JP2022079313A - 毛髪脱色用組成物、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色及び染色用キット - Google Patents

毛髪脱色用組成物、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色及び染色用キット Download PDF

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Abstract

【課題】脱色力を維持しつつ、かつ過剰に発熱や発泡を抑制することができる毛髪脱色用組成物を提供する。【解決手段】過硫酸塩、アルカリ剤、及び多価アルコールを含む、毛髪脱色用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪脱色用組成物、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色及び染色用キットに関する。
近年、様々な毛髪脱色剤が開発されている。例えば、毛髪脱色剤としては、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ剤と過硫酸塩とを含む第1剤、及び過酸化水素を含む第2剤からなる二剤式のものが知られている。また、毛髪脱色剤としては、これらの第1剤及び第2剤に加えて、アンモニア等のアルカリ剤を含む第3剤からなる三剤式のものも知られている。いずれのタイプも、使用する前に、各剤(第1剤と第2剤と、又は第1剤と第2剤と第3剤と)を混ぜ合わせて調製する(すなわち、混合調製する)必要がある。
このような過硫酸塩を含む毛髪脱色剤に関して、様々な開発がなされている。
例えば、特許文献1は、染毛力又は脱色・脱染力を維持しつつ、混合調製時における発泡及び発熱を抑制することができる毛髪化粧料組成物を開示している。より具体的には、特許文献1の組成物は、1:7~2:1(重量比)の割合でもって用時に混合される下記のA成分とB成分とを含むとともに、1.5~6.0重量%のメタケイ酸ナトリウムを含むことを特徴としている。
A成分:5~20重量%のメタケイ酸ナトリウムと、10~25重量%の過硫酸アンモニウムと、30~70重量%の過硫酸カリウムとを含み、過硫酸塩の含有量が60~85重量%である粉末状組成物;
B成分:5.0~9.0重量%の過酸化水素を含み、粘度が3000ミリパスカル秒(mPa・s)以下である液状組成物。
また、特許文献2は、均一でムラがなく、且つ強力な脱色・脱染効果が得られ、毛髪の損傷や皮膚への刺激性が低く、作業環境を悪化させることがない脱色・脱染剤組成物を開示している。より具体的には、特許文献2の組成物は、酸化剤と、過硫酸カリウムと、過硫酸ナトリウムと、を含む脱色・脱染剤組成物であって、前記過硫酸カリウムの濃度が10~20重量%であり、且つ、前記過硫酸ナトリウムの濃度が0.5~3重量%であることを特徴としている。
また、特許文献3は、好適な脱染効果を保持しつつ、毛髪の損傷を効果的に抑制できる脱染剤組成物を開示している。より具体的には、特許文献3の組成物は、過硫酸塩及びアルカリ化剤を含む脱染剤用第1剤と、酸化剤を含む脱染剤用第2剤とを1:1~1:3で混合して得られる脱染剤組成物であって、pHが7~9であり、かつ過硫酸塩の含有量が2~35重量%の量であることを特徴としている。
特開2002-226343号公報 特開2002-104943号公報 特開2009-196916号公報
上述したような過硫酸塩を含む毛髪脱色剤は、使用説明書等に記載された所定の混合比率を守らず混合調製する場合には、過剰に発熱や発泡するおそれがある。
なお、毛髪脱色剤を混合調製する際の発熱の原因は、混合に伴う溶解熱及び反応熱であると考えられ、また、発泡の原因は、過硫酸塩及び過酸化水素の分解反応がアルカリ剤であるメタケイ酸ナトリウム等により促進され、その結果として大量の酸素が急激に生成されるためであると考えられる。
本発明は、上記の事情を改善しようとするものであり、その目的は、脱色力を維持しながら、所定の混合比率を守らず混合調製した場合にも過剰な発熱や発泡を抑制することができる毛髪脱色用組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、本発明の毛髪脱色用組成物を用いた、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色及び染色用キットを提供することである。
更に、本発明の他の目的は、脱色力を維持しながら、所定の混合比率を守らず混合調製した場合にも過剰な発熱や発泡を抑制することができる毛髪脱色用添加剤を提供することである。
上記の目的を達成する本発明は、以下のとおりである。
〈態様1〉
過硫酸塩、アルカリ剤、及び多価アルコールを含む、毛髪脱色用組成物。
〈態様2〉
前記多価アルコールが、2価アルコール、3価アルコール、又は糖アルコールを含む、態様1に記載の組成物。
〈態様3〉
