以下、図面を参照して本願発明の実施形態について説明する。理解を容易にするため、共通又は対応する構成については同じ符号を用いて示し、説明を省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、本実施形態のレーザー照射システム1は、探索照射部10と、レーザー照射部20と、画像取得部30と、砲台40と、画像生成装置50と、レーザー制御装置60と、を備える。レーザー制御装置60は、位置取得装置RDと通信可能に接続される。位置取得装置RDは、レーダー探索器を含み、対象物OBの位置等を示す位置情報を取得し、取得した位置情報をレーザー制御装置60に伝達する。
砲台40は、探索照射部10と、レーザー照射部20と、画像取得部30と、のそれぞれの光軸が対象物OBの所定位置に向けて略平行に延びるように支持する。砲台40は、探索照射部10と、レーザー照射部20と、画像取得部30と、の光軸の方向を変更可能に設けられている。具体的には、砲台40は、水平面内において光軸が延びる方位(光軸と子午線とが成す角度)、及び、光軸と鉛直方向(水平面と垂直の方向)に延びるベクトルとが成す角度を、レーザー制御装置60の制御コマンドが示す方向に変更可能な砲台駆動部410を有する。なお、探索照射部10と、レーザー照射部20と、画像取得部30と、の光軸方向をまとめて砲台40の光軸方向ともいう。
探索照射部10は、探索光(図1では、探索光L1)を照射するように構成されている。物理構成としては、探索照射部10は、例えば、探索光L1としてパルスレーザーを発生可能なパルスレーザー発生装置と、パルスレーザーを対象物OBに向けて照射可能なレンズと、画像生成装置50及びレーザー制御装置60と通信可能に接続された入出力装置と、を含む。探索照射部10は、レーザー制御装置60からの制御コマンドに基づいて、対象物OBに向けて探索光L1を照射する。図1の例では、対象物OBの全体形状を把握するために、探索光L1のビーム幅は、照射方向に進むにつれて広がっている。しかし、これに限らず、探索光L1は照射距離によらず略定常のビーム幅を有する平行ビーム光であってもよい。この場合、ビーム幅は、例えば数メートル以上(2m~5mなど)である。
探索光L1は、対象物OBに照射され、レーザー照射システム1が対象物OBからの反射光を受光することで対象物OBの正確な位置を取得するために使用される。探索光L1は、波長λ1をエネルギー密度のピークとする発光スペクトラム曲線を有する。探索光L1の発光スペクトラム曲線において、ピークから所定比率以上(例えば、50%)となる波長域(以下、探索光L1の波長域という)として波長の第1帯域WB1が定義される。この場合、第1帯域WB1の幅が探索光L1のレーザー線幅である。
本実施形態において、対象物OBは、レーザー照射システム1のレーザー照射部20が照射する高出力レーザー光(図1のレーザービームL2)によって破壊すべき物体である。対象物OBは、例えば、敵性のドローン、ヘリコプター、又は、航空機といった飛行体である。なお、対象物OBは車両といった陸上を移動する物体であってもよい。あるいは、対象物OBはスペースデブリといった宇宙空間を移動する物体であってもよい。
対象物OBは、自らに向けて照射された探索光L1を拡散反射あるいは鏡面反射する。対象物OBによって反射された探索光L1の反射光は、探索光L1と略一致する発光スペクトラム曲線を有する。さらに、対象物OBは、レーザー照射部20からレーザービームL2を照射されると、その表面の温度が上昇し、発熱により黒体放射光を発する。この黒体放射光は、探索光L1の第1帯域WB1を含む幅広い波長域の光を含む。
画像取得部30は、対象物OBの画像を取得可能に設けられた撮像部を1つ以上備える。本実施形態では、画像取得部30は、第1撮像部310aと、第2撮像部310bと、を備える。画像取得部30は、第1撮像部310aと、第2撮像部310bと、が撮像した画像のデータを画像生成装置50に出力する。
第1撮像部310aは、第2帯域WB2の波長を有する光を受光し、受光した光に表される画像のデータを生成する。第1撮像部310aは、第1撮像素子320aと、第1バンドパスフィルタ340aと、を備える。第1撮像素子320aは受光した光を撮像し、撮像した画像のデータを生成する。第1バンドパスフィルタ340aは、後述するように、第2帯域WB2を通過領域とする光学バンドパスフィルタである。第1撮像部310aは、第1バンドパスフィルタ340aを通過した光を、第1撮像素子320aで受光することで、画像のデータを生成する。なお、第1撮像素子320aは、レンズを含み、画像生成装置50及びレーザー制御装置60からの制御コマンドが示す距離に合焦した画像のデータを生成する。
本実施形態では、第1バンドパスフィルタ340aの第2帯域WB2は、探索光L1の波長域である第1帯域WB1をその範囲内に含む。そのため、第1撮像部310aは、探索光L1(及びその反射光)を含む光を撮像する。
なお、第1バンドパスフィルタ340aは、理想的には、設定された通過帯域である第2帯域WB2内の波長を有する光を完全に通過させ、他の波長を有する光を全く通過させない。実際には、第1バンドパスフィルタ340aは、第2帯域WB2内の波長を有する光について、所定値より高い利得(例えば-3dB(デシベル)以上)で通過させる。一方で、第2帯域WB2外の波長を有する光は、第1バンドパスフィルタ340aを通過する利得が所定値(例えば-3dB)以下となる。以下、他のバンドパスフィルタについても同様に通過帯域が定義される。
このように、第1撮像部310aは、探索光L1を対象物OBが反射した光を結像した画像、すなわち探索光L1に関する対象物OBの像を含む第1画像I1を取得する。例えば、第1画像I1に含まれる各画素の輝度値は、各画素の位置に対応する位置において、第1撮像素子320aの第1撮像素子320aが受光した光の強度を示す。例えば、輝度値は、第1撮像素子320aに到達した光の強度に、第1撮像素子320aの1ピクセルの面積と、シャッターが開いている時間の長さと、を乗算したエネルギー量に対応する。
第2撮像部310bは、第3帯域WB3の波長を有する光を受光し、受光した光に表される画像のデータを生成する。第2撮像部310bは、第2撮像素子320bと、第2バンドパスフィルタ340bと、を備える。第2撮像素子320bは受光した光を撮像し、撮像した画像のデータを生成する。第2バンドパスフィルタ340bは、波長の第3帯域WB3を通過領域とする光学バンドパスフィルタである。第2撮像部310bは、第1撮像部310aと同様に、レンズを含み、画像生成装置50及びレーザー制御装置60からの制御コマンドが示す距離に合焦した画像のデータを生成する。
本実施形態では、第2バンドパスフィルタ340bは、探索光L1の波長域である第1帯域WB1をその範囲内に含まない第3帯域WB3を通過帯域として有する。そのため、探索光L1(及びその反射光)は、理想的には第2バンドパスフィルタ340bを透過しない。そのため、第2撮像部310bが撮像する第2画像I2に結像される探索光L1の強度は、第1画像I1に結像される探索光L1の強度より小さい、言い換えると、第2画像I2には、探索光L1に関する対象物OBの像が含まれる程度が第1画像I1よりも少ない。一方で、第2画像I2は、対象物OBから到達する他の光(黒体放射を含む外乱光など)の影響に基づくノイズN2を含む。第2バンドパスフィルタ340bを含む第2撮像部310bは、ノイズN1と同一又は近似するノイズN2を含む第2画像I2を得られるように構成される。
なお、探索光L1、第1バンドパスフィルタ340a、及び、第2バンドパスフィルタ340bの物性は、利用可能なレーザー光源や光学フィルタ等に依存して任意に選択可能である。
レーザー照射部20は、レーザービームL2を照射可能に設けられている。本実施形態では、レーザービームL2は探索光L1よりも強度が高い高出力レーザー光である。レーザー照射部20は、レーザー制御装置60が指定する距離でレーザービームL2を収束させる。また、砲台40は、レーザー照射部20がレーザービームL2の照射方向を対象物OBの所定位置の方向に向ける。このため、レーザー照射部20は、レーザー制御装置60による駆動制御に基づいて、対象物OBの所定位置で収束するようにレーザービームL2を放射する。
画像生成装置50は、対象物OBが反射した探索光L1の反射光を結像した対象物OB像を含み、外乱光の影響が少ない画像を生成する。画像生成装置50は、処理部510と、記憶部520と、I/O部530と、を備える。
I/O部530は、探索照射部10と、画像取得部30と、レーザー制御装置60と、に対して電気的に接続されている。I/O部530は、画像取得部30が出力する第1画像I1のデータ及び第2画像I2のデータを受信する受信部として機能する。また、I/O部530は、探索照射部10から、探索照射部10が探索光L1を照射したとの情報を受信する。また、I/O部530は画像生成装置50が生成した生成画像Igをレーザー制御装置60に出力する出力部として機能する。さらに、I/O部530は、画像生成装置50の外部の装置(例えば、探索照射部10、画像取得部30、レーザー制御装置60)から受信した情報を処理部510に送信する。さらに、I/O部530は処理部510から受信した制御コマンドをこれら外部装置に送信する。
