JP2022088352A - レーザ加工装置、光学装置、およびレーザ光の軸ずれ検査方法 - Google Patents

レーザ加工装置、光学装置、およびレーザ光の軸ずれ検査方法 Download PDF

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知道 安岡
Tomomichi Yasuoka
昌充 金子
Akimitsu Kaneko
孝 繁松
Takashi Shigematsu
淳 寺田
Atsushi Terada
暢康 松本
Nobuyasu Matsumoto
紗世 菅
Sayo Suga
弘人 影山
Hiroto Kageyama
俊明 酒井
Toshiaki Sakai
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Abstract

【課題】例えば、合波されたレーザ光に含まれる複数のレーザ光同士の相対的な軸ずれを検査したり当該軸ずれを抑制したりすることを可能とするレーザ加工装置、光学装置、およびレーザ光の軸ずれ検査方法を得る。【解決手段】対象物にレーザ光を照射して当該対象物を加工するレーザ加工装置は、第一レーザ光を出射する第一光源と、第二レーザ光を出射する第二光源と、第一レーザ光と第二レーザ光とを合波して第三レーザ光を得る光学系と、対象物に向けて第三レーザ光を出射する光学ヘッドと、光学ヘッドに設けられ、第三レーザ光の光軸と交差する断面での強度分布に基づいて、当該第三レーザ光における第一レーザ光と第二レーザ光との相対的な位置関係を検査するための検査機構と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ加工装置、光学装置、およびレーザ光の軸ずれ検査方法に関する。
金属部材に対するレーザ加工は、レーザ光を対象となる金属部材に照射することで、当該金属部材を溶接、切断、表面処理する等、任意の形態、または形状に変化させることができる。その中でも、レーザ溶接は、レーザ光を照射することにより当該レーザ光のエネルギによって複数の金属部材を部分的に溶融し、その後冷却して固化することにより当該複数の金属部材を接合する溶接手法である。また、レーザ切断は、レーザ光を照射することにより当該レーザ光のエネルギによって金属部材を溶融して切断する手法である。
レーザ光を対象物に照射する際には、その目的に応じ、レーザ光のプロファイルが成形されることがある。例えば、レーザ光を対象物の切断に用いる場合に、レーザ光のプロファイルを成形する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
特表2010-508149号公報
対象物に複数のビームを含むレーザ光を照射する際、複数の光源から出射したレーザ光を合波したレーザ光を用いる場合がある。この場合において、合波されたレーザ光に含まれる複数のレーザ光が所定の位置関係から相対的な軸ずれが生じていると、対象物の加工品質の低下等、所期の効果が得られなかったり、不都合な事象が生じたりする虞がある。
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、合波されたレーザ光に含まれる複数のレーザ光同士の所定の位置関係からの相対的な軸ずれを検査したり当該軸ずれを抑制したりすることを可能とするレーザ加工装置、光学装置、およびレーザ光の軸ずれ検査方法を得ること、である。
本発明のレーザ加工装置は、例えば、対象物にレーザ光を照射して、当該対象物を加工するレーザ加工装置であって、第一レーザ光を出射する第一光源と、第二レーザ光を出射する第二光源と、前記第一レーザ光と前記第二レーザ光とを合波して第三レーザ光を得る光学系と、前記対象物に向けて前記第三レーザ光を出射する光学ヘッドと、前記光学ヘッドに設けられ、前記第三レーザ光の光軸と交差する断面での強度分布に基づいて、当該第三レーザ光における前記第一レーザ光と前記第二レーザ光との相対的な位置関係を検査するための検査機構と、を備える。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサを有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサおよび前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方を着脱可能に取り付ける取付機構を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記第三レーザ光の光路の第一位置において前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサおよび前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第一検査箇所と、前記第一位置よりも前記第三レーザ光の光路上で前方となる第二位置において前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサおよび前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第二検査箇所と、を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記光学ヘッドは、前記第一レーザ光および前記第二レーザ光のうち一方を伝播する第一部位と、前記第一部位から入力されるレーザ光の光軸と交差する方向において相対的にスライド可能に前記第一部位と接続されるとともに、前記第一レーザ光および前記第二レーザ光のうちの他方または前記第三レーザ光を伝播する第二部位と、を有してもよい。
前記レーザ加工装置は、前記第一部位と前記第二部位との相対的な位置関係を変更する第一駆動機構を備えてもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサを有し、前記センサによる強度分布の検出結果に基づいて、前記第一レーザ光と前記第二レーザ光とのずれを算出するずれ算出部と、前記ずれ算出部により算出されたずれが所定の範囲内となるよう前記第一駆動機構を制御する駆動制御部と、を備えてもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記第三レーザ光を前記対象物に向けて出射する出射光と前記検査機構での検査用の検査光とに分岐する分岐部を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記検査光の強度を低減する緩和部材を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を遮断する第一フィルタと、前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過する第二フィルタと、を有し、前記検査光のビームの一部が前記第一フィルタに入力されるとともに前記検査光のビームの他部が前記第二フィルタに入力され、前記第一フィルタおよび前記第二フィルタを通過した前記検査光の強度分布を検出するセンサおよび前記第一フィルタおよび前記第二フィルタを通過した前記検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される検査箇所と、を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を遮断するとともに前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を透過する第一フィルタと、前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を遮断するとともに前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過する第二フィルタと、前記第一フィルタを通過した第一検査光の強度分布を検出するセンサおよび前記第一検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第三検査箇所と、前記第二フィルタを通過した第二検査光の強度分布を検出するセンサおよび前記第二検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第四検査箇所と、を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を遮断する第一フィルタと、前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過する第二フィルタと、前記検査光が前記第一フィルタを通過する状態と前記検査光が前記第二フィルタを通過する状態とが切り替わるよう前記第一フィルタおよび前記第二フィルタを動かす第二駆動機構と、前記第一フィルタおよび前記第二フィルタのうち前記検査光が通過する位置に配置されたフィルタを通過した当該検査光の強度分布を検出するセンサ、並びに前記第一フィルタおよび前記第二フィルタのうち前記検査光が通過する位置に配置されたフィルタを通過した当該検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち、少なくとも一方が設置される検査箇所と、を有してもよい。
