JP2022071424A - 樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Hiromi Yasui
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Abstract

【課題】得られる成形品の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ機械的特性に優れた樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリ乳酸系重合体(A)42質量%以上60質量%以下及びメチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)40質量%以上58質量%以下の合計100質量部に対し、グラフト共重合体(C)を30質量部以上60質量部以下含有する樹脂組成物であって、前記グラフト共重合体(C)が、アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものである、樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系重合体、アクリル系重合体、及びグラフト共重合体を含む樹脂組成物及びその成形品に関する。
(メタ)アクリル樹脂は、その優れた外観、耐候性、寸法安定性から、光学材料、照明用材料、住宅設備向け材料、建築材料、車両用部品等、様々な分野で幅広く用いられている。
この(メタ)アクリル樹脂に対して、近年、環境負荷を低減する目的から、ポリ乳酸樹脂のような植物原料のバイオマス樹脂を配合して(メタ)アクリル樹脂を低減させた樹脂組成物が求められている。
一方で、上記の用途では、製品外観に優れることから、透明性に優れた(メタ)アクリル樹脂が求められている。
また、上記の用途では、人や飛散物等の物との接触により製品に破損することがあるため、耐衝撃性に優れた(メタ)アクリル樹脂が求められている。さらに、上記の用途の一部では、製品の加工性に優れる観点から、高い耐衝撃性を保ったまま、曲げ弾性率や曲げ応力の機械的特性が適度に制御された(メタ)アクリル樹脂が求められている。
さらに、近年、(メタ)アクリル樹脂の成形体は、部品の薄肉化や細密化に伴い、より高性能化が求められており、その高性能化の1つとして、耐熱性に優れた(メタ)アクリル樹脂が求められている。
これを改善する方法として、特許文献1~3には、アクリル系重合体、ポリ乳酸樹脂、及び耐衝撃改良材としてのグラフト共重合体を含む樹脂組成物が提案されている。
特開2017-197667号公報 国際公開第05/123831号パンフレット 国際公開第05/085352号パンフレット
しかしながら、特許文献1~3で提案されている樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂が過剰であり、グラフト共重合体が過少あるため、耐熱性、耐衝撃性、及び弾性率や曲げ応力等の機械的特性が不十分であった。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、得られる成形品の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ弾性率や曲げ応力の機械的特性に優れた樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
即ち、本発明の樹脂組成物の第一の要旨は、ポリ乳酸系重合体(A)42質量%以上60質量%以下及びメチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)40質量%以上58質量%以下の合計100質量部に対し、グラフト共重合体(C)を30質量部以上60質量部以下含有する樹脂組成物であって、前記グラフト共重合体(C)が、アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものである、樹脂組成物にある。
本発明の樹脂組成物の第二の要旨は、前記樹脂組成物を成形してなる成形品にある。
本発明によれば、得られる成形品の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ弾性率や曲げ応力の機械的特性に優れた樹脂組成物およびその成形品を安定に提供できる。
本発明において「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。また、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを示す。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」及び「構造単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する重合体を構成する構成単位を意味する。また、重合体を構成する構成単位のことを「~単量体単位」という。「繰り返し単位」又は「構造単位」は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有割合を示す。
本発明において、特に断らない限り、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
本発明において、「得られた成形体」は、本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、後述するポリ乳酸系重合体(A)及び後述するアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対し、後述するグラフト共重合体(C)を30質量%以上60質量部以下含有する。
ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して、グラフト共重合体(C)の含有量の下限が、30質量部を超えていれば、得られた成形体は、曲げ弾性率や曲げ応力等の機械的特性(以下、「曲げ機械的特性」という。)、及び耐衝撃性に優れる。37質量部以上がより好ましい。一方、前記のグラフト共重合体(C)の含有量の上限が、60質量部以下であれば、得られた成形体は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ機械的特性を良好に維持できる。45質量部以下がより好ましい。
グラフト共重合体(C)の含有量の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対するグラフト共重合体(C)の含有量は、30質量部以上60質量部以下であり、37質量部以上45質量部以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物において、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の含有割合は、得られた成形体の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ機械特性が優れたものとなることから、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計総質量100質量%に対して、ポリ乳酸系重合体(A)42質量%以上60質量%以下及びアクリル系重合体(B)40質量%以上58質量%以下である。ポリ乳酸系重合体(A)43質量%以上55質量%以下及びアクリル系重合体(B)45質量%以上57質量%以下がより好ましい。
ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)との組成比は、前記の範囲内で任意に調整することができる。例えば、一般的には、環境負荷低減への要求が高い用途ではポリ乳酸系重合体(A)の量が多いほど好ましく、耐熱性への要求が高い用途ではアクリル系重合体(B)の量が多いほど好ましい。
本発明の樹脂組成物において、ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)との組成比(質量比)は、得られた成形体の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ機械特性が優れたものとなることから、42/58~60/40であることが好ましく、43/57~55/45がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにポリスチレン、HIPS、ABS、AS、MS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の他の熱可塑性樹脂を添加することができる。
これらの重合体の配合量は、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
本発明の樹脂組成物は、得られた成形体の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ機械特性が優れたものとなることから、該樹脂組成物の総質量(100質量%)に対して、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)を合わせて65質量%以上80質量%以下及びグラフト共重合体(C)を20質量%以上35質量%以下含有することが好ましい。ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)を合わせて68質量%以上73質量%以下及びグラフト共重合体(C)を27質量%以上32質量%以下含有することがより好ましい。
<ポリ乳酸系重合体(A)>
ポリ乳酸系重合体(A)は、本発明の樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の樹脂組成物がポリ乳酸系重合体(A)を含むことで、得られた成形体の耐衝撃性が向上し、透明性を優れたものにできる。
本発明に使用するポリ乳酸系重合体(A)としては、ポリ乳酸又は乳酸モノマーと他の成分との共重合により得られる乳酸コポリマーを使用することができる。また、これらの重合体の混合物を使用することもできる。
ポリ乳酸は、従来公知の方法で合成することができる。例えば、特開平7-33861号公報、特開昭59-96123号公報、高分子討論会予稿集44巻第3198-3199頁に記載されるような乳酸からの直接脱水縮合、又は乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって合成することができる。
直接脱水縮合を行う場合、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いてもよい。また、開環重合を行う場合においては、L-ラクチド、D-ラクチド、DL-ラクチド、メソ-ラクチド、又はこれらの混合物のいずれのラクチドを用いてもよい。
ラクチドの合成、精製及び重合操作については、例えば、米国特許4057537号公報、公開欧州特許出願第261572号公報、PolymerBulletin,14,491~495(1985)、及びMakromol CheAG-187,1611-1628(1986)等の様々な文献に記載されている。
ポリ乳酸におけるL-乳酸単位及びD-乳酸単位の構成モル比(L/D)は、100/0~0/100のいずれであってもよい。L/Dは、好ましくは100/0~60/40であり、より好ましくは100/0~80/20である。
乳酸コポリマーは、乳酸モノマー又はラクチドと、これらと共重合可能な他の成分とが共重合したものである。共重合可能な他の成分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させたものなどの芳香族多価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げられる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、6-ヒドロキシカプロン酸、その他特開平6-184417号公報に記載されているもの等が挙げられる。
