JP2022093155A - 切削ヘッド本体、工具本体及びヘッド交換式切削工具 - Google Patents

切削ヘッド本体、工具本体及びヘッド交換式切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】切削加工時に切削ヘッド本体の切刃に大きな切削負荷が作用しても、ガタつきが生じるのを防ぐことができ、高い加工精度や優れた加工面粗さを得るとともに、安定した繰り返し刃径精度と突発的な負荷にも耐えうる切削ヘッドを提供する。【解決手段】本発明は、第1の中心軸O1を中心とした円盤状を呈し、第1の中心軸O1を中心として軸方向に貫通する貫通孔13と、軸方向の先端側に形成された切刃12と、軸方向の後端側に形成された1つの第1凹部16Aと、前記第1凹部16Aよりも小さい凹部を1つ以上備えた切削ヘッドであって、第1凹部16Aは、後端側のヘッド側当接面の外周縁上の周方向における一方側を第1端点、他方側を第2端点とした場合に、第1端点と第1の中心軸O1とを径方向で結ぶ第1仮想線と、第2端点と第1の中心軸とを径方向で結ぶ第2仮想線と、のなす角度θが、30°≦θ≦70°となる大きさを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、切削ヘッド本体、工具本体及びヘッド交換式切削工具に関する。
ヘッド交換式切削工具として、例えば特許文献1には、交換刃具(切削ヘッド)の軸心に設けられたねじ挿通穴を貫通させられた取付ねじが、ホルダー(工具本体)の軸心上に設けられたねじ穴に螺合されることにより、該交換刃具が該ホルダーの先端部に着脱可能に一体的に取り付けられる構成が開示されている。また、ホルダーと交換刃具とを相対回転不能に係合させるキーのような係合凸部とキー溝のような係合凹所とから構成される回止め係合部を備えており、交換刃具がホルダーと共に軸心まわりに回転駆動されることにより、交換刃具によって所定の加工を行う工具が記載されている。
この特許文献1に記載されたヘッド交換式切削工具は、前記取付ねじのうち交換刃具とホルダーとに跨がって位置する部分に一体に設けられた円柱形状の嵌合軸部と、交換刃具のねじ挿通穴に設けられ、嵌合軸部に対して隙間嵌めによって嵌合させられることにより、交換刃具と嵌合軸部とを同心に位置決めする円筒形状の刃具側嵌合穴と、ホルダーの先端に開口するネジ孔の開口部分に設けられ、嵌合軸部に対して隙間嵌めによって嵌合させられることにより、ホルダーと嵌合軸部とを同心に位置決めする円筒形状のホルダー側嵌合穴とを有している。
特開2007-167977号公報
しかしながら、この特許文献1に記載されたヘッド交換式切削工具では、上述したように回止め係合部を構成する係合凸部と係合凹部とが、この特許文献1の図2および図3に示されるような長手方向と直角な断面形状が略長方形をなすキーとキー溝であり、工具本体の第1の中心軸に対する直径方向に向けて一定の幅で延びるように形成されている。
このため、特に切削加工時の切削トルクによって大きな回転モーメントが作用する切削ヘッドの外周側において、切削ヘッドの取付強度や取付剛性が不足するおそれがある。従って、切削加工時に切削ヘッドの切刃に大きな切削負荷が作用すると、切削ヘッドにガタつきが生じてしまい、加工精度や加工面粗さの低下を招くおそれがある。
また、特許文献1の図2および図3には2組のキーとキー溝が示されているが、各キーの大小関係は無く、等しい大きさで回転軸を基準に点対称な位置に形成されている。
このため、交換刃具をシャンク(ホルダー)に取り付ける際の向きが2通りあることとなり、製造時の精度管理が困難となる。これにより、安定した繰り返し刃径精度を得ることが難しく、刃先が摩耗し新しい交換刃具を交換するたびに加工面精度にばらつきが生じてしまう。
さらに、キーとキー溝が等しい大きさで形成されているため、切削加工時に全てのキーに等しく回転モーメントが作用する。そのため、想定以上の大きな回転モーメントが突発的に発生した場合、全てのキーがほぼ同時に破損するおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、切削加工時に切削ヘッド本体の切刃に大きな切削負荷が作用しても、切削ヘッド本体にガタつきが生じるのを防ぐことができ、高い加工精度や優れた加工面粗さを得るとともに、切削ヘッド本体に異なる大きさの凹部を設けることで、切削ヘッド本体の工具本体への取り付け向きの固定と切削加工時に凹凸部に作用する回転モーメントの大小関係を作ることで、安定した繰り返し刃径精度と突発的な負荷にも耐えうる、切削ヘッド本体、工具本体及びヘッド交換式切削工具を提供することを目的としている。
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の一態様である切削ヘッド本体は、第1の中心軸を中心とした円盤状の切削ヘッド本体を備え、前記切削ヘッド本体にはネジが通る貫通孔を備え、前記切削ヘッド本体の軸方向の先端側には切刃が形成されるとともに、前記軸方向の後端側には、第1凹部と、前記第1凹部よりも小さい凹部を1つ以上備え、前記第1凹部は、後端側のヘッド側当接面の外周縁上の前記第1凹部の周方向の点の一方を第1端点、もう一方を第2端点とした場合、前記第1端点と前記切削ヘッド本体の前記第1の中心軸とを径方向で結ぶ第1仮想線と、前記第2端点と前記切削ヘッド本体の前記第1の中心軸とを径方向で結ぶ第2仮想線とのなす角度θが、30°≦θ≦70°となる大きさを有することを特徴とする。
本発明の一態様である切削ヘッド本体において、前記第1凹部は、前記切削ヘッド本体の後端側に向かうに従って周方向に幅広となるように形成されている構成としてもよい。
本発明の一態様である切削ヘッド本体において、前記第1凹部は、前記貫通孔から径方向の外側に離れた位置に配置される構成としてもよい。
本発明の一態様である切削ヘッド本体において、径方向における前記第1凹部と前記貫通孔との間の距離は、前記第1凹部の径方向の幅よりも大きい構成としてもよい。
本発明の一態様である切削ヘッド本体において、前記第1凹部の周方向の中心位置と、その他の前記凹部の前記周方向の中心位置とは、前記周方向において、前記第1凹部の中心と前記切削ヘッド本体の中心とを通る直線を基準としたときに、線対称になるよう配置されている構成としてもよい。
本発明の一態様である切削ヘッド本体において、前記第1凹部は、前記第1の中心軸に対する径方向の外側に向かうに従って前記周方向に幅広となるように形成される構成としてもよい。
