JP2022094643A - ナノファイバー吹き付け装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】手で持ちながら、手軽に取り扱うことができ、作業を安全にかつ簡単に行うことのできるナノファイバー吹き付け装置を提供する。【解決手段】高分子材料を噴射して吹き付け対象物に吹き付け、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成するナノファイバー吹き付け装置1である。ナノファイバー吹き付け装置1は、高分子材料を収容する吹き付け材料収容部3と、高分子材料を吐出する吐出孔5と吐出孔5の周囲に配置して空気を吐出孔5の中心軸に向かって所定の角度で噴射する噴射孔6を備える吹き付け部2と、空気を供給する空気供給部4を内部に備える把持部7を有し、噴射孔6の噴射気流で、吐出孔5から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化しながら吹き付け対象物に吹き付け、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、高分子材料を噴射して吹き付け対象物に吹き付けることにより、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成するナノファイバー吹き付け装置に関する。
ナノファイバーは、一般的に、直径が1ミクロン(=1000nm)以下の太さの繊維と定義されている。ナノファイバーの製造法としては、ESD(Electro-Spray Deposition)法、あるいはエレクトロ・スピニング法と呼ばれる技法が注目され、その技術が開発されている(特許文献1参照)。
ところで、ナノファイバーの製造法であるエレクトロ・スピニング法においては、20kV程度の高電圧が必要となることで、特に、ポリビニルアルコール(PVA樹脂)やポリエチレンオキサイド(PEO樹脂)等の水溶性の高分子材料を使用する場合、取り扱いを慎重に行わなくてはならず、その作業が危険でかつ面倒であった。
近時、ナノファイバーの技術を利用して製造される化粧用品が知られている。例えば、特許文献2には、エレクトロ・スピニング法によって製造される化粧用のナノファイバーシートが開示されている。その使用例としては、例えば、顔などの皮膚の表面に化粧用のナノファイバーシートを貼り付けて、所定時間が経過した後にナノファイバーシートを剥がして取り除くことで、化粧を行うことができる。
しかしながら、化粧用のナノファイバーシートをエレクトロ・スピニング法によって製造する場合、前述のように、高圧電源を扱うので、導電性の水等の取り扱いを慎重に行う必要があり、そのため、作業が危険でかつ面倒なものになるという問題がある。
特開2011-127234号公報 特許第6137857号公報
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成するときに、高圧電源などの危険な機器の使用をなくすことで、手で持ちながら、手軽に取り扱うことができ、作業を安全にかつ簡単に行うことのできるナノファイバー吹き付け装置を提供することである。
本発明は、高分子材料を噴射して吹き付け対象物に吹き付け、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成するナノファイバー吹き付け装置であって、高分子材料を収容する吹き付け材料収容部と、高分子材料を吐出する吐出孔と吐出孔の周囲に配置して空気を吐出孔の中心軸に向かって所定の角度で噴射する噴射孔を備える吹き付け部と、空気を供給する空気供給部を内部に備える把持部を有し、噴射孔の噴射気流で、吐出孔から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化しながら吹き付け対象物に吹き付け、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成するナノファイバー吹き付け装置である。
