JP2022077605A - 二慣性系模擬装置 - Google Patents

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哲也 野村
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Abstract

【課題】軸トルク検出手段とその検出値を用いた演算処理を不要とし、安定して低コストに模擬可能な二慣性系模擬装置を提供する。【解決手段】モータ制御装置10にて駆動されるモータM1に結合されたモータM2がトルクTを出力するように制御する模擬負荷制御装置30を備え、この制御装置30は、モータM1と一体的に動くとみなせる部分の模擬慣性J1と、これに弱く結合して動く部分の模擬慣性J2と、両慣性間の弾性定数K及び減衰係数Cと、各モータM1,M2及びカップリング部20を合わせた実際の全慣性Jrと、を設定項目とし、モータM2の出力トルクTを、前記設定項目と、二慣性系の模擬制御により生じる位相遅れを補償するための補償用減衰係数Ccmpを前記Cに加えた減衰係数C’=C+Ccmpを定数として有する伝達関数H(s)と、ローパスフィルタLPFの伝達関数と、をモータM1またはM2の速度信号vに演算して与える。【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置により駆動される第1のモータと、この第1のモータにカップリング部を介して結合された第2のモータとを備えた全体がモータ制御装置側から見て二慣性系として振舞うように模擬する二慣性系模擬装置に関し、詳しくは、サーボシステム等のモータ制御装置の開発や動作の検証に適用可能な技術に関する。
モータにより機械負荷を駆動する際の課題の一つとして、モータ及び機械負荷の振動問題が挙げられる。サーボアンプ等のモータ制御装置では、振動抑制手段として、位置・速度フィードバック制御ゲインやフィードバック制御ループ内のフィルタを調整する他に、振動を誘起させないような指令値を生成・加工する方法が良く用いられている。
このような振動抑制機能を備えたモータ制御装置を開発する場合には、初期段階でシミュレーションを行った上で実機検証を行うという工程を経るのが普通である。モータ及び機械負荷を含む駆動機器の実機検証においては、実際に何らかの機械負荷を駆動して試験する場合と、電子制御による負荷機を使って試験する場合とがあるが、後者については定常的な負荷トルクが関わる検証で用いられることが多い。機械負荷を加減速運転する際には慣性に比例したトルクも加わるが、一慣性系とみなせる機械負荷の加減速運転試験を行うには、実際の機械負荷を加減速運転する以外に、慣性を模擬する装置を使用することも可能である。
一慣性系を対象とした模擬装置や模擬方法については、例えば特許文献1に係る慣性シミュレータのように、従来から多数提案され、実用化されている。
一方、二慣性系を模擬する従来技術としては、例えば特許文献2に開示されているように、エンジンの動力計測システムに適用され、インバータを介して動力計を制御する動力計制御部に設けられて機械的慣性を電気的慣性として模擬する電気慣性制御装置において、動力計の軸トルクを検出して第1電気慣性及び第2電気慣性が電気ばねで結合された二慣性モデルに入力し、この二慣性モデルの挙動を実現するようにインバータに対するトルク指令を生成する従来技術が知られている。
特許第2884698号(第1図等) 特許第4946495号([0018]~[0020]、図1~図3等)
特許文献2に開示された従来技術では、動力計の軸トルクを検出するための軸トルクメータ及び軸トルク検出値を用いた演算が必要であり、システム全体の構成が比較的大掛かりで高コストになるという問題がある。
また、軸トルクメータ自体も慣性を有するため、これを無視できない程度の比較的小さな慣性のモータを使って正しく試験するのは容易でない。
仮に、軸トルクを検出しない場合には、速度検出値、あるいは位置検出値の微分値に基づいて、二慣性系を模擬するべくインバータに対するトルク指令を演算することが必要になるが、この演算は遅れを伴うため動作が不安定になる恐れがある。また、不安定化しにくく減衰の大きい系を模擬することは可能であったとしても、減衰の速さまで再現することは難しい。
