JP2022074699A - リキッドインキ組成物 - Google Patents

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剛士 青山
Takeshi Aoyama
義久 白崎
Yoshihisa Shirasaki
守弘 岡田
Morihiro Okada
聡子 伊東
Satoko Ito
プロジェリタ ダス
Projerita Das
康成 川島
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Abstract

【課題】広範囲な種類のフィルムに適用することができ、フィルムへの密着性及びラミネート強度に優れ、且つ、各種印刷適性に優れたリキッドインキ組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールを反応原料とするポリオール構造を有し、該ポリオール構造におけるネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールの質量割合がネオペンチルグリコールの方が多いポリウレタン樹脂(A)を含有するリキッドインキ組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、軟包装用ラミネート用途のグラビアインキ、フレキソインキ向けリキッドインキ組成物に関する。特に、ラミネート基材に非常に優れた印刷適性と接着性能を発現することができるリキッドインキであって、無機や有機のバリアコート材が塗布された各種フィルムに適用可能な軟包装用ラミネートインキ組成物に関する。
主に、軟包装材の製造に使用されるラミネート用途のリキッドインキは、ウレタン樹脂若しくはウレタンウレア樹脂が主成分として使用されている。
そして、これらのウレタン樹脂、又はウレタンウレア樹脂は各々の特性を持たせるべく、種々の反応原料を用いて製造される。
例えば、ポリエチレングリコール(以下、PEGという)含有ポリウレタン樹脂及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を成分とする印刷インキ用バインダーであって、前記PEG含有ポリウレタン樹脂が、少なくとも(A)数平均分子量1000~6000のポリエステルポリオールと、(B)PEGと、(C)ジイソシアネート化合物と、(D)鎖伸長剤とを反応させて得られるものであり、(B)PEGの含有比率が、PEG含有ポリウレタン樹脂100質量部に対して、1~40質量部の範囲である印刷インキ用バインダーが例示されている(例えば、特許文献1)。
また、(A)数平均分子量2000~10000のポリエステルポリオール、(B)有機ジイソシアネート、及び(C)鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂において、(A)が(a)グリコールと(b)二塩基酸を反応させて得られるポリエステルポリオールであり、(a)グリコールの少なくとも25質量%が、分子内にエーテル結合を有するグリコールである印刷インキ用バインダーが例示されている(例えば、特許文献2)。
更に、バインダー樹脂、着色剤および芳香族有機溶剤以外の有機溶剤を主成分とする軟包装用ラミネート用インキ組成物において、該バインダー樹脂として、ポリプロピレングリコール(以下PPG)含有ポリウレタン樹脂および水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を必須成分として含有し、該水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の水酸基価が、50~200mg当量KOH/gで、かつ該共重合樹脂100重量部に対する塩化ビニル含有比率が80~95重量部である軟包装用ラミネート用インキ組成物が例示されている(例えば、特許文献3)。
さらに近年では、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤の使用が制限されつつある。例えば、脱芳香族系溶剤やケトン系溶剤型のリキッドインキには、印刷適性の観点から、溶剤として芳香族、ケトン系溶剤の代わりに酢酸エチルや酢酸プロピルなどの酢酸エステル類、イソプロピルアルコールやノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、又はそれらの混合溶剤が使用される傾向にある。
軟包装材の製造にはポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ナイロンなどの各種フィルムが用いられ、印刷インキにはこれら各種印刷基材への密着性が求められる。近年、フィルムパッケージに用いられるフィルムとして、各種バリア性を付与した高機能フィルムが増加する傾向にある。これらの高機能フィルムは、その表面に無機や有機のバリアコート剤が塗布されており、これらの高機能フィルムを原反としてグラビア印刷又はフレキソ印刷した際、フィルム原反とインキの密着性が阻害される事がしばしば発生しうる。これらの高機能フィルムは、食品用、電子部品用向けに内容物の変質を防止すべく空気を遮断する酸素バリア、水蒸気を遮断する水蒸気バリア等、業種・目的用途に応じて多種多様に存在し、また技術的にも非公開なものが多く、一般のフィルム印刷と比較して密着性が保持し難いのが現状である。
また、これらの軟包装材への印刷物には美粧性も要求されるが、例えばグラビア刷版のセルにインキが詰まる「版詰まりの現象」によって起こる「転移不良」、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻き切れない部分が「かぶり」となってフィルム基材に転移する「版かぶりの現象」、網点が急激に細ることにより発生するトーンジャンプ、印刷部の筋状のムラの発生等により、印刷適性を損なう問題がある。近年は、印刷物の高意匠性が更に要求されていることから、増加しつつある多種多様なフィルムに対して十分な密着特性を有しつつ、優れた印刷適性を有するインキとして、更なる改善が求められている。
