JP2022092616A - ミノガの採卵器並びにそれを用いたミノガの交配方法及び採卵方法 - Google Patents

ミノガの採卵器並びにそれを用いたミノガの交配方法及び採卵方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022092616A
JP2022092616A JP2021200599A JP2021200599A JP2022092616A JP 2022092616 A JP2022092616 A JP 2022092616A JP 2021200599 A JP2021200599 A JP 2021200599A JP 2021200599 A JP2021200599 A JP 2021200599A JP 2022092616 A JP2022092616 A JP 2022092616A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
egg
bagworm
female
moth
mating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021200599A
Other languages
English (en)
Inventor
太陽 吉岡
Taiyo Yoshioka
良子 一木
Ryoko ICHIKI
恒徳 亀田
Tsunenori Kameda
隆行 松田
Takayuki Matsuda
惇 伊藤
Atsushi Ito
章宗 浅沼
Akimune Asanuma
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kowa Co Ltd
National Agriculture and Food Research Organization
Original Assignee
Kowa Co Ltd
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kowa Co Ltd, National Agriculture and Food Research Organization filed Critical Kowa Co Ltd
Publication of JP2022092616A publication Critical patent/JP2022092616A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Abstract

【課題】ミノガの簡便、かつ効率的な交配方法、及びそれを実行するための装置を開発し、提供することである。また、ミノガから容易に採卵する方法を開発し、提供することである。【解決手段】管状容器からなるミノガの採卵器、及びそれを用いたミノガの交配方法と採卵方法を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、ミノガの採卵器並びにそれを用いた簡便、かつ効率的なミノガの交配方法及
び採卵方法に関する。
ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の幼虫であるミノムシ(bag worm)は、吐糸した糸で
葉片や枝片を絡めて作製した紡錘形又は円筒形の巣(Bag nest)の中に潜み、摂食の際も
巣ごと移動する等、全幼虫期を巣と共に生活する。このミノムシが吐糸するミノムシ絹糸
は、極めて有用性の高い新規動物性天然繊維として、近年、注目を集めている(特許文献
1及び非特許文献1)。
ミノムシ絹糸を産業化する上で、ミノムシの大量飼育及び累代飼育等の飼育技術の確立
は不可欠である。しかし、ミノムシ絹糸産業は黎明期を迎えたばかりであり、飼育技術は
未だ開発途上にある。ミノムシの入手は、専ら野外採集に依存しており、ミノムシ絹糸の
産業化における大きな障害となっている。それ故に、ミノガの人工交配技術及び産卵技術
の開発は急務となっている。ミノムシ飼育には、同じチョウ目の幼虫であり、既に養蚕業
で確立されたカイコの飼育技術を適用することが考えられるが、ミノガの交尾様式と産卵
様式は、カイコガのそれと著しく異なるため適用することができない。
カイコガの場合、雌成虫個体(本明細書では、しばしば「雌蛾」と表記する)と雄成虫
個体(本明細書では、しばしば「雄蛾」と表記する)が接触可能となるように、羽化後の
雌雄の蛾を箱等の制限された空間内に入れるだけで自然交尾を誘導することができる。ま
た、雌雄の蛾の腹部末端を人為的に強制接触させて交尾を成立させるハンドペアリング法
により、人工交配することも可能である。さらに、交尾後の雌蛾を紙の上に配置すれば、
雌蛾は後食することなく、紙上に産卵を開始するため、採卵は産卵後の紙を回収するだけ
で足り、非常に容易である。
一方、ミノガの場合、多くの種で成虫の形態が雌雄で著しく異なる。雄蛾はいずれの種
も一般的な蛾の形態を有しているが、雌蛾は一見すると蛾とは認識できない極めて特異な
形態を有している。特に、オオミノガやチャミノガ等のようにミノガ科(Psychidae)の
中で進化的に新しい種では、雌蛾は運動器官や感覚器のほとんどを退化させており、翅、
脚、複眼、触覚、口器等を失った蛆虫様の形態を有する(図1A-a)。
また、ミノガは、幼虫から蛹への変態時に、カイコのような繭を作製せずに幼虫期に過
ごした巣の中で蛹化する。前蛹期に巣の中で頭部を巣の下方に向けて逆さ状態で蛹化し、
羽化した雄蛾は巣下端に穴を開けて脱出するが、雌蛾は羽化後も蛹殻(図1A-b)を脱ぎ
捨てず、また移動能力を完全に喪失しているため外界に出ることなく一生を巣内で終える
上記のような特殊な生態のため、ミノガの交尾様式や産卵様式も極めて特異である。雌
蛾は、巣の下端開口部から頭部を出して性フェロモンを放出し、それに誘引された雄蛾は
、雌蛾が潜む巣(図1B-c)に到達後、交尾のため巣の下端開口部より腹部を挿入する
(図1B-d)。ところが、雌蛾の交尾孔は巣の最奥部の、しかも蛹殻内部に位置してい
る。そこで、雄蛾は、腹部を伸長して巣内の雌蛾腹部と蛹殻との間に差し込み、さらに雌
蛾腹部先端の交尾孔を探り当てて交尾を成立させる(図1C)。交尾後の雌蛾は蛹殻内に
産卵し、卵は孵化まで前記蛹殻内で保持される。
ミノガも人工交配は可能である。ただし、カイコガのようなハンドペアリング法ではな
く、雌蛾が潜む巣の下端開口部に雄蛾の腹部を人為的に差し込む方法が用いられているに
過ぎない(非特許文献2)。この方法は、巣内の雌蛾の状態を把握できないだけでなく、
雌蛾の交尾孔の位置が巣の外部から確認できないため、雄蛾の交尾器を雌蛾の交尾孔に的
確に誘導できず、交尾効率が非常に低いという問題があった。また、交尾の成立と解除も
目視で確認できないため、交尾が未成立でもペアリングを解除してしまい受精卵を採取で
きない問題や、逆に交尾中の個体の強制的なペアリング解除によって雌の交尾孔を損傷さ
せてしまう等の問題があった。さらに、産卵の有無も巣の外部からは確認できず、交配後
の雌蛾の巣を切り開き、蛹殻内部の卵塊を確認なければならなかった。もしも、産卵前に
開巣した場合には、再度の採卵ができないという問題もあった。
WO2019/003364
大崎茂芳, 2002, 繊維学会誌(繊維と工業), 58: 74-78 澤田定広, 荒川良, 2002, Jpn.J.Ent(NS),5(4):111-119
