JP2022069960A - 粘着剤付き誘電体シート、静電容量素子、誘電センサ及び誘電アクチュエータ - Google Patents

粘着剤付き誘電体シート、静電容量素子、誘電センサ及び誘電アクチュエータ Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁性、伸縮性、回復性及び粘着力に優れた粘着剤付き誘電体シート、及び、該粘着剤付き誘電体シートを用いた静電容量素子や、該静電容量素子を用いた誘電センサ及び誘電アクチュエータを提供する。【解決手段】第一の表面を構成する第一のアクリル粘着剤層と、ポリウレタン誘電層と、第二の表面を構成する第二のアクリル粘着剤層をこの順に有し、上記ポリウレタン誘電層の25℃における損失正接が0.13~0.32であり、かつ85℃における損失正接が0.04~0.17である粘着剤付き誘電体シート。【選択図】 図1

Description

本発明は、粘着剤付き誘電体シート、静電容量素子、誘電センサ及び誘電アクチュエータに関する。
従来、誘電体シートを備える静電容量素子は、誘電センサや誘電アクチュエータへの利用が検討されてきた。誘電センサは、静電容量の変化により物体を検知するセンサであり、IoT技術の普及によって今後の更なる需要の増加が期待されている。また、誘電アクチュエータについても、人工筋肉等に利用可能であることから、将来的な需要増大が期待されている。
誘電体シートを備える静電容量素子に関する先行技術の一例としては、特許文献1に記載された静電容量型センサシートが挙げられる。この静電容量型センサシートは、エラストマー組成物からなる誘電層と、前記誘電層の表面に積層された表側電極層と、前記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、前記表側電極層及び裏側電極層は、平均長さ100μm以上で、かつ、アスペクト比が1000以上の単層カーボンナノチューブを含み、バインダー成分を含まない導電性組成物からなり、伸縮変形歪み量及び/又は伸縮変形歪み分布を測定するために用いられることを特徴とする。
特開2018-49036号公報
一方、誘電体シートを備える静電容量素子については、内部摩擦や耐久性等の材料に起因する課題が残っていた。このため、誘電層として求められる絶縁性を確保しつつ、伸縮性や回復性を高めることによって、より性能の優れた誘電体シートを開発することが求められていた。
また、静電容量素子を構成する電極材料についても開発が進められており、電極材料にフッ素材料を配合して撥水性及び撥油性を高めることがあった。しかしながら、フッ素材料を配合した場合には、電極材料と誘電体シートとを強固に接着することが困難であった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、絶縁性、伸縮性、回復性及び粘着力に優れた粘着剤付き誘電体シート、及び、該粘着剤付き誘電体シートを用いた静電容量素子や、該静電容量素子を用いた誘電センサ及び誘電アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明の粘着剤付き誘電体シートは、第一の表面を構成する第一のアクリル粘着剤層と、ポリウレタン誘電層と、第二の表面を構成する第二のアクリル粘着剤層をこの順に有し、上記ポリウレタン誘電層の25℃における損失正接が0.13~0.32であり、かつ85℃における損失正接が0.04~0.17であることを特徴とする。
上記第一のアクリル粘着剤層及び上記第二のアクリル粘着剤層の軟化点は、50℃以上であることが好ましい。
本発明の静電容量素子は、本発明の粘着剤付き誘電体シートと、上記第一の表面に密着した第一の伸縮性電極と、上記第二の表面に密着した第二の伸縮性電極と、を備えることを特徴とする。
本発明の誘電センサは、本発明の静電容量素子を備えることを特徴とする。
本発明のアクチュエータは、本発明の静電容量素子を備えることを特徴とする。
本発明の粘着剤付き誘電体シートは、絶縁性、伸縮性、回復性及び粘着力に優れている。本発明の静電容量素子は、本発明の粘着剤付き誘電体シートを備えることから、伸縮性等の機能性に優れ、かつ耐久性にも優れている。本発明の静電容量素子を用いることによって、高い性能を有する誘電センサ及び誘電アクチュエータを提供することができる。
本発明の粘着剤付き誘電体シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の粘着剤付き誘電体シートの機能を説明するための断面模式図である。 本発明の粘着剤付き誘電体シートの粘着力を説明するためのグラフである。 粘着力の評価方法を説明するための模式図である。 本発明の静電容量素子の一例を模式的に示した分解斜視図である。 粘着剤付き誘電体シートの両面に離型フィルムが貼り付けられた積層シートを模式的に示した断面図である。
[粘着剤付き誘電体シート]
