本発明の実施形態に係る電力計測情報管理システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<システム概要>
図1は、本実施の形態に係る電力計測情報管理システムの概要を説明するための模式図であり、以下では一例として、電力の需給調整への適用を示す。本実施の形態に係る電力計測情報管理システムは、電力の需給調整において、電力会社1、親アグリ2、子アグリ3及び需要家4等が電力に関する情報の送受信を行い、これらの情報をデータベースに記憶して管理するシステムである。
電力は発電量と消費量を一致させる必要がある。従来は消費量に合うように発電量を調整していた。近年では発電量が制御しにくい太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入拡大や供給可能な発電量を上回る消費が発生しそうな事態の対策として、消費量を調整する方法も行われるようになってきた。電力の需給調整において、消費量を減らすことは発電量を増やすことと等価とみなすことができ、この需要の減少分は「ネガワット」と呼ばれる。この需給調整において、「ネガワット」の対価を支払うには、需要家の電力消費量がアグリゲータや電力会社間で不正な改ざん等が行われることなく信憑性の高い情報であることが求められる。
また電力の需給調整において、消費量を上回る発電が発生しそうな事態の対策として、消費量を増やすことで調整を行うことがあり、この消費の増加分は「ポジワット」と呼ばれる。本実施の形態に係る電力計測情報管理システムは、電力の消費量を減らす「ネガワット」と、電力の消費量を増やす「ポジワット」とのいずれについても扱うことが可能である。本実施の形態においては、需要家が電力の消費量を低減又は増加させて調整を行う行為を「デマンドレスポンス(Demand Response)」と呼び、以下では省略して「DR」と記載する。また「ネガワット」及び「ポジワット」をまとめて「調整力」と呼ぶ。
電力会社1は、管轄する地域内で電力の発電量と消費量を調整する役割を行う。図1においては電力会社1が1つのみ図示されているが、例えば日本においては関東又は関西等の地方毎に1つの電力会社1が存在する。
アグリゲータは、需要家4から調整力を調達する事業者、組織又は会社等であり、需給調整においては取引会員とも呼ばれ得る。アグリゲータは、電力会社と需要家の間で需要のバランスをコントロールする仲介者である。またアグリゲータは、電力会社1及び需要家4の間で調整力の取引を仲介する仲介者である。アグリゲータは、複数の需要家4を管理しており、電力会社1が必要となったタイミングで監理下の需要家4に必要なDRを依頼する。本実施の形態においてアグリゲータは、親アグリ2及び子アグリ3の2階層の階層構造をなしている。電力会社1は複数の親アグリ2から調整力を買い取り、各親アグリ2は複数の子アグリ3から調整力を買い取り、各子アグリ3は複数の需要家4から調整力を買い取ることになる。
また電力会社1はDRの目標値(ネガワット又はポジワットの量)を指定して各親アグリ2にDRの依頼を行い、この依頼を受けた親アグリ2は指定された目標値を適宜に分配して複数の子アグリ3にDRの依頼を行う。親アグリ2からの依頼を受けた子アグリ3も同様に、親アグリ2から指定された目標値を適宜に分配し、複数の需要家4に対して目標値を指定したDRの依頼を行う。この依頼を受けた需要家4は、指定された目標値を目標としてDRを実施する。なおアグリゲータの階層構造は2階層でなくてよく、1階層又は3階層以上であってよい。
需要家4は、例えば一般家庭、企業、工場又は商業施設等のように電力を消費するものであり、需要量を増減させることにより調整力を提供するものである。需要家4は、例えば自家発電設備又は蓄電池等の設備を備えることにより需給調整に協力してもよい。
例えば電力会社1は、需要家4によるDR(電力需要の低減又は増加)を実施する依頼をアグリゲータへ与える。本実施の形態において電力会社1は、日時及びDRの目標値(ネガワット又はポジワットの量)等を指定したDR依頼を、DRを実施する日時より前にアグリゲータへ与えると共に、DRを実施する日時に至った際に、DRの実施指令をアグリゲータへ与える。アグリゲータは、電力会社1からのDR依頼に応じてDRを実施する需要家4を、自身の管理下にある複数の需要家4の中から適宜に選択し、電力会社1からのDRの実施指令に応じて選択した需要家4にDRを実施させる。その後、選択された需要家4によるDRの結果が電力会社1からのDR依頼を満たすものであるか否かが判断され、DR依頼を満たすDRが行われていた場合には、電力会社1からアグリゲータに対して報酬が支払われる。またアグリゲータは、DRを行った需要家4に対して報酬を支払ってよい。
図2は、本実施の形態に係る電力計測情報管理システムの構成を説明するための模式図である。なお図2においては、簡略化のために電力会社1、親アグリ2、子アグリ3及び需要家4をそれぞれ1つだけ図示している。本実施の形態に係る電力計測情報管理システムは、電力会社1の電力会社サーバ装置10と、親アグリ2の親アグリサーバ装置20と、子アグリ3の子アグリサーバ装置30と、需要家4に設置されたスマートメータ40及びGW(ゲートウェイ)50とを備えて構成されている。
スマートメータ40は、需要家4における電力の消費量(又は発電量)を計測する装置である。スマートメータ40は、通信機能を備えており、第1通信経路及び第2通信経路の2つの通信経路を介して、電力会社サーバ装置10との通信を行うことができる。第1通信経路は、スマートメータ40及び電力会社サーバ装置10の間を直接的に結ぶ通信経路であり、スマートメータによる電力量検針システムにおいてAルートとも呼ばれ得る通信経路である。例えばスマートメータ40は、第1通信経路を介して30分に1回の周期で、電力量の計測値等の電力に係る電力計測情報を電力会社サーバ装置10へ送信する。スマートメータ40が送信する電力計測情報は、例えば需要家4が単位時間当たりに消費した電力量の測定値、又は、需要家4が有する発電施設が単位時間当たりに発電した電力量の測定値等であってよい。またスマートメータ40以外の装置によって、計測値が第1通信経路を介して電力会社サーバ装置10へ送られてもよい。
また、第2通信経路は、電力会社サーバ装置10及びスマートメータ40の間に、親アグリサーバ装置20、子アグリサーバ装置30及びGW50等の複数の仲介者となる装置が介在する通信経路である。スマートメータ40及びGW50を結ぶ通信経路は、スマートメータにおいてはBルートと呼ばれ得る通信経路を利用するものであり、第2通信経路はこのBルートを含むスマートメータ40及び電力会社サーバ装置10の間の通信経路である。スマートメータ40は、例えばGW50からの要求に応じて、第1通信経路の送信周期より短い周期、例えば1分~30分に1回程度の周期で、電力量の計測値等の電力計測情報をGW50へ送信する。なお第1通信経路及び第2通信経路の通信は、有線通信又は無線通信のいずれであってもよい。また本実施の形態においては需要家4の電力量を計測する電力計測器をスマートメータ40とするが、これに限るものではなく、例えばトランスデューサ―等の装置であってもよい。
電力会社サーバ装置10は、例えば電力会社1が管理運営するサーバ装置であり、例えば上記の第1通信経路を介してスマートメータ40から取得した情報から需要家4が1ヶ月間に消費した電力量を集計し、消費した電力量分の使用料金の請求等を行うことができる。この場合に電力会社サーバ装置10は、第1通信経路を介して、例えば30分に1回の周期で需要家4のスマートメータ40から送信される情報を受信する。
また本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10は、需給調整において設定されたDRの日時及び目標値等に基づいて、DRの実施を依頼するDR依頼を予め送信する処理、及び、DRの日時に至った際又はその直前にDRの実施指令を送信する処理等を行う。この場合に電力会社サーバ装置10は、上記の第2通信経路を介してDR依頼及びDRの実施指令等を親アグリサーバ装置20へ送信する。電力会社サーバ装置10が送信したDR依頼及びDRの実施指令等は、親アグリサーバ装置20から子アグリサーバ装置30へ送信され、子アグリサーバ装置30の管理対象である複数の需要家4から選択されたいくつかの需要家4にてDRが実施されることとなる。
電力会社サーバ装置10は、需要家4によるDRの実施状況を監視すべく、上記の第2通信経路を介して需要家4のスマートメータ40が計測した電力量に関する情報を取得することができる。この場合に電力会社サーバ装置10は、第1通信経路における情報送受信の周期よりも短い周期、例えば1分~30分に1回の周期で、第2通信経路に含まれる親アグリサーバ装置20、子アグリサーバ装置30及びGW50等の装置を介して、需要家4のスマートメータ40に対する電力量の計測値等の情報の送信を要求する。電力会社サーバ装置10からのこの要求に応じてスマートメータ40は、需要家4の消費電力量等の計測値を含む情報を、第2通信経路のGW50、子アグリサーバ装置30及び親アグリサーバ装置20を介して、電力会社サーバ装置10へ送信する。
親アグリサーバ装置20は、例えば親アグリ2が管理運営するサーバ装置であり、電力会社サーバ装置10と子アグリサーバ装置30との間の通信を中継する。例えば親アグリサーバ装置20は、需要家4のスマートメータ40が計測した電力量等の電力計測情報を子アグリサーバ装置30から受信して電力会社サーバ装置10へ送信する。このときに親アグリサーバ装置20は、複数の子アグリサーバ装置30から受信した計測値の集計(合計値の算出)等の演算処理を行い、演算処理の結果を電力会社サーバ装置10へ送信してもよい。また親アグリサーバ装置20は、電力会社サーバ装置10からDRの日時及び電力値等を指定したDR依頼を受信した場合、又は、DRの実施指令を受信した場合に、受信したDR依頼又はDRの実施指令を、親アグリ2が管理する子アグリ3の子アグリサーバ装置30へ送信する。このときに親アグリサーバ装置20は、受信したDR依頼に含まれるDRの目標となる電力値を適宜に分割し、分割した電力値をDRの目標とするDR依頼を各子アグリサーバ装置30へ送信してもよい。
子アグリサーバ装置30は、例えば子アグリ3が管理運営するサーバ装置であり、親アグリサーバ装置20とGW50との間の通信を中継する。例えば子アグリサーバ装置30は、子アグリ3が管理する複数の需要家4からスマートメータ40が計測した電力量等に係る電力計測情報をGW50から受信して親アグリサーバ装置20へ送信する。このときに子アグリサーバ装置30は、複数のGW50から受信した計測値の集計等の演算処理を行い、演算処理の結果を親アグリサーバ装置20へ送信してもよい。また子アグリサーバ装置30は、親アグリサーバ装置20を介して電力会社サーバ装置10からのDRの日時及び電力値等を指定したDR依頼を受信した場合に、子アグリ3が管理する複数の需要家4からDRを実施する需要家4を選択する処理を行う。その後、子アグリサーバ装置30は、親アグリサーバ装置20を介して電力会社サーバ装置10からのDRの実施指令を受信した場合、予め決定しておいたDRを実施する需要家4に対して、DRの実施指令を送信する。
