JP2022076450A - 導電性部材、プロセスカートリッジ、及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

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東照 後藤
Tosho Goto
真樹 角田
Maki Tsunoda
尚 樋口
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Abstract

【課題】高速化及び長寿命化された電子写真プロセスにおいて、帯電部材に付着した汚れ物質に起因して発生する白ポチ画像の発生を抑制する。【解決手段】導電性を有する支持体31と、該支持体の外表面上に設けられた導電層32とを有する導電性部材であって、該導電層は、第1のゴムの架橋物と第1の導電性粒子とを含むマトリックスと、第2のゴムの架橋物と第2の導電性粒子とを含むドメインを有し、マトリックス中に1次粒子として存在している第1の導電性粒子の平均一次粒子径d1が200nm以上であり、ドメイン中の第2の導電性粒子の平均一次粒子径d2が50nm以下であり、且つ、ドメインのうちの80個数%以上が、ドメインの断面積に対するドメインが含む第2の導電性粒子の断面積の割合が20%以上であり、ドメインの円相当径が4×d2以上を満たす、ことを特徴とする電子写真用部材。【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真用の導電性部材、プロセスカートリッジ、及び電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置は、帯電部材、転写部材、及び現像部材を有する。帯電部材は、電子写真感光体との間に放電を発生させ、電子写真感光体表面を帯電させる部材である。現像部材は、その表面に被覆された現像剤の電荷を摩擦帯電によって制御し、均一な帯電量分布を与え、次いで、印加された電界にしたがって、現像剤を電子写真感光体の表面に均一に転写する部材である。転写部材は、電子写真感光体から、紙等の印刷媒体、あるいは中間転写体に現像剤を転写させると同時に、放電を発生させて転写後の現像剤を安定化させる部材である。
上記の帯電部材、転写部材、及び現像部材として、導電性部材が使用されている。これらの導電性部材は、それぞれ電子写真感光体や、中間転写体、印刷媒体などの当接物体に対して、均一な帯電を達成する必要がある。そのような導電性部材として、導電性の支持体と、支持体上に設けられた導電層を有する構成のものが知られている。導電性部材は、導電性の支持体から導電性部材の表面まで電荷を輸送し、当接物体に対して、放電、あるいは摩擦帯電によって電荷を与える役割を担う。
特許文献1には、均一な帯電を達成するための帯電部材が開示されている。この帯電部材は、電子導電性であるポリマー粒子相をイオン導電性の半導電性のポリマー連続層に分散させた弾性体層を有する。
特許文献2には、高速の電子写真画像形成プロセスに適用した場合にも、安定して被帯電体を帯電させ得る帯電部材が開示されている。この帯電部材は、第1のゴムを含むマトリックスとマトリックス中に分散された第2のゴム及び電子導電材を含む複数個のドメインを分散させた弾性体層を有する。
特開2002-3651号公報 特開2020-166210号公報
近年、電子写真画像形成プロセスは高速化および長寿命化され、装置の小型化を目的として、感光体上に残存した現像剤(トナー)を取り除く清掃部材を有していない構成(以下、「クリーナーレス構成」ともいう)の電子写真画像形成装置が提供されている。
本発明者らは、特許文献1、および特許文献2に係る帯電部材を上記電子写真画像形成装置に適用して、長期間の画像形成を試みた。その結果、紙上に転写されずに感光体上に残存したトナーなどの付着物が、帯電部材表面に顕著に堆積し、その堆積箇所で過放電が生じ、白い斑点形状の画像(以降、白ポチ画像)が発生する場合があった。
本発明の一態様は、高速化、且つ、長寿命化された電子写真画像形成プロセスに適用した場合、さらには、クリーナーレス構成においても、高品位な画像形成を長期にわたって可能とする導電性部材の提供に向けたものである。また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像形成に資するプロセスカートリッジの提供に向けたものである。さらに、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、導電性を有する支持体と、該支持体の外表面上に設けられた導電層とを有する導電性部材であって、該導電層は、第1のゴムの架橋物と第1の導電性粒子とを含むマトリックスと、第2のゴムの架橋物と第2の導電性粒子とを含むドメインと、を有し、該第1の導電性粒子の少なくとも一部は、該第1のゴムの架橋物中に一次粒子として存在しており、該導電層の長手方向の長さをL、該導電層の厚さをTとしたとき、該導電層の長手方向の中央、および該導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、該導電層の厚さ方向の断面の各々について、該導電層の外表面から深さ0.1~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置いたとき、全9個の該観察領域の各々で観察される、マトリックス中に1次粒子として存在している該第1の導電性粒子の平均一次粒子径d1が200nm以上であり、該観察領域の各々で観察されるドメイン中の第2の導電性粒子の平均一次粒子径d2が50nm以下であり、且つ、該観察領域の各々で観察されるドメインのうちの80個数%以上が下記要件(i)及び要件(ii)を満たすことを特徴とする導電性部材:
要件(i)
該ドメインの断面積に対する該ドメインが含む該第2の導電性粒子の断面積の割合が20%以上、
要件(ii)
該ドメインの円相当径が4×d2以上。
本発明によれば、高速化、且つ、長寿命化された電子写真画像形成プロセスに適用した場合、さらには、クリーナーレス構成においても、高画質を長期にわたり維持できる、帯電部材、現像部材または転写部材に用い得る導電性部材が得られる。また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を安定して出力できる電子写真画像形成装置、及び、それに用いられるプロセスカートリッジが得られる。
電子写真プロセスの放電電流量の経時変化を説明するための図である。 本発明の一実施形態による導電性部材の導電層の部分断面図である。 本発明の一実施形態による導電性ローラの断面図である。 周波数に対するインピーダンスの絶対値の変化を示すグラフである。 本発明に係る導電性部材を備えるプロセスカートリッジの断面図である。 本発明に係る導電性部材を備える電子写真画像形成装置の概略構成図である。 帯電ローラに測定電極を形成した状態を説明するための模式図である。 帯電ローラに測定電極を形成した状態の断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
本発明は、高速化、且つ長寿命化された電子写真画像形成プロセスにおいて、帯電部材に付着した汚れ物質に起因して発生する白ポチ画像の発生を抑制することを目的としている。
本発明における汚れ物質とは、転写プロセスにおいて、紙、あるいは中間転写体に対して、感光ドラム表面上のトナーおよび外添剤を転写する際に、全量転写されずに、一部が感光ドラム表面に残存し、帯電部材に到達して付着する物質を指す。
トナー及び外添剤は、現像プロセスにおいて感光ドラムに適切に移行できるように、一定の電荷を保有する必要があるため、絶縁性を有する場合が多い。このため、トナー及び外添剤などの汚れ物質も絶縁性を有する。現像容器内で、トナー及び外添剤は、正、或いは負に大きく偏った極性の電荷を帯びている。これに対して、紙や中間転写体に転写されず、感光ドラムに残存したトナーや外添剤の汚れ物質は、帯電部材に到達するまでに、摺擦などの影響を受けることで、正負の極性に対して一定の分布を有する電荷を帯びている。
一方で、帯電部材(以下、「帯電ローラ」ともいう)は、感光ドラムに対して放電を発生させるように構成されている。具体的には、直流電圧を帯電部材に印加し、帯電部材と感光ドラム表面との間に電位差を発生させる。この場合、帯電部材と感光ドラムとの間の電位差に対して、帯電バイアスの極性と正負が逆極性の成分については、静電引力によって帯電部材側に付着することを回避することは困難である。したがって、長期の使用を想定した帯電部材には、下記に説明するような、帯電ローラに汚れ物質が付着しても、汚れ物質由来の異常な放電を抑制する手段を用いることが望ましい。
次に、汚れ物質に起因する異常放電が原因として発生する、白ポチ画像について説明する。帯電ローラと感光ドラムとの間でパッシェン則に倣い放電現象が生じ、感光ドラムの表面は印加電圧に応じて負、或いは正の電荷で帯電される。放電は中性の空気が電界で電離して発生するので、逆極性の電荷も同時に発生する。すなわち、放電とは逆極性の正、或いは負の電荷が、電界により、帯電ローラに向かう。帯電ローラは導電性部材であるため、汚れ物質が帯電ローラの表面に付着していない状態であれば、帯電ローラの表面が放電とは逆極性の電荷でチャージアップしても、その導電性により、電荷は表面から基体側へ抜ける。しかしながら、帯電ローラの表面に絶縁性の汚れ物質(トナーや外添剤)が付着していると、放電とは逆極性の電荷は、表面から基体側へ抜けることなく、表面でトラップされる。この時、帯電ローラの表面に付着した汚れ物質は、放電とは逆極性、すなわち、帯電ローラに印可されている電圧とは逆極性の電荷を帯びる。このような逆極性の電荷を帯びた汚れ物質と、汚れ物質が付着している領域の周辺領域との間には、ごく近距離で、逆極性の電荷が存在することになる。このため、非常に強い電界が発生し、この非常に強い電界によって、異常に過大な放電が発生する場合があった。
