JP2022071447A - 自動分析装置および自動分析方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022071447000001
【課題】信頼性の高い分析結果を得ることが可能な自動分析装置を提供する。
【解決手段】検体容器内において検体の前処理を行う前処理部と、前記前処理部において前処理された検体の分析処理を順次に実施する分析部と、前記前処理部および前記分析部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻から、前記分析部においての分析処理の開始時刻までの経過時間が、予め設定された上限時間を超えるか否かを判断し、前記上限時間を超えると判断した場合には、前記分析部における分析処理の結果に対してフラグを付与する自動分析装置である。
【選択図】図8

Description

本発明は、自動分析装置および自動分析方法に関する。
自動分析装置として、血液や尿などの検体に含まれる生体成分を分析する生化学分析装置が知られている。このような自動分析装置の中には、異なる項目の分析を行う複数の分析部を有するものもある。複数の分析部を有する自動分析装置の一例として、下記特許文献1に記載の技術がある。
この特許文献1には、「親検体供給部5から供給される検体が、検体希釈部6のピペットにより吸引希釈され、希釈検体搬送部7の搬送ベルト2上、A点の子検体ホルダーへ分注される。そして、搬送ベルト2上で、子検体ホルダーに埋め込まれているRFIDチップに、親検体IDと分析項目についての情報が書き込まれる。…この分析部で分析を行なうと判断された場合は、子検体ホルダーは、搬送ベルト2から搬送ベルト3上に移し替えられ、…搬送ベルト3で検体分注位置に搬送され、図示しないピペットで、分析部に分注される。分注、分析が終了すると、子検体ホルダーは、再び、搬送ベルト2に戻される。その後、子検体ホルダーは、搬送ベルト2により、次の分析部に搬送され、同様の操作を繰り返される。」と記載されている。
特開2010-243310号公報
ところで、上述した自動分析装置では、分析項目の増加、およびこれによる分析部の増加、さらには検体数の増加により、1つの子検体ホルダーに分注された検体について設定された全項目の分析に要する時間が増大する。このため、子検体ホルダー内の検体について、再度の分析を実施する場合、子検体ホルダーへの分注処理からの経過時間が非常に長くなる事態が想定される。実際の装置においては、子検体ホルダーが分析部に達するまでの時間は、最短で1分ほどしか掛からない場合もあれば、長い場合で30分を超える場合もある。そして、検体の分注処理からの経過時間が長くなることにより、子検体ホルダー内において検体の濃縮や成分の沈降が進み、分析結果が偽低値や偽高値となる問題が発生する。
そこで本発明は、信頼性の高い分析結果を得ることが可能な自動分析装置および自動分析方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明は、検体容器内において検体の前処理を行う前処理部と、前記前処理部において前処理された検体の分析処理を順次に実施する分析部と、前記前処理部および前記分析部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻から、前記分析部においての分析処理の開始時刻までの経過時間が、予め設定された上限時間を超えるか否かを判断し、前記上限時間を超えると判断した場合には、前記分析部における分析処理の結果に対してフラグを付与する自動分析装置である。
このような本発明によれば、信頼性の高い分析結果を得ることが可能な自動分析装置および自動分析方法を提供することができる。
実施形態に係る自動分析装置の概略構成図である。 実施形態に係る自動分析装置に設けられた情報読取部を説明する図である。 実施形態に係る自動分析装置のブロック図である。 実施形態に係る自動分析装置に保持される項目情報の一例を示す図である。 実施形態に係る自動分析装置に保持される検体情報の一例を示す図である。 実施形態に係る自動分析装置に保持される容器情報の一例を示す図である。 実施形態に係る自動分析装置において実施される自動分析方法を示すフローチャートである。 実施形態に係る自動分析方法における各検査項目の分析情報処理の手順を示すフローチャートである。 自動分析方法の変形例1を示すフローチャートである。 自動分析方法の変形例2を示すフローチャートである。 自動分析方法の変形例3を示すフローチャートである。
以下、本発明の自動分析装置および自動分析方法の実施の形態を順に説明する。
≪自動分析装置の構成≫
図1は、実施形態に係る自動分析装置1の概略構成図であり、血液や尿などの検体に含まれる生体成分を分析する生化学分析装置に本発明を適用した臨床検査自動分析装置の全体構成を示す図である。
この図に示す自動分析装置1は、装置本体1aと制御部1bとを備えている。このうち装置本体1aは、検体の分析処理を実施する。また制御部1bは、装置本体1aに接続され、装置本体1aの各部の駆動を制御する。以下、自動分析装置1の詳細な構成を、装置本体1aおよび制御部1bの順に説明する。
<装置本体1a>
装置本体1aは、親検体供給部10、分注処理部20、複数の分析部30-1、30-2,…(ここでは一例として3箇所)、搬送部40、および情報読取部50(図2参照)を備えている。各部の構成は次のようである。
[親検体供給部10]
親検体供給部10は、親検体が貯蔵された複数の容器(図示省略)を保持する。親検体は、分析対象となる血液や尿などの検体であって、前処理液と混合されていない未処理のものである。このような未処理の親検体としては、例えばヘモグロビンA1cを測定するための遠心分離後の血液も含まれる。また親検体を貯蔵した各容器は親検体の検体識別情報[IDx]を有し、検体識別情報[IDx]に基づいて、親検体の供給を行う。
[分注処理部20]
分注処理部20は、ピペットとその駆動部を備える。この分注処理部20は、親検体供給部10に保持された容器内から、ピペットによって親検体を吸引する。また分注処理部20は、以降に説明する搬送部40の分注位置P1に配置された検体容器Sに、ピペット内に吸引した親検体を分注する。この際、分注処理部20は、親検体と共に前処理液を、検体容器S内に分注してもよい。この場合、親検体は検体容器S内において前処理液と混合される。この場合、この分注処理部20は、以降に説明する撹拌機構と共に、親検体と前処理液とを混合する前処理部となる。以下、検体容器S内に分注された親検体、または検体容器S内において混合された親検体と液体との混合溶液を検体と称する。