記憶部520は、ランダムアクセスメモリ(Random access memory、RAM)といった一時記憶媒体を含む。記憶部520は、このような構成により、処理部510に対して後述する処理を実行するためのメモリ領域を提供する。また、記憶部520は、リードオンリーメモリ(Read Only Memory、ROM)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、といった非一時的な記憶媒体を含む。記憶部520は、このような構成により後述する処理を実行するための設定データ、プログラム、等を非一時的に記憶する。
処理部510は、例えば中央演算装置(Central Processing Unit、CPU)やデジタルシグナルプロセッサ、集積(IC)チップといったデジタル情報処理が可能な演算回路を含む。処理部510は、記憶部520と協働して、I/O部530が受信した第1画像I1と第2画像I2とに基づいて、外乱光によるノイズが第1画像I1よりも少ない生成画像Igを生成する生成部5110を実現する。生成部5110は、後述する処理を実行して、画像取得部30を制御する。例えば、生成部5110は、画像取得部30の焦点距離を制御する制御コマンド、及び、撮像を指示する制御コマンドを生成する。焦点距離を制御する制御コマンドには、例えば、画像取得部30から対象物OBまでの距離の情報が含まれる。撮像を指示する制御コマンドには、例えば、撮像するタイミングを示す情報や、しぼりの量を示す情報等が含まれる。そして、生成された制御コマンドを、I/O部530を用いて画像取得部30に出力して、生成部5110は画像取得部30に対象物OBの画像を撮像させる。また、本実施形態では処理部510の生成部5110は、第1画像I1に含まれる画素の少なくとも一部について、輝度値を第2画像I2の対応画素の輝度値で減算することで、生成画像Igを生成する。生成部5110が実行する生成画像Igを生成する処理については後述する。
レーザー制御装置60は、処理部610と、I/O部630と、記憶部620と、を備える。
I/O部630は、探索照射部10と、画像生成装置50と、位置取得装置RDと、に対して電気的に接続されている。I/O部630は、画像生成装置50が出力する生成画像Igのデータを受信する受信部として機能する。また、I/O部630は、探索照射部10から、探索照射部10が探索光L1を照射した旨の情報を受信する。I/O部630は、位置取得装置RDが取得した対象物OBの位置情報(例えば、レーザー照射システム1から見た対象物OBの現在の位置、レーザー照射システム1から見た相対的な移動方向及び移動速度を含む)を受信する位置情報受信部として機能する。I/O部630は、レーザー制御装置60の外部装置(例えば、探索照射部10や画像生成装置50)から受信した情報を処理部610に送信する。さらに、I/O部630は処理部610から受信した情報を外部装置に送信する。
記憶部620は、RAMといった一時記憶媒体を含む。記憶部620は、このような構成により、処理部610に後述する処理を実行するためのメモリ領域を提供する。また、記憶部620は、ROM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、といった非一時的な記憶媒体を含む。記憶部620は、このような構成により後述する処理を実行するための設定データ、プログラム、等を非一時的に記憶する。
処理部610は、例えば中央演算装置(CPU)やデジタルシグナルプロセッサ、集積(IC)チップといったデジタル情報処理が可能な演算回路である。処理部610は、記憶部620と協働して後述の処理を実行することで、照射制御部6110を実現する。照射制御部6110は、後述する処理を実行して、砲台40の光軸方向を制御する制御コマンド、及び、レーザー照射部20の焦点距離を制御する制御コマンドを生成する。光軸方向を制御する制御コマンドには、例えば、砲台40から見た対象物OBへの方向の情報が含まれる。焦点距離を制御する制御コマンドには、例えば、砲台40から対象物OBまでの距離の情報が含まれる。そして、生成された制御コマンドを、I/O部630が砲台40の砲台駆動部410及びレーザー照射部20に出力する。このようにして、レーザー制御装置60はレーザー照射部20がレーザービームL2を照射する方向と、レーザービームL2の焦点距離と、を制御する。
処理部610の照射制御部6110は、I/O部630が受信した生成画像Igと、対象物OBの位置情報と、に基づいてレーザー照射部20がレーザービームL2を照射すべき方向(及び収束させるべき距離)を決定する。そして、処理部610の照射制御部6110は砲台40に制御コマンドを伝達し、レーザー照射部20と、探索照射部10と、第1撮像部310aと、第2撮像部310bと、の光軸を位置情報が示す対象物OBの方向に指向させる。また、照射制御部6110は、生成画像Igに基づいて、対象物OBのうちレーザービームL2を照射すべき部位を決定し、この部位でレーザービームL2が収束するように、レーザービームL2の照射方向及び焦点距離を制御する。
位置取得装置RDは、例えばパッシブ・フェーズドアレイ・アンテナ方式、アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ方式、又は、シリンドリカル・パラボラアンテナ方式といった方式の3次元レーダーを備える。位置取得装置RDは、レーザー照射システム1を中心に3次元空間で物体の検知(索敵ともいう)を行い、対象物OBが存在するか否かを判別する。対象物OBの存在を検知すると、位置取得装置RDは検知結果に基づき対象物OBの位置情報を算出する。算出された対象物OBの位置情報は、レーザー制御装置60のI/O部630に送信される。
次に、図3を参照して、レーザー照射システム1の動作を説明する。レーザー照射システム1は、位置取得装置RDから対象物OBを検知したことを示す情報(例えば、対象物OBの位置情報)を受信すると、図3の第1制御処理を開始する。
第1制御処理では、まず処理部610の照射制御部6110が、対象物OBのレーザー照射システム1からの方向及び距離を含む、対象物OBの位置を示す情報を位置取得装置RDから取得する(ステップS1002)。
ステップS1002が終わると、照射制御部6110、及び、処理部510の生成部5110は、取得した対象物OBの位置情報に基づき、対象物OBの画像を取得する(ステップS1004)。具体的には、照射制御部6110は、砲台駆動部410に制御コマンドを出力し、砲台40の光軸方向をステップS1004で取得した対象物OBの方向に向ける。この制御コマンドは、例えば、砲台40から対象物OBに向かう方向の情報を含む。また、照射制御部6110はステップS1004において、取得した位置情報に含まれる対象物OBの方向、距離、移動方向、及び、移動速度に基づいて、砲台40の光軸方向を制御してもよい。具体的には、照射制御部6110は、砲台40の光軸が対象物OBの現在の方向を向くように、砲台40に制御コマンドを出力する。これに代えて、あるいはこれに加えて、照射制御部6110は、砲台40の光軸が対象物OBを継続的に追尾する方向に砲台40が運動するように、砲台駆動部410に、制御コマンドに出力してもよい。
また、照射制御部6110は、取得した対象物OBの位置情報を処理部510に転送する。画像生成装置50の処理部510の生成部5110は、レーザー制御装置60から受信した位置情報に基づいて、画像取得部30の撮像部(例えば、第1撮像部310a)のフォーカスを位置情報が示す距離に合わせる。そして、生成部5110は画像取得部30に対象物OBを撮像させ、撮像した画像データを取得する。対象物OBを撮像する撮像部は、画像取得部30が対象物OBを撮像できればよく、第1撮像部310a、第2撮像部310b、または両方を用いて対象物OBを撮像してよい。