前記多価アルコールが、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、グリセリン、キシリトール、エリスリトール、イノシトール、及びトレハロースからなる群より選択される少なくとも一種を含む、態様1又は2に記載の組成物。
〈態様4〉
前記多価アルコールが、キシリトールである、態様1~3のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様5〉
前記多価アルコールの含有量が、0.5~30質量%である、態様1~4のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様6〉
態様1~5のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤とを含む、毛髪脱色用キット。
〈態様7〉
態様1~5のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤と、染毛用染料を含む第3剤と、を含む、毛髪脱色及び染色用キット。
〈態様8〉
多価アルコールを含む、又は多価アルコールからなる、毛髪脱色用添加剤。
〈態様9〉
過硫酸塩及びアルカリ剤を含む第1剤及び過酸化水素を含む第2剤と混合して使用される、態様8に記載の添加剤。
本発明によれば、脱色力を維持しながら、所定の混合比率を守らず混合調製した場合にも過剰な発熱や発泡を抑制することができる毛髪脱色用組成物、及びそれを用いたキット、並びにこのような効果を有する毛髪脱色用添加剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
《毛髪脱色用組成物》
本発明の毛髪脱色用組成物は、過硫酸塩、アルカリ剤、及び多価アルコールを含む。
本発明者の鋭意研究により、従来のような過硫酸塩及びアルカリ剤を含む毛髪脱色用組成物に多価アルコールを含ませることによって、脱色力が維持されながら、所定の混合比率を守らず混合調製する際の発熱及び発泡が最も抑制されることが見出された。
本発明において、「脱色」とは、毛髪中のメラニン色素を分解し、毛髪の色を明るくすることを指す。また、この「脱色」には、カラーリングされた毛髪に付着した染料を除くこと、いわゆる「脱染」を含んでよい。また、本発明において、脱色力は、例えばハンターの色差式における明るさを表すL値によって評価することができる。L値が、0に近いと黒、100に近いと白を意味するため、L値が大きくなるほど、脱色力に優れるといえる。
本発明においては、誤った比率で混合調製する際における発熱抑制効果及び発泡抑制効果によって、総合的に評価する。本発明においては、例えば、使用説明書において、過硫酸塩及びアルカリ剤を含む第1剤と過酸化水素を含む剤2剤とを、1:2で混合調製することが記載されたにも拘らず、誤って、第1剤と剤2剤とを、1:1で混合調製した場合における発熱抑制効果及び発泡抑制効果が発揮できるか否かを総合的に評価する。
本発明の毛髪脱色用組成物(以下、単に「本発明の組成物」とも称する)の形態は、特に限定されず、例えば粉末状、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態に適宜調製することができる。
以下では、本発明の組成物に含みうる各成分について、詳細に説明する。
〈過硫酸塩〉
本発明の組成物は、過硫酸塩を含む。過硫酸塩は、毛髪のメラニンを酸化分解して、及び/又は毛髪に付着した染料を酸化分解して、脱色効果を発揮することができ、また、後述する過酸化水素の酸化作用を助ける効果を有する。
本発明の組成物において、過硫酸塩の含有量は、上記の効果を発揮できる量であればよい。例えば、本発明の組成物が粉末状である場合、過硫酸塩の含有量は、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、又は55質量%以上であってもよく、また80質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、又は60質量%未満であってよい。過硫酸塩の含有量が35質量%以上である場合、特に脱色効果に寄与することが考えられる。また、過硫酸塩の含有量が80質量%以下である場合、特に使用性に寄与することが考えられる。なお、本発明の組成物が、粉末状以外である場合には、過硫酸塩の含有量は、本発明の組成物の全量に対して、上述した範囲であっても、上述した範囲とは異なった範囲でなくてもよい。
本発明にかかる過硫酸塩として、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一種を用いることができる。これらの過硫酸塩は、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。
〈アルカリ剤〉
本発明の組成物は、アルカリ剤を含む。アルカリ化剤は、毛髪を膨潤させて、各種の成分を毛髪の内部に浸透させやすくする機能を有するとともに、酸化剤の働きを促進させる効果を奏するため、毛髪のメラニン色素の分解等に間接的に貢献することができる。