本発明の一態様である工具本体は、上記切削ヘッド本体における後端側のヘッド側当接面に当接する本体側当接面と、前記切削ヘッド本体に備わる前記第1凹部に対応する第1凸部と、前記第1凹部よりも小さい前記凹部に対応する凸部と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様であるヘッド交換式切削工具は、上記工具本体と、前記切削ヘッド本体とは、ネジによって着脱可能に取り付けられたヘッド交換式切削工具であって、前記切削ヘッド本体と、前記工具本体とは、前記工具本体の先端側の本体側当接面が、前記切削ヘッド本体の後端側のヘッド側当接面に当接して密着することによって取り付けられることを特徴とする。
本発明の一態様であるヘッド交換式切削工具において、前記本体側当接面と前記ヘッド側当接面とは、前記ヘッド側当接面の外周縁が、前記本体側当接面の外周縁よりも径方向外側に突出している構成としてもよい。
本発明の一態様であるヘッド交換式切削工具において、前記工具本体には、前記本体側当接面に開口し、前記第1の中心軸に対して前記第1凹部に近い第2の中心軸を有する取付穴が形成され、前記切削ヘッドの前記貫通孔の直径は、前記ネジの直径と、前記第1の中心軸と前記第2の中心軸との距離と、を合わせた寸法よりも大きい構成としてもよい。
このように構成されたヘッド交換式切削工具では、切削ヘッド本体側に第1凹部とこれよりも小さい凹部とが形成され、工具本体側に第1凸部とこれよりも小さい凸部とが形成されており、切削ヘッド本体の第1凹部には工具本体の第1凸部、切削ヘッド本体の凹部には工具本体の凸部が挿入して嵌合する構成となっていることから、工具本体に対する切削ヘッド本体の取り付け位置を確定しやすい。
また、凹凸形状の大きい切削ヘッド本体側の第1凹部と、これに挿入される工具本体側の第1凸部との嵌合精度を高めておくことによって、工具本体に対する切削ヘッド本体の取付位置精度を高めることができる。さらに、最も大きい凹凸部同士が嵌合することで、切削時の強度を十分に確保することができる。
このように、切削ヘッド本体を工具本体に対して回り止めして取り付けることができるのは勿論、切削加工時に切削ヘッド本体の切刃に大きな切削負荷が作用しても、切削ヘッド本体にガタつきが生じるのを防ぐことができる。したがって、高い加工精度や優れた加工面粗さを得ることが可能となる。
また、工具本体には、本体側当接面に開口し、第1の中心軸に対して第1凹部に近い第2の中心軸を有する取付穴が形成されており、切削ヘッド本体には、工具本体の第1の中心軸と同軸をなす貫通孔が形成されていることから、切削ヘッド本体の貫通孔を通じて工具本体の取付穴内に取り付けられるネジは、その中心軸が上記第1の中心軸よりも第1凹部及び第1凸部側に配置される。ネジの中心軸は、工具本体の取付穴の第2の中心軸に一致する。これにより、工具本体の第1凸部側に切削ヘッド本体を寄せて取り付けることができるので、上述したように第1凸部と第1凹部との嵌合精度を高めておくことによって、工具本体に対する取付位置精度をより高めることができる。
また、切削ヘッド本体及び工具本体が大きさの異なる凹部あるいは凸部を備えた構成のため、最も大きい第1凹部あるいは第1凸部に破損が生じた場合でも、他の凹部あるいは他の凸部において、切削加工時の回転モーメントを受けることができる。
また、切削ヘッド本体の第1凹部が、後端側に向かうに従って周方向に幅広となるように形成されているとともに、前記第1の中心軸に対する径方向の外側に向かうに従って前記周方向に幅広となるように形成されていることから、特に、切削加工時の切削トルクによって大きな回転モーメントが作用する切削ヘッド本体の外周側において、高い取付強度や取付剛性を確保して切削ヘッド本体を工具本体に取り付けることができる。
また、切削ヘッド本体の第1凹部が、貫通孔から径方向外側に離れた位置に配置されていることから、貫通孔内に挿入されるネジに、第1凹部内に挿入される第1凸部が干渉してしまうのを避けることができる。
また、径方向における第1凹部と貫通孔との間の距離が、第1凹部の径方向の幅よりも大きい構成となっているため、切削ヘッド本体の貫通孔の周囲にヘッド側当接面の平面が多く存在することになるので、切削ヘッド本体と工具本体とが当接して密着する着座面積が増えることにより、ヘッド交換式切削工具としての耐久性が向上する。
また、工具本体における本体側当接面と、切削ヘッド本体におけるヘッド側当接面と、において、ヘッド側当接面の外周縁が、本体側当接面の外周縁よりも径方向外周側に突出しているので、切削ヘッド本体のヘッド側当接面の外周縁が工具本体の本体側当接面の外周縁から僅かにずれて取り付けられても、このずれ量がヘッド側当接面の外周縁が突出した範囲内であれば、ヘッド側当接面の外周縁から本体側当接面の外周縁が回転軸に対する径方向外周側にはみ出ることがない。
また、工具本体には、径方向において、第1の中心軸よりも切削ヘッド本体の第1凹部に近い第2の中心軸を有する取付穴が形成されている。一方、切削ヘッド本体には、上記取付穴よりも直径が大きく、第1の中心軸を中心とする貫通孔が形成されている。切削ヘッド本体の貫通孔の直径は、ネジの直径と、第1の中心軸と第2の中心軸との距離(偏心量)と、を合わせた寸法よりも大きい。そのため、工具本体に対して切削ヘッド本体を取り付ける際に、第1の中心軸を中心とする切削ヘッド本体側の貫通孔を通じて、第2の中心軸を中心とする工具本体側の取付穴にネジが締め込まれることにより、切削ヘッド本体が、工具本体の第1凸部側に寄せられた状態で取り付けられる。切削ヘッド本体の一部と工具本体の一部とが互いに径方向に当接して密着した状態で組み立てることができるので、第1凸部と第1凹部との噛み合い精度を高めておくことによって、切削ヘッドを工具本体に取り付ける際に、切削ヘッド側の第1凹部内に工具本体側の第1凸部を挿入させるだけで、工具本体に対する切削ヘッド本体の取付精度が高められる。
また、切削加工時に切削ヘッド本体の切刃に大きな切削負荷が作用しても、周方向に幅の広い第1凹部と、これに嵌合する工具本体側の第1凸部とによって受け止めることができるので、工具本体に対する切削ヘッド本体の取付強度を確保することができる。
本発明によれば、取付位置精度が高い切削ヘッド本体及び工具本体と、切削ヘッド本体及び工具本体の取付強度を確保することができるヘッド交換式切削工具とを提供することができる。