前記レーザ加工装置は、前記検査機構による検査において、前記第一光源および前記第二光源のうち少なくとも一方の単独での出力が可能となるよう構成されてもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記第二レーザ光は、前記第一レーザ光よりもビーム幅が広くかつピークが低い強度分布を有してもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記第二レーザ光の波長は、前記第一レーザ光の波長より短くてもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記第一光源による前記第一レーザ光の出力、および前記第二光源による前記第二レーザ光の出力は、15[W]以上であってもよい。
前記レーザ加工装置は、前記検査機構への前記第三レーザ光の光路を遮る進出位置と、当該光路から待避した待避位置との間で移動可能な可動部材を備えてもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記第一光源および前記第二光源のうち少なくとも一方の、前記検査機構による検査時におけるレーザ光の出力強度は、前記対象物の加工時におけるレーザ光の出力強度より低くてもよい。
前記レーザ加工装置にあっては、前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度および強度分布を検出可能なセンサであってもよい。
本発明の光学装置は、例えば、第一レーザ光と当該第一レーザ光とは波長が異なる第二レーザ光とを合波して第三レーザ光を得る光学系と、前記第三レーザ光において光軸と交差する断面での前記第一レーザ光と前記第二レーザ光との相対的な位置関係を検査するための検査機構と、を有する。
また、本発明のレーザ光の軸ずれ検査方法は、対象物にレーザ光を照射して、当該対象物を加工するレーザ加工装置であって、第一レーザ光を出射する第一光源と、第二レーザ光を出射する第二光源と、前記第一レーザ光と前記第二レーザ光とを合波した第三レーザ光を対象物に照射して当該対象物を加工する光学ヘッドと、を備えたレーザ加工装置において、前記第三レーザ光の光軸と交差する断面での強度分布を取得する工程と、前記強度分布に基づいて前記第三レーザ光における光軸と交差する断面での前記第一レーザ光と前記第二レーザ光との相対的な位置関係を取得する工程と、を備える。
本発明によれば、例えば、合波されたレーザ光に含まれる複数のレーザ光同士の相対的な軸ずれを検査したり当該軸ずれを抑制したりすることが可能となる。
図1は、第1実施形態のレーザ加工装置の例示的な概略構成図である。 図2は、第1実施形態のレーザ加工装置によって対象物の表面上に形成されるレーザ光のビーム(スポット)を示す例示的な模式図である。 図3は、照射するレーザ光の波長に対する各金属材料の光の吸収率を示すグラフである。 図4は、第1実施形態のレーザ加工装置の検査箇所における二つのレーザ光の光軸と交差する断面における相対的な位置関係を示す模式図であって、二つのレーザ光の軸ずれが生じていない場合の図である。 図5は、図4のV-V位置での二つのレーザ光の強度分布を示す図である。 図6は、第1実施形態のレーザ加工装置の検査箇所における二つのレーザ光の光軸と交差する断面における相対的な位置関係を示す模式図であって、二つのレーザ光の軸ずれが生じている場合の図である。 図7は、図6のVII-VII位置での二つのレーザ光の強度分布を示す図である。 図8は、第2実施形態のレーザ加工装置の例示的な概略構成図である。 図9は、第2実施形態のレーザ加工装置の第一検査箇所における二つのレーザ光の光軸と交差する断面における相対的な位置関係の一例を示す模式図である。 図10は、第2実施形態のレーザ加工装置の第二検査箇所における二つのレーザ光の光軸と交差する断面における相対的な位置関係の一例を示す模式図である。 図11は、第3実施形態のレーザ加工装置の例示的な概略構成図である。 図12は、第3実施形態のレーザ加工装置の検査箇所における二つのレーザ光の光軸と交差する断面における相対的な位置関係の一例を示す模式図である。 図13は、第4実施形態のレーザ加工装置の一部の例示的な概略構成図であって、フィルタアセンブリが第一フィルタ位置にある状態を示す図である。 図14は、第4実施形態のレーザ加工装置の一部の例示的な概略構成図であって、フィルタアセンブリが第二フィルタ位置にある状態を示す図である。 図15は、第5実施形態のレーザ加工装置の一部の例示的な概略構成図である。 図16は、第6実施形態のレーザ加工装置の一部の例示的な概略構成図である。 図17は、第7実施形態のレーザ加工装置の例示的な概略構成図である。 図18は、第8実施形態のレーザ溶接装置の例示的なブロック図である。 図19は、第8実施形態のレーザ溶接装置による処理手順を示す例示的なフローチャートである。 図20は、第9実施形態のレーザ加工装置の例示的な概略構成図である。 図21は、実施形態のレーザ加工装置によって対象物の表面上に形成されるレーザ光のビーム(スポット)を示す例示的な模式図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
以下に示される実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに直交している。なお、Z方向は、対象物Wの表面Wa(加工面)の法線方向である。
また、本明細書において、序数は、検査箇所や、部材、部位、レーザ光等を区別するために便宜上付与されており、優先度や順番を示すものではない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のレーザ加工装置100A(100)の概略構成図である。図1に示されるように、レーザ加工装置100は、レーザ装置111と、レーザ装置112と、光学ヘッド120と、光ファイバ130と、を備えている。
レーザ装置111,112は、それぞれ、レーザ発振器を有しており、一例としては、数kWのパワーのレーザ光を出力できるよう構成されている。また、レーザ装置111,112は、例えば、内部に複数の半導体レーザ素子を備え、当該複数の半導体レーザ素子の合計の出力として数kWのパワーのマルチモードのレーザ光を出力できるよう構成されてもよい。また、レーザ装置111,112は、ファイバレーザ、YAGレーザ、ディスクレーザ等様々なレーザ光源を備えてもよい。なお、レーザ装置111,112は、金属材料の溶融加工を行うため、それぞれ、少なくとも15[W]以上のパワーのレーザ光を出射するのが好ましい。
レーザ装置111は、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長のレーザ光L1を出力する。レーザ装置111は、第一レーザ装置とも称されうる。レーザ装置111が有するレーザ発振器は、第一光源の一例である。レーザ光L1は、第一レーザ光の一例である。
他方、レーザ装置112は、550[nm]以下の波長のレーザ光L2を出力する。レーザ装置112は、第二レーザ装置とも称されうる。レーザ装置112は、400[nm]以上500[nm]以下の波長の第二レーザ光を出力するのが好適である。レーザ装置112が有するレーザ発振器は、第二光源の一例である。レーザ光L2は、第二レーザ光の一例である。
光ファイバ130は、それぞれ、レーザ装置111,112から出力されたレーザ光L1,L2を光学ヘッド120に導く。
光学ヘッド120は、レーザ装置111,112から入力されたレーザ光L1,L2を合波したレーザ光L3(L)を対象物Wに向かって照射する光学装置である。光学ヘッド120は、コリメートレンズ121と、集光レンズ122と、ミラー123と、ビームコンバイナ162と、を備えている。コリメートレンズ121、集光レンズ122、ミラー123、およびビームコンバイナ162は、光学系の一例であり、それぞれ光学部品とも称されうる。レーザ光L3は、第三レーザ光の一例である。
光学ヘッド120は、対象物Wの表面Wa上でレーザ光Lの照射を行いながらレーザ光Lを掃引するために、対象物Wとの相対位置を変更可能に構成されうる。光学ヘッド120と対象物Wとの相対移動は、光学ヘッド120の移動、対象物Wの移動、または光学ヘッド120および対象物Wの双方の移動により、実現されうる。
