JP2022103152A - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】持続可能性に優れ、且つ、靭性やESCR、成形加工時の熱安定性にも優れるポリオレフィン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】リサイクルポリオレフィンと、バージンポリオレフィンと、酸化防止剤と、を含むポリオレフィン樹脂組成物であって、前記リサイクルポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して30質量%以上99質量%以下であり、前記バージンポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して1質量%以上70質量%以下であり、前記酸化防止剤の含有量が、ポリオレフィン樹脂組成物の全体に対して100ppm以上5000ppm以下である、ポリオレフィン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂組成物に関する。
海洋プラスチック問題などに代表される、プラスチック廃棄物問題は、喫緊の世界的課題として認識され、革新的な解決策が求められている。なかでも、強靭で可撓性のプラスチックであるポリオレフィンは、加工の容易さ及び優れた耐薬品性に基づいて、容器や包装等の用途に用いられており、非常に生産量の多い重要なプラスチックである。このようなポリオレフィンをリサイクルして再利用することは、プラスチック廃棄物問題を解決する手段の一つといえる。
特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂を押出成形して各種形状の押出成形品を製造する際に生じる廃材(スクラップ樹脂)を再利用するための技術が開示されている。
また、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂製押出成形品の廃材から得られたリサイクル樹脂とポリオレフィン系樹脂バージン材とを含むポリオレフィン系樹脂と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、リン系熱安定剤とを含むポリオレフィン系樹脂組成物が開示されており、廃材を劣化させることなく押出成形品の製造用樹脂組成物に用いることができるため、廃材の再利用率を高めることができるとされている。
特開2001-234003号公報 特開2012-007097号公報
プラスチック廃棄物からリサイクルにより得られるポリオレフィン(以下、「リサイクルポリオレフィン」という。)を、容器や包装等の用途に再利用する場合、靭性や環境応力亀裂耐性(以下、「ESCR」という。)、成形加工時の熱安定性が低いことがわかった。そこで、リサイクルポリオレフィンを含む、靭性やESCR、成形加工時の熱安定性に優れるポリオレフィン樹脂組成物が求められている。
また、プラスチック廃棄物問題に取り組むEUにおいては、プラスチック製ボトルのリサイクル材料含有率を2025年までに25%、2030年までに30%にするという目標を掲げている(「特定プラスチック製品の環境負荷低減にかかる指令」https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/53834b4b467aaafb.html)。このような目標を鑑み、持続可能性に優れた、すなわちリサイクルポリオレフィンの含有量の高いポリオレフィン樹脂組成物が求められている。
上記問題点に鑑み、本発明においては、持続可能性に優れ、且つ、靭性やESCR、成形加工時の熱安定性にも優れるポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の割合でリサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンを混合し、さらに酸化防止剤を特定量混合することにより、上記課題を解決できるポリオレフィン樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
[1]
リサイクルポリオレフィンと、バージンポリオレフィンと、酸化防止剤と、を含むポリオレフィン樹脂組成物であって、
前記リサイクルポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して30質量%以上99質量%以下であり、
前記バージンポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して1質量%以上70質量%以下であり、
前記酸化防止剤の含有量が、ポリオレフィン樹脂組成物の全体に対して100ppm以上5000ppm以下である、ポリオレフィン樹脂組成物。
[2]
前記リサイクルポリオレフィンが市場より回収されたリサイクル材由来のポリオレフィンである、上記[1]に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[3]
前記リサイクルポリオレフィンに含まれるポリエチレンの含有量が、リサイクルポリオレフィンに対して50質量%以上である、上記[1]又は[2]に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[4]
前記バージンポリオレフィンが長鎖分岐構造を有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[5]
前記バージンポリオレフィンがクロム系触媒を用いた重合又はラジカルによる重合により得られるポリオレフィンを含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[6]
前記バージンポリオレフィンのMMIが0.10g/10分以上20g/10分以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[7]
前記バージンポリオレフィンの密度が945kg/m3以上965kg/m3以下である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[8]
前記バージンポリオレフィンがポリエチレンである、上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[9]
前記酸化防止剤の含有量がポリオレフィン樹脂組成物の全体に対して2000ppm以上5000ppm以下である、上記[1]~[8]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[10]
MIが0.1g/10分以上10g/10分以下である、上記[1]~[9]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
[11]
ブロー成型用である、上記[1]~[10]のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
本発明によれば、持続可能性に優れ、且つ、靭性やESCR、成形加工時の熱安定性にも優れるポリオレフィン樹脂組成物を提供できる。
実施例で得られたポリエチレン(A)のMark―Houwink―Sakuradaプロットを示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリオレフィン樹脂組成物〕
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物は、リサイクルポリオレフィンと、バージンポリオレフィンと、酸化防止剤と、を含み、リサイクルポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して30質量%以上99質量%以下であり、バージンポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して1質量%以上70質量%以下であり、酸化防止剤の含有量がポリオレフィン樹脂組成物の全体に対して100ppm以上5000ppm以下である。
