JP2022067790A - アンモニアの計測方法、および、アンモニアの計測装置 - Google Patents

アンモニアの計測方法、および、アンモニアの計測装置 Download PDF

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健 丹下
Takeshi Tange
知彰 東
Tomoaki Azuma
義規 井上
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【課題】アンモニア濃度を簡易に計測することができるアンモニアの計測方法、および、アンモニアの計測装置を提供することを目的とする。【解決手段】アンモニアの計測方法は、ジルコニアNOxセンサと、定電位電解式センサと、によって、計測対象となる計測対象ガスを同時に計測し、前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する第1の計測値と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する第2の計測値とを、それらの計測値が計測された時刻と共に取得する計測用データ取得工程と、同時刻に計測された前記第1の計測値と前記第2の計測値との差分に基づいて前記計測対象ガス中のアンモニア濃度を算出する算出工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本明細書によって開示される技術は、アンモニアの計測方法、および、アンモニアの計測装置に関する。
例えば、車両から排出される排気ガスには、三元触媒による浄化の副産物として生じるアンモニアが含まれている場合があることが、近年、明らかになってきた。環境保護への関心の高まりから、大気中に排出されるアンモニアは、今後、規制対象になると考えられる。
排気ガス中のアンモニア濃度を計測する装置として、還元触媒を用いて窒素酸化物とアンモニアとの反応を起こすようにした第1のサンプリングパイプと、ガスを直接導く第2のサンプリングパイプをもち、そのガスの窒素酸化物濃度を各々について計測し、その差からアンモニア濃度を計測する装置が提案されている(特許文献1参照)。
実公平7-14887号公報
しかし、上記の装置は、2本のサンプリングパイプと、パイプ中に充填する触媒が必要となるなど、装置構成が複雑であり、より簡易な計測方法の開発が望まれていた。
本明細書によって開示されるアンモニアの計測方法は、固体電解質体および当該固体電解質体の表面に設けられた一対の電極を備えて窒素酸化物の濃度に対応する検出値を検出する検知セルと、該検知セルを加熱するヒータとを有し、前記固体電解質体の主成分はジルコニアであるジルコニアNOxセンサと、定電位電解式センサと、によって、計測対象となる計測対象ガスを同時に計測し、前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する第1の計測値と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する第2の計測値とを、それらの計測値が計測された時刻と共に取得する計測用データ取得工程と、同時刻に計測された前記第1の計測値と前記第2の計測値との差分に基づいて前記計測対象ガス中のアンモニア濃度を算出する算出工程と、を含む。
また、本明細書によって開示されるアンモニアの計測装置は、固体電解質体および当該固体電解質体の表面に設けられた一対の電極を備えて窒素酸化物濃度に対応する検出値を検出する検知セルと、該検知セルを加熱するヒータとを有し、前記固体電解質体の主成分はジルコニアであるジルコニアNOxセンサと、定電位電解式センサと、前記ジルコニアNOxセンサと前記定電位電解式センサとを制御する制御部と、を備え、前記制御部が、前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する計測値を、その計測値が計測された時刻と共に取得する第1情報取得部と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する計測値を、その計測値が計測された時刻と共に取得する第2情報取得部と、前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサによって計測対象となる計測対象ガスの計測が同時に行われた際の、同時刻に前記第1情報取得部によって取得された第1の前記計測値と、前記第2情報取得部によって取得された第2の前記計測値との差分を前記計測対象ガス中のアンモニア濃度として算出する演算部と、を備える。
本明細書によって開示されるアンモニアの計測方法、および、アンモニアの計測装置によれば、アンモニア濃度を簡易に計測することができる。
図1は、実施形態において、車両の排気管に接続された計測装置の全体構成を模式的に示す図である。 図2は、実施形態のメインユニット、および計測モジュールの斜視図である。 図3は、実施形態の計測モジュール、およびセンサの斜視図である。 図4は、実施形態のジルコニアNOxセンサにおけるセンサ素子の断面、および、第1計測モジュールの電気的構成を示す図である。 図5は、実施形態の計測ユニットの構成を模式的に示す図である。 図6は、実施形態の定電位電解式センサの構成を模式的に示す図である。 図7は、実施形態のメインユニットの電気的構成を示す図である。 図8は、実施形態の計測装置による処理の流れを示すフローチャートである。 図9は、試験例において、時刻補正工程を行う前の、コールドスタート時のジルコニアNOxセンサ、および定電位電解式センサにより計測された窒素酸化物濃度の計測チャートである。 図10は、試験例において、時刻補正工程を行った後の、ジルコニアNOxセンサ、および定電位電解式センサにより計測された窒素酸化物濃度の計測チャートである。
[実施形態の概要]
(1)本明細書によって開示されるアンモニアの計測方法は、固体電解質体および当該固体電解質体の表面に設けられた一対の電極を備えて窒素酸化物の濃度に対応する検出値を検出する検知セルと、該検知セルを加熱するヒータとを有し、前記固体電解質体の主成分はジルコニアであるジルコニアNOxセンサと、定電位電解式センサと、によって、計測対象となる計測対象ガスを同時に計測し、前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する第1の計測値と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する第2の計測値とを、それらの計測値が計測された時刻と共に取得する計測用データ取得工程と、同時刻に計測された前記第1の計測値と前記第2の計測値との差分に基づいて前記計測対象ガス中のアンモニア濃度を算出する算出工程と、を含む。
