JP2022099277A - ガラスヤーン、ガラスクロス及びガラスヤーンの製造方法 - Google Patents

ガラスヤーン、ガラスクロス及びガラスヤーンの製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022099277000001
【課題】 複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiO2を40~60質量%、B2O3を15~35質量%含み、ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであるガラスヤーンにおいて、ガラスクロスとするときの毛羽の発生を抑制することができる、ガラスヤーンの提供。
【解決手段】 複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%である、ガラスヤーン。
【選択図】 図6

Description

本発明は、ガラスヤーン、該ガラスヤーンを経糸及び/又は緯糸として製織したガラスクロス、該ガラスヤーンの製造方法に関する。
ガラスヤーンは、多数のガラス単繊維(フィラメント)を集束して糸状にしたものである。ガラスヤーンは、電気絶縁性、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性及び引張強度等の特性に優れることから、ガラスクロス、ガラステープ、ガラススリーブ、ゴム補強用コード等の原料糸として使用されている。
ガラスクロスの用途の一つとしてプリント配線板が挙げられ、ガラスクロスはプリント配線板の品質に大きく影響を与える。プリント配線板用ガラスクロスは薄型化が進み、それに伴い、原料糸であるガラスヤーンも低番手化(例えば0.3~6tex程度)されている。また、大容量のデータを高速で伝送処理する要求が急激に高まっている等の理由から、プリント配線板に使用するガラスヤーンには低誘電率化が求められている。低誘電率のガラス材料から構成されるガラス繊維として、例えば、特許文献1~5に開示されている。
特開昭62-226839号公報 特表2010-508226号公報 特開2009-286686号公報 国際公開第2017/187471パンフレット 国際公開第2018/216637パンフレット
一般的に、ガラスフィラメントを製造する方法として、直接法及び間接法の2種類が挙げられる。直接法(ダイレクトメルト法)とは、ガラス溶解窯の先端に設けられた作業槽の底部にブッシングを取付け、溶融ガラスを直接流入させて紡糸する方法である。一方、間接法(マーブルメルト法)は、ガラス溶解窯で溶かしたガラスをいったんマーブルと呼ばれる直径10~30mm程度のガラス玉や棒状、フレーク状、鱗片状等の所定の形状に成形したガラス原料に成型し、このガラス原料をブッシング中に投入し、再溶融して紡糸する方法である。
ここで、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量含む低誘電率のガラス材料を用いて、平均繊維径が3~6μm程度の細繊維径のガラスフィラメントとするには、溶融ガラスの溶融温度をEガラス等と比較して高温に設定する必要がある。そして、本発明者等は、上記Bの含有率が高いガラス材料の溶融温度を高くすると、溶融ガラス中に気泡が発生しやすくなることを知得した。さらに、本発明者等は、溶融ガラスが気泡を含んだ状態で紡糸すると、ホローファイバーと呼ばれる、紡糸されたガラスフィラメントの内部の一部分が中空となることが発生することを知得した。ホローファイバーは、ガラスフィラメントの強度に影響を及ぼすだけでなく、プリント配線板の絶縁信頼性の低下をもたらす。
そして、本発明者等は、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量含む低誘電率のガラス材料を用いて、平均繊維径が3~6μm程度の細繊維径のガラスフィラメントとする際に、ホローファイバーを低減するには、直接法よりも、間接法でおこなうことが有効であることを知得した。具体的に、直接法ではガラス溶融窯で溶融した溶融ガラスを直接紡糸するので溶融ガラスの清澄が十分に行うことが困難であるのに対し、間接法では、ガラス原料を製造する際とこれを用いて紡糸する際の2段階の清澄をおこなうことにより気泡の発生を抑制できることを知得した。
本発明者等が検討したところ、間接法で、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量含む低誘電率のガラス材料から構成される、平均繊維径が3~6μm程度の細繊維径のガラスフィラメントを製造した場合、ホローファイバーの発生は低減されるものの、当該ガラスフィラメントを含むガラスクロスの毛羽の発生については、なお改善の余地がある。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであるガラスヤーンにおいて、ガラスクロスとするときの毛羽の発生を抑制することができる、ガラスヤーンの提供を主な課題とする。
本発明者等が上記課題の原因について検討したところ、毛羽の発生は、ガラスヤーンの長さ方向の質量変動と大きく関係していることが判明した。具体的に、長さ方向の質量変動が大きいガラスヤーンは、ガラスフィラメントの長さ方向においてフィラメント直径が細い部分と太い部分とが存在していることが判明した。そして、ガラスクロス製造時における整経工程での部材との摩擦やエアージェット織機を用いた製織によって、当該フィラメント直径が細い部分が破断しやすく、また、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含むガラス材料から構成されるガラスフィラメントはEガラス等と比較して機械的強度に劣ることも相俟って、毛羽が発生しやすくなることを知得した。
