JP2022096700A - 管路の機能評価方法および管路の設計方法 - Google Patents

管路の機能評価方法および管路の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存の配水管が送水機能を主たる機能とするのか、配水機能を主たる機能とするのかを容易に判別できる管路の機能評価方法を提供する。【解決手段】配水池と個々の水需要点とを複数の管路で接続した配水管網を構成する管路の機能評価方法であって、前記配水管網に対して水理解析を実行して各水需要点への送水量および各水需要点からの配水量を含む管網特性値を算出する水理解析ステップと、前記水理解析ステップにより得られる管網特性値を変数とする機能評価関数により得られる機能評価値に基づいて、評価対象管路が配水池からの送水を主機能とするのか各需要先への配水を主機能とするのかを評価する管路機能評価ステップと、を備えている。【選択図】図5

Description

本発明は、配水池と個々の水需要点とを複数の管路で接続した配水管網を構成する管路の機能評価方法および管路の設計方法に関する。
配水管網は、水源となる配水池から個々の水需要点まで配水するために網目状に布設された複数の管路で構成されている。水需要点となる配水管には給水管が分岐接続され、配水管から配水された水が給水管を介して家屋や施設に給水される。
特許文献1には、地震の発生などで発生する断水の影響を低減するため、事前に避難施設などの重要な施設に向けて配水する主要な配水管路を把握して、主要な配水管路に対して耐震化工事を行なうことを目的として、管網中に任意に設定した水需要点である給水点に対して水源からの水を最も多く供給するルートを主幹線として抽出するための主幹線抽出方法が開示されている。
当該主幹線抽出方法は、水源からの水が供給される管網に対して給水点を任意に指定することにより、この給水点と水源との間の複数の経路のうち最大流量の経路で成る主幹線を求めて出力するように構成され、主幹線を探索する際に、給水点に最も近い位置の交点に対して最も多くの水を供給する経路を抽出し、このように抽出した経路の上流側の交点に対して最も多くの水を供給する経路を抽出するルールに従う処理を水源に達するまで繰り返して行い、このように抽出した複数の経路を主幹線に設定する処理を行なうよう構成されている。
特許第4901371号公報
配水池などから各需要家に水道水を供給する配水管は、配水池から給水エリアに水道水を送水する機能が主たる機能となる配水本管と、給水エリア内で各需要家に水道水を配水する機能が主たる機能となる配水支管に区分される。
構造上、各需要家への給水分岐の有無で区分され、給水分岐がない配水管を配水本管とし、給水分岐がある配水管を配水支管とする場合や、配水管の口径に閾値を設けて、閾値より太い側を配水本管、閾値より細い側を配水支管とする場合が一般的である。
既存の管網に対して、消防水利を確保しつつ経済的な配水管整備、つまり耐震化工事や老朽配水管の交換工事などを行なう場合には、送水機能の確保の観点で配水本管を限定して十分な口径を確保することが必要であり、消防用消火栓の配置を検討する際には、送水機能が優位な配水本管に経路上近い配水支管に配置することが経済上望まれる。
また、地震による配水管被災時の断水率を考慮すると、送水機能が優位な配水本管に給水管が分岐接続されていないことが望まれる。被災の殆どが給水管の破損を原因とするため、多数の給水管が分岐接続されていると、当該配水管の下流側エリアの断水復旧が遅延する原因となる。さらに、経済性の観点で、口径検討が可能な配水支管を縮径することも望まれる。
そのため、上述した配水本管と配水支管の機能を把握することは非常に重要となる。
しかし、特許文献1に記載された主幹線抽出方法では、抽出した主幹線に給水管が給水分岐されているか否かの判断は行われていないため、主幹線が送水機能を主たる機能とする管路であるのか、配水機能を主たる機能とする管路であるのかを判別できなかった。
そのため、計画者が口径や水理解析で得られた流量などに基づいて配水本管と配水支管を主観で区分せざるを得ず、統一的な配水管整備が困難になるという課題があった。