また、本明細書によって開示されるアンモニアの計測装置は、固体電解質体および当該固体電解質体の表面に設けられた一対の電極を備えて窒素酸化物濃度に対応する検出値を検出する検知セルと、該検知セルを加熱するヒータとを有し、前記固体電解質体の主成分はジルコニアであるジルコニアNOxセンサと、定電位電解式センサと、前記ジルコニアNOxセンサと前記定電位電解式センサとを制御する制御部と、を備え、前記制御部が、前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する計測値を、その計測値が計測された時刻と共に取得する第1情報取得部と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する計測値を、その計測値が計測された時刻と共に取得する第2情報取得部と、前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサによって計測対象となる計測対象ガスの計測が同時に行われた際の、同時刻に前記第1情報取得部によって取得された第1の前記計測値と、前記第2情報取得部によって取得された第2の前記計測値との差分を前記計測対象ガス中のアンモニア濃度として算出する演算部と、を備える。
ジルコニアNOxセンサは窒素酸化物測定用のセンサであるが、アンモニアにも同程度の感度を有している。計測対象ガスに窒素酸化物とアンモニアとが含まれる場合には、計測値は窒素酸化物濃度とアンモニア濃度との合計値となる。一方、定電位電解式センサは窒素酸化物のみを計測し、アンモニアの影響を受けない。
測定対象となる測定対象ガスについて、ジルコニアNOxセンサおよび定電位電解式センサによって同時に計測を行い、同時刻に計測された両者による計測値の差分を算出することで、アンモニア濃度を簡易に計測することができる。
(2)上記(1)の計測方法において、窒素酸化物を含む補正用ガスを、前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサによって同時に計測し、前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する第3の計測値のピーク値と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する第4の計測値のピーク値とを、それらのピーク値が計測された時刻と共に取得する補正用データ取得工程と、前記第3の計測値のピーク値が計測された時刻と、前記第4の計測値のピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、前記第2の計測値が計測された時刻を補正する時刻補正工程と、をさらに含んでいても構わない。
また、上記(1)の計測装置において、前記制御部が、窒素酸化物を含む補正用ガスについて前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサによって計測が同時に行われた際の、前記第1情報取得部によって取得された第3の前記計測値のピーク値が計測された時刻と、前記第2情報取得部によって取得された第4の前記計測値のピーク値が計測された時刻とを記憶する記憶部を備え、前記演算部が、前記第3の計測値の前記ピーク値が計測された時刻と、前記第4の計測値の前記ピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、前記第2の計測値が計測された時刻を補正しても構わない。
高温に耐えるジルコニアNOxセンサは、計測対象ガスの流路に直挿して使用される。これに対し、高温に弱い定電位電解式センサは、空冷のため、空冷のため流路からサンプリングラインを通して計測対象ガスをセンサまで導いて、計測が実行される。このような場合には、定電位電解式センサによる検知に、サンプリングラインの長さに対応する遅延が生じる。また、ジルコニアNOxセンサと定電位電解式センサの応答性の違いによっても、遅延が生じる。
第3の計測値のピーク値が計測された時刻と、第4の計測値のピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、第2の計測値が計測された時刻を補正する。これにより、ジルコニアNOxセンサを用いて取得された計測値と、定電位電解式センサを用いて取得された計測値との相関性を向上させることができる。
(3)上記(1)または(2)の計測方法において、前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサが、車両に備えられる内燃機関から排出される排気ガスが流れる排気通路に接続されており、前記排気通路が、加温により活性化し、窒素酸化物を還元する触媒を備えており、前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサが、前記排気通路において前記触媒よりも下流側に接続されており、前記補正用ガスが、前記車両のコールドスタート後、前記触媒の活性化前に、前記排気通路において前記触媒の下流側を通過する前記排気ガスであり、前記計測対象ガスが、前記触媒の活性化後、前記車両の運転中に前記排気通路において前記触媒の下流側を通過する前記排気ガスであっても構わない。
車両のコールドスタート直後には、触媒が冷えており、活性化されていないため、内燃機関から排出される排気ガスは、窒素酸化物をそのまま含む。このコールドスタート直後の排気ガスを補正用ガスとして利用することで、車両に備えられるセンサについて、容易に補正が行える。
(4)上記(1)または(2)の計測装置において、センサが、車両に備えられる内燃機関から排出される排気ガスが流れる排気通路に接続されており、前記排気通路が、加温により活性化し、窒素酸化物を還元する触媒を備えており、前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサが、前記排気通路において前記触媒よりも下流側に接続されていても構わない。
このような構成によれば、車両の内燃機関から排出される排気ガス中の窒素酸化物濃度を容易に計測できる。
[実施形態の詳細]
本明細書によって開示される技術の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施形態のアンモニアの計測装置1(以下、「計測装置1」と略記する)は、車両のエンジン(内燃機関)70から排出される排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測するために用いられる。図1に示すように、エンジン70の下流側には、燃料の燃焼により生じた排気ガスが流通する排気管71が接続されている。排気管71の途中には、三元触媒を備える排気ガス浄化装置72が設けられている。三元触媒は、排気ガス中の有害物質(例えば、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等)を無害化する。
[計測装置1の全体構成]
