JP2022085856A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】充電受入性が高く電解液の減少量が少ない鉛電池を提供する。【解決手段】負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含み、前記負極電極材料はポリマー化合物を含み、前記ポリマー化合物のHLBの値は4~18の範囲にあり、前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にあり、前記ポリマー化合物は、重クロロホルムを溶媒として用いて測定される1H-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲にピークを有する。【選択図】なし

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、車載用、産業用の他、様々な用途で使用されている。鉛蓄電池は、通常、負極板、正極板、セパレータ(またはマット)、および電解液などを含む。各極板は、集電体と電極材料とを備える。様々な機能を付与する観点から、電極材料には、様々な添加剤が添加されている。
特許文献1(特開平9-147869号公報)は、「正極板と負極板とが電解液を含有する電解質層を介して積層されてなる鉛蓄電池において、分子内にラジカル重合可能な二重結合を有する反応性界面活性剤が前記負極板の活物質または前記負極板の活物質及び前記電解液の両方に添加されていることを特徴とする鉛蓄電池。」を開示している。
特許文献2(特開2000-149981号公報)は、「重合度30以上3000以下のポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、またはそれらのエステルよりなる群の内のいずれかを含む高分子化合物、または該高分子化合物とコロイド状硫酸バリウム粒子のいずれかを電解液および/または電極活物質成形体中に含むことを特徴とする鉛蓄電池。」を開示している。
特開平9-147869号公報 特開2000-149981号公報
鉛蓄電池では、様々な特性の向上が求められている。例えば、鉛蓄電池では、高い充電受入性と電解液の減少量が少ないことが求められている。これらの両方を高いレベルで実現することは難しい。
本発明の一側面は、鉛蓄電池に関する。当該鉛蓄電池は、負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含み、前記負極電極材料はポリマー化合物を含み、前記ポリマー化合物のHLBの値は4~18の範囲にあり、前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にあり、前記ポリマー化合物は、重クロロホルムを溶媒として用いて測定されるH-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲にピークを有する。
本発明の他の一側面は、他の鉛蓄電池に関する。当該他の鉛蓄電池は、負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含み、前記負極電極材料はポリマー化合物を含み、前記ポリマー化合物のHLBの値は4~18の範囲にあり、前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にあり、前記ポリマー化合物は、オキシC2-4アルキレンユニットを繰り返し構造として含む。
本発明によれば、充電受入性が高く電解液の減少量が少ない鉛蓄電池が得られる。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池の外観と内部構造を示す、一部を切り欠いた分解斜視図である。 実施例の結果の一例を示すグラフである。 実施例の結果の他の一例を示すグラフである。
以下では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。なお、この明細書において、「数値A~数値B」という場合、当該範囲は、数値Aおよび数値Bを含む。
(鉛蓄電池)
本実施形態に係る鉛蓄電池は、負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含む。負極電極材料はポリマー化合物を含む。当該ポリマー化合物を、以下では、「ポリマー化合物(P)」と称する場合がある。ポリマー化合物(P)のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)の値は、4~18の範囲にある。負極電極材料中のポリマー化合物(P)の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にある。
ポリマー化合物(P)の第1の例は、重クロロホルムを溶媒として用いて測定されるH-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲にピークを有するポリマー化合物である。この明細書において、H-NMRスペクトルは、特に記載がない限り、重クロロホルムを溶媒として用いて測定されたスペクトルである。ポリマー化合物(P)の第2の例は、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物である。ポリマー化合物(P)の第1の例に含まれるポリマー化合物と、ポリマー化合物(P)の第2の例に含まれるポリマー化合物とは、少なくとも一部で重複している。ポリマー化合物(P)には、市販のものを用いてもよい。あるいは、公知の方法でポリマー化合物(P)を合成してもよい。
鉛蓄電池では、充電時に負極板で電解液中の水が電気分解されて水素ガスが発生する。過充電電気量が多いと、水の電気分解による電解液の減少量が多くなる。また、過充電電気量が多いと、正極集電体の劣化が促進される。そのため、鉛蓄電池では、過充電電気量を低減することが特に重要である。一方、過充電電気量を低減するために特定の添加剤を負極電極材料に添加すると、充電受入性能が大きく低下する場合がある。そのため、充電受入性能をある程度のレベルで維持したまま、電解液の減少量を低減することは容易ではない。
検討の結果、本発明者らは、特定のポリマー化合物を特定の量だけ負極電極材料に添加することによって、高い充電受入性能と電解液の減少量の低減とを共に高いレベルで達成できることを新たに見出した。本発明は、この新たな知見に基づくものである。
ポリマー化合物(P)を用いることによって、過充電電気量を低減し、それによって電解液の減少量を低減することが可能である。ポリマー化合物(P)によって過充電電気量を低減できるのは、次のような理由によるものと考えられる。ポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造などを含むため、線状構造を取り易い。そのため、負極電極材料に添加されたポリマー化合物(P)は、負極電極材料中の鉛の表面を薄く広く覆う。ポリマー化合物(P)で鉛の表面が覆われることによって、水素過電圧が上昇し、その結果、過充電時に水素が発生する副反応が起こり難くなる。一方で、ポリマー化合物(P)の添加量が多いと、充電受入性の低下が生じる場合がある。本発明では、特定のポリマー化合物(P)を特定の量だけ負極電極材料に添加している。これによって、充電受入性能が高く、電解液の減少量が少ない鉛蓄電池が得られる。
ポリマー化合物(P)のHLBの値は、6.6~14の範囲にあってもよく、6.6~8.4の範囲にあってもよい。これらの範囲によれば、高い充電受入性能と電解液の減少量の低減とを特に高いレベルで達成できる。HLB値は、例えば、ポリマー化合物(P)に含まれる親水性基の含有率や、ポリマー化合物(P)に含まれる炭化水素鎖および炭化水素基の炭素数によって変化させることが可能である。例えば、ポリマー化合物(P)に含まれる炭化水素鎖および炭化水素基の炭素数を増加させることによって、HLB値を低くすることが可能である。ポリマー化合物(P)に含まれる親水性基の含有率を高くすることによって、HLB値を高くすることが可能である。親水性基の例には、オキシエチレンユニットなどが含まれる。
負極電極材料中のポリマー化合物(P)の質量基準の含有量は、50ppm以上であり、80ppm以上であってもよい。当該含有量は、600ppm以下であり、360ppm以下、220ppm以下、または200ppm以下であってもよい。これらの下限と上限とは任意に組み合わせることができる。例えば、当該含有量は、質量基準で、50ppm~360ppmの範囲(例えば、80ppm~360ppmの範囲、または、50ppm~220ppmの範囲)にあってもよい。これらの範囲によれば、高い充電受入性能と電解液の減少量の低減とを特に高いレベルで達成できる。
ポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を含むことが好ましい。オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物(P)を用いる場合、ポリマー化合物(P)が鉛に対してより吸着し易くなるとともに、線状構造を取り易いことで鉛表面を薄く覆い易くなると考えられる。よって、過充電電気量をより効果的に低減することができるとともに、充電受入性の低下抑制効果をさらに高めることができる。
ポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニットを繰り返し構造として含むポリアルキレングリコールのエステル化物であってもよい。当該エステル化物は、ポリアルキレングリコールの水酸基をエステル化した構造を有する。当該エステル化物を用いることによって、本発明の効果をより高めることができる。ポリマー化合物(P)は、例えば、ポリエチレングリコールのエステル化物およびポリプロピレングリコールのエステル化物からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。エステル化物は、ポリアルキレングリコールモノエステルであってもよいし、ポリアルキレングリコールジエステルであってもよい。