本発明の課題は、ミノガの簡便、かつ効率的な交配方法、及びそれを実行するための装
置を開発し、提供することである。
本発明の課題は、ミノガから容易に採卵する方法、及び初齢ミノムシを大量に調製する
方法を開発し、提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、まず、X線装置を用いて蛹殻内部を透視す
る方法を開発した。この方法であれば巣の外部からであっても巣内、及び蛹殻内の様子を
観察できる。しかし、X線装置は機材の搬入、及び設置が非常に煩雑な上に、透視の実行
までに時間や手間を要する。また、装置のみならずランニングコストも非常に高額な上、
X線照射による生体や細胞への影響も排除できない。したがって、効率面やコスト面にお
いて事業実施をする上で、現実的とはいえなかった。
続いて、本発明者らはミノガの雌蛾を巣及び蛹殻から取り出した後、その雌蛾と雄蛾の
腹部末端を直接接触させる強制交尾を試みた。カイコガの場合、雄蛾の腹部末端にある把
握器をピンセット等で開いて雌蛾の腹部末端を把持させることで強制的に交尾を成立させ
ることができる。ところが、ミノガの雄蛾は、把握器のような雌の腹部を把握する形状の
器官を持たない。そのため、カイコガのようなハンドペアリング法では交尾成功率が極め
て低かった。
そこで、雌蛾を巣から取り出した後、蛹殻を保持した状態で交配を行った。その結果、
非常に高い確率で交尾が成立した。これにより、ミノガの交尾には巣は必要ないが、雌蛾
が蛹殻を保持していることが重要なことが明らかとなった。また、この蛹殻は人工物であ
っても天然の蛹殻と同様の効果を有することがわかった。それ故に、透明素材や複数の微
細孔を有する不透明素材の疑似蛹殻を用いれば、雌蛾の交尾孔の位置を外部から確認でき
るので、角度や向きを微調整して、雄蛾の交尾器を的確に雌蛾の交尾孔に誘導することが
できる。さらに、交尾の成立や解除、及び産卵の有無も目視で確認できる。これによって
、交尾過程が観察でき、交尾成功率や採卵効率を飛躍的に向上させることが可能となった
。また、人工蛹殻内に着脱可能な補助部材を配置することで、人工蛹殻からの卵の取り出
しが容易になる。さらに、人工蛹殻に通気孔を備えることで、人工蛹殻内の卵が蒸れやカ
ビの発生を抑えることができる。加えて、得られた卵の洗浄処理が容易になるため、除菌
や消毒により経卵伝染を防除することができる。本発明は、それらの新規知見に基づくも
のであり、以下を提供する。
(1)管状容器からなるミノガの採卵器であって、ミノガ雌成虫が嵌合する内径を有す
る挿入孔、前記雌成虫の腹部の全部又は一部を収容可能な収容部、及び産卵後の卵を保持
する保卵部を有する前記採卵器。
(2)前記保卵部が通気手段を有する、(1)に記載の採卵器。
(3)前記保卵部がその内部に産卵後の卵を収容及び回収するための着脱可能な受卵手
段を有する、(1)又は(2)に記載の採卵器。
(4)前記挿入孔を塞ぐ蓋部を有する、(1)~(3)のいずれかに記載の採卵器。
(5)前記管状容器の全部又は一部が透明素材又は透光性素材で構成されている、(1
)~(4)のいずれかに記載の採卵器。
(6)前記受卵手段が透明素材又は透光性素材からなる薄層フィルムで構成されている
、(3)に記載の採卵器。
(7)前記挿入孔が上方を向くように前記採卵器を配置する採卵台を備える、(1)~
(6)のいずれかに記載の採卵器。
(8)ミノガの交配方法であって、ミノガ雌成虫個体を(1)~(7)のいずれかに記
載のミノガの採卵器の挿入孔に腹部末端から挿入し、その腹部を前記挿入孔に嵌合させる
嵌合工程、及び前記挿入孔と前記雌成虫個体腹部の間にミノガ雄成虫個体の腹部末端を挿
入して交尾させる交尾工程を含む前記交配方法。
(9)前記ミノガは、雌成虫個体が無翅無脚形態種である、(8)に記載の交配方法。
(10)前記雌成虫個体が未交尾個体である、(8)又は(9)に記載の交配方法。
(11)ミノガの採卵方法であって、巣及び蛹殻から分離したミノガ雌成虫個体を(1
)~(7)のいずれかに記載のミノガの採卵器の挿入孔に腹部末端から挿入し、その腹部
を前記挿入孔に嵌合させる嵌合工程、前記挿入孔と前記雌成虫個体腹部の間にミノガ雄成
虫個体の腹部末端を挿入して交尾させる交尾工程、及び前記採卵器の保卵部内に産卵させ
る産卵工程を含む前記採卵方法。
(12)産卵工程後の雌個体を除去する雌除去工程をさらに含む、(11)に記載の採
卵方法。
(13)初齢ミノムシの調製方法であって、(11)又は(12)に記載のミノガの採
卵方法で得られたミノガの卵を前記保卵部内で保温する保温工程、及び孵化した初齢ミノ
ムシを回収する初齢ミノムシ回収工程を含む前記調製方法。
(14)初齢ミノムシの調製方法であって、(11)又は(12)に記載のミノガの採
卵方法で得られたミノガの卵を前記保卵部から回収する卵回収工程、及び回収した卵を保
温する保温工程を含む前記調製方法。
本発明のミノガ採卵器を用いたミノガの交配方法によれば、ミノガの簡便、かつ効率的
な人工交配が可能となる。
本発明のミノガ採卵器を用いたミノガの採卵方法によれば、ミノガの卵を容易、かつ大
量に入手することができる。
本発明のミノガ初齢ミノムシの調製方法によれば、初齢ミノムシを簡便、かつ大量に調
製することができる。
A:巣から取り出したオオミノガの雌蛾の形態(a)及びその蛹殻(b)を示す図である。B:オオミノガの野外での交尾画像である。図中、cは雌蛾の入った巣を、またdは雄蛾を示す。C:交尾中のオオミノガの雌蛾巣内を透過した概念図である。オオミノガ等の雌蛾(0103)は、頭部(0105)を巣(0101)の開口部がある下方に向けて、巣内の蛹殻(0102)内に潜み、羽化後も幼虫期の巣内で一生を過ごす。雄蛾(0104)は、飛翔が可能であり、雌蛾が発する性フェロモンに引き寄せられて雌蛾が潜む巣に辿り着く。雌蛾の巣に到達した雄蛾は、巣下方の開口部から腹部(0106)を巣内に挿入し、腹部を伸長させながら、蛹殻の最奥部の雌蛾腹部末端の交尾孔を探り当てて、交尾器を交尾孔に挿入し、交尾が成立する。 本発明のミノガ採卵器の概念図である。本発明のミノガ採卵器に配置した時の雌蛾と産卵された卵塊を破線で示す。 本発明のミノガ採卵器を用いたオオミノガの人工交配を示す図である。A:オオミノガの雌蛾を本発明のミノガ採卵器に配置したときの図である。この図では、1.5mLチューブを改良して作製したミノガ採卵器を示している。B:Aで示した雌蛾とミノガ採卵器の間に雄蛾の腹部末端を挿入し、人工交配を行っている図である。C:本発明のミノガ採卵器で交尾中のオオミノガのペアを示す図である。図中、矢印で交尾が成立しているのがわかる。 本発明のミノガ採卵器の保卵部に産卵するオオミノガの雌蛾腹部末端(0401)と産卵された卵塊(0402)を示す図である。卵塊は平均1000~3000個の卵からなる。 本発明のミノガ採卵器を用いたオオミノガの初齢ミノムシの調製を示す図である。A:本発明のミノガの採卵方法によって採卵された大量のオオミノガの卵塊を本発明のミノガ採卵器の保卵部で保温している図である。B:本発明の初齢ミノムシの調製方法により、保温工程後に孵化したオオミノガの初齢ミノムシを示す図である。ミノガ採卵器の保卵部内の大量の初齢ミノムシの他、ミノガ採卵器外部に脱出した初齢ミノムシ(矢印)を示している。初齢ミノムシは、この後、初齢ミノムシ回収工程により回収される。この図のミノガ採卵器では、通気手段としてスポンジ栓が使用されている。 本発明のミノガ採卵器における受卵手段の構成、及びその使用概念図を示す図である。Aは受卵手段を備えた本発明のミノガ採卵器の一実施形態を示した図である。この図では、薄層フィルムを受卵手段として採卵器に内部全体に押し込んだ構成を示している。B~Dは、雌ミノガの配置(B)、産卵(C)、及び卵塊の回収(D)を図示している。Eは、ミノガ採卵器から取り外した受卵手段を広げた図で、回収した卵塊(0604)を示している。