ステップS1004が終わると、生成部5110、及び、照射制御部6110は次に、ステップS1004で取得した対象物OBの画像に基づいて、対象物OBに対する探索光L1及びレーザービームL2の照射を開始する(ステップS1006)。具体的には、まず生成部5110は、取得した対象物OBの画像をレーザー制御装置60に出力する。そして、レーザー制御装置60の処理部610の照射制御部6110は、記憶部620に記憶された対象物OBの形状及び特徴情報に基づいて、レーザービームL2を照射すべき画像上の照射領域を特定する。ここで、記憶部620に記憶された対象物OBの形状及び特徴情報は、例えば、対象物OBの種別(例えば、ドローンや種類)毎に、対象物OBがその種別の物体であると画像認識により特定するための形状及び特徴を示す情報と、その対象物OBのうちレーザービームL2を照射すべき箇所(例えば、脆弱な部位)を示す情報と、を対応付けた情報である。そして、照射制御部6110は、画像上の照射領域に基づき、対象物OBのうちレーザービームL2を照射すべき照射箇所を特定する。そして、照射制御部6110が、取得した情報が示す方向を含む制御コマンドを砲台駆動部410に出力して、対象物OBにレーザー照射部20の光軸が向くように砲台40を制御する。さらに、照射制御部6110はレーザー照射部20の焦点距離を、対象物OBの位置でレーザービームL2が収束するように制御する。その上で、照射制御部6110は、探索光L1及びレーザービームL2の照射を開始するように、探索照射部10及びレーザー照射部20を制御する。なお、ステップS1006では、照射制御部6110は、ステップS1002で取得した位置情報に更に基づいて、対象物OBに対する探索光L1及びレーザービームL2の照射を開始してもよい。
次に、生成部5110が画像取得部30を用いて対象物OBの第1画像I1と第2画像I2とを取得する(ステップS1008)。具体的には、例えば生成部5110は、第1撮像部310a及び第2撮像部310bに、ステップS1002で取得した位置情報が示す方向及び距離に焦点を合わせて、対象物OBの画像を撮像させる。この結果、第1撮像部310aは、対象物OBを撮像した第1画像I1を取得する。一方、第2撮像部310bは、対象物OBを撮像範囲に含む第2画像I2を取得する。そして、I/O部530が撮像した第1画像I1及び第2画像I2のデータを受信する。
第1画像I1および第2画像I2は、対象物OBからレーザー照射システム1に到達する到達光を受光することで撮像される。この到達光は、例えば図4Aに示すように、探索光L1の反射光に起因する光Laと、対象物OBの黒体放射に起因する光Lbと、を含む。なお、図4Aのグラフは、横軸が光の波長、縦軸が光の強度を示す。光Laは、探索光L1の波長域において他の帯域より高いエネルギー密度を有する。一方、黒体放射の光Lbは、第1帯域WB1を含む、第1帯域WB1より広い波長帯域において相対的に高い強度を有する。なお、図4中の波長λ1は、第1帯域WB1に含まれ、探索光L1のエネルギー密度がピークとなる波長を表す。
図4Aに示すように、本実施形態の第1バンドパスフィルタ340aは、通過帯域として第1帯域WB1を含み、これよりも幅広い第2帯域WB2を有する。また、第2帯域WB2には、光Laと光Lbとの波長が含まれるため、第1撮像部310aは、探索光L1を対象物OBが反射した反射光の成分と、外乱光(特に黒体放射光)の成分と、を含む光に対応する第1画像I1を撮像する。このため、図4Bのように、第1画像I1は、探索光L1を対象物OBが反射した反射光を結像した対象物OBの像F1と、外乱光の影響によって生じるノイズN1とを含む。
レーザービームL2により対象物OBの表面が高温になれば、黒体放射の量が増大する。特に、レーザービームL2が直接照射されている部位においては黒体放射の量の増大は顕著である。そのため、照射箇所に対応する第1画像I1の領域(照射領域)では、輝度値が対象物OBの像F1の本来の値よりも黒体放射に対応するノイズN1の強さの分だけ高くなる。
黒体放射により強いノイズN1が生じると、レーザー照射システム1は第1画像I1における対象物OBの像F1の形状を認識困難になり得る。そこで、本実施形態では、ノイズN1が第1画像I1よりも少ない生成画像Igを生成するために、第2撮像部310bが第2画像I2を取得する。本発明の記述においては、画像(第1画像I1と、第2画像I2と、生成画像Ig等)に含まれる対象物OBの形状を、対象物OBの像という。対象物OBの像のうち、対象物OBが探索光L1を反射した反射光を撮像部(第1撮像部310a、第2撮像部310b、等)に結像した対象物OBの形状を、探索光L1に関する対象物OBの像という。
理想的な第2画像I2は、ノイズN1を対象物OBの像F1から分離するため、第1画像I1のノイズN1と形状及び輝度値が同一なノイズN2を含む一方、探索光L1に関する対象物OBの像を含まない。また、理想的には、第2画像I2と第1画像I1とは、共に対象物OBを含む同一の撮像範囲を撮像した画像である。できるだけ理想に近い第2画像I2を撮像するために、第2撮像部310bは、第1撮像部310aと同方向に光軸を向け、かつ同時に撮像を行う。また、第2撮像部310bの第2バンドパスフィルタ340bは、図5Aに示すように、第1帯域WB1を含まないという条件を満たし、かつ、第1帯域WB1となるべく近接した第3帯域WB3を通過帯域として有する。例えば、黒体輻射光や太陽光などの外乱光のスペクトル分布が近接する波長帯域では大きく変動しないとみなせる場合、第2バンドパスフィルタ340bが第1帯域WB1に近接した第3帯域WB3を通過帯域とすることで、第2画像I2に含まれるノイズN2は、第1画像I1に含まれるノイズN1と近似する。
このように、第2バンドパスフィルタ340bを通過した光に対応する第2画像I2は、図5Bのように、第1画像I1と略同一の形状及び輝度の強さを有するノイズN2を含む。一方で、第2画像I2に結像される探索光L1の強度は、第1画像I1に結像される探索光L1の強度より小さい。
図3のステップS1008において、上述したような第1画像I1と第2画像I2とを取得すると、次に処理部510の生成部5110が、第1画像I1と第2画像I2とに基づき生成画像Igを生成する(ステップS1010)。具体的には生成部5110は、第1画像I1のうち少なくとも一部を占める減算領域内の各画素の輝度値から、第2画像I2の対応する画素の輝度値を減算することで、ノイズが第1画像I1よりも少ない生成画像Igを生成する。本実施形態では、第1画像I1全体を減算領域とする。
ステップS1010での処理は、図4Aの第2帯域WB2における光Laと光Lbとを合わせた強度から、図5Aの第3帯域WB3における光Lbの強度を減算する処理に相当する。ここで、波長において、第2帯域WB2は第1帯域WB1を含み、第3帯域WB3は第1帯域WB1に隣接する。このため、第2帯域WB2におけるノイズN1の光Lbの強度は、第3帯域WB3におけるノイズN1の光Lbの強度に近似する。よって、各画素について、第2帯域WB2に対する第1画像I1の輝度値から第3帯域WB3に対する第2画像I2の輝度値を減算すると、図6Aに示すように、第2帯域WB2における光Laに近似した光Laaの強度に対応する生成画像Igが得られる。光Laが探索光L1の反射光による強度に対応するため、生成画像Igは、図6Bに示すように、外乱光の影響によるノイズN1が低減された対象物OBの像Fgを表す。
なお、第1撮像部310aと第2撮像部310bの物理的な位置の差が原因で、第1撮像部310aの撮像範囲と第2撮像部310bの撮像範囲にはズレが生じる場合がある。すなわち、第1画像I1の画素と第2画像I2との画素において、画素間の対応関係がズレを有する場合がある。このズレを補正するため、ステップS1010において、生成部5110が、第1画像I1と第2画像I2との画素の対応付けを補正してもよい。具体的には、レーザー照射システム1の製造時に、第1撮像部310aと第2撮像部310bとで同一の被写体を撮像し、被写体の距離に応じて第1画像I1と第2画像I2でどの画素と画素が対応するかのテーブルを作成する。そして、生成部5110が記憶部520にこの対応テーブルを非一時的に記憶させる。生成部5110は、第1画像I1の減算領域内の各画素について、この対応テーブルを用いて第2画像I2の対応画素を決定することができる。なお、濃度勾配法や平面推定法といった、複数の画像を重ね合わせるための既知の技術を用いてもよい。
ステップS1010で生成画像Igを生成すると、次に画像生成装置50の処理部510の生成部5110が生成画像Igをレーザー制御装置60に出力する(ステップS1012)。具体的には、生成部5110は、I/O部530を介して生成画像Igをレーザー制御装置60に送信する。
次に、処理部610の照射制御部6110が、画像生成装置50が送信した生成画像Igに基づきレーザービームL2の照射方向を更新する(ステップS1014)。例えば、照射制御部6110は、まず新たに取得した生成画像Igに基づきレーザービームL2の照射方向を調整するための情報を決定する。具体的には、照射制御部6110は、対象物OBの像Fgから、対象物OBのうちレーザービームL2を照射すべき照射箇所に対応する領域を抽出する。そして、抽出した領域に基づき、照射制御部6110はレーザービームL2を照射する照射箇所を算出する。そして、照射制御部6110は、算出した照射箇所にレーザービームL2が照射されるように、レーザービームL2の照射方向及び合焦距離を制御する。
