JP2022069294A - ロボットアームの制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】物体を保持したロボットアームを手動操作で移動させる際に、異なる重量の物体に対しても適切な重力補償を簡単且つ素早く行え、且つ、人間の手動操作を行い易くする。【解決手段】制御システム10は、物体Pを保持しながら所定空間内を移動可能なロボットアーム11と、ロボットアーム11を動作可能に駆動するモータ14と、モータ14からロボットアーム11へのトルク伝達状態を調整可能に動作するトルク調整装置16と、ロボットアーム11の動作制御を行う制御装置19とを備える。制御装置19では、異なる重量の物体Pをロボットアーム11に保持させても、物体P及びロボットアーム11による重力の影響をキャンセルするように、モータ14の駆動及びトルク調整装置16でのトルク伝達状態を制御する重力補償制御が行われるとともに、ロボットアーム11の手動動作を補助するための制御が行われる。【選択図】図1
Description
本発明は、ロボットアームの制御システムに係り、更に詳しくは、ダイレクトティーチング等、物体を保持した状態のロボットアームを人間の手で動かす場合に、重量の異なる物体に対しても適切な重力補償を行いながら、人間の手動操作をアシストするロボットアームの制御システムに関する。
現在、種々のロボットが存在するが、今後は、様々な作業を人間と連携しながら行う協働ロボットが益々期待される。このような協働ロボットは、近接して存在する人間の安全性を考慮した動作が要求されるが、当該動作として、例えば、所定のタスクに必要な動作を人間から教示され、当該教示に沿った動作をロボットに実行させる態様がある。ロボットの動作学習の1つとして、作業者が直接ロボットを手で動かすことで、ロボットにタスク実行のための動作を覚えさせるダイレクトティーチングがある。例えば、所定の物体を所定の場所から別の場所に自動的に運搬するようにロボットアームを動作させるタスクを行う場合、ダイレクトティーチングとして、タスク前に、人間(作業者)により、物体を保持した状態のロボットアームを所望の軌道に沿って手動で移動させるケースがある。このようなダイレクトティーチングでは、ロボットアームの移動時の軌道のみならず、物体を拾い上げて物体を開放するタイミングを学習させる。つまり、ここでは、想定される物体を所望の場所でロボットアームに把持させ、他の所望の場所まで、作業者が所望の軌道でロボットアームを手で動かし、他の所望の場所で物体を開放するダイレクトティーチングが行われる。この際、作業者はロボットアームを手で動かすことから、ロボットには、物体を保持した状態のロボットアームの重力の影響を軽減させる重力補償が望まれる。そこで、この重力補償を行うために、バネを使ったリンク構造からなるスプリングバランス式等の受動的重力補償機構をロボットに設けることが知られている。
しかしながら、受動的重力補償機構では、ロボットアームに保持させる物体の重量が異なる複数パターンでのダイレクトティーチングを行う場合、ロボットアームの動作時の姿勢等に応じ、物体を保持した状態のロボットアームの重力とバランスを取ることができるように、都度、バネ張力等の機械的調整が必要となる。従って、このことは、重量の異なる保持対象の物体の種類が多くなる程、ダイレクトティーチングを簡単に且つ素早く行うための障害となる。
そこで、例えば、特許文献1に開示されるように、多くのロボットは、ダイレクトティーチングの際に、作業者の手動操作によってロボットアームに付与された力をトルクセンサや力センサで検出し、その力に追随させるようにロボットアームのモータを動作するようになっている。しかしながら、このタイプのロボットでは、適切な重力補償が難しく、各種演算時に重力項の影響等による制御ループの遅延により、ロボットアームを俊敏に動作させることが難しいばかりか、より高い位置精度での教示が難しい。
また、特許文献2には、出力トルクを高精度に制御可能で、優れたバックドライバビリティーを有する直接駆動型アクチュエータが開示されている。このアクチュエータは、ロボットアーム及びそれに保持される物体の重力に伴うトルクを考慮して動作し、バックドライバビリティーにより使用者の手動動作も容易となる。しかしながら、特許文献2のアクチュエータは、サイズが大きく且つ高重量であることから、小型化且つ軽量化を目指す協働ロボットへの採用は実用的ではない。
