JP2022091381A - インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出口周囲のインクに対する親和性は高く吐出安定性を確保しつつ、吐出口面の吐出口周囲以外を撥水化してインクの濡れ広がりを抑え紙粉などの浮遊ゴミの付着を抑制できるインクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】発熱によりインクを吐出可能な電気熱変換素子65と、電気熱変換素子65の駆動回路に接続するための配線部を有する基板111上に、流路形成材63によってインク流路64が形成された発熱素子基板111とインク液室が形成された天板113とを接合して吐出口面22Sを形成するインクジェット記録ヘッドであって、吐出口面22Sの発熱素子基板部分111および天板部分113が撥水処理されており、吐出口面22Sの流路形成材部分63が親水化処理されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置においては、高精細な記録を可能とするために、インクを吐出する複数のノズルを高密度に形成したインクジェット記録ヘッドが搭載されるようになっている。インクジェット記録ヘッドにおいては、吐出口近傍表面の物性は、吐出口よりインクを常時安定して吐出させるために極めて重要である。即ち、記録ヘッドの使用時に吐出口の外側周囲の表面(以降、吐出口面と呼ぶ)にインクが付着して吐出口周辺の領域の一部にでもインク溜りが生ずると、インクが吐出口から吐出される際にインク滴の飛翔方向が正規の方向(所定方向)からずれてしまい、いわゆる「よれ印字」が生じる場合があり、これにより記録品質が劣化してしまう。
特許文献1には、吐出口周辺のインクに対して親和性の高い領域を形成する技術が開示されている。これにより、該領域において長期間に渡ってインクの濡れを均一に維持することで、インク滴の吐出方向が一定となり、「よれ印字」の発生を抑制して、吐出安定性を確保することができる。
特開2005-324409号公報
しかしながら、従来技術では吐出口面全域がインクに対して親和性が高くなるため、紙粉などの浮遊ゴミが付着しやすくなり、それによって不吐を引き起こすことがある。また、このような不吐を復帰するためにクリーニングを行うことで、生産性が低下したり、インクを多く消費したりすることがある。
したがって本発明は上記の課題に鑑み、吐出口周囲のインクに対する親和性は高く吐出安定性を確保しつつ、吐出口面の吐出口周囲以外を撥水化してインクの濡れ広がりを抑え、紙粉などの浮遊ゴミの付着を抑制できるインクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッド備えるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドは、
発熱によりインクを吐出可能な電気熱変換素子と、
前記電気熱変換素子の駆動回路に接続するための配線部を有する基板上に、
流路形成材によってインク流路が形成された発熱素子基板と
インク液室が形成された天板とを接合して
吐出口面を形成するインクジェット記録ヘッドであって、
前記吐出口面の前記発熱素子基板部分および前記天板部分が撥水処理されており、
前記吐出口面の前記流路形成材部分が親水化処理されていることを特徴とする。
本発明によれば、吐出口周囲のインクに対する親和性は高く吐出安定性を確保しつつ、紙粉などの浮遊ゴミの付着を抑制できるインクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッド備えるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明を適用した実施形態の一態様のインクジェット記録装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係るインク吐出部材の天板を一部破断して示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るインク吐出部材を撥水剤にて処理する工程を示した断面模式図である。 本発明の実施形態に係るインク吐出部材の撥水剤で処理された吐出口139周辺の撥水剤を除去する洗浄工程を示した断面模式図である。 本発明の実施形態に係るインク吐出部材を親水剤にて処理する工程を示した断面模式図である。
以下、図面を参照して本発明に好適な実施形態を詳しく説明する。
<インクジェット記録装置>
図1は、本発明を適用した実施形態の一態様のインクジェット記録装置(以下、単に記録装置ともいう)100の概略構成図である。