そこで、本発明の解決課題は、特許文献2に記載されているような軸トルク検出手段及びその検出値を用いた演算処理を不要とし、安定的かつ低コストにて二慣性系を模擬可能とした二慣性系模擬装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
モータ制御装置により駆動される第1のモータの回転軸にカップリング部を介して第2のモータの回転軸を結合し、前記第2のモータまたは第1のモータの速度信号vを入力として前記第2のモータがトルクTを出力するように前記第2のモータを制御する模擬負荷制御装置を備え、
前記模擬負荷制御装置は、
前記第1のモータの回転軸と一体的に動くと想定される部分の慣性を第1の模擬慣性Jとし、前記カップリング部以降に前記第1のモータの回転軸よりも剛性が低く、前記第1の模擬慣性Jと弱く結合して動く部分が存在することを想定してその部分の慣性を第2の模擬慣性Jとし、前記第1の模擬慣性Jと、前記第2の模擬慣性Jと、前記第1の模擬慣性Jと前記第2の模擬慣性Jとの間の弾性定数K及び減衰係数Cと、前記第1のモータ及び前記第2のモータ並びに前記カップリング部を合わせた実際の全慣性Jと、を設定項目として有し、
前記第2のモータが出力するトルクTを、
前記設定項目と、二慣性系を模擬する制御により生じる位相遅れを補償するための補償用減衰係数Ccmpを前記減衰係数Cに加えた補償後の減衰係数C’=C+Ccmpを定数として有する伝達関数H(s)と、ローパスフィルタの伝達関数と、を前記速度信号vに演算することにより与えることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した二慣性系模擬装置において、
前記伝達関数H(s)を、以下の数式Aにより与えることを特徴とする(sはラプラス演算子)。
Figure 2022077605000002
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載した二慣性系模擬装置において、
前記補償用減衰係数Ccmpは、前記伝達関数H(s)と前記ローパスフィルタの伝達関数との積の絶対値が1となるゲイン交差周波数ωにおいて、前記ローパスフィルタによる演算及び前記トルクTの演算が行われてから前記トルクTが印加されたことにより変化した速度が速度信号vに反映されるまでの遅延時間によって生ずる位相遅れΔθに対して、補償後の減衰係数C’=Ccmpとして前記伝達関数H(s)を求めた時の位相∠H(s)が前記位相遅れΔθと等しくなるように与えることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1~3の何れか1項に記載した二慣性系模擬装置において、
模擬しようとする二慣性系の共振周波数を、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数未満に限定したことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1~4の何れか1項に記載した二慣性系模擬装置において、
前記速度信号vを、前記第2のモータまたは前記第1のモータの速度検出値または速度推定値、或いは、前記モータ制御装置により前記第1のモータを速度制御する際の速度指令値として与えることを特徴とする。
本発明によれば、軸トルクを検出することなく、安定的かつ低コストにて二慣性系を模擬することが可能であり、サーボシステム等のモータ制御装置の開発や動作の検証等に役立てることができる。
本発明の第1実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。 図1の模擬負荷制御装置により二慣性系を模擬する際の制御ブロック図である。 本発明の第1実施形態における数式2に相当する二慣性系のブロック図である。 二慣性系の模擬手順を示すフローチャートである。 表2のモータ制御条件のもとで表1のパラメータを有する二慣性系負荷そのものを駆動した場合のシミュレーション結果を示す波形図である。 表2のモータ制御条件を実際のモータ制御装置に設定し、表1のパラメータを有する二慣性系を模擬するように設定した模擬負荷を駆動した場合の実測結果を示す波形図である。 