本発明のヘッド交換式切削工具の第1の実施形態を示す斜視図である。 図1に示す実施形態を軸方向先端側から見た平面図である。 図2における矢線S方向視の側面図である。 図3におけるYY断面図である。 図4AにおけるB部分の拡大断面図である。 図1に示す実施形態の分解斜視図である。 図1に示す実施形態の分解側面図である。 工具本体を軸方向先端側から見た平面図である。 図7における矢印D方向視(第1凸部側)の側面図である。 図7における矢印E方向視(第2凸部側)の側面図である。 図12における矢印B方向視(第1凹部側)の側面図である。 図12における矢印C方向視(第2凹部側)の側面図である。 切削ヘッドを軸方向後端側から見た平面図である。
以下、本発明における一実施形態のヘッド交換式切削工具100の構成について、図1から図12を用いて説明する。
<ヘッド交換式切削工具>
本実施形態において、図1に示すように、工具本体1は、鋼材等の金属材料により、回転軸(第1の中心軸)O1を中心とした円柱軸状に形成されている。また、切削ヘッド本体11は、工具本体1よりも硬度の高い超硬合金等により、回転軸O1を中心とした円盤状に形成されている。
(工具本体)
ヘッド交換式切削工具100は、切削ヘッド本体11が工具本体1の先端側に取り付けられた上で、工具本体1の後端側が工作機械の主軸に把持され、回転軸O1の軸回りに工具回転方向Tへ回転されつつ、回転軸O1に交差する方向に送り出されることにより、切削ヘッド本体11に形成された複数の切刃12によって被削材に切削加工を施す。
工具本体1には、切削ヘッド本体11を取り付けるためのクランプネジ(ネジ)21が挿入される取付穴6(図4A及び図5)が形成されている。取付穴6は、工具本体1の先端側の本体側当接面5の中央部に形成され、回転軸O1に沿って延びる。取付穴6は、一定内径の断面円形の挿入孔2と、この挿入孔2の底部から軸方向後端側に延びて挿入孔2よりも小径をなすネジ孔3と、により構成される。
本実施形態において取付穴6は、回転軸O1から径方向にズレた位置を中心とする。すなわち本実施形態では、工具本体1の回転軸O1と取付穴6の中心軸(第2の中心軸)O2とは一致していない。図4Aに示すように、回転軸O1に沿う断面において、回転軸O1を介して径方向の一方側の外周面から取付穴6までの距離L1と、径方向他方側の外周面から取付穴6までの距離L2は、僅かに異なる。そのため、当該取付穴6内に挿入されるクランプネジ21は、工具本体1の回転軸O1に対してその中心軸が径方向にズレた状態で取り付けられる。クランプネジ21の中心軸は、工具本体1の取付穴6の中心軸O2に一致する。
すなわち、本実施形態における取付穴6は、その中心軸O2が、工具本体1の回転軸O1に一致しておらず、回転軸O1対して径方向に偏心している。具体的には、径方向において、回転軸O1よりも後述する第1凸部4A側へ偏った位置に取付穴6が形成されている。
図5~図9に示すように、工具本体1の先端面である本体側当接面5には、本実施形態では周方向に間隔(等間隔)をあけて複数(4つ)の凸部4が形成されている。これら4つの凸部4のうちの1つは、他の凸部4よりも大きい第1凸部4Aであり、他の3つの凸部4は、第1凸部4Aよりも小さい第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dである。これら3つの第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dは、互いに等しい形状及び大きさである。
第1凸部4Aと、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dとは、工具本体1の外周縁側に配置され、取付穴6から径方向外側に離れた位置にそれぞれ配置されている。径方向において、各第1凸部4A~第4凸部4Dと取付穴6との間のそれぞれの距離は、互いに略等しい。
なお、この構成に限られず、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dは、径方向において取付穴6に達していてもよい。
第1凸部4A、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dの軸方向における高さは、互いに等しく、第1凸部4Aの先端面41bと、第2凸部4B~第4凸部4Dとが軸方向で一致し、軸方向に垂直な同一平面上に位置している。
第1凸部4Aは、図7に示すように工具本体1の軸方向の先端側から見たとき、他の第2凸部4B~4Dよりも周方向の幅が広く大きく形成されている。
第1凸部4Aは、工具回転方向Tを向く側面41cと、工具回転方向Tとは反対側を向く側面41dとは、径方向外側へ向かうに従って互いに周方向へ離れる方向へ一定の角度で傾斜している。側面41c及び側面41dの径方向に対する傾斜角度は互いに等しい。
また、第1凸部4Aは、図8に示すように工具本体1の側方から見たとき、工具回転方向Tを向く側面41cと、工具回転方向Tとは反対側を向く側面41dとは、軸方向後端側に向かうに従い互いに周方向へ離れるように一定の角度で傾斜している。側面41c及び側面41dの回転軸O1に対する傾斜角度は互いに等しい。
これにより、図7及び図8に示すように、第1凸部4Aは、径方向外側及び軸方向後端側にそれぞれ向かうに従って、周方向へ幅広となるように形成されている。つまり、第1凸部4Aの先端面41bにおける外周側の円弧長さと、第1凸部4Aの底面(工具本体1の本体側当接面5に位置する仮想面)における外周側の円弧長さは、それぞれ、径方向外側に向かうに従って長くなるように形成されている。
第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dは、図7に示すように、第1凸部4Aよりも小さく、第1凸部4Aよりも周方向における幅が狭い大きさで形成されている。本実施形態では、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dの周方向における幅は、互いに等しい。
第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dは、図7に示すように、工具本体1を軸方向の先端側から見たとき、工具回転方向Tを向く各側面42cと、工具回転方向Tとは反対側を向く各側面42dとは、回転軸O1に対する半径方向に沿った方向にそれぞれ延びている。
これにより、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dは、径方向外側及び軸方向後端側にそれぞれ向かうに従って、周方向へ幅広となるように形成されている。つまり、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dの各先端面42bにおける外周側の円弧長さと、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dの各底面(工具本体1の本体側当接面5に位置する仮想面)における外周側の円弧長さは、それぞれ、径方向外側に向かうに従って長くなるように形成されている。
