JP2022063792A - 漏電判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品数を低減しつつ、漏電の有無の判定精度を向上することができる漏電判定装置を提供する。【解決手段】蓄電池10と接地部G1との間における漏電の有無を判定する漏電判定装置20は、接地部G1に一端が接続された第1~第3抵抗体31~33を有する電圧検出部30と、電圧検出部30の他端と蓄電池10の正極端子とを接続する第1スイッチS1と、電圧検出部30の他端と蓄電池10の負極端子とを接続する第2スイッチS2と、接地部G1と電圧検出部30の他端とを接続する急速充放電経路L3と、急速充放電経路L3に設けられた第4抵抗体51及び第3スイッチS3と、各スイッチS1~S3のオンオフを切り替え、電圧検出部30の電圧を検出し、検出した電圧に基づいて、漏電の有無を判定する制御装置40と、を備える。制御装置40は、第3スイッチS3のオン期間が経過した後、漏電の有無の判定に用いる電圧検出部30の電圧を検出する。【選択図】 図1

Description

本発明は、漏電判定装置に関するものである。
従来、直流電源と接地部との間における漏電の有無を判定する漏電判定装置が知られている。
特許文献1には、接地部に一端が接続された検出用抵抗部の電圧を検出し、検出した電圧に基づいて、漏電の有無を判定する漏電判定装置が記載されている。ここで、直流電源と接地部との間に存在する対地静電容量が大きい場合、検出用抵抗部の電圧の時間変化が緩やかになる。この場合、対地静電容量の影響を受けずに検出用抵抗部の電圧を検出するには、対地静電容量が充電されるのを待つ必要がある。このため、要求される時間内に対地静電容量への充電が完了しない場合、検出用抵抗部の電圧検出精度が悪化し、ひいては漏電の有無の判定精度が悪化する可能性がある。
この問題に対処するために、対地静電容量への充電を急速に行った後、漏電の有無の判定に用いる電圧を検出する技術が知られている。例えば、特許文献2には、対地静電容量への充電を急速に行うための構成として、電圧のピーク値の異なる交流電源を複数備えた漏電判定装置が記載されている。複数の交流電源のうちピーク値が最も大きな交流電源により、対地静電容量への充電が急速に行われる。また、例えば、特許文献3には、対地静電容量への充電を急速に行うための経路を備えた漏電判定装置が記載されている。この経路に備えられた抵抗体の抵抗値を小さくすることにより、対地静電容量への充電が急速に行われる。
特許第5861954号公報 特開2020-64042号公報 特開2020-56732号公報
対地静電容量への充電を急速に行うための構成が追加されることにより、漏電判定装置の部品数が増大し得る。例えば、特許文献3では、直流電源の正極端子と接地部との間に存在する対地静電容量への充電を行う経路と、直流電源の負極端子と接地部との間に存在する対地静電容量への充電を行う経路とのそれぞれに、抵抗体の導通状態及び遮断状態を切り替えるスイッチが備えられている。この場合、スイッチの数が増大し、ひいては漏電判定装置の部品数が増大する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、部品数を低減しつつ、漏電の有無の判定精度を向上することができる漏電判定装置を提供することである。
本発明は、直流電源と接地部との間における漏電の有無を判定する漏電判定装置において、前記接地部に一端が接続された検出用抵抗部と、オンすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の正極端子との間を導通状態にし、オフすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の正極端子との間を遮断状態にする第1スイッチと、オンすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の負極端子との間を導通状態にし、オフすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の負極端子との間を遮断状態にする第2スイッチと、前記接地部と前記検出用抵抗部の他端とを接続する充放電経路と、前記充放電経路に設けられ、前記検出用抵抗部よりも小さいインピーダンスの充放電用素子と、前記充放電経路に設けられ、オンすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記接地部との間を導通状態にし、オフすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記接地部との間を遮断状態にする第3スイッチと、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチのオン又はオフを切り替える制御部と、前記第1スイッチがオンされるとともに前記第2スイッチがオフされる第1期間における前記検出用抵抗部の電圧である第1電圧と、前記第2スイッチがオンされるとともに前記第1スイッチがオフされる第2期間における前記検出用抵抗部の電圧である第2電圧とを取得し、取得した前記第1電圧及び前記第2電圧に基づいて、前記漏電の有無を判定する判定部と、を備え、前記制御部は、前記第1期間の一部において前記第3スイッチをオンし、前記第2期間の一部において前記第3スイッチをオンし、前記判定部は、前記第1期間のうち前記第3スイッチのオン期間の終了後の前記第1電圧を取得し、前記第2期間のうち前記第3スイッチのオン期間の終了後の前記第2電圧を取得する。
対地静電容量が大きい場合、第1期間における第1電圧の時間変化が緩やかになる。この場合、対地静電容量の影響を受けずに第1電圧を検出するには、対地静電容量が充電又は放電されるのを待つ必要がある。同様に、対地静電容量が大きい場合、第2期間における第2電圧の時間変化が緩やかになる。この場合、対地静電容量の影響を受けずに第2電圧を検出するには、対地静電容量が充電又は放電されるのを待つ必要がある。このため、要求される時間内に対地静電容量の充電又は放電が完了せず、第1電圧及び第2電圧の検出精度が悪化し、ひいては漏電の有無の判定精度が悪化する可能性がある。
そこで、本発明において、第1期間において第1電圧が検出されるのに先立ち、第3スイッチのオン期間が設けられる。また、第2期間において第2電圧が検出されるのに先立ち、第3スイッチのオン期間が設けられる。第3スイッチのオン期間では、第3スイッチにより検出用抵抗部の他端と接地部との間が導通状態とされ、直流電源の正極端子と接地部との間に存在する正極側容量、及び直流電源の負極端子と接地部との間に存在する負極側容量の間において充放電が行われる。ここで、充放電用素子のインピーダンスは、検出用抵抗部の抵抗値よりも小さい。このため、充放電用素子を介して、対地静電容量への充電又は放電を急速に完了させることができる。その結果、要求される時間内に対地静電容量への充電又は放電を完了させることができ、検出用抵抗部の電圧検出精度を向上することができ、ひいては漏電の有無の判定精度を向上することができる。
本発明において、正極側容量の充放電の制御及び負極側容量の充放電の制御は、共通の充放電用素子及び第3スイッチにより行われる。そのため、正極側容量の充放電の制御及び負極側容量の充放電の制御が異なるスイッチにより行われる場合と比較して、スイッチの数を低減することができる。その結果、漏電判定装置の部品数を低減することができる。
以上より、本発明によれば、漏電判定装置の部品数を低減しつつ、漏電の有無の判定精度を向上することができる。
第1実施形態に係る漏電判定装置の構成図。 第1スイッチがオンされ、第2,第3スイッチがオフされた場合の電流経路を示す図。 第2スイッチがオンされ、第1,第3スイッチがオフされた場合の電流経路を示す図。 第1,第3スイッチがオンされ、第2スイッチがオフされた場合の電流経路を示す図。 第2,第3スイッチがオンされ、第1スイッチがオフされた場合の電流経路を示す図。 充放電期間が不足する場合の検出電圧等の推移を示すタイムチャート。 充放電期間が過剰な場合の検出電圧等の推移を示すタイムチャート。 充放電期間が適正な場合の検出電圧等の推移を示すタイムチャート。 第1,第2電圧の時間変化量と、第1,第2充放電期間との対応表。 制御装置が実施する処理のフローチャート。 制御装置が実施する処理の一例を示すタイムチャート。 比較例に係る漏電判定装置の構成図。 第2実施形態に係る第1,第2電圧の時間変化量と、第1,第2充放電期間との対応表。 制御装置が実施する処理のフローチャート。 制御装置が実施する処理の一例を示すタイムチャート。 第3実施形態に係る漏電判定装置の構成図。 第4実施形態に係る漏電判定装置の構成図。 正極側容量及び負極側容量の電流及び電圧の推移を示すタイムチャート。 第1,第3スイッチがオンされ、第2スイッチがオフされた場合の電流経路を示す図。 第2,第3スイッチがオンされ、第1スイッチがオフされた場合の電流経路を示す図。 制御装置が実施する処理の一例を示すタイムチャート。 第4実施形態の変形例1に係る漏電判定装置の構成図。 第4実施形態の変形例2に係る漏電判定装置の構成図。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る漏電判定装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の漏電判定装置は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の電動化車両の制御システムに搭載される。
