JP2022086249A - 造形物の製造方法、及び造形物製造用のキット - Google Patents

造形物の製造方法、及び造形物製造用のキット Download PDF

Info

Publication number
JP2022086249A
JP2022086249A JP2020198155A JP2020198155A JP2022086249A JP 2022086249 A JP2022086249 A JP 2022086249A JP 2020198155 A JP2020198155 A JP 2020198155A JP 2020198155 A JP2020198155 A JP 2020198155A JP 2022086249 A JP2022086249 A JP 2022086249A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
organic solvent
liquid
coating resin
cross
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020198155A
Other languages
English (en)
Inventor
慎一郎 佐藤
Shinichiro Sato
義仁 嶋田
Yoshihito Shimada
祐樹 新谷
Yuki Shintani
典晃 岡田
Noriaki Okada
晃司 瀧本
Koji Takimoto
圭将 柴
Yoshimasa Shiba
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2020198155A priority Critical patent/JP2022086249A/ja
Publication of JP2022086249A publication Critical patent/JP2022086249A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • Producing Shaped Articles From Materials (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

【課題】 粉体の層に対して造形成分及び溶媒を含む造形液を吐出することで造形物を製造する場合、造形液の吐出安定性、造形物の強度、造形物の生産性、液体浸漬時における造形物の形状維持性が求められる課題がある。【解決手段】 基材及び前記基材を被覆する被覆樹脂を有する粒子を含む粉体の層を形成する粉体層形成工程と、前記被覆樹脂と架橋反応する架橋剤及び有機溶剤を含む造形液を前記粉体の層に対して吐出することで付与する造形液付与工程と、を有し、前記有機溶剤は、20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤を含み、前記被覆樹脂の前記有機溶剤に対する60℃における溶解度は、1.0質量%以上であり、前記架橋剤の25℃における粘度は、10Pa・s以下であることを特徴とする造形物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、造形物の製造方法、及び造形物製造用のキットに関する。
近時、金属やセラミックスからなる複雑で微細な造形物を生産するニーズが高まってきている。このニーズに対応するための技術として、特に高生産性の観点から、バインダージェッティング方式で造形した焼結前駆体を粉末冶金法によって焼結し緻密化する方式がある。
バインダージェッティング方式による焼結前駆体等の造形物の製造方法の例としては、例えば、粉体薄層に対してインクジェット法を用いて接着材料を供給する方法、粉末粒子と接着剤粒子を混合した粉末材料に対して結合剤を付与し、接着材料を溶解させてから固化させることで造形物を製造する方法(特許文献1参照)、ガラスやセラミックス等の基体に疎水性樹脂を被覆した粉末材料に対してリモネン等の疎水性溶剤を供給し、粉末材料を被覆する疎水性樹脂を溶解させた後、固化させて造形物を製造する方法(特許文献2参照)、金属、ガラス、及びセラミックス等の基材に水溶性樹脂を被覆させた粒子を含有する粉体層に対して有機金属塩を含む水性インクを硬化剤としてインクジェット法を用いて付与し、被覆させた水溶性樹脂を溶解後、有機金属塩で樹脂を架橋させることで製造する方法などが提案されている。
しかしながら、粉体の層に対して造形成分及び溶媒を含む造形液を吐出することで造形物を製造する場合、造形液の吐出安定性が課題となる場合がある。当該課題に対し、吐出安定性の低下が抑制される造形成分を用いる場合、造形成分の材料選択に制約が生じ、造形物の強度が低下する課題が生じる。吐出安定性の低下を抑制しつつ造形成分の材料選択の幅を広げる方法としては、造形液に含まれる溶媒の沸点が高いものを選択することが有効だが、造形後における溶媒の乾燥に時間を要し、造形物の生産性が低下する課題が生じる。また、造形後に造形物の周囲から余剰粉体を除去する際、造形物を液体に浸漬させて洗浄する方法が有効だが、本方法を使用可能な造形物の特性として、上記の強度に加え、液体浸漬時における形状維持性が求められる課題がある。
本発明は、基材及び前記基材を被覆する被覆樹脂を有する粒子を含む粉体の層を形成する粉体層形成工程と、前記被覆樹脂と架橋反応する架橋剤及び有機溶剤を含む造形液を前記粉体の層に対して吐出することで付与する造形液付与工程と、を有し、前記有機溶剤は、20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤を含み、前記被覆樹脂の前記有機溶剤に対する60℃における溶解度は、1.0質量%以上であり、前記架橋剤の25℃における粘度は、10Pa・s以下であることを特徴とする造形物の製造方法に関する。
本発明によれば、粉体の層に対して造形成分及び溶媒を含む造形液を吐出することで造形物を製造する場合において、造形液の吐出安定性、造形物の強度、造形物の生産性、及び液体浸漬時における造形物の形状維持性に優れた造形物の製造方法を提供することができる。
図1Aは、立体造形物の製造装置の動作の一例を示す概略図である。 図1Bは、立体造形物の製造装置の動作の他の一例を示す概略図である。 図1Cは、立体造形物の製造装置の動作の他の一例を示す概略図である。 図1Dは、立体造形物の製造装置の動作の他の一例を示す概略図である。 図1Eは、立体造形物の製造装置の動作の他の一例を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<<造形物の製造方法>>
本開示の造形物の製造方法は、粒子を含む粉体の層を形成する粉体層形成工程と、造形液を粉体の層に対して吐出することで付与する造形液付与工程と、を有し、粉体層形成工程及び造形液付与工程を順次繰り返す積層工程を経て固化物を製造する。このとき、固化物は積層工程後に積層物を加熱する加熱工程を経て製造されてもよい。
また、本開示の造形物の製造方法は、更に、固化物に付着している粉体である余剰粉体を除去してグリーン体を得る余剰粉体除去工程と、グリーン体を乾燥させてグリーン体中に残存する液体成分を除去する乾燥工程と、グリーン体を加熱して後述する架橋樹脂を除去することで脱脂体を得る脱脂工程と、脱脂体を加熱して焼結体を得る焼結工程と、焼結体に対して後処理を行う後処理工程と、を有してもよい。
なお、本開示において「造形物」とは、固化物又は固化物に由来する構造体であって、一定の立体的形状が保たれている立体物の総称を表し、例えば、固化物、グリーン体、脱脂体、及び焼結体などを表す概念である。
<粉体層形成工程>
本開示の造形物の製造方法は、粒子を含む粉体の層を形成する粉体層形成工程を有する。「粉体」とは、複数の粒子を含む集合体である。「粒子」とは、基材及び基材を被覆する被覆樹脂を有する材料である。
まず、粉体の層を形成する方法について詳細に説明する。
粉体の層は、支持体上(造形ステージ上)に形成される。粉体を支持体上に配置させて粉体の薄層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる公知のカウンター回転機構(カウンターローラー)などを用いる方法、粉体をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて拡げる方法、粉体の表面を押圧部材により押圧して拡げる方法、及び公知の積層造形装置を用いる方法などが挙げられる。