GW50は、通信を中継する装置であり、本実施の形態においてはスマートメータ40と子アグリサーバ装置30との間の通信を中継する。GW50は、電力会社サーバ装置10からの情報送信の要求を親アグリサーバ装置20及び子アグリサーバ装置30を介して受信し、スマートメータ40に対して計測値等の電力計測情報の送信を要求する。GW50は、この要求に応じてスマートメータ40が送信する情報を受信し、受信した情報を子アグリサーバ装置30及び親アグリサーバ装置20を介して電力会社サーバ装置10へ送信する。なお本実施の形態においては、電力会社サーバ装置10からの要求に応じてスマートメータ40が計測値等の情報を送信する構成とするが、これに限るものではない。スマートメータ40に対する情報送信の要求は、例えば親アグリサーバ装置20が行ってもよく、子アグリサーバ装置30が行ってもよく、GW50が行ってもよい。またスマートメータ40は、要求に応じて情報を送信するのではなく、GW50を介して自発的に、子アグリサーバ装置30、親アグリサーバ装置20及び電力会社サーバ装置10等の一又は複数の装置に対する情報送信を行ってもよい。
また本実施の形態において、電力計測情報管理システムを構成する電力会社サーバ装置10、親アグリサーバ装置20及び子アグリサーバ装置30の各装置は、分散台帳システムを構成するノード装置として機能する。分散台帳システムは、一又は複数のデータを格納したブロックが連結されたブロックチェーンを複数のノード装置が分散して共有することにより、データの信頼性を高めるシステムである。なお本実施の形態においては、電力会社サーバ装置10がノード装置としての処理を行うものとするが、これに限るものではなく、電力会社1が電力会社サーバ装置10とは別にノード装置を備え、電力会社サーバ装置10がこのノード装置を介してブロックチェーンにアクセスする構成であってもよい。親アグリ2及び子アグリ3についても同様である。なお分散台帳システムを構成するノード装置には、図2に示す電力会社サーバ装置10、親アグリサーバ装置20及び子アグリサーバ装置30以外の装置が含まれてもよい。図2には示されていない種々の装置、例えば本実施の形態に係る電力計測情報管理システムが管理する情報を提供するクラウドサービスのサーバ装置等がノード装置として分散台帳システムに含まれていてもよい。
また本実施の形態において各需要家4は、分散台帳システムを構成するノード装置を有しておらず、自身を管理する子アグリ3が有するノード装置(子アグリサーバ装置30)を介してブロックチェーンに対するデータの書き込み及び読み出し等の処理を行うものとする。ただし、需要家4がノード装置を有する構成であってもよく、この場合にはGW50がノード装置の機能を有していてもよく、GW50とは別にノード装置を有していてもよい。またノード装置を有する需要家4と、ノード装置を有していない需要家4とが混在していてもよい。
なお本実施の形態に係る分散台帳システムは、プライベート型又はコンソーシアム型等と呼ばれる技術、例えば「Hyperledger Fabric」又は「Enterprise Ethereum」等が採用されている。プライベート型の分散台帳システムでは、複数のノード装置が扱うデータの一部又は全部を秘匿し、データに対する秘匿設定に応じてそのデータを記憶するノード装置が設定される。本実施の形態においては、図1に示したように電力会社1、親アグリ2、子アグリ3及び需要家4が木構造で階層化されている。各階層のノード装置は、自身及び自身の管理下(自身より下の階層)にあるノード装置が分散台帳システムに書き込んだデータを記憶し、記憶したデータを自身の処理に利用することができる。各階層のノード装置は、自身の管理下にないノード装置が分散台帳システムに書き込んだデータは記憶せず、このデータを自身の処理に利用することはできない。分散台帳システムの詳細構成については後述する。
上述のように、電力会社サーバ装置10は、DRを行う日時及びDRの目標とする電力値等が決定された場合、DRを行う日時より前(例えば数時間前~数日前)の段階で、DRの日時及び電力値等の情報を含むDR依頼を親アグリサーバ装置20へ送信する。電力会社サーバ装置10からのDR依頼は、親アグリサーバ装置20を介して子アグリサーバ装置30にて受信される。子アグリサーバ装置30は、受信したDR依頼に応じてDRを行う需要家4を選択し、選択した需要家4に関する情報を分散台帳システムに記憶する。
また電力会社サーバ装置10は、DRを行う日時に至った場合(又はその直前に)、DRの実施を命じるDRの実施指令を親アグリサーバ装置20へ送信する。電力会社サーバ装置10からのDRの実施指令は、親アグリサーバ装置20を介して子アグリサーバ装置30にて受信される。子アグリサーバ装置30は、DRを行う需要家4として予め分散台帳システムに情報を記憶した需要家4に対して、DRの実施指令を送信する。子アグリサーバ装置30からのDRの実施指令は、需要家4のGW50にて受信され、例えば需要家4に対してDR実施が通知され、需要家4にてDRが実施される。
本実施の形態に係る電力計測情報管理システムにおいては、少なくともDRが実施されている間、電力会社サーバ装置10は、第2通信経路を介して例えば1分~30分に1回の周期で需要家4のスマートメータ40に対して測定した電力量等の情報送信を要求し、この要求に応じてスマートメータ40が送信する情報を、第2通信経路を介して受信する。電力会社サーバ装置10は、受信した情報を自身のデータベース(分散台帳とは異なるデータベース)に記憶する。なお本実施の形態においては、電力会社サーバ装置10がスマートメータ40に対して情報送信を要求するものとするが、これに限るものではない。例えば、親アグリサーバ装置20、子アグリサーバ装置30又はGW50等がスマートメータ40に対する情報送信の要求を行ってもよい。また例えば、スマートメータ40は要求に応じて情報を送信するのではなく、自発的に所定の周期で情報送信を行ってもよい。
また本実施の形態において各需要家のGW50は、スマートメータ40から取得した電力量等の電力計測情報を所定期間分(例えば1日分)記憶して蓄積し、所定の周期(例えば1日に1回の周期)で所定期間分の電力計測情報を分散台帳システムに記憶する。このときにGW50は、自身を管理する子アグリ3の子アグリサーバ装置30を分散台帳システムのノード装置としてアクセスすることで、分散台帳システムへの電力計測情報の記憶を行うことができる。
電力会社サーバ装置10は、例えば1ヶ月に1回の周期で、DRを実施した際に第2通信経路を介して需要家4のスマートメータ40から取得してデータベースに記憶した電力計測情報と、GW50が分散台帳システムに記憶した電力計測情報とを比較することによって、電力計測情報の改変又は欠落等の有無を判定する。需要家4のスマートメータ40から第2通信経路を介して電力会社サーバ装置10が取得する電力計測情報は、第2通信経路には複数の仲介者が存在するため、悪意の有無に関わらず、情報の改変が起こり得る。また第2通信経路のいずれかの箇所で通信の不具合等が発生して、スマートメータ40から電力会社サーバ装置10へ電力計測情報が到達できず、情報の欠落が生じる可能性がある。そこで本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10は、例えばDRによるDR実績値に応じた報酬をアグリゲータへ提供する前に、信頼性の高い分散台帳システムに記憶された情報に基づいて、自身が第2通信経路を介して受信した電力計測情報が正しいものであることを確認することで、電力需給における取引の信頼性を高めている。
また本実施の形態に係る電力計測情報管理システムは、電力会社サーバ装置10による電力計測情報の正否を確認する処理を、分散台帳システム上で実行されるプログラム、いわゆるスマートコントラクトで行う。これにより、電力計測情報の正否を確認する処理の信頼性を高めることができる。また電力計測情報管理システムでは、子アグリサーバ装置30がDRを行う需要家4に関する情報を分散台帳システムに記憶する処理、及び、GW50が子アグリサーバ装置30を介してスマートメータ40の電力計測情報を分散台帳システムに記憶する処理についても、スマートコントラクトで行う。
なお本実施の形態においては、情報の正否を確認する処理及び情報を分散台帳システムに記憶する処理等を、分散台帳システムのスマートコントラクトで行うものとするが、これに限るものではない。情報の正否を確認する処理及び情報を分散台帳システムに記憶する処理等は、スマートコントラクトとは異なる方法で行われてもよい。例えば電力会社サーバ装置10又は他の装置が分散台帳システムに記憶された情報を取得して、情報の正否を確認する処理を行ってもよい。本実施の形態において分散台帳システムのスマートコントラクトが行う処理の一部又は全部は、電力会社サーバ装置10、親アグリサーバ装置20、子アグリサーバ装置30、GW50又はこれら以外の装置で行われてよい。
<装置構成>
図3は、本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10は、処理部11、記憶部(ストレージ)12及び通信部(トランシーバ)13等を備えて構成されている。なお本実施の形態においては、1つのサーバ装置にて処理が行われるものとして説明を行うが、複数のサーバ装置が分散して処理を行ってもよい。
処理部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)等を用いて構成されている。処理部11は、記憶部12に記憶されたサーバプログラム12aを読み出して実行することにより、DR依頼及びDRの実施指令等を送信する処理、需要家4のスマートメータ40から情報を収集する処理、第2通信経路を介して取得した電力計測情報の正否を検証する処理、及び、分散台帳システムのノード装置としての処理等の種々の処理を行う。
記憶部12は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部12は、処理部11が実行する各種のプログラム、及び、処理部11の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部12は、処理部11が実行するサーバプログラム12aを記憶する。また本実施の形態において記憶部12は、需要家4のスマートメータ40から取得した電力量の計測値等の電力計測情報を記憶する第1電力計測情報DB(データベース)12bと、複数のノード装置により分散して共有される台帳情報100を記憶する。
