JP2022097963A - 観測装置 - Google Patents

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    • G01W1/00Meteorology
    • G01W1/08Adaptations of balloons, missiles, or aircraft for meteorological purposes; Radiosondes

Abstract

【課題】所望の観測地点において高高度での観測が可能であり且つ確実な回収が可能な観測装置を提供する。【解決手段】気球500に吊下げられて所定の切り離し高度まで上昇した後に気球500から切り離されて降下する観測装置1であって、パラフォイル200と、パラフォイル200の制御索203を操作する制御アーム101,102及びアーム駆動モータ141,142と、気球500から切り離された後に回収地点まで移動するようアーム駆動モータ141,142を制御する制御装置170を備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、気球に吊下げられて所定の切り離し高度まで上昇した後に気球から切り離されて降下する観測装置に関する。
この種の観測装置としては、気温・湿度・気圧などの各種高層気象データを気球上昇中に測定し、この測定データを地上局に無線で送信するラジオゾンデと呼ばれるものが知られている(例えば特許文献1参照)。このラジオゾンデは、高高度まで上昇後、気球内外の気圧差により気球が膨張・破裂して地上への降下を開始する。ラジオゾンデはマッシュルーム型のパラシュートを備えており、緩やかに落下する。この落下地点については気象条件により高精度の予測が困難なので、落下したラジオゾンデが行方不明となり回収が困難なことが多々ある。また、測定データは気球上昇中に無線で既に地上局に送信されているので、ラジオゾンデをわざわざ回収する必然性も大きくない。このため、従来のラジオゾンデは使い捨て運用されることが多かった。
近年、気象データよりもデータ量が大きい画像(静止画・動画を含む)を取得対象とし、所定のエリアを高高度から撮像する観測装置も登場してきている。この観測装置は、撮像カメラと、撮像データを記録保存するメモリと、マッシュルーム型のパラシュートを備えている。この観測装置はラジオゾンデと同様に高高度で気球が破裂したのちにパラシュートが空気抵抗により自然展開し、低速で地上又は海上まで降下する。そして、着地又は着水した観測装置を回収し、記録されている撮像データを取得する。
特開2020-143916号公報 特開2019-145947号公報
しかし、前述の回収を前提とした観測装置では、ラジオゾンデと同様に、落下地点が気象条件に大きく影響されるので高精度の落下地点の予測が困難であった。このため、落下時の安全性を考慮して所定の海上に落下するように放球地点や放球時刻等を設定しても、実際には地上に落下してしまうこともある。このように、回収を前提とした観測装置は、落下地点の制御が困難であった。
高高度での他の観測手段としては、航空機に観測装置を搭載する方法が考えられる。しかし、この方法はコストが高いという問題、および所望の高度まで到達できない場合があるという問題がある。また、他の観測手段としては、近年普及してきているドローンと呼ばれる小型無人飛行機に観測装置を搭載する方法が考えられる(例えば特許文献2参照)。ドローンは動力が搭載されており機体を自由に制御できるので、この方法は確実な機体の回収ができるという利点がある。しかし、飛行エリアが法令により制限され所望の観測エリアでの運用ができない場合があるという問題や、上昇能力がドローンの動力に依存するので所望の高度まで到達できない場合があるという問題や、動力によるノイズや振動により高精度の観測に適さない場合があるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所望の観測地点において高高度での観測が可能であり且つ確実な回収が可能な観測装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明は、気球に吊下げられて所定の切り離し高度まで上昇した後に気球から切り離されて降下する観測装置であって、パラフォイルと、パラフォイルの制御索を操作する駆動装置と、気球から切り離された後に回収地点まで移動するよう駆動装置を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、観測装置は気球により高高度まで上昇した後に切り離された後、パラフォイルの駆動制御により滑空移動が可能となるので所望の観測地点において高高度での観測が可能となるとともに、所望の回収地点に着地又は着水することができる。
観測装置の外観斜視図 観測装置を気球に連結した状態を示す外観斜視図 観測装置の正面図 観測装置の一部を切り欠いた分解正面図 観測装置のシステム構成図 観測装置の動作シーケンスを模式的に説明する図 観測装置の動作シーケンスを模式的に説明する図 観測装置の動作を説明するフローチャート 気流ベクトルの算出方法を説明する図 目標点方位角の演算方法を説明する図 機首方位角と目標点方位角及び偏角の関係を説明する図 日本上空の一般的な高度別気流のイメージを説明する図 上空を滑空する観測器の地上における移動ベクトルを説明する図 現在地点から降着地点までの対地速度変化と移動距離の関係を説明する図 移動可能範囲の予測と帰還高度閾値判定を説明する図
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る観測装置について図面を参照して説明する。本実施の形態では、上空から地上又は海上を撮像した画像データを観測データとして取得対象とする観測装置について説明する。図1は観測装置の外観斜視図、図2は観測装置を気球に連結した状態を示す外観斜視図、図3は観測装置の正面図、図4は観測装置の一部を切り欠いた分解正面図である。なお、本明細書では、観測装置の滑空方向を前後方向とする。
