JP2022099523A - 充電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリに適した充電制御を行い得る充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムでは、充電装置50は、充電開始前に充電ケーブル70を介してバッテリ20との間に流すプレ電流を、プレ電流スイッチ57によって変化させることにより充電装置IDをBMU30に送る。そして、BMU30は充電装置IDを取得する。これにより、BMU30は、充電ケーブル70を介して当該BMU30が接続されている充電装置50を特定することが可能になり、またBMU30が監視しているバッテリ20のバッテリIDを当該充電装置50に送ることが可能になる。したがって、充電装置50は、充電ケーブル70を介して当該充電装置50に接続されているバッテリ20を特定することが可能になるので、当該バッテリ20に適した充電制御を行うことができる。
【選択図】図2
【解決手段】充電システムでは、充電装置50は、充電開始前に充電ケーブル70を介してバッテリ20との間に流すプレ電流を、プレ電流スイッチ57によって変化させることにより充電装置IDをBMU30に送る。そして、BMU30は充電装置IDを取得する。これにより、BMU30は、充電ケーブル70を介して当該BMU30が接続されている充電装置50を特定することが可能になり、またBMU30が監視しているバッテリ20のバッテリIDを当該充電装置50に送ることが可能になる。したがって、充電装置50は、充電ケーブル70を介して当該充電装置50に接続されているバッテリ20を特定することが可能になるので、当該バッテリ20に適した充電制御を行うことができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、充電システムに関するものである。
搭載したバッテリ(二次電池装置)から供給される電力で駆動する電動車両として、例えば、下記特許文献1に開示されている充電式フォークリフトがある。この特許文献1には開示されていないが、この種の車両では、例えば、バッテリの状態が電池管理装置(BMU;Battery Management Unit)により監視されており、その情報に基づいてバッテリの充電制御が行われている。この特許文献1には、無線通信等の通信手段を用いてバッテリ充電器が設けられている基地局とフォークリフトとが通信を行い得るように構成することでフォークリフトの作業者に帰還命令や出発命令を伝え得る技術が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の充電式フォークリフトは、基地局から通信手段を介して届く帰還命令や出発命令に作業者が従って運転操作を行うことを前提にしている。そのため、このような命令に関係なくフォークリフトを作業者が基地局に戻したり、無人搬送車(AGV;Automated guided vehicle)のようにフォークリフトが自発的に基地局に戻るシステムであったりする場合には、どのフォークリフトが帰還したのかを基地局が判定することが難しいことがある。
そこで、例えば、上記特許文献1には開示されていないが、個々に特定可能なID(識別子)をフォークリフトに搭載された制御装置やBMUに付与し無線通信を介して当該IDを受信可能に基地局を構成した場合には、当該基地局は、原則として個々のフォークリフトをIDにより識別することが可能になるため、上記の問題は解決する。
ところが、基地局に帰還したフォークリフトと接近した位置に他のフォークリフトが存在しているときには、両フォークリフトのID信号が同じような電界強度で基地局に到達し得る。そのため、例えば、電界強度の強弱で両フォークリフトを判別する構成を採ったとしても区別し難いケースがある。即ち、バッテリ充電器に接続されているフォークリフトのIDを、その近くで充電の順番待ちをしている他のフォークリフトのIDと誤って認識して通信を始めてしまう可能性がある。つまり、ペアリング(通信接続の認証)の成立を誤り得るという問題がある。
特に、充電ステーション等が設けられる建屋の建築構造上の都合から、バッテリ充電器に電力を供給する電源ラインの本数が限られる場合には複数のバッテリ充電器が一箇所に集中して設けられることがある。このような建屋では、フォークリフトと無線通信を行う基地局もバッテリ充電器のそれぞれに対応して局所に集中して設けられる。そのため、フォークリフトの運用現場によっては、充電を必要とするフォークリフトが、例えば終業時刻の前後等の一時期に充電ステーションに集まり得ることから、上記のようなペアリングの成立で誤りが発生し易くなるという問題がある。
このようなバッテリ充電器とフォークリフトとのペアリングの成立の誤りは、当該フォークリフトに搭載されたバッテリに適した充電制御を行うことができないという新たな問題に繋がり得る。例えば、バッテリセルの種類、電圧や容量が異なるフォークリフトが混在する場合にはそれぞれに適した充電方式や充電パターンでバッテリを充電する必要があるが、バッテリ充電器とフォークリフトのペアリング、つまりバッテリ充電器とバッテリのペアリングの成立を誤ると、当該バッテリに適した充電制御を行うことができないという、さらなる問題に繋がる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、バッテリに適した充電制御を行い得る充電システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載された充電システムは、充電ケーブルを介してバッテリを充電する充電システムであって、前記バッテリを充電可能な充電装置と、前記充電ケーブルよりも前記バッテリ側に設けられて前記バッテリと前記充電装置の間に流れる電流を監視する監視装置と、を含み、前記充電装置は、充電開始前に前記充電ケーブルを介して前記バッテリとの間にプレ電流を流すとともに前記プレ電流を変化させてこの電流の変化パターンに意味づけされた所定情報を前記監視装置に送り、前記監視装置は、前記プレ電流の変化パターンに基づいて前記所定情報を取得する、ことを技術的特徴とする。
請求項1に記載の充電システムの発明では、充電装置は、充電開始前に充電ケーブルを介してバッテリとの間に流すプレ電流において、電流を変化させることにより所定情報を監視装置に送る。そして、監視装置は所定情報を取得する。例えば、所定情報として、充電装置は自分に付与されたID(識別情報)を監視装置に送信することが可能になり、またそれを受信した監視装置は、充電ケーブルを介して自分が接続されている充電装置を認識することが可能になる。これにより、監視装置は、例えば、当該バッテリを特定可能なID(識別情報)を充電装置に送ることができる。
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された充電システムは、請求項1に記載の充電システムにおいて、前記充電装置は、前記バッテリに充電電力を供給する充電部と、前記充電部の充電動作を制御する制御部と、により構成されており、前記制御部は、前記充電ケーブルを介して前記バッテリから電力が供給されて駆動しており、前記プレ電流は、前記バッテリから前記制御部に流れる電流である、ことを技術的特徴とする。