図1は、本発明の粘着剤付き誘電体シートの一例を模式的に示した断面図である。図1に示した粘着剤付き誘電体シート10は、第一の表面(粘着面)を構成する第一のアクリル粘着剤層11と、ポリウレタン誘電層12と、第二の表面(粘着面)を構成する第二のアクリル粘着剤層13とをこの順に有する。第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13が設けられることによって、フッ素材料が配合された伸縮性電極等の撥水性や撥油性を有する相手材であっても高い粘着力が得られる。また、ポリウレタン誘電層12は、25℃及び85℃における損失正接が特定範囲に制御されたものであるので、伸縮性及び回復性に優れており、相手材の変形に追従して伸縮し、かつ回復する機能を付与することができる。また、第一のアクリル粘着剤層11、ポリウレタン誘電層12、及び第二のアクリル粘着剤層13はいずれも絶縁性を有する。したがって、上記した積層構造を備えることによって、絶縁性、伸縮性、回復性及び粘着力を両立することができる。
本発明の粘着剤付き誘電体シートは、絶縁性、伸縮性、回復性及び粘着力に優れていることから、静電容量素子の誘電層等に好適に用いることができる。図2は、本発明の粘着剤付き誘電体シートの機能を説明するための断面模式図である。図2に示したように、中間に位置する柔軟なポリウレタン誘電層12の歪みを利用することによって、相手材51及び52の熱等に起因する膨張、伸縮に容易に追従することが可能である。図3は、本発明の粘着剤付き誘電体シートの粘着力を説明するためのグラフである。なお、図3のグラフは、85℃での加速試験における測定結果を表している。図3に示したように、ポリウレタン(単層)によれば、損失正接を高くして高い凝集力を得つつ、シリコーンよりも高い粘着力を得ることができる。しかしながら、ポリウレタンのみでは、粘着力が充分とは言えなかった。これに対し、アクリル粘着剤は、粘着力に優れるものの、凝集力が低いため、伸縮性や回復性の点で充分な性能が得られなかった。これに対し、第一のアクリル粘着剤層11、ポリウレタン誘電層12、及び第二のアクリル粘着剤層13の積層体(アクリルウレタン積層シート)によれば、高い粘着力を確保し、かつ高い凝集力を得ることができた。すなわち、従来相反する特性であった粘着力と凝集力(伸縮性、回復性)とを両立することが可能になった。
本発明の粘着剤付き誘電体シートは、柔軟性(段差追従性)及び粘着力に優れており、かつ透明にすることができることから、光学透明粘着(OCA:Optically Clear Adhesive)シートとしても好適に用いることができる。光学透明粘着シートは、光学部材の貼り合わせに利用される透明な粘着シートである。OCAシートの使用例としては、表示装置内において、液晶モジュール等の表示パネルと表示装置の最表面に設けられるカバーパネルとの接合に用いられることがある。OCAシートによって、表示パネルとカバーパネルとの間の空間が埋められることで、表示パネルの画面の視認性を向上することができる。
以下、本発明の粘着剤付き誘電体シートの構成について、詳しく説明する。
<アクリル粘着剤層>
第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13は、アクリル系樹脂を含有する層である。上記アクリル系樹脂は、アクリル系樹脂組成物を硬化させたものである。上記アクリル系樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、又は、これらの共重合体(以下、(メタ)アクリル系共重合体ともいう)と、架橋剤とを含有するものが挙げられる。
上記(メタ)アクリル系共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、カルボキシル基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(CH=CR-COOR;Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1~18のアルキル基である)であるものが挙げられ、上記アルキル基の炭素数は4~12が好ましい。
上記アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5-カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記架橋剤としては、例えば、上記(メタ)アクリル系共重合体が有する、架橋性官能基含有モノマー由来の架橋性官能基と架橋反応を起こすことができる成分を用いることができ、具体的には、イソシアネート化合物、金属キレート化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。上記架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記第一のアクリル粘着剤層11及び上記第二のアクリル粘着剤層13の軟化点は、50℃以上であることが好ましく、120℃以下であることが好ましい。上記軟化点が50℃~120℃の範囲内であると、ポリウレタン誘電層12により得られる伸縮性及び回復性を損なうことなく、高い粘着力を確保することができる。また、第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13を加温した状態で相手材に貼り付け、その後冷却固化させることで、第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13を強固に相手材に接着させることができる。上記軟化点を調整するために、第一のアクリル粘着剤層11及び/又は第二のアクリル粘着剤層13中に、50℃以上に軟化点を有するタッキファイヤー又は低分子樹脂成分を配合してもよい。