観測装置1は、図1に示すように、観測装置本体100と、パラフォイル200と、観測装置本体100とパラフォイル200とを連結する棒状部材からなる連結ロッド300とを備えている。観測装置1は、ロープ400により気球500から吊り下げられて所定の切り離し高度まで上昇した後に気球500から切り離されて降下する。ここで、本発明に係る観測装置1は、例えばモータ駆動のプロペラやジェットエンジンなど推進力を発生させる能動的な機構は有していない点に留意されたい。
パラフォイル200は、従来周知のものであり、構造的には、進行方向前面部に空気の取り入れ口(エアインテーク)が形成された翼201を備え、全体として翼形状を形成するラムエアー型のパラシュートに相当する。本発明におけるパラフォイル200は、地上に置かれている状態や、気球500に吊り下げられた状態で周辺気流の影響を受けながら上昇する期間中や、気圧が低い高高度環境であっても、常に翼201が展開状態で維持されるよう翼201の下面又は内面に、翼幅方向に延びる梁部材210が設けられている。梁部材210は、弾力性を有する棒状又は長板状の部材からなり翼201の下面又は内面に沿って湾曲した状態で付設されている。
翼201の下面には前記連結ロッド300が垂直方向に設けられている。連結ロッド300の下端は、観測装置本体100の上面に回動自在に連結している。また、パラフォイル200の複数の吊索202は観測装置本体100の上面に締結されている。このような構造により、観測装置本体100は、空中にあるときは連結ロッド300により所定の距離を維持しながら吊索202によりパラフォイル200から吊りさげられる。一方、観測装置1が着地又は着水した状態では、観測装置本体100は地表や水面から正立した状態となり、パラフォイル200は自重により連結ロッド300とともに観測装置本体100の上面から略90°回動して倒れた状態となる。
翼201の後縁には複数の制御索203が設けられている。制御索203は、観測装置本体100の左右上部に設けられた制御アーム101,102(後述する)に締結されている。観測装置1は、前記制御アーム101,102を駆動制御して制御索203を引き下げることにより翼201の空気抵抗を増大させ、これにより進行方向や滑空速度を変更したり失速状態に制御したりすることができる。
翼201の翼幅方向中央には、前後方向に延びる棒状部材からなる架設部材220が設けられている。架設部材220の両端は翼201の前端及び後端から突出している。架設部材220の両端には、気球500と観測装置本体100とを連結するためのロープ400が架設されている。ここで、ロープ400と架設部材220とは固定されていない点に留意されたい。すなわち、ロープ400の下部は2本に分岐されており、各分岐ロープ401,402の先端は観測装置本体100と連結している。架設部材220の長さは、分岐ロープ401,402の観測装置本体100への連結位置間の間隔よりも大きい。架設部材220の両端は、分岐ロープ401,402の間に挟持される。なお、架設部材220の両端に、分岐ロープ401,402の配置を保持するためのガイドを設けてもよい。
翼201の上部には、分岐ロープ401,402により挟持される形で風見安定板403が設けられている。風見安定板403は観測装置1の回転中心軸となるロープ400の仮想延長線より進行方向後ろ側に伸長している平板状部材である。風見安定板403は気球500によって観測装置1が吊り下げられ上昇する間、観測装置1を周辺気流に対して正対させる空力作用を発生させ、上昇姿勢及び気球500を分離する際、観測装置1の姿勢を安定させることができる。
図2に示すように、観測装置本体100と気球500とを連結するロープ400の中間部には、通信中継装置411と、通信中継装置411の上方に配置されたマッシュルーム型のパラシュート412とが設けられている。通信中継装置411は、観測装置1が地上局との間で直接通信できないときに、観測装置1と地上局との間の通信を中継する。パラシュート412は、観測装置1と気球500との連結が解除されて気球500が更に高高度に達して破裂した後、落下時の空気抵抗により展開することにより、気球500及びロープ400の残骸や通信中継装置411を緩やかに落下させるとともに、気球500及びロープ400の残骸がパラフォイル200に覆いかぶさることを防止するためのものである。なお、実運用においては、気球500、ロープ400及び通信中継装置411は基本的には使い捨てされることが想定される。
気球500は、従来周知の気象観測で用いられるものと同様であり、内部にヘリウム、水素等の空気より質量の軽い気体が充填される。気球500には前記ロープ400が連結している。
観測装置本体100は、図3及び図4に示すように、左右方向中心線に位置する板状のメインフレーム111と、前記メインフレーム111を左右から挟み込むように配置された左右一対の断熱体112a,112bとからなる筐体113を備えている。筐体113の外観形状は略樽型形状であり、その下部は略半球形状であって且つ底部が平面に形成されており、さらに前記下部より上側は上方にいくほど径が小さく形成されている。換言すれば、筐体113は、上部及び下部が平面に形成されたティアドロップ形状となっている。筐体113の内部は空洞となっている。筐体113の底面中央には、下方撮影用の窓穴113aが形成されている。窓穴113aには、透明部材からなる下方撮影用窓113bが設けられている。また、筐体113の前面略中央には、前方撮影用の窓穴113cが形成されている。また、筐体113の上面には、上方撮影用の窓穴(図示省略)が形成されている。
