JP2022083547A - ガスケット仮止めクリップとガスケットの取り付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外壁パネルの建て込み直後に少なくとも鉛直方向に延設するガスケットを取り付ける施工において、良好な施工性の下で精度のよいガスケットの取り付けに供されるガスケット仮止めクリップと、このガスケット仮止めクリップを用いたガスケットの取り付け方法を提供すること。【解決手段】外壁パネル50の縦小口面50aに対してガスケット40を仮止めする、ガスケット仮止めクリップ60であり、断熱ボード54と外壁フレーム55の間に差し込まれる差し込み片62と、断熱ボード54の縦小口面54aに突き刺される突き刺し片63と、ガスケット40の一部を押圧する押圧片64とを有する。【選択図】図3
Description
本発明は、ガスケット仮止めクリップとガスケットの取り付け方法に関する。
例えば都市部において鉄骨造の建物を施工するに当たり、施工対象の建物の外壁と隣地境界との間には、足場の組立てに十分なスペースがない場合が往々にしてある。あるいは、仮に足場を組むことができたとしても、足場と外壁設置位置との間に外壁パネルが入り込むスペースや、さらには、外壁パネルを設置するためのスペースがない場合がある。
通常、足場と外壁設置位置との間に十分なスペースがある場合は、クレーン等の重機にて吊り上げられた外壁パネルがこのスペースに落とし込まれ、足場上にいる作業員は、外壁パネルをその下方が外壁設置位置側に向くようにして斜め姿勢とし、外壁パネルの下端に取り付けられている取り付けボルトを、各階の外壁設置位置の下方に取り付けられている下方取り付け金具の有する溝に対してまず設置する。そして、この取り付けボルトと溝との係合部を支点として、外壁パネルの上方を外壁設置位置側に起こし、外壁パネルの上方を屋外側から室内側へ面外方向に回動させることにより、外壁パネルの上端に開設されているボルト孔を、外壁設置位置にある上方取り付け金具の有するボルト孔に位置合わせする。双方のボルト孔が位置合わせされることにより貫通孔が形成され、この貫通孔にボルトを挿通し、ナット締めすることにより、外壁パネルの取り付けが行われる。
すなわち、この施工では、外壁パネルの下端が固定されてここを支点として、外壁パネルの上方が屋外側から室内側へ円弧を描いて面外の動きで回動しながら設置されることから、外壁設置位置と足場との間には、ある程度余裕のあるスペースが必要になる。
そこで、上記するように足場を設置するスペースがない狭小敷地においても、外壁パネルを好適に施工することのできる建築方法が提案されている。具体的には、建物の躯体を構成する下階天井梁及び上階天井梁の長手方向に延びるように、それぞれ案内レールを設ける。一方、下階外壁パネル及び上階外壁パネルの上端部には、案内レールに引っ掛けられるハンガーを取り付ける。そして、それぞれのハンガーを各天井梁の案内レールに引っ掛けることにより、各外壁パネルは各天井梁に吊り下げられた状態となる。この吊り下げ状態においてハンガーを案内レールに沿ってスライドさせることにより、各外壁パネルを所定の取り付け位置に移動させる。この取り付け位置において、各外壁パネルを屋内側からボルト等により固定する建築方法である(例えば、特許文献1参照)。
例えば特許文献1に記載の建築方法のように、外壁パネルを横引き(もしくはスライド)しながら建物の架構に設置することにより、狭小敷地においても外壁パネルの設置が可能になり、例えば、足場を設置することなく、外壁パネルの取り付けを行うことができる(所謂、無足場工法)。ところで、一般に工場生産化(工業化)された外壁においては、面材(外壁面材)、外壁フレーム、断熱材、防水シート、縦胴縁(通気下地)等が工場にて組み立てられることにより外壁パネルが製作され、現場に搬送される。例えば、クレーンにて吊り下げられた外壁パネルが、上記するように横引きされながら、建物の架構に対して左右及び上下に順次設置される。