第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13の厚みは、3~50μmであることが好ましい。上記厚みが3μm未満であると、充分な粘着力が得られないおそれがある。上記厚みが50μmを超えると、粘着剤付き誘電体シート10の柔軟性が低下し、充分な伸縮性及び回復性得られなくなるおそれがある。第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13の厚みは、3~30μmであることがより好ましい。
第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13は、常温(23℃)における基材に対する粘着力が、5N/25mm以上であることが好ましい。なお、本明細書において、粘着力は、180°剥離試験での測定値を意味する。基材の材質としては、ガラスやゴム材料が挙げられる。ゴム材料としては、フッ素を含有するゴム材料が好ましい。上記常温における粘着力は、25N/25mm以上であることがより好ましく、35N/25mm以上であることが更に好ましい。上記常温における粘着力の上限は特に限定されないが、例えば、100N/25mmである。
図4は、粘着力の評価方法を説明するための模式図である。図4を用いて上記180°剥離試験について説明する。まず、長さ75mm×幅25mmに裁断した粘着剤付き誘電体シート10を試験片とする。この試験片の片面を長さ75mm×幅25mmの基材に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、粘着剤付き誘電体シート10と基材とを貼り合わせる。図4では、基材として、長さ75mm×幅25mmのガラス板31上にフッ素ゴム板32が貼り付けられたフッ素基材を用いており、フッ素ゴム板32に誘電体シート10を貼り付けている。次に、粘着剤付き誘電体シート10の基材とは反対側の面に、PETシート33を貼り合わせる。その後、所定の温度で、一定時間放置した後、図4に示すように、PETシート33を180°方向に引っ張り、粘着剤付き誘電体シート10をフッ素ゴム板32との界面で剥離させ、フッ素基材(フッ素ゴム板32)に対する粘着剤付き誘電体シート10の粘着力を測定する。上記PETシートとしては、例えば、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)等を用いることができる。
<ポリウレタン誘電層>
ポリウレタン誘電層12は、ポリウレタンを含有する誘電体で構成された層である。ポリウレタン誘電層12がポリウレタンを含有し柔軟であるため、本発明の粘着剤付き誘電体シートは、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。また、熱硬化ポリウレタン層12がポリウレタンを含有するため、誘電率が高く、本発明の粘着剤付き誘電体シートは高い静電容量が得られる。また、ポリウレタンは、溶剤を用いずに成膜できるため、ポリウレタン誘電層12は厚膜化が可能である。
ポリウレタン誘電層12は、25℃における損失正接(tanδ)が0.13~0.32である。25℃における損失正接が0.13未満であると、ポリウレタンが硬くなり、良好な伸縮性が得られない。25℃における損失正接が0.32を超えると、ポリウレタンが柔らかくなり過ぎ、良好な回復性が得られなかったり、OCAシートとして用いる場合に、貼り付け後に被着体との界面に発生する遅れ泡を防止できなかったりする。
ポリウレタン誘電層12は、85℃における損失正接(tanδ)が0.04~0.17である。85℃における損失正接が0.04未満であると、ポリウレタンが硬くなり、良好な伸縮性が得られない。85℃における損失正接が0.17を超えると、ポリウレタンが柔らかくなり過ぎ、良好な回復性が得られない。
上記損失正接は、例えば、アントンパール社(Anton Paar Germany GmbH)製の粘弾性測定装置「Physica MCR301」を用いて測定することができる。測定条件は、測定プレートとしてPP12を用い、ひずみ0.1%、周波数1Hz、セル温度25℃~100℃(昇温速度3℃/分)で測定し、目的の温度における測定値を採用することができる。
上記損失正接は、ポリウレタンの架橋度合いを調整することによって制御することができる。ポリウレタンの架橋度合いは、例えば、ポリウレタンの原料であるポリオール成分とポリイソシアネート成分の比率(α比)や、ポリウレタンの硬化温度、硬化時間等によって調整される。
ポリウレタンは、ポリウレタン組成物を硬化させることにより作製でき、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であることが好ましい。上記ポリウレタン組成物は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有することが好ましい。上記ポリウレタンは、例えば、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られ、下記式(A)に示した構造を有することが好ましい。
Figure 2022069960000002
上記式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分のNCO基を除いた部位を表し、R’は、ポリオール成分のOH基を除いた部位を表し、nは、繰り返し単位数を表す。