そして、本発明者等が鋭意検討したところ、間接法によるガラスフィラメント紡糸時において、ブッシングのガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域(以下、本明細書において「固形ガラス原料存在領域」と示すことがある。)の温度(Tin)とガラスフィラメントが紡出されるノズルプレート付近の温度(Tout)との差((Tout)-(Tin))を特定の温度範囲となるようにして紡糸することにより、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量含む低誘電率のガラス材料から構成される、平均繊維径が3~6μm程度の細繊維径のガラスヤーンとしたときの長手方向質量変動の指標であるウースター斑を特定範囲とすることができ、当該ウースター斑を特定範囲としたガラスヤーンは、ガラスクロスとするときの毛羽の発生を抑制することができることを突きとめた。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%である、ガラスヤーン。
項2.前記ガラスヤーンの撚り数が0.3~1.2回/25mmである、項1に記載のガラスヤーン。
項3.項1又は2に記載のガラスヤーンを経糸及び/又は緯糸として製織されてなるガラスクロス。
項4.投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、前記溶融部の下部に設けられるノズルプレートと、前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、を備えるブッシングを用いて、ガラスフィラメントを製造する工程を含む、項1又は2に記載のガラスヤーンの製造方法であって、前記溶融部が、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域とを含み、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域の温度Tinと前記ノズルプレート付近の温度Toutの差(Tout-Tin)を10~200℃としてガラスフィラメントを製造する、項1又は2に記載のガラスヤーンの製造方法。
本発明によれば、複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%であることから、ガラスクロスとするときの毛羽の発生を抑制することができる。
本発明のガラスヤーンとするガラスストランド(ガラスフィラメント束)を製造するガラスフィラメント束製造装置の一例を示す模式的側面図である。 図1のガラスフィラメント束製造装置の上面図である。 仕切り部材を上面視した平面模式図である。 ノズルプレートの平面図である。 ノズルの断面図である。 ブッシングの側面図である。
本発明のガラスヤーンは、複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%である。以下、本発明のガラスヤーンについて詳述する。
<ガラス材料>
本発明のガラスヤーンは、複数のガラスフィラメントが集束されてなり、該ガラスフィラメントはSiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含むガラス材料から構成される。
(SiO
ガラスフィラメントを構成するガラス材料において、SiOは、ガラスの網目構造を形成する必須成分である。SiOは誘電率を低くする作用を有し、SiOの含有率が40%以上とすることにより低誘電率のガラスヤーンとすることができる。一方、当該含有率を60%以下とすることにより、溶融ガラスの粘性を適度なものとすることができ、ガラスフィラメントを紡糸する際に均質なガラス組成物としやすくなる。これらの観点から、SiOの含有率は、45~55質量%が好ましく、45~53質量%がより好ましく、45~49質量%がさらに好ましい。
(B
は、ガラスの網目構造を形成する必須成分である。Bは誘電率を下げる作用を有するとともに、溶融ガラスの粘性を下げ、脱泡性(泡抜け性)を向上させ、形成したガラスフィラメントにおける気泡の混入を抑制する作用を有する。Bの含有率が15%以上とすることにより、低誘電率のガラスヤーンとすることができ、また、ガラス溶融時の溶融ガラスの粘性を低くして、平均繊維径が3~6μmのガラスフィラメントを得ることが可能となる。一方、当該含有率を35質量%以下とすることにより、ガラスフィラメントを紡糸する際に均質なガラス組成物としやすくなる。これらの観点から、Bの含有率は、15~30質量%が好ましく、20~30質量%がより好ましく、25~30質量%がさらに好ましい。
(SiO/B
ガラスヤーンの誘電率を低くすることと、ガラスフィラメントにおける気泡の混入と、ガラスフィラメントにおけるガラス組成物の均質性と、をより並立させる観点から、SiOとBとの比(SiO/B)は、1.5~1.9が好ましく、1.7~1.8がより好ましい。
SiO及びB以外のガラス組成の量としては、5~40質量%が挙げられ、10~32質量%が好ましく挙げられ、16~30質量%がさらに好ましく挙げられる。
(Al
Alは、ガラスの網目構造を形成する成分である。Alは、ガラス組成物の化学的耐久性を高める作用を有する。一方で、Alは、紡糸時におけるガラス組成物の失透を起こりやすくする。Alの含有率は、5~18質量%が好ましく、8~18質量%がより好ましく、12~16質量%がさらに好ましい。
SiO、B及びAl以外のガラス組成の量としては、例えば0~32質量%が挙げられ、0~10質量%が好ましく、5~10質量%がより好ましい。
(MgO)