図1に示すように、制御システムは、「直流電源」としての蓄電池10と、漏電判定装置20とを備えている。蓄電池10の正極端子と、漏電判定装置20の第1外部端子P1との間は、正極側経路L1により接続されている。蓄電池10の負極端子と、漏電判定装置20の第2外部端子P2との間は、負極側経路L2により接続されている。
蓄電池10は、複数の電池セルが直列接続された組電池であり、蓄電池10の端子間電圧Vcは、例えば百V以上である。電池セルとして、例えば、リチウムイオン蓄電池やニッケル水素蓄電池を用いることができる。蓄電池10の端子間電圧Vcは、インバータを介して車載主機としての回転電機に供給される。なお、図1において、制御システムを構成するインバータ及び回転電機の図示を省略している。
正極側経路L1は、車体等の接地部G1に対して電気的に絶縁されている。正極側経路L1と、接地部G1との間における絶縁状態を正極側地絡抵抗Rpとして表すことができる。また、正極側経路L1と、接地部G1との間には、ノイズ除去用の受動素子としてのコンデンサ及び浮遊容量等の対地静電容量が存在し、これらをまとめて正極側容量Cpとして表す。
負極側経路L2は、車体等の接地部G1に対して電気的に絶縁されている。負極側経路L2と、接地部G1との間における絶縁状態を負極側地絡抵抗Rnとして表すことができる。また、負極側経路L2と、接地部G1との間には、ノイズ除去用の受動素子としてのコンデンサ及び浮遊容量等の対地静電容量が存在し、これらをまとめて負極側容量Cnとして表す。
なお、本実施形態では、正極側,負極側容量Cp,Cnに、浮遊容量に加え、受動素子としてのコンデンサの静電容量を含めているが、これに限らない。例えば、正極側,負極側経路L1,L2と接地部G1との間に受動素子としてのコンデンサが設けられていない制御システムの場合、正極側,負極側容量Cp,Cnは浮遊容量のみとなる。つまり、正極側,負極側容量Cp,Cnは、少なくとも浮遊容量で構成されている。
漏電判定装置20は、第1スイッチS1及び第2スイッチS2を備えている。第1スイッチS1の一端と、第2スイッチS2の一端とは、接続点Mにおいて接続されている。第1スイッチS1の他端は、第1外部端子P1に接続されている。第1スイッチS1は、オンされることにより蓄電池10の正極端子と接続点Mとの間を導通状態とし、オフされることにより蓄電池10の正極端子と接続点Mとの間を遮断状態とする。第2スイッチS2の他端は、第2外部端子P2に接続されている。第2スイッチS2は、オンされることにより蓄電池10の負極端子と接続点Mとの間を導通状態とし、オフされることにより蓄電池10の負極端子と接続点Mとの間を遮断状態とする。
漏電判定装置20は、電圧検出部30を備えている。電圧検出部30は、第1抵抗体31、第2抵抗体32、第3抵抗体33及び接地部G1を基準とした定電圧源34を備えている。第1抵抗体31の一端は、接続点Mに接続されている。第1抵抗体31の他端は、第2抵抗体32の一端に接続されている。第1抵抗体31の他端及び第2抵抗体32の一端の接続点をNとする。第2抵抗体32の他端は、接地部G1に接続されている。定電圧源34は、第3抵抗体33の一端に接続され、第3抵抗体33の他端は、接続点Nに接続されている。なお、図1には、定電圧源34の出力電圧をVdcで示している。
漏電判定装置20は、制御装置40を備えている。制御装置40は、第1,第2スイッチS1,S2のオンオフを切り替える信号を出力する。制御装置40には、接続点Nの電圧に応じた電圧信号が入力される。制御装置40は、入力された電圧信号を含む各種情報を記憶する記憶部を有している。記憶部は、ROM以外の非遷移的実体的記録媒体(例えば、ROM以外の不揮発性メモリ)である。本実施形態において、制御装置40が「制御部」に相当する。
第1~第3抵抗体31~33は、電圧信号を制御装置40に入力可能な電圧範囲(例えば0~5V)に降圧するべく、各抵抗体31~33の抵抗値R1~R3が設定される。本実施形態では、第1抵抗体31の抵抗値R1は、第2抵抗体32の抵抗値R2及び第3抵抗体33の抵抗値R3よりも大きい。例えば、第1抵抗体31の抵抗値R1は数MΩであり、第2,第3抵抗体32,33の抵抗値R2,R3は数kΩである。制御装置40は、入力された電圧信号に基づいて、接続点Nの電圧を検出する。本実施形態において、第1~第3抵抗体31~33が「検出用抵抗部」に相当する。
漏電判定装置20は、急速充放電部50を備えている。急速充放電部50は、急速充放電経路L3、第4抵抗体51及び第3スイッチS3を有している。急速充放電経路L3は、接続点Mと、漏電判定装置20の第3外部端子P3とを接続する。第3外部端子P3は接地部G1に接続されている。第4抵抗体51及び第3スイッチS3は、急速充放電経路L3に設けられている。第4抵抗体51の一端が第3外部端子P3に接続されている。第3スイッチS3は、第4抵抗体51の他端と、接続点Mとを接続している。第3スイッチS3は、制御装置40によってオンオフが切り替えられる。本実施形態において、第4抵抗体51の抵抗値R4は、例えば数百kΩであり、第1抵抗体31及び第2抵抗体32の合成抵抗値(R1+R2)よりも小さい。本実施形態において、第4抵抗体51が「充放電用素子」に相当する。
続いて、各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値の算出方法について説明する。
図2は、第1スイッチS1がオンされ、第2,第3スイッチS2,S3がオフされた後、十分に時間が経過した場合における電流経路を示す。図3は、第2スイッチS2がオンされ、第1,第3スイッチS1,S3がオフされた後、十分に時間が経過した場合における電流経路を示す。図2及び図3に示す回路では、共通して、蓄電池10の正極端子→正極側地絡抵抗Rp→負極側地絡抵抗Rn→蓄電池10の負極端子からなる電流経路が形成される。
図2では、上述した電流経路に加えて、蓄電池10の正極端子→第1スイッチS1→第1抵抗体31→第2抵抗体32→接地部G1→負極側地絡抵抗Rn→蓄電池10の負極端子からなる電流経路が形成される。この場合、正極側地絡抵抗Rpは、第1,第2抵抗体31,32に対して並列接続される。このため、正極側地絡抵抗Rpの電圧降下量は、負極側地絡抵抗Rnの電圧降下量よりも小さくなる。つまり、正極側容量Cpに印加される電圧は、負極側容量Cnに印加される電圧よりも低くなる。制御装置40は、この状態における電圧検出部30の検出電圧Vrを第1電圧V1として取得し、各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値の算出に用いる。
図3では、上述した電流経路に加えて、蓄電池10の正極端子→正極側地絡抵抗Rp→接地部G1→第2抵抗体32→第1抵抗体31→第2スイッチS2→蓄電池10の負極端子からなる電流経路が形成される。この場合、負極側地絡抵抗Rnは、第1,第2抵抗体31,32に対して並列接続される。このため、負極側地絡抵抗Rnの電圧降下量は、正極側地絡抵抗Rpの電圧降下量よりも小さくなる。つまり、負極側容量Cnに印加される電圧は、正極側容量Cpに印加される電圧よりも低くなる。制御装置40は、この状態における検出電圧Vrを、第2電圧V2として取得し、各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値の算出に用いる。なお、定電圧源34及び第3抵抗体33は、第2電圧V2が0でない電圧値として検出できるようにするために設けられている。
制御装置40は、第1,第2電圧V1,V2に基づいて、各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値を算出する。各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値を算出する方法としては、例えば、特許文献1に記載された方法に準じた方法を用いればよい。この方法は、正極側地絡抵抗Rpの抵抗値を含む方程式と、負極側地絡抵抗Rnの抵抗値を含む方程式とを連立させることにより、連立方程式の解として各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値を算出するものである。算出された各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値に基づいて、漏電の有無が判定される。本実施形態において、制御装置40が「判定部」に相当する。
第1スイッチS1がオンされるとともに第2,第3スイッチS2,S3がオフされてから、図2に示した状態とされるまでの間、正極側容量Cpは放電され、負極側容量Cnは充電される。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、抵抗値の大きな第1抵抗体31を介して行われるため、図2に示した状態とされるまでには時間を要する。