1.ミノガ採卵器
1-1.概要
本発明の第1の態様は、ミノガの採卵器である。本発明の採卵器は、管状容器で構成さ
れている。本発明の採卵器によれば、ミノガの人工交配を容易にし、その交尾効率を向上
させるだけでなく、容易かつ安定的な採卵が可能になる。
1-2.用語の定義
本明細書で頻用する以下の用語について定義する。
「ミノガ」とは、チョウ目(Lepidoptera)ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の総称を
いう。本明細書では、特段の断りのない限り、ミノガと記載した場合には、雌雄を問わず
ミノガの成虫を指すものとする。また、本明細書では、しばしば「雌成虫(個体)」及び
「雄成虫(個体)」を、それぞれ「雌蛾」及び「雄蛾」と表記する。
本明細書で対象とするミノガの種類は限定しないが、雌蛾が無翅無脚形態種であること
が好ましい。ここで、「無翅無脚形態種」とは、雌蛾が翅や脚を退化させた形態を有する
ミノガの種をいう。この無翅無脚形態種は、さらに、複眼、触覚、口器等の感覚器も退化
させ、外部形態が蛆虫状となる種を含む。そのような無翅無脚形態種を含む属として、限
定はしないが、例えば、Eumeta、Mahasena、Metura、Thyridopteryx等に属する種が好ま
しい。具体的には、例えば、オオミノガ(Eumeta japonica)、チャミノガ(Eumeta minu
scula)、ニトベミノガ(Mahasena aurea)、saunders case moth (Metura elongatus)、
evergreen bagworm (Thyridopteryx ephemeraeformis)が挙げられる。
「ミノムシ」とは、種類、雌雄、及び齢を問わず、ミノガの幼虫の総称をいう。本明細
書において「初齢ミノムシ」とは、孵化後、最初の脱皮を行うまでの期間のミノムシをい
う。
本明細書において「(ミノムシの)巣」とは、ミノムシが営巣した巣であって、ミノム
シが自ら吐糸した絹糸とそれで綴った葉片や枝片等の素材で構成されている。巣はミノム
シの全身を包むことのできる袋状で、紡錘形、円筒形、円錐形等の形態をなす。ミノガは
、幼虫期には基本的にこの巣内に潜伏し、原則として摂食時や移動時にのみ巣の開口部か
ら虫体の一部を露出させる。また、脱皮のみならず、蛹化も巣の中で行われる。さらに、
ミノガの一部の種の雌蛾は、羽化も含め生涯を通して巣内で生活し、交尾も巣の下端開口
部を介して行われる。
本明細書において「蛹殻」とは、蛹期における外殻をいう。本明細書では、特段の断り
のない限り、ミノガの蛹殻を指す。蛹殻はクチクラで構成され、図1A-bに示すように、
ミノガの羽化脱出後も元の紡錘形状を保持した剛性を有する。通常、昆虫の蛹殻は羽化と
共に破棄されるが、ミノガの一部の種の雌蛾では、羽化後も頭部と胸部の一部を露出可能
な開口部を開けた後、蛹殻を脱ぎ捨てることなく、その内部に留まる。また、そのような
生態を有するミノガでは、蛹殻が産卵床となり、雌蛾は蛹殻内に産卵する。
1-3.構成
本発明のミノガ採卵器の構成を図2に示す。この図で示すように、本発明のミノガ採卵
器(0201)は、挿入孔(0202)、収容部(0203)、及び保卵部(0204)を必須の構成要素
として含み、蓋部(0205)又は産卵台(0206)を選択的構成要素として含む。以下、それ
ぞれの構成について、具体的に説明をする。
1-3-1.ミノガ採卵器
(1)構造
本発明のミノガ採卵器(0201)は、管状容器で構成されている。本明細書において「管
状容器」とは、管状の形状を有し、ミノガの雌成虫を収容し得る内部空間を備えた容器を
いう。また、ミノガ採卵器において、管状容器の少なくとも一端は開口しており、前記内
部空間はその開口部を介して外界と接する。
ミノガ採卵器の外部形状は、後述する収容部(0203)、保卵部(0204)、及び挿入孔(
0202)を備えた管状形状である限り、特に限定はしない。例えば、ミノガ採卵器の短軸断
面が全体にわたりほぼ同一な並行管形状(例えば、円柱形状、又は角柱形状)、短軸断面
が端部に向かって徐々に小さくなる錐体形状(例えば、紡錘形状、円錐形状、又は角錐形
状)、又はその組み合わせであってもよい。ここで「短軸断面」とは、ミノガ採卵器の長
軸に直交する短軸を含む断面をいう。本発明のミノガ採卵器は、ミノガ自身の天然蛹殻を
使用する場合を除いて、ミノガの蛹殻を模した人工蛹殻であることを鑑みれば、ミノガ採
卵器の外部形状は、天然の蛹殻に同一又は類似の形状が好ましい。例えば、紡錘形状(略
紡錘形状を含む)又は円錐形状(略円錐形状を含む)が挙げられる。又は、ミノガ採卵器
が枝分かれした管状構造であってもよい。その場合、それぞれの分岐端部に収容部(0203
)、保卵部(0204)、及び挿入孔(0202)を備えることができる。
ミノガ採卵器の大きさは特に限定はしない。長軸方向の長さは、使用するミノガの種類
、個体サイズ、及び構成する部の長さによって異なる。後述する収容部(0203)、及び保
卵部(0204)の長さを勘案し、適宜定めればよい。通常は1.5cm以上、2.0cm以上、2.5cm
以上、3.0cm以上、3.5cm以上、4.0cm以上、又は4.5cm以上、10cm以下、9cm以下、8cm以下
、7cm以下、6.5cm以下、6.0cm以下、5.5cm以下、又は5.0cm以下であればよい。一方、短
軸方向の長さ、すなわちミノガ採卵器の幅(外径)も使用するミノガの種類、個体サイズ
、及び構成する部によって異なる。後述する挿入孔(0202)、収容部(0203)、及び保卵
部(0204)における大きさを勘案し、適宜定めればよい。また、ミノガ採卵器の幅は、円
筒形のように全体で均一である必要はなく、図2で示す紡錘型のように、保卵部の上部か
ら底部に向かって徐々に短くなるように変化してもよい。挿入孔は収容するミノガ雌蛾腹
部を嵌合可能な内径を有し、かつ収容部は雌蛾腹部を収容可能な内径を有する必要がある
ため、少なくともミノガ採卵器の幅はそれらよりも長い必要がある。限定はしないが、例
えば、オオミノガのような大型種の場合、4mm~19mmの範囲、5mm~18mmの範囲、6mm~17m
mの範囲、又は7mm~16mmの範囲であればよく、チャミノガのような中型種の場合、3mm~1
5mm、4mm~12mm、又は5mm~10mmの範囲にあればよい。
ミノガ採卵器の厚さは限定しない。製造コスト、素材の剛性等を勘案し、適宜定めれば
よい。例えば、平均厚は0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、1.0
mm以上、1.2mm以上、又は1.5mm以上であればよい。好ましくは3.0mm以下、2.8mm以下、2.
