その際、眼鏡として本発明品を使用する際にウイルス拡散防止を目的としたマスクと併用することを想定し、防曇機能を備えた下記構成の抗ウイルス透明積層体に到達した。
本願発明に係る抗ウイルス透明樹脂積層体の一の態様は、透明基材の少なくとも片面に、準拠膜設計が最終層をSiO層とする光学無機蒸着膜を備え、光学無機蒸着膜の上面にさらに超親水性の防曇膜を備える透明積層体において、
最終層であるSiO層を、所要の抗ウイルス性を呈する量の金属担持ケイ酸塩を含有するSiO粉末焼結体で蒸着形成される抗ウイルス層で代替して、防曇膜を前記保護SiO層とシロキサン結合させる、ことを特徴とする。
本発明に係る抗ウイルス積層体の他の態様は、透明基材の少なくとも片面に、準拠膜設計が最終層をSiO層とする光学無機蒸着膜を備え、該光学無機蒸着膜の上面にさらに撥水防汚膜を備える透明積層体において、最終層であるSiO層を、所要の抗ウイルス性を呈する量の金属担持ケイ酸塩を含有するSiO粉末焼結体で蒸着形成される抗ウイルス層で代替して、該抗ウイルス蒸着層を前記最終層であるSiO層とシロキサン結合させることを特徴とする。
本願発明の防曇仕様の眼鏡レンズの概念断面図である。 同じく撥水防汚仕様の眼鏡レンズの概念断面図である。
以下、本願発明に係る眼鏡レンズを図面に基づいて説明する。
図1に示す防曇仕様の眼鏡レンズは、レンズ基材11が有機ガラスである眼鏡レンズで、レンズ基材11の片面又は両面に(図例では上面のみ)、プライマー塗膜/ハード塗膜13を介在させて、光学無機蒸着膜15、その上面に順次、複合層である抗ウイルス層17、保護SiO層17a、及び防曇膜19を備えている。すなわち、準拠膜設計が最終層をSiO層とする光学無機蒸着膜において、最終層であるSiO層を、所要の抗ウイルス性を呈する量の金属担持ケイ酸塩を含有する蒸着形成される抗ウイルス層17と保護SiO層17aとからなる複合層で代替した。ここで、防曇膜19は、防曇膜19と抗ウイルス層17との間にシロキサン結合等により実用的結合力が得られれば、図2に示す如く、保護SiO層17aを介さずに直接抗ウイルス層17に施してもよい。
図2に示す撥水防汚仕様の眼鏡レンズは、上記防曇仕様の透明積層体において、保護層SiO層17aをなくし、且つ、防曇膜19を撥水防汚膜19Aに置換したものである。
なお撥水防汚膜19Aは、通常、防曇膜を形成する(メタ)アクリル系ポリマー(特許文献1、請求項1)に比して、耐候性・耐熱性・耐摩耗性等に優れるとともに抗ウイルス層との間にシロキサン結合力を得やすい含フッ素有機ケイ素化合物で形成するため、抗ウイルス層17との間に保護層SiO層17aは、不要である。
上記各仕様の光学無機蒸着膜15の準拠設計例としては、本発明では、最終層(最外層)がSiO層とされているもの、望ましくは国際公開2012/157072号、請求項1に記載の耐熱仕様のものを使用することが望ましい。具体的には、特開2016-71338号公報、特許文献1、表1におけるAR1・2・3・5・6や、前記国際公報の表1-1~1-3における耐熱仕様の実施例群、表1-2における実施例群を好適に使用できる。具体的な準拠設計例を表2に記載する。前記国際公報における耐熱仕様の(特許文献5の表1-1の実施例1-1・1-3・1-4の膜厚乃至酸化チタン(TiをTiOに)改変したものである。
上記レンズ基材11としては、有機ガラス、無機ガラスを問わない。有機ガラスも無機ガラスも、それぞれ、眼鏡用の汎用のものを使用できる。
具体的には、有機ガラスとしては、上市品も含めて、特開2016-71338号公報、段落0022に例示されているものを、無機ガラスとしては、同公報、段落0023に例示されているものを、挙げることができる。
上記プライマー膜/ハード膜13は、それぞれ汎用の材料を使用し、慣用の方法で形成する(同公報、段落0026~0062)。なお、レンズ基材が無機ガラスの場合は、上記対擦傷性等を向上させるためのプライマー膜/ハード膜13は不要である。