一方、第2スイッチS2がオンされるとともに第1,第3スイッチS1,S3がオフされてから、図3に示した状態とされるまでの間、正極側容量Cpは充電され、負極側容量Cnは放電される。この場合も、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、抵抗値の大きな第1抵抗体31を介して行われるため、図3に示した状態とされるまでには時間を要する。そのため、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が要求される時間内に完了せず、第1,第2電圧V1,V2の検出精度が悪化する可能性がある。特に、正極側容量Cp及び負極側容量Cnが大きい場合には、第1,第2電圧V1,V2の検出精度の悪化が顕著になる可能性がある。
そこで、本実施形態において、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電を急速に行うための構成として、第3スイッチS3、第4抵抗体51及び急速充放電経路L3が設けられている。
図4は、第1,第3スイッチS1,S3がオンされ、第2スイッチS2がオフされる第1充放電期間Tppにおける電流経路を示す。正極側容量Cpは、第1スイッチS1→第3スイッチS3→第4抵抗体51→正極側容量Cpからなる電流経路により放電される。一方、負極側容量Cnは、蓄電池10の正極端子→第1スイッチS1→第3スイッチS3→第4抵抗体51→負極側容量Cn→蓄電池10の負極端子からなる電流経路により充電される。これにより、正極側容量Cpに印加される電圧が低くされ、負極側容量Cnに印加される電圧が高くされる。
ここで、正極側容量Cpの放電及び負極側容量Cnの充電は、第4抵抗体51を介して行われる。第4抵抗体51の抵抗値R4は、第1抵抗体31の抵抗値R1よりも小さいため、正極側容量Cpの放電及び負極側容量Cnの充電が急速に行われる。これにより、図2に示す状態とされるまでの期間を短縮することができる。
図5は、第2,第3スイッチS2,S3がオンされ、第1スイッチS1がオフされる第2充放電期間Tpnにおける電流経路を示す。負極側容量Cnは、第4抵抗体51→第3スイッチS3→第2スイッチS2→負極側容量Cnからなる電流経路により放電される。一方、正極側容量Cpは、蓄電池10の正極端子→正極側容量Cp→第4抵抗体51→第3スイッチS3→第2スイッチS2→蓄電池10の負極端子からなる電流経路により充電される。これにより、正極側容量Cpに印加される電圧が高くされ、負極側容量Cnに印加される電圧が低くされる。
ここで、負極側容量Cnの放電及び正極側容量Cpの充電も、第4抵抗体51を介して行われる。そのため、負極側容量Cnの放電及び正極側容量Cpの充電が急速に行われる。これにより、図3に示す状態とされるまでの期間を短縮することができる。
続いて、各スイッチS1~S3がオンオフされたときの検出電圧Vrの推移を詳しく説明する。
図6は、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが適切な長さに対して不足する場合の検出電圧Vrの推移である。図6において、(a)は第1スイッチS1の駆動状態を示し、(b)は第2スイッチS2の駆動状態を示し、(c)は第3スイッチS3の駆動状態を示し、(d)は検出電圧Vr及び理想電圧Vdの推移を示す。図6(d)では、検出電圧Vrを実線で示し、理想電圧Vdを破線で示している。理想電圧Vdは、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの値を0とした場合の電圧であり、第1電圧V1及び第2電圧V2として検出されるべき電圧である。なお、図6では、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが0とされる。
時刻t1において、第1スイッチS1がオンに切り替えられ、第2,第3スイッチS2,S3がオフされる。この場合、蓄電池10の正極端子と接続点Mとが接続されるため、検出電圧Vrが上昇する。時刻t1から、第1スイッチS1がオフに切り替えられる時刻t2までの第1期間T1において、正極側容量Cpは放電され、負極側容量Cnは充電される。正極側容量Cpに印加される電圧が漸減すると、検出電圧Vrは漸減する。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、主に第1抵抗体31を介して行われるため、検出電圧Vrの漸減速度は低い。そのため、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が完了する前の時刻t2において、第1電圧V1が検出される。この場合、第1電圧V1は理想電圧Vdに比べて高く、第1電圧V1の検出精度が悪化する。
時刻t3において、第2スイッチS2がオンに切り替えられる。この場合、蓄電池10の負極端子と接続点Mとが接続されるため、検出電圧Vrが低下する。時刻t3から、第2スイッチS2がオフに切り替えられる時刻t4までの第2期間T2において、正極側容量Cpは充電され、負極側容量Cnは放電される。負極側容量Cnに印加される電圧が漸減すると、検出電圧Vrは漸増する。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、主に第1抵抗体31を介して行われるため、検出電圧Vrの漸増速度は低い。そのため、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が完了する前の時刻t4において、第2電圧V2が検出される。この場合、第2電圧V2は理想電圧Vdに比べて低く、第2電圧V2の検出精度が悪化する。なお、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが0である場合に限らず、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが適正な長さに対して不足する場合、同様に、第1,第2電圧V1,V2の検出精度が悪化する。
図7は、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが適切な長さに対して過剰となる場合の検出電圧Vrの推移である。図7(a)~(d)は、図6(a)~(d)に対応している。
時刻t1において、第1,第3スイッチS1,S3がオンに切り替えられ、第2スイッチS2がオフされる。時刻t1から、第3スイッチS3がオフに切り替えられる時刻t2までの間、図4に示した電流経路が形成され、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、第4抵抗体51を介して行われるため、検出電圧Vrが漸減する速さは、第1抵抗体31を介して充放電が行われる場合に比べて速い。そのため、時刻t1から時刻t2までの期間である第1充放電期間Tppが適切な長さに対して過剰に長いと、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が過剰に行われる。
時刻t2において、検出電圧Vrは理想電圧Vdよりも低い。そのため、時刻t2から、第1スイッチS1がオフに切り替えられる時刻t3までの間、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。そのため、検出電圧Vrが漸増する。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、主に第1抵抗体31を介して行われるため、検出電圧Vrが漸増する速さは、第4抵抗体51を介して充放電が行われる場合よりも遅い。よって、時刻t3において、検出電圧Vrは理想電圧Vdよりも低いままであり、第1電圧V1の検出精度が悪化する。なお、図7において、時刻t1から時刻t3までが第1期間T1である。
時刻t4において、第2,第3スイッチS2,S3がオンに切り替えられる。時刻t4から、第3スイッチS3がオフに切り替えられる時刻t5までの間、図5に示した電流経路が形成され、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、第4抵抗体51を介して行われるため、検出電圧Vrが漸増する速さは、第1抵抗体31を介して充放電が行われる場合に比べて速い。そのため、時刻t4から時刻t5までの期間である第2充放電期間Tpnが適切な長さに対して過剰に長いと、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が過剰に行われる。
時刻t5において、検出電圧Vrは理想電圧Vdよりも高い。そのため、時刻t5から、第2スイッチS2がオフに切り替えられる時刻t6までの間、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。そのため、検出電圧Vrが漸減する。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電は、主に第1抵抗体31を介して行われるため、検出電圧Vrが漸減する速さは、第4抵抗体51を介して充放電が行われる場合よりも遅い。よって、時刻t6において、検出電圧Vrは理想電圧Vdよりも高いままであり、第2電圧V2の検出精度が悪化する。なお、図7において、時刻t4から時刻t6までが第2期間T2である。
図8は、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが適切な長さに設定された場合の検出電圧Vrの推移である。図8(a)~(d)は、図6(a)~(d)に対応している。