5mm以下、2.2mm以下、又は2.0mm以下である。また、全体が均一な厚さであってもよいし
、部によって異なる厚さであってもよい。
(2)材質
ミノガ採卵器の材質は、特に限定はしない。天然素材又は人工素材、それらの組み合わ
せで構成されていてもよい。ここで、天然素材には、例えば、ミノガ自身の蛹殻、金属(
合金を含む)、鉱物、動物由来素材(骨、歯、牙、角、甲羅、鱗、及び角を含む)、植物
由来素材(木材、竹、茎、植物片を含む)等が挙げられる。人工素材には、例えば、合成
樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、合成ゴムを含む)、陶磁器(セラミックス、ホーロ
ーを含む)、ガラス、紙、炭素繊維等が挙げられる。また、合成樹脂には、例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、酢酸ビニル、酢酸セルロース、アクリル樹脂
、及びポリカーボネート等が挙げられる。
ミノガ採卵器の材質は、その全部又は一部が透明素材又は透光性素材で構成されている
ことが好ましい。これは、ミノガ採卵器内に収容した雌蛾の交尾孔の位置、交尾成立とそ
の解除、並びに産卵の有無を外部から目視により確認できるためである。
本明細書において「透明素材」とは、光透過率が非常に高い性質を有する素材をいう。
この性質により、素材を通して反対側がはっきりと透けて見える。透明素材の具体例とし
て、ガラス、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂等が挙げら
れる。
本明細書において「透光性素材」とは、光を透過する性質を有する素材をいう。透明素
材に比べて光透過率が低いものの、その素材を通して反対側の状態を十分に確認すること
ができる。透光性素材の具体例として、限定はしないが、ポリプロピレン等が挙げられる
一方、不透明素材や非透光性素材であっても、採卵器の収容部(0203)及び/又は保卵
部(0204)に微細な孔を設けることによって、透明素材等と同様に収容した雌蛾を外部か
ら目視することができ、同時に収容部や保卵部の通気性を向上させることができる。その
ような微細多孔素材における孔の直径は10nm~500μm、12nm~400μm、15nm~300μm、18
nm~200μm、20nm~150μm、25nm~120μm、又は30nm~100μmであればよい。孔の数は限
定しない。採卵器の収容部及び保卵部の形状、大きさ、剛性、及び内部視認度合を勘案し
、適宜定めればよい。
上記に挙げた形状、大きさ、及び材質を有し、ミノガ採卵器として利用できる管状容器
の例として、1.5mLチューブ、コニカルチューブ、遠心管等が挙げられる。
1-3-2.挿入孔
「挿入孔」(0202)は、ミノガ採卵器において、雌蛾を次述の収容部(0203)に収容す
るため管状容器に開口した孔である。ミノガの雌蛾は、羽化後に、蛹殻の頭部側に孔を開
けて、蛹殻から体の一部を露出可能な状態にする。挿入孔は、人工蛹殻のミノガ採卵器に
おいて、その開口部を模した孔となる。
挿入孔は、ミノガの雌蛾腹部と嵌合する内径を有する。挿入孔は、収容部へ挿入される
雌蛾の腹部の一部を把持可能なように構成されている。この内径は、自然界における雌蛾
の蛹殻の開口部直径と同程度でよい。通常は、収容する雌蛾の腹幅にすれば足りる。「雌
蛾の腹幅」とは、雌蛾腹部の長軸に直交する短軸を含む断面における幅である。ただし、
雌蛾の腹幅は交尾時や産卵時に膨張及び収縮させて蠕動運動を行うため一定ではない。し
たがって、挿入孔の内径は、雌蛾の平均腹幅とすればよい。「雌蛾の平均腹幅」とは、雌
蛾腹部の膨張時の腹幅と収縮の腹幅から算出される平均的な腹幅をいう。雌蛾腹部と挿入
孔を嵌合できれば足りるため、この平均腹幅は厳密な値である必要はなく概算値で良い。
雌蛾の平均腹幅はミノガ採卵器に収容直前のものであることが好ましい。雌蛾の平均腹幅
はミノガの種類や個体によっても異なるため、使用するミノガの雌蛾に合わせて適宜定め
ればよい。例えば、限定はしないが、オオミノガであれば3.0mm~15.0mm、4.0mm~12.0mm
、又は5.0mm~9.0mmであり、チャミノガであれば、2.0mm~13.0mm、2.5mm~12.5mm、又は
3.0mm~12.0mmである。したがって、本発明のミノガ採卵器の挿入孔の内径は、オオミノ
ガを使用する場合にはおおよそ9.0mm±4.0mm、9.0mm±3.0mm、又は9.0mm±2.0mmの範囲内
、またチャミノガを使用する場合には、おおよそ7.5mm±5.5mm、7.5mm±4.0mm、7.5mm±3
.0mm、又は7.5mm±2.0mmの範囲内となるようにすればよい。
挿入孔の形状は限定しないが、本発明の雌蛾腹部の断面が略円形又は略楕円形であるこ
とを鑑みれば、それと嵌合する挿入孔の形状も同様に略円形又は略楕円形であることが好
ましい。
1-3-3.収容部
「収容部」(0203)は、前記挿入孔(0202)から挿入した雌蛾の腹部を収容可能な部で
ある。収容部は、ミノガ採卵器(0201)における必須の構成要素であって、雌蛾を収容す
るための内部空間を有する。この内部空間は、人工蛹殻のミノガ採卵器においては雌蛾が
羽化後に潜む蛹殻内部の空間を模す。収容部は、ミノガ採卵器において、前記挿入孔とし
ての開口部を含み、また後述の保卵部(0204)と結合する。
本明細書において「収容する」とは、前記内部空間にミノガの雌蛾腹部の全部又は一部
を収めることをいう。
収容部の形状は特に限定はしない。前述のように人工蛹殻では、蛹殻内部を模している
ことを鑑みれば、例えば、筒状が好ましい。収容部の内径も限定されるものではないが、
収容する雌蛾の最大腹幅以下が好ましい。
収容部の内部空間は、少なくとも収容した雌蛾の腹部が蠕動運動可能な形状と大きさを
有することが好ましい。
一方、収容部の長軸の長さは、収容する雌蛾腹部以上の長さがあればよい。例えば、雌
蛾腹部の3/4を収容部に収容する場合、その長さ以上であればよい。また、雌蛾腹部の全
部を収容する場合、腹部全長以上の長さがあればよい。したがって、収容部長軸の長さは
、ミノガの種類によって異なり、収容する種の雌蛾腹部の全長から適宜勘案して決定すれ
ばよい。例えば、オオミノガの雌蛾腹部の全長は10.0mm~30.0mm、12.0mm~26.0mm、14.0
mm~24.0、16.0mm~22.0mmの範囲内であり、チャミノガであれば5.0mm~26.0mm、14.0mm
~24.0、16.0mm~22.0の範囲内である。
1-3-4.保卵部
「保卵部」(0204)は、産卵後の卵を保持する部である。保卵部は、ミノガ採卵器(02
01)における必須の構成要素であって、前記収容部(0203)と連結されて、一体化されて
いる。ただし、両者は分離可能であってもよいし、また収容部と異なる材質で構成されて
いてもよい。
保卵部は、前記収容部の下方、すなわちミノガ採卵器の底部に備えられ、産卵された卵
を、少なくとも雌蛾による産卵終了時まで、又は卵が孵化するまで保持、及び保管する。
保卵部の大きさは、卵を保持できる内部空間を有した大きさであれば特に限定はしない
。内部空間の長さは、例えば2mm以上、3mm以上、5mm以上、10mm以上、又は15mm以上、30m
m以下、25mm以下、又は20mm以下となる大きさを有していればよい。したがって、保卵部
の長さは、前記内部空間の長さ以上あればよい。
前記収容部と保卵部が一体化されている場合では、収容部に雌蛾を収容した際に雌蛾の
尾端から採卵器底部までに、通常、数mm以上の余剰空間ができる。この余剰空間を保卵部