メインフレーム111の外縁は、断熱体112a,112bの端面の外縁に沿った形状となっている。メインフレーム111には、筐体113の内周に沿った環状の第1のサブフレーム111a及び第2のサブフレーム111bが付設されている。第1のサブフレーム111aは筐体113内の高さ方向略中央において略水平に配置されている。第2のサブフレーム111bは筐体113内の下部において略水平に配置されている。
筐体113の上面中央には、メインフレーム111から上方に突出し前記連結ロッド300の下端に対して前後方向に回動自在に連結するロッド連結部(図示省略)が設けられている。また、筐体113の上面中央には、前記ロッド連結部から左右に延びるステー114が付設されている。ステー114の両端部には、前述した吊索202を締結する吊索連結部114aが形成されている。
筐体113の上面であって左右方向中央には、メインフレーム111から上方に突出し前記ロープ400の分岐ロープ401,402の下端と締結する前後一対のロープ連結部115が設けられている。ロープ連結部115の近傍には、電熱式のワイヤカッター121が設けられている。ワイヤカッター121は、後述する制御装置170からの制御信号に基づきワイヤカッター121を駆動して分岐ロープ401,402を溶断する。なお、ワイヤカッター121は、アクチュエータにより切断刃を駆動するものであってもよい。
観測装置本体100の上後部には、パラシュート(図示省略)及びパラシュートを射出するためのパラシュート射出モータ131を収納するパラシュート収納部130が形成されている。パラシュート収納部130は、前記メインフレーム111に付設されている。パラシュート収納部130に収納されたパラシュートはマッシュルーム型のパラシュートである。このパラシュートは、観測装置1の制御不能時などの緊急時に用いるものであり、後述する制御装置170からの制御信号に基づきパラシュート射出モータ131を駆動することにより、パラシュート収納部130から斜め後ろ上方に向かって射出される。
筐体113の左右には、パラフォイル200の制御索203を操作する左右一対の制御アーム101,102が付設されている。制御アーム101,102の一端側には前記制御索203が締結されている。制御アーム101,102の他端側には、筐体113内に配置されたアーム駆動モータ141,142の駆動軸がアームの長さ方向と直交する方向に連結している。制御アーム101,102の長さは、制御アーム101,102を回動させて上方に位置させた際に、先端部が筐体113よりも高くなる程度になっている。アーム駆動モータ141,142は、第1のサブフレーム111aに付設されている。アーム駆動モータ141,142は後述する制御装置170により制御され、制御アーム101,102を前方又は後方に回動させることにより制御索203を下方に引き下げる。
筐体113の内側であって下方撮影用窓113bと対向する位置には、観測手段である下方撮像用カメラ150が配置されている。下方撮像用カメラ150は、静止画及び動画の一方又は双方を撮像する周知の撮像手段である。また、下方撮像用カメラ150の撮像方向は鉛直下方である。下方撮像用カメラ150は、ジンバル151を介してメインフレーム111に固定されている。ジンバル151は、画像のブレや揺れを押さえるとともに下方撮像用カメラ150の撮像方向を安定させる安定化機構として機能する周知の装置である。ジンバル151は、観測装置1のロール軸、ピッチ軸に生ずる揺動の影響を打ち消す機能を有し、常に下方撮像用カメラ150の角速度・加速度をセンサー(図示省略)により計測し、観測装置本体100の揺動・回転に対してこれを打ち消す方向に各軸のモータ(図示省略)を回転させる。
また、筐体113の前面に形成された前方撮像用窓111cには、前方撮像用カメラ161のレンズ部が嵌合している。同様に、筐体113に上面に形成された上方撮影用窓(図示省略)には、上方撮像用カメラ162のレンズ部が嵌合している。前方撮像用カメラ161及び上方撮像用カメラ162は、主として、空中において前方や上方の確認用として用いる。
本実施の形態に係る観測装置本体100は、重心位置Gが、少なくとも観測装置本体100の全高(制御アーム101,102の突出部を除く)の半分より低い位置、より好ましくは、筐体113下部に形成された曲面の中心位置よりも低い位置となるように、各機器が配置されている。これにより、車輪・スキッド・フロート等の着陸装置を設けることなく地表面または水面に回収完了まで正立した姿勢を維持することができる。
また、観測装置本体100は、筐体113の左右外側面に付設された左右一対の灯火125を備えている。灯火125は、例えばストロボライトからなる。
次に、図5を参照して観測装置1のシステム構成について説明する。図5は観測装置のシステム構成図である。
観測装置1は、制御装置170を備えている。制御装置170は例えばワンチップマイコンやFPGA(Field Programmable Gate Array)などから構成される周知の計算装置からなり、演算装置・主記憶装置・入出力インタフェイス・時計等を備えている。
制御装置170には、は入力系統として、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機171と、慣性計測ユニット172と、温湿度センサ173と、対地レーザ高度センサ174と、超音波風速風向センサ175と、電源制御監視回路176と、バッテリーモジュール177とが接続されている。また、観測装置1は出力系統として、アーム駆動モータ141,142と、電力モニタ141a,142aと、パラシュート射出モータ131と、ワイヤカッター121と、灯火125と、前方撮像用カメラ161と、上方撮像用カメラ162と、下方撮像用カメラ150と、ジンバル151が接続されている。さらに、制御装置170には、無線送受信機181と、外部メモリ182とが接続されている。