図1に示すように、計測装置1は、1台のメインユニット10と、メインユニット10に収容される複数の計測モジュール20と、複数の計測モジュール20のうち1つに接続されるジルコニアNOxセンサ30と、複数の計測モジュール20のうち他の1つに接続され、定電位電解式センサ50を備える計測ユニット40と、計測ユニット40を車両の排気管71に接続する2本のサンプリングパイプ60と、を備える。ジルコニアNOxセンサ30は、ガス中の窒素酸化物を計測するためのセンサであるが、アンモニアにも反応する。定電位電解式センサ50は、ガス中の窒素酸化物を計測するためのセンサである。
<メインユニット10>
図2に示すように、メインユニット10は、直方体の箱形状に形成された筐体11を備えている。筐体11の内部に、メインユニット10の構成要素と複数の計測モジュール20とが収容される。筐体11は、一面に開口部12を有して内部に計測モジュール20を収容する複数のスロット13と、スイッチパネル14と、を備える。スロット13の内部には、計測モジュール20との接続のためのモジュール接続コネクタ(図示せず)が配置されている。モジュール接続コネクタとは、各スロット13に対応して設けられている。各スロット13の内部には、計測モジュール20がスロット13に収容される際に計測モジュール20を案内するスロット案内溝(図示せず)が配置されている。
スイッチパネル14は、複数のスイッチ15と、表示部16とを備える。複数のスイッチ15は、メインユニット10の動作を指示するために使用者が操作する操作用スイッチである。表示部16は、メインユニット10の動作状況などを表示する表示領域を備える。また、表示部16は、使用者のタッチ入力操作を受け付けるタッチパネル機能も有している。
<計測モジュール20>
複数の計測モジュール20のうち1つは、ジルコニアNOxセンサ30に接続される第1計測モジュール20Aである。他の1つは、定電位電解式センサ50を備える計測ユニット40に接続される第2計測モジュール20Bである。なお、以下の説明では、各計測モジュールを区別する場合には、計測モジュールの符号に添え字A、Bを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
第1計測モジュール20Aは、図2および図3に示すように、モジュールケース21と、取付板22と、案内レール23と、ユニット接続コネクタ24と、センサ接続コネクタ25と、を備える。
モジュールケース21は、図3に示すように、直方体の箱形状に形成されている。モジュールケース21の内部に、第1計測モジュール20Aの構成要素が収容される。
取付板22は、図3に示すように、モジュールケース21の一面に配され、矩形状の開口部12の高さとほぼ同じ高さを有するとともに、モジュールケース21の幅とほぼ同じ幅を有する矩形状に形成された板状の部材である。
案内レール23は、図3に示すように、第1計測モジュール20Aがスロット13に収容される際にスロット案内溝に嵌合する突部であって、モジュールケース21の上面と下面とに配されている。
ユニット接続コネクタ24は、図3に示すように、モジュール接続コネクタに接続されるコネクタであり、モジュールケース21の背面に配されている。
センサ接続コネクタ25は、図2に示すように、ジルコニアNOxセンサ30を第1計測モジュール20Aに接続するためのコネクタであり、取付板22に配されている。
第2計測モジュール20Bの構成は第1計測モジュール20Aと同様であるので、説明を省略する。
メインユニット10には、酸素センサ、COセンサ、微粒子センサなどの他のセンサに接続される他の計測モジュール20が収容されていてもよい。
<ジルコニアNOxセンサ30>
図3に示すように、ジルコニアNOxセンサ30は、検出部31と、コネクタ32と、信号ケーブル33と、を備える。
検出部31は、内燃機関の排気管71に直接挿入され、第1計測モジュール20Aを介して、排気ガス中の窒素酸化物濃度に対応する検出値を検知するように駆動される。検出部31は、図1に示すように、排気管71において、排気ガス浄化装置72の下流側に挿入される。
コネクタ32は、第1計測モジュール20Aのセンサ接続コネクタ25と着脱可能に嵌まり合う構造を有している。信号ケーブル33は、検出部31とコネクタ32とを電気的に接続する信号線である。
ジルコニアNOxセンサ30のコネクタ32と第1計測モジュール20Aのセンサ接続コネクタ25とを嵌め合わせることにより、ジルコニアNOxセンサ30から出力される信号が第1計測モジュール20Aへ入力可能となる。
検出部31は、図示しないハウジングと、ハウジングの内部に配されたセンサ素子310と、を備えている。
センサ素子310は、細長い長方形の板状であって、図4に示すように、第1ポンプセル311と、基準セル312と、第2ポンプセル313(検知セルの一例)と、第1測定室314と、基準酸素室315と、第2測定室316と、ヒータ317とを有する。
センサ素子310は、第1絶縁層321、第1固体電解質体322、第2絶縁層323、第2固体電解質体324、第3絶縁層325、第3固体電解質体326、第4絶縁層327、第5絶縁層328がこの順に積層された構造を有している。
第1測定室314は、第1固体電解質体322と第2固体電解質体324との間に設けられ、第1拡散抵抗部344と第2拡散抵抗部345とで区画された小空間である。
第2測定室316は、第1固体電解質体322と第3固体電解質体326との間に設けられた小空間であって、第2絶縁層323と、第2固体電解質体324と、第3絶縁層325とを貫通している。第1測定室314と第2測定室316とは、第2拡散抵抗部345によって隔てられている。
基準酸素室315は、第2固体電解質体324と第3固体電解質体326との間に設けられた小空間であって、第3絶縁層325を貫通している。基準酸素室315では、酸素濃度が所定の濃度に維持される。
第1ポンプセル311は、第1固体電解質体322と、第1電極331と、第2電極332と、を備える。第1電極331と第2電極332とは、第1固体電解質体322を挟んで配置されている。第1電極331は、第1測定室314内に配置されている。第1電極331の表面は、ガスの通過が可能な第1多孔質層341で覆われている。第2電極332は、第1絶縁層321に設けられた開口内に配置されている。この開口は、センサ素子310を構成する積層体の外部と連通しており、開口内には、ガスが通過可能な多孔質体343が充填されている。
基準セル312は、第2固体電解質体324と、第3電極333と、第4電極334と、を備える。第3電極333と第4電極334とは、第2固体電解質体324を挟んで配置されている。第3電極333は、第1測定室314内に配置されている。第4電極334は、基準酸素室315内に配置されている。
第2ポンプセル313は、第3固体電解質体326(固体電解質体の一例)と、第5電極335(電極の一例)と、第6電極336(電極の一例)と、を備える。第5電極335と第6電極336とは、第3固体電解質体326の一方の表面に形成されている。第5電極335は、第2測定室316内に配置されている。第6電極336は、基準酸素室315内に配置されている。第6電極336は、ガスの通過が可能な第2多孔質層342によって覆われている。第5電極335と第6電極336とは、第3絶縁層325により隔てられている。