また、光学ヘッド120は、図示しないガルバノスキャナ等を有することにより、表面Wa上でレーザ光Lを掃引可能に構成されてもよい。
コリメートレンズ121(121-1,121-2)は、それぞれ、光ファイバ130を介して入力されたレーザ光をコリメートする。コリメートされたレーザ光L1,L2は、平行光になる。
ミラー123は、コリメートレンズ121-1で平行光となったレーザ光L1を反射する。ミラー123で反射したレーザ光L1は、Z方向の反対方向に進み、ビームコンバイナ162へ向かう。なお、レーザ光L1が光学ヘッド120においてZ方向の反対方向へ進むように入力される構成にあっては、ミラー123は不要である。
ビームコンバイナ162は、レーザ光L1の大半(例えば、95%以上)を集光レンズ122に向けて透過するとともに、レーザ光L1の一部を検査箇所Pに向けて反射する。また、ビームコンバイナ162は、レーザ光L2の大半(例えば、95%以上)を集光レンズ122に向けて反射するとともに、レーザ光L2の一部を検査箇所Pに向けて透過する。ビームコンバイナ162を透過した大半のレーザ光L1とビームコンバイナ162が反射した大半のレーザ光L2は合波されてレーザ光L3eとなる。ビームコンバイナ162が反射した一部のレーザ光L1とビームコンバイナ162を透過した一部のレーザ光L2は合波されてレーザ光L3dとなる。本明細書では、レーザ光L3d,L3eのように、レーザ光L1の少なくとも一部とレーザ光L2の少なくとも一部とが合波されたレーザ光を、レーザ光L3と称する。ビームコンバイナ162は、例えば、ダイクロイックミラーである。ダイクロイックミラーは、例えば、レーザ光L3d,L3eのパワーの合計におけるレーザ光L3eパワーの比率が95[%]以上かつ99[%]以下の範囲となるよう、言い換えると、レーザ光L3におけるレーザ光L3dのパワーの比率が1[%]以上かつ5[%]以下の範囲となるよう、作製することができる。なお、パワーの比率は適宜調整することが可能である。レーザ光L3e,Lは、出射光の一例であり、レーザ光L3dは、検査光の一例である。また、ビームコンバイナ162は、分岐部の一例である。また、ビームコンバイナ162は、ビームスプリッタとも称されうる。
集光レンズ122は、平行光としてのレーザ光L1およびレーザ光L2を含むレーザ光L3eを集光し、レーザ光L(出力光)として、対象物Wへ照射する。対象物Wは、金属材料で作られている。
レーザ溶接を行う場合、レーザ光Lの照射により、対象物Wには、溶接部が形成される。溶接部は、表面Waからその反対側の裏面に向けて延びる。また、光学ヘッド120が表面Waに対して相対的に移動する場合、レーザ光Lは表面Wa上で掃引され、溶接部は、表面Waに沿って線状に延びる。
図2は、対象物Wの表面Wa上に照射されたレーザ光Lのビーム(スポット)を示す模式図である。図2に示されるように、表面Wa上において、レーザ光L3(L)のビームは、レーザ光L1のビームとレーザ光L2のビームとが重なり、レーザ光L2のビームがレーザ光L1のビームよりも大きく(広く)、かつ、レーザ光L2のビームの外縁L2aがレーザ光L1のビームの外縁L1aを取り囲むように、形成されている。ここで、各レーザ光L1,L2のビーム幅(直径)は、例えば、当該ビームのピークを含み、ピーク強度の1/e以上の強度の領域の幅(直径)として定義することができる。光軸と直交する表面Waにおいて、各レーザ光L1,L2のビームの形状が図2に例示されるように円形である場合、各レーザ光L1,L2のビーム幅は、ビームの外縁L1a,L2aの直径である。また、レーザ光Lが表面Wa上で掃引される場合、ビーム幅は、表面Waにおいてピーク強度の1/e以上の強度の領域の当該掃引方向と直交する方向における幅とする。
[波長と光の吸収率、溶融状態]
ここで、金属材料の光の吸収率について説明する。図3は、照射するレーザ光Lの波長に対する各金属材料の光の吸収率を示すグラフである。図3のグラフの横軸は波長であり、縦軸は吸収率である。図3には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、およびチタン(Ti)について、波長と吸収率との関係が示されている。
材料によって特性が異なるものの、図3に示されている各金属に関しては、一般的な赤外線(IR)のレーザ光L1を用いるよりも、青や緑のレーザ光L2を用いた方が、エネルギの吸収率がより高いことが理解できよう。この特徴は、銅(Cu)や、金(Au)等においては顕著となる。
使用波長に対して吸収率が比較的低い対象物Wにレーザ光Lが照射された場合、大部分の光エネルギは反射され、対象物Wに熱としての影響を及ぼさない。そのため、十分な深さの溶融領域を得るには比較的高いパワーを与える必要がある。その場合、ビーム中心部は急激にエネルギが投入されることで、昇華が生じ、キーホールが形成される。
他方、使用波長に対して吸収率が比較的高い対象物Wにレーザ光Lが照射された場合、投入されるエネルギの多くが対象物Wに吸収され、熱エネルギへと変換される。すなわち、過度なパワーを与える必要はないため、キーホールの形成を伴わずに、熱伝導型の溶融を起こすことができる。
本実施形態では、対象物Wのレーザ光L2に対する吸収率が、レーザ光L1に対する吸収率よりも高くなるよう、レーザ光L1の波長、レーザ光L2の波長、および対象物Wの材質が、選択される。発明者らの実験的な研究により、図2のようなビームのレーザ光Lの照射によるレーザ溶接あるいはレーザ切断においては、ブローホールや、スパッタ、割れのような加工不良を低減できることが確認されている。これは、レーザ光L2の照射によって対象物Wに熱伝導型の加熱をもたらし、レーザ光L1によりキーホールが形成されたとしても、その周囲に溶融池を形成することで溶融池をより安定化することができるからであると推定できる。
また、レーザ光L1の強度のピークをレーザ光L2の強度のピークよりも高く設定し、かつレーザ光L1のパワー密度をレーザ光L2のパワー密度よりも高く設定するのが好適であることが、判明している。
[検査機構]
光学ヘッド120は、レーザ光L1,L2の軸ずれを検査するための検査機構160を備えている。検査機構160は、センサ161と、ビームコンバイナ162と、取付機構163と、を有している。本実施形態では、レーザ光L3d(L3)の光軸と交差する断面における強度分布に基づいて、レーザ光L1,L2の軸ずれが検査される。なお、軸ずれとは、所期の照射位置あるいは所期の相対的な位置関係に対するずれを意味する。
少なくとも検査実施中において、センサ161は、光学ヘッド120に設けられた開口120bを覆うように、取付機構163を介して光学ヘッド120に取り付けられている。センサ161は、レーザ光L3d(L3)の光軸と交差する断面において、レーザ光L3dの強度分布を検出することができる。センサ161は、例えば、ビームプロファイラや、面型フォトダイオード、カロリーメータ等である。なお、開口120bには、レーザ光L3dに対して透明な窓部材が嵌められてもよい。
光学ヘッド120には、レーザ光L3dの検査を行う検査箇所Pが設けられている。取付機構163は、センサ161を、光学ヘッド120の当該検査箇所Pに設置する。取付機構163は、センサ161を取り外し不能な形態で光学ヘッド120に取り付けてもよいし、センサ161を着脱可能に光学ヘッド120に取り付けてもよい。着脱可能な場合、取付機構163は、センサ161に設けられたフランジと光学ヘッド120の壁やフランジとを着脱可能に結合するねじや、クランプ、チャックのような着脱機構を有してもよい。
取付機構163は、検査箇所Pに、センサ161に替えて、検査媒体を設置してもよい。検査媒体は、レーザ光L3dの光軸と交差した検査面を有し、当該検査面は、レーザ光L3dによって照射されることにより、当該レーザ光L3dの光軸と交差した断面での強度分布に応じた痕跡が形成されるよう、構成されている。このような媒体は、例えば、金属プレートや、バーンペーパー等がある。
また、センサ161あるいは検査用の媒体が光学ヘッド120の検査箇所Pに常設されない場合、検査箇所Pには、ダミー部材(不図示)が設けられてもよい。この場合、ダミー部材は、開口120bを覆う蓋として構成され、取付機構163を介して光学ヘッド120に取り付けられてもよい。また、ダミー部材は、レーザ光L3dを吸収あるいは減衰するダンパを有してもよい。
また、センサ161は、レーザ光L3d(L3)の出力強度(合計値)を検出してもよい。この場合、センサ161におけるレーザ光L3d(L3)の出力強度の検出結果から、レーザ装置111,112の出力強度の経時的な変化を把握することができ、ひいては、レーザ装置111,112の経時的な出力性能の低下や、故障等を把握することができる。コントローラ200は、出力強度の検出値に基づく演算処理を実行し、このような劣化や故障を判断し、当該劣化や故障に対応した所定の報知出力を行うよう、例えばディスプレイやスピーカのような出力部(不図示)を制御してもよい。