また、給水エリアが山間地で配水管が樹枝状に配置されている場合は、都市部で配水支管網が充実しているため、配水本管が未整備で送水機能を兼ねている場合があり、水理解析による口径の検討の条件設定が難しくなるという課題もあった。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、既存の配水管が送水機能を主たる機能とするのか、配水機能を主たる機能とするのかを容易に判別できる管路の機能評価方法および管路の設計方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による管路の機能評価方法の第一の特徴構成は、配水池と個々の水需要点とを複数の管路で接続した配水管網を構成する管路の機能評価方法であって、前記配水管網に対して水理解析を実行して各水需要点への送水量および各水需要点からの配水量を含む管網特性値を算出する水理解析ステップと、前記水理解析ステップにより得られる管網特性値を変数とする機能評価関数により得られる機能評価値に基づいて、評価対象管路が配水池からの送水を主機能とするのか各需要先への配水を主機能とするのかを評価する管路機能評価ステップと、を備えている点にある。
配水管網に対して水理解析ステップを実行することにより、各水需要点への送水量および各水需要点からの配水量を含む管網特性値が得られる。得られた管網特性値を変数とする機能評価関数により求まる機能評価値に基づいて、評価対象管路が送水を主機能とするのか、配水を主機能とするのかが客観的に評価できるようになる。
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記機能評価関数は以下の数式、(評価対象管路での送水量)/(評価対象管路から需要先への配水量)で定義され、前記機能評価値が所定の送水閾値以上であると前記評価対象管路は送水機能を主とする管路であると評価し、前記機能評価値が所定の配水閾値以上であると前記評価対象管路は配水機能を主とする管路であると評価する点にある。
機能評価関数は以下の数式、(評価対象管路での送水量)/(評価対象管路から需要先への配水量)で定義されることが好ましく、この値が大きいほど送水機能が主たる機能であると評価でき、この値が小さいほど配水機能が主たる機能であると評価できる。
同第三の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記機能評価関数は以下の数式、(評価対象管路での送水量×評価対象管路の管延長)/(評価対象管路から需要先への配水量/評価対象管路の管延長)で定義され、前記機能評価値が所定の送水閾値以上であると前記評価対象管路は送水機能を主とする管路であると評価し、前記機能評価値が所定の配水閾値以上であると前記評価対象管路は配水機能を主とする管路であると評価する点にある。
機能評価関数は以下の数式、評価対象管路での送水量×評価対象管路の管延長)/(評価対象管路から需要先への配水量/評価対象管路の管延長)で定義されることが好ましく、評価対象管路の管延長で重み付けしたこの数式の値が大きいほど送水機能が主たる機能であると評価でき、この値が小さいほど配水機能が主たる機能であると評価できる。
同第四の特徴構成は、上述した第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記配水管網に対応する管網図を表示装置に表示する表示ステップをさらに備え、前記表示ステップは各機能評価値に応じて各管路の表示色を含む表示態様を異ならせて管路の機能を識別可能に可視化する点にある。
表示ステップでは、管路機能評価ステップにより得られた各機能評価値に応じて各管路の表示色を含む表示態様を異ならせて、配水管網に対応する管網図が表示装置に表示されるので、管路の機能が視覚的に瞬時に識別できるようになる。
本発明による管路の設計方法の第一の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成を備えた管路の機能評価方法を実行し、前記機能評価値に基づいて送水を主機能とすると評価された管路を識別の上、消防用消火栓を送水を主機能とすると評価された管路に優先的に配置する点にある。
上述した第一から第四の何れかの特徴構成を備えた管路の機能評価方法を実行した結果に基づいて、送水を主機能とすると評価された管路を識別して、当該管路に消防用消火栓を優先的に配置することで、配水機能が優位な配水管への影響を低減しつつ、万一の火災などに十分に対応可能な水量を供給できるようになる。
同第二の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成を備えた管路の機能評価方法を実行し、前記機能評価値に基づいて送水を主機能とすると評価された管路が、前記配水池から水需要領域に向けて連続した経路で配置されているか否かを評価し、経路に配水を主機能とする管路が含まれると当該配水を主機能とする管路をバイパスする管路を付加する点にある。