本発明の組成物において、アルカリ剤の含有量は、特に限定されず、例えば本発明の組成物の全量に対して、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、6.0質量%以上、7.0質量%以上、8.0質量%以上、又は9.0質量%以上であってもよく、また20.0質量%以下、15.0質量%以下、12.0質量%以下、又は10.0質量%以下であってもよい。
本発明において、アルカリ剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウムの、ケイ酸塩、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、又はカルボン酸塩等を含むことができる。より具体的には、例えば、アルカリ剤は、メタケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等を含んでよい。これらのアルカリ剤は、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。
〈多価アルコール〉
本発明において、「多価アルコール」とは、分子中に二つ以上のヒドロキシル基をもつ化合物を指し、例えば2以上のヒドロキシル基を有する、アルコール、糖アルコール、及び糖を含みうる。
本発明の効果をより発揮できる観点から、本発明にかかる多価アルコールは、2価アルコール、3価アルコール、又は糖アルコールを含むことが好ましい。
より具体的には、本発明にかかる多価アルコールは、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、グリセリン、キシリトール、エリスリトール、イノシトール、及びトレハロースからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、また、グリセリン、キシリトール、及びトレハロースからなる群より選択される少なくとも一種を含むことがより好ましく、キシリトールを含むことが更に好ましく、キシリトールであることが特に好ましい。
本発明の組成物において、多価アルコールの含有量は、上記の効果を発揮できる量であればよい。例えば、多価アルコールの含有量は、0.5質量%以上、0.8質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、2.5質量%以上、3.0質量%以上、4.5質量%以上、5.0質量%以上、5.5質量%以上、6.0質量%以上、6.5質量%以上、7.0質量%以上、7.5質量%以上、8.0質量%以上、8.5質量%以上、9.0質量%以上、9.5質量%以上、10.0質量%以上、10.5質量%以上、11.0質量%以上、11.5質量%以上、12.0質量%以上、12.5質量%以上、13.0質量%以上、13.5質量%以上、14.0質量%以上、14.5質量%以上、15.0質量%以上、15.5質量%以上、16.0質量%以上、16.5質量%以上、17.0質量%以上、17.5質量%以上、18.0質量%以上、18.5質量%以上、19.0質量%以上、19.5質量%以上、20質量%以上、21質量%以上、22質量%以上、23質量%以上、24質量%以上、25質量%以上、26質量%以上、27質量%以上、28質量%以上、29質量%以上、又は30質量%以上であってもよく、また、40質量%以下、38質量%以下、35質量%以下、32質量%以下、又は30質量%以下であってもよい。
また、多価アルコールの形状は、特に限定されず、常温下で液体状、固体状、又は半固体状のいずれであってもよい。
〈その他の添加剤〉
本発明の組成物は、上述した過硫酸塩及びアルカリ剤を含むほか、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の添加剤を更に含んでもよい。以下、本発明の組成物に含みうるその他の添加剤について、いくつか例示的に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
(油性成分)
本発明の組成物は、油性成分を含んでよい。油性成分を用いることによって、本発明の組成物を所望の形態、例えば乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態に調製することができる。
油性成分としては、ラノリン、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素、ミリスチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン等のエステル油、ホホバ油、オリーブ油等の油脂、ラウリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコ-ル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、ゴム状ジメチルポリシロキサン、及びアミノ変性ポリシロキサン等のシリコ-ン類が挙げられるが、これらに限定されない。これらの油性成分は、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。また、油性成分の含有量は、特に限定されず、所望の形態に合わせて適宜に設定することができる。