MgOは、溶融時におけるガラス組成物の粘性を下げてガラス繊維への泡の混入を抑制し、ガラス組成物としての均質性を向上させる任意成分である。MgOの含有率は0~10質量%、好ましくは1~8質量%、さらに好ましくは1~6質量%である。
(CaO)
CaOは、ガラス原料の溶解性を向上させ、溶融時におけるガラス組成物の粘性を下げる任意成分であるがガラス組成物の誘電率を増加させてしまう効果が大きい。よって、CaOの含有率は0~10質量%、好ましくは3~8質量%、特に4~7質量%がさらに好ましい。
(LiO)
LiOは、少量の添加であっても溶融時におけるガラス組成物の粘性を下げてガラス繊維への泡の混入を抑制する作用を有し、さらには失透を抑制する作用も有する任意成分である。LiOは、他のアルカリ金属酸化物よりもその作用は相対的に弱いものの、ガラス組成物の誘電率を上昇させる。LiOの含有率は、1.5%質量以下、1%質量以下、0.5質量%以下が好ましい。
(Fe
Feは、その熱線吸収作用によってガラス原料の溶解性を向上させると共に、溶融時におけるガラス組成物の均質性を向上させる任意成分である。Feによる均質性向上の効果により、形成するガラス繊維の繊維径が小さい場合においても、紡糸時におけるガラス繊維の糸切れの発生が抑制され、紡糸操業性が向上する。Feの含有率は、0.01~0.50質量%、特に好ましくは0.05~0.30質量%である。
また、ガラスフィラメントは、SiO及びB以外のガラス組成として、上記成分以外のガラス組成を含有していてもよい。例えば、ガラス組成物が含みうる上記以外の成分としては、NaO、P、KO、SrO、BaO、PbO、TiO、ZrO、La、Y、MoO、WO、Nb、Cr、SnO、CeO、As、Sb、SOを例示できる。ガラス組成物が含みうる別の成分は、例えばPt、Rh、Os、Ir等の貴金属元素であり、また例えばF、Cl等のハロゲン元素である。
(ガラスヤーン)
本発明のガラスヤーンは、前述したガラス材料から構成されるガラスフィラメントが集束されてなる。
本発明のガラスヤーンは、ガラスフィラメントの本数が30~120本である。このような範囲とすることにより、薄型化したガラスクロスとしつつ、毛羽の発生を抑制しやすくなる。より薄型化したガラスクロスを得やすくするという観点から30~60本が好ましい。
本発明のガラスヤーンは、ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmである。このような範囲とすることにより、薄型化したガラスクロスとしつつ、毛羽の発生を抑制しやすくなる。なお、上記平均繊維径は、ガラスヤーンをその断面が観察可能なようにエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製商品名3091)に包埋して硬化させ、観察可能となるように研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM-6390A)を用い、倍率1000倍で観察し、ガラスヤーンを構成する全ガラスフィラメントの直径(最も大きい部分)を測定して平均値を算出し、当該平均値をガラスフィラメントの平均繊維径とする。
本発明のガラスヤーンは、番手が0.3~6texである。このような範囲とすることにより、薄型化したガラスクロスとしつつ、毛羽の発生を抑制しやすくなる。なお、ガラスヤーンの番手は、JIS R 3420 2013の「ガラス繊維一般試験方法」の「7.1 番手」に規定されている方法に準じて、測定する。
本発明のガラスヤーンは、ウースター斑が0.5~2.0%である。前述のように、本発明者等の検討によれば、毛羽の発生は、ガラスヤーンの長さ方向の質量変動と大きく関係していることが判明した。具体的に、長さ方向の質量変動が大きいガラスヤーンは、ガラスフィラメントの長さ方向においてフィラメント直径が細い部分と太い部分とが存在していることが判明した。そして、ガラスクロス製造時における整経工程での部材との摩擦やエアージェット織機を用いた製織によって、当該フィラメント直径が細い部分が破断しやすく、また、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含むガラス材料から構成されるガラスフィラメントはEガラスからなるガラスフィラメント等と比較して機械的強度に劣ることも相俟って、毛羽が発生しやすくなることを知得した。
そして、本発明者等が鋭意検討したところ、間接法によるガラスフィラメント紡糸時において、後述する、ブッシングの固形ガラス原料存在領域の温度(Tin)とガラスフィラメントが紡出されるノズルプレート付近の温度(Tout)との差((Tout)-(Tin))を特定の温度範囲となるように制御して紡糸することにより、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量含む低誘電率のガラス材料から構成される、平均繊維径が3~6μm程度の細繊維径のガラスヤーンとしたときの長手方向質量変動の指標であるウースター斑を特定範囲とすることができ、当該ウースター斑を特定範囲としたガラスヤーンは、ガラスクロスとするときの毛羽の発生を抑制することができることを突きとめたのである。
本発明のガラスヤーンのウースター斑は、紡糸操業性を向上させることと、毛羽の発生をより抑制することとをより両立させるという観点から、0.5~1.4%が好ましく、0.8~1.2%がより好ましい。
本発明において、ガラスヤーンのウースター斑は、ツェルベガーウースター社製ウースターテスター型番4-CX-R1.7を用い、下記の測定条件にて測定されるウースター斑(U%)である。
(測定条件)
測定モード:ノーマル
給糸速度:200m/分
測定糸長:500m
ツイスター:Z撚 12000ターン/分
ディスクテンション強さ:10%