外壁パネルを横引きしながら建物の架構に対して順次設置した後、外壁パネル間の目地(縦目地、横目地(階間目地を含む))に防水用のガスケットが設置されることになる。例えば、特許文献2には、環状ガスケットでありながら、施工を容易にして止水性を確保できるとともに、目地意匠性を向上できるガスケットが提案されている。このガスケットは、建物の外壁パネル間に形成される目地に取り付けられる長尺のガスケットであり、ガスケットのヒレが外壁パネルの目地に取り付けられている状態において、もう一方の外壁パネルの側面に押圧されて固定部との接続点を支点として止水部側に折れ曲がり、ヒレの先端の突接部がガスケットの凹部に圧接し、環状の止水部が凹部で環状内側に屈曲した態様で取り付けられるようになっている。
特許文献2に記載のガスケットをはじめとして、従来のガスケットは一般に、建物の架構に建て込まれている相互に隣接する外壁パネルの間の目地に対して、後付けにて施工される。しかしながら、狭小敷地においては、ガスケットの設置に際しても十分なスペースを確保できない場合もあり、また、上記する無足場工法では、2m乃至3mの長さのガスケットを目地(特に縦目地)に設置することは極めて困難になる。
そこで、トラック等にて搬送されてきた外壁パネルをクレーンにて横引きして架構に立て込む前に、当該外壁パネルに対して予めガスケットを取り付ける先付け工法が考えられる。この外壁パネルのトラック搬送においては、搬送時の外壁パネルの破損を防止するために、外壁パネルが積載ラックに積載され、積載ラックがトラックの荷台に積まれて搬送される。上記するガスケットの先付け工法には、さらに、外壁パネルが積載ラックに載置されている状態で当該外壁パネルにガスケットを取り付ける、建て込み前設置工法と、外壁パネルを積載ラックから荷卸しし、クレーンにて架構に建て込んだ直後に外壁パネルの小口面にガスケットを取り付ける、建て込み後設置工法が考えられる。
架構に建て込まれている外壁パネルに対して、建て込み後設置工法にてガスケットを取り付ける場合、上記する無足場工法や狭小敷地における施工においては、例えば、室内側に設置された脚立等を利用してガスケットを取り付けることになる。しかしながら、脚立等を利用して、特に鉛直方向に延びる長尺なガスケットを、外壁パネルの小口面(縦小口面)に精度よく取り付けるのは容易でない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、外壁パネルの建て込み直後に少なくとも鉛直方向に延設するガスケットを取り付ける施工において、良好な施工性の下で精度のよいガスケットの取り付けに供されるガスケット仮止めクリップと、このガスケット仮止めクリップを用いたガスケットの取り付け方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるガスケット仮止めクリップの一態様は、
外壁面材と、該外壁面材の背面に取り付けられている縦胴縁と、該縦胴縁の背面に取り付けられている防水シート及び断熱ボードと、該断熱ボードの背面に取り付けられている外壁フレームと、を有する、外壁パネルの縦小口面に対して、ガスケットを仮止めする、ガスケット仮止めクリップであって、
前記断熱ボードと前記外壁フレームの間に差し込まれる、差し込み片と、
前記断熱ボードの縦小口面に突き刺される、突き刺し片と、
前記ガスケットの一部を押圧する、押圧片と、を有することを特徴とする。
外壁面材と、該外壁面材の背面に取り付けられている縦胴縁と、該縦胴縁の背面に取り付けられている防水シート及び断熱ボードと、該断熱ボードの背面に取り付けられている外壁フレームと、を有する、外壁パネルの縦小口面に対して、ガスケットを仮止めする、ガスケット仮止めクリップであって、
前記断熱ボードと前記外壁フレームの間に差し込まれる、差し込み片と、
前記断熱ボードの縦小口面に突き刺される、突き刺し片と、
前記ガスケットの一部を押圧する、押圧片と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、断熱ボードと前記外壁フレームの間に差し込み片を差し込み、突き刺し片を断熱ボードの縦小口面に突き刺しながら、押圧片にてガスケットの一部を押圧することにより、外壁パネルの縦小口面に対して、ガスケットを安定的に仮止めすることができる。例えば、差し込み片と突き刺し片のいずれか一方のみでは、ガスケット仮止めクリップを外壁パネルの縦小口面に安定的に固定できないため、結果としてガスケットの安定的な仮止めは難しい。ここで、ガスケット仮止めクリップは、金物クリップであってもよいし、硬質な樹脂製のクリップであってもよい。