[分析部30-1、30-2,…]
分析部30-1、30-2,…は、検体容器Sに分注された検体の分析処理を実施する分析モジュールである。各分析部30-1、30-2,…は、以降に説明する搬送部40によって検体容器Sが搬送される順に、第1分析部30-1、第2分析部30-2、第3分析部30-3であることとする。ここでは、分析部30-1、30-2,…として第1分析部30-1~第3分析部30-3の3つの分析モジュールを示したが2つであっても、4つ以上であってもよい。
これらの各分析部30-1、30-2,…は、搬送部40によって順次に搬送される検体容器S内の検体に対して、それぞれ異なる複数の検査項目の分析処理を実施する。これらの分析部30-1、30-2,…は、それぞれが複数の検体の分析を並行して行う構成とすることができる。
また各分析部30-1、30-2,…は、ここでの図示は省略した反応管と、検体容器S中の検体を吸引して反応管に分取するピペットと、反応管内に各検査項目に対応する試薬を供給する試薬供給部と、測定部とを有する。そして、測定部での測定値を、分析処理の結果として制御部1bに出力する。
[搬送部40]
搬送部40は、検体容器Sを搬送する。この搬送部40は、分注処理部20による検体容器Sへの分注位置P1から近い順に、第1分析部30-1、第2分析部30-2、第3分析部30-3の順に検体容器Sを搬送し、再び分注位置P1に検体容器Sを戻すように、検体容器Sを搬送する。このような搬送部40は、ベルト状の各搬送ライン41~44を備え、各搬送ライン41~44の上部に載置した検体容器Sをベルトの延設方向に搬送する。各搬送ライン41~44は、例えば供給ライン41、複数の分析ライン42(ここでは3つ)、回収ライン43、および再検査用ライン44である。これらの搬送ライン41~44は次のようである。
-供給ライン41-
供給ライン41は、検体の分注位置P1から分析部30-1、30-2,…の配列方向に向かう第1方向x1に、検体容器Sを搬送する一連の搬送路を構成している。この供給ライン41は、一端を分注位置P1とし、この分注位置P1から、第1分析部30-1、第2分析部30-2、および第3分析部30-3の配置に沿って敷設され、最も遠い分析部(ここでは第3分析部30-3)を超えた位置にまで達している。
このような供給ライン41には、分注位置P1の他に、複数の所定位置が設定されている。各所定位置は、第1方向x1の上流側から順に、分注位置P1、撹拌位置P2、各分析部30-1、30-2,…に対応して配置された容器保持位置P3および容器載置位置P4、さらに移載位置P5である。
分注位置P1は、分注処理部20によって親検体の分注が実施される位置であり、親検体を分注する検体容器Sが保持される位置である。撹拌位置P2は、検体容器S内の溶液を撹拌する位置であり、撹拌機構(図示省略)を備える。この撹拌機構は、上述した分注処理部20と共に、親検体と前処理液とを混合した検体を撹拌する前処理部となる。なお、分注位置P1において検体容器S内への前処理液の分注を実施しない場合には、撹拌位置P2において撹拌処理を必ずしも行う必要はない。
各容器保持位置P3は、検体容器Sを、各分析ライン42に移載する位置であり、検体容器Sを移載するための移載機構(図示省略)を備える。また各容器載置位置P4は、各分析ライン42上の検体容器Sが、供給ライン41に戻される位置であり、検体容器Sを供給ライン41に戻すための移載機構(図示省略)を備える。さらに移載位置P5は、検体容器Sを、回収ライン43に移載する位置であり、検体容器Sを移載するための移載機構(図示省略)を備える。
-分析ライン42-
分析ライン42は、各分析部30-1、30-2,…に対応して設けられた搬送路であって、供給ライン41と、各分析部30-1、30-2,…との間に設けられている。これらの分析ライン42は、第1方向x1の上流側の端部を、供給ライン41から移載される検体容器Sの載置位置P31としている。また各分析ライン42は、第1方向x1の下流側の端部を、供給ライン41へ移載する検体容器Sを保持する容器保持位置P32としている。このような分析ライン42は、載置位置P31から容器保持位置P32まで、検体容器Sを第1方向x1に搬送する。また、ここでの図示は省略したが、各分析ライン42には、載置位置P31と容器保持位置P32との間に、検体容器S内の検体を各分析部30-1、30-2,…の反応管に分取するための分取位置が設定されている。
-回収ライン43-
回収ライン43は、供給ライン41と平行に延設された一連の搬送路であって、検体容器Sを第1方向x1と逆の第2方向x2の向きに搬送する。このような回収ライン43は、供給ライン41を挟んで、分析部30-1、30-2,…とは逆側に設けられている。また回収ライン43上には、第2方向x2の上流側から順に、待機位置P6、再検用移載位置P7、洗浄位置P8、および容器供給位置P9が順に設けられている。
待機位置P6は、供給ライン41から移載された検体容器Sを待機させる位置である。回収ライン43に移載された検体容器Sは、検体容器S内の検体についての各分析部30-1、30-2,…での分析結果が制御部1bに出力されるまでの間、待機位置P6に保持される。再検用移載位置P7は、検体容器Sを、次に説明する再検査用ライン44に移載する位置であり、検体容器Sを移載するための移載機構(図示省略)を備える。洗浄位置P8は、検体容器S内の検体を廃棄して検体容器Sを洗浄する位置であり、洗浄機構(図示省略)を備える。容器供給位置P9は、洗浄位置P8で洗浄された検体容器Sを、供給ライン41の分注位置P1に移載する移載機構(図示省略)を備える。
-再検査用ライン44-
再検査用ライン44は、回収ライン43上の検体容器Sのうち、再分析処理を実施する検体を収容した検体容器Sを、回収ライン43から供給ライン41に戻すための迂回用の搬送路である。このような再検査用ライン44は、回収ライン43における第2方向x2の下流側において、回収ライン43および供給ライン41と平行に配置され、例えば検体容器Sを第2方向x2の向きに搬送する。