国際公開WO2015/068412号報 特開2010-270216号報 特開2005-298618号報
本発明は、広範囲な種類のフィルムに適用することができ、フィルムへの密着性及びラミネート強度に優れ、且つ、各種印刷適性に優れたリキッドインキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールを反応原料とするポリオール構造を有し、該ポリオール構造におけるネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールの質量割合がネオペンチルグリコールの方が多いポリウレタン樹脂(A)を採用することで、課題解決に有効であることを見出した。
即ち、本発明は、ネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールを反応原料とするポリオール構造を有し、該ポリオール構造におけるネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールの質量割合がネオペンチルグリコールの方が多いポリウレタン樹脂(A)を含有するリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、着色剤および有機溶剤を含有するリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、ポリオールがポリエステルポリオールであるリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、ポリエステルポリオールの原料となるポリオールにおけるネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールの含有比率が80質量%以上であるリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は硝化綿を含有するリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、有機溶剤として芳香族有機溶剤及び/又はケトン系溶剤を含まないリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、該リキッドインキ組成物を印刷してなる印刷物に関する。
更に、本発明は、該印刷物からなるラミネート積層体に関する。
本発明により、広範囲な種類のフィルムに適用することができ、特にフィルムへの密着性及びラミネート強度に優れ、且つ、優れた印刷適性を有するリキッドインキ組成物が得られる。
(言葉の定義)
本発明においてリキッドインキ組成物とは、グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状の印刷用インキを指し、好ましくはグラビアインキまたはフレキソインキである。また本発明のリキッドインキは活性エネルギー硬化性の成分を含んでおらず、即ち活性エネルギー線非反応性のリキッドインキである。
なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示し、「インキ全量」とは、有機溶剤等の揮発性成分をすべて含んだインキの全量を示し、「インキ固形分全量」とは、揮発性成分を含まない、不揮発性成分のみの全量を示す。
本発明のリキッドインキ組成物は、ネオペンチルグリコール(以下、「NPG」と称する。)と2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下、「MPO」と称する。)を反応原料とするポリオール構造を有し、該ポリオール構造におけるNPGとMPOの質量割合がNPGの方が多いポリウレタン樹脂(A)を含有する事を必須とする。
(ポリウレタン樹脂A)
ポリウレタン樹脂(A)において、ポリオール構造におけるNPGとMPOの質量割合をNPGが多くなるように調整することにより、印刷適性を向上させることができる。具体的には、NPG:MPOの質量割合は、具体的には51:49~99:1の範囲である。
ポリウレタン樹脂(A)のポリオール構造はNPGとMPOを反応原料とするものであるが、NPGとMPOを含むグリコール類とアジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸等の二塩基酸との縮合物であるポリエステル型ジオール化合物を用いて製造したものであってもよいし、NPGとMPOをそのまま用いて製造したものであってもよい。
ポリウレタン樹脂(A)のポリオールは、ポリエステル型ジオール化合物を用いて製造したもの、すなわち、ポリオールがポリエステルポリオールであることが好ましい。
ポリエステル型ジオール化合物は、上記のようにグリコール類と二塩基酸との反応により得られ、その数平均分子量は、1000~6000であることが好ましい。
ポリエステル型ジオール化合物の反応原料となるグリコール類として、NPGとMPO以外のグリコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等をNPG及びMPOとあわせて用いてもよい。印刷適性を向上させる観点からは、ポリエステル型ジオール化合物の原料となるグリコール総質量において、NPGとMPOの含有比率は高いほど好ましい。すなわち、ポリウレタン樹脂(A)のポリエステルポリオールの原料となるポリオールにおけるNPGとMPOの含有比率は高いほど好ましく、具体的には80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)は、上述のようなポリエステル型ポリオールと、ジイソシアネート化合物及び鎖伸張剤、反応停止剤等の材料により、従来公知の方法にて製造することができる。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2―プロパンジオール、1,3―プロパンジオール、2メチル-1,3プロパンジオール、2エチル-2ブチル-1,3プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