請求項2に記載の充電システムの発明では、充電装置の制御部は、充電ケーブルを介してバッテリから電力が供給されて駆動している。そして、プレ電流はバッテリから制御部に流れる電流である。充電が必要なバッテリの場合(充電初期の充電電流の場合)、バッテリには大電流が流れることから、例えば、充電装置の充電部がバッテリに流す充電電流を変化させて所定情報を監視装置に送るように構成すると、充電電流をオンオフする、機械式のスイッチやリレーまたは半導体スイッチング素子によるスイッチング回路に大電流が流れる可能性が高い。これに対して、バッテリから充電装置の制御部に流れる電流は、充電初期の充電電流に比べると小さく、また制御部側で制御することも可能である。これにより、バッテリから制御部に流れる電流をプレ電流にすることにより、その電流を変化させるスイッチング回路等の電気的な劣化要因が小さくなる。そのため、充電装置における故障の発生頻度を低くすることが可能になる。
さらに、特許請求の範囲の請求項3に記載された充電システムは、請求項1または2に記載の充電システムにおいて、前記監視装置は無線通信回線を介して情報送信可能な送信部を備え、前記充電装置は前記無線通信回線を介して情報受信可能な受信部を備え、前記監視装置は、前記所定情報を取得した場合に当該監視装置を識別可能な識別情報を前記送信部を介して前記充電装置の前記受信部に送信し、前記充電装置は、前記監視装置の前記送信部から前記受信部を介して前記識別情報を受信する、ことを技術的特徴とする。
請求項3に記載の充電システムの発明では、監視装置は、所定情報を取得した場合に当該監視装置を識別可能な識別情報を送信部を介して充電装置の受信部に送信する。充電装置は、監視装置の送信部から受信部を介して識別情報を受信する。これにより、充電装置は、充電ケーブルを介して接続されているバッテリを特定すること、つまりペアリング(通信接続の認証)を成立させることができるので、当該バッテリに適した充電制御を行うことが可能になる。
また、特許請求の範囲の請求項4に記載された充電システムは、請求項3に記載の充電システムにおいて、前記監視装置は、前記識別情報を送信した後または前記識別情報と共に、前記バッテリの充電状態に関する充電情報を前記送信部を介して前記充電装置の前記受信部に送信し、前記充電装置は、前記監視装置の前記送信部から前記受信部を介して前記充電情報を受信する、ことを技術的特徴とする。
請求項4に記載の充電システムの発明では、監視装置は、識別情報を送信した後または識別情報と共に、バッテリの充電状態に関する充電情報を送信部を介して充電装置の受信部に送信する。充電装置は、監視装置の送信部から受信部を介して充電情報を受信する。これにより、充電装置は、充電情報等の当該バッテリの充電状態に関する情報を監視装置から得ることができ、当該バッテリに関する詳細な情報を取得することが可能になる。
本発明の充電システムや本発明の充電装置では、監視装置は、例えば、当該バッテリを特定可能なID(識別情報)を充電装置に送ることができるので、充電装置は、充電ケーブルを介して接続されているバッテリを特定することが可能になる。したがって、充電装置は当該バッテリに適した充電制御を行うことができる。
以下、本発明の充電システムの実施形態について図を参照して説明する。図1および図2に示すように、本実施形態に係る充電システム2は、複数のバッテリ式フォークリフト(以下「フォークリフト」という)10のバッテリ20を充電するものであり、例えば、充電ステーションに設けられる。例えば、3台のフォークリフト10a,10b,10c(以下「フォークリフト10a等」という)のそれぞれに搭載されたバッテリ20a,20b,20c(以下「バッテリ20a等」という)に対応可能に充電システム2(2a)が構成されている。図1には本実施形態の充電システム2がもう1つ表されている。充電システム2bは、2台のフォークリフト10d,10e(以下「フォークリフト10d等」という)のそれぞれに搭載されたバッテリ20d,20e(以下「バッテリ20d等」という)に対応可能に構成されている。
なお、本実施形態においては2つの充電システム2を区別する必要から、図1では「2a」や「2b」の符号を付しているが、両充電システム2a,2bは構成上の差異はない。そのため、本明細書において両充電システム2a,2bを区別する必要がない場合には単に「充電システム2」という。フォークリフト10は、搭載したバッテリ20から供給される電力で駆動する電動車両の一例であり、本実施形態の電動車両には、例えば、無人搬送車(AGV;Automated Guided Vehicle)、電動カートや電動車椅子等が含まれる。
なお、本実施形態の充電システム2が充電可能なバッテリ(充電対象のバッテリ)は、充電を必要としながらも、それが搭載されたフォークリフト10を走行可能な蓄電残量を有するバッテリ20である。そのため、フォークリフト10に搭載されていても当該フォークリフト10を走行不能に放電したバッテリ20や完全放電したバッテリ20等、当該充電システム2が設けられた充電ステーションまでフォークリフト10を走行させることができないバッテリ20は、本実施形態の充電システム2では充電の対象外であることに注意されたい。
本実施形態の充電システム2は、1台の充電装置50と、それに対応するフォークリフト10のバッテリ20に内蔵されるBMU30と、から構成されている。BMUは、前述した電池管理装置(BMU;Battery Management Unit)のことである。図1に表されている一方の充電装置50aには、3台のフォークリフト10a等に搭載される3つのBMU30a,30b,30c(以下「BMU30a等」という)が対応し、他方の充電装置50bには、2台のフォークリフト10d等に搭載される2つのBMU30d,30e(以下「BMU30d等」という)が対応している。なお、充電装置50についても本実施形態の説明の都合上、図1においては区別する必要から、「50a」や「50b」の符号を付しているが、両充電装置50a,50bは構成上の差異がない。そのため、特に区別する必要がない場合には単に「充電装置50」という。
本実施形態では、バッテリ20a等やバッテリ20d等は、フォークリフト10a等やフォークリフト10d等に搭載された状態のままで充電ケーブル70を介して充電装置50a,50bに電気的に接続されて充電できるように構成されている。充電装置50aとBMU30a等は、後述するように無線通信回線90aを介して情報通信可能に構成されている。また、充電装置50bとBMU30d等は、無線通信回線90bを介して情報通信可能に構成されている。なお、これらの無線通信回線90a,90bについても、本実施形態の説明の都合から、「90a」や「90b」の符号を付しているが、特に区別する必要がない場合には単に「無線通信回線90」という。
図2(A)に示すように、充電装置50は、交流電源ACから入力された3相交流電力をバッテリ20に適した直流電力に変換して出力するものである。充電装置50は、例えば、主に、電磁スイッチ52、変圧部53、整流部54、制御部55、プレ電流スイッチ57、通信部58等により構成されており、これらは金属製のハウジング51内に収容されている。ハウジング51には、例えば、3相交流電源ACからの3相交流電力が入力される入力端子、充電ケーブル70が接続される出力端子、当該充電装置50の電源投入を指示する図略の電源スイッチや、充電の開始を指示する図略の充電スイッチ等が設けられている。
電磁スイッチ(MGS)52は、3相交流電源ACから供給される3相200Vの交流電圧の全相(U相,V相,W相)それぞれに対して、通電および遮断、つまりオンオフが可能な電磁リレーからなる開閉器である。本実施形態では、電磁スイッチ52の制御端子が制御部55に接続されており、制御部55から入力される制御信号によりオンオフ制御可能に構成されている。