なお、光学無機蒸着膜を耐熱仕様とした場合の基材側第1層を形成するLa酸化物を含む蒸着材料としては、「サブスタンスH4」の商品名でメルクパフォーマンスマテリアルズ社から上市されているもの、「OH-14」の商品名で上市されているキヤノンオプトロン社製のものを挙げることができる。
ここで、抗ウイルス層の抗ウイルス成分である金属担持ケイ酸塩は、金属元素をイオン、単体、酸化物、錯塩等のあらゆる形態で含有する。
具体的には、例えば、高麗寛紀著「無機系抗菌剤の開発の現状と将来」、無機マテリアル、1999年11月、第6巻、p428-436、表2のゼオライト系、シリカゲル系及びガラス系の各行に記載されている市販品のうちから、SiO粉末焼結体(抗ウイルス層蒸着材料)とすることが可能なものを適宜選択して使用することができる。特に、金属イオン担持ゼオライトが望ましい。
なお、金属イオン担持ゼオライト(アルミノケイ酸塩)系を採用するのは、汎用性を有するとともに、それ自体SiOの含有率が高く、SiO蒸着層におけるSiOの変動幅を抑制する。光学無機蒸着膜の屈折率の変化を可及的に小さくして、蒸着膜の光学設計が容易になるとともに、抗ウイルス層17上に防曇膜19や撥水防汚膜19Aを直接施す場合にシロキサン結合の強度を高めるためである。
また、金属イオンとしては、抗菌金属として多用されている銀(Ag),銅(Cu)又は亜鉛(Zn)の各イオンが望ましいが、抗ウイルス性を呈すれば、8~12族の第一・第二遷移元素でもよい。これらのうちで、特に、銀イオンを全部または銀イオンを主体とし銅イオン乃至亜鉛イオンを併用することが望ましい。銀イオン(通常+1)はS,N,Oを持つ官能基と反応性が高く、ウイルスの外郭であるカプシドやエンベロープを構成する(糖)タンパクと反応してそれらを損傷する、乃至、銀の触媒作用で発生する活性酸素がウイルス内に侵入して酵素活性を不活化させることが予測されるためである。
なお、最終層(SiO)に含有させる金属担持ケイ酸塩の代わりに、金属含有化合物を含む公知の各種抗ウイルス剤の使用も考えられる(例えば、特開2018-58826号公報)。
上記の如く、金属担持ケイ酸塩を金属イオン担持ゼオライトとする場合、金属イオン含有率0.1~15%のものが適している(特開2007-91501号[0008]、特開昭63-265809号3頁右柱2段、特開2018-12877[0009]参照)。金属イオン含有率が過少であると、蒸着材料中に所要の抗ウイルス性を呈するための抗ウイルス層中の金属イオン担持ゼオライトの配合量が過多となる。このため、抗ウイルス層の光学特性が準拠設計例の最終SiO層と乖離しやすく透過率等を確保しがたいとともに、抗ウイルス層と、防曇膜や撥水防汚膜との間のシロキサン結合の強度が低下しやすくなる。
逆に、金属イオン含有率が過多であると金属イオン担持ゼオライトの配合量が少なくて済むが、抗ウイルス層における金属イオンの均一性を確保し難く、散点的な変色(斑点)が発生しやすくなる。
なお、従来の銀イオン担持ゼオライトの抗菌・殺菌カニズムの結論は出ていないが、活性酸素により細菌を死滅させて殺菌作用を奏し、細胞膜のタンパク質中のSH残基と銀イオンが反応して抗菌性や殺菌性を発揮すると考えられている。
しかし、ウイルスは代謝を行わず、且つ、細菌(μmオーダ)に比して各段に小さく(コロナウイルスの場合、約100nm)、その核酸を包む構造も異質的である(ノロウイルス・アデノウイルス等の場合、細胞膜の代わりに核酸がカプシド(タンパク)で被覆されており、コロナウイルス・インフルエンザウイルス等の場合は、さらにはエンベロープ(糖タンパク)で被覆されている。