尚、併用ポリオールとしてNPG及び/又はMPOを含む場合は、併用ポリオールに含まれるNPG及び/又はMPOの含有量も、ポリウレタン樹脂(A)のポリオール構造におけるNPGとMPOの質量にそれぞれ含まれる。
また、ポリウレタン樹脂(A)は、NPGとMPOをそのまま用いて、ジイソシアネート化合物及び鎖伸張剤、反応停止剤等の材料により、従来公知の方法にて製造することができる。その際、上述したような併用ポリオールを併せて用いて、ポリウレタン樹脂(A)を合成することが好ましい。
本発明の軟包装用ラミネート用インキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5―ナフチレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’―ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3―フェニレンジイソシアネート、1,4―フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン―1,4―ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン―1,4―ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジイソシアネート、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッドインキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジアミンなどの他、2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッドインキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)は、例えば、NPGとMPOを反応原料として用いたポリエステル型ポリオール化合物および併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、グラビアインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはNPGとMPOを反応原料として用いたポリエステル型ポリオール化合物および併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9~1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。さらに近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤やケトン系溶剤を用いないことがより好ましい。
このようにして得られるポリウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、15,000~100,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは15,000~80,000の範囲である。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000未満の場合には、得られるインキの組成物の耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低くなる傾向があり、100,000を超える場合には、得られるインキ組成物の粘度が高くなり、印刷被膜の光沢が低くなる傾向がある。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキの総質量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から40質量%以下が好ましく、更には6~30質量%の範囲が好ましい。また、インキ中の固形分質量比では、下限値が10質量%であることが好ましく、15質量%であることがより好ましく、20質量%であることがより好ましく、25質量%であることが更に好ましい。また、インキ中の固形分重量比の上限値は95質量%であることが好ましく、90質量%であることがより好ましく、80質量%であることがより好ましく、75質量%であることが更に好ましい。
(その他のバインダー樹脂)
本発明のリキッドインキ組成物は、上記ポリウレタン樹脂(A)以外に、リキッドインキ技術分野において併用可能な他のバインダー樹脂を含有することができる。リキッドインキ組成物に必要に応じて併用される樹脂の例としては、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂、繊維素系樹脂、ポリウレタン樹脂(A)以外のウレタン樹脂などを挙げることができる。
併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総質量に対して0.1~25質量%が好ましく、更に好ましくは2~15質量%である。
中でも、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、又は繊維素系樹脂を含有することが好ましい。
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂)
本発明のリキッドインキ組成物では、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を添加する事で、耐ブロッキング性や耐レトルト性が向上する。特に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)が水酸基を含有する場合、耐レトルト性等の耐熱水性が格段に向上する。
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂としては、水酸基価が50~200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80~95質量%である事が好ましい。