ポリマー化合物(P)の重合度は、30未満であることが好ましい。例えば、ポリマー化合物(P)が、オキシC2-4アルキレンユニットのみを繰り返し構造として含む場合、1つのポリマー化合物(P)に含まれるオキシC2-4アルキレンユニットの数は、30未満であることが好ましい。重合度が30未満のポリマー化合物(P)は、鉛表面に薄く吸着できるため、鉛表面を効率よく被覆できる。ポリマー化合物(P)の重合度は、2以上で30未満であってもよく、4以上で10以下であってもよい。
ポリマー化合物(P)の数平均分子量は、500~1000の範囲にあってもよい。この範囲とすることによって、高い充電受入性能と、過充電電気量の低減効果とを両立できる。ただし、HLB値を4~18の範囲できる限り、ポリマー化合物(P)の数平均分子量は、上記範囲よりも広い範囲にあってもよく、例えば、300以上(例えば500以上)であってもよく、1万以下(例えば5000以下)であってもよい。ポリマー化合物(P)の数平均分子量は、300~1万の範囲(例えば、300~5000の範囲、500~5000の範囲、500~2000の範囲)にあってもよい。
負極電極材料のBET比表面積は、0.49m/g~1.50m/gの範囲にあってもよい。この範囲とすることによって、負極電極材料中の鉛表面にポリマー化合物(P)が効率よく吸着する。当該BET比表面積は、0.49m/g~1.00m/gの範囲にあってもよい。本発明の効果が得られる限り、負極電極材料のBET比表面積は、これよりも広い範囲にあってもよい。負極電極材料のBET比表面積は、負極電極材料を製造する際に用いる材料の粒径や添加率などによって変化させることができる。例えば、負極電極材料に添加するカーボンの粒径および添加率によって、負極電極材料のBET比表面積を変化させることができる。
ポリマー化合物(P)のHLBの値aと、負極電極材料中のポリマー化合物(P)の質量基準の含有量b(ppm)と、負極電極材料のBET比表面積c(m/g)とは、0<(a-4)×(18-a)×b×c/10000≦0.8の式を満たしてもよい。この構成によれば、本発明の効果を特に高くできる。HLB値a、含有量b、およびBET比表面積cはそれぞれ、上述した範囲にあってもよい。
別の観点では、負極電極材料には、ポリマー化合物(P)の代わりに、ポリマー化合物(PX)を添加してもよい。ポリマー化合物(PX)は、オキシC2-4アルキレンユニットを繰り返し構造として含むポリアルキレングリコールのエステル化物である。負極電極材料中のポリマー化合物(PX)の含有量は、負極電極材料中のポリマー化合物(P)の含有量について例示した範囲にあってもよい。ポリマー化合物(PX)のHLB値は特に限定されない。HLB値を除いて、ポリマー化合物(P)のエステル化物について説明した事項は、ポリマー化合物(PX)に適用できる。
鉛蓄電池は、制御弁式(密閉式)鉛蓄電池(VRLA型鉛蓄電池)および液式(ベント式)鉛蓄電池のいずれでもよい。
本明細書中、負極電極材料中のポリマー化合物(P)の含有率は、満充電状態の鉛蓄電池から取り出した負極板について求められる。
(用語の説明)
(電極材料)
負極電極材料および正極電極材料の各電極材料は、通常、集電体に保持されている。電極材料とは、極板から集電体を除いたものである。極板には、マット、ペースティングペーパなどの部材が貼り付けられていることがある。このような部材(貼付部材とも称する)は極板と一体として使用されるため、極板に含まれるものとする。極板が貼付部材(マット、ペースティングペーパなど)を含む場合には、電極材料は、集電体および貼付部材を除いたものである。
(HLB値)
HLBは、Hydrophile Lipophile Balanceの略で、界面活性剤(主に、ノニオン界面活性剤)の疎水性と親水性とのバランスを表す数値である。ポリマー化合物(P)のHLB値は、グリフィン法で決定する。
グリフィン法: HLB=20×(ポリマー化合物(P)の親水性部の式量)/(ポリマー化合物(P)の数平均分子量(Mn))
(ポリマー化合物(P))
ポリマー化合物(P)は、下記(i)および(ii)の少なくとも一方の条件を充足する。
条件(i)
ポリマー化合物(P)は、重クロロホルムを溶媒として用いて測定されるH-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲にピークを有する。
条件(ii)
ポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を含む。
条件(i)において、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲のピークは、オキシC2-4アルキレンユニットに由来するものである。つまり、条件(ii)を充足するポリマー化合物(P)は、条件(i)を充足するポリマー化合物(P)でもある。条件(i)を充足するポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニット以外のモノマーユニットの繰り返し構造を含んでもよく、ある程度の分子量を有すればよい。上記(i)または(ii)を充足するポリマー化合物(P)の数平均分子量(Mn)は、例えば、300以上であってもよい。
(オキシC2-4アルキレンユニット)
オキシC2-4アルキレンユニットは、-O-R-で表されるユニットである。ここで、RはC2-4アルキレン基(炭素数が2~4の範囲にあるアルキレン基)を示す。Rは、炭素数が異なるアルキレン基を含んでもよい。
(有機防縮剤)
有機防縮剤とは、鉛蓄電池の充放電を繰り返したときに負極活物質である鉛の収縮を抑制する機能を有する化合物のうち、有機化合物を言う。
(数平均分子量)
数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるものである。Mnを求める際に使用する標準物質は、ポリエチレングリコールとする。
(満充電状態)
液式の鉛蓄電池の満充電状態とは、JIS D 5301:2019の定義によって定められる。より具体的には、25℃±2℃の水槽中で、定格容量として記載の数値(単位をAhとする数値)の0.2倍の電流(A)で、15分ごとに測定した充電中の端子電圧(V)または20℃に温度換算した電解液密度が3回連続して有効数字3桁で一定値を示すまで、鉛蓄電池を充電した状態を満充電状態とする。また、制御弁式の鉛蓄電池の場合、満充電状態とは、25℃±2℃の気槽中で、定格容量に記載の数値(単位をAhとする数値)の0.2倍の電流(A)で、2.23V/セルの定電流定電圧充電を行い、定電圧充電時の充電電流が定格容量に記載の数値(単位をAhとする数値)の0.005倍の値(A)になった時点で充電を終了した状態である。
満充電状態の鉛蓄電池は、既化成の鉛蓄電池を満充電したものをいう。鉛蓄電池の満充電は、化成後であれば、化成直後でもよく、化成から時間が経過した後に行ってもよい(例えば、化成後で、使用中(好ましくは使用初期)の鉛蓄電池を満充電してもよい)。使用初期の電池とは、使用開始後、それほど時間が経過しておらず、ほとんど劣化していない電池をいう。
(鉛蓄電池または鉛蓄電池の構成要素の上下方向)
本明細書中、鉛蓄電池または鉛蓄電池の構成要素(極板、電槽、セパレータなど)の上下方向は、鉛蓄電池が使用される状態において、鉛蓄電池の鉛直方向における上下方向を意味する。正極板および負極板の各極板は、外部端子と接続するための耳部を備えている。横置き型の制御弁式鉛蓄電池など、耳部が、極板の側部に側方に突出するように設けられることもあるが、多くの鉛蓄電池では、耳部は、通常、極板の上部に上方に突出するように設けられている。
以下、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池について、主要な構成要件ごとに説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[鉛蓄電池]
(負極板)
負極板は、負極集電体と、負極集電体に支持された負極電極材料とを含む。
(負極集電体)
負極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛シートまたは鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。負極集電体として格子状の集電体を用いると、負極電極材料を担持させ易いため好ましい。
負極集電体に用いる鉛合金は、Pb-Sb系合金、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金のいずれであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、添加元素として、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、Cuなどからなる群より選択された少なくとも1種を含んでもよい。負極集電体は、表面層を備えていてもよい。負極集電体の表面層と内側の層とは組成が異なるものであってもよい。表面層は、負極集電体の一部に形成されていてもよい。表面層は、負極集電体の耳部に形成されていてもよい。耳部の表面層は、SnまたはSn合金を含有するものであってもよい。
(負極電極材料)
負極電極材料は、ポリマー化合物(P)を含む。負極電極材料は、さらに、酸化還元反応により容量を発現する負極活物質(具体的には、鉛もしくは硫酸鉛)を含む。負極電極材料は、炭素質材料および他の添加剤からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。添加剤としては、有機防縮剤、硫酸バリウム、繊維(樹脂繊維など)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。