更に、特許文献3には、クラッチ機構を利用してモータからの駆動を遮断したときに、ロボットアームが外力で動作可能になり、バックドライバビリティーを確保できるロボットが開示されている。しかしながら、このロボットにおいて、ダイレクトティーチングを行う場合に、モータからロボットアームへの動力伝達を遮断した状態で行わなければならず、物体を保持した状態のロボットアームの重量を作業者が支えながら動かす必要があり、ダイレクトティーチングを行う作業者の負担が大きくなる。なお、特許文献3には、重力補償を行うためにトルク伝達時の摩擦力を変化させるクラッチ機構の制御についての開示はない。
ところで、本発明者らにより既に提案された特許文献4には、モータとロボットアームとの間の伝達トルクを調整するトルク調整装置を配置するとともに、ロボットアームに保持される物体の重量を含めたロボットアーム全体の重力への影響をキャンセルする重力補償機構を設けたロボットが開示されている。
しかしながら、前記特許文献4のロボットは、機械的な受動的重力補償機構のみの重力補償に過ぎず、前述した通り、ロボットアームに保持させる物体を異なる重量のものに交換する都度、重力補償の初期設定が必要になり煩雑となる。また、受動的重力補償機構として、重量の異なる重力補償対象について、機構上で初期設定を調整可能にするものも存在するが、当該機構が複雑となり、ロボット全体の小型化や軽量化を阻害するばかりか、ロボットアームに保持させる物体を交換しながら行う初期設定が依然として面倒になる。
本発明は、このような課題を解決するために創出されたものであり、その目的は、所定空間内を動作可能なロボットアームに物体を保持した状態で、人間の手動操作でロボットアームを移動させる場合に、異なる重量の物体に対しても適切な重力補償を簡単且つ素早く行うことができ、人間の手動操作を行い易くすることができるロボットアームの制御システムを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、主として、物体を保持しながら所定空間内を移動可能なロボットアームと、当該ロボットアームを動作可能に駆動するモータと、当該モータから前記ロボットアームへのトルク伝達状態を調整可能に動作するトルク調整装置と、前記ロボットアームの動作制御を行う制御装置とを備えたロボットアームの制御システムにおいて、前記制御装置では、異なる重量の前記物体を前記ロボットアームに保持させても、前記物体及び前記ロボットアームによる重力の影響をキャンセルするように、前記モータの駆動及び前記トルク調整装置でのトルク伝達状態を制御する重力補償制御が行われる、という構成を採っている。
本発明によれば、制御装置での重力補償制御により、ロボットアームに保持される物体の重量の大きさに拘わらず、重力の影響を簡単且つ確実にキャンセルすることができ、人間の手動操作でロボットアームを移動させる場合でも、より少ない力でロボットアームを動かすことができる。ここで、重力補償制御と、前記モータの駆動及び前記トルク調整装置でのトルク伝達状態の制御とを併用することで、ロボットアームに対する人間の手動操作を行い易くする動作補助を簡単な処理や装置構成により可能となる。特に、所定の設定重量における重力の影響をキャンセルする受動的重力補償機構を併用した場合でも、設定重量と異なる物体の重量によって受動的重力補償機構で補償されない重力については、制御装置の重力補償制御により補償可能となる。
また、前記トルク調整装置のトルクリミット値を調整することで、モータからの駆動力の影響を受けずに、より少ない力で人間の手動操作によるロボットアームの移動が可能になる。
更に、前記モータの駆動制御及び前記トルク調整装置でのトルク伝達状態の制御を併用することにより、作業者が高速や高加速度でロボットアームを手動操作したいときでも、モータの動力を利用して、ロボットアームを容易に動かすことができる。
また、ダイレクトティーチング時に作業者に付与するロボットアームの動作抵抗を変化させることで、精密な位置決め等の際にロボットアームをゆっくり動かしたい場合等で動作抵抗を大きくし、ロボットアームを速く動かすときに動作抵抗を小さくする等の調整が可能になり、ダイレクトティーチングの作業を精密に且つ迅速に行うことができる。
