JP2022087021A - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 Download PDF

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Abstract

【課題】重合体の溶解性が高く、塗布性に優れ、かつ残留電荷の蓄積が抑制された液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供すること。【解決手段】重合体成分が、(I)式(1)で表される部分構造を有するジアミン又は式(1)で表される部分構造を有する重合性不飽和結合含有化合物に由来する構造単位(A)と、窒素含有複素環構造及び式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する構造単位(B)とを含む重合体[P]を含有する、及び(II)構造単位(A)を含む重合体[P1]と、構造単位(B)を含む重合体[P2]とを含有する、のうち少なくともいずれかである。A1は炭素数5以上の1価の鎖状炭化水素基等である。R1は水素原子又は1価の有機基である。「*2」及び「*3」は炭素原子との結合手である。TIFF2022087021000033.tif28158【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子に関する。
液晶素子は、大型の液晶テレビから、スマートフォン等の小型の表示装置まで幅広い範囲のデバイスや用途に適用されている。こうした液晶素子の多用途化に伴い、液晶素子の更なる高品質化が求められており、液晶素子においては、液晶分子の配向を制御する液晶配向膜の各種特性を改善することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、カルボキシル基を有するジアミンに由来する構造を有する重合体と、3級窒素原子を有するジアミンに由来する構造を有する重合体とを液晶配向剤に含有させることにより、塗膜のラビング耐性及び液晶配向膜の電気特性を改善することが開示されている。
特開2015-92222号公報
特許文献1の液晶配向剤では、重合体が有するカルボキシル基と3級窒素原子との酸-塩基相互作用によって液晶配向膜中の電荷の移動が効率良く行われ、これにより液晶素子において直流電圧の印加による残留電荷の蓄積を抑制することが可能と考えられる。しかしながら、この場合、カルボキシル基と3級窒素原子との酸-塩基相互作用により重合体が凝集しやすくなる傾向があり、塗布性が低下することが懸念される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、重合体の溶解性が高く、塗布性に優れ、かつ残留電荷の蓄積が抑制された液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを主たる目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、特定の構造単位を有する重合体を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により以下の手段が提供される。
<1> 重合体成分を含有し、前記重合体成分は、下記の(I)及び(II):
(I)下記式(1)で表される部分構造を有するジアミン又は下記式(1)で表される部分構造を有する重合性不飽和結合含有化合物に由来する構造単位(A)と、窒素含有複素環構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する構造単位(B)とを含む重合体[P]を含有する、
(II)前記構造単位(A)を含む重合体[P1]と、前記構造単位(B)を含む重合体[P2]とを含有する、
のうち少なくともいずれかである、液晶配向剤。
Figure 2022087021000001
(式(1)中、Aは、炭素数5以上の1価の鎖状炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基、又は鎖状炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基の炭素-炭素結合間に-O-を有する炭素数3以上の1価の基である。「*」は、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
Figure 2022087021000002
(式(2)中、Rは、水素原子又は1価の有機基である。「*」及び「*」はそれぞれ、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
<1-1> 上記式(1)で表される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(A)と、窒素含有複素環構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する構造単位(B)とを含む重合体[P]を含有する、液晶配向剤。
<2> 上記<1>の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<3> 上記<2>の液晶配向膜を備える液晶素子。
本発明の液晶配向剤は、重合体の溶解性が高く、塗布性に優れている。また、本発明の液晶配向剤によれば、残留電荷の蓄積が抑制された液晶素子を得ることができる。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
なお、本明細書において、「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。「芳香環」とは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を含む意味である。「有機基」とは、炭素を含む化合物(すなわち有機化合物)から任意の水素原子を取り除いてなる原子団をいう。
≪液晶配向剤≫
本開示の液晶配向剤は、重合体成分を含有する重合体組成物である。当該重合体成分は、下記の(I)及び(II)のうち少なくともいずれかを満たす。
(I)下記式(1)で表される部分構造を有するジアミン又は下記式(1)で表される部分構造を有する重合性不飽和結合含有化合物に由来する構造単位(以下「構造単位(A)」という)と、窒素含有複素環構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する構造単位(以下「構造単位(B)」という)とを含む重合体[P]を含有する。
(II)構造単位(A)を含む重合体[P1]と、構造単位(B)を含む重合体[P2]とを含有する。
Figure 2022087021000003
(式(1)中、Aは、炭素数5以上の1価の鎖状炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基、又は、鎖状炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基の炭素-炭素結合間に-O-を有する炭素数3以上の1価の基である。「*」は、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
Figure 2022087021000004
(式(2)中、Rは、水素原子又は1価の有機基である。「*」及び「*」はそれぞれ、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
以下では、まず第1実施形態として(I)の態様を説明し、続いて第2実施形態として(II)の態様を説明する。なお、本開示の液晶配向剤は、(I)及び(II)の両方を満たしていてもよい。すなわち、本開示の液晶配向剤は、重合体[P]と重合体[P1]と重合体[P2]とを含んでいてもよい。
〔第1実施形態〕
第1実施形態の液晶配向剤は、下記式(1)で表される部分構造を有する単量体に由来する構造単位(A)と、窒素含有複素環構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する構造単位(B)と、を含む重合体[P]を含有する。構造単位(A)を構成する単量体は、ジアミン又は重合性不飽和結合含有化合物である。
<重合体[P]>
・構造単位(A)
上記式(1)で表される部分構造は、膜形成時の加熱(ポストベーク)によりAが脱離してカルボキシル基を生成する。上記式(1)において、Aが、炭素数5以上の1価の鎖状炭化水素基である場合、当該鎖状炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよい。溶解性に優れた重合体を得る観点から、Aが鎖状炭化水素基である場合、当該鎖状炭化水素基の炭素数は5以上である。また、液晶配向膜の面内均一性を良好にする観点、及び液晶素子に蓄積する残留電荷を低減する観点から、Aが鎖状炭化水素基である場合の炭素数は、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。Aが鎖状炭化水素基である場合、良好な熱脱離性を示す点で、Aはアルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることが特に好ましい。
が、炭素数5以上の1価の脂環式炭化水素基である場合、当該脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよいが、中でも飽和であることが好ましい。Aが脂環式炭化水素基である場合、良好な溶解性を示す重合体を得る観点から、当該脂環式炭化水素基の炭素数は5以上であり、6以上であることが好ましい。また、液晶配向膜の面内均一性を良好にする観点、及び液晶素子に蓄積する電荷を低減する観点から、Aが脂環式炭化水素基である場合の炭素数は、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。
上記式(1)中のAが、炭素数5以上の1価の鎖状炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基である場合、上記式(1)で表される部分構造は、熱脱離性が良好である点で、中でも、下記式(Y-1)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 2022087021000005
(式(Y-1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基であるか、又はRとRとが互いに合わせられてR及びRが結合する炭素原子と共に構成される炭素数4以上の環構造を表す。Rは、アルキル基である。ただし、R及びRが共にメチル基の場合、Rは炭素数2以上である。「*」は結合手であることを表す。)
上記式(Y-1)で表される部分構造の具体例としては、下記式(M-1)~式(M-20)のそれぞれで表される構造等が挙げられる。
Figure 2022087021000006
(式(M-1)~式(M-20)中、「*」は、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
が、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基の炭素-炭素結合間に-O-を有する炭素数3以上の1価の基である場合、上記式(1)で表される基としては、カルボン酸のアセタールエステル構造又はカルボン酸のケタールエステル構造を有する基が挙げられる。Aにおいて、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基の炭素-炭素結合間に-O-を有する1価の基の炭素数は、液晶配向膜の面内均一性を良好にする観点、及び液晶素子に蓄積する電荷を低減する観点から、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。
カルボン酸のアセタールエステル構造としては、例えば、下記式(X-1)及び式(X-2)のそれぞれで表される基等が挙げられる。
Figure 2022087021000007
(式(X-1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基、又は炭素数3~15のシクロアルキル基である。式(X-2)中、rは2~10の整数である。「*」は、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