(ポリマー化合物(P))
ポリマー化合物(P)の第1の例は、H-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲にピークを有する。このようなポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニットを有する。ポリマー化合物(P)に含まれるオキシC2-4アルキレンユニットとしては、オキシエチレンユニット、オキシプロピレンユニット、オキシトリメチレンユニット、オキシ2-メチル-1,3-プロピレンユニット、オキシ1,4-ブチレンユニット、オキシ1,3-ブチレンユニットなどが挙げられる。ポリマー化合物(P)は、このようなオキシC2-4アルキレンユニットを一種有していてもよく、二種以上有していてもよい。
ポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を含むことが好ましい。繰り返し構造は、一種のオキシC2-4アルキレンユニットを含むものであってもよく、二種以上のオキシC2-4アルキレンユニットを含むものであってもよい。ポリマー化合物(P)には、一種の上記繰り返し構造が含まれていてもよく、二種以上の上記繰り返し構造が含まれていてもよい。
オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を有するポリマー化合物(P)には、界面活性剤(より具体的には、ノニオン界面活性剤)に分類されるものも包含される。
ポリマー化合物(P)としては、例えば、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を有するヒドロキシ化合物(ポリC2-4アルキレングリコール、オキシC2-4アルキレンの繰り返し構造を含む共重合体、ポリオールのポリC2-4アルキレンオキサイド付加物など)、これらのヒドロキシ化合物のエーテル化物またはエステル化物などが挙げられる。ポリC2-4アルキレングリコールの例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが含まれる。
共重合体としては、異なるオキシC2-4アルキレンユニットを含む共重合体などが挙げられる。共重合体は、ブロック共重合体であってもよい。
オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物(P)において、全構成単位に占めるオキシC2-4アルキレンユニットの割合は、50mol%~100mol%の範囲にあってもよく、60mol%~100mol%の範囲(例えば75mol%~100mol%の範囲)にあってもよく、60mol%~95mol%の範囲(例えば75mol%~95mol%の範囲)にあってもよい。ここで、オキシC2-4アルキレンユニットは、オキシエチレンユニットおよび/またはオキシプロピレンユニットであってもよい。
ポリオールは、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、芳香族ポリオール、および複素環式ポリオールなどのいずれであってもよい。ポリマー化合物(P)が鉛表面に薄く広がり易い観点からは、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール(例えば、ポリヒドロキシシクロヘキサン、ポリヒドロキシノルボルナンなど)などが好ましく、中でも脂肪族ポリオールが好ましい。脂肪族ポリオールとしては、例えば、脂肪族ジオール、トリオール以上のポリオール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、糖または糖アルコールなど)などが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、炭素数が5以上のアルキレングリコールなどが挙げられる。アルキレングリコールは、例えば、C5~14アルキレングリコールまたはC5-10アルキレングリコールであってもよい。糖または糖アルコールとしては、例えば、ショ糖、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。糖または糖アルコールは、鎖状構造および環状構造のいずれであってもよい。ポリオールのポリアルキレンオキサイド付加物においては、アルキレンオキサイドは、ポリマー化合物(P)のオキシC2-4アルキレンユニットに相当し、少なくともC2-4アルキレンオキサイドを含む。ポリマー化合物(P)が線状構造を取りやすい観点からは、ポリオールはジオールであることが好ましい。
エーテル化物は、上記のオキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を有するヒドロキシ化合物の少なくとも一部の末端の-OH基(末端基の水素原子とこの水素原子に結合した酸素原子とで構成される-OH基)がエーテル化された-OR基を有する(式中、Rは有機基である。)。ポリマー化合物(P)の末端のうち、一部の末端がエーテル化されていてもよく、全ての末端がエーテル化されていてもよい。例えば、線状のポリマー化合物(P)の主鎖の一方の末端が-OH基で、他方の末端が-OR基であってもよい。
エステル化物は、上記オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を有するヒドロキシ化合物の少なくとも一部の末端の-OH基(末端基の水素原子とこの水素原子に結合した酸素原子とで構成される-OH基)がエステル化された-O-C(=O)-R基を有する(式中、Rは有機基である。)。ポリマー化合物(P)の末端のうち、一部の末端がエステル化されていてもよく、全ての末端がエステル化されていてもよい。例えば、線状のポリマー化合物(P)の主鎖の一方の末端が-OH基で、他方の末端が-O-C(=O)-R基であってもよい。
有機基RおよびRのそれぞれとしては、炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、置換基(例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、および/またはカルボキシ基など)を有するものであってもよい。炭化水素基は、脂肪族、脂環族、および芳香族のいずれであってもよい。芳香族炭化水素基および脂環族炭化水素基は、置換基として、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)を有するものであってもよい。置換基としての脂肪族炭化水素基の炭素数は、例えば、1~30であってもよく、1~20であってもよく、1~10であってもよく、1~6または1~4であってもよい。
芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数が24以下(例えば、6~24)の芳香族炭化水素基が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、20以下(例えば、6~20)であってもよく、14以下(例えば、6~14)または12以下(例えば、6~12)であってもよい。芳香族炭化水素基としては、アリール基、ビスアリール基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。ビスアリール基としては、例えば、ビスアレーンに対応する一価基が挙げられる。ビスアレーンとしては、ビフェニル、ビスアリールアルカン(例えば、ビスC6-10アリールC1-4アルカン(2,2-ビスフェニルプロパンなど)など)が挙げられる。
脂環族炭化水素基としては、例えば、炭素数が16以下の脂環族炭化水素基が挙げられる。脂環族炭化水素基は、架橋環式炭化水素基であってもよい。脂環族炭化水素基の炭素数は、10以下または8以下であってもよい。脂環族炭化水素基の炭素数は、例えば、5以上であり、6以上であってもよい。
脂環族炭化水素基の炭素数は、5(または6)以上16以下、5(または6)以上10以下、あるいは5(または6)以上8以下であってもよい。
脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基など)、シクロアルケニル基(シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基など)などが挙げられる。脂環族炭化水素基には、上記の芳香族炭化水素基の水素添加物も包含される。
鉛表面にポリマー化合物(P)が薄く付着し易い観点からは、炭化水素基のうち、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素炭素二重結合を2つ有するジエニル基、炭素炭素二重結合を3つ有するトリエニル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基の炭素数は、例えば、30以下であり、26以下または22以下であってもよく、20以下または16以下であってもよく、14以下または10以下であってもよく、8以下または6以下であってもよい。炭素数の下限は、脂肪族炭化水素基の種類に応じて、アルキル基では1以上、アルケニル基およびアルキニル基では2以上、ジエニル基では3以上、トリエニル基では4以上である。鉛表面にポリマー化合物(P)が薄く付着し易い観点からは中でもアルキル基やアルケニル基が好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、i-ペンチル、s-ペンチル、3-ペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、i-デシル、ウンデシル、ラウリル(ドデシル)、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、イコシル、ヘンイコシル、ベヘニルなどが挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル、1-プロペニル、アリル、シス-9-ヘプタデセン-1-イル、パルミトレイル、オレイルなどが挙げられる。アルケニル基は、例えば、C2-30アルケニル基またはC2-26アルケニル基であってもよく、C2-22アルケニル基またはC2-20アルケニル基であってもよく、C10-20アルケニル基であってもよい。