また、本発明によるガスケット仮止めクリップの他の態様は、前記断熱ボードの前記縦小口面に当接する当接片をさらに有し、
前記当接片の対向する二つの端辺のうち、一方の第一端辺にて屈曲して前記差し込み片が張り出し、他方の第二端辺にて屈曲して前記押圧片が張り出し、該当接片の他の第三端辺にて屈曲して前記突き刺し片が張り出していることを特徴とする。
前記当接片の対向する二つの端辺のうち、一方の第一端辺にて屈曲して前記差し込み片が張り出し、他方の第二端辺にて屈曲して前記押圧片が張り出し、該当接片の他の第三端辺にて屈曲して前記突き刺し片が張り出していることを特徴とする。
本態様によれば、当接片の有する複数の端辺を折り曲げ加工等することにより、当接片から差し込み片と押圧片と突き刺し片が張り出している、簡易な構成の仮止めクリップを容易に製作することができる。ここで、当接片から差し込み片等が屈曲している各端辺には、曲げ加工を容易にするためのスリットが設けられていてもよい。
また、本発明によるガスケット仮止めクリップの他の態様は、二つの前記突き刺し片が、正面視で前記当接片からハの字状に張り出していることを特徴とする。
本態様によれば、突き刺し片が当接片から正面視でハの字状に張り出していることにより、ガスケットを仮止めしている仮止めクリップに作用する荷重(例えば、ガスケットの重量等)を、突き刺し片から断熱ボードに対して水平方向と鉛直方向に伝達することができ、ガスケットを安定的に仮止めすることができる。
また、本発明によるガスケット仮止めクリップの他の態様は、前記差し込み片の先端が先鋭になっていることを特徴とする。
本態様によれば、差し込み片の先端が先鋭になっていることにより、断熱ボードと外壁フレームの間に差し込み片を差し込み易くできる。
また、本発明によるガスケットの取り付け方法の一態様は、
外壁面材と、該外壁面材の背面に取り付けられている縦胴縁と、該縦胴縁の背面に取り付けられている防水シート及び断熱ボードと、該断熱ボードの背面に取り付けられている外壁フレームと、を有する、外壁パネルの縦小口面に対して、ガスケットを仮止めした後に本設置する、ガスケットの取り付け方法であって、
建物の架構に対して前記外壁パネルを取り付ける、先行外壁パネル取り付け工程と、
差し込み片と、突き刺し片と、押圧片と、を有する、ガスケット仮止めクリップを少なくとも二つ使用し、前記外壁パネルの前記縦小口面に前記ガスケットを当接させ、該ガスケットの少なくとも上方と下方の二箇所を、以下の同様の方法によって仮止めするガスケット仮止め工程であって、前記断熱ボードと前記外壁フレームの間に前記差し込み片を差し込み、前記断熱ボードの縦小口面に前記突き刺し片を突き刺し、前記ガスケットの一部を前記押圧片にて押圧することにより、前記外壁パネルの前記縦小口面に対して前記ガスケットの一部を仮止めする、ガスケット仮止め工程と、
前記先行外壁パネル取り付け工程にて建て込まれている前記外壁パネルに対して、他の外壁パネルを横引きして、前記ガスケットを挟み込んだ状態で該他の外壁パネルを前記架構に取り付ける、ガスケット本設置工程と、を有することを特徴とする。
外壁面材と、該外壁面材の背面に取り付けられている縦胴縁と、該縦胴縁の背面に取り付けられている防水シート及び断熱ボードと、該断熱ボードの背面に取り付けられている外壁フレームと、を有する、外壁パネルの縦小口面に対して、ガスケットを仮止めした後に本設置する、ガスケットの取り付け方法であって、
建物の架構に対して前記外壁パネルを取り付ける、先行外壁パネル取り付け工程と、
差し込み片と、突き刺し片と、押圧片と、を有する、ガスケット仮止めクリップを少なくとも二つ使用し、前記外壁パネルの前記縦小口面に前記ガスケットを当接させ、該ガスケットの少なくとも上方と下方の二箇所を、以下の同様の方法によって仮止めするガスケット仮止め工程であって、前記断熱ボードと前記外壁フレームの間に前記差し込み片を差し込み、前記断熱ボードの縦小口面に前記突き刺し片を突き刺し、前記ガスケットの一部を前記押圧片にて押圧することにより、前記外壁パネルの前記縦小口面に対して前記ガスケットの一部を仮止めする、ガスケット仮止め工程と、