[軸ずれの検査方法]
図4は、検査箇所Pでのレーザ光L3dの光軸と直交する断面における、当該レーザ光L3dに含まれるレーザ光L1,L2の相対的な位置関係を示している。図5は、図4のV-V位置でのレーザ光L1,L2の強度分布を示している。これら図4,5は、軸ずれが無い場合を示している。他方、図6は、軸ずれδcがある場合の、図4と同位置および同断面における、レーザ光L3dに含まれるレーザ光L1,L2の相対的な位置関係を示している。また、図7は、図6のVII-VII位置でのレーザ光L1,L2の強度分布を示している。なお、図6,7には、レーザ光L2(光軸C2)に対してレーザ光L1(光軸C1)が図1のX方向にずれている場合が例示されている。また、図4~7の例では、レーザ光L1,L2のビームの強度は、いずれも、光軸と交差しかつ直交する断面において、図5,7に示されるような分布を有しているものとする。
図5,7に示されるように、この例の場合、レーザ光L1の外縁L1aの位置では、レーザ光L2の強度が0以上である。よって、レーザ光L1,L2の強度分布の合計となるレーザ光L3dの強度分布の検出結果から、レーザ光L1の外縁L1aを検出したりビーム幅D1を算出したりするのは難しい。これに対し、レーザ光L2の外縁L2aの位置では、レーザ光L1の強度は略0である。よって、レーザ光L3dの強度分布から検出可能なレーザ光L3dの外縁は、レーザ光L2の外縁L2aと見做すことができる。したがって、幾何学的な演算により、センサ161によるレーザ光L3dの強度分布の検出結果の外縁の中心として、レーザ光L2の光軸C2の位置を算出することができる。また、レーザ光L3dの強度分布の外縁から、レーザ光L2のビーム幅D2および、ビームの半径R2も算出することができる。
軸ずれδcが生じた場合、図7に示されるように、レーザ光L2の強度分布のピーク(光軸C2)に対して、レーザ光L1の強度分布のピーク(光軸C1)がずれる。これに伴い、レーザ光L1,L2の強度分布の合計となるレーザ光L3dのピークL3pは、光軸C2から、光軸C1のずれに応じてずれることとなり、この例の場合、レーザ光L3dのピークL3pは光軸C1の位置に近い。したがって、レーザ光L3dの強度分布の外縁からレーザ光L2の光軸C2の位置を算出し、さらにレーザ光L3dのピークL3pを検出し、当該光軸C2に対するピークL3pの位置のずれを算出することにより、光軸C2に対する光軸C1の軸ずれδcを見積もることができる。また、レーザ光L3dの強度分布のピークL3pと、レーザ光L3dの強度分布の外縁から算出した光軸C2の位置とが一致した場合、軸ずれを0(ゼロ)として検出することができる。なお、レーザ光L1,L2の単独での強度の値や、強度比、軸ずれに応じたレーザ光L3dの強度分布等が既知である場合には、レーザ光L3dの強度分布の外縁の検出結果、ならびにレーザ光L3dの強度分布のピークL3pの検出結果から、光軸C2に対する光軸C1の軸ずれδcを、より精度良く算出することができる。
[軸ずれの補正]
図1に示されるように、光学ヘッド120は、第一部位120-1と、第二部位120-2とを有し、当該第一部位120-1と第二部位120-2とが、接続構造120aを介してX方向およびY方向に相対スライド可能に接続されている。接続構造120aは、例えば、第一部位120-1に設けられた第一フランジと、第二部位120-2に設けられた第二フランジと、これら第一フランジおよび第二フランジとの間に介在する中間部材と、(いずれも不図示)を有している。そして、第一フランジと中間部材とが例えばX方向に相対スライド可能に接続され、中間部材と第二フランジとが例えばY方向に相対スライド可能に接続されている。このような構成にあっては、各方向における前後方向およびスライド長さを調整することにより、第一部位120-1と第二部位120-2とを、Z方向と交差する面内において、可動範囲内で任意の相対的な位置関係となるよう、相対スライドすることが可能である。
第一部位120-1は、レーザ光L1を伝播する光学部品としてのコリメートレンズ121-1やミラー123を有し、レーザ光L1の光路を構成している。また、第二部位120-2は、レーザ光L2を伝播する光学部品としてのコリメートレンズ121-2や、ビームコンバイナ162を有し、レーザ光L2の光路を構成している。また、第二部位120-2は、レーザ光L3を伝播する光学部品としてのビームコンバイナ162や、集光レンズ122を有し、レーザ光L3の光路を構成している。第一部位120-1から第二部位120-2には、Z方向の反対方向にレーザ光L1が入力される。そして、上述したように、接続構造120aによって、第一部位120-1と第二部位120-2とは、Z方向と交差するX方向およびY方向に相対スライド可能に接続されている。したがって、第一部位120-1と第二部位120-2とをZ方向と交差する方向、すなわちZ方向の反対方向と交差する方向に、相対スライドすることにより、第一部位120-1から第二部位120-2に入力されるレーザ光L1の光軸をずらすことができ、これにより、レーザ光L1とレーザ光L2との軸ずれを補正することができる。
第一部位120-1と第二部位120-2との相対スライドは、作業者によって人力で行われてもよいし、電気的なアクチュエータによって行われてもよい。後者の場合、レーザ加工装置100は、駆動機構140を備え、当該駆動機構140が、レーザ光L1の光軸が当該光軸と交差する方向に移動するよう、第一部位120-1と第二部位120-2との相対的な位置関係を変更してもよい。この場合、駆動機構140は、第一部位120-1および第二部位120-2のうち一方に支持される支持部と、当該支持部に対して動くことにより他方を動かす可動部と、を有する。また、駆動機構140は、例えば、制御信号によって作動するモータのような回転機構や、当該回転機構の回転出力を減速する減速機構、減速機構によって減速された回転を可動部の直動に変換する運動変換機構等を、有してもよい。さらに、レーザ加工装置100は、コントローラ200を備え、センサ161の検出結果から算出した軸ずれδcが解消するかあるいは減るように第一部位120-1と第二部位120-2とが相対スライドするよう、駆動機構140を電気的に制御してもよい。なお、第一部位は、レーザ光L1およびレーザ光L2のうち一方を伝播し、第二部位は、レーザ光L1およびレーザ光L2のうち他方かあるいはレーザ光L3を伝播するものであればよく、第一部位および第二部位は、本実施形態の構成には限定されない。駆動機構140は、第一駆動機構の一例である。
また、コントローラ200は、レーザ光L1,L2の出射および出射停止を切り替えるよう、レーザ装置111,112を制御してもよい。この場合、レーザ装置111またはレーザ装置112の単独でのレーザ光L1,L2の出力状態においても検査機構160による検査が可能となり、例えば、センサ161による、レーザ光L1の単独での強度分布の検出、レーザ光L2の単独での強度分布の検出、およびレーザ光L1,L2を含むレーザ光L3dの強度分布の検出を、それぞれ別個に、異なるタイミングで行うことができる。コントローラ200は、レーザ光L1を出射するようレーザ装置111を制御するとともにレーザ光L2を出射しないようレーザ装置112を制御し、センサ161によってレーザ光L1の単独の強度分布を取得することができる。また、コントローラ200は、レーザ光L1を出射しないようレーザ装置111を制御するとともにレーザ光L2を出射するようレーザ装置112を制御し、センサ161によってレーザ光L2の単独の強度分布を取得することができる。このように、レーザ光L1,L2の単独の強度分布から当該強度分布の中心としての光軸の位置を算出し、それら光軸の位置のずれとして軸ずれを算出することにより、レーザ光L1,L2を含むレーザ光L3から軸ずれを算出する場合に比べて、より容易に軸ずれを算出することができる。また、レーザ光L1,L2の両方を出射した状態と、レーザ光L1,L2のいずれか一方を出射した状態とを切り替えることにより、レーザ光L1,L2の相対的な軸ずれを算出するようにしてもよい。より具体的には、例えば、レーザ光L1,L2の両方を出射した状態を状態A、レーザ光L2を停止し、レーザ光L1のみを出射した状態を状態B、レーザ光L1を停止し、レーザ光L2のみを出射した状態を状態Cとしたとき、状態Aにおいてセンサ161で取得した強度分布と、状態Bにおいてセンサ161で取得した強度分布とは互いに異なる。よって、状態Aおよび状態Bにおけるそれぞれの強度分布(例えばピーク位置、平均強度等)に基づいて、状態Cにおけるピーク位置を算出することができ、このようにして、レーザ光L1,L2の相対的な軸ずれを算出することができる。なお、対象物Wを加工する際にレーザ光L1,L2のいずれか一方のみを照射する工程がある場合、当該工程を利用してレーザ光L1,L2の相対的な軸ずれを算出するようにしてもよい。