上述した第一から第四の何れかの特徴構成を備えた管路の機能評価方法を実行した結果に基づいて、送水を主機能とすると評価された管路が、前記配水池から水需要領域に向けて連続した経路で配置されているか否かを評価し、経路に配水を主機能とする管路が含まれると当該配水を主機能とする管路をバイパスする管路を付加することで、地震などの予期しない断水事故の発生に対して耐性を確保しつつ、復旧を早めることができるようになる。
同第三の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成を備えた管路の機能評価方法を実行し、前記機能評価値に基づいて送水を主機能とすると評価された管路が、前記配水池から水需要領域に向けて樹枝状に配置されている場合に、当該樹枝状に配置された管路を接続する管路を付加してループ化する点にある。
上述した第一から第四の何れかの特徴構成を備えた管路の機能評価方法を実行した結果に基づいて、送水を主機能とすると評価された管路が、配水池から水需要領域に向けて樹枝状に配置されている場合に、当該樹枝状に配置された管路を接続する管路を付加してループ化することで、地震などの予期しない断水事故に対して耐性を確保しつつ、復旧を早めることができるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、既存の配水管が送水機能を主たる機能とするのか、配水機能を主たる機能とするのかを容易に判別できる管路の機能評価方法および管路の設計方法を提供することができるようになった。
管網解析装置の機能ブロック構成図 (a)~(c)は管路網の説明図 (a),(b)は水理解析演算の説明図 管路の機能評価方法の説明図 管路の機能評価方法の手順の説明図 (a)は機能評価された管網の説明図、(b)は対策が施された管網の説明図
以下、図面に基づいて本発明による管路の機能評価方法および管路の設計方法を説明する。
[管路の機能評価方法が実行される管網解析装置の構成]
管網解析装置は、CPUが搭載されたマザーボード、メモリボードなどが搭載された汎用のパーソナルコンピュータなどで構成され、ハードディスクなどのストレージデバイス、タッチパネル式の液晶ディスプレイ、キーボードやマウスなどの入力機器を備えて構成されている。
ストレージデバイスには、システムを管理するOSプログラムがインストールされ、OSプログラムの管理下で実行されるアプリケーションプログラムとして管網解析プログラムがインストールされている。
図1には、管網解析装置1の機能ブロックが示されている。管網解析装置1は、主にマザーボードおよびメモリボードで実現される演算部2と、主にストレージデバイスで実現されるデータ記憶部3と、液晶ディスプレイで実現される表示部4と、キーボードやマウスで実現される入力部5を備えている。管網解析装置1は、配水池と個々の水需要点とを複数の管路で接続した上水道用の配水管路網に対して水理解析を実行して任意の水需要点での管網特性値を算出する。管網特性値とは、管網における水の動きや状態を把握可能な特性値をいい、水圧、残留塩素濃度、水量などの値を含む。
演算部2には、解析対象となる管網に対する解析条件を設定する解析条件設定部20、解析条件が設定された管網に対して水理解析する水理解析部21、水理解析の結果に対して、予め設定された処理を実行する解析結果処理部22などを備えている。
データ記憶部3には、配水池から各水需要点までの結ぶ配水管網を表した管網図が格納される管網図記憶領域30、管網図を構成する管路などの部品情報(管種、口径、管延長など)や布設情報(布設年月、施工業者など)などが格納される管路情報記憶領域31、水理解析部21による解析結果が格納される解析結果記憶領域33などを備えている。
[管路の機能評価方法の手順]
図5に示すように、解析条件設定部20によりデータ記憶部3から管網図や管路情報でなる管網情報が読み込まれ(S1)、管路の流速係数Cや各節点から取り出される配水量などの解析条件が設定されると(S2)、水理解析部21により水理解析が実行される(S3)。