時刻t1において、第1,第3スイッチS1,S3がオンに切り替えられ、第2スイッチS2がオフされる。時刻t1から、第1充放電期間Tppだけ経過した時刻t2までの間、図4に示した電流経路が形成され、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。時刻t2において、検出電圧Vrが理想電圧Vdと一致する。そのため、時刻t2から、第1スイッチS1がオフされる時刻t3までの間、図2に示した電流経路が形成され、検出電圧Vrは一定となる。よって、制御装置40は、例えば第1スイッチS1がオフに切り替えられる時刻t3において、第1電圧V1を精度よく検出することができる。なお、図8において、時刻t1から時刻t3までが第1期間T1である。
時刻t4において、第2,第3スイッチS2,S3がオンに切り替えられる。時刻t4から、第2充放電期間Tpnだけ経過した時刻t5までの間、図5に示した電流経路が形成され、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。時刻t5において、検出電圧Vrが理想電圧Vdと一致する。そのため、時刻t5から、第2スイッチS2がオフに切り替えられる時刻t6までの間、図3に示した電流経路が形成され、検出電圧Vrは一定となる。よって、制御装置40は、例えば時刻t6において、第2電圧V2を精度よく検出することができる。なお、図8において、時刻t4から時刻t6までが第2期間T2である。
図6,7において説明したように、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが適切な長さに設定されない場合、第1,第2電圧V1,V2の検出精度が悪化する可能性がある。そこで、本実施形態において、第1,第2電圧V1,V2は所定周期毎に検出されるものとし、第1,第2電圧V1,V2の時間変化量dVp,dVnに基づいて、次の周期における第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが設定されることとした。
図9は、第1電圧V1の時間変化量dVpと、第1充放電期間Tppの増減との対応関係を示し、第2電圧V2の時間変化量dVnと、第2充放電期間Tpnの増減との対応関係を示す。
第1電圧V1の時間変化量dVpが負の値である場合、次の周期における第1充放電期間Tppが増加させられる。第1電圧V1の時間変化量dVpが正の値である場合、次の周期における第1充放電期間Tppが短縮させられる。これにより、次の周期における第1充放電期間Tppは、第1電圧V1の時間変化量dVpを小さくするように設定される。第1電圧V1の時間変化量dVpが0である場合、次の周期における第1充放電期間Tppとして、現在の周期における第1充放電期間Tppが用いられる。なお、本実施形態において、第1電圧V1の時間変化量dVpが0であるか否かの判定は、第1電圧V1の時間変化量dVpの絶対値が所定値kよりも小さいか否かを判定することにより行われる。
本実施形態では、第1電圧V1の時間変化量dVpを0にするべく、操作量を第1充放電期間Tppとするフィードバック制御が実施される。第1電圧V1のフィードバック制御として、下式(e1)に示す比例積分制御が用いられる。
Figure 2022063792000002
上式(e1)の右辺第1項は比例項であり、右辺第2項は積分項であり、右辺第3項は第1充放電期間Tppの初期値又は前回の制御周期における第1充放電期間Tppである。係数KPは比例係数であり、係数KIは積分係数である。
第2電圧V2の時間変化量dVnが正の値である場合、次の周期における第2充放電期間Tpnが増加させられる。第2電圧V2の時間変化量dVnが負の値である場合、次の周期における第2充放電期間Tpnが短縮させられる。これにより、次の周期における第2充放電期間Tpnは、第2電圧V2の時間変化量dVnを小さくするように設定される。第2電圧V2の時間変化量dVnが0である場合、次の周期における第2充放電期間Tpnは、現在の周期における第2充放電期間Tpnを用いる。なお、本実施形態において、第2電圧V2の時間変化量dVnが0であるか否かの判定は、第2電圧V2の時間変化量dVnの絶対値が所定値kよりも小さいか否かを判定することにより行われる。
本実施形態では、第2電圧V2の時間変化量dVnを0にするべく、操作量を第2充放電期間Tpnとするフィードバック制御が実施される。第2電圧V2のフィードバック制御として、下式(e2)に示す比例積分制御が用いられる。
Figure 2022063792000003
上式(e2)の右辺第1項は比例項であり、右辺第2項は積分項であり、右辺第3項は第2充放電期間Tpnの初期値又は前回の制御周期における第2充放電期間Tpnである。なお、第1,第2電圧V1,V2のフィードバック制御としては、比例積分制御に限らず、例えば比例積分微分制御であってもよい。
図10に、制御装置40が実施する処理の手順を示す。この処理は、開始条件が満たされた場合に実施される。開始条件は任意に設定される。
ステップS100では、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnの初期値を設定する。本実施形態では、初期値として、第1充放電期間Tpp=0,第2充放電期間Tpn=0とする。
ステップS101では、第1スイッチS1をオンに切り替える。これにより、第1期間T1が開始される。ステップS102では、第3スイッチS3をオンに切り替える。これにより、第1充放電期間Tppが開始される。ステップS103では、第3スイッチS3をオンしてから第1充放電期間Tppだけ待機する。この待機期間において、図4に示す電流経路により正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。ステップS104では、第3スイッチS3をオフする。これにより、第1充放電期間Tppが終了される。
ステップS105では、第3スイッチS3がオフされた直後の第1電圧V1を検出し、検出された値をV1aとして記憶部に記憶する。ステップS105の処理は、第3スイッチS3のオフタイミングから少し遅れたタイミングに実施する。これにより、第3スイッチS3がオフに切り替えられる場合に発生するノイズが検出電圧Vrに混入することを抑制できる。ステップS106では、第3スイッチS3がオフされた後、第1期間T1から第1充放電期間Tppを除いた期間だけ待機する。ステップS107では、待機後の第1電圧V1を検出し、V1bとして記憶部に記憶する。ステップS108では、第1スイッチS1をオフにする。これにより、第1期間T1が終了される。ステップS107の処理は、第1スイッチS1のオフタイミングよりも少し早いタイミングに実施する。これにより、第1スイッチS1がオフに切り替えられる場合に発生するノイズが検出電圧Vrに混入することを抑制できる。ステップS109では、所定の第3期間T3だけ待機する。
ステップS110では、第2スイッチS2をオンする。これにより、第2期間T2が開始される。ステップS111では、第3スイッチS3をオンする。これにより、第2充放電期間Tpnが開始される。ステップS112では、第3スイッチS3をオンしてから第2充放電期間Tpnだけ待機する。この待機期間において、図5に示す電流経路により正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。ステップS113では、第3スイッチS3をオフする。これにより、第2充放電期間Tpnが終了される。
ステップS114では、第3スイッチS3がオフされた直後の第2電圧V2を検出し、V2aとして記憶部に記憶する。ステップS114の処理は、第3スイッチS3のオフタイミングから少し遅れたタイミングに実施する。これにより、第3スイッチS3がオフに切り替えられる場合に発生するノイズが検出電圧Vrに混入することを抑制できる。ステップS115では、第2期間T2から第2充放電期間Tpnを除いた期間だけ待機する。ステップS116では、待機後の第2電圧V2を検出し、V2bとして記憶部に記憶する。ステップS117では、第2スイッチS2をオフする。これにより、第2期間T2が終了される。ステップS116の処理は、第2スイッチS2のオフタイミングよりも少し早いタイミングに実施する。これにより、第2スイッチS2がオフに切り替えられる場合に発生するノイズが検出電圧Vrに混入することを抑制できる。
ステップS118では、第1電圧V1の時間変化量dVp及び第2電圧V2の時間変化量dVnを算出する。第1電圧V1の時間変化量dVpは下式(e3)により求められる。
Figure 2022063792000004
ここで、V1aはステップS105において記憶部に記憶された検出電圧であり、V1bはステップS107において記憶部に記憶された検出電圧であり、Δt1は第1待機時間である。本実施形態において、第1待機時間Δt1は、第1期間T1から第1充放電期間Tppを除いた期間よりも短い期間である。これは、ステップS105の処理が第3スイッチS3のオフタイミングから少し遅れること、及びステップS107の処理が第1スイッチS1のオフタイミングよりも少し早められることを考慮したためである。
第2電圧V2の時間変化量dVnは下式(e4)により求められる。
Figure 2022063792000005