変圧部53は、例えば、3相200Vの交流電圧を3相48Vの交流電圧に降圧する変圧トランスである。整流部54は、例えば、変圧部53により降圧された3相48Vの交流電圧の全相について整流して直流電圧に変換し得るダイオードブリッジ回路である。本実施形態では、整流部54の出力側には、出力電圧に含まれ得るリップル成分を除去可能な平滑コンデンサ56aと、同出力電圧を計測する電圧センサ56bとが並列に接続されている。また整流部54の出力側には、整流部54からの出力電流を計測する電流センサ56cが直列に接続されている。電圧センサ56bや電流センサ56cの出力端子は、制御部55に接続されており、出力電圧や出力電流の情報が制御部55に入力される。なお、これらのセンサ56b,56c等は、制御部55に内蔵されていてもよい。
制御部55は、例えば、MPU、メモリ(RAM、ROM)、入出力インタフェース、A/Dコンバータ、ドライバ回路等により構成されるマイコンモジュールである。本実施形態では、制御部55は、電圧センサ56bや電流センサ56cからA/Dコンバータを介して入力される出力電圧や出力電流の情報や図略の電源スイッチのオンオフ情報に基づいて、電磁スイッチ52や後述するプレ電流スイッチ57をドライバ回路を介して制御し得るように構成されている。本実施形態では、プレ電流スイッチ57は、ドライバ回路を兼ねたUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)を介して制御される。制御部55は、入出力インタフェースを介して通信部58によりBMU30と情報通信し得るように構成されている。なお、本実施形態では、制御部55は後述する充電制御処理等を行う。これらの制御処理については後述する。
プレ電流スイッチ57は、整流部54の出力側に並列に接続されてバッテリ20にプレ電流を流し得る回路モジュールである。図2(B)に示すように、例えば、充電ケーブル70を介して充電装置50の出力端子に接続されているバッテリ20に対して、当該バッテリ20の放電方向に所定電流(プレ電流)を流し得る抵抗RLと、この抵抗RLに直列に接続される半導体スイッチング素子(例えばパワーMOSFETやIGBT)SWとにより構成されている。つまり、プレ電流スイッチ57は、抵抗RLとスイッチング素子SWの直列回路が充電ケーブル70を介してバッテリ20の端子間(後述するプラス端子21aとマイナス端子21bの間)に並列に接続され得るように構成されており、このスイッチング素子SWのゲート(制御端子)は制御部55に接続されている。
このため、プレ電流スイッチ57は、後述するように、充電制御処理により電磁スイッチ52がオフ状態に制御されている場合にのみ機能して、プレ電流スイッチ57がオン状態に制御されると、充電装置50の出力端子間(バッテリ20の端子間)に放電電流、つまりプレ電流が流れるように動作する。プレ電流は、後述するBMU30の電流センサ36が計測可能な最小電流値よりも大きく、かつ、充電を必要としながらもフォークリフト10を駆動可能なバッテリ20が放電しても当該バッテリ20の出力電圧(端子電圧)が制御部55および通信部58の動作電圧を維持可能な最大電流値よりも小さくなる範囲内の電流値Ipに設定されている。プレ電流スイッチ57の抵抗RLは、プレ電流の電流値Ipをバッテリ20の端子間に流すことが可能な抵抗値に設定されている。
なお、電磁スイッチ52をオンオフした場合には、電磁スイッチ52に大電流(例えば、数A~数100A)が流れるのに対して、プレ電流スイッチ57に流れる電流値Ipは桁違いに小さいため(例えば、数10mA~数A)、半導体スイッチング素子SWに与える電気的な劣化要因が小さい。
通信部58は、無線通信回線90を介してBMU30と情報通信可能な近距離無線通信が可能な無線ユニット(例えば、Bluetooth(登録商標)や ZigBee(登録商標)等の無線規格に準拠したもの)であり、ハウジング51の外に設けられるアンテナ59を備えている。本実施形態では、通信部58は、制御部55に接続されており、BMU30から送られてくるバッテリ20の充電情報(基本情報および状態情報)を受信して制御部55に出力したり、制御部55から送出する制御情報をBMU30に送信したりし得るように構成されている。
なお、図2(A)には、制御部55や通信部58の駆動電源の配線は図示されていないが、本実施形態では、制御部55および通信部58は、充電装置50に接続されたバッテリ20から得られる直流電力により駆動し得るように構成されている。即ち、制御部55および通信部58は、交流電源ACから供給される交流電力を変換した直流電力を得て駆動するのではなく、充電するために充電ケーブル70を介して充電装置50に接続されたバッテリ20から直流電力を得て駆動する。
このように構成される充電装置50は、ハウジング51に取り付けられた充電ケーブル70を介して出力電力(出力電圧、出力電流)をバッテリ20に出力する。つまり、充電電力(充電電圧、充電電流)をバッテリ20に供給する。ここで、本実施形態の充電システム2において用いられる充電ケーブル70の構成について説明する。
充電ケーブル70は、充電装置側ケーブル71とバッテリ側ケーブル75により構成されている。充電装置側ケーブル71は、充電装置50に接続される電力ケーブルであり、例えば、ケーブル本体72と、ケーブル本体72の一端側に接続される入力コネクタ73と、同他端側に接続される出力コネクタ74とにより構成されている。一端側の入力コネクタ73は、充電装置50の出力端子に電気的に、また同出力端子の周囲に機械的にそれぞれ接続可能に構成されている。また、入力コネクタ73は、ケーブル本体72を介して他端側の出力コネクタ74に電気的に接続されている。
バッテリ側ケーブル75は、バッテリ20に接続される電力ケーブルであり、例えば、ケーブル本体76と、ケーブル本体76の一端側に接続される出力コネクタ78と、同他端側に接続される入力コネクタ77とにより構成されている。一端側の出力コネクタ78は、バッテリ20のバッテリ端子に電気的に、また同バッテリ端子の周囲に機械的にそれぞれ接続可能に構成されている。また、出力コネクタ78は、ケーブル本体76を介して他端側の入力コネクタ77に電気的に接続されている。なお、充電装置側ケーブル71の出力コネクタ74とバッテリ側ケーブル75の入力コネクタ77とは、凹部74aと凸部77aの嵌合により機械的に、また図略のピンとレセプタクルにより電気的に、それぞれ接続可能に構成されている。
図2(A)および図3に示すように、バッテリ20は、例えば、フォークリフト10の運転席の下方に設けられたバッテリ収容室11に収容されている。バッテリ収容室11は、上部開口を除いた側面および底面が壁12により区画され、また蓋13として機能する運転席のシート座部により上部開口が閉塞され得るように構成されている。なお、本実施形態では、フォークリフト10のバッテリ20には、バッテリ側ケーブル75の出力コネクタ78が常に接続されている。即ち、充電時以外にもバッテリ側ケーブル75がバッテリ20に接続されている。そのため、充電時以外、つまりフォークリフト10の稼働時においては、バッテリ側ケーブル75は、例えば、シート座部により閉じられたバッテリ収容室11の収容空間11a内にバッテリ20と一緒に収容されている。