更に、ダイレクトティーチング時に、物体が保持されたロボットアームにおける作業者による移動を補助して、当該移動方向にロボットアームを動作させると、作業者のパワーアシストをすることができ、重量の大きい物体を加速させる場合等に有用となる。この場合、前述の重力補償がなされていることから、システム内の演算処理負荷を軽減でき、人間によるロボットアームへの力の付与と、パワーアシストされたロボットアームの動作との間の遅延が殆ど無い状態となる。このため、手動操作によるロボットアームの動作を精度良く行え、使い勝手を良くすることができる。ここでの制御は、作業者による特別な操作指令を必要とせずに、ロボットアームへの力の付与による作業者の動きに追従したロボットアームの動作が可能になる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係るロボットアームの制御システムを説明するための概略ブロック図が示されている。この図におけるロボットアーム制御システム10は、物体Pを保持しながら所定空間内で移動可能に構成されたロボットアーム11を人間の手で把持しながら動かす手動操作時に、物体P及びロボットアーム11の重力の影響をキャンセルする重力補償を行いながら、ロボットアーム11の動作を制御するシステムである。
この制御システム10は、前記ロボットアーム11と、物体Pを保持した状態のロボットアーム11の重力の影響を低減させる受動型重力補償機構12と、ロボットアーム11の動力として、増減速可能に回転駆動するモータ14と、ロボットアーム11とモータ14との間に配置され、モータ14からロボットアーム11へのトルク伝達状態を調整可能に動作するトルク調整装置16と、ロボットアーム11とモータ14の動作状況を検出するセンサ17と、モータ14とトルク調整装置16の動作制御を行う制御装置19とを備えて構成されている。なお、特に限定されるものではないが、受動型重力補償機構12、モータ14、トルク調整装置16、センサ17は、ロボットアーム11の関節部分やその近傍に設けられている。
前記ロボットアーム11は、図示省略しているが、複数のリンクと関節部分を有し、モータ14からの動力により、関節部分を動作させながら所定の空間内で移動可能にする公知の動力伝達機構からなる。ここで、関節部分の変位量、例えば、関節部分が回転関節の場合はその回転角、直動関節の場合はその移動量を取得することで、ロボットアーム11の全部分の位置が推定される。また、前記各リンクの重心位置と重量等が分かれば、物体Pを保持したロボットアーム11全体の重力によるトルクを演算で求めることができる。
なお、ロボットアーム11の詳細な構造については、本発明の本質部分ではないため、構造の図示及び詳細な説明を省略する。なお、本実施形態でのロボットアーム11は、先端に物体の把持部を備えた片持ち状の多関節型の構造により、予め指令した動作によって、把持部で把持した物体Pを所定空間内で移動するようになっている。
前記受動型重力補償機構12は、ロボットアーム11の自重に物体Pの重量を含めた総重量の少なくとも一部について重力補償を行う公知の機構からなる。本実施形態では、例えば、ばねを使ったリンク構造からなるスプリングバランス式の重力補償機構が採用される。ここでの受動型重力補償機構12としては、ロボットアーム11の自重に、所定の設定重量の物体Pを加算した一定の総重量に対してバランスするようなっている。このため、ロボットアーム11で保持される物体Pが、予め設定された設定重量と異なる場合には、制御装置19での後述の重力補償制御によって、受動型重力補償機構12で重力補償がされない重力に影響をキャンセルするように、重力補償の補完がなされることになる。なお、受動型重力補償機構12としては、カウンターウエイト式のもの等、所定の設定重量における重力の影響をキャンセルできる限りにおいて、他の機械的構造等、種々の構造の受動型重力補償機構12を採用することができる。
