JP2022074620A - センシングシステム、検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検体を検査機関などへ搬送することなくその場で検査することを実現するための、局在表面プラズモン共鳴を用いたセンシングシステムを提供する。【解決手段】本発明に係るセンシングシステムは、形状パラメータが互いに異なる金属微細構造を有する複数の単位セルを備え、フォトダイオードの信号出力変化量と前記形状パラメータと対象物質量の間の関係データにしたがって、前記対象物質量を算出する。【選択図】図2

Description

本発明は、局在表面プラズモン共鳴を利用して対象物質の量を検出する技術に関する。
抗原抗体反応のように、測定したい物質(被測定物質)と特異的に吸着する物質(レセプター)を準備して検体中の被測定物質を定量的に測定する方法としてはELISA法がよく知られている。ELISA法は高精度な手法であるものの、研究室にて熟練者を要する煩雑な手法であり、また、蛍光ラベルを必要とし、結果が出るまでに時間がかかる。
これに対して、ラベルフリーで測定する方法として表面プラズモン共鳴法も利用されている。表面プラズモン共鳴法においては、プリズムを通して光を金属表面に照射し、表面平行方向の光の運動量成分が金属中の自由電子の集団運動であるプラズモンの運動量と一致したとき、すなわち共鳴したときに光エネルギーの吸収が起こり、全反射光の強度が低下することを利用する。金属膜表面にレセプタを固定し、被測定物質がレセプタに吸着すると共鳴する光の運動量が変わるので、入射する光の角度を変えながら測定することにより被測定物質をラベルフリーで検出することができる。
しかしながら、表面プラズモン共鳴法もプリズムや入射光角度を変える機構などの光学系を必要とするので、簡素化、小型化、低コスト化ができず、研究室での利用に留まる。そこで、金属のナノ構造体を形成し、そこに局在する表面プラズモンとの共鳴を利用する局在表面プラズモン共鳴法が検討されている。ナノ構造体としては、ナノ粒子、ナノホール、ナノディスク、ナノグレーチングなどが検討されている。局在表面プラズモン共鳴法は、ナノ構造体に入射した光の反射光や透過光が特定の波長でピークを持つこと、また、ナノ構造体に固定したレセプタに被測定物質が捕捉されるとそのピークがシフトすることを利用している。局在表面プラズモン共鳴法により、検査装置の小型化が可能になり、研究室での検査から開放され、その場検査が可能となる。
局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサとしては、特許文献1が知られている。特許文献1は、ナノ構造体のサイズや作製方法を開示している。しかし、被測定物質を検出するためにスペクトルを比較しており、検出のために分光器が必要となる。
非特許文献1は、ナノ構造によるセンシング部と、フォトダイオードによる検出部を一体化した構造を開示している。特定の波長の光を入射したときの透過光の強度をダイオードの出力電圧として検出できる。ナノ構造体に固定したレセプタに被測定物質が捕捉されるとダイオードの出力電圧が変化するので、被測定物質を検出することができる。この手法は分光器が不要であり、センサの簡素化、小型化、低コスト化が可能となっている。
WO2011/106057/A2号公報
ACS Photonics 2016年、3号、1926ページ~1933ページ
人口構造が高齢化している時代においては特に、病気の有無やウイルス感染についてその場で迅速に検査できることが望ましい。そのような事例としてはクロマトグラフィーによるインフルエンザの検査がよく知られている。この検査においては、検体を専門機関に送ることなしに、その場で感染有無を検査することができる。クロマトグラフィーによる方法は、定量性がなく精度が低いという課題があるが、その課題を克服することが可能な手法が、上述した局在表面プラズモン共鳴法である。しかしながら、上述した先行文献による手法では依然として研究室、すなわち専門機関での利用にとどまってしまい、その場検査に対応できないという課題がある。
局在表面プラズモン共鳴法によって被測定物質を定量的に測定するには、スペクトルのピークシフト量を評価する必要がある。特許文献1ではスペクトルそのものを測定しているのでピークシフト量を特定することが容易であるが、分光器が必要となるので、多数の場所に安価に導入することが困難である。