本発明のガラスヤーンは、当該ガラスヤーンを構成する複数のガラスフィラメントのホローファイバーが、複数のガラスフィラメント10000か所あたり1個以下が好ましく、0個がより好ましい。上記ホローファイバーの個数は、1か所につきガラスフィラメント長さ1cmを測定するものとし、これを任意の10000か所について測定する。例えば、フィラメント本数が50本であるガラスヤーンのホローファイバーの個数を測定する場合は、ガラスヤーンから、任意に200か所、1cmが測定可能なように測定サンプルをカットして切り出し、当該200か所の、ガラスフィラメントの1cm間のホローファイバーの個数を観察することで、50×200=10000か所の1cmあたりのホローファイバーの個数を観察することができる。なお、ホローファイバーの観察は、観察するガラスヤーンを1cm程度にカットしたものをガラスフィラメントの屈折率と近似する液体(例えばベンジルアルコール等)に浸し、ガラスヤーン中のガラスフィラメントを1本1本が観察可能となるように横並びとなるようにほぐし、上から光源LED等を照射し、光学顕微鏡を用いて倍率5~10倍で観察することにより可能である。すなわち、ホローファイバーが発生している部分(中空部)の屈折率と、ガラス及び上記液体との屈折率とが相違することを利用し観察することができる。
本発明のガラスヤーンは、撚り数が0.3~1.2回/25mmが好ましい。とりわけ、ガラスヤーンのガラスフィラメントの本数が30~60本と比較的少ないものとした場合において、毛羽の発生をより抑制するという観点から、撚り数は0.5~1.1回/25mmがより好ましく、0.7~1.1回/25mmがさらに好ましく、0.9~1.1回/25mmが特に好ましい。本発明において、撚り数は、JIS R 3420:2013 7.5に準じて測定するものである。
<ガラスクロス>
本発明のガラスクロスは、本発明のガラスヤーンを経糸及び/又は緯糸として製織されてなることが好ましく、本発明のガラスヤーンを経糸及び緯糸として製織されたものであることがより好ましい。
本発明のガラスクロスの厚さとしては、特に制限されないが、例えば、8~30μmが挙げられる。また、本発明のガラスクロスの質量としては、特に制限されないが、例えば、6~30g/mが挙げられる。
本発明のガラスクロスのホローファイバーは、ガラスクロスを構成するガラスフィラメント10000か所あたり1個以下が好ましく、0個がより好ましい。上記ホローファイバーの個数は、ガラスクロスから10cm×10cmの正方形のサンプルを切り出し、1か所につきガラスフィラメント長さ1cmを測定するものとし、これを上記サンプル中、任意の10000か所について測定する。
<ガラスヤーンの製造方法>
本発明のガラスヤーンの製造方法は、投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、前記溶融部の下部に設けられるノズルプレートと、前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、を備えるブッシングを用いて、ガラスフィラメントを製造する工程を含み、前記溶融部が、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域とを含み、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域の温度Tinと前記ノズルプレート付近の温度Toutの差(Tout-Tin)を10~200℃としてガラスフィラメントを製造することを主な特徴とする。以下、本発明のガラスヤーンの製造方法について詳述する。まず、本発明のガラスヤーンとするガラスストランド(ガラスフィラメント束)を製造するガラスフィラメント束製造装置の概略について説明し、その後に、本発明のガラスヤーンの製造方法の主な特徴部分について説明する。
(I)ガラスフィラメント製造装置の一例の概略
図1は、本発明のガラスヤーンとするガラスストランド(ガラスフィラメント束)を製造するガラスフィラメント束製造装置の一例を示す模式的側面図であり、図2は図1のガラスフィラメント束製造装置の上面図である。
図1に示すように、ガラスフィラメント束製造装置300は、ガラス原料を溶融するブッシング100と、溶融ガラスを紡糸してガラスフィラメントを製造する紡糸装置200とを備えている。なお、図1では、ブッシング100内を視認可能なように、側壁の一部を省略している。
また、図1において、ブッシング100はガラスフィラメント束製造装置300内の上部に配置されており、投入されたガラス原料を溶融する。紡糸装置200は、ブッシング100内の下部に配置されており、ブッシング100で溶融され、後述のノズルプレート30のノズル40から溶融ガラスを吐出させてガラスフィラメントを紡糸する。また、本実施形態では、紡糸装置200は、複数本のガラスフィラメントを1つの束として引き揃えてガラスフィラメント束を製造する。
以下に、ブッシング100及び紡糸装置200の各部の構成について説明する。以下では、図1に示す方向、つまり上、下、前、後、右、左にしたがって説明を行う。これらの方向にしたがって、説明を行うが、但し、この向きによって、本発明が限定されるものではない。
(1)ブッシング100
図1に示すように、ブッシング100は、投入されたガラス原料を溶融する領域である溶融部20と、溶融された溶融ガラスを吐出する複数のノズル40が形成されたノズルプレート30とを備えている。
(a)溶融部20