本発明のリキッドインキ組成物に用いられる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
リキッドインキを軟包装用ラミネートインキとして使用する場合、接着性、耐ブロッキング、ラミネート強度、ボイルレトルト適性、印刷適性、これら全ての性能を満足する必要があるため、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は適正なモノマー比率が存在する。即ち、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100質量部に対し、塩化ビニルは80~95質量部が好ましい。80質量部未満だと樹脂被膜の強靭さが劣る傾向となり、耐ブロッキング性が低下する傾向にある。95質量部を超えると樹脂被膜が硬くなりすぎ、接着性が低下する傾向にある。また、ビニルアルコールから得られる水酸基価は50~200mgKOH/gが好ましい。50mgKOH/g未満だと極性溶媒への溶解性が劣り、印刷適性が不良と成り易い。200mgKOH/gを超えると耐水性が低下して、ボイル、レトルト適性が不良となる傾向にある。
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂はインキ100質量%中に0.1~10質量%含有し、好ましくは0.2~5質量%である。
(塩素化ポリオレフィン樹脂)
本発明において使用できる塩素化ポリオレフィン樹脂としては、水素原子の少なくとも一部が塩素原子により置換されたポリオレフィン樹脂であれば特に限定されない。塩素化ポリオレフィンの重量平均分子量は、5,000~100,000が好ましく5,000~70,000であることがなお好ましく7,000~50,000であることが更に好ましい。また、塩素化ポリオレフィン樹脂は基材への接着性向上するため、その塩素含有率が25~45質量%であることが好ましい。また有機溶剤への溶解性の観点から、塩素含有率は26~43質量%であることが更に好ましい。ここで、塩素含有率とは、塩素化ポリオレフィン樹脂100質量%中の塩素原子の含有質量%をいう。また、耐ブロッキング性とのバランスの観点から、塩素化ポリオレフィン樹脂はインキ100質量%中に0.1~10質量%含有し、好ましくは0.2~5質量%である。
塩素化ポリオレフィン樹脂は、柔軟性を持つアルキル基を分枝構造として有するため、低温下でも柔軟な樹脂であり基材接着性の向上に寄与する。塩素化ポリオレフィン樹脂におけるポリオレフィン樹脂の構造は、特に制限はない。例えば、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテンなどのα-オレフィン系不飽和炭化水素の単独重合体又は共重合体を含有する樹脂が好ましい。中でもポリプロピレン構造(すなわち塩素化ポリプロピレン構造)を含むものが特に好ましい。
(繊維素系樹脂)
繊維素系樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース(硝化綿ともいう)、ヒドロキシアルキルセルロース、およびカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。 セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースが好ましい。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。本発明のポリウレタン樹脂(A)の併用では、耐ブロッキング性、耐擦傷性その他のインキ被膜物性が向上することが期待できる。
ニトロセルロース(硝化綿)は、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましい。
ニトロセルロース(硝化綿)を使用する事で、顔料への高い分散性が得られる事から、特に表刷り用コーティング剤として使用すれば、印刷インキ塗膜の強度を向上させることができ好適である。前記ニトロセルロース(硝化綿)としては、窒素含有量が10~13質量%、平均重合度30~500が好ましく、より好ましくは窒素含有量が10~13質量%、平均重合度45~290である。
繊維素系樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.1~25質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.3~10質量%である。
(着色剤)
本発明のリキッドインキ組成物で使用する着色剤としては、着色顔料、白色顔料いずれでもよい。これら顔料を添加しなければオーバーコートニス用途として使用する事もできる。
本発明のリキッドインキ組成物に使用される着色剤としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機顔料や染料を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。
カラーインデックス名としては、
C.I.Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、42、74、83;
C.I.Pigment Orange 16;
C.I.Pigment Red 5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、81、101;
C.I.Pigment Violet 19、23;
C.I.Pigment Blue 23、15:1、15:3、15:4、17:1、18、27、29
C.I.Pigment Green 7、36、58、59;
C.I.Pigment Black 7;
C.I.Pigment White 4、6、18などが挙げられる。
藍インキにはC.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)、黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment Yellow83、紅インキにはC.I.Pigment Red 57:1を用いることが好ましい。墨インキにはカーボンブラック、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