以下、本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物の構成について説明する。
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるリサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの含有量は、リサイクルポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して30質量%以上99質量%以下であり、好ましくは45質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上99質量%以下であり、バージンポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して1質量%以上70質量%以下であり、好ましくは1質量%以上55質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上40質量%以下である。
リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの含有量が上記範囲であることにより、持続可能性に優れる、且つ、靭性及びESCRにも優れるポリオレフィン樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物のメルトインデックス(以下、「MI」という。)は、好ましくは0.1g/10分以上10g/10分以下であり、より好ましくは0.14g/10分以上5g/10分以下であり、さらに好ましくは0.18g/10分以上1g/10分以下である。MIが上記範囲であることにより、靭性や成形性により優れるポリオレフィン樹脂組成物を得ることができる傾向にある。
MIを上記範囲に調整する方法としては特に限定されないが、例えば、リサイクルポリオレフィンのMIに合わせて上記範囲となるようバージンポリオレフィン(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)やポリスチレン等を溶融混錬する方法等が挙げられる。
MIは後述する実施例に記載された方法に従って測定することができる。
〔リサイクルポリオレフィン〕
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるリサイクルポリオレフィンは、例えば、家庭等から排出される容器や包装等のプラスチック廃棄物等の、市場から回収されたリサイクル材(以下、「PCR」(Post-Consumer Recycled material)ともいう。)を由来とすることが好ましく、前記PCRからポリオレフィンを選別した後、洗浄等の工程を経て得られるものである。リサイクルポリオレフィンは、ポリオレフィンと他の樹脂からなり、ポリオレフィンが主成分である。
リサイクルポリオレフィンに含まれるポリオレフィンとしては、エチレン単独重合体、及び、エチレンと、エチレンと共重合可能な他のコモノマーとの共重合体(例えば、二元又は三元共重合体)が挙げられる。共重合体の結合形式は、ランダムでもブロックであってもよい。
エチレンと共重合可能な他のコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、α-オレフィン、ビニル化合物等が挙げられる。他のコモノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
α-オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等が挙げられる。ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
他のコモノマーとして、必要に応じて、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ポリエンを用いてもよい。
リサイクルポリオレフィンに含まれる他の樹脂としては、特に限定されないが、ポリスチレン等が挙げられる。
リサイクルポリオレフィンに含まれるポリエチレンの含有量は、リサイクルポリオレフィンに対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。含有量の上限としては、特に限定されないが、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは100質量%未満である。
リサイクルポリオレフィンに含まれるポリエチレンの含有量が上記範囲であることにより、靭性及びESCRにより優れるポリオレフィン樹脂組成物を得ることができる傾向にある。
〔バージンポリオレフィン〕
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるバージンポリオレフィンとしては、特に限定されず、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレンや、ポリプロピレン等が挙げられ、靭性及びESCRの観点から、ポリエチレンであることが好ましい。ポリエチレンとしては、エチレン単独重合体、及びエチレンと、エチレンと共重合可能な他のコモノマーとの共重合体(例えば、二元又は三元共重合体)が挙げられ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合体の結合形式は、ランダムでもブロックであってもよいが、加工性の観点から、非星形であることが好ましい。
エチレンと共重合可能な他のコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、α-オレフィン、ビニル化合物等が挙げられる。他のコモノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
α-オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等が挙げられる。ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
他のコモノマーとして、必要に応じて、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ポリエンを用いてもよい。
また、本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるバージンポリオレフィンとしては、ESCRおよび成形性の観点から、長鎖分岐構造を有するポリオレフィンであることが好ましい。
ここで、長鎖分岐構造とは、好ましくは、主鎖に炭素数6以上の側鎖を有する構造をいう。ポリオレフィンが長鎖分岐構造を有することを分析する方法としては、粘度検出器とGPCを組み合わせた分析方法が知られている。具体的な分析方法は以下のとおりである。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、アジレントテクノロジー社製PL-GPC200を用いる。検出器は、RI、Viscometerを並列で接続する。移動相溶媒は、和光純薬製1,2,4-トリクロロベンゼン(4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)を0.05wt%の濃度で添加)である。流量は1mL/分で、カラムは、アジレントテクノロジー社製PLgel MIXED-A(13μm、7.5mmI.D×30cm)2本連結して用いる。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、160℃である。試料濃度は0.4mg/mLとし、注入量(サンプルループ容量)は500μLである。標準物質としてポリスチレンを用いて普遍校正曲線を作成する。
上記装置によって対象サンプルを測定することで得られた重量平均分子量Mwの対数値を横軸に、固有粘度ηの対数値を縦軸にプロットする。一方、線形ポリマーに対しても、上記測定を行い、同様にプロットを行う。この際に、対象サンプルのグラフが線形ポリマーのグラフより下の領域に存在する場合、対象サンプルは長鎖分岐ポリマーを有することが示される。