前記先行外壁パネル取り付け工程にて建て込まれている前記外壁パネルに対して、他の外壁パネルを横引きして、前記ガスケットを挟み込んだ状態で該他の外壁パネルを前記架構に取り付ける、ガスケット本設置工程と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、本発明のガスケット仮止めクリップを少なくとも二つ利用して外壁パネルの縦小口面に対してガスケットの一部を仮止めすることにより、外壁パネルの建て込み直後に少なくとも鉛直方向に延設するガスケットを取り付ける施工において、精度よくガスケットを仮止めすることができる。そして、ガスケット仮止め工程に次いで、ガスケット本設置工程を適用することにより、無足場工法や狭小敷地における施工においても、隣接する外壁パネル間にガスケットを効率的に取り付けることができる。ここで、「ガスケット仮止めクリップを少なくとも二つ使用」とは、二つの仮止めクリップにてガスケットの上端近傍と下端近傍を仮止めする形態や、三つの仮止めクリップにてガスケットの上端近傍と中央近傍と下端近傍を仮止めする形態等を含んでいる。
以上の説明から理解できるように、本発明のガスケット仮止めクリップとガスケットの取り付け方法によれば、外壁パネルの建て込み直後に少なくとも鉛直方向に延設するガスケットを取り付ける施工において、外壁パネル間の少なくとも縦目地において、精度よく、効率的にガスケットを取る付けることができる。
以下、実施形態に係るガスケット仮止めクリップとガスケットの取り付け方法の一例について、取り付け対象のガスケットの一例とともに添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係るガスケット仮止めクリップ]
図1及び図2を参照して、ガスケットが仮止めされる外壁パネルの一例と、仮止めされるガスケットの一例を説明した上で、図3及び図4を参照して、実施形態に係るガスケット仮止めクリップの一例について説明する。ここで、図1は、ガスケットが取り付けられる外壁パネルの一例の一部の横断面図であり、図2は、外壁パネルの縦小口面に仮止めされ、さらに本設置される、ガスケットの一例の斜視図である。また、図3は、実施形態に係るガスケット仮止めクリップの一例の斜視図であり、図4(a),(b),(c)はそれぞれ、図1のIVa方向矢視図、IVb方向矢視図、及びIVc方向矢視図である。
図1及び図2を参照して、ガスケットが仮止めされる外壁パネルの一例と、仮止めされるガスケットの一例を説明した上で、図3及び図4を参照して、実施形態に係るガスケット仮止めクリップの一例について説明する。ここで、図1は、ガスケットが取り付けられる外壁パネルの一例の一部の横断面図であり、図2は、外壁パネルの縦小口面に仮止めされ、さらに本設置される、ガスケットの一例の斜視図である。また、図3は、実施形態に係るガスケット仮止めクリップの一例の斜視図であり、図4(a),(b),(c)はそれぞれ、図1のIVa方向矢視図、IVb方向矢視図、及びIVc方向矢視図である。
外壁パネル50は、外壁面材51と、外壁面材51の背面にある縦胴縁52と、縦胴縁52の背面にある透湿防水シート53(防水シートの一例)と、透湿防水シート53が貼り付けられている断熱ボード54と、断熱ボード54の背面(室内側)に固定されている外壁フレーム55とを有する。尚、外壁パネル50と縦胴縁52、縦胴縁52と断熱ボード54、断熱ボード54と外壁フレーム55等は、ビスや釘等の固定手段(図示せず)により相互に固定されている。また、外壁フレーム55の内部において、グラスウールやロックウール等により形成される断熱材が充填されてもよい。
外壁面材51は、サイディング材から形成されており、複数の縦柄目地と横柄目地をその表面に備えている。このサイディング材としては、窯業系サイディング、アルミや鋼板からなる金属系サイディング、天然木を加工してなる木質系サイディング、塩化ビニル樹脂等からなる樹脂系サイディングなどが挙げられる。