前記トルク調整装置16は、ロボットアーム11とモータ14との間に配置され、これらと機械的に連結されている。このトルク調整装置16では、制御装置19で設定されたトルクリミット値に応じて、モータ14に繋がる入力側からロボットアーム11に繋がる出力側へのトルク伝達状態を調整可能となっている。具体的に、入力側と出力側のトルク値の差が、設定されたトルクリミット値以下のときには、入力側と出力側がスリップ動作せず、これらのトルク値の差を維持しながら、入力側から出力側に動力が伝達される。一方、入力側と出力側のトルク値の差が、設定されたトルクリミット値よりも大きくなると、入力側に対して出力側がスリップ動作し、トルクリミット値と同一のトルク値の差のまま、入力側から出力側に動力が伝達される。このトルクリミット値は、制御装置19によって可変に設定され、入力側から出力側のトルク伝達状態が制御されることになる。ここで、トルク調整装置16への印加電圧等の制御パラメータとその際に発生するトルクリミット値との関係は、所定の関数として予め記憶されている。
本実施形態において、前記トルク調整装置16は、クラッチにより構成されており、モータ14に繋がってモータ14の駆動によって回転可能に設けられた前記入力側の入力部21と、ロボットアーム11側に繋がって回転可能に設けられた前記出力側の出力部22と、これら入力部21と出力部22との間に配置されるとともに、入力部21から出力部22へのトルク伝達状態を変化可能に動力伝達する伝達部23とを備えている。
ここで、入力部21の回転による入力トルクと出力部22の出力トルクとの差が、制御装置19で制御されたトルクリミット値以下のときに、入力部21と出力部22とが一体回転する一方、入力トルクと出力トルクとの差がトルクリミット値を超えたときに、入力部21と出力部22の相対回転を許容するスリップ動作が発生する。なお、トルク調整装置16としては、例えば、伝達部23の摩擦力の調整を電気的に行う摩擦クラッチや、伝達部23を磁性流体によって構成し、当該磁性流体の粘性の調整を電気的に行う磁性流体クラッチを採用できる他、入力部21から出力部22へのトルク伝達状態を前述のように調整できる限りにおいて、種々のクラッチ、トルクリミッタ、ブレーキ等を採用することができる。特に、クラッチとしては、伝達部23での静摩擦力や動摩擦力を更に考慮してトルク伝達状態を調整できるものや、トルク調整装置16のスリップ動作時における入力部21と出力部22の相対回転速度となるスリップ速度を更に考慮することで、トルク伝達状態を調整できるもの等を採用することができる。例えば、不安定な現象であるスティックスリップ現象が発生しないようにモータ14の回転速度とトルク調整装置16を制御することができる。
前記センサ17としては、入力部21と出力部22の動作状況を検出し、制御装置19による後述の制御を行うための情報を取得可能なものであれば、特に限定されるものではない。本実施形態においては、センサ17として、トルク調整装置16の入出力側それぞれに設けられたエンコーダが用いられ、入力部21と出力部22のトルク値を演算で求めるためのそれらの回転状態が計測される。すなわち、トルク調整装置16の入力側に配置された入力側エンコーダ17Aでは、入力部21の回転角度変位が検出される一方、同出力側に配置された出力側エンコーダ17Bでは、出力部22の回転角度変位が検出される。各エンコーダ17A、17Bの検出値は、制御装置19に逐次伝送される。
前記制御装置19は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等からなるコンピュータによって構成されており、モータ14とトルク調整装置16の動作制御を行うようになっている。
この制御装置19は、モータ14の駆動制御を行うモータ制御手段26と、トルク調整装置16の動作制御を行うクラッチ制御手段27とを備えている。
前記制御装置19では、所定のタスク時に自動的に動作させるロボットアーム11の動作軌道を作業者の手動操作によって設定するダイレクトティーチングを行う際、以下のティーチング用制御モードによる制御が行われる。
このティーチング用制御モードでは、重量の異なる物体Pを保持したロボットアーム11についてダイレクトティーチングを行う際に、作業者がティーチング作業を行い易くするように、モータ制御手段26によるモータ14の駆動制御と、クラッチ制御手段27によるトルク調整装置16のトルク伝達状態の制御とが行われる。
次に、ティーチング用制御モード時の制御装置19での制御内容について説明する。
