JP2022064122A - シート材、手袋、手袋を製造するための手型、及び手袋の製造方法 - Google Patents

シート材、手袋、手袋を製造するための手型、及び手袋の製造方法 Download PDF

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千紗 福田
Chisa Fukuda
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【課題】水に濡れた場合に乾き易く汚れが付き難いシート材、手袋、手袋を製造するための手型、及び手袋の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の手袋10は、柔軟性素材により人の手を覆う手袋状の立体形状に形成した基材2と、基材2の表面2aに基材2の素材により一体に形成した複数の毛状突起4と、を有する。複数の毛状突起4の間隔は0.1μm~1000μmである。複数の毛状突起4の基材2からの突出高さは、複数の毛状突起4の間隔の0.1倍~5.0倍である。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、樹脂やゴムなどの柔軟性素材をシート状にしたシート材、手袋、手袋を製造するための手型、及び手袋の製造方法に関する。
従来、例えば、米粒を付着し難くするための複数の突起部を掌部の表面に設けた食品用手袋(特許文献1)が知られている。特許文献1の手袋の複数の突起部は、熱可塑性エラストマー等により形成した基材の表面にダブルエンボス加工を施すことにより形成されている。米粒の長さは約7000μmであり、突起部の幅は、それより小さい3500μm程度に設定されている。特許文献1の手袋のように、掌部の表面に米粒の半分程の幅の複数の突起部を米粒の長さより狭い間隔で設けることにより、米粒が掌部の表面に接触する面積を小さくすることができ、掌部の表面に米粒が付着し難くすることができる。
なお、特許文献1には、突起部の幅が350μmであることの記載があるが、熱可塑性エラストマーの表面にエンボス加工を施すことで350μmの幅の突起部を形成することは非現実的である。また、特許文献1には、この突起部の表面にさらに幅5μmの微細な突起を設けることの記載もあるが、エンボス加工によりこのように微細な突起を形成することはできない。さらに、特許文献1の図1(c)の記載から、突起部の幅は米粒Kの長さの半分程度であることがわかる。よって、特許文献1における突起部の幅に関する記載は誤りであり、突起部の幅は3500μm程度であるものと考えられる。
特開2016-113717号公報
例えば、台所で洗い物をするときに使用する炊事用手袋は使用後に濡れているため、炊事用手袋が乾くまで置き場所に困る人が多い。また、乾いた後も、炊事用手袋の表面に汚れが残る。
また、雨で濡れた傘やレインコートを鞄に仕舞ったり手で持ち歩いたりする際に、手や衣服や鞄などが濡れて汚れてしまう不具合を生じる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、水に濡れた場合に乾き易く汚れが付き難いシート材、手袋、手袋を製造するための手型、及び手袋の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のシート材の一態様は、柔軟性素材により形成したシート状の基材と、基材の表面に基材の素材により一体に形成した複数の毛状突起と、を有する。複数の毛状突起の間隔は、0.1μm~1000μmである。複数の毛状突起の基材の表面からの突出高さは、複数の毛状突起の間隔の0.1倍~5.0倍である。柔軟性素材は、ゴム又は合成樹脂であり、可塑剤を含有するポリ塩化ビニル樹脂であることが好ましく、毛状突起は根元から離れるに従って細くなる形状であることが好ましい。
本発明の手袋の一態様は、柔軟性素材により人の手を覆う手袋状の立体形状に形成した基材と、基材の表面に基材の素材により一体に形成した複数の毛状突起と、を有する。複数の毛状突起の間隔は、0.1μm~1000μmである。複数の毛状突起の基材の表面からの突出高さは、複数の毛状突起の間隔の0.1倍~5.0倍である。
本発明の手袋の製造方法の一態様は、Niイオンを0.01~1mol/L含有するめっき液により表面に多孔質Niめっき層を形成して表面に複数の微細な穴を形成した手型を用意する工程と、手型の表面に柔軟性素材を塗布する工程と、柔軟性素材を固化させる工程と、固化させた柔軟性素材を手型から剥離して柔軟性素材の表面に穴の形状を転写した複数の毛状突起を形成する工程と、を有する。