ここで、V2aはステップS114において記憶部に記憶された検出電圧であり、V1bはステップS116において記憶部に記憶された検出電圧であり、Δt2は第2待機時間である。本実施形態において、第2待機時間Δt2は、第2期間T2から第2充放電期間Tpnを除いた期間よりも短い期間である。これは、ステップS114の処理が第3スイッチS3のオフタイミングから少し遅れること、及びステップS116の処理が第2スイッチS2のオフタイミングよりも少し早められることを考慮したためである。
ステップS119では、第1,第2電圧V1,V2のフィードバック制御を実施することにより、次の制御周期における第1,第2充放電期間Tpp,Tpnを算出する。
ステップS120では、算出された第1電圧V1の時間変化量dVpの絶対値が所定値kよりも小さく、かつ、算出された第2電圧V2の時間変化量dVnの絶対値が所定値kよりも小さいか否かを判定する。
ステップS120において否定判定した場合、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが適切な長さでないと判定し、ステップS122に進む。ステップS122では、第3期間T3だけ待機する。
ステップS120において肯定判定した場合、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが適切な長さであると判定し、ステップS121に進む。ステップS121では、今回の周期において検出した第1,第2電圧V1b,V2bに基づいて、各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値を算出する。その後、ステップS122に進む。
ステップS123では、本処理の停止条件を満たしているか否かを判定する。停止条件は任意に設定することができる。ステップS123において否定判定した場合、ステップS101に戻り、更新した第1,第2充放電期間Tpp,Tpnを用いて本処理を繰り返し実施する。一方、ステップS123において肯定判定した場合、本処理を終了する。
図11に、制御装置40が実施する制御の一例を示す。図11において、(a)は第1スイッチS1の駆動状態を示し、(b)は第2スイッチS2の駆動状態を示し、(c)は第3スイッチS3の駆動状態を示し、(d)は検出電圧Vr及び理想電圧Vdの推移を示す。図11(d)では、検出電圧Vrを実線で示し、理想電圧Vdを破線で示している。図11には、4周期に亘る第1~第3スイッチS1~S3のオンオフ及び検出電圧Vrの推移を示す。
第1周期Ts1において、第1電圧V1の時間変化量dVpが負の値とされ、第2電圧V2の時間変化量dVnが正の値とされる。この状態は、図6において説明した状態と同様であり、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が不足している。そのため、ステップS119のフィードバック制御により、第2周期Ts2における第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが増加するように、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが更新される。
第2周期Ts2において、第1電圧V1の時間変化量dVpが、第1周期Ts1における第1電圧V1の時間変化量dVpよりも小さくされ、第2電圧V2の時間変化量dVpが、第1周期Ts1における第2電圧V2の時間変化量dVpよりも小さくされる。しかし、第1電圧V1の時間変化量dVpが負の値とされ、第2電圧V2の時間変化量dVpが正の値とされるため、再びステップS119のフィードバック制御により、第3周期Ts3における第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが増加するように、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが更新される。
第3周期Ts3において、第1電圧V1の時間変化量dVpが0とされ、第2電圧V2の時間変化量dVpが0とされる。この状態は、図8において説明した状態と同様であり、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が完了している。そのため、第4周期Ts4では、第3周期Ts3における第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが用いられる。各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値の算出は、第3周期Ts3及び第4周期Ts4において実施される。
図12では、本実施形態の急速充放電部50に代えて、比較例の回路部60が漏電判定装置20に備えられている場合について説明する。図12において、先の図1に示した構成については、便宜上、同一の符号を付している。
回路部60は、第4抵抗体51、第4スイッチS4及び第5スイッチS5を備えている。第4抵抗体51の一端は第3外部端子P3に接続されている。第4抵抗体51の他端は、第4スイッチS4及び第5スイッチS5の中間点Aに接続されている。第4スイッチS4は、中間点Aと、第1外部端子P1及び第1スイッチS1の間とを接続している。第5スイッチS5は、中間点Aと、第2外部端子P2及び第2スイッチS2の間とを接続している。
第4スイッチS4がオンされ、第5スイッチS5がオフされることにより、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。また、第5スイッチS5がオンされ、第4スイッチS4がオフされることにより、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。しかし、この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電を実施するために2つのスイッチが必要となる。その結果、比較例では、漏電判定装置20の部品数が増大する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
第1電圧V1が検出されるのに先立ち、第1充放電期間Tppが設けられる。第1充放電期間Tppでは、第4抵抗体51を介して、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。一方、第2電圧V2が検出されるのに先立ち、第2充放電期間Tpnが設けられる。第2充放電期間Tpnでは、第4抵抗体51を介して、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。これにより、第1,第2抵抗体31,32を介して正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電を行う場合よりも、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電を早く完了することができる。このため、第1期間T1内に適正な第1電圧V1を検出でき、第2期間T2内に適正な第2電圧V2を検出できる。その結果、第1電圧V1及び第2電圧V2の検出精度を向上することができ、ひいては漏電の有無の判定精度を向上することができる。
正極側容量Cpの充放電及び負極側容量Cnの充放電が、共通の第4抵抗体51及び第3スイッチS3により行われる。そのため、正極側容量Cpの充放電及び負極側容量Cnの充放電が異なるスイッチにより制御される場合と比較して、スイッチの数を低減することができる。その結果、漏電判定装置20の部品数を低減することができる。
操作量を第1充放電期間Tppとして、第1電圧V1の時間変化量dVpを0とするフィードバック制御が実施される。また、操作量を第2充放電期間Tpnとして、第2電圧V2の時間変化量dVnを0とするフィードバック制御が実施される。これにより、正極側容量Cp及び負極側容量Cnが変化し、正極側容量Cp及び負極側容量Cnへの充放電に要する時間が変化したとしても、その変化に対応して適切な第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが設定される。その結果、第1,第2電圧V1,V2の検出精度を向上することができる。
第1充放電期間Tppが第1電圧V1の時間変化量dVpに基づいて設定され、第2充放電期間Tpnが第2電圧V2の時間変化量dVnに基づいて設定される。これにより、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnを設定するための部品が新たに追加される構成と比較して、漏電判定装置20の部品数を低減することができる。
以上より、本実施形態によれば、漏電判定装置20の部品数を低減しつつ、漏電の有無の判定精度を向上することができる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnの設定方法が変更される。
制御装置40は、第1充放電期間Tppにおいて、第3スイッチS3を繰り返しオンオフさせる。第1充放電期間Tppのうち、第3スイッチS3の各オン期間は第1微小期間Tpである。第1微小期間Tpは、正極側容量Cpの放電が完了し、負極側容量Cnの充電が完了するまでに必要な期間と比較して十分に短い期間である。このため、正極側容量Cpの放電及び負極側容量Cnの充電が完了するまでの期間において、正極側容量Cpの放電量及び負極側容量Cnの充電量は不足した状態とされる。また、第1充放電期間Tppのうち、時間的に隣り合う第1微小期間Tpに挟まれる第3スイッチS3のオフ期間が微小待機期間Twとされている。