非特許文献1は分光器を不要としたセンサを実現しているので、多数の場所に安価に導入することができ、その場検査に利用できるポテンシャルを有している。しかしながら検出用ダイオードの出力変化からはスペクトルのピークシフト量を求めることができない。幅広い波長範囲で測定するからこそスペクトルの形がわかり、ピーク波長を特定できるのだが、非特許文献1においては特定波長の光しか入射していないのでスペクトルの形がわからない。そこで非特許文献1は、作製したセンサに対して被測定物質の量を変えたときのダイオードの出力電圧を事前に計測している。これを較正用データとすることにより、未知の量の被測定物質を評価することが可能となっている。ただし、この方法では個々のセンサに対して較正用データを取得せざるを得ず、依然としてその場検査の用途には適さず、研究室での利用にとどまってしまう。
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、検体を検査機関などへ搬送することなくその場で検査することを実現するための、局在表面プラズモン共鳴を用いたセンシングシステムを提供することを目的とする。
本発明に係るセンシングシステムは、形状パラメータが互いに異なる金属微細構造を有する複数の単位セルを備え、フォトダイオードの信号出力変化量と前記形状パラメータと対象物質量の間の関係データにしたがって、前記対象物質量を算出する。
本発明に係るセンシングシステムを用いることにより、個々のセンサに対して較正用データを取得しなくても、光検出用のダイオードの出力変化からピークシフト量を取得し、あるいは直接的に被測定物質の量を推定することが可能となり、検体を搬送することなくその場で検査することができる。
実施形態1に係るセンシングシステムの概略構成図である。 センサチップ3の一部を拡大して表示した鳥瞰図である。 ナノ構造体7のアレイを構成する単位セルの側断面模式図である。 単位セルが接続する配線層9を透視した場合の上面図である。 センサチップ3の周辺部の上面図である。 局在表面プラズモン法による測定原理を示した図である。 ナノ構造体7と接する物質の屈折率を変えたときの透過スペクトルを示す図である。 ナノ構造体7の形状パラメータを変えたときにスペクトルピーク位置が変化する様子を示す図である。 ルックアップテーブルの例である。 ナノ構造体7の配置の変形例を示す。 ナノ構造体7の配置の変形例を示す。 マスタデータの例を示す模式図である。 実施形態3に係るセンサチップ3の側断面図である。 配線層を透視して図12の構造を見たときの上面図である。 実施形態4に係るセンサチップ3の側断面図である。 実施形態5に係るセンサチップ3の側断面図である。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係るセンシングシステムの概略構成図である。センシングシステムは、特定波長の光を照射する光源1、センサチップ3、センサチップ3からの出力信号を受け取って演算する演算装置5、記憶装置100、を備える。センサチップ3と演算装置5との間は信号ケーブル4によって接続されている。必要に応じて演算結果を表示するディスプレイが接続されていてもよい。図1においてはセンサチップ3に対して外部環境からの光も入ってくるように見えるが、実際には外部環境からの光は入らず、光源1からの光のみが照射される構成となっている。記憶装置100は、演算装置5が用いるデータを格納する。例えば後述するルックアップテーブル(図9)を格納することができる。演算装置5は、後述する被測定物質の量を求めるための計算処理をすべて実施する。
図2は、センサチップ3の一部を拡大して表示した鳥瞰図である。金属膜6上にナノ構造体7がアレイ状に形成されており、金属膜6の下層には絶縁層8および配線層9が形成される。さらに下層にはナノ構造体7を透過した光を検出するためのフォトダイオードが形成されている。フォトダイオードは、第1導電型領域10、第1導電型領域10を覆うように形成された第2導電型領域11、基材12、によって構成されている。なお、実施形態1は図2のように透過光検出の構成にて説明するが、反射光を検出する構成でも同様の議論が可能である。反射光検出の場合は、フォトダイオードはナノ構造体7の下層ではなく、上部に離間して配置される。