上記式(X-1)で表される基の具体例としては、例えば1-メトキシエトキシカルボニル基、1-エトキシエトキシカルボニル基、1-プロポキシエトキシカルボニル基、1-ブトキシエトキシカルボニル基、1-シクロペンチルオキシエトキシカルボニル基、1-シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、1-ノルボルニルオキシエトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(メトキシ)メトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(エトキシ)メトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記式(X-2)で表される基としては、例えば、2-テトラヒドロフラニルオキシカルボニル基、2-テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
カルボン酸のケタールエステル構造としては、例えば、下記式(X-3)~式(X-5)のそれぞれで表される基等が挙げられる。
Figure 2022087021000008
(式(X-3)中、Rは炭素数1~12のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基である。式(X-4)中、Rは炭素数1~12のアルキル基である。tは2~8の整数である。式(X-5)中、R10は炭素数1~12のアルキル基である。uは2~8の整数である。「*」は、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
上記式(X-3)で表される基の具体例としては、例えば、1-メチル-1-メトキシエトキシカルボニル基、1-メチル-1-エトキシエトキシカルボニル基、1-メチル-1-プロポキシエトキシカルボニル基、1-メチル-1-ブトキシエトキシカルボニル基、1-メチル-1-シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、1-メチル-1-ノルボルニルオキシエトキシカルボニル基、1-シクロヘキシル-1-メトキシエトキシカルボニル基、1-シクロヘキシル-1-プロポキシエトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記式(X-4)で表される基の具体例としては、例えば、2-(2-メチルテトラヒドロフラニル)オキシカルボニル基、2-(2-メチルテトラヒドロピラニル)オキシカルボニル基等が挙げられる。
上記式(X-5)で表される基として、例えば1-メトキシシクロペンチルオキシカルボニル基、1-メトキシシクロヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜の面内均一性、及び液晶素子に蓄積する残留電荷の低減効果をバランス良く示す液晶配向剤を得ることができる点で、構造単位(A)が有する上記式(1)で表される部分構造は、上記式(Y-1)で表される構造、カルボン酸のアセタールエステル構造、及びカルボン酸のケタールエステル構造よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記式(1)中の結合手(*)は、炭化水素基又は複素環を構成する炭化水素構造に結合していることが好ましく、芳香族炭化水素環に結合していることが好ましい。
構造単位(A)を構成する単量体のうち、上記式(1)で表される部分構造を有するジアミン(以下「第1の単量体」ともいう)は、上記式(1)で表される部分構造と2個の1級アミノ基とを有する化合物であればよく、特に限定されない。第1の単量体としては、例えば、下記式(4-1)で表される化合物、式(4-2)で表される化合物、式(4-3)で表される化合物、及び式(4-4)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2022087021000009
(式(4-1)~式(4-4)中、X及びXは、それぞれ独立して、単結合、炭素数1~3のアルカンジイル基、炭素数1~3のフルオロアルカンジイル基、-O-、-S-、-COO-、-CHO-、-NR11-又は-CONR11-である。R11は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。Xは、炭素数1~5のアルカンジイル基である。R10は、炭素数1~10のアルキル基、又は当該アルキル基が有する水素原子の少なくとも1個が上記式(1)で表される基で置換された1価の基である。Aは、上記式(1)中のAと同義である。m1は1~4の整数である。m2は0~4の整数である。)
上記式(4-1)~式(4-4)において、m1は、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。m2は、好ましくは0~2であり、より好ましくは0又は1である。Aについては上記の説明が援用される。
構造単位(A)を構成する単量体のうち、上記式(1)で表される部分構造を有する重合性不飽和結合含有化合物(以下「第2の単量体」ともいう)は、上記式(1)で表される部分構造と、重合性不飽和結合基とを有する化合物であればよく、特に限定されない。第2の単量体が有する重合性不飽和結合基としては、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基、ビニル基(アルケニル基、ビニルフェニル基、ビニルエーテル基等に含まれるビニル基を含む)等が挙げられる。第2の単量体の具体例としては、例えば、下記式(6-1)で表される化合物、式(6-2)で表される化合物、及び式(6-3)で表される化合物で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2022087021000010
(式(6-1)~式(6-3)中、Eは水素原子又はメチル基である。E及びEは、それぞれ独立して2価の炭化水素基である。Aは、上記式(1)中のAと同義である。kは1~4の整数である。)
重合体[P]において、構造単位(A)の含有割合は、溶解性の改善効果を十分に高くするとともに、液晶素子において残留電荷の蓄積を十分に低減する観点から、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量(100モル%)に対し、2.5モル%以上であることが好ましい。構造単位(A)の含有割合は、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、より好ましくは5モル%以上であり、更に好ましくは10モル%以上であり、より更に好ましくは15モル%以上である。また、重合体[P]が有する構造単位(A)と構造単位(B)との比率を好適な範囲とし、残留電荷の蓄積をより効率的に低減する観点から、構造単位(A)の含有割合は、構造単位(A)が第1の単量体に由来する構造単位である場合に、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、40モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることが更に好ましく、25モル%以下であることがより更に好ましい。構造単位(A)が第2の単量体に由来する構造単位である場合、構造単位(A)の含有割合は、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、60モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがより好ましく、50モル%以下であることが更に好ましい。なお、重合体[P]が有する構造単位(A)は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
・構造単位(B)
構造単位(B)は、窒素含有複素環構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種(以下「特定窒素含有構造」ともいう)を有する。
構造単位(B)が有する窒素含有複素環構造は、芳香族複素環構造であってもよく、非芳香族複素環構造であってもよい。これらの具体例としては、窒素含有芳香族複素環構造として、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、ベンゾイミダゾール環、カルバゾール環及びピラジン環、並びにこれらの環に置換基(例えば、メチル基、エチル基等)を有する複素環を有する構造が挙げられる。窒素含有非芳香族複素環構造としては、例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環及びヘキサメチレンイミン環、並びにこれらの環に置換基(例えば、メチル基、エチル基等)が導入された複素環を有する構造が挙げられる。これらのうち、構造単位(B)が有する窒素含有複素環構造は、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノリン環、ベンゾイミダゾール環及びカルバゾール環よりなる群から選ばれる少なくとも1種を有する構造であることが好ましい。
上記式(2)で表される部分構造としては、2級アミノ基及び3級アミノ基が挙げられる。上記式(2)において、Rの1価の有機基は、炭素数1~10の1価の炭化水素基、又は、熱若しくは光により脱離する1価の脱離性基(以下、単に「脱離性基」ともいう)であることが好ましい。Rが1価の炭化水素基である場合、当該1価の炭化水素基は、炭素数1~3のアルキル基、シクロヘキシル基又はフェニル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
が脱離性基である場合、当該脱離性は、熱により脱離する1価の基(以下、「熱脱離性基」ともいう)であることが好ましく、例えばカルバメート系保護基、アミド系保護基、イミド系保護基、スルホンアミド系保護基等が挙げられる。これらのうち、熱による脱離性が高い点で、カルバメート系保護基が好ましく、その具体例としては、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、1,1-ジメチル-2-ハロエチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基等が挙げられる。中でも、熱による脱離性に優れ、かつ脱保護した部分の膜中の残存量を少なくできる点で、tert-ブトキシカルボニル基(t-Boc基)が特に好ましい。
は、水素原子、炭素数1~12の1価の炭化水素基又は熱脱離性基が好ましく、水素原子、炭素数1~6の1価の炭化水素基又はtert-ブトキシカルボニル基がより好ましい。中でも、液晶素子における蓄積電荷の低減効果をより高くできる点で、水素原子、メチル基又はエチル基が特に好ましい。上記式(2)中の2個の結合手(*、*)は、炭化水素基又は複素環を構成する炭化水素構造に結合していることが好ましく、2個の結合手のうち少なくとも一方が、芳香環(芳香族炭化水素環又は芳香族複素環)に結合していることが好ましい。
重合体[P]は、特定窒素含有構造を主鎖中に有していてもよく、側鎖部分に有していてもよい。ここで、本明細書において重合体の「主鎖」とは、重合体のうち最も長い原子の連鎖からなる「幹」の部分をいう。なお、この「幹」の部分が環構造を含むことは許容される。すなわち、「特定窒素含有構造を主鎖に有する」とは、その構造が主鎖の一部分を構成することをいう。「側鎖」とは、重合体の「幹」から分岐した部分をいう。
構造単位(B)を含む重合体を得る方法は特に限定されない。重合体[P]を比較的簡便に製造できる点で、窒素含有複素環及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する単量体(以下「第3の単量体」ともいう)を用いて重合することが好ましい。
構造単位(A)が第1の単量体に由来する構造単位である場合、構造単位(A)及び構造単位(B)を一分子内に含む重合体を簡便に得る観点から、第3の単量体はジアミン化合物であることが好ましい。具体的には、下記式(3-1)で表される化合物、下記式(3-2)で表される化合物及び下記式(3-3)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2022087021000011
(式(3-1)中、B及びBは、それぞれ独立して、2価の芳香族炭化水素基、2価の窒素含有複素環基、又は-Z-O-Z-(ただし、Z及びZは、それぞれ独立して、2価の芳香族炭化水素基である。)である。Bは、単結合、2価の炭化水素基、又は当該炭化水素基の炭素-炭素結合間に、-O-、-NR-及び-CO-NR-(ただし、Rは、水素原子又は1価の有機基である。)よりなる群から選択される少なくとも1種を有する2価の基である。X及びXは、それぞれ独立して、2価の窒素含有複素環基、又は上記式(2)で表される2価の基である。L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は2価の連結基である。mは、0~2の整数である。