このように、粘度検出器とGPCによって得られた固有粘度と分子量をプロットしたグラフはMark―Houwink―Sakuradaプロットとして知られており、この分析方法によって長鎖分岐を有するポリマーであることを示すことが可能であることは公知である。
また、このような長鎖分岐構造を有するポリマーの長鎖分岐の度合いは、分岐指数(g’)によって定量化することができる。例えば、重量平均分子量100万における分岐指数(g’)は、上記Mark―Houwink―Sakuradaプロットにおいて、線形ポリマーの重量平均分子量100万における粘度ηlinと、対象サンプルの重量平均分子量100万における粘度ηbrとの比(g’=ηbr/ηlin)として算出できる。
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるバージンポリオレフィンとしては、成形性およびESCRの観点から、重量平均分子量100万における分岐指数(g’)が0.30以上0.94以下であることが好ましく、より好ましくは0.40以上0.90以下であり、さらに好ましくは0.50以上0.85以下である。
長鎖分岐を有するポリマーの分岐指数(g’)が上記範囲であることにより、リサイクルポリオレフィン含む樹脂組成物について、適切な分子鎖の絡み合いが形成され、成形性およびESCRがより向上する傾向にある。
このような長鎖分岐構造を有するポリオレフィンを得る方法としては、特に限定されず、例えば、クロム系触媒を用いて重合する方法や、ラジカル重合によって重合する方法等が挙げられる。
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるバージンポリオレフィンのミドルメルトインデックス(JIS K7210に従って、測定温度190℃、荷重5.0kgで測定されるMFR)(以下、「MMI」という。)は、好ましくは0.10g/10分以上20g/10分以下であり、より好ましくは0.14g/10分以上10g/10分以下であり、さらに好ましくは0.18g/10分以上5g/10分以下であり、さらにより好ましくは0.18g/10分以上1g/10以下である。バージンポリオレフィンのMMIが上記範囲であることにより、靭性、成形性およびESCRがより向上する傾向にある。
バージンポリオレフィンのMMIを上記範囲に調整する方法としては、特に限定されず、温度や圧力等の各種重合条件を変更すること等が挙げられる。
バージンポリオレフィンのMMIは、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるバージンポリオレフィンの密度は、好ましくは915kg/m3以上968kg/m3以下であり、より好ましくは945kg/m3以上965kg/m3以下であり、さらに好ましくは947kg/m3以上960kg/m3以下であり、特に好ましくは949kg/m3以上956kg/m3以下である。バージンポリオレフィンの密度が上記範囲であることにより、靭性がより向上する傾向にある。
本実施形態で用いるバージンポリオレフィンの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である。分子量分布は、19以上150未満であることが好ましく、より好ましくは21以上80未満であり、さらに好ましくは23以上30未満である。このような範囲にあるバージンポリオレフィンを使用することにより、靭性及びESCRにより優れるポリオレフィン樹脂組成物を得ることができる傾向にある。
バージンポリオレフィンの密度を上記範囲に調整する方法としては、特に限定されず、温度や圧力等の各種重合条件を変更すること等が挙げられる。
バージンポリオレフィンの密度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
バージンポリオレフィンの製造に使用される触媒は、特に限定されないが、メタロセン触媒、チーグラーナッタ触媒、フィリップス触媒等を使用することができ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。このなかでも、靭性やESCRの観点から、チーグラーナッタ触媒、クロム系触媒を使用することが好ましい。
チーグラーナッタ触媒としては、多孔質高分子材料(但し、マトリックスは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルエステル共重合体、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、エチレン-ビニルエステル共重合体の部分あるいは完全鹸化物等のポリオレフィンやその変性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂等を含む)、周期表第2~4、13または14族に属する元素の無機固体酸化物(例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、塩化マグネシウム、ジルコニア、チタニア、酸化硼素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、五酸化バナジウム、酸化クロム、酸化トリウム、またはこれらの混合物もしくはこれらの複合酸化物)等の担体に、チタン化合物を担持した触媒等の公知の触媒が挙げられる。
本実施形態における好ましい触媒としては、例えば、
(a)下記一般式(1)で示される有機マグネシウム化合物
MαMgβR1 p2 qrs (1)
(式中、αは0又は0より大きい数、p、q、r、sは0または0より大きい数で、p+q+r+s=mα+2βの関係を有し、Mは周期律表第I族ないし第III族に属する金属元素、mはMの原子価、R1、R2は同一または異なった炭素原子数の炭化水素基、X、Yは同一または異なった基で有り、ハロゲン、OR3、OSiR456、NR78、SR9なる基を表し、R3、R4、R5、R6、R7、R8は水素原子または炭化水素基、R9は炭化水素基を表す)、
(b)少なくとも1個のハロゲン原子を含有するチタン化合物、及び
(c)Al、B、Si、Ge、Sn、Te、Sbのハライド化合物、
のうち、(a)と(b)あるいは(a)と(b)と(c)とを反応させてなる固体触媒成分[A]と、有機金属化合物[B]と、からなるものである。
有機金属化合物[B]としては、周期律表第I~III族の化合物で、特に有機アルミニウム化合物、又は有機アルミニウム化合物を含む有機マグネシウム化合物錯体が好ましい。
触媒成分[A]と有機金属化合物成分[B]成分の反応は重合系内に両成分を添加し、重合条件下に重合の進行と共に行わせることも可能で有り、あらかじめ重合に先立って実施してもよい。
また触媒成分の反応比率は、[A]成分1gに対し、[B]成分1~3000mmolの範囲で行うことが好ましい。
クロム系触媒としては、無機酸化物担体にクロム化合物を担持した固体触媒、または該固体触媒と有機金属化合物とを組み合わせた触媒等の公知の触媒が挙げられる。
本実施形態における好ましい触媒としては、有機金属化合物で処理されたクロム化合物担持系触媒と助触媒との組み合わせで製造されたもの等が挙げられ、例えば、耐火性化合物上に支持され非還元雰囲気下で熱処理により活性化された酸化クロム触媒と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基およびヒドロシロキシ基の両方を含有する有機アルミニウム化合物とを混合して得た固体触媒成分と、下記一般式(3)で表されるアルコキシ基を含有する有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒が挙げられる。
AlR1 pq(OR2x(OSiHR34y (2)
(式中、p≧1、0≦q≦1、x≧0.25、y≧0.15、0.5≦x+y≦1.5かつp+q+x+y=3、R1、R2、R3、R4は同一または異なった炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。)
AlR5 3-n(OR6n (3)
(式中、0<n≦1、R5、R6は同一または異なった炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。)
