JP2022067756A - 光ファイバケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】リップコードがシースの内側に向けて移動することを抑制した光ファイバケーブルを提供する。【解決手段】光ファイバケーブルは、複数の光ファイバを含むコアと、前記コアを収容するシースと、前記シースに少なくとも一部が埋設されたリップコードと、を備え、前記リップコードは、長手方向に沿って周方向の位置が変化するように蛇行するか、あるいは、前記シースから外側に突出しない範囲で長手方向に沿って径方向の位置が変化するように蛇行している。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバケーブルに関する。
特許文献1には、シースと、光ファイバおよび押さえ巻きを有するコアと、シースを引き裂くためのリップコードと、を備えた光ファイバケーブルが開示されている。
特開2020-79878号公報
光ファイバケーブルが曲げられると、リップコードにはシースの内側に向けて移動させる力が作用する場合がある。この力によりリップコードがシースの内側に移動すると、リップコードによってシースを引き裂く作業が難しくなる。
本発明はこのような事情を考慮してなされ、リップコードがシースの内側に向けて移動することを抑制した光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る光ファイバケーブルは、複数の光ファイバを含むコアと、前記コアを収容するシースと、前記シースに少なくとも一部が埋設されたリップコードと、を備え、前記リップコードは、長手方向に沿って周方向の位置が変化するように蛇行するか、あるいは、前記シースから外側に突出しない範囲で長手方向に沿って径方向の位置が変化するように蛇行している。
本発明の上記態様によれば、リップコードがシースの内側に向けて移動することを抑制した光ファイバケーブルを提供できる。
本実施形態に係る光ファイバケーブルの横断面図である。 図1のII-II断面矢視図である。 図1のIII方向矢視図である。 図2の変形例を示す図である。 光ファイバケーブルの曲げ直径とリップコードの伸び歪の関係を示す図である。 中立線とリップコードとの間の距離の平均値と伸び歪の関係を示す図である。
以下、本実施形態の光ファイバケーブルについて図面に基づいて説明する。
図1に示すように、光ファイバケーブル1は、コア20と、シース2と、一対のリップコード3と、一対の抗張力体4と、を備えている。
(方向定義)
本実施形態では、コア20の中心軸線Oに沿う方向を長手方向という。長手方向に直交する横断面視において、中心軸線O回りに周回する方向を周方向といい、中心軸線Oに交差する方向を径方向という。横断面視において、一対の抗張力体4の各中心を結ぶ直線を、中立線Lという。中立線Lに対して垂直な方向(図1における上下方向)に光ファイバケーブル1を曲げると、その他の方向に光ファイバケーブル1を曲げた場合と比較して、抗張力体4の伸縮が小さくなる。従って、光ファイバケーブル1は、中立線Lに対して垂直な方向に曲げることが比較的容易である。
コア20は、複数の光ファイバ21と、複数の光ファイバ21を包む押さえ巻き22と、を有している。光ファイバ21としては、光ファイバ心線、光ファイバ素線、光ファイバテープ心線などを用いることができる。光ファイバテープ心線の一種として、複数の光ファイバ21は、いわゆる間欠固定テープ心線を構成していてもよい。間欠固定テープ心線では、複数の光ファイバ21は、その延在方向に対して直交する方向に引っ張ると、網目状(蜘蛛の巣状)に広がるように互いに接着されている。詳しくは、ある一つの光ファイバ21が、その両隣の光ファイバ21に対して長手方向で異なる位置においてそれぞれ接着されており、かつ、隣接する光ファイバ21同士は、長手方向で一定の間隔をあけて互いに接着されている。
なお、コア20に含まれる光ファイバ21の態様は間欠固定テープ心線に限られず、適宜変更してもよい。
押さえ巻き22としては、不織布やポリエステルテープなどを用いることができる。また、押さえ巻き22として、不織布やポリエステルテープなどに吸水性を付与した、吸水テープを用いてもよい。この場合、光ファイバケーブル1の防水性能を高めることができる。ただし、押さえ巻き22は無くてもよい。