この再検査用ライン44は、第2方向x2の上流側の端部を、回収ライン43の再検用移載位置P7から移載される検体容器Sの載置位置P71としている。また、第2方向x2の下流側の端部を、供給ライン41の分注位置P1へ移載する検体容器Sの容器保持位置P72としている。このような再検査用ライン44は、載置位置P71から容器保持位置P72まで、検体容器Sを第2方向x2に搬送する。
[情報読取部50]
図2は、実施形態に係る自動分析装置に設けられた情報読取部50を説明する図である。この図に示す情報読取部50は、検体容器Sが有する容器識別情報[IDy]を読み取るためのものである。このような情報読取部50は、例えば各搬送ライン41~44において検体容器Sを載置するベルト状の載置面の裏側に設けられ、検体容器Sが有する容器識別情報[IDy]を読み取る。このような情報読取部50は、例えばRFIDアンテナである。
また容器識別情報[IDy]は、例えば検体容器Sの底面に設けられた記録媒体2aに保存されていることとする。情報読取部50がRFIDアンテナである場合、記録媒体2aはRFIDチップであり、RFIDアンテナにより情報の書き換えが自在である。この場合、RFIDチップは、容器識別情報[IDy]の他の情報を保持してもよく、情報読取部50としてのRFIDアンテナによって書き込まれた情報を保持してもよい。
ここで、検体容器Sは、例えば試験管状のものであって、ホルダー2に収容された状態で搬送ライン41~44によって搬送される。ホルダー2は、上方から陥入した検体容器Sを保持するためのものであり、微量の検体を貯留する検体容器Sを安定した状態で搬送するために、ある程度の大きさの外形形状を有して構成されている。このようなホルダー2は、例えばモールド成形されたものであって、底部に記録媒体2aが配置されている。記録媒体2aがRFIDチップである場合、RFIDチップはモールド成形されたホルダーの底部に埋め込まれていることとする。
また搬送部40において情報読取部50が配置される位置は、検体容器Sの到達を検知したい位置、および各位置に到達した検体容器Sの容器識別情報[IDy]を読み取りたい位置である。このような位置は、例えば供給ライン41における、分注位置P1、撹拌位置P2、容器保持位置P3、および移載位置P5である。また回収ライン43における待機位置P6、再検用移載位置P7、洗浄位置P8、および容器供給位置P9である。
<制御部1b>
図1に戻り、制御部1bは、表示部61、入力部62、およびここでの図示を省略した計算機によって構成されたものであって、装置本体1aの各部および各機構部分の動作を制御する。計算機は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアであって、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ、およびリアルタイムクロック(RTC)を備える。さらに、計算機は、必要に応じて不揮発性の記憶部およびネットワークインターフェースを備える。
図3は、実施形態に係る自動分析装置1のブロック図であり、制御部1bの機能的要素を示す図である。この図に示すように、制御部1bは、機能的要素として、表示部61、入力部62、項目情報記憶部63、検体情報記憶部64、容器情報記憶部65、および入出力処理部66を備えている。このうち、項目情報記憶部63、検体情報記憶部64、容器情報記憶部65、および入出力処理部66は、計算機によって構成されている。以下、これらの機能的要素を、図1~図3と共に、他の必要図を用いて説明する。
[表示部61]
表示部61は、入力部62での操作の内容、および入力部62での操作にしたがって設定された内容、各分析部30-1、30-2,…での分析処理の結果、さらには以降に説明する入出力処理部66から指示に従った表示を実施する。
[入力部62]
入力部62は、この自動分析装置1を用いて実施される分析処理に関する各種の設定、さらには項目情報記憶部63、検体情報記憶部64、および容器情報記憶部65が保持する情報を入力する部分である。このような入力部62は、表示部61と一体に設けたタッチパネルであってもよく、表示部61とは別に設けた操作ボタンを有していてもよい。さらにこのような入力部62は、以降に説明する入出力処理部66との間でデータの受け渡しのための通信が可能なパーソナルコンピューターなどの外部装置のものであってもよい。また入力部62は、情報読取装置およびネットワークインターフェースを含んでもよい。
[項目情報記憶部63]
項目情報記憶部63は、この自動分析装置1を用いた分析処理が実施される各項目(検査項目[Im])に関する情報(以下、項目情報と称する)を保持する。図4は、実施形態に係る自動分析装置に保持される項目情報の一例を示す図である。この図に示すように、項目情報記憶部63は、項目情報として、例えば検査項目[Im]と、上限時間[Tmax]と、分析を実施する分析部番号[n]と、正常範囲[NR]とを関連付けて保持する。
このうち上限時間[Tmax]は、検査項目[Im]においての検体の使用期限であり、基準となる時刻からの経過時間の上限値として示される。この上限時間[Tmax]は、各検査項目[Im]において正確な分析結果を得ることができる時間である。分析部番号[n]は、検査項目[Im]の分析処理を実施する分析部の番号である。正常範囲[NR]は各検査項目[Im]についての分析処理の結果の正常範囲である。項目情報記憶部63に保持されるこれらの情報は、入力部62や他の外部装置から予め入力された情報であることとする。
なお、図4での図示は省略したが、項目情報記憶部63は、項目情報として、さらに検体の希釈率および検体の使用量等の各検査項目[Im]の分析処理に必要な情報を、検査項目[Im]に関連付けて保持していることとする。
[検体情報記憶部64]
検体情報記憶部64は、この自動分析装置1を用いた分析処理が実施される各検体に関する情報(以下、検体情報と称する)を保持する。図5は、実施形態に係る自動分析装置に保持される検体情報の一例を示す図である。この図に示すように、検体情報記憶部64は、検体情報として、例えば各検体に付与された検体識別情報[IDx]と、分析処理を実施する検査項目[Im]と、分析処理の結果としての測定値[R]とを関連付けて保持する。