なお、「入力系統」とは、制御装置170に対して信号等を入力することを主目的とするもの、という意味である。同様に、「出力系統」とは、制御装置170から出力される信号等に基づき動作することを主目的とするもの、という意味である。したがって、例えば、出力系統に相当する装置の動作に必要な情報として、当該装置から制御装置170に対してセンサ信号等が適宜入力される場合もある点に留意されたい。また、例えば、入力系統に相当する装置に対して、その動作を制御するために制御装置170から制御信号が出力される場合もある点に留意されたい。
GNSS受信機171は、人工衛星から発射される信号を用いて現在の観測装置1の位置を測定する衛星測位システムに係る装置である。ここで位置情報には、経度・緯度情報だけでなく高度情報も含まれる。また、GNSS受信機171を用いて制御装置170の時刻設定を行うことができる。
慣性計測ユニット172は、観測装置本体100の挙動や姿勢情報を取得する装置であり、周知の地磁気センサ172a、加速度センサ172b、ジャイロセンサ172cを備えている。本実施の形態に係る観測装置1は、2つの慣性計測ユニット172を備えた冗長構成としている。制御装置170は、2つの慣性計測ユニット172の出力を同時に利用して、センサの出力値として平均を用いることができる。また、制御装置170は、一方の慣性計測ユニット172を現用として利用し、他方を現用の慣性計測ユニット172の予備用として待機させておいてもよい。
温湿度センサ173は、観測装置本体100内の温度及び湿度を測定する。
対地レーザ高度センサ174は、観測装置1の地表又は水面からの高度をレーザにより計測する。
超音波風速風向センサ175は、観測装置本体100の周囲の風速及び風向を測定する。超音波風速風向センサ175は、トランスデューサと呼ばれる複数の対向する超音波送受信機を備えており、風速だけでなく風向きも測定する。本実施の形態では、2対のトランスデューサ(図示省略)を観測装置本体100の外周に等間隔に設置している。なお、超音波風速風向センサ175により測定される風速及び風向は、観測装置本体100からの相対的な風速及び風向である点に留意されたい。超音波風速風向センサ175による測定された風速及び風向により表されるベクトルを相対風速ベクトルと呼ぶものとする。
バッテリーモジュール177は、観測装置1の各部に電力を供給するものであり、リチウムイオン電池177a、電池保温ヒータ回路177bを備えている。本実施の形態に係る観測装置1は、2つのバッテリーモジュール177を備えた冗長構成としている。このような冗長化構成により、仮に一方のバッテリーモジュール177の電源が何らかの理由により喪失しても、他方のバッテリーモジュール177から電源供給を受けることができる。電源制御監視回路176は、各電池保温ヒータ回路177bによるリチウムイオン電池177aの保温制御を行う。
無線送受信機181は、地上局を宛先とする通信を行う装置である。無線送受信機181は、地上局との間で直接通信が可能な場合、すなわち地上局との間で直接電波の送受信を行うことができる場合は、前述の通信中継装置411を介することなく、地上局との間で直接通信を行う。一方、地上局との間で直接通信ができない場合、無線送受信機181は、地上局との間で通信中継装置411を介した間接通信を行う。これにより、気球500から切り離され観測装置1の高度が低下する過程で、山やビルなどの障害物により無線送受信機181が地上局の通信圏外となっている間は、無線送受信機181と地上局との間の通信が直接通信から高高度の気球500に設置された通信中継装置411を介した間接通信となる。このように、本実施の形態では、観測装置1と地上局との間の通信経路を、直接の通信経路と通信中継装置411を介した通信経路2つ確保しており、且つ、後者より前者を優先している。ここで、直接の通信経路は、物理的通信経路が短いことにより通信が安定しやすい及び遅延が小さいという利点がある一方、障害物により通信経路自体を確保できない場合があるという問題がある。他方、通信中継装置411を介した通信経路は、物理的通信経路が長いものの、通信中継装置411は気球500とともに見通しのよい高高度に位置するので、通信経路を確保しやすいという利点がある。本実施の形態では、両者を併用して適宜経路を切り替えることにより好適な通信経路の確保を実現している。無線送受信機181及び通信中継装置411並びに地上局の通信規格等は任意である。本実施の形態では、LPWA(Low Power Wide Area)を用いた。
外部メモリ182は、各種設定データ、各種センサ類からの測定データ、各カメラ150,161,162による撮像データ等を記録する不揮発性の記憶媒体である。外部メモリ182は制御装置170に対して着脱可能とすることができる。
電力モニタ141a,142aは、アーム駆動モータ141,142で消費される電力を監視する。制御装置170は、電力モニタ141a,142aにより測定された電力及びアーム駆動モータ141,142に対する制御状況に基づき、アーム駆動モータ141,142の動作状態や異常発生を検出することができる。
次に、本実施の形態に係る観測装置1の動作シーケンスについて説明する。図6及び図7は観測装置の動作シーケンスを模式的に説明する図であり、図6は特に高度に注目した模式図、図7は特に平面方向に注目した模式図である。また、図8は観測装置の動作を説明するフローチャートである。
まず、観測装置1を用いた観測を行うに先だって、あらかじめ、観測地点、切り離し高度、放球地点、放球時刻、回収地点を決定する。決定した観測地点、切り離し高度、回収地点は、観測装置1の外部メモリ182に記憶しておく。