記録装置100は、ホストPC102と接続されている。そして記録装置100は、ホストPC102から送信される記録情報に基づき4つのインクジェット記録ヘッド(以下、単に、記録ヘッドともいう)22K、22C、22M、22Yから記録媒体Pにインクを吐出することによって記録を行う。4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、記録媒体(本実施形態においてはロール紙とし、以下ではロール紙ともいう)Pの搬送方向である図中の矢印Aの方向に沿って順に、かつ、互いに平行に配置されている。記録ヘッド22K、22C、22M、22Yからは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクが吐出される。これらの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、所謂ラインヘッドであり、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向(図に示すように、本実施形態では直交する方向)に沿ってノズルを所定の密度で配置したものとなっている。そして、その交差する方向における各記録ヘッドの長さは、記録装置100での記録に使用可能な最も大きいサイズの記録媒体の幅をカバーするために、その記録媒体において記録が可能な最大幅よりもやや長めの寸法とされている。これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、記録動作における画像の形成中は動かないように固定される。記録動作においては、各記録ヘッドに設けられたヒーターがそれぞれ駆動されることによって各記録ヘッドのノズルからインクが吐出される。
また、記録装置100には、4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのインク吐出状態を良好に維持し、これら記録ヘッドに安定してインク吐出を行わせるための回復ユニット30が備えられている。この回復ユニット30には、ブレード、ブレード保持部材、回復キャップ(以下、単に、キャップともいう)等の回復用部材が含まれている。なお、図1には回復用部材としてキャップ50のみが示されている。ブレードは、回復動作の際に、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズルの開口部であるインク吐出口が形成された吐出口面22Ks、22Cs、22Ms、22Ysに付着した不要な異物(塵埃など)やインク滴等を除去するために用いられる。またキャップ50は、回復動作の1つであるクリーニング動作の際に用いられる。なおクリーニング動作は、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズル内に残留した、微細な気泡や異物(塵埃など)、乾燥により増粘したインクを除去し、ノズル内をフレッシュなインクで満たす動作である。キャップ50を含む回復用部材は、記録ヘッド22K、22C、22M、22Y毎に独立して設けられている。
また、記録装置100には、記録媒体Pを収容するためのロール紙供給ユニット24が設けられるとともに、このロール紙供給ユニット24から供給されるロ-ル紙Pを搬送するための搬送機構26が備えられている。搬送機構26は、ロ-ル紙Pを載置して搬送する搬送ベルト26a、この搬送ベルト26aを回転させるための搬送モータ26b、搬送ベルト26aに張力を与えるローラ26cなどから構成されている。記録を行う際には、搬送中のロール紙Pの記録開始位置がブラック用の記録ヘッド22Kの下に到達した後に、ホストPC102からの記録情報に基づいてこの記録ヘッド22Kからブラックのインクが選択的に吐出される。同様に、記録情報に基づいて、シアン用の記録ヘッド22C、マゼンタ用の記録ヘッド22M、イエロー用の記録ヘッド22Yの順に、各色のインクが選択的に吐出されることによってロ-ル紙Pにカラー画像が形成される。
また、記録装置100には、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに供給される各インクを貯留するインクタンク28K、28C、28M、28Yが備えられている。インクタンク28K、28C、28M、28Yは、記録装置100に対してそれぞれ着脱が自在となるように構成されている。
<インクジェット記録ヘッド>
次に、本実施形態のインクジェット記録装置100にインクジェット記録ヘッド22K、22C、22M、22Yとして搭載される本発明を適用した実施形態の一例としてのインクジェット記録ヘッドの構造について、図2を用いて説明する。
図2は、本発明を適用した実施形態の一例としてのインクジェット記録ヘッドを模式的に示した図である。図2(a)は、インクジェット記録ヘッドの正面図であり、図2(b)は、図2(a)のA-A線での断面図であり、図2(c)は、図2(a)のB-B線での断面図である。説明の便宜上、図2(a)および図2(c)においては、図2(b)に示したインク供給ケースカバー117を省略している。なお、図2(c)の断面図については、図2(b)のようにベースプレート110が底部となるように仮想的に時計回りに90度回転させたものとして説明を行う。
図のとおり、インクジェット記録ヘッドは、ラインヘッドのノズル列を形成する複数のノズルと連通する共通液室112と、この共通液室112と連通するインク供給口127と、そのインク供給口127と連通するメインインク供給室126と、を備えている。さらにインクジェット記録ヘッドは、そのメインインク供給室126と連通する液体供給路137と、この液体供給路137と連通する液体供給室(第一液体供給室134、第二液体供給室135)と、を備えている。さらにインクジェット記録ヘッドは、その液体供給室に配設される供給フィルター118と、メインインク供給室126の一部に設けられた気液分離部120と、この気液分離部120と連通する空気室141と、を備えている。