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるバージンポリオレフィンの製造方法としては、特に制限されないが、例えば、溶液法、高圧法、高圧バルク法、ガス法、スラリー法等の公知の方法が挙げられる。
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれるバージンポリオレフィンとしては、少なくとも2種類のポリエチレン(A)と(B)を含むことが好ましい。
ポリエチレン(A)としては、クロム系触媒を用いて製造されたエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3~20のα―オレフィンとの共重合体であることが好ましい。ポリエチレン(A)のMMIは0.01g/10分以上10g/10分以下であることが好ましく、密度は940kg/m3以上であることが好ましい。
ポリエチレン(B)としては、チーグラーナッタ触媒を用いて製造された樹脂が好ましく、さらに2段重合により製造された樹脂がより好ましい。2段重合においては、エチレンを単独重合もしくはエチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとを共重合して低分子量重合体成分を製造した後、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとを共重合し、低分子量重合体成分の量に対して0.95~1.1倍の重量比の高分子量重合体成分を製造する方法が好ましい。低分子量重合体成分は、MIが10g/10分以300g/10分以下であることが好ましい。ポリエチレン(B)のMMIは0.03g/10分以上1g/10分以下であることが好ましく、密度は958kg/m3以下であることが好ましい。
ポリエチレン(A)と(B)の比率は、重量比で(A)/(B)=20/80~80/20であることが好ましく、より好ましくは30/70~70/30であり、さらに好ましくは、40/60~60/40である。
本実施形態における高圧法低密度ポリエチレンは、オートクレーブタイプ、あるいはチューブラータイプのリアクターでエチレンをラジカル重合して得ることができる。オートクレーブタイプのリアクターを使用する場合、重合条件は、例えば、開始剤として作用する過酸化物の存在下、200~300℃の重合温度、100~250MPaの重合圧力に設定すればよい。一方、チューブラータイプのリアクターを使用する場合、重合条件は、例えば、過酸化物及び連鎖移動剤の存在下、180~400℃の重合温度、100~400MPa、好ましくは、200~350℃の重合温度、150~350MPaの重合圧力に設定すればよい。
上記過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、パーオキシケタール類(具体的には1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等)、ハイドロパーオキサイド類(具体的には、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド類(具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチルジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等)、ジアシルパーオキサイド(具体的には、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、パーオキシジカーボネート類(具体的には、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等)、パーオキシエステル類(具体的には、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシオクテート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,6-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等)、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアリルカーボネート等が挙げられる。
過酸化物はイソパラフィン系の溶剤で希釈された状態で重合反応器にフィードしてもよい。
また、分子量を調整するため、必要に応じて、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、1-ブテン、2-ブテン等のアルカン類又はアルケン類;アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド等のケトン類又はアルデヒド類が挙げられる。
なお、リアクターには、エチレン及び重合開始剤をフィードする箇所を複数有していてもよい。
上記のように重合されたポリエチレンは、高圧分離器及び低圧分離器にて圧力を下げつつ未反応原料等とポリエチレン樹脂とを分離し、溶融状態のポリエチレンを押出機にてペレット状に造粒する。
〔酸化防止剤〕
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれる酸化防止剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物の全体に対して100ppm以上5000ppm以下であり、好ましくは1000ppm以上5000ppm以下であり、より好ましくは2000ppm以上5000ppm以下である。
酸化防止剤の含有量が上記範囲であることにより、成形加工時の熱安定性に優れるポリオレフィン樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物に含まれる酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、フェノール系化合物、若しくはフェノールリン酸系化合物が好ましい。具体的には、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシハイドロシンナメート))メタン等のフェノール系酸化防止剤;6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等のフェノールリン系酸化防止剤;テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスフォナイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-t-ブチルフェニルフォスファイト)等のリン系酸化防止剤が挙げられる。
〔添加剤〕
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、スリップ剤、中和剤、耐光安定剤、帯電防止剤、顔料等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
スリップ剤又は中和剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、アルコールの脂肪酸エステル、ワックス、高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン等が挙げられる。具体的には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩は、好適な添加剤として挙げることができる。
耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤;ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)セバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アルミノケイ酸塩、カオリン、クレー、天然シリカ、合成シリカ、シリケート類、タルク、珪藻土等や、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料が挙げられ、有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料;イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料;アジン系染料等)等が挙げられる。