金属膜6は例えば金、銀、白金、アルミニウム、チタン、チタンナイトライドである。絶縁層8は光を透過する材質であり、例えばシリコン酸化膜、シリコンナイトライドである。配線層9としてはアルミニウムなどの金属やドープトシリコンなどが用いられる。フォトダイオード(第1導電型領域10、第2導電型領域11、基材12)は例えばシリコンからなり、ボロンやリンのイオン注入によって各導電型領域が形成される。図にはあらわに示していないが、ナノ構造体7上にはレセプタが固定される。
図3は、ナノ構造体7のアレイを構成する単位セルの側断面模式図である。本実施形態ではナノ構造体7としてナノホールを適用しており、ナノホールは金属膜6を貫通するように形成される。金属膜6の厚さは10~100nm程度である。ナノ構造体7の形状は例えば、金属の孤立領域が配列されたナノディスクやナノ粒子、あるいは金属のラインとスペースが交互に並ぶナノグレーチングとすることができる。
図4は、単位セルが接続する配線層9を透視した場合の上面図である。図4においてナノ構造体7は4×4の配列で記載しているが、実際にははるかに高密度であり、ナノホールの直径は数100nm、ナノホールの周期は数100nm、ナノ構造体7の1辺は数100マイクロメートルで形成される。配線層9は図4においてはナノ構造体7の上部と右部にしか形成されていないが、実際には他の単位セルと接続する配線層がナノ構造体7の下部と左部にも形成される。これらの配線層は紙面垂直方向の深さ位置が互いに異なるように形成されており、図4において縦と横に延びる配線同士は離間している。
図5は、センサチップ3の周辺部の上面図である。配線層9はチップ周辺部において引き出されてコンタクトパッドを形成しており、この領域では金属膜6が除去され、異なる配線層9同士が電気的に短絡しないようにしている。
図6は、局在表面プラズモン法による測定原理を示した図である。光の波長よりも小さいサイズのナノホールに光を照射すると、ほとんどの波長においては光が透過しないが、ナノホールに局在するプラズモンとの共鳴波長においては光が透過してスペクトルはピークを示す。ナノ構造体7に固定したレセプタによって被測定物質が補足されると共鳴波長が変化し、スペクトルのピークがシフトする。
図7は、被測定物質の量と透過スペクトルの関係を示す図である。被測定物質の量によってナノ構造体7上の屈折率が変わるため、ここでは被測定物質の量を屈折率の値によって表現している。図7に示すように、このスペクトルシフト量が被測定物質の量に依存するので、ピークシフト量から被測定物質の量がわかる。
ナノ構造体の形状によってはスペクトルは上向きのピークではなく、下向きのピークとなることもある、すなわち、特定の波長の光が透過しないという場合もある。以下では上向きのピークについて説明する。下向きのピークの場合も同様の議論が可能である。
透過光をフォトダイオード(第1導電型領域10と第2導電型領域11)によって検出する際、図6に示すように入射した波長における透過光強度の変化をダイオードの出力変化として検出することになる。ピークシフト量が一定であっても、測定波長とピーク波長の位置関係に応じて、ダイオードの出力変化量が変わってしまう。したがって、測定波長に対するピーク波長の位置がわかっていなければ、ダイオードの出力変化をピークシフト量(すなわち被測定物質の量)に変換することができない。
図8は、ナノ構造体7の寸法に応じてスペクトルピーク位置が変化する様子を示す図である。図8に示すように、ナノ構造体7の寸法(すなわち孔径、孔周期、膜厚)に応じてスペクトルのピーク位置が変わる。製造過程においてチップ内またはチップ間に寸法ばらつきが生じるので、被測定物質をレセプタに捕捉させる前の初期のピーク波長は設計値からばらついてしまう。
被測定物質をレセプタに捕捉させる前の初期のピーク波長とは、ナノ構造体7にレセプタを固定したときのピーク波長であり、レセプタに依存する。測定波長が初期のピーク波長に一致している必要はない。ただし、測定波長が初期のピーク波長から大きくずれてしまってナノ構造体7を透過しない波長の場合も、ダイオード出力変化をピークシフト量(すなわち被測定物質の量)に変換することができない。
そこで本実施形態においては、アレイ状に並んだナノ構造体7の寸法を様々に変えたものを複数種類配置しておき、製造過程において各セルにおける寸法を電子顕微鏡などの手法により計測、記録しておく。単位セル内での設計寸法は同一種類とする。このような構成とすることにより、測定波長の光を入射したときの透過光強度は場所によって変わり、透過光を検出するダイオードの出力も場所によって変わることとなる。寸法を複数種類配置してあるので、ダイオードの出力が高いところと低いところが観察され、計測に適したセルを準備することができる。