式(3-2)中、Bは、2価の有機基である。Yは、窒素含有複素環及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する1価の基である。
式(3-3)中、Bは、2価の窒素含有芳香環基である。)
上記式(3-1)において、B及びBの芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環から2個の水素原子を取り除いた基が挙げられる。B及びBにおける芳香族炭化水素基は、環部分に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。B及びBの窒素含有複素環基は、芳香族複素環から2個の水素原子を取り除いた基であることが好ましい。当該芳香族複素環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環又はベンゾイミダゾール環であることが好ましい。
において、2価の炭化水素基としては、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。Rの1価の有機基としては、炭素数1~10の1価の炭化水素基及び脱離性基が挙げられる。
、Xが2価の窒素含有複素環基である場合、当該窒素含有複素環基としては、構造単位(B)が有する窒素含有複素環構造として例示した窒素含有複素環から2個の水素原子を取り除いた基が挙げられる。X、Xが2価の窒素含有複素環基である場合、X、Xは、中でも、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノリン環、ベンゾイミダゾール環若しくはカルバゾール環、又はこれらの環に置換基(メチル基、エチル基等)が導入された複素環から2個の水素原子を取り除いた基であることが好ましい。
mは、0又は1が好ましい。
、Lは、好ましくは単結合又はアルカンジイル基であり、より好ましくは単結合である。
上記式(3-2)において、2価の有機基は、芳香環を有する基が好ましく、式(3-2)中の2個の1級アミノ基が同一の芳香環又は異なる芳香環に結合した基であることがより好ましい。当該芳香環は、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
が窒素含有複素環を有する1価の基である場合、当該窒素含有複素環としては、構造単位(B)が有する窒素含有複素環構造として例示した窒素含有複素環等が挙げられる。Yが窒素含有複素環を有する1価の基である場合、Yは、中でも、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ベンゾイミダゾール環若しくはキノリン環、又はこれらの環に置換基(メチル基、エチル基等)が導入された複素環を有していることが好ましい。これらの複素環は、上記式(3-2)中のBに対して直接結合していてもよく、n価の連結基(ただし、nは2以上の整数)を介して結合していてもよい。n価の連結基としては、-O-、-NR-、-CO-NR-、炭素数1~5のn価の鎖状炭化水素基、当該鎖状炭化水素基の任意のメチレン基が-O-、-COO-、-NR-又は-CO-NR-に置き換えられてなる2価の基(ただし、Rは水素原子又は1価の有機基)等が挙げられる。
上記式(3-3)において、Bが有する窒素含有芳香環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、カルバゾール環、ベンゾイミダゾール環等が挙げられる。
第3の単量体がジアミン化合物である場合、第3の単量体の具体例としては、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、N-メチル-4,4’-ジアミノジフェニルアミン、N-エチル-4,4’-ジアミノジフェニルアミン、N-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルアミン、2,6-ジアミノピリジン、3,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリミジン、3,6-ジアミノカルバゾール、N-メチル-3,6-ジアミノカルバゾール、1,4-ビス-(4-アミノフェニル)-ピペラジン、3,6-ジアミノアクリジン、N-エチル-3,6-ジアミノカルバゾール、N-フェニル-3,6-ジアミノカルバゾール、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-ベンジジン、下記式(5-1)~式(5-22)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2022087021000012
Figure 2022087021000013
Figure 2022087021000014
(式(5-1)~式(5-22)中、tは1~12の整数である。nは1~5の整数である。t-Bocは、tert-ブトキシカルボニル基を表す。)
構造単位(A)が第2の単量体に由来する構造単位である場合、構造単位(A)及び構造単位(B)を一分子内に含む重合体を簡便に得る観点から、第3の単量体は重合性不飽和結合含有化合物であることが好ましい。第3の単量体としての重合性不飽和結合含有化合物は、特定窒素含有構造と重合性不飽和結合基とを有する化合物であればよく、特に限定されない。第3の単量体が有する重合性不飽和結合基としては、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基、ビニル基(アルケニル基、ビニルフェニル基、ビニルエーテル基等に含まれるビニル基を含む)等が挙げられる。
第3の単量体が重合性不飽和結合含有化合物である場合、第3の単量体の具体例としては、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、N-(4-ジメチルアミノフェニル)マレイミド、N-(4-ジエチルアミノフェニル)マレイミド、4-(ジメチルアミノ)スチレン、4-(ジエチルアミノ)スチレン、下記式(N-1)~式(N-9)
Figure 2022087021000015
のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。なお、式(N-3)中のRは水素原子又はメチル基である。
重合体[P]において、構造単位(B)の含有割合は、溶解性の改善効果を十分に高くするとともに、残留電荷の蓄積を十分に低減する観点から、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、0.25モル%以上であることが好ましい。構造単位(B)の含有割合は、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、より好ましくは0.5モル%以上であり、更に好ましくは2.5モル%以上である。また、構造単位(B)の含有割合は、構造単位(A)が第1の単量体に由来する構造単位である場合に、重合体[P]が有する構造単位(A)と構造単位(B)との比率を好適な範囲とし、残留電荷の蓄積をより効率的に低減する観点から、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、45モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることが更に好ましく、25モル%以下であることがより更に好ましい。構造単位(A)が第2の単量体に由来する構造単位である場合、構造単位(B)の含有割合は、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、50モル%以下であることが好ましく、45モル%以下であることがより好ましく、40モル%以下であることが更に好ましい。なお、重合体[P]が有する構造単位(B)は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
重合体[P]が有する構造単位(A)及び構造単位(B)の割合は、重合体の溶解性及び残留電荷の蓄積の低減効果を十分に得る観点から、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、構造単位(A)の割合が5~40モル%であり、かつ構造単位(B)の割合が0.25~45モル%であることが好ましい。上記の観点から、構造単位(A)及び構造単位(B)の割合は、構造単位(A)の割合が10~40モル%であり、かつ構造単位(B)の割合が0.5~30モル%であることがより好ましく、構造単位(A)の割合が10~30モル%であり、かつ構造単位(B)の割合が2.5~30モル%であることが更に好ましく、構造単位(A)の割合が15~25モル%であり、かつ構造単位(B)の割合が2.5~15モル%であることがより更に好ましい。
重合体[P]が有する構造単位(A)と構造単位(B)との比率は、重合体の溶解性、及び残留電荷の蓄積の低減効果を十分に得る観点から、構造単位(A):構造単位(B)=1:0.01~3(モル比)であることが好ましい。重合体[P]が有する構造単位(A)と構造単位(B)との比率(モル比)は、より好ましくは1:0.025~3であり、更に好ましくは1:0.125~3であり、より更に好ましくは1:0.15~3である。重合体[P]が有する構造単位(A)と構造単位(B)との合計量は、第1の単量体がジアミン化合物である場合、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、好ましくは50モル%以下である。また、第1の単量体が重合性不飽和結合含有化合物である場合、重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対し、好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下である。
・重合体[P]について
重合体[P]の主鎖は特に限定されない。液晶との親和性及び機械的強度が高く、かつ信頼性の高い液晶配向膜を形成できる点、及びモノマーの選択の自由度が高い点で、重合体[P]は、中でも、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及び付加重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(ポリアミック酸)
重合体[P]がポリアミック酸である場合、当該ポリアミック酸(以下「ポリアミック酸[P]」ともいう)は、テトラカルボン酸二無水物と、第1の単量体及び第3の単量体を含むジアミン化合物とを反応させる方法により製造することが好ましい。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸[P]の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物等を;脂環式テトラカルボン酸二無水物として、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-8-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、2,4,6,8-テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン-2:4,6:8-二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等を;芳香族テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメート、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-カルボニルジフタル酸無水物等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010-97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。テトラカルボン酸二無水物としては、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