縦胴縁52を介して外壁面材51と透湿防水シート53及び断熱ボード54を配設することにより、外壁面材51の背面側に通気層56が形成される。縦胴縁52は、外壁面材51の縦小口面51aから若干内側に入った位置に配設されており、外壁面材51の背面と縦胴縁52と透湿防水シート53により、空間Gが形成されている。
足場を設置するスペースがない狭小敷地において、クレーン等の重機にて垂下された外壁パネル50が横引きされ、建物の架構(図示せず)に対して図1に示すように設置されている。このように既に架構に設置されている外壁パネル50の特に縦小口面50aに対して、図2に示すガスケット40を作業員が室内側から仮止めする際に、図3及び図4に示すガスケット仮止めクリップ60を使用する。
ガスケット40は、一次防水材10と、二次防水材30が、繋ぎ部20を介して一体に形成されている。後述するように、一次防水材10は、外壁面材とともに一次防水を構成するシール部材であり、二次防水材30は、ガスケット40の全体を外壁パネルに固定しながら、防水シートとともに二次防水を構成するシール部材である。
ガスケット40は全体として一体に成形されており、圧縮性のある弾性体である乾式の止水材である。一次防水材10の本体11や二次防水材30の固定部31、繋ぎ部20等はソリッドゴムであり、緩衝材15,36,37は発泡倍率の高いEPDMゴム(エチレンプロピレンゴム)等により成形されている。
ガスケット40は、外壁パネル50を構成する外壁面材51の縦目地を形成する縦小口面51aや、横目地を形成する横小口面に配設されるものであり、従って、外壁面材の横幅もしくは縦長さに相当する長さを有している。
一次防水材10は、長手方向に直交する断面形状が略矩形を呈し、その内部に長手方向に延設する複数(図示例は二つ)の中空12を有している。また、二つの中空12を隔てる中央の縦片の上方には、本体11の長手方向に延設する芯線14が埋設されている。また、本体11の天井面には、本体11とは色の異なる意匠材13が固定されている。本体11のうち、隣接する外壁パネルを構成する外壁面材に押圧される部位には、本体11の長手方向に延設する、断面が略半円形の緩衝材15が形成されている。
一次防水材10の一方の縦片の下端から、繋ぎ部20が下方に延設し、繋ぎ部20に対して二次防水材30が連続している。二次防水材30は、その長手方向に直交する断面形状が矩形(図示例は略正方形)の固定部31を有する。固定部31は、その内部に長手方向に延設する一つの中空32を有している。固定部31が中空32を有していることにより、後述するように、外壁面材の背面と縦胴縁と防水シートにより形成されている空間に対して、固定部31が適度に変形しながらスムーズに嵌め込まれるようになっている。
固定部31の一方の縦片より、一次防水材10の直下の位置において、フィン状の雨水排水部33が側方に張り出すように設けられ、雨水排水部33よりも下方の位置(目地に取り付けられた際に室内側となる位置)において、フィン状の雨水遮蔽部34が同様に側方に張り出すように設けられている。
雨水排水部33は、一次防水材10の本体11の下方に位置しており、一次防水材10とこれを挟持する外壁パネルの外壁面材の間を通過した雨水をここで堰き止め、雨水排水部33に沿って排水する機能を有している。そのため、雨水排水部33は、固定部31の根元位置よりも、その張り出し先端が上方の本体11側に傾斜するように設けられている。また、固定部31と雨水排水部33の取り合い部(雨水排水部33の根元)には、二次防水材30の長手方向に延設する芯金35が埋設されている。
一方、雨水遮蔽部34は、側方への張り出し方向において、その中央付近が上方に突であり、先端が下方に垂れるように湾曲している。雨水遮蔽部34は、隣接する外壁パネルの外壁面材の有する防水シートや断熱ボードに当接されて変位し、ここで二次防水を形成することから、下方に変位し易いような上記線形を有している。また、固定部31と雨水遮蔽部34の取り合い部には緩衝材36が取り付けられており、雨水遮蔽部34の先端の上面には別途の緩衝材37が取り付けられている。