(消泡剤)
本発明の組成物は、消泡剤を含んでよい。消泡剤を用いることによって、本発明の効果、特に発泡抑制効果をより発揮することができる。
消泡剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、及びステアリン酸ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの消泡剤は、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。消泡剤を含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば本発明の組成物の全量に対して、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は2.0質量%以上であってもよく、また5.0質量%以下であってもよい。
(その他の任意成分)
上述した添加剤以外にも、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、各種成分を適宜配合することができる。例えば、粉末増量剤(例えば、シリカ、デキストリン等)、金属封鎖剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤(例えば、ビタミンC、シスチン、亜硫酸塩)等の安定化剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、溶剤(例えば、エタノール)、水、浸透剤(例えば、ベンジルアルコール)、界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤)、水溶性高分子化合物、保湿剤、コンディショニング剤(例えば、ポリオール、ケラチンタンパク、シリコーン、アミノ酸、植物エキス)、pH調整剤(例えば、リン酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸)、光沢付与剤、感触改良剤、エモリエント剤、毛髪補修剤、増粘剤(セルロース、キサンタンガム)、可溶化剤(例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、顔料、又は香料等を挙げることができる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の毛髪脱色用キットは、本発明の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤とを含む。
ここで、第1剤は、粉末状、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよく、また、第2剤は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。更に、第1剤と第2剤とを混ぜ合わせた後の形態は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。
〈第2剤〉
本発明において、毛髪脱色用キットの第2剤(以下、単に「第2剤」とも称する)は、過酸化水素必須成分として含むほか、その他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、界面活性剤、油性成分、増粘剤、保湿剤、安定化剤、消泡剤、及び香料等を含んでよい。なお、その他の添加剤の具体的な例示は、上述した本発明の組成物に含みうる「その他の添加剤」の項目を適宜参照できる。また、第2剤の溶媒として水を用いることができる。
過酸化水素は、アルカリ剤によって活性化され、酸素を発生させることによって、毛髪のメラニンを酸化分解して、及び/又は毛髪に付着した染料を酸化分解して、脱色効果を発揮することができる。このため、第2剤における過酸化水素の含有量は、上記の効果を発揮できる量であればよく、例えば、4.0質量%以上、4.5質量%以上、5.0質量%以上、又は5.5質量%以上であってもよく、また9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、又は6.0質量%以下であってよい。
〈第3剤〉
本発明の毛髪脱色用キットは、本発明の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤に加えて、アルカリ剤を含む第3剤を含む三剤式のものであってもよい。この第3剤は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。
ここで、この第3剤は、アルカリ剤、及び高級アルコール等を含むことができる。
アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アルカノールアミン類(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等)、有機アミン類(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。これらのアルカリ剤は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の毛髪脱色用キットの第3剤に含まれるアルカリ剤の量は、第3剤のpHが8~12の範囲となる量が好ましい。