このため、銀イオンのウイルス損傷・不活性化(感染能低下)のメカニズムは、細菌に対する殺菌・抗菌メカニズムと異質と考えられる。従って、特許文献1に係る銀イオンを含有させた抗菌積層体がそのまま抗ウイルス積層体に適用しても優れた抗ウイルス性を発揮するとは考えられない。事実、特許文献1に係る、抗菌剤が銀イオン担持ゼオライトの場合、表3に示す如く、実施例1・2(含有率10・15%)では、抗ウイルス性能について弱かったが、実施例3(含有率20%)では、抗ウイルス性能が向上した。
抗ウイルス層を形成するSiO粉末焼結体(抗ウイルス蒸着材料)は慣用の方法で調製する(例えば、特開2018-12877[0014]参照)。このときの金属担持ケイ酸塩の抗ウイルス蒸着材料中の含量は、金属担持ケイ酸塩の種類、金属の種類・含量に応じて異なるが、抗ウイルス層の透過率及び抗ウイルス性の観点から、銀イオンを0.1~15%銀イオン担持ゼオライトの場合、抗菌層を形成するときに比して相対的に多量の含量、例えば、17~40%、望ましくは20~35%とする。
上記無機蒸着膜及び抗ウイルス層は、汎用の真空蒸着法、スパッタリングやイオンプレーティング等のPVDにより、通常、同一蒸着装置により、各層を連続的に順次成膜して形成する。
これらのうち、真空蒸着法が、量産性、生産性の観点から望ましい。ここで、真空蒸着に際して、膜密着性や膜緻密性の見地から適宜イオンアシストやプラズマ処理をしながら成膜することもできる(前記国際公開公報;段落0089-0096等)。
ここで、上記最終層である抗ウイルス層17の膜厚は、20~200nm、望ましくは、40~150nmとする。最終層が薄すぎると所要の抗ウイルス性を確保し難くなり、厚すぎると所望の光学特性を得難い。
このとき抗ウイルス層が保護SiO層を備えている場合、各層厚は、抗ウイルス層層厚+保護層層厚=設計最終層厚となるように膜設計をする。
そして、保護層SiO層17aの層厚は、1~30nm、望ましくは5~10nmとする。保護層が薄すぎると保護機能を発揮し難くなり、厚すぎると抗ウイルス層中の金属担持ゼオライトの担持金属イオンが表面迄達せず抗ウイルス性を発揮し難くなる。
そして、上記最終層の上面には、防曇膜19又は撥水防汚膜19Aを設けて、眼鏡レンズとする。
防曇膜は、耐久性を有し抗ウイルス層の抗ウイルス性を阻害せず、超親水性を呈する薄膜なら特に限定されず、防曇膜の形態も塗膜、蒸着膜のいずれでもよい。ここで、超親水性とは接触角10°以下、望ましくは5°以下を呈する。
このときの防曇膜の膜厚は、抗菌層の場合と同様、例えば、10nm以下(特許文献1[請求項4])、望ましくは5nm以下とする。下限膜厚は、超親水性を形成できれば、可及的に薄い方が、抗ウイルス性を発揮しやすく望ましい。例えば、2nm以上とする。
例えば、塗膜(湿式法)の場合、特許文献1、請求項1の最終段落や同段落0024等に記載の「親水性側鎖COOR(R:親水基)を有するとともに、末端アルコキシシリル基を導入した(メタ)アクリル系ポリマー」を使用可能である。
具体的には、同文献段落0052~0068及び表1(本願明細書の[表1]として引用記載する。)に記載の防曇剤で形成し、さらには保守できるものが望ましい。より望ましくは、同文献、実施例の欄における段落0085に記載の防曇剤及び防曇膜形成方法を採用する。蒸着タイプの防曇剤(親水性コーティング剤)としてキヤノンオプトロン社から上市されている商品名(登録商標)「PHILICFINE HP-2」等も使用可能である。蒸着膜(乾式法)の場合、特開2017-7157号、段落0011に記載の「(メタ)アクリル系ポリマー混合物に適宜SiOを加えたもの」も使用可能である。
本発明の超親水性の防曇膜は、抗ウイルス層の保護SiO層とシロキサン結合により強固に結合されている。このため、たとえば、通常の湿式塗布で得られる膜厚(通常2~30μm)に比して格段に薄い膜厚(2~8nm)でも長期安定な防曇性を維持でき(特許文献1の擦り試験後防曇性を示す表2や擦り試験後の接触角を示す表4参照)。特許文献1、表4によれば、100℃×15minの条件で加熱処理した本発明の防曇膜は、初期:4.0°であった接触角が、擦り試験において、擦り往復回数3000回実施後でも6.5°を維持されている。なお、擦り試験は、メガネクロスに荷重500gを負荷させて、ストローク:3cm、往復頻度:1回/1秒の条件で行った。
