JP2022103795A - ディーゼルエンジン - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1のエンジンでは、燃料インジェクタの本体部がシリンダヘッド内に配置されている場合、シリンダヘッドの熱で燃料インジェクタ本体部が過熱し、精密な燃料噴射ができないことがある。
図1(A)に例示するように、シリンダ(3)と、シリンダヘッド(1)と、シリンダヘッド(1)内の渦室(2)と、シリンダ(3)内の主燃焼室(4)と、主燃焼室(4)と渦室(2)を連通させる連通口(5)と、渦室(2)に向かうシリンダヘッド(1)内の挿通孔(1a)と、挿通孔(1a)に挿通された燃料インジェクタ(7)を備えた、ディーゼルエンジンにおいて、
図1(A)に例示するように、挿通孔(1a)からシリンダヘッド(1)外に突出するスリーブ(10)と、スリーブ(10)の突出端部(10a)に設けられた受圧面(10b)を備え、
燃料インジェクタ(7)は、径大の本体部(7c)と、径小のノズル部(7d)と、本体部(7c)とノズル部(7d)の段差部分に形成された押圧面(7e)を備え、
燃料インジェクタ(7)のノズル部(7d)がスリーブ(10)内から挿通孔(1a)内に亘って挿通され、燃料インジェクタ(7)が押圧力(11)で渦室(2)側に押圧され、燃料インジェクタ(7)にかかる押圧力(11)が燃料インジェクタ(7)の押圧面(7e)から座金(12)を介してスリーブ(10)の受圧面(10b)で受け止められるように構成され、
図1(A)に例示するように、スリーブ(10)は、突出端部(10a)から突出方向に延長されたスリーブ延長カバー(28a)を備え、スリーブ延長カバー(28a)で座金(12)が外周側から覆われ、
スリーブ延長カバー(28a)の延長端部(28aa)に燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)が内嵌されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
《効果1》 精密な燃料噴射を行うことができる。
図1(A)に例示するように、このエンジンでは、スリーブ(10)により、燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)がシリンダヘッド(1)から遠ざけられるため、シリンダヘッド(1)の熱で燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)が過熱し難く、精密な燃料噴射を行うことができる。
《効果2》 座金(12)の外周側からスリーブ(10)内への防水や防塵を図ることができる。
図1(A)に例示するように、このエンジンでは、スリーブ延長カバー(28a)で座金(12)が外周側から覆われるため、座金(12)の外周側からスリーブ(10)内への防水や防塵を図ることができる。
また、図13~15は、本発明の実施形態に用いる燃料噴射孔に関する基本例や変形例に対する比較例の図である。
図1(A)に示すように、このエンジンは、シリンダ(3)と、シリンダ(3)の上部に組み付けられたシリンダヘッド(1)と、シリンダ(3)に内嵌されたピストン(14)を備えている。
渦室(2)は、球形で、シリンダヘッド(1)内に形成されている。図1(A)中の符号(2b)は渦室(2)の中心である。
連通口(5)は、シリンダヘッド(1)に内嵌された口金(15)に形成され、主燃焼室(4)から後斜め上向きで渦室(2)に向けられている。連通口(5)の主燃焼室(4)側の開口(5d)はガス案内溝(14b)の後端部(14c)の真上に配置されている。
主燃焼室(4)は、シリンダ(3)内でシリンダヘッド(1)とピストン(14)で上下から挟まれた空間で形成されている。
シリンダ(3)とシリンダヘッド(1)及び口金(15)の間にはヘッドガスケット(16)が挟み付けられている。
図1(A)に示すように、燃料インジェクタ(7)は、径大の本体部(7c)と、径小のノズル部(7d)と、本体部(7c)とノズル部(7d)の段差部分に形成された押圧面(7e)を備えている。
このエンジンでは、燃料インジェクタ(7)のノズル部(7d)がスリーブ(10)内から挿通孔(1a)内に亘って挿通され、燃料インジェクタ(7)が押圧力(11)で渦室(2)側に押圧され、燃料インジェクタ(7)にかかる押圧力(11)が燃料インジェクタ(7)の押圧面(7e)から座金(12)を介してスリーブ(10)の受圧面(10b)で受け止められるように構成されている。
図1(A)に示すように、スリーブ(10)は、突出端部(10a)から突出方向に延長されたスリーブ延長カバー(28a)を備え、スリーブ延長カバー(28a)で座金(12)が外周側から覆われている。
スリーブ延長カバー(28a)の延長端部(28aa)に燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)が内嵌されている。
