JP2022109630A - 対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法及び検査キット - Google Patents

対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法及び検査キット Download PDF

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Abstract

【課題】対象が患う感染症が細菌由来か否かを迅速且つ簡便に判別するための検査手段を提供する。【解決手段】対象由来の検体を提供する工程と、前記検体中における少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出する工程とを含み、前記検出結果が陽性の場合、細菌由来の感染症であると判定し、前記検出結果が陰性の場合、細菌由来以外の感染症であると判定する、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法、試薬、及びキットに関する。
従来、ヒトや動物等の対象が感染症を患っている場合に、斯かる感染症が細菌に由来するものか否かを判別するための方法としては、対象由来の検体を培養して細菌の増殖を確認する培養法(例えば特許文献1:特開2005-141531号公報)や、対象由来の検体中の細菌の遺伝子を検出するPCR法(例えば特許文献2:特開2001-204470号公報)等が知られていた。
しかし、従来の培養法は、培養設備を要する上に、検出までに数日~1週間もの時間を要し、検査の場所、手間及び時間の面で課題があった。また、培養条件(培地成分、空気有無、温度等)に合致した特定の細菌しか生えず、広範な属の細菌を同時に検出できないという課題もあった。また、従来のPCR法は、検出までに時間を要する上に、前処理が煩雑かつ専用装置が必要という課題があった。
より迅速性が高く、簡便な手法として、検体中の細菌の細胞壁に配位している多糖を抗原とする抗体を用いる迅速抗原検査法(例えば特許文献3:米国特許第6,824,997号明細書)も開発されている。本発明者等は、全ての微生物細胞に存在し、しかもそのアミノ酸構造が微生物間である程度の相違点をもつ細胞内分子として、リボソームタンパク質(Ribosomal protein)L7/L12に着目し、斯かるタンパク質に対する抗体を利用することにより、様々な微生物を各々特異的に、且つ、同一菌種内の種々の血清型を網羅的に検出することが可能な手法を見出した(特許文献4:国際公開第2000/006603号)。その上で、特に肺炎球菌については、これを他の属の細菌と区別して検出できる抗体を取得し、斯かる抗体を用いた検出方法を提案している(特許文献5:特許第5204036号公報)。
しかし、これら従来の細菌検出用抗体は、何れもある特定種の細菌(或いは同一種内の複数の血清型)を抗原として検出するものであり、複数の異なる属に跨る細菌を同時に検出できるものではない。このため、複数属の細菌を同時に検出するためには、個々の細菌を検出対象とした複数種の抗体を作製し、これらを組み合わせて検出を行う必要があり、費用や手間がかかるという課題があった。
特に、感染症に対する初期治療の段階では、細菌感染なら抗生物質、ウイルス感染なら抗ウイルスと、感染源の大分類に応じて適切な治療法が異なるにもかかわらず、感染最初期の段階で感染源の大分類を迅速且つ簡便に判別できる方法は存在しなかった。
特開2005-141531号公報 特開2001-204470号公報 米国特許第6,824,997号明細書 国際公開第2000/006603号 特許第5204036号公報
本発明の一態様は、対象が患う感染症が細菌由来か否かを迅速且つ簡便に判別するための手段を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討の結果、対象由来の検体について、少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出し、検出結果が陽性の場合に細菌由来の感染症であると判定する方法に想到した。その上で、斯かる方法によれば、従来の手法よりも迅速且つ簡便に細菌由来の感染症を判別可能となることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の主旨は以下に存する。
[項1]対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法であって、
前記対象由来の検体を提供する工程と、
前記検体中における少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出する工程とを含み、
前記検出結果が陽性の場合、細菌由来の感染症であると判定し、
前記検出結果が陰性の場合、細菌由来以外の感染症であると判定する、方法。
[項2]前記検出工程において、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ヘモフィルス(Haemophilus)属、マイコプラズマ(Mycoplasma)属、レジオネラ(Legionella)属、ボルデテラ(Bordetella)属、クラミジア(Chlamydia)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、ナイセリア(Neisseria)属、モラキセラ(Moraxella)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、リステリア(Listeria)属、及びカンピロバクター(Campylobacter)属からなる群より選択される2以上の属の細菌を同時検出する、項1に記載の方法。
[項3]前記検出対象となる2以上の属の細菌が、グラム陰性菌及びグラム陽性菌の双方を含む、項1又は2に記載の方法。
[項4]前記判別対象となる細菌由来の感染症が、風邪症候群、肺炎、気管支炎、咽頭炎、結膜炎、髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎、尿道炎、性行為感染症、尿路感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、敗血症、菌血症、下痢症、食中毒、及び胃腸炎から選択される感染症である、項1~3の何れか一項に記載の方法。
[項5]前記対象由来の検体が、咽頭拭い、鼻咽頭拭い、鼻汁、鼻腔吸引液、喀痰、血液、尿、髄液、結膜ぬぐい、中耳貯留液、尿、子宮擦過物、及び便から選択される1種以上の検体である、項1~4の何れか一項に記載の方法。
[項6]前記少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を同時検出する工程が、細菌の培養を含まない方法による、項1~5の何れか一項に記載の方法。
[項7]前記少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を同時検出する工程が、
前記対象由来の検体を、前記少なくとも2以上の属の細菌と抗原抗体反応を生じる抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体と接触させる工程と、
前記検体中に存在しうる前記少なくとも2以上の属の細菌と、前記抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体との抗原抗体反応の有無及び/又は強度を検出する工程とを含む、項1~6の何れか一項に記載の方法。
[項8]前記抗体が、前記2以上の属の細菌のリボソームタンパク質と抗原抗体反応を生じる抗体である、項7に記載の方法。
[項9]前記リボソームタンパク質がL7/L12である、項8に記載の方法。
[項10]前記抗体が、モノクローナル抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体である、項7~9の何れか一項に記載の方法。
[項11]前記モノクローナル抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
重鎖可変領域配列として、配列番号1、配列番号3、及び配列番号5から選択される少なくとも何れか1つのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及び、
軽鎖可変領域配列として、配列番号2、配列番号4、及び配列番号6から選択される少なくとも何れか1つのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列
をそれぞれ含む、項10に記載の方法。
[項12]項7~11の何れか一項に記載の方法であって、前記方法が、
(I)検体と、固相担体と連結された捕捉用抗体と、検出用標識を有する検出用抗体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉すると共に、検体中の細菌を標識する工程、及び
(II)検体中の検出対象細菌を検出用標識に基づき検出する工程
により、検体中の検出対象細菌の有無及び/又は存在量を検出することを含むと共に、
捕捉用抗体及び検出用抗体のうち、一方の抗体が、1種又は2種以上の検出対象細菌と抗原抗体反応を生じる、1種又は2種以上の特異性抗体であり、他方の抗体が、前記検出対象細菌を含む5以上の属の細菌と抗原抗体反応を生じる、1種又は2種以上の汎用性抗体であり、且つ、
前記汎用性抗体又は前記特異性抗体の何れか一方が、項7~11の何れか一項に記載の抗体である、方法。
[項13]前記工程(I)が、
(Ia-1)検体を検出用抗体と接触させ、検出用抗体と細菌との抗原抗体反応により、検体中の細菌を標識する工程、及び、
(Ia-2)検出用抗体により標識された細菌を含む検体を捕捉用抗体と接触させ、捕捉用抗体と細菌-検出用抗体複合体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉する工程
を含む、項12に記載の方法。
[項14]前記工程(I)が、