ちなみに、本発明と同様の超親水性の防曇膜を開示している特開2012-148436号公報の望ましい態様である、接触角10°以下である実施例1~4の乾燥膜厚は、いずれも20nmである(同公報[表1])。
なお、防曇膜は、超親水性を呈するため、防曇性能とともに付着したウイルスが同時に防曇前の水膜生成により活性期間の短縮(高湿度下のウイルス活性期間は相対的に短い)が期待できる。このため、抗ウイルス剤によるウイルス不活化(感染性の失活)作用との相乗により抗ウイルス効果の増大が期待できる。
また、上記撥水防汚膜19Aとしては、担持金属が透過乃至露出可能な薄膜を形成可能なものなら特に限定されない。例えば、特開2004-61879、2017-111413号公報などに記載されている「フッ素変成有機基と反応性のシリル基(例えば、アルコキシシリル基)を有するフッ素系シラン化合物で形成されて、抗ウイルス層とシロキサン結合する」ものが望ましい。特に特開2017-111413号公報、請求項1等に記載されている「接触角100°以上(望ましくは105°以上)の特性を示すとともに、撥水防汚膜の摩擦特性が、対SUS球μ>対SUS球μであって、対SUS球μ≧0.100かつ対SUS球μ<0.095 を満たす撥水剤が望ましい。具体的には、同段落文献、段落0032~0045に記載の撥水撥油剤及び塗膜形成方法とする。このときの撥水防汚膜の膜厚は、3~30nm、さらには5~25nmとする。
具体的な撥水塗料としては、信越化学工業(株)製のフッ素系防汚コーティング剤「X-71-195」等を挙げることができる。
上記撥水防汚膜19Aは、基材被処理面が、最表層が抗ウイルス層17である光学無機薄膜で形成されている場合において、撥水防汚剤を繊維状の導電性物質の塊に付着させ、それを1~0.0001Pa(さらには0.1~0.001Pa)の真空下で加熱(例えば、30~400℃)する、いわゆる乾式処理法(乾式コーティング法)により形成することが望ましい。
なお、特許文献2、実施例2にあげられている蒸着タイプの撥水防汚剤(撥水撥油コーティング剤)としてキヤノンオプトロン社から上市されている商品名(登録商標)「SURFCLEAR 100」等が使用可能である。さらには、特許文献3、段落0149[例11]に記載の含フッ素防汚剤(含フッ素有機ケイ素化合物)も使用可能である。
本発明の撥水防汚膜は、撥水防汚性を示すため、塵埃や油性汚れとともにウイルスのレンズ面付着の低減が期待でき、上記防曇膜の場合と同様、抗ウイルス剤(銀イオン等)によるウイルス不活化作用との相乗により抗ウイルス性の効果の増大が期待できる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。
抗ウイルス性試験片用の有機ガラス基材(無加工試験片)として、「MR-20」(三井化学株式会社製ポリチオウレタン、屈折率:1.60)製のφ75mm平板を使用した。
そして、該有機ガラス基材の上面に、国際公開2012/15702号における実施例と同様にして、プライマーコート及びハード膜(ハードコート)を形成し、さらに光学無機蒸着膜15を、表2の5層設計に準じて真空蒸着により成膜した。
すなわち、プラマー組成物は同国際公開公報、段落0122に記載の<プライマー組成物1>を、ハードコート組成物は同段落0126に記載の<ハード膜組成物2>を用いた。そして、同段落0124・0137と同様に、上記プライマー組成物を塗布して、100℃×10min硬化後、ハードコート組成物を塗布し、上記ハード膜組成物を塗布し、120℃×2hの条件で硬化させた。
なお、上記塗布は、いずれも浸漬塗布(引き上げ速度:105mm/min)とした。