本発明によれば、噴射孔の噴射気流で、吐出孔から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化しながら吹き付け対象物に吹き付けることで、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成することができる。これにより、ナノファイバー積層体を形成するときに、高圧電源などの危険な機器の使用をなくすことで、装置を手軽に取り扱うことができ、また、作業も安全にかつ簡単に行うことができる。また、把持部を有することで、この把持部を使用者が手で持ちながら吹き付けの作業を行うことができ、これにより、高分子材料の吹き付け対象物への吹き付けを簡単に行うことができる。
ナノファイバー吹き付け装置の全体の側面図である。 ナノファイバー吹き付け装置の吹き付け部の断面図である。 図3Aは、ノズルの正面図であり、図3Bは、ノズルの側面図である。 図4Aは、材料供給管の正面図であり、図4Bは、材料供給管の側面図である。 図5Aは、送風管ケースの正面図であり、図5Bは、送風管ケースの側面図である。 図6Aは、キャップの正面図であり、図6Bは、キャップの側面図であり、図6Cは、キャップの断面図である。 吹き付け部のノズルとキャップの部分を拡大した断面図である。 顔の皮膚の表面にナノファイバー積層体を形成した状態を示す説明図である。 図9Aは、高分子材料Bを使用して形成したナノファイバー積層体の1000倍の電子顕微鏡の写真であり、図9Bは、高分子材料Bを使用して形成したナノファイバー積層体の10000倍の電子顕微鏡の写真である。 図10Aは、高分子材料Cを使用して形成したナノファイバー積層体の1000倍の電子顕微鏡の写真であり、図10Bは、高分子材料Cを使用して形成したナノファイバー積層体の10000倍の電子顕微鏡の写真である。 不織布を使用するマスクの正面図である。
本発明は、高分子材料を噴射して吹き付け対象物に吹き付けることにより、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成するナノファイバー吹き付け装置である。
本発明のナノファイバー吹き付け装置の一実施形態について説明する。
この実施形態では、高分子材料に化粧用素材を含有し、これとともに、吹き付け対象物を人の顔などの皮膚にし、これにより、人の顔などに化粧を行うものである。
即ち、化粧用素材、例えば、美容液及び保湿液などを含有する高分子材料を噴射して、人の顔の皮膚に吹き付けることにより、顔の皮膚の表面に化粧用のナノファイバー積層体を形成して、顔の皮膚に美容液及び保湿液などによる潤いを与えて保湿し、あるいは肌のキメを整える(整肌)などの化粧を行う。
高分子材料は、ポリビニルブチラール(PVB樹脂:パウダー)、ポリエチレングリコール(PEG樹脂:パウダー)、ポリビニルアルコール(PVA樹脂:パウダー)、ポリエチレンオキサイド(PEO樹脂:パウダー)などで、これらを単体あるいは適宜組み合わせて用いる。ただし、これらに限られるものではない。
高分子材料に含有する化粧用素材の美容液及び保湿液としては、プリテオグリカン、グリセリン、コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC誘導体、フラーレン、グリチルリチン酸、アロエベラエキス、EGF、エタノール、メチルパラベン、ローズマリーエキス、トコフェロール、BG、プロパンジオール、フェノキシエタノールなどで、これらを単体あるいは適宜組み合わせたものである。ただし、これらに限られるものではなく、その他の化粧用素材でもよい。
ナノファイバー吹き付け装置1について、図面を参照して説明する。
図1は、ナノファイバー吹き付け装置1の全体の側面図である。
ナノファイバー吹き付け装置1は、図示のように、吹き付け部2と、吹き付け材料収容部3と、空気供給部4を内部に備える把持部7から構成する。このナノファイバー吹き付け装置1は、持ち運び可能である。
吹き付け部2は、高分子材料を吐出する吐出孔5と、吐出孔5の周囲に配置して空気を吐出孔5の中心軸に向かって噴射する噴射孔6とを備え、噴射孔6の噴射気流で、吐出孔5から吐出する高分子材料を包み込みながら引き抜いて噴射する。この吹き付け部2の詳細については、後述する。
吹き付け材料収容部3は、例えば、円筒状の容器(例えば収容量が5ccのシリンダー型容器)で、その内部に化粧用素材を含有する高分子材料を収容している。吹き付け材料収容部3は、吹き付け部2に直接接続して、高分子材料を吹き付け部2に供給する。