先ず、以降の制御に必要となる各種重量、すなわち、ロボットアーム11の重量、ロボットアーム11に保持される物体Pの重量、及び受動型重力補償機構12によって補償される重量が特定される。ここで、ロボットアーム11の重量と受動型重力補償機構12によって補償される重量は、その機器固有のもので既知であり、制御装置19に一定値として予め記憶される。物体Pの重量については、重量の異なる複数種の物体Pを選択しながら、それぞれダイレクトティーチングを行う場合、常時一定にならないことから、物体P毎に重量を特定して制御装置19に記憶させる必要がある。各物体Pの重量を特定するパターンとしては、以下が挙げられ、これら何れかのパターンにより、物体P毎の重量が制御装置19に記憶される。
第1のパターンとしては、図示しない計測装置で各物体Pの重量を計測し、それらの計測値が作業者の入力等によって制御装置19に記憶される。
第2のパターンとしては、図示しない力センサをロボットアーム11に設け、各物体Pをそれぞれロボットアーム11に保持させた際の物体Pの重量を力センサによって計測し、当該計測値が制御装置19に記憶される。
第3のパターンとしては、特開2017-13207号公報にて本願発明者らが既に提案した手法を用いて物体Pの重量を推定し、当該重量が制御装置19に記憶される。すなわち、このパターンでは、ロボットアーム11に力センサを設けずに、モータ制御手段26でのモータ14の駆動制御と、クラッチ制御手段27でのトルク調整装置16の動作制御とにより、ロボットアーム11に保持された物体Pの重量が特定される。この手法は、モータ14とトルク調整装置16の動作を変化させながらクラッチのスリップ動作を発生させることで、物体Pの重量を推定するものであるが、その具体的内容については、本発明の本質部分ではないため、詳細な説明を省略する。
前記モータ制御手段26では、前述のようにして特定された物体P及びロボットアーム11の合計重量と、予め設定された受動型重力補償機構12によって補償される重量との相対関係に応じて、モータ14の駆動方向(回転方向)を制御する重力補償制御がなされる。この重力補償制御では、物体Pを保持したロボットアーム11について、受動型重力補償機構12によって補償されない重量を補完的に補償し、動型重力補償機構12と併せて物体P及びロボットアーム11の重力の影響をキャンセルするように、モータ14の駆動が制御される。なお、ここでは、重力に沿う上下方向にロボットアーム11を動作させるように回転駆動するモータ14が、駆動制御対象となる。
具体的に、受動型重力補償機構12によって補償される重量は、前述の通り一定値に設定されており、当該補償重量よりも、物体P及びロボットアーム11の合計重量が大きい場合には、重力方向(下方)への力がロボットアーム11に作用する。従って、この場合は、その反対方向となる上方にロボットアーム11を動作させる方向にモータ14を駆動させるように、モータ14の駆動方向が制御される。この際、物体P及びロボットアーム11の重力の影響をキャンセルするように、モータ14の駆動速度とトルク調整装置16でのトルク伝達状態が調整される。その逆の場合、すなわち、受動型重力補償機構12によって補償される重量よりも、物体P及びロボットアーム11の合計重量が小さい場合には、反重力方向となる上方にロボットアーム11を動作させる方向にモータ14を駆動させ、モータ14の駆動速度及びトルク調整装置16でのトルク伝達状態が同様に調整される。
従って、ここでの重力補償制御により、異なる重量の物体Pをロボットアーム11に保持させても、受動型重力補償機構12との併用により、物体Pを保持するロボットアーム11の合計重量による重力の影響を完全にキャンセルすることができる。このため、ロボットアーム11が保持する物体Pの種類を変え、物体Pの重量が変化する複数パターンのダイレクトティーチングを行う場合でも、受動型重力補償機構12の初期設定の変更を不要としながら重力補償が十分になされた状態で、物体Pを保持したロボットアーム11に対する作業者の手動操作を楽に行うことができる。
また、モータ制御手段26では、ダイレクトティーチングの際に、ロボットアーム11を軌道生成方向に動作させるモータ14の駆動速度(回転速度)が制御される。ここでは、予め設定された一定の駆動速度でモータ14を駆動させる基本モードでのモータ14の速度制御がある。この場合は、ロボットアーム11を把持する作業者は、ロボットアーム11の動作方向と同一方向にモータ14の速度と同一若しくはそれ以下で、ロボットアーム11を移動させることが可能になる。従って、モータ14の駆動速度を増大させる程、より速いダイレクトティーチングが可能になる。