図3に示すように、バッテリ20は、主に、バッテリケース21とバッテリケース21内に収容されている複数のバッテリセル23とから構成された組電池である。本実施形態では、複数のバッテリセル23は、例えば、電気的に直列に接続されて48Vの直流電圧を出力し得るように構成されている。24Vの直流電圧を出力し得るものもある。定格容量は、バッテリセルの単体容量または並列接続数により異なり、例えば、280Ahや450Ah等である。これらのバッテリセル23は、例えば、物理的にはマトリクス状に配置されている。本実施形態では、バッテリセル23は、鉛蓄電池で構成されている場合やリチウムイオン二次電池で構成されている場合等がある。
バッテリケース21には、プラス端子21aとマイナス端子21bが設けられている。プラス端子21aはバッテリセル23の陽極端子に接続され、マイナス端子21bはバッテリセル23の陰極端子に接続されている。これらの端子21a,21bは、出力コネクタ78のカバーで覆われている。本実施形態では、出力コネクタ78内には、後述する電圧センサ35や電流センサ36が収容されている。
BMU30は、例えば、ハウジング31、制御部32、通信部33、各種のセンサ35~38等により構成されている。BMU30は、制御部32および通信部33を収容したハウジング31がバッテリ20のバッテリケース21に取り付けられる。各種のセンサ35~38は、温度センサ37を除いてハウジング31の外に設けられている。
制御部32は、例えば、MPU、メモリ、入出力インタフェース、A/Dコンバータ等が同一モジュール内に組み込まれたワンチップマイコンにより構成されている。また通信部33は、充電装置50の通信部58と無線通信可能な近距離無線モジュール(例えば、Bluetooth(登録商標)や ZigBee(登録商標)等の無線規格に準拠したもの)でありアンテナ34を備えている。制御部32と通信部33は電気的に接続されており、制御部32は、無線通信回線90を介して充電装置50の制御部55と情報通信可能に構成されている。
電圧センサ35は、バッテリ20の端子間電圧を計測可能にプラス端子21aとマイナス端子21bの間に接続されている。電流センサ36は、プラス端子21aに流れる電流(端子電流)を計測可能にバッテリセル23の陽極端子とプラス端子21aの間(またはプラス端子21aに直列)に接続されている。
温度センサ37は、バッテリセル23の表面温度や電解液の温度を直接的または間接的に計測可能にハウジング31内において露出するバッテリケース21の壁面に設けられている。また、液量センサ38は、バッテリ20の電解液の液量を計測するセンサであり、バッテリ20のバッテリセル23内に設けられている。これらのセンサ35~38は、いずれもその出力が制御部32に接続されており、電圧情報、電流情報、温度情報、液量情報が制御部32に入力され得るように構成されている。
このように構成されるBMU30は、バッテリ20の充電状態、放電状態やメンテナンス状態等の当該バッテリ20に関する情報を取得して外部に送信する。また、BMU30は、バッテリ20または自分に付与されたID(identifier)(以下「バッテリID」という)を、例えば、充電装置50の制御部55の要求に対して当該充電装置50に送信し得るように構成されている。なお、上述したBMU30は、バッテリ20の外部に設けられる構成を採用しているが、例えば、バッテリ20の中に組み込まれ得るようにBMU30を構成してもよい。
次に、充電装置50により実行される充電制御処理について図1,図4~図6を参照しながら説明する。この充電制御処理は、制御部55のメモリ(ROM)に記憶された充電制御プログラムを制御部55のMPUが実行することにより実現される。充電制御プログラム(充電制御処理)は、充電装置50とバッテリ20が充電ケーブル70を介して接続されてフォークリフト10が充電可能な状態で待機しているときに、例えば、充電装置50が備える図略の充電スイッチがオン操作された直後から制御部55により起動される。
なお、ここでは図1に示す充電システム2aにおいて、フォークリフト10a等に搭載されるBMU30a等のバッテリ20a等を充電装置50aが充電する場合を例示して説明するが、充電システム2bにおいては、充電装置50bがフォークリフト10d等に搭載されるBMU30d等のバッテリ20d等を充電する場合に置き換えることができる。
図4に示すように、充電制御処理では、まずステップS101により所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、制御部55のメモリ(RAM)の本処理用のワーク領域やフラグをクリアしたり、電磁スイッチ52やプレ電流スイッチ57をオフ状態にする制御コマンドを送出したりする。これにより、変圧部53の出力電圧(二次側電圧)が整流部54の出力側に現れたり、プレ電流スイッチ57にプレ電流が流れたりしなくなる。
次のステップS103ではバッテリ識別処理が行われる。この処理は、これから充電装置50aが充電を行うバッテリ20を複数のバッテリ20a等から識別して特定するものであり、サブルーチンとして図5にその流れが図示されている。そのため、ここからは図5を主に参照しながら説明する。
図5に示すように、バッテリ識別処理では、まずステップS201により当該充電装置50aに充電ケーブル70が接続されているか否かを判定する処理が行われる。本実施形態では、充電ケーブル70を介してバッテリ20a等にプレ電流を流す必要があることから、まずこの判定処理によりバッテリ20a等の接続を確認する。なお、説明の便宜上、ここからは、バッテリ20a等のうち、現在、充電ケーブル70を介して充電装置50aに接続されているバッテリを「バッテリ20x」と表し、またこのバッテリ20xを監視するBMU30を「BMU30x」等と表現する。
前述したように、電磁スイッチ52はオフ状態に制御されているため、例えば、整流部54に接続されている電圧センサ56bにより電圧が計測される場合には、充電ケーブル70を介して充電装置50aにバッテリ20xが接続されている蓋然性が高い。そのため、この処理では、電圧センサ56bから入力される電圧情報の有無に基づいて、当該充電装置50aに充電ケーブル70が接続されているか否かを判定し、充電ケーブル70が接続されるまで繰り返す(S201;No)。なお、このステップS201による判定処理を省略して、充電ケーブル70が接続されると、図1の充電制御処理が起動するように充電装置50を構成してもよい。
そして、充電ケーブル70が接続されていると判定された場合には(S201;Yes)、次のステップS203に処理を移行し、また所定時間(例えば、30秒や60秒)を経過しても充電ケーブル70が接続されていると判定されない場合には(S201;Time's Up)、ステップS216によりペアリング未了情報を制御部55のメモリに記憶した後、本バッテリ識別処理を終了する。ペアリング未了情報については後述する。
ステップS203ではプレ電流出力開始処理が行われる。ステップS201の判定処理によって、当該充電装置50aには充電ケーブル70を介してバッテリ20xが接続されている。そのため、この処理では、そのバッテリ20xから当該充電装置50aに所定の変化パターンのプレ電流を流す処理が開始される。本実施形態では、プレ電流の変化パターンは、所定情報として、例えば、当該充電装置50aに予め付与されている充電装置IDを意味する。もう1つの充電システム2bを構成する充電装置50bは、充電装置50aと異なる変化パターンでプレ電流が流される。本実施形態では、当該充電装置50aを特定可能なものであれば、充電装置ID以外を意味するものでもよい。