本実施の形態においてサーバプログラム12aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体99に記録された態様で提供され、電力会社サーバ装置10は記録媒体99からサーバプログラム12aを読み出して記憶部12に記憶する。ただし、サーバプログラム12aは、例えば電力会社サーバ装置10の製造段階において記憶部12に書き込まれてもよい。また例えばサーバプログラム12aは、遠隔の他のサーバ装置等が配信するものを電力会社サーバ装置10が通信にて取得してもよい。例えばサーバプログラム12aは、記録媒体99に記録されたものを書込装置が読み出して電力会社サーバ装置10の記憶部12に書き込んでもよい。サーバプログラム12aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体99に記録された態様で提供されてもよい。
図4は、第1電力計測情報DB12bの一構成例を説明するための模式図である。本実施の形態に係る第1電力計測情報DB12bには、例えば「DR依頼ID」、「需要家ID」、「日時」及び「電力計測値」等の情報が対応付けて記憶されている。「DR依頼ID」は、本実施の形態に係る電力計測情報管理システムにおいて実施される需要家4のDRに対して一意に付される識別情報である。電力会社サーバ装置10は、例えばDRの実施を決定した際に1つのDR依頼IDを生成する。DRの実施中にスマートメータ40が測定した電力量等を含む電力計測情報に対して、電力会社サーバ装置10はDR依頼IDを付して第1電力計測情報DB12bに記憶する。なお、第1電力計測情報DB12bにDRを行っていない場合の電力計測情報も記憶する場合、電力会社サーバ装置10は、この情報にはDR依頼IDを付さずに第1電力計測情報DB12bに記憶する。「需要家ID」は、需要家4に対して一意的に付される識別情報である。なお第1電力計測情報DB12bには、「需要家ID」に代えて、スマートメータ40に対して一意的に付されるスマートメータIDを記憶してもよい。「日時」は、スマートメータ40が計測を行った日時である。「電力計測値」は、スマートメータ40が計測した電力の計測値である。
なお本実施の形態においては、需要家を識別する情報を「需要家ID」と呼ぶが、これはどのような情報であってもよい。「需要家ID」は、例えば従来の検針票に記載されていた「供給地点特定番号」又は「お客様番号」等の情報が用いられ得る。これらの情報はスマートメータ40を識別する情報、即ち「スマートメータID」とみなすこともでき、「需要家ID」=「スマートメータID」とみなすことができる。これに対して例えば1つの需要家が複数の拠点(家屋、建物又は工場等)を有しており、各拠点にスマートメータ40が設置されることを考慮する必要がある場合、「需要家ID」と「スマートメータID」とは区別されることが好ましく、この場合には第1電力計測情報DB12bに「スマートメータID」を記憶するか、又は、「需要家ID」及び「スマートメータID」の両方を記憶してもよい。
図5は、台帳情報100の一構成例を説明するための模式図である。台帳情報100は、分散台帳システムを構成するノード装置、即ち本実施の形態において電力会社サーバ装置10、親アグリサーバ装置20及び子アグリサーバ装置30が共有して記憶する情報である。本実施の形態において台帳情報100は、ブロックチェーン101と、ステートDB102とを備えて構成されている。ブロックチェーン101は、複数のブロックがチェーン状に連結されたデータ構造を有する情報である。各ブロックには、最低限、一又は複数のデータと、1つ前のブロックを一意に指し示す情報、例えばひとつ前のブロックの情報を基に算出したハッシュ値とが含まれている。本実施の形態において各ブロックに含まれるデータは、「トランザクション」と呼ばれるデータである。
トランザクションは、台帳情報100に対する情報の書き込みが行われた際に生成されるデータであり、書き込みの対象となる情報が含まれている。ステートDB102は、書き込み又は読み出しの対象となる情報、例えば本実施の形態において電力計測情報等の実体を記憶するデータベースである。即ち本実施の形態に係る分散台帳システムでは、電力計測情報等の情報の実体は、ブロックチェーン101に記憶されるのではなく、ステートDB102に記憶され、ブロックチェーン101にはステートDB102に対する情報の書き込みの履歴となる情報が記憶される。
なお、図示の台帳情報100に含まれるブロックチェーン101は、全てのノード装置が共有して記憶している。分散台帳100に対して何らかのデータを書き込む際に、そのデータを共有するノード装置を指定することで、データが記憶されるステートDB102及び分散台帳100を有するノード装置を制限することができる。データが記憶されるステートDB102を制限した際、全てのノード装置で共有されるブロックチェーンのブロックに記憶されるトランザクションには、書き込むデータそのものではなく、そのデータから定められた手順で求められる、データを逆算不可能かつデータと一意に紐づく情報、例えばハッシュ値が記録される。一方、データの共有先として指定されたノード装置には、トランザクションを介さずに直接データが送信される。このため、全てのノード装置は分散台帳システム上に何らかのデータの書き込みが行われたことは確認できるが、データの内容を知ることはできない。一方、データを共有している特定のノード装置は、トランザクションに記録されたハッシュ値などの情報から、受信したデータが正当なものであることを知ることができる。
また図5において図示は省略するが、分散台帳システムを構成するノード装置は、この分散台帳システム上で動作するプログラム、いわゆるスマートコントラクトと呼ばれるプログラムのコードを共有して記憶している。各ノード装置は、このスマートコントラクトのプログラムを実行することができる。
電力会社サーバ装置10の通信部13は、有線又は無線のネットワークを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施の形態において通信部13は、第1通信経路の通信経路を介して需要家4のスマートメータ40と通信を行う。また本実施の形態において通信部13は、一又は複数の親アグリサーバ装置20との間で通信を行う。通信部13は、処理部11から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部11へ与える。
なお記憶部12は、電力会社サーバ装置10に接続された外部記憶装置であってよい。また電力会社サーバ装置10は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。また電力会社サーバ装置10は、上記の構成に限定されず、例えば可搬型の記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部、操作入力を受け付ける入力部、又は、画像を表示する表示部等を含んでもよい。
また本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10の処理部11には、記憶部12に記憶されたサーバプログラム12aを処理部11が読み出して実行することにより、DR依頼部11a、実施指令部11b、情報取得部11c、情報検証部11d及び台帳処理部11e等が、ソフトウェア的な機能部として処理部11に実現される。
DR依頼部11aは、電力会社1が需要家4に対するDRを依頼することを決定した場合に、親アグリ2の親アグリサーバ装置20に対してDR依頼を送信する処理を行う。DR依頼には、このDRに対して一意に付されるDR依頼IDと、例えばDRを実施する日時、及び、DRの目標となる電力値(ネガワット又はポジワットの値)等の情報とが含まれ得る。DR依頼部11aは、電力会社サーバ装置10が管理する複数の親アグリサーバ装置20の全てに対してDR依頼を送信するのではなく、複数の親アグリサーバ装置20から適宜に選択した一又は複数の親アグリサーバ装置20へDR依頼を送信してよい。また複数の親アグリサーバ装置20へDR依頼を送信する場合、DR日時は共通とし、目標の電力値を親アグリ2毎に異なる値としてもよい。
実施指令部11bは、DRを実施する日時に至った場合又はその直前(例えば数分前)に、親アグリ2の親アグリサーバ装置20に対してDRの実施指令を送信する処理を行う。DRの実施指令には、少なくともDRに対して一意に付されるDR依頼IDが含まれ、DRを実施する日時及び目標の電力値等の情報は含まれていてもよい。実施指令部11bは、少なくともDR依頼を送信した親アグリサーバ装置20に対して、DRの実施指令を送信する。
情報取得部11cは、第2通信経路を介して、需要家4のスマートメータ40に対して例えば1分~30分に1回の周期で電力の計測値等の電力計測情報の送信を要求し、スマートメータ40から送信される電力計測情報を通信部13にて受信することにより、情報を取得する処理を行う。情報取得部11cは、一又は複数のスマートメータ40から取得した情報を、記憶部12の第1電力計測情報DB12bに記憶する。電力会社サーバ装置10は、情報取得部11cがスマートメータ40から取得した電力計測情報に基づいて、DRの実施状況等を把握することができる。なお情報取得部11cは、DRの実施中にのみスマートメータ40からの電力計測情報の取得を行ってもよく、DRの実施の有無に関わらずスマートメータ40からの電力計測情報の取得を行ってもよい。
情報検証部11dは、DRの実施が終了した後、例えば1ヶ月に1回の周期で、DRの際に情報取得部11cが第2通信経路を介してスマートメータ40から取得した電力計測情報の正否を検証する処理を行う。本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、スマートメータ40の電力計測情報は、電力会社サーバ装置10の第1電力計測情報DB12bに記憶されると共に、分散台帳システムに記憶される。情報検証部11dは、第1電力計測情報DB12bに記憶された電力計測情報と、分散台帳システムに記憶された電力計測情報とが一致するか否かを検証する。なお本実施の形態においては、電力計測情報が一致するか否かを実際に判定する処理は、分散台帳システムのプログラム、いわゆるスマートコントラクトにより行われ、情報検証部11dは、検証対象の電力計測情報を引き渡してスマートコントラクトを実行し、スマートコントラクトによる検証結果を取得することで、電力計測情報の正否を検証する。また情報検証部11dは、検証の結果から、電力計測情報が一致しない場合に、何らかの情報の改変又は欠落等が生じた可能性があることを通知する処理を行う。