マスタサンプルとして、ナノ構造体7の寸法および被測定物質の量を変えたサンプルをガラス上など光透過性の基材上に準備しておく。分光器を用いて透過光のスペクトルを取得し、図7~図8に示すようなデータ(これをマスタデータと呼ぶ)を取得しておく。シリコンダイオードを利用する場合、450nm以上1000nm以下の波長域で測定しておくことが望ましい。このスペクトルのマスタデータより、ナノ構造体7の寸法と被測定物質の量と透過光強度の変化量の関係がわかる。その情報より、ダイオードを備えた実チップの測定波長において、ナノ構造体7の寸法、被測定物質の量、ダイオード出力の変化量の関係を表すルックアップテーブルを作成することができる。
図9は、ルックアップテーブルの例である。ルックアップテーブルは被測定物質ごとに作成されるものであり、また、各チップが共通して参照するテーブルである。図9においては、物質量と孔径の2次元テーブルを、ダイオード出力の変化量ごとに設けた例を示したが、ルックアップテーブルのデータ形式はこれに限られるものではなく、この3つの量の間の関係を記述することができればよい。
実測定においては、レセプタを固定したセンサチップ3に対して光源1より光を照射し、各セルにおけるダイオード出力値を記録、保存する。その後、未知の量の被測定物質を含んだ検体、もしくは被測定物質を含まない検体を滴下、乾燥させたあとに光源1より光を照射し、各セルにおけるダイオード出力値を記録、保存する。検体を滴下する前の状態において透過光がダイオードで検出されたセルに対して、検体滴下前後のダイオード出力変化量を計算し、製造過程において測定済みの寸法値とルックアップテーブルをもとにして被測定物質の量を求める。
図10Aと図10Bは、ナノ構造体7の配置の変形例を示す。図4におけるナノ構造体7は縦方向と横方向ともに同一周期となっているが、図10Aのナノ構造体7-1のように、縦と横で周期が違っていてもよい。あるいは図10Bのように千鳥配置となっていてもよい。
図1の光源1を複数用意して複数の波長を照射すれば、複数の測定波長における情報を測定でき、情報量が増えることにより検出精度が上がるので、コストを勘案して配置可能である。
複数種類の被測定物質を検出したい用途の場合、複数種類のレセプタを配置しておくことができる。このとき、単位セル内に複数種類のレセプタを配置してしまうと、異なる被測定物質の切り分けができないので、単位セル内には単一のレセプタを配置する必要がある。この目的においては、単位セルの金属膜6を親水性材料によって形成するとともに、レセプタの種類を切り分けたい単位セル間の金属膜6を疎水性材料によって形成することが効果的である。単位セル間の金属膜6は、必ずしも全て疎水性材料によって形成する必要はなく、少なくとも単位セル間の一部において疎水性材料が配置されていれば、その限りにおいて効果的である。
<実施形態1:まとめ>
本実施形態1に係るセンシングシステムは、寸法(形状パラメータ)が互いに異なるナノ構造体7を有する複数の単位セルを備え、ナノ構造体7の寸法/フォトダイオードの信号出力変動/被測定対象物質の量の間の関係をルックアップテーブルとしてあらかじめマスタサンプルを用いて作成する。このルックアップテーブルを用いて被測定物質量を計算することにより、分光計や較正データを検査現場で準備することなく、局在表面プラズモン法による被測定物質の検査を実現できる。これにより多数の場所へ局在表面プラズモンセンシングシステムを展開することが可能となり、病気の有無やウイルス感染についてのその場検査に適用することができる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2は、実施形態1と同様の装置構成(図1)およびセンシングチップ構造(図2)において、被測定物質の量とダイオード出力変動量を近似的に結び付ける関数をもとにして被測定物質の量を計測する構成例について説明する。センシングシステムの構成は実施形態1と同じであるので、以下では被測定物質の量とダイオード出力変動量を結びつける動作例について主に説明する。なお、実施形態2も透過光検出の構成を示すが、反射光検出の構成も可能である。反射光検出の場合、フォトダイオードはナノ構造体7の下層ではなく、上部に離間して配置される。