本発明の手袋の製造方法の一態様によると、穴の間隔が0.1μm~1000μmであり、穴の深さが穴の間隔の0.1倍~5.0倍である複数の微細な穴を表面に有する手型を用意し、手型の表面に柔軟性素材を塗布し、柔軟性素材を固化させ、固化させた柔軟性素材を手型から剥離して、柔軟性素材の表面に穴の形状を転写した複数の毛状突起を形成する。
本発明の手型の一態様は、穴径が0.1μm~1000μmであり、穴の深さが前記穴径の0.1倍~5.0倍である複数の微細な穴を表面に有する。
本発明の一態様によれば、水に濡れた場合に乾き易く汚れが付き難いシート材、手袋、手袋を製造するための手型、及び手袋の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る手袋を示す外観斜視図である。 図2は、図1の手袋の一部を拡大して示す部分拡大斜視図である。 図3は、図1の手袋を製造するための手型を示す外観斜視図である。 図4は、図3の手型の一部を拡大して示す部分拡大斜視図である。 図5は、本発明の変形例に係るシート材の一例を示す外観斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る手袋10は、略均一な厚みの薄いシート状の素材を人の手を覆うような手袋状の立体形状に成形した基材2を有する。手袋10は、その基材2の外側の表面2aの全体に複数の微細な毛状突起4を一体に有する。本実施形態では、手にフィットし易い柔軟性素材の単体により手袋10(基材2及び毛状突起4)を形成した。本実施形態では、このような柔軟性素材として、可塑剤及び安定剤を混ぜたポリ塩化ビニル(以下の説明ではこのように柔軟性を有するポリ塩化ビニルを単にポリ塩化ビニルと称する)を用いた。
基材2の厚みは、10μm~5000μmである。複数の毛状突起4は、基材2の素材をその表面2aから一体に突出させたものである。毛状突起4は、本実施形態のように基材2の表面2aの全体に設けるのではなく、表面2aの所望する領域にだけ部分的に設けることもできる。また、表面2aに複数の毛状突起4を有する手袋10を裏返すことにより、内面に複数の毛状突起4を有する手袋10’(図示せず)を製造することもできる。特許請求の範囲における「基材の表面」とは、基材2の一方の表面2a及びその反対の他方の面(以下、内面と称する)の双方を含むものとする。
図2に示すように、複数の毛状突起4は、手袋10の基材2の表面2aにムラなく略均一な密度で設けられている。毛状突起4の形状、配置領域、大きさ、密度などは、後述する手型20の基材22の表面22aに設けるメッキ層24の表面24aに生じる複数の微細な穴26(図4)の形状、レイアウト、大きさ、密度などにより決まる。すなわち、手袋10の複数の毛状突起4は、後述する手型20の複数の穴26の内面形状をそれぞれ転写した形状を有する。
複数の毛状突起4の間隔は、0.1μm~1000μmである。ここで言う毛状突起4の間隔、及び特許請求の範囲における毛状突起の間隔は、毛状突起を円錐形に例えた場合に隣接する2つの毛状突起4の中心軸間の距離を指す。また、各毛状突起4が基材2の表面2aから突出した高さは、上述した毛状突起の間隔の0.1倍~5.0倍である。
また、複数の毛状突起4は、基材2の表面2aから離れるに従い先細となる形状を有する。本実施形態では、毛状突起4は、略円錐形或いは略円錐台形のような形状を有する。図1では、説明を分かり易くするため、複数の毛状突起4を拡大して示してあるが、実際には肉眼で見ることができない程微細な突起であり、図1における毛状突起4の大きさや形状は実際のものとは異なる。
図3及び図4に示すように、手袋10を製造するための手型20は、基材22の表面2aの全体に略均一な厚みのメッキ層24を有する。図4では、説明を分かり易くするため、メッキ層24の厚みを実際の厚みと異なる厚みに図示してある。メッキ層24は、その全体に複数の微細な穴26を有する。各穴26は、メッキ層24の表面24aに開口部26aを有し、表面24aから離れるに従い基材22に向けて先細となる形状を有する。本実施形態において、開口部26aの形状は、略円形であり、穴26の形状は、略円錐形である。