加えて、高速プロセスにおける放電状態を、オシロスコープを用いて詳細に解析した。具体的には、感光ドラムを回転させながら、放電を発生させる電子写真プロセスにおいて、感光ドラムの表面の一点を経時で追跡した。図1は、放電電流量の経時変化を説明するための図である。電子写真プロセスにおいては、放電の開始地点から終了地点までに、放電が持続して発生しているのではなく、図1(a)に示すように複数回の放電が繰り返し発生する。高周波数域の放電が起こりにくいタイミングにおいて、図1(b)に示すように放電の抜けが発生する。場合によっては、図1(c)に示すように、放電の抜けが発生したタイミングの次のタイミングの放電で過剰に電荷が供給されることで、放電量の多い放電、すなわち過放電が発生する場合があることが分かった。
以上から、本発明者らは、高速化、且つ長寿命化された電子写真画像形成プロセスにおいて、白ポチ画像の発生を抑制するためには、以下の(a)及び(b)の条件を満たす必要があるとことを見出した。
(a)汚れ物質のチャージアップを抑制し、汚れ物質が付着した部分に非常に強い電界がかかることを回避すること;
(b)放電しにくい高周波数域においても放電の抜けを抑制し、放電が抜けた直後に過剰な電荷が表面に供給されることを回避すること。
さらに、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下の要件(A)及び要件(B)を満たす帯電ローラは、上記(a)及び(b)の条件を満たすことで、高速化、且つ高寿命化されたプロセスにおいても白ポチ画像の発生を抑制できることを見出した。
要件(A):
導電層は、第1のゴムの架橋物と第1の導電性粒子とを含むマトリックスと、第2のゴムの架橋物と第2の導電性粒子とを含むドメインと、を有する。第1の導電性粒子の少なくとも一部は、該第1のゴムの架橋物中に一次粒子として存在する。導電層の長手方向の長さをL、該導電層の厚さをTとしたとする。導電層の長手方向の中央、および該導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、導電層の厚さ方向の断面の各々について、該導電層の外表面から深さ0.1~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置く。このときの全9個の該観察領域の各々で観察される、マトリックス中に1次粒子として存在している該第1の導電性粒子の平均一次粒子径d1が200nm以上である。
要件(B):
上記観察領域の各々で観察されるドメイン中の第2の導電性粒子の平均一次粒子径d2が50nm以下であり、且つ、該観察領域の各々で観察されるドメインのうちの80個数%以上が、下記の要件(B1)及び(B2)を満たす。
要件(B1):
該ドメインの断面積に対する該ドメインが含む第2の導電性粒子の断面積の割合が20%以上である。
要件(B2):
該ドメインの円相当径が、4×d2以上である。
上記の要件(A)は、マトリックス・ドメイン構造におけるマトリックス中にストラクチャーを形成せずに一次粒子の状態で第1の導電粒子が存在しており、導電化していないことを示す。ここで、導電化しているとは、電子導電剤がストラクチャーを形成することによって、ストラクチャーを介して電荷が移動し、著しく電気抵抗が低下することを示す。なお、本発明における一次粒子の状態とは、粒子内に界面がない状態と定義する。
上記の要件(B)は、マトリックス中にドメインが分散し、ドメイン同士が連結していないマトリックス・ドメイン構造におけるドメイン中に分散している第2の導電性粒子の平均一次粒子径が小さく、高充填であることを示す。すなわち、要件(B)は、ドメイン中において第2のゴムと第2の導電性粒子の界面積が非常に大きいこと、加えて、第2の導電性粒子がストラクチャーを形成することで高い導電性を発現していることを示す。
図2に、本発明の一実施形態による、ローラ形状を有する導電性部材(以降、「導電性ローラ」ともいう)の長手方向に対して垂直方向の導電層の部分断面図を示す。図2に示すように、導電層は、マトリックス21とドメイン23とを有するマトリックス・ドメイン構造を有する。マトリックス21は、第1のゴムの架橋物と第1の導電性粒子22を含む。ドメイン23は、第2のゴムの架橋物と第2の導電性粒子24を含む。
上記マトリックス・ドメイン構造において、要件(A)により、マトリックス21は導電化していない。要件(B)により、第2の導電性粒子24の一次粒径が小さく、且つ、高充填されている。これにより、第2のゴムと第2の導電性粒子24の界面積が非常に大きくなるため、ドメイン23は、ドメイン中のマトリックス21との界面近傍に多くの電荷を蓄積することが可能となる。ドメイン中に蓄積された電荷は、帯電部材の表面で放電により電荷が消費された際に、後述するドメインとマトリックス中の第1のゴム及びドメインにかかる分担電圧により、速やかに帯電部材表面に供給される。この放電直後に速やかに電荷が供給される特性により、図1(b)に示すような放電の抜けの発生を抑制することができる。その結果、図1(c)に示すような次の放電タイミングで過剰な量の電荷が供給されることで過放電を誘発する現象を防止することができる。
なお、導電性支持体側から電圧を印加した際には、マトリックス中の第1のゴム及び第1の導電性粒子とドメインに分担される形で電圧がそれぞれに印加される(以降、「分担電圧」ともいう)。しかしながら、マトリックス中の第1の導電性粒子は導体であり、且つ、単独で存在するため、第1の導電性粒子の第1のゴムとの界面積は小さい。このため、第1の導電性粒子にかかる分担電圧は著しく小さく、導電層にかかる電圧の大半はマトリックス中の第1のゴムとドメインに印加されることとなる。結果として、マトリックス中に第1の導電性粒子が一次粒子の状態で存在していることで、マトリックス中の第1のゴム、及び、ドメインに印加される分担電圧は増大する。ドメインに印加される分担電圧が増大することで、ドメイン中に蓄積した電荷を表面に供給する際に、電荷が放出されやすくなる。加えて、マトリックス中の第1のゴムにかかる分担電圧が増大することで、ドメインとドメインの間、または、ドメインと第1の導電性粒子の間の電荷供給が速やかに行われる。これにより、放電で消費された電荷を次の放電タイミングまでに、ドメイン中に蓄積していた電荷を用いて、より速やかに供給することが可能となる。
また、要件(A)で示されるマトリックス中に存在する第1の導電性粒子は、前述の通りそれ自身が導体であり、単独で存在するために、第1のゴムとの界面積も小さい。そのため、ドメインと異なり、電荷蓄積能はほとんどないために、ドメインに比べて、帯電部材表面に堆積した汚れ物質が放電を受けて逆極性にチャージアップした電荷を導電性支持体側へより速やかに抜くことができる。
また、チャージアップした電荷は、導電性支持体側から印加している電圧と逆極性であるために、電界に引っ張られて導電性支持体側へ抜けていく。しかし、マトリックス中に一次粒子として第1の導電性粒子が存在することで、前述の通り、マトリックス、及び、ドメインにかかる分担電圧も増大する。このため、マトリックス及びドメインを介して抜けるチャージアップした電荷についても、より速やかに導電性支持体側へ抜くことが可能となる。
以上から、要件(A)及び要件(B)を満たす帯電部材は、前述の(a)及び(b)の条件を満たすことで、高速化、且つ長寿命化された電子写真画像形成プロセスにおいて、白ポチ画像の発生を抑制し、高品位で安定した画像を提供することが可能となる。
本発明に係る導電性部材について、導電性ローラを例に、図3を参照して説明する。図3は、導電性ローラの軸方向である長手方向に対して垂直な断面の構成を示す断面図である。導電性ローラは、円柱状の導電性の支持体31と、支持体31の外周面、すなわち外表面上に形成された導電層32とを有する。
<導電性支持体>
支持体31を構成する材料としては、電子写真用の導電性部材の分野で公知なものや、導電性部材として利用できる材料から適宜選択して用いることができる。一例として、アルミニウム、ステンレス、導電性を有する合成樹脂、鉄、銅合金などの金属又は合金が挙げられる。
さらに、これらに対して、酸化処理やクロム、ニッケルなどで鍍金処理を施してもよい。鍍金の種類としては電気鍍金、無電解鍍金のいずれも使用することができる。寸法安定性の観点から無電解鍍金が好ましい。ここで使用される無電解鍍金の種類としては、ニッケル鍍金、銅鍍金、金鍍金、その他各種合金鍍金を挙げることができる。
鍍金厚さは、0.05μm以上が好ましく、作業効率と防錆能力のバランスを考慮すると、鍍金厚さは0.10μm以上、30.00μm以下であることが好ましい。支持体31の円柱状の形状は、中実の円柱状でも、中空の円柱状(円筒状)でもよい。また、支持体の外径は、3mm以上、10mm以下の範囲が好ましい。
<導電層>
高速化・高寿命化された電子写真プロセスにおいても、白ポチ画像の発生を抑制するために、前述の要件(A)及び要件(B)を満たしている。具体的には、汚れ物質のチャージアップを抑制し、且つ、高周波域での放電の抜けを抑制することで、過剰な電荷が帯電部材の表面に供給されることを防止する。
要件(A)はマトリックス・ドメイン構造におけるマトリックス中にストラクチャーを形成せずに、一次粒子の状態で第1の導電粒子が存在しており、一次粒子の状態で存在しているためにマトリックス部は導電化していないことを示している。
要件(B)はドメイン中に分散している第2の導電性粒子の平均一次粒子径が小さく、高充填であることで、第2のゴムと第2の導電性粒子の界面積が非常に大きいこと、また、ドメインが高い導電性を発現することを示している。
要件(A)及び要件(B)に加えて、下記の構成(i)~(v)を満たすことがより好ましい。