解析の結果、評価対象となる特定管路に対して送水量および配水量が割り付けられて、機能評価値が算出される(S4)。評価が必要な全ての特定管路に対して機能評価値が算出されると(S5)、解析結果処理部22によって解析結果および評価結果が解析結果記憶領域33に記憶されるとともに、表示部4に機能評価値を反映した管網図が表示される(S7)。機能評価値を反映した管網図とは、機能評価値に応じて各管路の表示色を含む表示態様を異ならせて管路の機能を識別可能に可視化した管網図である。
図2(a)には、配水管網6が例示されている。配水管網6は、上流側の配水池7から複数の水需要点8に配水するために、各水需要点8の間を接続する複数の管路9を備えて構成されている。配水管網6では水需要点である管路同士の接続点を節点と称する。
例えば、水理解析部21において節点水頭法を用いた水理解析で各節点の水頭を算出し、算出した水頭から各管路の流量を算出することができる。
上述したヘーゼン・ウィリアムズの式
H=10.666×(L×Q1.85)/(C1.85×d4.87
と、図3(a)で例示する節点8における流量の連続条件式である流量方程式
Σ(±Qij)=P
および、図3(b)に示す閉管路方程式
Σ(±Hks)-δE=0
の連立解として水頭などが求まる。
ここに、Hは管の摩擦損失水頭(m)、Lは管長(m)、Qは流量(m/s)、dは管の実内径(m)、Cは流速係数であり、Qijは注目する節点に接続される各管路の流量であり、Pは節点からの給水量である。また、閉管路方程式は、管路網内の水は全体のエネルギー損失が最小となるように、すなわち管路数がJの管路網では、ΣQ、j=1~Jが最小となるように流れる。流量方程式を制約条件としてΣQ→minを解くことによって閉管路方程式が得られる。
解析条件設定部20は、管路情報記憶領域31から管長、管径、配水池を含む各節点の高さなど必要な情報を読み出し、各管路に対して流速係数Cを設定するとともに、水需要点から取り出される水量などを解析条件として設定する。
水理解析部21は、解析条件に基づいて上述の数式の連立解を求めることにより、図2(b)に矢印で示すような各管路を流れる流向が求まる。そして、図2(c)に太い実線で示すように、例えば、解析対象水需要点が節点8nであると仮定すると、配水池7から節点8nに向けて配水されるために必要な管路9が特定され、各管路を流れる流量が算出される。
さらに、水理解析部21は、水理解析で得られた管網特性値(送水量や配水量など)を変数とする機能評価関数により得られる機能評価値に基づいて、評価対象管路が配水池からの送水を主機能とするのか各需要先への配水を主機能とするのかを評価する。送水量とは配水管を介して下流側に送水される水量をいい、配水量とは配水管に分岐接続された給水管から需要先に配水される水量をいう。
このようにして解析対象となる管網に対して各管路の送水量、各節点からの配水量が求まり、各配水管の主機能を評価すると、解析結果処理部22は、解析結果や評価結果を解析結果記憶領域33に記憶するとともに、表示部4に管網を表示し、各機能評価値に応じて各管路の表示色を含む表示態様を異ならせて管路の機能を識別可能に可視化する。
例えば、機能評価値の大きさに基づいて複数段階に区分し、区分した段階に対応して管路の表示色を暖色から寒色に色調を変化させるなどである。また、値の大きな評価値から値の小さな評価値の順に管路の太さを次第に細くなるように変化させてもよく、色と太さを組み合わせてもよい。
さらには、予め全ての管路を一色で表示しておくとともに、画面に値の大きな評価値から値の小さな評価値の順に管路の表示色を暖色から寒色に色調を変化させたカラーバーを表示し、対応するカラーバーの任意の表示色をマウスで指示したときに管網を構成する管路のうち、該当する管路の表示色を同色に変化させてもよいし、点滅させてもよい。
[機能評価値の説明]
上述した機能評価値について説明する。
配水池と個々の水需要点とを複数の管路で接続した配水管網を構成する管路の機能評価方法は、配水管網に対して水理解析を実行して各水需要点への送水量および各水需要点からの配水量を含む管網特性値を算出する水理解析ステップと、水理解析ステップにより得られる管網特性値を変数とする機能評価関数により得られる機能評価値に基づいて、評価対象管路が配水池からの送水を主機能とするのか各需要先への配水を主機能とするのかを評価する管路機能評価ステップと、を備えている。
機能評価関数は以下の数式、
(評価対象管路での送水量)/(評価対象管路から需要先への配水量)
で定義され、機能評価値が所定の送水閾値以上であると評価対象管路は送水機能を主とする管路であると評価し、機能評価値が所定の配水閾値以上であると評価対象管路は配水機能を主とする管路であると評価する。この値が大きいほど送水機能が主たる機能であると評価でき、この値が小さいほど配水機能が主たる機能であると評価できる。