次に、照射制御部6110は照射を終了するか否か判別する(ステップS1016)。具体的には、照射制御部6110は、予め定められた照射終了条件が成立したか否か判別する。例えば、ユーザ(あるいは管理者)が照射終了を示すコマンドを入力した場合に、照射終了条件が成立したと判別する。または、照射制御部6110は、生成画像Igにおいて対象物OBの破壊が確認された場合に、照射終了条件が成立したと判別としてもよい。さらに、照射制御部6110は、生成画像Igにおいて対象物OBが確認できない場合に、照射終了条件が成立したと判別してもよい。
照射制御部6110は、照射終了条件が成立していないと判別した場合には(ステップS1016:NO)、ステップS1008から処理を繰り返す。一方、照射終了条件が成立したと判別すると(ステップS1016:YES)、照射制御部6110は第1制御処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態のレーザー照射システム1は、対象物OBの温度が上昇して黒体放射による外乱光が多い条件でも、探索光を反射した対象物OBの像F3において、外乱光の影響を低減した生成画像Igを取得することができる。
なお、第1実施形態では、第1撮像部310aで第1画像I1を、第2撮像部310bで第2画像I2を、それぞれ撮像する例を説明したが、これに限定されず、第1画像I1と第2画像I2とを撮像できる任意の構成を選択することができる。例えば、レーザー照射システム1は、ビームスプリッターを有する撮像部で第1画像I1と第2画像I2を撮像してもよい。この撮像部は、到達光を分割して異なる光路に導くビームスプリッターと、2つの光路の先にそれぞれ配置された撮像素子と、を有する。この撮像部は、ビームスプリッターから撮像素子の一方に至るまでの光路に配置された第1バンドパスフィルタ340aを有する。この撮像部は、ビームスプリッターからもう一方の撮像素子に至るまでの光路に配置された第2バンドパスフィルタ340bを更に有する。この変形例のレーザー照射システム1は、第1画像I1に対応する光と、第2画像I2に対応する光と、を同一の光軸から採光して第1画像I1と第2画像I2とを撮像できる。このため、第1画像I1の画素と第2画像I2の画素とで、画素同士の対応関係がズレる程度が第1実施形態の構成よりも小さい。また、画素同士の対応関係が、対象物OBとの距離にかかわらず一定である。このため、この変形例のレーザー照射システム1は、第1画像I1と第2画像I2との対応関係を、高精度かつ高速度で補正できる。
(第2実施形態)
本実施形態のレーザー照射システム2は、第1画像I1と第2画像I2とに加え、第3画像I3を取得し、第1~第3画像に基づいて生成画像を生成する点で、第1実施形態のレーザー照射システム1と異なる。
本実施形態のレーザー照射システム2は、図7に示すように、第1撮像部310a及び第2撮像部310bに加えて、第3撮像部310cを備える画像取得部32を有する。また、レーザー照射システム2の画像生成装置52は、処理部510に代えて、処理部512を備える。処理部512は、記憶部520と協働して後述の処理を実行することで、生成部5112を実現する。生成部5112は、後述する処理を実行して、画像取得部32を制御する。例えば、生成部5112は、制御コマンド、及び、撮像を指示する制御コマンドを生成する。焦点距離を制御する制御コマンドには、例えば、画像取得部32から対象物OBまでの距離の情報が含まれる。撮像を指示する制御コマンドには、例えば、撮像するタイミングを示す情報や、しぼりの量を示す情報等が含まれる。そして、生成された制御コマンドを、I/O部530を用いて画像取得部32に出力して、生成部5112は画像取得部32に対象物OBの画像を撮像させる。生成部5112は、第1画像I1及び第2画像I2に加え、第3画像I3に基づいて生成画像Igを生成する。他の構成は第1実施形態のレーザー照射システム1と同様である。
画像取得部32の第3撮像部310cは、第4帯域WB4の波長を有する光を受光し、受光した光に表される画像のデータを生成する。第3撮像部310cは、第3撮像素子320cと、第3バンドパスフィルタ340cと、を備える。第3撮像素子320cは受光した光を撮像し、撮像した画像のデータを生成する。第3バンドパスフィルタ340cは、後述するように、第4帯域WB4を通過領域とする光学バンドパスフィルタである。第3撮像部310cは、第3バンドパスフィルタ340cを通過した光を、第3撮像素子320cで受光することで、画像のデータを生成する。なお、第3撮像素子320cは、レンズを含み、画像生成装置50及びレーザー制御装置60からの制御コマンドが示す距離に合焦した画像のデータを生成する。
理想的な第3画像I3は、ノイズN1を対象物OBの像F1から分離するため、第1画像I1のノイズN1と形状及び輝度値が同一なノイズN3を含む一方、探索光L1に関する対象物OBの像を含まない。また、理想的には、第3画像I3と第1画像I1とは、共に対象物OBを含む同一の撮像範囲に対応する。できるだけ理想に近い第3画像I3を撮像するために、第3撮像部310cは、第1撮像部310aと同方向に光軸を向け、かつ同時に撮像を行う。
図8を参照して、レーザー照射システム2の動作を説明する。レーザー照射システム2は、位置取得装置RDから対象物OBを検知したことを示す情報を受信すると、図8の第2制御処理を開始する。
第2制御処理では、照射制御部6110が、図3のステップS1002と同様に、位置取得装置RDから対象物OBの位置情報を取得する(ステップS2002)。次に、処理部512の生成部5112及び照射制御部6110は、図3のステップS1004と同様に、所得した位置情報に基づき対象物OBの画像を取得する(ステップS2004)。そして、照射制御部6110は、図3のステップS1006と同様に、ステップS2004で取得した画像に基づき、対象物OBへ探索光L1とレーザービームL2との照射を開始する(ステップS2006)。
ステップS2006が終わると、生成部5112は、第1画像I1と、第2画像I2と、に加えて、第3画像I3を取得する(ステップS2008)。第3画像I3は、図9Aに示すように、第1帯域WB1に隣接する第4帯域WB4の波長帯域を有する成分を受光して得られる画像である。なお、第1画像I1及び第2画像I2は、第1実施形態の同名の画像と同様である。
本実施形態では、第3撮像部310cが、第4帯域WB4を通過帯域とする第3バンドパスフィルタ340cを用いて第3画像I3を撮像する。第4帯域WB4は、波長スペクトラム曲線の波長軸において、探索光L1の波長域である第1帯域WB1と重複しない。また、第4帯域WB4は、第1帯域WB1を挟んで、第2バンドパスフィルタ340bの通過帯域(第3帯域WB3)の逆側に位置する。第3撮像部310cはこのような光学特性を有する第3バンドパスフィルタ340cを用いて対象物OBを撮像する。そのため、第3画像I3に結像される探索光L1の強度は、第1画像I1に結像される探索光L1の強度より小さい。一方で、第3画像I3には対象物OBから到達する他の光(黒体放射を含む外乱光など)の影響に基づくノイズN3が含まれる。
本実施形態では、第1帯域WB1(及び第2帯域WB2)の中心を波長λ1、第3帯域WB3の中心を波長λ2、第4帯域WB4の中心を波長λ3とする。一例として、δλを正の実数として、以下の2式が成り立つ。
λ2=λ1―δλ
λ3=λ1+δλ
なお、δλは正の実数である。よって、波長軸において、第2バンドパスフィルタ340bの通過帯域(第3帯域WB3)は、第1帯域WB1及び第2帯域WB2より波長が短い側に位置する。一方、第4バンドパスフィルタの通過帯域(第4帯域WB4)は、第1帯域WB1及び第2帯域WB2より波長が長い側に存在する。すなわち、第1帯域WB1及び第2帯域WB2は、光の波長軸において第3帯域WB3と第4帯域WB4の間に位置する。本実施形態ではδλは、第1帯域WB1に対して、第3帯域WB3及び第4帯域WB4が重ならないような最小の実数である。
ステップS2008で第1~第3画像を取得すると、次に処理部512の生成部5112は、取得した第1画像I1と、第2画像I2と、第3画像I3と、に基づいて生成画像Igを生成する(ステップS2010)。具体的には、生成部5112は、第1画像I1のうち減算領域について、第1画像I1の画素の輝度値から、第2画像I2の対応する画素の輝度値と第3画像I3の対応する輝度値との平均値を減算することで、生成画像Igを生成する。なお、ステップS2010における減算処理は、第1実施形態のステップS1010で説明したように、第1画像I1の画素と、第2画像I2の画素と、第3画像I3の画素と、のそれぞれの対応関係についての補正処理を含んでもよい。