(i)マトリックスの体積抵抗率が1.0×10Ω・cmより大きく、1.0×1017Ω・cm以下であること。
(ii)ドメインの体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下であること。
(iii)ドメイン間の隣接壁面間距離が、0.2μm以上、2.0μm以下の範囲内であること。
(iv)マトリックス中の第1の導電性粒子の内、90個数%以上が一次粒子で存在し、且つ、マトリックス中の第1の導電性粒子と最近接のドメインとの間の距離が0.1μm以上であること。
(v)マトリックス中の第1の導電性粒子の個数をN(A)、ドメインの個数をN(B)とした時、N(A)/N(B)が0.2~3.0であること。
<構成(i)>
本構成では、前述の通りマトリックス中に一次粒子で第1の導電性粒子が存在するために、ドメイン中にかかる分担電圧が増大することで、ドメインを介した電荷移動が促進される。そのため、マトリックスの体積抵抗率が1.0×10Ω・cmより大きく、1.0×1017Ω・cm以下の範囲であれば、電荷がドメインを迂回してマトリックス内に漏洩する。これにより、導電層32内を連通する導電経路が形成されているか如き状態になることを防止することが可能である。
さらに、マトリックスの体積抵抗率は、1.0×1012Ω・cmより大きく、1.0×1017Ω・cm以下であることがより好ましい。
<マトリックスの体積抵抗率の測定方法>
マトリックスの体積抵抗率は、導電層32を薄片化し、微小探針によって計測することができる。薄片化する手段としては、例えば、鋭利なカミソリや、ミクロトーム、収束イオンビーム法(FIB)などが挙げられる。
薄片の作製に関しては、ドメインの影響を排除し、マトリックスのみの体積抵抗率を計測する必要がある。このため、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いて予め計測したドメイン間距離よりも小さい膜厚の薄片を作成することが好ましい。したがって、薄片化の手段としては、ミクロトームのような非常に薄いサンプルを作成できる手段が好ましい。
体積抵抗率の測定は、まず、当該薄片の片面を接地した後に、薄片中のマトリックスとドメインの場所を特定する。これらの場所の特定は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)や原子間力顕微鏡(AFM)など、マトリックスとドメインの体積抵抗率あるいは硬度の分布を計測できる手段によって行うことができる。次いで、当該マトリックスに探針を接触させ、50VのDC電圧を5秒間印可して、5秒間の接地電流値の算術平均値を測定し、測定値を電圧で除することで電気抵抗値を算出する。そして、薄片の膜厚を用いて、電気抵抗値を体積抵抗率に変換する。このとき、SPMやAFMのような薄片の形状測定も可能な手段であれば、当該薄片の膜厚を計測でき、体積抵抗率を測定可能であるため、好適である。
円柱状の導電性部材におけるマトリックスの体積抵抗率の測定では、導電層を周方向に4分割し、さらに長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出す。それぞれの薄片サンプルについて、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルの体積抵抗率の算術平均値を算出する。
<構成(ii)>
ドメインの体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下であれば、ドメインの体積抵抗率が十分に低い状態を確保することができる。その結果、マトリックスで目的としない電荷の移動を抑制しつつ、電荷の輸送経路をより効果的な複数のドメインを介する経路に限定することができる。
さらに、ドメインの体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
ドメインの体積抵抗率は、ドメインのゴム成分に対し、導電剤を使用することによって、その導電性を所定の値にすることで調整する。
ドメイン用のゴム材料としては、マトリックス用としてのゴム成分を含むゴム組成物を用いることができる。ただし、この場合、マトリックス・ドメイン構造を形成するためにマトリックスを形成するゴム材料との溶解度パラメータ(SP値)の差を以下の範囲とすることが好ましい。すなわち、SP値の差を、0.4(J/cm0.5以上、5.0(J/cm0.5以下、特には、0.4(J/cm0.5以上、2.2(J/cm0.5以下にすることがより好ましい。
ドメインの体積抵抗率は、電子導電剤の種類、およびその添加量を適宜選択することによって調整することができる。ドメインの体積抵抗率を1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下に制御するために使用する導電剤としては、分散する量によって高抵抗から低抵抗まで体積抵抗率を大きく変化させることができる電子導電剤が好ましい。
ドメインに配合される電子導電剤については、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属;酸化物または金属が表面に被覆され導電化された粒子等を例として挙げられる。また、必要に応じて、これらの導電剤の2種類以上を適宜量配合して使用しても良い。
以上の様な電子導電剤のうち、ゴムとの親和性が大きく、電子導電剤間の距離の制御が容易な、導電性のカーボンブラックを使用することが好ましい。ドメインに配合されるカーボンブラックの種類については、特に限定されるものではないが、平均一次粒子径が50nm以下の電子導電剤を用いることで、十分な導電性を得ることが可能となる。より好ましくは平均一次粒子径が30nm以下である。
導電性のカーボンブラック等の電子導電剤は、ドメインに含まれるゴム成分の100質量部に対して、20質量部以上、150質量部以下でドメインに配合されることが好ましい。特に好ましい配合割合は、50質量部以上、100質量部以下である。これらの割合での導電剤の配合は、一般的な電子写真用の導電性部材と比較して、導電剤が多量に配合されていることが好ましい。これにより、ドメインの体積抵抗率を1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下の範囲に容易に制御することができる。
また、必要に応じて、ゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、老化防止剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、軟化剤、分散剤、着色剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲でドメイン用のゴム組成物に添加してもよい。
<ドメインの体積抵抗率の測定方法>
ドメインの体積抵抗率は、測定箇所をドメインに相当する場所に変更し、電流値の測定の際の印加電圧を1Vに変更した以外は、上述のマトリックスの体積抵抗率の測定方法と同様の方法で測定を行なうことができる。
<構成(iii)>
ドメイン間の隣接壁面間距離(以下、「ドメイン間距離」ともいう)が0.2μm以上、2.0μm以下であれば、ドメインからマトリックスへの電荷の漏洩がなく、ドメインで蓄積した電荷を、効果的にドメインからドメインに供給することが可能となる。
さらに、効率的にドメインからドメインに電荷を供給する観点から、ドメイン間距離は2.0μm以下であることが好ましい。また、マトリックスへの電荷漏洩を抑制する観点から、ドメイン間距離は0.3μm以上であることがより好ましい。
<ドメイン間距離の測定方法>
ドメイン間距離の測定方法は、次のように実施すればよい。
まず、前述のマトリックスの体積抵抗率の測定における方法と同様の方法で切片を作製する。次いで、凍結割断法、クロスポリッシャー法、収束イオンビーム法(FIB)等の手段で破断面を形成する。破断面の平滑性と、観察のための前処理を考慮すると、FIB法が好ましい。また、ドメインとマトリックス及び第1の導電性粒子とのコントラストの差を得るために、染色処理によりドメインを染色することが好ましい。
破断面の形成、及び、前処理を行った切片を、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察して、マトリックス・ドメイン構造の存在を確認する。これらの中でも、ドメインの面積の定量化の正確性から、SEMで1000倍~100000倍で観察を行うことが好ましい。
ドメイン間距離の測定は、マトリックス・ドメイン構造が現れている破断面の撮影画像を定量化することによって行なうことが好ましい。SEMでの観察により得られた破断面画像に対し、画像処理ソフト(例えば、「Luzex」(商品名、ニレコ社製))を使用して、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化を実施する。次いで、画像内のドメインサイズ群の壁面間距離を算出する。このときの壁面間距離は、近接したドメイン間の最短距離である。
円柱形状の帯電部材の場合では、導電層の長手方向の長さをL、導電層の厚さをTとしたとき、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、導電層の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層の外表面から支持体方向への深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に50μm四方の観察領域を置き、この全9個の観察領域の各々で観察される各ドメイン間距離を測定すればよい。切片は、電荷の移動方向である支持体から導電層外表面を含む面を観察することが必要であることから、支持体の中心軸を起点とする法線を含む断面を観察することができる方向で切り出す。