〔ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物は、上述したリサイクルポリオレフィン、バージンポリオレフィン、酸化防止剤、および必要に応じてその他添加剤を用いて、従来公知の溶融混練法により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練する方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた方法が好ましい。溶融混練温度としては、180~260℃の範囲内が好ましい。
〔用途〕
本実施形態のポリオレフィン樹脂組成物は、容器や包装等の用途の原料として使用することができ、中でもブロー成型用の原料として好適であり、特にブロー成型ボトル用の原料として好適である。ブロー成型用の原料として用いる場合のポリオレフィン樹脂組成物のMIとしては、0.18g/10分以上1g/10分以下であることが好ましい。
以下、具体的な実施例及び比較例によって本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
各種特性及び物性の測定方法を下記に示す。
〔ポリオレフィン樹脂組成物及びバージンポリオレフィンの物性〕
まず、ポリオレフィン樹脂組成物及びバージンポリオレフィンの物性の評価方法について説明する。
(MI及びMMI)
ポリオレフィン樹脂組成物及びバージンポリオレフィンのMI及びMMIは、JIS K7210に準拠して測定した。
MIは温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した値で、単位はg/10分である。MMIは温度190℃、荷重5kgの条件下で測定した値で、単位はg/10分である。
(密度)
バージンポリオレフィンの密度は、JIS K7112:1999(D法)に準拠して測定した。
(リサイクルポリオレフィン中のポリエチレンの含有量)
(ソックスレー抽出操作)
リサイクルポリオレフィンペレットを凍結粉砕器により粉末化した。リサイクルポリオレフィンの粉末1gを円筒ろ紙内にいれ、ソックスレー抽出器を用いて、クロロホルム溶媒で5時間溶媒抽出を行った。円筒ろ紙内のソックスレー抽出残差を真空乾燥(40℃、2時間)し、溶媒を完全に除去した。このとき、ソックスレー抽出残渣比率rを以下の式で計算した。

r=(溶媒を完全に除去したソックスレー抽出残差の重量)/(ソックスレー抽出に使用したリサイクルポリオレフィンの粉末の重量)

(o-ジクロロベンゼン可溶分の重量測定)
o-ジクロロベンゼン可溶分の重量割合測定における高温濾過操作にはセンシュー科学製 高温濾過装置SSC-9300を用いた。
PTFEメンブレンフィルタ(1.0μm)の重量を測定((1)ろ過前フィルター重量とする)し、高温溶解用ステンレス試験管内部にセットした。
前述の操作にて溶媒を完全に除去したソックスレー抽出残差20mg((2)サンプル重量とする)を高温溶解用ステンレス試験管に入れ、o-ジクロロベンゼン5mLを加える。160℃の加熱ブロックにセットし、1時間静置した後、3時間振とうした。160℃で加熱したまま、試験官上部よりシリンジにて加圧し可溶分をろ過した。その後に、ステンレス試験管内のフィルター上の残差を洗浄するために、o-ジクロロベンゼン5mLを加え、160℃の加熱ブロックにセットし、30分間振とうした。160℃で加熱したまま、試験官上部よりシリンジにて加圧し可溶分をろ過した。
再度、残差の洗浄のため、o-ジクロロベンゼン5mLを加え、160℃の加熱ブロックにセットし、30分間振とうし、160℃で加熱したまま、試験官上部よりシリンジにて加圧し可溶分をろ過した。
放冷した後に、ステンレス試験管中の残差が付着したフィルターをとりだして、溶媒除去のために真空乾燥した(80℃、4時間)。溶媒を完全に除去した後に、残差が付着したフィルターの重量を測定した。((3)ろ過後フィルター重量とする)

(ブランクの重量測定)
PTFEメンブレンフィルタの重量を測定((4)ブランクろ過前フィルター重量とする)し、高温溶解用ステンレス試験管内部にセットした。
空の高温溶解用ステンレス試験管にo-ジクロロベンゼン5mLを加えた。160℃の加熱ブロックにセットし、1時間静置した後、3時間振とうした。160℃で加熱したまま、試験官上部よりシリンジにて加圧し可溶分をろ過した。
その後に、ステンレス試験管内に、o-ジクロロベンゼン5mLを加え、160℃の加熱ブロックにセットし、30分間振とうした。160℃で加熱したまま、試験官上部よりシリンジにて加圧し可溶分をろ過した。
再度、o-ジクロロベンゼン5mLを加え、160℃の加熱ブロックにセットし、30分間振とうし、160℃で加熱したまま、試験官上部よりシリンジにて加圧し可溶分をろ過した。
放冷した後に、ステンレス試験管中のフィルターをとりだして、溶媒除去のために真空乾燥する(80℃、4時間)。溶媒を完全に除去した後に、残差が付着したフィルターの重量を測定した。((5)ブランクろ過後フィルター重量とする)
(o-ジクロロベンゼン可溶分率の算出)
リサイクルポリオレフィンのo-ジクロロベンゼンへの可溶分率r’を以下のように算出した。

(6)残渣重量(mg)=(((3)ろ過後フィルター重量)-((1)ろ過前フィルター重量))-(((5)ブランクろ過後フィルター重量)-((4)ブランクろ過前フィルター重量))

r’(wt%)=100×(1-((6)残渣重量)/((2)サンプル重量))

(リサイクルポリオレフィンの1HNMR測定)
リサイクルポリオレフィンの1HNMR測定を、重オルトジクロロベンゼンを溶媒として、サンプル濃度は50mg/mLとして、JEOL製RESONANCE ECS400を用いて、以下の条件で測定を行った。
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:オルトジクロロベンゼン(7.05ppm)
パルスディレイ:3秒
スキャン回数 :256回
パルス幅 :45°
測定温度 :140℃

(ポリエチレン含有率の算出)
得られたNMRスペクトルにおいて、6.7ppm付近のピーク積分値をIps(ポリスチレン鎖の1つの繰り返し単位(―CHC56―CH2―)におけるベンゼン環上のオルト位の2つのプロトンに該当)とし、1.7ppm付近のピークの積分値をIpp(ポリプロピレン鎖の1つの繰り返し単位(―CHCH3―CH2―)における三級炭素上の1つのプロトンに該当)とし、1.4ppm付近の積分値をIpe(ポリエチレン鎖の1つの繰り返し単位(―CH2―CH2―)における4つのプロトン、ポリプロピレン鎖の1つの繰り返し単位における二級炭素上の2つのプロトン、ポリスチレン鎖の1つの繰り返し単位における二級炭素上の2つのプロトンの合計に該当)とした際に、リサイクルポリオレフィン中のポリエチレンの重量分率Rpe(重量%)は以下の式で計算した。なお、ベースラインはピークが検出されていない部分で水平に作成した。IppおよびIpeについては、1.7ppm付近のピークと1.4ppm付近のピークの間の谷からベースラインに対して垂直に分割した際の積分値を使用した。

Rpe(重量%) = ((Ipe-Ipp×2-Ips)/4×28.05)/(((Ipe-Ipp×2-Ips)/4×28.05)+(Ipp×42.08)+(Ips/2×104.15))×r×r’
(バージンポリエチレンの長鎖分岐構造)
