JP2022061351A - 繊維強化成形体の製造方法 - Google Patents

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【課題】繊維含有率の高い繊維強化成形体を得ることができる繊維強化成形体の製造方法を提供する。【解決手段】本方法は、強化繊維を含んだ芯材と、芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体1の製造方法であって、芯材となる繊維集合体14を、ワックスを構成成分とする中型20の周面に沿わせて配置する配置工程と、繊維集合体14の配置状態を維持して型25を締める型締め工程と、型25内へマトリックス樹脂となる前駆樹脂155を充填する充填工程R3と、ワックスを加熱により膨張させる膨張工程R4と、前駆樹脂155をマトリックス樹脂へ転換する転換工程R5と、を備える。また、中型20は、中子21又はキャビティの内壁とすることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、強化繊維を含んだ芯材と、芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法に関する。
従来、繊維強化成形体を製造する方法として、RTM(Resin Transfer Molding)法やVaRTM(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)法等が知られている(特許文献1参照)。これらは、強化繊維を含んだ織物を成形型のキャビティに配置したうえで、キャビティ内に未硬化樹脂を注入して、織物に未硬化樹脂を含浸させた後、未硬化樹脂を硬化させて繊維強化成形体を得る方法であり、VaRTM法は、上記のなかでも、未硬化樹脂の含浸を補助するためにキャビティ内を脱気する操作を伴う点でRTM法と異なる。
特開2015-186884号公報
上述のようなRTM法及びVaRTM法等のRTM系製法は、量産に適するというメリットがあるが、繊維強化成形体内の繊維含有率を上げ難いという問題を有する。一般に、繊維強化成形体は、繊維含有率を高めることで、質量あたりの機械特性を高くすることができる。RTM系製法でいえば、キャビティ内へ充填する繊維量を増やすことで、繊維含有率を向上させることができることになる。
しかしながら、充填繊維量は、現状で最大化されており、これ以上に増やすことが難しいという実情がある。即ち、RTM系製法では、成形型内の空隙を樹脂(マトリックス樹脂となる)へ置換するものであるため、樹脂漏れや圧抜けを防止するために正常な型閉じを要する。このため、キャビティからはみ出さないよう、繊維を充填する必要がある。一方で、上述した織物など、繊維強化成形体内において芯材となる繊維集合体は、繊維が集合されて形成されているため、中実なプラスチック板等と異なり、見掛け体積が大きく、体積は可変である。つまり、圧縮によって一時的に減容できても、圧縮を解けば元の体積へ戻る性質を有する。このため、キャビティから繊維がはみ出さないようにしつつ、繊維集合体を減容状態でキャビティ内へ充填することは極めて困難な状況がある。従って、現状で行われているように、自然な状態の見掛け体積のまま繊維集合体をキャビティへ充填する他無く、現状以上に繊維含有率の高い多い繊維強化成形体を得ることが困難な状況がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、繊維含有率の高い繊維強化成形体を得ることができる繊維強化成形体の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、上記問題を解決するために、本発明は以下に示される。
[1]本発明の繊維強化成形体の製造方法は、強化繊維を含んだ芯材と、前記芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法であって、
前記芯材となる繊維集合体を、ワックスを構成成分とする中型の周面に沿わせて配置する配置工程と、
前記繊維集合体の前記配置状態を維持して型を締める型締め工程と、
前記型内へ前記マトリックス樹脂となる前駆樹脂を充填する充填工程と、
前記ワックスを加熱により膨張させる膨張工程と、
前記前駆樹脂を前記マトリックス樹脂へ転換する転換工程と、を備えることを要旨とする。
[2]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型を、中子、又は、キャビティの内壁にすることができる。
[3]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型を、中子にして、
前記型締め工程を、前記繊維集合体が配置された前記中子の周囲を外型で覆って型締めを行う工程にすることができる。
[4]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型を、キャビティの内壁にして、
前記型締め工程を、前記キャビティを閉じて型締めする工程にすることができる。
[5]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、前記繊維集合体の厚みを収容する凹部を前記周面に有することができる。
[6]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、前記繊維集合体に設けられた貫通孔に係合する凸部を前記周面に有することができる。
[7]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記配置工程は、前記中型の前記周面に沿わせた前記繊維集合体の外表面側から前記中型へ向けて係止具を打ち込んで行うことができる。
[8]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記繊維集合体は、前記強化繊維を含む連続繊維を束ねた繊維束と、前記繊維束が縫着された基層と、を有し、
前記繊維束が、前記基層上に複列に並ぶように縫着された帯状部を有することができる。
[9]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型が、中子であって、
前記配置工程は、前記帯状部を、前記中子の前記周面に巻き付けるように沿わせる工程を含むことができる。
[10]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記繊維強化成形体は、隣り合った2つの補強孔H及び補強孔Hを含む、補強構造を形成するための複数の補強孔を有し、
前記補強孔Hの開口面と、前記補強孔Hの開口面と、が互いに異なる平面に属するものにすることができる。
本発明の繊維強化成形体の製造方法によれば、RTM系製法に伴うメリットを享受しつつ、従来に比べて、繊維含有率の高い繊維強化成形体を得ることができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
繊維強化成形体の製造方法の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の製造方法の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の製造方法の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の製造方法の一例を説明する説明図である。 外型及び中型のバリエーションを説明する説明図である。 外型及び中型のバリエーションを説明する説明図である。 凹部を有する中型のバリエーションを説明する説明図である。 配置工程の他例を説明する説明図である。 縫着型の繊維集合体の縫着態様を説明する説明図である。 縫着型の繊維集合体の縫着態様を説明する説明図である。 縫着型の繊維集合体の縫着態様を説明する説明図である。 繊維強化成形体の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の他例を説明する説明図である。