ポリアミック酸[P]の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物は、溶剤に対する溶解性が高く、良好な電気特性及び低残像特性を示す液晶配向膜を得ることができる点で、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましく、脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むことがより好ましい。脂環式テトラカルボン酸二無水物の使用割合は、ポリアミック酸[P]の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが更に好ましい。
(ジアミン化合物)
ポリアミック酸[P]の合成に使用されるジアミン化合物は、第1の単量体及び第3の単量体のみであってもよいが、第1の単量体及び第3の単量体とは異なるジアミン(以下「その他のジアミン」ともいう)を併用してもよい。その他のジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサン等が挙げられる。
その他のジアミンの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、メタキシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を;脂環式ジアミンとして、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等を;芳香族ジアミンとして、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート、4,4’-ジアミノアゾベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,2-ビス(4-アミノフェノキシ)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサン、ビス[2-(4-アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1-アミノ-3-アミノメチルベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル等の主鎖型ジアミン;
ヘキサデカノキシ-2,4-ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ-2,4-ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ-2,5-ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレステリルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン、コレステリルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5-ジアミノ安息香酸コレステリル、3,5-ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6-ビス(4-アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6-ビス(4-アミノフェノキシ)コレスタン、4-(4’-トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル-3,5-ジアミノベンゾエート、1,1-ビス(4-((アミノフェニル)メチル)フェニル)-4-ブチルシクロヘキサン、3,5-ジアミノ安息香酸=5ξ-コレスタン-3-イル、下記式(E-1)
Figure 2022087021000016
(式(E-1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立して、単結合、-O-、*-COO-又は*-OCO-(ただし、「*」はXとの結合手を示す。)である。Rは、炭素数1~3のアルカンジイル基である。RIIは、単結合又は炭素数1~3のアルカンジイル基である。RIIIは、炭素数1~20のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、又はフルオロアルコキシ基である。aは0又は1である。bは0~3の整数である。cは0~2の整数である。dは0又は1である。ただし、1≦a+b+c≦3である。)
で表される化合物、シンナメート構造を側鎖に有するジアミン等の側鎖型ジアミン等を、
ジアミノオルガノシロキサンとして、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン等を、それぞれ挙げることができる。上記式(E-1)で表される化合物としては、例えば下記式(E-1-1)~式(E-1-4)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2022087021000017
ポリアミック酸[P]の合成に際し、その他のジアミンの使用割合は、ポリアミック酸[P]の合成に使用するジアミン化合物の全量に対して、70モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましく、50モル%以下であることが更に好ましい。その他のジアミンとしては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸[P]は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸[P]の合成反応において、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2~2当量となる割合が好ましい。分子量調整剤としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n-ブチルアミン等のモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等のモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸[P]の合成反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。このときの反応温度は-20℃~150℃が好ましく、反応時間は0.1~24時間が好ましい。反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等を挙げることができる。これらの具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m-クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を反応溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えばブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテル等)との混合物を使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1~50質量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸[P]を溶解してなる重合体溶液が得られる。この重合体溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、重合体溶液中に含まれるポリアミック酸[P]を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<ポリアミック酸エステル>
重合体[P]がポリアミック酸エステルである場合、当該ポリアミック酸エステル(以下「ポリアミック酸エステル[P]」ともいう)は、例えば、[I]ポリアミック酸[P]とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルと、特定ジアミンを含むジアミン化合物とを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物と、特定ジアミンを含むジアミン化合物とを反応させる方法、等によって得ることができる。ポリアミック酸エステル[P]は、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。ポリアミック酸エステル[P]を溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステル[P]を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<ポリイミド>
重合体[P]がポリイミドである場合、当該ポリイミド(以下「ポリイミド[P]」ともいう)は、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸[P]を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミド[P]は、その前駆体であるポリアミック酸[P]が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。ポリイミド[P]は、イミド化率が20~99%であることが好ましく、30~90%であることがより好ましい。なお、イミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸[P]の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸[P]を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。この方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸[P]のアミック酸構造の1モルに対して0.01~20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01~10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸[P]の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0~180℃である。反応時間は、好ましくは1.0~120時間である。なお、ポリイミド[P]を含有する反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミド[P]を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
重合体[P]の溶液粘度は、濃度10質量%の溶液としたときに10~800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15~500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、重合体[P]の良溶媒(例えばγ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体[P]のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~500,000であり、より好ましくは2,000~300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下である。
(付加重合体)
重合体[P]が付加重合体である場合、当該付加重合体(以下「付加重合体[P]」ともいう)は、第2の単量体及び第3の単量体を含む重合性不飽和結合含有化合物を重合することにより得ることができる。付加重合体[P]は、液晶配向性に優れた液晶配向膜を形成できる点で、ポリ(メタ)アクリレート及びマレイミド系重合体(スチレン-マレイミド系共重合体を含む)よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
付加重合体[P]の合成に際しては、第2の単量体及び第3の単量体以外の単量体(以下「その他の重合性不飽和結合含有化合物」ともいう)を用いてもよい。その他の重合性不飽和結合含有化合物としては、(メタ)アクリル化合物、スチレン化合物、共役ジエン化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。