検体情報記憶部64に保持されるこれらの情報のうち、検体識別情報[IDx]と、検査項目[Im]とは、自動分析装置1による分析動作の実施に先立ち、入力部62や他の外部装置から入力された情報であることとする。一方、測定値[R]は、自動分析装置1による分析処理の実施にともない、各分析部30-1、30-2,…から順次に入力される情報であることとする。
[容器情報記憶部65]
容器情報記憶部65は、この自動分析装置1で用いられる検体容器に関する情報(以下、容器情報と称する)を保持する。図6は、実施形態に係る自動分析装置1に保持される容器情報の一例を示す図である。この図に示すように、容器情報記憶部65は、容器情報として、例えば各検体容器Sに付与された容器識別情報[IDy]と、その検体容器Sに分注された検体の検体識別情報[IDx]と、基準時刻[T0]と、検査項目[Im]とを関連付けて保持する。
容器識別情報[IDy]は、検体容器Sが有する記録媒体2aに保存された検体容器Sの識別情報であって、分注位置P1に設置された情報読取部50が読み取った情報である。また検体識別情報[IDx]は、分注位置P1に設置された情報読取部50によって容器識別情報[IDy]が読み取られた検体容器Sに対して分注される親検体の識別情報である。この検体識別情報[IDx]は、親検体供給部10から取得される情報であることとする。なお、1つの親検体が複数の検体容器Sに分注される場合、同一の検体識別情報[IDx]が、複数の容器識別情報[IDy]に対して関連付けされる。例えば図6に示した例では、検体識別情報[IDx]=x0002は、容器識別情報[IDy]=y002、y003に関連付けされている。さらに基準時刻[T0]は、図4に示した項目情報における上限時間[Tmax]の基準となる時刻であり、分注処理を実施した時刻、または分注処理を実施した時刻に相当し分注処理を実施した時刻に換算可能な時刻である。このような基準時刻[T0]は、例えば検体容器Sが有する記録媒体2aに保存された検体容器Sの識別情報を、分注位置P1または撹拌位置P2に設置された情報読取部50で読み取った時刻であることとする。また検査項目[Im]は、検体容器S内の検体を用いて実施される検査項目[Im]であり、自動分析装置1による分析動作の実施に先立ち、入力部62や他の外部装置から入力された情報であることとする。
容器情報記憶部65に保持されるこれらの情報は、自動分析装置1による分析処理の実施において、情報読取部50やRTCから取得される情報であることとする。
[入出力処理部66]
入出力処理部66は、制御部1bの各部、および装置本体1aの各駆動制御部に接続されている。この入出力処理部66は、入力部62からの指示に基づいて、制御部1bの各記憶部63~65を参照し、装置本体1aの各部の駆動を制御し、自動分析を実施する。入出力処理部66が実施する自動分析の手順は、自動分析プログラムとして予め制御部1bの計算機を構成するROMに保存されたプログラムであるか、または外部装置からRAMまたは不揮発性ストレージにロードされた保存されたプログラムである。このような入出力処理部66による自動分析の手順の詳細は、次の自動分析方法において説明する。
≪自動分析方法≫
図7は、実施形態に係る自動分析装置1において実施される自動分析方法を示すフローチャートであって、図1および図3を用いて説明した制御部1bの計算機が有するプログラムによって実行される自動分析方法の手順を示している。この図に示すフローは、図1および図3を用いて説明した制御部1bの入力部62から入力された分析開始の指示によって開始される。以下、図7のフローチャートに示す順に、先に示した図1~図6、および必要に応じて他の図を参照して実施形態の自動分析装置1を用いた自動分析方法を説明する。
<ステップS1>
ステップS1において、入出力処理部66は、搬送部40の分注位置P1に設置された情報読取部50に対して容器識別情報[IDy]の読み取りを指示し、読み取った容器識別情報[IDy]を、容器情報記憶部65(図6)に保存する。
<ステップS2>
ステップS2において、入出力処理部66は、分注処理部20に対して、容器識別情報[IDy]を読み取った検体容器Sへの親検体の分注処理を指示する。これにより、分注処理部20は、分注位置P1に載置されている検体容器Sに親検体を分注し、さらに必要に応じて前処理液を分注する。ここでは、前処理液の分注を実施することとして、以降を説明する。
<ステップS3>
ステップS3において、入出力処理部66は、分注処理部20において分注処理を実施した時刻を、計算機が有するRTCから取得する。入出力処理部66は、取得した時刻を基準時刻[T0]としてステップS1で読み取った容器識別情報[IDy]に対して関連付けして、容器情報記憶部65(図6)に保存する。このような基準時刻[T0]は、前処理部において検体の前処理を実施した時刻に相当する。
さらに入出力処理部66は、ステップS2で分注した検体の検体識別情報[IDx]を親検体供給部10から取得する。また取得した検体識別情報[IDx]を、ステップS1で読み取った容器識別情報[IDy]に対して関連付けして、容器情報記憶部65(図6)に保存する。
<ステップS4>
ステップS4において、入出力処理部66は、搬送部40の駆動により検体を収容した検体容器Sを、撹拌位置P2に搬送し、撹拌位置P2において撹拌処理を実施させる。この撹拌処理は、検体の前処理でもある。
<ステップS5>
ステップS5において、入出力処理部66は、分析部番号[n]=1の処理を実施する。分析部番号[n]は、分析部30-1~30-3について、検体容器Sが搬送される順に伏した番号である。
<ステップS6>
ステップS6において、入出力処理部66は、ステップS2で分注した検体について、第[n]分析部で分析を実施する検査項目[Im]があるか否かの判断を実施する。ここで、第[n]分析部とは、図1に示す第1分析部30-1~第3分析部30-3の何れかに対応し、ステップS5から本ステップS6に進んだ場合には、第[n]分析部は、第1分析部30-1となる。
この際、入出力処理部66は、まず容器情報記憶部65(図6)を参照し、ステップS2で検体が分注された検体容器Sの容器識別情報[IDy]に対して関連付けされた検査項目[Im]を抽出する。次いで、入出力処理部66は、項目情報記憶部63(図4)を参照し、抽出した検査項目[Im]のなかに、分析部番号[n]に関連付けされた検査項目[Im]があれば、第[n]分析部での検査項目[Im]がある(YES)と判断し、次のステップS7に進む。一方、入出力処理部66は、抽出した検査項目[Im]のなかに、分析部番号[n]が関連付けされた検査項目[Im]がなければ、第[n]分析部での検査項目[Im]はない(NO)と判断し、ステップS9aに進む。