また、本発明のリキッドインキ組成物に使用される白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫化亜鉛、鉛白、亜鉛華、リトボン、アンチモンホワイト、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、シリカ、等があげられる。
尚、前記顔料の平均粒径は、10~200nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50~150nm程度のものである。
また前記着色顔料の添加量としては、十分な画像濃度や印刷画像の耐光性を得るため、インキ全量の1~20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
(有機溶剤)
本発明のリキッドインキ組成物で使用する有機溶剤(E)としては、各種有機溶剤を使用することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n-プロパノール、イノプロパノール、n-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤やケトン系溶剤を用いないことがより好ましい。
本発明では更に必要に応じて、併用樹脂、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。例えば前記体質顔料としてシリカを適量添加すれば、より耐摩耗性が向上する傾向となる。
本発明のリキッドインキ組成物は、具体的には前記ポリウレタン樹脂(A)、及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリオレフィン等の必要に応じて併用する樹脂を、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、IPAなど各種有機溶剤に予め混合する。ニス組成物であれば、分散攪拌機にて前記溶液を攪拌しながら各種添加剤を投入し更に攪拌することでニス組成物を得る事ができる。インキ組成物であれば、着色剤を添加し十分分散する事でインキ組成物を得る。
本発明のリキッドインキ組成物の内、着色剤を使用する場合、色相としては使用する着色剤の種類に応じて、プロセス基本色として黄、紅、藍、墨、白の5色があり、プロセスガマット外色として赤(橙)、草(緑)、紫の3色がある。更に透明黄、牡丹、朱、茶、金、銀、パール、色濃度調整用のほぼ透明なメジウム(必要に応じて体質顔料を含む)などがベース色として準備される。ボイルレトルト用インキには顔料のマイグレーション性、耐熱性を考慮して適宜選定される。各色相のベースインキは、グラビア印刷、又はフレキソ印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
利用可能なプラスチックフィルムとしては、ポリエステル樹脂フィルムが特に好ましい一方、本発明のリキッドインキ組成物は密着性が低下しがちなポリプロピレンフィルムに対して特に有用であり、その他のポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン樹脂フィルム等の表面に無機や有機のバリアコート材が塗布された種々高機能フィルムに対しても幅広く用いることが出来る。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。また、本発明における各測定値は以下の通り実施した。
<酸価の測定方法>
三角フラスコ中に試料を、約20gを精密に量り採り、トルエン/メタノール(容積比:トルエン/メタノール=7/3)混合液30mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、溶液が淡紅色を呈するまで0.1mol/lアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。酸価(mgKOH/g)を次の式(1)により求めた。
(式1)酸価(mgKOH/g)=(5.611×V×F)/S
ただし、S:試料の採取量(g)
V:0.1mol/lアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
F:0.1mol/lアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<水酸基価の測定方法>
三角フラスコ中に試料、約5gを精密に量り採り、アセチル化剤(無水酢酸とピリジンを1:19(容積比)混合物)を正確に25ml加え、100℃にて1時間攪拌した。その後イオン交換水10mlを加え室温まで冷却する。冷却後アセトン100ml、n-ブタノール10ml、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、溶液が淡紅色を呈するまで0.5mol/lアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。水酸基価は次の(式2)により求めた。
(式2)水酸基価(mgKOH/g)=[{(B-T)×F×28.05}/S]+D
ただし、S:試料の採取量(g)
T:0.5mol/lアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
B:空実験の0.1mol/lアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
F:0.5mol/lアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<アミン価の測定方法>
三角フラスコ中に試料約40gを精密に量り採り、トルエン/メタノール(容積比:トルエン/メタノール=7/3)混合液200mlを加えて溶解した。これに、ブロムフェノールブルー試液を指示薬として加え、溶液が青色から黄色に変化するまで0.1mol/l塩酸水溶液で滴定した。アミン価は式(3)により求めた。