本発明の第2実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。 本発明の第3実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。 図8に示した二慣性系模擬装置の制御ブロック図である。 本発明の第4実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。図1において、モータ制御装置10により駆動される第1のモータMの回転軸と第2のモータMの回転軸とは高剛性のカップリング部20によって連結されており、これらのモータM,M及びカップリング部20をまとめた全慣性をJとみなせるものとする。
ここで、第1のモータMの回転軸と一体的に動くと想定される部分の慣性を第1の模擬慣性(モータ側慣性)Jとし、カップリング部20以降には第1のモータMの回転軸よりも剛性が低く、第1の模擬慣性Jと弱く結合して動く部分が存在することを想定して、その部分の慣性を第2の模擬慣性(負荷側慣性)Jとする。
模擬負荷制御装置30は、第1のモータMを直接駆動するモータ制御装置10側から見た時に二慣性系を駆動することと等しくなるように、第2のモータMの速度信号、例えば第2のモータMの速度検出値に基づいてトルク指令Tを演算し、このトルク指令Tに応じた電流を第2のモータMに通電する。
図2は、模擬負荷制御装置30により二慣性系を模擬するための制御ブロック図である。この制御ブロックは、第1のモータMによるトルクTと第2のモータMによるトルク(二慣性系を模擬するためのトルク)Tとの偏差を加減算手段31aにより求め、求めた偏差から第2のモータMの速度検出値等の速度信号vを得る伝達関数(1/Js)と、速度信号vが入力されるローパスフィルタLPFと、その出力を第2のモータMによるトルクTに変換する開ループ伝達関数H(s)と、によって構成されている。
すなわち、模擬負荷制御装置30は、第1のモータMによるトルクTと速度との関係が模擬するべき二慣性系におけるトルクと速度との関係に等しくなるように、第2のモータMが出力するトルクTを演算し、このトルクTをモータMによるトルクTに対してフィードバック制御する。
ここで、速度信号vが入力されるローパスフィルタLPFの次数は、第2のモータMの速度を直接検出する場合は一次でも良いが、速度検出値を位置検出値の数値微分により代用する場合には二次以上とする。以下では、第2のモータMの位置検出値を数値微分して速度検出値を得るために二次のローパスフィルタLPFを用い、特に、伝達関数が1/(τs)の形で演算する場合について説明する。なお、τはフィルタの時定数、sはラプラス演算子である。
まず、図2における伝達関数H(s)は、数式1の通りである。
Figure 2022077605000003
数式1において、第1の模擬慣性Jは、前述した全慣性Jに対してJ≧Jという関係にあるものとする。また、Kは第1の模擬慣性Jと第2の模擬慣性Jとの間の弾性定数、Cは同じく減衰係数である。
いま、ローパスフィルタLPF及びむだ時間の影響を無視できると仮定すると、図2に示したフィードバック制御が行われることにより、第1のモータMのトルクTに対して第2のモータMの速度信号vは数式2のように変化する。
Figure 2022077605000004
(ただし、Jμ=J/(J+J) とした。)
上記の数式2は、図3のブロック図に示すように、弾性定数K及び減衰係数Cにより結合された第1の模擬慣性J 及び第2の模擬慣性Jからなる二慣性系にトルクTを印加した場合の、第2のモータMの速度信号vを表す式に等しい。従って、むだ時間遅れ等を伴わない理想的な制御システムであれば、速度信号v、例えば速度検出値に対してH(s)を演算して得たトルクTを第2のモータMが出力することで、所望の二慣性系を模擬することができる。
次に、ローパスフィルタLPF及びむだ時間による影響を考慮した場合について説明する。
まず、図2に示した制御ループにおけるむだ時間をτとすると、ローパスフィルタLPF及びむだ時間τを合わせた周波数ωにおける位相遅れは、2arctanωτ+ωτとなる。減衰係数Cがゼロに近い場合、二慣性の共振系はもともと安定限界にあるため、位相遅れを含むフィードバック制御によって二慣性系を模擬しようとしても安定して模擬できない。