カウンター回転機構(カウンターローラー)、ブラシ、ブレード、押圧部材などの粉体層形成手段を用いて、粉体の層を形成する場合、例えば、以下のよう方法で実行できる。
即ち、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された支持体上にカウンター回転機構(カウンターローラー)、ブラシ、ローラ、ブレード、又は押圧部材を用いて粉体を載置する。このとき、支持体として外枠内を昇降可能なものを用いる場合、支持体を外枠の上端開口部よりも少し下方の位置に配し(言い換えると、粉体の層の一層分の厚みだけ下方に位置させておき)、支持体上に粉体を載置する。以上により、支持体上に粉体の薄層に載置させることができる。
粉体の層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、30μm以上500μm以下が好ましく、60μm以上300μm以下がより好ましい。
平均厚みが、30μm以上であると、粉体に造形液を付与することで形成される固化物の強度が向上し、焼結工程等のその後の工程において生じ得る型崩れ等を抑制することができる。また、平均厚みが、500μm以下であると、粉体に造形液を付与することで形成される固化物に由来する造形物の寸法精度が向上する。
なお、平均厚みは、特に制限はなく、公知の方法に従って測定することができる。
なお、粉体層形成手段で供給される粉体は、粉体収容部に収容されていてもよい。粉体収容部は粉体が収容されている容器等の部材であり、例えば、貯留槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。
-粒子-
次に、粉体層形成工程で用いられる粒子について詳細に説明する。粒子は、上記の通り、基材及び基材を被覆する被覆樹脂を有する材料であり、必要に応じてその他成分を有していてもよい。
--基材--
「基材」は、粒子を構成する基となる材料である。基材の形状は、粒子状であることが好ましい。また、基材の材質としては、例えば、金属、セラミックス、カーボン、及びポリマーなどが挙げられるが、高強度の造形物を得る観点から、最終的に焼結工程を実行できる金属及びセラミックスなどが好ましい。
金属としては、例えば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、鉛(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ネオジウム(Nd)、及びこれら金属の合金などが挙げられる。これらの中でも、ステンレス(SUS)鋼、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及びこれら金属の合金などが好適に用いられる。アルミニウム合金としては、例えば、AlSi10Mg、AlSi12、AlSi7Mg0.6、AlSi3Mg、AlSi9Cu3、Scalmalloy、ADC12などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
セラミックスとしては、例えば、酸化物、炭化物、窒化物、水酸化物などが挙げられる。
酸化物としては、例えば、金属酸化物などが挙げられる。金属酸化物としては例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)などが挙げられる。ただし、これらは一例であって、これらに限定されるものではない。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンとしては、例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリマーとしては、例えば、水に不溶な公知の樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
基材は、従来公知の方法を用いて製造することができる。粒子状の基材を製造する方法としては、例えば、固体に圧縮、衝撃、摩擦等を加えて細分化する粉砕法、溶湯を噴霧して急冷粉体を得るアトマイズ法、液体に溶解した成分を沈殿させる析出法、気化させて晶出させる気相反応法などが挙げられる。これらの中でも、球状の形状が得られ、粒径のバラツキが少ない点からアトマイズ法が好ましい。アトマイズ法としては、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、遠心アトマイズ法、プラズマアトマイズ法などが挙げられ、いずれも好適に用いられる。
基材は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、純Al(東洋アルミニウム株式会社製、A1070-30BB)、純Ti(大阪チタニウムテクノロジーズ社製)、SUS316L(山陽特殊製鋼株式会社製、商品名:PSS316L)、AlSi10Mg(東洋アルミニウム株式会社製、Si10MgBB)、SiO(株式会社トクヤマ製、商品名:エクセリカSE-15K)、AlO(大明化学工業株式会社製、商品名:タイミクロンTM-5D)、ZrO(東ソー株式会社製、商品名:TZ-B53)などが挙げられる。
なお、基材は、後述する被覆樹脂との接着性を向上させる観点やコーティング性を向上させる観点で公知の表面処理(表面改質処理)を施してもよい。
基材の体積平均粒径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2μm以上100μm以下が好ましく、8μm以上50μm以下がより好ましい。基材の体積平均粒径が2μm以上であると、基材の凝集が抑制され、基材への被覆樹脂コーティングを行いやすくなり、歩留りの低下、造形物の製造効率の低下、及び基材の取扱性の低下を抑制することができる。また、基材の平均粒子径が100μm以下であると、粒子同士の接点の減少や空隙の増加を抑制することができ、造形物の強度が低下することを抑制することができる。
基材の粒度分布としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、粒度分布はよりシャープである方が好ましい。
基材の体積平均粒径及び粒度分布は、公知の粒径測定装置を用いて測定することができ、例えば、粒子径分布測定装置マイクロトラックMT3000IIシリーズ(マイクロトラックベル製)などが挙げられる。
基材の外形、表面積、円形度、流動性、濡れ性などについては、目的に応じて適宜選択することができる。
--被覆樹脂--
「被覆樹脂」とは、基材を被覆し、造形液に含まれる有機溶剤に溶解し、且つ造形液に含まれる架橋剤と反応して架橋樹脂を形成する材料を表す。なお、本開示における被覆樹脂は、基材を被覆している場合の樹脂に限らず、基材を被覆していた樹脂が造形液に含まれる有機溶剤に溶解している場合の樹脂も含む。また、本開示において「被覆」とは、基材の表面の少なくとも一部が被覆樹脂によって覆われている状態を表し、基材の表面の全てが被覆樹脂によって覆われている状態に限定されない。また、「造形液に含まれる有機溶剤に溶解し」とは、造形液に含まれる有機溶剤に対する被覆樹脂の60℃における溶解度が1.0質量%以上であることを表す。なお、造形液に含まれる有機溶剤が複数種類である場合、造形液中における各有機溶剤の組成比を有する混合溶剤を用いて上記溶解度を測定する。また、「架橋樹脂」とは、被覆樹脂及び架橋剤が反応して形成される共有結合による架橋構造を分子中に有する樹脂を表す。
被覆樹脂は、基材として使用可能な活性の高い金属(高活性金属)に対して反応性が低く、造形液に含まれる有機溶剤に溶解し、造形液に含まれる架橋剤と反応して形成される架橋樹脂が造形液に含まれる有機溶剤に対して溶解しないことが好ましい。特に、被覆樹脂は、水に対する溶解性が低い有機溶剤に可溶であることがより好ましい。これにより、基材が高活性金属、言い換えると禁水材料(例えば、アルミニウム、チタンなど)であっても適用することができ、製造した造形物を有機溶剤に浸漬させても崩壊することを抑制することができる。