ここで示される事項は、例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
尚、図9(b)では、縫糸175を図示するが、その他の図では煩雑になるため縫糸175の図示を省略する。また、例えば、図面における図1内の(a)図は、明細書内において図1(a)又は図1aと記載する。
本発明の繊維強化成形体の製造方法は、強化繊維(12)を含んだ芯材(13)と、芯材(13)が埋設されたマトリックス樹脂(15)と、を有する繊維強化成形体(1)の製造方法である(図1~図4及び図15参照)。
この製造方法は、配置工程(R1)、型締め工程(R2)、充填工程(R3)、膨張工程(R4)、転換工程(R5)を備える。更に、転換工程(R5)以降に、取出工程(R6)を備えることができる。
上記のうち、配置工程(R1)は、芯材(13)となる繊維集合体(14)を、ワックスを構成成分とする中型(20)の周面(201)に沿わせて配置する工程である。
また、型締め工程(R2)は、繊維集合体(14)の配置状態を維持して型を締める工程である。
更に、充填工程(R3)は、型内へマトリックス樹脂(15)となる前駆樹脂(155)を充填する工程である。
また、膨張工程(R4)は、ワックスを加熱により膨張させる工程である。
更に、転換工程(R5)は、前駆樹脂(155)をマトリックス樹脂(15)へ転換する工程である。
また、取出工程(R6)は、型から繊維強化成形体(1)を取り出す工程である。
[1]配置工程
配置工程R1は、芯材13となる繊維集合体14を、ワックスを構成成分とする中型20の周面201に沿わせて配置する工程である(図1a~図1c、図3a~図3b、図8及び図12参照)。
(1)芯材及び繊維集合体
芯材13は、繊維強化成形体1内において、マトリックス樹脂15を補強する部分であり、繊維の集合体から形成される。即ち、マトリックス樹脂15が、芯材13の内部にまで含浸された状態で転換(硬化、固化等)され、全体として高い強度を有する繊維強化成形体1となっている。従って、マトリックス樹脂15のみからなる樹脂部材に比べ、樹脂内に芯材13が加わることで、繊維強化成形体1は機械的強度が増強されたものとなる。
尚、本明細書では、繊維強化成形体1の一部をなす繊維の集合体を芯材13と称し、繊維強化成形体1が完成される以前の芯材13を繊維集合体14と称する。芯材13と繊維集合体14とは、上述の通り、基本的には同じものであることから、以下では、繊維集合体14を用いて説明するが、芯材13も同様である。
繊維集合体14の形態は限定されない。例えば、不織布、織物、編物及び繊維束(トウ)並びにこれらの複合形態とすることができる。
上記のうち、繊維束17は、連続繊維171を束ねた形態であり、連続繊維171の一部又は全部として強化繊維12が含まれる。尚、繊維束17は、強化繊維12のみから形成されてもよいし、強化繊維以外の他の繊維172を含んでもよい。
また、上記のうち、複合形態は、不織布、織物、編物及び繊維束のうちの2種以上を組合せた形態である。具体的には、繊維束が基層に固定された形態が挙げられる。固定手段は限定されず、例えば、縫着、接着、融着等の手段のうちの1種又は2種以上を採用できる。即ち、繊維集合体14は、繊維束17と、繊維束17が縫着された基層18と、を有し、繊維束17が、基層18上に縫着された形態等とすることができる。繊維束17は、基層18の一面のみに縫着されてもよいし、基層18の両面に縫着されてもよい。
縫着型の繊維集合体14では、基層として、不織布、織物及び編物等のうちの1種又は2種以上を採用できる。即ち、例えば、繊維束17が織物製の基層18に縫着された形態や、繊維束17が不織布製の基層18に縫着された形態が挙げられる(図9~図11参照)。
このように、繊維束17が基層18に縫着された形態の繊維集合体14(以下、この形態の繊維集合体14を「縫着型の繊維集合体」ともいう)(図9~図11参照)では、繊維束17は、縫糸175によって縫着される。縫糸175のどのような繊維を用いてもよい。即ち、後述する強化繊維と同様の繊維を用いてもよく、強化繊維以外の他の繊維を用いてもよい。
また、縫着型の繊維集合体14における基層18は、上記のなかでも、織物が好ましい。織物である場合は、繊維束17を縫着し易いこと、縫着した際の縫糸175に対する拘束が高いこと、基層18として柔軟性に優れること、更には、前駆樹脂を含浸させ易いこと等の利点を有する。基層18が織物である場合、この織物を構成する繊維には、どのような繊維を用いてもよい。即ち、後述する強化繊維と同様の繊維を用いてもよく、強化繊維以外の他の繊維を用いてもよい。
更に、縫着型の繊維集合体14では、通常、基層18の形状が、繊維集合体14の全体概形を決定する。例えば、基層18が帯状部141を有する場合、その形状に応じて、繊維集合体14も帯状部141を有することができる(図1、図2、図8、図9参照)。
尚、縫着型の繊維集合体14では、上述の通り、繊維束17が基層18に縫着された領域(縫着領域)を有することができるが、その他に、繊維束17が基層18に縫着されずに基層18から離間可能に配された領域(非縫着領域)を有することができる。
上述の通り、繊維束17を基層18に固定する手段として縫着を選択した場合、縫糸175のテンションにより、繊維束17の拘束の程度を自在に制御できる。従って、基層18に対して繊維束17を強固に固定しながら、繊維束17の可動性(基層18に対する可動性、及び/又は、繊維束17同士の間の可動性)を、繊維束を製織してなる織布等と比較してより多く確保できる。その結果、例えば、縫着領域における繊維集合体14の柔軟性を高く保つことができる。
更に、縫着領域において、繊維束17は、どのように縫着してもよいが、基層18に対して複列に並ぶように平面状に配置することができる。より具体的には、所定面を埋めるように複数本の繊維束17を引き揃えて縫着(図10a参照)することができる。更に、繊維束17を折りたたんで所定面を埋めるように縫着することができる。より具体的には、1本の繊維束17を蛇腹状に折り畳んで配置(図10b参照)することができる。また、螺旋状(円螺旋、多角形螺旋等)に巻回することによって折り畳んで配置(図10c参照)することができる。これらの縫着態様は、1種のみを用いてよく2種以上を併用してもよい。また、当然ながら、これら以外の縫着態様を利用できる。
また、繊維束17の縫着は、基層18に対して1層となるように敷き詰めて縫着(図11a参照)してもよいし、2層以上となるように複層に敷き詰めて縫着(図11b及び図11c参照)してもよい。更に、基層18の表裏に各々敷き詰めて縫着してもよい。また、2層以上に敷き詰めて縫着する場合や、表裏に敷き詰めて縫着する場合には、一層を構成する繊維束17の配列方向と、隣接される他層を構成する繊維束17の配列方向と、は平行に配置してもよいが、配列方向が異なるように、交差させて配置(図11b及び図11c参照)できる。この場合、交差角度は90度以下(0度<θ≦90度)にすることができる。
更に、前述の通り、芯材13は強化繊維12を含む。即ち、繊維集合体14も強化繊維12を含んでいる。繊維集合体14は、どの部分に強化繊維12を含んでもよい。即ち、例えば、縫糸175として強化繊維12を含んでもよいし、基層18として強化繊維12を含んでもよいが、とりわけ、繊維束17として強化繊維12を含むことが好ましい(図9b参照)。
強化繊維12は、通常の繊維に比べて機械的強度に優れる繊維であり、例えば、JIS L1015による引張強さにおいて7cN/dtex以上(通常50cN/dtex)を有する繊維が好ましい。