この基本モードでは、モータ14の駆動速度をより増大させる程、モータ14やトルク調整装置16の寿命が低下することから、次の手動補助モードでのモータ14の速度制御もある。この手動補助モードでは、ロボットアーム11を軌道生成方向に動作させるモータ14について、作業者の手動操作でロボットアーム11を動作させたときの所望の速度に基づいて、駆動制御を行うようになっている。つまり、出力側エンコーダ17Bの検出値の時間変化に基づき、手動操作によるロボットアーム11の速度が演算により求められ、その速度よりも速くなるように、入力側エンコーダ17Aの検出値で検出されるモータ14の駆動速度が制御される。なお、トルク調整装置16でのスティックスリップ現象を防止するため、入力側エンコーダ17Aの検出値と出力側エンコーダ17Bの検出値による速度差を確保するように、モータ14の駆動速度が制御される。また、この速度差は、例えば、作業者が急にロボットアーム11を速く動かした場合等、モータ14の速度変更時における制御処理時間を確保できる程度の所定差に設定される。
また、この手動補助モードでは、作業者がロボットアーム11を動かさない場合には、出力側エンコーダ17Bの検出値がゼロとなるが、当該検出値ゼロが検出されたときに、モータ14の駆動と入力部21の回転を停止させることもでき、これにより、モータ14やトルク調整装置16の寿命低下を抑制できる。この状態から、作業者がロボットアーム11を動かす際には、前述した通り、物体Pを保持したロボットアーム11の全体が完全に重力補償されているため、物体Pを含むロボットアーム11の総重量の大きさに影響なく、作業者が所望の方向に少ない力でロボットアーム11をスムーズに動かすことができる。つまり、ダイレクトティーチングの際には、前述した重力補償制御に必要なモータ14の駆動とトルク調整装置16でのトルク伝達状態の制御により、作業者がロボットアーム11に外力を付与すると、クラッチのスリップ動作により、外力付与方向に重力補償された状態のロボットアーム11が移動する。従って、この際にも、作業者がロボットアーム11を所望の方向に動かすことが可能になる。そして、作業者の手動によるロボットアーム11の移動を停止すると、当該移動方向に関係するモータ14の駆動が停止する。
なお、モータ14の駆動速度制御におけるこれら基本モードと手動補助モードは、ダイレクトティーチング作業の際、作業者によって任意に選択可能となっている。
前記クラッチ制御手段27では、前述のトルクリミット値が次の通り設定される。
ここでは、物体Pとロボットアーム11の総重量と、受動型重力補償機構12により補償される重量との差分となる調整重量が求められる。そして、当該調整重量とトルクリミット値との関係が予め記憶され、求めた調整重量に対応するトルクリミット値が決定される。ここでのトルクリミット値は、調整重量がロボットアーム11に作用した際のロボットアーム11のトルクになるように決定される。すなわち、ロボットアーム11の構造が既知であり演算時の姿勢も把握可能であることから、その重心位置と回転部分との距離とその回転角度が特定され、これら及び前記調整重量から演算によりトルクリミット値が求められる。
また、以下の手法を利用し、物体Pの重量を特定することなく、トルクリミット値を任意に変化させながら、トルク調整装置16でのトルク伝達状態の変化に基づいて、トルクリミット値を決定することができる。
先ず、モータ14を重力補償制御時の駆動方向に回転させ、ロボットアーム11の動作が障害物等の存在により妨げられない状態で、トルクリミット値を所定の低い値から徐々に増大させることで、トルク調整装置16におけるスリップ動作を停止させる。その後、トルクリミット値を減少させ、スリップ動作を発生させ、そのときのトルク伝達状態が維持される。或いは、モータ14を同様に回転させながらトルクリミット値を所定の最大値から徐々に減少させることで、スリップ動作を発生させ、そのときのトルク伝達状態が維持される。
この手法によれば、物体Pの重量が特定して前述通りにトルクリミット値が設定されたとしても、実際のトルク調整装置16でのトルク伝達状態をフィードバックしながらトルク伝達状態を調整可能となる。従って、何等かの原因により、特定された調整重量やクラッチ制御に誤差が生じても、より精度の高い所望のトルク伝達状態の調整が可能になる。