ポリマー化合物(P)のうち、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を有するヒドロキシ化合物のエーテル化物およびオキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造を有するヒドロキシ化合物のエステル化物からなる群より選択される少なくとも一種を用いると、充電受入性の低下抑制効果をさらに高めることができるため好ましい。また、これらのポリマー化合物(P)を用いた場合にも過充電電気量を低減することができる。また、このようなポリマー化合物(P)のうち、オキシプロピレンユニットの繰り返し構造を有するもの、またはオキシエチレンユニットの繰り返し構造を有するものなどが好ましい。
ポリマー化合物(P)は、1つ以上の疎水性基を有するものであってもよい。疎水性基としては、上記の炭化水素基のうち、例えば、芳香族炭化水素基、脂環族炭化水素基、長鎖脂肪族炭化水素基が挙げられる。長鎖脂肪族炭化水素基としては、上記の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基など)のうち、炭素数が8以上のものが挙げられ、12以上が好ましく、16以上がより好ましい。中でも、長鎖脂肪族炭化水素基を有するポリマー化合物(P)は、鉛に対して過度な吸着を起こし難く、充電受入性の低下抑制効果がさらに高まるため、好ましい。ポリマー化合物(P)は、疎水性基の少なくとも1つが、長鎖脂肪族炭化水素基であるものであってもよい。長鎖脂肪族炭化水素基の炭素数は、30以下、26以下、または22以下であってもよい。
長鎖脂肪族炭化水素基の炭素数は、8以上(または12以上)30以下、8以上(または12以上)26以下、8以上(または12以上)22以下、10以上30以下(または26以下)、あるいは10以上22以下であってもよい。
ポリマー化合物(P)のうち、親水性基と疎水性基とを有するものはノニオン界面活性剤に相当する。オキシエチレンユニットの繰り返し構造は、高い親水性を示し、ノニオン界面活性剤における親水性基となり得る。そのため、上記の疎水性基を有するポリマー化合物(P)は、オキシエチレンユニットの繰り返し構造を含むことが好ましい。このようなポリマー化合物(P)は、疎水性と、オキシエチレンユニットの繰り返し構造による高い親水性とのバランスにより、鉛に対して選択的に吸着しながらも、鉛の表面を過度に覆うことを抑制できるため、過充電電気量を低減しながら、充電受入性の低下抑制効果をさらに高めることができる。このようなポリマー化合物(P)は、比較的低分子量(例えば、数平均分子量(Mn)が1000以下)であっても、鉛に対する高い吸着性を確保することができる。
上記のポリマー化合物(P)のうち、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロック共重合体、オキシエチレンユニットの繰り返し構造を有するヒドロキシ化合物のエーテル化物およびオキシエチレンユニットの繰り返し構造を有するヒドロキシ化合物のエステル化物などは、ノニオン界面活性剤に相当する。
疎水性基を有し、オキシエチレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物(P)としては、ポリエチレングリコールのエーテル化物(アルキルエーテルなど)、ポリエチレングリコールのエステル化物(カルボン酸エステルなど)、上記ポリオールのポリエチレンオキサイド付加物のエーテル化物(アルキルエーテルなど)、上記ポリオール(トリオール以上のポリオールなど)のポリエチレンオキサイド付加物のエステル化物(カルボン酸エステルなど)などが挙げられる。このようなポリマー化合物(P)の具体例としては、オレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、ポリエチレングリコールのエステル化物、上記ポリオールのポリエチレンオキサイド付加物のエステル化物などを用いると、より高い充電受入性を確保できるとともに、過充電電気量を顕著に低減できるため、好ましい。
ポリマー化合物(P)のうち、界面活性剤に分類されるものについて、電解液の減少量をさらに低減し易い観点からは、ポリマー化合物(P)のHLB値は、4以上が好ましく、6.6以上がより好ましい。より高い充電受入性を確保し易い観点からは、ポリマー化合物(P)のHLB値は、18以下が好ましく、14以下がより好ましく、8.4以下がさらに好ましい。ポリマー化合物(P)のHLBは、4~18の範囲にあり、4~14の範囲、または4~8.4の範囲にあってもよい。これらの範囲の下限を、6.6または7.3としてもよい。
過充電電気量を低減する効果がさらに高まるとともに、より高い充電受入性を確保し易い観点からは、オキシC2-4アルキレンの繰り返し構造が少なくともオキシプロピレンユニットの繰り返し構造を含む場合も好ましい。この場合、オキシエチレンユニットの繰り返し構造の場合と比べると、充電受入性が低くなる傾向があるが、この場合であっても、過充電電気量を低く抑えながら、高い充電受入性を確保することができる。オキシプロピレンユニットを含むポリマー化合物(P)は、H-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm~3.8ppmの範囲に、オキシプロピレンユニットの-CH<および-CH-に由来するピークを有する。これらの基における水素原子の原子核の周囲の電子密度が異なるため、ピークがスプリットした状態となる。このようなポリマー化合物(P)は、H-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、例えば、3.2ppm以上3.42ppm以下の範囲と、3.42ppmを超え3.8ppm以下の範囲とのそれぞれにピークを有する。3.2ppm以上3.42ppm以下の範囲のピークは、-CH-に由来し、3.42ppmを超え3.8ppm以下の範囲のピークは、-CH<および-CH-に由来する。
少なくともオキシプロピレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物(P)としては、ポリプロピレングリコール、オキシプロピレンユニットの繰り返し構造を含む共重合体、上記ポリオールのポリプロピレンオキサイド付加物、またはこれらのエーテル化物もしくはエステル化物などが挙げられる。共重合体としては、オキシプロピレン-オキシアルキレン共重合体(ただし、オキシアルキレンは、オキシプロピレン以外のC2-4アルキレン)などが挙げられる。オキシプロピレン-オキシアルキレン共重合体としては、オキシプロピレン-オキシエチレン共重合体、オキシプロピレン-オキシトリメチレン共重合体などが例示される。オキシプロピレン-オキシアルキレン共重合体は、ポリオキシプロピレン-ポリオキシアルキレン共重合体(例えば、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン共重合体)と称することがある。オキシプロピレン-オキシアルキレン共重合体は、ブロック共重合体(例えば、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロック共重合体)であってもよい。エーテル化物としては、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、オキシプロピレン-オキシアルキレン共重合体のアルキルエーテル(ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン共重合体のアルキルエーテルなど)などが挙げられる。エステル化物としては、カルボン酸のポリプロピレングリコールエステル、オキシプロピレン-オキシアルキレン共重合体のカルボン酸エステル(ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン共重合体のカルボン酸エステルなど)などが挙げられる。
少なくともオキシプロピレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物(P)としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン共重合体(ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロック共重合体など)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(上記Rが炭素数10以下(あるいは8以下または6以下)のアルキルであるアルキルエーテル(ブチルエーテルなど)など)、カルボン酸ポリプロピレングリコール(上記Rが炭素数10以下(あるいは8以下または6以下)のアルキルであるカルボン酸ポリプロピレングリコール(酢酸ポリプロピレングリコールなど)など)、トリオール以上のポリオールのポリプロピレンオキサイド付加物(グリセリンのポリプロピレンオキサイド付加物など)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
オキシプロピレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物(P)において、オキシプロピレンユニットの割合は、例えば、5mol%以上であり、10mol%以上または20mol%以上であってもよい。オキシプロピレンユニットの割合は、例えば、100mol%以下である。上記共重合体においては、オキシプロピレンユニットの割合は、90mol%以下であってもよく、75mol%以下または60mol%以下であってもよい。
オキシプロピレンユニットの繰り返し構造を含むポリマー化合物(P)において、オキシプロピレンユニットの割合は、5mol%以上100mol%以下(または90mol%以下)、10mol%以上100mol%以下(または90mol%以下)、20mol%以上100mol%以下(または90mol%以下)、5mol%以上75mol%以下(または60mol%以下)、10mol%以上75mol%以下(または60mol%以下)、あるいは20mol%以上75mol%以下(または60mol%以下)であってもよい。
鉛に対する吸着性が高まるとともに、線状構造を取り易くなる観点から、ポリマー化合物(P)は、オキシC2-4アルキレンユニットを多く含むことが好ましい。このようなポリマー化合物(P)は、例えば、末端基に結合した酸素原子と、酸素原子に結合した-CH-基および/または-CH<基とを含んでいる。ポリマー化合物(P)のH-NMRスペクトルでは、3.2ppm~3.8ppmのピークの積分値Vが、所定のピークの積分値の合計VSUMに占める割合が大きい。ここで、ピークの積分値の合計VSUMは、積分値Vと、-CH-基の水素原子のピークの積分値と、-CH<基の水素原子のピークの積分値との合計である。この割合は、例えば、50%以上であり、80%以上であってもよい。過充電電気量を低減する効果がさらに高まるとともに、より高い充電受入性を確保し易い観点からは、上記の割合は、85%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。例えば、ポリマー化合物(P)が末端に-OH基を有するとともに、この-OH基の酸素原子に結合した-CH-基や-CH<基を有する場合、H-NMRスペクトルにおいて、-CH-基や-CH<基の水素原子のピークは、ケミカルシフトが3.8ppmを超え4.0ppm以下の範囲にある。
負極電極材料は、ポリマー化合物(P)を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
(有機防縮剤)
有機防縮剤は、通常、リグニン化合物と合成有機防縮剤とに大別される。合成有機防縮剤は、リグニン化合物以外の有機防縮剤であるとも言える。負極電極材料に含まれる有機防縮剤としては、リグニン化合物および合成有機防縮剤などが挙げられる。負極電極材料は、有機防縮剤を、一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
リグニン化合物としては、リグニン、リグニン誘導体などが挙げられる。リグニン誘導体としては、リグニンスルホン酸またはその塩(アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)など)などが挙げられる。
合成有機防縮剤は、硫黄元素を含む有機高分子であり、一般に、分子内に複数の芳香環を含むとともに、硫黄含有基として硫黄元素を含んでいる。硫黄含有基の中では、安定形態であるスルホン酸基もしくはスルホニル基が好ましい。スルホン酸基は、酸型で存在してもよく、Na塩のように塩型で存在してもよい。
有機防縮剤としては、少なくとも芳香族化合物のユニットを含む縮合物を用いる場合も好ましい。このような縮合物としては、例えば、芳香族化合物の、アルデヒド化合物(アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)およびその縮合物からなる群より選択される少なくとも一種など)による縮合物が挙げられる。有機防縮剤は、一種の芳香族化合物のユニットを含んでもよく、二種以上の芳香族化合物のユニットを含んでいてもよい。
なお、芳香族化合物のユニットとは、縮合物に組み込まれた芳香族化合物に由来するユニットを言う。芳香族化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどを用いてもよい。
負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量は、例えば、0.005質量%以上であり、0.01質量%以上であってもよい。有機防縮剤の含有量がこのような範囲である場合、高い低温ハイレート放電容量を確保することができる。有機防縮剤の含有量は、例えば、1.0質量%以下であり、0.5質量%以下であってもよい。充電受入性の低下を抑制する効果がさらに高まる観点からは、有機防縮剤の含有量は、0.3質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下または0.15質量%以下がさらに好ましく、0.12質量%以下であってもよい。
負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量は、0.005質量%以上(または0.01質量%以上)1.0質量%以下、0.005質量%以上(または0.01質量%以上)0.5質量%以下、0.005質量%以上(または0.01質量%以上)0.3質量%以下、0.005質量%以上(または0.01質量%以上)0.25質量%以下、0.005質量%以上(または0.01質量%以上)0.2質量%以下、0.005質量%以上(または0.01質量%以上)0.15質量%以下、あるいは0.005質量%以上(または0.01質量%以上)0.12質量%以下であってもよい。
(炭素質材料)
負極電極材料に含まれる炭素質材料としては、カーボンブラック、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどを用いることができる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラックなどが例示される。ファーネスブラックには、ケッチェンブラック(商品名)も含まれる。黒鉛は、黒鉛型の結晶構造を含む炭素質材料であればよく、人造黒鉛および天然黒鉛のいずれであってもよい。負極電極材料は、炭素質材料を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
負極電極材料中の炭素質材料の含有量は、例えば、0.05質量%以上であり、0.10質量%以上であってもよい。炭素質材料の含有量は、例えば、5質量%以下であり、3質量%以下であってもよい。
負極電極材料中の炭素質材料の含有量は、0.05質量%以上5質量%以下、0.05質量%以上3質量%以下、0.10質量%以上5質量%以下、または0.10質量%以上3質量%以下であってもよい。
(硫酸バリウム)
負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は、例えば、0.05質量%以上であり、0.10質量%以上であってもよい。負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は、例えば、3質量%以下であり、2質量%以下であってもよい。
負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は、0.05質量%以上3質量%以下、0.05質量%以上2質量%以下、0.10質量%以上3質量%以下、または0.10質量%以上2質量%以下であってもよい。
(負極電極材料または構成成分の分析)
以下に、負極電極材料またはその構成成分の分析方法について説明する。測定または分析に先立ち、満充電状態の鉛蓄電池を解体して分析対象の負極板を入手する。入手した負極板を水洗し、負極板から硫酸分を除去する。水洗は、水洗した負極板表面にpH試験紙を押し当て、試験紙の色が変化しないことが確認されるまで行う。ただし、水洗を行う時間は、2時間以内とする。水洗した負極板は、減圧環境下、60±5℃で6時間程度乾燥する。負極板に貼付部材が含まれている場合、必要に応じて、貼付部材を除去する。次に、負極板から負極電極材料を分離することにより試料(以下、試料Aと称する)を入手する。試料Aは、必要に応じて粉砕され、分析に供される。
(1)負極電極材料のBET比表面積の測定
負極電極材料のBET比表面積は、以下の手順で評価する。まず、化成が終了した満充電状態の鉛蓄電池を分解して負極板を取り出す。次に、負極板を水洗することによって負極板中の硫酸を除去した後、負極板を乾燥する。次に、乾燥後の負極板から負極電極材料を採取する。採取された負極電極材料は、窒素フロー中、150℃の温度で1時間加熱することによって前処理される。前処理した上記材料のBET比表面積は、質量測定と、ガス吸着法による測定と、BET式を用いた計算とによって求められる。具体的には、下記の装置および条件による測定と、下記の計算方法による計算とによってBET比表面積を求める。
測定装置:マイクロメリティックス社製 TriStar3000
吸着ガス:純度99.99%以上の窒素ガス
吸着温度:液体窒素沸点温度(77K)
BET比表面積の計算方法:JIS Z 8830:2013の7.2に準拠
(2)ポリマー化合物(P)の分析
(2-1)ポリマー化合物(P)の定性分析
粉砕した試料Aを用いる。100.0±0.1gの試料Aに150.0±0.1mLのクロロホルムを加え、20±5℃で16時間撹拌し、ポリマー化合物(P)を抽出する。その後、ろ過によって固形分を除く。抽出により得られるポリマー化合物(P)が溶解したクロロホルム溶液またはクロロホルム溶液を乾固することにより得られるポリマー化合物(P)について、赤外分光スペクトル、紫外可視吸収スペクトル、NMRスペクトル、LC/MSおよび熱分解GC-MSから選択される少なくとも1つから情報を得ることで、ポリマー化合物(P)を特定する。