<構成(iv)>
マトリックス中の第1の導電性粒子の内、90個数%以上が一次粒子で存在し、且つ、マトリックス中の第1の導電性粒子と最近接のドメインとの間の距離が0.1μm以上である。これは、マトリックス中の第1の導電性粒子がストラクチャーを形成していないこと、マトリックス中の第1の導電性粒子とドメインが繋がっておらず、例えば第1の導電性粒子とドメインが繋がって過剰な電荷移動が生じないことを示している。これにより、電荷をドメインに蓄積することが可能となる。
なお、マトリックス中で第1の導電性粒子がストラクチャーを形成していないこと、第1の導電性粒子とドメインが繋がって著しい電荷移動が生じていないことは、下記インピーダンス特性を測定することによっても判断することが可能である。
交流電圧に直流電圧を重畳して測定した周波数1.0×10-1Hzにおけるインピーダンス測定において、直流電圧0VでのインピーダンスをインピーダンスA、直流電圧10VでのインピーダンスをインピーダンスBとする。上記判断は、インピーダンスA/インピーダンスBが60以下であることである。マトリックス中で第1の導電性粒子がストラクチャーを形成していない場合や、第1の導電性粒子とドメインが繋がって著しい電荷移動が生じている場合には、直流電圧を上げていった際にドメイン中に電荷を蓄積することが困難となる。このため、直流電圧を印加しなかった場合のインピーダンスAに対して直流電圧を10V印加した場合のインピーダンスBが著しく小さくなる。結果として、インピーダンスA/インピーダンスBが大きくなる。本発明者らは、インピーダンスB/インピーダンスA≦60であれば、ドメイン中に十分な電荷を蓄積することが可能であると判断した。ここで、インピーダンスAは1.0×10Ω~1.0×10Ωであることが好ましい。
<インピーダンス測定方法>
インピーダンスの測定に際し、導電性部材と測定電極との間の接触抵抗の影響を排除するために、低抵抗な薄膜を導電性部材の表面に堆積させ、当該薄膜を電極として使用し、一方で導電性の支持体を接地電極として2端子でインピーダンスを測定する。
当該薄膜の形成方法としては、金属蒸着、スパッタリング、金属ペーストの塗布、金属テープを貼付するなどの金属膜の形成方法を挙げることができる。これらの中でも、導電性部材との接触抵抗の低減という観点で、白金やパラジウムのような金属薄膜を蒸着によって電極として形成する方法が好ましい。
導電性部材の表面に金属薄膜を形成する場合、その簡便さおよび薄膜の均一性を考慮すると、真空蒸着装置に対して帯電部材を把持できる機構を付与することが好ましい。また、断面が円柱状の導電性部材に対しては、さらに回転機構を付与した、真空蒸着装置を使用することが好ましい。
断面が円形状などの曲面で構成される、例えば円柱状の導電性部材に対しては、上記の測定電極としての金属薄膜と、インピーダンスの測定装置との接続が困難になるため、次のような方法を用いることが好ましい。具体的には、導電性部材の長手方向に、10mm~20mm程度の幅の金属薄膜電極を形成したのち、金属シートを隙間なく巻き付け、当該金属シートと、測定装置から出ている測定電極と接続して測定すればよい。これにより、測定装置にて、導電性部材の導電層からの電気信号を好適に取得でき、インピーダンス測定を実施することができる。金属シートとしては、インピーダンスを測定するに際して、測定装置の接続ケーブルの金属部と同等の電気抵抗値である金属シートであればよく、例えば、アルミホイルや金属テープ等を用いることができる。
インピーダンスの測定装置は、インピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ、スペクトルアナライザ等、1.0×10Hzまでの周波数領域におけるインピーダンスを測定できる装置であればよい。これらの中でも導電性部材の電気抵抗域から、インピーダンスアナライザによって測定することが好ましい。
インピーダンスの測定条件に関して述べる。インピーダンス測定装置を使用し、1.0×10-1Hzの周波数領域におけるインピーダンスを測定する。測定は、温度23℃、湿度50%RHの環境下で行なう。測定のばらつきを低減するために、周波数1桁あたり5点以上の測定点を設けることが好ましい。また、交流電圧の振幅は1Vである。
測定電圧に関しては、まず直流電圧を印可せずに交流電圧のみで測定を行い、その後、直流電圧を上記の交流電圧に重畳印可しながら測定を行う。重畳する直流電圧は10Vが好ましい。これは、一般的な電子写真画像形成装置において、帯電ローラに印加される分担電圧が10V程度であることによる。
<構成(v)>
本発明では、第2の導電性粒子が高充填されているドメインは、ドメイン中のマトリックスとの界面側に電荷を蓄積するが、マトリックス中に一次粒子の状態で存在している第1の導電性粒子については、前述の通り電荷の蓄積はほとんど生じない。そのため、マトリックス中の第1のゴム及びドメインにかかる分担電圧が増大することで、放電により帯電部材表面の電荷が消費された後に、ドメインに蓄積していた電荷を迅速に供給可能である。これにより、高周波域での放電の抜けを防止することによる過剰な電荷移動を防止し、加えて、汚れ物質にチャージアップした電荷を導電性基体側へ速やかに抜くことが可能となることで白ポチ画像の発生を防止可能である。
マトリックス中の第1の導電性粒子の個数をN(A)、ドメインの個数をN(B)とした時、N(A)/N(B)が0.2~3.0である場合が好ましい。なお、N(A)/N(B)が0.2未満の場合には、第1の導電性粒子の数が十分でないために、上記効果が十分に得られない。また、N(A)/N(B)が3.0を超えた場合には、第1の導電性粒子の個数が多いために、構成(iv)で説明した第1の導電性粒子が一次粒子で存在する割合が減少したり、ドメインと第1の導電性粒子が繋がってしまう領域が起こりやすくなる。より好ましくは、N(A)/N(B)が0.35~0.70である。
本発明では、以下のインピーダンス特性を満たしていることがより望ましい。
<第一要件>
周波数1.0×10Hz~1.0×10Hzにおけるインピーダンスの傾き(以下、「高周波インピーダンスの傾き」ともいう)が、-0.8以上であること。
<第二要件>
周波数1.0×10-2Hz~1.0×10Hzのインピーダンス(以下、「低周波インピーダンス」ともいう)が1.0×10Ω以上、1.0×10Ωであること。
なお、導電性部材の等価回路は、電気抵抗Rと静電容量Cの並列回路で表され、インピーダンスの絶対値Zは下記式(1)で表現できる。
Figure 2022076450000002
第一要件は、高周波数側で導電性部材内での電荷の停滞が発生しにくいことを示している。高周波の電圧に対して電荷の動きが追随できず、停滞する場合、電気抵抗値Rが大きく増大した、いわば絶縁の静電容量を計測している状態であると推測できる。電荷が停滞した状態は、式(1)でRを無限大に近似した状態であると、考えることができ、分母の要素を抜き取った下記式(2)において、R-2が(2πf)に対して非常に小さい値をとる近似が可能になる。したがって、式(1)はR-2を除去した下記式(3)のような近似を施した式変形が可能となる。最後に、式(3)に対して両辺対数をとる式変形を行うと、下記式(4)となり、logfの傾きが-1になる。
Figure 2022076450000003
つまり、高周波インピーダンスの傾きが-1の場合は、高周波の電圧に対して電荷の動きが追随できていないことを意味しており、放電のための電荷の供給が放電の周波数に追随できなくなり、放電のできないタイミングが生じることとなる。放電ができないタイミングが発生することは、直後の放電タイミングで蓄積した電荷が一度に移動し得ることを意味しており、一度に多量な電荷が移動してしまった場合に過剰な放電を誘発し得る。
一方、高周波インピーダンスの傾きが-0.8以上である導電性部材は、高周波数側で電荷の供給が停滞し難い。その結果、インピーダンスが一定値をとる低周波数域から高周波数域までの周波数の放電、特に電荷の停滞が生じやすい高周波数側の放電に対して、電荷の供給を可能にする。電荷の供給が潤沢に実現できるために、放電の抜けが発生しない。電荷が一度に移動することを抑制し、過剰な放電を抑制することが可能となる。
当該高周波数領域の範囲は、導電性部材から発生する放電の周波数のうちで、最も周波数が大きい領域の放電であるため、放電の抜けが発生しやすい領域であると考えられる。つまり、放電の抜けが発生しやすく、直後の放電タイミングで過剰な放電を誘発しやすい領域である。このような周波数領域において傾きが-1よりも大きい上記の範囲の値を示すことで、放電の抜けに起因した過剰な放電の発生を抑制することができる。
なお、高周波インピーダンスの測定周波数域は、帯電部材としての電子写真用の帯電ローラと感光ドラムを組合せた場合における一般的な放電の周波数を予測すると、次のような範囲となると発明者らは考えている。
感光ドラムの外表面に対向して設けられ、感光ドラムと同期して回転移動する帯電ローラの表面の移動方向における放電領域を0.5mm~1mmに設定する。電子写真画像形成装置のプロセススピードが最大で100~500mm/secとすると、感光ドラムの表面が放電領域を通過する時間は、1.0×10-3sec~1.0×10-2sec以上である。また、放電を詳細に観察すると、単発の放電による放電領域の長さは0.01mm~0.1mmであるため、帯電ローラの表面の同一点が放電領域を通過する間に、少なくとも5~100回の放電が発生していることが推測される。したがって、帯電ローラが発生させる放電の周波数は数Hz~1.0×10Hzの範囲であることが推測される。より高速プロセスになるにしたがって、放電の周波数をより高くして放電の回数を増大させる必要があるため、上記範囲の中でも特に、1.0×10Hz~1.0×10Hzの如き高周波数領域における放電および導電機構の制御が重要と考えた。