なお、吹き付け材料収容部3は、円筒状の容器に限られるものではなく、高分子材料を収容できる容器あれば、その他のものでもよい。
また、吹き付け材料収容部3は、吹き付け部2に直接接続しているが、これに限らず、管路(チューブ)などを経て吹き付け部2に接続するようにしてもよい。
把持部7は、縦長の円筒状で、その外周を使用者が手で持つことのできるグリップにする。なお、把持部7は、縦長の円筒状に限らず、手で持つことのできる形状であればよい。また、把持部7は、空気を供給する空気供給部を内部に備える。
空気供給部4は、エアーポンプ11と、エアーポンプ11を制御する制御部12と、動力源であるバッテリー13と、空気を吹き出す吹き出し口14を有し、制御部12での制御によりエアーポンプ11を駆動して所定量の空気を吹き出し口14より吹き出す。エアーポンプ11は、ダイアフラム(薄膜)を用いたダイアフラムポンプである。なお、エアーポンプ11は、空気供給部4の軽量化を行うためにはダイアフラムポンプが好ましいが、ダイアフラムポンプに限られるものではなく、その他のポンプ、あるいはコンプレッサーでもよい。
把持部7の空気供給部4には、吹き出した空気を2方向に分岐する分岐バルブ21が吹き出し口14に接続されている。分岐バルブ21の出口側の一方は、空気量を調整する調整バルブ22を経て吹き付け部2に接続されており、所定量の空気を吹き付け部2に供給する。また、分岐バルブ21の出口側の他方は、空気量を調整する調整バルブ23、管路(チューブ)24を経て吹き付け材料収容部3に接続されており、所定量の空気を吹き付け材料収容部3に供給する。
また、吹き付け部2では、把持部7の空気供給部4からの空気の供給により、噴射孔6から所定の強さの噴射気流Sを発生させる必要がある。これに対し、吹き付け材料収容部3では、収容している高分子材料を吐出させるだけでよい。そのため、吹き付け部2への空気の供給量を大きくし、吹き付け材料収容部3への空気の供給量は小さくする。
なお、分岐バルブ21においては、供給する空気量を調整する機能を有するようにしてもよい、つまり分岐バルブ21と調整バルブ22,23を一体化してもよい。
また、調整バルブ22,23は、吹き付け部2に空気を供給する側と吹き付け材料収容部3に空気を供給する側の両側に設けているが、吹き付け部2の噴射孔6から所定の強さの噴射気流Sを発生させることができれば、吹き付け部2に空気を供給する側だけに調整バルブ22を設けるようにしてもよい。
次に、ナノファイバー吹き付け装置1の吹き付け部2について説明する。
吹き付け部2は、噴射孔6から噴射する空気の噴射気流Sで、吐出孔5から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化しながら人の顔の皮膚(吹き付け対象物)に吹き付ける。
ここで、高分子材料の引き抜きとは、噴射孔6から相対的に高圧な噴射気流Sを、吐出孔5の周囲において吐出孔5の中心軸に向かって所定の角度で噴射することにより、吐出孔5から吐出した高分子材料が噴射気流Sで押されて加速し、その結果、吐出孔5からの高分子材料の吐出が促進されることをいう。
また、高分子材料に噴射気流Sを当てることで、高分子材料自体を細く伸ばす、つまり延伸することができる。これとともに、噴射した高分子材料から水分を気化させることで、高分子材料を吹き付けた人の顔の皮膚(吹き付け対象物)の表面において、高分子材料のナノファイバー積層体を形成することができる。
図2は、ナノファイバー吹き付け装置1の吹き付け部2の断面図である。図3Aは、ノズル33の正面図、図3Bは、ノズル33の側面図である。図4Aは、材料供給管32の正面図、図4Bは、材料供給管32の側面図である。図5Aは、送風管ケース35の正面図、図5Bは、送風管ケース35の側面図である。図6Aは、キャップ36の正面図、図6Bは、キャップ36の側面図、図6Cは、キャップ36の断面図である。
吹き付け部2は、図2に示すように、内部に横方向(図2における左右方向)に向かう高分子材料を供給するための供給路31を備える横長筒状の材料供給管32と、材料供給管32に取り付けて、高分子材料を吐出する吐出孔5を備えるノズル33と、内部に横方向に向かうに空気が流れる送風路34を備える筒状の送風管ケース35と、送風管ケース35に取り付けて、空気を噴射する噴射孔6を備えるキャップ36から構成する。