プレ電流の変化パターンは、例えば、電気的には電流値Ipのプレ電流が流れている(Hレベル)期間と、そのようなプレ電流が流れてない(Lレベル)期間とからなる二値データにより構成されており、論理的にはこのような二値データで1ビットを表現したビット列からなる数バイトのデータで構成される所定情報である。本実施形態では、この所定情報は、前述したように、当該充電装置50aに付与されている充電装置IDであり、例えば16進数表記で0x010F0800である。
本実施形態では、パラレル/シリアル変換が可能な調歩同期方式のUARTを介してプレ電流スイッチ57のオンオフ制御が行われる。そのため、プレ電流の変化パターンとして実際に出力されるデータは、充電装置IDの後にパリティビットが付加され、さらにこれらの前後にスタートビットやストップビットが付加された所定のデータフォーマットで構成されている。このような所定のデータフォーマットで構成される充電装置ID(所定情報)は、例えば、制御部55が有するUARTを介してプレ電流スイッチ57をオンオフ制御することによって電流データにエンコードされてBMU30xに出力される。つまり、バッテリ20xから充電ケーブル70を介して充電装置50aに向けて流れるプレ電流の時系列的な変化(シリアルデータ)になる。伝送レートは、例えば、200bps~1Kbpsである。
このため、BMU30xでは、後述する充電ペアリング処理(図6)によって、バッテリ20xの出力電流を計測可能な電流センサ36によりこのようなプレ電流の変化を検出することで充電装置ID(所定情報)等を取得することが可能になる。なお、このようなプレ電流による充電装置ID(所定情報)等の出力は、ステップS209によりプレ電流出力終了処理が実行されるまで繰り返し行われる。
続くステップS205ではID・パターン情報受信処理が行われる。この処理は、後述する充電ペアリング処理(図6)に行われるID・パターン情報送信処理(図6;S509)に対応するものであり、プレ電流の変化パターンに意味づけされた所定情報を取得したBMU30xから、無線通信回線90aを介して送信されてくるバッテリ20xのバッテリIDやパターン情報を通信部58により受信するものである。この処理は、次のステップS207により受信が完了した判定されるまで、または所定時間(例えば、1秒~5秒)を経過したと判定されるまで、繰り返し行われる(S207;No)。所定時間を経過したと判定された場合には(S207;Time's Up)、ペアリング未了情報を制御部55のメモリに記憶してから(S216)、本バッテリ識別処理を終了する。
そして、ステップS207の判定処理により受信が完了したと判定された場合(S207;Yes)には、ステップS209のプレ電流出力終了処理によりプレ電流による充電装置ID(所定情報)等の出力を終了するとともに、ステップS205でバッテリIDと一緒に受信したパターン情報をステップS211のパターン情報解析処理により解析する。このパターン情報は、後述する電流パターン解析処理(図6;S505)によって得られた情報であり、BMU30xが電流センサ36により計測された電流データをデコードして得られた二値データを解析したものである。
このため、続くステップS213では、ステップS211で解析したパターン情報が前述のプレ電流出力開始処理(S203)で出力されたプレ電流の変化パターンの所定情報(例えば、充電装置ID)と一致しているか否かの判定処理が行われる。先の例では、BMU30xが取得したプレ電流の変化パターンによる所定情報と、充電装置50aに付与されている充電装置IDとが一致している場合には(S213;Yes)、当該BMU30xが監視するバッテリ20xは、充電ケーブル70を介して充電装置50aに接続されていることになる。つまり、制御部55は、充電装置50aに接続されているバッテリ20xやBMU30xを識別することができ、ペアリング(通信接続の認証)が成立していると言える。したがって、この場合には続くステップS215によりペアリング完了情報送信処理が行われる。
これに対して、BMU30xが取得した所定情報と充電装置50aの充電装置IDとが一致していない場合には(S213;No)、充電装置50aには、当該BMU30xが接続されていない可能性があり、他のBMU30d等が接続されている可能性がある。また、充電ケーブル70やBMU30xに外来ノイズ等が侵入して電流データの誤検出(誤計測)が電流センサ36に生じている可能性もある。そのため、再度、ステップS203に戻ってプレ電流出力開始処理等を行う。このようなリトライ処理により、プレ電流の変化パターンに意味づけされた所定情報の出力が再開されることから、BMU30xは、再度、電流センサ36によりプレ電流の変化を検出して充電装置ID(所定情報)等を取得することが可能になる。
なお、このようなリトライ処理が予め定められた所定回数(例えば3回)を超えて行われても、BMU30xが取得した所定情報と充電装置50aの充電装置IDとが一致していない場合には(S213;RC=0)、充電装置50aには当該BMU30xが接続されていない蓋然性が高くバッテリ20xやBMU30xを識別することができないことから、そのような場合にはペアリング未了情報を制御部55のメモリに記憶した後(S216)、本バッテリ識別処理を終了する。
ステップS215のペアリング完了情報送信処理では、BMU30xに対して、充電装置50aと当該BMU30xの間における通信接続の認証、つまりペアリングが成立した旨の情報(ペアリング完了情報)を通信部58により無線通信回線90aを介して送信する。このペアリング完了情報は、後述するようにBMU30xにより行われるペアリング情報受信処理(図6;S511)によって受信される。
一方、ステップS216のペアリング未了情報記憶処理では、ペアリングの成立・不成立を示す情報として、例えば、制御部55のメモリに記憶されているペアリング用のフラグを「0」(ペアリング不成立)にセットする。ステップS216のペアリング未了情報記憶処理が完了すると、本バッテリ識別処理を終えて図4の充電制御処理に処理を戻す。
ステップS215によりペアリング完了情報送信処理が行われると、ステップS217によりペアリング情報記憶処理が行われる。この処理では、ペアリングの成立・不成立を示す情報として、制御部55のメモリに記憶されているペアリング用のフラグを「1」(ペアリング成立)にセットするとともに、ペアリングが成立したBMU30xのバッテリIDをペアリング情報として同メモリに記憶する。
そして、ステップS219によりバッテリ情報受信処理が行われて、本バッテリ識別処理が終了する。後述するように、BMU30xでは、充電装置50aとのペアリングが完了すると、その後、当該BMU30xが監視するバッテリ20xの充電状態に関する充電情報(基本情報や状態情報)を収集して無線通信回線90aを介して充電装置50aに送信する。そのため、このバッテリ情報受信処理(S219)では、BMU30xから送信されてくるバッテリ20xのこのような充電情報を通信部58により受信して、次のステップS221のバッテリ情報記憶処理により制御部55のメモリに記憶する。バッテリ20xの充電情報については後述する。ステップS221を完了すると、図4の充電制御処理に処理を戻す。