強化繊維12は、無機材料からなる繊維であってもよく、有機材料からなる繊維であってもよく、これらを併用した繊維であってもよい。無機材料繊維としては、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、ガラス繊維、金属繊維などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、有機材料繊維としては、芳香族ポリアミド樹脂繊維(パラ型アラミド:商品名「ケブラー」、商品名「トワロン」、商品名「テクノーラ」等、メタ型アラミド:商品名「ノーメックス」、商品名「コーネックス」等)、ポリベンズアゾール樹脂繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、商品名「ザイロン」等)、芳香族ポリエステル樹脂繊維(商品名「ベクトラン」等)、高強度ポリエチレン樹脂繊維(商品名「ダイニーマ」)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、強化繊維12の繊維形態は限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、これらの併用形態であってもよいが、これらのなかでは、フィラメントヤーンであることが好ましい。更に、強化繊維12は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよく、これらを併用してもよい。
繊維集合体14は、構成繊維の全てが強化繊維12からなってもよいし、部分的に強化繊維12を含んでもよい。強化繊維12による構成率は限定されないが、繊維集合体14をなす全構成繊維100質量%に対し、強化繊維12の含有割合は、50質量%以上(100質量%でもよい)にすることができ、75質量%以上にすることができ、90質量%以上にすることができる。即ち、繊維集合体14が、強化繊維以外の他繊維を含む場合、構成繊維全体を100質量%とした場合に、他繊維は50質量%未満(1質量%以上)にすることができ、25質量%未満にすることができ、10質量%未満にすることができる。
強化繊維12以外の他繊維の構成材料は限定されず、上述した強化繊維以外の繊維を利用できる。具体的には、各種の樹脂繊維及び植物性繊維等を用いることができ、このうち樹脂繊維を構成する樹脂として、ポリアミド(脂肪族ポリアミド等)、ポリエステル(芳香族ジカルボン酸由来の構成単位を有するポリエステル等)等を利用できる。また、植物繊維としては、綿繊維及び麻繊維等を用いることができる。
また、他繊維の繊維形態も限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、これらの併用形態であってもよい。
また、繊維束17は、どのように束化されていてもよい。複数の連続繊維が単に引き揃えただけの状態であってもよいし、糸(束化用の糸)を用いて複数の連続繊維が結束されていてもよいし、接着剤、粘着剤、熱融着剤等の他剤を介して連続繊維同士が結着されて束化されていてもよく、更に、その他の方法によって束化されてもよい。
1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数は限定されず、例えば、3000本以上とすることができる。繊維束17を構成する連続繊維の本数が3000本以上であることにより、柔軟でありながら繊維集合体14及び芯材13として優れた強度を発揮させることができる。この本数は限定されないが、例えば、3000本以上100000本以下とすることができ、更に5000本以上70000本以下とすることができ、更に7000本以上50000本以下とすることができ、更に10000本以上30000本以下とすることができる。
また、繊維束17を扱う際の作業性を考慮した場合、1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数が多い繊維束(太束)を用いることができる。この場合、1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数は、例えば、30000本以上とすることができ、更に40000本以上とすることができ、更に60000本以上とすることができる。一方、1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数は、例えば、1500000本以下、更に1000000本以下とすることができる。
(2)中型
中型20は、型27の内側に配置される部材であり、繊維集合体14を周面201に沿わせて配置するための部材である。
中型20としては、具体的には、中子21(図1~図2参照)や、キャビティの内壁22(図3~図4参照)等の態様が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上述のうち、中型20が中子21である場合、結果として、中子21は、繊維集合体14に立体形状を与える部材となる。即ち、通常、繊維集合体14は、平面形状をなしており、中子21の周面201へ沿わせて配置(固定)することで、立体形状を付与できる。そして、転換工程R5において前駆樹脂をマトリックス樹脂15へ転換した後、中子21を除去することにより、繊維強化成形体1を得ることができる。また、中子21に対する外型25としては、特定形状を有した金属製や樹脂製等の定形型を外型25として用いることができる。また、特定形状を有さない(不定形状である、自在形状である)袋状等の不定形型を外型25として用いることができる。袋状の外型25を用いる場合、中子21を袋状の外型25で覆い、必要に応じて袋内を脱気することにより、全体(中子21と外型25との全体)として型27(成形型27)を形成できる(図1、図3及び図5参照)。
上述のうち、中型20がキャビティの内壁22(図3参照)である場合、中型20は、キャビティの内壁の全体を構成してもよいし、キャビティの内壁の一部のみを構成してもよい。また、中型20がキャビティの内壁22である場合、賦形部として、キャビティの内壁22から突出された凸形状(繊維強化成形体1へ凹形状を付与する)を有してもよいし、キャビティの内壁22から凹んだ凹形状(繊維強化成形体1へ凸形状を付与する)を有してもよいし、これらの両方の形状を有してもよい。更に、賦形部は、平面形状を賦形する平面を有してもよい。賦形部が平面形状である場合には、膨張工程のワックス膨張により、繊維集合体14及び前駆樹脂155を平面押圧することができるため、賦形部が平面形状であっても繊維含有率の高い繊維強化成形体を得ることができる。
キャビティの内壁22としては、例えば、型27(成形型27)が、上型271と下型272とを有し、これら上型271と下型272とによって形成されるキャビティの内壁22がワックスを構成成分として形成されている態様が挙げられる(図3参照)。
また、中型20はワックスを構成成分とする。中型20がワックスを構成成分とすることにより、ワックスを膨張させることができる。このため、繊維集合体14への前駆樹脂155の含浸を効率化することができる。更に、必要以上の前駆樹脂155が繊維集合体14へ含浸されないように、前駆樹脂155を押し出すことができる。
即ち、後述する膨張工程R4において、中型20を加熱すると、中型20を構成するワックスが膨張されることによって、中型20が熱膨張される。例えば、ワックスは15℃から35℃へ20℃加熱することで数%の膨張を得ることもできる。これは、一般的な熱可塑性樹脂と比較して数倍~十数倍大きい熱膨張率である。この大きな熱膨張にともない、前駆樹脂155が繊維集合体14へ含浸する際の含浸圧力が高まるため、繊維集合体14への前駆樹脂155の含浸をより効率的に行うことができるようになる。加えて、中型20(中型20が中子21であってもキャビティの内壁22であっても)の膨張により、繊維集合体14及び前駆樹脂155の収容空間(キャビティ)を縮小することができる。縮小された収容空間内において、繊維集合体14の体積は変化されないため、結果的に、前駆樹脂155の絞り出しにより、前駆樹脂155の量を減じることが可能であり、繊維含有率の高い繊維強化成形体を得ることができる。具体的には、例えば、型締め力を高めて(5MPa程、2MPa以上10MPa以下など)、型内に充填された前駆樹脂155を絞り出すことができる。