第二要件の低周波インピーダンスは、電荷が停滞しにくい特性を表している。周波数を0に近似すると、電気抵抗値Rに近似できることから、電気抵抗値Rは、電荷が単一方向に移動する際の能力を表すことが分かる。
したがって、低周波数の電圧を印可しながらの測定では、電圧の振動に電荷の動きが追随できた状態での電荷の移動量を模擬していると想定できる。
低周波数における電荷の移動量は、帯電部材から測定電極との間での電荷の移動しやすさの指標であり、さらに、帯電部材の表面から感光ドラムに対して、放電によって電荷を移動させられる電荷量の指標とすることができる。
なお、インピーダンスの測定に用いられる交流電圧の振幅は1Vである。この測定用の振動電圧は、実際に電子写真方式の画像形成装置の中で帯電部材に印可される電圧が数100V~数1000Vであるのに対し大幅に低い。したがって、第一要件及び第二要件にかかるインピーダンスの測定によって、帯電部材の表面からの放電の出やすさをより高次元で評価できると考えられる。
低周波インピーダンスが1.0×10Ωより低くなると、一つの放電の量が大きくなりすぎて、汚れ物質がチャージアップした際に過放電を誘発してしまう可能性がある。
一方で、低周波インピーダンスが1.0×10Ωを超えると、放電性能が低下し、帯電部材表面に汚れ物質が存在する場合に十分な電荷を感光体に付与することができずに、汚れ物質の量の差に応じて放電量に差が出てしまう。そのため、汚れ物質の堆積量のムラが、感光体の電位ムラとして発生してしまう場合がある。
図4に、周波数f(Hz)に対するインピーダンスの絶対値Z(Ω)の変化を示す。図4に示すように、帯電部材においては、低周波数の領域において、インピーダンスの絶対値は一定値をとる。1.0×10-2Hz~1.0×10Hzにおけるインピーダンスは、例えば0.1Hzの周波数におけるインピーダンスの値で代用することができる。
本発明に係る導電性部材は、例えば、下記工程(a)~(d)を含む方法を経て形成することができる。
工程(a):第2の導電性粒子及び第2のゴムを含む、ドメイン形成用ゴム混合物(以下、「CMB」ともいう)を調製する工程;
工程(b):第1の導電性粒子及び第1のゴムを含む、マトリックス形成用ゴム混合物(以下、「MRC」ともいう)を調製する工程;
工程(c):上記CMBとMRCとを混錬して、マトリックス・ドメイン構造を有するゴム混合物を調製する工程;
工程(d):工程(c)で調製したゴム組成物を、導電性支持体上に直接または他の層を介して形成し、該ゴム組成物の層を硬化させて、本発明に係る導電層を形成する工程。
MRCは、上記の通り、第1のゴムと第1の導電性粒子を含む。
<第1のゴム>
第1のゴムは、導電層形成用のゴム混合物中、最も配合割合が多い成分であり、第1のゴムの架橋物は導電層の機械的強度を支配する。したがって、第1のゴムは、架橋後において、導電層に電子写真用の導電性部材に要求される強度を発現するものが用いられる。
第1のゴムの好ましい例を以下に挙げる。
天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、NBRの水素添加物(H-NBR)、エピクロルヒドリンホモポリマーやエピクロルヒドリン-エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル3元共重合体及びシリコーンゴム。
また、必要に応じて充填剤、加工助剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、などを添加してもよい。
<第1の導電性粒子>
第1の導電性粒子は、カーボンブラック、酸化チタンなどの導電性金属酸化物が挙げられるが、前述の通りドメインに十分な電荷を蓄積するためには、上記導電性粒子はストラクチャーを形成せず、一次粒子の状態で存在していることが必要である。例えば、カーボンブラックにおいては、一次粒子径が大きく、且つ、DBP吸収量が小さいカーボンブラックを選定することが好ましい。
上記特性を満たすカーボンブラックは、一次粒子径が200nm以上であること、DBP吸収量が40cm/100g未満であることが好ましい。具体的には、MTカーボンが挙げられる。
DBP吸収量については、100gのカーボンブラックが吸着し得るジブチルフタレート(DBP)の体積であり、JIS K 6217に準じて測定される。カーボンブラックは、一次粒子がアグリゲートした房状の高次構造(以後、ストラクチャーと称す)を有しており、ストラクチャーの程度はDBP吸収量(cm/100g)で定量化される。
導電性金属酸化物としては、一次粒子径が200nm以上であることが好ましい。
<第1の導電性粒子の一次粒子径の測定方法>
第1の導電性粒子の一次粒子径は、前述した第1の導電性粒子の確認方法で説明した方法で観察することができる。粒径の算出は、2値化処理などにより第1の導電性粒子が白く、マトリックスポリマー部が黒くなるように調整し、画像処理ソフトを用いて粒子径を算出する。切片のサンプリング位置は、導電性部材の該導電層の長手方向の長さをLとしたとき、導電層の長手方向の中央、及び該導電層の両端から中央に向かってL/4の2か所の計3か所である。これら3か所から切片を切り出す。測定位置は、導電層の厚さをTとしたとき、各切片のそれぞれ外表面から深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域のマトリックス部分の任意の3か所、合計9か所である。これら9か所について、第1の導電性粒子の粒径を全て算出し、その算術平均値を第1の導電性粒子の平均粒径とする。
ドメインは、上記の通り、第2のゴムと第2の導電性粒子を含む。
<第2のゴム>
第2のゴムの具体例としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クルルプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、シリコーンゴム、及びウレタンゴム(U)からなる群から選択される少なくとも一つが挙げられる。
<第2の導電性粒子>
第2の導電性粒子としては、導電性カーボンブラック、グラファイト等の炭素材料、酸化チタン、酸化錫等の金属酸化物が例として挙げられる。これらの導電性粒子の2種類以上を適宜配合してよい。そして、ドメインに配合される第2の導電性粒子は、ドメインの断面積に対する導電性粒子の断面積の割合が少なくとも20%以上、好ましくは25%以上となる添加量が好ましい。ドメインの断面積に対する導電性粒子の断面積の割合の上限については特に限定されないが、30%以下であることが好ましい。
ドメインに配合される第2の導電性粒子としては、導電化効率が高く、ゴムとの親和性が大きく、導電性粒子間の距離の制御が容易であることから、導電性カーボンブラックが好適に用いられる。
ドメインに配合される導電性カーボンブラックの種類については、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。ただし、前述の電荷供給の点から1次粒子径が50nm以下、DBP給油量が40cm/100g以上、170cm/100g以下であることが好ましい。
酸化チタン、酸化錫等の導電性金属酸化物についても、1次粒子径が50nm以下であることが好ましい。
<プロセスカートリッジ>
図5は、本発明に係る導電性部材を帯電ローラとして具備している電子写真用のプロセスカートリッジの概略断面図である。このプロセスカートリッジは、現像装置と帯電装置とを一体化し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されたものである。現像装置は、少なくとも現像ローラ53とトナー容器56とを一体化したものであり、必要に応じてトナー供給ローラ54、トナー59、現像ブレード58、攪拌羽510を備えていても良い。帯電装置は、感光ドラム51、及び帯電ローラ52を少なくとも一体化したものであり、クリーニングブレード55、及び、廃トナー容器57を備えていても良い。なお、クリーナーレス構成は、クリーニングブレード55及び廃トナー容器57がない状態である。帯電ローラ52、現像ローラ53、トナー供給ローラ54、及び現像ブレード58は、それぞれ電圧が印加されるようになっている。帯電部材である帯電ローラ52は、電子写真感光体である感光ドラム51を帯電可能に配置されている。
<電子写真画像形成装置>
図6は、本発明に係る導電性部材を帯電ローラとして用いた電子写真画像形成装置の概略構成図である。この電子写真画像形成装置は、電子写真感光体、帯電装置、潜像形成装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置等から構成されている。帯電装置は、電子写真感光体を帯電する。潜像形成装置は、電子写真感光体に露光を行って静電潜像を形成する。現像装置は、静電潜像をトナー像として現像する。転写装置は、転写材にトナー像を転写する。クリーニング装置は、電子写真感光体上の転写残トナーを回収する。定着装置は、トナー像を転写材に定着する。なお、クリーナーレス構成の場合には、転写残を回収するクリーニング装置がない構成である。本発明に係る電子写真用ローラは、この電子写真画像形成装置の帯電装置が備える電子写真用ローラとして使用することができる。帯電部材である電子写真用ローラは、電子写真感光体を帯電可能に配置されている。