図4に示すように、三つの節点8a,8b,8cを結ぶ配水管9a,9bを考える。上述の水理解析の結果、節点8aから配水管9aに流量Q1の水が送水され、節点8bから配水管9bに流量Q1の水が送水され、節点8cから下流側の配水管に流量Q3の水が送水されている。このとき、配水管9aには三つの給水管が分岐接続され、其々流量q1,q2,q3が配水され、配水管9bには一つの給水管が分岐接続され、流量q4が配水されている場合を想定する。このとき、Q2=Q1-q1-q2-q3となり、Q3=Q2-q4となる。また、配水管9aの管延長はL1、配水管9bの管延長はL2である。
配水管9aおよび配水管9bの其々に対して、水理解析で得られた値を機能評価関数に代入すると、配水管9aにおける評価値は、
評価値V(9a)=Q1/(q1+q2+q3)
と求まり、配水管9bおける評価値は、
評価値V(9b)=Q2/q4=(Q1-q1-q2-q)/q4
と求まる。
このように、任意の配水管に対する評価値Vは、当該配水管への流入水量Qが多いほど高くなり、当該配水管からの配水量qが少ないほど高くなる。評価値Vに対して所定の閾値を設定し、評価値Vが当該閾値より高ければ送水機能を主たる機能とする配水管であると評価でき、評価値Vが当該閾値より低ければ配水機能を主たる機能とする配水管であると評価できる。なお、閾値は特に限定するものではなく適宜設定すればよい。
送水機能を主たる機能とする配水管と判定する閾値と、配水機能を主たる機能とする配水管と判定する閾値を其々異なる値に設定することもでき、何れにも属さない配水管に対して主たる機能が送水機能および配水機能の双方であると判定することも可能である。このようにして、管網を構成する各配水管の評価値に基づいて主たる機能を判定することができる。
図6(a)には配水池7から各需要先Dに向けて配水管が布設された管網図の一例が記載されている。図6中、破線で表わされているのは個々の需要家である。個々の需要家には最寄りの配水管から給水管(図示していない)が分岐接続されている。
この例では、各配水管は、上述した評価値Vに基づいて4グループに区分され、評価値Vが高い送水機能を主たる機能とする配水管が最も太く表され、評価値Vが低い配水機能を主たる機能とする配水管が細く表されている。中間の太さで表わされた配水管は、送水機能と配水機能の双方の機能を持つ配水管である。なお、線の太さで評価値Vを表しているが、各管路の表示色を含む表示態様を異ならせて管路の機能を識別可能に可視化してもよい。
図6(a)から明らかなように、配水池7に近い配水管9Aなどは送水機能が主たる機能となり、太く表されている。一方、需要家Dの多い地域に布設された配水管9Nは配水機能を主たる機能とする配水管となり、細く表されている。
太く表された送水機能が主たる機能となる配水管9Aと配水管9Cとの間には細く表された配水管9Bが配されている。地震などに起因して、このような配水管9Bに接続された給水管が破断するなどして断水が生じると、配水管9Cの下流側に送水することが困難になる。本発明によれば、そのような脆弱な個所を客観的に見出すことができ、事故に対する耐性の強い管網を構築することができ、また消火栓を適切な位置に配置することができるなど、効率的な管網評価ができるようになる。例えば、送水機能が優位な配水管に消防用消火栓を優先的に配置することで、配水機能が優位な配水管への影響を低減しつつ、万一の火災などに十分に対応可能な水量を供給できるようになる。
例えば、図6(b)に示すように、配水管9Bをバイパスする配水管9Dを布設し、さらに、配水管9Cの下流側に送水できるように、新たな配水管9Eを布設するなどの設計が可能になる。現状の管網の機能を評価することにより脆弱部を補強し、信頼性の高い、またコストを抑制した効率的な保守設計が可能になる。
例示すると、本発明による管路の設計方法は、上述した管路の機能評価方法を実行して得られた機能評価値に基づいて、送水を主機能とすると評価された管路が、配水池から水需要領域に向けて連続した経路で配置されているか否かを評価し、経路に配水を主機能とする管路が含まれると当該配水を主機能とする管路をバイパスする管路を付加するように構成することができる。
その結果、経路に配水を主機能とする管路が含まれると当該配水を主機能とする管路をバイパスする管路を付加することで、地震などの予期しない断水事故の発生に対して耐性を確保しつつ、復旧を早めることができるようになる。