上記ポリウレタンは、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。ポリウレタンは、ポリオール成分に由来する単量体単位と、ポリイソシアネート成分に由来する単量体単位との合計量が、ポリウレタン全体を構成する単量体単位の80モル%以上であることが好ましい。
上記ポリオール成分及び上記ポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずにポリウレタンを得ることができる。タッキファイヤー等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。ポリウレタン誘電層12を作製する際には、溶剤の添加及び除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができる。
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するものが好ましい。すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されていることが好ましい。上記オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリブタジエンポリオール、1,2-ポリクロロプレンポリオール、1,4-ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。上記ポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。上記ポリウレタンに用いられるポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分を80モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなる。
上記ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができ、親水性ユニットを有する親水性ポリイソシアネート、及び、親水性ユニットを有さない疎水性ポリイソシアネートのいずれか一方、又は、両方を用いてもよい。なお、上記親水性ユニットを有する親水性ポリイソシアネートとは、イソシアヌレート構造やビウレット構造のようにイソシアネート基に由来する構造のみによって親水性を向上させたものではなく、親水性を高める官能基(親水性ユニット)が付加されたポリイソシアネートを意味する。
上記親水性ユニットとしては、アルキレンオキシドの繰り返し単位を有するポリアルキレンオキシドユニットが好ましく、なかでも、エチレンオキシドを重合した構造を有するポリエチレンオキシドユニットや、プロピレンオキシドを重合した構造を有するポリプロピレンオキシドユニットが特に好適である。ポリアルキレンオキシドユニットの含有量は、ポリウレタン組成物の全体に対して、0.1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。
ポリアルキレンオキシドユニット以外の親水性ユニットとしては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸のアルカリ金属塩基、スルホン酸基、スルホン酸のアルカリ金属塩基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基等を含むユニットが挙げられる。さらに詳しくは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸基含有共重合体のアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートと、ポリエチレンオキシドユニット、ポリプロピレンオキシドユニット等のポリアルキレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートであることが好ましい。
上記ポリウレタン組成物は、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)が1以上であることが好ましい。α比が1未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量がポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、ポリウレタンが硬くなり、伸縮性を確保することが困難となることがある。上記α比は、1.2以下であることが好ましい。α比が1.2を超える場合には、回復性を確保することが困難となることがある。
上記ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百~数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、ポリウレタン誘電層12は、その両面において充分な粘着力を有する。
上記ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤としては、ポリウレタンに柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。