その他の重合性不飽和結合含有化合物の具体例としては、(メタ)アクリル化合物として、(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル等)、(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル、及び(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン及び4-(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン及び2-メチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。マレイミド化合物としては、N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(4-グリシジルオキシフェニル)マレイミド、N-グリシジルマレイミド等が挙げられる。付加重合体[P]の合成に際し、その他の不飽和単量体としては1種を単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
付加重合体[P]は、例えば、重合開始剤の存在下で単量体を重合することにより得ることができる。使用する重合開始剤としては、例えば2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好ましい。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する全単量体100質量部に対して、0.01~30質量部とすることが好ましい。
重合反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。反応に使用する有機溶媒としては、例えばアルコール、エーテル、ケトン、アミド、エステル、炭化水素化合物等が挙げられ、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。反応温度は30℃~120℃とすることが好ましく、反応時間は、1~36時間とすることが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、反応に使用するモノマーの合計量(b)が、反応溶液の全体量(a+b)に対して、0.1~60質量%になるような量にすることが好ましい。
付加重合体[P]につき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、250~500,000であることが好ましく、500~100,000であることがより好ましい。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下である。
液晶配向剤中における重合体[P]の含有割合は、液晶配向剤に含まれる固形分の全量(すなわち、液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量)に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。なお、液晶配向剤の調製に際し、重合体[P]としては1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<その他の成分>
液晶配向剤は、重合体[P]のほか、必要に応じて、重合体[P]とは異なる成分(以下「その他の成分」ともいう)を含有していてもよい。
(その他の重合体)
本開示の液晶配向剤は、重合体成分として、構造単位(A)及び構造単位(B)のうち少なくとも一方を有しない重合体(以下「その他の重合体(1)」ともいう)を含有していてもよい。その他の重合体(1)の主骨格は特に限定されない。その他の重合体(1)としては、例えば、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、ポリエナミン、ポリウレア、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリベンゾオキサゾール、セルロース誘導体、ポリアセタール、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、マレイミド系重合体、又はスチレン-マレイミド系共重合体が挙げられる。重合体[P]と併用した場合の液晶との親和性が高い点、及び液晶素子の信頼性を高くできる点で、その他の重合体(1)は、中でも、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン、及び炭素-炭素不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位を含む重合体よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。炭素-炭素不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位を含む重合体は、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、マレイミド系重合体、及びスチレン-マレイミド系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
その他の重合体(1)を液晶配向剤に含有させる場合、その他の重合体(1)の含有割合は、重合体[P]とその他の重合体(1)との合計量に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。その他の重合体としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(溶剤)
本開示の液晶配向剤は、重合体[P]及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
溶剤としては有機溶媒が好ましく使用される。その具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,2-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、フェノール、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ジアセトンアルコール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、プロパン-1,2-ジオール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸エチル、メチルメトキシプロピオネ-ト、エチルエトキシプロピオネ-ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-i-プロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールジエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールジアセテート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。これらは、1種が単独で又は2種以上を混合して使用される。
液晶配向剤に含有されるその他の成分としては、上記のほか、例えば、架橋剤、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。その他の成分の配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で各化合物に応じて適宜選択することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性等を考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1~10質量%の範囲である。固形分濃度が1質量%以上であると、塗膜の膜厚を十分に確保でき、良好な液晶配向性を示す液晶配向膜が得られやすい。一方、固形分濃度が10質量%以下であると、塗膜を適度な厚みとすることができ、良好な液晶配向性を示す液晶配向膜が得られやすく、また、液晶配向剤の粘性が適度となり塗布性を良好にできる傾向がある。
〔第2実施形態〕
第2実施形態の液晶配向剤は、構造単位(A)を含む重合体[P1]と、構造単位(B)を含む重合体[P2]とを含有する。構造単位(A)及び構造単位(B)については第1実施形態と同じであり、第1実施形態の説明を援用することができる。
なお、重合体[P1]は構造単位(B)を実質的に有しない重合体であり、重合体[P2]は構造単位(A)を実質的に有しない重合体である。ここで、本明細書において、特定の構造単位を「実質的に有しない」とは、その重合体が有する単量体に由来する構造単位の全量に対して、0.5モル%未満であることをいい、好ましくは0.2モル%以下、より好ましくは0.1モル%以下であることをいう。
重合体[P1]と重合体[P2]とを含む液晶配向剤において、重合体[P1]及び重合体[P2]の主鎖は特に限定されない。液晶との親和性、機械的強度及び信頼性の観点から、重合体[P1]及び重合体[P2]は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及び付加重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、以下の態様を好ましい例として挙げることができる。
<1> 重合体[P1]及び重合体[P2]が、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種である態様。
<2> 重合体[P1]及び重合体[P2]のうち一方がポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であり、他方が付加重合体である態様。
重合体[P1]及び重合体[P2]のうち、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル又はポリイミドである重合体は、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造単位を有することが好ましい。脂環式テトラカルボン酸二無水物の例示及び好ましい含有割合については第1実施形態の説明を援用することができる。
第2実施形態の液晶配向剤において、重合体[P1]と重合体[P2]との比率は、重合体の溶解性及び残留電荷の蓄積の低減効果を十分に得る観点から、液晶配向剤中における構造単位(A)と構造単位(B)との比率(モル比)が構造単位(A):構造単位(B)=1:0.01~3となるようにすることが好ましい。液晶配向剤中における構造単位(A)と構造単位(B)との比率(モル比)は、より好ましくは1:0.025~3であり、更に好ましくは1:0.125~3であり、より更に好ましくは1:0.15~3である。
第2実施形態の液晶配向剤は、重合体[P1]及び重合体[P2]のほか、必要に応じて、重合体[P1]及び重合体[P2]とは異なる成分を含有していてもよい。当該成分としては、構造単位(A)及び構造単位(B)をいずれも有しない重合体(以下「その他の重合体(2)」ともいう)、溶剤等が挙げられる。その他の重合体(2)の主骨格については、第1実施形態においてその他の重合体(1)として例示した重合体と同様のものが挙げられる。溶剤等についての詳細は第1実施形態と同様であり、上記の説明を援用することができる。
≪液晶配向膜及び液晶素子≫
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により製造される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の駆動方式は特に限定されず、例えばTN型、STN型、VA型(VA-MVA型、VA-PVA型等を含む)、IPS型、FFS型、OCB(Optically Compensated Bend)型、PSA型(Polymer Sustained Alignment)等の種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1~工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は、各動作モード共通である。
<工程1:塗膜の形成>
まず、基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム-酸化スズ(In-SnO)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。