ノズル33は、図3A、Bに示すように、内部に横方向(図3Bにおける左右方向)に向かう供給路37を備え、その一端側(図3Bにおける左側)に吐出孔5を備えるとともに、吐出孔5の反対側の外周にネジ部38を備える。ノズル33の外周は、吐出孔5を備える一端側に向かって尖った、つまり一端側に向かって縮径する形状である。ノズル33の材質としては、セラミック、ルビー、ステンレス、合成樹脂などであり、長期間にわたって良好に高分子材料を噴射することができるという耐摩耗性の点ではセラミックやルビーが好ましく、また、ノズル33を安価に製造できる点では合成樹脂が好ましい。
材料供給管32は、図4A、Bに示すように、横方向の一端側(図4Bにおける左側)の供給路31内にネジ部41を備えて、このネジ部41がノズル33のネジ部38と螺合することで、ノズル33を取り付ける。材料供給管32は、横方向の一端側(図4Bにおける左側)の外周には周方向に等間隔で複数個、例えば6個の突条部42を備え、横方向の他端一端側の外周に備えた突条部42はキャップ36の後述する送風路55内に嵌り込み、材料供給管32とキャップ36の間における隣接する突条部42間を空気が流れる送風路43にする。また、材料供給管32の横方向の他端側(図4Bにおける右側)の外周にはネジ部45及びフランジ部46を備える。材料供給管32の材質としては、ステンレスや合成樹脂などである。ただし、安価に製造できる点では合成樹脂が好ましい。
送風管ケース35には、図5A、Bに示すように、内部の送風路34に空気を流入する流入口51を備え、流入口51は、空気供給部4側に接続し、空気供給部4から空気が流入する。また、送風管ケース35の送風路34内にはネジ部52を備える。このネジ部52が材料供給管32のネジ部41に螺合することで、内部に材料供給管32を取り付ける。送風管ケース35の材質としては、ステンレスや合成樹脂などである。ただし、安価に製造できる点では合成樹脂が好ましい。
キャップ36は、図6Cに示すように、内部に横方向(図6Cにおける左右方向)に向かう送風路55を備え、その一端側(図6Cにおける左側)に噴射孔6を備える。送風路55は、噴射孔6側において、その内径が端部に向かって絞られる縮径部56を備える。また、図6A、Bに示すように、キャップ36は、噴射孔6の反対側の外周にネジ部57を備えて、ネジ部57が送風管ケース35のネジ部52と螺合することで、送風管ケース35に取り付ける。
なお、図7に示すように、キャップ36とノズル33を取り付けたとき、キャップ36の縮径部56とノズル33の外周の間に空間を形成し、つまり環状の隙間を形成する。この環状の隙間がノズル33の吐出孔5の周囲に配置されて空気を噴射する噴射孔6になる。また、キャップ36では、ノズル33の先端を噴射孔6より突き出す。キャップ36の材質としては、ステンレスや合成樹脂などである。ただし、安価に製造できる点では合成樹脂が好ましい。
吹き付け部2においては、図2に示すように、吹き付け材料収容部3より供給された高分子材料が、材料供給管32の供給路31内からノズル33の供給路37に流れて、ノズル33の吐出孔5から吐出する。これとともに、空気供給部4より供給された空気が、送風管ケース35の送風路34及び材料供給管32とキャップ36の間の送風路43を流れて、キャップ36の噴射孔6から噴射する。
次に、ここでの吹き付け部2のノズル33とキャップ36の所定の箇所の寸法などについて説明する。これらの寸法は、各種の実験を行った結果、導き出した値である。
図7は、吹き付け部2のノズル33とキャップ36の部分を拡大した断面図である。
図示のように、ノズル33の吐出孔5の内径Dは、0.15mmである。ただし、これに限らず、0.1mm~0.2mmの範囲であればよい。吐出孔5の内径Dが、0.2mmより大きくなると、吹き付けて形成するナノファイバーの細さが所定の細さにならず、また、0.1mmより小さいと、吐出孔5に高分子材料が詰まり、あるいは高分子材料の吐出する速度が遅くなり、そのため、ナノファイバー積層体を形成することができなくなる。