溶融部20は、第1領域21、第2領域23を備える。投入口10は、第1領域21に含まれ、上下方向に貫通する筒体により形成されており、第1領域21の上端部に設けられている。また、投入口10は、上面視において例えば第2領域23よりも小さく形成されており、これによって、投入口10による溶融部20の開口を小さくすることができ、溶融部20内の温度の過度な低下を抑制できる。第1領域21、第2領域23は、投入口10から投入されたガラス原料を溶融する筐体を備えている。この筐体は、図2に示すように、左右方向に対向する1組の側壁101a、101bと、前後方向に対向する101c、101dと、上部壁102とが組み合わされ、下部にノズルプレート30が配置されることで、内部空間を有する概ね直方体状に形成されている。そして、この溶融部20は、後述する耐火材料で形成されている。また、図1に示すように溶融部20の内部空間には、上から下方に並ぶ、後述の仕切り部材50が配置されており、内部空間は、仕切り部材50により、上から順に、第1領域21、第2領域23に仕切られている。そして、第1領域は、上下方向において、ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域(固形ガラス原料存在領域)27と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29とを含む。また、この溶融部20には、ガラス原料を溶融するための加熱手段70が設けられている。なお、図1では、溶融ガラスをGL、少なくとも一部が固形のまま存在するガラス原料をGSとして示している。以下、溶融部20を構成する部材について、詳細に説明する。
図1、図2に示すように、溶融部20の右側及び左側の側壁101a、101bそれぞれには、加熱手段70a、70bが設けられている。加熱手段70a、70bそれぞれは電極の端子を含み、図示しない電源から電圧が印加される。これにより、ブッシング100には、加熱手段70a、70b間の方向、つまり左右方向に沿った電流が流れ、溶融部20が加熱される。加熱手段70は、溶融部20に電圧を印加して溶融部20内の溶融ガラスの溶融温度を調整し、例えば溶融ガラスの粘度が400ポイズ以下となるように加熱する。また、加熱手段70は、筐体の内部に加え、ノズルプレート30を加熱することで、ノズル40のノズル温度を調整し、ノズル40から吐出されるガラスフィラメントの紡糸速度及びガラスフィラメントの直径等を調整するように構成されている。
また、加熱手段70は、ノズル40のノズル温度と、溶融部20の溶融温度とをそれぞれ個別に制御可能である。これにより、ノズル40からの溶融ガラスの吐出状態を多様に制御可能である。ただし、溶融部20で溶融された溶融ガラスは、最終的にノズル40から吐出されてガラスフィラメントに製造されるため、吐出時のノズル温度を調整することが重要である。よって、加熱手段70を用いて、ノズル温度を基準に溶融温度を調整し、ノズル40から溶融ガラスを吐出して所望のガラスフィラメントを製造するのが好ましい。
(b)仕切り部材50
図1に示すように、仕切り部材50は、第1領域21と第2領域23との間に配置されている。図3に示すように、仕切り部材50は、直方体状の溶融部20の形状に対応して、長方形状の板状に形成されている。仕切り部材50は、板状面が左右方向に沿うように、例えば溶接等により溶融部20の側壁101a~101dに取り付けられている。この仕切り部材50は、図1、図3に示すように、側面視において、ノズルプレート30と平行にとなるように設置されていてもよいが、場合によっては上下方向に対してV字、W時、U字、逆V字、逆W字形状等になるよう設置していてもよい。また、仕切り部材は1枚以上設置してもよく、好ましくは1~2枚設置してもよい。3枚以上設置すると溶融炉内の圧力損失が大きくなりすぎることから3枚未満の設置が好ましい。また、同じ開口形状の仕切り板を複数枚設置してもよく、異なる開口形状の仕切り板を複数枚設置してもよい。
そして、仕切り部材50には、その平面を上下方向に貫通する複数の長方形状、もしくは円形状、楕円形状、多角形状、任意形状を組み合わせた形状の開口51が形成されている。開口51は互い違いに位置するように形成されていてもよいが、格子状に位置するよう形成してもよい。
(c)ノズルプレート30
図1に示すように、溶融部20の第2領域23の底部には、ノズルプレート30が設けられている。図4、図5に示すように、ノズルプレート30は、直方体状の溶融部20の形状に対応して、長方形状の板状に形成され所定の厚みを有する板状部31と、板状部31から下方に突出する複数のノズル40とを有している。板状部31は、板状面が左右方向に沿うように、例えば溶接等により溶融部20の側壁101a~101dに取り付けられており、溶融部20の底壁を構成している。
ノズル40は、図5に示すように、板状部31の下面から下方に突出するように形成された円筒状の突出部42を有している。そして、ノズル40は、板状部31の上面から突出部42の下端に亘って貫通する円柱状の貫通孔41を内部に有し、第2領域23の溶融ガラスは板状部31によって受け止められ、ノズル40の貫通孔41から吐出される。
このようなノズルプレート30に形成されるノズル40の個数は、例えばノズルプレート30が約50mm×約500mm程度である場合には約30~500個である。
なお、本実施形態では、ノズル40から溶融ガラスが吐出される、あるいは、ノズル40からガラスフィラメントが吐出されると表現しており、これらの表現はいずれも同じ意味を有する。ノズル40からは、冷却されつつある溶融ガラス及び冷却されたガラスフィラメントの少なくともいずれかが吐出される。つまり、ノズル40からは、ノズル40から冷却されつつある溶融ガラスが吐出される状態と、冷却されたガラスフィラメントが吐出される状態と、溶融ガラスとガラスフィラメントとが混合した状態とのいずれかの状態で吐出される。