被覆樹脂は、造形液に含まれる架橋剤と反応して架橋構造を形成する反応性官能基を有する。反応性官能基は、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、リン酸基、チオール基、アセトアセチル基、エーテル結合などが挙げられる。これらの中でも、基材との密着性向上や架橋剤との反応性の点で、水酸基であることが好ましい。
脱脂工程又は焼結工程において被覆樹脂が造形物中に残存することで焼結阻害を起こさないようにするために、被覆樹脂単独を450℃で加熱した場合に、95質量%以上が熱分解するものであることが好ましい。
被覆樹脂としては、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロースなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの中でも、分子末端ではなく分子内に水酸基を多数有する樹脂が好ましく、分子量が2,000以上100,000以下で常温において固体である樹脂が好ましく、水酸基価が50mgKOH/g以上である樹脂が好ましい。
被覆樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ポリアクリルポリオール(DIC社製:アクリディックWFU-580等)、ポリエステルポリオール(DIC社製:ポリライトOD-X-668等、ADEKA社製:アデカニューエースYG-108等)、ポリブタジエンポリオール(日本曹達社製:GQ-1000等)、ポリビニルブチラール(クラレ社製:モビタールB20H等)、ポリビニルアセタール(積水化学工業社製:エスレック BM-2,KS-1等)、エチルセルロース(日進化成社製:ETHOCEL)等が挙げられる。
基材を被覆している被覆樹脂の厚みは、平均厚みで、5nm以上1,000nm以下が好ましく、5nm以上500nm以下がより好ましく、50nm以上300nm以下が更に好ましく、100nm以上200nm以下が特に好ましい。平均厚みが5nm以上であると、造形物の強度が向上する。また、平均厚みが1,000nm以下であると、造形物の寸法精度が向上する。
なお、平均厚みは、例えば、粒子をアクリル樹脂等に包埋した後、エッチング等を行って基材の表面を露出させた後、走査型トンネル顕微鏡STM、原子間力顕微鏡AFM、走査型電子顕微鏡SEMなどを用いて、任意の10箇所の厚みを測定及びその平均値を算出することにより得ることができる。
粒子の表面積に対する被覆樹脂の表面積の割合(表面被覆率)は、15%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。表面被覆率が15%以上であると、造形物の強度及び寸法精度が向上する。
なお、表面被覆率は、例えば、粉体の写真を取得し、二次元の写真に写る任意の10個の粒子において測定する。具体的には、粒子の表面の全面積に対する、被覆樹脂で被覆された部分の面積の割合(%)を測定し、その平均値を算出してこれを表面被覆率とする。なお、被覆樹脂で被覆された部分の判断において、例えば、SEM-EDS等のエネルギー分散型X線分光法による元素マッピングの手法等を用いることができる。
--その他の成分--
必要に応じて用いられるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、レベリング剤、焼結助剤、及び高分子樹脂粒子などが挙げられる。
フィラーは、粒子の表面に付着させたり、粒子間の空隙に充填させたりするのに有効な材料である。フィラーを用いることで、例えば、粉体の流動性を向上させることができ、また、粒子同士の接点が増え、空隙を低減できることから、造形物の強度や寸法精度を高めることができる。
レベリング剤は、粉体の層の表面における濡れ性を制御するのに有効な材料である。レベリング剤を用いることで、例えば、粉体の層への造形液の浸透性が高まり、造形物の強度を高めることができる。
焼結助剤は、造形物を焼結させる際、焼結効率を高める上で有効な材料である。焼結助剤を用いることで、例えば、造形物の強度を向上でき、焼結温度を低温化でき、焼結時間を短縮できる。
高分子樹脂粒子は、粒子の表面に付着させるのに有効な材料であり、有機物外添剤とも称する。高分子樹脂粒子の平均粒径は、特に制限されないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μmであることがより好ましい。高分子樹脂粒子の付着状態は、例えば、日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡JSM-7400F及びキーエンス社製リアルサーフェスビュー顕微鏡VE-7800などによって観察することができる。具体的には、粒子の表面にカーボン蒸着又は金蒸着等のコーティング処理を行った上で、倍率10,000~30,000倍にて観察する。
--粒子の製造方法--
粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材上に公知の被覆方法に従って被覆樹脂を被覆させる方法などが好適に挙げられる。具体的には、例えば、転動流動コーティング法、スプレードライ法、撹拌混合添加法、ディッピング法、ニーダーコート法、などが挙げられる。また、これらの被覆方法は、公知の市販の各種コーティング装置、造粒装置などを用いて実施することができる。
-粉体-
次に、粉体層形成工程で用いられる粉体について詳細に説明する。粉体は、上記の通り、複数の粒子を含む集合体であり、必要に応じてその他成分を有していてもよい。
--体積平均粒径--
粉体の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上250μm以下が好ましく、3μm以上200μm以下がより好ましく、5μm以上150μm以下が更に好ましく、10μm以上85μm以下が特に好ましい。体積平均粒径が3μm以上であると、粉体の流動性が向上し、粉体の層が形成しやすくなり、層表面の平滑性が向上するため、造形物の製造効率が向上し、取扱性が向上するとともに寸法精度が向上する。また、体積平均粒径が250μm以下であると、粒子間に生じる空隙の大きさが小さくなるため、造形物中の空隙率が小さくなり、強度の向上に寄与する。従って、体積平均粒径が3μm以上250μm以下であることが、寸法精度と強度を両立させるのに好ましい。なお、体積平均粒径は、例えば、粒子径分布測定装置マイクロトラックMT3000IIシリーズ(マイクロトラックベル製)などを用いて測定することができる。
--安息角--
粉体の安息角は、60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、40°以下が更に好ましい。60°以下であると、粉体を支持体上の所望の場所に効率よく安定して配置させることができる。なお、安息角は、例えば、粉体特性測定装置(パウダテスタPT-N型、ホソカワミクロン株式会社製)などを用いて測定することができる。
<造形液付与工程>
本開示の造形物の製造方法は、造形液を粉体の層に対して吐出することで付与する造形液付与工程を有する。「造形液」とは、粒子表面の被覆樹脂を溶解させ、且つ溶解した被覆樹脂(溶解した被覆樹脂が造形液の乾燥に伴って析出したものを含む)を造形液に含まれる架橋剤と反応させることで架橋樹脂を形成する液体組成物である。造形液は、被覆樹脂と架橋反応する架橋剤及び有機溶剤含む。
まず、造形液を粉体の層に対して吐出することで付与する方法について詳細に説明する。
粉末の層に、造形液を吐出することで付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。これらの中でも、ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなる。また、スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による造形液の飛散が発生する。このため、インクジェット方式であることが好ましい。インクジェット方式は、スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な造形物を精度良くかつ効率的に形成し得る点で好ましい。