なお、例えば、作業者によってロボットアーム11を動かさないときに、ロボットアーム11を静止状態にする際のトルク調整装置16におけるトルク伝達状態の設定としては、ロボットアーム11の可動部分の摩擦などによる機械的な抵抗等を考慮し、必ずしも予め特定したトルクリミット値に対し完全同一にならないトルクリミット値とすることもできる。
また、入力側エンコーダ17Aと出力側エンコーダ17Bの検出値の差に基づくトルク調整装置16のスリップ動作の速度をスティックスリップ現象が発生しない速度になるように、モータ14とトルク調整装置16のトルクリミット値を調整することもできる。
更に、センサ17の検出結果に基づく制御装置19でのモータ14及びトルク調整装置16の動作制御により、作業者の手動操作によりロボットアーム11を移動させる際の能動的な動作抵抗を与えることができると共に、その動作抵抗の大きさの調整等をすることもできる。例えば、作業者がゆっくり手動操作した際には、ロボットアーム11の移動位置調整を精密に行えるように、前記動作抵抗を大きくし、ロボットアーム11が移動し難い硬い状態にする。また、前記動作抵抗を大きくする場合に、作業者がモータ14の駆動方向と同一方向にロボットアーム11を移動させたときには、トルクリミット値を下げる。更に、前記動作抵抗を大きくする場合に、作業者がモータ14の駆動方向と反対方向にロボットアーム11を移動させたときには、トルクリミット値を上げる。
また、本実施形態では、前述した通り、ダイレクトティーチングの動作補助として、センサ17による検出結果から、ロボットアーム11の手動操作を補助する方向にロボットアーム11を動作させるように、モータ14の駆動とトルク調整装置16でのトルク伝達状態が制御される。同様に、本発明は、人間の動作方向に力を補助するロボットアームを有するパワーアシストロボットにも適用可能である。この態様では、例えば、ロボットが人間の動作を補助する必要があり、人間の手動操作によりモータの駆動方向と同一方向にロボットアームを移動させたときには、トルクリミット値を上げる。一方、ロボットが人間の動作を補助する必要があり、人間がモータの駆動方向と反対方向にロボットアームを移動させたときには、トルクリミット値を下げる。
更に、前記実施形態では、受動的重力補償機構12をロボットアーム11に設けたが、本発明はこれに限らず、受動的重力補償機構12を省略して、その補償重量を考慮しない制御装置19による前述した制御のみで、ロボットアーム11と物体Pの総重量の重力補償制御を行うこともできる。
その他、本発明における装置各部の構成は、図示例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 制御システム
11 ロボットアーム
12 受動型重力補償機構
14 モータ
16 トルク調整装置
17 センサ
19 制御装置
21 入力部
22 出力部
23 伝達部
P 物体
11 ロボットアーム
12 受動型重力補償機構
14 モータ
16 トルク調整装置
17 センサ
19 制御装置
21 入力部
22 出力部
23 伝達部
P 物体
Claims (8)
- 物体を保持しながら所定空間内を移動可能なロボットアームと、当該ロボットアームを動作可能に駆動するモータと、当該モータから前記ロボットアームへのトルク伝達状態を調整可能に動作するトルク調整装置と、前記ロボットアームの動作制御を行う制御装置とを備えたロボットアームの制御システムにおいて、
前記制御装置では、異なる重量の前記物体を前記ロボットアームに保持させても、前記物体及び前記ロボットアームによる重力の影響をキャンセルするように、前記モータの駆動及び前記トルク調整装置でのトルク伝達状態を制御する重力補償制御が行われることを特徴とするロボットアームの制御システム。 - 前記ロボットアームには、所定の設定重量による重力の影響をキャンセルする受動的重力補償機構が設けられ、
前記制御装置では、前記受動的重力補償機構で重力補償がされない重力の影響をキャンセルするように、前記重力補償制御が行われることを特徴とする請求項1記載のロボットアームの制御システム。 - 前記ロボットアームと前記モータの動作状況を検出するセンサを更に備え、