制御装置40は、第2充放電期間Tpnにおいて、第3スイッチS3を繰り返しオンオフさせる。第2充放電期間Tpnのうち、第3スイッチS3の各オン期間は第2微小期間Tnである。第2微小期間Tnは、正極側容量Cpの充電が完了し、負極側容量Cnの放電が完了するまでに必要な期間と比較して十分に短い期間である。このため、正極側容量Cpの充電及び負極側容量Cnの放電が完了するまでの期間において、正極側容量Cpの充電量及び負極側容量Cnの放電量は不足した状態とされる。また、第2充放電期間Tpnのうち、時間的に隣り合う第2微小期間Tnに挟まれる第3スイッチS3のオフ期間が微小待機期間Twとされている。
図13は、第1電圧V1の時間変化量dVpと、第1充放電期間Tppの継続又は停止との対応関係を示し、第2電圧V2の時間変化量dVnと、第2充放電期間Tpnの継続又は停止との対応関係を示す。第1電圧V1の時間変化量dVpが正の値である場合、第1充放電期間Tppが継続され、第1電圧V1の時間変化量dVpが0である場合、第1充放電期間Tppが停止される。第2電圧V2の時間変化量dVnが正の値である場合、第2充放電期間Tpnが継続され、第2電圧V2の時間変化量dVnが0である場合、第2充放電期間Tpnが停止される。
図14に、制御装置40が実施する処理の手順を示す。この処理は、所定周期で実施されてもよいし、処理の開始条件が満たされた場合に実施されてもよい。開始条件は任意に設定されればよい。
ステップS200では、第1カウンタiの値を1に設定し、第2カウンタjの値を1に設定する。第1カウンタiは第1充放電期間Tppの継続時間を算出するのに用いられ、第2カウンタjは第2充放電期間Tpnの継続時間を算出するのに用いられる。
ステップS201では、第1スイッチS1をオンする。これにより、第1期間T1が開始される。ステップS202では、第3スイッチS3をオンする。ステップS203では、第1微小期間Tpだけ待機する。ステップS204では、第3スイッチS3をオフする。ステップS205では、第3スイッチS3がオフされた直後の第1電圧V1を検出し、V1αとして記憶部に記憶する。ステップS206では、微小待機期間Twだけ待機する。ステップS207では、待機後の第1電圧V1を検出し、V1βとして記憶部に記憶する。
ステップS208では、第1電圧V1の時間変化量dVpを算出する。第1電圧V1の時間変化量dVpは下式(e5)により求められる。
Figure 2022063792000006
ここで、V1αはステップS205において記憶部に記憶された検出電圧であり、V1βはステップS207において記憶部に記憶された検出電圧である。なお、上式(e5)では、第1電圧V1の時間変化量dVpが正の値とされる。
ステップS209では、第1電圧V1の時間変化量dVpが所定値kよりも小さいか否かを判定する。ステップS209において否定判定した場合、ステップS210に進む。ステップS210では、第1カウンタiの値をインクリメントする。その後、ステップS202に戻る。これにより、第1充放電期間Tppが継続される。一方、ステップS209において肯定判定した場合、ステップS211に進む。これにより、第1充放電期間Tppが停止される。なお、本実施形態において、第1充放電期間Tppは、最初のステップS202からステップS209において肯定判定されるまでの期間である。
ステップS211では、第1残余期間だけ待機する。第1残余期間は、第1期間T1から第1充放電期間Tppを除いた期間である。本実施形態において、第1充放電期間Tppは、i×(Tp+Tw)であり、第1残余期間は、T1-i×(Tp+Tw)である。
ステップS212では、第1電圧V1を検出し、記憶部に記憶する。ステップS213では、第1スイッチS1をオフする。これにより、第1期間T1が終了される。
ステップS214では、第3期間T3だけ待機する。ステップS215では、第2スイッチS2をオンする。これにより、第2期間T2が開始される。ステップS216では、第3スイッチS3をオンする。ステップS217では、第2微小期間Tnだけ待機する。ステップS218では、第3スイッチS3をオフする。ステップS219では、第3スイッチS3がオフされた直後の第2電圧V2を検出し、V2αとして記憶部に記憶する。ステップS220では、微小待機期間Twだけ待機する。ステップS221では、待機後の第2電圧V2を検出し、V2βとして記憶部に記憶する。
ステップS222では、第2電圧V2の時間変化量dVnを算出する。第2電圧V2の時間変化量dVnは下式(e6)により求められる。
Figure 2022063792000007
ここで、V2αはステップS219において記憶部に記憶された検出電圧であり、V2βはステップS221において記憶部に記憶された検出電圧である。
ステップS223では、第2電圧V2の時間変化量dVnが所定値kよりも小さいか否かを判定する。ステップS223において否定判定した場合、ステップS224に進む。ステップS224では、第2カウンタjの値をインクリメントする。その後、ステップS216に戻る。これにより、第2充放電期間Tpnが継続される。一方、ステップS223において肯定判定した場合、ステップS225に進む。これにより、第2充放電期間Tpnが停止される。なお、本実施形態において、第2充放電期間Tpnは、最初のステップS216からステップS223において肯定判定されるまでの期間である。
ステップS225では、第2残余期間だけ待機する。第2残余期間は、第2期間T2から第2充放電期間Tpnを除いた期間である。本実施形態において、第2充放電期間Tpnは、j×(Tn+Tw)であり、第2残余期間は、T2-j×(Tn+Tw)である。
ステップS226では、第2電圧V2を検出し、記憶部に記憶する。ステップS227では、第2スイッチS2をオフする。これにより、第2期間T2が終了される。
ステップS228では、ステップS212において記憶部に記憶された第1電圧V1と、ステップS226において記憶部に記憶された第2電圧V2に基づいて、各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値を算出する。ステップS229では、第3期間T3だけ待機し、本処理を終了する。
図15に、制御装置40が実施する制御の一例を示す。図15において、(a)は第1スイッチS1の駆動状態を示し、(b)は第2スイッチS2の駆動状態を示し、(c)は第3スイッチS3の駆動状態を示し、(d)は検出電圧Vr及び理想電圧Vdの推移を示す。図15(d)では、検出電圧Vrを実線で示し、理想電圧Vdを破線で示している。
図15に示す例では、第1期間T1において、第3スイッチS3のオンオフが6回繰り返される。第3スイッチS3のオンオフ回数が1回目から5回目までの期間において、算出された第1電圧V1の時間変化量dVp1~dVp5は正の値である。そのため、第3スイッチS3のオンオフが継続され、第1充放電期間Tppが継続される。第3スイッチS3のオンオフ回数が6回目の期間において、算出された第1電圧V1の時間変化量dVp6は0である。そのため、第3スイッチS3がオフされ、第1充放電期間Tppが停止される。この場合、正極側容量Cpの放電及び負極側容量Cnの充電が完了しているため、その後の検出電圧Vrは一定となる。そのため、第1残余期間だけ経過した後、適切な第1電圧V1が検出される。
図15に示す例では、第2期間T2においても、第3スイッチS3のオンオフが6回繰り返される。第3スイッチS3のオンオフ回数が1回目から5回目までの期間において、算出された第2電圧V2の時間変化量dVn1~dVn5は正の値である。そのため、第3スイッチS3のオンオフが継続され、第2充放電期間Tpnが継続される。第3スイッチS3のオンオフ回数が6回目の期間において、算出された第2電圧V2の時間変化量dVn6は0である。そのため、第3スイッチS3がオフされ、第2充放電期間Tpnが停止される。この場合、正極側容量Cpの充電及び負極側容量Cnの放電が完了しているため、その後の検出電圧Vrは一定となる。そのため、第2残余期間だけ経過した後、適切な第2電圧V2が検出される。
本実施形態において、第1実施形態と同様の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
第1期間T1において、第1電圧V1の時間変化量dVpが0とされるまで、第1充放電期間Tppが継続される。これにより、第1期間T1中に、正極側容量Cpの放電及び負極側容量Cnの充電が完了し、適切な第1電圧V1が検出される。また、第2期間T2において、第2電圧V2の時間変化量dVnが0とされるまで、第2充放電期間Tpnが継続される。これにより、第2期間T2中に、正極側容量Cpの充電及び負極側容量Cnの放電が完了し、適切な第2電圧V2が検出される。その結果、適切な第1,第2電圧V1,V2が検出されるまでに要する時間を短縮することができる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnの設定に、第1,第2電圧V1,V2の時間変化量dVp,dVnが用いられることに代えて、急速充放電経路L3に流れる電流が用いられる。
図16に、本実施形態に係る漏電判定装置20の構成を示す。図16において、先の図1に示した構成については、便宜上、同一の符号を付している。