また、キャップ36では、送風路55内に縮径部56を備えるとともに、ノズル33では、その外周を先端側(吐出孔5を備える一端側)に向かって縮径する形状にしている。キャップ36の縮径部56及びノズル33の外周により空気の噴射方向は、ノズル33の吐出孔5及びキャップ36の噴射孔6の中心軸Cに所定の角度で向かうようにする。キャップ36の縮径部56の角度K1及びノズル33の外周の角度K2は、ノズル33の吐出孔5及びキャップ36の噴射孔6の中心軸Cに対して、19度である。ただし、これに限らず、角度は、15度~30度の範囲であればよい。キャップ36の縮径部56の角度K1及びノズル33の外周の角度K2において、15度より小さいと、噴射する空気とノズル33の吐出孔5より吐出する高分子材料との接触力が小さく、そのため、噴射する高分子材料を延伸する作用が小さくなる。また、30度より大きいと、逆に接触力が大きくなり過ぎ、これによっても、噴射する高分子材料を延伸する作用が小さくなる。つまり、角度を15度~30度の範囲にすれば、噴射する空気をノズル33の吐出孔5より吐出する高分子材料に最適に接触させることができ、噴射する高分子材料の延伸する作用を大きくすることができる。
また、キャップ36とノズル33にあっては、キャップ36の噴射孔6よりノズル33が突き出るようにしているが、このノズル33の突き出し寸法(図7においてAで示す)は、5mmである。ただし、これに限らず、4mm~7mmの範囲であればよい。このノズル33の突き出る寸法が4mm~7mmの範囲であれば、前述したキャップ36の噴射孔6からの空気の噴射方向と相まって整流が発生し、高分子材料を良好に噴射することができる。
また、吹き付け部2において、キャップ36の噴射孔6から噴射する空気、つまり噴射孔6の噴射気流Sは、その速度を200m/sec以上にする。速度が200m/secより遅いと、噴射気流Sにより噴射する高分子材料が、ナノファイバーとしての所定の細さの繊維状に形成されない。よって、噴射孔6の噴射気流Sの速度を200m/sec以上にする必要がある。
(ナノファイバー吹き付け装置の使用方法)
ナノファイバー吹き付け装置1の使用方法について説明する。
使用者は、ナノファイバー吹き付け装置1の把持部7を手で持って、吐出孔5及び噴射孔6を吹き付け場所の人の顔に向ける。続いて、作動スイッチ(図示せず)を押す。これにより、ナノファイバー吹き付け装置1において、空気供給部4が作動し、吹き付け部2と吹き付け材料収容部3にそれぞれ所定量の空気を供給する。
吹き付け材料収容部3では、内部に収容している化粧用素材を含有する高分子材料を空気供給部4から供給された空気により吹き付け部2に供給する。吹き付け部2では、吹き付け材料収容部3から供給された高分子材料が、材料供給管32の供給路31及びノズル33の供給路37を流れて、ノズル33の吐出孔5から吐出する。また、吹き付け部2では、空気供給部4から供給された空気が、送風管ケース35の送風路34及び材料供給管32とキャップ36の間の送風路43を流れて、キャップ36の噴射孔6から噴射する。
このキャップ36の噴射孔6から噴射する空気、つまり噴射孔6の噴射気流Sで、吐出孔5から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化(水分を飛ばして除去)しながら人の顔の皮膚(吹き付け対象物)に吹き付ける。これにより、図8に示すように、顔の皮膚の表面に化粧用のナノファイバー積層体Fを形成して、顔の皮膚に美容液及び保湿液などによる潤いを与えて保湿し、あるいは肌のキメを整える(整肌)などの化粧を行う。
次に、化粧用素材を含有する高分子材料について説明する。ここで用いる高分子材料の組成は、次の複数の例で示した通りである。
高分子材料Aは、ポリビニルブチラール(PVB樹脂:パウダー)が6重量%、ポリエチレングリコール(PEG樹脂:パウダー)が5重量%、プリテオグリカン(保湿剤:美容液成分)が1重量%、エタノールが88重量%である。
高分子材料Bは、ポリビニルブチラール(PVB樹脂:パウダー)が6重量%、プリテオグリカン(保湿剤:美容液成分)が1重量%、エタノールが93重量%である。
高分子材料Cは、ポリビニルアルコール(PVA樹脂:パウダー)が10重量%、プリテオグリカン(保湿剤:美容液成分)が1重量%、純水が89重量%である。
高分子材料Dは、ポリエチレンオキサイド(PEO樹脂:パウダー)が8重量%、プリテオグリカン(保湿剤:美容液成分)が1重量%、純水が91重量%である。