光学無機蒸着膜15は、真空蒸着装置(株式会社シンクロン製 連続式真空薄膜形成装置)を用い、表2に記載の設計例において、最終蒸着層を表3に示す蒸着層に置換して、各層ごとに蒸着させ反射防止膜を成膜した。
具体的には、同国際公開公報、実施例と同様、真空室を60℃に加熱しながら、圧力1.33×10-3Pa以下まで排気し、適宜、イオンクリーニングを行った後、基板側から順に、適宜、イオンアシストをしながら、真空蒸着を行って、前記5層設計の光学無機蒸着膜(反射防止膜)を成膜した。
ここで、第1層を形成する「TiOx+(La)z」は、前述の「サブスタンスH4」を用いた。また、実施例及び比較例の抗ウイルス層の蒸着材料は、金属イオンとしてそれぞれ銀イオン又は銅イオンを担持する金属イオン担持ゼオライトを30%含有させたSiO焼結体を用いた。対照例の最終層は抗ウイルス剤を含まないSiO層である。
防曇膜15は、大阪有機化学工業株式会社から上市されている防曇塗料「LAMBIC-771W」(登録商標)原液(濃度10%)を5倍希釈(濃度2%)して、浸漬塗布(引き上げ速度150mm/min)直後、水洗して、80℃×15min加熱処理をした。水洗時間は、膜厚が表示の≦5nmとなるように調節した。
このように作製した各実施例、比較例、対照例の各試験片(前二者:加工検体、後者:無加工検体)について、抗ウイルス性試験を行った。
<抗ウイルス性試験>
抗ウイルス性試験は、ISO21702「Measurement of antiviral activity on plastics and other non-porous surfaces(プラスチック及び非多孔質形状の抗ウイルス活性の測定)」に準拠して行った。試験の条件を以下に記載する。
・試験ウイルス:インフルエンザウイルス(エンベロープあり)、ネコカリシウイルス(エンベロープなし)
(1)5cm角の試験片((抗ウイルス加工品と無加工品)に0.4mLのウイルス液を滴下し、4cm角のフィルムで被覆する。
(2)この試験片を25℃×24時間静置する。
(3)静置後、試験片上のウイルスを洗い出して回収した後、ウイルス感染価を測定する。
(4)次式により、抗ウイルス活性値を算出する。
▲R▼=▲U▼t-▲A▼t
▲R▼ :抗ウイルス活性値(antiviral activity)
▲U▼t:無加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
▲A▼t:抗ウイルス加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
<親水性試験>
参考のために特許文献1における実施例1群について滑り試験後の接触角試験の試験結果を示す表3を、一部引用して表4とする。これらの結果から、本願の実施例1等においても、優れた防曇持続性(超親水:接触角10°以下)を示すことが伺える。
本願実施例は、蒸着層構成が本願の実施例1等と同様の5層であり、かつ、同実施例1等と同類のポリマー末端にアルコキシシリル基を有するアクリル系ポリマーからなる防曇塗料「LAMBIC-771W」を用いて同様な膜厚(5nm以下)の防曇膜を形成したものであるためである。
<試験結果及び考察>
抗ウイルス試験結果を表3に示す。
本発明の試験例である実施例は、抗ウイルス性能基準値R≧2.0より格段に高く、エンベロープの有無に関係なく優れた抗ウイルス持続性が期待できる。
なお、表4は、特許文献1の防曇膜用塗料「LAMBIC-771W」を用いて異なる熱処理温度で防曇膜を形成した実施例1群の擦り試験後接触角の試験データを示すものである。
Figure 2022109847000001
Figure 2022109847000002
Figure 2022109847000003
Figure 2022109847000004
11 透明基材(有機ガラス基材)
13 プライマー膜/ハード塗膜
15 光学無機蒸着膜
17 抗ウイルス層
17a 保護SiO