漏電判定装置20は、電流センサ71、増幅器72及びフィルタ73を備えている。電流センサ71は、急速充放電経路L3のうち第4抵抗体51と、第3スイッチS3との間に設けられている。電流センサ71は、例えばホール素子を備える電流センサのように、急速充放電経路L3と非接触で電流を検出可能なものである。電流センサ71には、定電圧源34から増幅器72を介して電圧が供給される。電流センサ71によって検出された電圧が、フィルタ73を介して制御装置40に入力される。制御装置40は、入力された電圧に基づいて、急速充放電経路L3に流れる電流を検出する。
制御装置40は、電流センサ71の検出電流Irに基づいて、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が完了するのに適切な第1,第2充放電期間Tpp,Tpnを設定する。
本実施形態では、検出電流Irに基づいて、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが設定される。これにより、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が完了するのに適切な第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが設定される。このため、第1期間T1において適切な第1電圧V1を検出することができ、第2期間T2において適切な第2電圧V2を検出することができる。その結果、第1電圧V1及び第2電圧V2の検出精度を向上することができる。
本実施形態においても、正極側容量Cpの充放電及び負極側容量Cnの充放電が、共通の第4抵抗体及び第3スイッチS3により行われるため、第1実施形態と同様に、漏電判定装置20のスイッチの数を低減することができる。
以上より、本実施形態によれば、漏電判定装置20の部品数を低減しつつ、第1,第2電圧V1,V2の検出精度を向上することができる。
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、漏電判定装置20の構成が変更される。
図17に示すように、漏電判定装置20はDCDCコンバータ80を備えている。本実施形態において、DCDCコンバータ80は、非絶縁型コンバータである。図17において、先の図1に示した構成については、便宜上、同一の符号を付している。DCDCコンバータ80は、第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2を備えている。第1ダイオードD1は、第1スイッチS1に並列接続されており、アノードが接続点Mに接続され、カソードが第1外部端子P1に接続される。第2ダイオードD2は、第2スイッチS2に並列接続されており、アノードが第2外部端子P2に接続され、カソードが接続点Mに接続される。
DCDCコンバータ80は、第4抵抗体51に代えて、リアクトルLxを備えている。ここで、リアクトルLxのインピーダンスは、第1抵抗体31及び第2抵抗体32の合成インピーダンスよりも小さい。本実施形態において、リアクトルLxが「充放電用素子」に相当する。
DCDCコンバータ80は、電流センサ71を備えている。電流センサ71は、急速充放電経路L3のうち第3スイッチS3と、接続点Mとの間に設けられている。本実施形態において、電流センサ71は非接触で急速充放電経路L3に流れる電流を検出可能なものであり、電流センサ71の検出電流Irは制御装置40に入力される。検出電流Irの符号は、第3スイッチS3からリアクトルLxへと向かうに流れる場合を正とする。
図18は、対地静電容量へ電荷が充電される場合において、対地静電容量の電流及び電圧の推移を示す図である。図18において、(a)が対地静電容量に流れる通電電流Iの推移を示し、(b)が対地静電容量の電圧Vの推移を示す。図18(a),(b)では、第1実施形態における対地静電容量の通電電流Icr及び電圧Vcrの推移を実線で示し、本実施形態における対地静電容量の通電電流Icl及び端子間電圧Vclの推移を破線で示す。
第1実施形態に係る構成では、対地静電容量の充電開始直後において、通電電流Icrは最大値Imaxとされるが、その後漸減する。そのため、電圧Vcrの上昇速度が徐々に低下する。この場合、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が完了するまでに要する時間が長くなる。
そこで、本実施形態では、通電電流Iclを一定値に維持するための構成として、DCDCコンバータ80が備えられている。これにより、電圧Vclが目標電圧V*に到達するまでの時間を短縮することができる。
次に、DCDCコンバータ80の制御について説明する。
制御装置40は、第1充放電期間Tppにおいて、検出電流Irを正の目標電流に制御すべく、第1スイッチS1をオンオフし、第2スイッチS2をオフし、第3スイッチS3をオンする。また、制御装置40は、第2充放電期間Tpnにおいて、検出電流Irを負の目標電流に制御すべく、第1スイッチS1をオフし、第2スイッチS2をオンオフし、第3スイッチS3をオンする。
図19に、第1,第3スイッチS1,S3がオンされ、第2スイッチS2がオフされた場合に形成される各電流経路I1,I2を示す。第1電流経路I1は、正極側容量Cp→第1スイッチS1→第3スイッチS3→リアクトルLxからなる電流経路である。第2電流経路I2は、負極側容量Cn→第2ダイオードD2→第3スイッチS3→リアクトルLxからなる電流経路である。これにより、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。
図20に、第2,第3スイッチS2,S3がオンされ、第1スイッチS1がオフされた場合に形成される各電流経路I3,I4を示す。第3電流経路I3は、正極側容量Cp→リアクトルLx→第3スイッチS3→第1ダイオードD1からなる電流経路である。第4電流経路I4は、負極側容量Cn→リアクトルLx→第3スイッチS3→第2スイッチS2からなる電流経路である。これにより、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。
図21に、制御装置40が実施する制御の一例を示す。図21において、(a)は第1スイッチS1の駆動状態を示し、(b)は第2スイッチS2の駆動状態を示し、(c)は第3スイッチS3の駆動状態を示し、(d)は検出電流Irの推移を示し、(e)は検出電圧Vr及び理想電圧Vdの推移を示す。図21(e)では、検出電圧Vrの推移を実線で示し、理想電圧Vdの推移を一点鎖線で示す。
第1充放電期間Tppにおいて、第1スイッチS1がオンオフされ、第2スイッチS2がオフされ、第3スイッチS3がオンされる。第1充放電期間Tppのうち第1スイッチS1がオンされる期間において、図19に示した各電流経路I1,I2が形成され、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。これにより、検出電流Irが正の目標値に制御される。その結果、第1充放電期間Tppの継続時間を短縮することができる。第1充放電期間Tppの継続時間は、例えば第1期間T1における検出電流Irの目標値に応じて設定されればよい。
第2充放電期間Tpnにおいて、第1スイッチS1がオフされ、第2スイッチS2がオンオフされ、第3スイッチS3がオンされる。第2充放電期間Tpnのうち第2スイッチS2がオンされる期間において、図20に示した各電流経路I3,I4が形成され、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。これにより、検出電流Irが負の目標値に制御される。その結果、第2充放電期間Tpnの継続時間を短縮することができる。第2充放電期間Tpnの継続時間は、例えば第2期間T2における検出電流Irの目標値に応じて設定されればよい。
本実施形態において、検出電流Irが目標値に維持される。これにより、正極側容量Cp及び負極側容量Cnに流れる電流も一定値に維持される。その結果、正極側容量Cp及び負極側容量Cnの充放電が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
<第4実施形態の変形例1>
電流センサ71は、急速充放電経路L3に非接触で電流を検出可能なものに限られず、急速充放電経路L3に直接取り付けられるシャント抵抗を備えるものであってもよい。シャント抵抗を備える構成の一例を図22に示す。
図22に示すように、漏電判定装置20は、シャント抵抗Rs及び差動増幅回路90を備えている。シャント抵抗Rsは、一端が第3外部端子P3に接続され、他端がリアクトルLxに接続されている。差動増幅回路90は、オペアンプ91と、抵抗体92~95と、定電圧源96を備えている。差動増幅回路90の出力電圧は、制御装置40に入力される。制御装置40は、差動増幅回路90からの入力電圧が、制御装置40に入力可能な電圧範囲(例えば0~5V)に収まるように、シャント抵抗Rsに流れる電流の方向に基づいて基準電圧を設定し、設定した基準電圧を0Vとして、差動増幅回路90からの入力電圧を検出する。なお、図22には、定電圧源96の出力電圧をVdc2で示している。
<第4実施形態の変形例2>