複数の穴26は、開口部26aの径が0.1μm~1000μmであり、隣接する開口部26aの間隔が0.1μm~1000μmである。ここで言う開口部26aの間隔は、特許請求の範囲における穴の間隔であり、隣接する2つの穴26の中心軸間の距離を指す。複数の穴26の深さは、メッキ層24の表面24aからの深さであり、上述した穴の間隔の0.1倍~5.0倍である。図3では、説明を分かり易くするため、複数の穴26を拡大して示してあるが、実際には肉眼で見ることができない程微細な穴であり、図3における穴26の大きさは実際のものとは異なる。
手型20は、例えば、人の手の形をした導電性の基材22の表面22aに多孔質メッキ層(複数の穴26を表面24aに有するメッキ層24)を形成することにより製造することができる。また、手型20は、導電性を有していない基材であっても、表面に導電性コーティング処理を施した基材の表面に多孔質メッキ層24を形成することにより製造することができる。
基材22の表面22aに複数の穴26を有する多孔質メッキ層24を形成する技術は、例えば、特許第5758557号及び特許第6621169号に開示された技術である。この技術によると、手型20の表面(メッキ層24の表面24a)に上述した複数の微細な穴26を形成することができる。基材22の表面22aに多孔質メッキ層24及び複数の穴26を形成する技術は公知技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
以下、上述した手袋10の製造方法について説明する。
まず、表面24aに上述した複数の微細な穴26を有する手型20を用意する。また、熱を加えてゾル状にしたポリ塩化ビニルを用意する。そして、手型20の表面(メッキ層24の表面24a)全体にゾル状のポリ塩化ビニルを塗布する。或いは、ゾル状のポリ塩化ビニルの中に手型20を浸漬する。特許請求の範囲における「塗布」は、手型20をゾル状の素材に浸漬することを含む。
この後、ポリ塩化ビニルを焼成して固化させ、ポリ塩化ビニルを手型20から剥離する。このとき、手袋状のポリ塩化ビニルは、裏返しにされながら手型20から剥離される。これにより、基材2の表面2aに複数の微細な毛状突起4を有する手袋10を製造することができる。なお、この手袋10をさらに裏返すことで、内面に複数の微細な毛状突起4を有する手袋10’(図示せず)を製造することもできる。
手袋10の表面2aに形成された複数の毛状突起4は、手型20の表面24aの複数の微細な穴26の内面形状を転写した形状を有し、穴26の間隔と略同じ間隔で設けられる。穴26のサイズが極めて小さいため、ポリ塩化ビニルが穴26の先まで入らない場合も考えられる。また、穴26自体も、円錐形にならずに、底部が丸くなり易い。このため、穴26から剥離した毛状突起4は、先端が尖った形状ではなく、先端がやや丸みを帯びた略円錐台形に成形され易い。見方を変えると、上述した手型20を用いて製造した本実施形態の手袋10の毛状突起4は、先端がやや丸みを帯びた略円錐台形になり易いことを特徴とする。
次に、上述した手袋10の機能及び作用効果について説明する。
毛状突起4が水滴を弾くため、表面2aに上述した複数の毛状突起4を有する手袋10は、濡れ難く、汚れも付着し難い。例えば、本実施形態の手袋10を用いて食器を洗った場合、作業の直後に手袋10の表面2aが乾いた状態となり、手袋10を引き出しなどに直ぐに仕舞うことができる。このため、本実施形態の手袋10は、清潔な状態を長く維持することができる。
また、内面に毛状突起4を有する手袋10’は、着脱の際に手の表面に手袋10’が貼り付くブロッキング現象が起こり難く、手袋10’の着脱作業を容易にすることができる。また、内面に毛状突起4を有する手袋10’は、スウェードのような滑らかな肌触りを有し、べたつくことがなく使用感が良好である。
また、複数の毛状突起4は、基材2の表面2a(或いは裏返した場合の内面)から基材2の素材を一体に突出させたものであるため、耐久性に優れており、繰り返し使用しても毛状突起4が基材2から剥がれ落ちることがない。このため、本実施形態の手袋10は、長期に亘って撥水性能を維持することができ、水滴を弾くため濡れ難く汚れが付き難い状態を長期に亘って維持することができる。また、内面に複数の毛状突起4を有する手袋10’は、良好な肌触り感を長期に亘って維持することができる。
さらに、本実施形態のように、表面24aに複数の微細な穴26を有する手型20を用いて手袋10、10’を製造すると、立体形状を有する手袋10の基材2の表面2a(又は手袋10’の基材2の内面)の全体に複数の毛状突起4を一斉且つ均一に形成することができる。つまり、本実施形態の製造方法によると、手袋10、10’の製造工程を極めて簡単にすることができ、手袋10、10’の製造コストを低減することができる。また、本実施形態の製造方法によると、毛状突起4の形状再現性を高くすることができ、品質のばらつきを無くすことができる。