押さえ巻き22は、閉じ部22aにおいて閉じられることで、筒状となっている。この筒状の押さえ巻き22の内側に、複数の光ファイバ21が位置している。本実施形態の閉じ部22aは、押さえ巻き22の周方向における両端部が重ねられた領域(重なり領域)である。押さえ巻き22のうち、閉じ部22aを除く領域を、非重なり領域22bという。なお、閉じ部22aにおいて、押さえ巻き22の両端部は、周方向で対向するように突き合わされていてもよい。つまり、押さえ巻き22は重なり領域を有さなくてもよい。
一対のリップコード3は、シース2に埋設されている。リップコード3は、シース2を引き裂いて、コア20を露出するために用いられる。リップコード3は、その全体がシース2に埋設されていてもよい。この場合、シース2からリップコード3が脱落しにくくなる。ただし、リップコード3を用いてシース2を引き裂いた後、シース2のうちリップコード3の径方向内側に位置する部分が残留する。あるいは、リップコード3が部分的にシース2から径方向内側に露出していてもよい。この場合、リップコード3を用いてシース2を引き裂いた後、少なくともリップコード3が径方向内側に露出していた部分では、シース2が残留しない。したがって、コア20を露出させる作業がより容易になる。
一対のリップコード3は、径方向においてコア20を間に挟むように配置されている。リップコード3同士が対向する方向と抗張力体4同士が対向する方向とは直交している。言い換えると、一対のリップコード3は、中心軸線Oを通って中立線Lに垂直な直線上に位置している。
シース2に埋設されるリップコードの数は、1または3以上であってもよい。リップコード3としては、繊維(例えばポリエステル繊維)で構成された糸を採用できる。また、リップコード3として、ポリプロピレン(PP)やナイロン製の円柱状ロッドなどを用いてもよい。
シース2は、コア20を収容している。シース2の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンプロピレン共重合体(EP)などのポリオレフィン(PO)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)などを用いることができる。また、上記の樹脂の混和物(アロイ、ミクスチャー)を用いてもよい。
シース2の外周面には、リップコード3の位置を示すための印部が設けられていてもよい。印部は、シース2の外周面から径方向外側に突出する突起であってもよいし、塗料によるマーキング等であってもよい。また、シース2には印部が無くてもよい。印部が無くても、例えば抗張力体4が配置されていることで生じる光ファイバケーブル1の曲げの方向性から、リップコード3の位置を把握することが可能である。
一対の抗張力体4は、シース2に埋設されている。一対の抗張力体4は、径方向においてコア20を間に挟むように配置されている。各抗張力体4は、長手方向に沿って直線状に延びている。シース2に埋設される抗張力体4の数は、1または3以上であってもよい。あるいは、光ファイバケーブル1は抗張力体4を備えていなくてもよい。抗張力体4の材質としては、例えば金属線(鋼線など)およびFRPなどを用いることができる。抗張力体4がFRPの場合、FRPに含まれる繊維としては、例えばアラミド繊維、ガラス繊維等を採用できる。
光ファイバケーブル1を曲げると、リップコード3には径方向内側に向けた力が作用する場合がある。特に、光ファイバケーブル1は中立線Lに垂直な方向に曲がりやすい。このため、図1のようにリップコード3同士が対向する方向と抗張力体8同士が対向する方向とが直交している場合、曲げの外側に位置するリップコード3は長手方向において引っ張られる。リップコード3に作用する伸び歪が、リップコード3の余長を上回ると、リップコード3には径方向内側に向けた力が作用する。このため、曲げの内側に向けて(すなわち、径方向内側に向けて)リップコード3が移動する場合がある。