本実施形態のレーザー照射システム2は、波長軸において第2バンドパスフィルタ340bを用いて撮像した第2画像I2の画素の輝度値と、第3バンドパスフィルタ340cを用いて撮像した第3画像I3の画素の輝度値と、の平均値を用いて、第1画像I1のノイズN1を低減させる。第1バンドパスフィルタ340aの通過帯域(第2帯域WB2)は、第2バンドパスフィルタ340bの通過帯域(第3帯域WB3)と、波長軸において異なる。そのため、第1画像I1に含まれるノイズN1と、第2画像I2に含まれるノイズN2と、は形状や輝度が異なる。例えば、第1帯域WB1~第4帯域WB4を含む波長帯で、光Lbのスペクトラム曲線が、波長が増えるにつれ単調増加する場合がある。この場合では、例えば第3帯域WB3が波長軸上で第2帯域WB2よりも長波長側にある場合には、第3帯域WB3における光Lbの強度は、第2帯域WB2における強度よりも一貫して大きくなる。一方で、第3帯域WB3が波長軸上で第2帯域WB2よりも短波長側にある場合には、第3帯域WB3における光Lbの強度は、第2帯域WB2における強度よりも一貫して小さくなる。そのため、第3帯域WB3が第2帯域WB2の長短何れの側に位置したとしても、ノイズN1とノイズN2とが一致しない場合がある。レーザー照射システム2は、ノイズN1を低減させるにあたって波長における光Lbの強度の偏りを平均化することで、このような場合でも、生成画像Igにおける外乱光の影響を低減する精度が高い。
次に生成部5112が、第1実施形態のステップS1012と同様に、ステップS2010で生成した生成画像Igをレーザー制御装置60に出力する(ステップS2012)。そして、処理部610の照射制御部6110が、第1実施形態のステップS1014と同様に、画像生成装置52が送信した生成画像Igに基づきレーザービームL2の照射方向を更新する(ステップS2014)。
ステップS2014が終わると、第1実施形態のステップS1016と同様に、照射制御部6110は照射を終了する否か判別する(ステップS2016)。照射制御部6110は、照射終了条件が成立していないと判別した場合には(ステップS2016:NO)、ステップS2008から処理を繰り返す。一方、照射終了条件が成立したと判別すると(ステップS2016:YES)、照射制御部6110は、第3制御処理を終了する。
このように、本実施形態のレーザー照射システム2は、第2帯域WB2の波長を有する光を結像した第1画像I1と、第3帯域WB3の波長を有する光を結像した第2画像I2と、第4帯域WB4の波長を有する光を結像した第3画像I3と、に基づいて、第1画像I1よりも外乱光の影響が少ない生成画像Igを生成する。そのため、二つの波長帯域の光に対応する画像を用いて生成画像を生成するよりも、レーザー照射システム2に到達する光のスペクトラム曲線によって生じる誤差を精度よく低減することができる。
(第3実施形態)
本実施形態のレーザー照射システム3は、探索光L1が照射されているときに撮像された第1画像I1aと、探索光L1が照射されていないときに撮像された第2画像I2aと、に基づいて生成画像Igaを生成する点で、第1実施形態のレーザー照射システム1と異なる。
本実施形態のレーザー照射システム3は、図10に示すように、撮像部314を備える画像取得部34を有する。また、レーザー照射システム3の画像生成装置54は、処理部510に代えて、処理部514を備える。処理部514は、記憶部520と協働して後述の処理を実行することで、生成部5114を実現する。生成部5114は、後述する処理を実行して、画像取得部34を制御する。
例えば、生成部5114は、画像取得部34の焦点距離を制御する制御コマンド、及び、撮像を指示する制御コマンドを生成する。焦点距離を制御する制御コマンドには、例えば、画像取得部30から対象物OBまでの距離の情報が含まれる。撮像を指示する制御コマンドには、例えば、撮像するタイミングを示す情報や、しぼりの量を示す情報等が含まれる。そして、生成された制御コマンドを、I/O部530を用いて画像取得部34に出力して、生成部5114は画像取得部34に対象物OBの画像を撮像させる。生成部5114は、探索光L1が照射されているときに撮像された第1画像I1aと、探索光L1が照射されていないときに撮像された第2画像I2aと、に基づいて生成画像Igを生成する。他の構成は第1実施形態のレーザー照射システム1と同様である。
ここで、探索照射部10は、所定のパルス幅で点滅を繰り返すパルスレーザーを探索光L1として照射する。ここで、本実施形態では、探索照射部10がパルスレーザーを発信している期間のうち、パルスが山(レーザーのエネルギー密度が所定値以上)である期間を点灯期間T1、パルスが谷(レーザーの出力が所定値以下)である期間を消灯期間T2と呼ぶ。本実施形態では、点灯期間T1において、探索照射部10は探索光L1を第1強度で照射する。一方、消灯期間T2においては、探索照射部10は探索光L1を照射しない。これに限らず、探索照射部10は消灯期間T2において第1強度より小さい第2強度で探索光L1を照射してもよい。
本実施形態では、撮像部314は、撮像素子324を備える。撮像部314の撮像素子324は、生成部5114が出力する制御コマンドに基づき、受光した光を撮像し、撮像した画像のデータを生成する。撮像部314は、点灯期間T1内の時刻t1において、対象物OBを撮像して、第1画像I1aを得る。また、撮像部314は、消灯期間T2内の時刻t2において、対象物OBを撮像して、第2画像I2aを得る。画像取得部34は、第1画像I1aと第2画像I2aをI/O部530に出力する。本実施形態では撮像部314は光学フィルタを備えていない例を説明する。しかし、撮像部314は、第1実施形態の第1バンドパスフィルタ340aと同様のフィルタや、可変ND(Neutral Density)フィルタを有していてもよい。なお、撮像部314は、レンズを含み、画像生成装置50及びレーザー制御装置60からの制御コマンドが示す距離に合焦した画像のデータを生成する。
処理部514は、記憶部520と協働して、I/O部530が受信した第1画像I1aと第2画像I2aとに基づいて、生成画像Igaを生成する生成部5110を実現する。
図11を参照して、レーザー照射システム3の動作を説明する。レーザー照射システム3は、位置取得装置RDから対象物OBを検知したことを示す情報を受信すると、図11の第3制御処理を開始する。
第3制御処理では、照射制御部6110が、図3のステップS1002と同様に、位置取得装置RDから対象物OBの位置情報を取得する(ステップS3002)。次に、生成部5114は、図3のステップS1004と同様に、所得した位置情報に基づき対象物OBの画像を取得する(ステップS3004)。そして、照射制御部6110は、図3のステップS1006と同様に、ステップS3004で取得した画像に基づき、対象物OBへ探索光L1とレーザービームL2との照射を開始する(ステップS3006)。
照射制御部6110は、第1強度での探索光L1の照射を、点灯期間T1に行い、消灯期間T2に行わない(あるいは、第1強度より小さい第2強度で照射する)ように探索照射部10を制御コマンドにより制御する。また、照射制御部6110は、探索光L1を照射するときに、点灯期間T1を表す情報と、点灯期間T1において探索光L1の出力が最大となる時刻を表す情報とを画像生成装置50の生成部5110に伝達する。探索光L1の照射を停止するとき、例えば消灯期間T2が開始するとき、照射制御部6110は、消灯期間T2を表す情報と、消灯期間T2において探索光L1の出力が最小となる時刻を表す情報とを画像生成装置50の生成部5110に伝達する。
ステップS3006が終わると、生成部5114は、点灯期間T1における第1強度の探索光が照射された対象物OBを撮像した第1画像I1aを取得する(ステップS3008)。生成部5114は、探索照射部10が第1強度の探索光L1を照射しているときの対象物OBの像を撮像部314に撮像させる。このため、生成部5114は、探索光L1が探索照射部10から照射されて、対象物OBに反射され、画像取得部34に到達するまでの遅延時間を算出する。例えば、生成部5114は、ステップS3002で取得した位置情報が示す対象物OBまでの距離と、記憶部520が記憶する光速度の情報と、に基づいて遅延時間を算出する。算出した遅延時間を、照射制御部6110から取得する探索光L1の出力が最大となる時刻に加えることで、生成部5114は、対象物OBにより探索光L1を反射された反射光が撮像部314に到達する時刻t1を算出する。撮像部314は、生成部5114の指示に基づき、算出された時刻に対象物OBを撮像する。なお、遅延時間は、予め記憶部520に対象物OBとの距離と遅延時間とを対応づけたテーブル情報に基づき算出されてもよい。このテーブル情報は、記憶部520に格納されている。また、生成部5114は、遅延時間を省略して、照射制御部6110から取得する探索光L1の出力が最大となる時刻に、撮像部314に対象物OBを撮像させてもよい。
本実施形態では、生成部5114は、時刻t1に、撮像部314に対象物OBを撮像させる。この場合、時刻t1において、出力が最大のときの探索光L1が、対象物OBに反射され、撮像部314に到達する。このため、この時刻t1において撮像部314に到達する光は、図12Aに示すように、探索光L1を対象物OBが反射した光Laと、黒体放射を含む外乱光による光Lbと、含む。このため、第1画像I1aは、図12Bのように、探索光L1を対象物OBが反射した反射光を結像した対象物OBの像F1aと、外乱光によって生じるノイズN1aと、を含む。