DCDCコンバータ80は、非絶縁型コンバータに限られず、絶縁型コンバータであってもよい。図23に示すように、DCDCコンバータ80は、第6,第7スイッチS6,S7、第3,第4ダイオードD3,D4及びトランス81を備えている。トランス81は、第1コイル82及び第2コイル83を有している。第1,第2コイル82,83のインピーダンスは、第1抵抗体31及び第2抵抗体32の合成インピーダンスよりも小さい。本実施形態において、第1,第2コイル82,83が「充放電用素子」に相当する。
第1コイル82の第1端は、第1外部端子P1及び第1スイッチS1の間に接続されている。第1コイル82の第2端は、第6スイッチS6の一端に接続されている。第6スイッチS6の他端は第3外部端子P3に接続されている。第3ダイオードD3は、第6スイッチS6に対して並列接続されており、アノードが第3外部端子P3に接続され、カソードが第1コイル82の第2端に接続される。
第2コイル83の第1端は、第3外部端子P3に接続されている。第2コイル83の第2端は、第7スイッチS7の一端に接続されている。第7スイッチS7の他端は、第2外部端子P2及び第2スイッチS2の間に接続されている。第4ダイオードD4は、第7スイッチS7に対して並列接続されており、アノードが第2外部端子P2及び第2スイッチS2の間に接続され、カソードが第2コイル83の第2端に接続されている。
第1コイル82及び第2コイル83は、例えばトランス81が備えるコアを介して、互いに磁気結合する。第1コイル82の第1端に対する第2端の電位が高くなる場合、第2コイル83には、第2端よりも第1端の電位が高くなるような誘起電圧が発生する。一方、第1コイル82の第2端に対する第1端の電位が高くなる場合、第2コイル83には、第1端よりも第2端の電位が高くなるような誘起電圧が発生する。
制御装置40は、第1充放電期間Tppにおいて、第6スイッチS6をオンオフ制御する。これにより、正極側容量Cpが放電され、負極側容量Cnが充電される。一方、制御装置40は、第2充放電期間Tpnにおいて、第7スイッチS7をオンオフ制御する。これにより、正極側容量Cpが充電され、負極側容量Cnが放電される。第6,第7スイッチS6,S7の1スイッチング周期におけるオンオフ比を制御することにより、検出電流Irを一定値に維持することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第1実施形態において、ステップS100では、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnの初期値が0とされたが、これに限られない。正常な各地絡抵抗Rp,Rnの抵抗値が既知である場合、第1,第2電圧V1,V2を予想できる。また、正極側容量Cpの静電容量及び負極側容量Cnの静電容量が既知である場合、第4抵抗体51との時定数も計算できる。よって、これらのパラメータに基づいて、第1,第2充放電期間Tpp,Tpnを算出し、初期値として用いてもよい。この場合、適切な第1,第2充放電期間Tpp,Tpnが設定されるまでの期間を短縮することができる。
・第1実施形態において、図10のステップS105の処理は第3スイッチS3のオフへの切替タイミングに実施し、ステップS107の処理は第1スイッチS1のオフへの切替タイミングに実施してもよい。この場合、ステップS118で用いられる第1待機時間Δt1は、第1期間T1から第1充放電期間Tppを除いた期間とされればよい。
・第1実施形態において、ステップS114の処理は第3スイッチS3のオフへの切替タイミングに実施し、ステップS116の処理は第2スイッチS2のオフへの切替タイミングに実施してもよい。この場合、ステップS118で用いられる第2待機時間Δt2は、第2期間T2から第2充放電期間Tpnを除いた期間とされればよい。
第2実施形態において、ステップS209の処理及びステップS223の処理では、同一の所定値kを用いたが、これに限られない。ステップS209では、第1電圧V1の時間変化量dVpが第1所定値k1よりも小さいか否かを判定し、第2電圧V2の時間変化量dVnが第1所定値k1と異なる第2所定値k2よりも小さいか否かを判定してもよい。
・蓄電池10は組電池に限らず、単電池であってもよい。
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10…蓄電池、20…漏電判定装置、31~33…第1~第3抵抗体、40…制御装置、51…第4抵抗体、L1…正極側経路、L2…負極側経路、L3…急速充放電経路、G1…接地部、S1~S3…第1~第3スイッチ。

Claims (5)

  1. 直流電源(10)と接地部(G1)との間における漏電の有無を判定する漏電判定装置(20)において、
    前記接地部に一端が接続された検出用抵抗部(31~33)と、
    オンすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の正極端子との間を導通状態にし、オフすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の正極端子との間を遮断状態にする第1スイッチ(S1)と、
    オンすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の負極端子との間を導通状態にし、オフすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記直流電源の負極端子との間を遮断状態にする第2スイッチ(S2)と、
    前記接地部と前記検出用抵抗部の他端とを接続する充放電経路(L3)と、
    前記充放電経路に設けられ、前記検出用抵抗部よりも小さいインピーダンスの充放電用素子(51,81,82,Lx)と、
    前記充放電経路に設けられ、オンすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記接地部との間を導通状態にし、オフすることにより前記検出用抵抗部の他端と前記接地部との間を遮断状態にする第3スイッチ(S3)と、
    前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチのオン又はオフを切り替える制御部(40)と、
    前記第1スイッチがオンされるとともに前記第2スイッチがオフされる第1期間における前記検出用抵抗部の電圧である第1電圧と、前記第2スイッチがオンされるとともに前記第1スイッチがオフされる第2期間における前記検出用抵抗部の電圧である第2電圧とを取得し、取得した前記第1電圧及び前記第2電圧に基づいて、前記漏電の有無を判定する判定部(40)と、を備え、
    前記制御部は、前記第1期間の一部において前記第3スイッチをオンし、前記第2期間の一部において前記第3スイッチをオンし、
    前記判定部は、前記第1期間のうち前記第3スイッチのオン期間の終了後の前記第1電圧を取得し、前記第2期間のうち前記第3スイッチのオン期間の終了後の前記第2電圧を取得する漏電判定装置。
  2. 前記判定部は、前記第1電圧及び前記第2電圧を各制御周期において取得し、
    前記制御部は、
    今回の制御周期において取得した前記第1電圧の時間変化量よりも、次回の制御周期における前記第1電圧の時間変化量が小さくなるように、次回の制御周期における前記第1期間に含まれる前記第3スイッチのオン期間を設定し、
    今回の制御周期において取得した前記第2電圧の時間変化量よりも、次回の制御周期における前記第2電圧の時間変化量が小さくなるように、次回の制御周期における前記第2期間に含まれる前記第3スイッチのオン期間を設定する請求項1に記載の漏電判定装置。
  3. 前記制御部は、
    前記第1期間において前記第3スイッチのオンオフを繰り返し、前記第1期間のうち前記第3スイッチがオフされる期間における前記第1電圧の時間変化量を算出し、算出した前記第1電圧の時間変化量が第1所定値以下となった場合に前記第3スイッチをオフにし、
    前記第2期間において前記第3スイッチのオンオフを繰り返し、前記第2期間のうち第3スイッチがオフされる期間における前記第2電圧の時間変化量を算出し、算出した前記第2電圧の時間変化量が第2所定値以下となった場合に前記第3スイッチをオフにする請求項1に記載の漏電判定装置。
  4. 前記充放電用素子は、リアクトル(Lx)であり、
    前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのスイッチング制御により、前記直流電源の正極端子と前記接地部との間に存在する正極側容量と、前記直流電源の負極端子と前記接地部の間に存在する負極側容量との間において電力の授受を行うDCDCコンバータ(80)を備え、
    前記制御部は、前記第3スイッチのオン期間において、前記DCDCコンバータの入出力電流を制御する請求項1~3のいずれか一項に記載の漏電判定装置。
  5. 前記制御部は、
    前記第1期間のうち、前記第3スイッチのオン期間において前記正極側容量から前記負極側容量へと放電すべく前記第1スイッチのスイッチング制御を行い、その後第3スイッチをオフし、
    前記第2期間のうち、前記第3スイッチのオン期間において前記負極側容量から前記正極側容量へと放電すべく前記第2スイッチのスイッチング制御を行い、その後第3スイッチをオフすることにより、前記入出力電流を制御する請求項4に記載の漏電判定装置。
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