特に近年では、光ファイバケーブルの多心化(光ファイバ21の数を増やすこと)が求められている。光ファイバ21の数を増やすことで中心軸線Oとリップコード3との間の距離が大きくなるほど、リップコード3の伸び歪も大きくなり、リップコード3の径方向内側に向けた移動が生じやすくなる。リップコード3が径方向内側に移動すると、使用者がリップコード3の位置を把握しにくくなり、シース2を引き裂く作業の効率が低下する。また、リップコード3が閉じ部22aから押さえ巻き22の内側に入り込んで光ファイバ21に傷がつく場合もある。
そこで本実施形態では、リップコード3が、径方向または周方向に蛇行している。「径方向の蛇行」とは、図2に示すように、リップコード3の径方向における位置が、長手方向に沿って変化するような蛇行である。「周方向の蛇行」とは、図3に示すように、リップコード3の周方向における位置が、長手方向に沿って変化するような蛇行である。図1の矢印M1は、リップコード3の「径方向の蛇行」を模式的に表している。図1の矢印M2は、リップコード3の「周方向の蛇行」を模式的に表している。リップコード3が径方向または周方向に蛇行していることで、リップコード3の余長率が高まる。リップコード3が、径方向に蛇行し、かつ周方向に蛇行してもよい。
本実施形態の光ファイバケーブル1の製造方法の一例として、コア20の周囲にシース2を押出成形する際に、リップコード3に加える張力を一定の時間周期で変動させてもよい。リップコード3の径方向における位置は、シース2の押出成形時にリップコード3に加えられる張力によって変動する。したがって、リップコード3に加える張力を時間周期的に変動させることで、リップコード3が径方向において蛇行する。張力と径方向におけるリップコード3の位置との関係を、予め実験的に求めておけば、リップコード3を径方向において所望の位置に配置することができる。
また、シース2の押出成形時に、リップコード3を挿通させる挿通孔を有する揺動板を用いてもよい。揺動板を時間周期的に揺動させることで、リップコード3の周方向における位置が変動する。したがって、リップコード3が周方向において蛇行する。周方向の蛇行角度θ(図1参照)については、揺動板の揺動角度によって設定することができる。周方向の蛇行ピッチPc(図3参照)については、シース2の押出成形の速度に対する揺動板の揺動速度の大きさによって設定することができる。周方向の蛇行ピッチPcとは、周方向の蛇行形状の長手方向における繰り返しの間隔である。
図2に示すように、リップコード3は、径方向内側に向けて凸である複数の湾曲部3a(第1湾曲部)と、径方向外側に向けて凸である複数の湾曲部3b(第2湾曲部)と、を有してもよい。湾曲部3a、3bは、長手方向において交互に繰り返される。湾曲部3a、3bの径方向における位置は、長手方向に沿って変化する。湾曲部3aが部分的にシース2から径方向内側に露出し、湾曲部3bの全体がシース2に埋設されてもよい。あるいは、湾曲部3a、3bの全体がシース2に埋設されてもよい。
あるいは図4に示すように、リップコード3は、複数の湾曲部3cおよび複数の直線部3dを有してもよい。湾曲部3cおよび直線部3dは、長手方向において交互に繰り返される。直線部3dの径方向における位置は、長手方向に沿って一定である。湾曲部3cの径方向における位置は、長手方向に沿って変化する。湾曲部3cは、図4のように径方向外側に凸であってもよい。この場合、湾曲部3cは直線部3dよりも径方向外側に位置する。あるいは、湾曲部3cは、径方向内側に凸であってもよい。この場合、湾曲部3cは直線部3dよりも径方向内側に位置する。直線部3dが部分的にシース2から径方向内側に露出し、湾曲部3cの全体がシース2に埋設されてもよい。あるいは、湾曲部3cが部分的にシース2から径方向内側に露出し、直線部3dの全体がシース2に埋設されてもよい。あるいは、湾曲部3cおよび直線部3dの全体がシース2に埋設されてもよい。