上記ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ-n-ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記ポリウレタン組成物には、粘着剤付き誘電体シート10の要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
ポリウレタン誘電層12の厚みは、特に限定されないが、静電容量素子に用いられる場合には10~90μmであることが好ましく、光学透明粘着シートとして用いられる場合には94~1900μmであることが好ましい。上記厚みが小さい場合には、粘着剤付き誘電体シート10の伸縮性、回復性、柔軟性が充分に得られないおそれがある。上記厚みが大きい場合には、誘電センサ等の用途では柔軟性が不足し、物体の変形量の検知精度が低下したり、取り扱い性の低下(使用感の低下)が生じたりするおそれがある。
粘着剤付き誘電体シート10は、第一のアクリル粘着剤層11とポリウレタン誘電層12と第二のアクリル粘着剤層13とをこの順に有していればよく、更に他の層を有してもよい。第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13は、それぞれ粘着剤付き誘電体シート10の最表面(被着体と接する面)に位置すればよい。また、第一のアクリル粘着剤層11とポリウレタン誘電層12とは互いに接することが好ましく、第二のアクリル粘着剤層13とポリウレタン誘電層12とは互いに接することが好ましい。
<粘着剤付き誘電体シート>
粘着剤付き誘電体シート10全体の厚みは特に限定されないが、静電容量素子に用いられる場合には20~100μmであることが好ましく、光学透明粘着シートとして用いられる場合には100~2000μmであることが好ましい。
[粘着剤付き誘電体シートの製造方法]
第一のアクリル粘着剤層11と、ポリウレタン誘電層12と、第二のアクリル粘着剤層13とをこの順に積層する方法としては特に限定されず、例えば、第一のアクリル粘着剤層11、第二のアクリル粘着剤層13及びポリウレタン誘電層12を個別に作製した後、これらを貼り合わせる方法が挙げられる。
第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13の製法は特に限定されず、例えば、アクリル樹脂組成物を各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレード等の汎用の成膜装置や成膜方法を用いるものであってもよい。また、遠心成形法を用いて第一のアクリル粘着剤層11及び第二のアクリル粘着剤層13を作製してもよい。
ポリウレタン誘電層12の製法は特に限定されず、例えば、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、この組成物を従来公知の方法で熱硬化させつつ成形する方法が挙げられ、好ましくは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、タッキファイヤーを攪拌混合して熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含む。
製法の具体例としては、まず、所定量のタッキファイヤーを、ポリオール成分に添加し、加温及び攪拌して溶解させることによって、マスターバッチを調製する。続いて、得られたマスターバッチ、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、必要に応じて触媒等の他の成分を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物を得る。その後、即座に熱硬化性ポリウレタン組成物を成形装置に投入し、第一及び第二の離型フィルムによって挟んだ状態で熱硬化性ポリウレタン組成物を移動させながら硬化反応(架橋反応)させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物が半硬化され、第一及び第二の離型フィルムと一体化されたシートを得る。その後、炉で一定時間架橋反応させることで、ポリウレタン誘電層12が得られる。
ポリウレタン誘電層12の製法としては、硬化前の熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレード等の汎用の成膜装置や成膜方法を用いるものであってもよい。また、遠心成形法を用いてポリウレタン誘電層12を作製してもよい。
[静電容量素子]
粘着剤付き誘電体シート10の用途は特に限定されないが、例えば、粘着剤付き誘電体シート10の両面にそれぞれ電極を取り付けることにより、静電容量素子を形成することができる。伸縮性及び回復性に優れたポリウレタン誘電層12の特性を活用する観点から、上記電極は、伸縮性を有する伸縮性電極が好適である。本発明の粘着剤付き誘電体シートと、上記第一の表面に密着した第一の伸縮性電極と、上記第二の表面に密着した第二の伸縮性電極と、を備える静電容量素子もまた、本発明の一態様である。