また、このエンジンでは、スリーブ延長カバー(28a)で座金(12)が外周側から覆われるため、座金(12)の外周側からスリーブ(10)内への防水や防塵を図ることができる。
なお、このエンジンでは、燃料インジェクタ(7)にかかる押圧力(11)は、圧縮したバネ板(図外)の弾性復元力を燃料インジェクタ(7)が受けることにより生じる。
このため、このエンジンでは、スリーブ延長カバー(28a)の延長端部(28aa)からスリーブ延長カバー(28a)内への防水や防塵を図ることができる。
なお、図1(A)に示すように、ノズル部(7d)にはガスシール(7f)が外嵌され、このガスシール(7f)により挿通孔(1a)の内周面とノズル部(7d)の外周面との間が密封され、渦室(2)で発生した燃焼ガスが挿通孔(1a)を経て外側に漏れないようにしている。
電子燃料噴射式の燃料インジェクタ(7)は、エンジンECUで電子制御され、所定のタイミングで所定量の噴射燃料(13)が噴射される。
ECUは、電子制御ユニットの略称である。
このエンジンでは、燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)内の電子部品が過熱し難く、精密な電子燃料噴射制御を行うことができる。
このため、このエンジンでは、シリンダヘッド(1)の熱で本体部(7c)内の動弁駆動装置(7ca)の電子部品が過熱し難く、精密な電子燃料噴射制御を行うことができる。
動弁駆動装置(7ca)の電子部品には、電子ソレノイドの電磁コイルや、ピエゾ素子等がある。
このエンジンでは、燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)とスリーブ(10)の熱がエンジン冷却風路(1b)を通過する冷却風に放熱され、シリンダヘッド(1)の熱で燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)が過熱し難く、精密な電子燃料噴射制御を行うことができる。
エンジン冷却風路(1b)には、エンジン運転中、エンジン冷却ファン(図示せず)で起こされたエンジン冷却風が通過している。
このため、このエンジンでは、シリンダヘッド(1)からスリーブ(10)への熱伝達が、スリーブ(10)の取り付け箇所で邪魔され、シリンダヘッド(1)の熱でインジェクタ(7)の本体部(7c)内の電子部品が過熱され難く、精密な電子燃料噴射制御を行うことができる。
また、この基本例のスリーブ(10)を用いると、後述する図2(B)に示す変形例1のスリーブ(10)、すなわち、シリンダヘッド(1)と一体型のスリーブ(10)を用いる場合と比べ、シリンダヘッド(1)の形状が簡素になり、シリンダヘッド(1)の製造が容易になる。
スリーブ(10)の基端部(10c)は、嵌入孔(1c)に圧入で固定されている。
スリーブ(10)の基端部(10c)は、嵌入孔(1c)に、圧入、接着、溶接、圧入と接着、圧入と溶接のいずれかの手段で固定すればよい。接着には接着剤を用いる。
このエンジンでは、シリンダヘッド(1)の素材は鋳鉄、スリーブ(10)の素材は鋼を用いることができる。シリンダヘッド(1)はアルミダイカストとし、スリーブ(10)の素材にアルミその他の金属を用いてもよい。スリーブ(10)には耐熱性樹脂を用いてもよい。シリンダヘッド(1)の素材とスリーブ(10)の素材は、同じであっても、相違してもよい。
この図2(B)に示す変形例1のスリーブ(10)を用いた場合、図2(A)に示す基本例のスリーブ(10)、すなわちシリンダヘッド(1)と別部品のスリーブ(10)を用いた場合に比べ、部品点数を削減できる利点がある。
図2(B)の変形例2の他の構成や機能は、特に矛盾のない限り、図2(A)の基本例と同じである。図2(B)中、図2(A)と同一の要素には、図2(A)と同一の符号を付してある。
図3(A)に示すように、この基本例では、座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)との間が、押圧力(11)による圧接のみで密封されている。
この変形例2-1を用いると、圧接による密封が接着剤(17)で強化され、密封性が高まる。
この場合、座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)との間から、水や塵埃がスリーブ(10)内に進入し難くなる。スリーブ(10)内に進入した水や塵埃は、燃料インジェクタ(7)に進入し、その故障の原因となる。また、エンジンの焼き付け塗装前にスリーブ(10)内に進入した水は、焼き付け塗装時の熱で気化し、塗膜を内側から膨らませ、剥がれの原因となる。
この変形例2-2によれば、圧接による密封がグリス(18)で強化され、密封性が高まる。
この変形例2-3を用いると、圧接による密封がシートガスケット(19)で強化され、密封性が高まる。
シートガスケット(19)には、金属、樹脂、ゴム等の素材を用いることができる。
図4(A)に示す基本例では、スリーブ(10)の受圧面(10b)や座金(12)の押圧面(12a)は、いずれも平坦面のみで構成されている。