インクジェット法を用いる場合、造形液を吐出することで付与する造形液付与手段は、造形液を吐出するノズルを有するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッドとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるインクジェットヘッドを好適に使用することができる。なお、インクジェットプリンターにおけるインクジェットヘッドとしては、例えば、株式会社リコー製の産業用インクジェットRICOH MH/GH SERIESなどが挙げられる。
なお、造形液付与手段に供給される造形液は、造形液収容部に収容されていてもよい。造形液収容部は造形液が収容されている容器等の部材であり、例えば、貯留槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。
-造形液-
次に、造形液付与工程で用いられる造形液について詳細に説明する。造形液は、上記の通り、被覆樹脂と架橋反応する架橋剤及び有機溶剤を含む液体組成物であり、必要に応じてその他成分を含んでいてもよい。
--架橋剤--
架橋剤は、被覆樹脂と架橋反応する材料であり、具体的には、被覆樹脂の有する反応性官能基と共有結合を形成可能なものである。架橋剤は、被覆樹脂の反応性官能基と共有結合を形成することにより架橋構造を形成し、得られる造形物の強度を向上させ、耐溶剤性を向上させることができる。
架橋剤としては、被覆樹脂の有する反応性官能基と共有結合を形成可能な官能基を有していれば特に限定されないが、被覆樹脂の有する水酸基と共有結合を形成可能な官能基を有していることが好ましい。
具体的には、イソシアネート基を分子末端に2以上有する化合物であることが好ましい。イソシアネート基を分子末端に2以上有する化合物としては、例えば、ジイソシアネート、ポリイソシアネートなどが挙げられ、ポリイソシアネートであることが好ましい。
ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフタリンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、パラフェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)等の脂肪族イソシアネート;リジンジイソシアネート(LDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等のジイソシアネート;これらジイソシアネートのジオール化合物とのアダクト体が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネートのトリオールとのアダクト体、ビウレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体等が挙げられる。
イソシアネート基を分子末端に2以上有する化合物は市販品でもよく、市販品としては、三井化学社製のタケネートD110N、D120N、D140N、D160N、D165N、D178NL、D103H、D204EA-1やスタビオD370N、D376N、旭化成社製のデュラネートD101、D201、A201Hなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
造形液全量に対する架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0質量%以上が好ましく、5.0質量%以上がより好ましく、10.0質量%以上が更に好ましく、15.0質量%以上が特に好ましい。また、造形液全量に対する架橋剤の含有量は、50.0質量%以下が好ましい。造形液全量に対する架橋剤の含有量が1.0質量%以上50.0質量%以下であると、得られる造形物の強度が低下することを抑制することができる。
架橋剤は、25℃において液体状であり、25℃における粘度が10Pa・s以下である。粘度が10Pa・s以下であることで、造形液を粉体の層に対して吐出することで造形される固化物の形成に必要な架橋剤量を維持しつつ、造形液の粘度を造形液付与手段で吐出する上で好適な範囲(例えば、25℃において4.0mPa・s以上12.0mPa・s以下)にすることができる。これにより、後述する蒸気圧範囲を有する有機溶剤を架橋剤と併用した場合においても、吐出安定性に優れた造形液を提供することができる。
なお、造形液中に複数種類の架橋剤を含む場合、上記粘度は各架橋剤にて測定する。このとき、少なくとも1種の架橋剤において上記粘度範囲を満たしていればよいが、全ての架橋剤において上記粘度範囲を満たしていることが好ましい。
また、上記粘度は公知の粘度計を用いて測定することができ、例えば、ブルックフィールド社製回転粘度計(DV-E VISCOMETER HADVE115型)などを用いることができる。
--有機溶剤--
有機溶剤は、造形液を常温において液体の状態とするために用いられる液体成分である。
有機溶剤の20℃における蒸気圧は、100Pa以上2000Pa以下である。有機溶剤の蒸気圧が上記範囲内であることで、被覆樹脂の造形液に対する溶解性が向上し、結果として強度に優れた造形物を得ることができる。また、有機溶剤の蒸気圧が上記範囲内であることで、造形液付与手段において造形液が乾燥することが抑制され、吐出安定性に優れた造形液を提供できる。また、造形後における溶媒の乾燥時間を短縮することができ、造形物の生産性が向上する。なお、造形液に含まれる有機溶剤が複数種類である場合、造形液中における各有機溶剤の組成比を有する混合溶剤を用いて上記蒸気圧を測定する。
20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤は、造形液中に2種以上含まれることが好ましい。また、上記有機溶剤が造形液中に2種以上含まれる場合、20℃における蒸気圧が500Pa以上2000Pa以下である有機溶剤を含むことが好ましく、更に、20℃における蒸気圧が500Pa以上2000Pa以下である有機溶剤及び20℃における蒸気圧が100Pa以上500Pa以下である有機溶剤を含むことがより好ましい。20℃における蒸気圧が500Pa以上2000Pa以下である有機溶剤を用いることで、造形後における溶媒の乾燥時間を短縮することができ、造形物の生産性が向上する。また、20℃における蒸気圧が100Pa以上500Pa以下である有機溶剤を用いることで、造形液付与手段において造形液が乾燥することが抑制され、吐出安定性に優れた造形液を提供できる。
20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤としては、例えば、n-オクタン(沸点:125.6℃、飽和蒸気圧:1.86kPa(25℃))、m-キシレン(沸点:139℃、飽和蒸気圧:0.8kPa(20℃))、ソルベントナフサ(沸点:150℃以上、飽和蒸気圧:0.1kPa~1.4kPa(20℃))などの脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素;ジイソブチルケトン(沸点:168℃、飽和蒸気圧:0.23kPa(20℃))、3-ヘプタノン(沸点:146℃~149℃、飽和蒸気圧:1.4kPa(25℃))、2-オクタノン(沸点:172.5℃、飽和蒸気圧:1.35kPa(25℃))、アセチルアセトン(沸点138℃、飽和蒸気圧0.93kPa)などのケトン類;酢酸ブチル(沸点:126℃、飽和蒸気圧:1.53kPa(25℃))、酢酸アミル(沸点:142℃、飽和蒸気圧:0.747kPa(25℃))、酢酸n-ヘキシル(沸点:168℃~170℃、飽和蒸気圧:0.5kPa(20℃))、酪酸エチル(沸点:121℃、飽和蒸気圧:0.17kPa(20℃))、吉草酸エチル(沸点:145℃)、カプリル酸エチル(沸点:208℃、飽和蒸気圧:0.2kPa(20℃))、アセト酢酸エチル(沸点:181℃、飽和蒸気圧:0.1kPa(20℃))、3-エトキシプロピオン酸エチル(沸点:166℃、飽和蒸気圧:0.2kPa(25℃))、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:146℃、飽和蒸気圧:0.5kPa)、などのエステル;ジブチルエーテル(沸点:142℃、飽和蒸気圧:0.64kPa(25℃))、1,4-ジメトキシベンゼン(沸点:213℃、飽和蒸気圧:0.13kPa未満(25℃))などのエーテルなどが挙げられる。これらは1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤は、水に対して不溶又は微溶であることが好ましい。水に対して不溶又は微溶であるとは、有機溶剤の水に対する溶解度が80g/L以下であることを表す。