なお、この場合、立体形状を有する手袋10の基材2の表面2aに対し、全ての毛状突起4を略垂直に突設することができ、基材2の表面2aの全体に亘って表面2aから略垂直に突出した毛状突起4を設けることができる。例えば、指の間や指先など微細な突起を形成し難い部位であっても、掌や手の甲などと同じ密度で同じ形状の毛状突起を設けることができ、手袋10の表面2aの全ての部位に同じ撥水性能を持たせることができる。また、裏返した手袋10’であれば、指の間や指先であっても掌や手の甲と同等の滑らかな肌触り感を得ることができるとともに、指先などの狭い部分におけるブロッキング現象を効果的に抑制することができる。
ところで、本実施形態の手袋10やレインコートや傘などの素材の撥水性能を評価する基準として、素材表面に対する水の接触角を用いることが知られている。本実施形態の手袋10は、温度23℃、湿度50%RHにおける水の「接触角」が、良好な撥水性能の基準を満たす110度以上になるように、基材2の表面2aに設けた複数の毛状突起4の間隔及び高さを設定した。
本実施形態の手袋10の毛状突起4は、上述したように、手型20の表面24aに形成した複数の微細な穴26の内面形状を転写した形状を有する。このため、実質的には、複数の毛状突起4の間隔及び高さは、手型20の複数の穴26の間隔及び深さと略同じになる。つまり、手型20の複数の穴26の形状(間隔及び深さ)をコントロールすることにより、撥水性能が高い手袋10、又は滑らかな肌触り感を有する手袋10’を製造することができる。
本願発明者等は、良好な撥水性能を発揮することができる毛状突起4の最適な間隔及び高さを調べるため、銅板の表面に多孔質メッキ層を形成してメッキ層24の表面24aに複数の微細な穴26を形成した型サンプルを作成した。型サンプルは、複数の穴26の穴径、及び深さを種々変更して複数種類作成した。そして、これら複数種類の型サンプルを用いてそれぞれ製造した毛状突起4の撥水性能を評価するため、製造した毛状突起4を有する素材フィルムを水で濡らして表面に付着した水滴の接触角を顕微鏡で観察した。なお、毛状突起4の素材フィルムの製造には、柔軟性を有するポリ塩化ビニルを用いた。以下、評価試験の一例について説明する。
(Niめっき液の調製)
イオン交換水に塩化ニッケル[NiCl・6HO]:0.1M(mol/L)と塩化アンモニウム[NHCl]:2.0M(mol/L)を溶解させ、こうして得られた水溶液に28質量%アンモニア水を加えて、Niめっき液のpHを調整した。このようにして、pHを種々異ならせて調整した複数種類のNiめっき液を用意した。
(電解脱脂処理)
型サンプルの基材として70mm×120mm×0.3mmの銅板を複数枚用意し、ユケン工業株式会社製の電解脱脂剤「パクナTHE-210」を50g/Lの濃度で溶解した50℃の水溶液に浸漬した。そして、各銅板をカソードとして、陰極電流密度5A/dmで60秒間通電して脱脂処理を行った。その後、脱脂処理された複数枚の銅板をイオン交換水で3回水洗し、10vol%の硫酸水溶液に室温にて60秒間浸漬して酸洗浄した。さらに、各銅板をイオン交換水で3回水洗した。
(Niめっき層の形成)
上記のように電解脱脂処理した複数枚の銅板を、それぞれ30℃に保温した上記複数種類のNiめっき液に1枚ずつ浸漬した。そして、空気撹拌を行いながら、陰極電流密度を銅板毎に異ならせて、300秒間、電気Niめっき処理をした。次いで、めっき処理した各銅板をイオン交換水で3回洗浄した後、50℃の水酸化ナトリウム水溶液(50g/L)に60秒間浸漬した。さらに、各銅板をイオン交換水で3回洗浄した後、50℃のイオン交換水中に浸漬して、60秒間超音波洗浄して型サンプルとしての複数枚のめっき品を得た。
各型サンプルのめっき表面には、めっき液の種類及びめっき条件に応じた形状の複数の微細な穴が形成された。めっき液のアンモニアの含有量を型サンプル毎に変えて、めっき条件としての陰極電流密度を型サンプル毎に変えたため、各型サンプルの表面に形成された穴は、その穴径及び深さがそれぞれ異なるものとなった。なお、ここでは、穴26の穴径及び深さが異なる10種類の型サンプルを用意した。