(Ib-1)検体を捕捉用抗体と接触させ、捕捉用抗体と細菌との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉する工程、及び、
(Ib-2)捕捉用抗体により捕捉された細菌を含む検体を検出用抗体と接触させ、検出用抗体と細菌-捕捉用抗体複合体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を標識する工程
を含む、項12に記載の方法。
[項15]捕捉用抗体が汎用性抗体であり、検出用抗体が特異性抗体である、項12~14の何れか一項に記載の方法。
[項16]検出用抗体が汎用性抗体であり、捕捉用抗体が特異性抗体である、項12~14の何れか一項に記載の方法。
[項17]項7~11の何れか一項に記載の方法により、対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査キットであって、項7~11の何れか一項に記載の抗体を含むキット。
[項18]項12~16の何れか一項に記載の方法により、対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査キットであって、前記汎用性抗体及び前記特異性抗体を含むと共に、前記汎用性抗体又は前記特異性抗体の何れか一方が、項7~11の何れか一項に記載の抗体である、キット。
本発明によれば、対象が患う感染症が細菌由来か否かを迅速且つ簡便に判別することが可能となる。
図1は、ラテラルフロー方式のイムノクロマトグラム検出装置の検出機構の一例である、ストリップ状の検出機構の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明を具体的な実施の形態に即して詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に束縛されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の形態で実施することが可能である。
なお、本明細書において引用される特許公報、特許出願公開公報、及び非特許公報を含む全ての文献は、その全体が援用により、あらゆる目的において本明細書に組み込まれる。
また、本明細書に記載のアミノ酸配列を表す式では、別途記載のある場合を除き、アミノ酸を1文字コードで表すものとする。
本発明の一態様は、対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法(以下適宜「本発明の検査方法」或いは単に「本発明の方法」と称する。)に関する。本発明の方法は、前記対象由来の検体を提供する工程と、前記検体中における少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出する工程とを含み、前記検出結果が陽性の場合、細菌由来の感染症であると判定し、前記検出結果が陰性の場合、細菌由来以外の感染症であると判定する。一対象によれば、本発明の方法は、対象由来の検体を、前記少なくとも2以上の属の細菌と抗原抗体反応を生じる抗体(以下適宜「本発明の抗体」と称する。)と接触させ、前記検体中に存在しうる前記少なくとも2以上の属の細菌と、前記本発明の抗体との抗原抗体反応の有無及び/又は強度を検出することにより、前記複数属の細菌の同時検出を行うことが好ましい。また、斯かる本発明の検査方法を実施するための、本発明の抗体を含むキット(以下適宜「本発明のキット」と称する。)も、本発明の対象となる。
以下、まずは斯かる本発明の方法について説明した後、本発明の方法に使用される本発明の抗体について説明し、その後に本発明の方法に用いられるキットについて説明する。
[1.感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法]
本発明の方法は、対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法である。本発明の方法は、前記対象由来の検体を提供する工程と、前記検体中における少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出する工程とを含む。その上で、前記検出結果が陽性の場合、細菌由来の感染症であると判定し、前記検出結果が陰性の場合、細菌由来以外の感染症であると判定するものである。
前述したように、斯かる対象が患う感染症が細菌由来かを判別する従来のうち、培養法は、培養設備及び煩雑な培養の作業を要する上に、検出までに数日~1週間もの時間を要し、且つ、培養条件に合致した特定の細菌しか検出できなかった。PCR法は、検出までに時間を要する上に、前処理が煩雑かつ専用装置が必要という課題があった。また、従来の抗体を用いた検査法では、特定の細菌を抗原とする抗体を用いるために、予想される感染症の種類に応じて適切な抗体を選択して検査を実施する必要があり、細菌感染か否かを判別するような感染初期の段階には有効でなかった。特に、感染症に対する初期治療の段階では、細菌感染なら抗生物質、ウイルス感染なら抗ウイルス薬、真菌感染なら抗真菌薬、寄生虫感染なら抗寄生虫薬と、感染源の大分類に応じて適切な治療法が異なるにもかかわらず、感染最初期の段階で感染源の大分類を迅速且つ簡便に判別できる方法は存在しなかった。
一方、本発明の方法では、検体中の複数属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出する。本発明において「抗原抗体反応」とは、抗体がその抗原と特異的に結合することをいう。抗原抗体反応を用いることで、簡便な設備(特にラテラルフローの場合は設備不要)及び操作により、現場にて即時に検体中の細菌の有無及び/又は存在量を検出することが可能となる。また、感染の症状に応じて、検出対象となる複数属の細菌由来の成分と特異的に抗原抗体反応を生じる抗体(本発明の抗体)を適切に選択して用いることで、検出対象となる複数属の細菌を同時に検出することが可能となり、且つ、細菌以外の成分による偽陽性を低減し、検出感度及び検出精度を向上させることが可能となる。その結果、対象が患う感染症が複数属の細菌由来か否かを判別するための検査を、短時間で簡便且つ効率的に判定することが可能となる。特に本発明の方法を用いれば、感染症に対する初期治療の段階で、感染源が細菌由来か否かを大まかに判別でき、細菌感染症なら抗生物質を処方する一方で、細菌由来以外の感染症なら更に検査をし、ウイルス感染なら抗ウイルス薬、真菌感染なら抗真菌薬、寄生虫感染なら抗寄生虫薬を処方する等、初期治療方針を迅速に決定することが可能となる。
本発明の検査方法の対象としては、特に制限されないが、ヒト、又は、非ヒト動物が挙げられる。非ヒト動物としては、制限されるものではなく、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ブタ、ニワトリ等、種々の任意の動物に用いることができる。但し、その有用性を考慮すると、ヒトを対象とすることが好ましい。
本発明の検査方法において検査に用いられる検体は、対象から採取された検体(例えば、対象がヒトである場合はヒト検体)であれば、その種類は特に制限されない。例としては、血液、リンパ液、鼻水・鼻汁、唾液、涙液、尿、便、表粘膜(例えば咽頭、耳腔、鼻腔、咽頭、膣、結膜等の粘膜)の拭い液、鼻腔吸引液、中耳貯留液、子宮擦過物、喀痰、髄液等が挙げられる。これらの検体は、検出対象となる感染症やその原因細菌によって異なる。これらの検体は、検査対象となる感染症の種類に応じて異なる。
本発明の検査方法において判別対象となる細菌由来の感染症としては、風邪症候群、肺炎、気管支炎、咽頭炎、結膜炎、髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎、尿道炎、性行為感染症、尿路感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、敗血症、菌血症、下痢症、食中毒、及び胃腸炎等が挙げられる。二種以上の感染症を同時に検査してもよい。
本発明の検査方法において検出対象となる細菌としては、対象に感染して感染症を引き起こしうる細菌であれば、特に制限されない。細菌属の例としては、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ヘモフィルス(Haemophilus)属、マイコプラズマ(Mycoplasma)属、レジオネラ(Legionella)属、ボルデテラ(Bordetella)属、クラミジア(Chlamydia)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、ナイセリア(Neisseria)属、モラキセラ(Moraxella)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、リステリア(Listeria)属、及びカンピロバクター(Campylobacter)属等に属する細菌が挙げられる。本発明の方法では、これらの特定細菌属のうち、少なくとも2以上の属(複数属)の細菌との抗原抗体反応を検出することが好ましく、中でも少なくとも3以上、又は4以上、又は5以上、又は6以上、又は7以上、又は8以上、又は9以上、又は10以上の属の細菌との抗原抗体反応を検出することがとりわけ好ましい。
ストレプトコッカス(Streptococcus)属の細菌としては、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae, S. pneumoniae, SP)、溶連菌(溶血連鎖球菌・化膿連鎖球菌)(Streptococcus pyogenes, S. pyogenes, SPY)等が挙げられる。本発明の方法が、ストレプトコッカス(Streptococcus)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