前記トルク調整装置は、前記モータに繋がって回転可能な入力部と、前記ロボットアームに繋がって回転可能な出力部と、これら入力部と出力部との間に回転可能に配置されるとともに、前記入力部から前記出力部への前記トルク伝達状態を変化させる伝達部とを備え、前記入力部及び前記出力部のトルク差が所定のトルクリミット値以下のときに、前記入力部と前記出力部が一体的に回転する一方、前記トルク差が前記トルクリミット値を超えたときに、前記入力部と前記出力部を相対回転させるスリップ動作を可能にする構造をなし、
前記入力部と前記出力部の動作状況は、前記センサで検出され、
前記制御装置では、前記物体が保持された状態の前記ロボットアームの作業者による手動操作で当該ロボットアームの動作軌道を設定するダイレクトティーチングを行う際、前記センサの検出結果に基づき、前記ダイレクトティーチングの動作補助をするように、前記モータの駆動及び前記トルク調整装置でのトルク伝達状態が制御されることを特徴とする請求項1記載のロボットアームの制御システム。 - 前記制御装置では、前記モータの駆動状態と前記トルクリミット値を変化させながら、前記スリップ動作を発生させて前記物体の重量を推定し、当該重量に基づいて前記重力補償制御を行うことを特徴とする請求項3記載のロボットアームの制御システム。
- 前記制御装置では、前記スリップ動作の速度を調整しながら、前記作業者の所望の速度での前記ダイレクトティーチングを可能にするように、前記モータの駆動及び前記トルク調整装置でのトルク伝達状態が制御されることを特徴とする請求項3記載のロボットアームの制御システム。
- 前記制御装置では、前記作業者が前記ロボットアームを手動操作しないときに、前記モータの駆動と前記入力部の回転を停止し、当該手動操作をしたときに前記スリップ動作を発生させるように、前記モータの駆動と前記トルク調整装置でのトルク伝達状態が制御されることを特徴とする請求項3記載のロボットアームの制御システム。
- 前記制御装置では、前記ダイレクトティーチング時に、前記センサによる検出結果に基づいて前記作業者に付与する動作抵抗を変化させるように、前記モータの駆動と前記トルク調整装置でのトルク伝達状態が制御されることを特徴とする請求項3記載のロボットアームの制御システム。
- 前記制御装置では、前記ダイレクトティーチング時に、前記センサによる検出結果に基づき、前記ロボットアームの手動操作を補助する方向に前記ロボットアームを動作させるように、前記モータの駆動と前記トルク調整装置でのトルク伝達状態が制御されることを特徴とする請求項3記載のロボットアームの制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020178395A JP2022069294A (ja) | 2020-10-23 | 2020-10-23 | ロボットアームの制御システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020178395A JP2022069294A (ja) | 2020-10-23 | 2020-10-23 | ロボットアームの制御システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022069294A true JP2022069294A (ja) | 2022-05-11 |
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Family Applications (1)
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JP2020178395A Pending JP2022069294A (ja) | 2020-10-23 | 2020-10-23 | ロボットアームの制御システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022069294A (ja) |
-
2020
- 2020-10-23 JP JP2020178395A patent/JP2022069294A/ja active Pending
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