セラミック製のベースプレート110は、シリコンウエハを用いて形成されるヒーター基板111を支持している。ヒーター基板111には、インクの吐出エネルギー発生素子としての複数の熱エネルギー変換素子(ヒーター)と、これらのヒーターに対応するノズルを構成するための複数の流路とが形成されている。またヒーター基板111には、各ノズルに連通する共通液室112(本発明のインク室に相当)を囲む液室枠も形成されている。そしてヒーター基板111に形成されたノズルの側壁および液室枠の上には、シリコンウエハに共通液室112が形成された天板113が接合され、これによりインクジェット記録ヘッドの底面側にノズルのインク吐出口139が開口する吐出口面が形成される。この吐出口面は、上記での各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの吐出口面22Ks、22Cs、22Ms、22Ysに対応するものである。以下、これらを総じて吐出口面22sと称する。このように、インク吐出部材60の構成要素であるヒーター基板111と天板113とは、互いに一体化した状態でベースプレート110に積層接着されている。これらの積層接着は、発生した熱エネルギーを逃がしやすい銀ペーストなどの熱伝導率の高い接着剤によって行うことが好ましい。また、ベースプレート110におけるヒーター基板111の後方には、実装済みの電気配線基板(PCB)114が図示しない両面テープによって支持されている。
インク吐出部材60の天板113の上面にはインク供給部材115が接合されており、これらは、天板113にインク供給部材115を押しあてた状態でねじ締めすることによって固定されている。ここでインク供給部材115は、インク供給ケース116とインク供給ケースカバー117とによって構成されており、インク供給ケースカバー117がインク供給ケース116の上面を塞ぐことにより、後述する液室や流路(インク供給路など)等が形成される。本実施形態においては、インク供給ケース116とインク供給ケースカバー117との接合は、主に接着性の観点からエポキシ系の接着剤などを用いて行うのが好ましい。なお、先に述べたインク吐出部材60の天板113の上面には、詳しくはインク供給部材115のインク供給ケース116が接合されている。また、このインク供給ケース116には、供給フィルター118および排出フィルター119が配設されている。供給フィルター118はインクジェット記録ヘッドに供給されたインク中の異物の除去を目的とし、排出フィルター119はインクジェット記録ヘッド外部からの異物の侵入を防止することを目的とする。これらのフィルターはそれぞれ熱溶着によってインク供給ケース116に固定されている。さらに、インク供給ケース116に設けられたメインインク供給室126の一部には気液分離部120が形成され、この気液分離部120に突出する形で外部より液面検知センサ121が実装されている。この液面検知センサ121の検知結果に基づき、上述したようなインクジェット記録ヘッドへのインク供給の制御を行うことで、メインインク供給室126内のインク量の制御が行われる。
ここで、インク供給部材115のインク供給ケース116とインク供給ケースカバー117との2つの部品の嵌合により形成される液室や流路等の構成について説明する。インク供給ケース116と天板113との接合面には、ノズルの配列方向と略平行かつノズル列の幅に亘って矩形状の開口部であるインク供給口127が形成されており、インク供給口127の延長上には貯留室状のメインインク供給室126が形成されている。即ち、メインインク供給室126(本発明のインク供給部に相当)はノズル列とほぼ平行かつノズル列の幅に亘って形成されている。これにより、インク供給部材115のインク供給ケース116に形成されたメインインク供給室126とインク吐出部材60の天板113に形成された共通液室112とが、これらの接合面に形成された開口部であるインク供給口127を介して接続される。
また、インク供給口127の上方側の天面は、ほぼ全域にわたって気液分離部120を最上部とした傾斜(以下、メインインク供給室傾斜129という)を成している。このメインインク供給室傾斜129には2つの開口部が形成されており、1つは液体連通部131、他方はその最上部にあたる気液分離部120である。気液分離部120の延長上にはエア連通部130が形成されており、その先にはエア流路として機能する空気室141が設けられている。さらにその先には上述した排出フィルター119が配設されており、排出ジョイント133に連通している。この排出ジョイント133は、インクジェット記録ヘッドがインクジェット記録装置100に搭載される際に上記のエア流路41に接続される。一方、メインインク供給室傾斜129に形成された液体連通部131を介するようにして、そこから上方には、インク供給路として機能する液体供給路137が設けられている。この液体供給路137は、液体連通部131から供給フィルター118近傍まで管状を成すように形成されている。