台帳処理部11eは、分散台帳システムのノード装置としての処理、即ち分散台帳システムに対する情報の書き込み及び読み出し、並びに、スマートコントラクトの実行等の処理を行う。例えば台帳処理部11eは、スマートコントラクトを実行することによって、分散台帳システムのステートDB102に情報を記憶すると共に、この情報を記憶する処理を行ったことを示すトランザクションを含むブロックをブロックチェーン101に追加する処理を行う。また台帳処理部11eは、他のノード装置がステートDB102及びブロックチェーン101に記憶した情報を共有すべく、自身のステートDB102及びブロックチェーン101に同じ情報を記憶する処理を行う。
分散台帳システムを構成するノード装置の1つがステートDB102に対する情報の記憶及びブロックチェーン101対するブロックの追加を行った場合、これらは他のノード装置に反映される必要がある。分散共有された全てのブロックチェーンに対してブロックの追加を反映する処理、いわゆる合意形成処理は、例えばパブリック型の分散台帳システムの場合、暗号資産等の分散台帳システムで広く採用されている「Proof of Work」又は「Proof of Stake」等の方法を採用することができ、これらの方法では不特定多数のノード装置による合意形成を行うことができるものが主流である。これに対してプライベート型の分散台帳システムの場合、例えば予め定められた一又は複数のノード装置がブロックチェーンに追加するブロックを決定し、各ノード装置へ決定したブロックの追加を指示する方法を採用することができる。分散台帳システムにおける情報の分散共有に関する処理については既存の技術であるため、本明細書では詳細な処理の説明を省略する。
図6は、本実施の形態に係る親アグリサーバ装置20の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る親アグリサーバ装置20は、処理部(プロセッサ)21、記憶部(ストレージ)22及び通信部(トランシーバ)23等を備えて構成されている。なお本実施の形態においては、1つのサーバ装置にて処理が行われるものとして説明を行うが、複数のサーバ装置が分散して処理を行ってもよい。処理部21は、CPU、MPU又はGPU等の演算処理装置、ROM及びRAM等を用いて構成されている。処理部21は、記憶部22に記憶されたサーバプログラム22aを読み出して実行することにより、電力会社サーバ装置10から受信した電力計測情報の要求、DR依頼及び実施指令等を管理下の子アグリサーバ装置30へ送信する処理、子アグリサーバ装置30から受信した需要家4の電力計測情報を電力会社サーバ装置10へ送信する処理、並びに、分散台帳システムを構成するノード装置としての処理等の種々の処理を行う。
記憶部22は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部22は、処理部21が実行する各種のプログラム、及び、処理部21の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部22は、処理部21が実行するサーバプログラム22aを記憶する。また本実施の形態において記憶部22は、分散台帳システムを構成する複数のノード装置により分散して共有される台帳情報100を記憶する。
本実施の形態においてサーバプログラム22aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体97に記録された態様で提供され、親アグリサーバ装置20は記録媒体97からサーバプログラム22aを読み出して記憶部22に記憶する。ただし、サーバプログラム22aは、例えば親アグリサーバ装置20の製造段階において記憶部22に書き込まれてもよい。また例えばサーバプログラム22aは、遠隔の他のサーバ装置等が配信するものを親アグリサーバ装置20が通信にて取得してもよい。例えばサーバプログラム22aは、記録媒体97に記録されたものを書込装置が読み出して親アグリサーバ装置20の記憶部22に書き込んでもよい。サーバプログラム22aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体97に記録された態様で提供されてもよい。
通信部23は、有線又は無線のネットワークを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施の形態において通信部23は、インターネット、携帯電話通信網及び無線LAN等のネットワークを介して、子アグリサーバ装置30及び電力会社サーバ装置10との通信を行う。通信部23は、処理部21から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部21へ与える。
なお記憶部22は、親アグリサーバ装置20に接続された外部記憶装置であってよい。また親アグリサーバ装置20は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。また親アグリサーバ装置20は、上記の構成に限定されず、例えば可搬型の記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部、操作入力を受け付ける入力部、又は、画像を表示する表示部等を含んでもよい。
また本実施の形態に係る親アグリサーバ装置20の処理部21には、記憶部22に記憶されたサーバプログラム22aを処理部21が読み出して実行することにより、DR依頼部21a、実施指令部21b、情報中継部21c及び台帳処理部21d等が、ソフトウェア的な機能部として処理部21に実現される。
DR依頼部21aは、電力会社サーバ装置10から送信されるDR依頼を受信して、管理下の子アグリ3の子アグリサーバ装置30へDR依頼を送信する処理を行う。DR依頼には、DR依頼ID、DRの日時及びDRの目標値等の情報が含まれており、DR依頼部21aは、受信したDR依頼に含まれるDR依頼ID及びDRの日時については受信した内容を維持し、受信したDR依頼に含まれるDRの目標値は管理下の子アグリ3の数等に応じて適宜に分割して、各子アグリサーバ装置30へ送信するDR依頼を生成する。例えば電力会社サーバ装置10から受信したDR依頼に目標値が100kWと設定されており、管理下の子アグリ3が5つ存在する場合、目標値の100kWを5つの子アグリ3で等分して、目標値を20kWとしたDR依頼をDR依頼部21aが作成し、5つの子アグリサーバ装置30へ送信する。なおDR依頼部21aは、目標値を等分するのではなく、適宜に分割して各子アグリ3に異なる目標値を設定してもよい。
実施指令部21bは、電力会社サーバ装置10から送信されるDRの実施指令を受信して、管理下の子アグリ3の子アグリサーバ装置30へ実施指令を送信する処理を行う。
情報中継部21cは、需要家4のスマートメータ40が測定した電力量等を含む電力計測情報の送信要求を、電力会社サーバ装置10から受信して、対応する需要家4を管理する子アグリ3の子アグリサーバ装置30へ送信する処理を行う。また情報中継部21cは、この要求に応じて需要家4のスマートメータ40が送信する電力計測情報を子アグリサーバ装置30から受信し、受信した電力計測情報を電力会社サーバ装置10へ送信する処理を行う。情報中継部21cは、これら以外の電力会社サーバ装置10及び子アグリサーバ装置30の間で送受信される情報についても、一方から受信した情報を他方へ送信することで中継してよい。
台帳処理部21dは、分散台帳システムのノード装置としての処理、即ち分散台帳システムに対する情報の書き込み及び読み出し、並びに、スマートコントラクトの実行等の処理を行う。例えば台帳処理部21dは、スマートコントラクトを実行することによって、分散台帳システムのステートDB102に情報を記憶すると共に、この情報を記憶する処理を行ったことを示すトランザクションを含むブロックをブロックチェーン101に追加する処理を行う。また台帳処理部21dは、他のノード装置がステートDB102及びブロックチェーン101に記憶した情報を共有すべく、自身のステートDB102及びブロックチェーン101に同じ情報を記憶する処理を行う。
図7は、本実施の形態に係る子アグリサーバ装置30の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る子アグリサーバ装置30は、処理部(プロセッサ)31、記憶部(ストレージ)32及び通信部(トランシーバ)33等を備えて構成されている。なお本実施の形態においては、1つのサーバ装置にて処理が行われるものとして説明を行うが、複数のサーバ装置が分散して処理を行ってもよい。処理部31は、CPU、MPU又はGPU等の演算処理装置、ROM及びRAM等を用いて構成されている。処理部31は、記憶部32に記憶されたサーバプログラム32aを読み出して実行することにより、DRを実施する需要家4を決定する処理、親アグリサーバ装置20から受信した情報を需要家4へ送信する処理、需要家4から受信した情報を親アグリサーバ装置20へ送信する処理、並びに、分散台帳システムを構成するノード装置としての処理等の種々の処理を行う。
記憶部32は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部32は、処理部31が実行する各種のプログラム、及び、処理部31の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部32は、処理部31が実行するサーバプログラム32aを記憶する。また本実施の形態において記憶部32は、分散台帳システムを構成する複数のノード装置により分散して共有される台帳情報100を記憶する。
本実施の形態においてサーバプログラム32aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体98に記録された態様で提供され、子アグリサーバ装置30は記録媒体98からサーバプログラム32aを読み出して記憶部32に記憶する。ただし、サーバプログラム32aは、例えば子アグリサーバ装置30の製造段階において記憶部32に書き込まれてもよい。また例えばサーバプログラム32aは、遠隔の他のサーバ装置等が配信するものを子アグリサーバ装置30が通信にて取得してもよい。例えばサーバプログラム32aは、記録媒体98に記録されたものを書込装置が読み出して子アグリサーバ装置30の記憶部32に書き込んでもよい。サーバプログラム32aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体98に記録された態様で提供されてもよい。