ラクトンとしては、例えば、グリコリド、ε-カプロラクトングリコリド、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、δ-ブチロラクトン、β-又はγ-ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ-バレロラクトン等が挙げられる。
乳酸コポリマーの生分解性は、コポリマーにおける乳酸単位の含量により影響される。このため、乳酸コポリマー中の乳酸単位の含有量は、用いる共重合成分にもよるが、好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上とするのがよい。乳酸単位の含有量や共重合成分によって、得られる製品の機械特性や生分解性を向上させることができる。
ポリ乳酸系重合体(A)の分子量は、特に限定されないが、結晶性のものの場合、通常は質量平均分子量が5万~50万が好ましい。質量平均分子量は、10万~30万がより好ましい。ここで、ポリ乳酸系重合体(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値とする。
ポリ乳酸系重合体(A)の融点は、特に限定されないが、得られた成形体の曲げ強度特性が良好となることから、融点145℃以上155℃以下のものが好ましく用いられる。ここで、ポリ乳酸系重合体(A)の融点は、示差走査型熱量測定装置(DSC)を用いて、ISO 3146に準拠して、測定した値とする。
また、共重合体を使用する場合と同じ効果を得る目的で、ポリ乳酸と、他の脂肪族ポリエステルとを単にブレンドしてもよい。この場合において、ブレンド物に含まれるポリ乳酸の含有量等は、モル換算で50モル%以上が好ましく、さらに好ましくは70モル%以上とするのがよい。
ポリ乳酸系重合体(A)としては、市販されているものを使用でき、例えば、ネイチャーワークスLLC社製インジオバイオポリマー「2003D」、「2500HP」、「4032D」、「4043D」などが挙げられる。
<アクリル系重合体(B)>
アクリル系重合体(B)は、本発明の樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の樹脂組成物がアクリル系重合体(B)を含むことで、得られた成形体の耐熱性を優れたものにできる。
アクリル系重合体(B)は、メチルメタクリレート単量体単位を含有する重合体であり、メチルメタクリレートの単独重合体、若しくはメチルメタクリレートとこれと共重合可能な単量体との共重合体を使用することができる。共重合体を使用する場合、メチルメタクリレート単量体単位を80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含有する共重合体を使用することが好ましい。
メチルメタクリレートと共重合可能な他の単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレート;エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどの他のアルキルメタクリレート;スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;シクロヘキシルマレイミドやフェニルマレイミド、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物を使用することもできる。
前述した単量体のうち、高い透明性と耐熱性の観点から、メチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重合体を使用することが好ましい。
アクリル系重合体(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の懸濁重合、塊状重合、乳化重合法等の各種方法が適用される。
アクリル系重合体(B)のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、得られた成形体の耐熱性が良好となることから、90℃以上115℃以下が好ましい。ここで、アクリル系重合体(B)のガラス転移温度は、示差走査型熱量測定装置(DSC)を用いて、ISO 3146に準拠して、測定した値とする。
アクリル系重合体(B)の分子量は、特に限定されるものではないが、質量平均分子量4万~30万が好ましい。ここで、アクリル系重合体(B)の質量平均分子量は、標準試料として標準ポリスチレンを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値とする。
アクリル系重合体(B)としては、市販されているものが使用でき、例えば、三菱ケミカル株式会社製アクリペット「VH」、「MF」、「MD」、「TN-100」などが挙げられる。
<グラフト共重合体(C)>
グラフト共重合体(C)は、本発明の樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の樹脂組成物がグラフト共重合体(C)を含むことで、得られた成形体の透明性と曲げ機械的特性を優れたものにできる。
本発明におけるグラフト共重合体(C)は、アクリル系ゴムであるゴム質重合体(C1)に、ビニル単量体(c2)をグラフト重合してなる共重合体である。
グラフト共重合体(C)の粒子径は、強度、透明性に影響を及ぼす。
本発明におけるグラフト共重合体(C)の質量平均粒子径は、特に限定されないが、10~700nmとすることがより好ましい。
グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径は、キャピラリー式粒度分布計により測定することができる。
グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径を所望の範囲に調整する方法としては、ゴム質重合体(C1)の製造時に使用する乳化剤の量を調整する方法が挙げられる。
グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabの差であるRc-Rabは、樹脂組成物の透明性に影響を及ぼす。
本発明の樹脂組成物において、グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとが以下の式(1)を満足することが好ましい。
-0.035≦Rc-Rab≦+0.035 ・・・式(1)
さらに、以下の式(2)を満足することがより好ましい。
-0.020≦Rc-Rab≦+0.020・・・式(2)
グラフト共重合体(C)の屈折率Rcは、アッベ屈折率計により測定することができる。
ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとは、予め樹脂組成物を構成するポリ乳酸系重合体とアクリル系重合体をその使用比率で混合し、アッベ屈折率計によりその屈折率を測定して得られた値をいう。
グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとを所定範囲内とするためには以下の方法を用いる。
即ち、例えばアクリル系重合体(B)の含有量が多く、Rabが高い値を有する樹脂組成物に対しては、アクリル系ゴムを用いて得られたグラフト共重合体を使用することが好ましい。この場合、アクリル系ゴム又はアクリルゴムを重合する際に、より屈折率の高い芳香族ビニル単量体を共重合成分として含有させることにより、グラフト共重合体の屈折率Rcをさらに高くすることも可能である。
さらに、ゴム質重合体にグラフト共重合するビニル系単量体の種類や量を調節することにより、グラフト共重合体(C)の屈折率Rcを調整することもできる。
グラフト共重合体(C)を上記所定のものとすることにより、透明性が高く、曲げ機械的特性に優れた成形品を与える樹脂組成物を得ることができる。
<ゴム質重合体(C1)>
本発明のグラフト共重合体に用いられるゴム質重合体は、アクリル系ゴムである。ゴム質重合体としてアクリル系ゴムを用いることで、得られた成形体の曲げ機械的特性に優れる、グラフト共重合体を得ることができる。
(アクリル系ゴム)
本発明におけるアクリル系ゴムは、アルキル(メタ)アクリレートを重合して得られるゴムである。アクリル系ゴムは、アルキル(メタ)アクリレート、必要に応じて架橋剤(CI)、及び必要に応じグラフト交叉剤(GI)を重合することにより得られる。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、特に制限されないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。強度発現性の面で好ましいことから、アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にn-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が好ましい。アルキル(メタ)アクリレートの使用量は、アクリル系ゴムを構成する全単量体100質量%中、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
架橋剤(CI)としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン等が挙げられる。架橋剤(CI)を使用しなくてもよいし、或いは又、架橋剤(CI)の使用量は、アクリル系ゴムを構成する全単量体100質量%中、0~10質量%であることが好ましく、0.2~6質量%であることがより好ましく、0.4~3質量%であることがさらに好ましい。
グラフト交叉剤(GI)としては、アリル基単独又はアリル基と(メタ)アクリロイル基を有する2官能以上の単量体を用いることができ、このような単量体としては、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらのグラフト交叉剤(GI)は、架橋剤としても機能する。グラフト交叉剤(GI)の使用量はアクリル系ゴムを構成する全単量体100質量%中、0~10質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、2~10質量%であることがさらに好ましい。
架橋剤(CI)並びにグラフト交叉剤(GI)は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
アクリル系ゴムの調整時には、グラフト共重合体(C)の屈折率を調整する目的で、さらに芳香族ビニル単量体を併用してもよい。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。芳香族ビニル単量体の使用量は、アクリル系ゴムを構成する全単量体100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
アクリル系ゴムは0℃以下のガラス転移温度をもつ重合体であることが強度発現性の面で好ましい。ここで、アクリル系ゴムのガラス転移温度は、動的機械的特性解析装置(DMA)によるTanδの転移点として測定される。
アクリル系ゴムの製造方法としては、特に限定はされないが、公知の乳化重合法によって重合することができる。
<架橋性単量体の含有量>
ゴム質重合体(C1)中に含まれる架橋性単量体の含有量は、樹脂組成物の強度と折り曲げ白化性の双方に影響を及ぼす。ここで、架橋性単量体とは、架橋剤(CI、CII)及びグラフト交叉剤(GI)を指す。
これら架橋性単量体の合計の使用量は、ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、0.3~10質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、2~10質量%であることがさらに好ましい。架橋性単量体の合計の使用量をこの範囲とすることで、強度を維持しつつ折り曲げ白化を効果的に抑制することができる。