なお、高分子材料Cや高分子材料Dにあっては、水溶性の高分子材料であるポリビニルアルコールやポリエチレンオキサイドを用いることで、これらの高分子材料は、皮膚の表面にナノファイバー積層体Fを形成したのち、時間の経過とともに自然に消滅し、あるいは必要であれば軽く洗顔するだけでよく、皮膚の表面から剥がして取り除く作業をなくすことで、化粧を楽に行うことができる。
また、高分子材料Bと高分子材料Cを使用してナノファイバー積層体を形成し、このナノファイバー積層体を電子顕微鏡(SEM)で観察した。
図9Aは、高分子材料Bを使用して形成したナノファイバー積層体の1000倍の電子顕微鏡の写真、図9Bは、高分子材料Bを使用して形成したナノファイバー積層体の10000倍の電子顕微鏡の写真である。図10Aは、高分子材料Cを使用して形成したナノファイバー積層体の1000倍の電子顕微鏡の写真、図10Bは、高分子材料Cを使用して形成したナノファイバー積層体の10000倍の電子顕微鏡の写真である。
電子顕微鏡で観察した結果、図9A、B及び図10A、Bに示すように、ナノファイバー積層体が、ナノファイバーとしての所定の細さの繊維状に形成されていることがわかる。
以上説明したように、吹き付け部2の噴射孔6の噴射気流Sで、吐出孔5から吐出する化粧用素材を含有する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化しながら人の顔の皮膚に吹き付けることで、顔の皮膚の表面に化粧用のナノファイバー積層体Fを形成することができる。これにより、ナノファイバー積層体Fを形成するときに、従来のエレクトロ・スピニング法と異なり、高圧電源などの危険な機器の使用をなくすことで、装置を手軽に取り扱うことができ、また、作業も安全にかつ簡単に行うことができる。また、ナノファイバー吹き付け装置1において、把持部7を有することで、この把持部7を使用者が手で持ちながら顔の皮膚の表面に高分子材料を吹き付けることができ、これにより、化粧などを簡単に行うことができる。
なお、前記実施形態では、噴射する高分子材料に化粧用素材を含有し、これとともに、吹き付け対象物を人の顔などの皮膚にして、人の顔などに化粧(保湿や整肌)を行うものであるが、これに限らず、例えば、人工皮膚を形成するものでもよい。
人工皮膚の形成は、高分子材料を噴射して、皮膚に吹き付けることにより、皮膚の表面に人工皮膚としてのナノファイバー積層体Fを形成する。これにより、皮膚の表面に人工皮膚を形成することができる。
人工皮膚を形成するための高分子材料は、ポリビニルブチラール(PVB樹脂:パウダー)、ポリエチレングリコール(PEG樹脂:パウダー)、ポリビニルアルコール(PVA樹脂:パウダー)、ポリエチレンオキサイド(PEO樹脂:パウダー)などで、これらを単体あるいは適宜組み合わせて用いる。ただし、これらに限られるものではない。
また、高分子材料に含有する人工皮膚用材料としては、コラーゲンであり、例えばビーマトリックスコラーゲンFD(beMatrix(登録商標)コラーゲンFD)などである。ただし、これに限られるものではなく、その他の人工皮膚用材料でもよい。
ここで用いる高分子材料の組成は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA樹脂:パウダー)が10重量%、コラーゲン(ビーマトリックスコラーゲンFD:固形物)が、0.02重量%、純水が89.98重量%である。
(ナノファイバー吹き付け装置の別の使用方法)
次に、ナノファイバー吹き付け装置1の別の使用方法について説明する。
ここでは、吹き付け対象物をマスク用の不織布61にし、高分子材料を噴射して、マスク用の不織布61に吹き付けることにより、不織布61の表面にナノファイバー積層体Fを形成して、高密度なマスク60を作るものである。
使用者は、ナノファイバー吹き付け装置1の把持部7を手で持って、吐出孔5及び噴射孔6を吹き付け場所のマスク用の不織布61に向ける。続いて、作動スイッチ(図示せず)を押す。これにより、ナノファイバー吹き付け装置1において、空気供給部4を作動し、吹き付け部2と吹き付け材料収容部3にそれぞれ所定量の空気を供給する。
吹き付け材料収容部3では、内部に収容している高分子材料を空気供給部4から供給された空気により吹き付け部2に供給する。吹き付け部2では、吹き付け材料収容部3から供給された高分子材料が、材料供給管32の供給路31及びノズル33の供給路37を流れて、ノズル33の吐出孔5から吐出する。また、吹き付け部2では、空気供給部4から供給された空気が、送風管ケース35の送風路34及び材料供給管32とキャップ36の間の送風路43を流れて、キャップ36の噴射孔6から噴射する。