ステップS3008が終わると、生成部5114は、消灯期間T2における、探索光L1が照射されていない、又は、第2強度の探索光L1が照射された対象物OBを含む撮像範囲を撮像した第2画像I2aを取得する(ステップS3009)。生成部5114は、例えば、点灯期間T1の照射光による影響を受けない(あるいは影響が点灯期間T1よりも小さい)期間内における対象物OBを含む撮像範囲を撮像した第2画像I2aを撮像部314に撮像させる。ここでは、生成部5114は、探索照射部10が照射するパルスレーザーの強度が0となる(又は、最小となる)時刻に上述の遅延時間を加えた時刻t2に、撮像部314に対象物OBを撮像させる。また、生成部5114は、遅延時間を省略して、照射制御部6110から取得する探索光L1の出力が最小となる時刻に、撮像部314に対象物OBを撮像させてもよい。
ステップS3009が終わると、処理部514の生成部5114は、第1画像I1aと第2画像I2aとに基づき生成画像Igaを生成する(ステップS3010)。この生成画像Igaは、図14Bに示すように、黒体放射を含む外乱光によるノイズN2aが第1画像I1aから低減された画像である。具体的には生成部5114は、第1画像I1aのうち少なくとも一部を占める減算領域内の各画素の輝度値から、第2画像I2aの対応する画素の輝度値を減算することで、生成画像Igaを生成する。本実施形態では、減算領域は第1画像全体を表す。なお、時刻t1における探索光L1の強度を第1強度とし、時刻t2における探索光L1の強度を第2強度(本実施形態の例では0)とすると、第1強度は第2強度より大きい。
ステップS3010での処理は、図12Aの光Laと光Lbとを合わせた強度から、図13Aの光Lbの強度を減算する処理に相当する。このため、理想的な第2画像I2aは、ノイズN1aを対象物OBの像から分離するため、第1画像I1aのノイズN1aと形状及び輝度値が同一なノイズN2aを含む一方、探索光L1に関する対象物OBの像を含まない。また、理想的には、第2画像I2aと第1画像I1aとは、共に対象物OBを含む同一の撮像範囲に対応する。できるだけ理想に近い第2画像I2aを撮像するために、本実施形態の撮像部314は、複数回実行され得るステップS3008のうち直前に実行したステップS3008において第1画像I1aを撮像した時刻t1から、なるべく近い時刻t2において、第2画像I2aを撮像する。例えば、ステップS3009の消灯期間T2は、直前に実行したステップS3008の点灯期間T1の直後に生じるパルスレーザーの谷に対応する。なお、ステップS3009は、ステップS3008の点灯期間T1の直後に続く消灯期間T2で実行されてもよい。
このようにして撮像した第2画像I2aは、図13Bのように、第1画像I1と略同一の形状及び輝度の強さを有するノイズN2aを含む。一方で、第2画像I2に結像される探索光L1の強度は、第1画像I1に結像される探索光L1の強度より小さい。
ステップS3010では、図14Bに示すような生成画像Igaが生成される。生成画像Igaは、第1画像I1aの対象物OBの像F1aに対応する、対象物OBの像Fgaを含む。この対象物OBの像Fgaは、例えば図14Aに示すスペクトラム曲線を有する光Labに対応する。光Labは、図12Aに示す、探索光L1を対象物OBが反射した光Laと略等しい。すなわち、生成部5114は、ステップS3010で図14Aに示すように、図12Aのスペクトラム曲線から黒体放射による光Lbを差し引いた光Laに対応する像Fgaを含む生成画像Igaを生成する。なお、ステップS3010における減算処理は、第1実施形態のステップS1010で説明したように、第1画像I1aの画素と第2画像I2aの画素の対応関係の補正を含んでもよい。
次に生成部5114が、第1実施形態のステップS1012と同様に、ステップS3010で生成した生成画像Igaをレーザー制御装置60に出力する(ステップS3012)。そして、処理部610の照射制御部6110が、第1実施形態のステップS1014と同様に、画像生成装置54が送信した生成画像Igaに基づきレーザービームL2の照射方向を更新する(ステップS3014)。
ステップS3014が終わると、第1実施形態のステップS1016と同様に、照射制御部6110は照射を終了するか否か判別する(ステップS3016)。照射制御部6110は、照射終了条件が成立していないと判別した場合には(ステップS3016:NO)、ステップS3008から処理を繰り返す。一方、照射終了条件が成立したと判別すると(ステップS3016:YES)、照射制御部6110は、第3制御処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態のレーザー照射システム3は、生成画像Igaを生成するための第1画像I1a及び第2画像I1bにおいて、通過波長帯が異なるバンドパスフィルタを省略するこができる。そのため、第1画像I1aと第2画像I2aにおいて、複数のバンドパスフィルタの通過周波数帯の違いによるノイズの違いの影響を受けることが無い。そのため、生成画像Igaにおいてノイズを低減する精度が高い。また、複数の撮像部を用いて対象物OBを撮像する必要が無いため、レーザー照射システム3を小型化できる。
(第4実施形態)
上述の第1~第3実施形態のレーザー照射システムでは、生成画像Igを生成する際に、第1画像全体が、減算処理の対象となる減算領域として設定された。本実施形態のレーザー照射システム4は、第1画像I1のうち対象物OBの像を含む一部を減算領域として決定する構成を有する点で上述の実施形態のレーザー照射システムと異なる。
本実施形態のレーザー照射システム4は、位置取得装置RDから対象物OBを検知したことを示す情報を受信すると、図3の第1制御処理に代えて、図15の第4制御処理を開始する。他の構成は第1実施形態のレーザー照射システム1と同様である。
第4制御処理では、照射制御部6110が、図3のステップS1002と同様に、位置取得装置RDから対象物OBの位置情報を取得する(ステップS4002)。次に、生成部5110は、図3のステップS1004と同様に、所得した位置情報に基づき対象物OBの画像を取得する(ステップS4004)。そして、照射制御部6110は、図3のステップS1006と同様に、ステップS4004で取得した画像に基づき、探索光L1とレーザービームL2との照射を開始する(ステップS4006)。
次に、ステップS4007において、生成部5110が、レーザー照射部20がレーザービームL2を照射する方向に基づき減算領域を特定する。例えば、レーザー照射システム1の製造時に、レーザー照射システム1と対象物OBとの距離ごとに、レーザー照射部20が照射したレーザービームL2が合焦する位置が第1画像I1のうちどの画素領域に対応するかを実測しておく。そのため、この実測値に基づいて、レーザービームL2が対象物OB上で照射される照射位置に対応する第1画像I1の領域を、対象物OBの距離ごとに対応付けて記憶したデータベースを生成する。このデータベースは、レーザー照射部20と画像取得部30との光軸が、どの程度ズレを含むかの情報を有するため、レーザービームL2の照射方向を示す情報と言える。そして、記憶部620がデータベースを記憶する。ステップS4007において、照射制御部6110は、ステップS4002で取得した対象物OBまでの距離でこのデータベースを検索することで、レーザービームL2の照射方向に基づき減算領域を決定する。
次に、ステップS4008において、生成部5110は、図3のステップS1008と同様に、第1画像I1と第2画像I2とを取得する。
次に、ステップS4010aにおいて、処理部510の生成部5110は、ステップS4007で決定した減算領域について、第1画像I1の画素の輝度値を第2画像I2の対応画素の輝度値で減算して、生成画像Igを生成する。この処理は、画素の輝度値を減算する処理をステップS4007で決定した領域に限定して行う点を除き、図3のステップS1010と同様に実行される。
次に生成部5110が、第1実施形態のステップS1012と同様に、ステップS4010で生成した生成画像Igをレーザー制御装置60に出力する(ステップS4012)。そして、処理部610の照射制御部6110が、第1実施形態のステップS1014と同様に、画像生成装置50が送信した生成画像Igに基づきレーザービームL2の照射方向を更新する(ステップS4014)。
ステップS4014が終わると、第1実施形態のステップS1016と同様に、照射制御部6110は照射を終了するか否か判別する(ステップS4016)。照射制御部6110は、照射終了条件が成立していないと判別した場合には(ステップS4016:NO)、ステップS4007から処理を繰り返す。一方、照射終了条件が成立したと判別すると(ステップS4016:YES)、照射制御部6110は第4制御処理を終了する。