そこで、フィードバック制御によって生じる位相遅れを補償するように減衰係数Cを増加させて補償済みの減衰係数C’を求め、この減衰係数C’を伝達関数H(s)に与えてフィードバック制御することにより、二慣性系模擬の安定化を図る。
以下、その具体的方法を説明する。
始めに、
=J(J-J)/(J+J-J), ω=√(K/J), ω=√(K/J)とおく。
減衰係数Cが0に近い場合、ω<ω<ωの範囲で、H(jω)は-∞から0に移動する。伝達関数H(s)とローパスフィルタLPFの伝達関数との積の絶対値が1となる角周波数ω=ω(ゲイン交差周波数)では、数式1におけるCsの項を無視すると数式3が成り立つ。
Figure 2022077605000005
次に、以下の数式4によりω,η,q,r,xを定義する。ここで、ωは模擬する二慣性系の反共振周波数である。
Figure 2022077605000006
数式4を用いて数式3を整理すると、数式5となる。
Figure 2022077605000007
これにより、数式4で定義したxは、数式6によって得られる。
Figure 2022077605000008
また、ゲイン交差周波数ωは、数式4におけるxの定義と数式6とから、ω=ω√xとして求めることができる。
このゲイン交差周波数ωにおいて、ローパスフィルタLPFやむだ時間に起因する位相遅れを補償するように、伝達関数H(s)における減衰係数として補償用減衰係数Ccmpを導入し、減衰係数Cを有する二慣性系を模擬する場合には、C’=C+Ccmpにより減衰係数Cを増加させた補償済みの減衰係数C’を開ループ伝達関数H(s)に与える。
すなわち、請求項2に記載した数式Aのように、前記数式1における減衰係数Cに代えて、補償済みの減衰係数C’=C+Ccmpを与えた伝達関数H(s)を用いてフィードバック制御することにより、第2のモータMが出力するトルクTを演算する。
上記の補償用減衰係数Ccmpは、次の数式7の解として得ることができる。
Figure 2022077605000009
この補償用減衰係数Ccmpは数値計算によって求めることができるが、ここでは小さな位相遅れを問題にしているため、数式8の近似式を用いて求めることが可能である。
Figure 2022077605000010
次に、図4は、上述した二慣性模擬の手順を示すフローチャートである。
まず、模擬したい二慣性系のパラメータJ,J,K,C、及び、モータM,Mとカップリング部20とをまとめた全慣性Jを設定する(ステップS1)。次いで、伝達関数H(s)とローパスフィルタLPFの伝達関数との積の絶対値が1となるゲイン交差周波数ωを算出する(ステップS2)。
そして、ω=ωにおける位相遅れを補償するために必要な補償用減衰係数Ccmpを求め(ステップS3)、C’=C+Ccmpとした補償済みの減衰係数C’を用いて伝達関数H(s)を決定し(ステップS4)、この伝達関数H(s)を用いてフィードバック制御を行う(ステップS5)。
これにより、特許文献2のような軸トルク検出を必要とせずに安定して二慣性系を模擬することが可能である。ただし、模擬しようとする二慣性系の共振周波数は、ローパスフィルタLPFのカットオフ周波数未満に限定することが望ましい。
なお、第1実施形態ではローパスフィルタLPFの伝達関数を1/(τs)として演算する場合について説明したが、必ずしもこの形である必要はなく、ローパスフィルタの伝達関数に応じて開ループゲイン=1における位相遅れを見積もり、その位相遅れを補償するための補償用減衰係数Ccmpを求め、これを模擬したい二慣性系の減衰係数Cに加算して得た補償済みの減衰係数C’を開ループ伝達関数H(s)に与えればよい。
また、第1実施形態では、模擬負荷制御装置30に第2のモータMの速度検出値を入力しているが、モータM,M間を一慣性体とみなしているので、第1のモータMを直接駆動するモータ制御装置10の動作に支障をきたさなければ、第2のモータMの代わりに第1のモータMの速度検出値を入力してもよい。
次に、本実施形態により二慣性系を模擬した実験結果について説明する。