基板への液晶配向剤の塗布方法は特に限定されず、例えばスピンコート方式、印刷方式(例えば、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式等)、インクジェット方式、スリットコート方式、バーコーター方式、エクストリューションダイ方式、ダイレクトグラビアコーター方式、チャンバードクターコーター方式、オフセットグラビアコーター方式、含浸コーター方式、MBコーター方式法等により行うことができる。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30~200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25~10分である。その後、溶剤を更に除去し、必要に応じて、重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80~280℃であり、より好ましくは80~250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5~200分である。形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001~1μmである。
<工程2:配向処理>
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に対し、液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、基板上に形成した塗膜の表面をコットン等で擦るラビング処理、又は塗膜に光照射を行って液晶配向能を付与する光配向処理を用いることが好ましい。垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用してもよく、液晶配向能をさらに高めるために該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
光配向のための光照射は、ポストベーク工程後の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程後であってポストベーク工程前の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程及びポストベーク工程の少なくともいずれかにおいて塗膜の加熱中に塗膜に対して照射する方法、等により行うことができる。塗膜に照射する放射線としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。好ましくは、200~400nmの波長の光を含む紫外線である。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線の場合の照射方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザー等が挙げられる。放射線の照射量は、好ましくは200~30,000J/mであり、より好ましくは500~10,000J/mである。配向能付与のための光照射後において、基板表面を例えば水、有機溶媒(例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル等)又はこれらの混合物を用いて洗浄する処理や、基板を加熱する処理を行ってもよい。
<工程3:液晶セルの構築>
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、液晶配向膜が対向するように間隙を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤により貼り合わせ、基板表面とシール剤で囲まれたセルギャップ内に液晶を注入充填し注入孔を封止する方法、ODF方式による方法等が挙げられる。シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。
PSAモードでは、液晶とともに重合性化合物(例えば、多官能(メタ)アクリレート化合物等)をセルギャップ内に充填するとともに、液晶セルの構築後、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する処理を行う。PSA型の液晶素子の製造に際し、重合性化合物の使用割合は、液晶の合計100質量部に対して、例えば0.01~3質量部、好ましくは0.05~1質量部である。
液晶表示装置を製造する場合、続いて、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子を得る。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。
なお、重合体[P]を含む液晶配向剤とすることにより、液晶配向剤の塗布性を良好にでき、かつ残留電荷の蓄積が低減された液晶素子を得ることができる理由は定かではないが、以下のようなことが考えられる。カルボキシル基を有する構造単位と、塩基性基を有する構造単位とを含む重合体によれば、カルボキシル基と塩基性基との間の酸-塩基相互作用により液晶配向膜中の電荷の移動を効率良く行わせることができ、液晶素子に蓄積する電荷を低減できると考えられる。その一方で、カルボキシル基を有する構造単位と、塩基性基を有する構造単位とを含む重合体を含む液晶配向剤においては、カルボキシル基と塩基性基との酸-塩基相互作用によって重合体が凝集しやすく、塗布性が低下することが考えられる。これに対し、カルボキシル基を有する構造単位として上記構造単位(A)を有し、塩基性基を有する構造単位として上記構造単位(B)を有する重合体[P]を含む第1実施形態の液晶配向剤によれば、適度な大きさを有する基(A)によってカルボキシル基を保護することにより立体障害を生じさせることができ、また、脱離した基Aの膜中の残存量を低減できたことにより、液晶配向剤の塗布性及び残留電荷の蓄積の低減に寄与したと考えられる。
また、構造単位(A)を有する重合体[P1]と、構造単位(B)を有する重合体[P2]とのブレンド系とした場合にも同様のことがいえると考えられる。すなわち、カルボキシル基を有する構造単位を含む重合体と、塩基性基を有する構造単位を含む重合体は、カルボキシル基と塩基性基との酸-塩基相互作用によって重合体成分が凝集しやすいと考えられる。これに対し、重合体[P1]と重合体[P2]とを含む第2実施形態の液晶配向剤によれば、適度な大きさを有する基(A)によってカルボキシル基を保護することにより立体障害を生じさせることができ、また、脱離した基Aの膜中の残存量を低減できたことにより、残留電荷の蓄積の低減効果を得ながら塗布性を向上できたものと考えられる。
本発明の液晶素子は、種々の用途に有効に適用することができる。具体的には、例えば、時計、携帯型ゲーム機、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話機、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイ等の各種表示装置や、調光装置、位相差フィルム等として用いることができる。
以下、実施例に基づき実施形態をより詳しく説明するが、以下の実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
以下の例において、重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn、重合体溶液中のポリイミドのイミド化率、重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。以下の実施例で用いた原料化合物及び重合体の必要量は、下記の合成例に示す合成スケールでの合成を必要に応じて繰り返すことにより確保した。
[重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn]
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、以下の条件におけるGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH-NMRを測定した。得られたH-NMRスペクトルから、下記数式(1)によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1-(A/(A×α)))×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体の溶液粘度は、E型粘度計を用いて25℃において測定した。
以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号は以下の通りである。なお、以下では、式(X)で表される化合物を単に「化合物(X)」と示すことがある。
Figure 2022087021000018
Figure 2022087021000019
Figure 2022087021000020
Figure 2022087021000021
Figure 2022087021000022
Figure 2022087021000023
Figure 2022087021000024
<重合体の合成>
1.ポリアミック酸の合成
[合成例1]
テトラカルボン酸二無水物としてシクロブタン-1,2:3,4-テトラカルボン酸二無水物20モル部、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物50モル部、及びピロメリット酸二無水物30モル部、並びに、ジアミン化合物として化合物(d-1)5モル部、4,4’-ジアミノジフェニルメタン45モル部、コレスタニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン20モル部、及び化合物(d-14)30モル部をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解し、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸(これを重合体(PA-1)とする)を15質量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、NMPを加えて濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は100mPa・sであった。
[合成例2~16]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の種類及び量を下記表1に記載のとおり変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、ポリアミック酸(重合体(PA-2)~(PA-16))を得た。
2.ポリイミドの合成
[合成例17]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100モル部、並びに、ジアミン化合物として化合物(d-2)30モル部、コレスタニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン30モル部、及び化合物(d-15)40モル部をNMPに溶解し、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸を15質量%含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液に、NMPを追加してポリアミック酸濃度10質量%の溶液とし、ピリジン及び無水酢酸を添加して60℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなNMPで溶媒置換することにより、イミド化率80%のポリイミド(これを重合体(PI-1)とする)を10質量%含有する溶液を得た。得られた重合体の溶液粘度は100mPa・sであった。
[合成例18]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の種類及び量を表1に記載のとおり変更した以外は合成例17と同様の操作を行い、ポリイミド(これを重合体(PI-2)とする)を得た。得られた重合体(PI-2)のイミド化率は50%であった。
Figure 2022087021000025
3.ポリオルガノシロキサンの合成
[合成例19]
1000ml三口フラスコに、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン90.0g、メチルイソブチルケトン500g、及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗から30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、これを0.2質量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去した。メチルイソブチルケトンを適量添加し、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンである重合体(ESSQ-1)の50質量%溶液を得た。