20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤の含有量は、造形液全量に対して、30.0質量%以上90.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以上80.0質量%以下がより好ましい。30質量%以上90質量%以下であると、被覆樹脂の造形液に対する溶解性が向上し、結果として強度に優れた造形物を得ることができる。また、造形液付与手段において造形液が乾燥することが抑制され、吐出安定性に優れた造形液を提供できる。
なお、有機溶剤として、20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下ではない有機溶剤を含んでいてもよいが少量であることが好ましい。20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下ではない有機溶剤の含有量は、造形液全量に対して、6.0質量%以下が好ましく、実質的に含んでいないことがより好ましい。6.0質量%以下であることで造形液の吐出安定性が向上する。
--その他成分--
必要に応じて用いられるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥防止剤、粘度調整剤、界面活性剤、浸透剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、着色剤、保存剤、安定化剤などが挙げられる。これら従来公知の材料を、造形液に適宜添加することができる。
また、造形液は実質的に水を含有しないことが好ましい。これにより、基材が高活性金属、言い換えると禁水材料(例えば、アルミニウム、チタンなど)であっても適用することができるためである。なお、実質的に水を含有しないとは、水の含有量が造形液全量に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましい。また、造形液における水の含有量が公知かつ技術常識の手法を用いた場合において検出限界以下であることが特に好ましい。
--造形液の製造方法--
造形液の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記材料を混合撹拌する方法が挙げられる。
<積層工程、加熱工程>
本開示の造形物の製造方法は、粉体層形成工程及び造形液付与工程を順次繰り返す積層工程を有することが好ましく、積層工程を経て固化物が造形される。「固化物」とは、被覆樹脂及び架橋剤が反応して形成される架橋樹脂により一定の立体形状が保たれている立体物であって、固化物を構成しない粉体である余剰粉体を除去する余剰粉体除去工程を経ていないものを表す。
積層工程は、粉体を薄層に載置させる工程(粉体層形成工程)と、薄層上に造形液を吐出することで付与する工程(造形液付与工程)と、を有し、これにより粉体の層のうち造形液が付与された領域を固化させる。更に、積層工程は、固化した領域を有する薄層上に、上記と同様にして、粉体を薄層に載置(積層)させる工程(粉体層形成工程)と、薄層上に造形液を吐出することで付与する工程(造形液付与工程)と、を有し、これにより新たに積層させた粉体の層のうち造形液が付与された領域を固化させる。なお、このとき生じる固化は、最上部の積層した粉体の薄層のみならず、その下に存在する、固化した領域を有する薄層との間でも生じる。その結果、粉体の層の二層分の厚みを有する固化物が得られる。なお、「固化」とは、被覆樹脂及び架橋剤が反応して形成される架橋樹脂により一定の形状が保たれるようになることを表す。
なお、本開示の造形物の製造方法は、積層工程時には固化物を形成せず又は形成が不十分であって、積層工程後に実行される加熱工程を経て固化物が形成されてもよい。すなわち、積層工程において、造形液が付与された領域を有する粉体の層を積層することで積層物を形成し、その後、加熱工程において積層物を加熱することで被覆樹脂を造形液により溶解させ、且つ被覆樹脂及び架橋剤の架橋反応を促進することで固化物を形成する。また、本加熱工程により、付与された造形液に含まれる有機溶剤等の液体成分が除去されることが好ましい。
<余剰粉体除去工程>
本開示の造形物の製造方法は、固化物に付着している粉体である余剰粉体を除去してグリーン体を得る余剰粉体除去工程を有することが好ましい。「グリーン体」とは、被覆樹脂及び架橋剤が反応して形成される架橋樹脂により一定の立体形状が保たれている立体物であって、固化物を構成しない粉体である余剰粉体を除去する余剰粉体除去工程を経たものを表し、好ましくは余剰粉体が実質的に付着していない立体物を表す。
また、余剰粉体除去工程は、エアーブローにより固化物から余剰粉体を除去する工程である一次余剰粉体除去工程と、除去液に浸漬させることにより固化物から余剰粉体を除去する工程である二次余剰粉体除去工程と、から選ばれる少なくとも1つの工程を有することが好ましい。
積層工程後又は加熱工程後の固化物は、造形液が付与されていない粉体である余剰粉体に埋没した状態である。この埋没した状態から固化物を取り出すと、固化物の表面や内部には余剰粉体が付着しており、簡便にこれらを除去することは困難である。また、固化物の表面形状が複雑な場合や、固化物の内部構造が流路のようなものである場合は一層困難である。一般的なバインダージェッティング方式で造形された焼結前の造形物は強度が高くないため、送風手段によるエアーブローの圧力を高くすると、当該造形物が崩壊する恐れがある。
一方で、本開示の造形物の製造方法により造形された固化物は、被覆樹脂及び架橋剤が反応して形成される架橋樹脂により強固な構造を有し、エアーブローの圧力に耐えうる強度を有する。このとき、固化物の強度は3点曲げ応力で3MPa以上であることが好ましく、5MPa以上であることがより好ましい。
また、本開示の造形物の製造方法により造形された固化物は除去液に含まれる有機溶剤に対して溶解しない一方で、固化物に付着している余剰粉体は除去液に含まれる有機溶剤に対して溶解するため、固化物を除去液に浸漬することで表面や内部に付着した余剰粉末を簡便に除去できる。また、固化物は除去液に含まれる有機溶剤に対して溶解しないため、固化物を除去液に浸漬させたとしても軟化等せず、固化物の形状が維持され、結果的に得られる造形物の寸法精度が向上する。
除去液は、上記の通り、有機溶剤を含む。有機溶剤としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、エチルメチルエーテルやジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、THFなどのエーテル類、ヘキサンやオクタンなどの脂肪族炭化水素、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。なお、造形液に含まれる有機溶剤と除去液に含まれる有機溶剤を区別するために、造形液に含まれる有機溶剤を第一の有機溶剤と称し、除去液に含まれる有機溶剤を第二の有機溶剤と称してもよい。
<乾燥工程>
本開示の造形物の製造方法は、グリーン体を乾燥させてグリーン体中に残存する除去液等の液体成分を除去する乾燥工程を有することが好ましい。
乾燥工程は、グリーン体中に含まれる有機溶剤等の液体成分のみならず、有機物を除去してもよい。乾燥手段としては、例えば、公知の乾燥機、恒温恒湿槽などを用いることができる。
<脱脂工程>
本開示の造形物の製造方法は、グリーン体を加熱して架橋樹脂を除去することで脱脂体を得る脱脂工程を有することが好ましい。「脱脂体」とは、グリーン体から架橋樹脂等の有機成分を脱脂することにより得られる立体物である。なお、後述する焼結工程前の造形物である固化物、グリーン体、及び脱脂体を総称して「焼結前駆体」と称する。
脱脂工程は、脱脂手段を用い、架橋樹脂等の有機成分の熱分解温度以上であって且つ基材を構成する材料の融点又は固相線温度より低い温度でグリーン体を加熱することで有機成分を分解して除去する。脱脂手段としては、例えば、公知の焼結炉や電気炉などが挙げられる。
<焼結工程>
本開示の造形物の製造方法は、脱脂体を加熱して焼結体を得る焼結工程を有することが好ましい。「焼結体」とは、基材を構成する材料が一体化して形成される立体物であって、脱脂体を焼結することにより造形されるものである。