以上、説明したように、本実施形態では、光学ヘッド120は、検査機構160を備えている。検査機構160は、レーザ光L3d(L3、第三レーザ光)の光軸と交差する断面での強度分布に基づいて、レーザ光L3におけるレーザ光L1,L2(第一レーザ光および第二レーザ光)の光軸C1,C2の相対的な位置関係を検査することができる。
また、本実施形態では、光学ヘッド120は、第一部位120-1と第二部位120-2とを有し、当該第一部位120-1と第二部位120-2とを相対スライドすることにより、レーザ光L1,L2の光軸C1,C2の軸ずれを解消するかあるいは減らすことができる。
すなわち、本実施形態によれば、合波されたレーザ光L3に含まれる複数のレーザ光L1,L2同士の相対的な軸ずれを検査したり当該軸ずれを抑制したりすることが可能となる。
また、対象物Wによっては意図的にレーザ光L1,L2の軸を相対的にずらすことで加工品質を向上させることができる場合がある。このような場合においても、合波されたレーザ光L3に含まれる複数のレーザ光L1,L2同士の相対的な軸ずれを検査し、適正なずれ量を設定することができる。
また、本実施形態によれば、レーザ光L3(L)の照射による加工中において、光学ヘッド120内で合波されたレーザ光L3に対するセンサ161による検出結果から随時レーザ光L1,L2の軸ずれを算出することができる。すなわち、軸ずれをリアルタイムに把握することができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態のレーザ加工装置100B(100)の概略構成図である。本実施形態では、光学ヘッド120には、二つの検査箇所P1,P2が設けられている。この点を除き、この点を除き、レーザ加工装置100Bは、第1実施形態のレーザ加工装置100Aと同様の構成を備えている。
検査箇所P1には、ビームコンバイナ162-1が設けられている。ビームコンバイナ162-1は、レーザ光L1の大半(例えば、95%以上)をビームスプリッタ162-2に向けて反射するとともに、レーザ光L1の一部を検査箇所P1に向けて透過する。また、ビームコンバイナ162-1は、レーザ光L2の大半(例えば、95%以上)を集光レンズ122に向けて透過するとともに、レーザ光L2の一部を検査箇所P1に向けて反射する。ビームコンバイナ162-1が反射した大半のレーザ光L1とビームコンバイナ162-1を透過した大半のレーザ光L2は合波されてレーザ光L3となる。ビームコンバイナ162-1が透過した一部のレーザ光L1とビームコンバイナ162-1が反射した一部のレーザ光L2は合波されてレーザ光L3d1となる。ビームコンバイナ162-1は、例えば、ダイクロイックミラーである。レーザ光L3d1は、検査光の一例である。ビームコンバイナ162-1は、光学系の一例であり、分岐部の一例でもあり、光学部品とも称されうる。検査箇所P1は、第一検査箇所の一例であり、ビームコンバイナ162-1が設けられた位置は、レーザ光L3の光路上の第一位置の一例である。検査箇所P1に設けられたセンサ161は、ビームコンバイナ162-1が設けられた位置において、レーザ光L3d1の光軸と交差した断面における強度分布を検出する。
検査箇所P2には、ビームスプリッタ162-2が設けられている。ビームスプリッタ162-2は、レーザ光L3の大半(例えば、95%以上)を集光レンズ122に向けて反射するとともに、レーザ光L3の一部を検査箇所P2に向けて透過する。ビームスプリッタ162-2が反射した大半(例えば、95%以上)のレーザ光L3を、レーザ光L3eと称し、ビームスプリッタ162-2を透過した一部のレーザ光L3を、レーザ光L3d2と称する。ビームスプリッタ162-2は、例えば、ダイクロイックミラーである。レーザ光L3d2は、検査光の一例である。また、ビームスプリッタ162-2は、分岐部の一例であり、光学部品とも称されうる。また、検査箇所P2は、第二検査箇所の一例であり、ビームスプリッタ162-2が設けられた位置は、ビームコンバイナ162-1が設けられた位置(第一位置)よりもレーザ光L3の光路上で前方となる位置であり、第二位置の一例である。検査箇所P2に設けられたセンサ161は、ビームスプリッタ162-2が設けられた位置において、レーザ光L3の光軸と交差した断面における強度分布を検出する。
図9は、検査箇所P1でのレーザ光L3d1(L3)の光軸と直交する断面における、当該レーザ光L3d1に含まれるレーザ光L1,L2の相対的な位置関係を示している。図10は、検査箇所P2でのレーザ光L3d2(L3)の光軸と直交する断面における、当該レーザ光L3d2に含まれるレーザ光L1,L2の相対的な位置関係を示している。
図9,10に示されるように、検査箇所P1では、レーザ光L1,L2の軸ずれが無く、検査箇所P2では、レーザ光L1,L2の軸ずれδiがある。この場合、光軸C1および光軸C2のうち一方が、他方に対して相対的に傾いていることになる。相対的な傾斜角をθとすると、θ=tan(δi/Lp)となる。ここに、Lpは、ビームコンバイナ162-1とビームスプリッタ162-2との間の光路長である。
以上、説明したように、本実施形態では、レーザ光L3の光路上の位置が異なる二箇所の検査箇所P1,P2において、レーザ光L3におけるレーザ光L1,L2の光軸C1,C2の相対的な位置関係を検査することができる。これにより、光軸C1,C2の相対的な傾きを検出することができる。
なお、光軸C1,C2の相対的な傾きは、ミラー123のような光学部品の姿勢(角度)を調整することにより、補正することができる。補正するために角度を動かす光学部品は、コリメートレンズ121-1,121-2のように、レーザ光L1,L2のうちいずれか一方のみの光路を形成するものであればよく、ミラー123には限定されない。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態のレーザ加工装置100C(100)の概略構成図である。本実施形態では、光学ヘッド120は、ビームコンバイナ162と検査箇所Pに設置されたセンサ161との間に、フィルタ164-1,164-2が介在している。この点を除き、レーザ加工装置100Cは、第1実施形態のレーザ加工装置100Aと同様の構成を備えている。
フィルタ164-1は、レーザ光L1を透過するとともにレーザ光L2を遮断するフィルタである。また、フィルタ164-2は、レーザ光L1を遮断するとともにレーザ光L2を透過するフィルタである。フィルタ164-1は、レーザ光L3dの光軸と交差する断面において、Z方向におけるプラス側(図11における上側)の略半分に介在し、フィルタ164-2は、当該断面において、Z方向におけるマイナス側(図11における上側)の略半分に介在している。フィルタ164-1は、第一フィルタの一例であり、フィルタ164-2は、第二フィルタの一例である。
図12は、検査箇所Pでのレーザ光L3d(L3)の光軸と直交する断面における、当該レーザ光L3dに含まれるレーザ光L1,L2の相対的な位置関係を示している。図12に示されるように、本実施形態では、フィルタ164-1,164-2の作用により、レーザ光L1は、Z方向におけるプラス側(図12における下側)の略半分が通過できず、レーザ光L2は、Z方向における前方(図12における上側)の略半分が通過できない。よって、レーザ光L3dにあっては、Z方向における前方の略半分において、主としてレーザ光L1が存在し、Z方向におけるマイナス側の略半分においては、主としてレーザ光L2が存在する。したがって、例えば、レーザ光L1の外縁L1aから幾何学的に光軸C1の位置を算出することができ、レーザ光L2の外縁L2aから幾何学的に光軸C2の位置を算出することができ、これら光軸C1,C2から軸ずれδcを算出することができる。本実施形態によれば、レーザ光L1,L2のそれぞれの部分的な強度分布から、光軸C1,C2ひいては軸ずれδcを、より容易にあるいはより精度良く算出することができる。なお、フィルタ164-1,164-2の位置や、配置は、本実施形態には限定されず、レーザ光L3dの断面に対してフィルタ164-1,164-2が介在する比率も、略半分ずつには限定されない。また、図12の例では、Z方向の軸ずれδcがある場合について例示したが、他の方向の軸ずれδcの場合も、レーザ光L3dに含まれるレーザ光L1,L2の強度分布から同様の手法によって算出することが可能である。
[第4実施形態]