供給フィルター118は、液体供給室にその室内を二室に分離するように配設されている。即ち、この配設によって液体供給室は、インクジェット記録ヘッド内のインク供給の流れに沿ってみた場合に、その上流側の室が供給ジョイント132に連通する第一液体供給室134、また下流側の室が第二液体供給室135というように分離される。上流側の室となる第一液体供給室134と連通する供給ジョイント132は、インクジェット記録ヘッドがインクジェット記録装置100に搭載される際に上記のインク流路に接続される。また下流側の室には開口(以下、第二液体供給室開口136という)が供給フィルター118の上方に設けられており、これを介して、下流側の室となる第二液体供給室135が先に述べた液体供給路137に連通している。
上記のように、インク供給ケース116とインク供給ケースカバー117からなるインク供給部材115には、複雑な構造をした液室や流路等を形成する必要がある。そのため、インク供給部材115には、設計自由度を有し、かつコスト面からも安価な樹脂部材を用いることが好ましい。またインク供給部材115に樹脂部材を用いることで、例えば上述したフィルターの固定においては、熱溶着のような簡便な方法でインク供給ケース116にフィルターを接着することができるようになる。樹脂部材としては、成形性、剛性、耐熱性の観点から、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンサルファイドとポリフェニレンエーテルのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンのアロイなどを用いたものが好ましい。
<インク吐出部材>
次に、図3を用いてインク吐出部材60についてさらに詳細に説明する。図3は、インク吐出部材60の天板113をインク供給口127付近で一部破断して示す斜視図である。図3において、インク吐出部材60は、主として、ヒーター基板111と、このヒーター基板111の一側面に対向する天板113と、ヒーター基板111と天板113との間に設けた複数の流路壁61、天板113と流路壁61を接着するための接着層62および流路形成材63とを有する。このヒーター基板111、天板113、流路壁61、接着層62および流路形成材63を備えることにより、インク吐出部材60には、インクタンク28からインク供給部材115を経てインクが供給される共通液室112と、共通液室112に一端部が連通するインク流路64が複数形成されている。
複数のインク流路64のそれぞれには、内部に供給されたインクを吐出口139から吐出させるための吐出エネルギーを発する熱エネルギー発生素子としての複数のヒーター65が、ヒーター基板111の側面に形成されている。ここで、ヒーター65からの熱をインクに効率よく伝達するために、流路形成材63はヒーター65の周囲を避けて配されている。ヒーター65としては、窒化タンタルシリコン等の抵抗体が用いられ、その厚さは0.01~0.5μm、そのシート抵抗は単位正方形当たり10~350Ωである。ヒーター65は、窒化タンタルシリコン以外の材料、例えばホウ化ハフニウムなどで形成されたものでもよく、その厚さやシート抵抗は特に限定されるものではない。
ヒーター65の両端部には、ヒーターを通電させるためのアルミニウム等からなる一対の電極配線(不図示)が接続されており、一方の電極配線には、ヒーターへの通電を制御するためのスイッチングトランジスタ(不図示)などを含む駆動回路(不図示)が接続されている。スイッチングトランジスタは、ゲート素子等を含む回路からなる制御用IC(不図示)によって駆動制御され、記録装置100からの信号に応じてヒーター65を制御する。
ヒーター基板111はヒーター65を形成でき、流路形成材63が堆積し得るものであればよく、例えばシリコン基板を用いることができる。
また、天板113は接着層62との接着性がよいものであればよく、例えばシリコン基板を用いることができる。また、任意選択的にインク供給口(不図示)などを形成してもよい。
ヒーター基板111と天板113とは同じ材質であってもよく、また、異なるものであってもよい。ヒーター基板111と天板113とが同じ材質であっても、異なるものであっても、吐出口面22sにおけるヒーター基板111および天板113はいずれも撥水性である。ヒーター基板111および天板113の吐出口面22sを撥水性とする方法は、これらに限定されないが、撥水コーティング剤、例え加水分解性シリル基を有するシランカップリング系撥水剤でこれらの表面を処理するなどの方法がある。好ましくはアルコキシシリル基を有するフッ素化合物で処理される。
また、各インク流路64は、天板113の側面にある接着層62と、隣接する2つの流路壁61の各々の側面と、ヒーター基板111の側面に形成された流路形成材63とにより管状に形成されている。また、各インク流路62の他端部は、インク流路内の液体を吐出する吐出口139となっており、インク吐出部材60の吐出口面22sにおいて一定の間隔で配列されている。
これらの流路壁61と、接着層62および流路形成材63は樹脂で形成され、好ましくは、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの感光性樹脂で形成することができる。より好ましくはエポキシ樹脂である。吐出口面22sにおける流路壁61、接着層62および流路形成材63はいずれも親水性である。流路壁61、接着層62および流路形成材63を親水性にする方法は、例えば親水化剤によりこれらの表面を処理してもよい。親水化剤には、水溶性樹脂、界面活性剤、アルカリ水溶液、ポリヒドロキシシラザンを用いることができる。