これら3つの第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dは、図7に示すように、回転軸O1の軸回りに互いに所定の間隔をおいて配置されている。具体的に、第1凸部4Aから工具回転方向Tに向かって、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dがこの順に配置されている。これら4つの第1凸部4A~第4凸部4Dは、周方向に互いに略等しい間隔をおいて配置されている。
図7に示すように、本実施形態では、周方向において、第1凸部4Aの中心位置と、その他の第2凸部4B~4Cの中心位置とは、第1凸部4Aの中心位置と、回転軸O1(取付穴6)と、を通る直線M1を基準としたときに、線対称になるよう配置されている。
回転軸O1(取付穴6)を介して第1凸部4Aと径方向反対側には第3凸部4Cが配置されており、径方向において、第1凸部4Aと第3凸部4Cとが取付穴6を介して互いに対向している。つまり、第1凸部4Aの周方向の中心位置と、前記第3凸部4Cの周方向の中心位置とが径方向で一致し、それぞれが直線M1上に位置する。
工具回転方向Tにおいて、第1凸部4Aと第3凸部4Cとの間に第2凸部4Bが配置されているとともに、第3凸部4Cと第1凸部4Aとの間に第4凸部4Dが配置されており、径方向において第2凸部4Bと第4凸部4Dとが取付穴6を介して互いに対向している。第2凸部4Bの中心位置と、第4凸部4Dの中心位置とを径方向に通る直線M2は、上記直線M1に対して直交する。
よって、本実施形態では、1凸部4A~第4凸部4Dの中心位置が、周方向において互いに90°となる間隔で配置されている。
図7に示すように、工具本体1の本体側当接面5のうち、上述した4つの凸部4(第1凸部4A、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4D)と、取付穴6とを除く部分は、回転軸O1に垂直な平面状とされている。従って、この本体側当接面5の外周縁5aは、回転軸O1を中心とする円周上に位置している。
なお、図7及び図8に示すように、第1凸部4A、第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dの径方向外側を向く各外面41eは、上記本体側当接面5の外周縁5aに一致し、工具本体1の外周面と面一な円筒面状に形成されている。
(切削ヘッド本体)
このような工具本体1の先端部に取り付けられる切削ヘッド本体11には、図1、図2図4A及び図5に示すように、クランプネジ21を挿入させるための貫通孔13が形成されている。貫通孔13は、切削ヘッド本体11の中心軸(以下、中心軸O1)を中心とする貫通孔13であって、工具本体1の回転軸O1に一致する。貫通孔13は、切削ヘッド本体11の中央において軸方向に貫通して形成されている。
貫通孔13は、図4Aに示すように、挿通孔13a、テーパー孔13b及び頭部収容孔13cからなる。切削ヘッド本体11の後端側に位置する挿通孔13aは、工具本体1の取付穴6の内径よりも大径をなし、軸方向に一定の内径で形成されている。挿通孔13aの上端側に位置するテーパー孔13bは、頭部収容孔13c側へ行くにしたがって径が大きくなるテーパー状をなす。頭部収容孔13cは、貫通孔13内に挿入されるクランプネジ21の頭部22の直径よりも大きく、当該頭部22を収容する。
なお、貫通孔13におけるテーパー孔13bは、図4Aに示すように、回転軸O1に沿った断面において所定の角度でヘッド側当接面17に対して切削ヘッド本体11の内周側に向かうに従い後端側に向かうように傾斜している。
図1及び図2に示すように、切削ヘッド本体11の先端側には、周方向に等しい間隔をあけて複数(6つ)の凹溝状のチップポケット15が形成されている。これら複数のチップポケット15は、中央の貫通孔13から径方向外側に離れた位置に配置されている。径方向における第1凹部16Aと貫通孔13との間の距離は、第1凹部16Aの径方向の幅よりも大きい。
各チップポケット15の工具回転方向Tを向く各壁面の辺稜部に、切刃12がそれぞれ形成されている。本実施形態では、切削ヘッド本体11の周方向に6つの切刃12が形成されている。
本実施形態における切刃12は、図10及び図11に示すように側方から見て、切削ヘッド本体11の先端内周側から後端外周側に向けて略1/4円弧状をなすラジアスエンドミルのコーナ刃状の切刃とされている。切刃12は、切削ヘッド本体11の外周側を向く外周刃12aの部分と、切削ヘッド本体11の先端側を向く底刃12bの部分と、を有する。
切削ヘッド本体11の後端部は、後端側に向かうに従い縮径する円錐台状に形成されている。さらに、図10、図11及び図12に示すように、切削ヘッド本体11の後端面(工具本体1に対向するヘッド側当接面17)には、ヘッド側当接面17に開口し、ヘッド側当接面17から軸方向後端側へ向かって凹む複数(4つ)の凹部16が形成されている。4つの凹部16のうちの1つは、他の凹部16よりも大きい第1凹部16Aであり、他の3つの凹部16は、第1凹部16Aよりも小さい第2凹部16B,第3凹部16C及び第4凹部16Dである。これら3つの第2凹部16B,第3凹部16C及び第4凹部16Dは、互いに等しい形状及び大きさで形成されている。
これら第1凹部16Aと、第2凹部16B,第3凹部16C及び第4凹部16Dとは、切削ヘッド本体11の外周縁側に配置され、貫通孔13から径方向外側に離れた位置にそれぞれ配置されている。
径方向における第1凹部16Aと貫通孔13との間の距離L3は、第1凹部16Aの径方向の幅Wよりも大きい(W<L3)。
なお、この構成に限られず、上述した工具本体1側の第2凸部4B、第3凸部4C及び第4凸部4Dが、径方向において取付穴6に達する構造とされている場合は、第2凹部16B,第3凹部16C及び第4凹部16Dは、径方向において貫通孔13に達する構造としてもよい。
第1凹部16A、第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dの軸方向における深さは互いに等しく、各々の底面162bが軸方向で一致し、軸方向に垂直な同一平面上に位置している。