焼結工程は、焼結手段を用い、基材を構成する材料の固相線温度以上であって且つ液相線温度以下の温度で脱脂体を加熱することで基材を構成する材料を一体化させる。焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられるが、上記の脱脂手段と同一の手段であってもよい。また、脱脂工程と焼結工程は、連続して実行されてもよい。
<後処理工程>
本開示の造形物の製造方法は、焼結体に対して後処理を行う後処理工程を有することが好ましい。後処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面保護処理工程及び塗装工程などが挙げられる。
<造形の流れ>
本開示の造形物の製造方法における造形の流れについて図1A~図1Eを参照して説明する。図1A~図1Eは、造形物の製造装置の動作の一例を示す概略図である。
まず、造形槽の造形ステージ上に、1層目の粉体の層30が形成されている状態から説明する。1層目の粉体の層30上に次の粉体の層を形成するときには、図1Aに示すように、供給槽の供給ステージ23を上昇させ、造形槽の造形ステージ24を下降させる。このとき、造形槽22における粉体の層の上面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔(積層ピッチ)がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。間隔Δt1は、特に制限されるものではないが、数十~100μm程度であることが好ましい。
本開示では、平坦化ローラ12は供給槽21及び造形槽22の上端面に対してギャップが生じるように配置している。したがって、造形槽22に粉体20を移送供給して平坦化するとき、粉体の層の上面は供給槽21及び造形槽22の上端面よりも高い位置になる。これにより、平坦化ローラ12が供給槽21及び造形槽22の上端面に接触することを確実に防止できて、平坦化ローラ12の損傷が低減する。平坦化ローラ12の表面が損傷すると、造形槽22に供給した粉体の層31(図1D参照)の表面にスジが発生して平坦性が低下しやすくなる。
次いで、図1Bに示すように、供給槽21の上端面よりも高い位置に配置した粉体20を、平坦化ローラ12を矢印方向に回転しながら造形槽22側に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。さらに、図1Cに示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、造形ステージ24の造形槽22上で所定の厚さΔt1になる粉体の層31を形成する(平坦化)。このとき、粉体の層31の形成に使用されなかった余剰の粉体20は余剰粉体受け槽29に落下する。粉体の層31を形成後、平坦化ローラ12は、図1Dに示すように、供給槽21側に移動されて初期位置(原点位置)に戻される(復帰される)。
ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上端面との距離を一定に保って移動できるようになっている。一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で粉体20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された固化層30の上に均一厚さh(積層ピッチΔt1に相当)の粉体の層31を形成できる。なお、以下、粉体の層31の厚みhと積層ピッチΔt1とを区別せずに説明することがあるが、特に断りのない限り、同じ厚みであり、同じ意味である。また、粉体の層31の厚みhを実際に測定して求めてもよく、この場合、複数箇所の平均値とすることが好ましい。
その後、図1Eに示すように、液体吐出ユニットのヘッド52から造形液の液滴10を吐出して、次の粉体の層31に所望の形状の固化層30を積層形成する(造形)。次いで、上述した粉体層形成工程及び造形液付与工程を繰り返して新たな固化層30を形成して積層する。このとき、新たな固化層30とその下層の固化層30は一体化して固化物の一部を構成する。以後、更に粉体層形成工程及び造形液付与工程を繰り返し行い、固化物の造形を完成させる。
<<造形物製造用のキット>>
本開示の造形物製造用のキットは、上記の粉体および造形液を有し、必要に応じて、除去液等のその他の構成を有してもよい。また、造形物製造用のキットは、粉体および造形液がそれぞれ独立した状態で存在していればよく、粉体が収容されている粉体収容部および造形液が収容されている造形液収容部が一体化している場合などに限られない。例えば、粉体および造形液がそれぞれ独立した収容部に収容されていたとしても、粉体および造形液が併用されることを前提としている場合、粉体および造形液が併用されることを実質的に誘導している場合などは造形物製造用のキットに含まれる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<コート液1(被覆樹脂)の調製>
アクリルポリオール(東栄化成株式会社製、TZ#9515)6質量部に、アセトン114質量部を混合し、ウォーターバス中で50℃に加熱しながら、スリーワンモーター(新東科学株式会社製、BL600)を用いて1時間攪拌し、アクリルポリオールを有機溶剤に溶解させ、5質量%のアクリルポリオール溶解液120質量部を調製した。こうして得られた調製液をコート液1とした。
なお、アクリルポリオールの5質量%(w/w%)溶液の25℃における粘度を粘度計(ブルックフィールド社製回転粘度計、DV-E VISCOMETER HADVE115型)を用いて測定したところ、5.0mPa・s~6.0mPa・sであった。
<粉体1(粒子)の調製>
次に、市販のコーティング装置(パウレック社製、MP-01)を用いて、基材であるAlSi10Mg粉末(東洋アルミニウム株式会社製、Si10Mg-30BB、体積平均粒径:35μm)100質量部に対し、被覆厚み(平均厚み)が200nmになるように、コート液1をコーティングした。このコーティングにおいては、途中で随時サンプリングを行い、コート液1の被覆厚み(平均厚み)が200nm、表面被覆率(%)が80%となるように、コーティング時間及び間隔を適宜調節した。
更に、コーティング後に、アクリル樹脂の樹脂微粒子(綜研化学株式会社製、MP1451)をコーティング膜表面に表面被覆率が20%になるように加え、混合装置(シンマルエンタープライゼス社製、DYNO-MILL)を用いて5分間100rpmで混合することで粉体1を得た。
なお、以下に、コート液1により形成される被覆樹脂における被覆厚み及び表面被覆率の測定方法、コーティング条件を示した。ただし、被覆樹脂における被覆厚み及び表面被覆率の測定は、樹脂微粒子と混合させる前に実施した。
-被覆厚み(平均厚み)-
まず、粉体1の表面をエメリー紙で研磨を行った後、トルエンを含ませた布で表面を軽く磨き被覆樹脂を溶解させ、観察用サンプルを作製した。次に、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用い、表面に露出した、基材と被覆樹脂との境界部を観察し、境界部位を被覆厚みとして測定した。測定箇所10箇所の平均値を求め、これを被覆厚み(平均厚み)とした。
-表面被覆率-
電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用い、粉体1が10個程度画面内に収まる視野設定にて、下記条件で反射電子像(ESB)を撮影し、ImageJソフトを用い画像処理にて2値化を実施した。黒色部が被覆部、白色部が基材部とし、1粒子中の黒色部面積/(黒色部面積+白色部面積)×100で比率を求めた。10粒子の測定を行い、その平均値を表面被覆率(%)とした。
-SEM観察条件-
・Signal:ESB(反射電子像)
・EHT:0.80kV
・ESB Grid:700V
・WD:3.0mm
・Aperture Size:30.00μm
・コントラスト:80%
・倍率:画面横方向に10個程度収まるようにサンプル毎に設定
-コーティング条件-
・スプレー設定
ノズル型式:970
ノズル口径:1.2mm
コート液吐出圧力:4.7Pa・s
コート液吐出速度:3g/min
アトマイズ空気量:50NL/min
・ローター設定
ローター型式:M-1