抽出により得られるポリマー化合物(P)が溶解したクロロホルム溶液から、クロロホルムを減圧下で留去することによりクロロホルム可溶分を回収する。クロロホルム可溶分を重クロロホルムに溶解させて、下記の条件でH-NMRスペクトルを測定する。このH-NMRスペクトルから、ケミカルシフトが3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲のピークを確認する。また、この範囲のピークから、オキシC2-4アルキレンユニットの種類を特定する。
装置:日本電子(株)製、AL400型核磁気共鳴装置
観測周波数:395.88MHz
パルス幅:6.30μs
パルス繰り返し時間:74.1411秒
積算回数:32
測定温度:室温(20~35℃)
基準:7.24ppm
試料管直径:5mm
H-NMRスペクトルから、ケミカルシフトが3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲に存在するピークの積分値(V)を求める。また、ポリマー化合物(P)の末端基に結合した酸素原子に対して結合した-CH-基および-CH<基の水素原子のそれぞれについて、H-NMRスペクトルにおけるピークの積分値の合計(V)を求める。そして、VおよびVから、VがVおよびVの合計に占める割合(=V/(V+V)×100(%))を求める。
なお、定性分析で、H-NMRスペクトルにおけるピークの積分値を求める際には、H-NMRスペクトルにおいて、該当するピークを挟むように有意なシグナルがない2点を決定し、この2点間を結ぶ直線をベースラインとして各積分値を算出する。例えば、ケミカルシフトが3.2ppm~3.8ppmの範囲に存在するピークについては、スペクトルにおける3.2ppmと3.8ppmとの2点間を結ぶ直線をベースラインとする。例えば、ケミカルシフトが3.8ppmを超え4.0ppm以下の範囲に存在するピークについては、スペクトルにおける3.8ppmと4.0ppmとの2点間を結ぶ直線をベースラインとする。
(2-2)ポリマー化合物(P)の定量分析
上記のクロロホルム可溶分の適量を、±0.0001gの精度で測定したm(g)のテトラクロロエタン(TCE)と共に重クロロホルムに溶解させて、H-NMRスペクトルを測定する。ケミカルシフトが3.2~3.8ppmの範囲に存在するピークの積分値(S)とTCEに由来するピークの積分値(S)を求め、以下の式から負極電極材料中のポリマー化合物(P)の質量基準の含有率C(ppm)を求める。
=S/S×N/N×M/M×m/m×1000000
(式中、Mはケミカルシフトが3.2~3.8ppmの範囲にピークを示す構造の分子量(より具体的には、オキシC2-4アルキレンユニットの繰り返し構造の分子量)であり、Nは繰り返し構造の主鎖の炭素原子に結合した水素原子の数である。Nr、はそれぞれ基準物質の分子に含まれる水素数、基準物質の分子量であり、m(g)は抽出に使用した負極電極材料の質量である。)
なお、本分析での基準物質はTCEであるため、N=2、M=168である。また、m=100である。
例えば、ポリマー化合物(P)がポリプロピレングリコールの場合、Mは58であり、Nは3である。ポリマー化合物(P)がポリエチレングリコールの場合、Mは44であり、Nは4である。NおよびMは、各モノマー単位のN値およびM値を繰り返し構造に含まれる各モノマー単位のモル比率(モル%)を用いて平均化した値である。
なお、定量分析では、H-NMRスペクトルにおけるピークの積分値は、日本電子(株)製のデータ処理ソフト「ALICE」を用いて求める。
(2-3)ポリマー化合物(P)の数平均分子量(Mn)測定
上記のクロロホルム可溶分を用いて、ポリマー化合物(P)のGPC測定を、下記の装置を用い、下記の条件で行う。別途、標準物質の数平均分子量(Mn)と溶出時間のプロットから校正曲線(検量線)を作成する。この検量線およびポリマー化合物(P)のGPC測定結果に基づき、ポリマー化合物(P)の数平均分子量(Mn)を算出する。ただし、エステル化物またはエーテル化物などは、クロロホルム可溶分中で分解した状態であり得る。
分析システム:20A system((株)島津製作所製)
カラム:GPC KF-805L(Shodex社製)2本を直列接続
カラム温度:30℃±1℃
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1mL/min.
濃度:0.20質量%
注入量:10μL
標準物質:ポリエチレングリコール(Mn=2,000,000、200,000、20,000、2,000、200)
検出器:示差屈折率検出器(Shodex社製、Shodex RI-201H)
(2-4)ポリマー化合物(P)の疎水性部の構造の特定
粉砕した試料Aを用いる。100.0±0.1gの試料Aに150.0±0.1mLのクロロホルムを加え、20±5℃で16時間撹拌し、ポリマー化合物(P)を抽出する。抽出により得られるポリマー化合物(P)が溶解したクロロホルム溶液から、クロロホルムを減圧下で留去することによりクロロホルム可溶分を回収する。クロロホルム可溶分を重クロロホルムに溶解させて、下記の条件でH-NMRスペクトルを測定する。このH-NMRスペクトルから、ケミカルシフトが2.28ppm、4.06ppm付近のピークを確認する。このピークから、ポリマー化合物(P)の疎水性部の種類を特定する。疎水性部の例には、上述した疎水性基が含まれ、例えば、エステルを構成する炭化水素基(例えば炭化水素鎖)が含まれる。
装置:日本電子株式会社製、AL400型核磁気共鳴装置
観測周波数:395.88MHz
パルス幅:6.30μs
パルス繰り返し時間:74.1411秒
積算回数:32
測定温度:室温(20~35℃)
基準:7.24ppm
試料管直径:5mm
(2-5)ポリマー化合物(P)の疎水性部の式量の測定
粉砕した試料Aを用いる。1gの試料Aに5mLのクロロホルムを加えて超音波処理(1時間)を行い、室温にて攪拌(5.5時間)する。この液を吸引ろ過し、容器およびろ過の残渣をクロロホルムにて洗浄する。ろ液および洗浄液を窒素ガスにて濃縮した後、クロロホルムにて10mLに定容し、下記の条件で液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS分析)を行う。まず、ポリマー化合物(P)の疎水性部の保持時間のピークを、以下の方法で特定する。最初に、赤外分光スペクトル、紫外可視吸収スペクトル、NMRスペクトルなどが類似の形状を示す、ポリマー化合物(P)の疎水性部と類似の構造を有する化合物(別途入手可能なもの)を準備する。そして当該化合物について、上記の測定方法と同様に、保持時間のピークをLC部のTIC(トータルイオンクロマトグラム)から測定する。例えば、ポリマー化合物(P)がエステル化物である場合、類似の構造を有するエステル化物(別途入手可能なもの)を使用して、上記の測定方法と同様に保持時間のピークをLC部のTICから測定する。類似の構造を有する化合物の保持時間のピーク位置から、ポリマー化合物(P)の疎水性部の保持時間のピークを特定する。次に、特定したピークについて、質量分析部(MS部)におけるマススペクトル解析を行い、ポリマー化合物(P)の疎水性部の式量を特定する。
装置:LC部 Agilent Technologies製 1200 Series
MS部 Agilent Technologies製 6140
カラム :Imtakt 製Unison UK-C18 UP(内径2mm、長さ10cm)
カラム温度:50℃
移動相:A=10mMギ酸アンモニウム+10mMギ酸水溶液
B=10mMギ酸アンモニウム+10mMギ酸メタノール溶液
%B=80(0min)→100(3~10min)
流速:0.4mL/min
注入量:1μL
検出器:MS(ESI positive)
測定モード:SCAN(質量測定範囲、(m/z):100~1000)
(2-6)ポリマー化合物(P)のHLB値
親水性部の式量は以下の式により算出する。
(ポリマー化合物(P)の親水性部の式量)=(ポリマー化合物(P)の数平均分子量(Mn))-(ポリマー化合物(P)の疎水性部の式量)
上記の式で算出されたポリマー化合物(P)の親水性部の式量とポリマー化合物(P)の数平均分子量(Mn)を用い、上述した方法でHLB値を評価する。
(その他)
負極板は、負極集電体に負極ペーストを塗布または充填し、熟成および乾燥することにより未化成の負極板を作製し、その後、未化成の負極板を化成することにより形成できる。負極ペーストは、例えば、鉛粉と、ポリマー化合物(P)と、必要に応じて、有機防縮剤、炭素質材料、他の添加剤からなる群より選択される少なくとも一種とに、水および硫酸(または硫酸水溶液)を加えて混練することで作製する。熟成する際には、室温より高温かつ高湿度で、未化成の負極板を熟成させることが好ましい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成により、海綿状鉛が生成する。
(正極板)
鉛蓄電池の正極板は、ペースト式、クラッド式などに分類できる。ペースト式およびクラッド式のいずれの正極板を用いてもよい。ペースト式正極板は、正極集電体と、正極電極材料とを具備する。クラッド式の正極板の構成は前述の通りである。
正極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛シートまたは鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。正極集電体として格子状の集電体を用いると、正極電極材料を担持させ易いため好ましい。
正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb-Sb系合金、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金が好ましい。正極集電体は、表面層を備えていてもよい。正極集電体の表面層と内側の層とは組成が異なるものであってもよい。表面層は、正極集電体の一部に形成されていてもよい。表面層は、正極集電体の格子部分のみや、耳部分のみ、枠骨部分のみに形成されていてもよい。