500ml三口フラスコに、化合物(CA-1)6.28g(重合体(ESSQ-1)が有するエポキシ基量に対して20モル%)、化合物(CA-2)3.44g(重合体(ESSQ-1)が有するエポキシ基量に対して10モル%)、テトラブチルアンモニウムブロミド2.00g、重合体(ESSQ-1)含有溶液80g、及びメチルイソブチルケトン239gを加え、90℃で18時間撹拌した。室温まで冷却した後、蒸留水で分液洗浄操作を10回繰り返した。その後、有機層を回収し、ロータリーエバポレータにより濃縮とNMP希釈を2回繰り返した後、NMPを用いて固形分濃度が10質量%になるように調整し、重合体(PS-1)のNMP溶液を得た。
4.付加重合体(スチレン-マレイミド系重合体)の合成
[合成例20]
窒素下、100mL二口フラスコに、重合モノマーとして、化合物(MA-1)10モル部、化合物(MA-2)10モル部、メタクリル酸35モル部、及びメタクリル酸グリシジル45モル部、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2モル部、並びに溶媒としてテトラヒドロフラン50mlを加え、70℃で5時間重合した。メタノールに再沈殿した後、沈殿物を濾過し、室温で8時間真空乾燥することで目的の重合体(PM-1)を得た。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは30000、分子量分布Mw/Mnは2であった。
[合成例21~24]
使用するモノマーの種類及び量を下記表2に記載のとおり変更した以外は合成例20と同様の操作を行い、付加重合体(重合体(PM-2)~(PM-5))を得た。
Figure 2022087021000026
5.液晶配向剤の調製及び評価
[実施例1:PSA型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤(AL-1)の調製
合成例1で得た重合体(PA-1)100質量部を含む溶液に、合成例19で得た重合体(PS-1)10質量部を含む溶液、化合物(Ad-1)5質量部、並びに溶剤としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶剤組成がNMP/BC=50/50(質量比)、固形分濃度が4.0質量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(AL-1)を調製した。
(2)溶解性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤(AL-1)を-15℃の冷凍庫で7日間保管した後、液晶配向剤を室温まで解凍し、解凍した液晶配向剤中のパーティクル数を測定することにより重合体の溶解性を評価した。パーティクル数の測定は、液中パーティクルセンサー(リオン(株)製 KL-20A)を使用し、液晶配向剤10mlについて、大きさが1.0μm以上の微粒子の数を2回測定し、その平均値を液晶配向剤中のパーティクル数とした。このとき、光源波長:780nm、サンプル吸引速度:10ml/minの条件で測定した。
評価は、パーティクル数が5個/ml以下であった場合を「良好(○)」、6個/ml以上10個/ml以下であった場合を「可(△)」、11個/ml以上であった場合を「不良(×)」とした。この実施例では、溶解性良好の評価であった。
(3)液晶組成物の調製
ネマチック液晶(メルク社製、MLC-6608)10gに対し、下記式(L1-1) で表される液晶性化合物を5質量%、及び下記式(L2-1)で表される光重合性化合物 を0.3質量%添加して混合し、液晶組成物LC1を得た。
Figure 2022087021000027
(4)PSA型液晶表示素子の製造
上記で調製した液晶配向剤(AL-1)を、ITO電極からなる導電膜をそれぞれ有するガラス基板2枚の各電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した。その後、230℃で30分間、クリーンオーブン内、窒素雰囲気下でポストベークを行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成することにより、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。なお、使用した電極のパターンは、PSAモードにおける電極パターンと同種のパターンである。
次いで、上記一対の基板のうち一方の基板の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、上記で調製した液晶組成物LC1を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。その後、液晶セルの導電膜間に周波数60Hzの交流10Vを印加し、液晶が駆動している状態で、光源にメタルハライドランプを使用した紫外線照射装置を用いて、100,000J/mの照射量にて紫外線を照射した。なお、この照射量は、波長365nm基準で計測される光量計を用いて測定した値である。その後、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の紫外線の光軸の基板面への射影方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、PSA型液晶表示素子を製造した。
(5)残留DC/抵抗の評価
上記(4)で製造した液晶表示素子に、60℃において5Vの電圧を5分間印加した後、1秒の間ショートし、その後10分間開放状態に保ったときに液晶表示素子内に蓄積した電荷を誘電吸収法により測定した。評価は、電圧の測定値が0.20V以下であった場合を「良好(○)」、0.21Vよりも大きく0.50V未満であった場合を「可(△)」、0.51V以上であった場合を「不良(×)」とした。この実施例では、電圧値が低く(すなわち、液晶表示素子内に蓄積した電荷が少なく)、良好の評価であった。
(6)塗布性(面内均一性)の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤(AL-1)を-15℃の冷凍庫で7日間保管した後、液晶配向剤を室温で解凍し、解凍した液晶配向剤を用いて塗布性(面内均一性)を評価した。評価は、解凍後の液晶配向剤を、JET-CM連続式インクジェットプリンター(紀州技研工業(株)製)を用いて、ITO基板上へ乾燥膜厚が膜厚を0.1μmとなる液量で連続塗布を実施した。液晶配向剤の塗布を開始してから基板全面に液晶配向剤を塗り終わり、焼成するまでに要した時間は10分間であった。得られた配向膜塗布基板を、ホットプレート上にて80℃で1分間プレベークし、その後230℃で30分間、クリーンオーブン内、窒素雰囲気下でポストベークを行った後、液晶配向膜の周辺部及び中央部を20倍の顕微鏡にて観察した。このとき、ピンホール及び塗布ムラ(膜厚ムラ等)がなかった場合を「良好(○)」、ピンホール及び塗布ムラのうち少なくともいずれかが観測された場合を「不良(×)」と判断した。
[実施例6~13、比較例1~9]
液晶配向剤の組成を表3に示すとおり変更した点以外は実施例1と同じ溶剤組成及び固形分濃度で液晶配向剤を調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして溶解性及び塗布性を評価するとともに、PSA型液晶表示素子を製造して残留DC/抵抗の評価を行った。それらの結果を表3に示す。なお、表3中、配向剤組成における各成分の括弧内の数値は配合量(質量部)を表す。
[実施例2:光垂直型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製、並びに溶解性及び塗布性の評価
液晶配向剤の組成を表3に示すとおり変更した点以外は実施例1と同じ溶剤組成及び固形分濃度で液晶配向剤(AL-2)を調製した。また、液晶配向剤(AL-2)を用いて実施例1と同様にして、溶解性及び塗布性の評価を行った。その結果を表3に示す。
(2)光垂直型液晶表示素子の製造
ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、上記で調製した液晶配向剤(AL-2)を、スピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った。その後、庫内を窒素置換したオーブン中、230℃で1時間加熱して膜厚0.1μmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面に、Hg-Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線1,000J/mを、基板法線から40°傾いた方向から照射して液晶配向能を付与した。同じ操作を繰り返して、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)作成した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を対向させ、各基板の紫外線の光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間の間隙にネガ型液晶(メルク社製、MLC-6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを130℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の紫外線の光軸の基板面への射影方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより光垂直型液晶表示素子を製造した。
(3)残留DC/抵抗の評価
上記(2)で製造した光垂直型液晶表示素子につき、上記実施例1の(5)と同様にして残留DC/抵抗の評価を行った。その結果を表3に示す。
[実施例3]
液晶配向剤の組成を表3に示すとおり変更した点以外は実施例2と同じ溶剤組成及び固形分濃度で液晶配向剤(AL-3)を調製した。また、液晶配向剤(AL-3)を用いて、実施例1と同様にして溶解性及び塗布性を評価するとともに、光垂直型液晶表示素子を製造して残留DC/抵抗の評価を行った。その結果を表3に示す。
[実施例4:光配向法を用いたFFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製、並びに溶解性及び塗布性の評価
液晶配向剤の組成を表3に示すとおり変更した点以外は実施例1と同じ溶剤組成及び固形分濃度で液晶配向剤(AL-4)を調製した。また、液晶配向剤(AL-4)を用いて実施例1と同様にして、溶解性及び塗布性の評価を行った。その結果を表3に示す。
(2)光配向法を用いたFFS型液晶表示素子の製造
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板(第1基板)と、電極が設けられていない対向ガラス基板(第2基板)とを準備した。次いで、第1基板の電極形成面及び第2基板の一方の基板面のそれぞれに、液晶配向剤(AL-4)を、スピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間加熱(プレベーク)した。その後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥(ポストベーク)を行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に対し、Hg-Xeランプを用いて、直線偏光された254nmの輝線を含む紫外線1,000J/mを基板法線方向から照射して光配向処理を施した。なお、この照射量は、波長254nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。次いで、光配向処理が施された塗膜を、230℃のクリーンオーブンで30分加熱して熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
次に、液晶配向膜を形成した一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した。その後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネガ型液晶(メルク社製、MLC-6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、液晶セルを得た。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを120℃で加熱してから室温まで徐冷した。その後、液晶セルにおける基板の外側両面に偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子を得た。また、上記の一連の操作を、ポストベーク後の紫外線照射量を100~10,000J/mの範囲でそれぞれ変更して実施することにより、紫外線照射量が異なる3個以上の液晶表示素子を製造し、最も良好な配向特性を示した露光量(最適露光量)の液晶表示素子を、以下の評価に用いた。