回転速度:60rpm
回転数:400%
・気流設定
給気温度:80℃
給気風量:0.8m/min
バグフィルター払落し圧:0.2MPa
バグフィルター払落し時間:0.3秒間
バグフィルターインターバル:5秒間
・コーティング時間:40分間
得られた粉体1について、市販の粒径測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)を用いて体積平均粒径を測定したところ35μmであった。
<造形液1の調製>
架橋剤であるポリイソシアネート(三井化学株式会社製、D160N)と、有機溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とを混合し、原材料に含まれる酢酸エチルを溶媒置換により使用する有機溶剤に置換した。溶媒置換は使用する有機溶剤を架橋剤量の5倍量で添加し、エバポレーターによる減圧加熱で共沸させることで行った。下記表1に記載の質量比となるまで有機溶剤を蒸発させ、その後、得られた混合溶液を1μm径のフィルターを用いてろ過し、造形液1を得た。
(実施例1)
得られた粉体1及び造形液1を用い、造形物1(グリーン体)を以下のようにして製造した。
1)まず、図1A~図1Eに示したような公知の造形物の製造装置を用いて、供給側粉体貯留槽から造形側粉体貯留槽に粉体1を移送させ、支持体上に平均厚みが84μmの粉体1による薄層を形成した。
2)次に、形成した粉体1による薄層の表面に、造形液1を、公知のインクジェット吐出ヘッドのノズルから吐出して付与し、コーティングされた被覆樹脂を造形液に含まれる有機溶剤に溶かし、被覆樹脂と架橋剤を共に有機溶剤中に溶解させた。なお、造形液1の吐出領域は40mm×10mmの長方形形状とし、1ボクセル当たりに吐出する造形液1に含まれる架橋剤の含有量は35ng/voxelとした。
3)次に、上記1)及び上記2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、粉体1による薄層を順次積層して積層体を形成し、乾燥機を用いて、60℃、真空雰囲気にて1時間維持して乾燥させた後、100℃、常圧で加熱することで被覆樹脂と架橋剤とを反応させて架橋樹脂を形成し、固化物を造形した。
4)次に、固化物に対し、エアーブローにより余剰粉体を除去し、更に粉体1の被覆樹脂を溶解可能な除去液であるトリエチレングリコールジメチルエーテル(富士フィルム和光純薬株式会社製)に1時間浸漬させてグリーン体を取得した。
上記の1)~4)における操作において、造形液の吐出安定性、造形物の生産性(乾燥性)、エアーブロー時における造形物の強度、及び除去液浸漬時における造形物の形状維持性を以下の方法に基づいて評価した。
[造形液の吐出安定性]
上記2)において、造形液1を、リコー製の産業用インクジェットヘッドGH5040に充填し、ノズルから基本波形で吐出可能か否かをストロボカメラで観察することで判断した。基本波形で吐出可能であった場合、更に、一定時間経過後に、ノズルから基本波形で吐出可能か否かをストロボカメラでの観察と被吐出部の擦れとから判断した。判断結果から下記評価基準に基づき造形液の吐出安定性を評価した。結果を下記表2に示した。
(評価基準)
A:初期充填時は吐出が安定しており、10分放置しても吐出が安定している
B:初期充填時は吐出が安定しているが、10分放置すると吐出が不安定または吐出できない
C:初期充填時は吐出が安定しているが、1分放置すると吐出が不安定または吐出できない
D:初期充填時から吐出が不安定または吐出できない
[造形物の生産性(乾燥性)]
上記3)において実施した乾燥の効率性(乾燥性)を下記評価基準に基づいて評価した。結果を下記表2に示した。
(評価基準)
A:60℃、真空雰囲気にて乾燥させたとき、15分未満で乾燥が完了している
B:60℃、真空雰囲気にて乾燥させたとき、15分以上30分未満で乾燥が完了している
C:60℃、真空雰囲気にて乾燥させたとき、30分以上1時間未満で乾燥が完了している
D:60℃、真空雰囲気にて乾燥させたとき、1時間以上経過しても乾燥が完了していない
[エアーブロー時における造形物の強度]
上記4)において実施したエアーブローによる余剰粉体除去において、固化物の強度を下記評価基準に基づいて評価した。結果を下記表2に示した。
(評価基準)
A:所定のエアーブロー条件(エアー圧力:1.0MPa、ノズル口径:2mm、距離5cm、1分間)にて余剰粉体除去を実施したとしても、固化物の形状が維持されている
B:所定のエアーブロー条件(エアー圧力:0.5MPa、ノズル口径:2mm、距離5cm、1分間)にて余剰粉体除去を実施したとしても、固化物の形状が維持されている
C:エアーブロー圧の調整又は刷毛を使用することで、固化物の形状を維持したまま余剰粉体を除去できる
D:固化物の形状を維持したまま余剰粉体を除去できない
[除去液浸漬時における造形物の形状維持性]
上記4)において実施した固化物の除去液への浸漬において、造形物の形状維持性を下記評価基準に基づいて評価した。結果を下記表2に示した。
(評価基準)
A:グリーン体が形状を維持できており、浸漬前とほぼ同等の強度を有する
B:グリーン体が形状を維持できているが、浸漬前より強度がわずかに劣る
C:グリーン体が形状を維持できているが、自重等の外力によって容易に曲がり、反りが生じうる
D:グリーン体が形状を維持できず、崩壊する
(実施例2~5、比較例1~6)
実施例1において、下記表1に記載のとおり、各種材料及び組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5、比較例1~6の粉体及び造形液を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表2に示す。
なお、表1において、粉体(粒子)における被覆樹脂の「溶解性」は、造形液に用いられている有機溶剤に対する被覆樹脂の60℃における溶解度を表す。また、造形液における有機溶剤の「蒸気圧」は、有機溶剤の20℃における蒸気圧を表す。また、造形液における「架橋剤の粘度」は、架橋剤の25℃における粘度を表す。また、「造形液の粘度」は、製造初期の造形液の25℃における粘度を表す。
また、表1において、各種材料は以下のものを表す。
-粉体(粒子)における被覆樹脂の材料-
・アクリルポリオール(東栄化成株式会社製、TZ#9515)
・ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製、BL-10)
-造形液における架橋剤の材料-
・ポリイソシアネート(粘度:8000mPa・s、三井化学株式会社製、D160N)
・ポリイソシアネート(粘度:2000mPa・s、三井化学株式会社製、D165N)
・アクリル樹脂(粘度:3000mPa・s、東亜合成株式会社製、UP1000)
・アクリル樹脂(粘度:8000mPa・s、東亜合成株式会社製、UP1190)
・アクリル樹脂(粘度:22000mPa・s、東亜合成株式会社製、UP1171)
・アクリル樹脂(粘度:2000mPa・s、東亜合成株式会社製、UP1100)
Figure 2022086249000001
Figure 2022086249000002
比較例1に示す通り、造形液における有機溶剤の蒸気圧が100Pa未満になると、生産性(乾燥性)が低下する。また、比較例2に示す通り、造形液における有機溶剤の蒸気圧が2000Paを超えると、吐出安定性が低下する。
また、比較例3~5に示す通り、造形液における架橋剤を架橋反応性がない樹脂に変更すると、強度(エアブロー)及び形状維持性(除去液)が低下する。
また、比較例5に示す通り、造形液における架橋剤を粘度が高いものに変更すると、吐出安定性が低下する。
また、比較例6に示す通り、粉体(粒子)における被覆樹脂を造形液における有機溶剤に対して溶解度が低いものに変更すると、強度(エアブロー)及び形状維持性(除去液)が低下する。
特開2004-330743号公報 特開2005-297325号公報

Claims (9)

  1. 基材及び前記基材を被覆する被覆樹脂を有する粒子を含む粉体の層を形成する粉体層形成工程と、
    前記被覆樹脂と架橋反応する架橋剤及び有機溶剤を含む造形液を前記粉体の層に対して吐出することで付与する造形液付与工程と、を有し、
    前記有機溶剤は、20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤を含み、