<ステップS7>
ステップS7において、入出力処理部66は、ステップS2で分注した検体について、第[n]分析部において分析処理を実施する各検査項目[Im]に関する分析情報処理を実施する。
図8は、実施形態に係る自動分析方法における各検査項目[Im]の分析情報処理の手順を示すフローチャートであって、図7のステップS7の詳細手順を示す図である。以下、図8のフローチャートに沿って、各検査項目[Im]の分析情報処理の手順の詳細を説明する。
[ステップS701]
ステップS701において、入出力処理部66は、当該検査項目[Im]の分析処理のための検体の分取時刻[T]を算出する。この分取時刻[T]は、例えばステップS2で分注した検体を、検体容器Sから第[n]分析部の反応管に分取する時刻であって、検査項目[Im]に関する分析処理の開始時刻に相当する。この際、入出力処理部66は、例えばステップS2(図7参照)で検体を分注した検体容器Sを、第[n]分析部に近接して配置された分析ライン42に移載した時刻に基づいて、分取時刻[T]を算出する。移載した時刻は、計算機のRTCから取得し、分取時刻[T]は予め設定された計算式に基づいて算出する。
[ステップS702]
ステップS702において、入出力処理部66は、基準時刻[T0]から分取時刻[T]に至るまでの経過時間が、上限時間[Tmax]を超えるか否かの判断を実施する。ここで基準時刻[T0]は、容器情報記憶部65(図6参照)に保持された基準時刻[T0]であり、ステップS2で分注した検体を収容した検体容器Sの容器識別情報[IDy]に関連付けて保持された基準時刻[T0]である。また上限時間[Tmax]は、項目情報記憶部63(図4参照)に保持された上限時間[Tmax]であり、当該検査項目[Im]に関連付けて保持された上限時間[Tmax]である。
この際、入出力処理部66は、この基準時刻[T0]と、ステップS701で算出した分取時刻[T]とに基づいて、当該項目についての基準時刻[T0]から分注開始(分取時刻)までの経過時間([T]-[T0])を算出する。そして算出した経過時間が、上限時間[Tmax]を超える(YES)と判断した場合には、ステップS703に進む。一方、算出した経過時間が、上限時間[Tmax]を超えない(NO)と判断した場合には、ステップS704に進む。
[ステップS703]
ステップS703において、入出力処理部66は、当該検査項目[Im]に関する分析処理の結果の出力欄に、目印となるフラグの付与を指示する。結果の出力欄とは、例えば表示部61における分析処理の結果の出力欄であり、また検体情報記憶部64における測定値[R]の保持部である。これにより、当該検査項目[Im]の分析において、分取時刻[T]が当該検査項目[Im]に設定された上限時間[Tmax]を超えている場合には、検査結果である測定値[R]に対して、フラグが付与されることとなる。
[ステップS704]
ステップS704において、入出力処理部66は、第[n]分析部においての全ての検査項目[Im]の分析情報処理が終了したか否かの判断を実施する。そして、終了した(YES)と判断した場合には、ステップS2(図7参照)で分注した検体について、第[n]分析部においての各検査項目[Im]の分析情報処理を終了し、図7のステップS8に進む。一方、終了していない(NO)と判断した場合には、ステップ701に戻って処理を繰り返す。
<ステップS8>
図7のフローに戻り、ステップS8において、入出力処理部66は、ステップS2で分注した検体について、第[n]分析部に割り当てられた各検査項目[Im]の分析処理を実施する。この際、先ず入出力処理部66は、搬送部40の駆動により、ステップS2で分注した検体が分注された検体容器Sを、第[n]分析部に近接して配置された分析ライン42に移載する。その後、第[n]分析部において、各検査項目[Im]の分析処理を順次に実施する。各分析処理においては、検体容器S中の検体をピペットで吸引して反応管に分取し、反応管内に各検査項目に対応する試薬を供給して試薬と検体とを反応させ、測定部において測定(例えば分光測定)を行う。そして、測定部での測定値を、分析処理の結果として制御部1bに出力する。入出力処理部66は、分析結果である測定値[R]を、検体情報記憶部64(図5参照)に保存する。なお、本ステップS8は、ステップS7と平行して実施してよい。
<ステップS9>
ステップS9において、入出力処理部66は、全ての検査項目[Im]の分析処理が開始されたか否かの判断を実施する。ここで全ての検査項目[Im]とは、ステップS2で検体が分注された検体容器Sの容器識別情報[IDy]に関連付けて、容器情報記憶部65(図6参照)に保持されている全ての検査項目[Im]であることとする。
入出力処理部66は、全ての検査項目[Im]の分析処理が開始された(YES)と判断した場合にはステップS10に進み、終了していない(NO)と判断した場合にはステップS9aに進む。
<ステップS9a>
ステップS9aにおいて、入出力処理部66は、分析部番号[n]=[n]+1の処理を実施し、ステップS6に戻って以降を繰り返す。
<ステップS10>
ステップS10において、入出力処理部66は、ステップS2で分注した検体について、全ての検査項目[Im]の分析処理が終了したか否かの判断を実施する。ここで全ての検査項目[Im]とは、ステップS9で説明した全ての検査項目[Im]と同様であり、検体容器Sの容器識別情報[IDy]に関連付けされた全ての検査項目[Im]である。入出力処理部66は、これら全ての検査項目[Im]についての分析結果が、制御部1bに出力された場合に、全ての検査項目[Im]の分析処理が終了した(YES)と判断してステップS11に進み、終了した(YES)と判断されるまでステップS10の判断を繰り返す。なお、本ステップS10において、全ての検査項目[Im]についての分析結果が制御部1bに出力され、分析処理が終了した(YES)と判断されるまで、ステップS1で容器識別情報[IDy]が読み取たられた検体容器Sは、回収ライン43の待機位置P6に保持される。
<ステップS11>