(3)残留DC/抵抗の評価
上記(2)で製造した光FFS型液晶表示素子につき、上記実施例1の(5)と同様にして残留DC/抵抗の評価を行った。その結果を表3に示す。
[実施例5:ラビング法を用いたFFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製、並びに溶解性及び塗布性の評価
液晶配向剤の組成を表3に示すとおり変更した点以外は実施例1と同じ溶剤組成及び固形分濃度で液晶配向剤(AL-5)を調製した。また、液晶配向剤(AL-5)を用いて実施例1と同様にして、溶解性及び塗布性の評価を行った。その結果を表3に示す。
(2)ラビング法を用いたFFS型液晶表示素子の製造
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板(第1基板)と、電極が設けられていない対向ガラス基板(第2基板)とを準備した。次いで、第1基板の電極形成面及び第2基板の一方の基板面のそれぞれに、上記で調製した液晶配向剤(AL-5)を、スピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った。その後、庫内を窒素置換したオーブン中、230℃で1時間加熱して膜厚0.1μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、ナイロン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度2.5cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する一対の基板を得た。
上記の一対の基板のうち1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、それぞれの液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より、一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC-6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせることにより、ラビングFFS型液晶表示素子を製造した。
(3)残留DC/抵抗の評価
上記(2)で製造したラビングFFS型液晶表示素子につき、上記実施例1の(5)と同様にして残留DC/抵抗の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2022087021000028
表3から明らかなように、重合体[P]を含む液晶配向剤を用いた実施例1~8、1213は、重合体の溶解性、残留DC特性及び塗布性のいずれも良好又は可であった。これらの中でも、実施例1~6は、構造単位(B)中に熱脱離性基を含む重合体(PA-7)を用いた実施例7、構造単位(A)に対し構造単位(B)の比率を多くした重合体(PA-8)を用いた実施例8に比べて、いずれの評価も良好であり、特に優れていた。
また、重合体[P1]と重合体[P2]とを含む液晶配向剤を用いた実施例9~11についても、重合体の溶解性、残留DC特性及び塗布性のいずれも良好又は可であった。ただし、実施例9~11の液晶配向剤は残留DC特性が可の評価であった。これらの結果から、同一の重合体が構造単位(A)と構造単位(B)とを含む態様の方が、構造単位(A)を有する重合体[P1]と構造単位(B)を有する重合体[P2]を別々に含む態様よりも残留DC特性の改善効果が高く、優れているといえる。
これに対し、構造単位(A)及び構造単位(B)のうちいずれか一方を有しない重合体を用いた比較例1~7は、重合体の溶解性、低残留DC特性及び塗布性のうち少なくともいずれの評価が不良であった。すなわち、塩基性基を有する構造単位を含まない重合体を用いた比較例1は残留DC特性が不良であり、酸性基を有する構造単位を含まない重合体を用いた比較例2はいずれの評価も不良であった。また、保護されていないカルボキシル基を有する構造単位を含む重合体を用いた比較例3、7、及びt-ブトキシカルボニル基で保護されたカルボキシル基を有する構造単位を含む重合体を用いた比較例4は、塗布性が不良の評価であった。さらに、嵩高い基で保護されたカルボキシル基を有する構造単位を含む重合体を用いた比較例5、6は、残留DC特性及び塗布性が不良の評価であった。なお、t-ブトキシカルボニル基のようにさほど嵩高くない基を保護基とした場合、体積排除効果が十分でなく、これにより重合体の溶解性がやや低下し、また塗布性が十分でなかったことが考えられる。また、嵩高い基を保護基とした場合(比較例5、6)、酸-塩基相互作用による電荷輸送が十分でなく、また脱離した保護基による影響により残留DC特性及び塗布性が十分でなかったことが考えられる。
また、保護されていないカルボキシル基を有する構造単位を含む重合体と、構造単位(B)を有する重合体[P2]とを含む液晶配向剤とした比較例8、9は、重合体の溶解性及び低残留DC特性が可、塗布性が不良の評価であった。
以上のことから、重合体成分中に構造単位(A)と構造単位(B)とを含む液晶配向剤を用いることにより、重合体の溶解性、低残留DC特性及び塗布性が良好な液晶配向膜を製造できることが明らかとなった。

Claims (13)

  1. 重合体成分を含有し、
    前記重合体成分は、下記の(I)及び(II):
    (I)下記式(1)で表される部分構造を有するジアミン又は下記式(1)で表される部分構造を有する重合性不飽和結合含有化合物に由来する構造単位(A)と、窒素含有複素環構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する構造単位(B)とを含む重合体[P]を含有する、
    (II)前記構造単位(A)を含む重合体[P1]と、前記構造単位(B)を含む重合体[P2]とを含有する、
    のうち少なくともいずれかである、液晶配向剤。
    Figure 2022087021000029
    (式(1)中、Aは、炭素数5以上の1価の鎖状炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基、又は、鎖状炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基の炭素-炭素結合間に-O-を有する炭素数3以上の1価の基である。「*」は、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
    Figure 2022087021000030
    (式(2)中、Rは、水素原子又は1価の有機基である。「*」及び「*」はそれぞれ、炭素原子に結合する結合手であることを表す。)
  2. 前記重合体[P]は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及び付加重合体よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 前記重合体[P1]及び前記重合体[P2]は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及び付加重合体よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記重合体[P1]及び前記重合体[P2]は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の液晶配向剤。
  5. 前記重合体[P1]及び前記重合体[P2]のうち一方はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であり、他方は付加重合体である、請求項3に記載の液晶配向剤。
  6. 前記重合体[P]が有する前記構造単位(A)と前記構造単位(B)との合計量が、前記重合体[P]が有する単量体に由来する構造単位の全量に対して50モル%以下であり、
    前記重合体[P]が有する前記構造単位(A)と前記構造単位(B)との比率が、モル比で、構造単位(A):構造単位(B)=1:0.025~3である、請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  7. 前記構造単位(B)は、窒素含有複素環構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有するジアミンに由来する構造単位であるか、又は窒素含有複素環構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する重合性不飽和結合含有化合物に由来する構造単位である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  8. 前記構造単位(B)は、下記式(3-1)で表される化合物、下記式(3-2)で表される化合物及び下記式(3-3)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種に由来する構造単位である、請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2022087021000031
    (式(3-1)中、B及びBは、それぞれ独立して、2価の芳香族炭化水素基、2価の窒素含有複素環基、又は-Z-O-Z-(ただし、Z及びZは、それぞれ独立して、2価の芳香族炭化水素基である。)である。Bは、単結合、2価の炭化水素基、又は当該炭化水素基の炭素-炭素結合間に、-O-、-NR-、-CO-NR-及び-NR-CO-(ただし、Rは、水素原子又は1価の有機基である。)よりなる群から選択される少なくとも1種を有する2価の基である。X及びXは、それぞれ独立して、2価の窒素含有複素環基、又は上記式(2)で表される2価の基である。L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は2価の連結基である。mは、0~2の整数である。
    式(3-2)中、Bは、2価の有機基である。Yは、窒素含有複素環及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する1価の基である。
    式(3-3)中、Bは、2価の窒素含有芳香環基である。)
  9. 前記構造単位(A)は、前記上記式(1)で表される部分構造として、下記式(Y-1)で表される構造、カルボン酸のアセタールエステル構造、及びカルボン酸のケタールエステル構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2022087021000032
    (式(Y-1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基であるか、又はRとRとが互いに合わせられてR及びRが結合する炭素原子と共に構成される炭素数4以上の環構造を表す。Rは、アルキル基である。ただし、R及びRが共にメチル基の場合、Rは炭素数2以上である。「*」は結合手であることを表す。)
  10. 前記構造単位(A)は、上記式(1)で表される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位であり、
    前記重合体[P]は、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造単位を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  11. 前記重合体[P1]及び前記重合体[P2]のうち少なくとも一方は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であり、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造単位を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  13. 請求項12に記載の液晶配向膜を備える液晶素子。
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