また、ワックスを構成成分とする中型20を用いることによる利点は更に存在する。以前より、繊維集合体14への前駆樹脂155の含浸を促進するために、型内へ充填する前駆樹脂の充填圧力を高くする方法が知られている。加圧は、型外から行われ、樹脂充填ルートでのみ加圧が可能であるが、型内の全ての空間を前駆樹脂が埋めるまでは、前駆樹脂の流動抵抗が働くため流動箇所により圧力が異なる状況が形成される。このため、得ようとする成形体の形状が複雑になればなるほど、深部にまで均等に加圧することが困難となる状況がある。例えば、小断面ルート(断面積の小さな箇所)では圧力が相対的に高くなり、大断面ルート(断面積の大きな箇所)では圧力が相対的に小さくなってしまう。その一方で、樹脂注入端からより遠い箇所や、小断面ルートでは前駆樹脂の性状変化の影響をより強く受けることになる。即ち、樹脂注入端からは、前駆樹脂の注入を行うため、より長い時間の加圧状態や加温状態(注入樹脂自体の温度)が形成される。これに対して、樹脂充填が早期に完了し易い樹脂注入端からより遠い箇所では、樹脂温度の低下、樹脂体積の低下等を生じ、圧力が低下し易い状況が形成される。また、前駆樹脂が次第に硬化する際には粘度が高くなり、硬化し始めると、結果的に、小断面ルートでは、そのルート断面が更に小さくなる状況を生じる。一方で、充填ルートを増やしたり、上流側における注入圧力や加圧圧力を増大させると、繊維集合体14に対する圧力も高まり、繊維集合体14を構成する繊維が流動し易くなるという問題を生じる。このように、含浸圧力の適切な負荷・コントロールは、複雑な相反関係が存在するため、非常に難しい技術となっている。
この点、ワックスを構成成分とする中型20は、外部からの加圧ではなく、膨張による内部からの加圧を行うことができる。即ち、繊維集合体14により近い位置から直接的に、含浸圧力を高めることができる。従って、中型20が、型の深部に存在すれば、型の深部からでも加圧を行うことができる。また、前駆樹脂155を充填するルートの有無に関わらず圧力を生じさせることができる。従って、外部からの圧力が届き難い形状や箇所における含浸圧力を積極的に形成できる。得ようとする成形体の断面積の影響を受け難く、繊維集合体14が沿って配置された箇所へ直接的に加圧を行うことができる。更に、繊維集合体14を構成する繊維の流動を抑制するために、所定箇所からの圧力を軽減して、その軽減した圧力を内圧で補うこともできる。このような中型20の熱膨張に伴う加圧作用は、従来、利用されている外部からの加圧に変えて利用することもできるし、外部からの加圧と共に利用することもできる。また、注入圧力や型圧力による圧力コントロール以外に、温度を用いた圧力コントロールを行うことが可能となる。このように、ワックスを構成成分とする中型20を用いることは、加圧の自由度を飛躍的に向上させることができるという利点を有する。また、それにより、従来に比べてより均質な加圧を形成し易いという利点を有する。
ワックスは、上述の通り、熱膨張性を有すればよく、種類は問わない。また、ワックスは1種の成分からなってよく2種以上の成分からなってもよい。本発明で用いるワックスは、概要として、常温(例えば25℃)で固体であり、JIS K2235に規定される融点(JIS K2235の融点測定が不能な場合にはJIS K0065に規定される凝固点)が、50℃以上(通常250℃以下)ことが好ましい。更に、後述する通り、取出工程R6において、融点を超える温度へ加熱することにより、溶融されることが好ましい。そして、溶融された場合、液状又はペースト状になることが好ましい。即ち、溶融により、得られる繊維強化成形体から取り外すことができるように溶融されることが好ましい。
ワックスは、天然ワックスでもよく、合成ワックスでもよく、これらの混合物であってもよい。
このうち、天然ワックスには、石油系ワックス、鉱物系ワックス、動物系ワックス、植物系ワックス等が含まれる。
また、石油系ワックスには、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等が含まれる。更に、鉱物系ワックスには、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が含まれる。また、動物系ワックスには、イボタ蝋、蜜蝋、ウールワックス等が含まれる。更に、植物系ワックスには、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋、パームワックス、ライスワックス、植物油水添物(水添ヒマシ油等)、植物油重合物等が含まれる。
一方、合成ワックスには、フィッシャー・トロプシュワックス、合成炭化水素系ワックス、アマイドワックス、極性基付与ワックス等が含まれる。このうち、合成炭化水素系ワックスには、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、塩化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のポリオレフィン系ワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス等のシリコン系ワックス等が含まれる。
また、これらのワックスは、水素添加処理、酸化処理及び/又は塩素化処理等の各種処理がなされたものであってもよい。更には、必要に応じて精製処理(溶剤抽出、蒸留、吸着、ろ過等)がなされていてもよい。
上述の各種ワックスは、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、ワックスは、中型20を構成するために、適度な硬さを有するものであることが好ましい。具体的には、JIS K2235による針入度が、25℃において10以下(0以上)、且つ、35℃において18以下(0以上)であることが好ましい。この針入度は、更に、25℃において8以下(0以上)、且つ、35℃において16以下(0以上)であることがより好ましく、25℃において6以下(0以上)、且つ、35℃において14以下(0以上)であることが特に好ましい。
更に、前述の通り、本発明で用いるワックスは、融点(融点測定が不能な場合には凝固点)は50℃以上(通常250℃以下)であることが好ましいが、より詳しくは、前駆樹脂155の転換温度T(℃)よりも、ワックスの融点T(℃)が25℃以上高温であることが好ましい。前駆樹脂155の転換温度Tは、例えば、前駆樹脂155が、熱硬化性樹脂である場合、硬化開始温度を意味する。また、例えば、前駆樹脂155が、熱可塑性樹脂である場合は、マトリックス樹脂15の融点を意味する。即ち、前駆樹脂155が、硬化開始温度がT(℃)の熱硬化性樹脂である場合、ワックスの融点T(℃)は、T-T(℃)≧25であることが好ましい。ワックスの融点が上記範囲であれば、前駆樹脂155を硬化樹脂へ十分に転換したうえで、中型20を取り外すことができる。この温度相関は、T-T(℃)≧30がより好ましく、T-T(℃)≧40が更に好ましく、T-T(℃)≧50が特に好ましい。一方、T-T(℃)の上限は限定されないが、通常、T-T(℃)≦300であり、T-T(℃)≦200でもよく、更にはT-T(℃)≦150でもよく、更にはT-T(℃)≦100でもよい。
更に具体的には、上記の場合のT(℃)は、50≦T(℃)≦170とすることができ、更には70≦T(℃)≦140とすることができ、更には80≦T(℃)≦120とすることができる。上述の通り、T(℃)≧50であれば、中型20に対して、彫り込み及び/又は切削等の方法により、凹部203、凸部205等を形成し易い(型成形を行うこともできる)。また、係止具207の打ち込みの観点からも適する。