ステップS11において、入出力処理部66は、再分析処理を実施するか否かの判断を実施する。この際、入出力処理部66は、例えばステップS8で分析処理を実施した全ての検査項目[Im]についての分析処理の分析(測定値[R])の中に、項目情報記憶部63(図4参照)に保持された各検査項目[Im]の正常範囲[NR]を外れた値が含まれていれば、再分析処理を実施する(YES)と判断する。
この場合、ステップS5に戻り、再びステップS5以降のステップを繰り返す。ただし、この繰り返しにおいては、ステップS11において、分析処理の結果(測定値[R])が正常範囲[NR]を外れていると判断された検査項目[Im]についてのみ、分析情報処理および分析処理を繰り返すこととする。この場合、ステップS8の分析処理で得た結果(測定値[R])は、検体情報記憶部64(図5参照)に対して、再検した測定値[R]として追加で保存する。
一方、入出力処理部66は、ステップS8で分析処理を実施した全ての検査項目[Im]についての分析処理の結果(測定値[R])が、項目情報記憶部63に保持された各検査項目[Im]の正常範囲[NR]内であれば、再分析処理を実施しない(NO)と判断する。この場合、次のステップS12に進む。
<ステップS12>
ステップS12において入出力処理部66は、装置本体1aの搬送部40に対して、ステップS2で検体を分注した検体容器Sの洗浄処理を指示する。これにより、搬送部40の洗浄位置P8において、ステップS2で検体が分注された検体容器S中から検体が廃棄され、その検体容器Sの洗浄が実施される。そして、洗浄処理を終了した検体容器Sを、容器供給位置P9に搬送し、一連の分析動作を終了させる。
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態によれば、各検体に関する各検査項目[Im]の分析において、各検査項目[Im]の分取時刻[T]が、各検査項目[Im]に設定された上限時間[Tmax]を超えている場合には、検査結果である測定値[R]に対してフラグが付与される。
このため、例えば時間経過とともに、検体中の成分が沈降することで検査結果である測定値[R]にバラツキが生じ易い検査項目[Im]であっても、測定値[R]にフラグが付与されているか否かによって、分析結果の信頼性を判断することが可能になる。
例えば、検査項目[Im]がヘモグロビンA1cの測定であれば、親検体として遠心分離後の血球層が検体容器Sに分注され、浸透圧の小さい溶液(前処理液)と混合して赤血球を破壊し、溶血させる前処理が行われる。前処理液としては、純水などが用いられる。上記実施形態においては、ステップS2で検体分注を実施する際に、検体容器Sに血球と前処理液とを分注して混合して溶血させることができる。しかしながら、ヘモグロビンは、水と比較して比重が高いため、溶血させた検体中においては時間経過と共にヘモグロビンが沈降することが実験的にわかっている。
ここで、各分析部30-1、30-2,…において、検体容器Sから反応管に検体を分取する際には、検体へのピペットの浸漬範囲を抑えるために、検体の上層から分取することが多い。このため、検体容器S中から溶血させた検体を分取する際には、前処理からの時間経過によって分取できるヘモグロビンの量が変動することになる。臨床検査においては、ヘモグロビンA1cは、ヘモグロビンの量との比率(HbA1c%)が重要になるため、ある程度の時間経過は許容されると考えられる。しかしながら、ヘモグロビンの沈降が進んで母体となるヘモグロビンの分取量自体が低下することは、HbA1c%の値にバラツキが生じる要因となる。このため、本実施形態によれば、分析結果に対してフラグが付与されているか否かによって、分析結果である測定値[R]の信頼性を確認することが可能になるのである。
また、親検体を検体容器Sに分注してから分析処理を開始するまでの時間が長期化して検体が濃縮されることで、分析結果が偽高値となり易い検査項目[Im]もある。このような検査項目[Im]であっても、上述した実施形態によれば、測定値[R]にフラグが付与されているか否かによって、分析結果の信頼性を判断することが可能である。
また以上のように、上限時間[Tmax]を経過した後の分析処理で得られた測定値であることを、フラグによって通知することができるため、分析結果の信頼性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態のステップS8においては、ステップS2で検体が分注された検体容器の容器識別情報[IDy]に関連付けて、容器情報記憶部65(図6参照)に保持されている全ての検査項目[Im]について分析処理を実施する構成とした。しかしながら、ステップS8においては、上述した全ての検査項目[Im]のうち、ステップS7の分析情報処理において、フラグが付されていない検査項目[Im]のみについて分析処理を実施する構成としてもよい。
≪変形例1≫
図9は、自動分析方法の変形例1を示すフローチャートであって、図8のフローチャートの変形例である。図9に示すフローチャートの手順が、図8に示すフローチャートの手順と異なるところは、図8のステップS703に替えて図9ではステップS703aを実施するとろにある。他のステップは同様であるため、ここではステップS703aについてのみ説明を行う。
[ステップS703a]
ステップS703aは、ステップS702において算出した経過時間([T]-[T0])が、上限時間[Tmax]を超える(YES)と判断して進んだステップである。このステップS703aにおいて、入出力処理部66は、第[n]分析部においての当該検査項目[Im]の分析にあたって反応管に検体を分取する際、通常よりも検体容器S内へのピペットの降下量を増加させる。そして、ピペットによる検体の吸引位置を、通常よりも深くする。
これにより、次のステップS8(図7参照)においての当該検査項目[Im]の分析処理にあたっては、上限時間[Tmax]を超えないと判断される通常の分析処理の場合よりも、検体容器Sの深い位置において吸引して分取した検体についての分析処理が実施されることになる。
<変形例1の効果>