一次防水材10は、外壁パネル50を構成する外壁面材51のうち、縦目地もしくは横目地を形成する小口面に配設されて、外壁面材51とともに一次防水を形成する。一方、二次防水材30は、外壁面材の背面に配設されて、当該背面と外壁パネル50を構成する縦胴縁53と防水シートにより形成されている空間Gに嵌め込まれて、ガスケット40の全体を目地の周辺に固定しながら、防水シートとともに二次防水を形成する。
図1に示す外壁パネル50の縦小口面50aに対して、図2に示すガスケット40を仮止めするに際し、図3及び図4に示すガスケット仮止めクリップ60を使用する。
ガスケット仮止めクリップ60は、当接片61と、当接片61の対向する二つの端辺のうち、一方の第一端辺61aにて屈曲して当接片61から張り出す差し込み片62と、他方の第二端辺61bにて屈曲して当接片61から張り出す押圧片64と、当接片61の他の二つの第三端辺61cにて屈曲して当接片61から張り出す二つの突き刺し片63とを有する。ガスケット仮止めクリップ60は、全体として金物もしくは硬質な樹脂により形成される。
差し込み片62は、断熱ボード54と外壁フレーム55の間に差し込まれるようになっており、他の押圧片64や突き刺し片63に比べて長尺な板状部材である。
断熱ボード54と外壁フレーム55の間への差し込みを容易にするべく、差し込み片62の先端62aは、テーパー状に先鋭に形成されている。
さらに、当接片61から曲げ加工により差し込み片62が屈曲する第一端辺61aには、第一端辺61aに沿うスリット61dが設けられており、このスリット61dにより差し込み片62の曲げ加工を容易にしている。尚、他の第二端辺61b等にもスリットが設けられていてもよい。
突き刺し片63は、断熱ボード54の縦小口面54aに突き刺されるようになっている。図4(c)からも明らかなように、二つの突き刺し片63は、正面視ハの字状を呈しており、正面視ハの字状の二つの突き刺し片63が断熱ボード54に突き刺さることにより、仮止めされたガスケット40の重量を断熱ボード54に対して縦方向と横方向といった複数の方向に分散させて伝達することができ、ガスケット40を安定的に仮止めすることができる。
このように、断熱ボード54と外壁フレーム55の間に差し込み片62が差し込まれた際に、突き刺し片63が断熱ボード54の縦小口面54aに突き刺さることにより、当接片61が断熱ボード54の縦小口面54aに当接される。
ガスケット40を構成する一次防水材10の本体11を外壁面材51の縦小口面51aに当接させ、二次防水材30の固定部31を隙間Gに嵌め込んだ状態で、仮止めクリップ60の差し込み片62の差し込みと突き刺し片63の突き刺しを行うことで仮止めクリップ60を縦小口面50aに固定する。
この際、仮止めクリップ60を構成する押圧片64がガスケット40の緩衝材36を押圧することにより、外壁パネル50の縦小口面50aに固定されている仮止めクリップ60を介してガスケット40が仮止めされる。
実際には、2m乃至3mの長さを有する外壁パネル50の縦小口面50aに対して、同程度の長さを有するガスケット40を仮止めする。この際、ガスケット40の上端近傍と下端近傍の少なくとも二箇所を仮止めクリップ60を介して縦小口面50aに仮止めすることにより、外壁パネル50の縦小口面50aに対して、長尺なガスケット40を精度よく、しかも安定的に仮止めすることができる。
[実施形態に係るガスケットの取り付け方法]
次に、図5乃至図7を参照して、実施形態に係るガスケットの取り付け方法の一例について説明する。ここで、図5乃至図7は順に、実施形態に係るガスケットの取り付け方法の一例を説明する工程図である。
次に、図5乃至図7を参照して、実施形態に係るガスケットの取り付け方法の一例について説明する。ここで、図5乃至図7は順に、実施形態に係るガスケットの取り付け方法の一例を説明する工程図である。
図5に示すように、まず、建物の架構(図示せず)に対して、外壁パネル50を取り付ける。ここで、建物は狭小敷地に施工されており、建物の外周に足場を設置できない無足場工法にて施工される。そのため、外壁パネル50をクレーンにて吊り上げた後、架構に対して外壁パネル50を横引きしながら架構の所定位置に配置する。