観測地点は、上空からの観測(本実施の形態では地表又は水面の画像撮像)による観測データの取得を希望する対象地点を意味する。観測地点は、1点の位置座標により特定することができる。また、観測地点は、範囲(エリア)により特定することができる。例えば、観測地点は、緯度・経度・高度により特定される位置座標と半径との組により特定することができる。例えば、観測地点は、緯度・経度・高度により特定される3つ以上の位置座標の組により特定することができる。なお、観測地点の特定に用いられる位置座標は、高度を省略することができる。
放球地点、切り離し高度、及び回収地点は、過去の気象情報や観測予定時刻の予測気象情報、地理情報、過去の実績情報、パラフォイル200の形状等からなる機械的諸元から求められる既知の滑空能力、その他の条件に基づき決定する。ここで、放球地点及び切り離し高度は、少なくとも観測装置1が観測地点まで移動可能であることを条件とする。また、切り離し高度は、少なくとも気球500が破裂する高度より低いことを条件とする。また、回収地点は、少なくとも観測装置1が観測地点から移動可能であることを条件とする。
観測装置1の動作シーケンスについて説明する。観測装置1は、放球時刻に、気球500から吊り下げられて放球地点から放球され、上昇を開始する(図6及び図7のステップ1)。
以降、観測装置1の制御装置170は、下方撮像用カメラ150による撮像データを外部メモリ182に記録する処理を開始する(図8のステップS11)。ここで、制御装置170は、撮像データの撮像時刻及び撮像位置として、制御装置170で計時している現在時刻・GNSS受信機171による現在位置を制御装置170に記録する。また、制御装置170は、ログとして、各センサ類の測定データや、各機器に対する制御情報や、各機器の状態情報などのステータス情報を、現在時刻・現在位置とともに記録する。また、制御装置170は、前記ステータス情報の全部又は任意の一部を、無線送受信機181を介して地上局に送信する。また、制御装置170は、無線送受信機181を介した地上局からの指示により、アーム駆動モータ141,142を含む各機器に対する制御を行う。なお、本発明に係る観測装置1は、基本的には、放球から回収地点への着地までは自律制御により動作可能なものである点に留意されたい。
観測装置1の制御装置170は、気球500によって上空に上昇する期間中、GNSS受信機171から得られる位置情報に加えて複数の超音波風速風向センサ175を使用し、対地の風向及び風速を高度別に測定・算出し、外部メモリ182に記録する(図6及び図7のステップ2、図8のステップS12)。具体的には、図9に示すように、GNSS受信機171から得られる位置情報の経時的変化により移動ベクトルVgを算出するとともに、超音波風速風向センサ175により得られた相対風速ベクトルVaと前記移動ベクトルVgとを加算することにより対地の風速及び風向である気流ベクトルVが得られる。
ところで、従前の気象観測気球における風向風速測定は通常、気球の移動情報のみを使って演算される。移動情報の取得方法はGNSS受信機または指向性電波追跡(レーダー)、さらに低高度で気球を目視可能な場合には着色した気球を地上から光学的に追跡することで移動情報を得る(パイロットバルーン)。一方、本発明においてGNSS受信機171の位置情報と超音波風速風向センサ175を併用する理由は、気流を高精度に測定するためである。すなわち、気球は浮揚中、周辺気流に流されながら時々刻々と速度、進行方向を変えるが、その周辺気流に対する追従性は気球全体の質量、そして気流に対する断面積およびその形状からなる空気抗力の大小により追従性が変化する。例えば、観測器質量が軽いほど気流に対する追従性は高くなり、高精度に現場の気流を測定することが可能になる。よって各観測器メーカーは装置自体を軽量化することで周辺気流に対する追従性能を向上させてきた。従前の気象観測気球における観測器軽量化は安全性向上の他に気流計測精度を左右する重要な要素である。一方、本発明に係る観測装置1は制御機能の付加により従前の観測器よりも質量が大きく気流への追従性で劣る。そこで、これを補いさらに移動情報のみの気流測定よりも高精度に測定を行うために、GNSS受信機171の位置情報と超音波風速風向センサ175を併用している。
観測装置1は、気球500により上昇し、対流圏、対流圏界面を通過し、最終的に成層圏に到達する。観測装置1の制御装置170は、GNSS受信機171により得られる高度があらかじめ設定された切り離し高度まで達すると、ワイヤカッター121を制御してロープ400を切断することにより観測装置1を気球500から切り離し、目標点を観測地点上空として観測装置1を滑空させる誘導制御を開始する(図6及び図7のステップ3、図8のステップS13~S15)。なお、前述したように、地上局からの指示によりあらかじめ設定された切り離し高度での切り離し処理はキャンセルし、地上局から指示された高度で切り離し処理を行うこともできる。
ここで、誘導制御について説明する。目標点への移動は「目標点方位角一致誘導」によって行なう。すなわち、制御装置170は、GNSS受信機171で得られた観測装置1の現在位置座標及び既知の目標点座標から、観測装置1からみた真北(経線)を基準とする目標点方位角θを球面三角法により演算する(図10参照)。観測装置1では、慣性計測ユニット172により取得した機首方位角θが得られるため、制御装置170は、この目標点方位角と機首方位角の差θ(偏角)を減ずる操舵制御を継続することで目標点上空に誘導する(図11参照)。操舵制御はアーム駆動モータ141,142の駆動により行う。なお制御にはPID(Proportional Integral Differential)制御を用いる。