    前記被覆樹脂の前記有機溶剤に対する60℃における溶解度は、1.0質量%以上であり、
    前記架橋剤の25℃における粘度は、10Pa・s以下であることを特徴とする造形物の製造方法。
  2. 前記架橋剤の含有量は、前記造形液の質量に対して15.0質量%以上である請求項1に記載の造形物の製造方法。
  3. 前記架橋剤は、ポリイソシアネートである請求項1又は2に記載の造形物の製造方法。
  4. 前記造形液は、20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である前記有機溶剤を2種以上含む請求項1から3のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  5. 前記造形液は、20℃における蒸気圧が500Pa以上2000Pa以下である有機溶剤を少なくとも1種含む請求項4に記載の造形物の製造方法。
  6. 前記被覆樹脂は、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、及びエチルセルロースから選ばれる少なくとも1つである請求項1から5のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  7. 前記粉体層形成工程及び前記造形液付与工程を順次繰り返すことで造形される固化物は、前記有機溶剤に対して不溶である請求項1から6のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  8. 前記固化物に付着している前記粉体である余剰粉体を除去してグリーン体を得る余剰粉体除去工程と、
    グリーン体を加熱して前記被覆樹脂及び前記架橋剤が架橋反応して形成された架橋樹脂を除去して脱脂体を得る脱脂工程と、
    脱脂体を加熱して焼結体を得る焼結工程と、を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  9. 基材及び前記基材を被覆する被覆樹脂を有する粒子を含む粉体と、前記被覆樹脂と架橋反応する架橋剤及び有機溶剤を含む造形液と、を有し、
    前記有機溶剤は、20℃における蒸気圧が100Pa以上2000Pa以下である有機溶剤を含み、
    前記被覆樹脂の前記有機溶剤に対する60℃における溶解度は、1.0質量%以上であり、
    前記架橋剤の25℃における粘度は、10Pa・s以下であることを特徴とする造形物製造用のキット。
JP2020198155A 2020-11-30 2020-11-30 造形物の製造方法、及び造形物製造用のキット Pending JP2022086249A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020198155A JP2022086249A (ja) 2020-11-30 2020-11-30 造形物の製造方法、及び造形物製造用のキット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020198155A JP2022086249A (ja) 2020-11-30 2020-11-30 造形物の製造方法、及び造形物製造用のキット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022086249A true JP2022086249A (ja) 2022-06-09

Family

ID=81894329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020198155A Pending JP2022086249A (ja) 2020-11-30 2020-11-30 造形物の製造方法、及び造形物製造用のキット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022086249A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6519274B2 (ja) 立体造形用粉末材料、立体造形材料セット、立体造形物製造装置、及び立体造形物の製造方法
EP3311984A1 (en) Powder material for solid freeform fabrication, material set of solid freeform fabrication, device for manufacturing solid freeform fabrication object, and method of manufacturing solid freeform fabrication object
US20220112329A1 (en) Three-dimensional object producing method and apparatus, and curing liquid and kit for three-dimensional object formation
JP6569269B2 (ja) 立体造形用粉末材料、立体造形材料セット、立体造形物製造装置、及び立体造形物の製造方法
JP2016179638A (ja) 立体造形用組成液、立体造形セット、立体造形物の製造装置及び立体造形物の製造方法
US20230036748A1 (en) Three-dimensional forming kit and three-dimensional formed object producing method
JP2018080359A (ja) 立体造形用粉末材料、立体造形材料セット、立体造形物製造装置、及び立体造形物の製造方法
US11426929B2 (en) Powder material for producing three-dimensional object, kit for producing three-dimensional object, and three-dimensional object producing method and apparatus
JP2022086249A (ja) 造形物の製造方法、及び造形物製造用のキット
JP2017132246A (ja) 立体造形用粉末材料
JP2021011107A (ja) 立体造形用粉末材料、及び立体造形用キット、並びに、立体造形物の製造方法及び製造装置
JP2022103518A (ja) 造形物の製造方法
JP2022132894A (ja) 造形装置、造形方法、およびプログラム
JP2021146668A (ja) 造形液、立体造形用キット、及び立体造形物の製造方法
JP2021146669A (ja) 造形液、立体造形用キット、及び立体造形物の製造方法
US11679550B2 (en) Method of manufacturing modeled body, method of modeling solidified object, and modeled body
EP4098384A1 (en) Layer forming apparatus, method of forming powder layer, and carrier medium
US20230264385A1 (en) Three-dimensional fabricating powdered material, three-dimensional fabrication kit, and method of producing three-dimensional fabricated object
EP4066969A1 (en) Object producing method
JP7298739B2 (ja) ヒートシンクの製造方法、及びジャイロイド構造体の製造方法
JP2024011494A (ja) 造形液、及び造形物の製造方法
JP2022083253A (ja) 立体造形物の製造方法、立体造形物の焼結体の製造方法、および立体造形物の処理方法。
JP2023133924A (ja) 余剰粉体除去用洗浄液、立体造形物の製造方法、及び造形液と洗浄液のセット
JP2022146902A (ja) 造形物の製造方法
JP2023129241A (ja) 積層造形方法