(式3) アミン価=(V×F×0.1×56.11)/S
ただし、S:試料の採取量(g)
V:0.1mol/l塩酸水溶液の滴定量(ml)
F:0.1mol/l塩酸水溶液の力価
<数平均分子量、重量平均分子量の測定方法>
数平均分子量(ポリスチレン換算)と重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用
カラム温度:40℃
移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
試料濃度:1.0重量%
試料注入量:100マイクロリットル
検出器:示差屈折計。
<粘度の測定方法>
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
(ポリエステルポリオールの合成)
[合成実施例1-1]
攪拌棒、温度センサー、精留管および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、ネオペンチルグリコール(以下NPGとも略す)314.4部、2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下MPOとも略す)169.2部、アジピン酸684.9部、テトライソプロピルチタネート0.07部を仕込み、窒素気流下に220℃で、脱水縮合反応を行った。酸価が0.5mgKOH/gとなったところで反応を停止し、ポリエステルポリオールP1を得た。得られたポリエステルポリオールP1は、水酸基価が24mgKOH/g、酸価は0.5mgKOH/gであった。
[合成実施例1-2]
攪拌棒、温度センサー、精留管および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、NPG244.0部、MPO 234.3部、アジピン酸691.9部、テトライソプロピルチタネート0.07部を仕込み、窒素気流下に220℃で、脱水縮合反応を行った。酸価が0.5mgKOH/gとなったところで反応を停止し、ポリエステルポリオールP2を得た。得られたポリエステルポリオールP2は、水酸基価は24mgKOH/g、酸価は0.5mgKOH/gであった。
[合成実施例1-3]
攪拌棒、温度センサー、精留管および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、NPG218.8部、MPO 194.3部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(以下MPDとも略す)72.8部、アジピン酸681.8部、テトライソプロピルチタネート0.07部を仕込み、窒素気流下に220℃で、脱水縮合反応を行った。酸価が0.5mgKOH/gとなったところで反応を停止し、ポリエステルポリオールP3を得た。得られたポリエステルポリオールP3は、水酸基価は24mgKOH/g、酸価は0.5mgKOH/gであった。
[比較合成実施例1-1]
攪拌棒、温度センサー、精留管および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、NPG214.3部、MPO 261.8部、アジピン酸694.8部、テトライソプロピルチタネート0.07部を仕込み、窒素気流下に220℃で、脱水縮合反応を行った。酸価が0.5mgKOH/gとなったところで反応を停止し、ポリエステルポリオールP4を得た。得られたポリエステルポリオールP4は、水酸基価は24mgKOH/g、酸価は0.5mgKOH/gであった。
[比較合成実施例1-2]
攪拌棒、温度センサー、精留管および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、NPG193.7部、MPO 217.8部、MPD 72.5部、アジピン酸684.3部、テトライソプロピルチタネート0.07部を仕込み、窒素気流下に220℃で、脱水縮合反応を行った。酸価が0.5mgKOH/gとなったところで反応を停止し、ポリエステルポリオールP5を得た。得られたポリエステルポリオールP5は、水酸基価は24mgKOH/g、酸価は0.5mgKOH/gであった。
[合成実施例2-1]
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(P1)100.0部、イソホロンジイソシアネート11.0部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル90.8部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.84部、ジ-n-ブチルアミン0.35部、酢酸エチル85.4部およびイソプロピルアルコール94.9部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A1は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分アミン価1.5mgKOH/g、樹脂固形分の重量平均分子量は77,000であった。
[合成実施例2-2]
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(P2)100.0部、イソホロンジイソシアネート11.0部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル90.8部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.84部、ジ-n-ブチルアミン0.35部、酢酸エチル85.4部およびイソプロピルアルコール94.9部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A2を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A2は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分アミン価1.5mgKOH/g、樹脂固形分の重量平均分子量は77,000であった。