図5は、本発明の静電容量素子の一例を模式的に示した分解斜視図である。図5に示したように、粘着剤付き誘電体シート10の両面にそれぞれ伸縮性電極60を取り付けることにより、静電容量素子を形成することができる。伸縮性電極60は、伸縮性と導電性を両立できるものであれば特に限定されず、導電性エラストマーが好適に用いられる。導電性エラストマーとしては、例えば、銀等の金属粒子、ゴム成分、界面活性剤等の添加剤、溶剤等を含有する混合物を印刷して形成されるものが挙げられる。また、伸縮性電極60に撥水性や撥油性を付与するために、フッ素材料が添加されてもよく、ゴム成分としてフッ素ゴムが用いられてもよい。
粘着剤付き誘電体シート10及び伸縮性電極60を備える静電容量素子は、容易に変形させることができるので、誘電センサや誘電アクチュエータに利用することができる。誘電センサは、変形可能な物体に取り付けられて用いられ、物体の変形に応じて粘着剤付き誘電体シート10が変形した際に生じる静電容量の変化によって、物体の変形量を検知するものである。誘電アクチュエータは、第一の伸縮性電極と第二の伸縮性電極との間に電圧を印加することによりポリウレタン誘電層を変形させる機能を有するものである。
[積層シート]
粘着剤付き誘電体シート10の両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。図6は、粘着剤付き誘電体シートの両面に離型フィルムが貼り付けられた積層シートを模式的に示した断面図である。図6に示した積層シート20は、粘着剤付き誘電体シート10と、粘着剤付き誘電体シート10の第一の表面を覆う第一の離型フィルム21と、粘着剤付き誘電体シート10の第二の表面を覆う第二の離型フィルム22とが積層された構造を有する。このような積層シートによれば、第一の離型フィルム21及び第二の離型フィルム22によって、粘着剤付き誘電体シート10の両面を、被着体に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、粘着剤付き誘電体シート10の粘着力の低下、及び、異物の付着が防止される。また、粘着剤付き誘電体シート10が被着体以外に貼り付いてしまうことも防止されるため、取り扱い性が高まる。
第一の離型フィルム21及び第二の離型フィルム22は、PETフィルム等の樹脂フィルムであってもよいし、離型処理が施された紙(離型紙)であってもよい。第一の離型フィルム21及び第二の離型フィルム22の材質及び厚みは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
粘着剤付き誘電体シート10及び第一の離型フィルム21の貼り合わせ強度(剥離強度)と、粘着剤付き誘電体シート10及び第二の離型フィルム22の貼り合わせ強度(剥離強度)とは、互いに異なることが好ましい。このように貼り合わせ強度が互いに異なることにより、第一の離型フィルム21及び第二の離型フィルム22のうちの一方(貼り合わせ強度が低い方の離型フィルム)のみを粘着剤付き誘電体シート10から剥離し、露出させた粘着剤付き誘電体シート10の第一の面と第一の被着体とを貼り合わせ、その後、第一の離型フィルム21及び第二の離型フィルム22のうちの他方(貼り合わせ強度が高い方の離型フィルム)を剥離し、露出させた粘着剤付き誘電体シート10の第二の面と第二の被着体とを貼り合わせることが容易になる。
第一の離型フィルム21の粘着剤付き誘電体シート10と接する側の表面、及び、第二の離型フィルム22の粘着剤付き誘電体シート10と接する側の表面のうちの少なくとも一方には、離型処理(易剥離処理)が施されていてもよい。易剥離処理としては、例えば、シリコーン処理等が挙げられる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(配合原料)
下記の実施例及び比較例において、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製するために用いた配合原料は以下の通りである。
(A)ポリオール成分
ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」)
(B)ポリイソシアネート成分
HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)
(C)タッキファイヤー
水添石油樹脂系タッキファイヤー(出光興産社製の「アイマーブP-100」)
(D)触媒
ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL-28」)
東ソー社製の「コロネート4022」は、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを出発物質とするポリイソシアネートに対して、エチレンオキシドユニットを1分子当たり平均3個以上有するエーテルポリオールを反応させて得られたものである。
(実施例1)
まず、100~150℃に温調したポリオレフィンポリオール(EPOL)に、固形状の水添石油樹脂系タッキファイヤー(アイマーブP-100)を添加し、攪拌することによって、ポリオレフィンポリオール中にタッキファイヤーを溶解させたマスターバッチを得た。このとき、マスターバッチにおけるタッキファイヤーの含有量は30重量%に調整した。次に、α比が1.0となるように、ポリオレフィンポリオール(EPOL)100重量部、HDI系ポリイソシアネートを11重量部、タッキファイヤーマスターバッチ、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫)0.006重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。上記タッキファイヤーマスターバッチは、タッキファイヤーの含有量が熱硬化性ポリウレタン組成物全体に対して、22.74重量%となるように添加した。