図4(B)に示す変形例3-1では、同心円形の溝(20)が形成され、図4(B)に示す変形例3-2では、渦巻形の溝(20)が形成されている。
この変形例3-1や変形例3-2を用いると、座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)の圧接面積が溝(20)で減る分だけ、接圧が高まり、密封性が高まる。
また、溝(20)に水や塵埃が進入しても、これらは溝(20)に沿って周方向に移動するため、スリーブ(10)内には進入し難い。
リングガスケット(22)は、図5(A)に示す変形例4-1ではOリング(22a)が、図5(B)に示す変形例4-2では断面がX字状のXリング(22b)が、図5(C)に示す変形例4-3では断面が三角形の三角リング(22c)がそれぞれ用いられている。
変形例4-1~4-3のリングガスケット(22)を用いると、リング溝(21)内で位置ずれし難いリングガスケット(22)の弾性復元力で、座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)の間の密封を確実に行うことができる。
リングガスケット(22)は、ゴムを素材としている。
変形例4-4では、スリーブ(10)は、基端部(10c)側の本体部(10ca)と、導出端部(10a)の一部を構成する弾性端部(10ab)を備え、弾性端部(10ab)と本体部(10ca)を密嵌させ、弾性端部(10ab)は本体部(10ca)及び座金(12)よりも弾性係数の小さい(すなわち弾性変形しやすい)素材で形成され、弾性端部(10ab)に前記スリーブ(10)の受圧面(10b)が形成されている。
この場合、弾性端部(10ab)がガスケットの機能を果たすため、スリーブ(10)の受圧面(10b)を密封する専用のガスケットは不要になる。
なお、図3(B)、3(C)の変形例2-1,2-2のように、座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)の間は接着剤(17)やグリス(18)で密封してもよい。
本体部(10ca)及び座金(12)の素材を鋼とした場合、弾性端部(10ab)には、鋼よりも弾性係数の小さい銅、アルミ、ゴム、樹脂等を素材とすればよい。
すなわち、スリーブ(10)の本体部(10ca)は弾性端部(10ab)側の開口周縁に内面が断面L字形の嵌合溝(10cb)を備え、弾性端部(10ab)は、嵌合溝(10cb)と密嵌される筒部(10ac)と、弾性端部(10ab)側の本体部(10ca)の開口端面(10cc)に沿って筒部(10ac)から径方向に張り出されたフランジ部(10ad)を備え、フランジ部(10ad)の開口端面(10ae)がスリーブ(10)の前記受圧面(10b)とされている。
リングガスケット(24)は、図6(B)に示す変形例5-1ではOリング(24a)が、図6(C)に示す変形例5-2では断面がX字状のXリング(24b)が、図6(D)に示す変形例5-3では断面が三角形の三角リング(24c)が、図7(A)に示す変形例5-4ではシールリップリング(24d)がそれぞれ用いられている。シールリップリング(24d)は、内周にシールリップ(24da)を備えている。
シールリップリング(24d)は、リング溝(23)に圧入されている。リングガスケット(24)は、燃料インジェクタ(7)のノズル部(7d)の外周面(7de)に圧接されている。
図7(B)に示す変形例5-5では、断面が三角形の三角リング(24c)が用いられている。
この三角リング(24c)は、スリーブ(10)の内周面(10d)の軸長方向に複数配置されている。
三角リング(24c)は、燃料インジェクタ(7)のノズル部(7d)の外周面(7de)に圧接している。
埋め込みシール(25)は、スリーブ(10)の内周面(10d)と燃料インジェクタ(7)のノズル部(7d)の外周面(7de)に密着している。
埋め込みシール(25)の素材には、ゴムやアクリル等の樹脂を用いることができる。
充填シール剤(26)は、スリーブ(10)の内周面(10d)と燃料インジェクタ(7)のノズル部(7d)の外周面(7de)の隙間に充満させる。
充填シール剤(26)の素材には、グリスや樹脂を用いることができる。
スリーブ(10)の周壁は充填シール剤(26)を注入する注入孔(10e)を備えている。
充填孔(10e)は、充填シール剤(26)を注入した後、プラグ(10f)で塞ぐ。
取り付けカバー(28b)は、燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)に係止されている。
図10(A)は図2~図9に示す基本例同士を組み合わせた組み合わせの基本例である。図10(B)は、図3(D)の変形例2-1の接着剤(17)と図5(D)の変形例4-4の弾性端部(10ab)を組み合わせた組み合わせの変形例8である。変形例8には、図4(B)(C)のスリーブの受圧面等の構造、図6(B)~(D),図7(A)(B)のスリーブの内周側の密封構造を組み合わせてもよい。