このキャップ36の噴射孔6から噴射する空気、つまり噴射孔6の噴射気流Sで、吐出孔5から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化(水分を飛ばして除去)しながらマスク用の不織布61(吹き付け対象物)に吹き付ける。これにより、不織布61の表面にナノファイバー積層体Fを形成する。
なお、ナノファイバー積層体Fは、不織布61の片面のみに形成してもよいし、あるいは不織布61の両面に形成してもよい。
高分子材料は、ポリビニルブチラール(PVB樹脂:パウダー)、ポリエチレングリコール(PEG樹脂:パウダー)、ポリビニルアルコール(PVA樹脂:パウダー)などで、これらを単体あるいは適宜組み合わせて用いる。ただし、これらに限られるものではない。
また、ここで用いる高分子材料の組成は、次の複数の例で示した通りである。
高分子材料Aは、ポリビニルブチラール(PVB樹脂:パウダー)が6重量%、ポリエチレングリコール(PEG樹脂:パウダー)が5重量%、エタノールが89重量%である。
高分子材料Bは、ポリビニルブチラール(PVB樹脂:パウダー)が6重量%、エタノールが94重量%である。
高分子材料Cは、ポリビニルアルコール(PVA樹脂:パウダー)が10重量%、純水が90重量%である。
以上説明したように、吹き付け部2の噴射孔6の噴射気流Sで、吐出孔5から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化しながら不織布61に吹き付けることにより、不織布61の表面にナノファイバー積層体Fを形成することができる。
図11は、不織布61を使用するマスク60の正面図である。
表面にナノファイバー積層体Fを形成したマスク用の不織布61は、例えば、図示のように、ポケット62を備えるマスク60に使用するもので、マスク60のポケット62にナノファイバー積層体Fを形成した不織布61を挿入することで、高密度なマスク60にすることができる。
1…ナノファイバー吹き付け装置、2…吹き付け部、3…吹き付け材料収容部、4…空気供給部、5…吐出孔、6…噴射孔、7…把持部、11…エアーポンプ、12…制御部、13…バッテリー、14…吹き出し口、21…分岐バルブ、22…調整バルブ、23…調整バルブ、24…管路、31…供給路、32…材料供給管、33…ノズル、34…送風路、35…送風管ケース、36…キャップ、37…供給路、38…ネジ部、41…ネジ部、42…突条部、43…送風路、45…ネジ部、46…フランジ部、51…流入口、52…ネジ部、55…送風路、56…縮径部、57…ネジ部、60…マスク、61…不織布、62…ポケット。

Claims (3)

  1. 高分子材料を噴射して吹き付け対象物に吹き付け、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成するナノファイバー吹き付け装置であって、
    高分子材料を収容する吹き付け材料収容部と、高分子材料を吐出する吐出孔と吐出孔の周囲に配置して空気を吐出孔の中心軸に向かって所定の角度で噴射する噴射孔を備える吹き付け部と、空気を供給する空気供給部を内部に備える把持部を有し、
    噴射孔の噴射気流で、吐出孔から吐出する高分子材料を引き抜いて噴射し、噴射する高分子材料を延伸して水分を気化しながら吹き付け対象物に吹き付け、吹き付け対象物の表面にナノファイバー積層体を形成することを特徴とするナノファイバー吹き付け装置。
  2. 請求項1に記載されたナノファイバー吹き付け装置において、
    高分子材料には化粧用素材を含有するとともに、吹き付け対象物は人の皮膚であることを特徴とするナノファイバー吹き付け装置。
  3. 請求項1又は2に記載されたナノファイバー吹き付け装置において、
    高分子材料は、ポリビニルアルコール又はポリエチレンオキサイド又はポリビニルブチラール又はポリエチレングリコールであることを特徴するナノファイバー吹き付け装置。

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