<インク吐出部材の吐出口面の処理工程>
次に、本実施形態のインクジェット記録ヘッドのインク吐出部材60の吐出口面22sの好ましい処理工程について説明するが、これらに限定されるものではない。図4~6では、図3の吐出部材60を切断線IVに沿って切断した際の断面模式図を用いて説明している。図4はインク吐出部材60を撥水剤にて処理する工程を示した模式図である。また、図5は撥水剤で処理された吐出口139周辺の撥水剤を除去する洗浄工程を示した模式図である。また、図6は洗浄工程のあとにインク吐出部材60の吐出口139周囲を親水剤にて処理する工程を示した模式図である。
まず、図4(a)のように、アルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71としてKY-1901(信越化学工業製)をNovec7300に0.4%溶解させた液体を塗布した転写体70を準備し、インク吐出部材60の吐出口面22sを対向するように配置する。このとき、アルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71を均一に塗布するために、転写体70にUV処理などの濡れ性を向上させる処理を施してもよい。また、転写体70上にアルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71の液膜を薄く形成するため、スピンコートにより塗布することが好ましい。アルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71の好ましい例としては、フロロサーフシリーズ(フロロテクノロジー製)、SUBELYNシリーズ(信越化学工業製)、オプツールDSX-E(ダイキン製)、サイトップシリーズ(AGC製)などが挙げられる。
次に、図4(b)のように、アルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71が塗布された転写体70をインク吐出部材60の吐出口面22sに当接させて、アルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71を吐出口面22sに転写させる。このとき吐出口139の内部までアルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71が侵入しないように、当接する圧力を適宜制御することが好ましい。また、吐出口139内(インク流路64内)に充填剤を充填した状態で転写させ、アルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71の侵入を抑制してもよい。
次に、図4(c)および(d)のように、当接させた転写体70を所定の位置まで戻し、転写されたアルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71をオーブンなどに入れ、温度を掛けながら反応させる。これによりシリコン基板からなるヒーター基板111および天板113に転写されたアルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71は、ヒーター基板111表面および天板113表面で加水分解反応により化学結合を形成して撥水膜を形成する。一方、接着層62表面および流路生成部材63表面はシラノール基が存在しないため、転写されたアルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71は、加水分解反応が起きず撥水膜が相互作用により付着しているだけの状態となる。
続いて、図5(a)のように、接着層62表面および流路生成部材63表面に転写された撥水膜を洗浄して除去するために、洗浄液72としてフッ素系溶剤であるNovec7300(3M製)を準備した。洗浄液72としてはアルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71を溶解できるものであれば特に限定されないが、フッ素系溶剤を好適に使用できる。これらのフッ素系溶剤としてはアサヒクリンシリーズ(AGC製)やNovecシリーズ(3M製)などが挙げられる。
次に、図5(b)のように、洗浄液72にインク吐出部材60を吐出口面22sが接するように浸漬して3時間放置した。その後、図5(c)のように、インク吐出部材60を引き上げ、吐出口面22sを新しい洗浄液でリンスして乾燥させた。ここで、接着層62表面および流路生成部材63表面に転写されたアルコキシシリル基を有するフッ素系化合物71は、前述したように化学結合を形成しておらず相互作用により付着しているだけの状態のため、洗浄工程で簡単に除去される。
続いて、図6(a)のように、接着層62表面および流路生成部材63表面を親水化するために、親水化剤73として、樹脂分散顔料を含むインクを準備した。親水化剤としては接着層62および流路生成部材63の表面のインクとの親和性を向上させるものであれば特に限定されないが、pHが6から12の範囲であり、かつ有機溶剤、高分子樹脂、および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有する液体、またはポリヒドロキシシラザンなどの表面をガラス化する材料であることが好ましい。