図1(B)に示すように、燃料インジェクタ(7)は、渦室(2)に臨むノズル部(7d)の先端面(7db)に燃料噴射孔(9)を備えている。
図1(A)に示すように、このエンジンでは、ノズル部(7d)の先端面(7db)の一部が渦室(2)内に突出している。
このエンジンでは、ノズル部(7d)の先端面(7db)の全部が渦室(2)内に突出していてもよい。
図11は燃料噴射孔(9)の基本例、図12は変形例9に関するものである。
図11(A),12(A)に示すように、燃料噴射孔(9)は先拡がりテーパ形状とされている。
図1(A)に示すように、渦流ガイド面(7dc)の全部が、渦室(2)内に突出している。
このエンジンでは、渦流ガイド面(7dc)の一部が、渦室(2)内に突出していてもよい。
燃料噴射孔(9)は、ノズル部(7d)の先端面(7db)の中央にある突球面状の最先端面(7dd)に形成されている。
このため、11(B),12(B)に示す噴射燃料(13)が渦室(2)内に広く分散し、圧縮空気と噴射燃料(13)の混合が良好になり、渦室(2)内で煤が発生し難い。
このエンジンでは、燃料噴射孔(9)は、燃料インジェクタ(7)1本につき2~6個設けるのが望ましい。
このエンジンでは、A/Cの値が0.5×10-6~1.0×10-6となるようにするのが望ましい。
これに対し、A/Cの値が0.5×10-6~1.0×10-6の場合には、必要な出力が得られると共に、渦室(2)内で煤が発生し難い。
このエンジンでは、B/Aの値が1.08~1.44となるようにするのが望ましい。
B/Aの値が1.44を超える場合には、燃料噴射孔(9)の入口開口(9a)の総開口面積Aに対して出口開口(9b)の総開口面積Bが大き過ぎ、燃料噴射孔(9)の出口で煤の堆積物の成長速度が速く、多量の煤の堆積物で燃料噴射が邪魔され、燃料噴射制御の精度が低下するおそれがある。
これに対し、B/Aの値が1.08~1.44である場合には、少量の煤の堆積物では燃料噴射が邪魔されないうえ、燃料噴射孔(9)の出口での煤の堆積物の成長速度が遅く、燃料噴射制御の精度が低下し難い。
このエンジンでは、渦室側延長線(9d)の全本数(6本)の一部のみが連通口(5)を通過するようにしてもよい。
このエンジンでは、多くの噴射燃料(13)が連通口(5)を介して主燃焼室(4)に噴射されるため、渦室(2)での過剰な燃焼が防止され、渦室(2)で煤が発生し難い。
複数個(6個)の燃料噴射孔(9)は、インジェクタ中心軸線(7a)の周囲で、インジェクタ先端面(8)の最先端突出面(8a)の周方向に一定間隔を保持して配置されている。
このエンジンでは、全本数(6本)が連通口(5)の渦室側開口(5a)の周縁部(5b)に突き当たるようにしてもよい。
このエンジンでは、多くの噴射燃料(13)が連通口(5)を介して主燃焼室(4)に噴射されるため、渦室(2)での過剰な燃焼が防止され、渦室(2)で煤が発生し難い。
図12に示す燃料噴射孔(9)の変形例9では、図11に示す燃料噴射孔(9)の基本例と同一の要素には、図11と同一の符号を付しておく。図12に示す燃料噴射孔(9)の変形例の要素は、特記しない限り、図11に示す燃料噴射孔(9)の基本例の要素と同一の構造と機能を備える。
図15に示す第3比較例では、図11に示す基本例や図12に示す変形例と同一の要素には、図11,12の符号に100を加算した符号を付しておく。図13に示す第1比較例や図14に示す第2比較例でも、同様にしておく。
図12(A)に示すように、燃料噴射孔(9)の変形例9では、インジェクタ中心軸線(7a)に対する各噴射孔中心軸線(9c)(またはその渦室側延長線(9d))の拡開角度(α)は、7°とされている。
このエンジンでは、インジェクタ中心軸線(7a)に対する各噴射孔中心軸線(9c)(またはその渦室側延長線(9d))の拡開角度(α)は、4°~7°とするのが望ましい。
拡開角度(α)が7°を越える場合には、噴射燃料(13)の多くが連通口(5)を通過せずに渦室(2)の内面に衝突し、渦室(2)内での過剰な燃焼で煤が発生し易い。
これに対し、拡開角度(α)が4°~7°である場合には、渦室(2)内で煤が発生し難い。
図12(A)に示す燃料噴射孔(9)の変形例9では、各燃料噴射孔(9)のテーパ角度(β)は、18°とされている。
このエンジンでは、テーパ角度(β)は、12°~18°とするのが望ましい。
テーパ角度(β)が18°を超える場合には、燃料噴射孔(9)の入口開口(9a)に対して出口開口(9b)が大き過ぎ、燃料噴射孔(9)の出口で煤の堆積物の成長速度が速く、多量の煤の堆積物で燃料噴射が邪魔され、燃料噴射制御の精度が低下するおそれがある。
これに対し、テーパ角度(β)が12°~18°の場合には、少量の煤の堆積物では燃料噴射が邪魔されないうえ、燃料噴射孔(9)の出口での煤の堆積物の成長速度が遅く、燃料噴射制御の精度が低下し難い。