本実施形態のレーザー照射システム4は、減算処理の対象となる減算領域を、黒体放射によるノイズの影響が強い領域に限定することができる。よって、レーザー照射システム4は第4制御処理を高速に実行できる。これに関連して、レーザー照射システム1はステップS4007とステップS4008の処理を並列して行っても良い。この場合、レーザー照射システム1は、第1画像I1及び第2画像I2を撮像する間に減算領域を特定する処理を行うことにより、さらに短い時間で第4制御処理を実行できる。
(第5実施形態)
上述の第4実施形態のレーザー照射システム4は、減算処理の対象となる減算領域をレーザービームL2の照射方向に基づき特定した。本実施形態のレーザー照射システム5は、第1画像I1の輝度値に基づき減算領域を決定する構成を有する点で上述の実施形態のレーザー照射システム4と異なる。
本実施形態のレーザー照射システム5は、位置取得装置RDから対象物OBを検知したことを示す情報を受信すると、図15の第4制御処理に代えて、図16の第5制御処理を開始する。他の構成は第4実施形態のレーザー照射システム4と同様である。
第5制御処理では、照射制御部6110が、図15のステップS4002と同様に、位置取得装置RDから対象物OBの位置情報を取得する(ステップS5002)。次に、生成部5110は、図15のステップS4004と同様に、所得した位置情報に基づき対象物OBの画像を取得する(ステップS5004)。そして、照射制御部6110は、図15のステップS4006と同様に、ステップS5004で取得した画像に基づき、探索光L1とレーザービームL2との照射を開始する(ステップS5006)。次に、ステップS5008において、生成部5110は、図15のステップS4008と同様に、第1画像I1と第2画像I2を取得する(ステップS5008)。なお、図15のステップS4007の処理は、第5制御処理では省略される。
ステップS5008が終わると、生成部5110は、第1画像I1の輝度値に基づき減算領域を決定する(ステップS5009)。例えば、生成部5110は、第1画像I1の画素のうち、輝度値が最も高い画素を抽出し、その画素を中心とする所定領域(例えば、10ピクセル×10ピクセル)の領域を減算領域として決定する。あるいは、生成部5110は、第1画像I1のうち、所定の閾値よりも輝度値が高い画素を全て減算領域として決定してもよい。
次に、ステップS5010bにおいて、処理部510の生成部5110は、図15のステップS4010と同様に、ステップS5009で特定した減算領域について、第1画像I1の画素の輝度値を第2画像I2の対応する画素の輝度値で減算して、生成画像Igを生成する。
次に生成部5110が、図15のステップS4012と同様に、ステップS5010で生成した生成画像Igをレーザー制御装置60に出力する(ステップS5012)。そして、処理部610の照射制御部6110が、図15のステップS4014と同様に、画像生成装置50が送信した生成画像Igに基づきレーザービームL2の照射方向を更新する(ステップS5014)。
ステップS5014が終わると、図15のステップS4016と同様に、照射制御部6110は照射を終了するか否か判別する(ステップS5016)。照射制御部6110は、照射終了条件が成立していないと判別した場合には(ステップS5016:NO)、ステップS5008から処理を繰り返す。一方、照射終了条件が成立したと判別すると(ステップS5016:YES)、照射制御部6110は第5制御処理を終了する。
本実施形態のレーザー照射システム5は、減算処理の対象となる減算領域を、レーザービームL2の照射方向の情報によらず、第1画像I1の輝度によって決定できる。そのため、生成画像Igを生成する処理を高速化するために必要なハードウェアの変更が少ない。
(変形例)
上記の第1~第5実施形態では、砲台駆動部410が砲台40を駆動することにより、レーザー照射部20がレーザービームL2を照射する照射方向を変更する例を示した。これに加えて、又は、これに代えて、レーザー照射部20は、レーザービームL2を照射する照射方向を変更可能な別の構成を有していてもよい。本変形例のレーザー照射システム1では、例えば、レーザー照射部20がレーザービームL2の照射方向を変更可能な微動ミラーと、微動ミラーの角度を変更する駆動部と、を更に備える。そして、レーザー制御装置60の処理部610が、この微動ミラーの角度を変更させる制御コマンドをI/O部630から出力する。この制御コマンドには、微動ミラーの角度を示す情報が含まれる。当該制御コマンドに基づき、駆動部は、微動ミラーの角度を変更する。これにより、レーザー制御装置60はレーザービームL2の照射方向を変更する。ここで、微動ミラーは、砲台駆動部410と比べて、レーザービームL2の照射方向を変更可能な最大駆動範囲は小さいが、より精密に照射方向を決定できる。このような構成によれば、レーザー照射システム1はレーザービームL2の照射方向を細かに変更することができる。
このような構成を有するレーザー照射システム1では、例えば、図3の第1制御処理のステップS1014において、レーザービームL2がステップS1012において生成した生成画像Igの示す照射箇所に合焦するように、処理部610の照射制御部6110が微動ミラーの角度を変更する制御コマンドを出力してレーザービームL2の照射方向を制御する。
また、上述の実施形態では、最初に対象物OBの画像を取得した後に探索光L1及びレーザービームL2を照射する例を示したが、これに限定されず、対象物OBの画像を取得する前に探索光L1を照射してもよい。画像取得部30(あるいは、画像取得部32又は画像取得部34)は、周囲が暗いとき、例えば夜間においても、探索光L1を照射することで、対象物OBからの反射光を受光することができる。
上述の実施形態およびその変形例では、第1~第5制御処理を実行するためのプログラムは、記憶部520及び記憶部620が予め記憶していた。しかし、これらのプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)やDVD-ROM(Digital Versatile Disc-Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の、コンピュータ読取り可能な非一時的記憶媒体に記憶されていても良い。この場合、非一時的記憶媒体に記憶されたプログラムを、画像生成装置50(あるいは、画像生成装置52、画像生成装置54)やレーザー制御装置60が読みとって、記憶部520及び記憶部620に記憶してもよい。また、画像生成装置50(あるいは、画像生成装置52、画像生成装置54)やレーザー制御装置60は、インターネットやイントラネットといった通信網を介して、これらのプログラムを取得してもよい。
上述の実施形態では、探索照射部10と、レーザー照射部20と、画像取得部30(あるいは、画像取得部32、画像取得部34)とを互いに固定する例を示したが、これに限定されない。例えば、画像取得部30(あるいは、画像取得部32、画像取得部34)が探索照射部10から対象物OBに照射される探索光L1の反射光を受光し、画像生成装置50(あるいは、画像生成装置52、画像生成装置54)とレーザー制御装置60とが対象物OBの位置を算出できれば、任意の構成を選択することができる。例えば、砲台40は、探索照射部10の光軸方向と、レーザー照射部20の光軸方向と、画像取得部30(あるいは、画像取得部32、画像取得部34)の光軸方向とをそれぞれ独立して変更できるように構成されてもよい。また、探索照射部10と、レーザー照射部20と、画像取得部30(あるいは、画像取得部32、画像取得部34)とが互いに離れて設けられてもよい。
また、上述の実施形態及びその変形例において、物理的に分離されたレーザー照射システム1(あるいは、レーザー照射システム2、レーザー照射システム3、レーザー照射システム4、レーザー照射システム5)は画像生成装置50(あるいは、画像生成装置52、画像生成装置54)とレーザー制御装置60とを有していた。しかし、画像生成装置50(あるいは、画像生成装置52、画像生成装置54)とレーザー制御装置60とは一つの情報処理装置であってもよい。この情報処理装置は、1以上の処理部と記憶部とを備える。そして、この処理部と記憶部とが協働して、上述の生成部5110(あるいは、生成部5112、生成部5114)及び照射制御部6110の機能を発揮する。
以上において説明した実施形態および変形例は一例であり、機能を阻害しない範囲で変更してもよい。また、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。例えば、第4実施形態及び第5実施形態の減算領域を特定する構成を、第1実施形態のレーザー照射システム1が備えている場合について説明した。しかし、同様の減算領域を特定する構成を、第2実施形態のレーザー照射システム2又は第3実施形態のレーザー照射システム3が備えていてもよい。この場合、例えば、図8のステップS2008の前に図15のステップS4007を実行する。