図13,図14は、第4実施形態のレーザ加工装置100D(100)の概略構成図である。本実施形態では、光学ヘッド120は、ビームコンバイナ162と検査箇所Pに設置されたセンサ161との間に、フィルタ164-1,164-2を有したフィルタアセンブリ165が介在している。この点を除き、レーザ加工装置100Dは、第1実施形態のレーザ加工装置100Aと同様の構成を備えている。
フィルタアセンブリ165は可動式であり、図13に示すようなレーザ光L3d(L3)にフィルタ164-1が介在する状態(位置Pf1)と、図14に示すようなレーザ光L3dにフィルタ164-2が介在する状態(位置Pf2)との間で、移動可能に構成されている。この点を除き、レーザ加工装置100Dは、第1実施形態のレーザ加工装置100Aと同様の構成を備えている。フィルタアセンブリ165の移動は、作業者によって人力で行われてもよいし、電気的なアクチュエータによって行われてもよい。後者の場合、レーザ加工装置100は、不図示のフィルタ駆動機構を備え、当該フィルタ駆動機構が、フィルタアセンブリ165を位置Pf1と位置Pf2との間で動かしてもよい。
この場合、フィルタアセンブリ165が位置Pf1にある状態では、センサ161には主としてレーザ光L1が入力される。よって、センサ161は、レーザ光L1の強度分布のピークの位置として、光軸C1の位置を検出することができる。他方、フィルタアセンブリ165が位置Pf2にある状態では、センサ161には、主としてレーザ光L2が入力される。よって、センサ161は、レーザ光L2の強度分布のピークの位置として、光軸C2の位置を検出することができる。よって、本実施形態によれば、レーザ光L1,L2のそれぞれの強度分布から、光軸C1,C2ひいては軸ずれδcを、より容易にあるいはより精度良く算出することができる。
[第5実施形態]
図15は、第5実施形態のレーザ加工装置100E(100)の概略構成図である。本実施形態では、ビームコンバイナ162-1から分岐されたレーザ光L3d(L3)は、ビームスプリッタ162-2によってレーザ光L3d1,L3d2に分配され、検査箇所P3,P4のそれぞれに設置されたセンサ161によって強度分布が検出される。また、検査箇所P3の前段には、フィルタ164-1が設けられ、検査箇所P4の前段には、フィルタ164-2が設けられている。すなわち、検査箇所P3に設置されたセンサ161には、主としてレーザ光L3d1中のレーザ光L1が入力され、検査箇所P4に設置されたセンサ161には、主としてレーザ光L3d2中のレーザ光L2が入力される。これらの点を除き、レーザ加工装置100Eは、第1実施形態のレーザ加工装置100Aと同様の構成を備えている。レーザ光L3d1,L1は、第一検査光の一例であり、レーザ光L3d2,L2は、第二検査光の一例である。また、検査箇所P3は、第三検査箇所の一例であり、検査箇所P4は、第四検査箇所の一例である。
この場合、検査箇所P3に設置されたセンサ161は、レーザ光L1の強度分布のピークの位置として、光軸C1の位置を検出することができる。他方、検査箇所P3に設置されたセンサ161は、レーザ光L2の強度分布のピークの位置として、光軸C2の位置を検出することができる。そして、二つのセンサ161の検出位置については、予め基準位置(原点座標)が共有されるとともに、スケールのキャリブレーションが実行されている。よって、本実施形態によれば、レーザ光L1,L2のそれぞれの強度分布から、光軸C1,C2ひいては軸ずれδcを、より容易にあるいはより精度良く算出することができる。
[第6実施形態]
図16は、第6実施形態のレーザ加工装置100F(100)の概略構成図である。本実施形態では、ビームコンバイナ162-1から分岐されたレーザ光L3d(L3)は、ビームスプリッタ166によって分配され、分岐された一方のレーザ光L3d1(L3)の強度分布が、検査箇所Pに設置されたセンサ161によって検出される。また、分岐された他方のレーザ光L3d2(L3)は、ダンパ167に入力され、当該ダンパ167によって減衰あるいは吸収される。これらの点を除き、レーザ加工装置100Fは、第1実施形態のレーザ加工装置100Aと同様の構成を備えている。
この場合、ビームスプリッタ166による強度の分配比率に応じて、レーザ光L3d1の強度を低下することができる。このような構成により、レーザ光L3d1(L3)に対するセンサ161の保護性をより高めることができ、ひいては、センサ161による強度の検出範囲によらず、レーザ光Lのパワーを高めることができる。
[第7実施形態]
図17は、第7実施形態のレーザ加工装置100G(100)の概略構成図である。本実施形態では、光学ヘッド120は、ガルバノスキャナ126を有している。この点を除き、レーザ加工装置100Gは、第1実施形態のレーザ加工装置100Aと同様の構成を備えている。
ガルバノスキャナ126は、2枚のミラー126a,126bを有しており、当該2枚のミラー126a,126bの角度を制御することで、光学ヘッド120を移動させることなく、レーザ光Lの照射位置を移動させ、レーザ光Lを掃引することができる装置である。ミラー126a,126bの角度は、それぞれ、例えば不図示のモータによって変更される。このような構成によれば、光学ヘッド120と対象物Wとを相対的に移動する機構が不要になり、例えば、装置構成を小型化できるという利点が得られる。
[第8実施形態]
[軸ずれ補正制御]
図18は、レーザ加工装置100のブロック図である。レーザ加工装置100は、例えば、コントローラ200と、記憶部210と、センサ161と、レーザ装置110(111,112)と、駆動機構140と、フィルタ駆動部170を備えている。
コントローラ200は、コンピュータであって、CPU(central processing unit)のようなプロセッサ(回路)や、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)のような主記憶部を有している。コントローラ200は、例えばMCU(micro controller unit)である。記憶部210は、例えばSSD(solid state drive)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶装置を有している。記憶部210は、補助記憶装置とも称されうる。
プロセッサは、ROMや記憶部210に記憶されたプログラムを読み出して各処理を実行することにより、照射制御部201、検出制御部202、軸ずれ算出部203、判定部204、ヘッド制御部205、およびフィルタ制御部206として作動する。プログラムは、それぞれインストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。記録媒体は、プログラムプロダクトとも称されうる。プログラムおよびプロセッサによる演算処理で用いられる値や、テーブル、マップ等の情報は、ROMや記憶部210に予め記憶されてもよいし、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、当該通信ネットワーク経由でダウンロードされることによって記憶部210に記憶されてもよい。記憶部210は、プロセッサによって書き込まれたデータを記憶する。また、コントローラ200による演算処理は、少なくとも部分的に、ハードウエアによって実行されてもよい。この場合、コントローラ200には、例えば、FPGA(field programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit)等が含まれてもよい。
図19は、レーザ加工装置100による軸ずれ補正方法の処理手順のフローチャートである。図19に示されるように、まず、コントローラ200は、照射制御部201や検出制御部202として作動し、センサ161によるレーザ光L3(L3d,L3d1,L3d2)の検出の準備を行うとともに、レーザ光L1,L2を出射するようレーザ装置110を制御し、センサ161による強度分布の検出データを取得する(S1)。このS1における制御は、検査方法によって異なる。例えば、レーザ加工中のようなレーザ光L1,L2の同時照射時にセンサ161による検出を実行する場合には、レーザ加工を行いながらセンサ161による検出を実行するよう、レーザ装置110やセンサ161の作動を制御する。また、レーザ光L1,L2の単独かつ別のタイミングでの照射によってセンサ161による検出を実行する場合には、例えば、レーザ加工を行わない光学ヘッド120の場所や時間において、レーザ光L1,L2の単独照射とセンサ161による検出とが対応するよう、レーザ装置110やセンサ161の作動を制御する。また、光学ヘッド120が可動式のフィルタアセンブリ165を有する場合には、フィルタアセンブリ165の位置Pf1,Pf2とセンサ161による検出とが対応するよう、レーザ装置110やセンサ161に加えて、フィルタアセンブリ165を動かす例えば電磁駆動式のアクチュエータとしてのフィルタ駆動部170を制御する。フィルタ駆動部170は、第二駆動機構の一例である。