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、アジレントテクノロジー社製PL-GPC200を用いた。検出器は、RI、Viscometerを並列で接続した。移動相溶媒は、和光純薬製1,2,4-トリクロロベンゼン(4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)を0.05wt%の濃度で添加)とした。流量は1mL/分で、カラムは、アジレントテクノロジー社製PLgel MIXED-A(13μm、7.5mmI.D×30cm)を2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、160℃とした。試料濃度は0.4mg/mLとし、注入量(サンプルループ容量)は500μLとした。標準物質としてポリスチレンを用いて普遍校正曲線を作成した。
上記装置によって対象サンプルを測定することで得られた分子量Mの対数値を横軸に、固有粘度ηの対数値を縦軸にプロットした。一方、線形ポリマーとして1475a(米国国立標準技術研究所(NIST)より供給)を用いて上記測定を行い、同様にプロットを行った。この際に、対象サンプルのグラフが線形ポリマーのグラフより下の領域に存在する場合、対象サンプルは分岐ポリマーを有することが示される。
重量平均分子量100万における分岐指数(g’)は、上記Mark―Houwink―Sakuradaプロットにおいて、線形ポリマーの重量平均分子量100万における粘度ηlinと、対象サンプルの重量平均分子量100万における粘度ηbrとの比(g’=ηbr/ηlin)として算出した。算出された値は、有効数字2桁とし、3桁目を四捨五入した。
(分子量分布)
ポリエチレン樹脂組成物を高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた分子量分布のチャートにおいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比から求めた。高温GPC測定には、PolymerChar社製GPC―IR5を用い、カラムには、昭和電工(株)製のAT-807S(1本)と東ソー(株)製GMHHR-H(S)HT(2本)を直列に接続し、移動相にオルトジクロロベンゼン(ODCB)を用い、カラム温度140℃、流量1.0mL/分、試料濃度20mg/溶媒(ODCB)10mL、試料溶解温度140℃、試料溶解時間1時間の条件下で行った。
〔特性の評価〕
(靭性(シャルピー衝撃強度)の評価)
ポリオレフィン樹脂組成物の靭性(シャルピー衝撃強度)は、JIS K7111に準拠して測定した。単位はkJ/m2である。試験片形状はタイプB3型で、23℃で測定した。
得られた結果に基づき、下記の評価基準により評価を行った。
<評価基準>
◎(良い):4.5kJ/m2以上
○(普通):3.5kJ/m2以上4.5kJ/m2未満
×(悪い):3.5kJ/m2未満
(ESCRの評価)
ポリオレフィン樹脂組成物のESCRは、JIS K6922に準拠して測定した。試験液としては、SIGMA―ALDRICH製 IGEPAL CO―630の10%水溶液を使用し、環境応力による亀裂が発生する確率が50%(以下F50値)となる時間を計測し、ESCRの値とした。単位はhrである。
得られた結果に基づき、下記の評価基準により評価を行った。
<評価基準>
◎(良い):60hr以上
○(普通):30hr以上60hr未満
×(悪い):30hr未満
(成形性の評価)
成形性は樹脂組成物の溶融張力を指標とした。溶融張力は東洋精機社製キャピログラフ1Dを用い、バレル径9.55mm、オリフィス径2.10mm、長さ7.98mm、流入角90度のオリフィスを用い、樹脂温度190℃で測定した。ピストンは6mm/minで降下し、引取速度は2mm/minとした。
得られた結果に基づき、下記の評価基準によって、成形性の評価を行った。
<評価基準>
◎(良い):120mN以上
○(普通):80mN以上120mN未満
×(悪い):80mN未満
(成形加工時の熱安定性の評価)
成形加工時の熱安定性は、島津製作所製DSC60を用いて、酸化誘導時間(OIT)を測定した。サンプル8.5mgを窒素雰囲気のもと200℃まで、25℃/ minで昇温し、200℃に保持した状態で酸素雰囲気に切り替えた。酸素雰囲気に切替えてから、発熱ピークが立ち上がるまでの時間をOITとした。得られた結果に基づき、下記の評価基準により評価を行った。
◎(良い):30分以上
○(普通):10分以上30分未満
×(悪い):10分未満
(持続可能性の評価)
持続可能性とは、ポリオレフィンの生産量に対するリサイクル(特に、マテリアルリサイクル)率を高いことを意味しており、下記の評価基準により評価を行った。なお、含有量の基準は、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計量とした。
<評価基準>
◎(良い):リサイクルポリオレフィンの含有量が50質量%以上
○(普通):リサイクルポリオレフィンの含有量が30質量%以上50質量%未満
×(悪い):リサイクルポリオレフィンの含有量が30質量%未満
〔バージンポリエチレン製造のための触媒合成〕
(1)酸化クロム触媒(I)の合成
三酸化クロム4モルを蒸留水80リットルに溶解し、この溶液中にシリカ(W.Rグレースアンドカンパニ製グレード952)20kgを浸漬し、室温にて1時間攪拌後、このスラリーを加熱して水を留去し、続いて120℃にて10時間減圧乾燥を行った後、600℃にて5時間乾燥空気を流通させて焼成し、クロムを1.0重量%含有した酸化クロム触媒(I)を得た。
(2)有機アルミニウム化合物(II)の合成
トリエチルアルミニウム100モル、メチルヒドロポリシロキサン(30℃における粘度:30センチストークス)50モル(Si基準)、n-ヘキサン150リットルを窒素雰囲気下耐圧容器に秤取し、攪拌下50℃ で24h反応させてAl(C252.5(OSi・H・CH3・C250.5ヘキサン溶液を調製した。次にこの溶液100モル(Al基準)を窒素雰囲気下600リットルの反応器に移し、エタノール50リットルとn-ヘキサン50リットルの混合溶液を-10℃にて攪拌下に添加し、添加後50℃まで昇温し、この温度で1時間反応させてAl(C252.0(OC250.5(OSi・H・CH3・C250.5ヘキサン溶液を調製した。
(3)チタン触媒(III)の合成
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシランを2モル/リットルのn-ヘプタン溶液として3リットル仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、組成式AlM g6(C253(n-C496.4(On-C495.6で示される有機マグネシウム成分のn-ヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5モル)を1時間かけて加え、更に65℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n-ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg7.45ミリモルを含有していた。
このうち固体500gを含有するスラリーを、n-ブチルアルコール1モル/リットルのn-ヘキサン溶液0.93リットルとともに、攪拌下50℃で1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn-ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn-ヘキサン溶液1.3リットルを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn-ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn-ヘキサン溶液0.2リットルおよび四塩化チタン1モル/リットルのn-ヘキサン溶液0.2リットルを加えて、2時間反応した。反応終了後上澄みを除去し、固体触媒を単離し、遊離のハロゲンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。この固体触媒は2.3重量%のチタンを有していた。
〔バージンポリエチレン1の製造〕
(1)ポリエチレン(A)の製造