さらに、レーザー照射システム1のみならず、第2~第5実施形態のレーザー照射システムが、レーザービームL2の照射方向を変更可能な他の構成(微動ミラーを含む)を有していてもよい。
例えば、第4実施形態のレーザー照射システム4でレーザービームL2の照射方向を変更可能な他の構成を適用する場合、図15の第4制御処理を次のように変更してもよい。すなわち、ステップS4007において、処理部510が、砲台駆動部410による砲台40によるレーザービームL2の照射方向に加えて、微動ミラーの角度によるレーザービームL2の照射方向の情報を取得する。そして、処理部510は、この2つのレーザービームL2の照射方向に関する情報に基づいてレーザー照射システム4から照射されるレーザービームL2の照射角度を決定し、決定した照射角度に基づいて、例えば三角測量法を用いて、第1画像I1における減算領域を決定する。
各実施形態に記載のレーザー照射システム等は、例えば以下のように把握される。
第1の態様に係るレーザー照射システム(1、2、3、4、5)は、探索光(L1)を対象物(OB)に照射する探索照射部(10)と、レーザービーム(L2)を照射するレーザー照射部(20)と、対象物(OB)を撮像した第1画像(I1、I1a)と、対象物(OB)を含む撮像範囲を撮像した第2画像(I2、I2a)と、を取得する画像取得部(30、32、34)と、第1画像と第2画像とに基づき第1画像よりも外乱光の影響が少ない生成画像(Ig、Iga)を生成する生成部(5110、5112、5114)と、生成画像に基づき、レーザー照射部がレーザービームを照射する方向を制御する照射制御部(6110)と、を備え、第2画像(I2、I2a)に結像される探索光(L1)の強度が第1画像に結像される前記探索光の強度より小さい。
第1の態様に係るレーザー照射システムでは、探索光により得られる画像である第1画像よりも外乱光の影響が少ない生成画像を生成することができる。言い換えると、探索光の照射で得られる対象物からの反射光による画像を対象とし、これに対する外乱を抑制することができる。また、生成画像に基づきレーザービームを照射する方向を制御するため、正確にレーザービームを照準することができる。
第2の態様に係るレーザー照射システムは、第1の態様のレーザー照射システムであり、探索照射部は、第1帯域(WB1)を波長域とするレーザー光である探索光を照射し、画像取得部は、第1帯域を含む第2帯域(WB2)の波長を有する光を結像した第1画像を撮像する第1撮像部と、第1帯域を含まない第3帯域(WB3)の波長を有する光を結像した第2画像を撮像する第2撮像部と、を備え、生成部は第1撮像部が撮像した第1画像と、第2撮像部が撮像した前記第2画像と、に基づき生成画像を生成する。
単純に一つのバンドパスフィルタを用いて対象物の画像を撮像する構成を採用した場合、十分のノイズ除去性能を確保するために、ノイズ源が強くなるほどバンドパスフィルタの通過帯域を狭くする必要がある。そのため、一定以上のノイズ源がある場合、ノイズ除去性能が不足する。第2の態様に係るレーザー照射システムは、複数のバンドパスフィルタを用いて撮像した複数の画像を用いて生成画像を生成するため、強いノイズ源があった場合でも、ノイズが少ない生成画像を生成できる。
第3の態様に係るレーザー照射システムは、第1の態様のレーザー照射システムであり、探索照射部は、第1期間において第1強度で探索光を照射し、第2期間において、探索光を照射しない、又は、第1強度よりも小さい第2強度で探索光を照射し、画像取得部が、第1期間における前記第1強度の探索光が照射された対象物を撮像した第1画像を撮像し、第2期間における、探索光が照射されていない、又は、前記第2強度の探索光が照射された対象物を含む撮像範囲を撮像した第2画像を撮像する撮像部を含む。
第3の態様に係るレーザー照射システムは、生成画像を生成するために、異なる通過帯域のバンドパスフィルタを用いて撮像した画像を用いる必要が無い。そのため、本態様のレーザー照射システムは、バンドパスフィルタの通過波長の差異による誤差の影響が少ない生成画像を生成できる。
第4の態様に係るレーザー照射システムは、第1~第3態様のレーザー照射システムのいずれかであり、生成部は、第1画像の少なくとも一部を占める減算領域について、減算領域に含まれる画素の輝度値から第2画像の対応する画素の輝度値を減算して生成画像を生成する。
第4の態様に係るレーザー照射システムは、画素の輝度値を減算することにより生成画像を生成するため、高速に生成画像を生成できる。
第5の態様に係るレーザー照射システムは、第4の態様のレーザー照射システムであり、
生成部は、第1画像のうち対象物の像を含む一部を、減算領域として決定する。
第5の態様に係るレーザー照射システムは、第1画像のうち対象物の像を含む一部について減算処理を行うため、生成画像を生成するにあたって不要な演算を省略できる。すなわち、本態様のレーザー照射システムは、高速に生成画像を生成できる。
第6の態様に係るレーザー照射システムは、第5の態様のレーザー照射システムであり、生成部は、レーザー照射部がレーザービームを照射する方向に基づいて減算領域を決定する。
第6の態様に係るレーザー照射システムでは、レーザービームの照射方向に基づいて減算領域を決定するため、減算処理を行うべき領域を対象物の状況に対応して精度よく決定できる。
第7の態様に係るレーザー照射システムは、第5の態様のレーザー照射システムであり、生成部は、第1画像のうち輝度が所定の基準よりも強い画素を含む領域を、減算領域として決定する。
第7の態様に係るレーザー照射システムは、第1画像に含まれる画素の画素値に基づいて減算領域を決定するため、生成部以外の構成を変更させる必要が無い。すなわち、第8の態様に係るレーザー照射システムは、導入が容易である。
第8の態様に係るレーザー照射システムは、第2の態様のレーザー照射システムであり、画像取得部が、第4帯域(WB4)の波長を有する光を結像した第3画像(I3)を撮像する第3撮像部(310c)を更に備え、第1帯域が、光の波長軸において、第3帯域と第4帯域との間に位置し、生成部は、第1画像と第2画像に加えて、第3撮像部が撮像した第3画像に基づき生成画像を生成する。
第8の態様に係るレーザー照射システムは、異なる波長域の光に対応する第1画像と、第2画像と、第3画像と、に基づいて生成画像を生成する。このため、光の波長域ごとのばらつきが平均化された、ノイズが少ない生成画像を生成できる。
第9の態様に係るレーザー照射システムは、第1~第8態様のレーザー照射システムのいずれかであり、レーザービームは、探索光よりも強度が高い高出力レーザー光である。
第9の態様に係るレーザー照射システムでは、生成画像により照準して、対象物に高出力レーザーを照射可能である。
第10の態様に係る画像生成装置(50、52、54)は、探索光を照射された対象物(OB)を撮像した第1画像(I1、I1a)と、対象物を含む撮像範囲を撮像した第2画像(I2、I2a)と、を受信する受信部(530)と、第1画像と前記第2画像とに基づき第1画像よりも外乱光の影響が少ない生成画像(Ig、Iga)を生成する生成部(5110、5112、5114)と、生成画像を出力する出力部(530)と、を備え、第2画像に結像される探索光の強度が第1画像に結像される探索光の強度より小さい。
第10の態様に係る画像生成装置は、探索光により得られる画像である第1画像よりも外乱光の影響が少ない生成画像を生成することができる。言い換えると、探索光の照射で得られる対象物からの反射光による画像を対象とし、これに対する外乱を抑制することができる。
第11の態様に係るプログラムは、レーザービーム(L2)を照射するレーザー照射部(20)に通信可能に接続されたコンピュータ(50、52、54、60)に、探索光(L1)を照射された対象物(OB)を撮像した第1画像(I1、I1a)と、対象物を含む撮像範囲を撮像した第2画像(I2、I2a)と、を取得し、第1画像と第2画像とに基づき第1画像よりも外乱光の影響が少ない生成画像(Ig、Iga)を生成し、生成画像に基づき、レーザー照射部がレーザービームを照射する方向を制御する、処理を実行させ、前記第2画像に結像される前記探索光の強度が前記第1画像に結像される前記探索光の強度より小さい。
第11の態様に係るプログラムは、コンピュータに、探索光により得られる画像である第1画像よりも外乱光の影響が少ない生成画像を生成させることができる。言い換えると、探索光の照射で得られる対象物からの反射光による画像を対象とし、これに対する外乱を抑制することができる。また、生成画像に基づきレーザービームを照射する方向を制御するため、正確にレーザービームを照準することができる。