次に、コントローラ200は、軸ずれ算出部203として作動し、センサ161による強度分布の検出結果から、上述した各実施形態で述べた手法により、レーザ光L1,L2の軸ずれ、すなわち光軸と交差する断面でのレーザ光L1,L2の相対的な位置関係を、算出する(S2)。工程S1およびS2は、軸ずれ検査方法とも称されうる。
次に、コントローラ200は、判定部204として作動し、軸ずれ量が所定の範囲内か否かを判定する(S3)。軸ずれが所定の範囲内であった場合(S3でYes)、一連の手順を終了する。
他方、軸ずれが所定の範囲を超えていた場合(S3でNo)、コントローラ200は、ヘッド制御部205として作動し、軸ずれが所定の範囲内となるように第一部位120-1と第二部位120-2とが相対スライドするよう、駆動機構140を制御する(S4)。S4の後、S1に移行する。
以上のような、センサ161による強度分布の検出に基づく軸ずれ修正方法によれば、レーザ加工装置100は、レーザ光L1,L2の軸ずれの無いあるいは少ない状態で対象物Wにレーザ光Lを照射し、スパッタや、ブローホール、割れ等の発生が抑制された、高品質なレーザ加工を実行することができる。
また、対象物Wによっては、意図的にレーザ光L1,L2の軸を相対的にずらすことで加工品質を向上させることができる場合がある。このような場合においても、所定の相対位置に対する軸ずれ量が所定の範囲内か否かを判定するようにすることで、対象物Wに応じて高品質なレーザ加工を実行することができる。
[第9実施形態]
図20は、第9実施形態のレーザ加工装置100H(100)の概略構成図である。図20に示されるように、レーザ加工装置100Hの光学ヘッド120は、センサ161へ入力されるレーザ光L3dを遮る可動シャッタ168を備えている。可動シャッタ168は、コントローラ200によって作動が制御される電気的なアクチュエータ(不図示)によって、図20に示される進出位置と、不図示の待避位置との間で往復することができるよう、構成されている。進出位置は、レーザ光L3dを遮る位置であり、閉位置あるいは遮蔽位置とも称され、待避位置は、レーザ光L3dから外れた位置であり、開位置あるいは露出位置とも称されうる。なお、可動シャッタ168の進出位置と待避位置との間での移動は、作業者によって人力で行われてもよい。可動シャッタ168は、可動部材の一例である。
可動シャッタ168が待避位置にある状態では、センサ161は、レーザ光L3dを受光することができる。他方、可動シャッタ168が進出位置にある状態では、レーザ光L3dが可動シャッタ168によって遮られるため、センサ161は当該レーザ光L3dを受光することができない。
対象物Wの加工を行うに際し、比較的高い強度でレーザ光Lを出力したいような場合がある。しかしながら、これに伴って、センサ161に対して、当該センサ161による受光強度の限界を超える強度のレーザ光Ld3が入力されると、センサ161が損傷してしまう虞がある。この点、本実施形態によれば、可動シャッタ168を進出位置に配置することにより、比較的高い強度で対象物Wにレーザ光Lを出力しながら、センサ161の損傷を抑制することができる。
言い換えれば、レーザ加工装置100Hは、可動シャッタ168が進出位置に位置した状態においてはセンサ161にはレーザ光L3dが入力されないため、当該レーザ光L3dの強度に留意することなく、比較的高い強度のレーザ光Lを出力して、対象物Wの加工を行うことができる。その場合、センサ161によるレーザ光L3dの検出は、例えば、対象物Wの加工前や、対象物Wの加工後、複数の対象物Wの加工の間のタイミングのような、対象物Wの加工を行っていないタイミングで、レーザ装置110からの出力強度を、レーザ光L3dの強度がセンサ161の受光強度よりも低くなるよう、加工時の出力強度よりも低くした上で、実行すればよい。なお、検査時において、レーザ装置111,112の双方の出力を加工時よりも低くすることは必須ではなく、レーザ装置111,112のうち少なくとも一方の出力を加工時より低くすればよい。ここに、加工時とは、対象物Wの加工が行われているタイミングを意味し、検査時とは、加工時とは別のタイミングであって検査機構160による検査のためのレーザ光L3dが出力されているタイミングを意味する。
また、仮に、可動シャッタ168が設けられないとすると、比較的高い強度でレーザ光Lを出力する加工を行うのに伴って、センサ161に受光強度の限界を超える強度のレーザ光Ld3が入力されてしまう場合には、センサ161を取り外す必要が生じる。この点、本実施形態によれば、可動シャッタ168を備えることにより、センサ161の着脱の手間を省けるという利点も得られる。
本実施形態のような可動シャッタ168を備えた構成は、図20の構成には限定されず、例えば、可動シャッタ168は、他の実施形態の光学ヘッド120にも設けることができる。また、可動シャッタ168は、光学ヘッド120に内蔵される必要はなく、例えば、光学ヘッド120に取り付けられたり、センサ161に取り付けられたりしてもよい。また、可動シャッタ168は、レーザ光L3dを完全に遮蔽せず、弱めるものであってもよい。さらに、センサ161に替えて、検査媒体が設けられてもよい。
[二つのレーザ光の位置関係]
図21は、実施形態のレーザ加工装置100によって対象物Wの表面Wa上に形成されるレーザ光Lのビーム(スポット)を示す例示的な模式図である。図21に示されるように、所期の位置関係において、レーザ光L1とレーザ光L2とは、互いにずれていてもよい。センサ161によるレーザ光L3dの検出により、コントローラ200は、図21の所期の状態に対する、各レーザ光L1,L2の位置のずれ(軸ずれ)を算出することができる。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
100,100A~100H…レーザ加工装置
110…レーザ装置
111…レーザ装置(第一光源)
112…レーザ装置(第二光源)
120…光学ヘッド
120-1…第一部位
120-2…第二部位
120a…接続構造
120b…開口
121,121-1,121-2…コリメートレンズ(光学系)
122…集光レンズ(光学系)
123…ミラー(光学系)
126…ガルバノスキャナ
126a,126b…ミラー
130…光ファイバ
140…駆動機構(第一駆動機構)
160…検査機構
161…センサ
162,162-1…ビームコンバイナ(光学系、分岐部)
162-2…ビームスプリッタ(光学系、分岐部)
163…取付機構
164-1…フィルタ(第一フィルタ)
164-2…フィルタ(第二フィルタ)
165…フィルタアセンブリ
166…ビームスプリッタ(緩和部材)
167…ダンパ
168…可動シャッタ(可動部材)
170…フィルタ駆動部(第二駆動機構)
200…コントローラ
201…照射制御部
202…検出制御部
203…軸ずれ算出部
204…判定部
205…ヘッド制御部
206…フィルタ制御部
210…記憶部
C1,C2…光軸
D1,D2…ビーム幅
L…レーザ光
L1…レーザ光(第一レーザ光、第一検査光)
L1a…外縁
L2…レーザ光(第二レーザ光、第二検査光)
L2a…外縁
L3…レーザ光(第三レーザ光)
L3e…レーザ光(出射光)
L3d…レーザ光(検査光)
L3d1…レーザ光(検査光、第一検査光)
L3d2…レーザ光(検査光、第二検査光)
L3p…ピーク
P…検査箇所
P1…検査箇所(第一検査箇所)
P2…検査箇所(第二検査箇所)
P3…検査箇所(第三検査箇所)
P4…検査箇所(第四検査箇所)
Pf1,Pf2…位置
R2…半径
W…対象物
Wa…表面
X…方向
Y…方向
Z…方向
δc…軸ずれ
δi…軸ずれ

Claims (22)

  1. 対象物にレーザ光を照射して、当該対象物を加工するレーザ加工装置であって、
    第一レーザ光を出射する第一光源と、
    第二レーザ光を出射する第二光源と、
    前記第一レーザ光と前記第二レーザ光とを合波して第三レーザ光を得る光学系と、
    前記対象物に向けて前記第三レーザ光を出射する光学ヘッドと、
    前記光学ヘッドに設けられ、前記第三レーザ光の光軸と交差する断面での強度分布に基づいて、当該第三レーザ光における前記第一レーザ光と前記第二レーザ光との相対的な位置関係を検査するための検査機構と、
    を備えたレーザ加工装置。
  2. 前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサを有した、請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体を有した、請求項1に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサおよび前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方を着脱可能に取り付ける取付機構を有した、請求項1に記載のレーザ加工装置。