通信部33は、有線又は無線のネットワークを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施の形態において通信部33は、インターネット、携帯電話通信網及び無線LAN等のネットワークを介して、需要家4のGW50及び親アグリサーバ装置20との通信を行う。通信部33は、処理部31から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部31へ与える。
なお記憶部32は、子アグリサーバ装置30に接続された外部記憶装置であってよい。また子アグリサーバ装置30は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。また子アグリサーバ装置30は、上記の構成に限定されず、例えば可搬型の記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部、操作入力を受け付ける入力部、又は、画像を表示する表示部等を含んでもよい。
また本実施の形態に係る子アグリサーバ装置30の処理部31には、記憶部32に記憶されたサーバプログラム32aを処理部31が読み出して実行することにより、需要家決定部31a、実施指令部31b、情報中継部31c及び台帳処理部31d等が、ソフトウェア的な機能部として処理部31に実現される。
需要家決定部31aは、電力会社サーバ装置10からのDR依頼を、親アグリサーバ装置20を介して受信した場合に、このDR依頼に応じてDRを行う需要家4を決定する処理を行う。需要家決定部31aは、子アグリ3が管理する複数の需要家4の中から、DRを実施する一又は複数の需要家4を決定する。DRを実施する需要家4を決定する方法は、どのような方法であってもよい。また需要家4の決定を子アグリサーバ装置30が行うのではなく、子アグリ3のオペレータ等が行ってもよい。この場合に需要家決定部31aは、DR依頼に応じて需要家4の決定をオペレータに求め、オペレータから需要家4を決定する操作を受け付ける。
また需要家決定部31aは、決定した需要家4に関する情報を、分散台帳システムに記憶する処理を行う。このときに需要家決定部31aは、DRを実施する需要家4の情報を登録する処理を行うスマートコントラクトを実行することで、実施されるDRに対して付されたDR依頼IDと、決定した需要家4の需要家IDとを対応付けた情報を、分散台帳システムに記憶する。
本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、分散台帳システムを利用して、DR依頼ID及び需要家IDの対応を記憶するDR需要家DBが複数のノード装置間で共有される。図8は、DR需要家DBの一構成例を示す模式図である。本実施の形態に係るDR需要家DBは、DR依頼ID及び需要家IDが対応付けて記憶される。なお図示のDR需要家DBは、1つのDR依頼IDに対して1つの需要家IDが対応付けられているが、例えば1つのDR依頼IDに対して複数の需要家IDが対応付けられて記憶されてもよい。またDR需要家DBは、図5に示した台帳情報100のステートDB102を利用して論理的に構築されるデータベースである。DR需要家DBの各情報は、子アグリサーバ装置30が分散台帳システムのスマートコントラクトを実行することで記憶される。
実施指令部31bは、電力会社サーバ装置10から送信されるDRの実施指令を受信して、需要家4のGW50へDRの実施指令を送信する処理を行う。実施指令部31bは、電力会社サーバ装置10が送信するDRの実施指令を、親アグリサーバ装置20を介して受信する。DRの実施指令にはDR依頼IDが含まれており、実施指令を受信した場合に実施指令部31bは、実施指令に含まれるDR依頼IDを取得し、取得したDR依頼IDに係るDRを実施すると予め決定していた需要家4のGW50へDRの実施指令を送信する。
情報中継部31cは、電力会社サーバ装置10から需要家4のスマートメータ40への電力計測情報の送信要求を、親アグリサーバ装置20を介して受信して、対応する需要家4のGW50へ送信する処理を行う。また情報中継部31cは、この要求に応じて需要家4のスマートメータ40が送信する電力計測情報をGW50から受信し、受信した電力計測情報を親アグリサーバ装置20へ送信する処理を行う。情報中継部21cは、これら以外の親アグリサーバ装置20及びGW50の間で送受信される情報についても、一方から受信した情報を他方へ送信することで中継してよい。
台帳処理部31dは、分散台帳システムのノード装置としての処理、即ち分散台帳システムに対する情報の書き込み及び読み出し、並びに、スマートコントラクトの実行等の処理を行う。例えば台帳処理部31dは、スマートコントラクトを実行することによって、分散台帳システムのステートDB102に情報を記憶すると共に、この情報を記憶する処理を行ったことを示すトランザクションを含むブロックをブロックチェーン101に追加する処理を行う。これにより台帳処理部31dは、スマートコントラクトを実行することによって、DR需要家DBにDR依頼ID及び需要家IDを対応付けた情報を記憶する処理を行うことができる。また台帳処理部31dは、他のノード装置がステートDB102及びブロックチェーン101に記憶した情報を共有すべく、自身のステートDB102及びブロックチェーン101に同じ情報を記憶する処理を行う。
図9は、本実施の形態に係るスマートメータ40及びGW50の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るスマートメータ40は、計測部41、処理部42、記憶部43、第1通信部44及び第2通信部45等を備えて構成されている。スマートメータ40は、例えば住宅、ビル又は工場等の施設に設置され、この施設で消費又は生産される電力の量を計測する装置である。計測部41は、スマートメータ40が設置された施設において消費又は生産される電力量を計測する。計測部41は、例えば数秒~数分に1回程度の周期で電力量の計測を行い、計測結果を処理部42へ与える。
処理部42は、例えばCPU又は専用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のIC(Integrated Circuit)を用いて構成されている。処理部42は、計測部41から与えられた電力量の計測結果を、外部の装置からの要求に応じて送信する処理を行う。処理部42は、計測部41から与えられた計測結果の情報を記憶部43に一時的に記憶する。処理部42は、記憶部43に記憶した計測結果を集計し、集計した計測結果を含む電力計測情報を所定周期(例えば30分に1回の周期)で、電力会社サーバ装置10へ第1通信経路を介して送信する。このときに処理部42は、数秒~数分の周期で測定された電力量の複数の測定結果を合算することで、所定周期で消費又は生産された電力量を算出し、この合算値を計測結果として含む電力計測情報を電力会社サーバ装置10へ送信する。
また処理部42は、集計した計測結果を含む電力計測情報を所定周期(例えば1分~30分に1回の周期)で、電力会社サーバ装置10へ第2通信経路を介して送信する。なお第2通信経路を介した情報送信の周期は、上記の第1通信経路を介した情報送信の周期よりも短く設定される場合が多いが、長く設定されてもよい。また処理部42による第1通信経路及び第2通信経路を介した情報の送信は、スマートメータ40から自発的に行われてもよく、他の装置からの要求に応じて行われてもよい。
記憶部43は、例えばフラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部43は、処理部42の処理に用いられる種々の情報を記憶する。例えば記憶部43は、計測部41が計測した計測値を一時的に、第1通信経路及び第2通信経路を介した情報送信を完了するまでの間、記憶する。第1通信部44及び第2通信部45は、それぞれトランシーバ等のICを用いて構成され、所定の通信規格に応じた通信を行う。第1通信部44は、第1通信経路を介して電力会社サーバ装置10との間で通信を行う。第2通信部45は、第2通信経路を介して電力会社サーバ装置10との通信を行う。第1通信部44及び第2通信部45は、処理部42から与えられた情報を他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信した情報を処理部42へ与える。第1通信部44及び第2通信部45は、有線又は無線のいずれで通信を行ってもよい。
本実施の形態に係るGW50は、スマートメータ40が設置された住宅、ビル又は工場等の施設に設置され、通信を中継する装置である。GW50は、処理部(プロセッサ)51、記憶部(ストレージ)52、第1通信部(トランシーバ)53及び第2通信部(トランシーバ)54等を備えて構成されている。処理部51は、CPU又はMPU等の演算処理装置を用いて構成されている。処理部51は、記憶部52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、種々の処理を行うことができる。本実施の形態において処理部51は、記憶部52に記憶されたプログラム52aを読み出して実行することにより、スマートメータ40と子アグリサーバ装置30との間の通信を中継する処理等の種々の処理を行う。
記憶部52は、例えばフラッシュメモリ又はEEPROM等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部52は、処理部51が実行する各種のプログラム、及び、処理部51の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部52は、処理部51が実行するプログラム52aを記憶すると共に、スマートメータ40の計測値を記憶する計測値記憶部52bが設けられている。なおプログラム52aは、例えばGW50の製造段階において記憶部52に書き込まれてもよく、また例えば遠隔のサーバ装置などが配信するものをGW50が通信にて取得してもよく、また例えばメモリカード又は光ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムをGW50が読み出して記憶部52に記憶してもよく、また例えば記録媒体に記録されたものを書込装置が読み出してGW50の記憶部52に書き込んでもよい。プログラム52aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体に記録された態様で提供されてもよい。