[合成実施例2-3]
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(P3)100.0部、イソホロンジイソシアネート11.0部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル90.8部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.84部、ジ-n-ブチルアミン0.35部、酢酸エチル85.4部およびイソプロピルアルコール94.9部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A3を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A3は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分アミン価1.5mgKOH/g、樹脂固形分の重量平均分子量は77,000であった。
[比較合成実施例2-1]
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(P4)100.0部、イソホロンジイソシアネート11.0部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル90.8部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.84部、ジ-n-ブチルアミン0.35部、酢酸エチル85.4部およびイソプロピルアルコール94.9部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液H1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液H1は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分アミン価1.5mgKOH/g、樹脂固形分の重量平均分子量は77,000であった。
[比較合成実施例2-2]
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(P5)100.0部、イソホロンジイソシアネート11.0部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル90.8部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.84部、ジ-n-ブチルアミン0.35部、酢酸エチル85.4部およびイソプロピルアルコール94.9部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液H2を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液H2は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分アミン価1.5mgKOH/g、樹脂固形分の重量平均分子量は77,000であった。
[調整例1:塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Vの調整]
ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液Vとした。
[調整例2:塩素化ポリオレフィン溶液PPの調整]
日本製紙株式会社製の「スーパークロン 814HS」を酢酸エチルで固形分30%溶液とし、これを塩素化ポリオレフィン溶液PPとした。
[調整例3:マレイン酸樹脂溶液Mの作製]
巴工業株式会社製の「SMA 3000P」を、IPA 20%、酢酸エチル 50%、SMA 3000P 30%の配合で固形分30%溶液として十分撹拌し、マレイン酸樹脂溶液Mを作成した。
(セルロースアセテートプロピオネートCAP482-0.5樹脂溶液Caの調整)
セルロースアセテートプロピオネートCAP482-0.5(Eastman Chemical社製)20部に、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサン(重量比で25/25/13/10の比率)の混合液を80部加え、充分混合しセルロースエステル樹脂溶液Caを作製した。
[実施例1]
ポリウレタン樹脂溶液A1(固形分濃度30.0質量%)を25部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液V(固形分15%)1.5部、塩素化ポリオレフィン樹脂溶液PP(固形分30%)2部、マレイン酸樹脂溶液M(固形分30%)0.5部、酸化チタン顔料R-780(テイカ(株)製))36部、酢酸エチル14部、イソプロピルアルコール8部、N-プロピルアセテート13部の計100部からなる混合物をダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェノン社製)を用いて混練し、本発明のリキッド印刷白インキを作成した。
[実施例2~7,比較例1及び2]
表~表2に示す組成配合により実施例2~7、比較例1~6を、実施例1と同様にしてリキッド印刷インキを作成した。
〔フィルム印刷物の製造方法〕
得られた印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、表1~Xに示す各種フィルム(OPP、PET、NY、透明蒸着フィルム)及びコロナ処理ポリエステルフィルム(以下PETフィルム:東洋紡製(株)製 商品名 エステルE5102 厚さ12μm)に印刷して40~50℃で乾燥し、印刷物を得た。
得られた印刷物について、各種フィルムへの密着性とPETフィルム/アルミニウム/無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R-CPP:東レ合成フィルム社製 ZK-75 50μm)構成でのラミネート強度とレトルト処理後の印刷適性評価を行い評価した。その結果を表1~表2に示す。なお、評価は下記の試験方法にて行った。