ヘモフィルス(Haemophilus)属の細菌としては、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae, H. influenzae, HI)、ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis, H. parasuis)等が挙げられる。本発明の方法が、ヘモフィルス(Haemophilus)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくともインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
マイコプラズマ(Mycoplasma)属の細菌としては、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae, M. pneumoniae, MP)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)等が挙げられる。本発明の方法が、マイコプラズマ(Mycoplasma)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
レジオネラ(Legionella)属の細菌としては、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila, L. pneumophila, LP)、レジオネラ・ロングビーチ(Legionella longbeachae)等が挙げられる。本発明の方法が、レジオネラ(Legionella)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくともレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
ボルデテラ(Bordetella)属の細菌としては、百日咳菌(Bordetella pertussis, B. pertussis, BP)、ボルデテラ気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)等が挙げられる。本発明の方法が、ボルデテラ(Bordetella)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも百日咳菌(Bordetella pertussis)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
クラミジア(Chlamydia)属の細菌としては、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae, C. pneumoniae, CP)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis, C. trachomatis, CT)等が挙げられる。本発明の方法が、クラミジア(Chlamydia)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
スタフィロコッカス(Staphylococcus)属の細菌としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus, S. aureus, SA)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis, S. epidermidis)、スタフィロコッカス・アルジェンテウス(Staphylococcus argenteus, S. argenteus)等が挙げられる。本発明の方法が、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
シュードモナス(Pseudomonas)属の細菌としては、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa, P. aeruginosa, PA)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens, P. fluorescens)、シュードモナス・ホスホレッセンス(Pseudomonas phosphorescence, P. phosphorescence)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida, P. putida)等が挙げられる。本発明の方法が、シュードモナス(Pseudomonas)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
クレブシエラ(Klebsiella)属の細菌としては、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae, K. pneumoniae, KP)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca, K. oxytoca)、クレブシエラ・アエロゲネス(Klebsiella aerogenes, K. aerogenes)等が挙げられる。本発明の方法が、クレブシエラ(Klebsiella)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
ナイセリア(Neisseria)属の細菌としては、淋菌(Neisseria gonorrhoeae, N. gonorrhoeae, NG)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis, N. meningitidis, NM)等が挙げられる。本発明の方法が、ナイセリア(Neisseria)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも淋菌(Neisseria gonorrhoeae)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
モラキセラ(Moraxella)属の細菌としては、モラキセラ菌(Moraxella catarrhalis, M. catarrhalis, MC)、牛モラキセラ菌(Moraxella bovis)等が挙げられる。本発明の方法が、モラキセラ(Moraxella)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくともモラキセラ菌(Moraxella catarrhalis)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
エシェリキア(Escherichia)属の細菌としては、大腸菌(Escherichia coli, E. coli, EC)、エシェリキア アルベルティ(Escherichia albertii, E. albertii)等が挙げられる。本発明の方法が、エシェリキア(Escherichia)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくとも大腸菌(Escherichia coli)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
サルモネラ(Salmonella)属の細菌としては、サルモネラ菌(Salmonella enteritidis, S. enteritidis, SE)、サルモネラ・インファンティス(Salmonella infantis, S. infantis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium, S. typhimurium)等が挙げられる。本発明の方法が、サルモネラ(Salmonella)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくともサルモネラ菌(Salmonella enteritidis)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
リステリア(Listeria)属の細菌としては、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes, L. monocytogenes, LM)、リステリア・イノクア(Listeria innocua, L. innocua)、リステリア・イバノビ(Listeria ivanovii, L. ivanovii)等が挙げられる。本発明の方法が、リステリア(Listeria)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくともリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
カンピロバクター(Campylobacter)属の細菌としては、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni, C. jejuni, CJ)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)等が挙げられる。本発明の方法が、カンピロバクター(Campylobacter)属の細菌との抗原抗体反応を検出する場合、これらのうち1又は2以上の任意の細菌との抗原抗体反応を検出すればよいが、少なくともカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)との抗原抗体反応を検出することが好ましい。
前述の細菌以外にも、本発明の方法により検出可能な細菌の属としては、限定されるものではないが、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)属、エロモナス(Aeromonas)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、マイクロコッカス(Micrococcus)属、セラチア(Serratia)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、及びビブリオ(Vibrio)属等が挙げられる。