<グラフト>
以上で説明したゴム質重合体(C1)の存在下に、ビニル単量体(c2)をグラフト重合させることにより、グラフト共重合体(C)を得ることができる。
ビニル単量体(c2)は、特に制限されない。その具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;メチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等の各種のビニル単量体が挙げられる。これらビニル単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ビニル単量体は、強度、耐熱性の点から、架橋性単量体を含んでいてもよい。その具体例としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン等、架橋剤として機能する単量体;アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
グラフト重合には、一般的な滴下重合を用いることができる。また、1段、もしくは多段での重合が可能である。
<グラフト共重合体(C)>
グラフト共重合体におけるゴム質重合体(C1)とグラフトの比率は、両者の合計100質量部を基準として、ゴム質重合体の量が60~99質量部であることが好ましく、65~95質量部であることがより好ましい。また、グラフトの量が1~40質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。グラフト部の量が1質量部以上であれば、得られるグラフト共重合体の樹脂組成物中での分散性が良好となり、樹脂組成物の加工性が向上する。一方、グラフト部の量が40質量部以下であれば、グラフト共重合体の強度発現性が向上する。
グラフト共重合体(C)は通常ラテックスとして得られる。このラテックスとして得られたグラフト共重合体は、噴霧回収、又は酸、塩等の凝析剤による湿式凝固により、粉体又は顆粒として回収することが好ましい。ただし、官能基を含む場合には、酸による湿式凝固は好ましくない。酸を用いた場合には、官能基が失活したり、官能基に悪影響を及ぼしたりする場合があるからである。また、塩類を用いた湿式凝固を行う場合は、アルカリ土類金属塩、例えば酢酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等を用いることが好ましい。アルカリ土類金属を用いれば、水分及び熱によるマトリクス樹脂の分解等の劣化を極力抑制することができる。マトリクス樹脂の劣化が抑制できれば、樹脂組成物からなる成形品の耐湿熱性が向上する。耐湿熱性は、成形品の強度発現性に影響し、成形品のリサイクル性に大きな影響を与える。
さらに、リサイクル性を考慮した回収法としては、凝析剤用の塩類そのものを含まない噴霧回収法が有効である。噴霧回収する際には、グラフト共重合体以外に、フィラー類、あるいはその他の重合体を同時に共噴霧し、両者が合わさった粉体として回収することができる。共噴霧するものの種類を選ぶことにより、粉体性状のより好ましい取り扱い性を実現することもできる。共噴霧する成分としてはカルシウム成分をはじめ、シリカ、硬質ビニル系共重合体等が挙げられる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物を製造する方法は、特に制限されない。従来より知られる各種の混合方法を使用でき、通常は、溶融混合法が好ましい。また、必要に応じて少量の溶剤を使用してもよい。混合に使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等が挙げられる。これら装置は、回分的又は連続的に運転すればよい。成分の混合順は特に限定されない。
本発明の樹脂組成物を製造する場合は、その物性を損なわない限りにおいて、熱可塑樹脂のコンパウンド時、混練時、成形時等の所望の段階で、従来より知られる各種難燃剤、安定剤等を添加できる。
本発明の樹脂組成物に使用できる難燃剤は、特に限定されないが、ハロゲン系難燃剤、リン酸系難燃剤、シリコーン系難燃剤を使用すると、強度等を損なうことなく、高い難燃性を発現することができるので好ましい。このような難燃剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物、リン酸系化合物、シリコーン系化合物、ハロゲン含有有機金属塩系化合物等が挙げられる。
難燃剤の具体例としては、リン酸エステル化合物、亜リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル化合物等のリン酸系化合物;水酸化アルミニウム;三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸アンチモン系化合物;含ハロゲンリン酸エステル化合物、含ハロゲン縮合リン酸エステル化合物、塩素化パラフィン、臭素化芳香族トリアジン、臭素化フェニルアルキルエーテル等の臭素化芳香族化合物等のハロゲン含有化合物;スルホンあるいは硫酸塩系化合物;エポキシ系反応型難燃剤;等が挙げられる。
難燃剤の配合量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
安定剤としては、金属系安定剤及びその他の安定剤が挙げられる。