切削ヘッド本体11側に形成された第1凹部16Aは、工具本体1側に形成された第1凸部4Aを挿入させるべく、第1凸部4Aよりも僅かに一回り大きく形成されている。また、切削ヘッド本体11側に形成された複数の第2凹部16B~16Dは、工具本体1側に形成された複数の第2凸部4B~第4凸部4Dをそれぞれ挿入させるべく、これら第1凸部4A及び第2凸部4B~4Dよりも僅かに一回り大きく形成されている。
切削ヘッド本体11の第1凹部16A内に工具本体1の第1凸部4Aが挿入可能である。また、切削ヘッド本体11の第2凹部16B内には工具本体1の第2凸部4Bが挿入可能であり、切削ヘッド本体11の第3凹部16C内には工具本体1の第3凸部4Cが挿入可能であり、切削ヘッド本体11の第4凹部16D内には工具本体1の第4凸部4Dが挿入可能である。
図1凹部16Aは、図12に示すように切削ヘッド本体11の軸方向の後端側から見たとき、他の第2凹部16B~16Dよりも周方向の幅が広く大きく形成されている。具体的に、第1凹部16Aは、ヘッド側当接面17の外周縁上の周方向における一方側を第1端点P11、周方向の他方側を第2端点P12とした場合、第1端点P11と切削ヘッド本体11の回転軸O1とを径方向で結ぶ第1仮想線K11と、第2端点P12と切削ヘッド本体11の回転軸O1とを径方向で結ぶ第2仮想線K12とのなす角度θが、30°≦θ≦70°となる大きさを有する。
また、図11及び図12に示すように、切削ヘッド本体11側の各凹部16も、工具本体1側の各凸部4と同様に、回転軸O1に対する径方向外側と軸方向後端側とに向かうに従い周方向に幅広となるように形成される。
第1凹部16Aは、図10に示すように、切削ヘッド本体11の側方から見たとき、工具回転方向Tを向く側面161dと、工具回転方向Tとは反対側を向く側面161cとは、軸方向後端側へ向かうに従って互いに離れるように一定の角度で傾斜している。側面161d及び側面161cの回転軸O1に対する傾斜角度は互いに等しい。
また、第1凹部16Aは、図12に示すように、切削ヘッド本体11の軸方向の後端側から見たとき、側面161d及び側面161cは、径方向外側へ向かうに従って互いに離れる方向へ一定の角度で傾斜している。側面161d及び側面161cの径方向に対する傾斜角度は互いに等しい。
つまり、各凹部16の底面161bにおける周方向の長さと、各凹部16の先端面(切削ヘッド本体11のヘッド側当接面17に位置する仮想面)における周方向の長さは、それぞれ、回転軸O1に対する径方向外側に向かうに従い長くなるように形成されている。
第1凹部16Aよりも小さい3つの第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dは、図12に示すように、切削ヘッド本体11の側方から見たとき、工具回転方向Tを向く側面162dと、工具回転方向Tとは反対側を向く側面162cとは、軸方向後端側へ向かうに従って互いに離れるように一定の角度で傾斜している。側面161d及び側面161cの回転軸O1に対する傾斜角度は互いに等しい。
これら3つの第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dは、図12に示すように、切削ヘッド本体11の中心軸O1の軸回りに互いに所定の間隔をおいて配置されている。具体的に、第1凹部16Aから工具回転方向Tに向かって、第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dがこの順に配置されている。これら4つの第1凹部16A~第4凹部16Dは、周方向に互いに略等しい間隔をおいて配置されている。
図12に示すように、周方向において、第1凹部16Aの中心位置と、その他の第2凹部16B~16Cの中心位置とは、第1凹部16Aの中心位置と、切削ヘッド本体11(貫通孔13)の中心軸O1と、を通る直線N1を基準としたときに、線対称になるよう配置されている。
中心軸O1(貫通孔13)を介して第1凹部16Aと径方向反対側には第3凹部16Cが配置されており、径方向において、第1凹部16Aと第3凹部16Cとが貫通孔13を介して互いに対向している。つまり、第1凹部16Aの周方向の中心位置と、前記第3凹部16Cの周方向の中心位置とが径方向で一致し、それぞれが直線N1上に位置する。
工具回転方向Tにおいて、第1凹部16Aと第3凹部16Cとの間に第2凹部16Bが配置されているとともに、第3凹部16Cと第1凹部16Aとの間に第4凹部16Dが配置され、径方向において第2凹部16Bと第4凹部16Dとが貫通孔13を介して互いに対向している。第2凹部16Bの中心位置と、第4凹部16Dの中心位置とを径方向に通る直線N2は、上記直線N1に直交する。
よって、本実施形態では、第1凹部16A~第4凹部16Dの中心位置が、周方向において互いに90°となる間隔で配置されている。
図12に示すように、切削ヘッド本体11の後端面のうち、これら4つの凹部16と貫通孔13の開口部とを除く部分は、回転軸O1に垂直な平面状とされており、本実施形態におけるヘッド側当接面17とされている。切削ヘッド本体11のヘッド側当接面17の外周縁17aは、回転軸O1を中心とする円周上に位置する。
切削ヘッド本体11は、超硬合金等の硬質材料により形成され、粉末冶金技術の基本的な工程に沿って製造される。すなわち、切削ヘッド本体11が超硬合金製の場合は、まず炭化タングステン粉末とコバルト粉末を主成分として、必要に応じてクロムやタンタル等を副成分とする顆粒状の造粒粉末を用いて、金型を用いた粉末プレス成形を行う。
得られたプレス成形体は、適切な雰囲気と温度に制御された焼結炉内で所定の時間焼結することにより、切削ヘッド本体11となる焼結体を製造することができる。切削ヘッド本体11の基本的形状は前記金型の設計により反映される。さらに、切削ヘッド本体11の貫通孔13の内径や、刃先形状の高精度化を図るために、必要に応じて切削工具や研削砥石を用いた機械加工を施すこともある。
このような切削ヘッド本体11は、図4A及び図3に示すように、ヘッド側当接面17に、工具本体1の本体側当接面5が当接して密着することにより、回転軸O1に関して同軸に取り付けられる。そして、このように取り付けられた状態で、これら本体側当接面5とヘッド側当接面17とは、図4Bに示すように、ヘッド側当接面17の外周縁17aが、本体側当接面5の外周縁5aよりも径方向外側に突出している。ここで、本実施形態では、本体側当接面5の外周縁5aに対するヘッド側当接面17の外周縁17aの径方向の突出量Pは、0.05mm~0.8mmの範囲内とされている。