このような変形例1によれば、各検体に関する各検査項目[Im]の分析において、各検査項目[Im]の分取時刻[T]が、各検査項目[Im]に設定された上限時間[Tmax]を超えている場合には、検体容器Sのより深い位置で検体が分取される。これにより、分析対象となる検体中の成分が沈降しやすい成分(例えば上述したヘモグロビン)であって、分取時刻[T]までの経過時間が上限時間[Tmax]を超えて長期化した場合であっても、検体容器Sのより深い位置から成分の含有量が十分な検体を分取することができる。この結果、上述したヘモグロビンA1cの測定であれば、分取時刻[T]までの経過時間に因らずに、バラツキを抑えた信頼性の高い分析結果を得ることが可能である。
なお、図9に示した変形例1は、図8に示した実施形態と組み合わせることが可能である。
≪変形例2≫
図10は、自動分析方法の変形例2を示すフローチャートであり、先に図7のフローチャートを用いて説明した実施形態の自動分析方法において、ステップS11で再分析処理を実施する(YES)と判断した場合に実施される各ステップを示している。なお、この変形例2は、図7のフローチャートにおけるステップS7を実施する場合および実施しない場合の両方に適用される。以下、図10の各ステップを説明する。
[ステップS901]
ステップS901は、ステップS11において再分析処理を実施する(YES)と判断して進んだステップである。このステップS901において、入出力処理部66は、基準時刻[T0]からステップS11において再分析処理を実施する(YES)と判断した時刻までの経過時間[Te]を算出する。ここで基準時刻[T0]は、容器情報記憶部65(図6参照)に保持された基準時刻[T0]であり、ステップS2で分注した検体を収容した検体容器Sの容器識別情報[IDy]に関連付けて保持された基準時刻[T0]である。また、再分析処理を実施する(YES)と判断した時刻は、計算機のRTCから取得する。
[ステップS902]
ステップS902において、入出力処理部66は、再分析処理を実施する全ての検査項目[Im]について、ステップS901で算出した経過時間[Te]が上限時間[Tmax]を超えるか否かの判断を実施する。ここで、再分析処理を実施する全ての検査項目[Im]とは、例えばステップS11の判断にあたって、分析処理の結果(測定値[R])が正常範囲[NR]を外れていると判断された全ての検査項目[Im]である。また上限時間[Tmax]は、項目情報記憶部63(図4参照)に保持された上限時間[Tmax]であり、各検査項目[Im]に関連付けて保持された上限時間[Tmax]である。
この際、入出力処理部66は、再分析処理を実施する全ての検査項目[Im]のうち、経過時間[Te]が上限時間[Tmax]を超える検査項目[Im]がある場合には、上限時間[Tmax]を超える(YES)と判断する。この場合、ステップS4(図7参照)に進んでステップS4以降を繰り返す。
一方、再検査を実施する全ての検査項目[Im]において、経過時間[Te]が上限時間[Tmax]を超えない(NO)と判断した場合には、ステップS5(図7参照)に進み、ステップS5以降を繰り返す。
<変形例2の効果>
このような変形例2によれば、再検を行う検査項目[Im]の中に、再分析処理を実施すると判断するまでの経過時間が上限時間[Tmax]を超えた検査項目[Im]がある場合には、再検のための分析処理を実施する前に、検体容器S中の検体の撹拌処理が行われる。これにより、検体中の分析成分が、沈降しやすい成分(例えば上述したヘモグロビン)であって、再分析処理を実施すると判断するまでの経過時間[Te]が上限時間[Tmax]を超えて長期化した場合であっても、検体容器S中の検体が撹拌処理されることで検体中の成分を均一化させることができる。この結果、沈降しやすい分析成分であっても、再検分析開始時刻[Tr]までの経過時間に因らずに、バラツキを抑えた信頼性の高い分析結果を得ることが可能である。
≪変形例3≫
図11は、自動分析方法の変形例3を示すフローチャートであって、図10のフローチャートの変形例である。図11に示すフローチャートの手順が、図10に示すフローチャートの手順と異なるところは、図10のステップS4に替えて図11ではステップS903~ステップS905を実施するところにある。他のステップは同様であるため、ここではステップS903~ステップS905についてのみ説明を行う。なお、図11は、先に図7のフローチャートを用いて説明した実施形態の自動分析方法において、ステップS11で再分析処理を実施する(YES)と判断した場合に実施される各ステップを示しているが、この変形例2は、図7のフローチャートにおけるステップS7を実施する場合および実施しない場合の両方に適用される。
[ステップS903]
ステップS903は、ステップS902において上限時間[Tmax]を超える(YES)と判断して進んだステップである。このステップS903において、入出力処理部66は、再分析処理を実施する全ての検査項目[Im]の分析結果の出力欄に、再検不可フラグの付与を指示する。ここで、再分析処理を実施する全ての検査項目[Im]とは、例えばステップS11の判断にあたって、分析処理の結果(測定値[R])が正常範囲[NR]を外れていると判断された全ての検査項目[Im]である。また分析結果の出力欄とは、例えば表示部61における分析結果の出力欄であり、また検体情報記憶部64における測定値[R]の保持部である。
[ステップS904]
ステップS904において、入出力処理部66は、装置本体1aの搬送部40に対して、ステップS2で検体を分注した検体容器Sの洗浄処理を指示する。これにより、搬送部40は検体容器Sを回収ライン43の洗浄位置P8に搬送し、検体容器S内の検体を破棄し、検体容器Sの洗浄を実施する。
[ステップS905]
ステップS904において、入出力処理部66は、装置本体1aに対して、ステップS2で検体容器Sに分注した親検体の再分注を指示する。
これにより親検体供給部10は、ステップS2で検体容器Sに分注した親検体の貯蔵容器を、親検体供給部10における所定位置に再配置する。また、搬送部40は、新たな検体容器Sを、分注位置P1に載置する。その後、図7に示したステップS1に戻り、以降を繰り返す。これにより、ステップS2で検体容器Sに分注した親検体と同一の親検体を用いた新たな検体の前処理が実施され、親検体を同一にした検体の分析処理が実施される。
<変形例3の効果>