金属系安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基等と、脂肪酸塩、マレイン酸塩、含硫化物等とから誘導される有機スズ系安定剤;Ba-Zn系、Ca-Zn系、Ba-Ca-Sn系、Ca-Mg-Sn系、Ca-Zn-Sn系、Pb-Sn系、Pb-Ba-Ca系等の複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属と、2-エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂肪環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体などの芳香族酸といった通常二種以上の有機酸とから誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、プレートアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等が挙げられる。
その他の安定剤としては、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化合物;リンがアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基等で置換され、かつプロピレングリコール等の2価アルコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の芳香族化合物を有する有機亜リン酸エステル;2,4-ジ-t-ブチル-3-ヒドロキシトルエン(BHT)や硫黄やメチレン基等で二量体化したビスフェノール等のヒンダードフェノール、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン又はニッケル錯塩の光安定剤;カーボンブラック、ルチル型酸化チタン等の紫外線遮蔽剤;トリメロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール、β-アミノクロトン酸エステル、2-フェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物;ジアルキルチオジプロピオン酸エステルなどの含硫黄化合物;アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、β-ジケトンなどのケト化合物;有機珪素化合物;ほう酸エステル;などが挙げられる。これら安定剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
安定剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して5質量部以下が好ましく、2質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
本発明の樹脂組成物には、その他、加工助剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、耐熱向上剤、離型剤、結晶核剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、導電性付与剤、界面活性剤、防曇剤、抗菌剤等を添加することができる。
加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等が挙げられる。加工助剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して15質量部以下が好ましく、5質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジウンデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート等の芳香族多塩基酸のアルキルエステル;ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジシオノニルアジペート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジイソノニルアゼレート等の脂肪酸多塩基酸のアルキルエステル;トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール等の多価アルコールとの分子量600~8,000程度の重縮合体の末端を、一価アルコール又は一価カルボン酸で封止した化合物等のポリエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化トール油脂肪酸-2-エチルヘキシル等のエポキシ系可塑剤;塩素化パラフィン等が挙げられる。可塑剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して30質量部以下が好ましく、10質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素、ハロゲン化炭化水素、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸、脂肪酸アミド、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル等のエステル、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等が挙げられる。耐熱向上剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、イミド系共重合体、スチレン-アクリロニトリル系共重合体等が挙げられる。滑剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して5質量部以下が好ましく、1質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
<成形品>
本発明の成形品は、前述した樹脂組成物を成形することにより得られる。成型方法は、特に限定されず、公知の成型方法のなかから本発明の樹脂組成物に適した方法を選択すればよい。例えば、押出機、射出成型機、ブロー成型機、インフレーション成型機、カレンダー成型機等の各種成型機を用いて成型する方法を挙げることができる。これらの内、特に高い透明性を付与する観点からは、押出機、射出成型機、ブロー成型機、カレンダー成型機により成形することが好ましい。また、上述の方法で一次成形した成形品を用い、折り曲げ成形やブロー成形などの二次加工を施してもよい。