工具本体1に対して、切削ヘッド本体11を回転軸O1に同軸に取り付けるために、本実施形態では図4A、図5及び図6に示すようなクランプネジ21が用いられる。このクランプネジ21は、切削ヘッド本体11を形成する超硬合金等よりも硬度が低く、工具本体1と同等または工具本体1よりも硬度の低い鋼材のような金属材料により形成されたものである。クランプネジ21は、円板状の頭部22と、この頭部22の後端側に延びる円柱状の軸部23と、この軸部23のさらに後端側に延びる雄ネジ部24と、を備えている。
クランプネジ21は、切削ヘッド本体11の貫通孔13に挿入されて工具本体1に取り付けられる。クランプネジ21の頭部22は、切削ヘッド本体11の貫通孔13における挿通孔13a及びテーパー孔13bよりも大きな外径であるとともに、頭部収容孔13cよりも小さな外径を有する。
頭部22の外周面は、中心軸O2を中心とし、先端側に向かうに従い僅かに拡径するテーパー状とされている。図1に示すように、頭部22の先端面には、レンチ等の作業用工具が係合可能な係合孔22aが形成されている。
クランプネジ21の軸部23は、工具本体1の取付穴6に嵌め入れ可能な外径とされ、雄ネジ部24が、工具本体1のネジ孔3にねじ込み可能とされている。
切削ヘッド本体11は、最も大きい第1凹部16Aに、工具本体1側の最も大きい第1凸部4Aが挿入されるとともに、第1凹部16Aよりも小さい第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dに、工具本体1の第2凸部4B~4Dが挿入される。第2凹部16Bには第2凸部4Bが挿入され、第3凹部16Cには第3凸部4Cが挿入され、第4凹部16Dには第4凸部4Dが挿入される。
切削ヘッド本体11は、上述のようにヘッド側当接面17に、工具本体1の本体側当接面5が当接して密着させられた状態で、貫通孔13を通して、工具本体1の回転軸O1に対して偏心した取付穴6にクランプネジ21が挿入されることで、例えば、切削ヘッド本体11における第1凹部16Aの内面161a(図10及び図12)が、第1凹部16Aに噛み合う工具本体1における第1凸部4Aの内面41a(図7)に当接していてもよい。
また、クランプネジ21がその係合孔22aに係合された作業用工具によって回転させられることにより、少なくとも、第1凹部16Aの工具回転方向Tとは反対側を向く側面161cに、第1凸部4Aの工具回転方向Tを向く側面41cが当接させられる。
このとき、他の第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dにおいても、工具回転方向Tとは反対側を向く各側面162aに、第2凸部4B~4Dの工具回転方向Tを向く各側面41dが当接していてもよい。
このようにして、クランプネジ21の雄ネジ部24が、工具本体1の挿入孔2のネジ孔3にねじ込まれることにより、工具本体1の先端部に切削ヘッド本体11が着脱可能に取り付けられる。
このように構成された本実施形態のヘッド交換式切削工具100においては、工具本体1に対して切削ヘッド本体11を取り付ける際、切削ヘッド本体11に形成された第1凹部16Aに工具本体1に形成された第1凸部4Aを挿入させるようにして取り付けることによって、切削ヘッド本体11における他の第2凹部16B,16C,16D内に、工具本体1側の第2凸部4B,4C,4Dがそれぞれ挿入されることになる。このように、1つだけ大きな凹凸を設けた構成とすることにより、第1凸部4Aは第1凹部16Aにしか噛み合わないため、工具本体1に対する切削ヘッド本体11の径方向における高い位置決め精度が得られる。よって、切削加工時に切削ヘッド本体11の切刃12が摩耗して、新しい切削ヘッド本体11を工具本体1へ取り付ける際には、その都度、径方向の位置決めを安定して行うことができる。
また、製造時において、切削ヘッド本体11および工具本体1に異なる大きさの凹凸部を備える為、第1凸部4A及び第1凹部16Aどうしの噛み合い精度を高めておけば、工具本体1に対する切削ヘッド本体11の取付精度が高められる。さらに、第1凸部4A及び第1凹部16Aの噛み合い精度を調整することで、切削ヘッド本体11と工具本体1との取付け精度を微調整できる。この際、細かい加工を要するが、第1凸部4Aと当該第1凸部4Aが挿入される第1凹部16Aとだけに加工を施せばよいため作業が容易であるとともに精度が出しやすく、これら第1凸部4A及び第1凹部16Aの噛み合い精度だけで切削ヘッド本体11と工具本体1と取付精度を高めることができる。
また、本実施形態のヘッド交換式切削工具100においては、クランプネジ21によって切削ヘッド本体11が工具本体1に取り付けられた状態、すなわち、クランプネジ21の雄ネジ部24が工具本体1における取付穴6のネジ孔3にねじ込まれた状態において、クランプネジ21は、その中心軸O2が工具本体1の回転軸O1に対して径方向へズレており、第1凸部4A側に偏った位置に配置される。また、切削ヘッド本体11の中心軸(貫通孔13の中心)は、工具本体1の回転軸O1に一致することから、上記貫通孔13に対しても、クランプネジ21はその中心軸O2が径方向で第1凹部16A側にズレた位置に配置されることとなる。
つまり、本実施形態では、図4Aに示すように、工具本体1の回転軸O1に対して偏心した取付穴6にクランプネジ21を取り付けることで、クランプネジ21によって切削ヘッド本体11を径方向外側(第1凹部16A側)に押した状態となり、例えば、切削ヘッド本体11側の第1凹部16Aの内面161aが、工具本体1側の第1凸部4Aの内面41aに当接して密着する。このように、切削ヘッド本体11を工具本体1の一部に寄せて取り付けることで、取付位置精度の高い工具が得られる。
また、切削加工時に切削ヘッド本体の切刃に大きな切削負荷が作用しても、周方向に幅の広い第1凹部と、これに嵌合する工具本体側の第1凸部とによって受け止めることができる。すなわち、最も大きい凹凸部同士が嵌合することで、切削時の強度を十分に確保することができる。
また、工具本体1において、最も大きく周方向に幅の広い第1凸部4Aと、切削ヘッド本体11において最も大きく周方向に幅の広い第1凹部16Aとが、工具本体1の回転軸O1側から径方向外側に向かうに従い周方向に幅広となるように形成されているので、特に切削加工時の切削トルクによって大きな回転モーメントが作用する切削ヘッド本体11の外周側において、高い取付強度や取付剛性を確保して切削ヘッド本体11を工具本体1に取り付けることができる。これにより、切削時の強度を十分に確保することができる。