このようなワックスは、適宜、合成することもできるが、例えば、品名「Hi-Mic-2095」(融点101℃、日本精蝋製)、品名「Hi-Mic-1090」(融点88℃、日本精蝋製)、品名「Hi-Mic-1080」(融点84℃、日本精蝋製)、品名「ITOHWAX-J530」(融点143℃、伊藤製油製)、品名「ITOHWAX-J630」(融点143℃、伊藤製油製)、品名「ITOHWAX-J500」(融点114℃、伊藤製油製)、品名「Licowax PE520」(融点117~123℃、クラリアント製)、品名「Licowax PED522」(融点92~97℃、クラリアント製)、品名「Sasolwax H1」(凝固点96~100℃、サゾール製)、「Sasolwax H1N4」(凝固点96~100℃、サゾール製)、「Sasolwax H1N6」(凝固点96~100℃、サゾール製)、「Sasolwax H1N8」(凝固点96~100℃、サゾール製)、「Sasolwax H8」(凝固点96~100℃、サゾール製)、「Sasolwax C105/H105」(凝固点102~108℃、サゾール製)、「Sasolwax Sasobit」(凝固点100~110℃、サゾール製)、「Sasolwax C105/H105」(凝固点102~108℃、サゾール製)、品名「Sasolwax Spray30」(凝固点96~100℃、サゾール製)、品名「Sasolwax Spray105」(凝固点102~108℃、サゾール製)、品名「ハイワックス NL-100」(融点103℃、三井化学製),品名「キャスティングワックス K-724」(融点94℃、加藤洋行製)、精製カルナバワックス(融点80~86℃)等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、ワックスの膨張率は限定されないが、25℃から50℃へと加熱した場合(25℃→50℃)の膨張率は5%以上(通常15%以下)であることが好ましく、更には7~12%であることがより好ましい。また、25℃から80℃へと加熱した場合(25℃→80℃)の膨張率は10%以上(通常30%以下)であることが好ましく、更には12~25%であることがより好ましい。
膨張率は、JIS K7112に規定され、25℃→50℃の膨張率は、25℃における密度をρ25(g/cm)とし、50℃における密度をρ50(g/cm)とすると(ρ25-ρ50)/ρ25×100により算出される。同様に、25℃→80℃の膨張率は、80℃における密度をρ80(g/cm)とすると(ρ25-ρ80)/ρ25×100により算出される。
尚、中型20全体の膨張率は、必要に応じて調整できる。具体的には、ワックスと共に、ワックスより低熱膨張な材料を配合することにより、所望の熱膨張率を得ることができる。低熱膨張材料としては、例えば、ガラス、金属、無機化合物(炭酸カルシウム及び酸化チタン)、鉱物及びセラミックス(雲母、カオリン、タルク、焼成クレー、ケイソウ土)、樹脂(尿素樹脂等)、木材を利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、これらの低熱膨張材料は、粉末状、粒状等で利用できる。
更に、膨張率制御と共に又は単独で、膨張量制御を行うことができる。具体的には、中型20自体の厚みを変化させることにより、膨張量を制御できる。例えば、中型20が凹形状をなす場合に、中型20の側壁より、中型20の底壁を厚く形成すると、左右方向の膨張量より、上下方向の膨張量を大きくすることができる(図7a参照)。また、中型20が凹形状をなす場合に、中型20の側壁内に空隙204を設け、中型20の底壁に空隙を設けないことにより、結果的に、側壁と底壁との厚み差を形成でき、左右方向の膨張量より、上下方向の膨張量を大きくすることができる(図7b参照)。
尚、上記では、例示として、左右方向の膨張量より上下方向の膨張量を大きくする態様を示しているが、当然ながら、所望の方向、部位において行うことができる。
中型20を構成するワックスの量は限定されず、必要とする熱膨張率又は膨張量を得ることができればよいが、例えば、中型全体を100体積%(25℃における体積)とした場合に、30体積%以上(100体積%であってもよい)のワックスを含むことができる。この割合は、更に、50体積%以上にすることができ、更に70体積%以上にすることができ、特に90体積%以上にすることができる。
尚、ワックスを構成する成分として炭化水素を含む場合には、その直鎖状炭化水素の比率を大きくすることにより、溶融時の流動性を向上させることができる。また、炭素数分布をよりシャープにすることで高硬度化することができる。同様に、炭素数分布をよりシャープにすることで感温性を向上させることができる。
中型20は、どのように形成してもよく、種々の立体造形方法を利用できる。例えば、粗塊を切削して必要な形状を得ることができる。また、鋳造により必要な形状を得ることができる。更には、3Dプリンティングにより必要な形状を得ることができる。これらの立体形状は、そのまま中型20として利用してもよいし、得られた造形を手直しした後、再度、型取りして雌型を形成し、次いで、雌型内に中型20となる材料を投入して、雄型としての中型20を得ることもできる(再鋳造)。
上述の通り、中型20はワックスを構成成分とする。このため、取出工程R6において得られた成形体を取り出す際の離型性に優れるというメリットを有する。例えば、マトリックス樹脂15としてエポキシ系樹脂を利用する場合であれば、エポキシ系樹脂は金属に対する接着性が高く、離型に際して、白化や破損を生じる場合がある。本発明においては、構成成分であるワックスが、その表面部に含まれた中型20を用い、中型20の表面がマトリックス樹脂15と接するように用いることで、この問題を低減、又は、防止できる。この作用をより効果的に得るためには、例えば、図5に示すように、外型25の内側にも付属型255(外型に付属した中型)を設けることもできる。
更に、中型20は、ワックスを構成成分とするため、必要に応じて賦形(切削、加熱溶融、加圧、鋳造)を行うことができる。このため、後述する充填工程R3において、充填する前駆樹脂155(マトリックス樹脂15となる)を型内へ供給するためのルート設計の自由度が高いというメリットを有する。即ち、中型20に、前駆樹脂155が流動するための溝や孔等の流動ルート209(図6参照)を容易に、その都度、設けることができる。特に、繊維集合体14が配置された領域を避けた流動ルートを形成することで、前駆樹脂155の流動を早めることができる(繊維集合体14が配置された領域では、繊維集合体14が流動抵抗となるが、専用の流動ルートには流動抵抗がない)。従って、例えば、注入口が少ない外型25を利用する場合であっても、素早く前駆樹脂155を充填することができる。
(3)配置
繊維集合体14を中型20に対して配置する際には、どのような手法を用いてもよいが、例えば、中型20は、繊維集合体14の厚みの一部又は全部を収容する凹部203(図1a及び図3a参照)を周面201に有することができる。凹部203を有することにより、繊維集合体14は、この凹部203へ嵌め込んで配置できる。また、凹部203は、繊維集合体14へ前駆樹脂(未硬化樹脂、溶融樹脂等)を含浸させる際には、繊維集合体14が前駆樹脂の含浸圧力によって移動することを抑制する機能を発揮させることができる。
この凹部203の形状は限定されないが、例えば、中型20の幅方向の厚みWよりも、中型20の深さ方向の厚みDの方が厚い凹部にすることができる(図7a~図7c参照)。このような凹部では、膨張工程R4において、中型20の幅方向よりも、中型20の深さ方向への圧力を高めることができる。即ち、繊維集合体14の繊維の積層方向(繊維集合体14の厚み方向)への圧力を高めることができるため、前駆樹脂155が含浸された繊維集合体14を厚さ方向へ押し潰すことができる。これにより、繊維集合体14の繊維の積層方向の間隙を縮小し、繊維集合体14に含浸される必要以上の前駆樹脂155を系外へ押し出すことができる。その結果、繊維含有率の高い繊維強化成形体を得ることができる。