図2、図4に示すように、「径方向の蛇行」においては、リップコード3がシース2から径方向外側に突出しない範囲で、振幅Aを設定する。言い換えると、「径方向の蛇行」においては、リップコード3は、シース2から外側に突出しない範囲で長手方向に沿って径方向の位置が変化する。振幅Aは、シース2を押出成形する際に、リップコード3に加える張力の変動幅によって設定できる。また、径方向の蛇行の形状および蛇行ピッチPr(図2、図4参照)については、シース2の押出成形の速度に対する、リップコード3に加える張力の変動周期の大きさによって設定できる。径方向の蛇行ピッチPrとは、径方向の蛇行形状の長手方向における繰り返しの間隔である。例えば図2の形状では、1つの湾曲部3aおよび1つの湾曲部3bの長手方向における長さの和が蛇行ピッチPrである。図4の形状では、1つの湾曲部3cの長さPr1および1つの直線部3dの長さPr2の和が蛇行ピッチPrである。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル1は、複数の光ファイバ21を含むコア20と、コア20を収容するシース2と、シース2に少なくとも一部が埋設されたリップコード3と、を備え、リップコード3は、長手方向に沿って周方向の位置が変化するように蛇行するか、あるいは、シース2から外側に突出しない範囲で長手方向に沿って径方向の位置が変化するように蛇行している。このように、リップコード3が径方向または周方向において蛇行することで、リップコード3に充分な余長を与えることができる。したがって、光ファイバケーブル1が曲げられたときに径方向内側に向けた力がリップコード3に作用することが抑制され、リップコード3の移動も抑制することができる。また、仮にリップコード3の一部がシース2から径方向外側に突出すると、その突出した部分から、シース2の内部に水等が浸入する可能性がある。そこで、リップコード3が径方向において蛇行する場合には、シース2から外側に突出しない範囲とすることで、水等の浸入を抑制できる。
また、リップコード3は、長手方向に沿って周方向の位置が変化するように蛇行し、かつ、シース2から外側に突出しない範囲で長手方向に沿って径方向の位置が変化するように蛇行してもよい。この場合、周方向の蛇行における蛇行角度θおよび径方向の蛇行における振幅Aの値を小さくしながら、より大きな余長をリップコード3に与えることが可能となる。蛇行角度θまたは振幅Aが小さいほど、リップコード3による引裂き性を確保できる。さらに、リップコード3とシース2との接触面積が増えるため、両者の間に作用する密着力が増加し、リップコード3がシース2からより脱落しにくくなる、といった効果も得られる。
以下、具体的な実施例を用いて、上記実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
表1に示すように、比較例、実施例1、および実施例2の光ファイバケーブルのサンプルを作成した。全てのサンプルにおいて、光ファイバ21の数は288本とし、抗張力体4の数は2本とし、リップコード3の数は2本とした。全てのサンプルにおいて、シース2の外径Dは12mmとした。
Figure 2022067756000002
比較例については、リップコード3が径方向および周方向のいずれの蛇行もしない状態とした。実施例1、2については、シース2を押出成形する際に、先述の揺動板を揺動させることで、蛇行角度θが30°となるようにリップコード3を周方向において蛇行させた。実施例1については、図2に示すように、湾曲部3a、3bが長手方向において繰り返されるように、リップコード3を径方向において蛇行させた。実施例2については、図4に示すように、湾曲部3cおよび直線部3dが長手方向において繰り返されるように、リップコード3を径方向において蛇行させた。実施例1、2の径方向における蛇行は、シース2を押出成形する際に、リップコード3に加える張力を所定の周期および振幅で変動させることで実現した。
実施例1、2の径方向の蛇行ピッチPrおよび周方向の蛇行ピッチPcはいずれも5.0mmとした。実施例1の湾曲部3aおよび湾曲部3bの長手方向における長さは同等であり、それぞれ2.5mmである。実施例2の長手方向における直線部3dの長さPr2は、湾曲部3cの長さPr1の2倍である。つまり、長手方向において、実施例2の湾曲部3cの長さPr1は約1.7mmであり、直線部3dの長さPr2は約3.3mmである。径方向の蛇行の振幅Aについては、実施例1を0.55mm、実施例2を0.95mmとした。比較例、実施例1、および実施例2のリップコード3の余長率Eは、それぞれ1.0%、3.3%、3.1%となった。なお、表1に示したPr、Pc、A、θの数値は、長手方向において100mmの長さで各サンプルを切り出した際の平均値である。また、表1における余長率Eは、100mmの長さで各サンプルを切り出した際のリップコード3の全長に基づいている。