なお、互いに噛み合う第1凸部4A及び第1凹部16Aのうち、第1凸部4Aの工具回転方向Tを向く側面41cと、第1凹部16Aの工具回転方向Tとは反対側を向く側面161cとは、切削加工時に切削ヘッド本体11の切刃12に作用する切削トルクによる回転モーメントを受ける受け面となる。
従って、これらの側面41c、161cを回転軸O1に対する半径方向に沿って延びるように形成することにより、側面41c、161cを当接させた状態で切削加工を行ったときに切刃12に過大な切削負荷が作用しても、切削ヘッド本体11を回転軸O1に対する径方向外側に引っ張るような引っ張り応力や、逆に回転軸O1に対する径方向内周側に圧縮するような圧縮応力が作用するのを避けることができ、切削ヘッド本体11に破損が生じるのを防止することができる。
なお、側面41c、161cが回転軸O1に対する半径方向に沿って延びるとは、側面41c、161cが回転軸O1を含む平面に対して一定の角度で傾斜していて、回転軸O1に垂直ないずれかの断面において側面41c、161cが回転軸O1に対する半径方向に延びる部分を有していればよい。
図12に示すように、切削ヘッド本体11の第1凹部16Aは、第1端点P11と切削ヘッド本体11の回転軸O1とを径方向で結ぶ第1仮想線K11と、第2端点P12と切削ヘッド本体11の回転軸O1とを径方向で結ぶ第2仮想線K12とのなす角度θが、30°≦θ≦70°となる大きさを有する。角度θが30°未満の場合は、切削時の撓みによる工具径変化が生じやすい。角度θが70°を超えると、着座面積が小さくなり剛性の大幅な向上は見込めない。よって、切削ヘッド本体11における第1凹部16Aの大きさを、角度θが上記範囲内となるように設定することによって、工具本体1に対する着座面積を確保しつつ工具剛性を高めることが可能である。
このように、切削ヘッド本体11を工具本体1に回り止めして取り付けることができるのは勿論、切削加工時に切削ヘッド本体11の切刃12に大きな切削負荷が作用しても、切削ヘッド本体11にガタつきが生じるのを防ぐことができる。従って、前記構成のヘッド交換式切削工具、切削ヘッド本体11、および工具本体1によれば、高い加工精度や優れた加工面粗さを得ることが可能となる。
また、仮に、第1凸部4A及び第1凹部16Aに破損等が生じた場合であっても、工具本体1の外周に形成された複数の第2凸部4B,第3凸部4C及び第4凸部4Dと、切削ヘッド本体11の外周に形成された複数の第2凹部16B,第3凹部16C及び第4凹部16Dとにおいて、切削加工時の回転モーメントを受けることができる。
また、本実施形態では、第1凹部16A以外の第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dは全て同じ大きさとなっているが、これに限られず、第1凹部16Aよりも小さい形状であれば、これら第2凹部16B、第3凹部16C及び第4凹部16Dの一部または全てが異なる大きさであってもよい。
また、本実施形態では、切削ヘッド本体11における少なくとも第1凹部16Aが貫通孔13から径方向に間隔をあけて形成されているとともに、工具本体1における少なくとも第1凸部4Aが取付穴6から径方向に間隔をあけて形成されているので、切削時における回転モーメントを最も多く受ける第1凸部4Aがクランプネジ21に干渉するのを防ぐことができる。
また、本実施形態では、ヘッド側当接面17と本体側当接面5とが当接して密着した部分において、切削ヘッド本体11を支持することができる。このため、切削ヘッド本体11の径方向における第1凹部16Aと貫通孔13との間の距離が、第1凹部16Aの径方向の幅よりも大きい構成とすることで、貫通孔13の周囲のヘッド側当接面17の平面が多く存在することになるので、切削ヘッド本体11と工具本体1とが当接して密着する着座面積が増えて取付強度や取付剛性が向上する。したがって、切削ヘッド本体11のガタつきが防止されて、切削工具としての耐久性が向上する。
また、本実施形態において、工具本体1における先端面の本体側当接面5と、切削ヘッド本体11における後端面のヘッド側当接面17とは、ヘッド側当接面17の外周縁が、本体側当接面5の外周縁よりも径方向外側に突出した構成となっている。この構成によれば、本体側当接面5とヘッド側当接面17とにおいて、ヘッド側当接面17の外周縁が、本体側当接面5の外周縁よりも径方向外周側に突出しているので、切削ヘッド本体11のヘッド側当接面17の外周縁が工具本体1の本体側当接面5の外周縁から僅かにずれて取り付けられても、このずれ量がヘッド側当接面17の外周縁が突出した範囲内であれば、ヘッド側当接面17の外周縁から本体側当接面5の外周縁が径方向外周側にはみ出ることがない。
上述したように、本体側当接面5の外周縁5aに対するヘッド側当接面17の外周縁17aの回転軸O1に対する半径方向の突出量(本体側当接面5の外周縁5aのヘッド側当接面17の外周縁17aに対する回転軸O1に対する径方向内周側への後退量)Pが、0.05mm~0.8mmの範囲内とされているので、本体側当接面5の外周縁5aを確実にヘッド側当接面に内包するとともに、本体側当接面5の外周縁5aとヘッド側当接面17の外周縁17aとが一致している場合の工具本体1の撓み量が許容できる範囲となり、このような新しい切削ヘッド本体11の取付精度や取付強度を確実に維持しつつ、高精度で円滑な切削加工を行うことができる。
すなわち、この突出量Pが0.05mmを下回ると、切削ヘッド本体11のずれ量によっては、ヘッド側当接面17の外周縁17aの食い込み等によって本体側当接面5が傷付けられるのを防ぐことができなくなるおそれがある。
一方、この突出量Pが0.8mmを上回るほど大きいと、切削加工時の切削負荷のうち回転軸O1に垂直な分力による工具本体1の撓み量が過大となり、振動の発生による被削材の加工精度や加工面粗さが低下するおそれがある。さらに、切削加工によって生成された切屑が外周側に大きく突出したヘッド側当接面17の外周縁17aに引っ掛かって、円滑な切削加工が妨げられるおそれがある。
さらに、本実施形態では、本体側当接面5の外周縁5aとヘッド側当接面17の外周縁17aとが、ともに回転軸O1を中心とした円周上に位置していて、すなわち同心円周上に配置されており、工具本体1の先端面と切削ヘッド本体11の後端面の全周に亙って上述のような突出量Pが確保されている。このため、ヘッド側当接面17の外周縁17aが回転軸O1に対する径方向のいずれの外周側にずれて取り付けられても、本体側当接面5が傷付けられるのを防ぐことができ、さらに確実に切削ヘッド本体11の取付精度や取付強度を維持することが可能となる。