外壁パネル50の背面には取り付けボルト(図示せず)が設けられており、架構に設置されている取り付け金物の凹部(図示せず)等に対して取り付けボルトを側方から落とし込むことにより、架構に対する外壁パネルの仮固定を行う。次いで、架構に取り付けられている別途の取り付け金物(図示せず)と外壁パネルをボルト固定することにより、架構に対して外壁パネル50を横引きしながら設置することができる(以上、先行外壁パネル取り付け工程)。
図5に示すように、架構に設置されている外壁パネル50の外壁面材51の縦小口面51aに対して、ガスケット40を構成する一次防水材10を当接させ、二次防水材30を隙間Gに嵌め込む。ここで、空間Gに固定部31が嵌め込まれた状態において、固定部31の隅角部にある緩衝材36が、透湿防水シート53及び断熱ボード54の隅角部に位置決めされており、この構成により、固定部31が直接この隅角部に接触して破損するのを防止している。
まず、ガスケット40の上端近傍に対して、仮止めクリップ60をX1方向に近接させる。
図6に示すように、外壁パネル50の縦小口面50aに当接されているガスケット40の上端近傍において、仮止めクリップ60の差し込み片62を断熱ボード54と外壁フレーム55の間へ差し込み、突き刺し片63を断熱ボード54の縦小口面54aに突き刺すことにより、当接片61を断熱ボード54の縦小口面54aに当接させながら、押圧片64にてガスケット40の緩衝材36を押圧する。このことにより、外壁パネル50の縦小口面50aの上端近傍において、仮止めクリップ60を介してガスケット40の上端近傍を仮止めする。
同様の方法で、外壁パネル50の縦小口面50aの下端近傍においても、仮止めクリップ60を介してガスケット40の上端近傍を仮止めすることにより、外壁パネル50の縦小口面50aに対して、例えば二つの仮止めクリップ60を介してガスケット40を精度よく、しかも安定的に仮止めすることができる。尚、必要に応じて、三つの仮止めクリップ60を使用し、さらにガスケット40の中央近傍も仮止めしてもよい(以上、ガスケット仮止め工程)。
先行して架構に設置されている外壁パネル50の縦小口面50aに対して、例えば二つの仮止めクリップ60を介してガスケット40を仮止めした後、図6に示すように、後行して架構に設置される外壁パネル50を、同様にクレーンにて吊り、横引きしながらガスケット40へX2方向に近接させる。
そして、横引きしてきた後行の外壁パネル50の外壁面材51の縦小口面51aと、先行して設置してある外壁パネル50の外壁面材51の縦小口面51aとにより、ガスケット40の一次防水材10を挟み込むとともに、後行の外壁パネル50を架構にある別途の取り付け金物に設置する。この施工により、図7に示すように、二つの外壁パネル50にてガスケット40が本設置され、ガスケット40が挟圧された縦目地が形成される(以上、ガスケット本設置工程)。
仮止めクリップ60を用いたガスケットの取り付け方法によれば、無足場工法や狭小敷地における施工のうち、一方の外壁パネル50の建て込み直後に少なくとも鉛直方向に延設するガスケット40を取り付ける施工において、隣接する外壁パネル50間にガスケット40を効率的かつ精度よく取り付けることが可能になる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:一次防水材
11:本体
12:中空
13:意匠材
14:芯線
15:緩衝材
16:案内係合溝
20:繋ぎ部
30:二次防水材
31:固定部
32:中空
33:雨水排水部
34:雨水遮蔽部
35:芯金
36,37:緩衝材
40,40A:ガスケット
41:折り曲げ部
50:外壁パネル
50a:縦小口面
51:外壁面材
51a:縦小口面
52:縦胴縁
53:防水シート(透湿防水シート)
54:断熱ボード
54a:縦小口面
55:外壁フレーム
56:通気層
60:ガスケット仮止めクリップ(仮止めクリップ)
61:当接片
61a:第一端辺
61b:第二端辺
61c:第三端辺
61d:スリット
62:差し込み片
62a:先端