各サンプルに対して、IEC60794-1-21:“Repeated Bending”に準拠した曲げ試験を行った。具体的には、直径が240mmの円筒形状のマンドレルを用意し、このマンドレルに各サンプルを巻き付けた。各サンプルのシース2の外径Dは12mmである。したがって、マンドレルに各サンプルを巻き付けると、外径Dの20倍の曲げ径で各サンプルを曲げることができる。2本のリップコード3がマンドレルの径方向において並ぶように、各サンプルをマンドレルに巻き付けた。これにより、曲げの外側に位置するリップコード3に伸び歪が加えられる。曲げの外側に位置するリップコード3の理論上の伸び歪は、比較例において2.8%であり、実施例1、2において2.9%であった。
実施例1、2の伸び歪が比較例よりも大きいのは、実施例1、2のリップコード3が径方向において蛇行しているためである。すなわち、実施例1、2のリップコード3は、部分的に比較例のリップコード3よりも径方向外側に位置するためである。この点で、周方向の蛇行については、径方向の蛇行と比較して、リップコード3の伸び歪を増大させずに余長率を高められる、という利点が得られる。
曲げ試験を行った後、シース2からリップコード3が径方向内側に脱落しているか否かを確認した。その結果、比較例についてはリップコード3が脱落しており、実施例1、2についてはリップコード3が脱落していなかった。この結果は、伸び歪と余長率の大小関係によって説明できる。つまり、比較例については、余長率E(1.0%)よりも伸び歪(2.8%)が大きいため、リップコード3に径方向内側に向けた力が加わり、リップコード3が脱落した。一方、実施例1、2については、余長率E(それぞれ3.3%、3.1%)よりも伸び歪(2.9%)が小さいため、リップコード3に径方向内側に向けた力が加わることを抑制できた。この結果、実施例1、2についてはリップコード3の脱落を抑制できた。
上記の通り、リップコード3が径方向および周方向において蛇行していることで、リップコード3の余長率Eが大きくなり、光ファイバケーブル1に曲げが加えられた際のリップコード3の脱落を抑制することができる。実施例1、2ではリップコード3を径方向および周方向の両方において蛇行させた。しかしながら、径方向または周方向のいずれか一方においてリップコード3を蛇行させれば、従来よりもリップコード3の余長率Eを高められ、上記の効果が得られると考えられる。
次に、余長率Eの好ましい範囲について説明する。
表2に示すように、実施例2と同様の条件において、余長率Eを異ならせた複数のサンプル1~10を作成した。サンプル1~10では、振幅Aが異なることで、余長率Eが異なっている。なお、表1と同様、表2の余長率Eも、100mmの長さで各サンプルを切り出した際のリップコード3の全長に基づいている。
Figure 2022067756000003
サンプル1~10に対して、表1と同様の曲げ試験を行った。その後、リップコード3がシース2から脱落しているか否か、および、リップコード3を用いてシース2を引き裂き、コア20を露出する作業の容易さを確認した。
余長率Eが2.5%以下のサンプル1~3については、曲げ試験によりリップコード3がシース2から脱落した。このため、リップコード3を用いてシース2を引き裂く作業も困難であった。このような結果となった原因は、先述の通り、余長率Eが伸び歪(2.9%)よりも小さいためである。
余長率Eが6.0%のサンプル10については、リップコード3がシース2から脱落しなかった。しかしながら、蛇行の量が大きすぎるために、リップコード3によってシース2を引き裂く作業が容易ではなかった。
以上の結果から、余長率Eは6.0%以下であることが好ましい。
余長率Eの下限値については、リップコード3に作用する伸び歪によって決まるため、表2の結果から特定されるべきではない。リップコード3に作用する伸び歪は、中立線Lからリップコード3までの距離の平均値(以下、距離Rという)により定まる。そこで、距離Rと余長率Eとの関係について検討した。
図5に示すように、心数(光ファイバ21の数)が異なる複数の光ファイバケーブルにおいて、曲げ直径とリップコード3の伸び歪との関係を調べた。図5の横軸は曲げ直径であり、各光ファイバケーブルの直径Dに対する倍数により示している。例えば「20D」のデータは、各光ファイバケーブルの直径Dの20倍の曲げ直径で、各光ファイバケーブルを曲げている。