ノズル40の内径d1については、0.8mm~1.2mm程度とすることが挙げられる。また、ノズル40の厚みについては、(ノズル外径d2/ノズル内径d1)を約1.85以上約2.20以下とすることが挙げられ、場合によっては約2.20以上約2.50以下とすることもできる。
(2)紡糸装置200
次にノズル40から溶融ガラスを吐出させてガラスフィラメントを紡糸する紡糸装置200について説明する。紡糸装置200は、ノズル40から吐出したガラスフィラメントに集束剤を塗布する集束剤トレイ201と、ガラスフィラメントを所定数のガラスフィラメント束に束ねる集束機構202と、ガラスフィラメント束を綾振りする綾振り機構206と、ガラスフィラメント束を巻き取る巻取りローラ211とを備えている。
集束剤トレイ201には、集束剤トレイ201に供給される集束剤と、該集束剤をピックアップし、該ピックアップされた集束剤にガラスフィラメントが接触することでガラスフィラメントに集束剤を付与するアプリケーター(図示しない。)が備えられる。なお、集束トレイ201等に代えて、スプレー噴射等により、ガラスフィラメントに集束剤を付与することもできる。
集束機構202は、モータ等によって回転駆動される水平な集束軸203と、集束軸203に固定された複数の集束ローラ205とを有する。本実施形態では、例えば、2つの集束ローラ205が集束軸203に固定されている。よって、ノズル40の貫通孔41から吐出された複数のガラスフィラメントは、集束軸203の回転とともに、2つの集束ローラ205それぞれによって2つの繊維束に分けられる。なお、集束ローラ205で2つの繊維束となる前に、各ガラスフィラメントは、集束剤が入った集束剤トレイ201に導入され、集束剤が塗布される。
綾振り機構206は、モータ等によって回転駆動される水平な綾振り軸207と、3つの集束ローラ205それぞれに対応した綾振り部材209とを有する。3つの集束ローラ205で集束された各繊維束は、綾振り軸207の回転駆動により綾振り部材209により綾振りされ、巻取りローラ211に均等に巻き取られる。巻取りローラ211は、所定の回転軸を中心として回転しており、回転速さ及び回転駆動力等が調整される。これにより、ノズル40から吐出する溶融ガラスの紡糸張力(引張張力)及び紡糸速度が調整されて繊維束が巻き取られる。紡糸速度としては、1300m/min~4000m/minが挙げられる。そして、得られたガラスフィラメント束を用いて、リング撚糸機等により撚糸し、ガラスヤーンとする。
(3)ガラスフィラメントの製造方法の概略
次に、ブッシング100にガラス原料が投入されてから、ノズル40からガラスフィラメントが吐出され、紡糸装置200で巻き取られるまでの流れについて説明する。まず、ブッシング100の溶融部20の第1領域21には、投入口10から次々とガラス原料が投入され、ガラス原料が溶融される。そのため、第1領域21は、上下方向において、ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域(固形ガラス原料存在領域)27と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29とを含む。溶融部20には、加熱手段70(70a、70b)により電圧が印加されており、溶融部20の第1領域21の、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29は、ガラス材料の軟化点以上の温度、好ましくはノズル温度以上の温度、より好ましくはノズル温度以上の温度であって、かつ、ガラス材料の粘性を400ポイズ以下とする温度、さらに好ましくはノズル温度以上の温度であって、溶融ガラスの粘性を100ポイズ以下とする温度が挙げられ、例えば、1500℃以上1700℃以下、好ましくは1500℃以上1650℃以下、より好ましくは1550℃以上1630℃以下に加熱されている。なお、本発明において、溶融温度とは、ブッシング100内における溶融ガラスが最も高くなる温度である。
第1領域21で溶融された溶融ガラスは、第1領域21の下部の、図3に示す仕切り部材50と接触し、開口51に向かって流れる過程で混ざり合いながら、所定間隔に配置された複数の開口51から第2領域23に流れ出る。これにより、概ね均質な溶融ガラスが、概ね均一に第2領域23に流れ出て、第2領域23を満たしている。
次に、溶融ガラスは、第2領域23の下部のノズルプレート30に供給される。ノズルプレート30の温度は、加熱手段70により調整され、ガラス材料等によって異なるが、例えば、1300℃以上1470℃以下が挙げられる。
また、前述の通り、溶融ガラスは、仕切り部材50において溶融ガラス内の固形成分が十分に少なくなってノズルプレート30に供給される。よって、固形成分の少ない溶融ガラスをノズル40から吐出でき、ガラス製品の引張強度の低下等を抑制できる。
(4)耐火材料
ガラス原料を溶融するため、少なくともブッシング100のうち溶融部20は、耐火材料で形成されている。耐火材料としては、例えば、白金元素単体からなる金属;ロジウム元素単体からなる金属;パラジウム元素単体からなる金属;金元素単体からなる金属;白金元素を含む金属化合物;ロジウム元素を含む金属化合物;パラジウム元素を含む金属化合物;金元素を含む金属化合物;白金元素、ロジウム元素、パラジウム元素及び金元素からなる群より選ばれる2種以上からなる合金;並びに耐火煉瓦からなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、その他、モリブデン、黒鉛、酸化スズ、セラミック、アルミナ、酸化クロム、マグネシア、ジルコン、ジルコニア、酸化
イットリウムからなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、上記に記載した材料の組み合わせも含まれ、例えば、複数の材料による合金を耐火材料として用いてもよい。また、複数の耐火材料を各層として組み合わせてもよく、例えば、耐火煉瓦を外壁とする炉において、その内壁に白金又は白金-ロジウム合金等の板材や被膜が形成されてもよい。
また、耐火材料により形成されるのは溶融部20に限らない。例えば、ノズルプレート30、仕切り部材50の少なくともいずれかが耐火材料により形成されてもよい。
(5)ガラス原料
ブッシング100に投入されるガラス原料には、固形ガラス等が含まれる。また、固形ガラスは、粉末等のガラス原料を溶融して、例えば棒状、球状(マーブル)、フレーク状、鱗片状等の所定の形状に成形したガラスである。
上記ガラス原料を構成するガラス組成物としては、ガラスフィラメントを構成するガラス材料と同様のガラス組成物とすることができる。
(II)本発明のガラスヤーンの製造方法の主な特徴部分
本発明のガラスヤーンの製造方法では、間接法によるガラスフィラメント紡糸時において、ブッシング100の固形ガラス原料存在領域27の温度(Tin)とガラスフィラメントが紡出されるノズルプレート30付近の温度(Tout)との差((Tout)-(Tin))を特定の温度範囲となるように制御して紡糸することが重要である。
すなわち、Tout-Tinを10~200℃、好ましくは50~150℃、さらに好ましくは60~120℃、特に好ましくは60~90℃とすることで、ガラス液面の安定性を保持した状態でガラスフィラメントの紡糸が行え、結果的に吐出量のバラツキが低減されウースター斑の良好なガラスフィラメントを紡糸することができる。ここで、Tinは図6における熱電対81、Toutは図1における熱電対82で測定することができる。なお、図6において、熱電対81は、投入口10を構成する側壁に溶接等接合されており、熱電対82は、上下方向において、ノズルプレート30の板状部31から上方2~10mmの高さにおける側壁101dに溶接等接合されている。
図6を用いてより具体的に説明すると、Tout-Tinが10℃未満の場合、投入口10の内部付近にある固形ガラス原料存在領域27での溶融ガラスの気泡発生が多くなりやすくなる。固形ガラス原料存在領域27において溶融ガラス2中に気泡が多くなると、溶融ガラス2の液面レベルが安定せず、また、気泡を多く含むことによる溶融ガラスのヘッド圧の低下を招き、結果的に溶融ガラス吐出量のバラツキが生じやすくなる。一方、Tout-Tinが200℃を超えると、第1領域21の、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29の温度(溶融温度、T)とToutとの差と、第1領域21の、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29の温度(溶融温度)とTinとの差と、を比較したとき、第1領域21の、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29の温度(溶融温度)とTinとの差の方が大きくなりすぎる。この場合、溶融ガラスの、第1領域21から投入口10に向かって循環する対流が大きくなりすぎ、やはり溶融ガラスの液面レベルが安定せず、吐出量のバラツキが生じやすくなる。
投入口10には、液面レベルを検出して逐次ガラス原料が投入され、ガラス原料がブッシング100内に投入される度に、投入口10内部の溶融ガラスが冷やされる。従来技術では、溶融温度とノズルプレート付近の温度は制御されていたものの、投入口10内部付近の、ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域(固形ガラス原料存在領域)27の温度の制御については着目されていなかった。本発明では、固形ガラス原料存在領域)27の温度に着目し、これをノズルプレート30付近の温度を基準に特定範囲となるように制御することによって、溶融ガラスの液面レベルの安定化を図り、吐出量のバラツキが低減されウースター斑の良好なガラスフィラメントを紡糸することを見出したのである。
outの調整方法としては、加熱手段70により調整し、Toutを基準にTinを調整することが挙げられる。Tinの調整方法としては、多孔質セラミック等の保温材を準備し、その種類、厚さを適宜選択し、投入口10の周辺、又は上部壁102上に配置することにより調整することが挙げられるほか、投入口10の上部にヒーターを追加して温度調節を行う方法や任意の金属または合金製の通水管を設置して温度調節を行う方法や任意のガス成分を供給して温度調節を行う方法も挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<ガラスヤーンの製造>
各実施例、比較例において、図1~6に記載のガラスフィラメント製造装置を用い、間接法によりガラスストランドを得た。なお、各実施例、比較例において、上部壁102の上に保温材として多孔質セラミックの板を設置し、当該多孔質セラミックの板の厚さを表1のようにして、Tout-Tinを制御した。また、各実施例、比較例において、ガラスフィラメントを構成するガラス材料の組成は、表1に記載のとおりであった。また、図6に示すように、ブッシング100の固形ガラス原料存在領域)27の温度Tinは熱電対81により測定し、ガラスフィラメントが紡出されるノズルプレート付近の温度Toutは熱電対82により測定し、第1領域21のガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29の温度(溶融温度、T)は熱電対83により測定し、制御した。各実施例、比較例におけるTout-Tin、T-Tin、T-Toutについて、表1に示す。
各実施例、比較例で得られたガラスストランドを用いて、撚糸をおこなった。撚糸としては、リング撚糸機を用い、表1に記載の撚り数となるように撚糸し、ガラスヤーンを得た。