第4絶縁層327と第5絶縁層328との間には、抵抗発熱体346が埋設されている。絶縁層327、328と、抵抗発熱体346とは、ヒータ317を構成する。
固体電解質体322、324、326は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主成分とする。絶縁層321、323、325、327、328、多孔質層341、342、多孔質体343、および、拡散抵抗部344、345は、アルミナを主成分とする。電極331、332、333、334、335、336は、白金を主成分とする。主成分とは、含有量が50質量%以上であることを意味する。
<計測ユニット40>
計測ユニット40は、図5に示すように、ユニットケース41と、内部配管42と、フィルタ43と、ガスチャンバ44と、ポンプ45と、ユニット制御回路46と、定電位電解式センサ50と、を備える。
内部配管42は、ユニットケース41の内部に配設されている。内部配管42の一端および他端は、それぞれ、サンプリングパイプ60を介して排気管71に接続されている。内部配管42の途中には、上流側から順にフィルタ43、ガスチャンバ44、およびポンプ45が設置されている。排気管71の内部を流れる排気ガスの一部は、ポンプ45により吸引されて、フィルタ43およびガスチャンバ44の内部を通過し、再びサンプリングパイプ60を介して排気管71内に戻される。フィルタ43は、排気ガス中に含まれるゴミおよび凝縮水をトラップする。
ガスチャンバ44の内部には、定電位電解式センサ50が配置されている。定電位電解式センサ50は、図6に示すように、容器51と、電解液52と、ガス透過膜53と、対極54と、参照電極55と、作用電極56とを備える。
容器51は、例えば合成樹脂製であって、両端部にそれぞれ開口部を有する筒状である。容器51の内部は、電解液52で満たされている。ガス透過膜53は、樹脂製の多孔質膜であって、容器51の両端に、それぞれ開口部を塞ぐように配置されている。対極54と参照電極55とは、容器51の一端に配置されたガス透過膜53に固着され、電解液52に接している。作用電極56は、容器51の他端に配置されたガス透過膜53に固着され、電解液52に接している。対極54、参照電極55、作用電極56は、例えば白金製である。参照電極55と作用電極56との間はポテンショスタット回路によって一定の電位に保たれている。定電位電解式センサ50に導入されたガスは、ガス透過膜53を透過して、作用電極56に到達し、作用電極56上で直接電気分解される。このとき流れる電流は窒素酸化物濃度に比例するため、作用電極56と対極54との間に流れる電流を測定し、得られた電流値に基づいて窒素酸化物濃度を算出することができる。
計測ユニット40は、ジルコニアNOxセンサ30と同様に、コネクタと信号ケーブルとを介して第2計測モジュール20Bに接続される。
<サンプリングパイプ60>
2本のサンプリングパイプ60のうち一方は、図6に示すように、一端が内部配管42の一端に接続され、他端が排気管71に接続されている。2本のサンプリングパイプ60のうち他方は、一端が内部配管42の他端に接続され、他端が排気管71に接続されている。2本のサンプリングパイプ60は、図1に示すように、排気管71において、排気ガス浄化装置72の下流側に接続される。これらのサンプリングパイプ60と内部配管42とが、排気ガスを排気管71から定電位電解式センサ50まで導くサンプリングラインを構成する。
[計測装置1の電気的構成]
次に、計測装置1の電気的構成について説明する。
<メインユニット10>
図7に示すように、メインユニット10は、電力供給部111、データ入出力部113、CAN(Controller Area Network)インターフェース回路(以下、CANI/F回路という)115、内部メモリ117(記憶部の一例)、操作制御回路119、メインCPU(Central Processing Unit)121などを備える。
電力供給部111は、電源コネクタ123、ヒューズ125、電源回路127、レギュレータ129などを備える。
電源コネクタ123は、バッテリVBからバッテリ電圧を入力するために、バッテリVBと接続されるコネクタである。
電源回路127は、ヒューズ125を介してバッテリVBからバッテリ電圧を入力し、このバッテリ電圧から、12Vの電圧を生成する。そして、電源回路127は、生成した12V電圧を、モジュール接続コネクタの12V端子132から出力する。
レギュレータ129は、電源回路127から12V電圧を受電し、5Vの電圧を生成する。レギュレータ129は、生成した5V電圧を、データ入出力部113、CANI/F回路115、内部メモリ117、操作制御回路119、メインCPU121、スイッチパネル14などへ出力する。
データ入出力部113は、USB(Universal Serial Bus)メモリモジュール141、CANインターフェース回路(以下、CANI/F回路という)142、USBインターフェースモジュール(以下、USBI/Fモジュールという)143、OBD(On Board Diagnosis)IIインターフェースモジュール(以下、OBDIII/Fモジュールという)144、GPS(Global Positioning System)インターフェースモジュール(以下、GPSI/Fモジュールという)145、Bluetooth(登録商標)インターフェースモジュール(以下、BTI/Fモジュールという)146などを備える。
USBメモリモジュール141は、USB規格に準拠した方式で、USBメモリ用コネクタ151を介して接続されたUSBメモリとの間でデータの送受信を行う。
CANI/F回路142は、CAN通信プロトコルに従って、CAN通信用コネクタ152を介して接続された装置(例えば、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)161との間でデータの送受信を行う。なお、PC161は、接続されていなくてよい。
USBI/Fモジュール143は、USB規格に準拠した方式で、USB用コネクタ153を介して接続された装置との間でデータの送受信を行う。
OBDIII/Fモジュール144は、OBDII規格に準拠した方式で、OBDII用コネクタ154を介して接続された装置(例えば、車載ECU(Electronic Control Unit)163)との間でデータの送受信を行う。車載ECU163は、車両各部に備えられた各種センサから車両の各種情報(以下、車両情報という)を受信し、受信した車両情報を記憶している。車両情報は、例えば、車両の走行距離、車両の移動速度(車両速度)、吸入空気量、燃料噴射量、冷却水温度などである。本開示のOBDIII/Fモジュール144は、車載ECU163から吸入空気量、車両の移動速度を取得する。
GPSI/Fモジュール145は、GPS衛星からの衛星信号を受信するGPS受信機(不図示)を、GPS用コネクタ155を介してメインユニット10に接続するためのインターフェースである。