本発明の検査方法において検出対象となる細菌種の具体例としては、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、レジオネラ・ニューモフィラ、百日咳菌、肺炎桿菌、溶連菌、髄膜炎菌、淋菌、クラミジア・トラコマチス、梅毒トレポネーマ、大腸菌、サルモネラ菌、リステリア・モノサイトゲネス、カンピロバクター・ジェジュニ、ウレアプラズマ、等が挙げられる。
なお、一態様としては、検出対象の複数属の細菌として、グラム陰性菌及びグラム陽性菌の双方を含むことが好ましい。両者はその細胞膜・細胞壁の構造が大きく異なるため、従来技術では両者を同時検出することは困難であるが、本発明の方法であれば、検出に使用する抗体を適切に設計すれば、グラム陰性菌及びグラム陽性菌の同時検出も可能だからである。
以上、感染症の種類、その原因となる細菌の種類、対象由来の検体の種類等について詳しく説明したが、通常は感染症によってその原因となる細菌は特定されており、その細菌の抗原抗体反応に基づく検出に利用できる検体も特定されることになる。斯かる感染症、その原因となる細菌、及びその検出に使用できる検体の組み合わせの例を下記表1に示す。しかし、本発明は以下の組み合わせに限定されるものではなく、任意の組み合わせの感染症、原因細菌、及び検体に対して使用することが可能である。
Figure 2022109630000001
[2.検体中の複数属の細菌に由来する成分と抗原抗体反応を生じる抗体]
本発明の方法において、検体中の複数属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出する手法は、特に限定されるものではない。一態様によれば、斯かる抗原抗体反応に基づく検出は、複数属の細菌に由来する成分と抗原抗体反応を生じる抗体(本発明の抗体)を検体と接触させ、接触後の検体中に生じる抗原抗体反応の有無及び/又は強度を測定することにより、好適に行われる。以下、斯かる本発明の抗体について説明する。
本発明において「抗体」とは、特定の抗原又は物質を認識しそれに結合するタンパク質で、免疫グロブリン(Ig)という場合もある。一般的な抗体は、通常、ジスルフィド結合により相互結合された2つの軽鎖(軽鎖)及び2つの重鎖(重鎖)を有する。軽鎖にはλ鎖及びκ鎖と呼ばれる2種類が存在し、重鎖にはγ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖及びε鎖と呼ばれる5種類が存在する。その重鎖の種類によって、抗体には、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEという5種類のアイソタイプが存在する。
重鎖は各々、重鎖定常(CH)領域及び重鎖可変(VH)領域を含む。軽鎖は各々、軽鎖定常(CL)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む。軽鎖定常(CL)領域は単一のドメインから構成される。重鎖定常(CL)領域は、3つのドメイン、即ちCH1、CH2及びCH3から構成される。軽鎖可変(VL)領域及び重鎖可変(VH)領域は各々、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存性の高い4つの領域(FR-1、FR-2、FR-3、FR-4)と、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の3つの領域(CDR-1、CDR-2、CDR-3)とから構成される。重鎖定常(CH)領域は、3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)及び4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3、FR-H4)を有し、これらはアミノ末端からカルボキシ末端へと、FR-H1、CDR-H1、FR-H2、CDR-H2、FR-H3、CDR-H3、FR-H4の順番で配列される。軽鎖定常(CL)領域は、3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)及び4つのFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3、FR-L4)を有し、これらはアミノ末端からカルボキシ末端へと、FR-L1、CDR-L1、FR-L2、CDR-L2、FR-L3、CDR-L3、FR-L4の順番で配列される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体であることが好ましい。ポリクローナル抗体は、通常は抗原で免疫した動物の血清から調製される抗体で、構造の異なる種々な抗体分子種の混合物である。一方、モノクローナル抗体とは、特定のアミノ酸配列を有する軽鎖可変(VL)領域及び重鎖可変(VH)領域の組み合わせを含む単一種類の分子からなる抗体をいう。モノクローナル抗体は、抗体産生細胞由来のクローンから産生することも可能であるが、抗体のタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子配列を有する核酸分子を取得し、斯かる核酸分子を用いて遺伝子工学的に作製することも可能である。また、重鎖及び軽鎖、或いはそれらの可変領域やCDR等の遺伝子情報を用いて抗体の結合性や特異性の向上のための改変等を行うことも、この分野での当業者にはよく知られた技術である。
また、本発明の抗体は、抗体の断片及び/又は誘導体であってもよい。抗体の断片としては、F(ab’)2、Fab、Fv等が挙げられる。抗体の誘導体としては、軽鎖及び/又は重鎖の定常領域部分に人工的にアミノ酸変異を導入した抗体、軽鎖及び/又は重鎖の定常領域のドメイン構成を改変した抗体、1分子あたり2つ以上のFc領域を有する抗体、糖鎖改変抗体、二重特異性抗体、抗体又は抗体の断片を抗体以外のタンパク質と結合させた抗体コンジュゲート、抗体酵素、タンデムscFv、二重特異性タンデムscFv、ダイアボディ(Diabody)等が挙げられる。更には、前記の抗体又はその断片若しくは誘導体が非ヒト動物由来の場合、そのCDR以外の配列の一部又は全部をヒト抗体の対応配列に置換したキメラ抗体又はヒト化抗体も、本発明の抗体に含まれる。なお、別途明記しない限り、本発明において単に「抗体」という場合、抗体の断片及び/又は誘導体も含むものとする。
本発明の抗体が、ある細菌と抗原抗体反応を生じるとは、斯かる細菌が有する何らかの成分を抗原として、特異的に結合することをいう。本発明の抗体の抗原となる細菌の成分は制限されない。細菌の細胞外に露出する細胞壁や細胞膜等に含まれる成分でもよく、細菌の細胞外に露出しない細胞質、細胞小器官、核等に含まれる成分でもよい。本発明の抗体が、細菌の細胞外に露出しない成分と抗原抗体反応を生じる場合、斯かる細菌の成分と本発明の抗体を抗原抗体反応させるには、本発明の抗体を検体と接触させる前に、検体に対して細菌を溶菌させる処理を施してもよい。斯かる細菌の溶菌処理については後述する。
中でも、本発明の抗体は、以上説明した特定細菌属及び/又は選択細菌属の何れかの細菌のリボゾームタンパク質と抗原抗体反応を生じることが好ましい。とりわけ、リボソームタンパク質L7/L12と抗原抗体反応を生じることが好ましい。本発明において「リボソームタンパク質L7/L12」、或いは単に「L7/L12」とは、微生物のタンパク質合成に必須のリボゾームタンパク質の1種であり、種々の細菌が共通して有するタンパク質である。首記の細菌のリボゾームタンパク質L7/L12に対して抗原抗体反応を生じる抗体及びその作製方法については、例えば本願発明者等の以前の特許出願に係る特許公報である国際公開第2000/006603号等の記載を参照することができる。
本発明の抗体と検出対象となる細菌との抗原抗体反応の程度は特に制限されないが、少なくとも公知の何らかの検出手法により検出できる程度の抗原抗体反応が生じればよい。抗体と細菌との抗原抗体反応を検出する手法としては、限定されるものではないが、後述の各種の公知の免疫学的測定法が挙げられる。
また、本発明の抗体は、検体中に存在しうる1種又は2種以上の非細菌由来成分と交差反応を生じないことが好ましい。斯かる非細菌由来成分の例としては、制限されるものではないが、例えばウイルス、植物、及び/又は動物に由来する各種の生体有機化合物であって、細菌が有さない化合物が挙げられる。斯かる生体有機化合物の具体例としては、タンパク質、糖類、糖タンパク質、脂質、複合脂質、核酸等が挙げられる。本発明の抗体は、これらの非細菌由来成分のうち、少なくとも1種、又は2種以上、通常3種以上、更には4種以上、又は5種以上、又は6種以上、又は7種以上、又は8種以上、とりわけ9種以上、特に10種以上の非細菌性タンパク質と交差反応しないことが好ましい。
抗体は極めて抗原特異性が高いため、特定の抗原を特異的に捕捉するには有効であるが、複数種の異なる対象物質の検出等には不向きであると考えられていた。しかし、本発明者らは、後述の実施例に記載のように、対象由来の検体の検査時の検出対象となる複数属の細菌と抗原抗体反応を生じ、これらの細菌の同時検出に使用できる抗体を取得することに成功した。斯かる知見は、従来の技術常識に反する極めて意外な知見である。
本発明の抗体の構造は特に制限されないが、好ましくは以下の通りである。なお、以下に説明する構造的特徴のみから規定される抗体も、本発明の抗体に含まれるものとする。
具体的に、本発明の抗体は、重鎖及び軽鎖の各可変領域のアミノ酸配列として、以下のアミノ酸配列を有することが好ましい。
重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列としては、配列番号1、配列番号3、及び配列番号5から選択される何れか1つのアミノ酸配列と80%以上、中でも85%以上、更には90%以上、とりわけ95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、特に100%の相同性(好ましくは同一性)を有するアミノ酸配列を有することが好ましい。中でも、VH配列としては、配列番号1、配列番号3、及び配列番号5から選択される何れか1つのアミノ酸配列であることがとりわけ好ましい。
軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列として、配列番号2、配列番号4、及び配列番号6から選択される何れか1つのアミノ酸配列と80%以上、中でも85%以上、更には90%以上、とりわけ95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、特に100%の相同性(好ましくは同一性)を有するアミノ酸配列を有することが好ましい。中でも、VL配列としては、配列番号2、配列番号4、及び配列番号6から選択される何れか1つのアミノ酸配列であることがとりわけ好ましい。
なお、本発明において、2つのアミノ酸配列の「相同性」とは、両アミノ酸配列をアラインメントした際に各対応箇所に同一又は類似のアミノ酸残基が現れる比率であり、2つのアミノ酸配列の「同一性」とは、両アミノ酸配列をアラインメントした際に各対応箇所に同一のアミノ酸残基が現れる比率である。なお、2つのアミノ酸配列の「相同性」及び「同一性」は、例えばBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)プログラム(Altschul et al., J. Mol. Biol., (1990), 215(3):403-10)等を用いて求めることが可能である。
また、ある抗体の重鎖及び軽鎖の各可変配列から、各CDRの配列を同定する方法としては、例えばKabat法(Kabat et al., The Journal of Immunology, 1991, Vol.147, No.5, pp.1709-1719)やChothia法(Al-Lazikani et al., Journal of Molecular Biology, 1997, Vol.273, No.4, pp.927-948)が挙げられる。これらの方法は本分野の技術常識であるが、例えばDr. Andrew C.R. Martin’s Groupのウェブサイト(http://www.bioinf.org.uk/abs/)等も参照できる。
なお、あるアミノ酸に類似するアミノ酸としては、例えばアミノ酸の極性、荷電性、及びサイズに基づく以下の分類において、同一の群内に属するアミノ酸が挙げられる(何れも各アミノ酸の種類を一文字コードで表示する。)。
・芳香族アミノ酸:F、H、W、Y;
・脂肪族アミノ酸:I、L、V;
・疎水性アミノ酸:A、C、F、H、I、K、L、M、T、V、W、Y;
・荷電アミノ酸:D、E、H、K、R等;
・正荷電アミノ酸:H、K、R;
・負荷電アミノ酸:D、E;
・極性アミノ酸:C、D、E、H、K、N、Q、R、S、T、W、Y;
・小型アミノ酸:A、C、D、G、N、P、S、T、V等;
・超小型アミノ酸:A、C、G、S。
また、あるアミノ酸に類似するアミノ酸としては、例えばアミノ酸の側鎖の種類に基づく以下の分類において、同一の群内に属するアミノ酸も挙げられる(何れも各アミノ酸の種類を一文字コードで表示する。)。
・脂肪族側鎖を有するアミノ酸:G、A、V、L、I;
・芳香族側鎖を有するアミノ酸:F、Y、W;
・硫黄含有側鎖を有するアミノ酸:C、M;
・脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸:S、T;
・塩基性側鎖を有するアミノ酸:K、R、H;
・酸性アミノ酸及びそれらのアミド誘導体:D、E、N、Q。
本発明の抗体を作製する方法は、特に制限されない。本発明の抗体がポリクローナル抗体の場合、検出対象となる細菌由来の成分を用いて作成することができる。使用可能な細菌由来の成分としては、細菌の菌体そのもの、それを溶菌した溶解物、その電気泳動による分画物等が挙げられる。細菌溶解物の電気泳動による分画物を用いる場合、どの分画を用いるかは制限されないが、例えば分子量約10~20kDa付近に相当する分画を選択して用いることが好ましい。また、細菌由来成分として、細菌に含まれるリボソームタンパク質を用いることが好ましく、とりわけ、(複数の属の細菌で相同性を有する)リボソームタンパク質L7/L12を用いることが好ましい。これら細菌由来の成分を、必要に応じてアジュバントとともに動物へ接種せしめ、その血清を回収することで、前記所定の複数種の細菌と抗原抗体反応を生じる抗体(ポリクローナル抗体)を含む抗血清を得ることができる。接種する動物としてはヒツジ、ウマ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット等であり、特にポリクローナル抗体作製にはヒツジ、ウサギ等が好ましい。また、得られた抗血清より抗体を精製・分画し、所望の細菌と抗原抗体反応を生じること、及び、検体由来の他の成分と交差反応を生じないことを指標として、公知の手法により適宜スクリーニングを行うことにより、より特異性に優れた所望の抗体を得ることが可能である。更に、所望の抗体分子を産生する抗体産生細胞を単離し、骨髄腫細胞と細胞融合させて自律増殖能を持ったハイブリドーマを作製することにより、モノクローナル抗体を得ることも可能である。また、動物への感作を必要としない方法として、抗体の重鎖可変(VH)領域若しくは軽鎖可変(VL)領域又はそれらの一部を発現するファージライブラリーを用いて、検出対象となる細菌由来の成分と特異的に結合する抗体や特定のアミノ酸配列からなるファージクローンを取得し、その情報から抗体を作製する技術も利用可能である。
また、上記手順により所望の抗体が得られれば、斯かる抗体の構造、具体的には重鎖定常(CH)領域、重鎖可変(VH)領域、軽鎖定常(CL)領域、及び/又は軽鎖可変(VL)領域のアミノ酸配列の一部又は全部を、公知のアミノ酸配列解析法を用いて解析することができる。こうして得られた所望の抗体のアミノ酸配列に対し、抗体の結合性や特異性の向上のための改変等を行う手法も、当業者には公知である。更には、所望の抗体のアミノ酸配列の全部又は一部(特に重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域の全部又は一部、中でも各CDRのアミノ酸配列)を利用し、必要に応じて公知の抗体のアミノ酸配列の一部(特に重鎖定常(CH)領域及び軽鎖定常(CL)領域、並びに場合により重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域の各FRのアミノ酸配列)と組み合わせることにより、同様の抗原特異性を有する蓋然性の高い別の抗体を設計することも可能である。
所望の抗体のアミノ酸配列が特定されれば、公知の手法により、斯かる所望の抗体のアミノ酸配列の全部又は一部をコードする塩基配列を有する核酸分子を作製し、斯かる核酸分子を用いて遺伝子工学的に抗体を作製することも可能である。更には、斯かる塩基配列から所望の抗体の各構成要素を発現するためのベクターやプラスミド等を作製し、宿主細胞(哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母細胞、微生物細胞等)に導入して、当該抗体を産生させることも可能である。また、得られた抗体の性能の向上や副作用の回避を目的に、抗体の定常領域の構造に改変を入れることや、糖鎖の部分での改変を行うことも、当業者によく知られた技術によって適宜行うことができる。
なお、以上説明した、本発明の抗体を製造する方法、本発明の抗体をコードする核酸分子、斯かる核酸分子を含むベクター又はプラスミド、斯かる核酸分子やベクター又はプラスミドを含む細胞、更には本発明の抗体を産生するハイブリドーマ等も、本発明の対象となる。
なお、本明細書に記載の抗体の作製・改変等の技法は、何れも当業者には公知であるが、例えばAntibodies; A laboratory manual, E. Harlow et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press (2014)等の記載を参照することができる。また、本明細書に記載の分子生物学的技法(例えばアミノ酸配列解析法、核酸分子の設計・作製法、ベクターやプラスミドの設計・作製法等)も、何れも当業者には公知であるが、例えばMolecular Cloning, A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Shambrook, J. et al. (1989)等の記載を参照することができる。
このように、各細菌のリボソームタンパク質L7/L12を認識して抗原抗体反応を生じる抗体(本発明の抗体)を用い、これを検体と接触させて抗原抗体反応を検出する態様は、本発明の方法の好ましい態様である。ここで、本発明の抗体を検体と接触させる前に、検体中に存在する細菌のL7/L12を細菌の細胞膜外に露出させることで、検出感度を向上させることができる。従って、後述の本発明の抗体を用いる本発明の方法の好ましい態様においては、本発明の抗体を検体に接触させる前に、検体に対して細菌を溶菌させる処理を施してもよい。斯かる細菌の溶菌処理としては、限定されるものではないが、加熱処理、超音波処理、界面活性剤による化学処理等が挙げられる。溶菌処理に用いられる条件は、検体に含まれる細菌の種類に応じて適宜決定可能である。
本発明の抗体を用いる本発明の方法の好ましい態様において、抗原抗体反応を検出するための免疫学的測定法は、限定されない。免疫学的測定法の例としては、限定されるものではなく、単一の抗体を用いる方法でもよく、二種以上の抗体を用いる方法でもよい。
単一の抗体を用いる免疫学的測定法の例としては、限定されるものではないが、細菌の抗原を担持させたマイクロタイタープレートを用い、抗体による抗原抗体反応を確認するELISA(酵素結合免疫吸着)法;センサ表面に抗体(又は抗原)を担持させ、抗原(又は抗体)との抗原抗体反応を電気的(例えば交流インピーダンス法、FET(電界効果トランジスタ)法等)又は光学的(例えばSPR(表面プラズモン共鳴)法等)に確認するバイオセンサ等、種々の公知の免疫学的測定を挙げることができるが、何れに対しても本発明の方法を用いることが可能である。