次に、図6(b)のように、親水化剤73にインク吐出部材60を吐出口面22sが接するように浸漬して10分間放置した。その後、図6(c)のように、インク吐出部材60を引き上げ、吐出口面22sを純水でリンスして乾燥させた。このときヒーター基板111および天板113は撥水化されているため、親水化剤は弾かれて反応することはなく、純水でのリンスですべて除去される。これにより、図6(d)に示すような、吐出口面22sのうち、ヒーター基板111および天板113が撥水化され、流路壁61(不図示)、接着層62表面および流路生成部材63表面が選択的に親水化されたインク吐出部材60を形成することができる。
なお、上記実施形態のインクジェット記録装置100は、記録用紙Pの記録領域の幅方向の全域に亘って延在する長尺のインクジェット記録ヘッドを用いた記録装置に本発明を適用した例である。しかし、本発明は、インクジェット記録ヘッドの主走査方向の記録走査と、その主走査方向と交差する副走査方向における記録用紙の所定量の搬送と、を繰り返すシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置にも適用することができる。
22s 吐出口面
22K、22C、22M、22Y インクジェット記録ヘッド(記録ヘッド)
60 インク吐出部材
61 流路壁
62 接着層
63 流路形成材
64 インク流路
65 ヒーター
70 転写体
71 アルコキシシリル基を有するフッ素系化合物
72 洗浄液
73 親水化剤
100 インクジェット記録装置(記録装置)
111 ヒーター基板
113 天板
115 インク供給部材
116 インク供給ケース
117 インク供給ケースカバー
126 メインインク供給室
127 インク供給口
139 インク吐出口

Claims (10)

  1. 発熱によりインクを吐出可能な電気熱変換素子と、
    前記電気熱変換素子の駆動回路に接続するための配線部を有する基板上に、
    流路形成材によってインク流路が形成された発熱素子基板と
    インク液室が形成された天板とを接合して
    吐出口面を形成するインクジェット記録ヘッドであって、
    前記吐出口面の前記発熱素子基板部分および前記天板部分が撥水処理されており、
    前記吐出口面の前記流路形成材部分が親水化処理されている
    ことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記発熱素子基板および前記天板がシリコンからなる基板であり、前記流路形成材が感光樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記撥水処理はアルコキシシリル基を有するフッ素化合物によって行われていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記アルコキシシリル基がトリアルコキシシリル基である
    ことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記親水化処理は、親水化剤で処理することにより行われていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記親水化剤が、水溶性樹脂、界面活性剤、アルカリ水溶液、ポリヒドロキシシラザンのいずれかである
    ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッドと水性顔料インクとを具備する
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 発熱によりインクを吐出可能な電気熱変換素子と、
    前記電気熱変換素子の駆動回路に接続するための配線部を有する基板上に、
    流路形成材によってインク流路が形成された発熱素子基板と
    インク液室が形成された天板とを接合して
    吐出口面を形成するインクジェット記録ヘッドの製造する方法であって、
    撥水コーティング剤を転写体に塗布し、転写体から吐出口面に前記撥水コーティング剤を転写させて撥水化する撥水工程と、
    撥水化した吐出口面を洗浄液にて洗浄して、前記流路形成材を露出する洗浄工程と、
    洗浄した吐出口面を親水化剤で処理し、前記流路形成材を親水化する工程とを含む
    ことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  9. 前記発熱素子基板および前記天板がシリコンからなる基板であり、前記流路形成材が感光樹脂であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 前記撥水工程はアルコキシシリル基を有するフッ素化合物によって行われていることを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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