の内部空間としてもよい。
保卵部の形状は、卵を保持できれば特に限定はしない。例えば、円錐形状、角錐形状、
丸底形状を有する器であればよい。
保卵部は、選択的手段として受卵手段を含んでいてもよい。「受卵手段」とは保卵部内
で産卵後の卵の収容、及びミノガ採卵器から卵の回収に機能する手段である。保卵部内部
に配置され、保卵部からの着脱が可能なように構成されている。
受卵手段の形状は限定しない。保卵部内部形状、又はミノガ採卵器内部に沿った袋状で
もよいし、保卵部内部に押し込む形で使用するシート状、又はその組み合わせであっても
よい。例えば、シート状の受卵手段は、保卵部上部、又はミノガ採卵器上部から引き抜き
、広げるだけで保卵部内部の卵塊を容易に回収できるので便利である。
受卵手段の形態も特に限定はしないが、保卵部内部の空間を維持できるように、通常は
薄層フィルム、布、不織布、網、又はその組み合わせであってもよい。薄層フィルムの場
合、1又は複数の孔を有していてもよい。
受卵手段の素材は限定しない。例えば、合成樹脂(プラスチック、合成ゴム)、天然樹
脂(天然ゴム)、セルロース(紙、植物繊維)、動物繊維(毛、絹糸、皮革、コラーゲン
、ゼラチン)、ガラス(グラスファイバー)、及びカーボンファイバー等が挙げられる。
また産卵の有無や保卵部内部の状態を確認できる透明素材、又は透光性素材が好ましい。
食品包装用ラップフィルムは、透明性に優れており特に好適である。食品用ラップフィル
ムの素材には、例えば、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチ
レン(PE)、又はポリメチルペンテン(PMP)が知られるが、これらに限定はしない。
受卵部の構成の具体例を図6に示す。この図のA及びBでは、薄層フィルムで構成され
た受卵手段(0602)を、保卵部を含む内部全体に配置したミノガ採卵器(0601)を示して
いる。B及びCで示すように、このミノガ採卵器にミノガの雌個体(0603)を挿入して雄
個体と交尾させた後、保卵部内に産卵をさせる。得られた卵塊(0604)の回収は、産卵後
の雌個体を除去した後に、Dで示すように受卵部(0602)ごと上方に引き上げて、ミノガ
採卵器(0601)と分離する。分離後、Eで示すようにシート状の受卵部(0602)を広げれ
ば、卵塊(0604)を容易に回収することができる。
保卵部は、選択的手段として通気手段(0207)を含んでいてもよい。「通気手段」とは
、保卵部の内部空間における通気性を確保するために設置される開口部である。通気手段
は、外界に開口する一又は複数の孔、及び/又はスリットによって構成されている。孔の
場合、その大きさは限定しないが、卵を保持する機能上、その最大幅は卵の直径よりも小
さいことが好ましい。また、スリットの場合、その長さや幅は限定しないが、孔と同様に
最大幅は卵の直径よりも小さいことが好ましい。卵の直径よりも大きい最大幅の孔やスリ
ットを備える場合、卵の落下や孵化した初齢ミノムシの脱出等を防ぐため、通気性のある
素材、例えば、フィルター、メッシュ、スポンジ等で孔やスリットを塞ぐことが望ましい
。また、保卵部そのものが通気性素材で構成されていてもよい。
通気手段を備えることで、保卵部内の温度上昇や過湿状態を回避することが可能となる
。その結果、蒸れ等による卵の腐敗やカビの発生のような卵の発生段階に望ましくない影
響を及ぼす事象を防ぐことができる。
1-3-5.蓋部
「蓋部」(0205)は、ミノガ採卵器(0201)における選択的な構成要素で、前記挿入孔
(0202)を塞ぐ部である。挿入孔を塞ぐ蓋は必ずしも必要ではない。しかし、産卵後の雌
蛾を除去し、挿入孔が開放されることによる保卵部内の卵の過度な乾燥や、孵化した初齢
ミノムシの逃亡を、蓋部を備えることで防止することができる。
蓋部は挿入孔を塞ぐことができれば、その形状、大きさ、素材は特に限定はしない。例
えば、挿入孔の直径以上の幅を有し、収容部以下の長さがあればよい。素材は非通気性素
材、例えば、天然ゴム、合成樹脂等であってもよいが、通気性素材が好ましい。例えば、
多孔質素材(スポンジ)、フィルター、植物素材(紙等)、糸玉(綿玉、麻玉、毛糸玉、
絹玉等)が挙げられる。挿入孔を塞ぐ構成も限定はしない。コルク栓やゴム栓のような押
し込み式であってもよいし、スクリューキャップのようなねじ込み式であってもよい。
蓋部は、ミノガ採卵器と一体化型でもよいし、着脱可能な分離型でもよい。
1-3-6.採卵台
「採卵台」(0206)は、ミノガ採卵器(0201)における選択的な構成要素で、ミノガ採
卵器の挿入孔(0202)が上方を向くように前記採卵器を配置し、固定する台である。
ここで言う「上方」とは、ミノガ採卵器の挿入孔が水平面に対して0度より大きく90度
以下であること、好ましくは挿入孔が水平面に対して45~90度、60~90度、70~90度、80
~90度、又は85~90度であることをいう。80~90度がより好適である。
自然界では、ミノガの蛹殻は下方に向かって開口している。蛹殻底部は、その開口部よ
りも上部に位置するため、蛹殻に産卵された卵塊は、そのままでは開口部より落下し得る
。そこで、雌蛾は産卵後に卵が落下しないよう自らの鱗粉で卵の表面を覆い固めるととも
に、自らの身体で蛹殻開口部を塞ぎ、卵の保護に務め、孵化直前に死亡し、巣から落下す
る。孵化した初齢幼虫は、開放された蛹殻開口部及び巣の下方開口部を介して外界に脱出
する。
一方、本発明のミノガ採卵器には、挿入孔の方向を自由に設定できる。つまり、採卵台
により蛹殻底部に相当する保卵部を上方に向くように設置することで、雌蛾の鱗粉による
表面の覆い固めや雌蛾の存在がなくても挿入孔からの卵塊の落下がないという大きな利点
がある。
採卵台は、ミノガ採卵器と一体化型でもよいし、着脱可能な分離型でもよい。分離型の
例として、例えば、ミノガ採卵器を1つ以上配置し、それを直立状態又は傾斜状態で保持
可能なラック、スタンド、又はケースが挙げられる。
2.ミノガの交配方法
2-1.概要
本発明の第2の態様は、ミノガの交配方法である。本発明の方法は、第1態様に記載の
ミノガ採卵器を用いて、ミノガの交尾を人為的に成立させる。本発明の方法によれば、従
来のミノガの人工交配方法における問題点を解決し、容易、かつ効率的にミノガの交尾を
成立させることができる。
2-2.方法
本発明のミノガの交配方法は、嵌合工程、及び交尾工程を必須の工程として含む。以下
、それぞれの工程について説明する。
2-2-1.嵌合工程
「嵌合工程」は、ミノガの雌蛾を第1態様に記載のミノガ採卵器の挿入孔から挿入する
工程である。これにより雌蛾腹部と前記挿入孔が嵌合する(図3A)。
本態様の方法に使用する雌蛾は産卵前の個体である。未交尾個体であることが望ましい
。ミノガの種類は限定しないが、雌蛾が蛆状の形態を有する無翅無脚形態種が好適である
本工程では、巣及び蛹殻から分離した裸状態の雌蛾を用いる。巣及び蛹殻から雌蛾を分
離する方法は、特に限定はしない。例えば、雌蛾を傷つけないように、雌蛾が潜む巣をハ
サミ等で切り開き、蛹殻は開口部を崩し広げた後、ピンセット等を用いて、雌蛾を引き出
す方法が挙げられる。また、蛹期に巣から蛹を取り出した後、羽化を待ち、雌蛾が羽化し
て蛹殻に孔を開けた後で、前記方法で雌蛾を取り出してもよい。
裸状態にした雌蛾をミノガ採卵器の挿入孔から挿入し、腹部が挿入孔と嵌合するまで押
し込めばよい。
2-2-2.交尾工程
「交尾工程」は、嵌合工程後のミノガ採卵器に雄蛾の腹部末端を人為的に挿入して雌雄
のミノガの交尾を誘導する工程である。本工程により、ミノガの交尾が成立する。