その後、得られた熱硬化性ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度50~90℃、炉内時間数分間の条件で架橋硬化させ、粘着剤付き誘電体シートの両面に離型フィルムが貼り付けられた積層シートを得た。その後、加熱装置で10~15時間架橋反応させ、両面に離型フィルムが設けられた、熱硬化ポリウレタン層を作製した。熱硬化ポリウレタン層の厚みは200μmであった。
次に、アクリル系樹脂(綜研化学社製の「SK1838」)に、アクリル系樹脂組成物全体に対して、0.15重量%となるようにエポキシ系硬化剤(綜研化学社製の「E-AX」)を添加し、アクリル系樹脂組成物を作製した。得られたアクリル系樹脂組成物を離型フィルムにコンマコーターにて塗工した後、80℃~120℃の乾燥炉において乾燥後、更にアクリル粘着剤塗工面に離型フィルムを重ねた。その後、40℃で1週間加熱することにより硬化を完了させ、厚み25μmのアクリル粘着剤層を作製した。得られたアクリル粘着剤層は、50℃以上の軟化点を有するものであった。
上記離型フィルム付きアクリル粘着剤層を二枚と、上記離型フィルム付き熱硬化ポリウレタン層を一枚とを準備した。一枚目の離型フィルム付きアクリル粘着剤層から一方の離型フィルムを剥離し、一枚目のアクリル粘着剤層の上記離型フィルムを剥離した面に熱硬化ポリウレタン層を積層した。更に、二枚目の離型フィルム付きアクリル粘着剤層から一方の離型フィルムを剥離し、上記熱硬化ポリウレタン層の上記一枚目のアクリル粘着剤層(第一のアクリル粘着剤層)を積層した面と反対側の面に、二枚目のアクリル粘着剤層(第二のアクリル粘着剤層)を積層した。これにより、離型フィルム、第一のアクリル粘着剤層、熱硬化ポリウレタン層(ポリウレタン誘電層)、第二のアクリル粘着剤層及び離型フィルムがこの順で積層された積層シートを作製した。すなわち、粘着剤付き誘電体シートの両面に離型フィルムが貼り付けられた積層シートが得られた。
(実施例2、3及び比較例1~4)
下記表1に示したように、熱硬化性ポリウレタン組成物のα比を変更したことを除いて実施例1と同様にして、実施例2、3及び比較例1~4に係る積層シートをそれぞれ作製した。
(比較例5)
まず、100~150℃に温調したポリオレフィンポリオール(EPOL)に、固形状の水添石油樹脂系タッキファイヤー(アイマーブP-100)を添加し、攪拌することによって、ポリオレフィンポリオール中にタッキファイヤーを溶解させたマスターバッチを得た。このとき、マスターバッチにおけるタッキファイヤーの含有量は30重量%に調整した。次に、α比が1.3となるように、ポリオレフィンポリオール(EPOL)100重量部、HDI系ポリイソシアネートを11重量部、タッキファイヤーマスターバッチ、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫)0.006重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。上記タッキファイヤーマスターバッチは、タッキファイヤーの含有量が熱硬化性ポリウレタン組成物全体に対して、22.74重量%となるように添加した。
その後、得られた熱硬化性ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度50~90℃、炉内時間数分間の条件で架橋硬化させ、粘着剤付き誘電体シートの両面に離型フィルムが貼り付けられた積層シートを得た。その後、加熱装置で10~15時間架橋反応させ、両面に離型フィルムが設けられた、熱硬化ポリウレタン層を作製した。すなわち、単層型誘電体シート(熱硬化ポリウレタン層)の両面に離型フィルムが貼り付けられた積層シートが得られた。熱硬化ポリウレタン層の厚みは200μmであった。
(比較例6~8)
下記表1に示したように、熱硬化性ポリウレタン組成物のα比を変更したことを除いて比較例5と同様にして、比較例6~8に係る積層シートをそれぞれ作製した。
(評価試験)
実施例1~3及び比較例1~4で得られた粘着剤付き誘電体シート、及び、比較例5~8で得られた単層型誘電体シートについて、下記の方法により損失正接を測定し、各種評価試験を行った。結果を下記表1に示した。
(1)損失正接(tanδ)の測定
アントンパール社(Anton Paar Germany GmbH)製の粘弾性測定装置「Physica MCR301」を用いて、誘電体シートの損失正接を測定した。測定プレートは、PP12を用い、測定条件は、ひずみ0.1%、周波数1Hz、セル温度25℃~100℃(昇温速度3℃/分)とした。下記表1には、25℃及び85℃における損失正接の測定値を記載した。
(2)ヒステリシス測定
インストロン(Instron)社製の万能材料試験機「5969デュアルコラム卓上型試験機」を用いて、下記条件にてヒステリシス測定を実施し、測定結果から下記式を用いてヒステリシス・ロスを算出した。
測定試料:JIS 3号ダンベル
測定温度:23°±5℃
ロードセル:500N
引張速度:200mm/分
伸長量:50~100mm
チャック間距離:50mm
繰り返し回数:5回