尚、図7(a)に示すように、上述の厚みWは、W又はWのいずれか一方の厚みWと厚みDとの相関を示す。また、図7(b)に示すように、中型20に対して空隙204(スリット等)を設けることによって膨張量を低減することもできる。この場合、厚みWは、空隙204(スリット等)を除いた実際の厚みを意味する(図7b参照)。更に、図7cに示すように、中型20の幅方向の厚みWは無くす(0mmにする)こともできる。
また、中型20は、繊維集合体14に設けられた貫通孔143(図1b参照)に係合する凸部205(図1a参照)を周面201に有することができる。凸部205を有することにより、繊維集合体14に設けられた貫通孔143を凸部205へ嵌め込んで配置(固定)できる。また、凸部205は、繊維集合体14へ前駆樹脂(未硬化樹脂、溶融樹脂等)を含浸させる際には、繊維集合体14が樹脂の含浸圧力によって移動することを抑制する機能を発揮させることができる。
更に、中型20の周面201に沿わせた繊維集合体14の外表面側から中型20へ向けて係止具207(図8b参照)を打ち込むことによって配置(固定)することができる。具体的には、(1)コの字、Uの字、Lの字などの型をなした係止具、(2)画鋲、釘及びビス等のように幅広な係止部を有する係止具などの各種の係止具207を中型20へ打ち込んで繊維集合体14を周面201へ配置(固定)することができる。上記(1)としては、例えば、ステープラ、ホチキス、紙綴器等と称される装置を利用できる。これらの係止具207も、繊維集合体14へ前駆樹脂を含浸させる際には、繊維集合体14が樹脂の含浸圧力によって移動することを抑制する機能を発揮できる。
また、配置工程R1では、繊維集合体14を、中型20の周面201に沿わせて配置(固定)する。沿わせることで、中型20の膨張性及び離型性の両方を享受できる。即ち、中型20の周面201に沿わせて繊維集合体14を配置することにより、繊維集合体14と周面201とが接することになり、膨張工程R4におけるワックスの膨張を繊維集合体14(前駆樹脂155が含浸された繊維集合体14)に対して直に作用させることができる。また、取出工程R6において、繊維強化成形体1を中型20から離型し易くすることができる。
更に、繊維集合体14が帯状部141を有し、中型20が、帯状部141を収容する溝部(凹形状部)を有する場合、配置工程R1では、溝部へ帯状部141を収容することができる。この態様は、中型20が、中子21であるか、内壁22であるかを問わない。
また、繊維集合体14が帯状部141を有し、中型20が中子21である場合、配置工程R1では、帯状部141を、中型20の周面201に巻き付けるように沿わせることができる。中型20が中子21である場合、中子21へ帯状部141を巻き付けることにより、自由度の高い形状設計が可能となる。即ち、帯状部141を有さない平面形状の繊維集合体14を中子21へ巻き付けると、繊維集合体14は、筒形状にしか立体化することはできない。これに対して、帯状部141を有する繊維集合体14を中子21へ巻き付ける場合は、筒形状に加えて、螺旋形状や分岐形状等、自在な形状へと賦形することができる。このため、骨格構造等を容易に形成できる。例えば、中子21が立方体形状である場合、中子21は、その周面201として6面の正方形を有する。平面形状の繊維集合体14を用いると、これら6面の全てを通るように繊維集合体14を巻回することができないが、帯状部141を有する繊維集合体14では、リボンを掛ける要領により、6面の全てを通る骨格形状を形成できる。
同様に、本方法では、無端状で三次元的に連なった帯状部を有する繊維強化成形体1、リング状部、環状部及び開口部のうちの少なくともいずれかを有する繊維強化成形体1、湾曲されたねじれ面を有する帯状部を備えた繊維強化成形体1、立体的に異なる方向へ分岐された帯状分岐部を備えた繊維強化成形体1(図8参照)等の製造に適する。特に、第1分岐部141aと第2分岐部141bとを有する帯状分岐部を備えた繊維集合体14を用いる場合には、各々の分岐部を中型20の異なる周面201(第1面201a及び第2面201b)へ配置(固定)することができる。
[2]型締め工程
型締め工程R2は、繊維集合体14の配置状態を維持して型27を締める工程である(図1d~図1e、図3b~図3c、図5参照)。
即ち、例えば、中型20が、中子21である場合、繊維集合体14が配置された中子21の周囲を外型25で覆って型締めを行う工程とすることができる。外型25としては、特定形状を有する金属製や樹脂製等の定形型を外型25として用いることができる。
外型25として、特定形状を有する定形型を用いる場合、型を必要に応じて分割することができる。例えば、図1dにおいては、上型と下型とに分割された態様を例示している。分割態様はこれに限定されるものではない。また、必要に応じて可動型を備えることもできる。更に、必要に応じて、型締めした後に、型内を脱気することができる。この場合、外型25に脱気口251(図1~図4参照)を設けることにより、脱気口251を通じて脱気を行うことができる。
また、外型25としては、特定形状を有さない(不定形状である、自在形状である)袋状等の不定形型を外型25として用いることができる。この不定形型としては、例えば、樹脂製の袋が挙げられる。袋状の外型25を用いる場合、中子21を袋状の外型25で覆い、全体(中子21と外型25との全体)として型27(成形型27)を形成できる(図1、図3及び図5参照)。即ち、外型25が、不定形の袋状である場合、型締め工程R2は、繊維集合体14が配置(固定)された中型20の周面201を外型25で覆う工程となることから、外型配設工程と換言できる。中子21を袋状の外型25で覆った後は、必要に応じて袋内を脱気することができる。脱気により中子21と外型25とを密着させることができる。
更に、例えば、中型20が、キャビティの内壁22(図3参照)である場合、このキャビティを備えた型27を閉じて型締めを行うことができる。即ち、例えば、型27が、上型271と下型272とを有し、これら上型271と下型272とによって形成されるキャビティの内壁22が中型20とされている場合、上型271と下型272とを閉じて型締めを行うことができる。
[3]充填工程
充填工程R3は、型27内へマトリックス樹脂15となる前駆樹脂155を充填する工程である。即ち、例えば、中型20が中子21である場合、外型25と中子21との間隙へ前駆樹脂155を充填する工程である(図2e~図2f、図4d~図4e参照)。
マトリックス樹脂15は、芯材13を埋設する樹脂である。より具体的には、芯材13の内部に行きわたるように、前駆樹脂155の状態において含浸されて転換(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。
マトリックス樹脂15の種類(前駆樹脂155の種類)は限定されず、種々の樹脂を利用できる。即ち、硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂を用いてもよく、これらを併用してもよい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(硬化性ポリエステル樹脂)、ウレタン樹脂等が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂)、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、樹脂種に関わりなく、本発明の方法は、より低温で硬化される前駆樹脂155を用いる場合に特に有用といえる。即ち、前述の通り、前駆樹脂155の転換温度をT(℃)とし、ワックスの融点をT(℃)とした場合、T-T(℃)≧25であることが好ましい。そして、T(℃)は、例えば、50≦T(℃)≦170とすることができることから、T(℃)は、例えば、25≦T(℃)≦145とすることができる。