記憶部52の計測値記憶部52bは、通信によりスマートメータ40から取得した電力の計測値を一時的に記憶する。本実施の形態においてGW50は、例えば1日に1回の周期でスマートメータ40による電力の計測値等の情報を分散台帳システムに登録する処理を行っており、計測値記憶部52bは、少なくともこの登録がなされるまでの間、スマートメータ40から取得した計測値を記憶する。
第1通信部53及び第2通信部54は、それぞれトランシーバ等のICを用いて構成され、所定の通信規格に応じた通信を行う。第1通信部53は、Bルートを介してスマートメータ40との間で通信を行う。第2通信部54は、例えばインターネット、携帯電話通信網及び無線LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、子アグリサーバ装置30との間で通信を行う。第1通信部53及び第2通信部54は、処理部51から与えられた情報を他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信した情報を処理部51へ与える。第1通信部53及び第2通信部54は、有線又は無線のいずれで通信を行ってもよい。
また本実施の形態に係るGW50は、記憶部52に記憶されたプログラム52aを処理部51が読み出して実行することにより、情報中継部51a及び登録処理部51b等が処理部51にソフトウェア的な機能部として実現される。情報中継部51aは、電力会社サーバ装置10から需要家4のスマートメータ40への電力計測情報の送信要求を、親アグリサーバ装置20及び子アグリサーバ装置30を介して受信し、スマートメータ40へ送信する処理を行う。また情報中継部51aは、この要求に応じてスマートメータ40が送信する電力計測情報を受信し、受信した電力計測情報を子アグリサーバ装置30へ送信する処理を行う。情報中継部51aは、これら以外の子アグリサーバ装置30及びスマートメータ40の間で送受信される情報についても、一方から受信した情報を他方へ送信することで中継してよい。
登録処理部51bは、例えば1日に1回の周期で、スマートメータ40による電力の計測値等を含む電力計測情報を分散台帳システムに登録(記憶)する処理を行う。本実施の形態においてGW50は分散台帳システムのノード装置としての機能は有していない。このためGW50は、例えばノード装置としての機能を有する子アグリサーバ装置30等の装置を介して分散台帳システムにアクセスし、スマートコントラクトを実行して電力計測情報を分散台帳システムに記憶する。なお登録処理部51bが分散台帳システムに記憶する電力計測情報は、1日分の計測値を合計したものではなく、第2通信経路を介してスマートメータ40から電力会社サーバ装置10へ送信する電力計測情報と同じものを1日分蓄積したものである。即ち、第2通信経路を介して1分に1回の周期で電力計測情報を送信する場合、登録処理部51bは、1日分として60×24=1440個の電力計測情報をまとめたものを分散台帳システムに記憶する。
本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、分散台帳システムを利用して、需要家ID及び電力計測情報を対応付けて記憶する第2電力計測情報DBが複数のノード装置間で共有される。図10は、第2電力計測情報DBの一構成例を示す模式図である。本実施の形態に係る第2電力計測情報DBは、需要家IDに対応付けて1日分の電力計測情報が記憶される。なお第2電力計測情報DBは、図5に示した台帳情報100のステートDB102を利用して論理的に構築されるデータベースである。第2電力計測情報DBへの電力計測情報の登録は、GW50が子アグリサーバ装置30等を介して分散台帳システムのスマートコントラクトを実行することで行われる。
<電力計測情報管理処理>
本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、上述のように電力会社サーバ装置10、親アグリサーバ装置20及び子アグリサーバ装置30がノード装置として機能することで分散台帳システムを構成している。分散台帳システムでは、複数のノード装置がピア・ツー・ピア型のネットワークを介して接続され、複数のノード装置が情報を分散して共有することにより、情報の信頼性を高めている。なお本実施の形態において「分散して共有する」又は「分散共有する」等の表現は、複数のノード装置が実質的に同一内容の情報をそれぞれ記憶している状態を表している。「実質的に同一」とは、ある時点においては複数の情報の内容が一部相異する状態となる可能性があるが、ある程度の時間が経過することによって相違が解消されて同一の内容となることを含めた表現であり、以下において単に「同一」と記載されている場合であってもこの「実質的に同一」を含むものとする。
本実施の形態においては、分散台帳システムには図8に示したDR需要家DB及び図10に示した第2電力計測情報DBが論理的に構築されて複数のノード装置に分散共有されており、これらの情報の信頼性を高めている。Hyperledger Fabric及びEnterprise Ethereum等の分散台帳システムでは、情報を記憶する際にその情報が記憶されるノード装置の範囲を限定することが可能であり、本実施の形態に係る分散台帳システムも同様にして情報に対して記憶されるノード装置の範囲が限定されている。本実施の形態に係る分散台帳システムでは、上述のDR需要家DBをパブリック(公開)情報とし、全てのノード装置がその情報を保持する。
これに対して上述の第2電力計測情報DBはプライベート(非公開)情報とし、各ノード装置は自身の管理下にある需要家4に関する電力計測情報のみを記憶する。即ち、電力会社サーバ装置10は全ての需要家4の電力計測情報を記憶し、親アグリサーバ装置20は自身が管理する子アグリサーバ装置30が管理する需要家4の電力計測情報を記憶し、子アグリサーバ装置30は自身が管理する需要家4の電力計測情報を記憶する。なお本実施の形態においては、分散台帳システムが分散して共有する台帳情報100のステートDB102について、情報の記憶時に、情報を記憶するノード装置を限定することで、情報が記録されるステートDB102を制限する。なお電力計測情報管理システムでは、DR需要家DBについてもプライベート情報として扱ってもよい。
本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、需要家4のGW50が例えば1日に1回の周期で電力計測情報を需要家IDに対応付けて分散台帳システムの第2電力計測情報DBに記憶する。また電力会社サーバ装置10がDR依頼を送信し、これを受信した子アグリサーバ装置30がDRを実施する需要家4を決定し、DR依頼ID及び需要家IDを対応付けて分散台帳システムのDR需要家DBに記憶する。
また本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10は、少なくともDRの実施中に、第2通信経路を介して需要家4のスマートメータ40から取得した電力計測情報を、自身の記憶部12に設けられた第1電力計測情報DB12bに記憶している。電力会社サーバ装置10は、例えば1ヶ月に1回の周期で、DRを実施した際に自身の第1電力計測情報DB12bに記憶した電力計測情報の正否を検証する。本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、この検証の処理は分散台帳システムのスマートコントラクトとして実装されている。電力会社サーバ装置10は、DR依頼IDとこれに対応付けられた一又は複数の電力計測情報とを入力して分散台帳システムのスマートコントラクトを実行する。なお本実施の形態においては、電力計測情報の正否を検証する処理を分散台帳システムのスマートコントラクトで行うものとするが、これに限るものではなく、例えば電力会社サーバ装置10が分散台帳システムから必要な情報を取得して検証処理を行ってもよい。
分散台帳システムのノード装置(電力会社サーバ装置10又は検証対象の電力計測情報を有するノード装置)は、スマートコントラクトを実行して電力計測情報の正否を検証する処理を行う。このときにノード装置は、指定されたDR依頼IDを基に分散台帳システムに記憶されたDR需要家DBを参照して、DRを行った需要家4の需要家IDを取得する。ノード装置は、取得した需要家IDを基に分散台帳システムに記憶された第2電力計測情報DBを参照して、DRが行われた日時に関する需要家4の電力計測情報を取得する。ノード装置は、電力会社サーバ装置10の第1電力計測情報DB12bに記憶されていた電力計測情報と、分散台帳システムの第2電力計測情報DBに記憶されていた電力計測情報とが一致するか否かに基づいて、電力計測情報の正否を検証する。
なお電力計測情報が一致するか否かの判定方法には、どのような方法が採用されてもよい。例えば1分間に1回の周期で電力会社サーバ装置10が第2通信経路を介してスマートメータ40から電力計測情報を取得していた場合に、検証を行うノード装置は、1分毎の電力計測情報を比較して一致するか否かを判断してもよい。また例えばDRが30分間実施された場合に、検証を行うノード装置は、この30分間のスマートメータ40の計測値の合計値を算出し、合計値同士を比較して一致するか否かを判断してもよい。スマートコントラクトによる検証の結果は、このスマートコントラクトを呼び出した電力会社サーバ装置10へ与えられる。電力会社サーバ装置10は、電力計測情報の正否の検証結果を、例えば電力会社1のオペレータ等に対して通知する。
図11は、本実施の形態に係る電力計測情報管理システムが行う電力計測情報管理処理を説明するための模式図である。なお本図においては、親アグリ2による情報の中継を省略している。本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、電力会社1がDRの実施を決定した場合に、電力会社サーバ装置10がDR依頼ID、DRの日時及びDRの目標値等の情報を含むDR依頼を送信する。このDR依頼は、親アグリ2の親アグリサーバ装置20を介して子アグリ3の子アグリサーバ装置30にて受信される。子アグリサーバ装置30は、DR依頼の受信に応じて、DRを実施する一又は複数の需要家4を決定する。子アグリサーバ装置30は、決定した需要家4をDR依頼IDに対応付けて、分散台帳システムの台帳情報100のDR需要家DBに記憶する。
その後、DRを実施する日時に至った場合(又はその直前に)、電力会社サーバ装置10はDRの実施指令を送信する。実施指令には、DR依頼IDの情報が含まれている。この実施指令は親アグリサーバ装置20を介して子アグリサーバ装置30にて受信される。実施指令を受信した子アグリサーバ装置30は、DRを実施する需要家4のGW50へ実施指令を送信する。例えばGW50は実施指令を受信したことを需要家4に通知し、需要家4はDRを実施する。