図1において、単体の慣性Jが何れも1.35×10-5[kgm]であるモータM,Mを、慣性が1.84×10-5[kgm]のカップリング部20により結合し、全慣性Jを4.54×10-5[kgm]として以下の実験を行った。
模擬負荷制御装置30に設定する、模擬したい二慣性系の模擬負荷制御条件として、表1に示すように、条件1~3の各パラメータを用意した。ただし、表1における第1の慣性の値及び第2の慣性の値は、それぞれ、モータM,Mの単体の慣性J(=1.35×10-5[kgm])に対する比(J/J,J/J)である。
Figure 2022077605000011
模擬負荷制御におけるローパスフィルタLPFの伝達関数は1/(1+τs)とし、フィルタ定数τ=0.8[ms]とした。また、同制御におけるむだ時間遅れは0.2[ms]と見積もっている。これらと表1の各パラメータとを用いて前述の数式8により補償用減衰係数Ccmpを求め、C’=C+Ccmpとした補償済みの減衰係数C’を用いて開ループ伝達関数H(s)を決定し、図2に示した演算により模擬負荷制御を実装した。
また、各パラメータを表1のように設定した上で、モータMを表2に示すモータ制御条件のもとで台形加減速運転し、モータMの速度及びトルクをモニタすることにより、モータ制御装置10側から見た場合の負荷が模擬しようとした二慣性系として振舞うことを確認した。
フィードバック制御の構成は、比例積分制御による速度制御をマイナーループとして内包する、位置の比例制御である。この際、二慣性系として振舞うこと確認するために、モータ制御条件としては、あえて不適切な(反共振周波数における振動が生じやすくなる)位置制御ゲイン、比例制御ゲインを与えている。
Figure 2022077605000012
表2のモータ制御条件により、表1に示したパラメータを有する二慣性系負荷そのものを駆動した場合の各条件のシミュレーション結果(モータMの速度及びトルク波形)を図5に示す。これらの二慣性系負荷を駆動する条件としては高すぎる制御ゲインを与えているため、図5から明らかなように、トルク波形に顕著な振動を有するシミュレーション結果が得られた。
次に、表2に示した制御条件を実際のモータ制御装置に設定し、表1に記したパラメータの二慣性系を模擬するように設定した模擬負荷を、前記モータ制御装置により駆動した際の実測結果を図6に示す。この図6からわかるように、模擬負荷を駆動した際の実測結果は二慣性系負荷そのものを駆動した図5のシミュレーション結果とほぼ同様になり、本実施形態によって二慣性系を正しく模擬できることが確認された。
次いで、図7は、本発明の第2実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。
この第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、模擬負荷制御装置30に入力される速度信号vを、モータMを駆動するモータ制御装置10から得る点である。モータM,Mはカップリング部20により結合されて一体的に動くため、モータMの速度検出値に代えてモータMの速度検出値をモータ制御装置10から得るようにしても、第1実施形態と同様に二慣性系を模擬することができる。
なお、モータ制御装置10によってモータMを速度制御する場合には、モータMの速度検出値の代わりにモータMの速度指令値を速度信号vとして用いても良い。速度制御ゲインが高くモータMの速度実際値が速度指令値に近ければ、その速度を実現するためにモータ制御装置10が指令するトルクTが模擬したい二慣性系を駆動するためのトルクに等しくなり、二慣性系を模擬していることと同様になる。
図8は、本発明の第3実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。また、図9は模擬負荷制御装置30の制御ブロック図であり、32は速度オブザーバ、Gobはオブザーバゲイン、31a,31b,31cは加減算手段を示している。
この第3実施形態では、図9に示すように、オブザーバゲインGobを有する速度オブザーバ32にモータMによるトルクTとモータMの速度検出値とが入力されてモータMの速度推定値が演算され、この速度推定値に基づいて、モータMにトルクTを出力させるような制御が行われる。