図11は、マスタデータの例を示す模式図である。実施形態2においても、ナノ構造体7の寸法、および被測定物質の量を変えたマスタサンプルを作るが、ガラス上などの光を透過する基材上に作成するのではなく、実チップと同じ構造で作製する。その後、透過光のスペクトルを取得するのではなく、光源1より光を照射して、図11に示すようなナノ構造体7の寸法、被測定物質の量、ダイオード出力のマスタデータを取得する。
演算装置5は、このマスタデータに対して、被測定物質の量を目的変数とし、ナノ構造体7の寸法と、被測定物質捕捉前後のダイオード出力値の変化量を説明変数としたとき、目的変数と説明変数の関係を記述する近似関数を回帰モデルにより構築する。この近似関数は被測定物質ごとに作成されるものであり、また、各チップが共通して参照する関数である。
実測定においては、レセプタを固定したセンサチップ3に対して光源1より光を照射し、各セルにおけるダイオード出力値を記録、保存する。その後、未知の量の被測定物質を含んだ検体、もしくは被測定物質を含まない検体を滴下、乾燥させたあとに光源1より光を照射し、各セルにおけるダイオード出力値を記録、保存する。検体を滴下する前の状態において透過光がダイオードで検出されたセルに対して、検体滴下前後のダイオード出力変化量を計算し、製造過程で測定済みの寸法値とともに近似関数に代入し、被測定物質の量を求める。
<実施形態3>
図12は、本発明の実施形態3に係るセンサチップ3の側断面図である。本実施形態3において、単位セル表面は、ナノ構造体7を有する領域と有さない領域を有する。各領域の下方にはそれぞれフォトダイオードが配置されている。2つのダイオードは差動接続されている。その他構成は実施形態1~2と同じである。
図13は、配線層を透視して図12の構造を見たときの上面図である。単位セルのなかに、ナノ構造体7を有する領域と有さない領域が形成されていることが分かる。
2つのダイオードを差動接続することにより、光がナノ構造体7を透過しない部分のフォトダイオード出力を基準として、ナノ構造体7を透過する光のみに起因するダイオード出力を計測できるので、検出精度を高めることが可能である。
<実施形態4>
図14は、本発明の実施形態4に係るセンサチップ3の側断面図である。本実施形態4において、金属膜6の上部にマイクロ流路15が形成されている。マイクロ流路15はガラスや樹脂など光を透過する物質14(例えばガラスや樹脂)がナノ構造体7を覆うことによって作製されている。マイクロ流路15を流れる検体がナノ構造体7に対して供給される。
実施形態1~3においては計測時に検体を滴下することを説明したが、実施形態4においてはマイクロ流路15を通して検体を流せばよいので、検査効率が向上する。検体を供給する方法以外の構成に関しては、実施形態1~3と同様である。
<実施形態5>
図15は、本発明の実施形態5に係るセンサチップ3の側断面図である。本実施形態5において、ナノ構造体7はメンブレン状に形成されており、その下層に透過光検出のためのダイオードが形成されている。
ナノ構造体7を有するメンブレンとダイオードは別々のウェハに作製されている。シリコンウェハ等の基材12にイオン注入により第1導電型領域10と第2導電型領域11を形成する。それぞれの領域にコンタクトを形成し、配線層9を接続する。図15には記載していないが、配線層9はチップ周辺部において基材12の表面に引き上げられている。別の基材17(例えばシリコンウェハ)上にエッチングストップ層、およびナノ構造体7の保持層となる絶縁層16を形成する。絶縁層16は光を透過する材質であり、例えばシリコンナイトライドや、シリコン酸化膜である。絶縁層16の上部に金属膜6を形成後、ナノ構造体7を形成する。続いて裏面をパターニングし、絶縁膜18をマスクとし、基材17をウェット処理などでエッチング除去する。例えば薬液としてTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を用いる。これにより、ナノ構造体7を透過した光が配線層9へ向かって通過する空隙19が形成される。
このようにして形成されたナノ構造体7を有する基材を、ダイオードを有する基材に貼り合わせることにより、図15に示すような構造が完成する。ナノ構造体と光検出部を別々に形成することにより、ナノ構造体のバリエーションを増やすことが容易になり、スケーラブルなシステムが作製可能である。測定手法については、実施形態1~4と同様である。