観測装置1は、誘導制御による滑空中、次第に高度を落としながら成層圏から対流圏に進入する。この境界となる対流圏界面、特に日本上空を含む地球中緯度域には、強力な偏西風いわゆるジェット気流が存在する(図12参照)。このジェット気流は極めて強力な気流かつ極低温という過酷環境であるため、電子機器や機械構造を有する観測装置1はこの高度域に長時間とどまることなく、可能であれば素早く通過することが望ましい。そこで、観測装置1の制御装置170は、前記ステップ2であらかじめ測定した高度別気流データに基づき強風高度帯域を算出し、この強風高度帯域においては誘導制御を一時中止するとともに、観測装置1が失速状態となるよう制御する(図6及び図7ステップ4、図8のステップS16~S17)。強風高度帯域の算出は、例えば、風速が極大となる高度を含む所定の風速以上の高度帯を強風高度帯域とする方法や、風速が極大となる高度を基準として前後に所定の高度を加算・減算した帯域を強風高度帯域とする方法などが挙げられる。観測装置1を失速状態とする制御は、具体的には、パラフォイル200の後縁に接続された左右の制御索203を大きく引き下げるようアーム駆動モータ141,142を制御する。これにより観測装置1は、空力的にパラシュートと同様に失速した状態で滑空することなく降下させる。
観測装置1の制御装置170は、ジェット気流域を抜けると、制御索203の引き下げ量を緩和し、再び目標点へ滑空する誘導制御に復帰する(図6及び図7のステップ5、図8のステップS18~S19)。
観測装置1の制御装置170は、GNSS受信機171により測位した現在位置が目標点である観測地点上空に到達したと判断すると、観測対象の詳細観測のため滞空制御に移行する(図6及び図7のステップ6、図8のステップS20~S21)。本発明に係る観測装置1は推進力を持たないために能動的な滞空維持能力を付加することはできないが、周辺気流に対する「風向追従制御」によって観測対象上空での移動距離を最小化することができる。具体的には、制御装置170は、超音波風速風向センサ175により取得した現在の風向に、慣性計測ユニット172により取得した機首方位角を一致させるようアーム駆動モータ141,142を制御する。この風向追従制御は、前述の誘導制御で使用した機首方位角と目標点に対する偏角を減ずる「目標点方位角一致誘導」とは異なる点に留意されたい。この風向追従制御により、機首が常に風上に向いて滑空するため、対気速度を保ちながら対地速度および地上に対する移動距離を減ずることができる。また、機体諸元によって定まる最大滑空比が得られる滑空速度(下記式(1)参照)に近い風速が得られる高度では、対地速度をゼロに近づけ滞空することができる。
Figure 2022097963000002
V:滑空速度
W:吊下重量(観測装置重量)
ρ:空気密度
S:翼面積
:揚力係数
観測装置1の制御装置170は、滞空制御を行っている間、GNSS受信機171により取得した現在位置の高度が、回収地点に帰還できる「帰還高度閾値」まで低下したかを判定する(図8のステップS22)。そして、制御装置170は、現在位置の高度が帰還高度閾値に達すると滞空制御を終了し、目標地を回収地点とする誘導制御を開始する(図6及び図7のステップ7、図8のステップS23)。なお、誘導制御のアルゴリズム自体は、前述したものと同様である。
ここで、帰還高度閾値の判定について詳細を述べる。上空風を受けて滑空する観測装置1の地上における速度(対地速度)ベクトルVは前記ステップ2によって取得した「高度hにおける気流ベクトルAと高度hにおける観測装置1の速度ベクトルGの加算により求めることができる(下記式(2)、図13参照)。
Figure 2022097963000003
ここで観測装置1の速度ベクトルGhは観測装置1の機体諸元から一意に求まる滑空速度を「大きさ」とし、進行方位角を「向き」とするベクトルである。さらに垂直方向の沈下速度を用いて、観測装置1の現在地点(このときの時刻をtとする)から地表面に降着するときの時間tが定まる。よって制御装置170は、現在時刻tから降着時刻tまでの対地速度|ベクトルV|の時間変化V(t)を時間積分することによって移動距離Sを得ることができる(図14参照)。さらに対地速度の時間変化V(t)は観測装置1の速度ベクトルGの「向き」をステップごとに変化させて演算することにより各方位角における対地速度を得ることができ、これを同様に積分することで「移動可能範囲」を最終的に得ることができる。これら演算を滑空降下する間に継続していくと、高度が低下するにつれて移動可能範囲が狭まっていく(図15参照)。図15において回収地点が移動可能範囲内から外れる高度を帰還高度閾値とし、滞空制御終了の判定に使用する。なお、実運用において厳密には帰還高度閾値は移動可能範囲の高度と同値ではなく、安全マージンを付加し、乱気流や突風に対する移動余裕高度を確保しておく必要がある。
次に、観測装置1の制御装置170は、対地レーザ高度センサ174により検出した対地高度が所定の対地高度閾値以下になったことを検出すると、パラフォイル200の後縁を左右同時に引き下げて、抗力を増大させることで水平速度を減ずるようアーム駆動モータ141,142を制御して観測装置1を着地又は着水させる(図6及び図7のステップ8、図8のステップS24~S25)。このように、着陸直前に水平速度を0に近づけることで観測装置1は理想的には垂直に降下、接地させることができる。このようなパラグライダー競技等で用いられるフレアと呼ばれる水平速度を減ずる制御を行うことで接地時の観測装置1の転覆や連続転回を防止し観測装置1の損傷を防ぐことができる。