上述した複数の型サンプルの製作にあたって、予め、型サンプルの表面に形成される複数の微細な穴の穴径及び深さの目標値をそれぞれ定めて、各型サンプルの目標値に合わせてめっき液のpH及びめっき条件を決めた。ここでは、10種類の型サンプルの製作に際し、それぞれの穴径及び深さの目標値を下の[表1]のように設定した。
(Niめっき層の評価)
実際に製作した各型サンプルの二次電子像からそれぞれ複数の穴を任意に選び、それら穴の直径(穴径)、穴の深さ、及び穴の間隔を計測した。穴径、深さ、及び間隔は、型サンプル毎に任意の10ヶ所の穴を抽出して、レーザー顕微鏡LEXT OLS4100(オリンパス(株)製)を用いて測定し、平均値を求めた。なお、穴はすべてが正円では無いため、1つ1つの穴の周上の2点間の距離が最も長い部位を穴径とみなした。測定結果を下の[表1]に示す。
Figure 2022064122000002
上述した10種類(実施例1~10)の型サンプルを用いて複数の毛状突起を有する素材フィルムを作成した。素材フィルムには、柔軟性を有するポリ塩化ビニル樹脂を素材として用いた。以下、上述した型サンプルを用いた素材フィルムの作製方法の一例について説明する。
(ポリ塩化ビニルゾルの作成)
ポリ塩化ビニル(商品名「PSM-30」、(株)カネカ製)100質量部に対して、可塑剤(商品名「Mesamoll」、LANXESS社製)100質量部、エポキシ化大豆油(商品名「アデカサイザーO-130P」、(株)ADEKA製)5質量部、粘度調節剤(商品名「レオシールQS-102」、(株)トクヤマ製)5質量部、及び二酸化チタン(石原産業(株)製)3質量部を混合撹拌して、ポリ塩化ビニルゾルを作製した。
(素材フィルムの作製)
上述した10種類の型サンプルを表面温度が60℃になるまで予備加熱させ、各型サンプルの表面に上述したポリ塩化ビニルゾルを塗布した。そして、ポリ塩化ビニルゾルを表面に塗布した10種類の型サンプルを、200℃で3分間加熱して放冷し、型サンプルに塗布した素材を固化させた。その後、各型サンプルの表面から素材を剥がし取り、素材フィルムを得た。
(素材フィルムの評価)
作製した各素材フィルムについて、レーザー顕微鏡LEXT OLS4100(オリンパス(株)製)を用いて、表面に転写された毛状突起の高さ、間隔、及び先端幅を測定した。その測定結果を使用した型サンプル毎に下の[表2]に示す。ここで言う高さは、素材フィルムの表面からの突出高さであり、先端幅は、略円錐台形状の毛状突起の先端面の幅である。
Figure 2022064122000003
(接触角の試験)
上記のように作製した素材フィルムの表面に対する水の接触角を調べて、撥水性能を評価した。比較品として、表面にNiメッキ層を形成していない陶器のプレートを用いて同じ素材から作製した毛状突起を備えていない素材フィルムを用意した。
接触角は、接触角計DMe-211(協和界面科学株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度50%RHの環境下、注射器型のディスペンサーで8μLの純水液滴を水平に置かれた試料表面上に着滴させ、これを真横からCCDカメラで画像を取得し、得られた画像から液滴の輪郭形状を解析して接触角を算出した。
実施例1~10について、水の接触角の測定を10回行った平均値を以下の[表3]にまとめる。
Figure 2022064122000004
(撥水性能の評価)
以上のように、全ての実施例1~10において、良好な撥水性能の基準(110度以上)を満たすことがわかった。このとき、毛状突起の間隔は最短のもので8.58μm(実施例1)であり、最長のもので94.41μm(実施例10)であった。また、各実施例について毛状突起の間隔と高さの比を調べたところ、毛状突起の高さは、毛状突起の間隔に対して、0.51倍(実施例1)~1.45倍(実施例5)の範囲内であった。よって、毛状突起の間隔及び高さがこの範囲内になるように手袋10を製造することにより、良好な撥水性能を発揮することができることが分かった。
なお、上述した実施例1~10以外に、毛状突起の間隔及び高さを種々変更した素材フィルムを作成し、撥水性能を測定したところ、毛状突起の間隔は0.1μmまで短くした場合であっても撥水性能の基準を満たすことが分かった。また、毛状突起の間隔を1000μmまで長くした場合であっても撥水性能の基準を満たすことが分かった。つまり、毛状突起の適切な間隔は、0.1μm~1000μmとすることができ、好ましくは1.0μm~500μmとすることができ、より好ましくは5μm~100μmとすることができる。