このような変形例3によれば、再検を行う検査項目[Im]の中に、再分析処理を実施すると判断するまでの経過時間が上限時間[Tmax]を超えた検査項目[Im]がある場合には、検体容器S内の検体を用いた再分析処理を実施せずに、親検体の再分注による分析処理が実施される。これにより、分析対象となる検体中の成分が、沈降し易かったり、また検体の濃縮の影響を受け易い場合に、さらに再分析処理を実施すると判断するまでの経過時間[Te]が上限時間[Tmax]を超えて長期化した場合には、親検体の再分注による分析処理により、成分の沈降や濃縮に影響されない信頼性の高い分析結果を得ることができる。
1…自動分析装置
1b…制御部
30-1…第1分析部(分析部)
30-2…第2分析部(分析部)
30-3…第3分析部(分析部)
40…搬送部
S…検体容器
P1…分注位置(前処理部)
P2…撹拌位置(撹拌機構を有する前処理部)
[T0]…基準時刻(前処理を実施した時刻)
[T]…分取時刻(分析の開始時刻)
[Tmax]…上限時間
[Im]…検査項目

Claims (11)

  1. 検体容器内において検体の前処理を行う前処理部と、
    前記前処理部において前処理された検体の分析処理を順次に実施する分析部と、
    前記前処理部および前記分析部の動作を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻から、前記分析部においての分析処理の開始時刻までの経過時間が、予め設定された上限時間を超えるか否かを判断し、
    前記上限時間を超えると判断した場合には、前記分析部における分析処理の結果に対してフラグを付与する
    自動分析装置。
  2. 前記分析部は、前記検体容器内の検体に対して複数の検査項目についての分析処理を順次に実施し、
    前記制御部は、前記複数の検査項目毎に算出した前記経過時間が、前記検査項目毎に設定された前記上限時間を超えるか否かを判断する
    請求項1に記載の自動分析装置。
  3. 検体容器内において検体の前処理を行う前処理部と、
    前記前処理部において前処理された検体の分析処理を順次に実施する分析部と、
    前記前処理部および前記分析部の動作を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻からの経過時間に基づいて、前記分析部の動作を制御する
    自動分析装置。
  4. 前記分析部は、
    反応管と、前記検体容器中の前記検体を吸引して前記反応管に分取するピペットとを有し、
    前記制御部は、
    前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻から、前記分析部においての前記ピペットによる前記検体の分取時刻までの経過時間を算出し、
    前記算出した経過時間が予め設定された上限時間を超えるか否かを判断し、
    前記上限時間を超えると判断した場合には、前記上限時間を超えないと判断した場合よりも、前記検体の吸引位置が深くなるように前記ピペットの駆動を制御する
    請求項3に記載の自動分析装置。
  5. 前記分析部は、前記検体容器内の検体に対して複数の検査項目についての分析処理を順次に実施し、
    前記制御部は、前記複数の検査項目毎に算出した前記経過時間が、前記検査項目毎に設定された前記上限時間を超えるか否かを判断する
    請求項4に記載の自動分析装置。
  6. 前記前処理部は、前記検体容器内の検体を撹拌する撹拌機構を備え、
    前記制御部は、
    前記分析部における分析処理の結果に基づいて、前記検体の再分析処理を実施するか否かを判断し、
    前記検体の再分析処理を実施すると判断した場合には、前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻からの経過時間を算出し、
    前記算出した経過時間が予め設定された上限時間を超えるか否かを判断し、
    前記上限時間を超えると判断した場合には、前記検体の再分析処理を開始する前に前記検体容器内の検体を撹拌するように前記撹拌機構の駆動を制御する
    請求項3に記載の自動分析装置。
  7. 前記制御部は、
    前記分析部における分析処理の結果に基づいて、前記検体の再分析処理を実施するか否かを判断し、
    前記検体の再分析処理を実施すると判断した場合には、前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻からの経過時間を算出し、
    前記算出した経過時間が予め設定された上限時間を超えるか否かを判断し、
    前記上限時間を超えると判断した場合には、前記検体と同一の親検体を用いた新たな検体の前処理を実施するように前記前処理部の駆動を制御する
    請求項3に記載の自動分析装置。
  8. 前記制御部は、
    前記算出した経過時間が予め設定された上限時間を超えると判断した場合には、前記検体容器内の検体を破棄する
    請求項7に記載の自動分析装置。
  9. 請求項1~7のうちの何れか1項に記載の自動分析装置において、
    複数の前記分析部と、
    前記複数の分析部のうち前記検体に設定された複数の検査項目に対応する分析部に対し、順次に前記検体容器を搬送する搬送部とを備えた
    自動分析装置。
  10. 検体容器内において検体の前処理を行う前処理部と、前記前処理部において前処理された検体の分析処理を順次に実施する分析部と、前記前処理部および前記分析部の動作を制御する制御部とを備え自動分析装置による自動分析方法であって、
    前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻から、前記分析部においての分析処理の開始時刻までの経過時間が、予め設定された上限時間を超えるか否かを判断し、前記上限時間を超えると判断した場合には、前記分析部における分析処理の結果に対してフラグを付与する
    自動分析方法。
  11. 検体容器内において検体の前処理を行う前処理部と、前記前処理部において前処理された検体の分析処理を順次に実施する分析部と、前記前処理部および前記分析部の動作を制御する制御部とを備えた自動分析装置による自動分析方法であって、
    前記前処理部において検体の前処理を実施した時刻からの経過時間に基づいて、前記分析部の動作を制御する
    自動分析方法。
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