BTI/Fモジュール146は、Bluetooth規格に準拠した方式で、近距離無線通信を行う。
また、CANI/F回路115は、CAN通信プロトコルに従って、モジュール接続コネクタのCAN端子134に接続された計測モジュール20との間でデータの送受信を行う。
内部メモリ117は、各種データを記憶するための記憶装置である。
操作制御回路119は、使用者が行った入力操作を特定するための入力操作情報をメインCPU121へ出力する。使用者は、スイッチパネル14のスイッチ15または表示部16のタッチパネル部分を用いて入力操作を行うことができる。例えば、表示部16の検出結果表示領域(不図示)に表示する情報を切り替えるために、使用者がスイッチ15または表示部16のタッチパネル部分を操作した場合には、操作制御回路119は、表示切替に関する入力操作情報(表示切替指令)をメインCPU121へ出力する。
また、操作制御回路119は、メインCPU121からの指示に基づいて、スイッチパネル14の表示部16における表示動作を制御する。例えば、操作制御回路119は、表示部16の検出結果表示領域に表示する情報をメインCPU121から取得すると、その情報を表示するように表示部16の検出結果表示領域の表示動作を制御する。
メインCPU121は、データ入出力部113、CANI/F回路115、内部メモリ117、操作制御回路119からの入力に基づいて各種処理を実行し、データ入出力部113、CANI/F回路115、内部メモリ117、操作制御回路119を制御する。
例えばメインCPU121は、CANI/F回路115を介して計測モジュール20から受信した計測データを、内部メモリ117に記憶する。また、メインCPU121は、計測モジュール20から受信した計測データを、CANI/F回路142等に接続されたPC161へ出力する。さらに、メインCPU121は、計測モジュール20から受信した計測データを、スイッチパネル14の表示部16に表示する。
一方、計測モジュール20は、CANインターフェース回路(以下、CANI/F回路という)202と、モジュールCPU201と、を備える。CANI/F回路202は、CAN通信プロトコルに従って、メインユニット10との間でデータの送受信を行う。モジュールCPU201は、CANI/F回路202からの入力に基づいて各種処理を実行し、CANI/F回路202を制御する。
VB端子131は、バッテリVBからのバッテリ電圧を計測モジュール20へ供給するための端子である。12V端子132は、電源回路127からの12V電圧を計測モジュール20へ供給するための端子である。CAN端子134は、メインユニット10と計測モジュール20との間でCAN通信を行うための端子であり、詳細には、一対の端子(CAN/H端子、CAN/L端子)を備えて構成される。
なお、図5では、1つの計測モジュール20のみを例示しており、他の計測モジュール20については図示を省略している。
メインCPU121は、演算部171と、第1情報取得部172と、第2情報取得部173と、時刻取得部174とを備える。第1情報取得部172は、ジルコニアNOxセンサ30によって検知された検出値に対応する計測値を取得する。第2情報取得部173は、定電位電解式センサ50によって検知された検出値に対応する計測値を取得する。時刻取得部174は、ジルコニアNOxセンサ30を用いて計測された計測値と同期して出力される時刻を取得する。内部メモリ117は、第1情報取得部172と第2情報取得部173とによって取得された計測値を、時刻取得部174によって取得された時刻と関連付けられたログデータとして記憶する。
第1情報取得部172は、計測対象となる計測対象ガスについて計測が行われた際に、ジルコニアNOxセンサ30によって検知された検出値に対応する第1の計測値と、窒素酸化物を含む補正用ガスについて計測が行われた際に、ジルコニアNOxセンサ30によって検知された検出値に対応する第3の計測値と、を取得する。第2情報取得部173は、計測対象となる計測対象ガスについて計測が行われた際に、定電位電解式センサ50によって検知された検出値に対応する第2の計測値と、窒素酸化物を含む補正用ガスについて計測が行われた際に、定電位電解式センサ50によって検知された検出値に対応する第4の計測値と、を取得する。演算部171は、同時刻に計測された第1の計測値と第2の計測値との差分に基づいて計測対象ガス中のアンモニア濃度を算出する。また、演算部171は、第3の計測値のピーク値が計測された時刻と、第4の計測値のピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、第2の計測値が計測された時刻を補正する。第1情報取得部172と、第2情報取得部173と、演算部171と、内部メモリ117とが、制御部181を構成する。
<第1計測モジュール20A>
第1計測モジュール20Aは、メインCPU121の制御を受けて、ジルコニアNOxセンサ30を制御するための制御装置である。第1計測モジュール20Aは、図4に示すように、第1モジュールCPU201Aと、電気回路部211とを備えている。電気回路部211は、第1モジュールCPU201Aによる制御を受けてジルコニアNOxセンサ30を駆動させる。
電気回路部211は、基準電圧比較回路212、Ip1ドライブ回路213、Vs検出回路214、Icp供給回路215、抵抗検出回路216、Ip2検出回路217、Vp2印加回路218、およびヒータ駆動回路219から構成される。
ヒータ駆動回路219は抵抗発熱体346に駆動電流を流す。抵抗発熱体346は昇温し、固体電解質体322、324、326を加熱し、活性化する。これにより、第1ポンプセル311、基準セル312、および第2ポンプセル313が動作するようになる。
排気ガスは、第1拡散抵抗部344による流通量の制限を受けつつ第1測定室314内に導入される。ここで、Icp供給回路215は、基準セル312において、第4電極334から第3電極333へ微弱な電流Icpを流す。このため、排気ガス中の酸素は、負極側となる第1測定室314内の第3電極333から電子を受け取ることができ、酸素イオンとなって第2固体電解質体324内を流れ、基準酸素室315内に移動する。つまり、第3電極333と第4電極334との間で電流Icpが流されることによって、第1測定室314内の酸素が基準酸素室315内に送り込まれる。
Vs検出回路214は、第3電極333と第4電極334との間の電圧Vsを検出する。電圧Vsは、第1測定室314内と基準酸素室315内との酸素濃度差に応じた電圧である。Vs検出回路214は、検出した電圧Vsを、基準電圧比較回路212を用いて基準電圧(425mV)と比較し、比較結果をIp1ドライブ回路213に対し出力する。ここで、電圧Vsが425mV付近で一定となるように、第1測定室314内の酸素濃度を調整すれば、第1測定室314内の排気ガス中の酸素濃度は所定値(例えば10-8~10-9atm)に近づくこととなる。