また、高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。その中でも特に乳化安定性の点から直鎖高級飽和アルコールであるミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。これらの高級アルコールは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の毛髪脱色用キットの第3剤に含まれる高級アルコールの量は、5.0~15.0質量%、又は5.0~12.0質量%であってよい。
また、アルカリ剤及び高級アルコールのほかに、本発明の毛髪脱色用キットの第3剤に含まれうる他の成分としては、例えばソルビトール・グルコース・ショ糖等の糖類、バチルアルコール・キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル、脂肪酸等の粘度調整剤、アボカド油・ホホバ油・マカデミアンナッツ油・オリーブ油のグリセライド等の油脂類、アラビアガム・アルギン酸ナトリウム・キサンタンガム・セルロース誘導体・ミツロウ・ラノリン等のロウ類、流動パラフィン・固形パラフィン・イソパラフィン・スクワラン等の炭化水素類、架橋ポリアクリル酸等の天然又は合成の高分子、オレイン酸ジエタノールアミド・ラウリン酸ジエタノールアミド等のアミド類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・ジステアリルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェート・ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン・ラウリルジメチルカルボベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤、パラベン等の防腐剤、EDTA-Na等のキレート剤、塩化アンモニウム等のpH調整剤、その他、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、天然色素、香料、顔料、紫外線吸収剤等、また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
〈使用説明書〉
本発明の毛髪脱色用キットは、使用説明書を更に含んでよい。使用説明書とは、キット内に書類の形態で添付されている一般的な使用説明書以外に、例えば、キットを収容する包装容器、又は第1剤、第2剤、若しくは第3剤等を収容する包装容器に対して使用説明文が印字された状態のものも包含することができる。
〈使用方法〉
本発明の毛髪脱色用キットは、第1剤と第2剤とを混合して使用する。また、三剤式のタイプのものである場合には、第1剤と第2剤と第3剤とを混合して使用する。一般的には、使用直前に、これらの剤を混合して、公知の方法によって毛髪に適用することができる。
本発明の毛髪脱色用キットを使用する際に、第1剤と第2剤との混合比(第1剤:第2剤)は、1:1~1:3であってよい。また、三剤式のタイプのものである場合には、第1剤と第2剤との混合比(第1剤:第2剤)が1:1~1:3、かつ第2剤と第3剤との混合比(第2剤:第3剤)が1:2~5:1であってよい。
本発明の毛髪脱色用キットの脱色の処理時間、すなわち第1剤と第2剤と、又は第1剤と第2剤と第3剤とを混合調製して毛髪に塗布した後の待ち時間は、例えば10分~1時間であってよい。
《毛髪脱色及び染色用キット》
本発明の毛髪脱色及び染色用キットは、本発明の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤と、染毛用染料を含む第3剤と、を含む。ここで、毛髪脱色及び染色用キットの第2剤は、上述した「毛髪脱色用キット」の第2剤と同じであってよく、ここでは、説明を省略する。
ここで、第3剤は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。なお、第1剤及び第2剤については、上述した「毛髪脱色用キット」の場合と同様に採用することができるため、ここでは、説明を省略する。
〈第3剤〉
本発明において、毛髪脱色及び染色用キットの第3剤は、染毛用染料を必須成分として含むほか、その他の添加剤としては、例えばpH調整剤、界面活性剤、油性成分、増粘剤、保湿剤、安定化剤、消泡剤、及び香料等を含んでよい。なお、その他の添加剤の具体的な例示は、上述した本発明の組成物に含みうる「その他の添加剤」の項目を適宜参照できる。
(染毛用染料)
毛髪脱色及び染色用キットの第3剤に含まれる染毛用染料としては、一般に、酸化染料(「酸化染料中間体」と称する場合がある。)、直接染料等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