1)密着性(各種フィルム)
上記印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視判定した。なお判定基準は次の通りとした。
5:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
4:印刷皮膜の90%以上がフィルムに残った。
3:印刷皮膜の80%以上90%未満がフィルムに残った。
2:印刷皮膜の60%以上80%未満がフィルムに残った。
1:印刷皮膜の60%未満がフィルムに残った。
2)ラミネート強度の測定
上記PETフィルム印刷物にウレタン系のドライラミネート接着剤ディックドライLX-500/KW-75(DIC製)を塗膜量が3.5g/mとなるように塗布、乾燥後、ドライラミネート機(DICエンジニアリング製)によってアルミニウム箔(以下、AL:東洋アルミニウム工業(株)製 アルミ箔C、15μm)をラミネートし、2層のラミネート物1を得た。次にラミネート物1のAL上に接着剤を同様に塗布し、無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R-CPP:東レ合成フィルム社製 ZK-75 50μm)を積層し、40℃で5日間エージング施し、3層の複合ラミネート物2を得た。その後、ラミネート強度の測定を行った。数値が大きい方がラミネート強度が強い。

5:ラミネート強度が400(g/15mm)以上であり強度充分。
4:ラミネート強度が300以上~400(g/15mm)未満でありやや強度不足。
3:ラミネート強度が200以上~300(g/15mm)未満であり強度不足。
2:ラミネート強度が100以上~200(g/15mm)未満であり強度不充分
1:ラミネート強度が100未満であり強度不充分
3)印刷適性試験:転移性
上記PETフィルム印刷物の印刷部分へのインキの転移度(カスレ度)を評価した。なお、グラビア版の円周600mmφで300m/minの印刷速度での評価を行った。
5:カスレなし
4:ごく僅かにカスレ発生
3:少しカスレ発生、実用範囲
2:カスレが顕著に確認できる
1:カスレが多発している
4)印刷適性試験:版かぶり
上記PETフィルム印刷物の中で、非印刷部の汚れ具合(版かぶり度)を評価した。
5:印刷汚れ 無し
4:印刷汚れ ごく僅かに確認できる
3:印刷汚れ 僅かに確認できる、実用範囲
2:印刷汚れ 顕著に発生している
1:印刷汚れ 甚だしい
5)印刷適性試験:筋状汚れ
上記PETフィルム印刷物の印刷部分へのインキの筋状汚れ(ムラ)の発生を評価した。
5:筋状汚れ 無し
4:筋状汚れ ごく僅かに確認できる
3:筋状汚れ 僅かに確認できる、実用範囲
2:筋状汚れ 顕著に発生している
1:筋状汚れ 甚だしい
5)印刷適性試験:トーンジャンプ
上記PETフィルム印刷物の印刷部分において、網点が細り、急激にカラーが変化することにより生じるトーンジャンプの発生を評価した。
5:トーンジャンプ 無し
4:トーンジャンプ ごく僅かに確認できる
3:トーンジャンプ 僅かに確認できる、実用範囲
2:トーンジャンプ 顕著に発生している
1:トーンジャンプ 甚だしい
表1及び表2に、各リキッド印刷インキの配合、及び評価結果を記す。
Figure 2022074699000001
Figure 2022074699000002
表中の略語は次の通りである。
OPP:東洋紡(株)製 P2161 (20μm)
PET:東洋紡(株)製 E5100 (12μm)
NY :ユニチカ(株)製 ON-RT (15μm)
透明蒸着フィルム:大日本印刷(株)製 IB-PET-PUB (12μm)
FASTGEN Blue LA5380:フタロシアニン系青色顔料、DIC(株)社製
シリカ:サイリシア350D、平均粒子径3.9μm
また、空欄は未配合であることを示す。
実施例では、フィルムに対する密着性、ラミネート強度が高く、且つ、印刷適性に優れる結果となった。
本発明のリキッドインキ組成物は、食品包材・サニタリー・コスメ・電子部品等工業製品向け用途に幅広く展開され得る。

Claims (8)

  1. ネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールを反応原料とするポリオール構造を有し、該ポリオール構造におけるネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールの質量割合がネオペンチルグリコールの方が多いポリウレタン樹脂(A)を含有するリキッドインキ組成物。
  2. 更に、着色剤および有機溶剤を含有する請求項1に記載のリキッドインキ組成物。
  3. 前記ポリオールがポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物。
  4. 前記ポリエステルポリオールの原料となるポリオールにおけるネオペンチルグリコールと2-メチル-1,3-プロパンジオールの含有比率が80質量%以上の範囲である請求項3に記載のリキッドインキ組成物。
  5. 更に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリオレフィン、マレイン酸樹脂及び/又は繊維素系樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の樹脂を含有する請求項1~4のいずれかに記載のリキッドインキ組成物。
  6. 前記有機溶剤として芳香族有機溶剤及び/又はケトン系溶剤を含まない請求項1~5の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1つに記載のリキッドインキ組成物を印刷してなる印刷物。
  8. 請求項1~6の何れか一つに記載のリキッドインキ組成物を印刷してなる印刷層を有するラミネート積層体。
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