19 防曇膜
19A 撥水膜

Claims (13)

  1. 透明基材の少なくとも片面に、準拠膜設計が最終層をSiO層とする光学無機蒸着膜を備え、該光学無機蒸着膜の上面にさらに防曇膜を備えた透明積層体において、
    前記最終層であるSiO層を、所要の抗ウイルス性を呈する量の金属担持ケイ酸塩を含有するSiO粉末焼結体で蒸着形成される抗ウイルス層で代替して、前記防曇膜を前記抗ウイルス層とシロキサン結合させる、
    ことを特徴とする抗ウイルス透明積層体。
  2. 前記抗ウイルス層がその外側にさらに保護SiO層を備えたものとされていることを特徴とする請求項1記載の抗ウイルス透明積層体。
  3. 前記金属担持ケイ酸塩が、銀イオンからなる又は銀イオンを主とする金属イオン担持ゼオライトであることを特徴とする請求項1又は2記載の抗ウイルス透明積層体。
  4. 前記防曇膜は、側鎖COORの親水基Rが両性イオン型親水基であり、かつ、末端アルコキシシリル基(-SiR (OR、但しR、R:炭素数1~4のアルキル基。以下同じ。)を有する(メタ)アクリル系ポリマー(防曇剤)で形成されて、接触角(対25℃純水)10°以下を示すものであることを特徴とする請求項1~3記載の抗ウイルス透明積層体。
  5. 前記防曇膜の膜厚が、前記防曇膜の耐久性及び前記銀イオンの抗ウイルス性を阻害しない範囲内のものであることを特徴とする請求項4記載の抗ウイルス透明積層体。
  6. 透明基材の少なくとも片面に、準拠膜設計が最終層をSiO層とする光学無機蒸着膜を備え、該光学無機蒸着膜の上面にさらに撥水防汚膜を備える透明積層体において、
    前記最終層であるSiO層を、所要の抗ウイルス性を呈する量の金属担持ケイ酸塩を含有するSiO粉末焼結体で蒸着形成される抗ウイルス層で代替して、該抗ウイルス蒸着層を前記最終層であるSiO層とシロキサン結合させることを特徴とする抗ウイルス透明積層体。
  7. 前記金属担持ケイ酸塩が、銀イオンからなる又は銀イオンを主とする金属イオン担持ゼオライトであることを特徴とする請求項6記載の抗ウイルス透明積層体。
  8. 前記撥水防汚膜が、フッ素変性有機基と反応性シリル基を有する含フッ素有機ケイ素化合物で形成されて、接触角(対25℃純水)100°以上を示すものであることを特徴とする請求項6又は7記載の抗ウイルス透明積層体。
  9. 前記撥水防汚膜の膜厚が、前記撥水防汚膜の耐久性及び前記銀イオンの抗ウイルス性を阻害しない範囲内のものであることを特徴とする請求項6記載の抗ウイルス透明積層体。
  10. 前記透明基材が有機ガラスであるとともに、前記光学無機蒸着膜における前記最終層の内側の少なくとも一層が下記組成物の焼結混合物の蒸着膜(以下「特定蒸着膜」)で形成されたものであることを特徴とする請求項6、7又は8記載の抗ウイルス透明積層体。
    酸化チタン(TiOx;x=1.5~1.8)33~74質量%、
    酸化ランタン(La) 19~65質量%、
    チタン(Ti) 2~7質量%
  11. 請求項1~10のいずれか記載の抗ウイルス透明積層体で形成されていることを特徴とする眼鏡レンズ。
  12. 請求項4記載の基材が有機ガラスである抗ウイルス透明積層体の製造方法であって、
    蒸着膜最終層である抗ウイルス蒸着層の上に、超親水性の防曇塗料を湿式塗布しその直後に水洗浄を行い、加熱処理をして超親水性を呈する前記防曇膜を形成することを特徴とする抗ウイルス透明積層体の製造方法。
  13. 請求項8記載の基材が有機ガラスである抗ウイルス透明積層体の製造方法であって、
    撥水防汚剤を繊維状の導電性物質の塊に付着させ、それを1~0.0001Paの真空下で加熱することにより前記撥水防汚膜を形成することを特徴とする抗ウイルス透明積層体の製造方法。
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