電子写真感光体62は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体62は、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置は、電子写真感光体62に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ61を有する。帯電ローラ61は、電子写真感光体62の回転に従って回転する従動回転を行うように構成されている。帯電用電源69から帯電ローラ61に所定の直流電圧を印加することにより、帯電ローラ61が電子写真感光体62を所定の電位に帯電する。電子写真感光体62に静電潜像を形成する潜像形成装置(不図示)として、例えばレーザービームスキャナーなどの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体62に画像情報に対応した露光光67を照射することにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体62に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ63を有する。現像装置は、電子写真感光体62の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを用いて、反転現像により静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置は、接触式の転写ローラ64を有する。電子写真感光体62からトナー像を普通紙などの如き転写材に転写する。転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材66及び回収容器68を有する。クリーニング装置は、現像されたトナー像が転写材に転写された後に、電子写真感光体62上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。なお、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用すれば、クリーニング装置を省くことが可能である。転写材に転写されたトナー像は、不図示の加熱装置によって加熱された定着ベルト65と、該定着ベルト65に対向して配置されたローラとの間を通過することで、転写材に定着される。
以下に、本発明に係る具体的な実施例及び比較例を示す。本発明の実施例及び比較例における導電性部材を、表1に示す材料を用いて作製した。
Figure 2022076450000004
なお、以下に示す表中の「phr」とは「per hundred rubber」の略であり、ゴム100質量部に対する配合量を表す。なお、以下の実施例1~30と比較例1~4において、実施例1~30の帯電ローラをそれぞれ「帯電ローラ1」~「帯電ローラ10」と記し、比較例1~4の帯電ローラをそれぞれ「帯電ローラ31」~「帯電ローラ34」と記す。
(実施例1)
1.実施例及び比較例に係る導電層の形成に用いる導電層形成用未加硫ゴム組成物の調製
[1-1.ドメイン形成用カーボンマスターバッチ(CMB)の調製]
表2に示す種類と配合量の各材料を6リットル加圧式ニーダー(製品名:TD6-15MDX、株式会社トーシン製)で混合しドメイン形成用CMBを得た。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
Figure 2022076450000005
[1-2.マトリックス形成用ゴム組成物(MRC)の調製]
表3に示す種類と配合量の各材料を6リットル加圧式ニーダー(製品名:TD6-15MDX、株式会社トーシン製)で混合してマトリックス形成用ゴム組成物を得た。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
Figure 2022076450000006
[1-3.導電層形成用の未加硫ゴム組成物の調製]
表4に示す種類と配合量の各材料をオープンロールにて混合し導電性樹脂層形成用ゴム組成物を調製した。混合機は、ロール径12インチのオープンロールを用いた。混合条件は、前ロール回転数を10rpm、後ロール回転数を8rpmで、ロール間隙を2mmとして合計20回左右の切り返しを行った後、ロール間隙を1.0mmとして10回薄通しを行った。
Figure 2022076450000007
2.導電性部材の作製
[2-1.導電層の形成]
支持体として、快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、外径6mmの芯金を用意した。この芯金を導電性の軸芯体である支持体として使用した。ロールコーターを用いて、上記芯金の両端部11mmずつを除く230mmの範囲の全周にわたって、接着剤(商品名:メタロックU-20、株式会社東洋化学研究所製)を塗布した。本実施例において、上記接着剤を塗布した芯金を導電性支持体として使用した。
次に、導電性支持体の供給機構、及び未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機の先端に内径10.0mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドの温度を100℃に、導電性の支持体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、押出機より、導電性樹脂層形成用ゴム組成物を供給して、クロスヘッド内にて導電性支持体の外周部を導電性樹脂層形成用ゴム組成物で被覆し、未加硫ゴムローラを得た。
次に、170℃の熱風加硫炉中に上記未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで未加硫ゴム組成物を加硫し、導電性支持体の外周部に導電性樹脂層が形成された導電性ローラを得た。その後、導電性樹脂層の両端部を各10mm切除して、導電性樹脂層部の長手方向の長さを232mmとした。
[2-2.導電層の研磨]
次に、導電層の表面を下記研磨条件1に記載の研磨条件にて研磨することにより、中央部の直径が8.5mm、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.44mmである、クラウン形状を有する帯電ローラ1を得た。
(研磨条件1)
直径305mm、長さ235mmの円筒形状の砥石(テイケン社製)を用意した。砥粒の種類、粒度、結合度、結合剤、及び、組織(砥粒率)は、以下の通りである。
・砥粒材質:GC(緑色炭化ケイ素質)、(JIS R6111-2002)
・砥粒の粒度:#80(平均粒径177μm JIS B4130)
・砥粒の結合度:HH (JIS R6210)
・結合剤:V4PO(ビトリファイド)
・砥粒の組織(砥粒率):23 (砥粒の含有率16% JIS R6242)
研磨条件は、砥石の回転数を2100rpm、導電性部材の回転数を250rpmとし、粗削り工程では、導電性部材への砥石の侵入スピードを20mm/秒とし、導電性部材の外周面に接触してから0.24mm侵入させた。精密磨き工程では、侵入スピードを0.5mm/秒に変更し、0.01mm侵入させた。その後、砥石を導電性部材から離して研磨を完了する。
研磨方式としては、砥石と導電性部材の回転方向を同一方向とするアッパーカット方式を採用した。
3.特性評価
[3-1.マトリックス・ドメイン構造の有無の確認]
導電層中のマトリックス・ドメイン構造の存在を以下の方法によって確認した。
カミソリを用いて導電性部材の導電層の長手方向と垂直な断面が観察できるように切片(厚さ500μm)を切り出した。次いで、該切片の、該導電層の断面に相当する面に白金を蒸着した。該切片の白金蒸着面を走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて5000倍で撮影し、SEM画像を得た。該SEM画像において、複数のドメインがマトリックス中に分散され、かつ、マトリックスが連通している構造が確認された場合に、マトリックス・ドメイン構造が「有」であると判定した。
[3-2.マトリックス体積抵抗率の測定]
マトリックスの体積抵抗率は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(商品名:Q-Scope250、Quesant Instrument Corporation社製)を用い、コンタクトモードで以下のように測定した。なお、測定環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。
まず、帯電ローラ1の導電層から、ミクロトーム(商品名:Leica EM FCS、ライカマイクロシステムズ社製)を用いて、切削温度-100℃にて、2μm程度の厚みの切片を切り出した。次に、該切片を金属プレート上に、該切片の、該導電層の断面に相当する一方の面が、金属プレートの表面と接するように設置した。そして、該切片の、金属プレートの表面と接している面とは反対側の面のうち、マトリックスに該当する箇所にSPMのカンチレバーを接触させた。次いで、カンチレバーに50Vの電圧を印加し、電流値を測定した。
また、SPMで当該切片の表面形状を観察して、得られた高さプロファイルから測定箇所の厚さを算出した。さらに、表面形状の観察結果から、カンチレバーの接触部の凹部の面積を算出した。当該厚さと当該凹部面積とから体積抵抗率を算出し、マトリックスの体積抵抗率とした。
[3-3.ドメイン体積抵抗率の測定]
ドメインの体積抵抗率は、カンチレバーの接触位置をドメインに該当する箇所とし、カンチレバーに印加する電圧を1Vとした以外は、上記3-2におけるマトリックスの体積抵抗率の測定方法と同様にして測定した。各測定箇所での値の平均値を算出した。
[3-4.ドメイン間距離の測定]
上記3-2におけるマトリックスの体積抵抗率の測定で用意した切片を、リンタングステン酸を用いてドメイン中の第2のゴムのみ染色を行った。その後、該導電層の断面に相当する面に白金を蒸着した。次いで白金蒸着面を、SEM(商品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて10000倍で撮影し、SEM画像を得た。