本態様の方法で、雄蛾は前記嵌合工程で使用する雌蛾と同種のミノガを使用する。雄蛾
は、未交尾個体、又は交尾済み個体を問わない。雄蛾は複数回雌蛾と交尾が可能であるた
め、一度人工交配に使用した雄蛾を再度別の雌蛾との人工交配に使用することもできる。
前記嵌合工程後に、ミノガ採卵器に嵌合し、固定化された雌蛾腹部と挿入孔の間に雄蛾
の腹部末端を人為的に挿入する。挿入方法は限定しない。例えば、雄蛾を手で持ち、その
腹部末端を雌蛾腹部と挿入孔の間に差し込めばよい(図3B)。腹部を挿入した雄蛾は、
その後、自ら腹部を伸ばして、雌蛾の交尾孔を探り当て、交尾が成立する(図3C)。雄
蛾が雌蛾の交尾孔をうまく探り当てることができない場合、雄蛾の向きや挿入位置を手等
で微調整して、交尾しやすいように誘導してもよい。このとき、ミノガ採卵器は透明素材
又は透光性素材で構成されていると、内部の様子を目視で確認しやすいので便利である。
2-3.効果
本発明のミノガの交配方法によれば、従来法と異なり、雌蛾の状態を把握できる。また
透明素材等の採卵器を使用することで、雄蛾の交尾器を雌蛾の交尾孔に的確に誘導するこ
とができるだけでなく、交尾の成立と解除も目視で確認できるので交尾効率を飛躍的に向
上させることが可能となる。
3.ミノガの採卵方法
3-1.概要
本発明の第3の態様は、ミノガの採卵方法である。本発明の方法は、第1態様に記載の
ミノガ採卵器を用いることで、ミノガから大量の卵を得る方法である。本発明の方法によ
れば、大量のミノガの卵を容易かつ安定的に入手することができる。
3-2.方法
本発明のミノガの採卵方法は、嵌合工程、交尾工程、及び産卵工程を必須の工程として
含み、また雄蛾除去工程、及び雌蛾除去工程を選択的工程として含む。このうち、嵌合工
程、及び交尾工程は、前記第2態様のミノガ交配方法における嵌合工程、及び交尾工程と
同一である。つまり、本態様のミノガ採卵方法は、第2態様のミノガの交配方法に引き続
き行われる方法である。そこで、ここでは、第2態様で詳述している工程についての説明
は省略し、本態様に特徴的な産卵工程及び雄蛾除去工程について、以下で説明をする。
3-2-1.雄蛾除去工程
「雄蛾除去工程」は、交尾工程後、雄個体を除去する工程である。ミノガの採卵方法に
おける選択的工程で、必要に応じて、次の産卵工程に先立ち行われる。
通常、雄蛾は、交尾工程後、自発的に交尾を解除し、伸長した腹部を元に戻して雌蛾か
ら離れる。したがって、交尾工程後、次の産卵工程までは、そのまま放置しておけばよい
。一方で、本工程で、人為的に雄蛾を分離し、除去することもできる。この場合、雄蛾の
交尾器と雌蛾の交尾孔が離れ、交尾が解除されたことを確認した後、雄蛾が自発的に離れ
る前に強制的に除去をする。雄蛾の除去は、雌蛾をミノガ採卵器から外さないように気を
付けながら雄蛾腹部を引き出した後、ミノガ採卵器から引き剥がせばよい。分離した雄蛾
は、上述のように再度別の雌蛾の交尾工程に使用することができる。
3-2-2.産卵工程
「産卵工程」は、交尾工程後、採卵器の保卵部内に産卵させる工程である。ミノガの採
卵方法における必須の工程で、交尾工程後、又はそれに続く選択的工程である雄蛾除去工
程後に行われる。交配成立から産卵開始及び産卵中の温湿度条件は、それほど厳密ではな
く、ミノガの活動温度範囲内であれば特に限定はしない。好ましくは温度20~25℃、湿度
45~70%の範囲であればよい。
交尾後の雌蛾は、特別な処置なしに放置しておけば、交配後24時間以内に産卵を開始し
、産み落とされた卵は卵塊としてそのまま保卵部に保持される。雌蛾は一度に約1000~30
00個の卵を産卵し、卵は卵塊状態となる。この卵塊を回収すれば、従来効率的に、安定し
て入手することが難しかったミノガの卵を容易、かつ大量に入手することができる。
また、卵の状態で回収できることから、従来困難であった卵の洗浄処理が容易になる。
この処理によって除菌や消毒ができることから雌親蛾が細菌やウイルスに感染していた場
合も雌親蛾からの垂直感染や卵どうしの接触による水平感染を防除することが可能となる
さらに、ミノガ採卵器の素材を透明素材又は透光性素材にすれば、産卵量を個数の単位
で正確に把握することも可能となる。産卵された卵は、回収せずに、そのまま保卵部内で
保存することも可能である。
3-2-3.雌蛾除去工程
「雌蛾除去工程」は、産卵工程後、ミノガ採卵器に残る雌蛾を除去する工程である。ミ
ノガの採卵方法における選択的工程で、必要に応じて産卵工程後に行うことができる。
産卵を終えた雌蛾は、自らの鱗粉を使って卵が落下しないよう表面を覆い固める。また
、孵化直前まで雌蛾自身が蛹殻開口部の蓋となり、蛹殻内部に卵塊を留めると共に開口部
からの卵塊の落下を防ぐ。本発明のミノガ採卵器に使用した雌蛾も産卵後にそのまま挿入
孔を塞ぐ蓋になるが、ミノガ採卵器では挿入孔からの卵塊の落下はないため、雌蛾自身に
よる蓋は不要である。
そこで、本工程では、産卵後に不要となった雌蛾の虫体をミノガ採卵器から除去する。
除去方法は限定しない。例えば、ピンセット等を用いてミノガ採卵器から雌蛾をつまみ出
せばよい。雌蛾を除去した後の挿入孔には、必要に応じて蓋部を設置する。
3-3.効果
本発明のミノガの採卵方法によれば、交尾後の雌蛾に効率的に産卵させることができ、
また従来方法と比較して、産卵の確認や、卵の回収も極めて容易になる。
4.初齢ミノムシの調製方法
4-1.概要
本発明の第4の態様は、初齢ミノムシの調製方法である。本発明の方法によれば、これ
まで野外採取以外にまとまった入手方法がなかったミノムシを、大量の初齢ミノムシとし
て、簡便、かつ安定的に入手することができる。それによって、ミノムシの大量飼育の累
代飼育が可能となる。
4-2.方法
本態様の方法は、以下の(1)ミノガ採卵器を用いる方法、又は(2)ミノガ採卵器か
ら卵を回収する方法のいずれかで行われる。
(1)ミノガ採卵器を用いる方法
この方法は、前記第1態様のミノガ採卵器を用いて第3態様のミノガ採卵方法で得られ
たミノガの卵を、ミノガ採卵器の保卵部内で孵化まで管理し、孵化後のミノムシを初齢で
回収する方法である。
この方法では、保温工程と初齢ミノムシ回収工程を必須の工程として含む。
(1-1)保温工程
「保温工程」は、ミノガの卵塊を保温する工程である。保温温度は、卵の発生を維持、
又は促進する温度であれば特に限定はしない。通常、ミノガの卵は、15℃~35℃の範囲内
で発生し得る。したがって、この温度の範囲内にあればよい。例えば、18℃~32℃、又は
20℃~30℃の範囲であればよい。
本工程で保温する卵は、第3態様のミノガ採卵方法で得られた卵塊であり、採卵に用い
たミノガ採卵器の保卵部内でそのまま保温する。保温はミノガ採卵器を設置した室内又は
恒温器内を前記所定の温度にして行えばよい。
保温期間は限定しないが、通常は、産卵後卵が孵化するまでの期間でよい。産卵後、孵
化までの期間は、ミノガの種類や孵化条件によって変動し得る。限定はしないが、例えば
、前記所定の温度で保温した場合、オオミノガであれば概ね14日間~30日間、例えば、17
日間~26日間、またチャミノガであれば概ね11日間~30日間、例えば、14日間~27日間と
なる。
ミノガ採卵器の素材を透明素材又は透光性素材とすることで、産卵後孵化に至るまでの
間、保卵部内の卵の状態を視覚的に追跡することができ、カビの発生、卵の腐乱、乾燥等
が生じた場合に迅速に発見、及び対応することができる。また、他、ミノムシの孵化は数
日間をわたり数回に分けて生じるが、孵化までの過程を可視化できることにより孵化の開