<本発明の変形例について>
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることが可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本明細書の図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。したがって本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
図9と図11において、1つの形状パラメータと、物質量およびフォトダイオード出力とを関連付けたデータ例を説明したが、形状パラメータは2つ以上でもよい。すなわち図9のルックアップテーブルや図11の近似関数を記述したデータは、4次元以上の変数を有するデータであってもよい。
以上の実施形態において、ナノ構造体7の形状パラメータとして寸法を例示したが、その他の形状パラメータを変更してもよい。例えば図10A~図10Bが示すように、穴の配置周期や配置位置を単位セルごとに変えることができる。その他の形状パラメータを変更してもよい。
以上の実施形態において、演算装置5は、その機能を実装した回路デバイスなどのハードウェアによって構成することもできるし、その機能を実装したソフトウェアをCPU(Central Processing Unit)などの演算デバイスが実行することにより構成することもできる。
1・・・光源
2・・・光のフラックス
3・・・センサチップ
4・・・信号ケーブル
5・・・演算装置
6・・・金属膜
7・・・ナノ構造体
8・・・絶縁層
9・・・配線層
10・・・第1導電型領域
11・・・第2導電型領域
12・・・基材
13・・・単位セル
14・・・ガラスまたは樹脂
15・・・マイクロ流路
16・・・絶縁層
17・・・基材
18・・・絶縁膜
19・・・空隙

Claims (12)

  1. 局在表面プラズモン共鳴を利用して対象物質の量を検出するセンシングシステムであって、
    金属微細構造のアレイ、
    前記金属微細構造に対して光を照射する光源、
    前記金属微細構造を介して前記光源からの光を前記金属微細構造ごとに検出するフォトダイオードを配置したフォトダイオード層、
    前記フォトダイオードが出力する信号強度を用いて、前記金属微細構造に固定されている固定物質に対して特異的に吸着する前記対象物質の量を算出する、演算装置、
    を備え、
    前記金属微細構造のアレイは、複数の単位セルに区分されており、
    前記複数の単位セルは、前記金属微細構造の第1形状集合体からなる第1単位セルと、前記第1形状集合体とは異なる形状の第2形状集合体からなる第2単位セルとを有し、
    前記センシングシステムはさらに、前記金属微細構造のマスタサンプルにおいて前記対象物質の量を変化させたときにおける、前記金属微細構造の形状パラメータ、前記対象物質の量、前記対象物質に起因する前記信号強度の変化量、の間の対応関係を表す関係データを格納する記憶装置を備え、
    前記演算装置は、前記アレイに対して前記対象物質を含む検体を供給したときにおける前記信号強度の変化量と、前記金属微細構造の形状パラメータとを用いて、前記関係データを参照することにより、前記検体に含まれる前記対象物質の量を算出する
    ことを特徴とするセンシングシステム。
  2. 前記演算装置は、前記フォトダイオードが検出した検出光の波長スペクトルを取得し、
    前記演算装置は、前記波長スペクトルを用いて前記変化量を特定することにより、前記関係データを作成し、
    前記演算装置は、前記作成した前記関係データを前記記憶装置へ格納する
    ことを特徴とする請求項1記載のセンシングシステム。
  3. 前記フォトダイオードは、シリコンによって形成されており、
    前記演算装置は、450nm以上1000nm以下の波長領域において、前記波長スペクトルを取得する
    ことを特徴とする請求項2記載のセンシングシステム。
  4. 前記関係データは、前記対象物質の量を目的変数とし、前記形状パラメータと前記変化量を説明変数とするとき、前記目的変数と前記説明変数との間の関係を記述する近似関数を、前記対応関係として記述している
    ことを特徴とする請求項1記載のセンシングシステム。