このようにして得られた成形品は、例えば、建材、自動車、玩具、文房具などの雑貨、OA機器、家電機器、さらにはパッケージ、自動販売機やパチンコの面板などに利用できるが、強度、透明性、耐候性に優れ、折り曲げ白化が少なく、シート・フィルムを折り曲げ成形やブロー成形、真空成形する場合において外観の良好な成形品を容易に得ることができるため、特にパッケージ、自動販売機やパチンコなどの面板として好ましく用いられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、本実施例において「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
実施例及び比較例における各種測定及び評価は、以下の方法により実施した。
[測定・評価方法]
(1)評価用試験片の作成
<樹脂成形体X1の作製>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、80℃で約4時間熱風乾燥した後に、射出成形機(機種名:EC75SXIII-2A、東芝機械社製))を用い、成形温度210℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの樹脂成形体X1の試験片を得た。
<樹脂成形体X2の作製>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、80℃で約4時間熱風乾燥した後に、射出成形機(機種名:EC20PN-II、東芝機械社製))を用い、成形温度210℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、長さ50mm、幅50mm、厚さ3mmの樹脂成形体X2の試験片を得た。
(2)耐熱性の評価
樹脂成形体X1を、HDT/VICAT試験機(機種名「No.148-HD-PC3 ヒートデストーションテスター」、(株)安田精機製作所製)を用い、ISO75-1.2に準拠し、荷重0.45MPaの条件で荷重たわみ温度(HDT)(℃)を測定した。
なお、測定前に試験片を温度50℃で16時間アニールした。
HDTが65℃以上の場合を「A」、HDTが60以上65未満の場合を「B」、HDTが60未満の場合を「C」と判定した。HDTが高いほど、耐熱性に優れることを意味する。
(3)耐衝撃性の評価
樹脂成形体X1を、デジタル衝撃試験機(機種名:DG-UB、東洋精機製作所製)を用いて、ISO 179-1に準拠し、温度23℃の条件で、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(kJ/m)を測定した。
シャルピー衝撃強さが20以上の場合を「A」、シャルピー衝撃強さが10.5以上20未満の場合を「B」、シャルピー衝撃強さが10以上19.5未満の場合を「C」、シャルピー衝撃強さが10未満の場合を「D」と判定した。シャルピー衝撃強さが大きいほど、耐衝撃性に優れることを意味する。
(4)透明性の評価
樹脂成形体X2を、ヘーズメーター(機種名:NDH4000、日本電色工業(株)製)を用いて、ISO 13468に準拠して全光線透過率(%)を、ISO 14782に準拠してヘイズ値(%)を測定した。
全光線透過率が70以上の場合を「A」、全光線透過率が63.5以上70未満の場合を「B」、全光線透過率が61以上63.5未満の場合を「C」、シャルピー衝撃強さが61未満の場合を「D」と判定した。全光線透過率が大きいほど、透明性に優れることを意味する。
ヘイズ値が40以下の場合を「A」、ヘイズ値が40を超えて55以下の場合を「B」、ヘイズ値が55を超える場合を「C」と判定した。ヘイズ値が小さいほど、透明性に優れることを意味する。
(5)曲げ機械的特性の評価
樹脂成形体X1を、機種名:ストログラフT-F、(株)東洋精機製作所製)を用いて、ISO 178に準拠し、3点曲げ試験を行い、曲げ弾性率(MPa)と曲げ応力(MPa)を測定した。
なお、測定前に試験片を温度50℃で16時間アニールした。
曲げ応力(MPa)が59以下の場合を「A」、曲げ応力が58を超えて65以下の場合を「B」、曲げ弾性率が65を超える場合を「C」と判定した。
曲げ弾性率(MPa)が2.2以下の場合を「A」、曲げ弾性率が2.2を超えて2.3以下の場合を「B」、曲げ弾性率が2.3を超える場合を「C」と判定した。
(6)屈折率
・ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabの測定
ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系樹脂(B)のみで作製した樹脂組成物成形体を用い、加熱プレス法(190℃、予熱3分後に加圧5分、その後冷却2分)により厚さ約1mmの薄膜を作製した。得られた薄膜を用い、ASTM-D542に準じてアッベ屈折率計により測定した。接触液には塩化亜鉛飽和水溶液を用いた。
・グラフト共重合体(C)の屈折率Rcの測定
加熱プレス法(150℃、予熱5分後に加圧1分、その後冷却2分)により、グラフト共重合体(C)の粉体から厚さ約1mm薄膜を作製した。その薄膜を用い、ASTM-D542に準じて、アッベ屈折率計により屈折率を測定した。接触液には塩化亜鉛飽和水溶液を用いた。
(材料)
ポリ乳酸系重合体(A-1):Ingeo2003D(Nature Works社製、融点152℃)
ポリ乳酸系重合体(A-2):Ingeo3001D(Nature Works社製、融点162℃)
ポリ乳酸系重合体(A-1):Ingeo2500HP(製品名、Nature Works社製、融点180℃)
アクリル樹脂(B-1):アクリペット VH5(商品名、三菱ケミカル(株)製、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位95質量%以上含むアクリル樹脂、ガラス転移温度:105℃)