また、機能評価値に基づいて送水を主機能とすると評価された管路が、配水池から水需要領域に向けて樹枝状に配置されている場合に、当該樹枝状に配置された管路を接続する管路を付加してループ化するように構成することで、地震などの予期しない断水事故に対して耐性を確保しつつ、復旧を早めることができるようになる。
以下に、別実施形態を説明する。
図4を用いて説明した機能評価関数として、以下の数式を用いることも可能である。
(評価対象管路での送水量×評価対象管路の管延長)/(評価対象管路から需要先への配水量/評価対象管路の管延長)
図4の例では、配水管9aにおける評価値は、
評価値V(9a)=Q1×L1/{(q1+q2+q3)/L1}
と求まり、配水管9bおける評価値は、
評価値V(9b)=Q2×L2/(q4/L2)
と求まる。
評価対象管路の管延長Lで重み付けしたこの数式の値が大きいほど送水機能が主たる機能であると評価でき、この値が小さいほど配水機能が主たる機能であると評価できる。
上述した実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、管網解析装置などの具体的な構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
1:管網解析装置
2:演算部
3:データ記憶部
4:表示部
5:入力部
20:解析条件設定部
21:水理解析部
22:解析結果処理部

Claims (7)

  1. 配水池と個々の水需要点とを複数の管路で接続した配水管網を構成する管路の機能評価方法であって、
    前記配水管網に対して水理解析を実行して各水需要点への送水量および各水需要点からの配水量を含む管網特性値を算出する水理解析ステップと、
    前記水理解析ステップにより得られる管網特性値を変数とする機能評価関数により得られる機能評価値に基づいて、評価対象管路が配水池からの送水を主機能とするのか各需要先への配水を主機能とするのかを評価する管路機能評価ステップと、
    を備えている管路の機能評価方法。
  2. 前記機能評価関数は以下の数式、
    (評価対象管路での送水量)/(評価対象管路から需要先への配水量)
    で定義され、
    前記機能評価値が所定の送水閾値以上であると前記評価対象管路は送水機能を主とする管路であると評価し、前記機能評価値が所定の配水閾値以上であると前記評価対象管路は配水機能を主とする管路であると評価する請求項1記載の管路の機能評価方法。
  3. 前記機能評価関数は以下の数式、
    (評価対象管路での送水量×評価対象管路の管延長)/(評価対象管路から需要先への配水量/評価対象管路の管延長)
    で定義され、
    前記機能評価値が所定の送水閾値以上であると前記評価対象管路は送水機能を主とする管路であると評価し、前記機能評価値が所定の配水閾値以上であると前記評価対象管路は配水機能を主とする管路であると評価する請求項1記載の管路の機能評価方法。
  4. 前記配水管網に対応する管網図を表示装置に表示する表示ステップをさらに備え、前記表示ステップは各機能評価値に応じて各管路の表示色を含む表示態様を異ならせて管路の機能を識別可能に可視化する請求項1から3の何れかに記載の管路の機能評価方法。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の管路の機能評価方法を実行し、前記機能評価値に基づいて送水を主機能とすると評価された管路を識別の上、消防用消火栓を送水を主機能とすると評価された管路に優先的に配置する管路の設計方法。
  6. 請求項1から4の何れかに記載の管路の機能評価方法を実行し、前記機能評価値に基づいて送水を主機能とすると評価された管路が、前記配水池から水需要領域に向けて連続した経路で配置されているか否かを評価し、経路に配水を主機能とする管路が含まれると当該配水を主機能とする管路をバイパスする管路を付加する管路の設計方法。
  7. 請求項1から4の何れかに記載の管路の機能評価方法を実行し、前記機能評価値に基づいて送水を主機能とすると評価された管路が、前記配水池から水需要領域に向けて樹枝状に配置されている場合に、当該樹枝状に配置された管路を接続する管路を付加してループ化する管路の設計方法。
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