本実施形態の制御は第1実施形態または第2実施形態に対して若干複雑になるが、速度推定値に含まれる高周波ノイズは速度検出値に含まれる高周波ノイズより小さくなるため、ローパスフィルタLPFの時定数τを低減することができる。
更に、図10は、本発明の第4実施形態に係る二慣性系模擬装置の構成図である。
この第4実施形態が第3実施形態と相違する点は、モータMの速度検出値の代わりにモータMの速度検出値をトルクTと共に模擬負荷制御装置30に入力している点であり、以降の制御は第3実施形態と同じである。
この第4実施形態においてはモータMの速度検出値を模擬負荷制御装置30側に伝送する手段が必要となるが、モータMの速度を直接検出できない場合でも二慣性系を模擬することが可能になる。
本発明は、サーボシステムを始めとしたモータ制御装置や駆動機器の開発・検証に利用することができ、これらの装置を使用して駆動システムを調整する者を対象とした教育・訓練のためのツールとしても活用可能である。
10:モータ制御装置
20:カップリング部
30:模擬負荷制御装置
31a~31c:加減算手段
32:速度オブザーバ
:第1のモータ
:第2のモータ
LPF:ローパスフィルタ

Claims (5)

  1. モータ制御装置により駆動される第1のモータの回転軸にカップリング部を介して第2のモータの回転軸を結合し、前記第2のモータまたは第1のモータの速度信号vを入力として前記第2のモータがトルクTを出力するように前記第2のモータを制御する模擬負荷制御装置を備え、
    前記模擬負荷制御装置は、
    前記第1のモータの回転軸と一体的に動くと想定される部分の慣性を第1の模擬慣性Jとし、前記カップリング部以降に前記第1のモータの回転軸よりも剛性が低く、前記第1の模擬慣性Jと弱く結合して動く部分が存在することを想定してその部分の慣性を第2の模擬慣性Jとし、前記第1の模擬慣性Jと、前記第2の模擬慣性Jと、前記第1の模擬慣性Jと前記第2の模擬慣性Jとの間の弾性定数K及び減衰係数Cと、前記第1のモータ及び前記第2のモータ並びに前記カップリング部を合わせた実際の全慣性Jと、を設定項目として有し、
    前記第2のモータが出力するトルクTを、
    前記設定項目と、二慣性系を模擬する制御により生じる位相遅れを補償するための補償用減衰係数Ccmpを前記減衰係数Cに加えた補償後の減衰係数C’=C+Ccmpを定数として有する伝達関数H(s)と、ローパスフィルタの伝達関数と、を前記速度信号vに演算することにより与えることを特徴とする二慣性系模擬装置。
  2. 請求項1に記載した二慣性系模擬装置において、
    前記伝達関数H(s)を、以下の数式Aにより与えることを特徴とする二慣性系模擬装置(sはラプラス演算子)。
    Figure 2022077605000013
  3. 請求項1または2に記載した二慣性系模擬装置において、
    前記補償用減衰係数Ccmpは、前記伝達関数H(s)と前記ローパスフィルタの伝達関数との積の絶対値が1となるゲイン交差周波数ωにおいて、前記ローパスフィルタによる演算及び前記トルクTの演算が行われてから前記トルクTが印加されたことにより変化した速度が速度信号vに反映されるまでの遅延時間によって生ずる位相遅れΔθに対して、補償後の減衰係数C’=Ccmpとして前記伝達関数H(s)を求めた時の位相∠H(s)が前記位相遅れΔθと等しくなるように与えることを特徴とする二慣性系模擬装置。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載した二慣性系模擬装置において、
    模擬しようとする二慣性系の共振周波数を、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数未満に限定したことを特徴とする二慣性系模擬装置。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載した二慣性系模擬装置において、
    前記速度信号vを、前記第2のモータまたは前記第1のモータの速度検出値または速度推定値、或いは、前記モータ制御装置により前記第1のモータを速度制御する際の速度指令値として与えることを特徴とする二慣性系模擬装置。
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