次いで、当該SEM画像に対して、画像処理解析装置(製品名:LUZEX-AP、株式会社ニレコ社製)を使用して8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得た。次いで、当該2値化画像をモノクロ画像内の染色したドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理し、画像の輝度分布に対して大津の判別分析法のアルゴリズムに基づいて2値化の閾値を設定し、2値化像を得た。該2値化像については、導電層の厚さをTとしたとき、3つの切片のそれぞれ外表面から深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域に相当する領域内の任意の3か所、合計9か所に15μm四方の観察領域を置いた。各々の観察領域において、ドメイン間距離を算出し、合計9か所の観察領域における、各ドメイン間距離の測定値の平均値を算出した。
[3-5.第1の導電性粒子の一次粒子存在割合の測定]
上記3-4におけるドメイン間距離の測定で取得したSEM画像を用いて、マトリックス中に分散している第1の導電性粒子の個数N、及び、第1の導電性粒子の内、粒子内に界面を持たない粒子の個数N(C)をカウントした。(N(C)/N)×100により、第1の導電性粒子の一次粒子存在割合を算出した。
[3-6.第1の導電性粒子の平均一次粒子径の測定]
上記3-5における第1の導電性粒子の一次粒子存在割合の測定において解析したSEM画像において、一次粒子で存在していたものの平均径を算出した。
画像処理ソフト「Image-pro plus」(製品名、Media Cybernetics社製)を用いて、当該観察画像に対して8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得た。次いで、モノクロ画像内のドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理し、画像の輝度分布に対して大津の判別分析法のアルゴリズムに基づいて2値化の閾値を設定し、2値化像を得た。次いで、得られた2値化像からマトリックス中の第1の導電性粒子1個が収まる大きさの観察領域を抽出した。そして、カウント機能を使用することで、第1の導電性粒子の断面積S1を算出し、平均一次粒子径d1をd1=(S1/2π)0.5により算出した。
[3-7.第1の導電性粒子と最近接ドメインとの平均距離の測定]
上記3-2におけるマトリックス体積抵抗率の測定と同様にして、帯電ローラ1の導電層から、ミクロトーム(商品名:Leica EM FCS、ライカマイクロシステムズ社製)を用いて、切削温度-100℃にて、2μm程度の厚みの切片を切り出した。その後、該導電層の断面に相当する面に白金を蒸着した。次いで、白金蒸着面をSEM(商品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて10000倍で撮影し、SEM画像を得た。
次いで、当該SEM画像に対して、画像処理解析装置(製品名:LUZEX-AP、株式会社ニレコ社製)を使用して8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得た。当該2値化画像をモノクロ画像内のドメイン及び第1の導電性粒子が白くなるように画像の白黒を反転処理し、画像の輝度分布に対して大津の判別分析法のアルゴリズムに基づいて2値化の閾値を設定し、2値化像を得た。該2値化像については、導電層の厚さをTとしたとき、3つの切片のそれぞれ外表面から深さ0.1T~0.9Tまでの厚み領域に相当する領域内の任意の3か所、合計9か所に15μm四方の観察領域を置いた。各々の観察領域において、2値化前の観察画像から第1の導電性粒子の位置を特定し、第1の導電性粒子に隣接したドメインとの距離のみを算出した。一つの第1の導電性粒子に対し、複数の隣接したドメインとの距離が算出されるが、そのうち最も近い距離をその第1の導電性粒子の最近接ドメインとの距離とした。上記観察領域における、全ての第1の導電性粒子において同じ測定を行った後、その平均値を算出することで第1の導電性粒子と最近接ドメインとの平均距離を算出した。
[3-8.ドメインに対する第1の導電性粒子の比率の測定]
上記3-2におけるマトリックスの体積抵抗率の測定において取得したSEM画像を用いて、観察画像域に存在するドメインの個数N(B)と第1の導電性粒子の個数N(A)をカウントした。そして、N(A)/N(B)をドメインに対する第1の導電性粒子の比率として算出した。
[3-9.ドメイン中の第2の導電性粒子の断面積割合の測定]
帯電ローラ1の導電層から、ミクロトーム(商品名:Leica EM FCS、ライカマイクロシステムズ社製)を用いて、切削温度-100℃にて、100nm程度の厚みの切片を切り出し、該導電層の断面に相当する面に白金を蒸着した。次いで、白金蒸着面を、SEM(商品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて20000倍で撮影し、SEM画像を得た。
次いで、画像処理ソフト「Image-pro plus」(製品名、Media Cybernetics社製)を用いて、ドメイン中のカーボンブラックが区別できるように2値化を実施した。次いで、得られた2値化像からドメイン1個が収まる大きさの観察領域を抽出した。さらに、カウント機能を使用することで、ドメインの断面積S、及び、当該ドメイン中に含まれる第2の導電性粒子としてのカーボンブラックの断面積Scを算出し、Sc/Sによりドメイン中の第2の導電性粒子の断面積割合を算出した。
[3-10.ドメイン中の第2の導電性粒子の円相当径の測定]
上記3-9で測定したドメインの断面積Sを用いて、ドメインの円相当径Dを、D=(S/2π)0.5により算出した。
[3-11.第2の導電性粒子の一次粒子径の測定]
上記3-9におけるドメイン中の第2の導電性粒子の断面積割合の測定に用いた切片を使用し、TEM(商品名:JEM-2800、日本電子製)を用いて50000倍で撮影し、TEM画像を得た。観察領域は、ドメイン部が含まれるように設定した。
次いで、画像処理ソフト「Image-pro plus」(製品名、Media Cybernetics社製)を用いて、ドメイン中の第2の導電性粒子としてのカーボンブラックが区別できるように2値化を実施した。そして、カウント機能を用いて第2の導電性粒子の一次粒子径を算出し、その平均値を第2の導電性粒子の一次粒子径とした。
[3-12.帯電ローラ表面の電荷減衰率の測定]
帯電量測定装置(商品名:DRA-2000L、(株)QEA製)を用いて、コロナ放電による帯電ローラの表面電位を測定した。具体的には、当該帯電量測定装置のコロナ放電器を、そのグリッド部と、帯電ローラ表面との間隙が1mmとなるように配置する。次いで、該コロナ放電器に8kVの電圧を印加して放電を発生させて、帯電ローラ表面を帯電させ、帯電直後の放電終了直後、10秒経過後の帯電ローラの表面電位を測定する。放電終了直後(又は帯電直後)の表面電位をE、放電終了後(又は帯電終了後)から10秒経過後の表面電位をE10とし、下記式(5)により電荷減衰率Qを算出した。電荷減衰率Qが83%以上であることが好ましい。
Figure 2022076450000008
[3-13.インピーダンス測定]
前処理として、帯電ローラを回転させながら、その外表面に白金を蒸着して測定電極を作成した。このとき、マスキングテープを使用して、幅1.5cm、周方向に均一な電極を作成した。当該電極を形成することで、帯電ローラの表面粗さによって、測定電極と導電性部材の接触面積の寄与を極力低減することができる。
次に、当該電極に、アルミシートを隙間なく巻きつけ、当該アルミシートから、インピーダンス測定装置(商品名:ソーラトロン1260、及びソーラトロン1296;ソーラトロン社製)の測定電極に接続した。
図7に、帯電ローラに測定電極を形成した状態の概要図を示す。図7の中で、71が導電性の支持体、72がマトリックス・ドメイン構造を有する導電層、73が白金蒸着層、74がアルミシートである。
図8に、帯電ローラに測定電極を形成した状態の断面図を示す。81が導電性の支持体、82がマトリックス・ドメイン構造を有する導電層、83が白金蒸着層、84がアルミシートである。図8のように、導電性の支持体81と測定電極によってマトリックス・ドメイン構造を有する導電層を挟む状態にすることが重要である。
そして、当該アルミシートを、インピーダンス測定装置(ソーラトロン1260、及びソーラトロン1296 ソーラトロン社製)側の測定電極に接続した。導電性の支持体とアルミシートとを測定のための2つの電極にすることで、インピーダンス測定を行った。
インピーダンスの測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境において、交流電圧1Vpp、周波数1.0×10-2Hz~1.0×10Hzで行って(周波数が1桁変化する際に、5点ずつ測定)、インピーダンスの絶対値を得た。次いで、測定結果を用いて、当該インピーダンスの絶対値と、周波数を両対数プロットしたグラフを作成した。当該グラフから、周波数が1.0×10-2Hz~1.0×10HzおけるインピーダンスZ、及び、1.0×10Hz~1.0×10Hzにおけるインピーダンスの傾きを算出した。
次に、交流電圧1Vに直流電圧10Vを重畳印加した状態で、同様の測定を行い、インピーダンスZ10を算出し、直流電圧の影響度を表すZ/Z10を算出した。
4.画像評価
帯電ローラ1における高寿命条件における耐汚れ性能の確認のため、以下の評価を実施した。
まず、電子写真画像形成装置として、電子写真方式のレーザープリンター(商品名:Laser Jet Pro M203dw HP社製)を用意した。なお、高速プロセスにおける評価を行うために、当該レーザープリンターを、1分当たりの出力枚数がオリジナルの出力枚数より多い、A4サイズの用紙で75枚/分となるように改造した。その際の、記録メディアの出力スピードは370mm/秒とした。