  5. 前記検査機構は、
    前記第三レーザ光の光路の第一位置において前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサおよび前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第一検査箇所と、
    前記第一位置よりも前記第三レーザ光の光路上で前方となる第二位置において前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサおよび前記第三レーザ光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第二検査箇所と、
    を有した、請求項1に記載のレーザ加工装置。
  6. 前記光学ヘッドは、
    前記第一レーザ光および前記第二レーザ光のうち一方を伝播する第一部位と、
    前記第一部位から入力されるレーザ光の光軸と交差する方向において相対的にスライド可能に前記第一部位と接続されるとともに、前記第一レーザ光および前記第二レーザ光のうちの他方または前記第三レーザ光を伝播する第二部位と、
    を有した、請求項1~5のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  7. 前記第一部位と前記第二部位との相対的な位置関係を変更する第一駆動機構を備えた、請求項6に記載のレーザ加工装置。
  8. 前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度分布を検出するセンサを有し、
    前記センサによる強度分布の検出結果に基づいて、前記第一レーザ光と前記第二レーザ光とのずれを算出するずれ算出部と、
    前記ずれ算出部により算出されたずれが所定の範囲内となるよう前記第一駆動機構を制御する駆動制御部と、
    を備えた、請求項7に記載のレーザ加工装置。
  9. 前記検査機構は、前記第三レーザ光を前記対象物に向けて出射する出射光と前記検査機構での検査用の検査光とに分岐する分岐部を有した、請求項1~8のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  10. 前記検査機構は、前記検査光の強度を低減する緩和部材を有した、請求項9に記載のレーザ加工装置。
  11. 前記検査機構は、
    前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を遮断する第一フィルタと、
    前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過する第二フィルタと、
    を有し、
    前記検査光のビームの一部が前記第一フィルタに入力されるとともに前記検査光のビームの他部が前記第二フィルタに入力され、
    前記第一フィルタおよび前記第二フィルタを通過した前記検査光の強度分布を検出するセンサおよび前記第一フィルタおよび前記第二フィルタを通過した前記検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される検査箇所と、
    を有した、請求項9または10に記載のレーザ加工装置。
  12. 前記検査機構は、
    前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を遮断するとともに前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を透過する第一フィルタと、
    前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を遮断するとともに前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過する第二フィルタと、
    前記第一フィルタを通過した第一検査光の強度分布を検出するセンサおよび前記第一検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第三検査箇所と、
    前記第二フィルタを通過した第二検査光の強度分布を検出するセンサおよび前記第二検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち少なくとも一方が設置される第四検査箇所と、
    を有した、請求項9または10に記載のレーザ加工装置。
  13. 前記検査機構は、
    前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を遮断する第一フィルタと、
    前記検査光に含まれる前記第二レーザ光を透過するとともに前記検査光に含まれる前記第一レーザ光を透過する第二フィルタと、
    前記検査光が前記第一フィルタを通過する状態と前記検査光が前記第二フィルタを通過する状態とが切り替わるよう前記第一フィルタおよび前記第二フィルタを動かす第二駆動機構と、
    前記第一フィルタおよび前記第二フィルタのうち前記検査光が通過する位置に配置されたフィルタを通過した当該検査光の強度分布を検出するセンサ、並びに前記第一フィルタおよび前記第二フィルタのうち前記検査光が通過する位置に配置されたフィルタを通過した当該検査光の強度分布を示す痕跡を形成する媒体のうち、少なくとも一方が設置される検査箇所と、
    を有した、請求項9または10に記載のレーザ加工装置。
  14. 前記検査機構による検査において、前記第一光源および前記第二光源のうち少なくとも一方の単独での出力が可能となるよう構成された、請求項9または10に記載のレーザ加工装置。
  15. 前記第二レーザ光は、前記第一レーザ光よりもビーム幅が広く、かつピークが低い強度分布を有した請求項1~14のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  16. 前記第二レーザ光の波長は、前記第一レーザ光の波長より短い、請求項1~15のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  17. 前記第一光源による前記第一レーザ光の出力、および前記第二光源による前記第二レーザ光の出力は、15[W]以上である、請求項1~16のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  18. 前記検査機構への前記第三レーザ光の光路を遮る進出位置と、当該光路から待避した待避位置との間で移動可能な可動部材を備えた、請求項1~17のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  19. 前記第一光源および前記第二光源のうち少なくとも一方の、前記検査機構による検査時におけるレーザ光の出力強度は、前記対象物の加工時におけるレーザ光の出力強度よりも低い、請求項1~18のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  20. 前記検査機構は、前記第三レーザ光の強度および強度分布を検出可能なセンサである、請求項1~19のうちいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
  21. 第一レーザ光と当該第一レーザ光とは波長が異なる第二レーザ光とを合波して第三レーザ光を得る光学系と、
    前記第三レーザ光において光軸と交差する断面での前記第一レーザ光と前記第二レーザ光との相対的な位置関係を検査するための検査機構と、
    を有した光学装置。
  22. 対象物にレーザ光を照射して、当該対象物を加工するレーザ加工装置であって、
    第一レーザ光を出射する第一光源と、
    第二レーザ光を出射する第二光源と、
    前記第一レーザ光と前記第二レーザ光とを合波した第三レーザ光を対象物に照射して当該対象物を加工する光学ヘッドと、
    を備えたレーザ加工装置において、
    前記第三レーザ光の光軸と交差する断面での強度分布を取得する工程と、
    前記強度分布に基づいて前記第三レーザ光における光軸と交差する断面での前記第一レーザ光と前記第二レーザ光との相対的な位置関係を取得する工程と、
    を備えた、レーザ光の軸ずれ検査方法。
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