<評価方法>
1.ガラスフィラメントの平均繊維径
得られたガラスヤーンをその断面が観察可能なようにエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製商品名3091)に包埋して硬化させ、観察可能となるように研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM-6390A)を用い、倍率1000倍で観察し、ガラスヤーンを構成する全ガラスフィラメントの直径(最も大きい部分)を測定して平均値を算出し、当該平均値をガラスフィラメントの平均繊維径とした。結果を表1に示す。
2.ガラスヤーンの番手
JIS R 3420 2013の「ガラス繊維一般試験方法」の「7.1 番手」に規定されている方法に準じて、測定した。結果を表1に示す。
3.ガラスヤーンのウースター斑
ツェルベガーウースター社製ウースターテスター型番4-CX-R1.7を用い、下記の測定条件にて測定した。結果を表1に示す。
(測定条件)
測定モード:ノーマル
給糸速度:200m/分
測定糸長:500m
ツイスター:Z撚 12000ターン/分
ディスクテンション強さ:10%
4.ガラスヤーンの撚り数
JIS R 3420:2013 7.5に準じて測定した。結果を表1に示す。
5.ガラスヤーンを構成する複数のガラスフィラメントのホローファイバーの個数
ホローファイバーの個数について、実施例1~3、5及び比較例1~4については、ガラスヤーンの長手方向に、長さ1cmずつ任意に100か所切り出し、測定サンプルを採取した。また、実施例4については、ガラスヤーンの長手方向に、長さ1cmずつ任意に200か所切り出し、測定サンプルを採取した。次いで、切り出した長さ1cmの各サンプルを、それぞれベンジルアルコールに浸し、ガラスヤーン中のガラスフィラメントを1本1本が観察可能となるように横並びとなるようにほぐし、上から光源LEDを照射し、光学顕微鏡を用いて倍率10倍で観察し、ホローファイバーの個数(個/10000か所)をカウントした。結果を表1に示す。
6.ガラスヤーンの毛羽
各ガラスヤーンパッケージを軸方向が水平方向に向くようにセットし、円筒状ボビンの
先端部(図1でいうつかみ部21の先端部)から250mmの位置にスネイルガイドをセ
ットし、スネイルガイドの先に取り付けたセラミック製パイプガイドと摩擦させ、さらにスネイルガイドの先に長さ1.5mm以上の毛羽数をカウントするセンサーをセットし、ガラスヤーンをつかみ部21の先端部の方向へ糸速300m/minで20km解舒して、毛羽数を測定した。1km当たりの毛羽数が4.0個以下を合格とした。
Figure 2022099277000002
実施例1~7のガラスヤーンは、複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%であることから、ガラスクロスとするときの毛羽の発生を抑制することができるものであった。
一方、比較例1~3は、ガラスヤーンのウースター斑が2.0%を超えるものであったことから、複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであるガラスヤーンにおいて、ガラスクロスとするときの毛羽の発生を抑制することができなかった。
81、82、83:熱電対
70:加熱手段
100:ブッシング
200:紡糸装置
300:ガラスフィラメント束製造装置

Claims (4)

  1. 複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、
    前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiOを40~60質量%、Bを15~35質量%含み、
    前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、
    前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、
    前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、
    前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%である、ガラスヤーン。
  2. 前記ガラスヤーンの撚り数が0.3~1.2回/25mmである、請求項1に記載のガラスヤーン。
  3. 請求項1又は2に記載のガラスヤーンを経糸及び/又は緯糸として製織されてなるガラスクロス。
  4. 投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、
    前記溶融部の下部に設けられるノズルプレートと、
    前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、を備えるブッシングを用いて、
    ガラスフィラメントを製造する工程を含む、請求項1又は2に記載のガラスヤーンの製造方法であって、
    前記溶融部が、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域とを含み、
    前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域の温度Tinと前記ノズルプレート付近の温度Toutの差(Tout-Tin)を10~200℃としてガラスフィラメントを製造する、請求項1又は2に記載のガラスヤーンの製造方法。
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