正極板に含まれる正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
未化成のペースト式正極板は、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成、乾燥することにより得られる。正極ペーストは、鉛粉、添加剤、水、および硫酸を混練することで調製される。未化成のクラッド式正極板は、集電部で連結された芯金が挿入された多孔質なチューブに鉛粉またはスラリー状の鉛粉を充填し、複数のチューブを連座で結合することにより形成される。その後、これらの未化成の正極板を化成することにより正極板が得られる。化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の正極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の正極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。
(セパレータ)
負極板と正極板との間には、セパレータを配置することができる。セパレータとしては、不織布、および微多孔膜から選択される少なくとも一種などが用いられる。
不織布は、繊維を織らずに絡み合わせたマットであり、繊維を主体とする。不織布は、例えば、不織布の60質量%以上が繊維で形成されている。繊維としては、ガラス繊維、ポリマー繊維(ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維など)など)、パルプ繊維などを用いることができる。中でも、ガラス繊維が好ましい。不織布は、繊維以外の成分、例えば耐酸性の無機粉体、結着剤としてのポリマーなどを含んでもよい。
一方、微多孔膜は、繊維成分以外を主体とする多孔性のシートであり、例えば、造孔剤含む組成物をシート状に押し出し成形した後、造孔剤を除去して細孔を形成することにより得られる。微多孔膜は、耐酸性を有する材料で構成することが好ましく、ポリマー成分を主体とするものが好ましい。ポリマー成分としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)が好ましい。造孔剤としては、ポリマー粉末およびオイルからなる群より選択される少なくとも一種などが挙げられる。
セパレータは、例えば、不織布のみで構成してもよく、微多孔膜のみで構成してもよい。また、セパレータは、必要に応じて、不織布と微多孔膜との積層物、異種または同種の素材を貼り合わせた物、または異種または同種の素材において凹凸をかみ合わせた物などであってもよい。
セパレータは、シート状であってもよく、袋状に形成されていてもよい。正極板と負極板との間に1枚のシート状のセパレータを挟むように配置してもよい。また、折り曲げた状態の1枚のシート状のセパレータで極板を挟むように配置してもよい。この場合、折り曲げたシート状のセパレータで挟んだ正極板と、折り曲げたシート状のセパレータで挟んだ負極板とを重ねてもよく、正極板および負極板の一方を折り曲げたシート状のセパレータで挟み、他方の極板と重ねてもよい。また、シート状のセパレータを蛇腹状に折り曲げ、正極板および負極板を、これらの間にセパレータが介在するように、蛇腹状のセパレータに挟み込んでもよい。袋状のセパレータを用いる場合、袋状のセパレータが正極板を収容していてもよいし、負極板を収容してもよい。
(電解液)
電解液は、硫酸を含む水溶液であり、必要に応じてゲル化させてもよい。電解液には、上記のポリマー化合物(P)が含まれていてもよい。
電解液は、必要に応じて、カチオン(例えば、金属カチオン)、および/またはアニオン(例えば、硫酸アニオン以外のアニオン(リン酸イオンなど))を含んでいてもよい。金属カチオンとしては、例えば、Naイオン、Liイオン、Mgイオン、およびAlイオンからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、例えば、1.20以上であり、1.25以上であってもよい。電解液の20℃における比重は、1.35以下であり、1.32以下であることが好ましい。
電解液の20℃における比重は、1.20以上1.35以下、1.20以上1.32以下、1.25以上1.35以下、または1.25以上1.32以下であってもよい。
(その他)
鉛蓄電池は、電槽のセル室に極板群と電解液とを収容する工程を含む製造方法により得ることができる。鉛蓄電池の各セルは、各セル室に収容された極板群および電解液を備える。極板群は、セル室への収容に先立って、正極板、負極板、およびセパレータを、正極板と負極板との間にセパレータが介在するように積層することにより組み立てられる。正極板、負極板、電解液、およびセパレータは、それぞれ、極板群の組み立てに先立って、準備される。鉛蓄電池の製造方法は、極板群および電解液をセル室に収容する工程の後、必要に応じて、正極板および負極板の少なくとも一方を化成する工程を含んでもよい。
極板群における各極板は、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。過充電電気量の高い低減効果を確保する観点からは、極板群に含まれる負極板の枚数の50%以上(より好ましくは80%以上または90%以上)が、上記の条件を充足するものであることが好ましい。極板群に含まれる負極板のうち、上記の条件を充足するものの比率は、100%以下である。極板群に含まれる負極板の全てが、上記の条件を充足するものであってもよい。
鉛蓄電池が、2つ以上のセルを有する場合には、少なくとも一部のセルの極板群が上記のような条件を充足する負極板を備えるものであればよい。過充電電気量の高い低減効果を確保する観点からは、鉛蓄電池に含まれるセルの個数の50%以上(より好ましくは80%以上または90%以上)が、上記の条件を充足する負極板を含む極板群を備えることが好ましい。鉛蓄電池に含まれるセルのうち、上記の条件を充足する負極板を含む極板群を備えるセルの比率は、100%以下である。鉛蓄電池に含まれる極板群の全てが、上記の条件を充足する負極板を備えるものであることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の一例を、図面を参照しながら以下に説明する。以下で説明する実施形態には、上述した説明を適用できる。また、以下で説明する実施形態を、上述した説明に基づいて変更してもよい。また、以下で説明する事項を、上述した実施形態に適用してもよい。また、以下で説明する事項のうち、本発明に必須ではない事項は省略してもよい。
図1に、本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の一例の外観を示す。鉛蓄電池1は、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽12を具備する。電槽12内は、隔壁13により、複数のセル室14に仕切られている。各セル室14には、極板群11が1つずつ収納されている。電槽12の開口部は、負極端子16および正極端子17を具備する蓋15で閉じられる。蓋15には、セル室毎に液口栓18が設けられている。補水の際には、液口栓18を外して補水液が補給される。液口栓18は、セル室14内で発生したガスを電池外に排出する機能を有してもよい。
極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4を介して積層することにより構成されている。ここでは、負極板2を収容する袋状のセパレータ4を示すが、セパレータの形態は特に限定されない。電槽12の一方の端部に位置するセル室14では、複数の負極板2を並列接続する負極棚部6が貫通接続体8に接続され、複数の正極板3を並列接続する正極棚部5が正極柱7に接続されている。正極柱7は蓋15の外部の正極端子17に接続されている。電槽12の他方の端部に位置するセル室14では、負極棚部6に負極柱9が接続され、正極棚部5に貫通接続体8が接続される。負極柱9は蓋15の外部の負極端子16と接続されている。各々の貫通接続体8は、隔壁13に設けられた貫通孔を通過して、隣接するセル室14の極板群11同士を直列に接続している。
正極棚部5は、各正極板3の上部に設けられた耳部同士をキャストオンストラップ方式やバーニング方式で溶接することにより形成される。負極棚部6も、正極棚部5の場合に準じて各負極板2の上部に設けられた耳部同士を溶接することにより形成される。
なお、鉛蓄電池の蓋15は、一重構造(単蓋)であるが、図示例の場合に限らない。蓋15は、例えば、中蓋と外蓋(または上蓋)とを備える二重構造を有するものであってもよい。二重構造を有する蓋は、中蓋と外蓋との間に、中蓋に設けられた還流口から電解液を電池内(中蓋の内側)に戻すための還流構造を備えるものであってもよい。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池を以下にまとめて記載する。
(1)鉛蓄電池であって、負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含み、前記負極電極材料はポリマー化合物を含み、前記ポリマー化合物のHLBの値は4~18の範囲にあり、前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にあり、前記ポリマー化合物は、重クロロホルムを溶媒として用いて測定されるH-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲にピークを有する、鉛蓄電池。