染毛用染料の含有量は、特に限定されず、例えば、第1剤、第2剤及び第3剤の全量に対し、0.01質量%以上、0.05質量%以上、又は0.1質量%以上であってもよく、また、5.0質量%以下、4.5質量%以下、又は4.0質量%以下であってもよい。
酸化染料(酸化染料中間体)としては特に制限はなく、酸化染料(酸化染料中間体)自身が単独で酸化重合して高分子の発色団に変化して発色するタイプであってもよく、或いは、酸化染料(酸化染料中間体)とカプラーとが酸化重合して高分子の発色団に変化して発色するタイプであってもよい。
酸化染料(酸化染料中間体)としては、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,3,2’-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、又はこれらの塩(例えば硫酸塩)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
上述した酸化染料と酸化重合し得るカプラーとしては、例えば、メタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン、又はこれらの塩(例えば硫酸塩、塩酸塩)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
直接染料としては特に制限はなく、例えば、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
ニトロ染料としては、例えば、2-ニトロ-パラフェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-パラヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-オルトフェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、ニトロパラミン、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-パラフェニレンジアミン等を挙げることができる。
分散染料としては、例えば、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等を挙げることができる。
塩基性染料としては、例えば、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等を挙げることができる。
〈使用説明書〉
本発明の毛髪脱色及び染色用キットは、使用説明書を更に含んでよい。使用説明書とは、キット内に書類の形態で添付されている一般的な使用説明書以外に、例えば、キットを収容する包装容器、又は第1剤、第2剤、若しくは第3剤等を収容する包装容器に対して使用説明文が印字された状態のものも包含することができる。
〈使用方法〉
本発明の毛髪脱色及び染色用キットは、第1剤~第3剤を混合して使用する。例えば、第1剤と第2剤と第3剤とを同時に混合して毛髪に塗布してよい。
本発明の毛髪脱色及び染色用キットを使用する際に、第1剤と第2剤との混合比(第1剤:第2剤)が1:1~1:3、かつ第2剤と第3剤との混合比(第2剤:第3剤)が1:2~5:1であってよい。
本発明の毛髪脱色及び染色用キットの脱色及び染色の合計処理時間は、例えば10分~1時間であってよい。
《毛髪脱色用添加剤》
本発明はまた、毛髪脱色用添加剤を提供する。本発明の毛髪脱色用添加剤(以下では、単に「本発明の添加剤」とも称する)は、上述した多価アルコールを含む、又は上述した多価アルコールからなる。
本発明の添加剤は、例えば従来の二剤式や三剤式の毛髪脱色剤に添加して使用されうる。
例えば、本発明の添加剤は、過硫酸塩及びアルカリ剤を含む第1剤及び過酸化水素を含む第2剤と混合して使用されうる。
なお、本発明の効果をより発揮させるために、過硫酸塩及びアルカリ剤を含む第1剤及び過酸化水素を含む第2剤と混合して本発明の添加剤を使用する場合には、第1剤及び本発明の添加剤の合計量に対して、0.5~30質量%であるように本発明の添加剤を混合して使用することができる。
すなわち、過硫酸塩及びアルカリ剤を含む第1剤及び過酸化水素を含む第2剤と混合して本発明の添加剤を使用する場合には、本発明の添加剤の含有量が、第1剤及び本発明の添加剤の合計量に対して、上述した本発明の組成物における多価アルコールの含有量と同じ範囲であってよい。
以下に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、配合量は質量%で示す。
《コントロールサンプル》
多価アルコールが含まれていないコントロールサンプルとして、下記の第1剤と下記の第2剤とを常法により混合調製した。なお、第1剤と第2剤との正しい混合比、すなわち使用説明書において指示される混合比は、1:2(第1剤:第2剤)であった。
〈第1剤〉
成分 配合量(質量%)
過硫酸アンモニウム 33.750
過硫酸カリウム 33.750
過硫酸ナトリウム 6.750
メタケイ酸ナトリウム 9.000