63:突き刺し片
64:押圧片
G:空間
11:本体
12:中空
13:意匠材
14:芯線
15:緩衝材
16:案内係合溝
20:繋ぎ部
30:二次防水材
31:固定部
32:中空
33:雨水排水部
34:雨水遮蔽部
35:芯金
36,37:緩衝材
40,40A:ガスケット
41:折り曲げ部
50:外壁パネル
50a:縦小口面
51:外壁面材
51a:縦小口面
52:縦胴縁
53:防水シート(透湿防水シート)
54:断熱ボード
54a:縦小口面
55:外壁フレーム
56:通気層
60:ガスケット仮止めクリップ(仮止めクリップ)
61:当接片
61a:第一端辺
61b:第二端辺
61c:第三端辺
61d:スリット
62:差し込み片
62a:先端
63:突き刺し片
64:押圧片
G:空間
Claims (5)
- 外壁面材と、該外壁面材の背面に取り付けられている縦胴縁と、該縦胴縁の背面に取り付けられている防水シート及び断熱ボードと、該断熱ボードの背面に取り付けられている外壁フレームと、を有する、外壁パネルの縦小口面に対して、ガスケットを仮止めする、ガスケット仮止めクリップであって、
前記断熱ボードと前記外壁フレームの間に差し込まれる、差し込み片と、
前記断熱ボードの縦小口面に突き刺される、突き刺し片と、
前記ガスケットの一部を押圧する、押圧片と、を有することを特徴とする、ガスケット仮止めクリップ。 - 前記断熱ボードの前記縦小口面に当接する当接片をさらに有し、
前記当接片の対向する二つの端辺のうち、一方の第一端辺にて屈曲して前記差し込み片が張り出し、他方の第二端辺にて屈曲して前記押圧片が張り出し、該当接片の他の第三端辺にて屈曲して前記突き刺し片が張り出していることを特徴とする、請求項1に記載のガスケット仮止めクリップ。 - 二つの前記突き刺し片が、正面視で前記当接片からハの字状に張り出していることを特徴とする、請求項2に記載のガスケット仮止めクリップ。
- 前記差し込み片の先端が先鋭になっていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスケット仮止めクリップ。
- 外壁面材と、該外壁面材の背面に取り付けられている縦胴縁と、該縦胴縁の背面に取り付けられている防水シート及び断熱ボードと、該断熱ボードの背面に取り付けられている外壁フレームと、を有する、外壁パネルの縦小口面に対して、ガスケットを仮止めした後に本設置する、ガスケットの取り付け方法であって、
建物の架構に対して前記外壁パネルを取り付ける、先行外壁パネル取り付け工程と、
差し込み片と、突き刺し片と、押圧片と、を有する、ガスケット仮止めクリップを少なくとも二つ使用し、前記外壁パネルの前記縦小口面に前記ガスケットを当接させ、該ガスケットの少なくとも上方と下方の二箇所を、以下の同様の方法によって仮止めするガスケット仮止め工程であって、前記断熱ボードと前記外壁フレームの間に前記差し込み片を差し込み、前記断熱ボードの縦小口面に前記突き刺し片を突き刺し、前記ガスケットの一部を前記押圧片にて押圧することにより、前記外壁パネルの前記縦小口面に対して前記ガスケットの一部を仮止めする、ガスケット仮止め工程と、
前記先行外壁パネル取り付け工程にて建て込まれている前記外壁パネルに対して、他の外壁パネルを横引きして、前記ガスケットを挟み込んだ状態で該他の外壁パネルを前記架構に取り付ける、ガスケット本設置工程と、を有することを特徴とする、ガスケットの取り付け方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020194924A JP2022083547A (ja) | 2020-11-25 | 2020-11-25 | ガスケット仮止めクリップとガスケットの取り付け方法 |
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- 2020-11-25 JP JP2020194924A patent/JP2022083547A/ja active Pending
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