また、毛状突起の高さを毛状突起の間隔の0.1倍の低さから5.0倍の高さまで変えて撥水性能を調べたところ、毛状突起の間隔が上述した範囲内である場合には、撥水性能の基準を満たすことが分かった。このため、毛状突起の適切な高さは、毛状突起の間隔の0.1倍~5.0倍とすることができ、好ましくは0.3倍~3.0倍とすることができ、より好ましくは0.5倍~2.0倍とすることができる。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、手袋10、10’の表面に毛状突起4を設けた場合について説明したが、これに限らず、レインコートや傘などの雨具の素材の表面に毛状突起4を設けてもよい。或いは、長靴やマスクなどを上述した毛状突起4を有する素材により製造するようにしてもよい。つまり、本発明は、手袋に限定されるものではなく、このようなあらゆる形状の素材の表面に毛状突起4を設けてもよい。図5には、シート状の基材32の表面32aに複数の毛状突起34を設けたシート材30の一例を示してある。
2…基材、 2a…表面、 4…毛状突起、 10、10’…手袋、 20…手型、 22…基材、 22a…表面、 24…メッキ層、 24a…表面、 26…穴、 26a…開口部、 30…シート材、 32…基材、 32a…表面、 34…毛状突起。

Claims (12)

  1. 柔軟性素材により形成したシート状の基材と、
    前記基材の表面に前記基材の素材により一体に形成した複数の毛状突起と、を有し、
    前記複数の毛状突起の間隔が0.1μm~1000μmであり、前記複数の毛状突起の前記基材の表面からの突出高さが前記間隔の0.1倍~5.0倍である、
    シート材。
  2. 前記柔軟性素材は、可塑剤を加えたポリ塩化ビニルであり、このポリ塩化ビニル組成物により形成した、
    請求項1のシート材。
  3. 前記複数の毛状突起は、前記基材の表面から離れるに連れて先細となる形状を有する、
    請求項1又は請求項2のシート材。
  4. 柔軟性素材により人の手を覆う手袋状の立体形状に形成した基材と、
    前記基材の表面に前記基材の素材により一体に形成した複数の毛状突起と、を有し、
    前記複数の毛状突起の間隔が0.1μm~1000μmであり、前記複数の毛状突起の前記基材の表面からの突出高さが前記間隔の0.1倍~5.0倍である、
    手袋。
  5. 前記柔軟性素材は、可塑剤を加えたポリ塩化ビニルであり、このポリ塩化ビニル組成物により形成した、
    請求項4の手袋。
  6. 前記複数の毛状突起は、前記基材の表面から離れるに連れて先細となる形状を有する、
    請求項4又は請求項5の手袋。
  7. Niイオンを0.01~1mol/L含有するめっき液により表面に多孔質Niめっき層を形成して表面に複数の微細な穴を形成した手型を用意する工程と、
    前記手型の前記表面に柔軟性素材を塗布する工程と、
    前記柔軟性素材を固化させる工程と、
    前記固化させた柔軟性素材を前記手型から剥離して前記柔軟性素材の表面に前記穴の形状を転写した複数の毛状突起を形成する工程と、
    を有する手袋の製造方法。
  8. 穴径が0.1μm~1000μmであり、穴の深さが前記穴径の0.1倍~5.0倍である複数の微細な穴を表面に有する手型を用意する工程と、
    前記手型の表面に柔軟性素材を塗布する工程と、
    前記柔軟性素材を固化させる工程と、
    前記固化させた柔軟性素材を前記手型から剥離して前記柔軟性素材の表面に前記穴の形状を転写した複数の毛状突起を形成する工程と、
    を有する手袋の製造方法。
  9. 請求項7又は請求項8の製造方法により製造した手袋を裏返す工程をさらに有する、
    手袋の製造方法。
  10. 前記手型の表面にある複数の微細な穴は、前記手型の表面から離れるに連れて先細となる形状を有する、
    請求項7乃至請求項9のいずれか1項の手袋の製造方法。
  11. 前記柔軟性素材は、可塑剤を加えたポリ塩化ビニルであり、このポリ塩化ビニル組成物により前記手袋を形成した、
    請求項7乃至請求項10のいずれか1項の手袋の製造方法。
  12. 穴径が0.1μm~1000μmであり、穴の深さが前記穴径の0.1倍~5.0倍である複数の微細な穴を表面に有する手型。
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