図4に示すように、ステップS103のバッテリ識別処理が終わると、続くステップS105により、プレ電流を流したバッテリ20xを識別することができたか否かを判定する処理(識別判定処理)が行われる。本実施形態では、この処理は、例えば、制御部55のメモリに記憶されているペアリング用のフラグに基づいて行われる。
即ち、前述したように、バッテリ識別処理(図5)においてプレ電流を流したバッテリ20xを識別することができた場合(バッテリ20xのBMU30xとペアリングが成立した場合)には、制御部55のメモリに記憶されたペアリング用のフラグが「1」にセットされ、またバッテリ20xを識別することができない場合(バッテリ20xのBMU30xとペアリングが不成立の場合)には、同ペアリング用のフラグが「0」にセットされている。
このため、制御部55のメモリに記憶されているペアリング用のフラグを参照することにより、バッテリ20xを識別することができたと判定した場合には(S105;Yes)、次のステップS107により充電パターン読出処理が行われる。これに対して、バッテリ20xを識別することができないと判定した場合には(S105;No)、再度、バッテリ識別処理を行う必要があることから、ステップS103に処理を戻す。
なお、バッテリ識別処理を所定の回数(例えば3回)実行してもバッテリ20xを識別することができない場合には、当該充電装置50aの通信部58やBMU30xの通信部33等が故障して通信障害が発生している可能性がある。そのため、このような場合には、本充電制御処理を異常終了し、障害の発生を表示や音を介して外部に告知するように充電装置50aを構成してもよい。
ステップS107では、当該バッテリ20xに充電を行うため、充電パターンを制御部55のメモリから読み出す処理が行われる。充電パターンは、例えば、充電時間の経過とともに充電電圧や充電電流が所定の変化をするように制御するための型のことである。この処理ではバッテリ20xのセルの種類や定格容量に適した充電パターンが読み出されて次のステップS111の充電処理により当該充電パターンに従った充電処理が行われる。
本実施形態では、バッテリ20xやBMU30xに付与されているバッテリIDごとに充電パターンが関連付けられて制御部55のメモリに記憶されている。そのため、充電パターン読出処理(S107)では、制御部55のメモリに保存(記憶)されているバッテリ20xのバッテリIDを参照して当該IDに紐付けられている充電パターンが制御部55のメモリから読み出される。本実施形態では、例えば、充電パターンは、バッテリ20x(バッテリ20a等)ごとに、そのセルの種類、公称電圧および定格容量に合わせた標準的なものが予め制御部55のメモリ(ROM)に記憶されている。
続くステップS109では電磁スイッチ52をオン状態に設定する処理が行われる。即ち、前述したバッテリ識別処理が実行される期間中は、プレ電流スイッチ57をオン状態にする必要から、電磁スイッチ52がオフ状態に設定されていなければならなかったが、次のステップS111の充電処理では交流電源ACからバッテリ20xに充電電力を供給する必要がある。そのため、充電処理(S111)が行われている期間中においては、電磁スイッチオン処理(S109)により電磁スイッチ52をオン状態に設定する。
次のステップS111では、ステップS107により読み出された充電パターンに従ってバッテリ20xを充電する処理が行われる。例えば、バッテリ20xのバッテリセル23が公称電圧48V、定格容量450Ahの鉛蓄電池で構成されている場合には、その仕様の鉛蓄電池に適した準定電圧充電方式でバッテリ20xに充電電力を供給するように制御部55により電磁スイッチ52が制御される。このような充電パターンに対して、前述のバッテリ情報記憶処理(図5;S221)により制御部55のメモリに記憶されたバッテリ20xの充電情報(基本情報や状態情報)に基づく補正を行ってもよい。
そして、バッテリ20xに対する充電が完了するまで充電処理(S111)が行われて(S113;No)、充電が完了した場合には(S113;Yes)、電磁スイッチ52をオフ状態に設定するため、ステップS115に処理を移行する。
次のステップS115では電磁スイッチ52をオフ状態に設定する処理が行われる。ステップS111による充電処理が終了すると(S113;Yes)、次の充電開始に備えて再びバッテリ識別処理(S103)に移行することから、前述したバッテリ識別処理が実行される期間中は電磁スイッチ52をオフ状態に設定する必要がある。そのため、電磁スイッチオフ処理(S115)により電磁スイッチ52をオフ状態に設定した後、ステップS103に処理を戻す。なお、本充電制御処理は、図略の電源スイッチがオフ操作されることによって終了するまで繰り返し実行される。
次に、BMU30a等により行われる充電ペアリング処理を図6に基づいて説明する。ここでは、BMU30a等により行われる処理内容の例を説明するが、BMU30d等においても同様の情報処理が行われる。
この充電ペアリング処理は、BMU30xの制御部31のメモリ(ROM)に記憶された充電ペアリングプログラムを制御部31のMPUが実行することで実現される。充電ペアリングプログラム(充電ペアリング処理)は、BMU30xが起動された直後から、例えば、数ミリ秒ごとに行われるタイマー割り込み制御により繰り返し実行される。
図6に示すように、充電ペアリング処理では、まずステップS501により所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、制御部31のメモリ(RAM)の本処理用のワーク領域やフラグをクリアしたり、通信部33に初期設定用の制御コマンドを送出したりする。本実施形態では、例えば、当該メモリに記憶されているペアリング用のフラグがペアリング不成立を表す「0」にクリア(セット)される。
次のステップS503では電流情報取得処理が行われる。この処理は、前述したBMU30xの電流センサ36により計測されるバッテリ20xのプラス端子21aに流れる電流(端子電流)データを取得するものであり、所定期間に亘ってバッテリ20xの電流データが取得される。所定期間は、前述したプレ電流の変化パターンに意味づけされた所定情報を十分に取得可能な長さの時間である。
本実施形態では、電流センサ36から出力される電流データはアナログ値であることから、電流センサ36から出力された電流データは、制御部32が有するA/Dコンバータを介して取得される。電流データはステップS505により電流パターンが解析される。例えば、電流センサ36により計測された電流データを調歩同期のスタートビットに基づく所定タイミングでデコードすることにより得られたデータ列を解析する。なお、BMU30xの制御部32がUARTを有する場合には、A/Dコンバータの出力をUARTに入力することにより、デコードされたバイト単位のパラレルデータが当該UARTから出力されるため、それを解析する。
ステップS505の解析処理によって得られたデータが、前述した所定のデータフォーマットに合致した場合には、当該データは、プレ電流の電流データでありプレ電流の変化パターンに意味づけされた所定情報である蓋然性が高い。そのため、このような場合には解析が完了したと判定して(S507;Yes)、次のステップS509のID・パターン情報送信処理に移行する。また、所定のデータフォーマットに合致しない場合には、当該データはプレ電流以外の他の電流データであり、電流パターンの解析は完了していないと判定される。そのため、このような場合には、電流パターンの解析が完了したと判定されるまで、または所定時間(例えば、2秒~4秒)を経過したと判定されるまで、ステップS503に戻って電流情報取得処理等が繰り返し行われる(S507;No)。所定時間を経過したと判定された場合には(S507;Time's Up)、本充電ペアリング処理を終了する。