EDTA-2Na 1.000
シリカ 残分
合計 100
〈第2剤〉
成分 配合量(質量%)
35質量%過酸化水素水 17.0
pH調整剤 適量
精製水 残分
第2剤合計 100
《実施例1~10》
実施例1~10では、上述したコントロールサンプルの第1剤に、下記表1に示す各多価アルコールを配合して、実施例1~10の第1剤として用いて、以下の評価を行った。
《評価》
〈発熱抑制効果〉
第1剤と第2剤とを、誤った混合比である1:1の比率で、均一に混合調製した混合物を、調製直後から1時間の間に温度を測定し、最高温度を得た。上述したコントロールサンプルと実施例との最高温度の差(コントロールサンプルの最高温度-実施例の最高温度)を用いて、以下の基準に従い、各実施例の発熱抑制効果を評価した、それぞれの結果は、表1に示す。
(評価基準)
最高温度の差が、3℃未満の場合:「D」;
最高温度の差が、3℃以上5℃未満の場合:「C」;
最高温度の差が、5℃以上10℃未満の場合:「B」;
最高温度の差が、10℃以上の場合:「A」。
なお、発熱抑制効果の評価基準において、「D」は不適切な結果と判断する。
〈発泡抑制効果〉
第1剤と第2剤とを、誤った比1:1で均一に混合調製した混合物を、30分間放置した後の発泡の程度を測定し、泡の高さの値を得た。上述したコントロールサンプルと実施例との泡の高さの差(コントロールサンプルの泡の高さ-実施例の泡の高さ)を用いて、以下の基準に従い、各実施例の発泡抑制効果を評価した、それぞれの結果は、表1に示す。
(評価基準)
泡の高さの差が、0.4cm未満の場合:「C」;
泡の高さの差が、0.4cm以上1.0cm未満の場合:「B」;
泡の高さの差が、1.0cm以上の場合:「A」。
なお、発泡抑制効果の評価基準において、「C」は不適切な結果と判断する。
〈脱色力に対する影響〉
第1剤及び第2剤を、正しい混合比である1:2の比率で均一に混合調製した混合物を、1gの黒髪ストランドに対して刷毛で塗布し、30℃で20分間放置した後、水で十分に洗浄してドライヤーで乾燥し、評価サンプルを調製した。調製した評価サンプルのL値を、色差計(CM-3600d、コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。
ΔL値(コントロールサンプルのL値-実施例のL値)は、1以内である場合には、脱色力に対する影響がないものとし、「A」と評価し、また、ΔL値は、1を超える場合には、脱色力に対する影響があるものとし、「B」と評価した。
Figure 2022079313000001
《比較例1~4》
比較例1~4では、多価アルコールの代替成分として、下記表2に示す成分配合して、比較例1~4の第1剤として用いたこと以外は、実施例と同様にして、第1剤と第2剤とを、誤った比1:1で均一に混合調製した混合物を、評価した。それぞれの結果は、表2に示す。
Figure 2022079313000002
上述した表1及び表2から明らかであるように、多価アルコールを含む実施例1~10は、脱色効果を維持しながら、所定の混合比率を守らず混合調製した場合にも過剰な発熱や発泡を抑制することができた。
これに対して、多価アルコールを含んでいない比較例1~4は、いずれも誤った比率で混合調製された場合には、発熱抑制効果及び発泡抑制効果がなかった。
なお、参考のために、上述した各実施例及び比較例に対して、第1剤と第2剤とを正しい比1:2で混合調製した場合の発熱及び発泡を評価した。
その結果、上述した実施例及び比較例のいずれも、実質的な発熱及び発泡はなかった。

Claims (9)

  1. 過硫酸塩、アルカリ剤、及び多価アルコールを含む、毛髪脱色用組成物。
  2. 前記多価アルコールが、2価アルコール、3価アルコール、又は糖アルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記多価アルコールが、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、グリセリン、キシリトール、エリスリトール、イノシトール、及びトレハロースからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記多価アルコールが、キシリトールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記多価アルコールの含有量が、0.5~30質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤とを含む、毛髪脱色用キット。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤と、染毛用染料を含む第3剤と、を含む、毛髪脱色及び染色用キット。
  8. 多価アルコールを含む、又は多価アルコールからなる、毛髪脱色用添加剤。
  9. 過硫酸塩及びアルカリ剤を含む第1剤及び過酸化水素を含む第2剤と混合して使用される、請求項8に記載の添加剤。
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