Ip1ドライブ回路213は、第1測定室314内に導入された排気ガスの酸素濃度が所定値より薄い場合、第2電極332側が負極となるように第1ポンプセル311に電流Ip1を流し、センサ素子310の外部から第1測定室314内へ酸素の汲み入れを行う。一方、第1測定室314内に導入された排気ガスの酸素濃度が所定値より濃い場合、Ip1ドライブ回路213は、第1電極331側が負極となるように第1ポンプセル311に電流Ip1を流し、第1測定室314内からセンサ素子310の外部へ酸素の汲み出しを行う。
第1測定室314において酸素濃度が調整された排気ガスは、第2拡散抵抗部345を介し、第2測定室316内に導入される。第2測定室316内で第5電極335と接触した排気ガス中の窒素酸化物は、Vp2印加回路218により第6電極336と第5電極335との間に電圧Vp2を印加することで、第5電極335上でN2とO2とに分解される。分解された酸素は、酸素イオンとなって第3固体電解質体326内を流れ、基準酸素室315内に移動する。このため、第2ポンプセル313を流れる電流Ip2(検出値の一例)は、窒素酸化物濃度に応じた値を示す。
第1モジュールCPU201Aは、Ip2検出回路217により検知された電流Ip2に基づき、排気ガス中の窒素酸化物濃度(計測値の一例)を算出する。例えば、窒素酸化物濃度と電流Ip2との関係を予め求めて、予めマップ等を作製しておき、測定された電流Ip2をこのマップに参照して、窒素酸化物濃度を求める。つまり、本実施形態において、ジルコニアNOxセンサ30によって検知された検出値(電流Ip2)に対応する第1の計測値、および第3の計測値は、窒素酸化物濃度である。第1モジュールCPU201Aは、算出された窒素酸化物濃度をメインCPU121に出力する。
<第2計測モジュール20B>
第2計測モジュール20Bは、メインCPU121の制御を受けて、計測ユニット40に備えられる定電位電解式センサ50を制御するための制御装置である。計測ユニット40は、図5に示すように、第2モジュールCPU201Bを備えている。
<計測ユニット40>
計測ユニット40は、図5に示すように、ユニット制御回路46を備えている。ユニット制御回路46は、第2モジュールCPU201Bによる制御を受けて定電位電解式センサ50を駆動する。定電位電解式センサ50によって検知された検出値は、ユニット制御回路46を介して第2モジュールCPU201Bに送られる。第2モジュールCPU201Bは、この検出値に基づいて窒素酸化物濃度を算出する。つまり、本実施形態において、定電位電解式センサ50によって検知された検出値に対応する第2の計測値は、窒素酸化物濃度である。第2モジュールCPU201Bは、算出された窒素酸化物濃度を、メインCPU121に出力する。
[計測装置1の動作態様]
上記の計測装置1によって、車両の排気ガス中の窒素酸化物濃度を計測する処理について、図8を参照しつつ説明する。なお、以下の処理は、エンジン70が長時間停止され、外気温と同じかそれよりも冷えている状態から始動させる、いわゆるコールドスタートの際に行われる。
第1モジュールCPU201Aは、電気回路部211を制御して、抵抗発熱体346に駆動電流を流す。抵抗発熱体346は昇温し、固体電解質体322、324、326を加熱し、活性化させる。これにより、第1ポンプセル311、基準セル312、および第2ポンプセル313が動作するようになる。
第1モジュールCPU201Aは、センサ素子310が活性化したか否かを判断する(ステップS10)。具体的には、第1モジュールCPU201Aは、基準セル312の内部抵抗が、閾値に達している否かに基づき、センサ素子310が活性化されたか否かを判断する。センサ素子310が活性化していないと判断した場合、第1モジュールCPU201Aは、センサ素子310が活性化するまで待機する。センサ素子310が活性化したと判断した場合、第1モジュールCPU201Aは、センサ素子310が活性化したとの判定情報をメインCPU121に出力する。
センサ素子310が活性化されたことが確認されたら、メインCPU121は、計測値のログデータの取得を開始する(ステップS20)。具体的には、メインCPU121は、第1モジュールCPU201Aを介してジルコニアNOxセンサ30を駆動し、窒素酸化物濃度(計測値)を取得する。同時に、第2モジュールCPU201Bを介して定電位電解式センサ50を駆動し、窒素酸化物濃度(計測値)を取得する。時刻取得部174は、ジルコニアNOxセンサ30を用いて取得された計測値と同期して出力される時刻を取得する。メインCPU121の第1情報取得部172は、ジルコニアNOxセンサ30を用いて取得された計測値を、その計測値が取得された時刻と関連付けて、ログデータとして内部メモリ117に記憶させる。第2情報取得部173は、定電位電解式センサ50を用いて取得された計測値を、その計測値が取得された時刻と関連付けて、ログデータとして内部メモリに記憶させる。
センサ素子310が活性化されたことが確認されたら、車両の運転者は、車両のエンジン70を始動させる(ステップS30)。
次に、運転者は、スイッチ15または表示部16のタッチパネル機能を用いて、校正開始を入力する(ステップS40)。校正開始を入力後、一定時間が経過したら、車両の運転者は、スイッチ15または表示部16のタッチパネル機能を用いて、校正終了を入力する(ステップS50)。
校正開始から校正終了までの間、第1情報取得部172は、ジルコニアNOxセンサ30を用いて計測された窒素酸化物濃度(第3の計測値)を連続的に取得する。第2情報取得部173は、定電位電解式センサ50を用いて計測された窒素酸化物濃度(第4の計測値)を連続的に取得する。第1情報取得部172は、第3の計測値を、その計測値が計測された時刻と関連付けて、ログデータとして内部メモリ117に記憶させる。第2情報取得部173は、第4の計測値を、その計測値が検知された時刻と関連付けて、ログデータとして内部メモリに記憶させる。
エンジン70の始動直後、三元触媒が排気ガスの熱によって加熱され、活性化する前の状態では、排気ガスに含まれる窒素酸化物は三元触媒によって分解されない。このため、排気管71において排気ガス浄化装置72の下流側を流れる排気ガスには、未浄化の窒素酸化物が含まれる。したがって、エンジン70のコールドスタート後、三元触媒の活性化前に、排気管71において三元触媒の下流側を通過する排気ガスを、窒素酸化物を含む補正用ガスとして利用することができる。
校正終了が入力された後、メインCPU121は、内部メモリ117に記憶されたログデータを解析し、第3の計測値のピーク値と、そのピーク値が検知された時刻とを内部メモリ117に記憶させる。また、メインCPU121は、第4の計測値のピーク値と、そのピーク値が検知された時刻とを内部メモリに記憶させる(ステップS60:補正用濃度取得工程、補正用時刻取得工程)。
次に、車両の運転者は、スイッチ15または表示部16のタッチパネル機能を用いて、試験開始を入力する(ステップS70)。試験開始の入力後、運転者は、車両の運転を開始してよい。