単段重合プロセスにおいて、容積230Lの重合器で重合した。重合温度は80℃、重合圧力は0.98MPaである。精製ヘキサンを60L/hrの速度で供給し、助触媒として、メタノールとアルミニウムトリヘキシルとをモル比0.92:1で反応させることにより得られた有機アルミニウム化合物を、重合器中の濃度が0.08ミリモル/リットルになるよう供給した。この重合器に(1)で合成した酸化クロム触媒(I)50gに、(2)で調整した有機アルミニウム化合物(II)0.03モル(Al基準)を加えて、室温で1時間反応させて得られた固体触媒を2g/hrの速度で供給した。またエチレンを12kg/hrの速度で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約1モル%になるように供給し重合を行い、MMIが0.6g/10分、密度が964kg/m3のポリエチレン(A)を製造した。このポリエチレン(A)について、前述の粘度検出器とGPCを組み合わせた分析方法を用いて固有粘度と分子量を測定し、Mark―Houwink―Sakuradaプロットを作成した(図1)。図1より、ポリエチレン(A)のプロットは直鎖ポリエチレンのプロットの下の領域に存在するため、ポリエチレン(A)は長鎖分岐を有することが示された。このとき、分岐指数(g’)の値は0.45であった。
(2)ポリエチレン(B)の製造
最初に1段目の重合で低分子量重合体成分を製造するために、反応容積300リットルのステンレス製重合器1を用い、重合温度81℃、重合圧力1MPaの条件で、触媒は上記の固体触媒(III)を1.3ミリモル(Ti原子基準)/hr、トリイソブチルアルミニウムを20ミリモル(金属原子基準)/hr、またヘキサンは40リットル/hrの速度で導入した。分子量調整剤としては水素を用い、エチレンに対する水素濃度が65モル%になるように供給し重合を行った。重合器1内のポリマースラリー溶液を圧力0.1MPa、温度75℃のフラッシュドラムに導き、未反応のエチレン、水素を分離した後反応容積250リットルの重合器2にスラリーポンプで昇圧して導入した。重合器2では、温度65℃、圧力0.5MPaの条件下で、トリイソブチルアルミニウムを7.5ミリモル/hr、ヘキサンは40リットル/hrの速度で導入した。これに、エチレン、水素、ブテン-1を水素の気相濃度が約1モル%、ブテンの気相濃度が約10モル%になるように導入して、重合器1で生成した低分子量重合体成分の量に対して、重合器2で生成した高分子量重合体成分の重量比が1.05倍となるように重合し、MMIが0.2g/10分、密度が941kg/m3のポリエチレン(B)を製造した。尚、重合器1で生成した低分子量重合体成分のMIは、50g/10分、密度は971kg/m3であった。
(3)バージンポリエチレン1の製造
上記の如くして製造したポリエチレン(A)および(B)のパウダーを重量比で、40対60の割合で混合し、混合機で攪拌混合した。この混合物をシリンダー径44mmの二軸押出機(日本製鋼所社製TEX44HCT-49PW-7V)を使用し、シリンダー温度200℃、押出量35kg/時間の条件で混練しながら押出し、バージンポリエチレン1を得た。
得られたバージンポリエチレン1のMMIは0.20g/10分、密度は950kg/m3、分子量分布は25.1であった。
バージンポリエチレン1について、前述の粘度検出器とGPCを組み合わせた分析方法を用いて固有粘度と分子量を測定し、Mark―Houwink―Sakuradaプロットを作成したところ、バージンポリエチレン1のプロットは直鎖ポリエチレンのプロットの下の領域に存在するため、バージンポリエチレン1は長鎖分岐を有することが示された。このとき、分岐指数(g’)の値は0.77であった。
〔バージンポリエチレン2製造〕
(1)ポリエチレン(C)の製造
最初に1段目の重合で低分子量重合体成分を製造するために、反応容積300リットルのステンレス製重合器1を用い、重合温度83℃、重合圧力1MPaの条件で、触媒は上記の固体触媒(III)を1.4ミリモル(Ti原子基準)/hr、トリイソブチルアルミニウムを20ミリモル(金属原子基準)/hr、またヘキサンは40リットル/hrの速度で導入した。分子量調整剤としては水素を用い、エチレンに対する水素濃度が70モル%になるように供給し重合を行った。重合器1内のポリマースラリー溶液を圧力0.1MPa、温度75℃のフラッシュドラムに導き、未反応のエチレン、水素を分離した後反応容積250リットルの重合器2にスラリーポンプで昇圧して導入した。重合器2では、温度77℃、圧力0.5MPaの条件下で、トリイソブチルアルミニウムを7.5ミリモル/hr、ヘキサンは40リットル/hrの速度で導入した。これに、エチレン、水素、ブテン-1を水素の気相濃度が約5モル%、ブテンの気相濃度が約5モル%になるように導入して、重合器1で生成した低分子量重合体成分の量に対して、重合器2で生成した高分子量重合体成分の重量比が1.0倍となるように重合し、MIが0.2g/10分、密度が953kg/m3のポリエチレン(C)を製造した。尚、重合器1で生成した低分子量重合体成分のMIは、70g/10分、密度は972kg/m3であった。
(2)バージンポリエチレン2の製造
上記の如くして製造したポリエチレン(A)および(C)のパウダーを重量比で、65対35の割合で混合し、混合機で攪拌混合した。この混合物をシリンダー径44mmの二軸押出機(日本製鋼所社製TEX44HCT-49PW-7V)を使用し、シリンダー温度200℃、押出量35kg/時間の条件で混練しながら押出し、バージンポリエチレン2を得た。
得られたバージンポリエチレン2のMMIは0.20g/10分、密度は959kg/m3で分子量分布は21.4であった。
バージンポリエチレン2について、前述の粘度検出器とGPCを組み合わせた分析方法を用いて固有粘度と分子量を測定し、Mark―Houwink―Sakuradaプロットを作成したところ、バージンポリエチレン2のプロットは直鎖ポリエチレンのプロットの下の領域に存在するため、バージンポリエチレン2は長鎖分岐を有することが示された。このとき、分岐指数(g’)の値は0.65であった。
〔バージンポリエチレン3製造〕
(1)原料(a-1)の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12AL(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn-ブタノールヘキサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインを300mLのヘキサンで洗浄した。さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続した。反応終了後、常温まで冷却したものを原料(a-1)とした。原料(a-1)はマグネシウムの濃度で0.704mol/Lであった。
(2)(A-1)担体の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、50℃で原料(a-1)の有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1340mL(マグネシウム943mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに50℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(A-1)担体を得た。
(3)固体触媒[A]の調製
上記固体(A-1)500gを含有するスラリーを攪拌しながら50℃に昇温し、n-ブチルアルコール1mol/Lのn-ヘキサン溶液1078mLを添加し、攪拌下50℃で1時間反応させ固体スラリー(A-1b)を得た。
この固体スラリー(A-1b)を50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/Lのn-ヘキサン溶液431mLを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、2,000mLのn-ヘキサンで2回洗浄を行ない、固体スラリー(A-1c)を得た。
この固体スラリー(A-1c)を50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/Lのn-ヘキサン溶液67mL及び四塩化チタン1mol/Lのn-ヘキサン溶液67mLを加えて、1時間反応した。