ヒステリシス・ロス(%)=(行きエネルギー/帰りエネルギー)/行きエネルギー×100
誘電体シートの回復性の評価において、上記ヒステリシス・ロスが20%未満である場合を〇、20~50%の場合を△、50%を超える場合を×と判定した。ヒステリシス・ロスが大きいと、誘電体シートを長期間使用した場合の信頼性が低下する傾向があり、ヒステリシス・ロスが20%を超えると、従来の誘電体シートに対する優位性が充分ではなくなってしまう。
(3)伸び測定
誘電体シートをそれぞれ、幅19mm×長さ180mmに切り出し、試験片とした。インストロン(Instron)社製の万能材料試験機「5969デュアルコラム卓上型試験機」を用いて、下記条件にて、各試験片を流れ(MD)方向に伸長させ、破断したときの伸長率を「伸び」とした。
測定試料:JIS 3号ダンベル
測定温度:23°±5℃
ロードセル:500N
引張速度:200mm/分
チャック間距離:50mm
チャック圧:0.3MPa
上記伸び(伸張率)は、下記式(1)で算出した。下記式(1)中、Laは、引張試験を行う前の試験片の長さであり、Lbは、引張試験において試験片が破断した際の時の試験片の長さである。
伸び(%)={(Lb-La)/La}×100 (1)
誘電体シートの伸縮性の評価において、上記伸びが240%以上である場合を〇、240%未満の場合を×と判定した。伸びが240%未満であると、従来の誘電体シートに対する優位性が充分ではなくなってしまう。
(4)フッ素基材との密着性評価
ガラス板31上にフッ素ゴム板32が貼り付けられたフッ素基材を用いて、図4に示した方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。具体的には、実施例及び比較例で作製した誘電体シート10を長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片を60℃に加温してフッ素基材に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、誘電体シート10とフッ素基材とを貼り合わせた。フッ素基材は、長さ75mm×幅25mmのガラス板31上にフッ素ゴム板32が貼り付けられたものを用い、フッ素ゴム板32に誘電体シート10を貼り付けた。次に、試験片を60℃に加温して誘電体シート10のフッ素基材とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)33を貼り合わせた。その後、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)下で12時間放置した後、図4に示すように、23℃の環境下でPETシート33を30mm/分の速度で180°方向に引っ張り、誘電体シート10をフッ素ゴム板32との界面で剥離させ、誘電体シート10の粘着力を測定した。
フッ素基材との密着性の評価において、従来の誘電体シートに対する優位性が充分である場合を〇、従来の誘電体シートに対する一応の優位性がある場合を△、従来の誘電体シートに対する優位性がない場合を×と判定した。
Figure 2022069960000003
なお、上記表1において、「α比」は、ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数である。
上記表1から分かるように、アクリル粘着剤層/ポリウレタン誘電層/アクリル粘着剤層の3層構造を有し、かつポリウレタン誘電層の25℃における損失正接が0.13~0.32であり、かつ85℃における損失正接が0.04~0.17であった実施例1~3に係る粘着剤付き誘電体シートは、伸縮性、回復性及びフッ素基材との密着性のすべてにおいて良好な結果が得られた。なお、絶縁性については、実施例1~3及び比較例1~4で得られた粘着剤付き誘電体シート、及び、比較例5~8で得られた単層型誘電体シートのいずれについても良好であった。
10:粘着剤付き誘電体シート
11:第一のアクリル粘着剤層
12:ポリウレタン誘電層
13:第二のアクリル粘着剤層
20:積層シート
21:第一の離型フィルム
22:第二の離型フィルム
31:ガラス板
32:フッ素ゴム板
33:PETシート
51、52:相手材
60:伸縮性電極

Claims (5)

  1. 第一の表面を構成する第一のアクリル粘着剤層と、ポリウレタン誘電層と、第二の表面を構成する第二のアクリル粘着剤層をこの順に有し、
    前記ポリウレタン誘電層の25℃における損失正接が0.13~0.32であり、かつ85℃における損失正接が0.04~0.17であることを特徴とする粘着剤付き誘電体シート。
  2. 前記第一のアクリル粘着剤層及び前記第二のアクリル粘着剤層の軟化点は、50℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤付き誘電体シート。
  3. 請求項1又は2に記載の粘着剤付き誘電体シートと、
    前記第一の表面に密着した第一の伸縮性電極と、
    前記第二の表面に密着した第二の伸縮性電極と、を備えることを特徴とする静電容量素子。
  4. 請求項3に記載の静電容量素子を備えることを特徴とする誘電センサ。
  5. 請求項3に記載の静電容量素子を備えることを特徴とする誘電アクチュエータ。
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