(2)鉛蓄電池であって、負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含み、前記負極電極材料はポリマー化合物を含み、前記ポリマー化合物のHLBの値は4~18の範囲にあり、前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にあり、前記ポリマー化合物は、オキシC2-4アルキレンユニットを繰り返し構造として含む、鉛蓄電池。
(3)上記(2)において、前記ポリマー化合物は、前記オキシC2-4アルキレンユニットを繰り返し構造として含むポリアルキレングリコールのエステル化物であってもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つにおいて、前記ポリマー化合物の重合度が30未満であってもよい。
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つにおいて、前記負極電極材料のBET比表面積は、0.49m/g~1.50m/gの範囲にあってもよい。
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つにおいて、前記ポリマー化合物の前記HLBの値aと、前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の質量基準の含有量b(ppm)と、前記負極電極材料のBET比表面積c(m/g)とが、0<(a-4)×(18-a)×b×c/10000≦0.8の式を満たしてもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《鉛蓄電池A1~A15、C1~C9、B1、R1》
(1)鉛蓄電池の準備
(a)負極板の作製
原料の鉛粉と、硫酸バリウムと、カーボンブラックと、有機防縮剤(リグニンスルホン酸ナトリウム)と、必要に応じてポリマー化合物(P)とを、適量の硫酸水溶液と混合して、負極ペーストを得る。ポリマー化合物(P)は、負極電極材料中のポリマー化合物(P)の含有量が表1の含有量となるように負極ペーストに添加する。同様に、負極電極材料中の有機防縮剤の含有量が0.1質量%、硫酸バリウムの含有量が0.4質量%となるように各成分を添加する。次に、負極ペーストを、Pb-Ca-Sn合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成乾燥し、未化成の負極板を得る。
各電池に用いる負極ペーストの作製において、ポリマー化合物(P)として以下のものを用いる。
電池C1~C3:ジステアリン酸ポリエチレングリコール(HLB値:3.0、数平均分子量:660)
電池A1~A4、C4:ジラウリン酸ポリエチレングリコール(HLB値:6.6、数平均分子量630)
電池A5~A7、C5:ジステアリン酸ポリエチレングリコール(HLB値:7.3、数平均分子量:810)
電池A8、A10、A12、A14:オレイン酸ポリエチレングリコール(HLB値:8.4、数平均分子量500)
電池A9、A11、A13、C6:ジオレイン酸ポリエチレングリコール(HLB値:8.4、数平均分子量880)
電池A15:オレイン酸ポリエチレングリコール(HLB値:14、数平均分子量:940)
電池C7~C9:オレイン酸ポリエチレングリコール(HLB値:19、数平均分子量:4680)
電池B1:ポリプロピレングリコール(数平均分子量:2000)
電池R1:ポリマー化合物(P)を添加しない。
ジステアリン酸ポリエチレングリコールは、親水性基の含有率を変えることによって、HLB値を3.0または7.3とする。オレイン酸ポリエチレングリコールは、親水性基の含有率を変えることによって、HLB値を、8.4、14、または19とする。
(b)正極板の作製
原料の鉛粉を硫酸水溶液と混合して、正極ペーストを得る。正極ペーストを、Pb-Ca-Sn合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成乾燥し、未化成の正極板を得る。
(c)試験電池の作製
試験電池は定格電圧2V/セル、定格20時間率容量は60Ahである。試験電池の極板群は、正極板7枚と負極板7枚で構成する。負極板はポリエチレン製の微多孔膜で形成された袋状セパレータに収容し、正極板と交互に積層し、極板群を形成する。極板群をポリプロピレン製の電槽に電解液(硫酸水溶液)とともに収容して、電槽内で化成を施し、液式の鉛蓄電池を作製する。満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、1.28である。
(2)評価
(a)充電受入性能の評価
満充電後の試験電池を用いて、所定の電流値を測定する。具体的には、試験電池を、6Aで4時間放電し、その後、24時間放置する。当該試験電池を、次に、2.47V/セルで定電圧充電する(電流の上限:200A)。このときの充電開始から60秒目の電流値を測定する。いずれの作業も、25℃±2℃の水槽中で行う。鉛蓄電池R1の電流値を100%としたときの比率で各鉛蓄電池の充電受入性能を評価する。
(b)電解液の減少量
最初に、試験電池の質量(M)を測定する。次に、60℃±5℃の水槽中で、試験電池について、最大電流50Aで2.4V/セルの定電圧充電を84日間行う。充電後、水槽から取り出した試験電池を室温(20~35℃)になるまで放置した後、試験電池の質量(M)を測定する。MからMを差し引くことにより、電解液の減少量を求める。
製造条件および評価結果の一部を表1に示す。表1のHLB値は、上述した方法で決定される値である。ポリマー化合物(P)の含有量、および、負極電極材料の比表面積は、上述した方法で測定される値である。
Figure 2022085856000001
表1に示す充電受入性能は、70%以上であることが好ましい。表1に示す電解液の減少量は、70%以下であることが好ましい。
表1に示すように、HLBの値aが4~18の範囲(例えば6.6~14の範囲)にあり、含有量bが50~600ppmの範囲にある電池A1~A15では、高い充電受入性能を維持したまま、電解液の減少量を低減することができる。電解液の減少量の観点からは、含有量bは80ppm以上であることが好ましい。充電受入性能の観点からは、含有量bは360ppm以下であることが好ましい。また、ポリプロピレングリコールを用いた電池B1と、ポリアルキレングリコールのエステル化物を用いた電池A12およびA15とを比較すると、ポリアルキレングリコールを用いた電池の方が良好な特性を示した。
式[(a-4)×(18-a)×b×c/10000]の値と充電受入性能との関係を図2に示す。さらに、当該式の値と、電解液の減少量との関係を図3に示す。図2および図3に示すように、上記式の値は、0より大きく1以下であることが好ましく、0より大きく0.8以下であることがより好ましい。
以上のように、本発明によれば、充電受入性能が高く電解液の減少量が少ない鉛蓄電池が得られる。
本発明は、鉛蓄電池に利用できる。本発明の鉛蓄電池は、例えば、PSOC条件下で充放電されるIS用鉛蓄電池としてアイドリングストップ車に用いるのに適している。また、鉛蓄電池は、例えば、車両(自動車、バイクなど)の始動用電源や、産業用蓄電装置(例えば、電動車両(フォークリフトなど)などの電源)などとして好適に利用できる。なお、これらの用途は単なる例示であり、これらの用途に限定されるものではない。
1:鉛蓄電池
2:負極板
3:正極板
4:セパレータ
5:正極棚部
6:負極棚部
7:正極柱
8:貫通接続体
9:負極柱
11:極板群
12:電槽
13:隔壁
14:セル室
15:蓋
16:負極端子
17:正極端子
18:液口栓

Claims (6)

  1. 負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含み、
    前記負極電極材料はポリマー化合物を含み、
    前記ポリマー化合物のHLBの値は4~18の範囲にあり、
    前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にあり、
    前記ポリマー化合物は、重クロロホルムを溶媒として用いて測定されるH-NMRスペクトルのケミカルシフトにおいて、3.2ppm以上3.8ppm以下の範囲にピークを有する、鉛蓄電池。
  2. 負極電極材料を含む負極板と、正極板と、電解液と、を含み、
    前記負極電極材料はポリマー化合物を含み、
    前記ポリマー化合物のHLBの値は4~18の範囲にあり、
    前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の含有量は、質量基準で50ppm~600ppmの範囲にあり、
    前記ポリマー化合物は、オキシC2-4アルキレンユニットを繰り返し構造として含む、鉛蓄電池。
  3. 前記ポリマー化合物は、前記オキシC2-4アルキレンユニットを繰り返し構造として含むポリアルキレングリコールのエステル化物である、請求項2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記ポリマー化合物の重合度が30未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  5. 前記負極電極材料のBET比表面積は、0.49m/g~1.50m/gの範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  6. 前記ポリマー化合物の前記HLBの値aと、前記負極電極材料中の前記ポリマー化合物の質量基準の含有量b(ppm)と、前記負極電極材料のBET比表面積c(m/g)とが、0<(a-4)×(18-a)×b×c/10000≦0.8の式を満たす、請求項1~5のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
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