二種以上の抗体を用いる免疫学的測定法の例としては、限定されるものではないが、抗体を担持させたマイクロタイタープレートを用いるELISA法;抗体を担持させたラテックス粒子(例えばポリスチレンラテックス粒子等)を用いるラテックス粒子凝集測定法;抗体を担持させたメンブレン等を用いるイムノクロマトグラム法;着色粒子又は発色能を有する粒子、酵素若しくは蛍光体等で標識した検出用抗体と、磁気微粒子等の固相担体に固定化した捕捉用抗体とを用いるサンドイッチアッセイ法等、種々の公知の免疫学的測定法が挙げられる。なお、サンドイッチアッセイ法等の検出用抗体及び捕捉用抗体という二種以上の抗体を併用する免疫学的測定法の場合、本発明の抗体は捕捉用抗体として用いてもよく、検出用抗体として用いてもよい。
特に本発明では、サンドイッチアッセイ法として、検体と、固相担体と連結された捕捉用抗体と、検出用標識を有する検出用抗体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉すると共に、検体中の細菌を標識する工程、及び、検体中の検出対象細菌を検出用標識に基づき検出する工程により、検体中の細菌の有無及び/又は存在量を検出する方法を用いることが好ましい。
斯かる方法の一態様としては、前記工程(I)が、
(Ia-1)検体を検出用抗体と接触させ、検出用抗体と細菌との抗原抗体反応により、検体中の細菌を標識する工程、及び、
(Ia-2)検出用抗体により標識された細菌を含む検体を捕捉用抗体と接触させ、捕捉用抗体と細菌-検出用抗体複合体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉する工程
を含んでいてもよい。
また、斯かる方法の別の態様としては、前記工程(I)が、
(Ib-1)検体を捕捉用抗体と接触させ、捕捉用抗体と細菌との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉する工程、及び、
(Ib-2)捕捉用抗体により捕捉された細菌を含む検体を検出用抗体と接触させ、検出用抗体と細菌-捕捉用抗体複合体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を標識する工程
を含んでいてもよい。
何れの態様においても、捕捉用抗体が汎用性抗体であり、検出用抗体が特異性抗体であってもよく、検出用抗体が汎用性抗体であり、捕捉用抗体が特異性抗体であってもよい。また、前記の汎用性抗体及び特異性抗体のうち、何れを本発明の抗体とすることも可能である。中でも、本発明の一態様によれば、本発明の抗体は、限定されるものではないが、汎用性抗体として用いることが好ましい。なお、別途断り書きのない限り、本明細書において「特異性抗体」とは、最終的な検出対象となる1種又は2種以上の細菌(検出対象細菌)と抗原抗体反応を生じる抗体を意味し、「汎用性抗体」とは、前記の検出対象細菌を含む5以上の属の細菌と抗原抗体反応を生じる抗体を意味するものとする。なお、特異性抗体は、従来公知の抗体の製造方法に準じて製造することが可能である。即ち、前記の本発明の抗体の製造方法において、検出対象となる所望の細菌と抗原抗体反応を生じること、並びに、検出対象以外の他の細菌、及び、検体由来の他の成分と交差反応を生じないことを指標として、公知の手法により適宜スクリーニングを行うことにより、検出対象細菌のみと特異的に抗原抗体反応を所望の特異性抗体を得ることが可能である。
[3.対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査キット]
前述した本発明の方法に使用するべく、前述した本発明の抗体を含むキット(本発明のキット)も、本発明の対象となる。
本発明のキットは、本発明の抗体に加えて、本発明の抗体を使用して本発明の方法を実施するのに必要な1種又は2種以上の試薬、検出用装置若しくはその構成部材、及び/又は、本発明の方法を実施するための手順を記載した指示書を含む。斯かる試薬の種類や指示書の記載内容、更には本発明のキットに含まれる他の構成要素は、複数属の細菌の検出に使用される具体的な免疫学的測定法の種類に応じて適宜決定すればよい。
本発明のキットが検出用装置又はその構成部材を含む場合、斯かるキットにより構成される装置は、本発明の抗体を使用して本発明の方法を実施するのに必要な構成要素を備えた装置(以下適宜「本発明の装置」と略称する。)である。本発明の装置の具体的な構成要素は、本発明の方法の具体的な実施形態である免疫学的測定法の種類に応じて、適宜調整することができる。前述のように、免疫学的測定法の例としては、限定されるものではないが、抗体を担持させたマイクロタイタープレートを用いるELISA(酵素結合免疫吸着)法;抗体を担持させたラテックス粒子(例えばポリスチレンラテックス粒子等)を用いるラテックス粒子凝集測定法;抗体を担持させたメンブレン等を用いるイムノクロマトグラム法;着色粒子又は発色能を有する粒子、酵素若しくは蛍光体等で標識した検出用抗体と、磁気微粒子等の固相担体に固定化した捕捉用抗体とを用いるサンドイッチアッセイ法、1つの抗体を用いるELISA法、バイオセンサ法等、種々の公知の免疫学的測定法が挙げられるところ、斯かる種々の免疫学的測定法を実施するために必要な構成要素を備えた装置が、本発明の装置となる。
また、検体中の複数属の細菌の有無及び/又は存在量を同時に且つ簡易に検出可能な装置の具体例としては、ラテラルフロー方式の装置と、フロースルー方式の装置とを挙げることができる。ここで、ラテラルフロー方式とは、捕捉用抗体を表面に固定化させた検出領域を含むメンブレンに対し、検出対象検体及び検出用抗体を平行に展開させ、メンブレンの検出領域に捕捉された目的物質を検出する方法である。一方、フロースルー方式とは、捕捉用抗体を表面に固定化させたメンブレンに、検出対象検体及び検出用抗体を垂直に通過させ、メンブレンの表面に捕捉された目的物質を検出する方法である。本発明の方法は、ラテラルフロー方式の装置とフロースルー方式の装置の何れに対しても適用することが可能である。
ラテラルフロー方式の装置及びフロースルー方式のイムノクロマトグラム検出装置はいずれも公知であり、本開示で説明する事項以外の手順については当業者が技術常識に基づいて適宜設計できる。以下、ラテラルフロー方式のイムノクロマトグラム検出装置の検出機構の概略構成について、図面を参照しながらについて説明するが、これらはあくまでも検出手順の概略構成の一例に過ぎず、ラテラルフロー方式のイムノクロマトグラム検出装置の構成は図面に例示する態様には何ら限定されない。
図1は、ラテラルフロー方式のイムノクロマトグラム検出装置の検出機構の一例である、ストリップ状の検出機構の概略構成を示す断面図である。図1の検出機構10は、クロマト展開用の不溶性膜担体1上のストリップ長さ方向一端側(検体流れBの上流側)に、ストリップ状の検出用抗体含浸部材(コンジュゲートパッド)2(このパッドに検出用抗体が含浸されている。)及び検体添加用部材(サンプルパッド)3が配置され、他端側(検体流れBの下流側)に吸収用部材(吸収パッド)4が配置されている。不溶性膜担体1上のストリップ長さ方向中央部には、捕捉用抗体が固定化された部位5、必要に応じて対照試薬が固定化された部位6が配置されている。なお、対照試薬は、被分析物質とは結合せず検出用抗体とは結合する試薬である。検体Aを検体添加用部材(サンプルパッド)3上に適用すると、検体Aは、検出用抗体含浸部材(コンジュゲートパッド)2を通過して不溶性膜担体1を検体流れAの方向に流れる。この際に、検体中の被分析物質(本発明では検出対象の細菌)が検出用抗体と結合して、被分析物質-検出用抗体複合体が形成される。検体Aが捕捉用抗体固定部位5を通過すると、検体中の被分析物質が捕捉用抗体と結合して、捕捉用抗体-被分析物質-検出用抗体複合体が形成される。さらに、検体Aが対照試薬固定部位6を通過すると、検出用抗体のうち被分析物質と結合していないものが対照試薬6と結合し、これによって、検査の終了(すなわち検体Aが捕捉用抗体5を通過したこと)を確認できる。ここで、捕捉用抗体固定部位5に存在する捕捉用抗体-被分析物質-検出用抗体複合体中の検出用抗体が有する標識を、公知の手段で検出することにより、被分析物質の有無又は存在量を検出することが出来る。必要に応じて、検出用抗体の標識を公知の手法により増感して、検出を容易にしてもよい。
なお、検出用抗体含浸部材(コンジュゲートパッド)2及び検体添加用部材(サンプルパッド)3は、任意に省略することもできる。本機構において検出用抗体含浸部材(コンジュゲートパッド)2を有しない場合、検体A及び検出用抗体を、予め混合した状態又は別々の状態で、同時に又は順次に、不溶性膜担体1上の一端に適用することにより、上記の検査と同様の検査を行うことができる。
また、捕捉用抗体と検出用抗体とを入れ替えても、同様の検出が可能な検出キットを構築することができる。すなわち、捕捉用抗体が汎用性抗体であり、検出用抗体が特異性抗体であってもよく、検出用抗体が汎用性抗体であり、捕捉用抗体が特異性抗体であってもよい。また、前記の汎用性抗体及び特異性抗体のうち、何れか又は両方を本発明の抗体とすることも可能であるのは、前述のとおりである。
以上説明した本発明の一態様に係るラテラルフロー方式のイムノクロマトグラム検出方法及び装置では、検出対象となる2以上の属の細菌を、単一の検出ライン(図1の例では捕捉用抗体固定部位5)において一括で検出することが可能となる。従来のラテラルフロー方式のイムノクロマトグラム検出方法及び装置では、複数の検出対象物を検出する場合、各検出対象物毎に検出ライン(図1の例では捕捉用抗体固定部位5)を設けなければならず、惹いては検出対象物の数に対応する検出ラインを設ける必要があった。従って、装置の大型化を招いていた上に、検出対象物の数が多すぎる場合にはそもそも一台の装置での検出が困難又は不可能であった。これに対して、本発明の一態様に係るラテラルフロー方式のイムノクロマトグラム検出方法及び装置では、検出用抗体及び捕捉用抗体の組み合わせを適切に組み合わせることにより、単一の検出ラインで複数属の検出対象細菌を同時に検出可能である。これにより、装置の小型化が可能であると共に、検出対象細菌の種数・属数が多い場合でも、原理的には一台の装置で検出が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例にも束縛されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の形態で実施することが可能である。