グラフト共重合体(C-1):メタブレンW600A(商品名、三菱ケミカル(株)製、アクリル系ゴムにビニル単量体をグラフト重合したアクリル系ゴムグラフト共重合体)
グラフト共重合体(C-2):メタブレンS2006(商品名、三菱ケミカル(株)製、ポリオルガノシロキサンゴム及びアクリル系ゴムからなるゴムにビニル単量体をグラフト重合したポリオルガノシロキサン/アクリル系ゴムグラフト共重合体。)
[実施例1]
各材料を表1に示す割合で、ハンドブレンドした後、二軸押出機(機種名「PCM30」、L/D=25、(株)池貝製)を用いて、バレル温210℃、ダイ温度210℃、スクリュー回転数250rpmで混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
[実施例2~6、比較例1~]
各材料の種類又は割合を表1に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
Figure 2022071424000001
本実施例、比較例の結果から、本発明の樹脂組成物は、得られる成形品の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ弾性率や曲げ応力の機械的特性に優れていることがわかる。
比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸系重合体(A)を含まないため、耐衝撃性、透明性が劣っていた。
比較例1、5、9の熱可塑性樹脂組成物は、アクリル系重合体(B)を含まないため、得られた成形体の耐熱性と透明性が劣っていた。
比較例2、6,10の熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸系重合体(A)の含有量が多いため、得られた成形体の耐熱性が劣っていた。
比較例3、7、11、16、17の熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸系重合体(A)の含有量が少ないため、得られた成形体の耐衝撃が劣っていた。特に、比較例3、7、11は、得られた成形体の透明性も劣っていた。
比較例4、8、12の熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸系重合体(A)を含まないため、得られた成形体の耐衝撃性、透明性、曲げ機械特性が劣っていた。
比較例13~15の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(C)の含有量が少ないため、得られた成形体の曲げ機械特性が劣っていた。特に、比較例13、14は、得られた成形体の耐衝撃性も劣っていた。
比較例18の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(C)が、アクリルゴムであるゴム質重合体にビニル単量体をグラフト重合したものではないため、得られた成形体の透明性が劣っていた。
本発明によれば、得られる成形品の透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び曲げ弾性率や曲げ応力の機械的特性に優れた樹脂組成物およびその成形品を安定に提供できる。
特に、シート・フィルムを折り曲げ成形やブロー成形、真空成形する場合において、このような成形品は、これらの物性が要求される、光学材料、照明用材料、住宅設備向け材料、建築材料、車両用部品の用途に好適に用いられる。或いは又、玩具、文房具などの雑貨、OA機器、家電機器、さらにはパッケージ、自動販売機やパチンコなどの面板といった用途にも、好適に用いられる。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸系重合体(A)42質量%以上60質量%以下及びメチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)40質量%以上58質量%以下の合計100質量部に対し、
    グラフト共重合体(C)を30質量部以上60質量部以下含有する樹脂組成物であって、
    前記グラフト共重合体(C)が、アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものである、樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物の総質量に対して、前記ポリ乳酸系重合体(A)及び前記アクリル系重合体(B)を合わせて65質量%以上80質量%以下、及び前記グラフト共重合体(C)を20質量%以上35質量%以下含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記アクリル系重合体(B)が、メチルメタクリレート単量体単位を80質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記アクリル系重合体(B)が、ガラス転移温度が90℃以上115℃以下である、請求項1~3の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリ乳酸系重合体(A)が、融点が145℃以上155℃以下である、請求項1~4の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、前記ポリ乳酸系重合体(A)及び前記アクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとが以下の式(1)を満足する、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    -0.035≦Rc-Rab≦+0.035 ・・・式(1)
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
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