始時期と終了時期を正確に把握することが可能となり、それに合わせて孵化後の飼育環境
を事前に整えることもできる。
(1-2)初齢ミノムシ回収工程
「初齢ミノムシ回収工程」は、前記保温工程後、保卵部内で孵化した初齢ミノムシを保
卵部から回収する工程である。回収方法は限定しないが、養蚕業での初齢カイコの回収技
術を応用することができる。例えば、保卵部内の初齢ミノムシを羽箒や筆を用いて掃立て
、ミノムシを育成する場所に移せばよい。初齢ミノムシは、移動後、巣材を利用して直ち
に巣の作製を開始する。これにより、従来技術では困難であった大量の初齢ミノムシの入
手が可能となる。
(2)ミノガ採卵器から卵を回収する方法
この方法は、前記第1態様のミノガ採卵器を用いて第3態様のミノガ採卵方法で得られ
たミノガの卵を、ミノガ採卵器の保卵部から回収し、外部で孵化まで管理し、孵化後のミ
ノムシを初齢で回収する方法である。この方法では、卵回収工程と保温工程を必須の工程
として、また初齢ミノムシ回収工程を選択工程として含む。
(2-1)卵回収工程
「卵回収工程」は、第3態様のミノガ採卵方法で得られた卵を保卵部から回収する工程
である。本工程では、産卵工程後の卵を挿入孔から、又はミノガ採卵器の他の口部から取
り出し、回収する。保卵部からの回収方法は、限定しない。例えば掃立ての方法を応用し
てもよいし、耳かきのような小ヘラで卵塊ごと掬い取ってもよい。又は、水やバッファで
卵を保卵部から洗い流して回収することもできる。
(2-2)保温工程
「保温工程」は、ミノガの卵を保温する工程である。保温工程は、前記(1-1)の保
温工程に記載の方法に原則準ずるが、卵の保温を保卵部内ではなく、ミノガ採卵器の外部
で行う点で前記(1-1)の保温工程と異なる。ミノガ採卵器の外部で保温する方法は特
に限定はしないが、過度の過湿や乾燥を防ぐため、適切な湿度が保持された場所で保温す
ることが望ましい。例えば、カイコの産卵台紙のような紙の上に回収した卵を卵塊ごと移
し、台座となる台紙を湿らせて乾燥を防ぎながら前記保温温度で保温する方法が挙げられ
る。
(2-3)初齢ミノムシ回収工程
孵化後の初齢ミノムシの回収は、前記(1-2)の初齢ミノムシ回収工程に記載の方法
に準じて行うことができる。例えば、羽箒等を用いて掃立て、ミノムシの蚕座となる場所
に移せばよい。
本実施形態では、卵回収工程で回収したミノガの卵を、例えば、飼育容器内に設置する
ことで保温工程後に孵化した初齢幼虫を回収することなく、その飼育容器内で大量に入手
できる。それ故に、本工程は、選択工程であり必要に応じて実施すればよい。
<実施例1:ミノガ採卵器を用いたミノガの人工交配>
(目的)
本発明のミノガ採卵器を用いてミノガの人工交配を行う。
(方法及び結果)
野外採集したオオミノガの終齢幼虫を自然環境下で羽化させて、得られた雄蛾と雌蛾を
使用した。
本発明のミノガ採卵器には、キャップを切り取った1.5mLチューブ(エッペンドルフ社
)を用いた。この時の挿入孔の内径は9.7mmであり、収容部と保卵部が一体化した長さ(
採卵器長軸の長さ)は30mmである。
雌蛾は、巣及び蛹殻からハサミとピンセットを用いて取り出し、前記ミノガ採卵器の挿
入孔から腹部末端を挿入し、ミノガ採卵器に固定させた(図3A)。
次に、雄蛾の腹部末端を手操作により、前記雌蛾腹部と挿入孔の間に差し込んだ(図3
B)。
挿入孔と雌蛾腹部の間に雄蛾腹部を挿入すると雄蛾は、自発的に雌蛾の交尾孔を目指し
て腹部を伸長させると共に、雌蛾も収容部内に収容された腹部を蠕動運動させて、雄蛾の
腹部末端を自らの交尾孔に誘導し、収容部内での交尾が成立した。1.5mLチューブは透光
性素材のポリプロピレンで構成されるため、外部から目視で収容部内での交尾成立を確認
することができた(図3C)。
また、自然界では、図1B及びCで示すように、蛹殻開口部が下方を向いているため、雄
蛾は必ず逆さ状態で交尾を行う。しかし、図3Cで示す本実施例の結果から、雄蛾は自然
状態と上下反転した状態であっても交尾を達成できることも明らかとなった。これにより
、ミノガ採卵器の挿入孔を上方に向けておくことが可能となり、交尾時や交尾後の操作や
管理が飛躍的に簡便になった。
<実施例2:ミノガ採卵器を用いたミノガの採卵>
(目的)
本発明のミノガ採卵器を用いてミノガの採卵を行う。
(方法及び結果)
実施例1の方法によりオオミノガの雄蛾と雌蛾をミノガ採卵器内で交配させた後、雄蛾
を採卵器から手操作により取り除いた。採卵器内に雌蛾を残した状態で、ミノガ採卵器の
挿入孔を上方に向けたままで、温度24℃で保温静置した。交配成立の約半日後より雌蛾は
保卵部内に産卵を開始し、さらに約半日後には2000個程度の卵が得られた。図4は産卵開
始から約3時間後の様子である。
<実施例3:初齢ミノムシの大量調製>
(目的)
本発明のミノガ採卵器を用いて採取したミノガの卵より初齢ミノムシを大量に調製する
(方法及び結果)
実施例2で得られた卵を、図5Aに示すように卵塊状態のまま、保卵部内で24℃にて21
日間保温した。この方法により、目的の初齢ミノムシを90%以上の高い孵化率で大量に孵
化させることができた(図5B)。
<実施例4:受卵手段を備えたミノガ採卵器>
(目的)
本発明のミノガ採卵器の受卵手段における産卵や孵化への影響を検証する。
(方法)
本発明のミノガ採卵器には、実施例1と同様にキャップを切り取った1.5mLチューブ(
エッペンドルフ社)を用いた。このチューブ内に80mm×80mmの方形に裁断した透明薄層フ
ィルム(食品包装用ラップフィルム:ポリラップ:宇部フィルム株式会社:ポリエチレン
)をチューブ内壁に沿うように押し込み、受卵手段とした。実際の状態を図6Aに示す。
対照には受卵手段のないチューブを用いた。
実施例1と同様に雌蛾を挿入し、雄蛾と交尾させた後、産卵の有無、外部から保卵部内
の卵の可視性、卵の回収の難易、受精数、孵化成功数、及び孵化成功率について評価、及
び算出した。
(結果)
結果を表1に示す。
Figure 2022092616000002
受精は、ミノムシの胚発生が確認できた卵を受精卵と判断した。
孵化成功率は、受精数に対する孵化成功数の割合とした。
表1より、受卵手段を有するミノガ採卵器も産卵には影響しないことが明らかとなった
。また、受卵手段が透明素材であれば、保卵部も透明素材である限り、保卵部内部の卵塊
の有無や状態を外部から確認することは可能なことも明らかとなった。さらに、卵の回収
については、受卵手段を有する場合、ミノガ採卵器から受卵手段を引き抜き、図6Eで示
すように広げるだけで卵塊を容易に回収することができる。一方、受卵手段がない場合、
ミノガ採卵器を反転させたり、挿入孔から卵塊を掻き出したりする等の操作が必要で、困
難であった。また、受精や孵化成功数、それらから算出される孵化成功率については、受
卵手段のない場合よりも若干の低下はみられるものの、受卵手段が交尾や産卵後の卵に対
する影響はほとんどないことも明らかとなった。
以上の結果から、本発明のミノガ採卵器を使用した採卵において、産卵後の卵塊をミノ
ガ採卵器から回収する場合には、受卵手段を備えたミノガ採卵器が効率的である。

Claims (14)

  1. 管状容器からなるミノガの採卵器であって、
    ミノガ雌成虫が嵌合する内径を有する挿入孔、
    前記雌成虫の腹部を収容可能な収容部、及び
    産卵後の卵を保持する保卵部
    を有する前記採卵器。
  2. 前記保卵部が通気手段を有する、請求項1に記載の採卵器。
  3. 前記保卵部がその内部に産卵後の卵を収容及び回収するための着脱可能な受卵手段を有
    する、請求項1又は2に記載の採卵器。