エンジン70の始動から時間が経過すると、三元触媒が排気ガスの熱によって加熱され、活性化する。活性化された三元触媒によって、排気ガスに含まれる窒素酸化物が分解される。排気管71において三元触媒の下流側を通過する排気ガス中には窒素酸化物がほとんど含まれなくなり、三元触媒による浄化の副産物であるアンモニアが含まれるようになる。三元触媒の活性化後に、排気管71において排気ガス浄化装置72の下流側を流れる排気ガスが、計測対象ガスである。
車両の使用が終了したら、運転者は、車両のエンジン70を切り、スイッチ15または表示部16のタッチパネル機能を用いて、試験終了を入力する(ステップS80)。
試験開始から試験終了までの間、第1情報取得部172は、ジルコニアNOxセンサ30を用いて計測された窒素酸化物濃度(第1の計測値)を連続的に取得する。第2情報取得部173は、定電位電解式センサ50を用いて計測された窒素酸化物濃度(第2の計測値)を連続的に取得する。第1情報取得部172は、第1の計測値を、その計測値が計測された時刻と関連付けて、ログデータとして内部メモリ117に記憶させる。第2情報取得部173は、第2の計測値を、その計測値が検知された時刻と関連付けて、ログデータとして内部メモリ117に記憶させる。
試験終了が入力されたら、第1情報取得部172および第2情報取得部173は、ログデータの取得を終了する(ステップS90)。
試験終了が入力された後、メインCPU121は、内部メモリ117に記憶されたログデータを解析し、第3の計測値のピーク値が検知された時刻と、第4の計測値のピーク値が検知された時刻との差分に基づいて、第2の計測値が検知された時刻を補正する(ステップS100:時刻補正工程)。
高温に耐えるジルコニアNOxセンサ30は、排気ガスの流路に直挿して使用される。これに対し、高温に弱い定電位電解式センサ50は、空冷のため、排気ガスを排気管71からサンプリングラインを通して定電位電解式センサ50まで導いて、計測が実行される。このような場合には、定電位電解式センサ50による検知に、サンプリングラインの長さに対応する遅延が生じる。また、ジルコニアNOxセンサ30と定電位電解式センサ50の応答性の違いによっても、遅延が生じる。
メインCPU121は、第3の計測値のピーク値が計測された時刻と、第4の計測値のピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、第2の計測値が計測された時刻を補正する。具体的には、メインCPU121は、第3の計測値のピーク値が計測された時刻と、第4の計測値のピーク値が計測された時刻との差分だけ、第2の計測値が計測された時刻を早めるように補正する。これにより、ジルコニアNOxセンサ30を用いて計測された計測値と、定電位電解式センサ50を用いて計測された計測値との相関性を向上させることができる。
次に、メインCPU121は、内部メモリ117に記憶されたログデータを解析し、第1の計測値と第2の計測値との差分をアンモニア濃度として算出する(ステップS110:算出工程)。
ジルコニアNOxセンサ30は窒素酸化物測定用のセンサであるが、アンモニアにも同程度の感度を有している。計測対象ガスに窒素酸化物とアンモニアとが含まれる場合には、計測値は窒素酸化物濃度とアンモニア濃度との合計値となる。一方、定電位電解式センサ50は窒素酸化物のみを計測し、アンモニアの影響を受けない。
測定対象となる測定対象ガスについて、ジルコニアNOxセンサ30および定電位電解式センサ50によって同時に計測を行い、同時刻に計測された両者による計測値の差分を算出することで、アンモニア濃度を簡易に計測することができる。
いったん運転を終了後、短時間エンジン70を停止していた車両を、エンジン70が冷え切っていない状態から始動させる、いわゆるホットスタート時には、三元触媒が既に活性化された状態であるため、補正用データ取得工程を行うことができない。つまり、上記のS40からS60までの工程は行われない。時刻補正工程は、直近のコールドスタート時に取得した補正用のデータ(第3の計測値のピーク値が計測された時刻、および、第4の計測値のピーク値が計測された時刻)を利用して行われる。
例えば、その日の最初の運転時に、上記のステップS40からステップS60までの工程を行って補正用のデータを取得する。そして、当日の2回目以降の運転時には、上記のステップS40からステップS60までの工程を行わず、最初の運転の際に取得した補正用のデータを利用して時刻補正工程を行えばよい。
[作用効果]
上記実施形態によれば、以下の作用効果が奏される。
(1)ジルコニアNOxセンサ30は窒素酸化物測定用のセンサであるが、アンモニアにも同程度の感度を有している。計測対象ガスに窒素酸化物とアンモニアとが含まれる場合には、計測値は窒素酸化物濃度とアンモニア濃度との合計値となる。一方、定電位電解式センサ50は窒素酸化物のみを計測し、アンモニアの影響を受けない。
測定対象となる測定対象ガスについて、ジルコニアNOxセンサ30および定電位電解式センサ50によって同時に測定を行い、同時刻に計測された両者による計測値の差分を算出することで、アンモニア濃度を簡易に計測することができる。
(2)高温に耐えるジルコニアNOxセンサ30は、排気管71に直挿して使用される。これに対し、高温に弱い定電位電解式センサ50は、空冷のため、排気管71からサンプリングラインを通して排気ガスを定電位電解式センサ50まで導いて、計測が実行される。このような場合には、定電位電解式センサ50による検知に、サンプリングラインの長さに対応する遅延が生じる。また、ジルコニアNOxセンサ30と定電位電解式センサ50の応答性の違いによっても、遅延が生じる。
第3の計測値のピーク値が計測された時刻と、第4の計測値のピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、第2の計測値が計測された時刻を補正する。これにより、ジルコニアNOxセンサ30を用いて取得された計測値と、定電位電解式センサ50を用いて取得された計測値との相関性を向上させることができる。
(3)車両のコールドスタート直後には、触媒が冷えており、活性化されていないため、エンジン70から排出される排気ガスは、窒素酸化物をそのまま含む。このコールドスタート直後の排気ガスを補正用ガスとして利用する。これにより、車両に備えられる定電位電解式センサ50について、容易に補正が行える。
(4)車両のエンジン70から排出される排気ガス中の窒素酸化物濃度を容易に計測できる。
[試験例]
上記の構成を有する計測装置が搭載された車両を準備した。この車両を運転して、計測装置により窒素酸化物濃度に対応するデータを取得し、時刻補正工程および算出工程を行った。
時刻補正工程を行う前の計測チャート(図9)では、定電位電解式センを用いて取得された計測値のピークが、ジルコニアNOxセンサを用いて取得された計測値のピークよりも遅れて記録された。これに対し、時刻補正工程を行った後の計測チャート(図10)では、2つのセンサにより計測された計測値のピークがよく一致していた。
図10より、同時刻に計測された、定電位電解式センを用いて取得された計測値と、ジルコニアNOxセンサを用いて取得された計測値とを比較すると、ジルコニアNOxセンサを用いて取得された計測値の方が大きくなっている。両者の差分は、アンモニア濃度に相当する。よって、両者の差分を算出することにより、アンモニア濃度を容易に計測できる。