電力会社1の電力会社サーバ装置10は、例えば1分間に1回の周期で、第2通信経路の親アグリサーバ装置20及び子アグリサーバ装置30を介して需要家4へ電力計測情報の送信を要求する。情報要求を受けた需要家4のGW50は、スマートメータ40から電力量の計測値等を含む電力計測情報を取得して、第2通信経路の子アグリサーバ装置30及び親アグリサーバ装置20を介して電力会社サーバ装置10へ電力計測情報を送信する。電力会社サーバ装置10による電力計測情報の要求及びこの要求に応じたスマートメータ40による電力計測情報の送信は、例えば1分間に1回の周期で繰り返し行われる。電力会社サーバ装置10は、スマートメータ40から取得した電力計測情報を、自身の記憶部12の第1電力計測情報DB12bに記憶する。
本実施の形態に係る需要家4のGW50は、例えば1日に1回の周期で、1日分の電力計測情報を分散台帳システムの第2電力計測情報DBに登録する処理を行っている。DRが実施された後、この登録処理を行うタイミングに至った場合、GW50は、DRを実施した期間の電力計測情報を含む、1日分の電力計測情報を分散台帳システムに登録する。なお本実施の形態においては、GW50は、子アグリサーバ装置30を介して分散台帳システムのスマートコントラクトを実行し、電力計測情報を分散台帳システムの第2電力計測情報DBに登録する。
その後、例えば1ヶ月に1回の周期で、電力会社1は、DRに関する報酬等の支払いを親アグリ2、子アグリ3及び需要家4等へ行う前に、DRに関する電力計測情報の検証を行う。電力会社1の電力会社サーバ装置10は、検証対象となるDRを識別するDR依頼IDと、このDRの際に第2通信経路を介して需要家4のスマートメータ40から取得した電力計測情報とを入力して分散台帳システムのスマートコントラクトを実行することにより、分散台帳システムに電力計測情報の検証を要求する。この要求を与えられた分散台帳システムのノード装置は、スマートコントラクトを実行して電力計測情報を検証する。このときにノード装置は、指定されたDR依頼IDに基づいてDR需要家DBを参照することで、DRを行った需要家4を特定する。次いでノード装置は、特定した需要家4について、DRが実施された期間の電力計測情報を第2電力計測情報DBから抽出する。ノード装置は、電力会社サーバ装置10から与えられた電力計測情報と、第2電力計測情報DBから抽出した電力計測情報とが一致するか否かを判定することにより、電力計測情報の正否を検証する。なおノード装置は、電力計測情報が一致するか否かについて、例えば電力計測情報に含まれる1分毎の電力量を個別に比較してもよく、また例えばDRが実施された期間の電力量の集計値を比較してもよい。ノード装置は、電力計測情報の検証結果、即ち電力計測情報が一致したか否か、及び、一致しない場合には一致しないと判定した電力計測情報に関する需要家4及び日時等の情報を、スマートコントラクトの実行を要求した装置、即ち電力会社サーバ装置10へ与える。
電力会社サーバ装置10は、分散台帳システムのスマートコントラクトによる検証結果を取得して、例えば電力会社1のオペレータ等に検証結果を表示する処理を行う。このときに電力会社サーバ装置10は、例えば自装置に接続されたディスプレイ装置に検証結果を表示してもよく、また例えばオペレータ等が使用する端末装置へ検証結果を送信し、端末装置のディスプレイに検証結果を表示してもよい。
図12は、本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10が行う処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10の処理部11のDR依頼部11aは、電力会社1にて決定されたDRについて日時及び目標値等の情報を取得する(ステップS1)。DR依頼部11aは、DRを識別するDR依頼IDと、ステップS1にて取得した日時及び目標値等の情報とを含むDR依頼を親アグリ2の親アグリサーバ装置20へ送信する(ステップS2)。
処理部11の実施指令部11bは、決定されたDRを実施するタイミングに至ったか否かを判定する(ステップS3)。DRを実施するタイミングに至っていない場合(S3:NO)、実施指令部11bは、DRを実施するタイミングに至るまで待機する。DRを実施するタイミングに至った場合(S3:YES)、実施指令部11bは、実施するDRを識別するDR依頼IDを含むDRの実施指令を親アグリサーバ装置20へ送信する(ステップS4)。
処理部11の情報取得部11cは、第2通信経路を介して、需要家4のスマートメータ40に対する電力計測情報の送信要求を与える(ステップS5)。情報取得部11cは、第2通信経路を介して、この送信要求に応じてスマートメータ40が送信する電力計測情報を受信する(ステップS6)。情報取得部11cは、第2通信経路を介して受信した電力計測情報を、記憶部12の第1電力計測情報DB12bに記憶する(ステップS7)。情報取得部11cは、例えば予定されていたDRの終了時刻に至ったか否かに基づいて、DRが終了したか否かを判定する(ステップS8)。DRが終了していない場合(S8:NO)、情報取得部11cは、ステップS5へ処理を戻し、需要家4のスマートメータ40に対する電力計測情報の送信要求及び受信等の処理を、例えば1分間に1回の周期で繰り返し行う。
DRが終了した場合(S8:YES)、処理部11の情報検証部11dは、例えば1ヶ月に1回等のDRに関する電力計測情報の検証を行うタイミングに至ったか否かを判定する(ステップS9)。検証を行うタイミングに至った場合(S9:YES)、情報検証部11dは、検証対象となるDRを識別するDR依頼IDと、これに対応付けて記憶部12の第1電力計測情報DB12bに記憶された電力計測情報とを入力して分散台帳システムのスマートコントラクトを実行することにより、分散台帳システムに電力計測情報の検証を要求する(ステップS10)。情報検証部11dは、この検証要求に応じて分散台帳システムにてスマートコントラクトにより実行される検証処理の結果を取得し(ステップS11)、処理を終了する。電力会社サーバ装置10は、取得した検証結果を例えば電力会社1のオペレータ等に表示する処理を行ってよい。
図13は、本実施の形態に係る子アグリサーバ装置30が行う処理の手順を示すフローチャートである。なお親アグリサーバ装置20が行う処理についてはフローチャートによる図示及び説明を省略する。本実施の形態に係る子アグリサーバ装置30の処理部31の需要家決定部31aは、電力会社サーバ装置10が送信するDR依頼を、親アグリサーバ装置20を介して受信したか否かを判定する(ステップS21)。DR依頼を受信していない場合(S21:NO)、需要家決定部31aは、DR依頼を受信するまで待機する。
DR依頼を受信した場合(S21:YES)、需要家決定部31aは、子アグリ3が管理する複数の需要家4の中から、DRを実施する一又は複数の需要家4を決定する(ステップS22)。需要家決定部31aは、DR依頼に含まれるDR依頼IDと、決定した需要家4の需要家IDとを入力して分散台帳システムのスマートコントラクトを実行することにより、分散台帳システムのDR需要家DBにDR依頼ID及び需要家IDを対応付けて登録(記憶)する(ステップS23)。
処理部31の情報中継部31cは、電力会社サーバ装置10が送信するDRの実施指令を、親アグリサーバ装置20を介して受信したか否かを判定する(ステップS24)。実施指令を受信していない場合(S24:NO)、情報中継部31cは、実施指令を受信するまで待機する。実施指令を受信した場合(S24:YES)、情報中継部31cは、受信した実施指令に含まれるDR依頼IDを取得し、このDR依頼IDにて識別されるDRを実施すると予め決定していた一又は複数の需要家4のGW50へ、DRの実施指令を送信する(ステップS25)。その後、情報中継部31cは、電力会社サーバ装置10からの電力計測情報の送信要求を需要家4へ送信し、この送信要求に応じた需要家4のスマートメータ40からの電力計測情報を電力会社サーバ装置10へ送信することで、電力計測情報の中継を行い(ステップS26)、処理を終了する。
図14は、本実施の形態に係る需要家4のGW50が行う処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る需要家4のGW50の処理部51の情報中継部51aは、電力会社サーバ装置10が送信するDRの実施指令を、子アグリサーバ装置30を介して受信したか否かを判定する(ステップS41)。情報中継部51aは、実施指令を受信していない場合(S41:NO)、実施指令を受信するまで待機する。実施指令を受信した場合(S41:YES)、情報中継部51aは、需要家4に対してDRの実施を通知する。DR実施の通知は、どのような方法で行われてもよく、例えば需要家4が有する端末装置にメッセージを送信することで行われ得る。その後、情報中継部51aは、電力会社サーバ装置10からの電力計測情報の送信要求をスマートメータ40へ送信し、この送信要求に応じたスマートメータ40からの電力計測情報を電力会社サーバ装置10へ送信することで、電力計測情報の中継を行う(ステップS43)。
処理部51の登録処理部51bは、例えば1日に1回の電力計測情報を登録するタイミングに至ったか否かを判定する(ステップS44)。なお本フローチャートにおいては、DRの実施後に電力計測情報の登録を行う手順としているが、電力計測情報の登録はDRの実施の有無に関わらず、1日に1回等の所定周期で行われてよい。電力計測情報を登録するタイミングに至っていない場合(S44:NO)、登録処理部51bは、登録するタイミングに至るまで待機する。登録するタイミングに至った場合(S44:YES)、登録処理部51bは、子アグリサーバ装置30を分散台帳システムのノード装置とみなしてアクセスし、分散台帳システムのスマートコントラクトを実行することにより、例えば1日分のスマートメータ40が測定した電力量等を含む電力計測情報を分散台帳システムの第2電力計測情報DBに登録(記憶)して(ステップS45)、処理を終了する。
図15は、本実施の形態に係る分散台帳システムのノード装置が行う電力計測情報の検証処理の手順を示すフローチャートであり、分散台帳システムのスマートコントラクトにより行われる処理の手順である。分散台帳システムのノード装置は、スマートコントラクトの実行に伴って電力会社サーバ装置10から与えられる情報から、検証の対象となるDRを識別するDR依頼IDを取得する(ステップS61)。ノード装置は、取得したDR依頼IDに基づいて分散台帳システムのDR需要家DBを参照することにより、DRを行った一又は複数の需要家4を特定する(ステップS62)。