マトリックス樹脂15を、型27へ充填する方法は限定されず、従来公知の方法を利用できる。例えば、前述のように、外型25を用いる場合、外型25に充填口252(図1~図4参照)を設けることにより、充填口252を通じて充填を行うことができる。更に、前駆樹脂155を充填するのに必要な流動ルートは、中型20(中型20の表面、中型20の内部)や外型25(外型25の内表面)に対して設けることもできる。
[4]膨張工程
膨張工程R4は、ワックスを加熱により膨張させる工程である(図2g及び図4f参照)。
前述の通り、中型20はワックスを含むため、ワックスの膨張に起因する体積膨張を得ることができる。ワックスを膨張させることで、中型20が膨張されて、充填工程R3で充填された前駆樹脂を、繊維集合体14内へより効果的に含浸させ、前駆樹脂を行きわたらせることができる。また、中型20を膨張させることで、繊維集合体14に内包されている気体を、繊維集合体14外へ積極的に排出することができる。更に、必要以上の余剰の前駆樹脂は系外へ押し出して、繊維含有率の高い繊維強化成形体を形成できる。
この膨張工程R4は、充填工程R3の後、及び/又は、充填工程R3と同時に行うことができる。即ち、充填工程R3が完了し、必要な前駆樹脂の全量が型27内へ充填された後に、膨張工程R4を開始することができる。また、充填工程R3が完了前に、必要な前駆樹脂155の一部が型27内へ充填された後に、膨張工程R4を開始することができる。
膨張工程R4における加熱温度は、必要な膨張が得られるように適宜コントロールすることができる。例えば、加熱による到達温度によって膨張量をコントロールすることができる。即ち、より高い到達温度にすることで、膨張量を最大にすることができる。また、昇温スピードにより膨張スピードをコントロールすることができる。
加熱には、型外に設置した外部ヒータを利用してもよいし、型内に設置した内部ヒータを利用してもよい。ヒータは、通電により自己発熱するヒータを利用してもよく、誘導加熱により発熱するヒータを利用してもよい。
[5]転換工程
転換工程R5は、前駆樹脂155をマトリックス樹脂15へ転換する工程である(図2h及び図4g参照)。
即ち、例えば、前駆樹脂155が、硬化性樹脂(未硬化樹脂)である場合には、これを硬化させることによってマトリックス樹脂15へと転換できる。また、前駆樹脂155が、熱可塑性樹脂の溶融物である場合には、これを固化することによってマトリックス樹脂15へと転換できる。
転換工程R5は、充填工程R3及び膨張工程R4とは別途に行ってもよいが、重複して行ってもよい。例えば、常温で硬化開始される熱硬化性樹脂(未硬化樹脂)を用いる場合、型内へ前駆樹脂を充填する(充填工程R3)と、同時に硬化が開示させる(転換工程R5)ことができる。更に、充填が完了した後、膨張工程R4を行うことで、膨張工程R4と転換工程R5とを同時に進行されることができる。
このように、充填工程R3、膨張工程R4及び転換工程R5は、利用する前駆樹脂の種類や、中型20を構成するワックスの温度特性等を加味し、必要に応じてコントロールすることができる。例えば、膨張工程R4は、後述する転換工程R5と別途に行うこともできるが、転換工程R5と同時進行させることが好ましい。即ち、中型20を膨張させた状態で転換工程R5を行うことが好ましい。
[6]取出工程
取出工程R6は、型27から繊維強化成形体1を取り出す工程である(図2i~図2j及び図4h~図4i参照)例えば、中型20が中子21である場合、中子21を加熱溶融して、繊維強化成形体1を取り出すことができる。即ち、加熱溶融により、中子21を変形させる、及び/又は、減容させる、ことで、得られた繊維強化成形体1から中子21を取り外すことができる。中子21の加熱溶融は、外型25内で行ってもよいし、外型25から取り出しておこなってもよい。外型25内で中子21を加熱溶融する場合には、溶融された中型材料が、外型25内に貯留されることにより回収が容易となる。また、外型25に取出口253を設けることにより、外型25内から中型20の溶融分202として取り出し、回収することもできる(図2i及び図4h参照)。
また、中型20がキャビティの内壁22である場合は、通常、キャビティの開放により、繊維強化成形体1を型27内から取り出すことができる。
[7]繊維強化成形体
本方法により得られる繊維強化成形体1は、芯材13と、芯材13を埋設するマトリックス樹脂15と、を有する(図12~図15参照)。繊維強化成形体1において、マトリックス樹脂15は、芯材13を埋設している樹脂である。より具体的には、芯材13の内部に行きわたるように含浸されて固定(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。このマトリックス樹脂15の含浸方法及び固定方法は、従来公知の各種方法を利用できる。
マトリックス樹脂15の種類は限定されず、種々の樹脂を利用できる。即ち、硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂を用いてもよく、これらを併用してもよい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(硬化性ポリエステル樹脂)、ウレタン樹脂等が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂)、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
本方法により製造する繊維強化成形体1の形状、大きさ及び厚さ等の寸法は特に限定されないが、例えば、隣り合った2つの補強孔H及び補強孔Hを含む、補強構造を形成するための複数の補強孔Hを有し、補強孔Hの開口面と、補強孔Hの開口面と、が互いに異なる平面に属する形状を有する繊維強化成形体1を製造する場合に適する(図12~14参照)。
具体的には、例えば、開閉式の上下型を用いて、補強孔Hと補強孔Hとを構成する構造部を均質に形成することは困難である。この点、本方法では、中型20を用いるため、上下型とは別個に賦形形状を得ることができる。従って、上述のような形状において特に優れた賦形性を得ることができる。このため、複雑な3次元形状を有する繊維強化成形体1の製造に際して、各部を分割して製造することを防止できる。それにより、繊維強化成形体1を一体的に製造することができるため、繊維強化成形体1を、接続箇所の発生を抑制して効率よく製造できる。また、接続箇所の発生を抑制できるために、接続に要する形状の複雑化や重さの増大が抑制された繊維強化成形体を得ることができる。そして、よりスムーズな形状を実現し、均一な強度バランスを有する繊維強化成形体1を得ることができる。更に、従来であれば、孔設されていない成形体を得たうえで、必要な箇所へ孔設を行って実現できた開口補強構造を、孔設工程を行うことなく、低工数で得ることができる。加えて、前述の通り、繊維含有率が高い繊維強化成形体1とすることができる。
補強孔は、立体造形物内にトラス構造、ラーメン構造、アーチ構造等の強化構造を形成する孔である。即ち、全体として薄板状である立体造形物に事後的に孔を設けることで、この立体造形物内に強化構造を形成することができる。孔を設けていない立体造形物には複雑な力の負荷を生じるが、補強孔を設けることで力が負荷される箇所を明瞭化できるためより高い構造強度を得ることができる。
このような補強孔は、従来であれば、上述の通り、事後的な孔設工程を要したが、本方法では、繊維集合体14を切断せず、繊維集合体14を利用することによる補強特性を低下させることなく、補強孔を予め設けることができる。即ち、孔設工程を要さず、より優れた補強孔を得ることができる。とりわけ、開口面同士が異なる平面に属する2つ以上の補強孔を一括して得ることができる。