次に、帯電ローラ1、電子写真画像形成装置、プロセスカートリッジを評価環境に慣らす目的で、15℃/30%RHの環境に48時間放置した。
上記環境下に放置した帯電ローラ1をプロセスカートリッジの帯電ローラとしてセットし、レーザープリンターに組み込んだ。その後、同環境下において、合計50000枚連続で画像出力を行った。
出力した画像としては、A4サイズの紙上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字が、印字率1.0%となるように形成されるものとした。
その後、ハーフトーン画像(感光ドラムの回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力した。このハーフトーン画像を目視で観察し、白ポチ画像の評価を下記基準で評価を行った。
[ハーフトーン画像上の白ポチ画像の評価]
ランクA:顕微鏡で観察してもハーフトーン画像上に白ポチ画像が全く見られない。
ランクB:目視での観察ではハーフトーン画像上に白ポチ状の画像は見られないが、顕微鏡で観察すると見られる。
ランクC:目視でハーフトーン画像上の一部に白ポチ状の画像が見られる。
ランクD:目視でハーフトーン画像全面に白ポチ状の画像が見られる。
(実施例2~実施例28)
帯電ローラ2~28は、表5に示す出発原料を変更した以外は、実施例1の帯電ローラ1と同様の方法で作製した。各々の導電性部材の作製に用いた出発原料の質量部と物性を表5、及び、表6に示す。完成した帯電ローラ2~28の特性評価、画像評価結果を表7、及び、表8に示す。
(実施例29)
帯電ローラ29は、表5に示す出発原料を用い、導電層の形成を下記方法で行い、研磨工程せずに作製した以外は、実施例4と同じように作製した。
接着剤を塗布した芯金を導電性支持体として使用する。導電性支持体の供給機構、及び未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機の先端に内径8.4mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドの温度を100℃に、導電性の支持体の搬送速度を変えながら押出を行った。未加硫ゴムローラの外径はダイス径よりも太くなるように成形し、中央部の外径が8.5mm、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.44mmである、クラウン形状を有する未加硫ゴムローラを得た。
次に、170℃の熱風加硫炉中に前記未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで未加硫ゴム組成物を加硫し、導電性支持体の外周部に導電性樹脂層が形成された導電性ローラを得た。その後、導電性樹脂層の両端部を各10mm切除して、導電性樹脂層部の長手方向の長さを232mmとすることで、帯電ローラ29を作製した。
(実施例30)
帯電ローラ30は、表5に示す出発原料を用いた以外は、実施例29と同様にして帯電ローラ30を作製した。
Figure 2022076450000009
Figure 2022076450000010
Figure 2022076450000011
Figure 2022076450000012
比較例
(比較例1)
実施例1において、使用する材料を表9及び表10のE-31に示される材料に変更した以外は実施例1と同様にして比較例1の帯電ローラ31を作製した。完成した帯電ローラ31の特性評価、画像評価結果を表11、及び、表12に示す。
(比較例2)
実施例1において、使用する材料を表9及び表10のE-32に示される材料に変更した以外は実施例1と同様にして比較例2の帯電ローラ32を作製した。完成した帯電ローラ32の特性評価、画像評価結果を表11、及び、表12に示す。
(比較例3)
実施例1において、使用する材料を表9及び表10のE-33に示される材料に変更した以外は実施例1と同様にして比較例3の帯電ローラ33を作製した。完成した帯電ローラ33の特性評価、画像評価結果を表11、及び、表12に示す。
(比較例4)
実施例1において、使用する材料を表9及び表10のE-34に示される材料に変更した以外は実施例1と同様にして比較例4の帯電ローラ34を作製した。完成した帯電ローラ34の特性評価、画像評価結果を表11、及び、表12に示す。
Figure 2022076450000013
Figure 2022076450000014
Figure 2022076450000015
Figure 2022076450000016
21 マトリックス
22 第1の導電性粒子
23 ドメイン
24 第2の導電性粒子
31 支持体
32 導電層

Claims (10)

  1. 導電性を有する支持体と、該支持体の外表面上に設けられた導電層とを有する導電性部材であって、
    該導電層は、第1のゴムの架橋物と第1の導電性粒子とを含むマトリックスと、第2のゴムの架橋物と第2の導電性粒子とを含むドメインと、を有し、
    該第1の導電性粒子の少なくとも一部は、該第1のゴムの架橋物中に一次粒子として存在しており、
    該導電層の長手方向の長さをL、該導電層の厚さをTとしたとき、該導電層の長手方向の中央、および該導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、該導電層の厚さ方向の断面の各々について、該導電層の外表面から深さ0.1~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置いたとき、全9個の該観察領域の各々で観察される、マトリックス中に1次粒子として存在している該第1の導電性粒子の平均一次粒子径d1が200nm以上であり、
    該観察領域の各々で観察されるドメイン中の第2の導電性粒子の平均一次粒子径d2が50nm以下であり、且つ、該観察領域の各々で観察されるドメインのうちの80個数%以上が下記要件(i)及び要件(ii)を満たすことを特徴とする導電性部材:
    要件(i)
    該ドメインの断面積に対する該ドメインが含む該第2の導電性粒子の断面積の割合が20%以上、
    要件(ii)
    該ドメインの円相当径が4×d2以上。
  2. 前記第1の導電性粒子の内、90個数%以上の第1の導電性粒子がマトリックス中において一次粒子で存在している請求項1に記載の導電性部材。
  3. 当該導電性部材の外表面として金属膜を備え、温度23℃、湿度50%RHの環境下で、前記支持体の前記外表面と該金属膜との間に振幅が1Vで周波数1.0×10-1Hzの交流電圧を印加したときのインピーダンスをインピーダンスAとし、振幅が1Vで周波数1.0×10-1Hzの交流電圧と10Vの直流電圧を印加したときのインピーダンスをインピーダンスBとしたとき、該インピーダンスAは1.0×10Ω~1.0×10Ωであり、
    インピーダンスB/インピーダンスA≦60
    である請求項1または2に記載の導電性部材。
  4. 前記導電層の長手方向の長さをL、該導電層の厚さをTとしたとき、該導電層の長手方向の中央、および該導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、該導電層の厚さ方向の断面の各々について、該導電層の外表面から深さ0.1~0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置いたとき、全9個の該観察領域の各々で観察される第1の導電性粒子の個数をN(A)、ドメインの個数をN(B)としたとき、
    0.35≦N(A)/N(B)≦0.70
    である請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性部材。
  5. 前記第1の導電性粒子と最近接しているドメインとの距離の算術平均値が0.1μm以上である請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性部材。
  6. 前記ドメイン間距離の算術平均値が0.2μm以上、2.0μm以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の導電性部材。
  7. 前記マトリックスの体積抵抗率が1.0×10Ω・cmより大きく、1.0×1017Ω・cm以下である請求項1~6いずれか一項に記載の導電性部材。
  8. コロナ放電器のグリッド部と当該導電性部材の表面との距離を1.0mmとし、該グリッド部に8kVの電圧を印加することで当該導電性部材の表面をコロナ放電器により帯電したときの、帯電直後の当該導電性部材の表面の表面電位をE0、帯電終了後から10秒経過後の当該導電性部材の表面の表面電位をE10としたとき、
    Figure 2022076450000017
    で表される電荷減衰率Qが83%以上である請求項1~7いずれか一項に記載の導電性部材。
  9. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置されている帯電部材とを具備し、該帯電部材が、請求項1~8のいずれか一項に記載の導電性部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置されている帯電ローラとを具備している電子写真画像形成装置であって、該帯電ローラが、請求項1~8のいずれか1項に記載の導電性部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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