図6に、曲げ径が20Dの場合における、距離R[mm]とリップコード3の伸び歪[%]との関係を示す。図6の各プロットは、図5に示す144心、288心、432心、864心、1728心、3456心、および6912心の各データに対応している。ここで、任意の光ファイバケーブルにおいて、リップコード3の余長率Eを縦軸の値(y)とし、距離Rを横軸の値(x)としたプロットが、図6におけるy=0.0007x+0.00246の直線より上に位置すれば、その光ファイバケーブルのリップコード3の余長率Eが伸び歪より大きいことを意味する。つまり、余長率Eと距離Rとは、以下の関係式(1)を満たすことが好ましい。
E≧(0.0007×R+0.0246)×100 …(1)
さらに、先述の通り、余長率Eは6.0%以下であることが好ましい。従って、余長率E[%]は、以下の数式(2)を満たすことが好ましい。
(0.0007×R+0.0246)×100≦E≦6.0 …(2)
数式(2)を満たすことで、リップコード3の余長率Eを曲げに伴う伸び歪よりも大きくしてリップコード3の脱落を抑制しつつ、リップコード3によってシース2を引き裂く作業を容易にすることができる。
また、リップコード3が径方向に蛇行する場合における振幅Aが大きすぎると、リップコード3によってシース2を引き裂いた後で、引き裂かれずにつながったままとなるシース2の割合が大きくなり、コア20を露出する作業が容易ではなくなる。本願発明者らが検討したところ、振幅Aが1.0mmより大きい場合、コア20を露出する作業が容易ではなくなった。したがって、振幅Aは1.0mm以下であることが好ましい。
また、径方向の蛇行ピッチPrまたは周方向の蛇行ピッチPcが、光ファイバケーブルの曲げ径に対して大きすぎると、光ファイバケーブルが曲げられた部分に、リップコード3の蛇行形状が実質的に含まれなくなる。したがって、蛇行ピッチPrまたは蛇行ピッチPcは、15mm以下であることが好ましい。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、2つのリップコード3の両方が蛇行していた。しかしながら、少なくとも1つのリップコード3が蛇行していれば効果を得ることは可能である。例えば、光ファイバケーブル1が曲げられる方向が特定されている場合は、曲げの外側に位置するリップコード3が蛇行し、曲げの内側に位置するリップコード3が蛇行していなくてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…光ファイバケーブル 2…シース 3…リップコード 20…コア 21…光ファイバ

Claims (4)

  1. 複数の光ファイバを含むコアと、
    前記コアを収容するシースと、
    前記シースに少なくとも一部が埋設されたリップコードと、を備え、
    前記リップコードは、長手方向に沿って周方向の位置が変化するように蛇行するか、あるいは、前記シースから外側に突出しない範囲で長手方向に沿って径方向の位置が変化するように蛇行している、光ファイバケーブル。
  2. 一対の抗張力体をさらに備え、
    前記リップコードの余長率をE[%]とし、横断面視において前記一対の抗張力体の中心を通る中立線と前記リップコードとの間の距離の平均値をR[mm]とするとき、
    (0.0007×R+0.0246)×100≦E≦6.0
    を満足する、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記リップコードの周方向における蛇行ピッチまたは径方向における蛇行ピッチが15mm以下である、請求項1または2に記載の光ファイバケーブル。
  4. 前記リップコードは、長手方向に沿って周方向の位置が変化するように蛇行し、かつ、前記シースから外側に突出しない範囲で長手方向に沿って前記径方向の位置が変化するように蛇行している、請求項1から3のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
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