[1.抗体の作製]
・汎用性抗体A(PA51B2)の作製
免疫原の細菌として緑膿菌(PA)を用いた。緑膿菌のリボソームタンパク質L7/L12に対する抗体を、国際公開第2000/06603号公報に記載の方法を参照して作製した。具体的には、緑膿菌のリボソームタンパク質L7/L12のアミノ酸配列の全部をコードしたDNAを組み込んだ発現ベクターで形質転換した大腸菌をLB培地等を用いて培養し、アフィニティカラムにより発現ベクター由来のタグ配列を利用して融合タンパク質として精製した。この緑膿菌L7/L12全長タンパク質を免疫原として、ハイブリドーマ取得の定法に従い、免疫原の濃度が0.4mg/mLとなるようPBSで調製し、フロイントのアジュバントを同量加え、免疫原量が50μg/回となるようマウスに4回免疫した。試験採血により血清抗体価上昇を確認後、マウスの脾臓細胞を摘出した。摘出したマウス脾臓細胞をミエローマ細胞と融合し、種々のハイブリドーマを取得した。
取得した種々のハイブリドーマをHAT培地で培養し、培養上清中の抗体を用いてスクリーニングを行った。スクリーニングは、複数属の細菌溶解物を抗原として固相化したELISA法により実施し、肺炎球菌(SP)、インフルエンザ菌(HI)、肺炎マイコプラズマ(MP)、レジオネラ・ニューモフィラ(LP)、百日咳菌(BP)、肺炎クラミジア(CP)、黄色ブドウ球菌(SA)、緑膿菌(PA)、クレブシエラ・ニューモニエ(KP)、モラキセラ菌(MC)、溶連菌(SPY)、髄膜炎菌(NM)、淋菌(NG)、クラミジア・トラコマチス(CT)、大腸菌(EC)、サルモネラ菌(SE)、リステリア・モノサイトゲネス(LM)、及び、カンピロバクター・ジェジュニ(CJ)という18種類の細菌の溶解物と同時に反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマを選択した。モノクローナル抗体産生の定法に従い、選択したハイブリドーマを、ウシ胎児血清(FBS)を10%添加したTIL MediaI培地で培養し、マウスの腹腔内に投与し、腹水を回収した。回収した腹水は遠心により浮遊物・赤血球を分離後、目開き0.45μmのフィルタでろ過した。得られたろ液をProtein Gカラムに通して抗体を吸着させることにより、マウス腹水から本発明の抗体に該当する汎用性抗体A(PA51B2)を精製取得した。
・汎用性抗体B(LP54A3)の作製
免疫原の細菌としてレジオネラ菌(LP)を用い、レジオネラ菌のリボソームタンパク質L7/L12を免疫原とした他は、抗体A取得の手順と同様の手順で、本発明の抗体に該当する汎用性抗体B(LP54A3)を作製した。
・汎用性抗体C(CP141A190.1)の作製
免疫原の細菌としてクラミジア菌(CP)を用い、クラミジア菌のリボソームタンパク質L7/L12を免疫原とした他は、抗体A取得の手順と同様の手順で、本発明の抗体に該当する汎用性抗体C(CP141A190.1)を作製した。
・汎用性抗体A~Cの重鎖及び軽鎖各可変配列のアミノ酸配列決定
上記手順で作製した汎用性抗体A~C(本発明の抗体)について、重鎖及び軽鎖各可変配列のアミノ酸配列の一例を、常法に従って決定した。各アミノ酸配列と各配列番号との対応を以下に示す。
・汎用性抗体A(PA51B2):
重鎖可変配列・アミノ酸配列(配列番号1)
軽鎖可変配列・アミノ酸配列(配列番号2)
・汎用性抗体B(LP54A3):
重鎖可変配列・アミノ酸配列(配列番号3)
軽鎖可変配列・アミノ酸配列(配列番号4)
・汎用性抗体C(CP141A190.1):
重鎖可変配列・アミノ酸配列(配列番号5)
軽鎖可変配列・アミノ酸配列(配列番号6)
[2.抗体と細菌との抗原抗体反応の検出1/溶菌抗原固相ELISA]
上記手順で作製した汎用性抗体A~C(本発明の抗体)を用いて、複数属の細菌との反応性に関するデータをELISA法で取得した。検出対象細菌としては、肺炎球菌(SP)、インフルエンザ菌(HI)、肺炎マイコプラズマ(MP)、レジオネラ・ニューモフィラ(LP)、百日咳菌(BP)、肺炎クラミジア(CP)、黄色ブドウ球菌(SA)、緑膿菌(PA)、クレブシエラ・ニューモニエ(KP)、モラキセラ菌(MC)、溶連菌(SPY)、髄膜炎菌(NM)、淋菌(NG)、クラミジア・トラコマチス(CT)、大腸菌(EC)、サルモネラ菌(SE)、リステリア・モノサイトゲネス(LM)、及び、カンピロバクター・ジェジュニ(CJ)という18菌種を選択した。上記の各細菌をATCCより購入・培養し、それぞれ1×e8cfu/mLずつ準備し、PBS中に懸濁した。超音波処理によって各細菌を溶菌し、目開き0.45μmのフィルタでろ過してデブリを除去することにより、各細菌の細菌溶解物を得た。
ELISA用の96穴ポリスチレンプレートの各ウエルに上記細菌溶解物を50μLずつ滴下し、プレート底面に固相化した。PBS-T(Tween 20入りPBS)で各ウエルを3回洗浄後、1%BSA(Bovine Serum Albumin:牛血清アルブミン)入りのPBSでブロッキング処理を施した。ブロッキング後、PBS-Tで3回洗浄した後、各ウエルに10μg/mLの汎用性抗体A~Cを50μLずつ滴下し、1時間抗原抗体反応を行った。反応後、PBS-Tで3回洗浄した後、0.5μg/mLの検出用の酵素であるHRP(Horse Radish Peroxidase:ホースラディッシュペルオキシダーゼ)を標識した2次抗体(Goat Anti-mouse IgG:ヤギ抗マウスIgG)を50μLずつ滴下し反応を行った。反応後、PBS-Tで5回洗浄した後、各ウエルに発色基質であるTMB(Tetramethylbenzidine:テトラメチルベンジジン)と過酸化水素の混合物100μLずつを滴下し発色反応を行った。10分後、反応停止液である塩酸を各ウエルに滴下したのち、各ウエルの450nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。
測定結果を下記表2に示す。本表に示す結果によれば、汎用性抗体A~Cは、菌なしの検体に比べ、前記の各細菌の検体とは感度良く(吸光度は何れの菌に対しても0.3以上であり、ほとんどの場合は、1.0以上)反応することが示された。すなわち、別々の細菌で免疫して取得した汎用性抗体A~Cの何れも、前記の各細菌の検体と抗原抗体反応を生じうる(検出できる)ことが確認された。
Figure 2022109630000002
[3.抗体と細菌との抗原抗体反応の検出2/リコンビナント抗原固相ELISA]
上記手順で作製した汎用性抗体A~C(本発明の抗体)を用いて、複数属の細菌のリボソームタンパク質L7/L12との反応性に関するデータをELISA法で取得した。検出対象細菌としては、肺炎球菌(SP)、インフルエンザ菌(HI)、肺炎マイコプラズマ(MP)、レジオネラ・ニューモフィラ(LP)、百日咳菌(BP)、肺炎クラミジア(CP)、黄色ブドウ球菌(SA)、緑膿菌(PA)、クレブシエラ・ニューモニエ(KP)、モラキセラ菌(MC)、溶連菌(SPY)、髄膜炎菌(NM)、淋菌(NG)、クラミジア・トラコマチス(CT)、大腸菌(EC)、サルモネラ菌(SE)、リステリア・モノサイトゲネス(LM)、及び、カンピロバクター・ジェジュニ(CJ)という18菌種を選択した。各菌種のリボソームタンパク質L7/L12のアミノ酸配列をコードしたDNAを組み込んだ発現ベクターで形質転換した大腸菌をLB培地等を用いて培養し、アフィニティカラムにより発現ベクター由来のタグ配列を利用して融合タンパク質として精製することで、各菌種のリボソームタンパク質L7/L12を取得した。
ELISA用の96穴ポリスチレンプレートの各ウエルに10ng/mLの各菌種のリボソームタンパク質L7/L12を50μLずつ滴下し、底面に固相化した。PBS-T(Tween20入りPBS)で各ウエルを3回洗浄後、1%BSA(Bovine Serum Albumin:牛血清アルブミン)入りのPBSでブロッキング処理を施した。ブロッキング後、PBS-Tで3回洗浄した後、各ウエルに10μg/mLの汎用性抗体A~Cの何れかを50μLずつ滴下し1時間抗原抗体反応を行った。反応後、PBS-Tで3回洗浄した後、0.5μg/mLの検出用の酵素であるHRP(Horse Radish Peroxidase:ホースラディッシュペルオキシダーゼ)を標識した2次抗体(Goat Anti-mouse IgG:ヤギ抗マウスIgG)を50μLずつ滴下し反応を行った。反応後、PBS-Tで5回洗浄した後、各ウエルに発色基質であるTMB(Tetramethylbenzidine:テトラメチルベンジジン)と過酸化水素の混合物100μLずつを滴下し発色反応を行った。10分後、反応停止液である塩酸を各ウエルに滴下したのち、各ウエルの450nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。
測定結果を下記表3に示す。本表によれば、汎用性抗体A~Cは、菌なしの検体に比べ、前記の各細菌の検体とは感度良く(吸光度は何れの菌に対しても0.3以上であり、ほとんどの場合は1.0以上)反応することが示された。すなわち、別々の細菌で免疫して取得した汎用性抗体A~Cの何れも、前記の各細菌の検体のリボソームタンパク質L7/L12と抗原抗体反応を生じうる(検出できる)ことが確認された。
Figure 2022109630000003
[4.抗体とヒト検体中の非細菌成分との交差反応性の検証/固相ELISA]