本実施の形態に係る観測装置1の運用時には、地上局を用いる。地上局は、コンピュータと、観測装置1の無線送受信機181と通信可能な無線送受信機とを備えている。地上局は移動可能であると好ましい。コンピュータは、周知の情報処理装置であり、液晶ディスプレイ等の表示装置、キーボード・マウス・ジョイスティック・ジョイパッド等の入力装置を備えている。地上局は、自身の位置情報及び姿勢情報を取得する位置姿勢情報取得ユニットを備えていてもよい。位置姿勢情報取得ユニットは、例えば、GNSS受信機、地磁気センサ、加速度センサ、ジャイロセンサを備える。
地上局のコンピュータは、観測装置1が送信するステータス情報や、必要に応じて観測装置1の各カメラの撮像画像を、無線送受信機を介して受信し、表示装置に表示することができる。ここで、地上局のコンピュータは、観測装置1に対して、地上局にどの情報を送信するかの指示を、無線送受信機を介して送信することができる。また、地上局が前記位置姿勢情報取得ユニットを備えている場合、観測装置1の位置情報や姿勢情報を表示する際に、観測装置1の絶対的な位置情報や姿勢情報を表示するとともに、観測装置1の地上局に対する相対的な位置情報や姿勢情報を表示することができる。また、地上局は、観測装置1から受信したステータス情報に加えて、別途取得した地形情報を重畳表示したり、ステータス情報を解析して得られた警告情報を表示したりすることができる。
さらに、地上局のコンピュータは、観測装置1に対して、アーム駆動モータ141,142を含む各機器を制御する制御信号を、無線送受信機を介して送信することができる。前述したように観測装置1は自律的に動作するが、地上局のコンピュータから制御信号を受信すると、地上局からの制御信号による制御を自律制御よりも優先して実施する。なお制御信号は、アーム駆動モータ141,142を制御する制御信号のほか、パラシュート射出モータ131を制御する制御信号や、ワイヤカッター121を制御する制御信号を含むことができる。
本実施の形態に係る観測装置1によれば、気球500により高高度まで上昇した後に切り離された後、パラフォイル200の駆動制御により滑空移動が可能となるので所望の観測地点において高高度での観測が可能となるとともに、所望の回収地点に着地又は着水することができる。特に、本実施の形態に係る観測装置1では、推進力を発生させるための機構を備えていないので、推進力発生機構による震動やノイズがなく、良好な観測環境を得ることができる。また、本実施の形態に係る観測装置1では、推進力を発生させるための機構を備えていないので、法令による飛行制限の影響を受けにくく、運用範囲が広いものとなる。
また、本実施の形態に係る観測装置1では、気球500から切り離された後に観測地点上空まで移動するための誘導制御、到達した観測地点上空に滞在するための滞空制御、観測地点上空から回収地点まで移動するための誘導制御を行っているので、所望の観測地点での観測を確実に実施できるとともに、観測装置1の回収を確実に行うことができる。
また、本実施の形態に係る観測装置1では、滞空制御から回収地点への誘導制御への移行判定として、現地点並びに上昇中に測定した風速及び風向に基づき移動可能範囲を算出し、この移動可能範囲に基づき移行判定を行っているので、観測装置1の回収地点への不達を防止できる。
また、本実施の形態に係る観測装置1では、滞空制御として、上昇中に測定した風速及び風向並びに現在測定した風速及び風向の何れか一方或いは双方に基づき、風上にパラフォイル200の機首が向くよう制御している。これにより、観測装置1の対地速度が小さくなるので、観測地点上空に長時間滞在することができる。
また、本実施の形態に係る観測装置1では、上昇中に測定した風速及び風向に基づき、ジェット気流などの強風高度帯域においては観測装置1が失速状態となるよう制御している。これにより、過酷な環境である強風高度帯域に長時間留まること無く同帯域を通過することができるので、観測装置1の破損や動作不良などのトラブル発生を防止できる。
また、本実施の形態に係る観測装置1では、パラフォイル200は、展開した状態で観測装置本体100に連結している。これにより、気球500から安定した吊下姿勢を維持した状態で上空に引き揚げ、また安定的に切り離すことができる。また、パラフォイルを収納・展開する構成とすると展開時にパラフォイルの吊索や制御索が互いに又は観測装置本体と絡まるおそれがあるが、本実施の形態に係る観測装置ではこれを防止できる。さらに、滑空中にはダウンバースト(下降気流)遭遇時に発生する翼つぶれに起因する失速および墜落を防止することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る観測装置について説明する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、複数の回収地点を設定することにある。これに伴い、観測地点上空での滞空制御から回収地点への誘導制御への移行処理、回収地点への誘導制御が第1の実施の形態と異なる。他の構成・動作については第1の実施の形態と同様である。ここでは相違点のみを説明する。
本実施の形態では、外部メモリ182に複数の回収地点を記憶しておく。観測装置1の制御装置170は、帰還可能高度閾値の計算を複数の回収地点のそれぞれについて計算する。そして制御装置170は、最も大きい帰還可能高度閾値を用いて滞空制御から回収地点への誘導制御への移行判定を行う。
また、観測装置1の制御装置170は、回収地点の誘導制御中、定期的に、各回収地点について「到達可能性」を計算する。この到達可能性は、現在滑空中の観測装置1の滑空比を、回収地点に到達するために必要な滑空比で割ることにより算出する。現在滑空中の観測装置1の滑空比は、GNSS受信機171から取得した現在位置に基づき単位時間の水平移動距離を垂直の高度変化距離で割ることにより算出する。回収地点に到達するために必要な滑空比は、GNSS受信機171から取得した現在位置と回収地点の位置座標に基づき算出する。到達可能性が1より大きい場合、その回収地点に到達できることを意味し、到達可能性が1より小さい場合、その回収地点に到達できないことを意味する。制御装置170は、1以上であり且つ最も大きい到達可能性である回収地点を目標点として設定する。または、複数の回収地点のそれぞれに予め優先度を設定しておき、制御装置170は、到達可能性が1以上であり且つ優先度が最も大きい回収地点を目標として設定してもよい。また、制御装置170は、現在目標点として設定している回収地点を無線送受信機181を介して地上局に通知する。