次いでノード装置は、特定した需要家4の需要家IDに基づいて分散台帳システムの第2電力計測情報DBを参照することにより、DRを実施した需要家4のDRが実施された日時における電力計測情報を取得する(ステップS63)。ノード装置は、スマートコントラクトの実行に伴って電力会社サーバ装置10から与えられる電力計測情報と、ステップS63にて取得した電力計測情報との比較を行う(ステップS64)。
ノード装置は、ステップS64の比較処理により、両電力計測情報が一致したか否かを判定する(ステップ65)。電力計測情報が一致した場合(S65:YES)、ノード装置は、正常の検査結果を出力して(ステップS66)、処理を終了する。電力計測情報が一致しなかった場合(S65:NO)、ノード装置は、異常の検査結果と、不一致となった電力計測情報に関する情報とを出力し(ステップS67)、処理を終了する。
<検証結果表示処理>
電力計測情報の検証を行った電力会社サーバ装置10は、例えばディスプレイ装置等に検証結果を表示する処理を行う。図16~図18は、電力会社サーバ装置10による検証結果の表示例を示す模式図である。本実施の形態に係る電力会社サーバ装置10は、電力計測情報が一致しないとする検証結果が得られた場合、まず図16に示す通知画面をディスプレイ装置等に表示して、電力会社1のオペレータ等に対する通知を行う。電力会社サーバ装置10は、図16に示す通知画面において、例えば最上部に「不一致データレポート」のタイトル文字列を表示し、このタイトル文字列の下方に「下記の通り不一致データが発見されました。」等の警告を示すメッセージを表示し、このメッセージの下方に不一致に関する情報を表形式で表示する。図16に示す通知画面の表は、「DR依頼ID」と「親アグリ(の名称等)」とを対応付けたものであり、例えばDR依頼ID=0123のDRについて親アグリAに関する電力計測情報と、DR依頼ID=0156のDRについて親アグリBに関する電力計測情報とに不一致が発見されたことを示している。また表の右隣には、各親アグリに対応付けて「詳細」のラベルが付されたボタンが表示されており、例えば電力会社1のオペレータ等がマウス等の入力装置を利用してこのボタンに対するクリック操作を行った場合、電力会社サーバ装置10は対応する親アグリについての詳細情報を表示する。
図17は、図16に示す通知画面において親アグリAに対応する詳細ボタンが操作された場合に電力会社サーバ装置10が表示する詳細画面の一例である。電力会社サーバ装置10は、図17に示す詳細画面において、例えば最上段に「不一致データレポート 詳細(親アグリレベル)」等のタイトル文字列を表示し、このタイトル文字列の下方に親アグリAに関する電力計測情報の詳細情報を表形式で一覧表示する。図17に示す詳細画面の表は、「DR依頼ID」、「親アグリ」、「時間」、「分散台帳」、「第2通信経路」及び「差分」の情報を対応付けたものである。「DR依頼ID」及び「親アグリ」は図16の通知画面にて表示される表のものと同じである。「時間」は、電力計測情報についてスマートメータ40が電力量等の計測を行った時間を示すものであり、本図においては省略するが年月日が含まれていてもよい。「分散台帳」は分散台帳システムの第2電力計測情報DBに記憶された電力計測情報に含まれる電力量の計測値であり、「第2通信経路」はDRの実施中に第2通信経路を介してスマートメータ40から電力会社サーバ装置10へ送信された電力計測情報に含まれる電力量の計測値である。なお本例において「分散台帳」及び「第2通信経路」に表示される計測値は、親アグリ2が管理する全ての子アグリ3(が管理する全ての需要家4)についてDR実施中の計測値を合計した値である。「差分」は、「分散台帳」の計測値と、「第2通信経路」の計測値との差分値である。
図示の例では、DR依頼ID=0123の親アグリAの電力計測情報について、「13:31~13:32」、「13:50~13:51」及び「14:02~14:03」の3つの時間について、電力計測情報の不一致が判明している。「13:31~13:32」及び「13:50~13:51」については「分散台帳」の計測値及び「第2通信経路」の計測値の両方が表示されているが、「14:02~14:03」については「第2通信経路」の計測値が0kWとなっており、これはDRの実施中にスマートメータ40から電力会社サーバ装置10への第2通信経路を介した電力計測情報の送受信が、例えば通信障害等により正常に行われず、電力計測情報の欠損が生じたものと考えられる。即ち電力会社サーバ装置10は、この表の「第2通信経路」に測定値を表示することで「分散台帳」の測定値との不一致を通知し、測定値を0として表示することで「第2通信経路」を介した電力計測情報の送受信における欠損を通知している。表の右隣には、各差分値に対応付けて「詳細」のラベルが付されたボタンが表示されており、例えば電力会社1のオペレータ等がマウス等の入力装置を利用してこのボタンに対するクリック操作を行った場合、電力会社サーバ装置10は対応する時間についての詳細情報を表示する。
図18は、図17に示す詳細画面においていずれかの詳細ボタンが操作された場合に電力会社サーバ装置10が表示する詳細画面の一例である。電力会社サーバ装置10は、図18に示す詳細画面において、例えば最上段に「不一致データレポート 詳細(子アグリレベル)」等のタイトル文字列を表示し、このタイトル文字列の下方に親アグリAが管理する子アグリa~zに関する電力計測情報の詳細情報を表形式で一覧表示する。図18に示す詳細画面の表は、「DR依頼ID」、「親アグリ」、「時間」、「子アグリ」及び「第2通信経路」の情報を対応付けたものである。「DR依頼ID」、「親アグリ」及び「時間」は図17の詳細画面にて表示される表のものと同じである。「子アグリ」は、親アグリAが管理する複数の子アグリの名称等である。「第2通信経路」は、DRの実施中に第2通信経路を介してスマートメータ40から電力会社サーバ装置10へ送信された電力計測情報に含まれる電力量の計測値であり、子アグリ毎に計測値を合計した値である。
なお図16~図18に示した画面は一例であってこれに限るものではなく、電力会社サーバ装置10はどのような方法で検証結果を表示してもよい。電力会社サーバ装置10は、例えば更に子アグリ3が管理する需要家4毎の詳細情報を表示してもよい。
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る電力計測情報管理システムは、電力会社1及び需要家4の間に親アグリ2及び子アグリ3が介在する第2通信経路を介して、需要家4に設置されたスマートメータ40が計測した電力に係る電力計測情報を電力会社サーバ装置10が、例えば1分~30分に1回の周期で取得すると共に、スマートメータ40が計測した電力に係る電力計測情報を例えば1日に1回の周期でGW50が分散台帳システムに記憶する。子アグリ3の子アグリサーバ装置30は、DRを行う需要家に関する情報を分散台帳システムに記憶する。電力計測情報管理システムは、分散台帳システムに記憶されたDRを行う需要家の情報に基づいて、DRを行った需要家のスマートメータ40が計測した電力量について、電力会社サーバ装置10が取得した電力計測情報と分散台帳システムが記憶した電力計測情報とを比較する。これにより、短い周期で電力会社サーバ装置10が取得した電力計測情報の正否を、信頼性の高い分散台帳システムに記憶された電力計測情報との比較により検証することができる。
また本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、電力会社サーバ装置10がDRの実施指令を第2通信経路へ送信し、実施指令を受信した子アグリサーバ装置30がDRを行う需要家4のGW50へ実施指令を送信する。分散台帳システムは、実施指令に付されるDR依頼IDと、DRを実施する需要家4を識別する需要家IDとを対応付けて記憶する。これにより、DRを実施した需要家4がいずれであるかについての情報の信頼性を向上することができる。
また本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、電力会社サーバ装置10がDRの実施指令を送信する前に、DRを依頼するDR依頼を第2通信経路へ送信し、DR依頼を受信した子アグリサーバ装置30がDRを行う需要家4に情報を分散台帳システムに記憶する。これにより、DRの実施に先立って子アグリ3が決定したDRを実施する需要家4に関する情報を、信頼性の高い分散台帳システムに記憶しておくことができる。
また本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、第2通信経路を介して電力会社サーバ装置10が取得した電力計測情報と、分散台帳システムに記憶された電力計測情報との比較を、分散台帳システムがスマートコントラクトを実行することにより行う。これにより、電力計測情報を比較する処理の信頼性を向上することができる。
また本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、分散台帳システムが行った比較結果に基づいて、電力会社サーバ装置10が電力計測情報の不一致又は欠損を通知する。これにより、例えば電力会社1のオペレータ等は電力会社サーバ装置10からの通知に基づいて、電力計測情報の不一致又は欠損等を把握することができ、その原因等の調査を行うことが期待できる。
また本実施の形態に係る電力計測情報管理システムでは、分散台帳システムのDR需要家DBに記憶される情報を公開情報として管理し、分散台帳システムの第2電力計測情報DBに記憶される情報を非公開情報として管理する。この非公開情報に関して、親アグリ2及び子アグリ3等のノード装置には、自身の管理下にある需要家4に関する非公開情報のみが記憶され、自身の管理外にある需要家4に関する非公開情報は記憶されない。これにより、需要家4の電力量の計測値等の情報について秘匿性を高めることができる。
なお本実施の形態において説明した電力計測情報管理システムのシステム構成、このシステムに含まれる各装置の装置構成、各装置が行う処理、各装置が扱う情報及び装置間で送受信される情報等は、一例であってこれに限るものではなく、適宜に構成の変更等が行われ得る。また電力計測情報管理システムが利用する分散台帳システムの構成は、一例であってこれに限るものではなく、適宜に構成の変更等が行われ得る。本実施の形態に係る分散台帳システムは、「Hyperledger Fabric」又は「Enterprise Ethereum」等のプライベート型の分散台帳システムを想定しているが、パブリック型の分散台帳システムであってもよい。また本実施の形態においては分散台帳システム上で動作するプログラムを「スマートコントラクト」と記載したが、このプログラムは例えば「チェーンコード」等の別の名称で呼ばれ得る。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。