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、補正用ガスとして、車両のコールドスタート後、三元触媒の活性化前に、排気管71において三元触媒の下流側を通過する排気ガスを利用していたが、補正用ガスとして、例えば、窒素酸化物の濃度が既知であるモデルガスを使用しても構わない。
(2)上記実施形態では、時刻補正工程を行ったが、例えば、サンプリングラインが短く、定電位電解式センサによる計測に遅延があまり生じない場合には、時刻補正工程を行わなくても構わない。
(3)上記実施形態では、車両の排気ガスについて窒素酸化物濃度を計測したが、本明細書によって開示される窒素酸化物の計測方法、および、窒素酸化物の計測装置の適用対象は、車両の排気ガスでなくても構わない。計測対象は、例えば、大気であっても構わない。
(4)上記実施形態では、第1、第2、第3、第4の計測値は、窒素酸化物濃度であったが、これらの計測値は、例えば、センサにより検知され、ガス中の窒素酸化物濃度と相関性を有する電流値などであっても構わない。
1:アンモニアの計測装置
30:ジルコニアNOxセンサ
50:定電位電解式センサ
171:第1情報取得部
172:第2情報取得部
117:内部メモリ(記憶部)
171:演算部
181:制御部
317:ヒータ
326:第3固体電解質体(固体電解質体)
313:第2ポンプセル(検知セル)
335:第5電極(電極)
336:第6電極(電極)

Claims (6)

  1. 固体電解質体および当該固体電解質体の表面に設けられた一対の電極を備えて窒素酸化物の濃度に対応する検出値を検出する検知セルと、該検知セルを加熱するヒータとを有し、前記固体電解質体の主成分はジルコニアであるジルコニアNOxセンサと、定電位電解式センサと、によって、計測対象となる計測対象ガスを同時に計測し、
    前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する第1の計測値と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する第2の計測値とを、それらの計測値が計測された時刻と共に取得する計測用データ取得工程と、
    同時刻に計測された前記第1の計測値と前記第2の計測値との差分に基づいて前記計測対象ガス中のアンモニア濃度を算出する算出工程と、を含むアンモニアの計測方法。
  2. 窒素酸化物を含む補正用ガスを、前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサによって同時に計測し、前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する第3の計測値のピーク値と、前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する第4の計測値のピーク値とを、それらのピーク値が計測された時刻と共に取得する補正用データ取得工程と、
    前記第3の計測値のピーク値が計測された時刻と、前記第4の計測値のピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、前記第2の計測値が計測された時刻を補正する時刻補正工程と、をさらに含む、請求項1に記載のアンモニアの計測方法。
  3. 前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサが、車両に備えられる内燃機関から排出される排気ガスが流れる排気通路に接続されており、
    前記排気通路が、加温により活性化し、窒素酸化物を還元する触媒を備えており、
    前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサが、前記排気通路において前記触媒よりも下流側に接続されており、
    前記補正用ガスが、前記車両のコールドスタート後、前記触媒の活性化前に、前記排気通路において前記触媒の下流側を通過する前記排気ガスであり、
    前記計測対象ガスが、前記触媒の活性化後、前記車両の運転中に前記排気通路において前記触媒の下流側を通過する前記排気ガスである、請求項2に記載のアンモニアの計測方法。
  4. 固体電解質体および当該固体電解質体の表面に設けられた一対の電極を備えて窒素酸化物濃度に対応する検出値を検出する検知セルと、該検知セルを加熱するヒータとを有し、前記固体電解質体の主成分はジルコニアであるジルコニアNOxセンサと、
    定電位電解式センサと、
    前記ジルコニアNOxセンサと前記定電位電解式センサとを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部が、
    前記ジルコニアNOxセンサによって検知された検出値に対応する計測値を、その計測値が計測された時刻と共に取得する第1情報取得部と、
    前記定電位電解式センサによって検知された検出値に対応する計測値を、その計測値が計測された時刻と共に取得する第2情報取得部と、
    前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサによって計測対象となる計測対象ガスの計測が同時に行われた際の、同時刻に前記第1情報取得部によって取得された第1の前記計測値と、前記第2情報取得部によって取得された第2の前記計測値との差分を前記計測対象ガス中のアンモニア濃度として算出する演算部と、を備える、アンモニアの計測装置。
  5. 前記制御部が、窒素酸化物を含む補正用ガスについて前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサによって計測が同時に行われた際の、前記第1情報取得部によって取得された第3の前記計測値のピーク値が計測された時刻と、前記第2情報取得部によって取得された第4の前記計測値のピーク値が計測された時刻とを記憶する記憶部を備え、
    前記演算部が、前記第3の計測値の前記ピーク値が計測された時刻と、前記第4の計測値の前記ピーク値が計測された時刻との差分に基づいて、前記第2の計測値が計測された時刻を補正する、請求項4に記載のアンモニアの計測装置。
  6. 前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサが、車両に備えられる内燃機関から排出される排気ガスが流れる排気通路に接続されており、
    前記排気通路が、加温により活性化し、窒素酸化物を還元する触媒を備えており、
    前記ジルコニアNOxセンサおよび前記定電位電解式センサが、前記排気通路において前記触媒よりも下流側に接続されている、請求項4または請求項5に記載のアンモニアの計測装置。
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