本実施の形態に係る観測装置1によれば、複数の回収地点を設定することができ、最も到達可能性が高い回収地点に観測装置1が着地又は着水するので、観測装置1の回収を確実に行うことができる。その他の作用・効果は第1の実施の形態と同様である。
以上、本発明の一実施の形態について詳述したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよい。
例えば、上記実施の形態では、パラフォイル200として滑空時の進行面に生じる空気(ラムエアー)を利用して翼を膨らませるラムエアー型を用いたが、空気や窒素ガス等の気体を翼内部に充填した密閉型パラフォイルを用いてもよい。
また、上記実施の形態では、観測により取得した観測データを外部メモリ182に記録し、観測装置1を回収した後に当該観測データを活用するようにしたが、観測中に随時、観測データを無線送受信機181を介して地上局に送信するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、地上局と観測装置との通信規格としてLPWAを用いたが、通信規格や通信経路を不問である。例えば、地上局と観測装置間の通信を、通信事業者網を介して行ってもよいし通信事業者網を介することなく直接行ってもよい。また、互いに通信規格や通信経路の異なる通信手段を複数備え、高度や位置によって適宜切り替えるようにしてもよい。例えば、高高度ではLPWAによる通信を行い、地上に近い高度では5G(5th Generation)などの携帯通信網を介した通信を行うようにしてもよい。複数の通信手段の選定及び切り替え処理は、通信可能距離・通信圏・通信速度・コスト等に鑑みて最適なもの及び切り替えタイミングを決定すればよい。また、通信手段の切り替えに伴い通信内容を切り替えてもよい。
また、上記実施の形態では、上空から地上又は海上を撮像した画像データを取得対象とする観測装置について説明したが、観測対象や観測による取得データについては不問である。例えば、上空における気象、大気成分、音、地球外からの各種放射体を観測するものであってよい。
1…観測装置1
100…観測装置本体
101,102…制御アーム
120…連結分離装置
121…ワイヤカッター
150…下方撮像用カメラ
170…制御装置
171…GNSS受信機
172…慣性計測ユニット
174…対地レーザ高度センサ
175…超音波風速風向センサ
181…無線送受信機
182…外部メモリ
200…パラフォイル
201…翼
202…吊索
203…制御索
210…梁部材
300…連結ロッド
400…ロープ
411…通信中継装置
500…気球

Claims (8)

  1. 気球に吊下げられて所定の切り離し高度まで上昇した後に気球から切り離されて降下する観測装置であって、
    パラフォイルと、
    パラフォイルの制御索を操作する駆動装置と、
    気球から切り離された後に回収地点まで移動するよう駆動装置を制御する制御手段と、を備えた
    ことを特徴とする観測装置。
  2. 前記制御手段は、気球から切り離された後に観測地点上空まで移動するための制御である観測地点移動制御、到達した観測地点上空に滞在するための制御である滞空制御、観測地点上空から回収地点まで移動するための制御である回収地点移動制御を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の観測装置。
  3. 前記制御手段は、滞空制御中に現地点から移動可能範囲を算出し、回収地点及び算出した移動可能範囲に基づき滞空制御から回収地点移動制御に移行する
    ことを特徴とする請求項2記載の観測装置。
  4. 風速及び風向を測定する風速風向測定手段を備え、
    前記制御手段は、現地点並びに上昇中に測定した風速及び風向に基づき移動可能範囲を算出する
    ことを特徴とする請求項3記載の観測装置。
  5. 風速及び風向を測定する風速風向測定手段を備え、
    前記制御手段における滞空制御は、上昇中に測定した風速及び風向並びに現在測定した風速及び風向の何れか一方或いは双方に基づき、風上にパラフォイルの機首が向くよう駆動装置を制御する
    ことを特徴とする請求項2記載の観測装置。
  6. 風速及び風向を測定する風速風向測定手段を備え、
    前記制御手段は、上昇中に測定した風速及び風向に基づき、強風高度帯域においては観測装置が失速状態となるよう駆動装置を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の観測装置。
  7. 前記パラフォイルは、展開した状態で観測装置の筐体に連結している
    ことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の観測装置。
  8. 地上局との間で無線通信を行う通信手段であって、地上局との間で直接通信ができない場合には前記気球に付設した通信中継装置を介して地上局と通信を行う通信手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の観測装置。
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