  4. 前記挿入孔を塞ぐ蓋部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の採卵器。
  5. 前記管状容器の全部又は一部が透明素材又は透光性素材で構成されている、請求項1~
    4のいずれか一項に記載の採卵器。
  6. 前記受卵手段が透明素材又は透光性素材からなる薄層フィルムで構成されている、請求
    項3に記載の採卵器。
  7. 前記挿入孔が上方を向くように前記採卵器を配置する採卵台を備える、請求項1~6の
    いずれか一項に記載の採卵器。
  8. ミノガの交配方法であって、
    ミノガ雌成虫個体を請求項1~7のいずれか一項に記載のミノガの採卵器の挿入孔に腹
    部末端から挿入し、その腹部を前記挿入孔に嵌合させる嵌合工程、及び
    前記挿入孔と前記雌成虫個体腹部の間にミノガ雄成虫個体の腹部末端を挿入して交尾さ
    せる交尾工程
    を含む前記交配方法。
  9. 前記ミノガは、雌成虫個体が無翅無脚形態種である、請求項8に記載の交配方法。
  10. 前記雌成虫個体が未交尾個体である、請求項8又は9に記載の交配方法。
  11. ミノガの採卵方法であって、
    巣及び蛹殻から分離したミノガ雌成虫個体を請求項1~7のいずれか一項に記載のミノ
    ガの採卵器の挿入孔に腹部末端から挿入し、その腹部を前記挿入孔に嵌合させる嵌合工程

    前記挿入孔と前記雌成虫個体腹部の間にミノガ雄成虫個体の腹部末端を挿入して交尾さ
    せる交尾工程、及び
    前記採卵器の保卵部内に産卵させる産卵工程
    を含む前記採卵方法。
  12. 産卵工程後の雌個体を除去する雌除去工程をさらに含む、請求項11に記載の採卵方法
  13. 初齢ミノムシの調製方法であって、
    請求項11又は12に記載のミノガの採卵方法で得られたミノガの卵を前記保卵部内で
    保温する保温工程、及び
    孵化した初齢ミノムシを回収する初齢ミノムシ回収工程
    を含む前記調製方法。
  14. 初齢ミノムシの調製方法であって、
    請求項11又は12に記載のミノガの採卵方法で得られたミノガの卵を前記保卵部から
    回収する卵回収工程、及び
    回収した卵を保温する保温工程
    を含む前記調製方法。
JP2021200599A 2020-12-10 2021-12-10 ミノガの採卵器並びにそれを用いたミノガの交配方法及び採卵方法 Pending JP2022092616A (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020205316 2020-12-10
JP2020205316 2020-12-10
JP2021199265 2021-12-08
JP2021199265 2021-12-08

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022092616A true JP2022092616A (ja) 2022-06-22

Family

ID=82068204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021200599A Pending JP2022092616A (ja) 2020-12-10 2021-12-10 ミノガの採卵器並びにそれを用いたミノガの交配方法及び採卵方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022092616A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fenemore Plant pests and their control
Giles A Handbook of the Gnats or Mosquitoes: Giving the Anatomy and Life History of the Culicidæ Together with Descriptions of All Species Noticed up to the Present Date
Morgan A Contridution to the Biology of May-Flies.
Das et al. Protocol for mosquito rearing (A. gambiae)
Kaiser The subgenus Persicargas (Ixodoidea, Argasidae, Argas). 3. The life cycle of A.(P.) arboreus, and a standardized rearing method for argasid ticks
CN101015290B (zh) 野桑蚕的室内饲养方法
Joven et al. Husbandry of Spanish ribbed newts (Pleurodeles waltl)
Moulds et al. Hawkmoths of Australia: identification, biology and distribution
Bennett Parasites of Ancylostomia stercorea (Zell.),(Pyralidae, Lepidoptera) a pod borer attacking pigeon pea in Trinidad
CN102499188A (zh) 一种莲草直胸跳甲实验种群的饲养方法
WO2022124397A1 (ja) ミノガの採卵器並びにそれを用いたミノガの交配方法及び採卵方法
JP2022092616A (ja) ミノガの採卵器並びにそれを用いたミノガの交配方法及び採卵方法
Davies et al. Do butterflies bite?: Fascinating answers to questions about butterflies and moths
CN108575918B (zh) 一种红松梢斑螟啮小蜂的规模化扩繁方法
CN103250685A (zh) 一种多功能养蚕盒及其制作方法
Giles A Handbook of the gnats or mosquitoes giving the anatomy and life history of the Culcidae
CN110692601A (zh) 黑腹果蝇替代铃木氏果蝇繁育毛角锤角细蜂的方法
Neumann et al. Larval development of Brycon amazonicus (Teleostei, Bryconidae) with a focus on locomotory, respiratory and feeding structures
CN101940193B (zh) 方头甲的室内繁育及野外释放方法
CN107494459A (zh) 一种野蚕幼虫的饲养方法
CN109197789A (zh) 一种立体取食家蚕饲养方法、饲养盒及其用途
CN209824893U (zh) 一种便携式多功能鳞翅目采集养殖器
CN108990909A (zh) 一种迟眼蕈蚊活虫诱集及室内大量饲养的方法
Wellhouse How Insects Live: An Elementary Entomology
Hanauer Biology experiments for children

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20220118