上記手順で作製した汎用性抗体A~C(本発明の抗体)を用いて、各種のヒト検体中の非細菌成分との反応性に関するデータをELISA法で取得した。ヒト検体としては、咽頭ぬぐい、鼻咽頭ぬぐい、鼻汁、鼻腔吸引液、喀痰、血液、尿、結膜ぬぐい、及び中耳貯留液を使用した。これらのヒト検体をPBS中に懸濁したのち、目開き0.45μmのフィルタで細菌を含む固形物を除去することにより、ELISA用の細菌を含まないヒト検体サンプルとした。
ELISA用の96穴ポリスチレンプレートの各ウエルに上記ヒト検体サンプルを50μLずつ滴下し、プレート底面に固相化した。PBS-Tで各ウエルを3回洗浄後、1%BSA入りのPBSでブロッキング処理を施した。ブロッキング後、PBS-Tで3回洗浄した後、各ウエルに10μg/mLの汎用性抗体A~Cを50μLずつ滴下し、1時間反応を行った。反応後、PBS-Tで3回洗浄した後、0.5μg/mLの検出用の酵素であるHRPを標識した2次抗体(Goat Anti-mouse IgG:ヤギ抗マウスIgG)を50μLずつ滴下し反応を行った。反応後、PBS-Tで5回洗浄した後、各ウエルに発色基質であるTMBと過酸化水素の混合物100μLずつを滴下し発色反応を行った。10分後、反応停止液である塩酸を各ウエルに滴下したのち、各ウエルの450nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。
測定結果を下記表4に示す。本表に示す結果から、汎用性抗体A~Cは、上記の細菌を含まないヒト検体中の何れの成分とも反応しない(吸光度は何れも0.3未満)ことが示された。前述の実施例の結果と合わせると、汎用性抗体A~Cは何れも、上記のヒト検体中の何れの非細菌成分とも反応せず、検出対象となる特定の複数属の細菌のみと反応すること、すなわち、ヒト検体中の検出対象となる特定の複数属の細菌の有無及び/又は存在量を高い選択性を持って検出できることが確認された。
Figure 2022109630000004
本発明は、細菌感染症か否かの迅速且つ簡便な検出が求められる分野、主に医療分野に幅広く利用でき、その産業上の有用性は極めて高い。
10 検出機構
1 クロマト展開用不溶性膜担体
2 検出用抗体含浸部材(コンジュゲートパッド)
3 検体添加用部材(サンプルパッド)
4 吸収用部材(吸収パッド)
5 捕捉用抗体固定化部位
6 対照試薬固定化部位
A 検体
B 検体流れ

Claims (18)

  1. 対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査方法であって、
    前記対象由来の検体を提供する工程と、
    前記検体中における少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を、抗原抗体反応に基づき同時検出する工程とを含み、
    前記検出結果が陽性の場合、細菌由来の感染症であると判定し、
    前記検出結果が陰性の場合、細菌由来以外の感染症であると判定する、方法。
  2. 前記検出工程において、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ヘモフィルス(Haemophilus)属、マイコプラズマ(Mycoplasma)属、レジオネラ(Legionella)属、ボルデテラ(Bordetella)属、クラミジア(Chlamydia)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、ナイセリア(Neisseria)属、モラキセラ(Moraxella)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、リステリア(Listeria)属、及びカンピロバクター(Campylobacter)属からなる群より選択される2以上の属の細菌を同時検出する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記検出対象となる2以上の属の細菌が、グラム陰性菌及びグラム陽性菌の双方を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記判別対象となる細菌由来の感染症が、風邪症候群、肺炎、気管支炎、咽頭炎、結膜炎、髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎、尿道炎、性行為感染症、尿路感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、敗血症、菌血症、下痢症、食中毒、及び胃腸炎から選択される感染症である、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記対象由来の検体が、咽頭拭い、鼻咽頭拭い、鼻汁、鼻腔吸引液、喀痰、血液、尿、髄液、結膜ぬぐい、中耳貯留液、尿、子宮擦過物、及び便から選択される1種以上の検体である、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を同時検出する工程が、細菌の培養を含まない方法による、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記少なくとも2以上の属の細菌の有無及び/又は存在量を同時検出する工程が、
    前記対象由来の検体を、前記少なくとも2以上の属の細菌と抗原抗体反応を生じる抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体と接触させる工程と、
    前記検体中に存在しうる前記少なくとも2以上の属の細菌と、前記抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体との抗原抗体反応の有無及び/又は強度を検出する工程とを含む、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記抗体が、前記2以上の属の細菌のリボソームタンパク質と抗原抗体反応を生じる抗体である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記リボソームタンパク質がL7/L12である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記抗体が、モノクローナル抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体である、請求項7~9の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記モノクローナル抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
    重鎖可変領域配列として、配列番号1、配列番号3、及び配列番号5から選択される少なくとも何れか1つのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及び、
    軽鎖可変領域配列として、配列番号2、配列番号4、及び配列番号6から選択される少なくとも何れか1つのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列
    をそれぞれ含む、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項7~11の何れか一項に記載の方法であって、前記方法が、
    (I)検体と、固相担体と連結された捕捉用抗体と、検出用標識を有する検出用抗体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉すると共に、検体中の細菌を標識する工程、及び
    (II)検体中の検出対象細菌を検出用標識に基づき検出する工程
    により、検体中の検出対象細菌の有無及び/又は存在量を検出することを含むと共に、
    捕捉用抗体及び検出用抗体のうち、一方の抗体が、1種又は2種以上の検出対象細菌と抗原抗体反応を生じる、1種又は2種以上の特異性抗体であり、他方の抗体が、前記検出対象細菌を含む5以上の属の細菌と抗原抗体反応を生じる、1種又は2種以上の汎用性抗体であり、且つ、
    前記汎用性抗体又は前記特異性抗体の何れか一方が、請求項7~11の何れか一項に記載の抗体である、方法。
  13. 前記工程(I)が、
    (Ia-1)検体を検出用抗体と接触させ、検出用抗体と細菌との抗原抗体反応により、検体中の細菌を標識する工程、及び、
    (Ia-2)検出用抗体により標識された細菌を含む検体を捕捉用抗体と接触させ、捕捉用抗体と細菌-検出用抗体複合体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉する工程
    を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記工程(I)が、
    (Ib-1)検体を捕捉用抗体と接触させ、捕捉用抗体と細菌との抗原抗体反応により、検体中の細菌を捕捉する工程、及び、
    (Ib-2)捕捉用抗体により捕捉された細菌を含む検体を検出用抗体と接触させ、検出用抗体と細菌-捕捉用抗体複合体との抗原抗体反応により、検体中の細菌を標識する工程
    を含む、請求項12に記載の方法。
  15. 捕捉用抗体が汎用性抗体であり、検出用抗体が特異性抗体である、請求項12~14の何れか一項に記載の方法。
  16. 検出用抗体が汎用性抗体であり、捕捉用抗体が特異性抗体である、請求項12~14の何れか一項に記載の方法。
  17. 請求項7~11の何れか一項に記載の方法により、対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査キットであって、請求項7~11の何れか一項に記載の抗体を含むキット。
  18. 請求項12~16の何れか一項に記載の方法により、対象が患う感染症が細菌由来か否かを判別するための検査キットであって、前記汎用性抗体及び前記特異性抗体を含むと共に、前記汎用性抗体又は前記特異性抗体の何れか一方が、請求項7~11の何れか一項に記載の抗体である、キット。
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