続くステップS509ではID・パターン情報送信処理が行われる。この処理は、前述したバッテリ識別処理のID・パターン情報受信処理(図5;S205)に対応するものであり、当該BMU30xまたはバッテリ20xに付与されたバッテリIDと、ステップS505によって解析されて得られたデータ、つまりパターン情報とを通信部33により無線通信回線90aを介して充電装置50aに送信するものである。パターン情報は、前述した例では16進数表記で0x010F0800であり、充電装置50aの充電装置ID(所定情報)である。これらの情報は、充電装置50aにより受信される(図5;S205)。
次のステップS511ではペアリング情報受信処理が行われる。この処理は、前述したペアリング完了情報送信処理(図5;S215)に対応するものであり、充電装置50aから送信されたペアリング完了情報等を、無線通信回線90aを介して通信部33により受信する。ペアリング完了情報は、前述したように、充電装置50aと当該BMU30xの間におけるペアリング(通信接続の認証)が成立したことを表すものである。そのため、ペアリングが成立していない場合には充電装置50aからペアリング完了情報は送信されないことから、この受信処理ではペアリング完了情報が受信できるとは限らない。
このため、続くステップS513の判定処理により、ペアリング完了情報を受信できたか否か、つまりペアリングが完了したか否かの判定が行われ、ペアリングが完了したと判定されるまで、または所定のリトライ回数(例えば3回)を超えたと判定されるまでステップS503に戻って電流情報取得処理等が繰り返し行われる(S513;No)。所定のリトライ回数を超えたと判定された場合には(S513;RC=0)、本充電ペアリング処理を終了する。
ステップS513によりペアリングが完了したと判定された場合には(S513;Yes)、ステップS515によりペアリング情報記憶処理が行われる。この処理では、ペアリングの成立・不成立を示す情報として、制御部32のメモリに記憶されているペアリング用のフラグを「1」(ペアリング成立)にセットするとともに、ペアリングの成立相手である充電装置50aの充電装置ID(所定情報)をペアリング情報として同メモリに記憶する。そして、続くステップS517ではバッテリ情報を充電装置50aに送信する。
即ち、ステップS517のバッテリ情報送信処理では、BMU30xが監視するバッテリ20xの充電状態に関する充電情報として、例えば、下記の基本情報および状態情報を例示することができる。制御部32は、これらの充電情報を、制御部32のメモリや各センサ35~38から収集して無線通信回線90aを介して充電装置50aに送信する。これにより、充電装置50aでは当該バッテリ20xの充電情報を得ることが可能になる。
基本情報は、例えば、公称電圧、定格容量、充電レート等である。公称電圧(V)は、バッテリ20xを通常の状態で使用した場合に得られる出力電圧である。定格容量(Ah)は、バッテリ20xの満充電電圧から放電終止電圧に至るまでに得られる電気量のことである。充電レートは、いわゆるCレート(バッテリを定電流で充電や放電させた場合に1時間で完全に充電させたり放電させたりする電流の大きさのこと)である。これらの基本情報は、制御部32のメモリに予め記憶されている。
状態情報は、バッテリ20xの端子間電圧(V)、入出力電流(A)、積算放電量(Ah)、温度(バッテリセル23の表面温度またはセル内の電解液の温度)(℃)、セル内の電解液の液量(cc)等である。端子間電圧は電圧センサ35により計測され、入出力電流は電流センサ36により計測される。また、温度は温度センサ37により計測され、液量は液量センサ38により計測される。積算放電量は、電流センサ36により計測された放電電流を制御部32のメモリに経時的に蓄積することにより得られる。
ステップS517によるバッテリ情報送信処理が完了すると、一連の本充電ペアリング処理を終了する。なお、本充電ペアリング処理は、前述したように、図略の電源スイッチがオフ操作されるまで、例えば、数ミリ秒ごとに行われるタイマー割り込み制御により繰り返し実行される。
以上説明したように、本実施形態に係る充電システム2では、充電装置50は、充電開始前に充電ケーブル70を介してバッテリ20との間に流すプレ電流を、プレ電流スイッチ57によって変化させることにより充電装置ID(所定情報)をBMU30に送る。そして、BMU30は充電装置IDを取得する。これにより、BMU30は、充電ケーブル70を介して当該BMU30が接続されている充電装置50を特定することが可能になり、またBMU30が監視しているバッテリ20のバッテリIDを当該充電装置50に送ることが可能になる。したがって、充電装置50は、充電ケーブル70を介して当該充電装置50に接続されているバッテリ20を特定することが可能になるので、当該バッテリ20に適した充電制御を行うことができる。
また、本実施形態に係る充電システム2では、充電装置50の制御部55は、充電ケーブル70を介してバッテリ20から電力が供給されて駆動している。そして、プレ電流はバッテリ20から制御部55に流れる電流である。充電が必要なバッテリ20の場合(充電初期の充電電流の場合)、バッテリ20には大電流が流れることから、例えば、充電装置50の電磁スイッチ52、変圧部53および整流部54がバッテリ20に流す充電電流を変化させて充電装置ID(所定情報)をBMU30に送るように構成すると、充電電流をオンオフする電磁スイッチ52に大電流が流れる可能性が高い。これに対して、バッテリ20から充電装置50の制御部55に流れる電流は、充電初期の充電電流に比べると小さく、また制御部55側で制御することも可能である。これにより、バッテリ20から制御部55に流れる電流をプレ電流にすることにより、その電流を変化させるプレ電流スイッチ57の電気的な劣化要因が小さくなる。そのため、充電装置50における故障の発生頻度を低くすることが可能になる。
さらに、本実施形態に係る充電システム2では、BMU30は、充電装置ID(所定情報)を取得した場合に当該BMU30を識別可能なバッテリID(識別情報)を通信部33を介して充電装置50の通信部58に送信する。充電装置50は、BMU30の通信部33から当該充電装置50の通信部58を介してバッテリIDを受信する。これにより、充電装置50は、充電ケーブル70を介して接続されているバッテリ20を特定すること、つまりペアリング(通信接続の認証)を成立させることができるので、当該バッテリ20に適した充電制御を行うことが可能になる。
さらにまた、本実施形態に係る充電システム2では、BMU30は、バッテリID(識別情報)を送信した後またはバッテリIDと共に、バッテリ20の充電状態に関する充電情報(基本情報および状態情報)を通信部33を介して充電装置50の通信部58に送信する。充電装置50は、BMU30の通信部33から当該充電装置50の通信部58を介して充電情報(基本情報および状態情報)を受信する。これにより、充電装置50は、基本情報や状態情報の当該バッテリ20の充電状態に関する充電情報をBMU30から得ることができるので、当該バッテリ20に関する詳細な情報を取得することが可能になる。