図12(A)に示すように、燃料噴射孔(9)の変形例9では、インジェクタ中心軸線(7a)と、インジェクタ中心軸線(7a)に沿う各噴射孔内周面(9g)との挟角(γ)は、3°とされている。
このエンジンでは、挟角(γ)は、1°~3°とするのが望ましい。
これに対し、挟角(γ)が1°~3°である場合には、渦室(2)内で煤が発生し難い。
図12(A)に示す燃料噴射孔(9)の変形例9でも、燃料噴射孔(9)の入口開口縁(9e)は、面取り仕上げされていない先鋭なピン角(9f)を備えている。
また、このエンジンでは、燃料インジェクタ(7)は渦室(2)に燃料を噴射するため、直噴式のものに比べ、燃料噴射圧が低くて済み、燃料の噴射圧によるピン角(9f)の摩耗が起こり難く、これに起因する燃料噴射精度の低下は起こり難い。
Claims (9)
- シリンダ(3)と、シリンダヘッド(1)と、シリンダヘッド(1)内の渦室(2)と、シリンダ(3)内の主燃焼室(4)と、主燃焼室(4)と渦室(2)を連通させる連通口(5)と、渦室(2)に向かうシリンダヘッド(1)内の挿通孔(1a)と、挿通孔(1a)に挿通された燃料インジェクタ(7)を備えた、ディーゼルエンジンにおいて、
挿通孔(1a)からシリンダヘッド(1)外に突出するスリーブ(10)と、スリーブ(10)の突出端部(10a)に設けられた受圧面(10b)を備え、
燃料インジェクタ(7)は、径大の本体部(7c)と、径小のノズル部(7d)と、本体部(7c)とノズル部(7d)の段差部分に形成された押圧面(7e)を備え、
燃料インジェクタ(7)のノズル部(7d)がスリーブ(10)内から挿通孔(1a)内に亘って挿通され、燃料インジェクタ(7)が押圧力(11)で渦室(2)側に押圧され、燃料インジェクタ(7)にかかる押圧力(11)が燃料インジェクタ(7)の押圧面(7e)から座金(12)を介してスリーブ(10)の受圧面(10b)で受け止められるように構成され、
スリーブ(10)は、突出端部(10a)から突出方向に延長されたスリーブ延長カバー(28a)を備え、スリーブ延長カバー(28a)で座金(12)が外周側から覆われ、
スリーブ延長カバー(28a)の延長端部(28aa)に燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)が内嵌されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
スリーブ延長カバー(28a)の延長端部(28aa)の内周面(28ad)と、燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)の外周面(7cb)の間は、リングガスケット(28ac)で密封されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1または請求項2に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
エンジン冷却風路(1b)を備え、エンジン冷却風路(1b)内で、燃料インジェクタ(7)の本体部(7c)の外周面(7cb)とスリーブ(10)の外周面(10g)が露出している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
スリーブ(10)は、シリンダヘッド(1)とは別部品で構成され、シリンダヘッド(1)に取り付けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)との間が、接着剤(17)で密封されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)との間が、グリス(18)で密封されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
座金(12)の押圧面(12a)とスリーブ(10)の受圧面(10b)との間が、シートガスケット(19)で密封されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
スリーブ(10)の受圧面(10b)と座金(12)の押圧面(12a)の一方または両方に、その周方向に伸びる同心円形または渦巻き形の溝(20)が形成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
渦室(2)に臨むノズル部(7d)の先端面(7db)に燃料噴射孔(9)を備え、
ノズル部(7d)の先端面(7db)の一部または全部が渦室(2)内に突出している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
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JP2020218647A JP7366879B2 (ja) | 2020-12-28 | 2020-12-28 | ディーゼルエンジン |
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