上述したように、本実施形態の切削ヘッド本体11及び工具本体1によれば、切削ヘッド本体11側の第1凹部16Aと、工具本体1側の第1凸部4Aとの噛み合い精度を高めておくことによって、切削ヘッド本体11を工具本体1に取り付ける際に、切削ヘッド本体11側の第1凹部16A内に、工具本体1側の第1凸部4Aを挿入させるだけで、工具本体1に対する切削ヘッド本体11の取り付け位置精度を高めることができる。
また、切削加工時に切削ヘッド本体11の切刃12に大きな切削負荷が作用しても、周方向に幅の広い第1凹部16A及び第1凸部4Aによって受け止めることができるので、工具本体1に対する切削ヘッド本体11の取付強度を確保することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
例えば、工具本体1及び切削ヘッド本体11における凸部4及び凹部16の数や大きさは、ヘッド交換式切削工具100の全体的な大きさに応じて決定してもよい。
つまり、上記実施形態では、工具本体1に4つの凸部4が形成されているとともに、切削ヘッド本体11に4つの凹部16が形成された構成となっているが、このような構成に限らない。
切削ヘッド本体11には、第1凹部16Aと、これよりも小さい凹部が少なくとも1つ以上形成されていればよく、第1凹部16Aよりも小さい凹部の数は問わない。工具本体1においても、第1凸部4Aと、これよりも小さい凸部が少なくとも1つ以上形成されていればよく、切削ヘッド本体11側との凹凸構造が対応していれば、第1凸部4Aよりも小さい凸部の数は問わない。
例えば、第1凹部16Aと、これよりも小さい2つの第2凹部16B及び第3凹部16Cとを周方向に等間隔に配置してもよい。これら3つの第1凹部16A、第2凹部16B及び第3凹部16Cは、各々の周方向における中心位置が互いに120°の間隔で配置されている。
また、例えば、第1凹部16Aよりも小さい凹部は1つだけでもよく、第1凹部16Aとこれよりも小さい第2凹部16Bとをそれぞれ1つずつ設けた構成としてもよい。第1凹部16A及び第2凹部16Bは、工具本体1の径方向で互いの周方向の中心位置が一致するよう、180°の間隔で配置されている。
また、ヘッド交換式切削工具100が大きい場合には、1つの第1凹部16Aと、これよりも小さい凸部を4つ以上設けた構成としてもよい。
1…工具本体、4A…第1凸部、4B…第2凸部(凸部)、4C…第3凸部(凸部)、4D…第4凸部(凸部)、5…本体側当接面、5a…工具本体の外周縁、17a…切削ヘッド本体の外周縁、6…取付穴、11…切削ヘッド本体、12…切刃、13…貫通孔、16A…第1凹部、16B…第2凹部(凹部)、16C…第3凹部(凹部)、16D…第4凹部(凹部)、17…ヘッド側当接面、21…クランプネジ(ネジ)、100…ヘッド交換式切削工具、K11…第1仮想線、K12…第2仮想線、L1,L2,L3…距離、M1,M2,N1…直線、O1…回転軸(第1の中心軸)、O2…中心軸(第2の中心軸)、P12…第2端点、P11…第1端点、W…第1凹部の径方向の幅、θ…角度

Claims (10)

  1. 第1の中心軸を中心とした円盤状を呈し、
    前記第1の中心軸を中心として軸方向に貫通する貫通孔と、
    前記軸方向の先端側に形成された切刃と、
    前記軸方向の後端側に形成された1つの第1凹部と、前記第1凹部よりも小さい凹部を1つ以上備え、
    前記第1凹部は、後端側のヘッド側当接面の外周縁上の周方向における一方側を第1端点、他方側を第2端点とした場合に、
    前記第1端点と前記第1の中心軸とを径方向で結ぶ第1仮想線と、
    前記第2端点と前記第1の中心軸とを径方向で結ぶ第2仮想線と、のなす角度θが、
    30°≦θ≦70°となる大きさを有する、
    切削ヘッド本体。
  2. 前記第1凹部は、前記切削ヘッド本体の後端側に向かうに従って周方向に幅広となるように形成されている、
    請求項1に記載の切削ヘッド本体。
  3. 前記第1凹部は、前記貫通孔から径方向の外側に離れた位置に配置される、
    請求項1または2に記載の切削ヘッド本体。
  4. 径方向における前記第1凹部と前記貫通孔との間の距離は、前記第1凹部の径方向の幅よりも大きい、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の切削ヘッド本体。
  5. 前記第1凹部と、その他の前記凹部とは、
    周方向において、前記第1凹部の中心位置と、前記第1の中心軸とを通る直線を基準としたときに、線対称になるように配置されている、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の切削ヘッド本体。
  6. 前記第1凹部は、前記第1の中心軸に対する径方向の外側に向かうに従って前記周方向に幅広となるように形成されている、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の切削ヘッド本体。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の切削ヘッド本体における後端側のヘッド側当接面に当接する本体側当接面と、前記切削ヘッド本体に備わる前記第1凹部に対応する第1凸部と、前記第1凹部よりも小さい前記凹部に対応する凸部と、を備えることを特徴とする工具本体。
  8. 請求項7に記載の工具本体と、前記切削ヘッド本体とは、ネジによって着脱可能に取り付けられたヘッド交換式切削工具であって、
    前記切削ヘッド本体及び前記工具本体は、前記工具本体の先端側の前記本体側当接面が、前記切削ヘッド本体の後端側の前記ヘッド側当接面に当接して密着することによって取り付けられることを特徴とする、
    ヘッド交換式切削工具。
  9. 前記本体側当接面と前記ヘッド側当接面とは、前記ヘッド側当接面の外周縁が、前記本体側当接面の外周縁よりも径方向外側に突出している、
    請求項8に記載のヘッド交換式切削工具。
  10. 前記工具本体には、前記本体側当接面に開口し、前記第1の中心軸に対して前記第1凹部に近い第2の中心軸を有する取付穴が形成され、
    前記切削ヘッド本体の前記貫通孔の直径は、前記ネジの直径と、前記第1の中心軸と前記第2の中心軸との距離と、を合わせた寸法よりも大きい、
    請求項8または9に記載のヘッド交換式切削工具。
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