なお、上述した充電システム2では、プレ電流の変化パターンの所定情報として、充電装置50を特定可能な充電装置IDを意味する情報の場合を例示して説明したが、当該所定情報は、充電装置50を特定可能な情報であれば、例えば、予め定められている所定パターン等のデータであってもよい。例えば、図1に示すように、当該充電システム2aの充電装置50aとペアリングすべきBMU30aが、隣接する他の充電システム2bの充電装置50bと無線通信回線90bを介してID・パターン情報等を送信した場合(S509)、誤ってペアリングを成立させてしまうことを防ぐ必要から、当該充電装置50bによるプレ電流の変化パターンの所定情報とは異なるパターンのデータであればよい。
また、上述した充電システム2では、プレ電流を変化させる手段として、プレ電流スイッチ57を用いて充電ケーブル70を介してバッテリ20の両端子21a,21b間に抵抗RLとスイッチング素子SWの直列回路が接続され得る構成を例示して説明したが、バッテリ20から充電装置50に流れるバッテリ20の放電電流をキャリアとして所定情報を伝送可能な構成であれば、例えば、直流電流に変調をかける変調回路でもよい。なお、本実施形態の充電装置50を構成するプレ電流スイッチ57は、直流電流に変調をかける変調回路として概念することもできる。
さらに、上述した充電システム2では、バッテリとして、充電装置50により鉛蓄電池を準定電圧充電方式で充電する場合を例示して説明したが、電動車両に搭載される二次電池であれば、例えば、充電装置50によりリチウムイオン二次電池を定電流定電圧充電方式で充電したり、また充電装置50によりニッケル水素充電池をそれに適した充電方式で充電したりしてもよい。本発明は、このようなバッテリの充電方式にかかわらず適用することができる。
また、上述した充電システム2では、充電装置として、変圧部53等を用いたトランス方式の充電装置50を例示して説明したが、バッテリを充電可能な充電装置であれば、例えば、インバータ方式やスイッチング方式等の充電装置でもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。
2,2a,2b…充電システム
10,10a~10e…フォークリフト
20,20a~20e…バッテリ
30,30a~30e…BMU(監視装置)
32…制御部
33…通信部(送信部)
35…電圧センサ
36…電流センサ
37…温度センサ
38…液量センサ
50,50a,50b…充電装置
52…電磁スイッチ(充電部)
53…変圧部(充電部)
54…整流部(充電部)
55…制御部
56b…電圧センサ
56c…電流センサ
57…プレ電流スイッチ
58…通信部(受信部)
70…充電ケーブル
90,90a,90b…無線通信回線
10,10a~10e…フォークリフト
20,20a~20e…バッテリ
30,30a~30e…BMU(監視装置)
32…制御部
33…通信部(送信部)
35…電圧センサ
36…電流センサ
37…温度センサ
38…液量センサ
50,50a,50b…充電装置
52…電磁スイッチ(充電部)
53…変圧部(充電部)
54…整流部(充電部)
55…制御部
56b…電圧センサ
56c…電流センサ
57…プレ電流スイッチ
58…通信部(受信部)
70…充電ケーブル
90,90a,90b…無線通信回線
Claims (4)
- 充電ケーブルを介してバッテリを充電する充電システムであって、
前記バッテリを充電可能な充電装置と、
前記充電ケーブルよりも前記バッテリ側に設けられて前記バッテリと前記充電装置の間に流れる電流を監視する監視装置と、を含み、
前記充電装置は、充電開始前に前記充電ケーブルを介して前記バッテリとの間にプレ電流を流すとともに前記プレ電流を変化させてこの電流の変化パターンに意味づけされた所定情報を前記監視装置に送り、
前記監視装置は、前記プレ電流の変化パターンに基づいて前記所定情報を取得する、ことを特徴とする充電システム。 - 前記充電装置は、前記バッテリに充電電力を供給する充電部と、前記充電部の充電動作を制御する制御部と、により構成されており、
前記制御部は、前記充電ケーブルを介して前記バッテリから電力が供給されて駆動しており、前記プレ電流は、前記バッテリから前記制御部に流れる電流である、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。 - 前記監視装置は無線通信回線を介して情報送信可能な送信部を備え、前記充電装置は前記無線通信回線を介して情報受信可能な受信部を備え、
前記監視装置は、前記所定情報を取得した場合に当該監視装置を識別可能な識別情報を前記送信部を介して前記充電装置の前記受信部に送信し、
前記充電装置は、前記監視装置の前記送信部から前記受信部を介して前記識別情報を受信する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の充電システム。 - 前記監視装置は、前記識別情報を送信した後または前記識別情報と共に、前記バッテリの充電状態に関する充電情報を前記送信部を介して前記充電装置の前記受信部に送信し、
前記充電装置は、前記監視装置の前記送信部から前記受信部を介して前記充電情報を受信する、ことを特徴とする請求項3に記載の充電システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020213327A JP2022099523A (ja) | 2020-12-23 | 2020-12-23 | 充電システム |
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JP2020213327A JP2022099523A (ja) | 2020-12-23 | 2020-12-23 | 充電システム |
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JP2022099523A true JP2022099523A (ja) | 2022-07-05 |
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Family Applications (1)
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JP2020213327A Pending JP2022099523A (ja) | 2020-12-23 | 2020-12-23 | 充電システム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2022099523A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117578669A (zh) * | 2023-11-29 | 2024-02-20 | 苏州赛芯电子科技股份有限公司 | 电池充放电装置及其控制方法和电子设备 |
-
2020
- 2020-12-23 JP JP2020213327A patent/JP2022099523A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN117578669A (zh) * | 2023-11-29 | 2024-02-20 | 苏州赛芯电子科技股份有限公司 | 电池充放电装置及其控制方法和电子设备 |
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