その後、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/Lのn-ヘキサン溶液202mL及び四塩化チタン1mol/Lのn-ヘキサン溶液202mLを加えて、更に1時間反応した。反応終了後上澄みを除去し、内温を50℃に保った状態で、2,000mLのn-ヘキサンで4回洗浄して、固体触媒成分[A]をヘキサンスラリー溶液として得た。
(4)重合
上記で得られた固体触媒成分[A]、及びトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1)の混合物(成分[B])を含む重合触媒を用いた連続スラリー重合法で、直列に接続した2つの重合槽による二段重合を行った。用いたコモノマーは1-ブテンである。一段目の重合槽には、モノマーとしてエチレンのみを供給し、温度85℃、圧力9.5kg/cm3G、水素濃度72%にて重合を行い、二段目にはエチレンと1-ブテンを供給し70℃、2.8kg/cm3G、水素濃度1.7%、1-ブテン濃度11.5%にて重合した。一段目の重合槽で得られるエチレン単独重合体からなる低分子量ポリエチレン樹脂成分(D)の生産量の割合を52wt%、二段目の重合槽で得られる共重合体からなる高分子量ポリエチレン樹脂成分(E)の生産量の割合を48wt%に設定し、MMIが0.48g/10分、密度が950kg/m3のパウダーを得た。
(5)バージンポリエチレン3の製造
上記重合により得られたパウダーを乾燥し、日本製鋼製TEX-44型押出機(スクリュー径44mm、L/D=42)設定温度200℃、樹脂押出量40kg/hrにて押出し造粒することによりペレットを得た。ペレットのMMIは0.22g/10分、密度が950kg/m3であった。得られたバージンポリエチレン3を前述の粘度検出器とGPCを組み合わせた分析方法を用いて固有粘度と分子量を測定し、Mark―Houwink―Sakuradaプロットを作成したところ、長鎖分岐構造は有していないことがわかった。このとき、分岐指数(g’)の値は1.0であった。
〔バージンポリエチレン4の製造〕
チューブリアクターの中で、重合平均温度249℃、重合圧力240MPa、連鎖移動剤としてプロピレンをエチレンに対して0.3mol%、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオクトエートとジ-t-ブチルパーオキサイトを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。上記重合により得られた溶融状態の樹脂を日本製鋼製TEX-44型押出機(スクリュー径44mm、L/D=42)設定温度200℃、樹脂押出量40kg/hrにて押出し造粒することによりペレットを得た。得られたバージンポリエチレン4のMMIは1.30g/10分、密度は918kg/m3、分子量分布は66.3であった。
バージンポリエチレン4について、前述の粘度検出器とGPCを組み合わせた分析方法を用いて固有粘度と分子量を測定し、Mark―Houwink―Sakuradaプロットを作成したところ、バージンポリエチレン4のプロットは直鎖ポリエチレンのプロットの下の領域に存在するため、バージンポリエチレン1は長鎖分岐を有することが示された。このとき、分岐指数(g’)の値は0.40であった。
〔リサイクルポリオレフィン〕
富山環境整備社製RBP―PE(K)を使用した。リサイクルポリオレフィン中のポリエチレンの含有量は90質量%であった。
〔酸化防止剤〕
株式会社ADEKA製AO―50Fを使用した。
[実施例1~実施例7、比較例1~比較例2]
〔ポリオレフィン樹脂組成物の製造〕
原料の流れ方向に対し、二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS)を用いた。シリンダー温度を200℃に設定し、スクリュー回転数は200回転/分、吐出量は20kg/hとした。また、押出機中央に位置するシリンダーブロックと、ダイ直前のシリンダーブロックにそれぞれ開口部を設け、真空吸引することにより残存揮発分及びオリゴマーの除去を行った。下記表1に記載の組成に従い、それぞれの原材料(表中の単位はポリオレフィンについては「質量%」、酸化防止剤は「ppm」)を供給し、溶融混練した。
押出機ダイ先端から押出したストランドは、冷却用水を張ったSUS製ストランドバスにて冷却を行った。その後、ストランドカッターにて切断して樹脂組成物ペレットを得た。
得られたポリオレフィン樹脂組成物のMI及び各種特性の評価結果を表1に示す。
Figure 2022103152000001
※表中、「リサイクル」はリサイクルポリオレフィンを、「バージン1」はバージンポリオレフィン1を、「バージン2」はバージンポリオレフィン2を、「バージン3」はバージンポリオレフィン3、「バージン4」はバージンポリオレフィン4を示す。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、各種成形体、容器や包装用途の原料としての産業上の利用可能性を有する。

Claims (11)

  1. リサイクルポリオレフィンと、バージンポリオレフィンと、酸化防止剤と、を含むポリオレフィン樹脂組成物であって、
    前記リサイクルポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して30質量%以上99質量%以下であり、
    前記バージンポリオレフィンの含有量が、リサイクルポリオレフィンとバージンポリオレフィンの合計に対して1質量%以上70質量%以下であり、
    前記酸化防止剤の含有量が、ポリオレフィン樹脂組成物の全体に対して100ppm以上5000ppm以下である、ポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 前記リサイクルポリオレフィンが市場より回収されたリサイクル材由来のポリオレフィンである、請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. 前記リサイクルポリオレフィンに含まれるポリエチレンの含有量が、リサイクルポリオレフィンに対して50質量%以上である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  4. 前記バージンポリオレフィンが長鎖分岐構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  5. 前記バージンポリオレフィンがクロム系触媒を用いた重合又はラジカルによる重合により得られるポリオレフィンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  6. 前記バージンポリオレフィンのMMIが0.10g/10分以上20g/10分以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  7. 前記バージンポリオレフィンの密度が945kg/m3以上965kg/m3以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  8. 前記バージンポリオレフィンがポリエチレンである、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  9. 前記酸化防止剤の含有量がポリオレフィン樹脂組成物の全体に対して2000ppm以上5000ppm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  10. MIが0.1g/10分以上10g/10分以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  11. ブロー成型用である、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
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