  5. 前記演算装置は、前記マスタサンプルにおいて前記対象物質の量を変化させたときにおける、前記フォトダイオードが出力する信号強度をそれぞれ取得し、
    前記演算装置は、前記取得した前記信号強度を用いて、回帰モデルによって前記近似関数を算出し、
    前記演算装置は、前記算出した前記近似関数を前記関係データとして前記記憶装置へ格納する
    ことを特徴とする請求項4記載のセンシングシステム。
  6. 前記フォトダイオードは、シリコンによって形成されており、
    前記演算装置は、450nm以上1000nm以下の波長領域において取得した前記信号強度を用いて、前記近似関数を算出する
    ことを特徴とする請求項4記載のセンシングシステム。
  7. 前記金属微細構造は、親水性の材料によって形成されており、
    前記単位セル間には、疎水性の材料が配置されている
    ことを特徴とする請求項1記載のセンシングシステム。
  8. 前記単位セルの表面は、前記金属微細構造が形成されている第1領域と、前記金属微細構造が形成されていない第2領域とを有し、
    前記フォトダイオード層は、前記フォトダイオード層の膜厚方向において前記第1領域に対向して配置された第1フォトダイオードと、前記膜厚方向において前記第2領域に対向して配置された第2フォトダイオードとを有し、
    前記第1フォトダイオードと前記第2フォトダイオードは、差動接続されている
    ことを特徴とする請求項1記載のセンシングシステム。
  9. 前記センシングシステムはさらに、前記金属微細構造を覆うように配置され、流体を前記金属微細構造に対して供給する、流路を備える
    ことを特徴とする請求項1記載のセンシングシステム。
  10. 前記金属微細構造は、薄膜構造の上に形成されており、
    前記薄膜構造は、
    前記金属微細構造が形成されている金属層と接する第1絶縁層、
    前記金属層に対して接していない側の面において前記第1絶縁層と接する基材層、
    前記第1絶縁層に対して接していない側の面において前記基材層と接する第2絶縁層、
    を備える
    ことを特徴とする請求項1記載のセンシングシステム。
  11. 前記センシングシステムはさらに、前記フォトダイオード層と前記金属層との間に配置され前記フォトダイオードが出力する信号を伝搬する配線を配置した、配線層を備え、
    前記第2絶縁層は、前記基材層と前記配線層との間に配置されており、
    前記基材層は、前記金属微細構造を介した光を前記配線層へ通過させる穴を有する
    ことを特徴とする請求項10記載のセンシングシステム。
  12. 局在表面プラズモン共鳴を利用して対象物質の量を検出するセンシングシステムを用いて前記対象物質の量を検出する検出方法であって、
    前記センシングシステムは、
    金属微細構造のアレイ、
    前記金属微細構造に対して光を照射する光源、
    前記金属微細構造を介して前記光源からの光を前記金属微細構造ごとに検出するフォトダイオードを配置したフォトダイオード層、
    を備え、
    前記金属微細構造のアレイは、複数の単位セルに区分されており、
    前記複数の単位セルは、前記金属微細構造の第1形状集合体からなる第1単位セルと、前記第1形状集合体とは異なる形状の第2形状集合体からなる第2単位セルとを有し、
    前記検出方法は、
    前記フォトダイオードが出力する信号強度を用いて、前記金属微細構造に固定されている固定物質に対して特異的に吸着する前記対象物質の量を算出する、ステップ、
    を有し、
    前記検出方法はさらに、前記金属微細構造のマスタサンプルにおいて前記対象物質の量を変化させたときにおける、前記金属微細構造の形状パラメータ、前記対象物質の量、前記対象物質に起因する前記信号強度の変化量、の間の対応関係を表す関係データを取得するステップを有し、
    前記対象物質の量を算出するステップにおいては、前記アレイに対して前記対象物質を含む検体を供給したときにおける前記信号強度の変化量と、前記金属微細構造の形状パラメータとを用いて、前記関係データを参照することにより、前記検体に含まれる前記対象物質の量を算出する
    ことを特徴とする検出方法。
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