また、本方法により得られる繊維強化成形体1の用途も特に限定されないが、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の外装材、内装材、構造材(ボディシェル、車体、航空機用胴体)及び衝撃吸収材等として用いることができる。これらのうち自動車用品としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、自動車用衝撃吸収材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。
具体的には、バンパー、スポイラー、カウリング、フロントグリル、ガーニッシュ、ボンネット、トランクリッド、カウルルーバー、フェンダーパネル、ロッカーモール、ドアパネル、ルーフパネル、インストルメントパネル、センタークラスター、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、シートフレーム、アームレスト、サンバイザ、インテークマニホールド、エンジンヘッドカバー、エンジンアンダーカバー、オイルフィルターハウジング、車載用電子部品(ECU、TVモニター等)のハウジング、エアフィルターボックス、ラッシュボックス等のエネルギー吸収体、フロントエンドモジュール等のボディシェル構成部品などが挙げられる。
更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材、更には、ユニットバス、浄化槽などとすることができる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等として用いることもできる。また、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体などの成形体とすることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)使用材料について
基層18:植物繊維布(紡績綿繊維を製織した織布)
繊維束17:炭素繊維を12000本引き揃えた繊維束(12Kマルチフィラメント)
縫糸175:樹脂繊維(ポリエステル製単繊維を用いたマルチフィラメント)
(2)繊維集合体14の作製
繊維束17を縫糸175により1.7mmピッチで基層18のうちの必要箇所のみ縫着し、基層18の不要部を切除することによって、全体として帯状(蛇行形状を有する)となった繊維集合体14を得た。
(3)繊維強化成形体1の作製
上記(2)までに得られた繊維集合体14を、ワックス製(融点101℃のマイクロクリスタリンワックス)の中型20(中子21、図9参照)に巻き付けるように配置し、固定することによって、立体形状を付与した。
その後、繊維集合体14を固定した中型20を樹脂バッグ内に投入し、樹脂バッグ内を脱気しながら、マトリックス樹脂となる未硬化エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、品番「XNR6830」)を投入した。次いで、中型20を加熱することによって、ワックスを熱膨張させつつ、未硬化エポキシ樹脂を繊維集合体14へ含浸させた後、未硬化エポキシ樹脂を硬化させて繊維強化成形体1(図12~14参照)を得た。
得られた繊維強化成形体1は、複雑な骨格形状を有しながら、各部を分割製造することなく、一体的に製造できた。このため、繊維強化成形体1を、接続箇所の発生を抑制して効率よく製造できた。また、接続箇所の発生を抑制できるために、接続に要する形状の複雑化や重さの増大が抑制された繊維強化成形体1を得られた。そして、よりスムーズな形状を実現し、均一な強度バランスを有する繊維強化成形体1を得ることができた。また、RTM系製法に伴う上記のメリットを享受しつつ、従来に比べて、繊維含有率の高い繊維強化成形体を得ることができた。更に、従来であれば、孔設されていない成形体を得たうえで、必要な箇所へ孔設を行って実現できた開口補強構造を、孔設工程を行うことなく、低工数で得ることができた。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
尚、本発明には含まれないものの、例えば、ワックスを構成成分とした中型であって、繊維集合体14を固定しない中型を、内部からの加圧を行うためのみに利用することもできる(即ち、専用加圧源としての利用)。
1;繊維強化成形体、
12;強化繊維、
13;芯材、
14;繊維集合体、
141;帯状部、141a;第1分岐部、141b;第2分岐部、
143;貫通孔、
15;マトリックス樹脂、155;前駆樹脂、
17;繊維束、171;連続繊維、172;強化繊維以外の他の繊維
175;縫糸、
18;基層、
20;中型、
201;周面、201a;第1面、201b;第2面、
202;中型の溶融分
203;凹部、204;空隙(スリット)、205;凸部、
207;係止具、
209;流動ルート、
21;中子、
22;内壁、
25;外型、251;脱気口、252;充填口、253;取出口、
255:付属型、
27;型(成形型)、271;上型、272;下型、
H;補強孔、H1;補強孔、H2;補強孔、
R1;配置工程、
R2;型締め工程、
R3;充填工程、
R4;膨張工程、
R5;転換工程、
R6;取出工程。

Claims (10)

  1. 強化繊維を含んだ芯材と、前記芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法であって、
    前記芯材となる繊維集合体を、ワックスを構成成分とする中型の周面に沿わせて配置する配置工程と、
    前記繊維集合体の前記配置状態を維持して型を締める型締め工程と、
    前記型内へ前記マトリックス樹脂となる前駆樹脂を充填する充填工程と、
    前記ワックスを加熱により膨張させる膨張工程と、
    前記前駆樹脂を前記マトリックス樹脂へ転換する転換工程と、
    を備えることを特徴とする繊維強化成形体の製造方法。
  2. 前記中型が、中子、又は、キャビティの内壁である請求項1に記載の繊維強化成形体の製造方法。
  3. 前記中型が、中子であり、
    前記型締め工程が、前記繊維集合体が配置された前記中子の周囲を外型で覆って型締めを行う工程である請求項1に記載の繊維強化成形体の製造方法。
  4. 前記中型が、キャビティの内壁であり、
    前記型締め工程が、前記キャビティを閉じて型締めする工程である請求項1に記載の繊維強化成形体の製造方法。
  5. 前記中型は、前記繊維集合体の厚みを収容する凹部を前記周面に有する請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
  6. 前記中型は、前記繊維集合体に設けられた貫通孔に係合する凸部を前記周面に有する請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
  7. 前記配置工程は、前記中型の前記周面に沿わせた前記繊維集合体の外表面側から前記中型へ向けて係止具を打ち込んで行う請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
  8. 前記繊維集合体は、前記強化繊維を含む連続繊維を束ねた繊維束と、前記繊維束が縫着された基層と、を有し、
    前記繊維束が、前記基層上に複列に並ぶように縫着された帯状部を有する請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
  9. 前記中型が、中子であって、
    前記配置工程は、前記帯状部を、前記中子の前記周面に巻き付けるように沿わせる工程を含む請求項8に記載の繊維強化成形体の製造方法。
  10. 前記繊維強化成形体は、隣り合った2つの補強孔H及び補強孔Hを含む、補強構造を形成するための複数の補強孔を有し、
    前記補強孔Hの開口面と、前記補強孔Hの開口面と、が互いに異なる平面に属する請求項1乃至9のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
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